(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】給水バルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 17/38 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
F16K17/38 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539115
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 RU2021000574
(87)【国際公開番号】W WO2022146183
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516233088
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー アトムエネルゴプロエクト
【氏名又は名称原語表記】JOINT STOCK COMPANY ATOMENERGOPROEKT
【住所又は居所原語表記】ul. Bakuninskaya,7,str.1 Moscow,105005 Russia
(71)【出願人】
【識別番号】520514768
【氏名又は名称】サイエンス アンド イノヴェーションズ - ニュークリア インダストリー サイエンティフィック デベロップメント,プライベート エンタープライズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】シドロフ, アレクサンドル・スタレヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】シドロヴァ, ナデジダ・ヴァシリエヴナ
(72)【発明者】
【氏名】チカン, クリスティン・アレクサンドロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ネドレゾフ, アンドレイ・ボリソヴィッチ
【テーマコード(参考)】
3H061
【Fターム(参考)】
3H061AA07
3H061BB09
3H061CC02
3H061DD02
3H061EA32
3H061EC05
3H061FB01
3H061GG02
3H061GG26
(57)【要約】
給水バルブは、中間スリーブに挿入され、中間スリーブ内でフランジ付きストッパーに当接されている作動スリーブと、ピストンを有し、ピストンが熱機械要素に当接し、熱機械要素がクランプ機構を介して作動スリーブの端部に固定された保護膜に当接するように作動スリーブと中間スリーブ内に取り付けられているロッドと、一端がピストンに当接し、他端がフランジ付きストッパーに当接するようにロッドに取り付けられている始動バネと、作動スリーブから突出しているロッドの端部に取り付けられたローリングストッパーと、ロッド型スリーブが内部に取り付けられたフランジ付きスリーブが挿入されているフランジ付きシリンダーと、フランジ付きのスラストロッドと作動バネが取り付けられているスラストスリーブと、を含み、ロッド型スリーブには、ネジ山と制御バルブを備えたステムが回転可能に配置されており、作動バネの一端がスラストロッドのフランジに当接し、その他端がスラストスリーブに当接し、制御バルブとスラストロッド間にボールストッパーが取り付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間スリーブに挿入され、前記中間スリーブ内でフランジ付きストッパーに当接されている作動スリーブと、
ピストンを有し、前記ピストンが熱機械要素に当接し、前記熱機械要素がクランプ機構を介して前記作動スリーブの端部に固定された保護膜に当接するように前記作動スリーブと前記中間スリーブ内に取り付けられているロッドと、
一端が前記ピストンに当接し、他端が前記フランジ付きストッパーに当接するように前記ロッドに取り付けられている始動バネと、
前記作動スリーブから突出している前記ロッドの端部に取り付けられたローリングストッパーと、
ロッド型スリーブが取り付けられたフランジ付きスリーブが挿入されているフランジ付きシリンダーと、
フランジ付きのスラストロッドと作動バネが取り付けられているスラストスリーブと、
を含み、
前記ロッド型スリーブには、スライドバルブを備えたネジ付きロッドが回転可能に配置されており、
前記作動バネの一端が前記スラストロッドのフランジに当接し、その他端が前記スラストスリーブに当接し、
前記スライドバルブと前記スラストロッドの間にボールストッパーが取り付けられていることを特徴する給水バルブ。
