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特表2024-501032モータサイクル用インテグラルブレーキバイワイヤブレーキシステム、モータサイクル用インテグラルブレーキシステムの制御方法及び関連するモータサイクル
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  • 特表-モータサイクル用インテグラルブレーキバイワイヤブレーキシステム、モータサイクル用インテグラルブレーキシステムの制御方法及び関連するモータサイクル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】モータサイクル用インテグラルブレーキバイワイヤブレーキシステム、モータサイクル用インテグラルブレーキシステムの制御方法及び関連するモータサイクル
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/17 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
B60T8/17 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539315
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 IB2021062248
(87)【国際公開番号】W WO2022144719
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】102020000032510
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ベッローニ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】パオリーニ,ダヴィデ
(72)【発明者】
【氏名】マッツォレーニ,サムエレ
【テーマコード(参考)】
3D246
【Fターム(参考)】
3D246AA11
3D246BA02
3D246BA08
3D246DA01
3D246FA04
3D246GB37
3D246GC14
3D246HA02A
3D246HA64A
3D246JA11
3D246LA12Z
3D246LA13Z
(57)【要約】
モータサイクル(8)のためのブレーキシステム(4)であって、前記モータサイクル(8)の前輪に関連付けられた少なくとも第1のブレーキ(12)と、前記第1のブレーキ(12)に作動的に接続された、少なくとも第1の電気油圧式または電気機械式のアクチュエータ(16)と、前記少なくとも第1のブレーキ(12)に関連付けられ、前記少なくとも第1のブレーキ(12)に対応する、ユーザからのブレーキ要求を送信するための少なくとも第1の手動作動コマンド(20)と、前記モータサイクル(8)の後輪に関連付けられた少なくとも第2のブレーキ(24)と、を備えるブレーキシステム(4)は、前記第2のブレーキ(24)に作動的に接続された、少なくとも第2の電気油圧式または電気機械式のアクチュエータ(28)と、前記少なくとも1つの第2のブレーキ(24)に関連付けられ、前記少なくとも1つの第2のブレーキ(24)に対応する、ユーザからのブレーキ要求を送信するための少なくとも第2の手動作動コマンド(32)と、前記第1の手動作動コマンド(20)、前記第2の手動作動コマンド(32)、および前記第1および第2の電気油圧式または電気機械式のアクチュエータ(16、28)に作動的に接続された制御ユニット(36)と、を備える。制御ユニット(36)は、前記手動作動コマンド(20,32)の少なくとも1つの作動に続いて、ユーザから制動要求を受信し;前記制動要求を、どの作動コマンドが実際に作動されたか、またはいくつの作動コマンドが実際に作動されたか、および/または対応する手動作動コマンド(20,32)のストロークおよび/または作動力もしくは圧力によって与えられるそのような作動の強度の関数として解釈し;対応する手動作動指令(20,32)の効果的な作動とは無関係に、前記電気油圧式または電気機械式アクチュエータ(16,28)の少なくとも1つを作動させて、前記制動要求の関数としてモータサイクル(8)の減速を得る、ようにプログラムされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)であって、
