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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】逆ねじ山骨スクリュー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/86 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
A61B17/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539769
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 IB2021062396
(87)【国際公開番号】W WO2022144776
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】63/131,313
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/563,405
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523239217
【氏名又は名称】ユニバーシティ・オブ・メリーランド・メディカル・センター・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー・チラカ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC40
4C160LL26
4C160LL58
(57)【要約】
逆ねじ山骨スクリュー、より具体的には、反時計回りの回転がスクリューの前方軸方向前進を促進するように、左上がりに傾斜するねじれ角を有する逆ねじ山骨スクリュー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸を有する略円柱形の本体部であって、前記本体部の遠位端の周りに逆角度ねじ山が形成され、前記本体部の近位端に一意な駆動連結部が形成された、本体部と、
前記本体部に接着または埋め込まれた所定の放射線画像識別部と、
を備える、逆ねじ山骨スクリュー。
【請求項2】
前記逆ねじ山骨スクリューが、逆ねじ山ヒップラグスクリューである、請求項1に記載の逆ねじ山骨スクリュー。
【請求項3】
前記一意な駆動連結部が、一意な相補的形状の駆動工具を受け入れるように構成される、請求項2に記載の逆ねじ山ヒップラグスクリュー。
【請求項4】
前記一意な相補的形状の駆動工具が、非逆ねじ山ヒップスクリューとは反対の方向に前記逆ねじ山ヒップスクリューを駆動させ、および取り外すように構成される、請求項2に記載の逆ねじ山ヒップラグスクリュー。
【請求項5】
前記本体部の近位端に形成された前記一意な駆動連結部が、非逆ねじ山付きスクリュー用の標準的なスクリュー駆動工具と適合しない、請求項4に記載の逆ねじ山ヒップラグスクリュー。
【請求項6】
前記所定の放射線画像識別部が、
前記逆角度ねじ山の基部に接続されたカーバイドリング、または
前記本体部に接続された増加放射線画像濃度の1つもしくは複数のビーズ
を備える、請求項2に記載の逆ねじ山ヒップラグスクリュー。
【請求項7】
前記逆角度ねじ山が、前記本体部の前記遠位端の固定の長さの周りに形成される、請求項2に記載の逆ねじ山ヒップラグスクリュー。
【請求項8】
前記本体部の前記遠位端の前記固定の長さが、1インチ未満である、請求項7に記載の逆ねじ山ヒップラグスクリュー。
【請求項9】
前記本体部の前記遠位端の前記固定の長さが、1/2インチ未満である、請求項7に記載の逆ねじ山ヒップラグスクリュー。
【請求項10】
長手方向軸を有する略円柱形の本体部であって、前記本体部の遠位端の周りに逆角度ねじ山が形成され、前記逆角度ねじ山は前記本体部の近位端近くで終端するように前記本体部の長さに延在し、前記本体部の前記近位端に一意な駆動連結部が形成された、本体部と、
前記本体部に接着または埋め込まれた所定の放射線画像識別部と、