【請求項2】
前記ピストン内に空隙が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の給水バルブ。
【請求項3】
2つ以上のボールまたはローラーを前記ローリングストッパーとして使用できる
ことを特徴とする請求項1に記載の給水バルブ。
【請求項4】
前記クランプ機構が、交差してもしくは平行に取り付けられた1以上の平板、開口を有する1以上の円形状の板、または、前記熱機械要素に向けられた凸面を有する膜の形態で作られている
ことを特徴とする請求項1に記載の給水バルブ。
【請求項5】
前記スライドバルブと前記フランジ付きシリンダーとの間にガスケットが取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の給水バルブ。
【請求項6】
前記作動スリーブ、前記中間スリーブ、および前記フランジ付きスリーブがペタルフランジに取り付けられたファスナーによって接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の給水バルブ。
【請求項7】
前記スラストスリーブが、円筒フランジに取り付けられたファスナーによって前記フランジ付きシリンダーに接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の給水バルブ。
【請求項8】
前記フランジ付きシリンダーがファスナーによってフランジ付きスリーブに接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の給水バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力エネルギーの分野に関し、特に、原子力発電所(以下、NPPという。)の安全システム内の給水バルブに関し、原子炉容器及び格納容器の破壊をもたらす重大事故が発生した場合におけるコリウムキャッチャー(以下、CCという。)に使用することができる。
【0002】
炉心冷却系の多重故障時に起こり得る炉心溶融を伴う事故は、最大の放射線ハザードをもたらす。
【0003】
このような事故が起こると、炉心溶融物(コリウム)が炉心構造物とともに溶融して原子炉容器から流出し、その中に残る余熱がNPPの格納容器の完全性を破壊する可能性がある。格納容器は、放射性物質が環境に放出される経路における最後の障壁になる。
【0004】
これを防ぐためには、原子炉容器から流出した炉心溶融物(コリウム)を閉じ込め、完全に結晶化するまで継続的に冷却する必要がある。この機能は、通常、原子炉シャフトに設置されたコリウムキャッチャーによって実行され、コリウムは、その分配とその後の冷却の目的のためにCC容器に導かれる。給水バルブ(以下、WSVという。)は、CC容器内のコリウムを確実に冷却するために設けられており、臨界温度上昇時に冷却媒体(水)をCC容器内に供給するために作動され、コリウム冷却プロセス全体を通じて確実に開いたままでなければならない。
【背景技術】
【0005】
単動式の緊急サーマルバルブ〔1〕が知られている。
【0006】
このサーマルバルブは、一方の端部に入口開口部が形成され、他方の端部に出口開口部が形成された円筒形本体と、円筒形本体内に軸方向に取り付けられた第1および第2のバネ付きロッドと、入口開口部の漏れを防止するために第2のバネ付きロッドの端部に取り付けられたクランプガスケットを備えたシャッターと、ヒューズと、第1および第2のバネ付きロッドのそれぞれの隣接する両端部を接続するラッチと、を備え、ヒューズが円筒形本体の出口開口壁に取り付けられた穴あきスリーブ内に配置され、穴あきスリーブに入る可能性のあるピストンが第1のバネ付きロッドの自由端に取り付けられており、ラッチが、第1のバネ付きロッドの端部に取り付けられたコーンと、その端部上で離れた位置にある分割Cリングと、分割Cリング用のスラストカラーと、第2のバネ付きロッド上に取り付けられたシェルと、を含み、分割Cリングが、第1および第2のバネ付きロッドの一方向への動きを保証するために、第1のバネ付きロッドの動きの過程で、当該コーンから当該シェルの中に滑り落ちるような方法で取り付けられている。
【0007】
サーマルバルブの欠点は、次の理由により信頼性が低いことである。
- 圧縮バネの作用下で第2の中空ロッドの機械的歪みを減衰する機構が存在しないため、その第2のロッドがブロックされ、指定された動作を実行できなくなる可能性がある。
- ガスの対流やコリウム表面側からの熱放射によりバルブ要素が出口側から加熱された場合、第2の中空ロッドの熱歪みを減衰する機構が存在しないため、その第2のロッドがブロックされ、指定された動作を実行できなくなる可能性がある。
