IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーダブリューエックスティー アイソトープ テクノロジー グループ、インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-501047同軸針テクネチウム溶出ジェネレータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】同軸針テクネチウム溶出ジェネレータ
(51)【国際特許分類】
   G21G 4/08 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
G21G4/08 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539773
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 US2021065296
(87)【国際公開番号】W WO2022146973
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】17/563,211
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/131,554
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519307539
【氏名又は名称】ビーダブリューエックスティー アイソトープ テクノロジー グループ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アートマン、トーマス、エイ.
(72)【発明者】
【氏名】フェウォックス、クリストファー、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー、ベンジャミン、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィギンス、ブライアン、ブレイク
(57)【要約】
溶出ジェネレータは、内部容積を画定する容器および隔壁を有する溶出カラムと、放射線シールドを有する。放射線シールドは上部シールド部分と下部シールド部分とを含み、上部シールド部分は、中央凹部と、中央凹部内に下方に延在する同軸流針とを画定し、下部シールド部分は、中央凹部を画定する本体部を有する。溶出カラムは、下部シールド部分の中央凹部内に配置され、下部シールド部分の本体部は、上部シールド部分の中央凹部内に配置され、同軸流針は、隔壁を通って溶出カラムの内部容積内に下方に延在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶出カラムと放射線シールドとを有する溶出ジェネレータにおいて、
前記溶出カラムは、内部容積を画定する容器と、前記内部容積への開口部を密閉する隔壁とを有し、
前記放射線シールドは、上部シールド部分と下部シールド部分とを備え、
前記上部シールド部分は、中央凹部と、前記中央凹部内に下方に延在する同軸流針を含む同軸流針アセンブリとを有しと、
前記下部シールド部分は、基部と、前記基部から上方に延在する本体部とを有し、前記本体部は、内部に前記溶出カラムを受け入れるように構成された中央凹部を画定し、
前記溶出カラムは、前記下部シールド部分の中央凹部内に配置され、
前記下部シールド部分の本体部は、前記上部シールド部分の中央凹部内に配置され、
前記同軸流針は、前記隔壁を通って前記溶出カラムの内部容積内に下方に延在する、溶出ジェネレータ。
【請求項2】
前記同軸流針は、内針と外針とをさらに備え、
前記外針は、前記内針の周りに同軸に配置される、請求項1に記載の溶出ジェネレータ。
【請求項3】
前記上部シールド部分は、中央針凹部、第1流路、および第2流路をさらに備え、
前記第1流路および前記第2流路の両方が、前記中央針凹部から半径方向外側に配置されている、請求項2に記載の溶出ジェネレータ。
【請求項4】
前記同軸流針は、前記中央針凹部内に配置される、請求項3に記載の溶出ジェネレータ。
【請求項5】
前記同軸流針アセンブリは、第1のポートと第2のポートをさらに備え、
前記第1のポートは、前記上部シールド部分の前記第1の流路内に配置され、
前記第2のポートは、前記上部シールド部分の前記第2の流路内に配置される、請求項4に記載の溶出ジェネレータ。
【請求項6】
前記第1のポートの遠位端は、前記放射線シールドの外側に配置され、
前記第1のポートの近位端は、前記外針と流体連通し、
前記第2のポートの遠位端は、前記放射線シールドの外側に配置され、
前記第2のポートの近位端は、前記内針と流体連通している、請求項5に記載の溶出ジェネレータ。
【請求項7】
前記溶出カラムは、
前記容器の底部に隣接して配置された底部濾材と、
前記容器の上部に隣接して配置された上部濾材と、
をさらに備え、
前記内針の最下部は、前記底部濾材内に下方に延在し、
前記外針の最下部は、前記上部濾材内に下方に延在している、請求項2に記載の溶出ジェネレータ。
【請求項8】
