(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】活性化抗原担体を用いるがんを処置するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/12 20060101AFI20231227BHJP
A61K 35/18 20150101ALI20231227BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231227BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20231227BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231227BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20231227BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231227BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20231227BHJP
C07K 14/025 20060101ALN20231227BHJP
C12N 5/078 20100101ALN20231227BHJP
C12N 15/117 20100101ALN20231227BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20231227BHJP
【FI】
A61K39/12
A61K35/18
A61K39/395 T
A61P31/20
A61P35/00
A61P37/04
A61P43/00 121
C07K16/28 ZNA
C07K14/025
C12N5/078
C12N15/117 Z
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539282
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 US2021073143
(87)【国際公開番号】W WO2022147443
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518071763
【氏名又は名称】スクイーズ バイオテクノロジーズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ローゼン, オリバー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA91X
4B065AA93X
4B065BA21
4B065BD09
4B065BD12
4B065BD35
4B065BD39
4B065CA44
4C085AA03
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA38
4C085BA76
4C085BB01
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4C085CC08
4C085CC12
4C085DD62
4C085DD84
4C085DD86
4C085EE01
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4C085FF14
4C085GG02
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
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4C087CA04
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZB33
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045DA86
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本出願は、HPV関連がんを処置するための活性化抗原担体(AAC)を提供する。AACは、少なくとも1つの抗原およびアジュバントが細胞内に送達された無核細胞に由来する。一部の実施形態では、AACは、CTLA4アンタゴニストおよび/またはPD-1/PD-L1アゴニストなどのチェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一部の態様では、本発明は、個体におけるヒトパピローマウイルス(HPV)関連がんを処置するための方法であって、有効量の活性化抗原担体(AAC)を含む組成物を個体に投与するステップであって、有効量は、約0.1×108AAC/kg~約1×109AAC/kgであり、AACは、細胞内に送達される少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップを含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体におけるヒトパピローマウイルス(HPV)関連がんを処置するための方法であって、有効量の活性化抗原担体(AAC)を含む組成物を前記個体に投与するステップであって、前記有効量は、約0.1×10
8AAC/kg~約1×10
9AAC/kgであり、前記AACは、細胞内に送達される少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップを含む、方法。
【請求項2】
個体におけるヒトパピローマウイルス(HPV)関連がんを処置するための方法であって、
有効量の活性化抗原担体(AAC)を含む組成物を前記個体に投与するステップであって、前記AACは、細胞内に送達される少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップ、ならびに
有効量のCTLA-4のアンタゴニストおよび/またはPD-1/PD-L1のアンタゴニストを前記個体に投与するステップ
を含む、方法。
【請求項3】
前記CTLA4のアンタゴニストが、CTLA4に結合する抗体である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記PD-1/PD-L1のアンタゴニストが、PD-1に結合する抗体またはPD-L1に結合する抗体である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
CTLA-4に結合する抗体およびPD-1に結合する抗体が、前記個体に投与される、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記CTLA-4に結合する抗体が、イピリムマブである、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記PD-1に結合する抗体が、ニボルマブである、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記PD-1に結合する抗体が、ペムブロリズマブである、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
CTLA-4に結合する抗体が、前記個体に投与され、PD-L1に結合する抗体が、前記個体に投与される、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記PD-L1に結合する抗体が、アテゾリズマブである、請求項4および9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのHPV抗原が、HPV-16抗原またはHPV-18抗原である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのHPV抗原が、HPV E6および/またはE7に由来するペプチドを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのHPV抗原が、HPV E6および/またはE7に由来するHLA-A2拘束性ペプチドを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記HLA-A2拘束性ペプチドが、配列番号1~4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのHPV抗原が、配列番号18~25のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記AACが、配列番号19のアミノ酸配列を含む抗原および配列番号23のアミノ酸配列を含む抗原を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記アジュバントが、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)、LPS、IFN-α、STINGアゴニスト、RIG-Iアゴニスト、ポリI:C、R837、R848、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、またはTLR9アゴニストである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記アジュバントが、CpG 7909オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記個体が、ヒトである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記個体が、HLA-A
*02について陽性である、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記AACが、前記個体に対して自家または同種異系である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記HPV関連がんが、現在局所進行性または転移性がんである、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記HPV関連がんが、頭頸部がん、子宮頸がん、肛門がんまたは食道がんである、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
AACを含む前記組成物が、静脈内に投与される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記CTLA-4のアンタゴニストおよび/またはPD-1/PD-L1のアンタゴニストが、静脈内、経口、または皮下に投与される、請求項2~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記CTLA-4に結合する抗体および/または前記PD-1に結合する抗体および/または前記PD-L1に結合する抗体が、静脈内に投与される、請求項3~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つのHPV抗原および前記アジュバントを含むAACの前記有効量が、約0.5×10
8AAC/kg~約1×10
9AAC/kgである、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つのHPV抗原および前記アジュバントを含むAACの前記有効量が、約0.5×10
8AAC/kg~約7.5×10
8AAC/kgである、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つのHPV抗原および前記アジュバントを含むAACの前記有効量が、約0.5×10
8AAC/kg、約2.5×10
8AAC/kg、約5×10
8AAC/kg、または約7.5×10
8AAC/kgである、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
イピリムマブの前記有効量が、約1mg/kg~約3mg/kgである、請求項6~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ニボルマブの前記有効量が、約360mgである、請求項7および11~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
アテゾリズマブの前記有効量が、約1200mgである、請求項10~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記AACを含む前記組成物が、3週間サイクルの1日目に送達される、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記AACを含む前記組成物が、最初の3週間サイクルの2日目にさらに投与される、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
約0.5×10
8個細胞/kg~約1×10
9個細胞/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与される、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
約0.5×10
8個細胞/kg、約2.5×10
8個細胞/kg、約5.0×10
8個細胞/kg、または約7.5×10
8個細胞/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与される、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
約0.5×10
8個細胞/kg~約1×10
9個細胞/kgが、それぞれの3週間サイクルの2日目に投与される、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
約0.5×10
8個細胞/kg、約2.5×10
8個細胞/kg、約5.0×10
8個細胞/kg、または約7.5×10
8個細胞/kgが、最初の3週間サイクルの2日目に投与される、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
CTLA-4に結合する抗体および/またはPD-1に結合する抗体および/またはPD-L1に結合する抗体が、3週間サイクルあたり1回に投与される、請求項33~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
CTLA-4に結合する抗体が、2回の3週間サイクルあたり1回投与される、請求項33~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
CTLA-4に結合する抗体が、それぞれの3週間サイクルの1日目または2回の3週間サイクルの1日目に投与される、請求項33~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記CTLA-4に結合する抗体が、イピリムマブであり、前記イピリムマブが、約3mg/kgの用量で投与される、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
PD-1に結合する抗体が、最初の3週間サイクルの8日目およびそれぞれのその後のサイクルの1日目に投与される、請求項33~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記PD-1に結合する抗体が、ニボルマブであり、前記ニボルマブが、約360mgの用量で投与される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記CTLA-4に結合する抗体が、イピリムマブであり、前記イピリムマブが、約1mg/kgの用量で、2回の3週間サイクルの最初の3週間サイクルの1日目に投与され、前記PD-1に結合する抗体が、約360mgの用量で、最初の3週間サイクルの8日目およびそれぞれのその後のサイクルの1日目に投与される、請求項39~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
PD-L1に結合する抗体が、最初の3週間サイクルの8日目およびそれぞれのその後のサイクルの1日目に投与される、請求項33~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記PD-L1に結合する抗体が、アテゾリズマブであり、前記アテゾリズマブが、約1200mgの用量で投与される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
PBMCを含む前記組成物が、少なくとも約3か月間、6か月間、9か月間または1年間、前記個体に投与される、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
AACを含む前記組成物が、凍結保存媒体中に約1×10
9AAC~約1×10
10AACを含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
AACを含む前記組成物が、約10mLの凍結保存媒体中に約7×10
9PBMCを含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記凍結保存媒体が、Cryostor(登録商標)CS2である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含む前記AACが、
a)インプット無核物の集団を含む細胞懸濁液を、細胞変形狭窄を通過させるステップであって、前記狭窄の直径は、前記懸濁液中の前記インプット無核細胞の直径の関数であり、それによって、前記少なくとも1つのHPV抗原および前記アジュバントが通過するのに十分に大きな前記インプット無核細胞の摂動を引き起こして摂動インプット無核細胞を形成するステップ;ならびに
b)前記抗原が前記摂動インプット無核細胞に入るのを可能にするのに十分な時間、摂動インプット無核細胞の前記集団を前記少なくとも1つのHPV抗原および前記アジュバントとともにインキュベートし、それによって、前記少なくとも1つのHPV抗原および前記アジュバントを含む前記AACを作出するステップ
を含むプロセスによって調製される、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記狭窄の直径が、約1.6μm~約2.4μmまたは約1.8μm~約2.2μmである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記インプット無核細胞が、赤血球細胞である、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
前記少なくとも1つのHPV抗原が、HPV E6に由来するペプチドおよびHPV E7に由来するペプチドを含む、請求項52~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記少なくとも1つのHPV抗原が、配列番号1~4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項52~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記少なくとも1つのHPV抗原が、配列番号18~25のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項52~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記AACが、配列番号19のアミノ酸配列を含む抗原および配列番号23のアミノ酸配列を含む抗原を含む、請求項52~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記アジュバントが、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)、LPS、IFN-α、STINGアゴニスト、RIG-Iアゴニスト、ポリI:C、R837、R848、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、またはTLR9アゴニストである、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記アジュバントが、CpG 7909オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)である、請求項59に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月29日に出願された米国仮特許出願第63/131,506号の利益を主張し、この全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
ASCIIテキストファイルにおける配列表の提出
【0002】
ASCIIテキストファイルにおける以下の提出の内容は、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる:コンピューター可読形式(CRF)の配列表(ファイル名:750322003540SEQLIST.TXT、記録日:2021年12月23日、サイズ:13,033バイト)。
【0003】
発明の分野
本開示は、一般に、HPV関連がんを有する個体を処置するための、HPV抗原およびアジュバントを含む活性化抗原担体(AAC)を使用する方法、その用量およびレジメンに関する。少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むそのようなAACを製造する方法、ならびにその組成物も開示する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
パピローマウイルスは、直径が約55nmのビリオンサイズを有する小さな非エンベロープDNAウイルスである。100を超えるHPV遺伝子型が完全に特徴付けられ、より多くの数が存在すると推定される。HPVは、子宮頸がん、ならびに一部の外陰、膣、陰茎、中咽頭、肛門および直腸がんの公知の原因である。ほとんどのHPV感染症は、無症状で自然に消失するが、腫瘍形成性のHPV型の1つによる持続感染は、前がん状態またはがんに進行し得る。他のHPV関連疾患としては、尋常性疣贅、足底疣贅、扁平疣贅、肛門性器疣贅、肛門病変、表皮異形成、局所性上皮肥厚、口腔乳頭腫、疣贅嚢胞(verrucous cyst)、喉頭乳頭腫症、扁平上皮内病変(SIL)、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)、外陰部上皮内腫瘍(VIN)および膣上皮内腫瘍(VAIN)を挙げることができる。
【0005】
公知のヒトパピローマウイルス(HPV)型の多くは、腫瘍形成性であるサブセットによる良性病変を引き起こす。疫学的および系統発生学的な関係に基づいて、HPV型は、15種の「高リスク型」(HPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、73、および82)および3種の「おそらく高リスク型」(HPV26、53、および66)に分類され、これらは、一緒に、低および高悪性度の子宮頸部の変化およびがん、ならびに外陰、膣、陰茎、肛門がんおよび肛門周囲がんなどの他の肛門性器がん、ならびに頭頸部がんとして現れることが公知である。最近、高リスク型のHPV16および18と乳がんとの関連も記載されている。「低リスク型」として分類される11種のHPV型(HPV6、11、40、42、43、44、54、61、70、72および81)は、良性の低悪性度の子宮頸部の変化、性器疣贅および再発性呼吸器乳頭腫症として現れることが公知である。皮膚のHPV型5、8および92は、皮膚がんと関連する。一部のHPV関連がんでは、免疫系は抑制され、それに応じて、抗腫瘍応答は有意に損なわれる。Suresh and Burtness Am J Hematol Oncol 13(6):20-27 (2017)を参照されたい。
【0006】
免疫療法は、概ね、受動的または能動的のいずれかの、2つの主な種類の介入に分けることができる。受動的プロトコールは、事前に活性化されたおよび/もしくは操作された細胞(例えば、CAR T細胞)、疾患特異的治療用抗体、ならびに/またはサイトカインの投与を含む。能動免疫療法の戦略は、in vivoで免疫系エフェクター機能を刺激することを対象とする。いくつかの現在の能動的プロトコールは、疾患関連ペプチド、溶解物、または同種異系細胞全体によるワクチン接種戦略、腫瘍抗原送達のためのビヒクルとしての自家樹状細胞(DC)の注入、および免疫チェックポイントモジュレーターの注入を含む。Papaioannou, Nikos E., et al. Annals of translational medicine 4.14 (2016)を参照されたい。養子免疫療法は、免疫応答をモジュレートするため、抗腫瘍活性を増強するため、およびHPV関連がんを処置または予防する目標を達成するために用いられ得る。
疾患関連抗原によって刺激されたCD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)およびCD4+ヘルパーT(Th)細胞は、罹患細胞を標的にし、破壊する潜在力を有するが、内因性T細胞応答を誘導するための現在の方法は、課題に直面している。本明細書に記載の方法を使用して、ハイスループット方法におけるHPV抗原および/もしくはアジュバントを含む無核細胞または無核細胞由来実体であり得、HPV抗原に対するロバストなT細胞応答を誘導するのに利用され得る、AACが効率的に作出される。本明細書に記載の方法は、HPV抗原およびアジュバントを含むAACを使用するHPV関連がんを有する個体を処置するための、方法、処置、用量ならびにレジメンも記載する。
特許出願および刊行物を含む、本明細書において引用されるすべての参照文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。特許公開WO2013/059343、WO2015/023982、WO2016/070136、WO2017041050、WO2017008063、WO2017/192785、WO2017/192786、WO2019/178005、WO2019/178006、WO2020/072833、WO2020/154696、およびWO2020/176789、US20180142198、およびUS20180201889は、それらの全体が参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2013/059343号
【特許文献2】国際公開第2015/023982号
【特許文献3】国際公開第2016/070136号
【特許文献4】国際公開第2017/041050号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Suresh and Burtness Am J Hematol Oncol 13(6):20-27 (2017)を参照されたい。
【非特許文献2】Papaioannou, Nikos E., et al. Annals of translational medicine 4.14 (2016)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の簡単な概要
一部の態様では、本発明は、個体におけるヒトパピローマウイルス(HPV)関連がんを処置するための方法であって、有効量の活性化抗原担体(AAC)を含む組成物を個体に投与するステップであって、有効量は、約0.1×108AAC/kg~約1×109AAC/kgであり、AACは、細胞内に送達される少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップを含む、方法を提供する。一部の態様では、本発明は、個体におけるヒトパピローマウイルス(HPV)関連がんを処置するための方法であって、有効量の活性化抗原担体(AAC)を含む組成物を個体に投与するステップであって、AACは、細胞内に送達される少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップ、ならびに有効量のCTLA-4のアンタゴニストおよび/またはPD-1/PD-L1のアンタゴニストを個体に投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、CTLA4のアンタゴニストが、CTLA4に結合する抗体である。一部の実施形態では、PD-1/PD-L1のアンタゴニストが、PD-1に結合する抗体またはPD-L1に結合する抗体である。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体およびPD-1に結合する抗体が、個体に投与される。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体が、イピリムマブである。一部の実施形態では、PD-1に結合する抗体が、ニボルマブである。一部の実施形態では、PD-1に結合する抗体が、ペムブロリズマブである。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体が、個体に投与され、PD-L1に結合する抗体が、個体に投与される。一部の実施形態では、PD-L1に結合する抗体が、アテゾリズマブである。
【0010】
本発明の一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原が、HPV-16抗原またはHPV-18抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原が、HPV E6および/またはE7に由来するペプチドを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原が、HPV E6および/またはE7に由来するHLA-A2拘束性ペプチドを含む。一部の実施形態では、HLA-A2拘束性ペプチドが、配列番号1~4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原が、配列番号18~25のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、AACが、配列番号19のアミノ酸配列を含む抗原および配列番号23のアミノ酸配列を含む抗原を含む。
【0011】
一部の実施形態では、アジュバントが、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)、LPS、IFN-α、STINGアゴニスト、RIG-Iアゴニスト、ポリI:C、R837、R848、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、またはTLR9アゴニストである。一部の実施形態では、アジュバントが、CpG 7909オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)である。
【0012】
一部の実施形態では、個体が、ヒトである。一部の実施形態では、個体が、HLA-A*02について陽性である。一部の実施形態では、AACが、個体に対して自家または同種異系である。一部の実施形態では、HPV関連がんが、現在局所進行性または転移性がんである。一部の実施形態では、HPV関連がんが、頭頸部がん、子宮頸がん、肛門がんまたは食道がんである。一部の実施形態では、AACを含む組成物が、静脈内に投与される。一部の実施形態では、CTLA-4のアンタゴニストおよび/またはPD-1/PD-L1のアンタゴニストが、静脈内、経口、または皮下に投与される。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体および/またはPD-1に結合する抗体および/またはPD-L1に結合する抗体が、静脈内に投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACの有効量が、約0.5×108AAC/kg~約1×109AAC/kgである。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACの有効量が、約0.5×108AAC/kg~約1×109AAC/kgである。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACの有効量が、約0.5×108AAC/kg、約2.5×108AAC/kg、約5×108AAC/kg、または約7.5×108AAC/kgである。
【0013】
一部の実施形態では、イピリムマブの有効量が、約1mg/kg~約3mg/kgである。一部の実施形態では、ニボルマブの有効量が、約360mgである。一部の実施形態では、アテゾリズマブの有効量が、約1200mgである。
【0014】
一部の実施形態では、AACを含む組成物が、3週間サイクルの1日目に送達される。一部の実施形態では、AACを含む組成物が、最初の3週間サイクルの2日目にさらに投与される。一部の実施形態では、約0.5×108個細胞/kg~約1×109個細胞/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、約0.5×108個細胞/kg、約2.5×108個細胞/kg、約5.0×108個細胞/kg、または約7.5×108個細胞/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、約0.5×108個細胞/kg~約1×109個細胞/kgが、それぞれの3週間サイクルの2日目に投与される。一部の実施形態では、約0.5×108個細胞/kg、約2.5×108個細胞/kg、約5.0×108個細胞/kg、または約7.5×108個細胞/kgが、最初の3週間サイクルの2日目に投与される。
【0015】
一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体および/またはPD-1に結合する抗体および/またはPD-L1に結合する抗体が、3週間サイクルあたり1回に投与される。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体が、2回の3週間サイクルあたり1回投与される。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体が、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体が、イピリムマブであり、イピリムマブが、約3mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1に結合する抗体が、最初の3週間サイクルの8日目およびそれぞれのその後のサイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、PD-1に結合する抗体が、ニボルマブであり、ニボルマブが、約360mgの用量で投与される。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体が、イピリムマブであり、イピリムマブが、約1mg/kgの用量で、2回の3週間サイクルの最初の3週間サイクルの1日目に投与され、PD-1に結合する抗体が、約360mgの用量で、最初の3週間サイクルの8日目およびそれぞれのその後のサイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、PD-L1に結合する抗体が、最初の3週間サイクルの8日目およびそれぞれのその後のサイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、PD-L1に結合する抗体が、約1200mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PBMCを含む組成物が、少なくとも約3か月間、6か月間、9か月間または1年間、個体に投与される。
【0016】
一部の実施形態では、AACを含む組成物が、凍結保存媒体中に約1×109AAC~約1×1010AACを含む。一部の実施形態では、AACを含む組成物が、約10mLの凍結保存媒体中に約7×109PBMCを含む。一部の実施形態では、凍結保存媒体が、Cryostor(登録商標)CS2である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACが、a)インプット無核物の集団を含む細胞懸濁液を、細胞変形狭窄を通過させるステップであって、狭窄の直径は、懸濁液中のインプット無核細胞の直径の関数であり、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントが通過するのに十分に大きなインプット無核細胞の摂動を引き起こして摂動インプット無核細胞を形成するステップ;ならびにb)抗原が摂動インプット無核細胞に入るのを可能にするのに十分な時間、摂動インプット無核細胞の集団を少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントとともにインキュベートし、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを作出するステップを含むプロセスによって調製される。一部の実施形態では、狭窄の直径が、約1.6μm~約2.4μmまたは約1.8μm~約2.2μmである。一部の実施形態では、インプット無核細胞が、赤血球細胞である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原が、HPV E6に由来するペプチドおよびHPV E7に由来するペプチドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、コホート1のための処置レジメンを示す。
【0018】
【
図2】
図2は、コホート2aのための処置レジメンを示す。
【0019】
【
図3】
図3は、コホート2bのための処置レジメンを示す。
【0020】
【
図4】
図4は、コホート2cのための処置レジメンを示す。
【0021】
【
図5】
図5Aおよび5Bは、FACSを使用するアネキシンV+事象の数によって測定される、HPV抗原を含むAAC対処理されていない赤血球細胞の表面ホスファチジルセリンレベルを示す。細胞を、PBS(
図5A)またはRPMI(
図5B)中で処理した。
【0022】
【
図6】
図6は、FAM+事象のパーセンテージを示す(シングレットに対してゲート)。AAC-HPVおよび処理されていないRBCを、陰性対照として使用する。群ごとに示されるそれぞれの点は、丸によって表される別々の実験において分析された個々のドナーについてのデータに由来する。第3の実験について示される値(それぞれの条件について右の丸)は、反復試料からのデータの平均である。
【0023】
【
図7】
図7は、アネキシンV+事象のパーセンテージを示す(シングレットに対してゲート)。処理されていないRBCを、陰性対照として使用する。群ごとに示されるそれぞれの点は、丸によって表される別々の実験において分析された個々のドナーについてのデータに由来する。第3の実験について示される値(それぞれの条件について右の丸)は、反復試料からのデータの平均である。
【0024】
【
図8】
図8は、示される3人の別々のドナー由来のAAC-HPV(F-E6、E7)の代表画像を示す(FAMは緑色で示され、PBは青色で示される)。AAC-HPV(F-E6、E7)の長さにわたって描かれた線と一緒に(最小および最大シグナルに対して)正規化されたFAM(緑色)およびPB(青色)蛍光強度を表すグラフは、それぞれの画像の下に示す。
【0025】
【
図9】
図9は、示される3人の別々のドナー由来のAAC-HPV(F-E6、E7)の代表画像を示す(FAMは緑色で示され、PBは青色で示される)。AAC-HPV(F-E6、E7)の長さにわたって描かれた線と一緒に(最小および最大シグナルに対して)正規化されたFAM(緑色)およびPB(青色)蛍光強度を表すグラフは、それぞれの画像の下に示す。
【0026】
【
図10】
図10は、示される3人の別々のRBCドナー由来の、FAM蛍光についての陰性対照として使用されるAAC-HPVの代表画像を示す(FAMは緑色で示され、PBは青色で示される)。AAC-HPVの長さにわたって描かれた線と一緒に正規化されたFAM(緑色)およびPB(青色)蛍光強度を表すグラフは、それぞれの画像の下に示す。Aにおける表示セッティングは、
図8におけるAAC-HPV(F-E6、E7)のために使用された表示セッティングに対応する。Bにおける表示セッティングは、
図9におけるAAC-HPV(E6、F-E7)のために使用された表示セッティングに対応する。
【0027】
【
図11】
図11は、37℃(赤色)および4℃(青色)でインキュベートされたCD11c+MODC/PKH26標識AAC-HPV共培養物ならびに37℃(緑色)でインキュベートされたMODC/AAC-HPV共培養物において測定された、PKH26蛍光(生物学的反復の平均±平均の標準偏差)を示す。表示目的のために、(PKH26標識)AAC-HPVなしの条件を、x軸に0.2でプロットした。それぞれのグラフは、独立した実験を表す。それぞれの実験は、別個のヒト血液およびMODCドナーを用いて行った。
【0028】
【
図12】
図12は、対照媒体のみとの比較において、C媒体またはAAC-HPVとの37℃での共培養の46時間後のMODCにおけるCD80、CD83、CD86、およびMHC-IIの表面レベルの幾何平均蛍光強度(MFI)の倍数変化を示す要約データを提示する。個々のMODCドナーからのデータを、異なる丸として示す。
*=P<0.05;
**=P<0.01。
【0029】
【
図13】
図13は、MODCおよび媒体対照、SQZ-AAC-HPV、またはE7 SLPなしとの共培養の約24時間後のE7特異的CD8+ T細胞から分泌されたIFNγ値を表すグラフを示す。それぞれのグラフは、SQZ-AAC-HPVの別個のバッチとの共培養に対応する。MODCおよびCD8+ T細胞共培養物を、媒体対照、SQZ-AAC-HPV、またはE7ペプチドなしとともにインキュベートした。それぞれの個々のデータポイント(完全な丸)は、共培養試料の個々のウェルに対応する。FP数は、バッチ数を表す。
【0030】
【
図14】
図14は、2つの独立した実験からの、M-AAC-HPVまたはM-C媒体の投与の14~16時間後のCD11c
hiMHC-II
hiCD8
+細胞(CD8
+ DC)、CD11c
hiMHC-II
hiCD11b
+細胞(CD11b
+ DC)およびF4/80
+CD11b
lo/-細胞(RPM)のCD86幾何MFIの要約データを示す。それぞれのグラフは、別々の実験を表す。M-AAC-HPVを受けたマウスは、M-C媒体を受けたマウスとの比較において、より高いCD86幾何MFIを有していた。
*=P<0.05。
【0031】
【
図15】
図15は、2つの独立した実験からの、M-AAC-HPVまたはM-C媒体の投与の14~16時間後のCD11c
hiMHC-II
hiCD8
+細胞(CD8
+ DC)、CD11c
hiMHC-II
hiCD11b
+細胞(CD11b
+ DC)およびF4/80
+CD11b
lo/-(RPM)のCD83幾何MFIの要約データを示す。CD11c
hiMHC-II
hiCD8
+細胞(CD8
+ DC)およびCD11c
hiMHC-II
hiCD11b
+細胞(CD11b
+ DC)は、M-C媒体を受けたマウスと比較して、M-AAC-HPVを受けたマウスにおいてより高いCD83幾何MFIを有していた。留意すべきことには、1実験におけるCD11c
hiMHC-II
hiCD11b
+細胞(CD11b
+ DC)のCD83幾何MFIは、負のデータ値を有し、したがって、グラフに表していない。Bagwell BS and Park DR, et alによって述べられたように、多重パラメーターフローサイトメトリーデータを適切に解釈するために必要なスペクトルのクロスオーバー比較は、減算プロセスである。結果として、蛍光補償後の、本質的に染色されないか、または特定の色素に対して陰性である細胞集団についてのデータ値は、程度の差はあるが、通常は低い値の周囲に分布するはずである。したがって、一般に(および適切に)コンピューター補償から得られるデータセットは、分布がゼロを下回って広がる集団を含む。
*=P<0.05。
【0032】
【
図16】
図16は、2つの独立した実験からの、M-AAC-HPVまたはM-C媒体の投与の14~16時間後のCD11c
hiMHC-II
hiCD8
+細胞(CD8
+ DC)、CD11c
hiMHC-II
hiCD11b
+細胞(CD11b
+ DC)およびF4/80