前記モータサイクル(8)の前輪に関連する少なくとも1つの第1のブレーキ(12)と、
前記第1のブレーキ(12)に作動的に接続された、少なくとも1つの第1の電気油圧式または電気機械式アクチュエータ(16)と、
前記少なくとも1つの第1のブレーキ(12)に関連づけられて対応し、ユーザからのブレーキ要求を送信する、少なくとも1つの第1の手動作動コマンド(20)と 、
前記モータサイクル(8)の後輪に関連付けられた少なくとも第2のブレーキ(24)と、
前記第2のブレーキ(24)に作動的に接続された少なくとも第2の電気油圧式または電気機械式のアクチュエータ(28)と、
前記少なくとも1つの第2のブレーキ(24)に関連付けられて対応し、ユーザからのブレーキ要求を送信する、少なくとも第2の手動作動コマンド(32)と、
前記第1の手動作動コマンド(20)、前記第2の手動作動コマンド(32)、および前記第1および第2の電気油圧式または電気機械式のアクチュエータ(16,28)に動作可能に接続された制御ユニット(36)と、を備え
前記制御ユニット(36)は、
前記手動作動コマンド(20,32)の少なくとも1つの作動に続いて、ユーザから制動要求を受け取り、
前記制動要求を、どの作動コマンドが実際に作動されたか、またはいくつの作動コマンドが実際に作動されたか、および/または対応する手動作動コマンド(20,32)のストロークおよび/または作動力もしくは圧力によって与えられるそのような作動の強度の関数として解釈し、
- 前記ブレーキ要求の関数として前記モータサイクル(8)の減速を得るように、対応する手動作動指令(20,32)の有効作動とは無関係に、前記電気油圧式または電気機械式アクチュエータ(16,28)の少なくとも1つを作動させる、ようにプログラムされている、モータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項2】
前記制御ユニット(36)は、前記モータサイクル(8)の質量、前記モータサイクル(8)の速度、および/または前記モータサイクル(8)の前後の重量配分、および/または前記モータサイクル(8)の曲がり角度の関数として、前記第1および第2の電気油圧式または電気機械式のアクチュエータ(16,28)の間で制動力の配分を行うようにプログラムされている、請求項1に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項3】
前記制御ユニット(36)は、単一の手動作動指令(20,32)が作動させられる場合であっても、前記第1および第2の電気油圧式または電気機械式のアクチュエータ(16,28)の間で制動力の分配を実行するようにプログラムされている、請求項1または2に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項4】
前記制御ユニット(36)は、前記第2の手動作動指令(32)のみが作動した場合には、前記第1の電気油圧式又は電気機械式アクチュエータ(16)のみを作動させるようにプログラムされている、請求項1、2又は3記載のモータサイクル(8)用ブレーキシステム(4)。
【請求項5】
前記制御ユニット(36)は、前記第1の手動作動指令(20)のみが作動した場合に、前記第2の電気油圧式又は電気機械式アクチュエータ(28)のみを作動させるようにプログラムされている、請求項1、2、3又は4記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項6】
前記第1ブレーキ(12)および前記第2ブレーキ(24)がディスクブレーキを有する、請求項1から5のいずれかに記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項7】
前記制御ユニット(36)は、前記手動作動指令(20,32)のそれぞれの作動に由来する信号を、前記モータサイクル(8)の全体的な減速要求に変換する、請求項1から6のいずれかに記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項8】