前記上部濾材と前記底部濾材との間に配置された溶出性粉末をさらに含む、請求項7に記載の溶出ジェネレータ。
【請求項9】
前記上部シールド部分の中央凹部および前記下部シールド部分の中央凹部は、円筒状である、請求項1に記載の溶出生成装置。
【請求項10】
溶出カラムと同軸流針アセンブリとを備える溶出ジェネレータであって、
前記溶出カラムは
内部容積を画定する容器と、
前記内部容積への開口部を密閉する隔壁と、
前記容器の底部に隣接して配置された底部濾材と、
前記容器の上部に隣接して配置された上部濾材と
を有し、
前記同軸流針アセンブリは、内針および外針を備えた同軸流針を含み、前記外針は、前記内針の周りに同軸に配置され、
前記内針の最下部は、前記底部濾材内に下方に延在し、
前記外針の最下部は、前記上部濾材内に下方に延在している、溶出ジェネレータ。
【請求項11】
上部シールド部分および下部シールド部分を有する放射線シールドをさらに備え、
前記上部シールド部分は、中央凹部を画定し、前記同軸流針アセンブリの前記同軸流針は、前記中央凹部内に下方に延在し、
前記下部シールド部分は、基部と、前記基部から上方に延在する本体部とを有し、前記本体部は、内部に前記溶出カラムを受け入れるように構成された中央凹部を画定し、
前記溶出カラムは、前記下部シールド部分の中央凹部内に配置され、
前記下部シールド部分の前記本体部は、前記同軸流針が、前記隔壁を通って前記溶出カラムの前記内部容積内に下方に延在するように、前記上部シールド部分の中央凹部内に配置される、請求項10に記載の溶出ジェネレータ。
【請求項12】
前記上部シールド部分は、中央針凹部、第1流路、および第2流路をさらに備え、
前記第1流路および前記第2流路の両方が、前記中央針凹部から半径方向外側に配置されている、請求項11に記載の溶出ジェネレータ。
【請求項13】
前記同軸流針は、前記中央針凹部内に配置される、請求項12に記載の溶出ジェネレータ。
【請求項14】
前記同軸流針アセンブリは、第1のポートと第2のポートをさらに備え、
前記第1のポートは、前記上部シールド部分の前記第1の流路内に配置され、
前記第2のポートは、前記上部シールド部分の前記第2の流路内に配置される、請求項13に記載の溶出ジェネレータ。
【請求項15】
前記第1のポートの遠位端は、前記放射線シールドの外側に配置され、
前記第1のポートの近位端は、前記外針と流体連通し、
前記第2のポートの遠位端は、前記放射線シールドの外側に配置され、
前記第2のポートの近位端は、前記内針と流体連通している、請求項14に記載の溶出ジェネレータ。
【請求項16】
前記上部濾材と前記底部濾材との間に配置された溶出性粉末をさらに含む、請求項10に記載の溶出ジェネレータ。
【請求項17】
前記上部シールド部分の中央凹部および前記下部シールド部分の中央凹部は、円筒状である、請求項10に記載の溶出生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される発明は、広く言えば、原子炉内で放射性同位体標的を生成するシステムに関するものであり、より具体的には、照射された放射性同位体標的からテクネチウム‐99mを溶出するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テクネチウム-99m(Tc-99m)は、核医学(例えば、医療画像診断)において最も一般的に使用される放射性同位体である。Tc-99m(mは準安定)は通常、患者に使用され、特定の機器と併用して患者の内臓の画像化に使用される。しかしながら、Tc-99mの半減期はわずか6時間である。このように、容易に入手可能なTc-99m源は、少なくとも核医学分野において特に関心があり、および/または必要とされている。
【0003】
Tc-99mの半減期が短いことを考慮すると、Tc-99mは、典型的には、必要な場所および/または時間(例えば、薬局、病院など)で、Mo-99/Tc-99mジェネレータを介して入手される。Mo-99/Tc-99mジェネレータは、Mo-99材料に生理食塩水を通すことによって、崩壊するモリブデン-99(Mo-99)源からテクネチウムの準安定同位体(つまり、Tc-99m)を抽出または溶出するために使用される装置である。Mo-99は不安定であり、66時間の半減期でTc-99mに崩壊する。Mo-99は通常、高濃縮ウランターゲット(93%ウラン235)の照射により高フラックス原子炉で生成され、Mo-99を使用可能な形態(例えば、モリブデン酸チタン99(Ti-Mo99))に縮小するための後続の処理ステップを経て、Mo-99/Tc-99mジェネレータの製造サイトに輸送される。その後、Mo-99/Tc-99mジェネレータは、これらの集中拠点から全国の病院および薬局に配布される。Mo-99の半減期は短く、既存の生産サイトの数は限られているため、照射されたMo-99材料を使用可能な形態に縮小するのに必要な時間量を最小限に抑えることと、照射プロセスを起こすことができるサイトの数を増やすことの両方が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図14に示されるように、既存の溶出ジェネレータは通常、カラムの第1端に接続された入口12とカラムの他端に接続された出口14とを有する溶出カラム10を含み、溶出カラムは、一方向のみの流れを有することを意味する。このように、既知の溶出カラムは、溶出される物質16とカラム内に一列に配置された濾材18とを必然的に有し、細長い溶出カラムをもたらす。溶出カラムには、医療現場の放射線従事者をジェネレータの取り扱い中および溶出プロセス中の曝露から保護するために適切なシールド20が必要である。このように、既知の溶出カラムのシールドはかさばるだけでなく重くなる傾向があり、輸送コストと取り扱いコストの増加につながる。