+CD11b
lo/-細胞(RPM)のCD40幾何MFIの要約データを示す。それぞれのグラフは、別々の実験を表す。CD11c
hiMHC-II
hiCD8
+細胞(CD8
+ DC)およびCD11c
hiMHC-II
hiCD11b
+細胞(CD11b
+ DC)は、M-C媒体を受けたマウスと比較して、M-AAC-HPVを受けたマウスにおいてより高いCD40幾何MFIを有していた。
*=P<0.05。
【0033】
【
図17】
図17は、2つの独立した実験からの、M-AAC-HPVまたはM-C媒体の投与の14~16時間後のCD11c
hiMHC-II
hiCD8
+細胞(CD8
+ DC)、CD11c
hiMHC-II
hiCD11b
+細胞(CD11b
+ DC)およびF4/80
+CD11b
lo/-細胞(RPM)のCD80幾何MFIの要約データを示す。それぞれのグラフは、別々の実験を表す。CD11c
hiMHC-II
hiCD8
+細胞(CD8
+ DC)およびCD11c
hiMHC-II
hiCD11b
+細胞(CD11b
+ DC)は、M-C媒体を受けたマウスと比較して、M-AAC-HPVを受けたマウスにおいてより高いCD80幾何MFIを有していた。
*=P<0.05。
【0034】
【
図18】
図18は、2つの独立した実験からの、M-AAC-HPVまたはM-C媒体の投与の14~16時間後のCD11c
hiMHC-II
hiCD8
+細胞(CD8
+ DC)、CD11c
hiMHC-II
hiCD11b
+細胞(CD11b
+ DC)およびF4/80
+CD11b
lo/-細胞(RPM)のMHC-II幾何MFIの要約データを示す。それぞれのグラフは、別々の実験を表す。CD11c
hiMHC-II
hiCD8
+細胞(CD8
+ DC)およびF4/80
+CD11b
lo/-細胞(RPM)は、M-C媒体を受けたマウスと比較して、M-AAC-HPVを受けたマウスにおいてより高いMHC-II幾何MFIを有していた。NAは「該当なし」を表す。
*=P<0.05。
【0035】
【
図19】
図19は、E7特異的CD8
+ T細胞応答のプライミングにおける抗原(E7 SLP)およびアジュバント(ポリI:C)についての要件を示す。IFNγ
+ CD8
+ T細胞のパーセンテージを示す。
****=P<0.0001。
【0036】
【
図20】
図20は、E7特異的CD8
+ T細胞応答の大きさに対するm-AAC-HPV用量の効果を示す。IFNγ
+ CD44
+ CD8
+ T細胞のパーセントを示す。B=10
9;M=10
6。n.s.=統計学的に有意ではない(P≧0.05);
*=P<0.05;
***=P<0.001;
****=P<0.0001。
【0037】
【
図21】
図21は、それぞれの群について全血において測定されたE7-四量体
+活性化(CD44
hi)CD8
+ T細胞のパーセンテージを示す。データは以下について表す:PBS(0日目)~最終用量の8日後(研究8日目);プライム単独(0日目)~最終用量の8日後(研究8日目)、ブースト(2日目)~最終用量の8日後(研究10日目);ブースト(6日目)~最終用量の7日後(研究13日目)。
**=P<0.01;
***=P<0.001。
【0038】
【
図22】
図22は、それぞれの群について全血において測定されたE7-四量体
+活性化(CD44
hi)CD8
+ T細胞のパーセンテージを示す。データは以下について表す:PBS(0日目)~最終用量の13日後(研究13日目);プライム単独(0日目)~最終用量の13日後(研究13日目)、ブースト(2日目)~最終用量の13日後(研究15日目);ブースト(6日目)~最終用量の14日後(研究21日目)。
**=P<0.01;
****=P<0.0001。
【0039】
【
図23】
図23は、それぞれの群について全血において測定されたE7-四量体
+活性化(CD44
hi)CD8
+ T細胞のパーセンテージを示す。データは以下について表す:PBS(0日目)~最終用量の21日後(研究21日目);プライム単独(0日目)~最終用量の21日後(研究21日目)、ブースト(2日目)~最終用量の21日後(研究23日目);。
**=P<0.01。
【0040】
【
図24】
図24Aおよび24Bは、2つの実験における経時的なそれぞれの実験群について示される腫瘍体積(平均±平均の標準誤差)の要約データを示す。線は、その群について生存期間中央値が到達した時に終了する。「M」は100万を表し;「B」は10億を表す。
【0041】
【
図25】
図25は、2つの異なる実験群についての生存データを示す。括弧内の数字は、生存期間中央値(日)を示す。
【0042】
【
図26】
図26は、経時的なそれぞれの実験群についての腫瘍体積(平均±平均の標準誤差)の要約データを示す。線は、その群について生存期間中央値に到達した時に終了する。「B」は10億を表し、「M」は100万を表す。n=10マウス/群。
【0043】
【
図27】
図27は、実験群についての生存データを示す。括弧内の数字は、生存期間中央値を示す。
【0044】
【
図28】
図28は、(A~B)実験1および(C~D)実験2における経時的なそれぞれの実験群についての腫瘍体積(平均±平均の標準誤差)の要約データを示す。線は、その群について生存期間中央値に到達した時に終了する。「M」は100万を表す。n=10マウス/群。
【0045】
【
図29】
図29は、2つの実験群についての生存データを示す。括弧内の数字は、生存期間中央値(日)を示す。「M」は100万を表す。n=10マウス/群。
【0046】
【
図30】
図30A~30Fは、生細胞集団のパーセンテージとして示されるCD8+ T細胞のパーセンテージを示す。(
図30B、
図30E)。E7特異的(四量体
+)細胞のパーセンテージを、生細胞集団のパーセンテージとして、および(
図30C、
図30F)CD8+ T細胞集団のパーセンテージとして示す。(
図30A~30C)実験1および(
図30D~30F)実験2からのデータを示す。PBS処置群と比較したM-AAC-HPV処置群の統計学的有意性を示す(
*p<0.05、
***p<0.001、
****p<0.0001)。
【0047】
【
図31】
図31A~31Dは、100mgの腫瘍に対して正規化された、それぞれ、CD8
+ T細胞およびE7特異的(四量体
+)CD8
+ T細胞の数を表すグラフを示す。PBS処置群と比較したM-AAC-HPV処置群の統計学的有意性を示す(
**p<0.01、
***p<0.001)。
【0048】
【
図32】
図32は、経時的なそれぞれの実験群に含まれるマウスについての平均腫瘍体積の要約データを示す。M-AAC-HPVによる免疫を、14日目(実験1)または13日目(実験2)において行い、点線として示した。データ(平均±平均の標準誤差)を、腫瘍が収集された時(実験2について26日目、実験2について25日目)まで示す。免疫後12日目の時点(腫瘍移植の25日または26日後)が、十分な腫瘍材料を確実にするために選択され、処置群における処理および分析に利用可能であることに留意すべきである。
【0049】
【
図33】
図33は、ルミネックス分析によって測定されるm-AAC-HPVの反復静脈内投与後のマウスにおけるin vivo血清サイトカイン/ケモカイン分析についての研究設計を示す。
【0050】
【
図34】
図34は、全血におけるPKH26標識細胞のパーセントを示す。
*=P<0.05(P値を、M-AAC-HPVにおける示された時点でのPKH26標識細胞のパーセンテージをPBS対照における対応する時点と比較することによって算出した)。
【発明を実施するための形態】
【0051】
発明の詳細な説明
一部の態様では、本発明は、個体におけるヒトパピローマウイルス(HPV)関連がんを処置するための方法であって、有効量の活性化抗原担体(AAC)を含む組成物を個体に投与するステップであって、AACは、細胞内に送達されたHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップを含む、方法を提供する。
【0052】
一部の態様では、本発明は、個体におけるHPV関連がんを処置するための方法であって、有効量のAACを含む組成物を個体に投与するステップであって、AACは、細胞内に送達されたHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップ、ならびに有効量の1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤を投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4のアンタゴニスト(限定されるものではないが、イピリムマブなど)、PD-1のアンタゴニスト(限定されるものではないが、ニボルマブなど)、および/または、PD-L1のアンタゴニスト(限定されるものではないが、アテゾリズマブなど)を含む。
【0053】
一部の態様では、本発明は、個体におけるHPV関連がんを処置するための方法であって、有効量のAACを含む組成物を個体に投与するステップであって、AACは、細胞内に送達されたHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップ、ならびに有効量のイピリムマブ、ニボルマブ、またはアテゾリズマブのうちの1つまたは複数を投与するステップであって、AACは、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むステップを含み、ならびに/あるいは1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤は、3週間サイクルで投与され、AACの有効量は、約0.5×108AAC/kg~約1×109AAC/kgであり、イピリムマブの有効量は、約1mg/kg~約3mg/kgであり、ニボルマブの有効量は、約360mg/kgであり、アテゾリズマブの有効量は、約1200mgである、方法を提供する。
【0054】
少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物および少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを調製する方法も提供される。一部の実施形態では、AACは、a)インプット無核物の集団を含む細胞懸濁液を、細胞変形狭窄を通過させるステップであって、狭窄の直径は、懸濁液中のインプット無核細胞の直径の関数であり、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントが通過するのに十分に大きなインプット無核細胞の摂動を引き起こして摂動インプット無核細胞を形成するステップ;ならびにb)抗原およびアジュバントが摂動インプット無核細胞に入るのを可能にするのに十分な時間、摂動インプット無核細胞の集団を少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントとともにインキュベートし、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを作出するステップを含むプロセスによって調製される。HPV抗原に対する免疫応答の誘導における使用のための、またはHPV関連がんを処置するための、組成物も提供される。HPV抗原に対する免疫応答を刺激するためのまたはHPV関連がんを処置するための医薬の製造における、有効量のAACを含む組成物の使用も提供される。
【0055】
一般技法
本明細書に記載または参照される技法および手順は、一般に、十分に理解されており、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Sambrook et al., 4th ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 2012);Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel, et al. eds., 2003);the series Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.);PCR 2: A Practical Approach (M.J. MacPherson, B.D. Hames and G.R. Taylor eds., 1995);Antibodies, A Laboratory Manual (Harlow and Lane, eds., 1988);Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique and Specialized Applications (R.I. Freshney, 6th ed., J. Wiley and Sons, 2010);Oligonucleotide Synthesis (M.J. Gait, ed., 1984);Methods in Molecular Biology, Humana Press; Cell Biology: A Laboratory Notebook (J.E. Cellis, ed., Academic Press, 1998);Introduction to Cell and Tissue Culture (J.P. Mather and P.E. Roberts, Plenum Press, 1998);Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures (A. Doyle, J.B. Griffiths, and D.G. Newell, eds., J. Wiley and Sons, 1993-8);Handbook of Experimental Immunology (D.M. Weir and C.C. Blackwell, eds., 1996);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J.M. Miller and M.P. Calos, eds., 1987);PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis et al., eds., 1994);Current Protocols in Immunology (J.E. Coligan et al., eds., 1991);Short Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds., J. Wiley and Sons, 2002);Immunobiology (C.A. Janeway et al., 2004);Antibodies (P. Finch, 1997);Antibodies: A Practical Approach (D. Catty., ed., IRL Press, 1988-1989);Monoclonal Antibodies: A Practical Approach (P. Shepherd and C. Dean, eds., Oxford University Press, 2000);Using Antibodies: A Laboratory Manual (E. Harlow and D. Lane, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999);The Antibodies (M. Zanetti and J. D. Capra, eds., Harwood Academic Publishers, 1995);およびCancer: Principles and Practice of Oncology (V.T. DeVita et al., eds., J.B. Lippincott Company, 2011)に記載されている広く利用されている方法論などの、従来の方法論を使用して、当業者によって一般的に用いられている。
【0056】
定義
本明細書を解釈する目的のために、以下の定義が適用され、適切である場合は常に、単数で使用されている用語は、複数も含み、逆もまた同様である。下記に説明する任意の定義が、参照により本明細書に組み込まれる任意の文書と矛盾する場合、説明する定義が優先されるものとする。
【0057】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、他に指示されない限り、複数の参照を含む。
【0058】
「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」および「含む(including)」という用語と他の類似の形態、ならびにそれらの文法的等価物は、本明細書で使用される場合、意味が等価であることが意図され、これらの語のいずれか1つに続く1つまたは複数の項目が、そのような1つまたは複数の項目の包括的なリストであることを意味しないか、あるいはリストされた1つまたは複数の項目のみに限定されないことを意味するという点で、オープンエンドであることが意図される。例えば、構成要素A、B、およびCを「含む」物品は、構成要素A、B、およびCからなってもよいし(すなわち、それらのみを含有してもよい)、構成要素A、B、およびCだけでなく、1つまたは複数の他の構成要素を含有してもよい。そのため、「含む(comprises)」およびその類似の形態、ならびにその文法的等価物は、「から本質的になる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting)」の実施形態の開示を含むことが意図され、理解される。
【0059】
値の範囲が提供される場合、文脈が他を明確に示さない限り、その範囲の上限と下限の間の、下限の単位の10分の1までの各介在する値、およびその述べられた範囲における任意の他の述べられたまたは介在する値が、本開示内に包含され、述べられた範囲において任意の具体的に除外される限界が課せられることが理解される。述べられた範囲が一方または両方の限界を含む場合、これらの含まれる限界のいずれかまたは両方を排除する範囲がまた本開示に含まれる。
【0060】
本明細書で使用される「約」という用語は、本技術分野における当業者に容易に公知である、それぞれの値についての通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」の値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーターそれ自体を対象にする実施形態を含む(および記載する)。例えば、「約X」を指す記載は、「X」の記載を含む。
【0061】
本明細書で使用される場合、「無核細胞」は、核を欠いている細胞を指す。そのような細胞としては、限定されるものではないが、血小板、赤血球細胞(RBC)、例えば、赤血球および網状赤血球が挙げられる。網状赤血球は、典型的には人体の赤血球細胞の約1%を構成する、未成熟(例えば、未だ両凹でない)赤血球細胞である。網状赤血球も、無核である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、濃縮された(例えば、天然に見出されるものよりも高い総細胞集団のパーセンテージを構成する)、無核細胞(例えば、RBC、網状赤血球、および/または血小板)の精製または単離された(例えば、それらの天然の環境から、実質的に純粋なまたは均一な形態)集団の処置および/または処理に使用される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、RBC(例えば、赤血球または網状赤血球)、血小板および他の血液細胞を含有する全血の処置および/または処理のために使用される。これらの細胞型の精製または濃縮は、密度勾配システム(例えば、Ficoll-Hypaque)、蛍光標識細胞分取(FACS)、磁気細胞選別、または赤芽球および赤血球前駆細胞のin vitro分化などの公知方法を使用して達成される。
【0062】
「ベシクル」という用語は、本明細書で使用される場合、脂質二重層によって封入された液体を含む構造を指す。一部の例では、脂質二重層は、天然に存在する脂質組成物から供給される。一部の例では、脂質二重層は、細胞膜から供給され得る。一部の例では、ベシクルは、細胞などのさまざまな種類の実体に由来し得る。そのような例では、ベシクルは、起源である実体由来の分子(細胞内タンパク質または膜構成要素など)を保持することができる。例えば、赤血球細胞に由来するベシクルは、赤血球細胞および/または赤血球細胞の膜構成要素中に存在した任意の数の細胞内タンパク質を含有していてもよい。一部の例では、ベシクルは、所望のペイロードに加えて、細胞内に任意の数の分子を含有することができる。
【0063】
本明細書で使用される場合、「ペイロード」は、AAC(例えば、AAC)にロードされているなどの送達される材料を指す。「ペイロード」、「カーゴ」、「送達材料」、および「化合物」は、本明細書で互換的に使用される。一部の実施形態では、ペイロードは、タンパク質、小分子、核酸(例えば、RNAおよび/またはDNA)、脂質、炭水化物、巨大分子、ビタミン、ポリマー、蛍光色素およびフルオロフォア、カーボンナノチューブ、量子ドット、ナノ粒子、ならびにステロイドを指し得る。一部の実施形態では、ペイロードは、タンパク質または小分子薬物を指し得る。一部の実施形態では、ペイロードは、1つまたは複数の化合物を含み得る。
【0064】
コード配列および制御配列などの核酸配列に関連する場合の「異種」という用語は、通常、互いに接合されない、および/または通常、特定の細胞と関連しない配列を表す。そのため、核酸構築物またはベクターの「異種」領域は、本来は、他の分子との関連で見出されない別の核酸分子内の、またはそれらに結合した核酸のセグメントである。例えば、核酸構築物の異種領域は、本来は、コード配列との関連で見出されない配列に隣接するコード配列を含み得る。異種コード配列の別の例は、コード配列それ自体が、本来は見出されない構築物(例えば、生来の遺伝子(native gene)と異なるコドンを有する合成配列)である。同様に、細胞に通常存在しない構築物で形質転換された細胞は、本発明の目的のために、異種とみなされるはずである。対立遺伝子変形形態または天然に存在する変異事象は、本明細書で使用される場合、異種DNAを生じさせない。
【0065】
ペプチド配列およびポリペプチド配列などのアミノ酸配列に関連する場合の「異種」という用語は、通常、互いに接合されない、および/または通常、特定の細胞と関連しない配列を表す。そのため、ペプチド配列の「異種」領域は、本来は、他の分子との関連で見出されない別のアミノ酸分子内の、またはそれらに結合したアミノ酸のセグメントである。例えば、ペプチド構築物の異種領域は、本来は、ペプチドのアミノ酸配列との関連で見出されない配列に隣接するペプチドのアミノ酸配列を含み得る。異種ペプチド配列の別の例は、ペプチド配列それ自体が、本来は見出されない構築物(例えば、生来の遺伝子からコードされる異なるアミノ酸を有する合成配列)である。同様に、細胞に通常存在しないアミノ酸構築物を発現するベクターで形質転換された細胞は、本発明の目的のために、異種とみなされるはずである。対立遺伝子変形形態または天然に存在する変異事象は、本明細書で使用される場合、異種ペプチドを生じさせない。
【0066】
「外因性」という用語は、細胞または細胞由来ベシクルに関して、抗原またはアジュバントなどの作用物質への言及において使用される場合、細胞の外側の作用物質、または細胞の外側から細胞に送達される作用物質を指す。細胞は、すでに存在するその作用物質を有してもよいし、有さなくてもよく、外因性作用物質が送達された後にその作用物質を産生してもよいし、産生しなくてもよい。
【0067】
本明細書で使用される「同種」という用語は、同じ生物体に由来する分子を指す。一部の例では、用語は、所与の生物体内で通常見出されるか、または発現する、核酸またはタンパク質を指す。
【0068】
本明細書で使用される場合、「処置」または「処置する」は、臨床結果を含む有益な結果または所望の結果を得るためのアプローチである。本発明の目的のために、有益な臨床結果または所望の臨床結果としては、限定されるものではないが、以下の1つまたは複数が挙げられる:疾患から生じる1つまたは複数の症状を軽減すること、疾患の程度を減退させること、疾患を安定化すること(例えば、疾患の悪化を予防することまたは遅延させること)、疾患の伝播(例えば、転移)を予防することもしくは遅延させること、疾患の再発を予防することもしくは遅延させること、疾患の進行の遅延させることもしくは遅らせること、病状を回復させること、疾患の寛解(部分的または全部)を提供すること、疾患を処置するのに必要な1つもしくは複数の他の薬の用量を減少させること、疾患の進行を遅延させること、クオリティオブライフを増加させることもしくは改善すること、体重増加を増加させること、および/または生存を延長すること。「処置」には、がんの病理学的帰結(例えば、腫瘍体積など)の低減も包含される。本発明の方法は、処置のこれらの態様のいずれか1つまたは複数を企図する。
【0069】
本明細書で使用される場合、「予防的処置」という用語は、個体が、障害を有することが知られているか、または障害を有すると疑われるか、または障害を有するリスクがあるが、障害の症状を示していないか、または障害の最低限の症状を示している、処置を指す。予防的処置を受けている個体は、症状の開始前に処置され得る。一部の実施形態では、個体が、前がん病変、特に、HPV感染に関連する前がん病変を有する場合に、個体は、処置され得る。
【0070】
本明細書で使用される場合、「併用療法」とは、第1の作用物質が別の作用物質と併せて投与されることを意味する。「と併せて」は、別の処置モダリティに加えた1つの処置モダリティの投与、例えば、同じ個体への本明細書に記載のイムノコンジュゲートの投与に加えた本明細書に記載の有核細胞の組成物の投与を指す。そのため、「と併せて」は、個体への他の処置モダリティの送達の前、その間、またはその後の1つの処置モダリティの投与を指す。
【0071】
「同時投与」という用語は、本明細書で使用される場合、併用療法における第1の療法および第2の療法が、約15分以下、例えば、約10、5、または1分以下のいずれかの時間の隔たりで投与されることを意味する。第1および第2の療法が同時に投与される場合、第1および第2の療法は、同じ組成物(例えば、第1および第2の療法の両方を含む組成物)、または別々の組成物(例えば、第1の療法が1つの組成物に、および第2の療法が別の組成物に含有される)に含有されていてもよい。
【0072】
本明細書で使用される場合、「逐次投与」という用語は、併用療法における第1の療法および第2の療法が、約15分超、例えば、約20、30、40、50、60分超のいずれか、またはそれよりも長い時間の隔たりで投与されることを意味する。第1の療法または第2の療法のいずれが最初に投与されてもよい。第1および第2の療法は、別々の組成物に含有され、これは、同じまたは異なる包装またはキットに含有されていてもよい。
【0073】
本明細書で使用される場合、「並行投与」という用語は、併用療法における第1の療法の投与および第2の療法の投与が互いと重複することを意味する。
【0074】
がんの文脈では、「処置する」という用語は、がん細胞を死滅させること、がん細胞の成長を阻害すること、がん細胞の複製を阻害すること、全腫瘍量を低下させること、および疾患に関連する1つまたは複数の症状を回復させることのいずれかまたはすべてを含む。
【0075】
本明細書で使用される場合、「モジュレートする」という用語は、特定の標的の存在または活性を、変化させる、変える、変動させる、または他の方法で改変する作用を指し得る。例えば、免疫応答をモジュレートするとは、免疫応答を変化させること、変えること、変動させること、または他の方法で改変することをもたらす任意の作用を指し得る。一部の例では、「モジュレートする」は、特定の標的の存在または活性を増強することを指す。一部の例では、「モジュレートする」は、特定の標的の存在または活性を抑制することを指す。他の例では、核酸の発現をモジュレートすることとしては、限定されるものではないが、核酸の転写における変化、mRNAの存在量における変化(例えば、mRNA転写を増加させる)、mRNAの分解における対応する変化、mRNAの翻訳における変化などが挙げられ得る。
【0076】
本明細書で使用される場合、「阻害する」という用語は、特定の標的の存在または活性を、遮断する、低下させる、除去する、または他の方法で拮抗させる作用を指し得る。阻害は、部分的な阻害または完全な阻害を指し得る。例えば、免疫応答を阻害するとは、免疫応答の遮断、低下、除去、または任意の他の拮抗をもたらす任意の作用を指し得る。他の例では、核酸の発現の阻害としては、限定されるものではないが、核酸の転写の低下、mRNAの存在量の低下(例えば、mRNA転写をサイレンシングする)、mRNAの分解、mRNAの翻訳の阻害、遺伝子編集などが挙げられ得る。他の例では、タンパク質の発現の阻害としては、限定されるものではないが、タンパク質をコードする核酸の転写の低下、タンパク質をコードするmRNAの安定性の低下、タンパク質の翻訳の阻害、タンパク質の安定性の低下などが挙げられ得る。別の例では、阻害するとは、成長を遅らせるまたは停止する、例えば、腫瘍細胞の成長を妨害するまたは防止する作用を指し得る。
【0077】
本明細書で使用される場合、「抑制する」という用語は、特定の標的の存在または活性を、減少させる、低下させる、妨げる、制限する、軽減する、または他の方法で減退させる作用を指し得る。抑制は、部分的な抑制または完全な抑制を指し得る。例えば、免疫応答を抑制するとは、免疫応答を減少させること、低下させること、妨げること、制限すること、軽減すること、または他の方法で減退させることをもたらす任意の作用を指し得る。他の例では、核酸の発現の抑制としては、限定されるものではないが、核酸の転写の低下、mRNAの存在量の低下(例えば、mRNA転写をサイレンシングする)、mRNAの分解、mRNAの翻訳の阻害などが挙げられ得る。他の例では、タンパク質の発現の抑制としては、限定されるものではないが、タンパク質をコードする核酸の転写の低下、タンパク質をコードするmRNAの安定性の低下、タンパク質の翻訳の阻害、タンパク質の安定性の低下などが挙げられ得る。
【0078】
本明細書で使用される場合、「増強する」という用語は、特定の標的の存在または活性を、改善する、ブーストする、高める、または他の方法で増加させる作用を指し得る。例えば、免疫応答を増強するとは、免疫応答を改善すること、ブーストすること、高めること、または他の方法で増加させることをもたらす任意の作用を指し得る。例示的な一例では、免疫応答を増強するとは、免疫応答を改善する、ブーストする、高める、もしくは他の方法で増加させるために、抗原および/またはアジュバントを用いることを指し得る。他の例では、核酸の発現を増強することとしては、限定されるものではないが、核酸の転写の増加、mRNAの存在量の増加(例えば、mRNA転写を増加させる)、mRNAの分解の減少、mRNAの翻訳の増加などが挙げられ得る。他の例では、タンパク質の発現を増強することとしては、限定されるものではないが、タンパク質をコードする核酸の転写の増加、タンパク質をコードするmRNAの安定性の増加、タンパク質の翻訳の増加、タンパク質の安定性の増加などが挙げられ得る。
【0079】
本明細書で使用される場合、「誘導する」という用語は、開始する、促す、刺激する、確立する、または他の方法で結果を生成する作用を指し得る。例えば、免疫応答を誘導するとは、所望の免疫応答を開始すること、促すこと、刺激すること、確立すること、または他の方法で生成することをもたらす任意の作用を指し得る。他の例では、核酸の発現を誘導することとしては、限定されるものではないが、核酸の転写の開始、mRNAの翻訳の開始などが挙げられ得る。他の例では、タンパク質の発現を誘導することとしては、限定されるものではないが、タンパク質をコードする核酸の転写の増加、タンパク質をコードするmRNAの安定性の増加、タンパク質の翻訳の増加、タンパク質の安定性の増加などが挙げられ得る。
【0080】
本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドを含む、任意の長さのポリマー形態のヌクレオチドを指す。そのため、この用語は、限定されるものではないが、一本鎖、二本鎖または多重鎖のDNAまたはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、あるいはプリンおよびピリミジン塩基、または他の天然の、化学的もしくは生化学的に修飾された、非天然もしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーを含む。ポリヌクレオチドの主鎖は、糖およびリン酸基(RNAまたはDNAにおいて典型的に見出され得る通り)、または修飾もしくは置換された糖もしくはリン酸基を含むことができる。ポリヌクレオチドの主鎖は、ペプチド結合によって連結された、N-(2-アミノエチル)-グリシンなどの繰り返し単位を含むことができる(すなわち、ペプチド核酸)。あるいは、ポリヌクレオチドの主鎖は、ホスホルアミデートおよびホスホロチオエートなどの合成サブユニットのポリマーを含むことができ、そのため、オリゴデオキシヌクレオシドホスホルアミデート(P-NH2)、または混合ホスホロチオエート-ホスホジエステルオリゴマーまたは混合ホスホルアミデート-ホスホジエステルオリゴマーであり得る。加えて、二本鎖ポリヌクレオチドは、相補鎖を合成すること、および適切な条件下で鎖をアニーリングすることによる、またはDNAポリメラーゼを適切なプライマーと共に使用して相補鎖をde novoで合成することによるいずれかで、化学合成の一本鎖ポリヌクレオチド生成物から得ることができる。
【0081】
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために互換可能に使用され、最小の長さに限定されない。アミノ酸残基のそのようなポリマーは、天然または非天然のアミノ酸残基を含有し得、限定されるものではないが、ペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸残基の二量体、三量体および多量体が挙げられる。全長タンパク質およびその断片は両方とも定義により包含される。用語は、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、シアリル化、アセチル化、リン酸化なども含む。さらにまた、本発明の目的のために、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を維持する限り、天然配列に対する欠失、付加および置換(一般に、本来は、保存的)などの修飾を含むタンパク質を指す。これらの修飾は、部位特異的変異誘発によるような計画的なものであってもよく、またはタンパク質を産生する宿主の変異もしくはPCR増幅に起因するエラーによるなど偶発的なものであってもよい。
【0082】
本明細書で使用される場合、「アジュバント」という用語は、免疫応答をモジュレートおよび/または発生させる物質を指す。一般に、アジュバントは、抗原と併せて投与されて、抗原単独と比較して抗原に対する免疫応答の増強をもたらす。さまざまなアジュバントが本明細書に記載される。
【0083】
「CpGオリゴデオキシヌクレオチド」および「CpG ODN」という用語は、本明細書において、ホスフェートによって分離されるシトシンおよびグアニンのジヌクレオチド(本明細書において「CpG」ジヌクレオチドまたは「CpG」とも称する)を含有する、10~30ヌクレオチド長のDNA分子を指す。本開示のCpG ODNは、少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含有する。すなわち、CpGジヌクレオチド中のシトシンは、メチル化されない(すなわち、5-メチルシトシンではない)。CpG ODNは、部分的または完全なホスホロチオエート(PS)主鎖を有していてもよい。
【0084】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」または「薬学的に適合する」は、生物学的、または別段望ましくないものではない材料を意味し、例えば、材料は、任意の有意な望ましくない生物学的効果を引き起こすまたはそれが含有される組成物の他の構成要素のいずれかと有害な形式で相互作用することなく、患者に投与される医薬組成物に組み込まれ得る。薬学的に許容される担体または賦形剤は、好ましくは、毒性学的および製造試験の必要な基準を満たしており、ならびに/または米国食品医薬品局によって作られた不活性成分ガイド(Inactive Ingredient Guide)に含まれる。
【0085】
本明細書に記載の任意の構造的および機能的特徴について、これらの特徴を決定する方法は、当技術分野において公知である。
【0086】
本明細書で使用される場合、「マイクロ流体システム」は、低体積(例えば、mL、nL、pL、fL)の流体が処理されて、少体積の流体の別個の処置を達成するシステムを指す。本明細書に記載のある特定のインプリメンテーションは、マルチプレックス化、自動化およびハイスループットスクリーニングを含む。流体(例えば、緩衝液、溶液、ペイロード含有溶液、または細胞懸濁液)は、移動、混合、分離、または他の方法で処理することができる。本明細書に記載のある特定の実施形態では、マイクロ流体システムは、機械的狭窄を、緩衝液に懸濁された細胞に適用し、ペイロードまたは化合物が細胞のサイトゾルに入るのを可能にする、細胞における撹乱(例えば、孔)を誘導するために使用される。
【0087】
本明細書で使用される場合、「狭窄」は、入口部分、中心点、および出口部分によって定義されるマイクロ流体チャネルの部分を指し得、ここで、中心点は、幅、長さ、および深さによって定義される。他の例では、狭窄は、ポアを指し得るか、またはポアの部分であり得る。ポアは、表面(例えば、フィルターおよび/または膜)に含有されていてもよい。
【0088】
本明細書に記載の任意の構造的および機能的特徴について、これらの特徴を決定する方法は、当技術分野において公知である。
処置の方法
【0089】
一部の態様では、個体におけるHPV関連疾患を処置する方法であって、有効量のAACを含む組成物を個体に投与するステップであって、AACは、細胞内に送達されたHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップを含む、方法が提供される。
【0090】
一部の態様では、個体におけるHPV関連疾患を処置する方法であって、有効量のAACを含む組成物を個体に投与するステップであって、有効量は、約0.5×107AAC/kg~約5×1010AAC/kgであり、AACは、細胞内に送達されたHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップを含む、方法が提供される。
【0091】
一部の実施形態では、HPV関連疾患は、HPV関連がんである。一部の実施形態では、HPV関連がんは、子宮頸がん、肛門周囲がん、肛門生殖器がん、口腔がん、唾液腺がん、中咽頭がん、膣がん、外陰がん、陰茎がん、皮膚がんまたは頭頸部がんである。一部の実施形態では、HPV関連疾患は、HPV関連感染性疾患である。
【0092】
一部の実施形態では、AACの有効量は、約0.5×106、1.0×106、0.5×107、1.0×107、0.5×108、1.0×108、0.5×109、1.0×109、0.5×1010、1.0×1010、0.5×1011、および1.0×1011AAC/kgのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、有効量は、約0.5×106~約1.0×106、約1.0×106~約0.5×107、約0.5×107~約1.0×107、約1.0×107~約0.5×108AAC、約0.5×108~約1.0×108、約1.0×108~約0.5×109AAC、約0.5×109~約1.0×109、約1.0×109~約0.5×1010AAC、約0.5×1010~約1.0×1010、約1.0×1010~約0.5×1011、または約0.5×1011~約1.0×1011AAC/kgのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、個体におけるHPV関連がんを処置する方法であって、有効量のAACを含む組成物を個体に投与するステップであって、有効量は、約0.5×108~約1×109AAC/kgであり、AACは、細胞内に送達されたHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップを含む、方法が提供される。
【0093】
一部の実施形態では、方法は、有効量の1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤を投与するステップをさらに含む。例示的な免疫チェックポイント阻害剤は、限定なく、PD-1、PD-L1、CTLA-4、LAG3、TIM-3、TIGIT、VISTA、TIM1、B7-H4(VTCN1)またはBTLAのアンタゴニストである。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、CTLA-4、LAG3、TIM-3、TIGIT、VISTA、TIM1、B7-H4(VTCN1)またはBTLAのうちの1つまたは複数のアンタゴニストである。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1に結合する抗体、PD-L1を結合する抗体、CTLA-4を結合する抗体、LAG3を結合する抗体、またはTIM-3を結合する抗体、、TIGITに結合する抗体、VISTAを結合する抗体、TIM-1を結合する抗体、B7-H4を結合する抗体、またはBTLAを結合する抗体のうちの1つまたは複数である。のうちの1つまたは複数である。さらなる実施形態では、抗体は、全長抗体または任意のバリアント、例えば、限定されるものではないが、抗体断片、一本鎖可変断片(ScFv)、または抗原結合断片(Fab)であり得る。さらなる実施形態では、抗体は、二重特異性、三重特異性、または多重特異性であり得る。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、CTLA-4、LAG3、TIM-3、TIGIT、VISTA、TIM1、B7-H4(VTCN1)、またはBTLAのうちの1つまたは複数に結合するか、および/またはこれらを阻害する、1つまたは複数の化学化合物である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、CTLA-4、LAG3、TIM-3、TIGIT、VISTA、TIM1、B7-H4(VTCN1)、またはBTLAのうちの1つまたは複数に結合するか、および/またはこれらを阻害する、1つまたは複数のペプチドである。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1を標的にする。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はPD-L1を標的にする。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はCTLA-4を標的にする。
【0094】
一部の実施形態では、個体におけるHPV関連がんを処置する方法であって、有効量のAACを含む組成物を個体に投与するステップであって、有効量は、約0.5×108~約1×109AACであり、AACは、細胞内に送達されたHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップ、ならびに有効量の1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤を投与するステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4のアンタゴニストである。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1のアンタゴニストである。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1のアンタゴニストである。一部の実施形態では、1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4のアンタゴニスト、PD-1のアンタゴニスト、および/またはPD-L1のアンタゴニストを含む。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4に結合する抗体である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1に結合する抗体である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1に結合する抗体である。一部の実施形態では、1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4に結合する抗体、PD-1に結合する抗体、および/またはPD-L1に結合する抗体を含む。
