(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】複合肥料ペレットの製造
(51)【国際特許分類】
C05G 5/14 20200101AFI20231227BHJP
C05B 7/00 20060101ALI20231227BHJP
C05D 9/00 20060101ALI20231227BHJP
B01J 2/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
C05G5/14
C05B7/00
C05D9/00
B01J2/00 C
B01J2/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539756
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 GB2021053423
(87)【国際公開番号】W WO2022136878
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523238900
【氏名又は名称】アングロ アメリカン ウッドスミス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ANGLO AMERICAN WOODSMITH LIMITED
【住所又は居所原語表記】17 Charterhouse Street, London Greater London EC1N 6RA (GB)
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】ルイス, ティモシー デイビッド
【テーマコード(参考)】
4G004
4H061
【Fターム(参考)】
4G004AA03
4H061AA01
4H061AA02
4H061BB08
4H061BB21
4H061BB32
4H061BB54
4H061CC05
4H061EE14
4H061EE43
4H061FF12
4H061GG13
4H061GG26
4H061GG28
4H061GG29
4H061GG41
4H061GG52
4H061LL15
4H061LL25
4H061LL26
(57)【要約】
ペレット化された肥料製品の製造方法で、リン酸とアンモニアからなる第1の混合物を製造する工程と、前記第1の混合物とポリハライト粉末を整粒機に加えて第2の混合物を製造する工程と、前記整粒機が前記第2の混合物を加工してペレットを製造している間に、前記第2の混合物にアンモニアを供給して、前記第2の混合物内でリン酸アンモニウムの生成を完了する工程と、を含む製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット化された肥料製品の製造方法で、
リン酸とアンモニアからなる第1の混合物を製造する工程と、
前記第1の混合物とポリハライト粉末を整粒機に加えて第2の混合物を製造する工程と、
前記整粒機が前記第2の混合物を加工してペレットを製造している間に、前記第2の混合物にアンモニアを供給して、前記第2の混合物内でリン酸アンモニウムの生成を完了する工程と、
を含む製造方法。
【請求項2】
前記アンモニアを供給しながら前記第2の混合物を混合することによって前記整粒機が前記第2の混合物を加工してペレットを製造する請求項1に記載のペレット化された肥料製品の製造方法。
【請求項3】
リン酸とアンモニアからなる前記第1の混合物を製造することが、前記リン酸に前記アンモニアを導入しながら前記リン酸を混合することを含む請求項1または2に記載のペレット化された肥料製品の製造方法。
【請求項4】
前記第1の混合物中に存在する前記アンモニアが前記リン酸に反応してリン酸アンモニウムを生成して、前記アンモニアが、前記第1の混合物内でリン酸アンモニウムの生成を完了するには不十分な量で導入される請求項1~3のいずれか1項に記載のペレット化された肥料製品の製造方法。
【請求項5】
前記第2の混合物に前記アンモニアを供給することが、前記第2の混合物にアンモニアガスを導入することを含む請求項1~4のいずれか1項に記載のペレット化された肥料製品の製造方法。
【請求項6】
前記第2の混合物に前記アンモニアを供給することが、前記第2の混合物に液体アンモニアを導入することを含む請求項1~5のいずれか1項に記載のペレット化された肥料製品の製造方法。
【請求項7】