前記制御ユニット(36)は、前記各手動作動指令(20,32)の作動に由来する信号を、前記各ブレーキ(12,24)または前記少なくとも1つのブレーキ(12,24)に加えられる制動力の要求に変換する、請求項1から7のいずれかに記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のシステムを含むモータサイクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータサイクル用インテグラルブレーキバイワイヤ(BBW)ブレーキシステム、モータサイクル用インテグラルブレーキシステムの制御方法、および前記ブレーキシステムを備える関連モータサイクルに関する。
【背景技術】
【0002】
インテグラルブレーキシステムは、油圧式ブレーキシステムと電気油圧式ブレーキシステムに分けられる。
【0003】
前者のものでは、ドライバがレバー/ペダル・コントロールに加えた作動は、それぞれ2本の油圧ラインのうちの1本を介して前輪/後輪に伝達され、単輪の制動力に変換される。この場合、ドライバは、ブレーキング距離を制限し、車輪へのブレーキ圧をできるだけ早く高め、車輪のロックを回避し、車両に一定の安定性を確保するために、アクチュエータに付与する圧力を自己調整しなければならない。この構成では、安定性と快適性に限界がある。
【0004】
アクチュエータ制御が後輪にのみ作用するか両輪に作用するかによって、シングルCBSまたはデュアルCBSとなる場合がある。これらのシステムでは、ABS制御がない場合、予め設定された固定の制動力分布が適用され、安全性と運転の快適性には明らかな限界がある。
【0005】
また、常に一定の安定性を維持するために、ある条件下で圧力を積極的に調整し、車輪をフリーにしてロックの危険性がある場合に再び加速するために圧力を下げるABS油圧ブレーキシステムもある。実施形態によれば、前記安定性は横方向および/または縦方向の安定性である。ABSシステムには、2回路、シングルCBS ABS、デュアルCBS ABSがある。3つのケースとも、ABSは制御ユニットとホイールブレーキの間に配置され、車輪速センサによってモニタリングが行われる。シングルCBS ABSとデュアルCBS ABSの場合、リア(およびフロント)ホイールに接続するモジュレータが1つ(2つ)追加される。また、ブレーキの快適性を高めるために、ブースト機能を備えている場合もある。
【0006】
現在、電子油圧式ブレーキシステムは、アクチュエータを制御する車輪(前後または後前)に応じて、前または後の部分的なものでしかない。電子ブレーキシステムは、電気制動力の配分によって制動距離をさらに短縮することができ、その結果、安全性、運転快適性、およびピッチングが向上する。
【発明の概要】
【0007】
したがって、先行技術を参照して述べた技術的欠点を解決することができるブレーキシステムを提供する必要性が当技術分野において感じられる。
【0008】
この要求は、請求項1によるブレーキシステムによって満たされる。
【0009】
特に、この必要性は、以下の構成からなるモータサイクル用のブレーキシステムによって満たされる。
【0010】
前記モータサイクルの前輪に関連する少なくとも1つの第1のブレーキ。
【0011】
前記第1のブレーキに作動的に接続された、少なくとも1つの第1の電気油圧式又は電気機械式アクチュエータ。
【0012】
前記少なくとも1つの第1のブレーキに関連付けられ、前記少なくとも1つの第1のブレーキに対応する、ユーザからのブレーキ要求を送信するための少なくとも1つの第1の手動作動コマンド。
【0013】
前記モータサイクルの後輪に関連する少なくとも1つの第2のブレーキ。
【0014】
前記第2のブレーキに動作可能に接続された、少なくとも第2の電気油圧式又は電気機械式のアクチュエータ。
【0015】
前記少なくとも1つの第2のブレーキに関連付けられ、前記少なくとも1つの第2のブレーキに対応する、ユーザからのブレーキ要求を送信するための少なくとも第2の手動作動コマンド。
【0016】
前記第1の手動作動コマンド、前記第2の手動作動コマンド、及び前記第1及び第2の電気油圧式又は電気機械式アクチュエータに動作可能に接続された制御ユニット。
【0017】
前記制御ユニットは以下のようにプログラムされている。
【0018】
前記手動作動コマンドの少なくとも1つの作動に続いて、ユーザから制動要求を受信する。
【0019】