【0005】
したがって、Tc-99mジェネレータでの使用に適したモリブデン酸チタン-99材料をタイムリーに製造するためのシステムおよびプロセスが少なくとも必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態は、溶出カラムと放射線シールドとを有する溶出ジェネレータを提供する。溶出カラムは、内部容積を画定する容器と、内部容積への開口部を密閉する隔壁とを有し、放射線シールドは、上部シールド部分と下部シールド部分とを備える。上部シールド部分は、中央凹部と、中央凹部内に下方に延在する同軸流針アセンブリとを画定する。下部シールド部分は、基部と、基部から上方に延在する本体部とを有し、本体部は、内部に溶出カラムを受け入れるように構成された中央凹部を画定する。溶出カラムは、下部シールド部分の中央凹部内に配置され、下部シールド部分の本体部は、上部シールド部分の中央凹部内に配置され、同軸流針は、隔壁を通って溶出カラムの内部容積内に下方に延在する
【0007】
溶出ジェネレータの別の一実施形態は、溶出カラムと同軸流針アセンブリとを備え、溶出カラムは、内部容積を画定する容器と、内部容積への開口部を密閉する隔壁と、容器の底部に隣接して配置された底部濾材と、容器の上部に隣接して配置された上部濾材とを有する。同軸流針アセンブリは、内針と外針とを備えた同軸流針を含み、外針は、内針の周りに同軸に配置される。内針の最下部は、底部濾材内に下方に延在し、外針の最下部は、上部濾材内に下方に延在している。
【0008】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本発明の1つまたは複数の実施形態を示し、説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0009】
以下、本発明の全てではないがいくつかの実施形態が示されている添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。実際、本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用される法的要件を満たすように提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】パッケージ内に配置された、本発明の一実施形態に係る同軸針テクネチウム溶出ジェネレータの図である。
図1B】パッケージ内に配置された、本発明の一実施形態に係る同軸針テクネチウム溶出ジェネレータの図である。
図1C】パッケージ内に配置された、本発明の一実施形態に係る同軸針テクネチウム溶出ジェネレータの図である。
図2A図1Aに示される溶出ジェネレータの斜視図である。
図2B図1Bに示される溶出ジェネレータの斜視図である。
図2C図1Cに示される溶出ジェネレータの断面図である。
図3図2Cに示される溶出ジェネレータの同軸針アセンブリの側面図である。
図4図2Cに示される溶出ジェネレータの分解断面図である。
図5A図2A図2Cに示される溶出ジェネレータの断面図である。
図5B図2A図2Cに示される溶出ジェネレータの断面図である。
図6A図2A図2Cに示される溶出ジェネレータの上部シールド半体の側面図である。
図6B図2A図2Cに示される溶出ジェネレータの上側シールド半体の側面図である。
図7A図2A図2Cに示される溶出ジェネレータの上部および下部シールドの斜視図である。
図7B図2A図2Cに示される溶出ジェネレータの上部および下部シールドの斜視図である。
図7C図2A図2Cに示される溶出ジェネレータの上部および下部シールドの斜視図である。
図8図2A図2Cに示される溶出ジェネレータの上部シールドの底面斜視図である。
図9】入口フィルタおよび出口フィルタを含む、図2A図2Cに示される溶出ジェネレータの溶出カラムの斜視図である。
図10】ルアーロックを含む、図2A図2Cに示される溶出ジェネレータの同軸針の入口および出口の側面図である。
図11A】溶出プロセスを受けている図2A図2Cに示される溶出ジェネレータの斜視図である。
図11B】溶出プロセスを受けている図2A図2Cに示される溶出ジェネレータの斜視図である。
図12】シールドされた出口を含む、図2A図2Cに示される溶出ジェネレータの部分断面図である。
図13A】本発明の別の一実施形態に係る溶出カラムの断面図である。
図13B】本発明の別の一実施形態に係る溶出カラムの断面図である。
図14】従来技術の溶出カラムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書および図面における符号の繰り返しの使用は、本開示に係る本発明の同一または類似の構成または要素を表すことを意図している。