前記第2の混合物中に存在する前記アンモニアが、前記リン酸に反応してリン酸アンモニウムを生成して、前記アンモニアが、前記第2の混合物内でリン酸アンモニウムの生成を完了するのに十分な量で導入される請求項1~6のいずれか1項に記載のペレット化された肥料製品の製造方法。
【請求項8】
リン酸に対するアンモニアの所定の比率が、リン酸からのリン酸アンモニウムの生成を完了させるものであり、前記所定の比率未満になる量のアンモニアが前記第1の混合物に導入される請求項1~7のいずれか1項に記載のペレット化された肥料製品の製造方法。
【請求項9】
リン酸に対するアンモニアの所定の比率が、リン酸からのリン酸アンモニウムの生成を完了させるものであり、前記アンモニアが、実質的に前記所定の比率を満たすように前記第2の混合物に導入される請求項1~8のいずれか1項に記載のペレット化された肥料製品の製造方法。
【請求項10】
リン酸とアンモニアからなる第1の混合物を製造することが、前記第1の混合物に液体を加えることを含む請求項1~9のいずれか1項に記載のペレット化された肥料製品の製造方法。
【請求項11】
前記液体が水である請求項10に記載のペレット化された肥料製品の製造方法。
【請求項12】
前記液体がアンモニアである請求項10に記載のペレット化された肥料製品の製造方法。
【請求項13】
前記粉末が、50~500μmの範囲の質量平均粒径を有する請求項1~12のいずれか1項に記載のペレット化された肥料製品の製造方法。
【請求項14】
前記ペレットが、80重量%以上のポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物を含む請求項1~13のいずれか1項に記載のペレット化された肥料製品の製造方法。
【請求項15】
前記ポリハライト粉末に加える前記第1の混合物の量が、前記ペレットが20重量%から80重量%のリン酸アンモニウムからなるような量にされる請求項1~14のいずれか1項に記載のペレット化された肥料製品の製造方法。
【請求項16】
前記ポリハライト粉末に加える前記第1の混合物の量が、前記ペレットが20重量%から80重量%のポリハライト粉末からなるような量にされる請求項1~15のいずれか1項に記載のペレット化された肥料製品の製造方法。
【請求項17】
ポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物を主成分とする肥料ペレット。
【請求項18】
前記ペレットが60重量%から80重量%のリン酸アンモニウムを含む請求項17に記載の肥料ペレット。
【請求項19】
前記ペレットが20重量%から40重量%のポリハライト粉末を含む請求項17または18に記載の肥料ペレット。
【請求項20】
前記ペレットが80重量%以上のポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物を含む請求項17~19のいずれか1項に記載の肥料ペレット。
【請求項21】
請求項17~18のいずれか1項に記載のペレットを複数含む肥料製品。
【請求項22】
前記ペレットの少なくとも50%が請求項17~21のいずれか1項に記載のペレットである、ペレット化された肥料製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥料ペレットの製造方法および肥料ペレットに関する。
【背景技術】
【0002】
植物にとって有効態の栄養素を補う一般的な方法は、播種床、圃場、その他の育成培地を、凝集したペレット状の肥料製品で処理することである。ペレット化された製品は、安定性が高く、従来の園芸機械や農業機械で容易に散布でき、希望する施用量で容易に散布できるという利点がある。
【0003】
幅広い肥料組成物が利用可能である。特定の肥料組成物の有効性は、それが使用される植物の種類、植物の成熟状態、育成培地の現状、環境条件などの要因に依存する。
【0004】
主要な植物栄養素には、窒素、リン、カリウム、マグネシウム、カルシウム、硫黄が含まれる。肥料組成物には、これらの個々の栄養元素が、多数の化学化合物のいずれかに含まれることによって組み込まれることがある。異なる化合物が同じ基礎的な栄養元素を含んでいても、その化合物が分解されるメカニズムによって、栄養元素の生物学的利用能が異なる場合がある。栄養素の生物学的利用能は、肥料の化学的または機械的配合組成の他の側面の結果として変化することもある。例えば、肥料ペレットの中には、栄養素の放出を遅らせるために、ゆっくりと分解する被膜剤や結合剤を組み込んでいるものがある。また、化合物の中には、その栄養元素を放出するために、育成培地中の微生物叢に依存しているものがある。また、組成物の中には、栄養素の取り込みを改善するために、栄養素をキレート化した形態で利用可能にするものがある。