【0095】
一部の態様では、個体におけるHPV関連疾患を処置する方法であって、有効量のAACを含む組成物を個体に投与するステップであって、有効量は、約0.5×108~約1×109AACであり、AACは、細胞内に送達されたHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップ、ならびに有効量のCTLA-4のアンタゴニスト、PD-1のアンタゴニスト、および/またはPD-L1のアンタゴニストを投与するステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体におけるHPV関連疾患を処置する方法であって、有効量のAACを含む組成物を個体に投与するステップであって、有効量は、約0.5×108~約1×109AACであり、AACは、細胞内に送達されたHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップ、ならびに有効量のCTLA-4に結合する抗体、PD-1に結合する抗体、および/またはPD-L1に結合する抗体を投与するステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、PD-1に結合する抗体は、ニボルマブである。一部の実施形態では、PD-1に結合する抗体は、ペムブロリズマブである。一部の実施形態では、PD-L1に結合する抗体は、アテゾリズマブである。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体は、イピリムマブである。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体は、個体に投与される。一部の実施形態では、PD-L1に結合する抗体は、個体に投与される。一部の実施形態では、PD-1に結合する抗体は、個体に投与される。
【0096】
一部の態様では、個体におけるHPV抗原に対する免疫応答を刺激するための方法であって、有効量のAACを含む組成物(例えば、RBC由来ベシクル)を個体に投与するステップであって、AACは、HPV抗原を含む、ステップを含み、少なくとも1つのHPV抗原は、AACに細胞内送達される、方法が提供される。一部の実施形態では、AACは、アジュバントをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、有効量の本明細書に記載の組成物のいずれかを投与するステップを含む。一部の実施形態では、個体はがんを有する。
【0097】
一部の態様では、個体における腫瘍成長を低下させるための方法であって、有効量のAACを含む組成物(例えば、RBC由来ベシクル)を個体に投与するステップであって、AACは、HPV抗原を含む、ステップを含み、少なくとも1つのHPV抗原は、AACに細胞内送達される、方法が提供される。一部の実施形態では、AACは、アジュバントをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、有効量の本明細書に記載の組成物のいずれかを投与するステップを含む。一部の実施形態では、個体はがんを有する。
【0098】
一部の態様では、それを必要とする個体にワクチン接種するための方法であって、有効量のAACを含む組成物(例えば、RBC由来ベシクル)を個体に投与するステップであって、AACは、HPV抗原を含む、ステップを含み、少なくとも1つのHPV抗原は、AACに細胞内送達される、方法が提供される。一部の実施形態では、AACは、アジュバントをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、有効量の本明細書に記載の組成物のいずれかを投与するステップを含む。一部の実施形態では、個体はがんを有する。
【0099】
一部の態様では、個体におけるがんを処置するための方法であって、有効量のAACを含む組成物(例えば、RBC由来ベシクル)を個体に投与するステップであって、AACは、HPV抗原を含む、ステップを含み、少なくとも1つのHPV抗原は、AACに細胞内送達される、方法が提供される。一部の実施形態では、AACは、アジュバントをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、有効量の本明細書に記載の組成物のいずれかを投与するステップを含む。
【0100】
一部の態様では、個体におけるHPV抗原に対する免疫応答を刺激するための方法であって、a)インプット無核細胞を含む細胞懸濁液を、細胞変形狭窄を通過させるステップであって、狭窄の直径は、懸濁液中のインプット無核細胞の直径の関数であり、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントが通過するのに十分に大きなインプット無核細胞の摂動を引き起こして摂動インプット無核細胞を形成するステップ;b)少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントが摂動インプット無核細胞に入るのを可能にするのに十分な時間、摂動インプット無核細胞を少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントとともにインキュベートし、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを作出するステップ;ならびにc)有効量の少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを個体に投与するステップを含む、方法が提供される。
【0101】
一部の態様では、個体における腫瘍成長を低減するするための方法であって、a)インプット無核細胞を含む細胞懸濁液を、細胞変形狭窄を通過させるステップであって、狭窄の直径は、懸濁液中のインプット無核細胞の直径の関数であり、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントが通過するのに十分に大きなインプット無核細胞の摂動を引き起こして摂動インプット無核細胞を形成するステップ;b)少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントが摂動インプット無核細胞に入るのを可能にするのに十分な時間、摂動インプット無核細胞を少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントとともにインキュベートし、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを作出するステップ;ならびにc)有効量の少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを個体に投与するステップを含む、方法が提供される。
【0102】
一部の態様では、それを必要とする個体にワクチン接種するための方法であって、a)インプット無核細胞を含む細胞懸濁液を、細胞変形狭窄を通過させるステップであって、狭窄の直径は、懸濁液中のインプット無核細胞の直径の関数であり、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントが通過するのに十分に大きなインプット無核細胞の摂動を引き起こして摂動インプット無核細胞を形成するステップ;b)HPV抗原または少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントが摂動インプット無核細胞に入るのを可能にするのに十分な時間、摂動インプット無核細胞を少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントとともにインキュベートし、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを作出するステップ;ならびにc)有効量の少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを個体に投与するステップを含む、方法が提供される。
【0103】
一部の態様では、個体におけるがんを処置するための方法であって、a)インプット無核細胞を含む細胞懸濁液を、細胞変形狭窄を通過させるステップであって、狭窄の直径は、懸濁液中のインプット無核細胞の直径の関数であり、それによって、HPV抗原およびアジュバントが通過するのに十分に大きなインプット無核細胞の摂動を引き起こして摂動インプット無核細胞を形成するステップ;b)少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントが摂動インプット無核細胞に入るのを可能にするのに十分な時間、摂動インプット無核細胞を少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントとともにインキュベートし、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを作出するステップ;ならびにc)有効量の少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを個体に投与するステップを含む、方法が提供される。
【0104】
本明細書に記載される方法、使用または組成物のいずれかに従う一部の実施形態では、方法は、a)インプット無核細胞を含む細胞懸濁液を、細胞変形狭窄を通過させるステップであって、狭窄の直径は、懸濁液中のインプット無核細胞の直径の関数であり、それによって、HPV抗原が通過するのに十分に大きなインプット無核細胞の摂動を引き起こして摂動インプット無核細胞を形成するステップ;b)少なくとも1つのHPV抗原が摂動インプット無核細胞に入るのを可能にするのに十分な時間、摂動インプット無核細胞を少なくとも1つのHPV抗原とともにインキュベートし、それによって、少なくとも1つのHPV抗原を含むAACを作出するステップ;ならびにc)有効量の少なくとも1つのHPV抗原を含むAACを個体に投与するステップを含む。
【0105】
一部の実施形態では、個体におけるHPVタンパク質に対する免疫応答を刺激するための組成物であって、組成物は、有効量の本明細書に記載のHPV抗原を含むAACを含む組成物のいずれか1つを含む、組成物が提供される。一部の実施形態では、腫瘍成長を低下させるための組成物であって、組成物は、有効量の本明細書に記載のHPV抗原を含むAACを含む組成物のいずれか1つを含む、組成物が提供される。一部の実施形態では、個体はがんを有する。一部の実施形態では、個体におけるがんを処置するための組成物であって、組成物は、有効量の本明細書に記載のHPV抗原を含むAACを含む組成物のいずれか1つを含む、組成物が提供される。一部の実施形態では、がんは、子宮頸がん、肛門周囲がん、肛門生殖器がん、口腔がん、唾液腺がん、中咽頭がん、膣がん、外陰がん、陰茎がん、皮膚がんまたは頭頸部がんである。
【0106】
一部の実施形態では、個体におけるHPVタンパク質に対する免疫応答を刺激するための組成物であって、組成物は、有効量の本明細書に記載のHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物のいずれか1つを含む、組成物が提供される。一部の実施形態では、腫瘍成長を低下させるための組成物であって、組成物は、有効量の本明細書に記載のHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物のいずれか1つを含む、組成物が提供される。一部の実施形態では、個体はがんを有する。一部の実施形態では、個体におけるがんを処置するための組成物であって、組成物は、有効量の本明細書に記載のHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物のいずれか1つを含む、組成物が提供される。
【0107】
一部の実施形態では、HPV抗原に対する免疫応答を刺激するための医薬の製造における、有効量のAACを含む組成物の使用であって、組成物は、有効量の本明細書に記載のHPV抗原を含むAACの組成物のいずれか1つを含む、使用が提供される。一部の実施形態では、個体における腫瘍成長を低下させるための医薬の製造における、有効量のAACを含む組成物の使用であって、組成物は、有効量の本明細書に記載のHPV抗原を含むAACを含む組成物のいずれか1つを含む、使用が提供される。一部の実施形態では、個体はがんを有する。一部の実施形態では、個体におけるがんを処置するための医薬の製造における、有効量のAACを含む組成物の使用であって、組成物は、有効量の本明細書に記載のHPV抗原を含むAACを含む組成物のいずれか1つを含む、使用が提供される。
【0108】
一部の実施形態では、HPV抗原タンパク質に対する免疫応答を刺激するための医薬の製造における、有効量のAACを含む組成物の使用であって、組成物は、有効量の本明細書に記載のHPV抗原およびアジュバントを含むAACの組成物のいずれか1つを含む、使用が提供される。一部の実施形態では、個体における腫瘍成長を低下させるための医薬の製造における、有効量のAACを含む組成物の使用であって、組成物は、有効量の本明細書に記載のHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物のいずれか1つを含む、使用が提供される。一部の実施形態では、個体はがんを有する。一部の実施形態では、個体におけるがんを処置するための医薬の製造における、有効量のAACを含む組成物の使用であって、組成物は、有効量の本明細書に記載のHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物のいずれか1つを含む、使用が提供される。
【0109】
本明細書に記載の方法、使用または組成物による一部の実施形態では、個体はがんを有する。一部の実施形態では、がんは、子宮頸がん、肛門周囲がん、肛門生殖器がん、口腔がん、唾液腺がん、中咽頭がん、膣がん、外陰がん、陰茎がん、皮膚がんまたは頭頸部がんである。一部の実施形態では、がんはHPVに関連するがんである。一部の実施形態では、がんは限局性がんである。一部の実施形態では、がんは限局性がんである。一部の実施形態では、がんは局所進行性がんである。一部の実施形態では、がんは転移性がんである。一部の実施形態では、がんは固形腫瘍である。一部の実施形態では、がんは液性腫瘍である。
【0110】
一部の実施形態では、狭窄の幅は、インプット無核細胞の平均直径の約10%~約99%である。一部の実施形態では、狭窄の幅は、インプット無核細胞の平均直径の約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約20%~約60%、約40%~約60%、約30%~約45%、約50%~約99%、約50%~約90%、約50%~約80%、約50%~約70%、約60%~約90%、約60%~約80%、または約60%~約70%のうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約0.25μm~約4μm、約1μm~約4μm、約1.2μm~約3μm、約1.4μm~約2.6μm、約1.6μm~約2.4μm、または約1.8μm~約2.2μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約2.0μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約2.5μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約3.0μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約0.25μm、0.5μm、1.0μm、1.2μm、1.4μm、1.6μm、1.8μm、2.0μm、2.2μm、2.4μm、2.6μm、2.8μm、3.0μm、3.2μm、3.4μm、3.6μm、3.8μm、4.0μm、4.2μm、4.4μm、4.6μm、4.8μm、5.0μm、5.2μm、5.4μm、5.6μm、5.8μm、6.0μmのうちのいずれか1つ、または0.25μm、0.5μm、1.0μm、1.2μm、1.4μm、1.6μm、1.8μm、2.0μm、2.2μm、2.4μm、2.6μm、2.8μm、3.0μm、3.2μm、3.4μm、3.6μm、3.8μm、4.0μm、4.2μm、4.4μm、4.6μm、4.8μm、5.0μm、5.2μm、5.4μm、5.6μm、5.8μm、6.0μm未満のうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、インプット無核細胞を含む細胞懸濁液は、複数の狭窄を通過させられ、ここで、複数の狭窄は、直列および/または並列で配置されている。
【0111】
一部の実施形態では、無核細胞は、RBCまたは血小板である。一部の実施形態では、無核細胞は、赤血球または網状赤血球である。一部の実施形態では、AACは、無核細胞由来ベシクルである。一部の実施形態では、AACは、RBC由来ベシクルまたは血小板由来ベシクルである。一部の実施形態では、AACは、赤血球由来ベシクルまたは網状赤血球板由来ベシクルである。
【0112】
一部の実施形態では、インプット無核細胞は、組成物を受ける個体に対して自家である。一部の実施形態では、インプット無核細胞は、組成物を受ける個体に対して同種異系である。一部の実施形態では、AACは、組成物を受ける個体に対して自家である。一部の実施形態では、インプットAACは、組成物を受ける個体に対して同種異系である。
【0113】
一部の実施形態では、AACがアジュバントを含む場合、調整のために使用されるアジュバントは、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)、LPS、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、アルファ-ガラクトシルセラミド、STINGアゴニスト、環状ジヌクレオチド(CDN)、RIG-Iアゴニスト、ポリイノシン酸-ポリシチジル酸(ポリI:C)、R837、R848、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、またはTLR9アゴニストである。一部の実施形態では、アジュバントは、ポリイノシン酸-ポリシチジル酸(ポリI:C)である。
【0114】
一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、同じおよび/または異なるHPV抗原に対する応答を誘発する複数のポリペプチドのプールである。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、1つまたは複数の抗原性HPVエピトープおよび1つまたは複数の異種ペプチド配列を含むポリペプチドである。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、他の抗原と、またはアジュバントと複合体を形成する。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、MHCクラスI拘束性ペプチドにプロセシングされ得る。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、MHCクラスII拘束性ペプチドにプロセシングされ得る。
【0115】
一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACの複数回投与を含む。一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACの約3~約9回の投与を含む。一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15回の投与のうちのいずれか1つを含む。一部の実施形態では、方法は、必要により、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACの連続投与を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACの2回の連続投与の間の時間間隔は約1日~約30日である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACの2回の連続投与の間の時間間隔は約21日である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACの2回の連続投与の間の時間間隔は、約1、2、3、4、5、6、7、8、10、12、14、16、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、または150日のうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACの最初の2回の連続する投与間の時間間隔は、1日または2日である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACの最初の2回の連続する投与間の時間間隔は、1日または2日であり、方法は、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACの2回より多くの投与を含む(限定されるものではないが、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15回、またはそれよりも多くの投与など)。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACは、静脈内、腫瘍内、経口、および/または皮下に投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原を含むAACは、静脈内に投与される。
【0116】
一部の実施形態では、組成物は、アジュバントをさらに含む。一部の実施形態では、アジュバントは、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)、LPS、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、アルファ-ガラクトシルセラミド、STINGアゴニスト、環状ジヌクレオチド(CDN)、RIG-Iアゴニスト、ポリイノシン酸-ポリシチジル酸、R837、R848、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、またはTLR9アゴニストである。一部の実施形態では、アジュバントはCpGオリゴデオキシヌクレオチドである。一部の実施形態では、アジュバントはポリI:Cである。
【0117】
一部の実施形態では、個体は、HLA-A*02、HLA-A*01、HLA-A*03、HLA-A*24、HLA-A*11、HLA-A*26、HLA-A*32、HLA-A*31、HLA-A*68、HLA-A*29、HLA-A*23、HLA-B*07、HLA-B*44、HLA-B*08、HLA-B*35、HLA-B*15、HLA-B*40、HLA-B*27、HLA-B*18、HLA-B*51、HLA-B*14、HLA-B*13、HLA-B*57、HLA-B*38、HLA-C*07、HLA-C*04、HLA-C*03、HLA-C*06、HLA-C*05、HLA-C*12、HLA-C*02、HLA-C*01、HLA-C*08、またはHLA-C*16の発現に対して陽性である。
【0118】
免疫チェックポイントは、免疫系の制御因子であり、チェック中に免疫応答を保つ。免疫チェックポイント阻害剤は、免疫応答の増強を促進するために用いることができる。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原を含むAACを含む組成物は、免疫チェックポイント阻害剤の投与と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、HPV抗原を含むAACを含む組成物および免疫チェックポイント阻害剤は同時に投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原を含むAACを含む組成物および免疫チェックポイント阻害剤は逐次的に投与される。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤および/または少なくとも1つのHPV抗原を含むAACは、静脈内、腫瘍内、経口、および/または皮下に投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原を含むAACは、静脈内に投与される。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、静脈内、腫瘍内、経口、および/または皮下に投与される。
【0119】
一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物は、免疫チェックポイント阻害剤の投与の前に投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物は、免疫チェックポイント阻害剤の投与後に投与される。例えば、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物は、免疫チェックポイント阻害剤の投与の約1時間から約1週間前に投与される。例えば、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物は、免疫チェックポイント阻害剤の投与の約1時間~約1週間前に投与される。例えば、一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物は、免疫チェックポイント阻害剤の投与の約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約24時間、約30時間、約36時間、約42時間、約48時間、約60時間、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日前に投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物は、免疫チェックポイント阻害剤の投与の約1時間~約2時間、約2時間~約3時間、約3時間~約4時間、約4時間~約6時間、約6時間~約8時間、約8時間~約10時間、約10時間~約12時間、約12時間~約14時間、約14時間~約16時間、約16時間~約18時間、約18時間~約20時間、約20時間~約24時間、約24時間~約30時間、約30時間~約36時間、約36時間~約42時間、約42時間~約48時間、約48時間~約60時間、約60時間~約3日、約3日~約4日、約4日~約5日、約5日~約6日、約6日~約7日前に投与される。
【0120】
一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物は、免疫チェックポイント阻害剤の投与の約7日、約10日、約14日、約18日、約21日、約24日、約28日、約30日、約35日、約40日、約45日、または約50日前に投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物は、免疫チェックポイント阻害剤の投与の約7日~約10日、約10日~約14日、約14日~約18日、約18日~約21日、約21日~約24日、約24日~約28日、約28日~約30日、約30日~約35日、約35日~約40日、約40日~約45日、または約45日~約50日前に投与される。
【0121】
一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物は、免疫チェックポイント阻害剤の投与後に投与される。例えば、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物は、免疫チェックポイント阻害剤の投与の約1時間~約1週間後に投与される。例えば、一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物は、免疫チェックポイント阻害剤の投与の約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約24時間、約30時間、約36時間、約42時間、約48時間、約60時間、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日後に投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物は、免疫チェックポイント阻害剤の投与の約1時間~約2時間、約2時間~約3時間、約3時間~約4時間、約4時間~約6時間、約6時間~約8時間、約8時間~約10時間、約10時間~約12時間、約12時間~約14時間、約14時間~約16時間、約16時間~約18時間、約18時間~約20時間、約20時間~約24時間、約24時間~約30時間、約30時間~約36時間、約36時間~約42時間、約42時間~約48時間、約48時間~約60時間、約60時間~約3日、約3日~約4日、約4日~約5日、約5日~約6日、約6日~約7日後に投与される。
【0122】
一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物は、免疫チェックポイント阻害剤の投与の約7日、約10日、約14日、約18日、約21日、約24日、約28日、約30日、約35日、約40日、約45日、または約50日後に投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物は、免疫チェックポイント阻害剤の投与の約7日~約10日、約10日~約14日、約14日~約18日、約18日~約21日、約21日~約24日、約24日~約28日、約28日~約30日、約30日~約35日、約35日~約40日、約40日~約45日、または約45日~約50日後に投与される。
【0123】
一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物の複数回投与、および/またはチェックポイント阻害剤の複数回投与を含む。例えば、一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物および/またはチェックポイント阻害剤の2回投与、3回投与、4回投与、5回投与、6回投与、7回投与、8回投与、9回投与、10回投与、11回投与、12回投与、13回投与、14回投与、または15回投与を含む。例えば、一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物および/またはチェックポイント阻害剤の5回未満の投与、10回未満の投与、15回未満の投与、20回未満の投与、25回未満の投与、30回未満の投与、50回未満の投与、75回未満の投与、100回未満、または200回未満の投与を含む。
【0124】
例示的な免疫チェックポイント阻害剤は、限定なく、PD-1、PD-L1、CTLA-4、LAG3、TIM-3、TIGIT、VISTA、TIM1、B7-H4(VTCN1)またはBTLAを標的にする。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、CTLA-4、LAG3、TIM-3、TIGIT、VISTA、TIM1、B7-H4(VTCN1)またはBTLAのうちの1つまたは複数を標的にする。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1に結合する抗体、PD-L1を結合する抗体、CTLA-4を結合する抗体、LAG3を結合する抗体、またはTIM-3を結合する抗体、、TIGITに結合する抗体、VISTAを結合する抗体、TIM-1を結合する抗体、B7-H4を結合する抗体、またはBTLAを結合する抗体のうちの1つまたは複数である。のうちの1つまたは複数である。さらなる実施形態では、抗体は、全長抗体または任意のバリアント、例えば、限定されるものではないが、抗体断片、一本鎖可変断片(ScFv)、または抗原結合断片(Fab)であり得る。さらなる実施形態では、抗体は、二重特異性、三重特異性、または多重特異性であり得る。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、CTLA-4、LAG3、TIM-3、TIGIT、VISTA、TIM1、B7-H4(VTCN1)、またはBTLAのうちの1つまたは複数に結合するか、および/またはこれらを阻害する、1つまたは複数の化学化合物である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、CTLA-4、LAG3、TIM-3、TIGIT、VISTA、TIM1、B7-H4(VTCN1)、またはBTLAのうちの1つまたは複数に結合するか、および/またはこれらを阻害する、1つまたは複数のペプチドである。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1を標的にする。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はPD-L1を標的にする。
【0125】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法のいずれか1つによる個体における免疫応答を刺激する方法における使用のためのHPV抗原およびアジュバントを含む複数のAAC(例えば、RBC由来ベシクル)が提供される。
HPV抗原を含むAACの組成物
【0126】
一部の実施形態では、AACは、細胞内に送達されたHPV抗原およびアジュバントを含む。一部の実施形態では、AACは、インプット無核細胞に由来する。一部の実施形態では、AACは、インプット赤血球細胞(RBC)に由来する。一部の実施形態では、AACは、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACである。一部の実施形態では、AACは、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むRBC由来ベシクルである。
【0127】
一部の実施形態では、方法は、HPV抗原およびアジュバントを含む有効量のAACを投与するステップを含み、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACは、a)インプット無核細胞を含む細胞懸濁液を、細胞変形狭窄を通過させるステップであって、狭窄の直径は、懸濁液中のインプット無核細胞の直径の関数であり、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントが通過するのに十分に大きなインプット無核細胞の摂動を引き起こして摂動インプット無核細胞を形成するステップ;ならびにb)少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントが摂動インプット無核細胞に入るのを可能にするのに十分な時間、摂動インプット無核細胞を少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントとともにインキュベートし、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを作出するステップによって調製される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、配列番号18~25のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、配列番号18~25のいずれか1つと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0128】
一部の態様では、HPV抗原、またはHPV抗原およびアジュバントを含むAACの組成物が提供され、少なくとも1つのHPV抗原、または少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACは、a)インプット無核細胞を含む細胞懸濁液を、細胞変形狭窄を通過させるステップであって、狭窄の直径は、懸濁液中のインプット無核細胞の直径の関数であり、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントが通過するのに十分に大きなインプット無核細胞の摂動を引き起こして摂動インプット無核細胞を形成するステップ;ならびにb)少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントが摂動インプット無核細胞に入るのを可能にするのに十分な時間、摂動インプット無核細胞を少なくとも1つのHPV抗原とともにインキュベートし、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを作出するステップによって調製される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、配列番号18~25のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、配列番号18~25のいずれか1つと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0129】
一部の実施形態では、無核細胞は、RBCまたは血小板である。一部の実施形態では、無核細胞は、赤血球または網状赤血球である。一部の実施形態では、AACは、無核細胞由来ベシクルである。一部の実施形態では、AACは、RBC由来ベシクルまたは血小板由来ベシクルである。一部の実施形態では、AACは、赤血球由来ベシクルまたは網状赤血球板由来ベシクルである。
【0130】
一部の実施形態では、狭窄の幅は、インプット無核細胞の平均直径の約10%~約99%である。一部の実施形態では、狭窄の幅は、インプット無核細胞の平均直径の約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約20%~約60%、約40%~約60%、約30%~約45%、約50%~約99%、約50%~約90%、約50%~約80%、約50%~約70%、約60%~約90%、約60%~約80%、または約60%~約70%のうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約0.25μm~約4μm、約1μm~約4μm、約1.2μm~約3μm、約1.4μm~約2.6μm、約1.6μm~約2.4μm、または約1.8μm~約2.2μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約2.0μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約2.5μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約3.0μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約0.25μm、0.5μm、1.0μm、1.2μm、1.4μm、1.6μm、1.8μm、2.0μm、2.2μm、2.4μm、2.6μm、2.8μm、3.0μm、3.2μm、3.4μm、3.6μm、3.8μm、4.0μm、4.2μm、4.4μm、4.6μm、4.8μm、5.0μm、5.2μm、5.4μm、5.6μm、5.8μm、6.0μmのうちのいずれか1つ、または0.25μm、0.5μm、1.0μm、1.2μm、1.4μm、1.6μm、1.8μm、2.0μm、2.2μm、2.4μm、2.6μm、2.8μm、3.0μm、3.2μm、3.4μm、3.6μm、3.8μm、4.0μm、4.2μm、4.4μm、4.6μm、4.8μm、5.0μm、5.2μm、5.4μm、5.6μm、5.8μm、6.0μm未満のうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、インプット無核細胞を含む細胞懸濁液は、複数の狭窄を通過させられ、ここで、複数の狭窄は、直列および/または並列で配置されている。
【0131】
一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、同じおよび/または異なるHPV抗原に対する応答を誘発する複数のポリペプチドのプールである。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、1つまたは複数の抗原性HPVエピトープおよび1つまたは複数の異種ペプチド配列を含むポリペプチドである。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、他の抗原と、またはアジュバントと複合体を形成する。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、MHCクラスI拘束性ペプチドにプロセシングされ得る。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、MHCクラスII拘束性ペプチドにプロセシングされ得る。
【0132】
一部の実施形態では、組成物は、アジュバントをさらに含む。一部の実施形態では、アジュバントは、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)、LPS、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、アルファ-ガラクトシルセラミド、STINGアゴニスト、環状ジヌクレオチド(CDN)、RIG-Iアゴニスト、ポリイノシン酸-ポリシチジル酸(ポリI:C)、R837、R848、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、またはTLR9アゴニストである。一部の実施形態では、アジュバントは、ポリイノシン酸-ポリシチジル酸(ポリI:C)である。
用量およびレジメン
【0133】
一部の実施形態では、個体におけるHPV関連疾患を処置する方法であって、有効量のAACを含む組成物を個体に投与するステップであって、有効量は、約0.5×108~約1×109AACであり、AACは、細胞内に送達されたHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、有効量の1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤を投与するステップをさらに含む。
【0134】
本明細書に記載の方法のいずれか1つによる一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACの有効量は、約0.5×108AAC/kg~約1.0×109AAC/kgである。一部の実施形態では、AACの有効量は、約0.5×106、1.0×106、0.5×107、1.0×107、0.5×108、1.0×108、0.25×109、0.5×109、0.75×109、1.0×109、0.5×1010、1.0×1010、0.5×1011、および1.0×1011AAC/kgのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACの有効量は、約0.5×108AAC/kg、約2.5×108AAC/kg、約5×108AAC/kg、または約7.5×108AAC/kgである。一部の実施形態では、AACの有効量は、約0.5×106~約1.0×106、約1.0×106~約0.5×107、約0.5×107~約1.0×107、約1.0×107~約0.5×108AAC、約0.5×108~約1.0×108、約1.0×108~約0.5×109AAC、約0.5×109~約1.0×109、約1.0×109~約0.5×1010AAC、約0.5×1010~約1.0×1010、約1.0×1010~約0.5×1010AAC/kgのうちのいずれか1つである。
【0135】