- スリーブの内面と第2のロッドおよびシェルとの間で摩擦が生じる範囲内を、第2の中空ロッドがバネの作用によりスリーブに対して動くときに、第2の中空ロッドが歪んだ場合に詰まる可能性がある。
- ガスケットがフランジに固着(溶着)する可能性があり、高温下のバネの力ではバルブを開くのに明らかに不十分になる場合がある。
- 対流熱伝達の結果、温度の上昇が長期間になるとバネが弱くなり、バネが設定された圧縮力を失い、バルブを開く機能が果たせなくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
請求項に係る発明の技術的成果は、給水バルブの信頼性を高めることにある。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、高温の影響下で冷却水、蒸気及び水、又は蒸気及びガス混合物の供給を確実にするための給水バルブを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この問題は、本発明に係る給水バルブが、中間スリーブに挿入され、前記中間スリーブ内でフランジ付きストッパーに当接されている作動スリーブと、ピストンを有し、前記ピストンが熱機械要素に当接し、前記熱機械要素がクランプ機構を介して前記作動スリーブの端部に固定された保護膜に当接するように前記作動スリーブと前記中間スリーブ内に取り付けられているロッドと、一端が前記ピストンに当接し、他端が前記フランジ付きストッパーに当接するように前記ロッドに取り付けられている始動バネと、前記作動スリーブから突出している前記ロッドの端部に取り付けられたローリングストッパーと、ロッド型スリーブが取り付けられたフランジ付きスリーブが挿入されているフランジ付きシリンダーと、フランジ付きのスラストロッドと作動バネが取り付けられているスラストスリーブと、を含み、前記ロッド型スリーブには、スライドバルブを備えたネジ付きロッドが回転可能に配置されており、前記作動バネの一端が前記スラストロッドのフランジに当接し、その他端が前記スラストスリーブに当接し、前記スライドバルブと前記スラストロッドの間にボールストッパーが取り付けられていることによって解決される。
【0012】
特許請求の範囲に記載された発明の本質的な特徴は、作動スリーブ、中間スリーブ、フランジ付きシリンダー、およびスラストスリーブが存在することである。同時に、トリガー機構が、作動スリーブに取り付けられ、フランジ付きストッパー内を通過するピストンを備えたロッドの形で作られ、熱機械要素が、保護膜を備えたクランプ機構によってピストンに固定されており、始動バネが、ロッドの一端側に取り付けられ、その始動バネの一端がピストンに当接し、他端がフランジ付きストッパーに当接し、ローリングストッパーが、フランジ付きストッパーから突き出ているロッドの他端に取り付けられている。フランジ付きシリンダーには、フランジ付きスリーブが取り付けられており、フランジ付きスリーブに、スライドバルブを備えたネジ付きロッドがねじ込まれたロッド型スリーブが取り付けられている。フランジ付きのスラストロッドと作動バネがスラストスリーブ内に取り付けられ、作動バネの一端がスラストロッドのフランジに当接し、その他端がスラストスリーブに当接しており、スライドバルブとスラストロッド間にボールストッパーが取り付けられている。
【0013】
給水バルブのこの設計は、次の要素の存在によりその確実な動作を保証する。
- ロッド型スリーブにねじ込まれるネジ付きロッドの存在により、ねじ接続部に遊びによるギャップが形成され、そのギャップにより、圧縮された作動バネの作用下におけるロッド型スリーブの機械的歪みに対する減衰機構の大幅な改善が提供されている。
- 締結機構の変更による作動スリーブのペタルフランジ、中間スリーブのペタルフランジ、フランジ付きスリーブのペタルフランジが存在し、保護膜、作動スリーブ、中間スリーブやフランジ付きスリーブの外表面がガスの対流やコリウム表面側からの放射熱流束により加熱された場合におけるロッド型スリーブの熱歪みに対する減衰機構の大幅な改善が提供されている。
- 大きなペタルフランジが存在し、外側からの水によって洗浄されるフランジ付きシリンダーの側部円筒壁を通る対流ガス流の冷却により、フランジ付きスリーブの冷却を提供する。その後、対流ガス流の逆流中に中間スリーブが冷却される。これにより、中間スリーブおよびフランジ付きスリーブの内面とロッド型スリーブとの間の摩擦領域において、ロッド型スリーブが作動バネの作用で動くときに、ロッド型スリーブが中間スリーブとフランジ付きスリーブ内で詰まらないようにできる。