【0005】
複数の栄養素を供給するために、栽培者は複数の異なる肥料組成物を施用することもできるし、単一の多栄養肥料組成物を施用することもできる。多栄養組成物が有効であるためには、その成分化合物が適切なバランス比率にあり、他の成分の存在下でも効果的に作用可能である必要がある。この有効性は、肥料の内容物以外の要素、例えば環境水、熱、ある種の微生物叢の存在に依存する場合がある。特に環境要因に依存する場合、多栄養肥料の植物に対する有効性を予測することは難しい。しかし、多栄養肥料組成物が有効であれば、作物への散布作業が1回で済むという利点がある。
【0006】
特定の鉱物、特に蒸発岩鉱物は、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄などの栄養源として利用できる。例えば、石膏をペレット化し、カルシウムや硫黄の供給源として利用することができる。
【0007】
ポリハライトは蒸発岩鉱物である。一般式K2Ca2Mg(SO4)4・2H2Oで示される、カリウムとカルシウムとマグネシウムの複合水和硫酸塩である。ポリハライトの鉱床は、オーストリア、中国、ドイツ、インド、イラン、トルコ、ウクライナ、英国、米国などで産出する。
【0008】
ポリハライトは農業肥料の原料として価値がある。いくつかの先行技術の方法では、特定の栄養素を抽出するために天然ポリハライトを分解することが提案されている。例えば、WO2013/074328、US1,946,068およびUS4,246,019を参照されたし。しかしながら、無傷のポリハライトも、土壌に硫黄、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムを供給することができ、肥料としても使用可能である。
【0009】
鉱物のポリハライトは、原料のまま、砕いた形で散布することができる。これは処理コストを最小限に抑えるが、多くの欠点がある。一旦土壌に散布されると、未加工の鉱物は分解に時間がかかり、その成分の生物学的利用能が遅れる。チップ状で散布された場合、ポリハライトは不規則な形や大きさになりがちで、均一に散布するのが難しく、ある種の農業用散布機械を使用して散布するのが難しい可能性がある。粉末ポリハライトは農業的散布において均一に散布するのが困難であり、ポリハライト粉末は吸湿性があるため、その機械的特性は空気にさらされると、時間の経過とともに迅速かつ根本的に変化する可能性がある。
【発明の概要】
【0010】
散布しやすく、植物に特に有益な方法で多くの栄養素を供給する肥料製品が望ましい。
【0011】
本発明の第1の態様は、ペレット化された肥料製品を製造する方法であり、この方法は、リン酸とアンモニアからなる第1の混合物を製造する工程、第1の混合物とポリハライト粉末を製粒機に加えて第2の混合物を製造する工程、および製粒機が第2の混合物を加工してペレットを製造している間に、第2の混合物にアンモニアを供給して、第2の混合物内でリン酸アンモニウムの生成を完了する工程を含む。
【0012】
製粒機は、アンモニアを供給しながら第2の混合物を混合することにより、第2の混合物を加工してペレットを製造することができる。リン酸とアンモニアからなる第1の混合物を製造することは、リン酸にアンモニアを導入しながらリン酸を混合することを含んでもよい。第1の混合物中に存在するアンモニアは、リン酸に反応してリン酸アンモニウムを生成してもよく、アンモニアは、第1の混合物内でリン酸アンモニウムの生成を完了するには不十分な量で導入されてもよい。第2の混合物にアンモニアを供給することは、第2の混合物にアンモニアガスを導入することを含む場合がある。第2の混合物にアンモニアを供給することは、第2の混合物に液体アンモニアを導入することを含む場合がある。第2の混合物中に存在するアンモニアは、リン酸に反応してリン酸アンモニウムを生成してもよく、アンモニアは、第2の混合物内でリン酸アンモニウムの生成を完了するのに十分な量で導入されてもよい。リン酸に対するアンモニアの所定の比率は、リン酸からのリン酸アンモニウムの生成を完了させるものであってもよく、所定の比率未満になる量のアンモニアが第1の混合物に導入されてもよい。リン酸に対するアンモニアの所定の比率は、リン酸からのリン酸アンモニウムの生成を完了させるものであってもよく、アンモニアは、実質的に所定の比率を満たすように第2の混合物に導入されてもよい。