どの作動コマンドが実際に作動されたか、またはいくつの作動コマンドが実際に作動されたか、及び/又は対応する手動作動コマンドのストローク及び/又は作動力又は圧力によって与えられるそのような作動の強度の関数として、制動要求を解釈する。
【0020】
対応する手動作動コマンドの有効作動に関係なく、前記電気油圧式または電気機械式アクチュエータの少なくとも1つを作動させて、前記制動要求の関数としてモータサイクルの減速を得る。
【0021】
考えられる実施形態によれば、前記制御ユニットは、モータサイクルの質量、モータサイクルの速度、および/またはモータサイクルの前後の重量配分、および/またはモータサイクルの曲げ角度の関数として、第1および第2の電気油圧式アクチュエータまたは電気機械式アクチュエータ間の制動力の配分を実行するようにプログラムされている。
【0022】
可能な実施形態によれば、制御ユニットは、単一の手動作動コマンドが作動される場合であっても、第1および第2の電気油圧式または電気機械式アクチュエータ間で制動力の配分を実行するようにプログラムされる。
【0023】
可能な実施形態によれば、制御ユニットは、第2の手動作動指令のみが作動した場合に、第1の電気油圧式アクチュエータまたは電気機械式アクチュエータのみの作動を実行するようにプログラムされている。
【0024】
可能な実施形態によれば、制御ユニットは、第1の手動作動指令のみが作動した場合に、第2の電気油圧式アクチュエータまたは電気機械式アクチュエータのみを作動させるようにプログラムされている。
【0025】
可能な実施形態によれば、前記第1のブレーキおよび前記第2のブレーキは、ディスクブレーキからなる。
【0026】
考えられる実施形態によれば、前記制御ユニットは、各手動作動コマンドの作動から生じる信号を、前記モータサイクルの全体的な減速要求に変換する。
【0027】
可能な実施形態によれば、制御ユニットは、各手動作動コマンドの作動から発信される信号を、各制動装置または少なくとも1つの制動装置に加えられる制動力の要求に変換する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明のさらなる特徴および利点は、その好ましい非限定的な実施形態の以下の説明からより明らかになる。
【0029】
図1図1は、本発明の実施形態によるブレーキシステムを構成するモータサイクルの概略図である。
【0030】
以下に説明する実施形態に共通する要素または要素の部分は、同じ参照数字で示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
上記の図を参照して、参照数字4は、全体的に、モータサイクル8のためのブレーキシステムを示す。
【0032】
モータサイクル8のための前記ブレーキシステム4は、前記モータサイクル8の前輪に関連付けられた少なくとも第1のブレーキ12と、前記第1のブレーキ12に作動的に接続された、少なくとも第1の電気油圧式または電気機械式のアクチュエータ16と、前記少なくとも第1のブレーキ12に関連付けられ、対応する、ユーザからのブレーキ要求を送信するための少なくとも第1の手動作動コマンド20と、を備える。
【0033】
第1のブレーキ12は、例えば、固定またはフローティングキャリパを備えたディスクブレーキであるが、ドラムブレーキであってもよい。
【0034】
第1の手動作動コマンド20は、例えば、典型的にはモータサイクルのハンドルバーにヒンジ止めされたレバー、または、例えば、対応するフットサポートペダルに近いモータサイクルフレームのポイントにヒンジ止めされたペダルであってもよい。
【0035】
「少なくとも1つの第1のブレーキ12に関連し、かつ、これに対応する第1の手動作動指令20」という表現は、第1の手動作動指令20が、特定のブレーキ、例えば前記第1のブレーキ12の優先的な(しかし、一意ではない)作動のために提供されることを意味する。これは、例えば、第1の手動作動コマンド20が、車両の前輪と作動的に連結された第1のブレーキ12の優先的な作動を可能にするために、例えば左側に配置されたハンドルバーレバーであることを意味する。いずれにせよ、以下でよりよく説明されるように、第1の手動作動指令20の作動に続く第1のブレーキ12の作動は、直接的ではなく、一意的または自動的ですらない。つまり、第1の手動作動指令20の作動に続いて、ブレーキシステムは、前記第1のブレーキ12を部分的に作動させることによってのみ、または前記第1のブレーキ12に加えて、またはその代わりに、第2のブレーキ24も作動させることによって介入することができる。