を備える、逆ねじ山スクリュー。
【請求項11】
前記一意な駆動連結部が、一意な相補的形状の駆動工具を受け入れるように構成される、請求項10に記載の逆ねじ山スクリュー。
【請求項12】
前記一意な相補的形状の駆動工具が、非逆ねじ山ヒップスクリューとは反対の方向に前記逆ねじ山ヒップスクリューを駆動させ、および取り外すように構成される、請求項10に記載の逆ねじ山スクリュー。
【請求項13】
前記本体部の近位端に形成された前記一意な駆動連結部が、非逆ねじ山付きスクリュー用の標準的なスクリュー駆動工具と適合しない、請求項10に記載の逆ねじ山スクリュー。
【請求項14】
前記所定の放射線画像識別部が、
前記本体部に対して前記本体部の回りに円周方向に接続されたカーバイドリング、または
前記本体部に接続された増加放射線画像濃度の1つもしくは複数のビーズ
を備える、請求項10に記載の逆ねじ山スクリュー。
【請求項15】
前記カーバイドリングが、前記逆角度ねじ山の基部に接続される、請求項14に記載の逆ねじ山スクリュー。
【請求項16】
前記増加放射線画像濃度の前記1つもしくは複数のビーズが、前記本体部に沿って長手方向に配置される、請求項14に記載の逆ねじ山スクリュー。
【請求項17】
前記増加放射線画像濃度の前記1つもしくは複数のビーズが、前記本体部の周りに円周方向に配置される、請求項14に記載の逆ねじ山スクリュー。
【請求項18】
長手方向軸を有する略円柱形の本体部であって、前記本体部の遠位端の周りに逆角度ねじ山が形成され、前記逆角度ねじ山は前記本体部の近位端近くで終端するように前記本体部の長さに延在し、前記本体部の前記近位端に一意な駆動連結部が形成された、本体部、および、
前記本体部に接着または埋め込まれた所定の放射線画像識別部
を備える、逆ねじ山スクリューと、
前記逆ねじ山スクリューの前記ねじ山と係合するように相補的に構成されたねじ山を提供するように構成された逆ねじ山タップと、
前記逆ねじ山スクリューの前記一意な駆動連結部と係合するように相補的に構成された逆ねじ山駆動機構と、
を備える、逆ねじ山スクリューキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、逆ねじ山骨スクリュー(reverse thread bone screw)に関し、より詳細には、反時計回りの回転がねじ山の前方軸方向前進を促進するように、左上がりに傾斜するねじれ角を有する逆ねじ山骨スクリューに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のねじ山スクリューの挿入中に生成される時計回りの回転力が骨折整復を危うくする恐れがある、特定の解剖学的位置および骨折パターンがある。
【0003】
スクリュー挿入中に生成される回転力は、近くの破片のオーバードリルによる技術および全体ねじ山スクリューの使用によるラグ、または部分ねじ山付きスクリューによる設計によるラグの両方を含む、ラグスクリューを配置するときに特に問題となる場合がある。ラグスクリューの挿入時、近くの破片中にねじ山のてこの作用がなく、したがって、スクリューのねじ山が遠い破片と係合するとき、回転力の差が骨折部位に集中する。この集中した力は、ラグスクリューの軌道が骨折面に対して完全に垂直であっても、骨折による回転的な変形を伴う骨折整復の失敗を引き起こすほど十分に強力であることがある。
【0004】
典型的なヒトの解剖学的構造は、15°~20°の大腿骨頚部前傾を有する。左側大腿骨の頚部、頚基部、転子部および何らかの転子下(subtrochaniteric)股関節骨折の固定のとき、従来のねじ山ラグスクリュー挿入中の時計回りの回転力が骨折の伸展変形を引き起こすことがある。これは、構成体破損(construct failure)のリスクの増加を伴う骨折整復不良をもたらし、時には、追加の手術、および臨床結果を損なうことを余儀なくさせる場合もある。右側股関節骨折の固定のとき、従来のねじ山ラグスクリュー挿入中の同じ時計回りの回転力が骨折部にわたって屈曲力を与えることがある。この屈曲力は、通常、大腿骨頚部の前傾に起因する右側股関節骨折の固定時の好ましくない屈曲変形をもたらすことはなく、屈曲の方向への近位頭部断片の変位は、より後部の骨との接触、さらにはそれに対する圧縮による抵抗を受ける。