【0013】
リン酸とアンモニアからなる第1の混合物を製造することは、第1の混合物に液体を加えることを含んでもよい。液体は水であってもよい。液体はアンモニアであってもよい。
【0014】
粉末は、50~500μmの範囲の質量平均粒径を有することができる。ペレットは、80重量%以上のポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物を含んでもよい。ポリハライト粉末に加える第1の混合物の量は、ペレットが20重量%から80重量%のリン酸アンモニウムからなるような量にされてもよい。ポリハライト粉末に加える第1の混合物の量は、ペレットが20重量%から80重量%のポリハライト粉末からなるような量にされてもよい。
【0015】
本発明の第2の態様は、ポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物を主成分とする肥料ペレットである。
【0016】
ペレットは、60重量%から80重量%のリン酸アンモニウムを含んでもよい。ペレットは、20重量%から40重量%のポリハライト粉末を含んでもよい。ペレットは、80重量%以上のポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物を含んでもよい。
【0017】
本発明の第3の態様は、本明細書に記載されるようなペレットを複数含む肥料製品である。本発明の第4の態様は、ペレットの少なくとも50%が本明細書に記載のペレットである、ペレット化された肥料製品である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
ここで、添付図面を参照して、本発明を例として説明する。図は、以下のとおりである。
【0019】
【
図1】肥料製造工程の一般的な概要を示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明は、当業者であれば誰でも本発明を製造および使用できるようにするために提示されるものであり、特定の用途の文脈で提供されるものである。開示された実施形態に対する様々な修正は、当業者には明らかであろう。
【0021】
本明細書で定義した一般原則は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適用することができる。したがって、本発明は、示された実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示された原理および特徴と一致する最も広い範囲が与えられる。
【0022】
本発明は、ペレット化肥料製品の製造方法に関する。この方法は、リン酸とアンモニアからなる第1の混合物を製造し、第1の混合物とポリハライト粉末を製粒機に加えて第2の混合物を製造することを含む。この方法はさらに、製粒機が第2の混合物を加工してペレットを製造している間に、第2の混合物内でリン酸アンモニウムの生成を完了するために、第2の混合物にアンモニアを供給することを含む。本発明はまた、ポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物を主成分とする肥料ペレットに関する。
【0023】
図1は、肥料製造工程の一般的な概要を示している。
図1を参照しながら製造工程を説明する。
【0024】
上述のように、ポリハライトは一般式K2Ca2Mg(SO4)4・2H2Oで示されるカリウムとカルシウムとマグネシウムの複合水和硫酸塩である。ポリハライトのモース硬度は約2.5から3.5である。ポリハライトは採掘によって天然埋蔵物から抽出することができる。採掘されたポリハライトは、ポリハライト中の不純物を形成する他の鉱物と密接に結合していることがある。これらの他の鉱物は、(例えば良質の原鉱において10%未満または5%未満の)低い比率であることが好ましい。採掘されたポリハライトは、輸送や加工に適したサイズのブロックやチップに砕くことができる。例えば、採掘されたままの岩石は、略均一なサイズのチップ材料を得るために、ジョークラッシャーおよび/またはコーンクラッシャーなどのクラッシャーに供給されてもよい。最大寸法が約20mm以下、および/または平均寸法が5~10mmのチップは、鉱山からの輸送に便利であることが判明している。チップは、コンベヤー、トラック、または他の便利な機構によって輸送することができる。
【0025】