【0036】
第1アクチュエータ16は、例えば電気モータと、好ましくは、電気モータと前記第1ブレーキ12のブレーキ機構、例えば公知の方法によるピストンおよびパッドとの間の直接的または間接的な接続のためのトランスミッション手段とから構成される。電気油圧アクチュエータの場合、電気モータは、直接的または間接的にブレーキ液を加圧し、このブレーキ液が、例えばピストンやパッドなどの前記第1ブレーキ12のブレーキ機構を公知の方法で作動させる。
【0037】
モータサイクル8用の前記ブレーキシステム4は、前記モータサイクル8の後輪に関連付けられた少なくとも第2のブレーキ24と、前記第2のブレーキ20に作動的に接続された、少なくとも第2の電気油圧式または電気機械式のアクチュエータ28と、前記少なくとも1つの第2のブレーキ24に関連付けられ、対応する、ユーザからのブレーキ要求を送信するための少なくとも第2の手動作動コマンド32と、を備える。
【0038】
第2のブレーキ24は、例えば、固定またはフローティングキャリパを備えたディスクブレーキであるが、ドラムブレーキであってもよい。
【0039】
第2の手動作動コマンド32は、例えば、典型的にはモータサイクルのハンドルバーにヒンジ止めされたレバー、または例えば対応するフットサポートペダルに近いモータサイクルフレームのポイントにヒンジ止めされたペダルであってもよい。
【0040】
「少なくとも1つの第2のブレーキ24'に関連付けられ、これに対応する第2の手動作動コマンド32」という表現は、第2の手動作動コマンド32が、特定のブレーキ、例えば前記第2のブレーキ24を優先的に作動させる(しかし、一意ではない)ために設けられていることを意味する。これは、例えば、第2の手動作動指令32が、モータサイクルの後輪と作動的に連結された第2のブレーキ24の優先的な作動を可能にするために設けられたペダルであることを意味する。いずれにせよ、以下に詳しく説明するように、第2手動作動指令32の作動に続く第2ブレーキ24の作動は直接的ではなく、一意的または自動的でもない。 つまり、第二の手動作動指令32の作動に続いて、ブレーキシステムは、第二のブレーキ24を部分的に作動させることによってのみ、あるいは、第二のブレーキ24に加えて、あるいは、第一のブレーキ12も作動させることによって、介入することができる。
【0041】
第2のアクチュエータ28は、例えば電気モータと、好ましくは、電気モータと前記第2のブレーキ24のブレーキ機構、例えば公知の方法によるピストンおよびパッドとの間の直接的または間接的な接続のための伝達手段とから構成される。電気油圧アクチュエータの場合、電気モータは、直接的または間接的にブレーキ液を加圧し、このブレーキ液が、例えばピストンやパッドなどの前記第2ブレーキ24のブレーキ機構を公知の方法で作動させる。
【0042】
ブレーキシステム4は、第1の手動作動指令20、第2の手動作動指令32、および前記第1および第2の電気油圧式または電気機械式アクチュエータ16、28に作動可能に接続された制御ユニット36をさらに備える。
【0043】
特に、制御ユニット36は次のようにプログラムされている。
【0044】
前記手動作動コマンド20,32の少なくとも1つの作動に続いてユーザから制動要求を受信する。
【0045】
どの作動コマンドが実際に作動されたか、またはいくつの作動コマンドが実際に作動されたか、及び/又は対応する手動作動コマンド20,32のストローク及び/又は作動力又は圧力によって与えられるそのような作動の強度の関数として制動要求を解釈する。
【0046】
対応する手動作動指令20、32の有効作動に関係なく、前記電気油圧式又は電気機械式アクチュエータ16、28の少なくとも1つを作動させ、前記制動要求の関数としてモータサイクル8の減速を得るようにする。
【0047】
考えられる実施形態によれば、前記制御ユニット36は、モータサイクル8の質量、モータサイクル8の速度、および/またはモータサイクル8の曲げ角度の関数として、第1および第2の電気油圧式または電気機械式アクチュエータ16、28間の制動力の配分を実行するようにプログラムされている。
【0048】