【0012】
次に、本発明の現在好ましい実施形態について詳細に参照するが、その1つまたは複数の例が添付の図面に示されている。各々の実施例は、説明のために提供されるものであり、本発明を限定するものではない。実際、当業者には、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、本発明に修正および変形を行うことができることが明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明された構成を別の一実施形態に使用して、さらに別の一実施形態を得ることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に含まれるそのような修正および変形を包含することが意図されている。
【0013】
本明細書で使用される場合、「鉛直」、「水平」、「上部」、「底部」、「上方」、または「下方」などが挙げられるがこれらに限定されない、同軸針テクネチウム溶出ジェネレータの向きに対する方向または位置を指す用語は、図1B図5A、および図5Bに示されるように、通常の意図された動作における溶出ジェネレータの向きに対する方向および相対位置を指す。したがって、例えば、「鉛直」および「上部」という用語は、図1B図5A、および図5Bの斜視図における鉛直向きおよび相対的な上部位置を指し、異なる向きで配置され得る溶出ジェネレータに関してさえもその文脈で理解されるべきである。
【0014】
さらに、本出願および添付の特許請求の範囲で使用される場合の用語「または」は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することを意図している。つまり、別段の指定がない限り、または文脈から明らかでない限り、「Xは、AまたはBを使用する」という表現は、自然な包括的置換のいずれかを意味することを意図している。つまり、「Xは、AまたはBを使用する」という表現は、次の場合:XはAを使用する、XはBを使用する、または、XはAとBの両方を使用する、のいずれかによって満たされる。また、本出願および添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」および「an」は、別段の指定がない限り、または文脈から単数形を指すことが明らかでない限り、一般的に「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。本明細書および特許請求の範囲全体を通じて、以下の用語は、文脈により別段の指示がない限り、少なくとも本明細書に明示的に関連付けられた意味を有する。以下に特定される意味は必ずしも用語を限定するものではなく、単に用語の説明例を提供するものにすぎない。「a」、「an」、「the」の意味には複数の参照が含まれる場合があり、「in」の意味には「in」と「on」が含まれる場合がある。本明細書で使用される場合の「一実施形態において」という表現は、同じ実施形態を指す場合もあるが、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。
【0015】
ここで図1A図1Cを参照すると、本開示に係る溶出ジェネレータ100が、輸送用のその対応する梱包材に入った状態で示されている。図示されるように、溶出ジェネレータ100は、ポリウレタンフォームの内部包装102内に配置され、そして、二重壁の頑丈な段ボール箱104の外装内に収容される。好ましくは、段ボール箱は、275ポンドの破裂強度に匹敵する少なくとも51ポンド/平方インチのエッジクラッシュ試験(ECT)規格を満たす。図示されるように、溶出ジェネレータ100は、フォーム底部102aおよびフォーム上部102b内に入れ子にされることが好ましい。溶出ジェネレータ100を受け入れるように構成された凹部106に加えて、溶出ジェネレータとともに出荷するバイアルおよび他の消耗品を受け入れるために追加の凹部(図示せず)を設けることができる。
【0016】
ここで図2A図2Cを参照すると、溶出ジェネレータ100の例示的な一実施形態は、上部シールド部分108と、上部シールド部分108内に形成された凹部112内にスライド可能に受け入れられるように構成された下部シールド部分110とを含む放射線シールドアセンブリ107を含む。好ましくは、上部シールド部分108と下部シールド部分110の両方は、溶出物質から作業者に適切なシールドを提供するように劣化ウランから形成される。代替の実施形態では、タングステンまたは他の高密度材料をシールド部分に利用することができる。
【0017】