ポリハライトチップは矢印2で示すように第1のホッパー1に投入される。ポリハライトチップは、第1のホッパーから排出されて、粉末状に加工される。
【0026】
原料またはチップ化されたポリハライトは、本質的にポリハライトからなる粉末を製造するために処理される。これは好適には、高圧粉砕ローラー(HPGR)装置3、またはボールミル(例えば連続式「ハーディング」ボールミル)またはアトライターミルを用いて行われてもよい。粉末の平均粒径は、粉末化装置内での供給原料の滞留時間や粉末化装置の構成など、様々なプロセスパラメータに依存する。粉体化装置から排出される大きすぎる粒子は、さらなる処理のために装置に戻されることがある。所望の粉末サイズは、後続の処理工程の性質に依存するが、粉末化工程で生産されたものを500μmの篩で選別し、篩を通過した材料をさらなる処理のために受け入れると良い結果が得られることが分かっている。粉末化装置から排出され、篩を通過しなかった過大粒子は、さらなる処理のために粉末化装置に戻すことができる。次の工程に渡す粉末の適切な水準は以下の通りである:500μmの篩を100%通過し、200μmの篩を80%(質量比)通過する。好適には、粉末の質量の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%が、50~500μm、より好ましくは100~250μmの範囲の粒径、すなわち最大径または平均径を有する粒で構成される。粒径は、マルバーン・マスターサイザー3000で測定したものでも、篩振とう機で測定したものでもよい。
【0027】
採掘された岩石中の不純物は、採掘された岩石を粉末化する前に分離してもよい。あるいは、不純物が所望の鉱物に対して納得のいく程度に低い割合である場合、それは保持され、粉末化されてもよい。従って、粉末化されたポリハライトは他の鉱物も含んでもよい。
【0028】
粉末ポリハライトは空気サイクロン4を通過する。空気サイクロン4は粉末ポリハライトを所望の大きさの粒子に分離し、一方、過大粒子は空気サイクロン4を下降して再利用される。空気サイクロン4から出力されたものは第2のホッパー5に入れられる。第2のホッパー5は、混合とペレット化の両方を行う装置に出力する。従って、
図1に示すように、第2のホッパー5は製粒機6に出力してもよい。
【0029】
製粒機6には、プレニュートラライザー7と第1の貯蔵タンク8からも液体が供給される。第1の貯蔵タンク8には、液体アンモニアまたはアンモニアガスが貯蔵される。処理において液体アンモニアとアンモニアガスの両方を使用する場合もある。この場合、液体アンモニア用とアンモニアガス用の貯蔵タンクを別々に設けることもできる。液体アンモニアまたはアンモニアガスの一方に言及する場合、各割合を用いたり他方に続く一方の割合を用いる場合があることが理解されよう。あるいは、液体アンモニアまたはアンモニアガスの一方のみを工程中に使用することもできる。
【0030】
第2の貯蔵タンク9にはリン酸が貯蔵されている。第1の貯蔵タンク8と第2の貯蔵タンク9は、プレニュートラライザー7に接続されている。プレニュートラライザー7には、第2の貯蔵タンク9からリン酸が供給され、第1の貯蔵タンク8からアンモニア液/ガスが供給される。プレニュートラライザー7にリン酸を導入し、アンモニア液/ガスをリン酸中にチューブで供給して、アンモニア液/ガスがリン酸を通って気泡となり、酸と反応するようにしてもよい。プレニュートラライザー7は、プレニュートラライザー7内に存在する液体を混合するための混合パドル10を含んでいてもよい。プレニュートラライザー7内のリン酸とアンモニア液体/ガスの組み合わせは、リン酸とアンモニアからなる第1の混合物を製造する。第1の混合物はスラリーの形態であってもよい。
【0031】
アンモニア液/ガスがリン酸に導入されると、アンモニア液/ガスはリン酸と反応する。この反応によりリン酸アンモニウムが生成する。アンモニア液/ガスの導入は、第1の混合物のpHを低下させる。アンモニア液/ガスの導入量は、第1の混合物のpHが約5~6に低下するように選択することができる。リン酸に導入されるアンモニア液/ガスの量に応じて、リン酸一アンモニウム(MAP)、リン酸二アンモニウム(DAP)、またはこれら2つの組み合わせが、プレニュートラライザー内の第1の混合物中に生成される場合がある。第1の混合物に導入されるアンモニア液/ガスの量は、リン酸アンモニウム(MAPであれDAPであれ所望の形態)の生成を完了するのに必要な量よりも少ない。これは、リン酸アンモニウムの生成が完了したときに、混合物中にリン酸が実質的に残存していないことを意味する。