【0005】
左側股関節骨折の固定のための従来のねじ山ラグスクリュー挿入中の時計回り回転力を打ち消す代替技術は、以下を含む。
a. 別個の「減捻(derotational)スクリュー」の使用。ラグスクリュー挿入中に生成される回転力に耐えるための助けとなるように、一次ヒップラグスクリュー(hip lag screw)の配置前に骨折部により小さな直径のスクリューを配置する。このアプローチは、釘の近位部が減捻スクリューの軌道をブロックするので頭髄釘構成体(cephalomedullary nail construct)ではなく、摺動ヒップスクリュー構成体(sliding hip screw construct)とともに使用することができる。摺動ヒップスクリュー構成体とともに減捻スクリューを使用すると、医原性の大腿骨外側皮質骨折リスクが増加し、それによって、摺動ヒップスクリュー構成体に対する転子安定化プレートの追加、またはさらに、頭髄釘構成体への転換が必要となることがある。
b. 仮骨折部安定性を増加させ、ラグスクリュー挿入の間に生成される回転力に耐えるように、ラグスクリュー挿入前に骨折部に追加のk-ワイヤを配置。このアプローチは、頭髄釘構成体では技術的により困難であるが、摺動ヒップスクリュー構成体と頭髄釘構成体の両方を用いれば成功裏に実施することができる。
c. 骨折部の近位セグメントを操作しラグスクリュー挿入中に生成される回転力に耐えるように、骨フック、ボールスパイク、またはより大きな直径のk-ワイヤ、またはシャンツピン(Schanz pin)の使用。
d. ラグスクリュー挿入中に生成される回転力に耐える、骨折整復を安定化するために骨折部にわたるクランプの配置。これは、股関節骨折の外科的固定によく使用される経皮技術の場合より困難である。
e. 上述の回転力を制御する追加の技術を用いつつ、ラグスクリューに対するタッピング、ならびに/またはラグスクリューの複合的な挿入および除去。これは、骨中のラグスクリューのてこ作用を減少させ、したがって、ラグスクリュー挿入中に生成される変形性回転力を減じるが、これはさらに、インプラント固定の質を犠牲にする。
f. ラグスクリュー挿入前に骨折部をさらに安定化するための補助プレートの使用。この技術は、若年者における高エネルギーで高角度の大腿骨頚部骨折などの大腿骨頚部骨折に対するオープンアプローチ中に用いられることがあり、その場合、プレートは、この骨折パターンにおいても作用し、構成体破損の一因となる剪断力に耐えるようにバットレス機能の役目を果たすことができ、したがって、左側と右側の両方の股関節骨折の外科的処置にも用いられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の実施形態は、関連技術の制限および欠点による1つまたは複数の課題を実質的に取り除く、逆ねじ山骨スクリューを対象とする。
【0007】
本発明の追加の特徴および利点は、以下の説明に示され、一部は、説明から明らかとなり、または本発明の実施により学ぶことができる。本発明の目的および他の利点は、記載の説明およびその特許請求の範囲ならびに添付の図面において具体的に指摘された構造によって実現され達成されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記とその他の利点を達成するため、本発明の目的によれば、具現化され広範に記載されるように、逆ねじ山骨スクリューは、長手方向軸を有する略円柱形の本体部であって、本体部の遠位端の周りに逆角度ねじ山が形成され、本体部の近位端に一意な駆動連結部が形成された、本体部と、本体部に接着または埋め込まれた所定の放射線画像識別部(radiographic identifier)とを含む。
【0009】