一部の実施形態では、方法が、有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与するステップをさらに含む場合、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4を標的にする。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はイピリムマブである。一部の実施形態では、イピリムマブの有効量は、約0.1mg/kg~約30mg/kgである。一部の実施形態では、イピリムマブの有効量は、約1mg/kg~約3mg/kgのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、イピリムマブの有効量は、約0.1、0.2、0.5、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、または30mg/kgのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、イピリムマブの有効量は、約0.1~0.2、0.2~0.5、0.5~1.0、1.0~1.2、1.2~1.4、1.4~1.6、1.6~1.8、1.8~2.0、2.0~2.2、2.2~2.4、2.4~2.6、2.6~2.8、2.8~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、10~12、12~14、14~16、16~18、18~20、20~25、または25~30mg/kgのうちのいずれか1つである。
【0136】
一部の実施形態では、方法が、有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与するステップをさらに含む場合、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1を標的にする。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はニボルマブである。一部の実施形態では、ニボルマブの有効量は、約30mg~約1000mgである。一部の実施形態では、ニボルマブの有効量は、約300mg~約400mgのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、イピリムマブの有効量は、約360mgのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、イピリムマブの有効量は、約30、50、100、150、200、250、300、320、340、360、380、400、450、500、550、600、700、800、900、または1000mgのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、イピリムマブの有効量は、約30~50、50~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~320、320~340、340~360、360~380、380~400、400~450、500~550、550~600、600~700、700~800、800~900、900~1000mgのうちのいずれか1つである。
【0137】
一部の実施形態では、方法が、有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与するステップをさらに含む場合、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1を標的にする。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はアテゾリズマブである。一部の実施形態では、アテゾリズマブの有効量は、約100mg~約2500mgである。一部の実施形態では、アテゾリズマブの有効量は、約900mg~約1500mgのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、アテゾリズマブの有効量は、約1200mgのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、アテゾリズマブの有効量は、約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1150、1200、1250、1300、1400、1500、1600、1800、2000、2200、または2500mgのうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、アテゾリズマブの有効量は、約100~200、200~300、300~400、400~500、500~600、600~700、700~800、800~900、900~1000、1000~1100、1100~1200、1200~1300、1300~1400、1400~1500、1500~1600、1600~1800、1800~2000、2000~2200、2200~2500mgのうちのいずれか1つである。
【0138】
一部の実施形態では、処置の方法は、本明細書に記載のAACのいずれか1つを個体に投与する複数(2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれよりも多くのうちのいずれかなど)のサイクルを含む。例えば、一部の実施形態では、抗原および/またはアジュバントがAACに入るように、インプット無核細胞を、狭窄を通過させて、AACを形成することによって作出された抗原および/またはアジュバントを含むAACを、個体に、2、3、4、5、6、7、8、9、10回、またはそれよりも多く投与するステップによる、抗原に対して個体をワクチン接種する方法が提供される。一部の実施形態では、AACの任意の2回の連続した投与の間の期間は、少なくとも約1日(少なくとも約2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、またはそれよりも長いのうちのいずれかなど、これらの値の間の任意の範囲を含む)である。
【0139】
本明細書に記載の方法のいずれか1つによる一部の実施形態では、AACを含む組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10週間サイクルのうちのいずれか1つで投与される。一部の実施形態では、AACを含む組成物は、3週間サイクルで投与される。一部の実施形態では、AACを含む組成物は、6週間サイクルで投与される。一部の実施形態では、AACを含む組成物は、処置サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20日目のうちの1つまたは複数に投与される。一部の実施形態では、AACを含む組成物は、処置サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、AACを含む組成物は、処置サイクルの2日目に投与される。一部の実施形態では、AACを含む組成物は、処置サイクルの1日目および2日目に投与される。一部の実施形態では、AACを含む組成物は、処置サイクルの1日目および3日目に投与される。一部の実施形態では、AACを含む組成物は、処置サイクルの8日目に投与される。一部の実施形態では、AACを含む組成物は、3週間サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、AACを含む組成物は、3週間サイクルの2日目にさらに投与される。一部の実施形態では、AACを含む組成物は、AAC組成物供給が枯渇するまで、または1年間、3週間サイクルで投与される。
【0140】
一部の実施形態では、約0.5×106、1.0×106、0.5×107、1.0×107、0.5×108、1.0×108、0.25×109、0.5×109、0.75×109、1.0×109、0.5×1010、1.0×1010、0.5×1011、および1.0×1011AAC/kgのうちのいずれか1つが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、約0.5×108AAC/kg~約1×109AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、約0.5×108AAC/kg、約2.5×108AAC/kg、約5.0×108AAC/kg、または約7.5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、約0.5×106、1.0×106、0.5×107、1.0×107、0.5×108、1.0×108、0.25×109、0.5×109、0.75×109、1.0×109、0.5×1010、1.0×1010、0.5×1011、および1.0×1011AAC/kgのうちのいずれか1つが、それぞれの3週間サイクルの2日目に投与される。一部の実施形態では、約0.5×108AAC/kg~約1×109AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの2日目に投与される。一部の実施形態では、約0.5×108AAC/kg、約2.5×108AAC/kg、約5.0×108AAC/kg、または約7.5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの2日目に投与される。一部の実施形態では、0.5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、0.5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与され、0.5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの2日目に投与される。一部の実施形態では、0.5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与され、0.5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの3日目に投与される。一部の実施形態では、2.5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、2.5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与され、2.5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの2日目に投与される。一部の実施形態では、2.5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与され、2.5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの3日目に投与される。一部の実施形態では、2.5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与され、5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの2日目に投与される。一部の実施形態では、5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与され、5×108AAC/kgが、それぞれの3週間サイクルの3日目に投与される。
【0141】
一部の実施形態では、方法が、有効量の1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤を投与するステップをさらに含む場合、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PD-1、および/またはPD-L1を標的にする。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体、および/またはPD-1に結合する抗体、および/またはPD-L1に結合する抗体は、サイクルに1、2、3、4、5、6回、またはそれよりも多く投与される。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体、および/またはPD-1に結合する抗体、および/またはPD-L1に結合する抗体は、3週間サイクルに1回投与される。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体は、3週間サイクルに1回投与される。一部の実施形態では、PD-1に結合する抗体は、3週間サイクルに1回投与される。一部の実施形態では、PD-L1に結合する抗体は、3週間サイクルに1回投与される。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体、および/またはPD-1に結合する抗体、および/またはPD-L1に結合する抗体は、2回の3週間サイクルに1回投与される。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体は、2回の3週間サイクルに1回投与される。一部の実施形態では、PD-1に結合する抗体は、2回の3週間サイクルに1回投与される。一部の実施形態では、PD-L1に結合する抗体は、2回の3週間サイクルに1回投与される。
【0142】
一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、処置サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20日目に、1回または複数回に投与される。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はCTLA-4結合性抗体であり、CTLA-4に結合する抗体は、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体は、4用量のうちの最大で投与される。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体の有効量は、約3mg/kgである。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体は、イピリムマブである。一部の実施形態では、イピリムマブは、約3mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体は、イピリムマブであり、イピリムマブは、約3mg/kgの用量で、すべての3週間サイクルの1日目に投与される。
【0143】
一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1結合性抗体であり、PD-1に結合する抗体は、最初の3週間サイクルの8日目、およびそれぞれのその後の3週間サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、PD-1に結合する抗体は、ニボルマブである。一部の実施形態では、ニボルマブは、約360mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1に結合する抗体は、ニボルマブであり、ニボルマブは、約360mgの用量で、最初の3週間サイクルの8日目、およびそれぞれのその後のサイクルの1日目に投与される。
【0144】
一部の実施形態では、1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4結合性抗体およびPD-1結合性抗体を含み、CTLA-4に結合する抗体は、すべての代替の3週間サイクルの1日目(すなわち、すべての6週間サイクルの1日目)に投与され、PD-1に結合する抗体は、最初の3週間サイクルの8日目、およびそれぞれのその後の3週間サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体はイピリムマブであり、PD-1に結合する抗体はニボルマブである。一部の実施形態では、イピリムマブは、約1mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、ニボルマブは、約360mgの用量で投与される。一部の実施形態では、CTLA-4に結合する抗体は、イピリムマブであり、イピリムマブは、約1mg/kgの用量で、すべての代替の3週間サイクルの1日目に投与され、PD-1に結合する抗体は、ニボルマブであり、ニボルマブは、約360mgの用量で、最初の3週間サイクルの8日目およびそれぞれのその後のサイクルの1日目に投与される。
【0145】
一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はPD-L1結合性抗体であり、PD-L1に結合する抗体は、最初の3週間サイクルの8日目、およびそれぞれのその後の3週間サイクルの1日目に投与される。一部の実施形態では、PD-L1に結合する抗体は、アテゾリズマブである。一部の実施形態では、アテゾリズマブは、約1200mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1に結合する抗体は、アテゾリズマブであり、アテゾリズマブは、約360mgの用量で、最初の3週間サイクルの8日目、およびそれぞれのその後のサイクルの1日目に投与される。
HPV抗原を含むAACの組成物を作出する方法
【0146】
一部の実施形態では、HPV抗原を含むAACを含む組成物を作出するための方法であって、少なくとも1つのHPV抗原は、AACに細胞内送達される、方法が提供される。一部の実施形態では、HPV抗原およびアジュバントを含むAACを含む組成物を作出するための方法であって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントは、AACに細胞内送達される、方法が提供される。
【0147】
一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACは、a)無核のインプットの集団を含む細胞懸濁液を、細胞変形狭窄を通過させるステップであって、狭窄の直径は、懸濁液中のインプット無核細胞の直径の関数であり、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントが通過するのに十分に大きなインプット無核細胞の摂動を引き起こして摂動インプット無核細胞を形成するステップ;ならびにb)抗原が摂動インプット無核細胞に入るのを可能にするのに十分な時間、摂動インプット無核細胞の集団を少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントとともにインキュベートし、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを作出するステップを含むプロセスによって調製される。
【0148】
一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、HPV E6に由来するペプチドを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、HPV E7に由来するペプチドを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、HPV E6に由来するペプチドを含む。
【0149】
一部の実施形態では、インプット無核細胞は、赤血球細胞(RBC)または血小板である。一部の実施形態では、インプット無核細胞は、赤血球または網状赤血球である。一部の実施形態では、AACは、無核細胞由来ベシクルである。一部の実施形態では、AACは、RBC由来ベシクルまたは血小板由来ベシクルである。一部の実施形態では、AACは、赤血球由来ベシクルまたは網状赤血球板由来ベシクルである。
【0150】
一部の実施形態では、狭窄の幅は、インプット無核細胞の平均直径の約10%~約99%である。一部の実施形態では、狭窄の幅は、インプット無核細胞の平均直径の約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約20%~約60%、約40%~約60%、約30%~約45%、約50%~約99%、約50%~約90%、約50%~約80%、約50%~約70%、約60%~約90%、約60%~約80%、または約60%~約70%のうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約0.25μm~約4μm、約1μm~約4μm、約1.2μm~約3μm、約1.4μm~約2.6μm、約1.6μm~約2.4μm、または約1.8μm~約2.2μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約2.0μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約2.5μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約3.0μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約0.25μm、0.5μm、1.0μm、1.2μm、1.4μm、1.6μm、1.8μm、2.0μm、2.2μm、2.4μm、2.6μm、2.8μm、3.0μm、3.2μm、3.4μm、3.6μm、3.8μm、4.0μm、4.2μm、4.4μm、4.6μm、4.8μm、5.0μm、5.2μm、5.4μm、5.6μm、5.8μm、6.0μmのうちのいずれか1つ、または0.25μm、0.5μm、1.0μm、1.2μm、1.4μm、1.6μm、1.8μm、2.0μm、2.2μm、2.4μm、2.6μm、2.8μm、3.0μm、3.2μm、3.4μm、3.6μm、3.8μm、4.0μm、4.2μm、4.4μm、4.6μm、4.8μm、5.0μm、5.2μm、5.4μm、5.6μm、5.8μm、6.0μm未満のうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、インプット無核細胞を含む細胞懸濁液は、複数の狭窄を通過させられ、ここで、複数の狭窄は、直列および/または並列で配置されている。
【0151】
一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、同じおよび/または異なるHPV抗原に対する応答を誘発する複数のポリペプチドのプールである。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、1つまたは複数の抗原性HPVエピトープおよび1つまたは複数の異種ペプチド配列を含むポリペプチドである。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、他の抗原とともに、またはアジュバントとともに送達される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、抗原性HPVエピトープおよび1つまたは複数の異種ペプチド配列を含むポリペプチドである。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、それ自体と、他の抗原と、またはアジュバントと複合体を形成する。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPVは、HPV-16またはHPV-18である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、HLA-A2特異的エピトープで構成される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、HPV E6抗原またはHPV E7抗原である。一部の実施形態では、抗原は、HPV E6および/またはE7に由来するペプチドを含む。一部の実施形態では、抗原は、HPV E6および/またはE7に由来するHLA-A2拘束性ペプチドを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、MHCクラスI拘束性ペプチドにプロセシングされ得る。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、MHCクラスII拘束性ペプチドにプロセシングされ得る。
【0152】
一部の実施形態では、組成物は、アジュバントをさらに含む。一部の実施形態では、アジュバントは、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)、LPS、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、アルファ-ガラクトシルセラミド、STINGアゴニスト、環状ジヌクレオチド(CDN)、RIG-Iアゴニスト、ポリイノシン酸-ポリシチジル酸(ポリI:C)、R837、R848、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、またはTLR9アゴニストである。一部の実施形態では、アジュバントは、ポリイノシン酸-ポリシチジル酸(ポリI:C)である。
HPV抗原
【0153】
本明細書に記載の方法による一部の実施形態では、外因性抗原はヒトパピローマウイルス(HPV)抗原である。パピローマウイルスは、直径が約55nmのビリオンサイズを有する小さな非エンベロープDNAウイルスである。100を超えるHPV遺伝子型が完全に特徴付けられ、より多くの数が存在すると推定される。HPVは、子宮頸がん、ならびに一部の外陰、膣、陰茎、中咽頭、肛門および直腸がんの公知の原因である。ほとんどのHPV感染症は、無症状で自然に消失するが、腫瘍形成性のHPV型の1つによる持続感染は、前がん状態またはがんに進行し得る。他のHPV関連疾患としては、尋常性疣贅、足底疣贅、扁平疣贅、肛門性器疣贅、肛門病変、表皮異形成、局所性上皮肥厚、口腔乳頭腫、疣贅嚢胞(verrucous cyst)、喉頭乳頭腫症、扁平上皮内病変(SIL)、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)、外陰部上皮内腫瘍(VIN)および膣上皮内腫瘍(VAIN)を挙げることができる。公知のヒトパピローマウイルス(HPV)型の多くは、腫瘍形成性であるサブセットによる良性病変を引き起こす。疫学的および系統発生学的な関係に基づいて、HPV型は、15種の「高リスク型」(HPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、73、および82)および3種の「おそらく高リスク型」(HPV26、53、および66)に分類され、これらは、一緒に、低および高悪性度の子宮頸部の変化およびがん、ならびに外陰、膣、陰茎、肛門および肛門周囲がんなどの他の肛門性器がん、ならびに頭頸部がんとして現れることが公知である。最近、高リスク型のHPV16および18と乳がんとの関連も記載された。「低リスク型」として分類される11種のHPV型(HPV6、11、40、42、43、44、54、61、70、72および81)は、良性の低悪性度の子宮頸部の変化、性器疣贅および再発性呼吸器乳頭腫症として現れることが公知である。皮膚のHPV型5、8および92は、皮膚がんと関連する。一部のHPV関連がんでは、免疫系は抑制され、それに応じて、抗腫瘍応答は有意に損なわれる。Suresh and Burtness, Am J Hematol Oncol 13(6):20-27 (2017)を参照されたい。一部の実施形態では、外因性抗原は、同じおよび/または異なる抗原に対する応答を誘発する複数のポリペプチドのプールである。一部の実施形態では、複数の抗原のプール中の抗原は、複数の抗原のプール中の他の抗原に向けられた免疫応答を減少させない。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、抗原性HPVエピトープおよび1つまたは複数の異種ペプチド配列を含むポリペプチドである。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、それ自体と、他の抗原と、またはアジュバントと複合体を形成する。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPVは、HPV-16抗原またはHPV-18抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、HLA-A2特異的エピトープで構成される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、HPV E6抗原またはHPV E7抗原である。一部の実施形態では、抗原は、HPV E6および/またはE7に由来するペプチドを含む。一部の実施形態では、抗原は、HPV E6および/またはE7に由来するHLA-A2拘束性ペプチドを含む。一部の実施形態では、抗原は、HPV E6および/またはE7に由来するHLA-A2拘束性ペプチドを含み、HLA-A2拘束性ペプチドは、配列番号1~4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、HLA-A2拘束性ペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、HLA-A2拘束性ペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、HLA-A2拘束性ペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、HLA-A2拘束性ペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、HLA-A2拘束性ペプチドは、配列番号18~25のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、配列番号18~25のいずれか1つと少なくとも90%の類似性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、配列番号18と少なくとも90%の類似性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、配列番号19と少なくとも90%の類似性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、配列番号20のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、配列番号21のアミノ酸配列からなる。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、配列番号22のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、配列番号23のアミノ酸配列からなる。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、配列番号24のアミノ酸配列からなる。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、配列番号25のアミノ酸配列からなる。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、配列番号18~25のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、配列番号18~25のいずれか1つのアミノ酸配列の少なくとも1つを含む複数の抗原である。一部の実施形態では、外因性抗原は、配列番号18~25のいずれか1つのアミノ酸配列の2、3、4、5、6、7、または8つを含む複数の抗原である。一部の実施形態では、外因性抗原は、配列番号19と少なくとも90%の類似性を有するアミノ酸配列、および配列番号23と少なくとも90%の類似性を有するアミノ酸配列を含む複数の抗原である。一部の実施形態では、外因性抗原は、配列番号19のアミノ酸配列、および配列番号23のアミノ酸配列を含む複数の抗原である。一部の実施形態では、複数の抗原は、非共有結合的に連結されたペプチドのプール内に含有される。一部の実施形態では、複数の抗原は、非共有結合的に連結されたペプチドのプール内に含有され、それぞれのペプチドは、1つ以下の抗原を含む。一部の実施形態では、複数の抗原は、非共有結合的に連結されたペプチドのプール内に含有され、配列番号19のアミノ酸配列および配列番号25のアミノ酸配列は、別々のペプチド内に含有される。
【0154】
一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、同じおよび/または異なるHPV抗原に対する応答を誘発する複数のポリペプチドのプール内にある。一部の実施形態では、複数の抗原のプール中の抗原は、複数の抗原のプール中の他の抗原に向けられた免疫応答を減少させない。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、抗原性HPV抗原および1つまたは複数の異種ペプチド配列を含むポリペプチドである。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、それ自体と、他の抗原と、またはアジュバントと複合体を形成する。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、HLA-A2特異的エピトープで構成される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、HLA-A11特異的エピトープで構成される。一部の実施形態では、HPV抗原は、HLA-B7特異的エピトープで構成される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、HLA-C8特異的エピトープで構成される。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、全長HPVタンパク質のN末端ドメインの一部または全部を含む。
【0155】
本明細書に記載の方法のいずれか1つによる一部の実施形態では、AAC(例えば、RBC由来ベシクル)は、複数の免疫原性エピトープを含む複数のHPV抗原を含む。さらなる実施形態では、複数の免疫原性エピトープを含む複数の抗原を含むAACの個体への投与後、複数の免疫原性エピトープは、他の免疫原性エピトープのいずれかに対する個体における免疫応答を減少させない。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原はポリペプチドであり、免疫原性エピトープは免疫原性ペプチドエピトープである。一部の実施形態では、免疫原性ペプチドエピトープは、N末端隣接ポリペプチドおよび/またはC末端隣接ポリペプチドに融合されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、免疫原性ペプチドエピトープおよび1つまたは複数の異種ペプチド配列を含むポリペプチドである。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、異種ペプチド配列がそのN末端および/またはそのC末端で隣接している免疫原性ペプチドエピトープを含むポリペプチドである。一部の実施形態では、隣接異種ペプチド配列は、疾患関連免疫原性ペプチド由来する。一部の実施形態では、隣接異種ペプチド配列は天然に存在しない配列である。一部の実施形態では、隣接異種ペプチド配列は免疫原性合成長鎖ペプチド(SLP)に由来する。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、MHCクラスI拘束性ペプチドおよび/またはMHCクラスII拘束性ペプチドにプロセシングされ得る。
アジュバント
【0156】
本明細書で使用される場合、「アジュバント」という用語は、免疫応答を、直接的または間接的のいずれかで、モジュレートおよび/または発生させる物質を指し得る。本発明の一部の実施形態では、アジュバントは、無核細胞またはAACの集団、例えば、RBCまたはRBC由来ベシクルの集団に、細胞内送達されて(すなわち、個体への投与の前であるが、狭窄処理の前、その間、および/またはその後の細胞またはベシクルのアジュバントとのインキュベーション)、アジュバントを含むAACを形成する。一部の例では、アジュバントは、HPV抗原と併せて投与されて、HPV抗原単独と比較して少なくとも1つのHPV抗原に対する免疫応答の増強をもたらす。したがって、アジュバントは、HPV抗原に対する免疫細胞応答(例えば、T細胞応答)の誘発をブーストするために使用することができる。例示的なアジュバントとしては、限定なく、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)アゴニスト、およびレチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-I)アゴニスト、ならびにTLR3、TLR4、TLR7、TLR8および/またはTLR9のためのアゴニストが挙げられる。例示的なアジュバントとしては、限定なく、CpG ODN、インターフェロン-α(IFN-α)、ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(ポリI:C)、イミキモド(R837)、レシキモド(R848)、またはリポ多糖(LPS)が挙げられる。一部の実施形態では、アジュバントは、CpG ODN、LPS、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、α-ガラクトシルセラミド、STINGアゴニスト、環状ジヌクレオチド(CDN)、RIG-Iアゴニスト、ポリイノシン:ポリシチジン酸(ポリI:C)、R837、R848、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、またはTLR9アゴニストである。特定の実施形態では、アジュバントはCpG ODNである。一部の実施形態では、アジュバントはCpG ODNである。一部の実施形態では、CpG ODNは、クラスA CpG ODN、クラスB CpG ODN、またはクラスC CpG ODNである。一部の実施形態では、CpG ODNアジュバントは、CpG ODN1018、CpG ODN1585、CpG ODN2216、CpG ODN2336、CpG ODN1668、CpG ODN1826、CPG ODN2006、CpG ODN2007、CpG ODN BW006、CpG ODN D-SL01、CpG ODN2395、CpG ODN M362、CpG ODN D-SL03の群から選択されたものを含む。一部の実施形態では、CpG ODNアジュバントは、CpG ODN1826(TCCATGACGTTCCTGACGTT;配列番号30)またはCpG ODN2006(CpG7909としても公知)(TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT;配列番号31)オリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、アジュバントはCpG7909である。一部の実施形態では、RIG-Iアゴニストは、ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(ポリI:C)を含む。複数のアジュバントを、免疫応答の誘発を増強するためのHPV抗原と併せて使用することもできる。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原を含むAACは1つよりも多いアジュバントをさらに含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原を含むAACは、アジュバントのCpG ODN、LPS、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、アルファ-ガラクトシルセラミド、STINGアゴニスト、環状ジヌクレオチド(CDN)、RIG-Iアゴニスト、ポリイノシン:ポリシチジル酸(ポリI:C)、R837、R848、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、またはTLR9アゴニストの任意の組合せをさらに含む。
HPV抗原およびアジュバントを含むAACのさらなる改変
【0157】
本明細書に記載の方法のいずれか1つによる一部の実施形態では、AACの組成物は、作用物質をさらに含み、この作用物質は、この作用物質を含まない対応するAACの組成物と比較してAACの機能を増強する。一部の実施形態では、AACの組成物は、作用物質をさらに含み、この作用物質は、この作用物質を含まない対応するAACの組成物と比較して凍結-解凍サイクルの際のAACの機能を増強する。一部の実施形態では、作用物質は、凍結保存剤および/または低温保存剤である。一部の実施形態では、凍結保存剤も低温保存剤も、任意の凍結-解凍サイクルの前の作用物質を含まない対応するAACの組成物と比較して作用物質を含むAACの組成物において10%または20%を超える細胞死を予防する。一部の実施形態では、凍結保存剤および/または低温保存剤を含む無核細胞由来ベシクル組成物の凍結-解凍サイクルは、凍結-解凍サイクル前の無核由来ベシクルの対応する組成物と比較した場合に、10%、20%、30%、40%、または50%以下の機能の喪失を引き起こす。一部の実施形態では、凍結保存剤および/または低温保存剤を含む無核細胞由来ベシクル組成物の凍結-解凍サイクルは、凍結保存剤および/または低温保存剤なしの無核由来ベシクルの対応する組成物の凍結-解凍サイクルと比較した場合に、10%、20%、30%、40%、または50%より少ない機能の喪失を引き起こす。一部の実施形態では、無核細胞由来ベシクル組成物の機能または機能性は、アネキシンV染色に対して陽性である無核細胞由来ベシクルのパーセンテージによって測定される。一部の実施形態では、無核細胞由来ベシクル組成物の機能または機能性は、CD235a染色に対して陽性である無核細胞由来ベシクルのパーセンテージによって測定される。一部の実施形態では、無核細胞由来ベシクル組成物の機能または機能性はCD235aおよびアネキシンV染色に陽性である無核細胞由来ベシクルのパーセンテージによって測定される。一部の実施形態では、AACの少なくとも約70%、約80%、または約90%は、最大で1、2、3、4、5回の凍結-解凍サイクルの後、機能性である。一部の実施形態では、作用物質は、エンドサイトーシスを増強する化合物、安定剤、または補因子である。一部の実施形態では、作用物質はアルブミンである。一部の実施形態では、アルブミンは、マウス、ウシ、またはヒトアルブミンである。一部の実施形態では、アルブミンは、マウス、ウシ、またはヒトアルブミンのうちの1つまたは複数である。一部の実施形態では、作用物質はヒトアルブミンである。一部の実施形態では、作用物質は、二価金属カチオン、グルコース、ATP、カリウム、グリセロール、トレハロース、D-スクロース、PEG1500、L-アルギニン、L-グルタミン、またはEDTAのうちの1つまたは複数である。一部の実施形態では、二価金属カチオンは、Mg2+、Zn2+またはCa2+のうちの1つまたは複数である。一部の実施形態では、作用物質は、ピルビン酸ナトリウム、アデニン、トレハロース、デキストロース、マンノース、スクロース、ヒト血清アルブミン(HSA)、DMSO、HEPES、グリセロール、グルタチオン、イノシン、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、ナトリウム金属イオン、カリウム金属イオン、マグネシウム金属イオン、塩化物、アセテート、グルコネート、スクロース、水酸化カリウム、または水酸化ナトリウムのうちの1つまたは複数である。一部の実施形態では、作用物質は、ピルビン酸ナトリウム、アデニン、Rejuvesol(登録商標)、トレハロース、デキストロース、マンノース、スクロース、ヒト血清アルブミン(HSA)、PlasmaLyte(登録商標)、DMSO、Cryostor(登録商標)CS2、Cryostor(登録商標)CS5、Cryostor(登録商標)CS10、Cryostor(登録商標)CS15、HEPES、グリセロール、グルタチオン、HypoThermosol(登録商標)のうちの1つまたは複数である。
【0158】
本明細書に記載の方法のいずれか1つによる一部の実施形態では、プロセスは、AACの組成物を、さらなるインキュベーションステップなしで調製された対応するAACと比較してAACの機能を増強する作用物質とともにインキュベートするステップをさらに含む。
【0159】