【0032】
リン酸からリン酸アンモニウムの生成を完了させる、リン酸に対するアンモニアの所定の比率がある。この所定の比率は、目標比率であってもよい。所定の比率は、MAPとDAPのどちらを生成するかによって異なる。MAPの所定比率は1:1であり、DAPの所定比率は2:1である。
【0033】
リン酸とアンモニアの混合を助けるために、プレニュートラライザーに水を導入することもできる。
【0034】
プレニュートラライザー7は、プレニュートラライザー7が製粒機6にリン酸とアンモニアからなる第1の混合物を供給できるように、製粒機6に接続されている。第1の貯蔵タンクはさらに製粒機6に接続され、製粒機6にアンモニア液/ガスを直接供給することができる。
【0035】
このような製粒機の例としては、例えばマシーネンファブリークグスタフアイリッヒ社から入手可能なインテンシブミキサー/製粒機がある。製粒機は、運転中に加工物を排出するように構成され、連続運転が可能である。あるいは、製粒機はバッチ式で作動し、材料は決められたプログラムに従って加工され、その後一斉に排出される。
【0036】
ポリハライト粉末は第2のホッパー5から製粒機6に渡される。第1の混合物もプレニュートラライザー7から製粒機6に渡される。製粒機6に渡されるポリハライト粉末と最初の混合物の量は、最終ペレット中のリン酸アンモニウムに対するポリハライトの所望の比率に依存して選択される。ポリハライト粉末と第1の混合物を加えると、製粒機6によって混合されることによって第2の混合物が製造される。
【0037】
アンモニア液/ガスは、第1の貯蔵タンク8から製粒機に注入される。こうしてアンモニア液/ガスが第2の混合物に注入される。注入されるアンモニア液/ガスの量は、第2の混合物中のリン酸アンモニウムの生成を完了するように選択される。第2の混合物は、第2の混合物のpHが、第2の混合物内でのリン酸アンモニウムの生成の完了を示す約7に達したときを決定するために試験することができる。第2の混合物中のリン酸アンモニウムは、プレニュートラライザー7および製粒機6に導入されるアンモニウムの量に応じて、DAPまたはMAPの形態であってもよい。
【0038】
プレニュートラライザー7からの液体の導入はまた、ポリハライト粉末の凝集、ひいては製粒機6での第2の混合物の凝集およびペレット化を引き起こす効果を有する。
【0039】
製粒機でポリハライト粉末に導入される第1の混合物およびアンモニウムの量は、ペレット中のリン酸アンモニウムに対するポリハライト粉末の所望の比率に従って選択することができる。ペレット中のポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの重量比は、一般に1:10、1:5、3:10、2:5、1:2、3:5、7:10、4:5、9:10、1:1、10:9、5:4、10:7、5:3、2:1、5:2、10:3、5:1、10:1である。
【0040】
ペレットは、20重量%以上のポリハライト、30重量%以上のポリハライト、40重量%以上のポリハライト、50重量%以上のポリハライト、60重量%以上のポリハライト、70重量%以上のポリハライト、80重量%以上のポリハライトを含んでいてもよい。好ましくは、肥料製品は80重量%未満のポリハライト、より好ましくは60重量%未満のポリハライト、より好ましくは20重量%から40重量%のポリハライト、より好ましくは20重量%から35重量%のポリハライトを含んでもよい。
【0041】
ペレットは、20重量%以上のリン酸アンモニウム、30重量%以上のリン酸アンモニウム、40重量%以上のリン酸アンモニウム、50重量%以上のリン酸アンモニウム、60重量%以上のリン酸アンモニウム、70重量%以上のリン酸アンモニウム、80重量%以上のリン酸アンモニウムを含んでもよい。好ましくは、肥料製品は、20重量%以上のリン酸アンモニウム、より好ましくは40重量%以上のリン酸アンモニウム、より好ましくは60重量%から80重量%のリン酸アンモニウム、より好ましくは65重量%から80重量%のリン酸アンモニウムを含んでもよい。
【0042】