他の態様において、逆ねじ山骨スクリューは、逆ねじ山ヒップラグスクリューを含む。この逆ねじ山ヒップラグスクリューは、長手方向軸を有する略円柱形の本体部であって、本体部の遠位端の周りに逆角度ねじ山が形成され、本体部の近位端に駆動連結部が形成された、本体部と、本体部に接着または埋め込まれた所定の放射線画像識別部とを備える。
【0010】
他の態様において、逆ねじ山スクリューは、長手方向軸を有する略円柱形の本体部であって、本体部の遠位端の周りに逆角度ねじ山が形成され、逆角度ねじ山は本体部の近位端近くで終端するように本体部の長さに延在し、本体部の近位端に駆動連結部が形成された、本体部と、本体部に接着または埋め込まれた所定の放射線画像識別部とを備える。
【0011】
他の態様において、逆ねじ山スクリューキットは、長手方向軸を有する略円柱形の本体部であって、本体部の遠位端の周りに逆角度ねじ山が形成され、逆角度ねじ山は本体部の近位端近くで終端するように本体部の長さに延在し、本体部の近位端に駆動連結部が形成された、本体部、および、本体部に接着または埋め込まれた所定の放射線画像識別部を備える、逆ねじ山スクリューと、逆ねじ山スクリューのねじ山と係合するように相補的に構成されたねじ山を提供するように構成された逆ねじ山タップと、逆ねじ山スクリューの一意な駆動連結部と係合するように相補的に構成された逆ねじ山駆動機構とを備える。
【0012】
上述の概略的な説明および以下の詳細な説明はともに、例示かつ説明に過ぎず、特許請求の範囲で示す本発明のさらなる説明を提供することを意図することを理解されたい。
【0013】
本発明のさらなる理解を提供するように含まれ本明細書の一部に組み込まれそれを構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、その説明と相まって本発明の原理を説明する役目を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】関連技術のねじ山スクリューの側面図である。
図2】関連技術のねじ山ヒップラグスクリューの側面図である。
図3】開示される主題の一実施形態による、逆ねじ山スクリューの側面図である。
図4】開示される主題の一実施形態による、逆ねじ山ヒップラグスクリューの側面図である。
図5】開示される主題の一実施形態による、一意な構成の駆動連結部を有する、逆ねじ山式スクリューのヘッドの端部の平面図である。
図6】開示される主題の他の実施形態による、一意な構成の駆動連結部を有する、逆ねじ山式スクリューのヘッドの端部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一般に、従来のねじ山付き骨スクリューは、時計回りの回転がスクリューの前方軸方向前進を促進するように、右上がりに傾斜するねじれ角を有する。しかし、本発明の実施形態は、反時計回りの回転がスクリューの前方軸方向前進を促進するように、左上がりに傾斜するねじれ角を有する逆ねじ山骨スクリューを提供する。スクリュー寸法およびねじ山ピッチは、図1図4に示されるように、従来のねじ山骨スクリュー等価物と同じまたは類似していてよい。
【0016】
適切な左側股関節骨折の固定用の逆ねじ山ヒップラグスクリューの実施は、新規のアプローチであり、これは、従来のねじ山ラグスクリューの挿入中に生成される時計回りの回転力を引き起こす拡張変形を、より好都合な反時計回りの回転力に変換し、それによって正常な股関節解剖学的構造による抵抗がより良好になり、耐容性がより良好になる。左側股関節骨折の固定のためのラグスクリュー挿入中の反時計回りの回転力の生成は、ほとんどではないが、これらの骨折の多くについて述べられる追加の手技の使用を不要にする。骨折整復を維持する追加の技術を用いる必要がないことは、手術時間の減少およびインプラント数の潜在的な減少による患者のケアおよび治療コストの恩恵をさらに受け得る。
【0017】
逆ねじ山骨スクリューは、x線だけで原位置で識別できるように、一意な放射線画像識別部を有さなければならない。
a. ヒップラグスクリューの典型的なねじ山ピッチは、x線により従来のねじ山ヒップラグスクリューと逆ねじ山ヒップラグスクリューとを原位置で区別するように注意深く精査しなければならないほど十分に小さい。