一部の実施形態では、製剤は凍結保存媒体を含む。一部の実施形態では、製剤は、約9mL~約10mLの凍結保存媒体中に約1×109~約1×1011AACを含む。一部の実施形態では、製剤は、約9mL~約10mLの凍結保存媒体中に約0.5×107、0.7×107、1.0×107、0.5×108、0.7×108、1.0×108、0.5×109、0.7×109、1.0×109、0.5×1010、0.7×1010、1.0×1010、0.5×1011、0.7×1011、1.0×1011、0.5×1012、0.7×1012、および1.0×1012AACのうちのいずれか1つを含む。一部の実施形態では、製剤は、約9mL~約10mLの凍結保存媒体中に約0.5×107~約1.0×107、約1.0×107~約0.5×108AAC、約0.5×108~約1.0×108、約1.0×108~約0.5×109AAC、約0.5×109~約1.0×109、約1.0×109~約0.5×1010、約0.5×1010~約1.0×1010、約1.0×1010~約0.5×1011、約0.5×1011~約1.0×1011AAC、約1.0×1011~約0.5×1012AACのうちのいずれか1つを含む。一部の実施形態では、製剤は、約9mL~約10mLの凍結保存媒体中に約1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、および1×1010AACのうちのいずれか1つを含む。一部の実施形態では、製剤は、約9.5mLの凍結保存媒体中に約1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、および1×1010AACのうちのいずれか1つを含む。一部の実施形態では、製剤は、約9mL~約10mLの凍結保存媒体中に約7×109AACを含む。一部の実施形態では、製剤は、約9.5mLの凍結保存媒体中に約7×109AACを含む。一部の実施形態では、製剤は、約9.5mLの凍結保存媒体中に約6.65×109AACを含む。一部の実施形態では、AACを含む製剤は、凍結保存媒体中に約0.5×107、0.7×107、1.0×107、0.5×108、0.7×108、1.0×108、0.5×109、0.7×109、1.0×109、0.5×1010、0.7×1010、1.0×1010、0.5×1011、0.7×1011、1.0×1011、0.5×1012、0.7×1012、および1.0×1012AACのうちのいずれか1つを含む。一部の実施形態では、製剤は、凍結保存媒体中に約0.5×107~約1.0×107、約1.0×107~約0.5×108AAC、約0.5×108~約1.0×108、約1.0×108~約0.5×109AAC、約0.5×109~約1.0×109、約1.0×109~約0.5×1010、約0.5×1010~約1.0×1010、約1.0×1010~約0.5×1011、約0.5×1011~約1.0×1011AAC、約1.0×1011~約0.5×1012AACのうちのいずれか1つを含む。一部の実施形態では、製剤は、凍結保存媒体中に約1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、および1×1010AACのうちのいずれか1つを含む。一部の実施形態では、製剤は、凍結保存媒体中に約7×109AACを含む。一部の実施形態では、製剤は、凍結保存媒体中に約6.65×109AACを含む。一部の実施形態では、製剤は、解凍後の凍結保存媒体中に約0.7×109AAC/mLを含む。一部の実施形態では、製剤は、コールターカウンターによって測定された場合に、解凍後の凍結保存媒体中に約0.7×109AAC/mLを含む。一部の実施形態では、凍結保存媒体はCryoStor(登録商標)CS2を含む。一部の実施形態では、凍結保存媒体はCryoStor(登録商標)CS2である。
【0160】
一部の実施形態では、AACを含む組成物は、約9mL~約10mLのCryoStor(登録商標)CS2中に約7×109AACを含む。一部の実施形態では、AACを含む組成物は、約9.5mLのCryoStor(登録商標)CS2中に約7×109AACを含む。一部の実施形態では、製剤は、約9.5mLのCryoStor(登録商標)CS2中に約6.65×109AACを含む。
【0161】
一部の実施形態では、製剤中のAACは、最大で1、2、3、4、5回の凍結-解凍サイクルまで、約50%に等しいまたはそれよりも高い機能性を維持している。一部の実施形態では、製剤は、最大で1、2、3、4、5回の凍結-解凍サイクルまで、約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%に等しいまたはそれよりも高い機能性を維持している。一部の実施形態では、製剤中のAACは、-140℃またはそれより下の温度で少なくとも12か月間の保管後に約70%に等しいまたはそれよりも高い機能性を維持している。一部の実施形態では、製剤は、-140℃またはそれより下の温度で少なくとも12か月間の保管後に約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%に等しいまたはそれよりも高い機能性を維持している。一部の実施形態では、製剤は、-140℃またはそれより下の温度で少なくとも6、9、12、15、18、24、30、または36か月間の保管後に約70%に等しいまたはそれよりも高い機能性を維持している。一部の実施形態では、製剤は、-100℃、-110℃、-120℃、-130℃、-140℃、-150℃、-160℃、-170℃、-180℃、-190℃、もしくは-200℃またはそれより下の温度で少なくとも12か月間の保管後に約70%に等しいまたはそれよりも高い機能性を維持している。
【0162】
一部の実施形態では、製剤中のAACは、最大で1、2、3、4、5回の凍結-解凍サイクルまで、約50%に等しいまたはそれよりも高いアネキシンVおよび/またはCD235aに対する陽性染色を維持している。一部の実施形態では、製剤は、最大で1、2、3、4、5回の凍結-解凍サイクルまで、約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%に等しいまたはそれよりも高いアネキシンVおよび/またはCD235aに対する陽性染色を維持している。一部の実施形態では、製剤中のAACは、-140℃またはそれより下の温度で少なくとも12か月間の保管後に約70%に等しいまたはそれよりも高いアネキシンVおよび/またはCD235aに対する陽性染色を維持している。一部の実施形態では、製剤は、-140℃またはそれより下の温度で少なくとも12か月間の保管後に約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%に等しいまたはそれよりも高いアネキシンVおよび/またはCD235aに対する陽性染色を維持している。一部の実施形態では、製剤は、-140℃またはそれより下の温度で少なくとも6、9、12、15、18、24、30、または36か月間の保管後に約70%に等しいまたはそれよりも高いアネキシンVおよび/またはCD235aに対する陽性染色を維持している。一部の実施形態では、製剤は、-100℃、-110℃、-120℃、-130℃、-140℃、-150℃、-160℃、-170℃、-180℃、-190℃、もしくは-200℃またはそれより下の温度で少なくとも12か月間の保管後に約70%に等しいまたはそれよりも高いアネキシンVおよび/またはCD235aに対する陽性染色を維持している。
【0163】
一部の実施形態では、製剤中のAACは、最大で1、2、3、4、5回の凍結-解凍サイクルまで、約50%に等しいまたはそれよりも高いアネキシンVおよび/またはCD235aに対する陽性染色を維持している。一部の実施形態では、製剤は、最大で1、2、3、4、5回の凍結-解凍サイクルまで、約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%に等しいまたはそれよりも高いアネキシンVおよび/またはCD235aに対する陽性染色を維持している。一部の実施形態では、製剤中のAACは、-140℃またはそれより下の温度で少なくとも12か月間の保管後に約70%に等しいまたはそれよりも高いアネキシンVおよび/またはCD235aに対する陽性染色を維持している。一部の実施形態では、製剤は、-140℃またはそれより下の温度で少なくとも12か月間の保管後に約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%に等しいまたはそれよりも高いアネキシンVおよび/またはCD235aに対する陽性染色を維持している。一部の実施形態では、製剤は、-140℃またはそれより下の温度で少なくとも6、9、12、15、18、24、30、または36か月間の保管後に約70%に等しいまたはそれよりも高いアネキシンVおよび/またはCD235aに対する陽性染色を維持している。一部の実施形態では、製剤は、-100℃、-110℃、-120℃、-130℃、-140℃、-150℃、-160℃、-170℃、-180℃、-190℃、もしくは-200℃またはそれより下の温度で少なくとも12か月間の保管後に約70%に等しいまたはそれよりも高いアネキシンVおよび/またはCD235aに対する陽性染色を維持している。
HPV抗原を含むAACの組成物の作出において使用される狭窄
【0164】
一部の実施形態では、本発明は、免疫応答を刺激するための、HPV抗原を含むAACの組成物を提供する。一部の実施形態では、無核細胞は、RBCまたは血小板である。一部の実施形態では、無核細胞は、赤血球または網状赤血球である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、無核細胞に細胞内送達される。ペイロードを無核細胞に導入する方法は、当技術分野において公知である。
【0165】
一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原は、一時的なポアが細胞の膜に導入され、それによって、少なくとも1つのHPV抗原が細胞に入るのを可能にするように、細胞を、狭窄を通過させることによって、無核細胞に導入される。化合物の細胞への狭窄に基づく送達の例は、WO2013/059343、WO2015/023982、WO2016/070136、WO2017041050、WO2017008063、WO2017/192785、WO2017/192786、WO2019/178005、WO2019/178006、WO2020/072833、WO2020/154696、およびWO2020/176789、US20180142198、およびUS20180201889によって提供されている。
【0166】
一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントは、無核細胞(例えば、RBC)を含む細胞懸濁液を、狭窄を通過させることにより、無核細胞に送達されて、本発明のAACを生じ、ここで、狭窄は、細胞を変形させ、それによって、HPV抗原およびアジュバントが細胞に入るように、細胞の摂動を引き起こす。一部の実施形態では、狭窄は、マイクロ流体チャネル内に含有される。一部の実施形態では、複数の狭窄は、マイクロ流体チャネル内に、並列および/または直列で配置することができる。
【0167】
一部の実施形態では、マイクロ流体チャネル内の狭窄は、入口部分、中心点および出口部分を含む。一部の実施形態では、マイクロ流体チャネル内の狭窄の長さ、深さおよび幅は、変動させることができる。一部の実施形態では、マイクロ流体チャネル内の狭窄の幅は、無核細胞の直径の関数である。無核細胞の直径を決定するための方法は、当技術分野において公知であり、例えば、高含有量イメージング、細胞計数器またはフローサイトメトリーである。
【0168】
HPV抗原のAACへの狭窄に基づく送達の一部の実施形態では、狭窄の幅は、約0.5μm~約10μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約1μm~約4μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約1μm~約3μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約1.5μm~約2.5μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約1.2μm~約2.8μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約0.5μm~約5μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約2μm~約2.5μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約1.5μm~約2μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約0.5μm~約3.5μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約3.2μm~約3.8μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約3.8μm~約4.3μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約0.25μm、0.5μm、1.0μm、1.2μm、1.4μm、1.6μm、1.8μm、2.0μm、2.2μm、2.4μm、2.6μm、2.8μm、3.0μm、3.2μm、3.4μm、3.6μm、3.8μm、4.0μm、4.2μm、4.4μm、4.6μm、4.8μm、5.0μm、5.2μm、5.4μm、5.6μm、5.8μm、6.0μmのうちのいずれか1つ、または0.25μm、0.5μm、1.0μm、1.2μm、1.4μm、1.6μm、1.8μm、2.0μm、2.2μm、2.4μm、2.6μm、2.8μm、3.0μm、3.2μm、3.4μm、3.6μm、3.8μm、4.0μm、4.2μm、4.4μm、4.6μm、4.8μm、5.0μm、5.2μm、5.4μm、5.6μm、5.8μm、6.0μm未満のうちのいずれか1つである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約2μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約2.2μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約2.5μmである。一部の実施形態では、狭窄の幅は、約3μmである。
【0169】
AACへの化合物の送達に影響を与え得るパラメーターの例としては、限定されるものではないが、狭窄の寸法、狭窄の入口の角度、狭窄の表面の性質(例えば、粗さ、化学修飾、親水性、疎水性など)、運転流束(例えば、狭窄を通る細胞通過時間)、細胞の濃度、細胞懸濁液中の化合物の濃度、細胞懸濁液中の緩衝剤および狭窄を通過した後にAACを回復させるまたはインキュベートする時間の量が挙げられ、AACに送達される化合物の通過に影響を及ぼし得る。AACへの化合物の送達に影響を与える追加のパラメーターとしては、狭窄におけるインプット無核細胞の速度、狭窄におけるせん断速度、細胞懸濁液の粘度、流速に垂直な速度成分、および狭窄における時間を挙げることができる。加えて、チャネルを直列および/または並列で含む複数のチップは、AACへの送達に影響を与え得る。並列の複数のチップは、スループットを増強するのに有用であり得る。そのようなパラメーターは、化合物の送達を制御するために設計することができる。一部の実施形態では、細胞の濃度は、約10~少なくとも約1012個細胞/mL、またはそれらの間の任意の濃度もしくは濃度の範囲に及ぶ。一部の実施形態では、送達化合物の濃度は、約10ng/mL~約1g/mL、またはそれらの間の任意の濃度もしくは濃度の範囲に及び得る。一部の実施形態では、送達化合物の濃度は、約1pM~少なくとも約2M、またはそれらの間の任意の濃度もしくは濃度の範囲に及び得る。
【0170】
一部の実施形態では、無核細胞または無核細胞由来ベシクルとともにインキュベートされるHPV抗原の濃度は、約0.01μM~約10mMである。例えば、一部の実施形態では、無核細胞またはAACとともにインキュベートされるHPV抗原の濃度は、約0.01μM、約0.1μM、約1μM、約10μM、約100μM、約1mM、または約10mM未満のうちのいずれかである。一部の実施形態では、無核細胞またはAACとともにインキュベートされるHPV抗原の濃度は、約10mMよりも高い。一部の実施形態では、無核細胞またはAACとともにインキュベートされるHPV抗原の濃度は、約0.01μM~約0.1μM、約0.1μM~約1μM、約1μM~約10μM、約10μM~約100μM、約100μM~約1mM、または1mM~約10mMのうちのいずれかである。一部の実施形態では、無核細胞またはAACとともにインキュベートされるHPV抗原の濃度は、約0.1μM~約1mMである。一部の実施形態では、無核細胞またはAACとともにインキュベートされるHPV抗原の濃度は、約0.1μM~約10μMである。一部の実施形態では、無核細胞またはAACとともにインキュベートされるHPV抗原の濃度は、1μMである。
【0171】
一部の実施形態では、摂動インプット無核細胞とともにインキュベートされる抗原の濃度は、約0.01μM~約10mMである。例えば、一部の実施形態では、摂動インプット無核細胞とともにインキュベートされる抗原の濃度は、約0.01μM~約10mMである。例えば、一部の実施形態では、摂動インプット無核細胞とともにインキュベートされる抗原の濃度は、約0.01μM、約0.1μM、約1μM、約10μM、約100μM、約1mM、または約10mM未満のうちのいずれかである。一部の実施形態では、摂動インプット無核細胞とともにインキュベートされる抗原の濃度は、約10mMよりも高い。一部の実施形態では、摂動インプット無核細胞とともにインキュベートされる抗原の濃度は、約0.01μM~約0.1μM、約0.1μM~約1μM、約1μM~約10μM、約10μM~約100μM、約100μM~約1mM、または1mM~約10mMのうちのいずれかである。一部の実施形態では、摂動インプット無核細胞とともにインキュベートされる抗原の濃度は、約0.1μM~約1mMである。一部の実施形態では、摂動インプット無核細胞とともにインキュベートされる抗原の濃度は、約0.1μM~約10μMである。一部の実施形態では、摂動インプット無核細胞とともにインキュベートされる抗原の濃度は、1μMである。
【0172】
一部の実施形態では、摂動インプット無核細胞とともにインキュベートされる抗原対アジュバントのモル比は、約10000:1~約1:10000のうちのいずれかである。例えば、一部の実施形態では、摂動インプット無核細胞とともにインキュベートされる抗原対アジュバントのモル比は、約10000:1、約1000:1、約100:1、約10:1、約1:1、約1:10、約1:100、約1:1000、または約1:10000のうちのいずれかである。一部の実施形態では、摂動インプット無核細胞とともにインキュベートされる抗原対アジュバントのモル比は、約10000:1~約1000:1、約1000:1~約100:1、約100:1~約10:1、約10:1~約1:1、約1:1~約1:10、約1:10~約1:100、約1:100~約1:1000、約1:1000~約1:10000のうちのいずれかである。一部の実施形態では、摂動インプット無核細胞とともにインキュベートされる抗原対アジュバントのモル比は、約200:1である。一部の実施形態では、摂動インプット無核細胞とともにインキュベートされる抗原対アジュバントのモル比は、約20:1である。
【0173】
一部の実施形態では、AACは、約1nM~約1mMの濃度でアジュバントを含む。例えば、一部の実施形態では、AACは、約0.01μM、約0.1μM、約1μM、約10μM、約100μM、約1mM、または約10mM未満のうちのいずれかの濃度でアジュバントを含む。一部の実施形態では、AACは、約10mMのいずれかよりも高い濃度でアジュバントを含む。一部の実施形態では、AACは、約1nM~約10nM、約0.1μM~約1μM、約1μM~約10μM、約10μM~約100μM、約100μM~約1mM、または1mM~約10mMのうちのいずれかの濃度でアジュバントを含む。一部の実施形態では、AACは、約0.1μM~約1mMの濃度でアジュバントを含む。一部の実施形態では、AACは、約1μMの濃度でアジュバントを含む。
【0174】
一部の実施形態では、AACは、約1nM~約1mMの濃度で抗原を含む。例えば、一部の実施形態では、AACは、約0.01μM、約0.1μM、約1μM、約10μM、約100μM、約1mM、または約10mM未満のうちのいずれかの濃度で抗原を含む。一部の実施形態では、AACは、約10mMのいずれかよりも高い濃度で抗原を含む。一部の実施形態では、AACは、約1nM~約10nM、約0.1μM~約1μM、約1μM~約10μM、約10μM~約100μM、約100μM~約1mM、または1mM~約10mMのうちのいずれかの濃度で抗原を含む。一部の実施形態では、AACは、約0.1μM~約1mMの濃度で抗原を含む。一部の実施形態では、AACは、約1μMの濃度で抗原を含む。
【0175】
一部の実施形態では、AACにおける抗原対アジュバントのモル比は、約10000:1~約1:10000のうちのいずれかである。例えば、一部の実施形態では、改変PBMCにおける抗原対アジュバントのモル比は、約10000:1、約1000:1、約100:1、約10:1、約1:1、約1:10、約1:100、約1:1000、または約1:10000のうちのいずれかである。一部の実施形態では、AACにおける抗原対アジュバントのモル比は、約10000:1~約1000:1、約1000:1~約100:1、約100:1~約10:1、約10:1~約1:1、約1:1~約1:10、約1:10~約1:100、約1:100~約1:1000、約1:1000~約1:10000のうちのいずれかである。一部の実施形態では、AACにおける抗原対アジュバントのモル比は、約200:1である。一部の実施形態では、AACにおける抗原対アジュバントのモル比は、約20:1である。
AACの特徴および抗原提示細胞による内部移行
【0176】
本明細書に記載の方法、使用、または組成物のいずれか1つによる実施形態では、方法は、a)インプット無核細胞を含む細胞懸濁液を、細胞変形狭窄を通過させるステップであって、狭窄の直径は、懸濁液中のインプット無核細胞の直径の関数であり、それによって、HPV抗原およびアジュバントが通過するのに十分に大きなインプット無核細胞の摂動を引き起こして摂動インプット無核細胞を形成するステップ;b)少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントが摂動インプット無核細胞に入るのを可能にするのに十分な時間、摂動インプット無核細胞を少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントとともにインキュベートし、それによって、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを作出するステップを含む。一部の実施形態では、ペイロード(HPV抗原およびアジュバントなど)を含むAACは、インプット無核細胞と比較して、異なる特徴を示す。一部の実施形態では、ペイロード(HPV抗原およびアジュバントなど)を含むAACは、他の送達方法(溶血ローディングまたは電気穿孔など)によって導入されたペイロードを含む無核細胞と比較して、異なる特徴を示す。
【0177】
一部の実施形態では、哺乳動物への投与後のAACの半減期は、哺乳動物への投与後のインプット無核細胞の半減期と比較して減少する。一部の実施形態では、AACのヘモグロビン含有量は、インプット無核細胞のヘモグロビン含有量と比較して減少する。一部の実施形態では、AACのATP産生は、インプット無核細胞のATP産生と比較して減少する。一部の実施形態では、AACは球状形態を示す。一部の実施形態では、AACは赤血球であり、AACは、インプット無核細胞と比較して、低下した両凹形状を有する。一部の実施形態では、AACは赤血球細胞ゴーストである。一部の実施形態では、本プロセスによって調製されたAACは、インプット無核細胞と比較して、その表面上に約1.5倍よりも多くのホスファチジルセリンを有する。一部の実施形態では、本プロセスによって調製されたAACの集団プロファイルは、インプット無核細胞と比較して、表面上でより高い平均ホスファチジルセリンレベルを示す。一部の実施形態では、本プロセスによって調製されたAACの集団プロファイルの少なくとも50%は、インプット無核細胞と比較して、表面上でより高いホスファチジルセリンレベルを示す。一部の実施形態では、AACは、インプット無核細胞と比較して、組織または細胞における優先的な取り込みを示す。一部の実施形態では、AACは、インプット無核細胞と比較して、食細胞および/または抗原提示細胞における優先的な取り込みを示す。一部の実施形態では、AACは改変されて、インプット無核細胞と比較して、組織または細胞における取り込みが増強される。一部の実施形態では、AACは改変されて、未改変AACと比較して、食細胞および/または抗原提示細胞における取り込みが増強される。一部の実施形態では、食細胞および/または抗原提示細胞は、樹状細胞またはマクロファージのうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、組織または細胞は、肝臓または脾臓のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、AACは、その表面にCD47を含む。
【0178】
AACを作出するための上記の方法の一部の実施形態では、狭窄は、マイクロ流体チャネル内に含有される。一部の実施形態では、マイクロ流体チャネルは、複数の狭窄を含む。一部の実施形態では、複数の狭窄は、直列および/または並列で配置されている。一部の実施形態では、狭窄は、複数のマイクロピラー間、アレイに構成された複数のマイクロピラー間、または1つもしくは複数の可動プレート間にある。一部の実施形態では、狭窄は、ポアであるか、またはポア内に含有される。一部の実施形態では、ポアは、表面に含有される。一部の実施形態では、表面はフィルターである。一部の実施形態では、表面は膜である。一部の実施形態では、狭窄のサイズは、懸濁液中のインプット無核細胞の直径の関数である。一部の実施形態では、狭窄のサイズは、懸濁液中のインプット無核細胞の直径の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、または約70%である。一部の実施形態では、狭窄は、約0.25μm~約4μmの幅を有する。一部の実施形態では、狭窄は、約4μm、3.5μm、約3μm、約2.5μm、約2μm、約1.5μm、約1μm、約0.5μm、または約0.25μmの幅を有する。一部の実施形態では、狭窄は、約2.2μmの幅を有する。一部の実施形態では、インプット無核細胞を、約10psi~約90psiの範囲の圧力下で狭窄を通過させる。一部の実施形態では、前記細胞懸濁液は、狭窄を通過する前、それと並行して、またはその後に、抗原と接触する。
【0179】
一部の実施形態では、ペイロード(例えば、HPV抗原、HPV抗原およびアジュバント)を含むAACは、インプット無核細胞から調製される場合、AACは、以下の性質のうちの1つまたは複数を有する:(a)哺乳動物における循環半減期が、インプット無核細胞と比較して減少する、(b)インプット無核細胞と比較して減少したヘモグロビンレベル、(c)球状形態、(d)インプット無核細胞と比較して増加した表面ホスファチジルセリンレベル、または(e)インプット無核細胞と比較して低下したATP産生。
【0180】
一部の実施形態では、インプット無核細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、インプット無核細胞はヒト細胞である。一部の実施形態では、インプット無核細胞は、赤血球細胞または血小板である。一部の実施形態では、赤血球細胞は、赤血球または網状赤血球である。
【0181】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるAACの循環半減期は、インプット無核細胞と比較して減少する。一部の実施形態では、哺乳動物における循環半減期は、インプット無核細胞と比較して、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%よりも大きく減少する。
【0182】
一部の実施形態では、インプット無核細胞はヒト細胞であり、AACの循環半減期は、約1分、約2分、約5分、約10分、約15分、約30分、約1時間、約6時間、約12時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約10日、約25日、約50日、約75日、約100日、約120日未満である。
【0183】
一部の実施形態では、インプット無核細胞は赤血球細胞であり、AACにおけるヘモグロビンレベルは、インプット無核細胞と比較して減少する。一部の実施形態では、AACにおけるヘモグロビンレベルは、インプット無核細胞と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約99%、または約100%減少する。一部の実施形態では、AACにおけるヘモグロビンレベルは、インプット無核細胞におけるヘモグロビンのレベルの約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、または約50%である。
【0184】
一部の実施形態では、インプット無核細胞は赤血球であり、AACは球状の形態である。一部の実施形態では、インプット無核細胞は赤血球であり、AACは、インプット無核細胞と比較して低下した両凹形状を有する。
【0185】
一部の実施形態では、インプット無核細胞は赤血球細胞または赤血球であり、AACは赤血球細胞ゴースト(RBCゴースト)である。
【0186】
一部の実施形態では、AACは、その表面にCD47を含む。
【0187】
一部の実施形態では、AACは、インプット無核細胞と比較して増加した表面ホスファチジルセリンレベルを有する。一部の実施形態では、本プロセスによって調製されたAACは、インプット無核細胞と比較して、その表面上に約1.5倍よりも多くのホスファチジルセリンを有する。一部の実施形態では、AACは、インプット無核細胞と比較して、その表面上に約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約99%、約100%、または約100%よりも多くのホスファチジルセリンを有する。一部の実施形態では、AACの表面上のホスファチジルセリンのレベルは、AACの表面上のアネキシン染色(例えば、アネキシンV染色)のレベルを測定することによって決定される。
【0188】
一部の実施形態では、AACは、インプット無核細胞と比較して低下したATP産生を有する。一部の実施形態では、AACは、インプット無核細胞によって産生されるATPのレベルの約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、または約50%未満でATPを産生する。一部の実施形態では、AACはATPを産生しない。
【0189】
一部の実施形態では、AACは、インプット無核細胞と比較して、組織または細胞における増強された取り込みを示す。一部の実施形態では、AACは、インプット無核細胞の取り込みと比較して、肝臓もしくは脾臓における、または食細胞もしくは抗原提示細胞による、優先的な取り込みを示す。
【0190】
一部の実施形態では、AACはさらに改変されて、インプット無核細胞と比較して、組織または細胞における取り込みが増強される。一部の実施形態では、AACはさらに改変されて、インプット無核細胞の取り込みと比較して、肝臓もしくは脾臓における、または食細胞もしくは抗原提示細胞による、取り込みが増強される。
【0191】
一部の実施形態では、AACが、肝臓もしくは脾臓における、または食細胞および/もしくは抗原提示細胞による、増強された取り込みを示す場合、AACの内部移行は、食細胞または抗原提示細胞の成熟マーカーの増加した発現をもたらす。一部の実施形態では、食細胞および/または抗原提示細胞は単球由来樹状細胞(MODC)である。一部の実施形態では、成熟マーカーは、CD80、CD86、CD83、およびMHC-IIのうちの1つまたは複数である。一部の実施形態では、CD80、CD86、CD83、およびMHC-IIのうちの1つまたは複数の発現は、HPV抗原を含むAACと接触した食細胞および/または抗原提示細胞において、HPV抗原を含むAACと接触していない食細胞および/または抗原提示細胞と比較して、少なくとも約10%、20%、50%、80%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、1000倍、10000倍またはそれよりも高いのうちのいずれか1つまで増加する。一部の実施形態では、CD80、CD86、CD83、およびMHC-IIのうちの1つまたは複数の発現は、HPV抗原を含むAACと接触した食細胞および/または抗原提示細胞において、インプット無核細胞と接触した食細胞および/または抗原提示細胞と比較して、少なくとも約10%、20%、50%、80%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、1000倍、10000倍またはそれよりも高いのうちのいずれか1つまで増加する。
【0192】
一部の実施形態では、HPV抗原、またはHPV抗原およびアジュバントを含むAACが、肝臓もしくは脾臓における、または食細胞および/もしくは抗原提示細胞による、増強された取り込みを示す場合、AACの内部移行は、AAC内に含まれる少なくとも1つのHPV抗原の増加された提示をもたらす。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原の提示は、HPV抗原を含むAACと接触した食細胞および/または抗原提示細胞において、他の送達方法(限定されるものではないが溶血ローディングなど)によって導入された同じHPV抗原を含む対応する無核細胞と接触した食細胞および/または抗原提示細胞と比較して、少なくとも約10%、20%、50%、80%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、1000倍、10000倍またはそれよりも高いのうちのいずれか1つまで増加する。
【0193】
一部の実施形態では、HPV抗原、またはHPV抗原およびアジュバントを含むAACが、肝臓もしくは脾臓における、または食細胞および/もしくは抗原提示細胞による、増強された取り込みを示す場合、AACの内部移行は、抗原特異的免疫応答を誘導する食細胞および/または抗原提示細胞の増加した能力をもたらす。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACと接触した食細胞および/または抗原提示細胞によって媒介される抗原特異的免疫応答は、インプット無核細胞と接触した食細胞および/または抗原提示細胞と比較して、少なくとも約10%、20%、50%、80%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、1000倍、10000倍またはそれよりも高いのうちのいずれか1つまで増加する。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACと接触した食細胞および/または抗原提示細胞によって媒介される抗原特異的免疫応答は、他の送達方法(限定されるものではないが溶血ローディングなど)によって導入された同じHPV抗原を含む無核細胞と接触した食細胞および/または抗原提示細胞と比較して、少なくとも約10%、20%、50%、80%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、1000倍、10000倍またはそれよりも高いのうちのいずれか1つまで増加する。一部の実施形態では、抗原特異的免疫応答は、抗原特異的CD4+ T細胞応答である。一部の実施形態では、抗原特異的免疫応答は、抗原特異的CD8+ T細胞応答である。
【0194】
一部の実施形態では、個体は、HLA-A*02、HLA-A*01、HLA-A*03、HLA-A*24、HLA-A*11、HLA-A*26、HLA-A*32、HLA-A*31、HLA-A*68、HLA-A*29、HLA-A*23、HLA-B*07、HLA-B*44、HLA-B*08、HLA-B*35、HLA-B*15、HLA-B*40、HLA-B*27、HLA-B*18、HLA-B*51、HLA-B*14、HLA-B*13、HLA-B*57、HLA-B*38、HLA-C*07、HLA-C*04、HLA-C*03、HLA-C*06、HLA-C*05、HLA-C*12、HLA-C*02、HLA-C*01、HLA-C*08、および/またはHLA-C*16に対して陽性である。
【0195】
本明細書に記載の方法、組成物、または使用のいずれか1つによる一部の実施形態では、食細胞は、HLA-A*02、HLA-A*01、HLA-A*03、HLA-A*24、HLA-A*11、HLA-A*26、HLA-A*32、HLA-A*31、HLA-A*68、HLA-A*29、HLA-A*23、HLA-B*07、HLA-B*44、HLA-B*08、HLA-B*35、HLA-B*15、HLA-B*40、HLA-B*27、HLA-B*18、HLA-B*51、HLA-B*14、HLA-B*13、HLA-B*57、HLA-B*38、HLA-C*07、HLA-C*04、HLA-C*03、HLA-C*06、HLA-C*05、HLA-C*12、HLA-C*02、HLA-C*01、HLA-C*08、および/またはHLA-C*16のハプロタイプを有するヒト細胞である。一部の実施形態では、抗原提示細胞は、HLA-A*02、HLA-A*11、HLA-B*07、またはHLA-C*08のハプロタイプを有するヒト細胞である。一部の実施形態では、本明細書に記載の食細胞および/または抗原提示細胞に提示されるHPV抗原は、HLA-A2特異的エピトープで構成される。一部の実施形態では、本明細書に記載の食細胞および/または抗原提示細胞に提示されるHPV抗原は、HLA-A11特異的エピトープで構成される。一部の実施形態では、本明細書に記載の食細胞および/または抗原提示細胞に提示されるHPV抗原は、HLA-B7特異的エピトープで構成される。一部の実施形態では、本明細書に記載の食細胞および/または抗原提示細胞に提示されるHPV抗原は、HLA-C8特異的エピトープで構成される。
【0196】
一部の実施形態では、本方法は、少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含むAACを個体に投与するステップであって、AACは、食細胞および/または抗原提示細胞によって内部移行される、ステップを含む。一部の実施形態では、AACが食細胞および/または抗原提示細胞によって内部移行される場合、AACの内部移行は、食細胞または抗原提示細胞の成熟マーカーの増加した発現をもたらす。一部の実施形態では、食細胞および/または抗原提示細胞は単球由来樹状細胞(MODC)である。一部の実施形態では、成熟マーカーは、CD80、CD86、CD83、およびMHC-IIのうちの1つまたは複数である。一部の実施形態では、CD80、CD86、CD83、およびMHC-IIのうちの1つまたは複数の発現は、HPV抗原を含むAACと接触した食細胞および/または抗原提示細胞において、HPV抗原を含むAACと接触していない食細胞および/または抗原提示細胞と比較して、少なくとも約10%、20%、50%、80%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、1000倍、10000倍またはそれよりも高いのうちのいずれか1つまで増加する。一部の実施形態では、CD80、CD86、CD83、およびMHC-IIのうちの1つまたは複数の発現は、HPV抗原を含むAACと接触した食細胞および/または抗原提示細胞において、インプット無核細胞と接触した食細胞および/または抗原提示細胞と比較して、少なくとも約10%、20%、50%、80%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、1000倍、10000倍またはそれよりも高いのうちのいずれか1つまで増加する。
【0197】
一部の実施形態では、インプット無核細胞は、AACの調製の間に、(a)熱処理されておらず、(b)化学的処理されておらず、および/または(c)低張または高張条件に供されていない。一部の実施形態では、容量オスモル濃度は、インプット無核細胞からのAACの調製の間、維持された。一部の実施形態では、容量オスモル濃度は、約200mOsm~約600mOsmで維持された。一部の実施形態では、容量オスモル濃度は、約200mOsm~約400mOsmで維持された。
システムおよびキット
【0198】
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される方法における使用のための、狭窄、無核細胞懸濁液、HPV抗原またはアジュバントの1つまたは複数を含むシステムを提供する。システムは、マイクロ流体チャネルもしくはポアを有する表面を含み、細胞変形狭窄、細胞懸濁液、細胞摂動、送達パラメーター、化合物、および/または適用などを提供する、上記に開示された方法について記載された任意の実施形態を含むことができる。システムは、「マイクロ流体システムおよびその構成要素」という名称の上記の項に開示のものを含む、本明細書に開示の主題の組成物および方法について記載の任意の実施形態を含むことができる。一部の実施形態では、細胞変形狭窄は、無核細胞への送達のための大きさである。一部の実施形態では、送達パラメーター、例えば、運転流束、細胞および化合物の濃度、狭窄における細胞の速度、ならびに細胞懸濁液の組成(例えば、容量オスモル濃度、塩濃度、血清含有量、細胞濃度、pHなど)は、免疫応答を抑制するまたは寛容を誘導するために、化合物の最大の応答について最適化される。
【0199】
HPVに関連するがんを有する個体の処置における使用のためのキットまたは製造品も提供される。一部の実施形態では、キットは、細胞内に成熟した抗原、および細胞内にアジュバントを含むAACを含む。一部の実施形態では、キットは、狭窄、無核細胞懸濁液、がんなどのHPVに関連する疾患を有する個体の処置における使用のためのAACの作出における使用のためのHPV抗原またはアジュバントのうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、キットは、好適なパッケージ内に、本明細書に記載の組成物(例えば、ポアを含有するマイクロ流体チャネルもしくは表面、細胞懸濁液および/または化合物)を含む。好適なパッケージ材料は、当技術分野において公知であり、例えば、バイアル(密封バイアルなど)、容器、アンプル、瓶、広口瓶、フレキシブル包装材料(例えば、密封マイラーまたはプラスチック袋)などが挙げられる。これらの製品は、さらに滅菌され得かつ/または密封され得る。
【0200】
本発明は、本明細書に記載の方法の構成要素を含むキットも提供し、HPVに関連するがんを有する個体を処置する方法を行うための指示、ならびに/またはHPV抗原および/またはアジュバントを無核細胞に導入するための指示をさらに含んでいてもよい。本明細書に記載のキットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、ならびに本明細書に記載の方法のいずれかを行うための指示を伴う添付文書;例えば、HPVに関連するがんを有する個体を処置するための指示、または細胞内にHPV抗原、および細胞内にアジュバントを含有するAACを作出するための指示を含む、他の材料をさらに含み得る。
例示的な実施形態
【0201】
実施形態1. 個体におけるヒトパピローマウイルス(HPV)関連がんを処置するための方法であって、有効量の活性化抗原担体(AAC)を含む組成物を前記個体に投与するステップであって、前記有効量は、約0.5×108AAC/kg~約1×109AAC/kgであり、前記AACは、細胞内に送達される少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップを含む、方法。
【0202】
実施形態2. 個体におけるヒトパピローマウイルス(HPV)関連がんを処置するための方法であって、
有効量の活性化抗原担体(AAC)を含む組成物を前記個体に投与するステップであって、前記AACは、細胞内に送達される少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含む、ステップ、ならびに
有効量のCTLA-4のアンタゴニストおよび/またはPD-1/PD-L1のアンタゴニストを前記個体に投与するステップ
を含む、方法。
【0203】
実施形態3. 前記CTLA4のアンタゴニストが、CTLA4に結合する抗体である、実施形態2に記載の方法。
【0204】
実施形態4. 前記PD-1/PD-L1のアンタゴニストが、PD-1に結合する抗体またはPD-L1に結合する抗体である、実施形態2または3に記載の方法。
【0205】
実施形態5. CTLA-4に結合する抗体およびPD-1に結合する抗体が、前記個体に投与される、実施形態3または4に記載の方法。
【0206】
実施形態6. 前記CTLA-4に結合する抗体が、イピリムマブである、実施形態3~5のいずれか一項に記載の方法。
【0207】