ペレットは、ポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物を重量的に主成分とすることができる。ペレットは、80重量%以上のポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物、85重量%のポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物、90重量%のポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物、95重量%のポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物、96重量%のポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物、97重量%のポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物、98重量%のポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物、99重量%のポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物、99.5重量%のポリハライト粉末とリン酸アンモニウムの混合物を含んでもよい。
【0043】
ペレット化工程が終了すると、ペレットは製粒機6から乾燥機14に排出される。乾燥機14は乾燥用のコンベヤーであってもよい。ペレットはリン酸アンモニウムとポリハライトを含む。ペレットを十分に乾燥させるには、ペレットを約150℃の温度に加熱できる乾燥機14内で約3分の保持時間で十分であることが分かっている。これによりペレットを硬化させることができる。ポリハライト粉末、リン酸およびアンモニアを使用して製造されたペレットは、2.2kgfの領域の破砕強度を有することができる。これは、一般に認められている農業用ペレットの下限値2.2kgfと同等である。水分は、逆噴射エアフィルターを使って乾燥機から抜くことができる。乾燥機の運転温度と保持時間は、その後の取り扱いに必要な強度のペレットを提供するために選択することができる。ペレットの乾燥には回転式乾燥機を使用することもできる。
【0044】
乾燥機14から排出された乾燥材料は、所望のサイズ範囲のペレットから過小サイズおよび/または過大サイズのペレットを分離するために選別することができる。所望のサイズ範囲は、例えば、4mmの篩を通過するが、2mmの篩を通過しないものとすることができる。あるいは、所望の用途に応じて適宜他のサイズを選択することもできる。
【0045】
乾燥されたペレットは、所望の大きいサイズを有するペレットから過大サイズのペレットを分離するために、第1のサイズスクリーナー12を通過させることができる。過大ペレットは再粉砕される。これは好適には高圧粉砕ローラー(HPGR)装置16を用いるか、ボールミル(例えば連続式「ハーディング」ボールミル)又はアトライターミルで行われる。再粉砕されたペレットは第2のホッパー5に供給され、再び工程を経てリサイクルされる。乾燥されたペレットは、所望の小さいサイズを有するペレットから過小サイズのペレットを分離するために、第2のサイズスクリーナー13に通すことができる。過小サイズのペレットは第2のホッパー5に戻され、再び製粒機6に導入され、再び工程を通してリサイクルされる。
【0046】
最後に、(矢印17で示すように)大きさの揃ったペレットは、冷却して、例えば600kgの大袋や25kgの袋に包装したり(15)、別の場所で使用したりさらに加工したりするためにバラで出荷したりすることができる。ペレットは農業用に供給できる。最終的には、圃場や他の農園芸培地に散布して肥料として作用させることができる。複合ペレットは、施肥以外の目的に使用することもできる。
【0047】
ペレットには、他の添加剤を含めることもできる。そのような添加剤は、以下の1つまたは複数を、任意の組み合わせで使用することができる:
-ペレットを化学的および/または機械的に安定化および/または保存する効果を有する成分:例えば、保存可能期間を延ばしたり、環境汚染物質に対する感受性を低下させたり、または散布中にペレットが破壊される可能性を低下させるもの(例えば、pH緩衝剤);
-ポリハライトおよび/またはリン酸アンモニウムの肥料効果を増強する効果を有する成分:例えば、圃場におけるポリハライトの分解を促進または遅延させることによって増強するもの;
-施肥以外の手段で穀物の成長を保護または促進する効果を有する成分:例えば、除草剤、殺菌剤、殺虫剤、殺鼠剤、ホルモン剤、植物刺激剤、菌根菌または胞子など;
-種子:被子植物、裸子植物、および/または作物種(例えば小麦、トウモロコシ、米、キビ、大麦、オート麦、ライ麦などの穀物)の種子;