考えられる実施形態によれば、制御ユニット36は、単一の手動作動コマンド20、32が作動させられる場合でさえ、第1および第2の電気油圧式または電気機械式アクチュエータ16、28の間で制動力の分配を実行するようにプログラムされている。
【0049】
可能な実施形態によれば、制御ユニット36は、第2の手動作動指令32のみが作動された場合に、第1の電気油圧式又は電気機械式アクチュエータ16のみの作動を実行するようにプログラムされている。
【0050】
可能な実施形態によれば、制御ユニット36は、第1の手動作動指令20のみが作動した場合に、第2の電気油圧式又は電気機械式アクチュエータ28のみの作動を実行するようにプログラムされている。
一般に、制御ユニット36は、各手動作動コマンド20、32の作動から生じる信号を、ユーザによって実行される手動作動によって課される実際の配分とは無関係に、それぞれの第1および第2アクチュエータ16、28を適切に作動させることによって実施されるモータサイクル8の全体的な減速要求に変換することができる。
【0051】
制御ユニット36が、各手動作動指令20、32の作動に由来する信号を、各又は少なくとも1つの制動装置12、24に加えられる制動力の要求に変換するように設けることも可能である。
【0052】
次に、本発明によるブレーキシステムの動作を説明する。
【0053】
説明するブレーキシステムは、指令(レバーまたはブレーキ)に対するドライバの制動要求と車両の制動力の作動との間にデカップリングを作り出すことによって実施される。
【0054】
このようにして、例えばブレーキレバーまたはペダルである手動作動コマンド20、32に及ぼされるドライバの制動要求は、電子システム、すなわち制御ユニット36によって取得される。
【0055】
このような制御ユニット36は、制動要求またはコマンドからの要求を処理し、次に作動装置16、28を駆動して前部および後部の制動力を発生させる。
【0056】
そのような制動力は、見られるように、電気油圧式または電気機械式のアクチュエータによって発生させることができる。
【0057】
制御ユニット36は、前部ブレーキと後部ブレーキとの間のブレーキの好ましい配分が利用されるように、制動力を要求し作動させる。
【0058】
先行技術に記載されたシステムと比較して、このシステムは、ドライバの要求と制動力の作動との間の完全な切り離しにより、以下を可能にする。
【0059】
必要に応じて、単一のコマンドで前車軸と後車軸の両方のブレーキを制御することにより、ドライバの快適性を向上させ、車両の運転を簡素化する。
【0060】
様々な運転条件(例えば、車両重量や車両の曲げ角度)に適応可能な最適な配分が得られる。
【0061】
必要に応じて、コマンド間の相互作用がなく、コマンドに対するフィーリングを低下させることなく、車両の完全な制動を作動させるために異なるコマンドを使用することを可能にする。
【0062】
記載されたことから理解されるように、本発明は従来技術の欠点を克服している。
【0063】
特に、本発明は、モータサイクル用の一体型電気油圧式または電気機械式ブレーキシステムを提供し、このシステムでは、ドライバの指令に対する作動と制動力の発生との間のデカップリングにより、両車軸で複合ブレーキ機能(複合ブレーキシステム)が可能になり、車両の減速度が最大化され、ドライバにとって高レベルの快適性が確保される。
【0064】
さらに、走行状態、グリップ状態、路面の傾斜レベルに応じて、電子制御ブレーキシステムは、フロントアクスルとリアアクスル間の最適な制動力配分曲線を計算し、快適性を考慮したブレーキング(指令にほとんど力をかけずにブレーキングできる可能性、あるいは1回の指令でブレーキングできる可能性)を確保すると同時に、両輪のグリップを最大限に活用してブレーキング性能を最大化する。
【0065】
したがって、ユーザが実際に使用する手動操作コマンドに関係なく、車両自体の動的パラメータに従って、モータサイクルの制動安定性を効率的に制御することが可能である。
【0066】
さらに、モータサイクルのブレーキシステム全体を単一のコマンド(レバー、ペダルまたは他の入力)を使用して制御することができる。
【0067】
当業者であれば、特定の偶発的なニーズを満たすために、上述した照明装置及び/又は信号装置、並びに当該装置の組立方法に幾つかの変更及び変形を加えることができるが、これらは全て、以下の特許請求の範囲に定義される保護範囲に含まれる。
図1
【国際調査報告】