b. 不注意による画像の反転またはラベリングの誤りの結果生じる解釈エラーを防ぐ。
c. インプラントの除去が必要な場合、重篤な医原性損傷すなわち医師によって引き起こされる損傷をもたらし得る、スクリューを抜き取る代わりに不注意に前進させないようにすることが特に重要である。
d. 一意な放射線画像識別部は、これらに限定されないが、ねじ山の基部におけるカーバイドリング(carbide ring)または増加放射線画像濃度(increased radiographic density)のビーズなど、いくつかの形態をとることができる。
【0018】
逆ねじ山骨スクリューに随伴する追加の器具:
e. 逆ねじ山タップは、逆ねじ山骨スクリューに随伴しなければならず、その場合、ねじれ角度は、左上がりに傾斜し、したがって反時計回りの回転が前方軸方向前進を促進し、逆ねじ山タップの寸法およびねじ山ピッチは、対応する従来のねじ山タップと同じである。
f. 逆ねじ山骨スクリューの挿入または抜き取りのための一意な連結機構またはスクリュードライバは、従来のねじ山骨スクリューと逆ねじ山骨スクリューの両方がセットで利用可能であるとき、スクリューを不適当に前進または抜き取る外科医に対する追加のフェールセーフとして使用され得る。
g. 最も多く存在する摺動ヒップスクリューおよび頭髄釘システムとともに逆ねじ山ヒップラグスクリューを用いるために追加の器具または修正は必要ない。1つの例外は、Smith+NephewのTrigen Intertan転子間順行釘システム(Intertrochanteric Antegrade Nail system)であり、逆ねじ山ヒップラグスクリューとともに使用するためには逆ねじ山圧縮スクリューの製造が必要である。
【0019】
図1は、関連技術のねじ山スクリューの側面図である。図1には、従来のねじ山スクリュー100、すなわち順または右ねじ山付きスクリュー100が示されており、内側コア120の周りにねじ山110を有し、ねじ山110は、左から右上がりに傾斜するねじれ角αを有する。ねじ山110の直径は、内側コア120の直径よりも大きい。内側コア120は、円錐状の前方遠位端125と、円錐の端とは反対の近位端にヘッド130とを含む。ヘッド130はさらに、駆動工具、例えばスクリュードライバと係合するように構成された近位端135内の駆動機構を含む。従来のねじ山付きスクリュー100の時計回りの回転は、対象物に入る従来のねじ山付きスクリュー100の軸方向運動を促進する。ねじ山110は、円錐状の前方端125近くからヘッド130の遠位端近くまで内側コア120の実質的に全長にわたって延在する。
【0020】
図2は、関連技術のねじ山ヒップラグスクリューの側面図である。図2には、従来のねじ山ヒップラグスクリュー200、すなわち、順または右ねじ山付きヒップラグスクリュー200が示されており、内側コア220の周りにねじ山210を有し、ねじ山210は、左から右上がりに傾斜するねじれ角αを有する。ねじ山210の直径は、内側コア220の直径よりも大きい。内側コア220は、円錐状の前方遠位端225と、円錐の端とは反対の近位端にヘッド230とを含む。ヘッド230はさらに、駆動工具、例えばスクリュードライバと係合するように構成された近位端235内の駆動機構237を含む。従来のねじ山付きスクリュー200の時計回りの回転は、対象物に入る従来のねじ山付きスクリュー200の軸方向運動を促進する。ねじ山210は、円錐状の前方端225近くから内側コア220の長さの約1/4から1/2まで内側コア220の長さの一部分だけに延在する。
【0021】