-ポリハライトおよびリン酸アンモニウムに加えて、マクロまたはミクロ栄養素を供給するさらなる肥料組成物;
-顔料;
-土壌のpHを変化させる効果のある成分:石灰や硫黄など。
このような成分は、工程の任意の適切な段階で添加することができる。例えば、それは上記のような整粒段階の前または間にポリハライト粉末と組み合わせられるか、またはポリハライト/リン酸/アンモニア混合物と組み合わせられるか、またはリン酸/アンモニア混合物と組み合わせられてもよい。また、それは乾燥の前または後にペレットにスプレーされるか、または他の方法でコーティングされてもよい。
【0048】
複合ペレットは、空隙を実質的に含まないことが好ましく、例えば、1体積%以下、2体積%以下または5体積%以下の空気を含む。
【0049】
単一のペレットに関して特性が詳細に述べられているが、(i)バルク全体の平均値、(ii)バルク全体の中央値、または(iii)バルク肥料のペレットの50%以上または80%以上が必要な特性を有するものとして、その基準を大量のペレット化された肥料に適用することができる。
【0050】
3つの実施例では、リン酸とアンモニアガスを混合してpHを5~6にし、DAPプレニュートラライザースラリーを作成した。ポリハライト粉末を秤量し、整粒ミキサーに加えた。ポリハライト粉末を整粒ミキサーで混合し、スラリーを注ぐことによってポリハライト粉末に加えた。その後、アンモニアガスを混合物に注入した。スラリー粉末混合物のpHが約7に達したら、混合物に熱を加えて乾燥させ、整粒を開始した。顆粒を製造し、タイラー5-9の篩を使用して、所望の2~4mm粒径の顆粒を選別した。
【0051】
第1の実施例では、3.36kgのリン酸をプレニュートラライザーに加え、pHが約6になるまでアンモニアガスをバブリングしながら混合した。混合物がpH1.6からpH5の範囲を通過する際に、不溶性の段階を通過するのを助けるために、1550mLの水が工程全体を通して加えられた。1kgのポリハライトを整粒ミキサーに加え、スラリーを導入した。pHが約7になるまでアンモニアガスをバブリングし、混合物を整粒してペレットを製造した。得られたペレットは、所望の2~4mmの粒径に選別された。得られたペレットの硬度は2.3kgfであった。得られたペレットは、重量比で20%のポリハライト粉末に対して80%のDAPを有していた。
【0052】
第2の実施例では、2.73kgのリン酸をプレニュートラライザーに加え、pHが約6になるまでアンモニアガスをバブリングしながら混合した。混合物がpH1.6からpH5の範囲を通過する際に、不溶性の段階を通過するのを助けるために、1250mLの水が工程全体を通して加えられた。1.75kgのポリハライトを整粒ミキサーに加え、スラリーを導入した。pHが約7になるまでアンモニアガスをバブリングし、混合物を整粒してペレットを製造した。得られたペレットは、所望の2~4mmの粒径に選別された。得られたペレットの硬度は2.1kgfであった。得られたペレットは、重量比で35%のポリハライト粉末に対して65%のDAPを有していた。
【0053】
第3の実施例では、1.68kgのリン酸をプレニュートラライザーに加え、pHが約6になるまでアンモニアガスをバブリングしながら混合した。混合物がpH1.6からpH5の範囲を通過するときに、不溶性の段階を通過するのを助けるために、1000mLの水が工程全体を通して加えられた。3kgのポリハライトを整粒ミキサーに加え、スラリーを導入した。pHが約7になるまでアンモニアガスをバブリングし、混合物を整粒してペレットを製造した。得られたペレットは、所望の2~4mmの粒径に選別された。得られたペレットの硬度は2.1kghであった。得られたペレットは、重量比で60%のポリハライト粉末に対して40%のDAPを有していた。
【0054】
本出願人は、本明細書に記載された個々の特徴および2つ以上のそのような特徴の組合せを、そのような特徴または組合せが本明細書に開示された問題を解決するか否かにかかわらず、また特許請求の範囲を限定することなく、当業者の一般的な知識に照らして本明細書全体に基づいて実施可能である限りにおいて、単独で開示する。本出願人は、本発明の態様は、そのような個々の特徴または特徴の組み合わせから構成され得ることを示す。前述の説明を考慮すれば、本発明の範囲内で様々な変更がなされ得ることは当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】