実施形態7. 前記PD-1に結合する抗体が、ニボルマブである、実施形態4~6のいずれか一項に記載の方法。
【0208】
実施形態8. 前記PD-1に結合する抗体が、ペムブロリズマブである、実施形態4~6のいずれか一項に記載の方法。
【0209】
実施形態9. CTLA-4に結合する抗体が、前記個体に投与され、PD-L1に結合する抗体が、前記個体に投与される、実施形態4~6のいずれか一項に記載の方法。
【0210】
実施形態10. 前記PD-L1に結合する抗体が、アテゾリズマブである、実施形態4および9のいずれか一項に記載の方法。
【0211】
実施形態11. 前記少なくとも1つのHPV抗原が、HPV-16抗原またはHPV-18抗原である、実施形態1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0212】
実施形態12. 前記少なくとも1つのHPV抗原が、HPV E6および/またはE7に由来するペプチドを含む、実施形態1~11のいずれか一項に記載の方法。
【0213】
実施形態13. 前記少なくとも1つのHPV抗原が、HPV E6および/またはE7に由来するHLA-A2拘束性ペプチドを含む、実施形態1~12のいずれか一項に記載の方法。
【0214】
実施形態14. 前記HLA-A2拘束性ペプチドが、配列番号1~4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施形態13に記載の方法。
【0215】
実施形態15. 前記少なくとも1つのHPV抗原が、配列番号18~25のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施形態1~12のいずれか一項に記載の方法。
【0216】
実施形態16. 前記AACが、配列番号19のアミノ酸配列を含む抗原および配列番号23のアミノ酸配列を含む抗原を含む、実施形態1~12のいずれか一項に記載の方法。
【0217】
実施形態17. 前記アジュバントが、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)、LPS、IFN-α、STINGアゴニスト、RIG-Iアゴニスト、ポリI:C、R837、R848、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、またはTLR9アゴニストである、実施形態1~16のいずれか一項に記載の方法。
【0218】
実施形態18. 前記アジュバントが、CpG 7909オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)である、実施形態17に記載の方法。
【0219】
実施形態19. 前記個体が、ヒトである、実施形態1~18のいずれか一項に記載の方法。
【0220】
実施形態20. 前記個体が、HLA-A*02について陽性である、実施形態1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0221】
実施形態21. 前記AACが、前記個体に対して自家または同種異系である、実施形態1~20のいずれか一項に記載の方法。
【0222】
実施形態22. 前記HPV関連がんが、現在局所進行性または転移性がんである、実施形態1~21のいずれか一項に記載の方法。
【0223】
実施形態23. 前記HPV関連がんが、頭頸部がん、子宮頸がん、肛門がんまたは食道がんである、実施形態1~22のいずれか一項に記載の方法。
【0224】
実施形態24. AACを含む前記組成物が、静脈内に投与される、実施形態1~23のいずれか一項に記載の方法。
【0225】
実施形態25. 前記CTLA-4のアンタゴニストおよび/またはPD-1/PD-L1のアンタゴニストが、静脈内、経口、または皮下に投与される、実施形態2~24のいずれか一項に記載の方法。
【0226】
実施形態26. 前記CTLA-4に結合する抗体および/または前記PD-1に結合する抗体および/または前記PD-L1に結合する抗体が、静脈内に投与される、実施形態3~25のいずれか一項に記載の方法。
【0227】
実施形態27. 前記少なくとも1つのHPV抗原および前記アジュバントを含むAACの前記有効量が、約0.5×108AAC/kg~約7.5×108AAC/kgである、実施形態1~26のいずれか一項に記載の方法。
【0228】
実施形態28. 前記少なくとも1つのHPV抗原および前記アジュバントを含むAACの前記有効量が、約0.5×108AAC/kg~約1×109AAC/kgである、実施形態1~27のいずれか一項に記載の方法。
【0229】
実施形態29. 前記少なくとも1つのHPV抗原および前記アジュバントを含むAACの前記有効量が、約0.5×108AAC/kg、約2.5×108AAC/kg、約5×108AAC/kg、または約7.5×108AAC/kgである、実施形態1~28のいずれか一項に記載の方法。
【0230】
実施形態30. イピリムマブの前記有効量が、約1mg/kg~約3mg/kgである、実施形態6~29のいずれか一項に記載の方法。
【0231】
実施形態31. ニボルマブの前記有効量が、約360mgである、実施形態7および11~30のいずれか一項に記載の方法。
【0232】
実施形態32. アテゾリズマブの前記有効量が、約1200mgである、実施形態10~30のいずれか一項に記載の方法。
【0233】
実施形態33. 前記AACを含む前記組成物が、3週間サイクルの1日目に送達される、実施形態1~32のいずれか一項に記載の方法。
【0234】
実施形態34. 前記AACを含む前記組成物が、最初の3週間サイクルの2日目にさらに投与される、実施形態1~33のいずれか一項に記載の方法。
【0235】
実施形態35. 約0.5×108個細胞/kg~約1×109個細胞/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与される、実施形態33または34に記載の方法。
【0236】
実施形態36. 約0.5×108個細胞/kg、約2.5×108個細胞/kg、約5.0×108個細胞/kg、または約7.5×108個細胞/kgが、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与される、実施形態33~35のいずれか一項に記載の方法。
【0237】
実施形態37. 約0.5×108個細胞/kg~約1×109個細胞/kgが、それぞれの3週間サイクルの2日目に投与される、実施形態33~36のいずれか一項に記載の方法。
【0238】
実施形態38. 約0.5×108個細胞/kg、約2.5×108個細胞/kg、約5.0×108個細胞/kg、または約7.5×108個細胞/kgが、最初の3週間サイクルの2日目に投与される、実施形態33~37のいずれか一項に記載の方法。
【0239】
実施形態39. CTLA-4に結合する抗体および/またはPD-1に結合する抗体および/またはPD-L1に結合する抗体が、3週間サイクルあたり1回に投与される、実施形態33~38のいずれか一項に記載の方法。
【0240】
実施形態40. CTLA-4に結合する抗体が、2回の3週間サイクルあたり1回投与される、実施形態33~39のいずれか一項に記載の方法。
【0241】
実施形態41. CTLA-4に結合する抗体が、それぞれの3週間サイクルの1日目に投与される、実施形態33~40のいずれか一項に記載の方法。
【0242】
実施形態42. 前記CTLA-4に結合する抗体が、イピリムマブであり、前記イピリムマブが、約3mg/kgの用量で投与される、実施形態39~41のいずれか一項に記載の方法。
【0243】
実施形態43. PD-1に結合する抗体が、最初の3週間サイクルの8日目およびそれぞれのその後のサイクルの1日目に投与される、実施形態39~42のいずれか一項に記載の方法。
【0244】
実施形態44. 前記PD-1に結合する抗体が、ニボルマブであり、前記ニボルマブが、約360mgの用量で投与される、実施形態43に記載の方法。
【0245】
実施形態45. 前記CTLA-4に結合する抗体が、イピリムマブであり、前記イピリムマブが、約1mg/kgの用量で、2回の3週間サイクルの最初の3週間サイクルの1日目に投与され、前記PD-1に結合する抗体が、約360mgの用量で、最初の3週間サイクルの8日目およびそれぞれのその後のサイクルの1日目に投与される、実施形態39~44のいずれか一項に記載の方法。
【0246】
実施形態46. PD-L1に結合する抗体が、最初の3週間サイクルの8日目およびそれぞれのその後のサイクルの1日目に投与される、実施形態33~39のいずれか一項に記載の方法。
【0247】
実施形態47. 前記PD-L1に結合する抗体が、アテゾリズマブであり、前記アテゾリズマブが、約1200mgの用量で投与される、実施形態46に記載の方法。
【0248】
実施形態48. PBMCを含む前記組成物が、少なくとも約3か月間、6か月間、9か月間または1年間、前記個体に投与される、実施形態1~47のいずれか一項に記載の方法。
【0249】
実施形態49. AACを含む前記組成物が、凍結保存媒体中に約1×109AAC~約1×1010AACを含む、実施形態1~48のいずれか一項に記載の方法。
【0250】
実施形態50. AACを含む前記組成物が、約10mLの凍結保存媒体中に約7×109PBMCを含む、実施形態1~49のいずれか一項に記載の方法。
【0251】
実施形態51. 前記凍結保存媒体が、Cryostor(登録商標)CS2である、実施形態49または50に記載の方法。
【0252】
実施形態52. 前記少なくとも1つのHPV抗原およびアジュバントを含む前記AACが、
a)インプット無核物の集団を含む細胞懸濁液を、細胞変形狭窄を通過させるステップであって、前記狭窄の直径は、前記懸濁液中の前記インプット無核細胞の直径の関数であり、それによって、前記少なくとも1つのHPV抗原および前記アジュバントが通過するのに十分に大きな前記インプット無核細胞の摂動を引き起こして摂動インプット無核細胞を形成するステップ;ならびに
b)前記抗原が前記摂動インプット無核細胞に入るのを可能にするのに十分な時間、摂動インプット無核細胞の前記集団を前記少なくとも1つのHPV抗原および前記アジュバントとともにインキュベートし、それによって、前記少なくとも1つのHPV抗原および前記アジュバントを含む前記AACを作出するステップ
を含むプロセスによって調製される、実施形態1~51のいずれか一項に記載の方法。
【0253】
実施形態53. 前記狭窄の直径が、約1.6μm~約2.4μmまたは約1.8μm~約2.2μmである、実施形態52に記載の方法。
【0254】
実施形態54. 前記インプット無核細胞が、赤血球細胞である、実施形態52または53に記載の方法。
【0255】
実施形態55. 前記少なくとも1つのHPV抗原が、HPV E6に由来するペプチドおよびHPV E7に由来するペプチドを含む、実施形態52~54のいずれか一項に記載の方法。
【0256】
実施形態56. 前記少なくとも1つのHPV抗原が、配列番号1~4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施形態52~55のいずれか一項に記載の方法。
【0257】
実施形態57. 前記少なくとも1つのHPV抗原が、配列番号18~25のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施形態52~55のいずれか一項に記載の方法。
【0258】
実施形態58. 前記AACが、配列番号19のアミノ酸配列を含む抗原および配列番号23のアミノ酸配列を含む抗原を含む、実施形態52~55のいずれか一項に記載の方法。
【0259】
実施形態59. 前記アジュバントが、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)、LPS、IFN-α、STINGアゴニスト、RIG-Iアゴニスト、ポリI:C、R837、R848、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、またはTLR9アゴニストである、実施形態52~58のいずれか一項に記載の方法。
【0260】
実施形態60. 前記アジュバントが、CpG 7909オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)である、実施形態59に記載の方法。
【実施例】
【0261】
当業者は、いくつかの実施形態が本発明の範囲および精神内で可能であることを認識する。本発明は、ここに、以下の非限定的な実施例を参照することによって、より詳細に記載する。以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、当然ながら、その範囲を決して限定するものとして解釈されるべきではない。
(実施例1)
SQZ-AAC-HPVの安全性および耐容性のフェーズI研究
【0262】
再発性、局所進行性または転移性HPV16+固形腫瘍を有するHLA A*02+患者における、単剤療法としての、および(1)イピリムマブ、(2)ニボルマブ、および(3)ニボルマブとイピリムマブと組み合わせた、SQZ-AAC-HPVの安全性および耐容性、抗腫瘍活性、ならびに免疫原性効果および薬力学的効果のフェーズ1の非盲検、多施設研究を実施する。
【0263】
SQZ-AAC-HPVは、HLA-A血清型群陽性(HLA-A*02+)患者内のヒト白血球抗原(HLA)血清型におけるヒトパピローマウイルス(HPV)株16陽性(HPV16+)がんのための処置として使用される活性化抗原担体(AAC)の赤血球細胞(RBC)由来製品である。SQZ-AAC-HPVは、HPV16のHLA-A*02拘束性E6およびE7エピトープならびにアジュバントのポリイノシン酸-ポリシチジル酸(ポリI:C)を用いて処理された自家RBCからなり、これは、製造の間にサイトゾルに送達される。
E6 SLP:QLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLL(配列番号19)
E7 SLP:QLCTELQTYMLDLQPETTYCKQQLL(配列番号23)
【0264】
プロセスは、全血が採取される臨床現場で特定の患者を用いて開始し、次いで、製造場所に輸送される。製造場所では、血小板および白血球細胞が除去され、ポリI:Cアジュバントと一緒にE6およびE7エピトープが、Cell Squeeze技術を使用して、細胞に送達される。Cell Squeeze技術の結果として、開始RBCと比べて、AACの表面上のホスファチジルセリンが増加する。得られる細胞は、AAC-HPV原体である。AAC-HPV原体は、凍結保存媒体で洗浄され、その後、SQZ-AAC-HPV自家製剤に製剤化され、凍結保存される。SQZ-PBMC-HPV原体は、製造プロセスの間にサイトゾルに送達されたHPV16のHLA-A*02拘束性E6およびE7エピトープを含有する合成長鎖ペプチド(SLP)を有する自家PBMCからなる。
概要
【0265】
研究集団は、進行期のHPV16+固形腫瘍(頭頸部がん、子宮頸がん、および他の腫瘍型)を有するHLA-A*02+である患者からなる。HLA A*02+状態およびHPV16+腫瘍状態は、臨床検査報告によって確認され、自家血液製品の製造のための患者の採血の前に、すべての適格性の基準を満たしていなければならない。局所的に確認されたHPV16+状態を有する患者は、臨床検査評価の文書化が不十分であるとスポンサーによって判断されると、スクリーニング時に採取された新鮮な腫瘍生検から中央確認が行われ得る。
【0266】
適格な患者は、自家製剤の製造のための研究場所で単回の採血を受ける。少なくとも200mLの全血が、この目的のために取られる。この採血は、それぞれの患者の個別化自家細胞療法の製造のために委託製造業者に送られる。次いで、SQZ AAC HPVの凍結バイアルは、投与のために研究場所に送られる。
【0267】
この研究は2つのパートで実施され、パート1は、SQZ-AAC-HPV単剤療法の安全性プロファイル、予備的有効性、およびRP2Dを決定するための用量漸増からなる。研究のパート2は、併用安全性フェーズで免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせた場合のSQZ-AAC-HPVの安全性および予備的有効性を評価する。
【0268】
すべてのコホートで、SQZ AAC-HPVは、最大で1年間、またはSQZ-AAC-HPV供給が枯渇する、もしくは処置の中断基準を満たすのいずれか早い方まで、3週間間隔で投与される。
【0269】
パート1およびパート2のすべての患者は、SQZ AAC HPVのそれぞれの投与後少なくとも4時間、観察される。加えて、それぞれのコホートの最初の2人の患者は、SQZ AAC-HPVの初回投与後に最低で23時間の観察を受ける。
【0270】
腫瘍の評価は、疾患進行、容認できない毒性、同意の撤回、死亡、またはSQZ AAC HPVの初回投与の日から2年間のいずれかが最初に起こるまで、RECIST 1.1およびiRECISTによって、研究全体を通して行われる。RECIST 1.1による疾患進行を経験する患者は、疾患進行:すなわちiRECISTによるiCPD(Seymour et al, 2017)の確認を可能にするために処置している治験責任医師によるそれらの最良の関心で考慮される場合、投薬が継続されてもよい。
【0271】
治験製品の最終用量の後、安全性および耐容性をモニターするため、ならびに全生存期間を評価するための追跡調査来院がある。
パート1:漸増フェーズ(SQZ-AAC-HPV単剤療法)
【0272】
漸増フェーズのための計画された用量コホートを表1に示す。従来の3+3設計は、安全性および耐容性を評価するために意図されるが、安全性および耐容性、免疫原性効果、ならびに抗腫瘍活性をさらに調べるために、コホートにおいて最大で合計12人の追加患者を処置することが賢明であり得る。この改変3+3設計において、コホートあたり最大で12人の患者が存在する。
【表1】
a.SQZ-AAC-HPVによる投薬は、処置の中断基準を満たす、SQZ-AAC-HPV供給が枯渇する、または最大で1年間のいずれか早い方まで、3週間ごとに継続する。
b.サイクル1では、患者は1日目および2日目にSQZ-AAC-HPVを受ける。
c.安全性のシグナルが観察されない場合、高用量レベルは、5×10
8 AAC/kgである。非PD関連毒性に関する≧グレード2が、DLT期間の間に、3人の患者のうちの1人または6人の患者のうちの2人で観察される場合、高用量レベルは、2.5×10
8 AAC/kgである。
d.2.5×10
8 AAC/kgの高用量が選択される場合、2.5×10
8 AAC/kgのDLT評価が終了したら、5×10
8 AAC/kgによる第3のコホートが解放され得る。
【0273】
少なくとも2つの単剤療法の用量レベルが試験される。SQZ-AAC-HPVの低用量は、0.5×108AAC/kgである。可能な限り最も多くの免疫原性細胞用量に曝露されるコホート2における患者を確保するために、SQZ-AAC-HPVの高用量レベルは、コホート1における安全性の所見に基づく。安全性のシグナルが観察されない場合(すなわち、≧グレード2の処置関連毒性なし)、高用量レベルは5×108AAC/kgである。非PD関連毒性(またはDLT)に関する≧グレード2が、DLT期間の間に、3人の患者のうちの1人または6人の患者のうちの2人で観察される場合、高用量レベルは、2.5×108AAC/kgである。2.5×108AAC/kgの高用量が選択される場合、2.5×108AAC/kgのDLT評価が終了したら、5×108AAC/kgによる第3のコホートが解放され得る。所与のコホートにおける患者からの利用可能な安全性、有効性、および薬力学データのレビュー後、SSCは、追加のより高いまたはより低い単一または二重の抗原ローディング用量レベルの調査が是認されるかどうかを決定する。この場合において、用量漸増または漸減の大きさは、観察されたTEAEの種類および重症度に基づいて、SSCによって決定される。
【0274】
患者は、サイクル1の1日目および2日目、ならびにそれぞれのその後の21日サイクルの1日目にSQZ-AAC-HPVを受ける。パート1では、DLT観察期間は28日である(
図1)。
【0275】
患者は、コホートにおける1人以下の患者が、1週間以内にSQZ AAC-HPVの初回投与を受けることを意味する、調査場所にわたって調整した方法で登録される。その後のコホートにおけるSQZ AAC-HPVの投与は、SSCが利用可能な安全性データをレビューし、用量漸増が是認されることを決定するまで、開始されない。
用量漸増およびRP2D決定
【0276】
従来の3+3設計は、安全性および耐容性を評価するために意図されるが、安全性および耐容性、免疫原性効果、ならびに抗腫瘍活性をさらに調べるために、コホートにおいて最大で6人の追加患者を処置することが賢明であり得る。この改変3+3設計において、コホートあたり最大で12人の患者が存在する。
【0277】
用量漸増、または6人から12人の患者へのコホートサイズの増加は、所与の用量レベルでの最初の3人の患者が、DLT観察期間を終了し、SSCによって実施される安全性データのレビューの際に安全性について評価可能であることが見出された後に考慮される。DLT観察期間は、パート1について28日と定義される。
【0278】
DLT観察期間にわたる所与の用量レベルでの最初の3人の登録患者のいずれかにおいてDLTが観察されない場合、次に、より高い用量レベルのコホートが、登録のために開放され得る。最初の3人の患者のうちの1人がDLTを経験する場合、3人の追加患者が登録される(同じ用量レベルで合計6人の評価可能な患者)。最初の3人の患者のうちの≧1人または6人の患者のうちの≧2人がDLTを経験する場合、さらなる用量漸増は考慮せず、これが最大投与用量(MAD)になる。RP2Dは、以前に評価されたより低い用量レベルであってもよく、または代替の中間用量レベルが、さらなる評価のために選択されてもよい。RP2D決定は、少なくとも6人の患者からの安全性データに基づいて、SSCによって行われる。RP2Dは、研究のパート2(併用安全性フェーズ)においてさらに評価される。あるいは、RP2Dは、最大の生物学的効果が達成されていること、および患者がさらなる用量漸増から利益が得られないことが決定される薬力学的評価に基づいて申告されてもよい。
【0279】
患者は、安全性以外の任意の理由で患者がDLT観察期間を終了することができない場合、または薬力学的評価が研究処置の生物学的効果を定義するのに不十分である場合、評価不能と見なされる。評価不能と見なされたパート1の患者は、治験責任医師とスポンサーとの間の協議後に交代され得る。
【0280】
任意の投与された用量後に発生する有害事象は、その後の投与の時に≦グレード2に解消される。同様に、任意の投与された用量後に発生する特に注目すべき有害事象(AESI)は、その後の投与の時に<グレード2に解消される。サイクル1の初回投与後、これらの再処置基準を満たす場合、2回目のSQZ AAC-HPV投与は、≧23時間の観察期間(すなわち、初回用量の16~24時間)の間に与えられる。患者は、2回目の抗原ロードの投与後に最小で4時間観察される。2回の投与間の最小間隔は、16時間である。
【0281】
患者は、単剤療法コホートにおけるSQZ AAC HPVの初回用量後28日間、DLTの出現についてモニターされる。改変3+3ルールに従って、DLTに関して安全とコホートを確認するために必要な患者の最小数は、3人の患者において0DLT、6人の患者において≦1DLT、9人の患者において≦2DLT、または12人の患者において≦3DLTである。
【0282】
単剤療法RP2Dレジメンの決定のために、すべてのコホートにおけるDLT評価を終了しなければならない。RP2Dレジメンは、すべての利用可能な安全性、耐容性、免疫原性、ならびに他の薬力学および抗腫瘍データのレビューに基づいて選択される。SSCは、データをレビューし、RP2D承認の責任を負うDSMBに推薦を行う。
【0283】
RP2Dレジメンが定義されると、パート2(併用安全性フェーズ)が開始され得る。
パート2:併用安全性フェーズ(SQZ-AAC-HPV+チェックポイント阻害剤)
【0284】
併用安全性調査の間に評価されるSQZ-AAC-HPV用量は、すべての利用可能な安全性、耐容性、免疫原性、ならびに他の薬力学および抗腫瘍データのレビューに基づいて選択される。DSMBは、SQZ-AAC-HPV単剤療法RP2Dを併用安全性フェーズのために選択するかどうか、またはより低い用量で開始するかどうかを決定する。
【0285】
コホートは、SQZ AAC HPV RP2Dおよび併用パートナーによって定義される。SQZ AAC-HPVは、コホート2a、2b、および2cにおいてRP2Dで投与される。
コホート2a:SQZ-AAC-HPV(RP2D)とイピリムマブ(耐容性が許容される場合、最大4用量について、3週間ごとに3mg/kg)
コホート2b:SQZ-AAC-HPV(RP2D)とニボルマブ(3週間ごとに360mg)
コホート2c(コホート2aおよび2bにおいてそれぞれ処置された6人の患者の安全性評価次第):SQZ-AAC-HPV(RP2D)とニボルマブ(3週間ごとに360mg)およびイピリムマブ(6週間ごとに1mg/kg)
【0286】
パート2における登録は、コホート2aおよび2bで開始する。コホート2aおよび2bにおいてそれぞれ6人の患者が登録され、42日のDLT評価期間が成功裏に終了する;すなわち、患者の<33%がDLTを経験すると、コホート2cが、登録のために開放される。両方のコホートからの利用可能な安全性データに基づいて、SSCは、コホート2aおよび2bについて選択されたSQZ-AAC-HPV用量レジメンを、コホート2cのために選択するかどうか、またはより低い用量レジメンで開始するかどうかを決定する。SSCが、より低い用量のSQZ-AAC-HPVでコホート2cを開始することを推奨する場合、6人の患者が最初に登録され、少なくとも4人の患者が42日間観察される。SSCが、患者の<33%がDLTを経験することにより併用を安全と見なす場合、SQZ-AAC-HPVの用量は、完全単剤療法RP2Dまで上昇させてもよく、登録は、是認される場合、最大で12人の患者が登録されるまで継続され得る。
【0287】
パート2の併用安全性コホートにおける患者は、サイクル1の1日目および2日目、ならびにそれぞれのその後の21日サイクルの1日目にSQZ-AAC-HPVを受ける。それぞれのコホートにおいて、最初の2人の患者がサイクル1の8日目を終了した後、コホートにおける追加患者を、そのコホートにおいて処置することができる。
【0288】
すべての患者は、安全性および耐容性、ならびに抗腫瘍応答の予備的証拠について評価される。
【0289】
コホート2a - SQZ-AAC-HPVとイピリムマブ
【0290】
サイクル1において、SQZ-AAC-HPVは、パート1で決定されたRP2Dに従って、すなわち、1日目および2日目に二重抗原ロード用量として、または1日目に単一抗原ロード用量としてのいずれかで、IV投与される。イピリムマブ3mg/kgは、1日目のSQZ AAC HPVの前に、90分にわたってIV投与される。サイクル2、3、および4において、イピリムマブは、SQZ-AAC-HPVの投与後、1日目に与えられる。イピリムマブは、最大で4サイクルの間、投与される。SQZ-AAC-HPVは、中断基準を満たす、SQZ-AAC-HPV供給が枯渇した、または最大で1年間のいずれか早い方まで、3週間サイクルで与えられる(
図2)。
【0291】
コホート2b - SQZ-AAC-HPVとニボルマブ
【0292】
サイクル1において、SQZ-AAC-HPVは、パート1で決定されたRP2Dに従って、すなわち、1日目および2日目に二重抗原ロード用量として、または1日目に単一抗原ロード用量としてのいずれかで、IV投与される。サイクル1の8日目に、ニボルマブは、SQZ-AAC-HPV注入の終了直後に、30分にわたって、360mgの用量でIV投与される。その後のサイクルにおいて、SQZ AAC-HPVと、それに続くニボルマブは、3週間ごとに、1日目に投与される。ニボルマブは、最大で2年間、または中断基準を満たすまで、3週間ごとに与えられ得る。SQZ-AAC-HPVは、中断基準を満たす、SQZ-AAC-HPV供給が枯渇した、または最大で1年間のいずれか早い方まで、3週間サイクルで投与される(
図3)。
【0293】
コホート2c - SQZ-AAC-HPVとニボルマブとイピリムマブ
【0294】
サイクル1において、SQZ-AAC-HPVは、コホート2aおよび2bにおける所見に基づくRP2Dに従って、IV投与される。留意すべきことには、SSCは、コホート2aおよび2bのために選択された用量を下回る用量、または改変用量レジメン(例えば、1日目のみに単回抗原ロード用量として)での手順が助言されることを決定してもよい。イピリムマブは、SQZ-AAC-HPVの前に、1日目に、30分にわたって1mg/kgの用量でIV投与される。サイクル1の8日目に、ニボルマブ360mg IVが、30分にわたって投与される。ニボルマブは、SQZ-AAC-HPVの投与後、その後の3週間サイクルにおける1日目に与えられる。イピリムマブは、その後のサイクルにおけるSQZ-AAC-HPVおよびニボルマブの投与後、6週間ごとに投与される(
図4)。ニボルマブおよびイピリムマブは、処置の中断についての基準の1つを満たすまで、サイクル1の1日目から2年間与えられ得る。SQZ-AAC-HPVは、中断基準を満たす、SQZ-AAC-HPV供給が枯渇した、または最大で1年間のいずれか早い方まで、3週間サイクルで投与される。
【0295】
免疫媒介AEに起因して、患者がチェックポイント阻害剤の中断についての基準を満たし(添付物Eによる)、治験責任医師は、事象がニボルマブまたはイピリムマブに関連するかどうかを決定することができない場合、患者は、両方の薬物を中断し、SQZ-AAC-HPVを継続し得る。
【0296】
パート2のすべてのコホートについて、サイクル1の2日目における2回目のSQZ-AAC-HPV投与は、≧23時間の観察の間に与えられる。任意の投与された用量後に発生する有害事象は、その後の投与の時に≦グレード2に解消される。同様に、任意の投与された用量後に発生するAESIは、その後の投与の時に<グレード2に解消される。これらの再処置基準を満たす場合、2回目のSQZ AAC HPV投与は、≧23時間の観察期間(すなわち、初回用量の16~24時間)の間に与えられる。患者は、2回目の抗原ロードの投与後に最小で4時間観察される。2回の投与間の最小間隔は、16時間である。それぞれのコホートにおいて、最初の2人の患者がサイクル1の14日目を終了した後、コホートにおける追加患者は処置される。
【0297】
患者は、併用療法コホートにおけるSQZ AAC-HPVの初回用量後42日間、DLTの出現についてモニターされる。
【0298】
個々の患者におけるDLTまたは他の著しい毒性の場合に、より低いSQZ AAC-HPV用量への漸減が行われる。個々の併用安全性コホートにおける患者からの利用可能な安全性、有効性、および薬力学データのレビュー後、SSCは、二重抗原ロードが、1回または複数回の用量の組合せが賢明ではないことを決定し得る。この場合において、SSCは、2回目(サイクル1の2日目)のSQZ-AAC-HPV用量を下げることを推奨してもよい。あるいは、SSCは、SQZ-AAC-HPVについてのより低い用量レベルが調査されてもよい(用量漸減)ことを決定してもよい。例えば、DLTが個々の併用安全性コホートにおける患者の≧33%において観察される場合、より低いSQZ-AAC-HPVレベルを評価するコホートが解放され、調査される。より高い用量コホートは、2c、2dなどと表し、より低い用量コホートは、2a-1、2b-1などと表す。
投薬スケジュールおよび研究期間
【0299】
すべての患者は、処置の開始前に自家血液製品の製造のために使用される単回採血を受ける。患者は、研究場所でこの採血を受け、これは、典型的には、SQZ AAC HPVの(サイクル1の1日目)初回投与のおよそ1~2週間前に行われる。SQZ AAC HPVの初回投与のスケジュールは、場所の位置および輸送ロジスティクスを考慮する。
【0300】
サイクルは、21日の処置期間として定義される。
【0301】
患者は、最大で1年間、治験製品が枯渇するまで、または処置中断基準を満たすまでのいずれか早い方まで、3週間間隔でSQZ AAC HPVを受ける。
【0302】
臨床証拠の蓄積は、免疫系刺激剤で処置された一部の対象が、臨床の客観的応答および/または安定疾患を実証する前に、疾患の進行の徴候を明らかにし得る(従来の応答基準による)ことを示す。2つの仮説が、この現象を説明するために出されている。第1は、腫瘍内の増強された炎症が、腫瘍サイズの増加をもたらし、これが、拡大した指標病変として、および新たな目に見える小さな非指標病変として現れる。経時的に、塊の有害なおよび炎症の性質は両方とも、次いで減少し、臨床改善の公然の徴候をもたらす(Wolchok et al, 2009)。あるいは、一部の個体では、腫瘍成長の動態は、最初に、抗腫瘍免疫活性に勝ることがある。十分な時間により、抗腫瘍活性は、支配し、臨床的に明らかになる。そのため、それぞれの時点で並行してRECIST 1.1およびiRECISTを評価することが重要である。
【0303】
患者は、初期のRECIST 1.1が定義する進行後に研究の療法を継続してもよく、したがって、以下の基準を満たす場合、iRECIST(Seymour et al, 2017)に従って疾患進行の確認を可能にし得る
1.治験責任医師が評価した臨床的利益、および迅速な疾患進行の欠如
2.治験責任医師によって定義される治験薬の耐容性
3.安定な一般状態
4.進行を超える処置が、迅速に進行する疾患から重篤な帰結を防止するための切迫した介入を遅延させない
5.疾患進行の合併症(例えば、CNS転移)の欠如
【0304】
臨床的利益の評価は、患者が臨床的に悪化しており、継続した処置から更なる利益を受ける可能性が低いかどうかを考慮する。
用量制限毒性
【0305】
患者は、以下の場合に、DLT評価について評価可能であると見なされる:1)受けた細胞用量にかかわらず、DLT評価期間の間にDLTを経験する;または2)DLT評価期間の間にSQZ-AAC-HPVの意図される用量の少なくとも70%を受けた後、DLT評価期間の間にDLTを経験しない。DLT評価期間の間に、DLTを経験せず、意図されるSQZ-AAC-HPV用量の70%未満をまだ受けていない患者は、DLTについて評価可能と見なされず、交代される。
【0306】
IRRではないDLTを経験している患者は、研究が中断される。治験責任医師およびスポンサーの見解において、治験製品における処置を継続することが患者の最良の関心である場合、その後の処置は、スポンサーとの協議において治験責任医師によって決定される。IRRのために、前投与または投与速度は、患者が研究に留まることが可能になるように調整され得る。
【0307】
DLTは、主任治験責任医師によって評価されたAEまたは臨床的に重要な異常な臨床検査値として定義され、単剤療法による処置の最初の28日以内、または併用療法による処置の最初の42日以内のいずれかに起こる、SQZ-AAC-HPV(単独または組合せのいずれか)に関連するが、疾患、疾患進行、併発疾病、併用薬/手順、または環境因子に無関係として、SSCによって確認され、これは、国立がん研究所(NCI)の有害事象共通用語基準(CTCAE)バージョン5.0を使用して、以下にリストされる事前に定義された基準のいずれかを満たす。CRSおよび神経毒性の等級付けは、米国移植細胞治療学会(ASTCT)コンセンサス等級付けを、それぞれ、セクション6.1.4およびセクション6.1.5を参照して、使用する。
非血液学的毒性
グレード4またはグレード5。
24時間以内に≦グレード2に解消しないグレード3のCRSまたは神経毒性を除いて、最適な支持療法にもかかわらず、7日以内に≦グレード1またはベースラインに解消しない、グレード3の毒性。
>7日持続し、医学的介入を必要とするグレード3の臨床検査値。
以下を除く、>48時間持続する>グレード3の肝臓毒性:ベースライン時にグレード2のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、および/またはアルカリホスファターゼの異常を有する患者について、>8×正常上限(ULN)への増加が>48時間持続する場合のみ、DLTと見なされる。
Hy’s law基準を満たす肝臓検査の異常。
血液学的毒性
任意のグレード5の毒性。
任意のグレード4の貧血。
任意の≧グレード3の発熱性好中球減少症。
>7日持続する≧グレード4の好中球減少症(好中球絶対数<500/μL)。
≧グレード4の血小板減少症(<25,000/μL)。
臨床的に重要な出血に関連する>7日持続する≧グレード3の血小板減少症(<50,000/μL)。
サイクル2の1日目の予定されたSQZ AAC HPV投与の恒久的中断または>14日の遅延をもたらす、SQZ-AAC-HPV(単独または組合せのいずれか)に少なくとも関連する可能性があるTEAE。
治験責任医師およびスポンサーの判断で、DLTであると見なされる任意の他の事象。
【0308】
以下の事象は、DLTと見なされない:
膵炎の≧グレード3のアミラーゼ値または臨床症状またはX線検査による証拠に付随しない、分離したグレード3のリパーゼ値。
対症療法ありまたはなしで、24時間以内に≦グレード2に改善するグレード3のCRS。
適切な支持療法ありまたはなしで、7日以内に≦グレード2に解消するグレード3の皮膚発疹。
24時間で≦グレード2に戻る、細胞製品投与の2時間以内に起こる即時型アレルギー反応。
臨床的続発症がない、72時間以内に是正されるグレード1またはグレード2の電解質異常。
脱毛症。
【0309】
これらの変化が、SSCの推奨に基づいて研究に登録されたすべてのその後の患者に適用可能であると見なされない限り、前投薬の追加または投与速度の改変により適切に管理することができるグレード3のIRRは、DLTと見なされない。改変が、すべてのその後の患者に適用される場合、コホートは、DLT評価について再開する。グレード3の注入反応を経験した患者は、それらの前処置または注入速度に対する改変を伴って、研究を続け得る。
【0310】
任意のコホートにおいて最大耐用量(MTD)に到達しない場合、追加の細胞用量レベルまたはレジメンが試験され得る。SQZ-AAC-HPVに関連しないが、DLTの定義に包含されるAEの事象において、その所見は、SSCによって議論される。
コホートの停止基準、およびコホートへの用量漸増または進行の停止、および研究の終了
【0311】
改変3+3ルールは、コホートを安全と宣言するための最終決定を定義する。コホートを安全と確認するために必要な患者の最小数は、0DLTで3人の患者であり、これは、コホートを安全と確認するために最大で12人の患者まで増加し得る(すなわち、DLTを有する患者の<33%;例えば、<2のDLTを有する6人の患者、<3のDLTを有する9人の患者、または<4のDLTを有する12人の患者の、コホートの安全性を確認するいずれか)。コホートがMTDに達したことを示さなかった場合、追加の細胞用量レベルまたはレジメンが試験され得る。SQZ-AAC-HPVに関連しないが、DLTの定義に包含されるAEの事象において、その所見は、SSCによって議論される。
【0312】
DLTの定義を満たし、DLTウィンドウ外で起こるAEは、DLTとカウントされないが、代わりに、所与のコホートの全体的な安全性評価およびRP2Dレジメンの選択において考慮される。
【0313】
コホートの停止ルールは、同じ用量コホート内で治験製品を受けている最大で12人の患者における≧3のDLT(≧33%)の出現である。停止ルールが引き起こされると、SSCは、以下の推奨のうちの1つを行い得る:
前の耐性用量レベルをMTDと宣言する。
DLTの観察なしの最大投与用量(MAD)レベルを用量レベルと宣言する。そのため、RP2DはMTDではない。
中間用量レベルの試験を推奨する。
患者の安全性を増加するためのプロトコールの修正を推奨する。
登録および/研究を中断する。
【0314】
SSCによるレビューの後、患者の投薬は、これらの一般的な安全性基準に基づいて、患者の安全性の利益のために停止され得る:
治験製品に関連するとして、生命を脅かす可能性があると見なされ、医療モニターによって評価される、任意の重篤有害事象(SAE)。
治験責任医師またはスポンサーに主な耐容性の懸念を示す、任意の他の臨床的に重要な変化。
研究集団
【0315】
研究集団は、進行期のHPV16+固形腫瘍(頭頸部がん、子宮頸がん、および他の腫瘍型)を有するHLA-A*02+である患者を含む。
【0316】
患者は、PD-1、CTLA-4阻害剤、または他の免疫チェックポイント阻害剤による療法を前に受けていてもよい。
【0317】
患者の数
【0318】
患者の数は、安全性および観察される免疫原性効果に依存する。単剤療法のパート1(漸増フェーズ)では、およそ9~36のDLTを評価可能な患者が登録され得ると予期される。計画されたコホートがMTDに達したことを示さなかった場合、追加の細胞用量レベルまたはレジメンが試験され得る。最大で合計およそ36人の評価可能な患者が、パート2に登録され得る(コホートあたりn=12)。コホート内で患者を交代する必要性に応じて、およそ72人の評価可能な患者が研究において処置されると予期される。
組み入れ基準
1.血液からのジェノタイピングアッセイによって確認されたHLA-A*02+である≧18歳の男性または女性患者。
2.HPV16+である、組織学的に確認された不治または転移性固形腫瘍(限定されるものではないが、子宮頸部および頭頸部腫瘍を含む)。
3.外科手術、放射線療法、および/または放射線化学療法による治癒的処置に適していない子宮頸がんについて、がんは、アジュバントまたは再発状況において白金系レジメンによる前の全身化学療法処置後に進行していなければならない。患者は、最近の前の処置を受けている間またはその終了後に、進行性疾患を有していなければならない。
再発性疾患のための白金系全身化学療法処置に耐えられないまたはそれを拒絶する患者について、理由は文書化されていなければならない。
4.外科手術、放射線療法、および/または放射線化学療法による治癒的処置に適していない再発性および転移性頭頸部がんについて、がんは、主にアジュバントまたは再発状況において少なくとも1回の前の白金系化学療法後に進行し、チェックポイント免疫療法を提示されていなければならない。白金含有根治的化学放射線療法後またはアジュバント化学放射線療法後に再発した患者は、再発の時に白金再チャレンジが有益と見られない場合に、適格である。
再発性疾患のための白金系全身化学療法処置に耐えられないまたはそれを拒絶する患者について、理由は文書化されていなければならない。
5.子宮頸がんまたは頭頸部がん以外の不治または転移性HPV16+がんを有する患者は、不治の疾患のための少なくとも1回の利用可能な標準療法後に進行していなければならないか、あるいは患者は、標準療法に耐えられないもしくはそれを拒絶するか、または標準療法が存在しない腫瘍を有する。
漸増フェーズ(パート1)および併用安全性フェーズ(パート2)
6.米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)一般状態(PS)が0~1。
7.患者は、自家血液製品の製造のための採血のために静脈アクセスに同意しなければならず、静脈アクセスが問題である場合は、中心ラインの挿入に受け入れなければならない。
8.切除不可能なまたは転移性固形腫瘍を有する患者は、許容される臨床リスクで生検を行うことができる病変を有していなければならず、スクリーニングおよびサイクル2の8日目(±2日)で新たな生検に同意しなければならない。
a.以前に照射された領域の病変は、研究登録前に病変の進行の客観的証拠が存在する限り、生検を行うことができる。
9.RECIST 1.1に従った少なくとも1つの測定可能な病変。
a.以前に照射された領域の病変は、研究登録前に病変の進行の客観的証拠が存在する場合、測定可能な疾患として見なされる資格がある。
10.自家血液製品の製造のための採血の14日前以内に行われた以下の臨床検査評価によって示される、適切な臓器の機能および骨髄予備能:
a.骨髄機能:好中球絶対数≧1000/μL;ヘモグロビン≧9g/dL;血小板数≧75,000/μL。留意:<9g/dLのヘモグロビン値を有する安定した患者において、輸血を利用して、組み入れ基準を満たしてもよい。
b.肝臓機能:総血清ビリルビン≦1.5×ULN;血清AST/ALT、≦2.5×ULN(肝臓転移の存在下で≦5×ULN);以下を除いてアルカリホスファターゼ<2.5×ULN:肝臓および骨の関与を有する患者:アルカリホスファターゼ≦5×ULN。
i.ビリルビン代謝の遺伝性障害を有する患者は、スポンサーと議論しなければならない。
c.腎臓機能:採尿またはコッククロフト-ゴールト推定のいずれかに基づいて、血清クレアチニン≦2.5×ULNまたはクレアチニンクリアランス≧30mL/分。