- フランジ付きシリンダー内にシールガスケットを備えたスライドバルブが存在し、作動バネの位置する側に存する水により冷却され、シールガスケットの、フランジ付きシリンダーとスライドバルブへの固着(溶着)が防止される。
- 水で冷却される作動バネが存在し、ガスの対流やコリウム表面側からの放射熱流束により熱機械要素、作動スリーブ、中間スリーブ、フランジ付きスリーブの温度が長期にわたって上昇しても、作動バネが弱まらないことが保証される。
【0014】
さらに、本発明によれば、給水バルブのピストンには、熱機械要素の溶融材料の受け入れと始動バネの作用下でのロッドの自由な動きを確実にするための空隙が作られている。
【0015】
さらに、本発明に係る給水バルブは、2つ以上のボールまたはローラーをローリングストッパーとして使用することができる。2つのローラーまたはボールを取り付けるには、給紙バルブのより精密な機械的バランスが必要になるが、温度上昇時でのロッドの幾何学的特性の安定性にはあまり依存しない。3つのローラーまたはボールの取り付けには、給水バルブのこのような精密な機械的バランスの必要はないが、ロッドの幾何学的特性の安定性に大きく依存する。3つを超えるローラーまたはボールを取り付ける場合、実際には給水バルブの機械的バランスをとる必要はないが、温度上昇時でのロッドの幾何学的特性の安定性に対してより高い要件が課せられる。
【0016】
さらに、本発明に係る給水バルブは、クランプ機構が、交差してまたは平行に取り付けられた1つまたは複数の平板からなるが、開口を有する1つまたは複数の円形状の板で構成することもでき、または凸面が熱機械要素に面する膜の形で形成することもできる。
【0017】
熱機械要素は、始動バネの作用下にあるピストンによって常に押されているので、熱機械要素の幾何学的寸法と機械的特性を長期間維持できるように、熱機械要素を確実に停止させておく必要がある。このためには、ピストン側からの熱機械要素への圧力領域とクランプ機構側からの熱機械要素への圧力領域がほぼ均等になるようにする必要がある。
【0018】
これらの条件は、クランプ機構のいくつかのバリエーションによって満たされる。
【0019】
平行な又は十字形の複数の平板間に空間(ギャップ)を設けた構成において、熱機械要素が溶けたときの溶融物が自由に流れるように設計されている。同様の機能が、開口を有する複数の円形状の板によって実行される。膜の形で形成されたクランプ機構は、若干異なる動作をする。その膜の中央の凸部が熱機械要素に押し付けられ、その膜の周辺部が保護膜の留め具に固定される。これにより、熱機械要素が溶けたときの溶融物を収容するための環状の空スペースが形成される。
【0020】
さらに、本発明に係る給水バルブは、スライドバルブとフランジ付きシリンダーとの間にガスケットが取り付けられている。
【0021】
また、本発明に係る給水バルブは、作動スリーブ、中間スリーブおよびフランジ付きスリーブが、ペタルフランジに取り付けられたファスナーによって接続されている。
【0022】
さらに、本発明に係る給水バルブは、スラストスリーブが、円筒フランジに取り付けられたファスナーによってフランジ付きシリンダーに接続されている。
【0023】
さらに、本発明に係る給水バルブは、フランジ付きシリンダーがファスナーによってフランジ付きスリーブに接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に従って設計された給水バルブを示す図である。
【
図2】本発明に従って設計された給水バルブを示す図である。
【
図3】本発明に従って設計された給水バルブを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示すように給水バルブは、中間スリーブ(2)に挿入され、フランジ付きストッパー(3)に当接している作動スリーブ(1)と、フランジ付きストッパー(3)を通過する、ピストン(5)を有するロッド(4)の形に作られたトリガー機構と、保護膜(9)を備えたクランプ機構(8)によってピストン(5)に締結された熱機械要素(7)と、ロッド(4)の一端に取り付けられた始動ばね(10)と、ローリングストッパー(11)とを備える。始動ばね(10)は、その一端がピストン(5)に押し付けられ、他端がフランジ付きストッパー(3)に押し付けられている。ローリングストッパー(11)は、フランジ付きストッパー(3)から突出している、ロッド(4)の他端に取り付けられ、フランジ付きスリーブ(13)に取り付けられたロッド型スリーブ(14)に押し付けられている。
【0026】