図3は、開示される主題の一実施形態による、逆ねじ山スクリューの側面図である。図3には、逆ねじ山スクリュー300、すなわち逆または左ねじ山付きスクリュー300が示されており、内側コア320の周りに逆ねじ山310を有し、逆ねじ山310は、右から左上がりに傾斜するねじれ角αを有する。逆ねじ山310の直径は、内側コア320の直径よりも大きい。内側コア320は、円錐状の前方遠位端325と、円錐の端とは反対の近位端にヘッド330とを含む。手術前にスクリューのタイプの識別を助けるために、放射線マーカー、例えばこれに限定されないが、1つまたは複数のカーバイドバンド327が、例えばこれに限定されないが、円錐状の前方遠位端325に対して遠位にある逆ねじ山310の基部近くで内側コア320に取り付けられ得る。別法として、またはカーバイドバンド327に加えて、1つまたは複数の放射線ビーズ(radiologic beads)329が内側コア320に沿って取り付けられてもよい。ヘッド330はさらに、逆ねじ山付きスクリュー300の近位端335に、一意な構成の駆動連結部(駆動連結部の例示的な実施形態の図5および図6参照)を含むことができ、それは、例えば、一意な形状のスクリュードライバおよび/または他の駆動工具である相補的な形状の駆動工具と係合するように構成される。逆ねじ山付きスクリュー300の反時計回りの回転は、対象物に入る逆ねじ山付きスクリュー300の軸方向運動を促進する。逆ねじ山310は、円錐状前方端325近くからヘッド330の遠位端近くまで内側コア320の実質的に全長にわたって延在する。
【0022】
図4は、開示される主題の一実施形態による、逆ねじ山ヒップラグスクリューの側面図である。図4には、逆ねじ山ヒップラグスクリュー400、すなわち、逆または左ねじ山付きヒップラグスクリュー400が示されており、内側コア420の周りに逆ねじ山410を有し、逆ねじ山410は、右から左上がりに傾斜するねじれ角αを有する。逆ねじ山410の直径は、内側コア420の直径よりも大きい。内側コア420は、円錐状の前方遠位端425と、円錐の端とは反対の近位端にヘッド430とを含む。手術前にスクリューのタイプの識別を助けるために、放射線マーカー、例えばこれに限定されないが、1つまたは複数のカーバイドバンド427が、例えばこれに限定されないが、円錐状の前方遠位端425に対して遠位にある逆ねじ山410の基部近くで内側コア420に取り付けられ得る。別法として、またはカーバイドバンド427に加えて、1つまたは複数の放射線ビーズ429が、内側コア420に沿って取り付けられてもよい。ヘッド430はさらに、逆ねじ山付きスクリュー400の近位端435に、一意な構成の駆動連結部(駆動連結部の例示的な実施形態の図5および図6参照)を含むことができ、それは、例えば、スクリュードライバおよび/または他の駆動工具である駆動工具と係合するように構成される。逆ねじ山付きスクリュー400の反時計回りの回転は、対象物に入る逆ねじ山付きスクリュー400の軸方向運動を促進する。逆ねじ山410は、円錐状の前方端425近くから内側コア420の長さの約1/4から1/2まで内側コア420の長さの一部分だけに延在する。
【0023】
図5は、開示される主題の一実施形態による、一意な構成の駆動連結部を有する逆ねじ山式スクリューのヘッドの端の平面図である。図5において、例えばこれらに限定されないが図3の逆ねじ山スクリュー300、図4の逆ねじ山ヒップラグスクリュー400、逆ねじ山のSmith+NephewのTrigen Intertan転子間順行釘システムなどを含むことができる逆ねじ山式スクリュー500のヘッド530である。ヘッド530は、一意な構成の連結機構537を含み、ここでは、3/4円形状の連結機構537として示されており、この一意な構成の連結機構537と噛み合い回転させることができる相補的な形状の駆動機構(図示せず)を必要とする。
【0024】
図6は、開示される主題の他の実施形態による、一意な構成の駆動連結部を有する逆ねじ山式スクリューのヘッドの端の平面図である。図6において、例えばこれらに限定されないが図3の逆ねじ山スクリュー300、図4の逆ねじ山ヒップラグスクリュー400、逆ねじ山のSmith+NephewのTrigen Intertan転子間順行釘システムなどを含むことができる逆ねじ山式スクリュー600のヘッド630である。ヘッド630は、一意な構成の連結機構637を含み、ここでは、細長い六角形の形状の連結機構637として示されており、この一意な構成の連結機構637と噛み合い回転させることができる相補的な形状の駆動機構(図示せず)を必要とする。
【0025】