d.凝固プロファイル:プロトロンビン時間(PT)、国際標準化比(INR)/部分トロンボプラスチン時間(PTT)≦1.5×ULN。自家血液製品の製造のための採血の前に少なくとも30日間の抗凝固剤療法の安定な維持レジメンにおける患者は、治験責任医師の意見で患者が研究に好適である場合、PT/INR測定値>1.5×ULNを有していてもよい。適切な根拠が、登録の前にスポンサーに提供されなければならない。
11.ホルモン補充療法を必要とする免疫チェックポイント阻害剤による処置後の免疫介在性内分泌異常を有する患者は、適格である。
a.ホルモン補充療法の一部としてプレドニゾンを必要とする患者は、1日用量が10mgを越えない場合、適格である。
12.妊娠の可能性がある女性患者は、以下でなければならない:
a.スクリーニングで、陰性の血清ベータヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)妊娠検査を有する;および
b.インフォームドコンセントの時から免疫チェックポイント阻害剤またはSQZ-AAC-HPVの最終用量の少なくとも5か月後まで、非常に有効な避妊法を使用することに同意する(CTFG, 2020)。
非常に有効な避妊法の例としては、以下が挙げられる:
・排卵の阻害に関連する混合ホルモン避妊薬(エストロゲンおよびプロゲステロンの両方を含有する);経口、膣内または経皮であり得る
・子宮内避妊具(IUD)
・子宮内ホルモン放出システム(IUS)
・両側卵管閉塞
・精管切除術を受けたパートナー
・禁欲
13.精管切除術を受けていない男性患者は、インフォームドコンセントの時から免疫チェックポイント阻害剤またはSQZ-AAC-HPVの最終用量の少なくとも5か月後まで、コンドームの使用を受け入れなければならない。
14.患者は、プロトコールを理解し、従うことができ、必要なインフォームドコンセント用紙(ICF)に署名した。適切なICFは、関連する研究手順が行われる前に署名されなければならない。該当する場合、男性患者の女性パートナーは、妊娠中のパートナーのICFを理解し、署名する。
除外基準
1.自家血液製品の製造のための採血前2週間以内に、調査的療法を含む抗がん療法による処置。3日よりも長い半減期を有する前の療法について、療法の中断のタイミングは、スポンサーと議論しなければならない。
2.自家血液製品の製造のための採血の少なくとも2週間前に解消されていない(すなわち、≦グレード1またはそれよりも上)抗がん療法または調査的療法による以前の処置に関連する、NCI CTCAEバージョン5.0に従って>グレード1の有害事象(AE)(グレード2の貧血を除く)を有する患者。
3.前の免疫療法から任意のグレード4のirAE(補充療法で管理された内分泌異常または血清アミラーゼもしくはリパーゼの無症候性の上昇を有する患者は適格である)、前の免疫療法の恒久的中断をもたらす任意のirAE、または自家血液製品の製造のための採血の≦6か月前に起こった任意のグレード3のirAEの病歴。
4.最後の6か月以内に非コルチコステロイド系免疫抑制剤で処置された患者は、適格ではないことがあり、スポンサーと議論しなければならない。
5.活動性、公知、または疑わしい自己免疫疾患を有する患者は、適格ではないことがあり、スポンサーと議論しなければならない。
6.脾摘出術を受けた患者。
7.自家治験製品製造のための採血前4週間以内に、輸血を受けたか、または輸血が必要と予期される患者。
留意:患者は、臨床的に適応のある採血後に輸血を受けてもよい。
8.前の同種異系骨髄移植または固形臓器移植を有する患者は、適格ではないことがあり、スポンサーと議論しなければならない。
9.自家血液製品の製造のための採血前4週間以内の生ウイルスワクチン接種。
10.自家血液製品の製造のための採血前14日以内のコルチコステロイド(1日あたり>10mgのプレドニゾンまたは等価物)または他の免疫抑制薬のいずれかによる全身処置。留意:吸入、鼻腔内、関節内および局所(眼を含む)ステロイドは許容される。副腎不全を有する患者のためのステロイド補充の使用は許容される。副腎不全を有する患者におけるミネラルコルチコイド補充のためのフルドロコルチゾンの使用は許容される。
11.公知の活動性の中枢神経系転移および/またはがん性髄膜炎を有する。以前に処置された脳転移を有する患者は、患者が、安定である(治験製品の初回用量前の少なくとも4週間、イメージングによる進行の証拠がなく、任意の神経症状がベースラインに戻った)、新たなまたは増大している脳転移の証拠がない、および自家血液製品の製造のための採血前の少なくとも7日間ステロイドを使用していないという条件で参加してもよい。この例外は、臨床状態にかかわらず除外されるがん性髄膜炎を含まない。
12.ステロイドを必要とする間質性肺疾患、特発性肺線維症、肺炎(薬物誘発性を含む)、または器質化肺炎(例えば、閉塞性細気管支炎、特発性器質化肺炎)の病歴。
a.肺炎のためのステロイド療法を必要していない無症候性肺炎を有する患者は、適格である。
13.不安定狭心症、自家血液製品の製造のための採血前6か月以内の急性心筋梗塞、ニューヨーク心臓協会クラスIIIまたはIVのうっ血性心不全、および療法を必要とする不整脈を含む、臨床的に重要な心臓疾患。
14.自家血液製品の製造のための採血前1か月以内の脳血管発作(虚血性発作を含む)などの全身性の動脈の血栓または塞栓事象。
15.自家血液製品の製造のための採血前1か月以内の全身性の静脈の血栓事象(例えば、深部静脈血栓)または肺動脈事象(例えば、肺塞栓)。
a.安定な抗凝固剤療法に対する自家血液製品の製造のための採血前の静脈血栓事象を有する患者は、適格である。
16.治験責任医師の意見において、臨床的に意味のある心電図異常(ECG)の病歴または存在。
17.左心室駆出分画率(LVEF)<50%。
18.自家血液製品の製造のための採血の2週間以内の大手術;自家血液製品の製造のための採血前>2週間の大手術後、すべての手術創傷は、治癒し、感染または離開なしでなければならない。
19.任意の他の臨床的に重要な併存疾患、例えば、活動性感染症、公知の精神障害もしくは神経障害、または治験責任医師の判断において、プロトコールへの遵守を損なうか、研究結果の解釈を妨げるか、または患者を安全上のリスクがあるようにする、任意の他の状態。
20.公知の活動性B型肝炎もしくはC型肝炎、または活動性mycobacterium tuberculosis感染。
21.患者が、エントリーの12か月以内にアルコールおよび/または違法薬物乱用の病歴を有する。
22.スクリーニング来診時に、母乳育児しているか、または陽性の血清妊娠検査を有する女性患者。
23.患者が、SQZ-AAC-HPVの任意の構成要素に対するアレルギーまたは過敏性の病歴を有する。
24.キメラ、ヒト、もしくはヒト化抗体、または注入タンパク質に対する重篤なアレルギーのアナフィラキシー反応の病歴(併用コホートのみ)。
25.イピリムマブ、ニボルマブ、チャイニーズハムスター卵巣細胞製品、またはイピリムマブもしくはニボルマブ製剤の任意の構成要素に対する公知の過敏性(併用コホートのみ)。
26.HIV+患者の登録は、スポンサーと議論しなければならない。
自家血液製品の製造のための採血
【0319】
自家製品製造のための採血の目標は、長期の処置期間をサポートするためにおよそ500×109個細胞のそれぞれの患者についてのRBCの収量を提供することである。この目的のために、少なくとも200mLの全血(±10%)が、少なくとも500×109RBCを採取するために取られる。ローカル手順に従って、RBCまたは全血球算定が、処理された血液の体積が増加し得るように、採血の間に行われる。RBCまたは全血球算定を採血の間に行うことができない事象では、試料は、可能なら、RBC採取においてRBC数を決定するために、採血の最後に取られる。結果は、可能な限り早く処理され、スポンサーにリアルタイムで提供されなければならない。
腫瘍応答評価およびスケジュール
【0320】
腫瘍評価は、スクリーニング(ベースライン)で行われ、腫瘍応答は、SQZ AAC HPVの初回用量後1年間、9週間(±7日)ごとに、次いで、その後に、RECISTおよびiRECISTによって確認される疾患進行、許容されない毒性、同意の撤回、死亡、またはSQZ AAC HPVの初回投与の日から2年のいずれかが最初に起こるまで12週間(±7日)ごとに、治験責任医師によって評価される。
【0321】
部分奏功(PR)または完全奏功(CR)に達した患者について、腫瘍評価を、4週間後に繰り返して、応答を確認する。
【0322】
疾患は、CTスキャンまたはMRIのいずれかのX線イメージングを介して評価され、X線検査法は研究全体を通して一貫している。RECIST 1.1による疾患進行を経験する患者は、疾患進行:すなわちiRECISTによるiCPD(Seymour et al, 2017)の確認を可能にするために処置している治験責任医師によるそれらの最良の関心で考慮される場合、投薬が継続されてもよい。
【0323】
患者が進行以外の理由のために治験製品を中断する場合、その患者は、上記に概要を述べたスケジュールに従ってイメージングを継続する。患者が臨床的悪化に起因して処置を中断する場合、臨床進行に関連するTEAEが、AEの頁に記録される。X線検査の評価を、得て、記録しなければならない。
【0324】
スクリーニングおよびすべてのその後の時点で、子宮頚癌、肛門/直腸癌、外陰/膣癌、および陰茎癌は、胴体(胸部、腹部および骨盤)および疾患のすべての公知の部位のコンピューター断層撮影(CT)を必要とし;中咽頭癌は、頭部、頸部、および胸部、ならびに公知の関与する他の領域のCTを必要とする。判断可能な理由のために、CTスキャンを使用することができない、または適切な腫瘍評価が可能でない場合、磁気共鳴画像法(MRI)が許可され、スポンサーに、スクリーニングの間に知らされる。スクリーニング時に疾患部位を評価するために使用された同じX線検査手順が、研究全体を通して使用される。すべての他の進行性固形腫瘍型について、治験責任医師は、治験責任医師がその腫瘍型に最良であると考えられるイメージングモダリティを使用して、疾患のすべての公知の部位をイメージングする。
【0325】
脳の磁気共鳴画像法は、脳転移の病歴を有するすべての患者において、スクリーニング時に必要とされ、脳転移の病歴を有する任意の患者、および/または脳転移を示唆する症状を発生した任意の患者において、その後の時点で繰り返され得る。患者が、MRIに耐えることができない、またはMRIに禁忌を有する場合、CTスキャンが使用される。
【0326】
可能なら、同じ評価者が評価を行って、来診にわたる内部的な一貫性を確実にする。治験責任医師の指示で、CTスキャンは、進行性疾患(PD)が疑われる場合に、任意の時に繰り返される。部分奏功(PR)または完全奏功(CR)に達した患者について、腫瘍評価を、4週間後に繰り返して、応答を確認する。
免疫原性測定を含む薬力学的評価
試料採取スケジュール
【0327】
免疫原性測定を含む薬力学に対するSQZ-AAC-HPVの効果を評価するために、血液および腫瘍生検試料を採取する。
腫瘍生検
【0328】
自家血液製品の製造のための採血前に、患者は、活発な腫瘍成長を有する以前に照射された部位からであり得るスクリーニング腫瘍生検(原発腫瘍または転移)を受ける。すべての患者は、サイクル2の8日目(±2日)に、同じ原発腫瘍または転移の反復腫瘍生検を受ける必要がある。可能なら、追加の反復腫瘍生検を、サイクル5の1日目(+2日)に得(投薬前)、この試料は、必要に応じてである。予備的データは、処置中の腫瘍生検時点の改変がより適切であることを示唆する場合、代替の処置中の腫瘍生検時点が考慮され得る。
【0329】
腫瘍組織は、合計のおよび生存する腫瘍内容物に基づいて、良好な品質でなければならない。新しい腫瘍生検は、原発腫瘍または転移部位からスクリーニング時に取られ、その後の生検は、スクリーニング時に生検が行われた同じ原発腫瘍または転移からである。解剖学的位置(臓器および臓器内の領域)は、CRFにおいて留意しなければならない。
薬力学的評価
【0330】
可能ならいつでも、ベースライン試料は、限定されるものではないが、四量体染色を含むフローサイトメトリーによる免疫表現型検査、HPVペプチドとの共培養後のT細胞のサイトカイン産生の評価(IFNγおよびグランザイムB酵素結合免疫スポット[ELISPOT])、および循環無細胞HPV16 DNA(cfHPV DNA)を含む、細胞相関性試験の長期的評価のために使用される。ベースラインの腫瘍生検および選択された血液試料は、処置後試料との比較のためにのみ使用される(表2)。
【表2】
略称: DNA=デオキシリボ核酸; HPV16=ヒトパピローマウイルス株16; IFNγ=インターフェロンガンマ
【0331】
ELISPOT、T細胞受容体シークエンシング、およびエピトープスプレッディングを介した内因性免疫応答の発生についての評価が実施され得る。ELISPOTを介して検出された内因性免疫応答についての情報は、腫瘍生検の免疫組織化学的分析に情報を提供する。
サイトカイン評価
【0332】
グレード2、3、または4のCRSを有する患者は、グレード2、3、または4のCRS事象の間に行われた追加のサイトカイン血漿レベルを有する。採血は、サイクル1の1日目の投薬前、ならびにCRSの診断の時、重症度の増加の時(例えば、グレード2のCRSがグレード3のCRSに進行した時)、神経学的症状の開始、および退院もしくは解消の時に得る。
【0333】
サイトカインパネルの評価は、限定されるものではないが、IFNガンマ(IFNγ)およびIL6を含む。CRSは開始が遅延することがあるが、療法の開始後14日を超えて存在することはめったにない。このウィンドウ外に存在するCRSと一致する症状を示す患者は、他の原因について注意深く評価される。
【0334】
サイトカインはまた、薬力学的評価のためにモニターされる。ベースラインおよび処置後の血清試料を採取して、薬物の炎症応答についての情報を提供するサイトカインを測定することによって、抗腫瘍免疫応答を評価する。
【0335】
そのIV投与後の血流からのSQZ-AAC-HPV除去の動態を評価するために、血液試料を、サイクル1およびサイクル2において採取する。
安全性評価
【0336】
この研究についての適格性の基準は、参加している患者の安全性を確実にするために確立された。安全性は、この研究において、すべてのSAEおよび重篤でないAE、ならびに臨床検査の異常のモニタリングを通して評価され、NCI CTCAEバージョン5.0に従って定義および等級付けされる。一般的安全性評価は、身体診察および特殊な臨床検査評価を含み、血液生化学検査、凝固、および分画を含む血球数を含む。SAEおよび≧グレード2のAESIは、安全性データベースへのエントリーのために迅速処理様式で報告される。
【0337】
研究の実施の間、観察された安全性事象の全体性がレビューされ(グレード2に解消されたCRS事象を含む)、所与の事象がこの事象後の患者の調整された登録の開始を必要とするかが決定される。可能性のある追加の単剤療法コホート(パート1)または併用安全性コホート(パート2)における調整された登録は、1つまたは複数のコホートにおけるすべてのその後の新たに登録される患者を、1週間調整することを必要とする。患者の並行登録は、該当する場合、一部のコホートで継続されてもよい。グレード2、3、または4のCRSを有する患者は、安全性検査およびサイトカインパネルの評価のために取られた追加の血液試料を有する。
【0338】
免疫チェックポイント阻害剤への曝露は、irAE、特に、自己免疫状態のリスクを増加させ得る。そのため、irAEは、早期に認識され、可能性のある主要な合併症を回避するために、即座に処置される。
【0339】
すべての患者は、治験製品の最終用量後15から45日以内に、安全性追跡調査来院のために診療所に戻る。すべてのAEおよびSAEは、治験製品の最終用量の6週間後(EOD6W)、もしくはドロップアウトから最大で45日まで、または別の抗がん療法の開始までのいずれかが最初に起こるまで、記録される。SQZ-AAC-HPV単剤療法または併用療法に、関連する可能性がある、ほぼ確実に関連する、または明白に関連すると治験責任医師によって決定された進行中のSAEのみが追跡調査される。
身体診察、ならびに身長および体重
【0340】
身体診察は、示される通り、身長(スクリーニングのみ)、体重、および全身外観の評価、ならびに以下の系:皮膚、頭部、眼、耳、鼻、口/喉/頸部、甲状腺、リンパ節、呼吸器系、心臓血管系、胃腸系、四肢、筋骨格系、神経系、ならびに婦人科系および泌尿生殖器系の評価を含む。患者の投薬が体重によって決定されるので、自家血液製品の製造のための採血の24時間以内の患者の身体診察の間に体重を捕えることは特に重要である。
一般状態
【0341】
米国東海岸がん臨床試験グループのスケールおよび基準を使用して、患者の一般状態を評価し、疾患が患者の日常生活能力にどのような影響を与えるかを評価し、適切な処置および予後を決定する。
12誘導心電図
【0342】
12誘導ECGは、心拍数、PR間隔、QRS間隔、RR間隔、およびQT間隔を決定するECG機器を使用して、予定された時点で、資格のある現場の人員によって行われる。QTcB(Bazettの式によって補正されたQTc)および/またはQTcF(Fridericiaの式によって補正されたQTc)を、QTおよびRR間隔に基づいて算出する。ECGの採取の間、患者は、ECG採取の前に少なくとも10分間、気を散らすものがない(例えば、テレビ、携帯電話がない)静かな環境で、静止した姿勢でなければならない。
【0343】
すべてのECGは、異常の存在について資格のある医師によって評価される。
心エコー図
【0344】
心エコー図またはマルチゲート収集(MUGA)スキャンを行って、スクリーニングおよび臨床的に示された時に、LVEFを測定する。
臨床検査評価
【0345】
臨床検査評価のための試料を、時点で採取する。表3に概要を述べた臨床検査試験は、その場所で行われる。表3に概要を述べた臨床検査のための試料は、その場所の標準手順に従って、適切な管に採取され、取り扱われる。
【0346】
臨床検査の変数を表3にリストする。安全性モニタリングの目的のために、治験責任医師は、すべての範囲外の臨床検査結果をレビューし、署名し、日付を付けなければならない。臨床検査結果は文書化されなければならない。
【表3】
a. これらの臨床検査についての結果は、自家血液製品の製造のための採血の前に利用可能である結果を伴って、自家血液製品の製造のための採血の前またはその日に収集することが必要である。
b. 凝固パラメーターの結果は、任意の腫瘍生検の日、またはその翌日に必要である。
略称: CRS=サイトカイン放出症候群; T3=トリヨードチロニン; T4=チロキシン; TSH=甲状腺刺激ホルモン
有害事象
有害事象
【0347】
AEは、投与された治験製品との原因となる関係を必ずしも有さない、患者における任意の不都合な医療上の出来事である。したがって、AEは、治験製品に関連するかどうかにかかわらず、治験製品の使用に時間的に関連する、任意の好ましくないまたは意図的でない徴候(異常な臨床検査所見を含む)、症状、または疾患であり得る。有害事象は、新たな事象であってもよく、または重症度もしくは頻度において深刻になったか、もしくは悪化した、既往症であってもよい。
【0348】
有害事象は、身体診察、臨床検査、または他の診断的調査におけるベースラインからの臨床的に重要な変化であり得る。
【0349】
この研究では、AEは、開始時が、治験製品の投与後から研究処置(SQZ-AAC-HPVまたは免疫チェックポイント阻害剤)の最終用量の6週間後までの場合の、処置中に発生したものである。
重篤有害事象
【0350】
SAEは、以下のうちのいずれかをもたらす任意のAEである。
死亡。
即座に生命を脅かす。
患者の入院または現行の入院の延長を必要とする。
持続性のもしくは重要な身体障害または無能をもたらす。
先天性異常または出生異常をもたらす。
患者を危険にさらし得るか、または上記にリストされた転帰のうちの1つを防止するために医学的介入を必要とし得る、重要な医療事象である。
【0351】
任意の患者がICFに署名した後、処置前、処置の間、または処置の休止後30日以内に起こったすべてのSAEは、それが研究に関連するかどうかにかかわらず、適切な臨床手順形式で報告されなければならない。
特に注目すべき有害事象
【0352】
AESIは、継続的なモニタリングおよび治験責任医師によるスポンサーへの即時通知が必要な、治験製品に特異的な科学的および医学的関心のあるAE(重篤または重篤ではない)である。そのようなAEは、それらを特徴付け、理解するために、さらなる調査を必要とし得る。特に注目すべき有害事象は、プロトコールの修正によって研究の間に追加または除去されてもよい。
【0353】
以下のAEが、AESIと見なされる:
過敏性、サイトカイン放出、全身性炎症反応症候群、全身性炎症活性化を示唆する事象。
インフルエンザ様疾病。
注入反応症候群。
免疫療法に関連するirAE、例えば、心筋炎、神経学的irAE、免疫関連病因の高トランスアミナーゼ血症、および腎炎。
グレード2またはそれよりも高いすべてのAESIは、認識の24時間以内にスポンサーに報告される。治験責任医師によって、irAEであると見なされるか、免疫関連であると疑われる事象は、即座にスポンサーと議論されなければならない。
【0354】
加えて、以下の事象がスポンサーに報告される:
疑わしいSQZ-AAC-HPVの過量投与。
Hy’s law基準を満たす肝臓検査の異常、すなわち、特定のプロトコールまたは予定外の臨床検査によって決定される、ASTまたはALT臨床検査値≧3×ULN、および総ビリルビン臨床検査値≧2×ULN、ならびに同時に、アルカリホスファターゼ臨床検査値<2×ULN。
全般
【0355】
SAEを含む有害事象は、最初にICFに署名された日からEOD6Wもしくはドロップアウトから最大で45日まで、または別の抗がん療法の開始までのいずれかが最初に起こるまで、それぞれの患者について収集される。報告期間内に起こったすべてのSAEおよび≧グレード2のAESIは、因果関係にかかわらず、治験責任医師がSAEもしくはAESIに気付いた時から24時間以内に、治験責任医師によってスポンサーまたは被指名人に報告されなければならない。SQZ AAC HPV単剤または併用療法に、関連する可能性がある、ほぼ確実に関連する、または明白に関連すると治験責任医師によって決定された進行中のSAEのみが追跡調査される。
【0356】
AEの用語は、可能な場合に、標準的な医学用語で報告される。それぞれのAEについて、治験責任医師は、開始(日時)、解消(日時)、重症度、因果関係、取られたアクション、重篤かどうか、および患者が研究の中断を引き起こすかどうか、または治験製品投与の改変もしくは遅延をもたらすかどうかを評価および報告する。
【0357】
患者によって自発的に報告されるか、または研究の職員からの自由回答式質問に答えた、または観察によって明らかになった、すべてのAE(予想通りおよび予想外の両方)は、研究場所で、研究の間に、適切な研究特異的臨床手順形式で文書化される。PDに関連する臨床転帰または症状は、それらが、SAEおよび/または死亡基準を満たし、最終の治験製品投与の6週間以内に起こる場合、SAEおよび/または死亡として報告される。それらは、事象の診断または症状に従って報告され、「進行性疾患」という用語によって報告されない。
【0358】
正常範囲外の任意の臨床検査値は、その場所での治験責任医師または被指名人の注意について警告が与えられる。治験責任医師または被指名人は、臨床的な意義をレビューする。臨床的に重要な異常が、投薬後、研究の間、および/または治験製品の休止後6週間以内に取られた試料で見出される場合、AEとして報告されなければならず、患者は、治験責任医師の裁量で、検査が正常化または安定化されるまで追跡されなければならない。SAEを構成するか、または治験製品の投与の中断をもたらす異常な臨床検査値は、症例報告書(CRF)のAEの頁に報告および記録される。
【0359】
SAEおよびAESIは、解決、状態が安定する、または治験責任医師およびスポンサーが追跡を必要としないことに同意するまで、追跡される。事象が、研究報告期間の最後に解消しなかった場合、これは、進行中であるとして文書化されなければならない。すべてのSAEおよび重篤ではない≧グレード2のAESIは、事象を知ってから24時間以内に、グローバル医薬品安全性監視処理グループに報告される。
重症度の評価
【0360】
NCI CTCAEバージョン5.0を使用して、AEについておよび臨床検査の異常についての重症度が評価および等級付けされる。ASTCTコンセンサス等級付けが、CRSおよびICANSのために使用される。それぞれのAEの用語は、国際医薬用語集(MedDRA)の用語およびコードの最新バージョンにマッピングされる。
【0361】
事象が、CTCAEバージョン5.0に包含されない場合、表4に示すガイドラインが、重症度を評価するためのものである。
【表4】
起源: (NIAID, 2003)
略称: CTCAE=有害事象共通用語規準
因果関係の評価
【0362】
治験製品との関係は、治験責任医師によって評価される。したがって、AEおよびSAE報告形式は、SQZ-AAC-HPV、イピリムマブ、ニボルマブ、または併用との因果関係に寄与する選択肢を含む。SQZ AAC-HPVおよび免疫チェックポイント阻害剤による併用療法を受けている患者について、因果関係は、それぞれのプロトコールで特定された療法について個々に評価される。合理的に疑わしい因果関係は、事象が免疫チェックポイント阻害剤のラベルと一致する場合、免疫チェックポイント阻害剤だけに帰する。
【0363】
AEと治験製品(すなわち、SQZ-AAC-HPV、イピリムマブ、ニボルマブ、または併用)の関係は、以下の通り文書化される。
明白:AEは、治験製品と明確に関連する。
ほぼ確実:AEは、治験製品と関連する可能性がある。
可能性がある:AEは、治験製品と関連することがある。
可能性が低い:AEは、治験製品と関連するか疑わしい。
無関係:AEは、治験製品と明確に関連しない。
【0364】
薬の資格を持つ治験責任医師が、それぞれのAEについて治験製品との関係の決定を行う。治験責任医師は、その医学的判断において、事象が治験製品によって引き起こされ得る妥当な可能性があるかどうかを決定する。正当な理由が関係を示唆するために存在しない場合、AEは、「無関係」に分類される。任意の正当な理由が存在する場合、不確定であっても、治験製品とAEの出現との間に因果関係の可能性が疑われることに対して、そのAEは、「関連する」と見なされる。
【0365】
AE/SAEと治験製品との間の関係が、「明白」、「ほぼ確実」または「可能性がある」と決定される場合、事象は、迅速な規制当局の報告の目的のために、治験製品に関連すると見なされる。
予測可能
【0366】
適用可能な製品情報(例えば、SQZ-AAC-HPVについてのIB、またはイピリムマブもしくはニボルマブについての承認されたラベル)にリストされていない、またはそこからの特異度または重症度と矛盾するAEは、予想外と見なされる。
有効性分析
定義
【0367】
無進行生存期間(PFS)は、サイクル1の1日目から、RECIST 1.1に従う客観的な腫瘍試行(PD、放射線学的)の最初の文書化または任意の原因に起因する死亡のいずれか早い方まで期間として定義される。無進行生存期間データは、客観的な腫瘍進行を有しておらず、分析の時に依然として研究中であるか、治験製品以外の抗腫瘍処置が与えられるか、または客観的な腫瘍進行の文書化の前の処置の追跡から除去される、患者についてのPDの非存在を文書化する最後の腫瘍評価の日付で打ち切られる。死亡したことが知られていない登録後の腫瘍評価を有さない患者は、サイクル1の1日目に打ち切られたPFSを有する。PFSは、RECIST 1.1およびiRECIST基準の両方によって評価されて、参加している場所にわたる異なる実施に適応される。
【0368】
全生存期間(OS)は、サイクル1の1日目の日付から任意の原因に起因する死亡の日付までの期間として定義される。死亡の確認の非存在下では、生存期間は、患者が生きていることが知られている最後の日付で打ち切られる。サイクル1の1日目を超える日付を欠いている患者は、サイクル1の1日目に打ち切られたその生存期間を有する。
【0369】
客観的奏功率(ORR)は、RECIST 1.1によるCRまたはPRを有する患者の割合として定義される。客観的奏功率は、確認されていないおよび確認されたORRとして提供される。確認された応答は、応答の最初の文書化から少なくとも28日後に、反復イメージング研究で持続しているものである。同様に、iRECISTによるiORRも、要約および報告される。
【0370】
奏功期間(DoR)は、PRまたはCRの最初の文書化から客観的な腫瘍進行の最初の文書化または任意の原因に起因する死亡までの期間として定義される。奏功期間データは、1)腫瘍進行を有しておらず、分析の時に依然として研究中である;2)治験製品以外の抗腫瘍処置が与えられる;または3)客観的な腫瘍進行の文書化の前の研究の追跡から除去される、患者について、PDの非存在を文書化する最後の腫瘍評価の日付で打ち切られる。同様に、iRECISTによるiDoRも、要約および報告される。
【0371】
最良総合効果(BOR)は、サイクル1の1日目から疾患進行または死亡までのすべての腫瘍評価が記録されたら、決定される。一般に、これは、すべての評価にわたる最良の応答であるが、しかしながら、CR、PR、および安定疾患(SD)の確認が、BOR決定において使用される。CRまたはPRを確認するために、腫瘍測定値の変化が、理由についての基準を最初に満たした後4週間(28日)以上でなければならない反復評価によって確認される。SDを確認するために、これは、サイクル1の1日目から少なくとも12週間で起こらなければならず、そうでなければ、BORは、その後の評価に依存する。最良総合効果は、パーセンテージによって、および固定日付として登録を使用して、最良応答までの期間についての可変の事象までの期間として、要約される。同様に、iRECISTによるiBORが、要約および報告される。
【0372】
疾患制御率(DCR)は、BORが、定義された時点で、RECIST 1.1によってCR、PR、またはSDとして決定される患者の割合である。ベースラインで測定可能な疾患を有し、腫瘍評価に適格な安全性解析集団におけるすべての患者は、3、6、および12か月で、DCRの割合の分母として見なされる。同様に、iRECISTによるiDCRが、要約および報告される。
分析
【0373】
有効性分析は、安全性解析集団において行われる。抗腫瘍活性(ORR、PFS、OS)は、同様に、文書化されたHLAクラスI発現を有する患者について記載される。プロトコールあたりの集団が、安全性解析集団とは異なる場合、有効性分析はまた、PP集団を使用して行われる。
【0374】
RECIST 1.1またはiRECISTによる応答評価を使用するすべての評価は、治験責任医師のレビュー評価を使用して分析される。
【0375】
カプラン-マイヤー法を使用して、中位PFS、および両側95%信頼区間を推定する。死亡した患者は、死亡の原因にかかわらず、その後の抗がん療法を死亡の前に受けた限り、事象を有していたと見なされる。その後の療法を受ける場合、患者は、その後の療法の前の最終の評価可能な腫瘍評価の日付で打ち切られる。研究についての同意を撤回した患者は、同意を撤回する前の最終の評価可能な腫瘍評価の時で打ち切られたと見なされる。臨床データのカットオフ日の時に依然として生きている患者は、最近の評価可能な腫瘍評価で打ち切られる。臨床データのカットオフ日の前の追跡がないすべての患者はまた、追跡がなくなる前の最終の評価可能な腫瘍評価の時に打ち切られたと見なされる。
【0376】
奏功期間、最良総合効果までの期間、および全生存期間は、PFSと同じ打ち切りアルゴリズムを使用する。加えて、iRECISTを使用するiPFS、iBOR、iDCR、およびiBORまでの期間は、類似の方法を使用して、分析および報告される。
【0377】
客観的奏功率(ORR)およびDCRは、正確な二項分布に基づいて、95%の両側信頼区間を有する割合として表される。少なくとも12週間持続するSDは、推定ポイントとして報告される。
安全性分析
【0378】
すべての安全性パラメーターは、安全性解析集団を使用して分析される。安全性パラメーターは、AE、臨床検査評価、バイタルサイン、ECOG、曝露、ECG、ECHO/MUGA、および身体診察を含む。
【0379】
安全性についての主要エンドポイントは、SQZ-AAC-HPV投与に対する任意のAEおよび観察された毒性を有する患者の数であり、ここで、重症度は、NCI CTCAEバージョン5.0を使用して評価される。SQZ-AAC-HPVの初回投与後に開始するすべてのAEが、分析に含まれる。有害事象は、インフォームドコンセントの署名の時に最初に収集されるが、しかしながら、分析は、処置中に発生したAEに集中して行われる。
【0380】
AEは、記述統計量を使用して分析される。所与のAEの複数の指標を有する患者について、最も高い重症度が使用される。
有害事象
【0381】
AEは、MedDRAコード化辞書の最新バージョンを使用してコード化される。
【0382】
AEは、その開始がサイクル1の1日目から治験製品の最終用量の6週間後までに起こる場合、処置中に発生している。部分的な開始時を有するAEについて、欠落していない日付部分は、AEが処置中に発生したかを決定するために使用される。AEが治験製品投与に関連していつ起こったかについて決定することができない場合、AEは、処置中に発生したとして分類される。処置中に発生したAEは、治験製品の初回投与の前に存在し、投与後に毒性が悪化した任意のAEも含む。
【0383】
本セクションに記載の分析は、本セクションで簡潔にAEと簡素に称されるTEAEに基づく。
【0384】
治験製品に関連する可能性がある、高い確実性で関連する、または明確に関連すると治験責任医師によって見なされる有害事象は、要約目的で、関連するとして分類される。
【0385】
任意のAE、任意の関連AE、任意のSAE、任意の関連SAE、任意のグレード3またはそれよりも高いAE、任意の関連グレード3またはそれよりも高いAEを有する患者の数およびパーセンテージ、ならびにそれぞれのカテゴリーについての事象の総数が要約される。AEに起因する死亡、AEに起因する入院、およびAEに起因する処置の中断、ならびにDLTおよびAESIの数が要約される。
【0386】
AEを有する患者の数およびパーセンテージ、ならびにAEの総数が、器官別大分類および基本語によって要約される。この作表は、関連AE、AESI、SAE、関連SAE、ならびに≧グレード3のAEおよび≧グレード3の関連AEについて繰り返す。
【0387】
非TEAEを含むすべてのAEは、患者のリストに提供される。治験製品の中断を引き起こすAE、死亡に至るAE、SAE、関連AE、AESI、DLT、および≧グレード3のAEの患者のリストが作成される。
臨床検査評価
【0388】
ベースラインは、治験製品への最初の曝露前の最終の欠落していない値として定義される。これは、典型的には、サイクルの1日目の投薬前であるが、より早くてもよい。実際の値、およびベースラインの臨床検査からの変化は、研究来診によって要約される。
【0389】
臨床検査の結果は、NCI CTCAEバージョン5.0、および治験責任医師によって決定される臨床的な意義に従って分類される。1超の臨床検査結果が、パラメーターごとに研究来診ごとに報告される場合、最も重篤な分類を与える結果が、分析のために選択される。シフト表が作出されて、等級付けされた臨床検査パラメーターについてのベースラインからの最大の変化を示す。
【0390】
すべての臨床検査評価は、リストに提供される。
【0391】
臨床的に意義がある異常な臨床検査結果を有する患者がリストされる。このリストは、異常であり、研究来診にわたって患者について臨床的に意義があると治験責任医師によって決定された臨床検査パラメーターのすべての結果を含む。
バイタルサイン
【0392】
ベースラインは、治験製品への最初の曝露前の最終の欠落していない値として定義される。実際の値、およびバイタルサインのベースラインからの変化は、研究来診および研究時点によって要約される。すべてのバイタルサインデータが、患者のリストに提示される。
【0393】
バイタルサイン値は、治験責任医師によって決定された臨床的意義に従って分類される。欠落していない結果を有する患者の数、臨床的に意義がない結果を有する患者の数およびパーセンテージ、ならびに臨床的に意義がある結果は、研究来診および研究時点によって要約される。1超のバイタルサイン結果が、パラメーターごとに研究来診および研究時点ごとに報告される場合、最も重篤な分類を与える結果が、分析のために選択される。
【0394】
臨床的に意義があるバイタルサイン値を有する患者がリストされる。このリストは、研究時点にわたって患者について臨床的に意義があると治験責任医師によって決定されたバイタルサインパラメーターのすべての結果を含む。
身体診察
【0395】
異常な身体診察所見がリストされる。
12誘導ECG
【0396】
ECG結果は、シフト表(正常、臨床的に意義がない異常、異常、臨床的に意義がある)に提示されて、ベースラインからの最大の変化を示す。すべてのECG結果が、患者のリストに提示される。
他の安全性変数
【0397】
すべての安全性データが、リストに提供される。
【0398】
ECOG PSおよびECOG PSのベースラインからの変化が、収集されたそれぞれの予定された来診で要約される。ECOG PSのベースラインからの変化は、連続的変数としておよびカテゴリー変数として要約される。ベースラインからの≧1のポイントの減少は、ベースラインからの「改善」として分類される。ベースラインからの≧1のポイントの増加は、ベースラインからの「悪化」として分類される。ベースラインからの改善、悪化、および未変化のECOG PSは、ECOG PSが評価されるそれぞれの登録後の時点で、処置によるカテゴリー変数として要約される。
薬力学的分析
【0399】
バイオマーカーが、それぞれの時点について、ベースラインからの変化およびベースラインからの変化%について要約される。薬力学マーカーとSQZ-AAC-HPVとの間の相関は、記述および図式方法で調査される。
【0400】
それぞれのマーカーについての記述統計量(平均、標準偏差、中位、最小、最大、および幾何平均)が報告される。用量群による経時的な個々の値のグラフが提示される。
用量製造の実現可能性
【0401】
用量製造の実現可能性は、個々の患者のバッチ収量、使用を差し止める製品の不良、および自家血液製品の製造のための採血から関連すると考えられるSQZ AAC HPV製品の生産までの任意の追加情報に基づいて評価される。
(実施例2)
M-AAC-HPVの生産およびフローサイトメトリーによって測定されるアネキシンV+細胞に基づく表面ホスファチジルセリンの特徴付け
【0402】
これらの研究の目的は、M-AAC-HPVのアネキシンV染色およびフローサイトメトリー分析を介した表面ホスファチジルセリン(PS)レベルを特徴付けることであった。
M-AAC-HPVを作出するために使用されたプロセスの記載
【0403】
M-AAC-HPVを作出するために、マウスRBCを、E7合成長鎖ペプチド(SLP)およびアジュバントのポリイノシン酸-ポリシチジル酸(ポリI:C)でSQZ処理する。下記で太字および下線付きで示されるマウスE7 SLPは、C57BL/6JクラスI MHC H2-Kbにおいて提示されるマウスE7抗原エピトープを含む。この配列は、ヒトE7 SLPが由来する同じHPV16 E7タンパク質内に含有される。C57BL/6Jマウスについて、E7が、免疫優性抗原であること、およびE6に対する免疫がHPV16 TC-1腫瘍モデル(Oosterhuis 2011;Peng 2016、Li 2010)においてわずかな治療利益を提供することに留意されたい。それ故に、M-AAC-HPVは、マウスE7 SLPのみを含有する。下記は、マウスE7 SLPおよびヒトE7 SLPの構造の比較である。
マウスE7 SLP:GQAEPDRAHYNIVTFSSKSDSTLRLSVQSTHVDIR(配列番号25)
ヒトE7 SLP:QLCTELQTYMLDLQPETTYCKQQLL(配列番号23)
【0404】
M-AAC-HPVの生産において使用されたアジュバントは、ヒト製剤のSQZ-AAC-HPVにおいて使用されたものと同じアジュバントのポリI:Cである。
【0405】
E7 SLPおよびポリI:CのM-AAC-HPVの内部への送達を容易にすることに加えて、SQZプロセスは、M-AAC-HPV膜上に露出したPSのレベルを増加させる。この表面PSは、静脈内投与後にM-AAC-HPVを内在化する抗原提示細胞上の受容体によって認識されるリガンドとしての機能を果たすと仮定される。高親和性でPSに結合するリン脂質結合タンパク質であるアネキシンVの蛍光誘導体(Koopman 1994)を使用して、細胞表面PSについて細胞を染色し、フローサイトメトリーを使用して検出する。
【0406】
全血をマウスから収集し、マウスRBCを単離した。これらの研究をこのプロセスにおけるPBSまたはRPMIの使用と比較するので、次いで、マウスRBCを、PBS(リン酸緩衝食塩水)またはRPMI(Roswell Park Memorial Institute(培養培地))のいずれか中に抗原(マウスE7 SLP;100M)およびアジュバント(ポリI:C;1mg/mL)を含有する溶液に、1×109個細胞/mLで懸濁させた。得られた細胞懸濁液を、小スケールSQZ装置のシリンジに移し、次いで、SQZ処理に供した。SQZ処理後、得られるAACの懸濁液を、室温で20~60分間インキュベートした。次いで、M-AAC-HPV懸濁液を、遠心分離を使用してPBSで洗浄し、最終的にPBSで2×109個/mLに再懸濁させた。
M-AAC-HPV上の表面PSレベル
【0407】
表面PSレベルを、アネキシンV染色およびフローサイトメトリーによって取得されたデータの分析を介して特徴付けた。アネキシンV+であるM-AAC-HPVのパーセンテージを表示する要約データを
図5Aおよび
図5Bに示す)。
【0408】
6つの独立して調製されたバッチ(PBS中でSQZ処理された3バッチ、およびRPMI中でSQZ処理された3バッチ)からのアネキシンV+ M-AAC-HPVの平均パーセンテージは、94.8±5.3%(平均±標準偏差)であり、アネキシンV+未処理RBCの平均パーセントは、2.0±1.3%であった。6つの独立して調製されたバッチからのM-AAC-HPV中のアネキシンV MFI(幾何平均蛍光強度)の未処理RBC中のものに対する平均比は、99±59(平均±標準偏差)であった。加えて、M-AAC-HPVのアネキシンV MFIの未処理RBC中のアネキシンV MFIに対する比は、細胞がPBSまたはRPMI中で処理された場合に、有意差がなかった。
【0409】
これらの研究は、PSの表面レベルが、RBCのSQZ処理のために使用された条件下で上昇することを実証する。M-AAC-HPVについてのアネキシンV+AACのパーセントは、ヒト製品のSQZ-AAC-HPVのものと同等であり、これは、少なくとも95.8%である。
(実施例3)
フローサイトメトリーによるAAC-HPVの細胞の特徴付け
【0410】
本研究の目的は、FAM(5-カルボキシ-フルオレセイン)標識SLP(合成長鎖ペプチド)、FAM-E6およびFAM-E7 SLPのAACへの送達を定量化すること、ならびにAAC上の表面ホスファチジルセリン(PS)レベルを特徴付けることである。
ヒトAACを作出するために使用された小スケールプロセスの記載
【0411】
全血を研究の前の日に採取し、RBCを研究の日に単離した。次いで、RBCを、抗原(SLP)およびアジュバント(ポリI:C)を含有する溶液に2×109個細胞/mLで懸濁させた。得られた細胞懸濁液を、氷上で10分間インキュベートし、小スケールSQZ装置のシリンジに移し、次いで、SQZ処理に供した。SQZ処理後、得られるAACの懸濁液を、2~8℃で20分間、次いで37℃で60分間インキュベートした。次いで、AAC懸濁液を、遠心分離を使用してPBSで洗浄し、最終的にPBSで2×109個/mLに再懸濁させた。
FAM-E6 SLPおよびFAM-E7 SLPのAACへの送達
【0412】
3つの別々の実験において3人の健康なドナーから単離されたRBCは、それぞれ:A)対照としてそのまま(SQZ処理なし)使用された、B)未標識E6 SLP、未標識E7 SLP、およびポリI:CでSQZ処理されて、AAC-HPVを作出した、C)5-カルボキシ-フルオレセイン(FAM)標識E6 SLP、未標識E7 SLP、およびポリI:CでSQZ処理されて、AAC-HPV(F-E6、E7)を作出した、またはD)FAM標識E7 SLP、未標識E6 SLP、およびポリI:CでSQZ処理されて、AAC-HPV(F-E7、E6)を作出した。表3は、これらの実験群を記載する。異なるドナーからのそれぞれのバッチのヒトRBCの3つのバッチを、SQZ処理して、AAC-HPV、AAC-HPV(F-E6、E7)およびAAC-HPV(E6、F-E7)を作出した。SQZ処理された細胞を、AF647-アネキシンVで染色し、フローサイトメトリーによって分析して、蛍光標識SLPの組込みを定量化し、表面PSレベルを評価した(アネキシンVに基づく;2.4.3に記載された結果)。処理されていないRBCおよびAAC-HPVは、陰性対照としての役割を果たした(FAM標識なし)。