作動スリーブ(1)のペタルフランジ(petal flange)(23)と中間スリーブ(2)のペタルフランジ(24)は、ファスナー(22)で相互接続されている。中間スリーブ(2)のペタルフランジ(27)とフランジ付きスリーブ(13)のペタルフランジ(26)は、ファスナー(25)によって相互接続されている。フランジ付きスリーブ(13)の大きなペタルフランジ(32)は、ファスナー(33)によってフランジ付きシリンダー(12)の内側フランジ(31)に接続されている。
【0027】
スライドバルブ(16)を備えたネジ付きロッド(15)が、フランジ付きスリーブ(13)から突出しているロッド型スリーブ(14)の自由端に取り付けられている。シールガスケット(28)を備えたスライドバルブ(16)は、フランジ付きシリンダー(12)に取り付けられている。フランジ付きシリンダー(12)の端部フランジ(36)は、ペタル円筒フランジ(34)を介してスラストスリーブ(17)にファスナー(35)で接続されている。
【0028】
スラストスリーブ(17)の内側には、作動バネ(20)が取り付けられている。作動バネ(20)の一端は、スラストスリーブ(17)に当接し、その他端は、スラストロッド(18)のフランジ(19)に当接している。スライドバルブ(16)とスラストロッド(18)の間には、ボールストッパー(21)が介在している。
【0029】
図2と
図3に示すように給水バルブは、フランジ付きシリンダー(12)の丸フランジ(6)を用いて外管(29)に取り付けられ、ファスナー(30)により固定される。
【0030】
請求されている給水バルブは、次のように機能する。
【0031】
スタンバイモードの閉栓位置では、給水バルブの各要素は、始動バネ(10)と作動バネ(20)の作用によりバランスが取れている。給水バルブの組み立ては、フランジ付きストッパー(3)が中間スリーブ(2)内に取り付けられた状態で行うものとする。
【0032】
ピストン(5)を備えたロッド(4)に始動バネ(10)を装着し、始動バネ(10)が装着されたロッド(4)がフランジ付きストッパー(3)に挿入される。作動スリーブ(1)は、ペタルフランジ(23)とファスナー(22)によって中間スリーブ(2)のペタルフランジ(24)に取り付けられるが、ファスナー(22)は締め付けられていない。
【0033】
作動スリーブ(1)の内側では、熱機械要素(7)がピストン(5)の端部に取り付けられ、クランプ機構(8)と保護膜(9)を介して作動スリーブ(1)の端部に固定される。ファスナー(22)が締め付けられると、ロッド(4)がフランジ付きストッパー(3)から突き出て、始動バネ(10)が作動位置に移動する。作動位置では、始動バネ(10)の一端がフランジ付きストッパー(3)に当接し、その他端がロッド(4)のピストン(5)に当接する。フランジ付きストッパー(3)は、始動バネ(10)の作用を受けて中間スリーブ(2)に押し付けられる。
【0034】
ロッド(4)の、フランジ付きストッパー(3)から突き出た部分に、ローリングストッパー(11)が取り付けられ、その上にロッド型スリーブ(14)が置かれる。
【0035】
ロッド型スリーブ(14)上にフランジ付きスリーブ(13)が置かれ、ローリングストッパー(11)が小さなギャップをもってロッド(4)上に確実に固定されるように、ペタルフランジ(26)がファスナー(25)によって中間スリーブ(2)のペタルフランジ(27)に向かって押される。これにより、ロッド型スリーブ(14)に力が作用することなく、中間スリーブ(2)のペタルフランジ(27)とフランジ付きスリーブ(13)のペタルフランジ(26)とが確実に締め付けられる。
【0036】
スライドバルブ(16)を備えたネジ付きロッド(15)が、ロッド型スリーブ(14)との間に小さなギャップが現れるまでロッド型スリーブ(14)にねじ込まれる。
【0037】
シールガスケット(28)がスライドバルブ(16)に取り付けられ、フランジ付きシリンダー(12)が装着される。フランジ付きスリーブ(13)の大きなペタルフランジ(32)の開口と、ファスナー(33)を取り付けるためのフランジ付きシリンダー(12)の内側フランジ(31)の開口とが揃うまで、フランジ付きシリンダー(12)がスライドバルブ(16)とネジ付きロッド(15)と共に軸周りに回転される。
【0038】
スラストロッド(18)上に置かれたボールストッパー(21)がスライドバルブ(16)上に取り付けられる。スラストスリーブ(17)上に置かれた作動ばね(20)がスラストロッド(18)上に取り付けられる。スラストスリーブ(17)のペタル円筒フランジ(34)がファスナー(35)によってフランジ付きシリンダー(12)の端部フランジ(36)に押し付けられ、作動ばね(20)が作動状態まで圧縮される。
【0039】