別法として、他の実施形態では、少なくとも2つの異なる深さレベルを有し、異なるように構成された深さレベルを有する連結機構に相補的形状の駆動機構が完全に挿入されない限り、スクリューが相補的形状の駆動機構によって前進または取り外されることを防ぐために各深さレベルが異なる構成を有する一意な構成の連結機構が含まれ得る。図5および図6の上述の2つの形状、ならびに可能な複数の深さレベルは、一意な構成の連結機構の可能な形状の単なる例に過ぎず、多数の他の形状および構成が企図される。
【0026】
様々な構成および実施形態において、逆ねじ山タップは、逆ねじ山骨スクリューを随伴し、ここで、ねじれ角は、反時計回りの回転が前方軸方向前進を促進するように、左上がりに傾斜しており、逆ねじ山タップの寸法およびねじ山ピッチは、対応する従来のねじ山タップと同じである。
【0027】
逆ねじ山ヒップラグスクリューは、逆ねじ山骨スクリューの適用の例示的な一実施形態である。例えば、選ばれた股関節骨折の骨接合術のための摺動ヒップスクリューおよび頭髄釘構成体に使用される逆ねじ山ヒップラグスクリューである。左側股関節骨折の固定の場合、反時計回りの回転が前方軸方向前進を促進する逆ねじ山ヒップラグスクリューは、骨折部において(右側股関節骨折部の固定における従来のねじ山ラグスクリュー挿入中に生じるような)より好ましい屈曲力を生成し、したがって、固定インプラントが低品質の整復の一因になることを防ぎ、骨折治癒および臨床結果において改善が期待される。この既述事項は、摺動ヒップスクリュー構造体および頭髄釘構成体の両方に使用されるヒップラグスクリューに適用される。この既述事項は、「再建術用釘(reconstruction nail)」または「リコン釘(recon nail)」とよく呼ばれるデュアルラグスクリュー頭髄釘(dual lag screw cephalomedullary nail)、および、いくつかの大腿骨頚部骨折パターンを治療するのに使用されるカニューレ挿入スクリューシステムに拡大され得る。
【0028】
別の構成としては、摺動ヒップスクリュー構成体のための逆ねじ山ヒップラグスクリュー、頭髄釘構成体のための逆ねじ山ヒップラグスクリュー、デュアルラグスクリュー頭髄釘構成体のための逆ねじ山ヒップラグスクリュー、全体ねじ山付きおよび部分ねじ山付きの逆ねじ山カニューレ挿入スクリューが挙げられる。本発明の実施形態は、時計回りの回転力の反時計回りの回転力への転換が有益である他の解剖学的部位および/または骨折パターンに容易に適用することができる。
【0029】
いくつかの例では、整復の維持を確実にするように、股関節骨折の固定のためのインプラント挿入中に、蛍光透視による注意深い術中監視、場合によっては骨折の直接的な可視化が好ましい場合もある。
【0030】
様々な修正および変形が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の逆ねじ山骨スクリューに加えられ得ることが当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に入る修正および変形を包含することを意図する。
【符号の説明】
【0031】
100 従来のねじ山付きスクリュー
110 ねじ山
120 内側コア
125 遠位端
130 ヘッド
135 近位端
200 従来のねじ山付きスクリュー
210 ねじ山
220 内側コア
225 遠位端
230 ヘッド
235 近位端
237 駆動機構
300 逆ねじ山付きスクリュー
310 逆ねじ山
320 内側コア
325 遠位端
327 カーバイドバンド
329 放射線ビーズ
330 ヘッド
335 近位端
400 逆ねじ山付きスクリュー
410 逆ねじ山
420 内側コア
425 遠位端
427 カーバイドバンド
429 放射線ビーズ
430 ヘッド
435 近位端
500 逆ねじ山式スクリュー
530 ヘッド
537 連結機構
600 逆ねじ山式スクリュー
630 ヘッド
627 連結機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】