【表5】
NAは「該当なし」を表す。
【0413】
FAM-E6 SLP+およびFAM-E7 SLP+試料のパーセンテージを表示する要約データを
図6に示す。FAM蛍光を、それぞれ、0.1%および0.0%のAAC-HPVおよび処理されていないRBCにおいて検出した(陰性対照)。AACの大部分は、FAM-E6 SLPまたはFAM-E7 SLPに陽性であり;平均で97.8%のAAC-HPV(F-E6、E7)および95.0%のAAC-HPV(E6、F-E7)が、それぞれ、FAM-E6 SLPおよびFAM-E7 SLPに陽性であった。
【0414】
処理されていないRBCおよびSQZ処理された細胞を、AF647-アネキシンVで染色し、フローサイトメトリーによって分析して、表面PSレベルを定量化した(アネキシンVに基づく)。アネキシンV+試料のパーセンテージを表示する要約データを
図7に示す。アネキシンV+であった処理されていないRBCの平均パーセンテージは1.0%であったが、AAC-HPV、AAC-HPV(F-E6、E7)またはAAC-HPV(E6、F-E7)の少なくとも95.8%は、アネキシンVに陽性であり、SQZプロセスが細胞膜上のPSを増加させることを実証した。
(実施例4)
蛍光標識SLPでSQZ処理されたヒトRBCのイメージング
【0415】
この研究は、SQZ処理後の蛍光標識HPV E6およびE7 SLPのAACへの細胞内送達を実証する。
【0416】
表6は、これらの研究において使用された実験群を記載する。3つの独立した実験のそれぞれにおいて、健康なドナーからのRBCは、全血から単離され、A)5-カルボキシ-フルオレセイン(FAM)標識E6 SLP、未標識E7 SLP、およびポリI:CでSQZ処理されて、AAC-HPV(F-E6、E7)が作出され、B)FAM標識E7 SLP、未標識E6 SLP、およびポリI:CでSQZ処理されて、AAC-HPV(E6、F-E7)が作出され、またはC)未標識E6 SLP、未標識E7 SLP、およびポリI:CでSQZ処理されて、AAC-HPVが作出された。SQZ処理された試料を、パシフィックブルー(PB)コンジュゲート抗CD235a抗体で染色し、epi蛍光顕微鏡でイメージングした。それぞれの試料についての画像を、ライン走査分析に供して、FAM標識SLPの局在化が管腔(AACの内側)であったかどうかを決定した。
【表6】
【0417】
3人の個々のドナーのRBC(実験あたり1人のドナー)のSQZ処理によって作出されたAAC-HPV(F-E6、E7)、AAC-HPV(E6、F-E7)、およびAAC-HPVについての代表的なepi蛍光画像およびそれらの対応するライン走査トレースを、それぞれ、
図8、
図9および
図10に示す。FAM+AAC-HPV(F-E6、E7)、AAC-HPV(E6、F-E7)、およびAAC-HPVのパーセンテージの平均および範囲を表7に示す。
【表7】
表の注記: N = 3ドナー/群。
【0418】
SQZプロセスによる蛍光標識E6およびE7 SLP(FAM-E6およびFAM-E7)のヒトAACへの細胞内送達を、蛍光顕微鏡により可視化した。AAC-HPV(F-E6、E7)、AAC-HPV(E6、F-E7)、およびAAC-HPVを、PBコンジュゲート抗CD235a抗体で染色して、細胞膜を規定した。次いで、FAM-E6またはFAM-E7 SLPの局在化を、蛍光顕微鏡によって可視化した。未標識SLPでSQZ処理されたAAC-HPVは、陰性対照としての役割を果たした。
【0419】
蛍光画像において行われたライン走査は、SQZ処理後のFAM-E6およびFAM-E7のAAC内局在化を確認した。具体的には、AAC内FAMは、分析されたAAC-HPV(F-E6、E7)のすべて(100%)、および分析されたAAC-HPV(E6、F-E7)の大部分(平均で95.0%)において観察された。
【0420】
このイメージング研究は、SQZ処理の結果として、それぞれ、蛍光標識E6またはE7 SLPのヒトAAC-HPV(F-E6、E7)およびAAC-HPV(E6、F-E7)の大部分への送達を確認する。
(実施例5)
フローサイトメトリーによって測定されるヒト抗原提示細胞(APC)によるAAC-HPVのin vitro取り込み
【0421】
研究の目的は、ヒト抗原提示細胞(APC)によるAAC-HPVのin vitro取り込みを評価することであった。
【0422】
CD14+単球の5日のGM-CSF/IL-4分化によってHLA-A*02+ドナーから作出された単球由来樹状細胞(MODC)を、ヒトAPCのin vitroモデルとして使用した。
【0423】
3人の健康なヒトドナー由来の赤血球細胞(RBC)を、脂溶性蛍光膜色素のPKH26で標識した。未標識RBCおよびPKH26標識RBCを、報告番号SQZ-AAC-0124に記載のプロセスを使用して、E6 SLP、E7 SLPおよびポリI:CでSQZ処理し、それぞれ、未標識AAC-HPVおよびPKH26標識AAC-HPVを作出した。
【0424】
MODCによるAAC-HPVのin vitro取り込みを、フローサイトメトリーによって測定される、37℃でのPKH26標識AAC-HPVとの終夜の共培養後のMODC(CD11c+細胞)PKH26蛍光の増加として特徴付けた。4℃でのMODCのPKH26標識AAC-HPVとの共培養またはMODCの未標識AAC-HPVとの共培養を陰性対照として使用した。3つの独立した実験からの要約グラフを
図11に示す。4℃で共培養されたMODCに対する37℃で培養されたMODCのPKH26蛍光の倍数増加を示す要約データを表8に示す。
【表8】
N/Aは該当せずを表す。ELN1084において、PKH26標識AAC-HPVまたはAAC-HPVの最高試験用量は、ウェルあたり200×10
6個細胞であった。
【0425】
37℃でPKH26標識AAC-HPVとともに共培養されたMODCのPKH26 MFIは、取り込みが抑制される温度(Albert 1998)の4℃で共培養されたMODCのPKH26 MFIに対する増加(2.8~31.2倍)を示した。これは、すべての研究(3つの研究のうちの3つ)で2~600×106の範囲のAAC-HPV用量について観察された。蛍光は、未標識AAC-HPVを含む共培養において観察されず、MODCのPKH26 MFIの増加がPKH26標識AAC-HPVに依存することを実証した。そのため、CD11c+ MODCは、用量および温度依存性の方法で、PKH26標識AAC-HPVを内在化する。
【0426】
この研究は、MODCが、用量および温度依存性の方法でPKH26標識AAC-HPVを取り込むことを実証する。
(実施例6)
フローサイトメトリーによって測定されるAAC-HPV取り込み後のAPCのin vitro成熟
【0427】
この研究の目的は、AAC-HPVとの共培養のおよそ2日後のヒトモデルAPCのMODC(単球由来樹状細胞)における成熟マーカーのin vitro上方制御を評価することであった。
【0428】
5人のHLA-A*02+ドナーのそれぞれ由来の単球を、GM-CSF/IL-4とともに4日間インキュベートして、5ロットのMODCを作出した。MODCを、表現型決定し、凍結し、使用のために解凍されるまで≦140℃で保管した。
【0429】
ヒトRBCを、報告番号SQZ-AAC-0124に記載のプロセスを使用して、E6 SLP、E7 SLPおよびポリI:CでSQZ処理し、AAC-HPVを作出した。同様に、ヒトRBCを、抗原(E6およびE7 SLP)およびアジュバント(ポリI:C)の非存在下の媒体でSQZ処理して、C媒体を作出した。
【0430】
5人の異なるドナー由来のMODCを、AAC-HPVとともにおよそ2日間共培養した。
【0431】
成熟マーカーの上方制御を、フローサイトメトリーによってCD86、CD80、CD83、MHC-IIおよびCD40染色の幾何平均蛍光強度(MFI)を測定すること、およびそれを、C媒体または対象媒体のみとともに培養されたMODCの成熟マーカーレベルと比較することによって決定した。
【0432】
CD86、CD80、CD83およびMHC-IIについての要約グラフを
図12に示す。MODCとともに共培養されたAAC-HPVは、対象媒体との培養と比べて、MODCにおけるCD40発現の増加をもたらさなかった。したがって、CD40は、グラフに表さない。
【0433】
MODC表面上の成熟マーカーの上方制御の統計学的に有意な増加が、CD80、CD86、およびMHC-IIについて観察された。成熟マーカーCD83の上方制御の統計学的に有意な増加は観察されなかったが、5人のMODCドナーのうちの3人が、C媒体と比較して、AAC-HPVとの共培養後にCD83の上方制御を示した。加えて、対照媒体、C媒体およびAAC-HPVの生(正規化されていない)データに対して行われた統計分析は、対照媒体とC媒体との間の差を示さず、アジュバント(および抗原)なしでSQZ処理されたRBCが、MODCにおける成熟マーカーを上方制御しないことを確認した。
【0434】
この研究は、AAC-HPVとともにin vitroで共培養されたMODCが、MODCの表面上のCD80、CD86、およびMHC-IIを含む複数の成熟マーカーを有意に上方制御することを実証する。有意ではないが、CD83の上方制御が、MODC作出のために使用された5人のドナーのうちの3人で観察される。
(実施例7)
MODCとの共培養後のE711-20反応性CD8+ T細胞によるIFN分泌として測定されるSQZ-AAC-HPVのin vitro活性
【0435】
研究の目的は、ヒトモデルAPCのMODC(単球由来樹状細胞)およびE711-20特異的CD8+ T細胞とともに共培養されたSQZ-AAC-HPVに対する機能的応答を実証することであった。
【0436】
7つの異なるバッチのSQZ-AAC-HPVを、E6およびE7 SLP、ならびにポリI:Cで健康なドナーの新鮮な血液をSQZ処理することによって作出し、製剤として製剤化した。SQZ-AAC-HPVを、CD14+単球のGM-CSFおよびIL-4による5日の刺激によって、HLA-A*02+ドナーに由来するMODCとともに共培養した。得られる共培養物からの媒体を、E711-20特異的CD8+ T細胞からのIFN分泌についてELISAによって分析した。
【0437】
ELISAによって測定される、MODCとともに共培養されたE7特異的CD8+ T細胞からのSQZ-AAC-HPVが誘導した抗原特異的IFN応答を示す7つの異なるロットからの要約データを
図13に示す。SQZ-AAC-HPV含有共培養物において測定されたIFNと媒体対照共培養物において測定されたIFNとの間の倍数増加として表されるIFN分泌の大きさを示す要約データを表9に示す。
【0438】
SQZ-AAC-HPVの7つのバッチすべてとのMODCおよびCD8+ T細胞の共培養は、媒体対照とのMODCおよびCD8+ T細胞の共培養と比較して、分泌されたIFNγの少なくとも6倍の増加をもたらした。
【0439】
この研究は、SQZ-AAC-HPVが、HLA-A
*02+ MODCおよびE7特異的CD8+ T細胞とのin vitro共培養後にE711-20最小エピトープを認識するE7特異的CD8+ T細胞によるIFNγの分泌を誘導することを実証する。
【表9】
a倍数増加は、SQZ-AAC-HPVおよび媒体対照条件について算出する。
(実施例8)
フローサイトメトリーによって測定されるM-AAC-HPVの静脈内投与後のマウスにおける内因性APCのin vivo成熟
【0440】
研究SQZ-AAC-0127の目的は、マウスプロトタイプのM-AAC-HPVによるマウスの免疫後のさまざまな内因性脾臓APC(抗原提示細胞)における成熟マーカーのin vivo上方制御を評価することであった。
【0441】
表10は、雌C57BL/6Jマウスにおけるin vivoでのM-AAC-HPVによる脾臓APCの活性化を評価するための研究の設計を示す。M-C媒体(媒体で(抗原またはアジュバントの非存在下で)SQZ処理されたマウスRBC)を対照として使用した。動物の犠牲の日は、免疫表現型検査が行われた日である。
【0442】
評価された脾臓APCは、CD11chiMHC-IIhiCD8+細胞(CD8+樹状細胞またはCD8+ DC)、CD11chiMHC-IIhiCD11b+細胞(CD11b+樹状細胞またはCD11b+ DC)、およびF4/80+CD11blo/-(RPM;赤脾髄マクロファージ)であった。
【0443】
APC成熟マーカーの上方制御は、フローサイトメトリーによりCD40、CD86、CD80、CD83およびMHC-II染色の幾何平均蛍光強度(MFI)を測定することによって実証された。脾臓のフローサイトメトリー分析を、細胞表面上の成熟マーカーの蓄積を可能にするM-AAC-HPVまたはM-C媒体の投与14~16時間後に行った。
【表10】
M-AAC-HPV = AAC-HPVのマウスプロトタイプ(マウスE7 SLPおよびポリI:CでSQZ処理されたマウスRBC); M-C媒体=媒体(抗原またはアジュバントの非存在下)でSQZ処理されたマウスRBC; RO: 後眼窩(投与経路)
【0444】
脾臓APCにおけるマーカーについての要約グラフを、CD86幾何MFIについて
図14に、CD83幾何MFIについて
図15に、CD40幾何MFIについて
図16に、CD80幾何MFIについて
図17に、MHC-II幾何MFIについて
図18に示す。
【0445】
2つの独立した実験からの結果は、M-C媒体を受けたマウスと比較して、M-AAC-HPVを受けたマウスにおいて3つの脾臓APC集団(CD8+ DC、CD11b+ DC、RPM)すべてにおいてCD86幾何MFIの統計学的に有意な増加を実証した。2つの独立した実験からの結果は、M-C媒体を受けたマウスと比較して、M-AAC-HPVを受けたマウスにおいて脾臓樹状細胞、すなわち、CD8+ DCおよびCD11b+ DCにおいて、選択的な、CD83、CD40およびCD80幾何MFIの統計学的に有意な増加を実証した。2つの独立した実験からの結果は、M-C媒体を受けたマウスと比較して、M-AAC-HPVを受けたマウスにおいて脾臓CD8+ DCおよびRPMにおいて、選択的な、MHC-II幾何MFIの統計学的に有意な増加を実証した。
【0446】
この研究は、マウスプロトタイプM-AAC-HPVを有するマウスの免疫が、in vivoで、CD8+ DC、CD11b+ DCおよびRPMを含む脾臓APCを活性化することを実証した。成熟についてのマーカーである共刺激マーカー(CD86、CD83、CD40、CD80、およびMHC-II)の上方制御が、M-AAC-HPVの静脈内(IV)投与14~16時間後のさまざまなAPC集団において観察されたが、任意の抗原またはアジュバントなしでSQZ処理されたマウスRBC(M-C媒体)を受けたマウスでは観察されなかった。
(実施例9)
フローサイトメトリーICSによって評価されるCD8+ T細胞内因性応答を測定するためのM-AAC-HPVによるマウスのin vivo免疫-抗原およびアジュバントの効果
【0447】
マウスにおけるE7特異的CD8+ T細胞応答のプライミングにおける抗原およびアジュバントについての要件を、IFNγに対する細胞内サイトカイン染色(ICS)を使用して調べた。
【0448】
マウス血液の収集およびRBCの単離を、上記に記載されたようにして行った。RBCを、再懸濁させ、報告SQZ-AAC-0126に記載されるSQZ処理条件を用いて、E7 SLP単独(M-ACを作出するため)またはポリI:C単独(M-C-ポリI:Cを作出するため)またはE7 SLPおよびポリI:Cの両方を含有する溶液(M-AAC-HPVを作出するため)のいずれかを含有するPBS溶液でSQZ処理した。
【0449】
表11は、雌C57BL/6Jマウスにおいてin vivoでE7特異的CD8+ T細胞応答を誘発するSQZ処理された赤血球細胞(RBC)における抗原(E7 SLP)およびアジュバント(ポリI:C)についての要件を評価するための研究の設計を示す。動物の犠牲の日は、細胞内サイトカイン染色(ICS)が脾細胞に対して行われた日である。
【表11】
ICS =細胞内サイトカイン染色; M-AAC-HPV = AAC-HPVのマウスプロトタイプ(マウスE7 SLPおよびポリI:CでSQZ処理されたマウスRBC); M-AC =抗原単独(抗原の非存在下)でSQZ処理されたマウスRBC; M-C-ポリI:C =アジュバント単独(抗原の非存在下)でSQZ処理されたマウスRBC; NA =該当なし; PBS =リン酸緩衝食塩水; RO = 後眼窩(IV投与の方法)
【0450】
ICSについて上記の表11に示された日に、マウスを犠牲にし、脾臓を採取し、細胞を分析のために単離した。E7特異的CD8+ T細胞応答は、E7最小エピトープペプチドで再刺激した場合にIFNγを産生するCD8+ T細胞のパーセンテージを評価することによって測定される。
【0451】
E7特異的CD8+ T細胞応答の大きさを
図19に示す。IFNγ産生CD8+ T細胞のパーセンテージは、免疫のために使用されたSQZ処理された細胞がアジュバント(ポリI:C)および抗原(E7 SLP)の両方を含有する場合に最も大きい。M-AAC-HPVを受けた動物においてE7最小エピトープペプチドで再刺激した場合にIFNγを産生するCD8+ T細胞のパーセンテージは、アジュバント単独(M-C-ポリI:C)または抗原単独(M-AC)で調製されたSQZ処理されたRBCを受けた動物におけるよりも有意に大きかった(p<0.0001)(M-C-ポリI:Cについての0.02%およびM-ACについての0.03%と比較して、M-AAC-HPVについて平均で0.60%)。
【0452】
M-AAC-HPVで処置されたマウスは、有意なE7特異的CD8+ T細胞応答を誘発し、これは、抗原(E7)およびアジュバント(ポリI:C)の存在に依存する。
(実施例10)
M AAC-HPV投与後のマウスにおけるCD8+ T細胞内因性応答の評価-用量応答
【0453】
この研究の目的は、IFNγに対する細胞内サイトカイン染色(ICS)を使用するマウスにおけるE7特異的CD8+ T細胞応答に対するM-AAC-HPVの漸増用量(5×107、1×108、2.5×108、5×108、および1×109M-AAC HPV/マウス)の効果を調べることであった。
【0454】
マウスRBCを単離するための方法、ならびにAAC-HPVのマウスプロトタイプ(M-AAC-HPV)を作出するためのE7 SLPおよびポリI:CによるRBCのSQZ処理は、上記に記載されている。
【0455】
表12は、in vivoでM-AAC-HPVの異なる用量を評価するための研究の設計を示す。雌C57BL/6Jマウスを研究のために使用した。動物の犠牲の日は、細胞内サイトカイン染色(ICS)が脾細胞に対して行われた日である。
【表12】
Mは100万を表す; Bは10億を表す; NAは「該当なし」を表す; RO: 後眼窩(IV投与の方法); ICS =細胞内サイトカイン染色
【0456】
ICSについて上記の表に示された日に、マウスを犠牲にし、脾臓を採取し、細胞を分析のために単離した。E7特異的CD8+ T細胞応答は、E7最小エピトープペプチドで再刺激した場合にIFNγを産生するCD8+ T細胞のパーセンテージを評価することによって測定される。
図20に示されるE7特異的CD8+ T細胞応答の大きさは、M-AAC-HPVの用量の範囲の効果を実証する。
【0457】
図20に見られるように、E7特異的CD8+ T細胞のIFN応答の大きさは、M-AAC-HPVの用量に依存する。M-AAC-HPVの用量が増加するにつれて、応答は、従って、E7短ペプチドで再刺激した場合にIFNγを産生するCD8+ T細胞のパーセンテージとともに増加し、0.02%のPBS対照についての平均値と比較して、5×10
7M-AAC-HPV/マウスの用量での0.10%の平均値から1×10
9M-AAC-HPV/マウスの用量での0.63%の平均値まで増加する。研究された用量範囲(5×10
7M-AAC-HPV/マウス~1×10
9M-AAC-HPV/マウス)にわたって、応答は、2.5×10
8M-AAC-HPV/マウスでプラトーに見えた。
【0458】
M-AAC-HPVで処置されたマウスは、有意なCD8+ T細胞IFNγ応答を誘発し、その大きさは、M-AAC-HPV用量に依存する。
(実施例11)
四量体染色によって評価される血液中のE7特異的CD8+細胞を測定するためのM-AAC-HPVを用いるマウスにおけるin vivo免疫-ブースティングスケジュールの効果
【0459】
この目的は、四量体染色を使用して血液中で測定されるE7特異的CD8+ T細胞の内因性応答の大きさに対するM-AAC-HPVのマウスへのブースター投与の効果を決定することであった。
【0460】
表13は、E7特異的CD8+ T細胞応答の大きさに対する雌C57BL/6JマウスへのM-AAC-HPVの追加ブースター用量を投与する影響を評価するための研究の設計を示す。E7特異的CD8+ T細胞は、マウスにおけるE7免疫優性エピトープ(E749-57 - RAHYNIVTF)に特異的なT細胞受容体(TCR)に結合するMHCクラスI四量体で全血中の細胞を染色すること、およびフローサイトメトリーにより全血中のE7四量体+ CD8+ T細胞のパーセンテージを評価することによって測定した。
【表13】
NAは「該当なし」を表す; RO: 後眼窩(IV投与の方法)
【0461】
最終免疫後のさまざまな時点でのE7特異的CD8+ T細胞応答の大きさを
図21、22、および23に示す。
【0462】
この研究では、経時的なE7に対するCD8+ T細胞応答を、全血中のすべてのCD8
+ T細胞と比べて、活性化された(CD44
hi)E7-四量体陽性CD8
+ T細胞のパーセンテージを測定することによってモニターした。
図21~23に見られるように、M-AAC-HPVの単回用量の投与は、PBS対照(0.02%~0.07%の範囲、平均0.03%)と比較して、プライムのみの群における全血中のE7四量体
+ CD8
+ T細胞(0.22%~0.44%の範囲、平均0.28%)の増加によって証明される通り、E7特異的CD8
+ T細胞応答をプライムしたが、この差は、統計学的有意性に達しなかった。さらにまた、E7四量体
+ CD8
+ T細胞のパーセンテージは、プライミング用量のみを受けた動物と比べて、プライムの2日後または6日後のいずれかに投与された追加免疫によって有意に増加した。
【0463】
すべての群についての最大E7四量体+ CD8+ T細胞応答は、最終免疫のおよそ1週間後に観察された。E7特異的CD8+ T細胞のパーセンテージは、PBS対照群について0.02%~0.07%(平均0.03%)、プライム単独群における動物について0.22%~0.44%(平均0.28%)、2日目にブーストされた動物について0.47%~1.27%(平均0.79%)、および6日目にブーストされた動物について0.68%~1.30%の間(平均0.98%)の範囲であった。最終免疫のおよそ2週間後まで、単回プライミング用量を受けた動物におけるE7特異的CD8+ T細胞応答(0.03%~0.11%の範囲)は、PBS対照(0.00%~0.03%の範囲)から有意差はなかった。対照的に、2日目(範囲:0.21%~0.6%)または6日目(0.76%~1.08%の範囲)のいずれかでブーストされた動物におけるE7特異的CD8+ T細胞応答は、上昇したままであり、プライム単独の動物における応答よりも有意に大きかった。さらにまた、6日目にブーストされた動物は、2日目にブーストされた動物とさらに比較して、有意に多くのE7特異的CD8+ T細胞を有していた。
【0464】
本明細書の研究は、M-AAC-HPVによる免疫が、血液中のin vivoのE7特異的CD8+ T細胞応答をプライムすることを実証する。250×106M-AAC-HPVのプライミング用量の2日後または6日後にマウスに静脈内に投与された250×106M-AAC-HPVのブースター用量は、PBS対照群およびプライムのみの群の両方と比べて、E7特異的CD8+ T細胞応答の有意で持続した増加をもたらした。
(実施例12)
TC 1腫瘍モデルにおける静脈内に投与されたM-AAC-HPVによる治療的免疫後のマウスにおける有効性のin vivo決定-抗原についての要件
【0465】
この研究の目的は、同じ用量のM-C-ポリI:C(ポリI:CでSQZ処理されたマウスRBC(抗原なし))の単回静脈内投与、および静脈内PBS投与と比較して、静脈内に投与されたマウスあたり250×106M-AAC-HPVまたは1×109M-AAC-HPVの単回ワクチン接種後の治療的TC-1腫瘍モデルにおいて、腫瘍成長を阻害し、生存期間中央値を延長する抗原についての要件を評価することであった。
【0466】
マウスRBCを単離するための方法、ならびにAAC-HPVのマウスプロトタイプ(M-AAC-HPV)を作出するためのE7 SLPおよびポリI:CによるRBCのSQZ処理は、報告番号SQZ-AAC-0126に記載されている。M-C-ポリI:Cを、ポリI:CによるマウスRBCのSQZ処理を使用して、同等に作出した。
【0467】
以下の表は、腫瘍研究における抗原の効果を評価するための研究の設計を示す(表14および表15)。マウス(雌C57BL/6J)に、0日目にTC-1腫瘍細胞(50,000個細胞)を皮下(SC)注射した。マウスを、表14および表15に記載された日に、後眼窩投与によって試験物質で処置した。生存を毎日モニターし、腫瘍成長を1週間に2回測定した。
【表14】
NAは「該当なし」を表す。「M」は100万を表す。
【表15】
NAは「該当なし」を表す。「B」は10億を表す。
【0468】
2つの独立した実験(ELN103212およびELN1416)からの要約腫瘍成長データを
図23に示し、要約生存データを
図25および表16に示す。
【表16】
【0469】
図24Aおよび24Bに示されるように、250×10
6または1×10
9の静脈内に投与されたM-AAC-HPV用量は、両方の研究において、腫瘍成長速度を有意に遅延させた。等用量の抗原なしのアジュバント担体M-C-ポリI:Cの投与は、PBS対照と比べて、腫瘍成長を遅らせなかった。
【0470】
いずれかの用量のM-AAC-HPVで処置されたマウスは、
図25および表16に見られるように、対照処置マウスと比較して、統計学的に有意に延長された生存を示した。生存は、250×10
6M-AAC-HPVで処置されたマウスにおいて38~53日(研究ELN103212)、および1×10
9M-AAC-HPVで処置されたマウスにおいて38~48日(研究ELN1416)の範囲であった。PBSおよび250×10
6M-C-ポリI:Cで処置されたマウスにおいて、生存は、それぞれ、26~45日、および26~34日の範囲であった(ELN103212)。第2の研究(ELN1416)において、生存は、PBSおよび1×10
9M-C-ポリI:C処置マウスについて、27~34日、および27~41日の範囲であった。
【0471】
250×106または1×109M-AAC-HPVの静脈内に投与される用量によるマウスの処置は、対照処置マウスと比較して、有意に遅延した腫瘍成長をもたらした。加えて、M-AAC-HPV処置マウスは、両方の用量で、統計学的に有意に延長された生存を示した。対照的に、M-C-ポリI:Cで処置されたマウスは、M-C-ポリI:C用量に関係なく、対照と比べて、腫瘍成長の遅延または生存の延長の改善を示さなかった。
【0472】
これらのデータは、治療的TC-1モデルにおける有効性に対する抗原の存在の必要性を裏付ける。
(実施例13)
TC 1腫瘍モデルにおける静脈内に投与されたM-AAC-HPVによる治療的免疫後のマウスにおける治療有効性のin vivo決定-用量応答
【0473】
この研究の目的は、TC-1マウス腫瘍モデルにおける静脈内に投与されたM-AAC-HPVの漸増用量(50×106、100×106、250×106、および1×109M-AAC-HPV/マウス)の抗腫瘍活性を評価することであった。
【0474】
マウスRBCを単離するための方法、ならびにAAC-HPVのマウスプロトタイプ(M-AAC-HPV)を作出するためのE7 SLPおよびポリI:CによるRBCのSQZ処理は、上記に記載されている。
【0475】
以下の表は、腫瘍研究におけるM-AAC-HPVの異なる用量を評価するための研究の設計を示す(表17~表20)。マウス(雌C57BL/6J)に、0日目にTC-1腫瘍細胞(50,000個細胞)を皮下(SC)注射した。研究の10日目に、マウスを、後眼窩投与によって試験物質で処置した。生存を毎日モニターし、腫瘍成長を1週間に2回測定した。
【表17】
NAは「該当なし」を表す
【表18】
NAは「該当なし」を表す
【表19】
NAは「該当なし」を表す
【表20】
NAは「該当なし」を表す
【0476】
4つの独立した実験からの要約腫瘍成長データを
図26に示し、要約生存データを
図27および表21に示す。
【表21-1】
NAは「該当なし」を表す。群は研究に含まれなかった。
PBS群と比較した所与の用量でのM-AAC-HPV群の統計学的有意性を示す。*はp<0.05を表し、***はp<0.001を表し、****はp<0.0001を表す。
【0477】
これらの研究は、M-AAC-HPVによるマウスの静脈内免疫が、HPV-16 E6およびE7発現TC-1マウス腫瘍モデルにおいて、治療的に、腫瘍成長を阻害し、生存を延長することを実証する。M-AAC-HPVのTC-1腫瘍成長を阻害する能力および腫瘍保持マウスの生存を延長する能力は、M-AAC-HPVの用量に依存する。具体的には、マウスあたり1×109または250×106の静脈内に投与されるM-AAC-HPV用量で処置されたマウスは、TC-1モデルを使用するすべての研究(4つのうちの4つ)において、PBSを投与されたマウスと比較して、遅れた腫瘍成長を示した。100×106M-AAC-HPVの用量を投与されたマウスは、大部分の研究(3つのうちの2つ)において、PBSを投与されたマウスとの比較において、遅れた腫瘍成長を示した。さらにまた、生存期間中央値の有意な増加が、1×109用量による4つの研究のうちの4つ、250×106用量による4つの研究のうちの3つ、および100×106用量による3つの研究のうちの1つで観察された。腫瘍成長の阻害も、生存期間中央値の延長も、50×106用量が投与されたマウスでは観察されなかった(2つの研究のうち0)。
(実施例14)
TC-1腫瘍モデルにおける静脈内に投与されたM-AAC-HPVによる治療的免疫後のマウスにおける有効性のin vivo決定-ブースティングレジメンの効果
【0478】
この研究の目的は、TC-1腫瘍モデルにおける同じ用量での単回投与(プライムのみ)と比較して、マウスあたり100×106または250×106M-AAC-HPVで静脈内に投与されたM-AAC-HPVの2回の投与(プライムおよびブースト)の抗腫瘍効果を評価することであった。
【0479】
マウスRBCを単離するための方法、ならびにAAC-HPVのマウスプロトタイプ(M-AAC-HPV)を作出するためのE7 SLPおよびポリI:CによるRBCのSQZ処理は、上記に記載されている。
【0480】
以下の表は、腫瘍研究におけるM-AAC-HPVの異なる用量を評価するための研究の設計を示す(表22および表23)。マウス(雌C57BL/6J)に、0日目にTC-1腫瘍細胞(50,000個細胞)を皮下(SC)注射した。表22および表23に記載されたスケジュールにより、マウスを、後眼窩投与によって試験物質で処置した。
【表21-2】
NAは「該当なし」を表す
【表22】
NAは「該当なし」を表す
【0481】
2つの独立した実験からの要約腫瘍成長データを
図28に示す。要約生存データを
図29および表24に示す。
【表24-1】
【0482】
これらの研究は、M-AAC-HPVの2回の静脈内投与(プライムとブースト)が、TC-1腫瘍モデルにおいて、プライム単独の投与と比べて、生存期間中央値に対する効果なしで、より遅い腫瘍成長をもたらすことができることを実証する。プライムと2日目のブーストで処置されたマウスは、100×106AAC/マウスの用量のM-AAC-HPVのプライム単独と比較した場合、2つの研究のうちの1つで統計学的に有意に遅い腫瘍成長を示し、第2の研究においてより遅い成長への可能性がある傾向を示した。プライム単独と比較して、プライムとブーストについて2つの研究のうちの2つで観察された生存期間中央値において、この用量レベルでの統計学的な差はなかった。250×106AAC/マウスの用量でM-AAC-HPVのプライムと2日目のブーストで処置されたマウスは、2つの研究のうちの1つでプライム単独と比較した場合に、統計学的に有意に遅い腫瘍成長を示し、第2の研究においてより遅い成長への可能性がある傾向を示した。プライム単独と比較して、プライムとブーストについて2つの研究のうちの2つにおいて、この用量レベルでの生存期間中央値データに統計学的な差はなかった。最後に、マウスあたり100×106または250×106M-AAC-HPVのプライムまたはプライムとブーストによるマウスの処置は、対照PBS処置マウスと比較して、腫瘍成長を遅延させることができ、生存期間中央値を延長することができる。
(実施例15)
E7特異的CD8+ TILの動員を測定するためのM-AAC-HPVによるTC-1腫瘍保持マウスのin vivo免疫
【0483】
この研究の目的は、M AAC-HPVによる静脈内免疫12日後のTC-1腫瘍の腫瘍微小環境中のE7特異的CD8+ T細胞を定量化することであった。
【0484】
マウスRBCを単離するための方法、ならびにAAC-HPVのマウスプロトタイプ(M-AAC-HPV)を作出するためのE7 SLPおよびポリI:CによるRBCのSQZ処理は、上記に記載されている。
【0485】
表25は、M-AAC-HPV投与後のTC-1腫瘍におけるE7特異的CD8+ T細胞を定量化するために使用された研究の設計を示す。マウス(雌C57BL/6J;群あたり5頭)に、0日目にTC-1腫瘍細胞(50,000個細胞)を皮下注射した。研究の14日目(ELN68の研究)または13日目(ELN221の研究)に、マウスを、表25に記載される試験物質で免疫した。腫瘍体積および生存を、犠牲の前の日(24日目または25日目)までモニターした。マウスを、試験物質投与の12日後(ELN68において26日目、およびELN221において25日目)に犠牲にし、腫瘍を、単一細胞懸濁液への酵素処理のために、取り出した。四量体染色を、細胞懸濁液において行って、フローサイトメトリーによってE7に特異的な浸潤CD8+ T細胞のパーセンテージを決定した。
【表24-2】
NAは「該当なし」を表す
【0486】
図30は、総生存細胞中のCD8
+ T細胞の腫瘍内パーセンテージ、総生存細胞中のE7四量体
+細胞のパーセンテージ、およびCD8
+ T細胞集団のうちのE7四量体
+細胞のパーセンテージを表す。腫瘍質量に対して正規化された総CD8
+ T細胞およびE7特異的CD8
+ T細胞を
図31に示す。腫瘍採取のために犠牲にされたマウスについての腫瘍成長要約データを
図32に示す。
【0487】
図30に見られるように、M-AAC-HPVで免疫されたマウスは、それぞれ、ELN68およびELN221において、免疫12日後のPBS処置対照と比較して、腫瘍中のCD8
+ T細胞の平均パーセンテージの12.8倍および20.8倍の増加を有していた。M-AAC-HPV処置動物では、これらのCD8+ T細胞の大部分が、四量体染色によって決定されるように、E7抗原に対して特異的であった(CD8+ T細胞集団のELN68において76.6±12.6%およびELN221において86.2±7.9%)。これらのデータは、M-AAC-HPVによる免疫が、PBS処置との比較において、免疫の12日後の腫瘍微小環境中のE7特異的CD8
+ T細胞の平均パーセンテージを有意に増加させたことを実証する(ELN68において209.3倍の増加およびELN221において71.2倍の増加)。
図31に示されるように、E7特異的CD8
+ T細胞のこの増加は、腫瘍質量に対して正規化された細胞数に変換された場合にも留意されたい。腫瘍体積の減少と連動したE7特異的CD8
+ T細胞の増加は、M-AAC-HPVが、E7特異的エフェクターCD8+ T細胞を増やすことによって、腫瘍負荷を低下させることを示唆する。
【0488】
これらの研究は、TC-1マウス腫瘍モデルにおけるM-AAC-HPVによる静脈内免疫が、腫瘍に浸潤するE7特異的CD8+ T細胞の有意な増加をもたらしたことを実証した。この観察は、M-AAC-HPVについての提案される作用機構と協調する。
(実施例16)
ルミネックス分析によって測定されるM-AAC-HPVの反復静脈内投与後のマウスにおけるin vivo血清サイトカイン/ケモカイン分析
【0489】
この研究の目的は、対照PBS注射マウスと比較して、1、2、3、4または5用量のM-AAC-HPVによる静脈内免疫後のさまざまな時点でマウスにおける血清サイトカイン/ケモカインを測定することであった。
【0490】
マウスRBCを単離するための方法、ならびにAAC-HPVのマウスプロトタイプ(M-AAC-HPV)を作出するためのE7 SLPおよびポリI:CによるRBCのSQZ処理は、上記に記載されている。
【0491】
表27は、最大で5用量のM-AAC-HPVで免疫されたC57BL/6J雌マウスにおける血清サイトカイン/ケモカイン濃度を評価するための研究の設計を示す。Milliplexアッセイを使用するサイトカイン/ケモカイン濃度の分析を、
図32に示されるすべての時点で血清採取後に行った。
【表27-1】
Bはブーストを表す; すべての静脈内投与は後眼窩 (RO)経路によってであった。
a血清は顎下静脈の穿刺を介して採取した。
b血清は末端心臓穿刺によって採取した。
【0492】
Milliplexアッセイに含まれる分析物は以下の通りである:G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IL-10、IL-12p40、IL-12p70、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、KC、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、MIP-2、RANTESおよびTNF-α。表28は、対応するPBSの時点と比べて少なくとも1つの時点において統計学的な差を示した任意のサイトカイン/ケモカインについての重要な知見を記載する要約表である。
【0493】
4つのケモカイン、すなわち、IP-10、MIP-1β、MCP-1およびRANTESは、すべての群において1つの例外で、最終免疫の1日後の血清濃度の一過性であるが有意な一貫性のある増加を実証した。群の1つ(P/B3)における免疫前の値に対するMIP-1βの倍数変化は、研究の過程全体にわたる任意の時点でM-AAC-HPVとPBS対照との間で有意に異ならなかった(p=0.46)。IP-10濃度は、免疫の4日後まで、すべての群において上昇したままであった。7日目まで、M-AAC-HPV群におけるすべてのサイトカイン/ケモカインの倍数変化(免疫前の値に対する)は、IL-12p70を除いて、PBS対照において観察された変化と比較してもはや有意に上昇していなかった。IL-12p70の倍数変化は、M-AAC-HPVを受けた5つの群のうち1つの群(プライム単独群)において、7日目に対応するPBS群において観察されたよりも有意に高いままであった。しかしながら、プライム単独群におけるM-AAC-HPVを受けたマウスのIL-12p70の免疫前の値に対する変化(0.43~2.05の範囲)は、研究全体にわたって対応するPBS群において観察された範囲内であった(0.43~2.37の範囲)。上昇した他のサイトカイン/ケモカインの濃度は、一貫して有意に上昇しなかったが、一部の他のサイトカイン/ケモカインについて、散発的な統計学的に有意な上昇が観察された。これらには、GM-CSF、IL-7、IL-12p40、IL-12p70、IL-13、KCおよびMIP-1αが含まれた。
【0494】
ポリI:Cなどのアジュバントは、各種の細胞型によるIP-10、MIP-1β、MCP-1およびRANTESを含むケモカインの分泌をもたらす自然免疫系の活性化因子であることが以前に示されている(Longhi 2015;De Waele 2018)。これらの特定のケモカインは、脾臓などの二次リンパ器官の抗原提示細胞(APC)リッチ領域へのCD4+およびCD8+ T細胞の遊走のために重要であることも示されている(Sokol 2015において概説)。さらにまた、それらは、クラスタリングおよびT細胞とAPCとの間の安定な接触の形成を促進し、それによって、生産的な活性化、およびナイーブT細胞のエフェクターT細胞への分化を促進することも示している。したがって、IP-10、MIP-1β、MCP-1およびRANTESの血清レベルの早期の一過性の増加は、M-AAC-HPVによる自然免疫細胞の早期活性化をおそらく示す。
【0495】
G-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1α、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-15、IL-17、MIP-2およびTNF-αを含むこの研究で測定された他の分析物は、すべての時点で、PBS処置対象と比較して、すべてのM-AAC-HPV群において有意な変化を示さなかった。
【0496】
この研究は、M-AAC-HPVの静脈内投与が、一般に、最終免疫の1日後に開始する、個々のPBS対照と比較してIP-10、MIP-1β、MCP-1およびRANTESの血清濃度の一過性であるが有意な上昇をもたらしたことを実証する。免疫前の値に対するすべての分析物の濃度の変化は、最終ワクチン接種後7日目まで、M-AAC-HPVを受けたマウスとPBSを受けたマウスとの間で同等であった。
【表27-2】
【表27-3】
(実施例17)
M-AAC-HPVの反復IV投与後のマウスにおけるRBCクリアランスのin vivo決定
【0497】
この研究の目的は、M-AAC-HPVの5回の反復投与が、RBCの構成要素に対する免疫応答をもたらし、それによって、未処理RBCのその後の投与のクリアランスの加速をもたらすかを決定することであった。マウスにおける以前の研究が、静脈内血液投与の時に静脈内に投与されたポリイノシン酸-ポリシチジル酸(ポリI:C)などのアジュバントが表面RBC抗原に対する免疫応答を誘導または増強することができることを示した(Gibb 2017)ので、この研究を実施した。そのような応答は、その後の静脈内投与におけるRBCのクリアランスの加速をもたらすことが示されている(Stowell SR 2014)。
【0498】
マウスRBCを単離するための方法、ならびにAAC-HPVのマウスプロトタイプ(M-AAC-HPV)を作出するためのE7 SLPおよびポリI:CによるRBCのSQZ処理は、上記に記載されている。
【0499】
表29は、5用量のM-AAC-HPVにより免疫された雌C57BL/6Jマウスにおける静脈内に投与された処理されていない(SQZ処理されていない)同系RBC(PKH26で標識)の循環動態を評価するための研究の設計を示す。循環RBCの分析は、PKH26標識RBCについてのフローサイトメトリーによって、表29に示された時点での採血直後に行った。
【表29】
すべての静脈内投与は後眼窩(RO)経路によってであった。
M-AAC-HPV = AAC-HPVのマウスプロトタイプ(マウスE7 SLPおよびポリI:CでSQZ処理されたマウスRBC); PBS =リン酸緩衝食塩水
【0500】
静脈内投与後のさまざまな時点での全血中の標識RBCのパーセンテージを
図34に示す。
【0501】
この研究は、静脈内に投与された標識RBCのクリアランスを測定することによって、同系RBCに対する免疫応答の誘導に対するM-AAC-HPVの反復投薬の影響を評価した。標識RBCを、M-AAC-HPVの5回目および最終免疫の1週間後に投与して、免疫応答の発生に十分な時間を可能にした。静脈内投与後、標識RBCを、48時間の期間モニターした。2時間の時点を除いて、すべての時点で2群間に統計的な差はなかった。2時間の時点で、M-AAC-HPVについての全血中のPKH26標識RBCのパーセンテージの値は、PBSについての6.41%(範囲:5.87~7.11%)と比較して、6.05%(範囲:5.86~6.21%)であり、その差は、予想される動物間の変動内であり、生理学的に有意ではない。
【0502】
この研究は、5用量のM-AAC-HPVの静脈内投与が、5用量のPBS対照と比較した場合に、最大で投与後48時間の静脈内に投与された同系の標識RBCの同等の循環によって証明されるように、同系RBCのクリアランスの加速を引き起こすことができる免疫応答をもたらさないことを実証する。
【表30-1】
【表30-2】
【表30-3】
【表30-4】
【配列表】
【国際調査報告】