したがって、作動バネ(20)は、一端がスラストスリーブ(17)に当接し、他端がスラストロッド(18)を介してボールストッパー(21)に圧力を加える。作動スプリング(20)の力が、ボールストッパー(21)からスライドバルブ(16)とネジ付きロッド(15)を介してロッド型スリーブ(14)に伝わり、ロッド型スリーブ(14)がローリングストッパー(11)に圧力を加える。
【0040】
ローリングストッパー(11)は静止状態にあり、作動バネ(20)の主圧力をフランジ付きストッパー(3)に伝達し、さらにロッド(4)に圧力を伝達する。フランジ付きストッパー(3)は、作動スリーブ(1)と中間スリーブ(2)のペタルフランジ(23)、(24)のファスナー(22)によって位置がずれないよう固定されている。
【0041】
給水バルブは、フランジ接続部のファスナー(30)によって外管(29)に取り付けられる。この取り付けのため、フランジ付きシリンダー(12)の外周面に丸フランジ(6)が形成されており、外管(29)との緊密な接続が提供される。
【0042】
さらに、フランジ付きシリンダー(12)の丸フランジ(6)は、始動バネ(10)と作動バネ(20)の作用から解放されている。したがって、給水バルブを外管(29)に取り付ける際に、動作状態にするために追加の操作を必要としない。外管(29)内における給水バルブのセンタリングは、作動スリーブ(1)のペタルフランジ(23)、中間スリーブ(2)のペタルフランジ(24)、(27)、およびフランジ付きスリーブ(13)のペタルフランジ(26)によって行われ、給水バルブの構成要素と外管(29)の内面との間の流路面積が確保される。
【0043】
放射熱流束により熱機械要素(7)が加熱されると、その熱機械要素(7)が徐々に溶融する。その溶融物は、重力とピストン(5)の圧力という2つの力の作用により、固体の熱機械要素(7)の不動性を確保していたクランプ機構(8)から流出する。ピストン(5)は、始動バネ(10)の一端によって押圧されており、始動バネ(10)の内側に、ピストン(5)に接続されているロッド(4)が挿入されている。始動バネ(10)の他端は、作動スリーブ(1)と中間スリーブ(2)の間に固定されたフランジ付きストッパー(3)に当接している。
【0044】
熱機械要素(7)が溶ける過程で、その固体部分の厚さが徐々に減少し、その分、始動バネ(10)が伸長してピストン(5)とこれに接続されたロッド(4)を押し出すことで、ロッド(4)がフランジ付きストッパー(3)の内側で連続的にまたは僅かな停止を伴いながらローリングストッパー(11)の固定位置に対して動く。
【0045】
ロッド(4)の端部に取り付けられたローリングストッパー(11)は、ロッド(4)の動きによりロッド(4)の端面がローリングストッパー(11)の中心線平面を横切る瞬間に滑り落ちる。
【0046】
ローリングストッパー(11)がロッド(4)からロッド型スリーブ(14)内に滑り落ちると、ロッド型スリーブ(14)のバランスが崩れる。作動バネ(20)が伸長してスラストロッド(18)に押圧力がかかると、スラストロッド(18)が動き始め、ボールストッパー(21)を介してスライドバルブ(16)を押す。
【0047】
スライドバルブ(16)が動いてフランジ付きシリンダー(12)から出て、ネジ付きロッド(15)がロッド型スリーブ(14)を押すことで、ロッド型スリーブ(14)がフランジ付きストッパー(3)の外周面と中間スリーブ(2)の内周面との間の空間を移動する。
【0048】
ロッド型スリーブ(14)のストロークがスライドバルブ(16)のストロークより大きくなっており、スライドバルブ(16)は、作動バネ(20)によってフランジ付きシリンダー(12)から完全に押し出され、ロッド型スリーブ(14)の移動またはスライドバルブ(16)の移動が完了するまでさらに押し込まれる。これに伴って、押し出されたスライドバルブ(16)とフランジ付きシリンダー(12)との間に隙間が形成され、(CC容器内側と外側の)両方向に媒体が流れる通路が確保される。
【0049】
フランジ付きシリンダー(12)から押し出されたスライドバルブ(16)は、作動バネ(20)によってフランジ付きスリーブ(13)面上に保持され続け、その位置を変えることができない。スライドバルブ(16)とフランジ付きシリンダー(12)との間の距離は、熱機械要素(7)側からの方向とスライドバルブ(16)側からの方向の両方向における水、蒸気と水、または蒸気とガスの混合物の通過に必要な流路面積を提供する。
【0050】
このように本発明に従って構造的に作られた給水バルブは、高温にさらされた場合でも、冷却水、蒸気と水、または蒸気とガスの混合物の確実な通過を保証する。
【国際調査報告】