また、図6Aおよび図6Bを参照すると、上部シールド部分108は、第1の半体108aおよび第2の半体108bから形成され、その中に同軸流針アセンブリ120(図3)を受け入れるように構成されており、同軸流針アセンブリ120は、内針122および外針124によって形成される同軸流針と、それぞれ第1および第2のポート123および125とを含む。図示されるように、上部シールド部分108は、第1の流路114および第2の流路116を含み、これらは、外針122と中心針124の両方によって内部に形成された同軸流針を受け入れるように構成された、中心に位置する針凹部118の半径方向外側に、またはそこから中心をずらして配置される。このように、放射線シールド107の一部に遭遇することなく放射線を直線的に伝達することができる、溶出ジェネレータから外部環境までのいずれかの経路によって形成される上部シールド部分108を通る直接経路はない。図示されるように、上部シールド部分108は、溶出ジェネレータ100の取り扱いを支援するために、7075-T6アルミニウムで形成された一体型ハンドル109を含む。あるいはまた、硬いハンドルではなく、可撓性のある材料のストラップハンドルを利用することもできる。
【0018】
また図7Aおよび図7Bを参照すると、下部シールド部分110は、基部111と、そこから上方に延在する円筒形側壁113とを含み、好ましくは溶出カラム130を受け入れるための円筒形凹部118を内部に形成する。凹部118の水平断面形状は、内部に収容される溶出カラムの水平断面形状に依存することに留意されたい。図2Cで最もよくわかるように、溶出カラム130は、以下でより詳しく説明されるように、下部シールド部分110の円筒壁113が、上部シールド部分108の凹部112内にスライド可能に受け入れられる前に、下部シールド部分110の凹部118内に配置される。図示の実施形態では、溶出カラム130は、ガラスまたはポリカーボネートバイアルと、隔壁を備えたクリンプキャップ132とを含む。出荷前に、上部シールド部分108と下部シールド部分110は、デルリン、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、およびポリエチレンテレフタレートグリコールプラスチックなどが挙げられるがこれらに限定されない材料で形成された外側プラスチックシールド126内に配置されて組み立てられ、その後、ポリウレタンフォーム包装102内に配置される。
【0019】
ここで図3を参照すると、本開示に係る例示的な同軸流針アセンブリ120が示されている。前述したように、同軸針120は、第1のポート123および第2のポート125を含み、第1のポート123は、外針122と流体連通し、第2のポート125は、内針124と流体連通する。生理食塩水の流入が、図5Aに示されるように外針122を通じて提供されるか、または図5Bに示されるように内針124を通じて提供されるかに応じて、いずれのポートも入口または出口として使用できることに留意されたい。前述したように、また図6Aおよび図6Bで最もよくわかるように、同軸針アセンブリ120は、外側シールド部分108の2つの半体内に形成された対応する凹部114、116、および118内に受け入れられ、外側針122および内側針124が、下部シールド部分110の円筒形側壁113がスライド可能に受け入れられる凹部112内へ下方に延在する。図5Aおよび図5Bに最もよく見られるように、アルミナ濾材136は、内針124の最下部124aが底部濾材136内に下方に延在するように、溶出カラム130のバイアルの底部に提供される。また、アルミナ濾材138が外針122の最下部122aに設けられており、溶出液が、外側針122または内側針124を介して第1のポート123または第2のポート125のいずれかを通って溶出カラム130から出る前に、下部濾材136および上部濾材138が溶出されている粉末材料を捕捉できるようになっている。
【0020】
また図9を参照すると、溶出液中に存在し得る微粒子をさらに捕捉するために、同軸針122の第1のポート123および第2のポート125に追加のフィルタ140を設けることができる。好ましくは、1~2μmのフィルタが、第1のポート123および第2のポート125に設けられ、微粒子を捕捉するが、別のサイズのフィルタを使用してもよい。また、図10に示されるように、BD MaxZeroによって製造されたものなどの無針コネクタ142を同軸針アセンブリ120の第1のポート123および第2のポート125に使用して、ポートを無菌状態に維持するのを支援し、労働者が針を刺す機会を低減することができる。
【0021】
ここで図4を参照すると、溶出ジェネレータ100の組み立ては、作業員の放射線被曝の可能性を低減するために、好ましくはロボットによって実行され得る。まず、下部シールド部分110が外側プラスチックシールド126内に配置された状態で、溶出カラム130がロボットによって持ち上げられ、下部シールド部分110の凹部115内に配置される。好ましくは、イソプロピルワイプシステムを利用して、溶出カラム130の隔壁を滅菌する。次に、ロボットグリッパが、滅菌された同軸針アセンブリ120が取り付けられた状態で事前に組み立てられた上部シールド部分108を回収する。上部シールド部分108は、下部シールド部分110の円筒形側壁113が上部シールド部分108の凹部112内にスライド可能に受け入れられるように、外側プラスチックシールド126内に下げられる。上部シールド部分108が下げられると、内針124の最下位部分124aが溶出カラム130の隔壁に穴を開け、図5Aおよび図5Bに示されるように、内針124の最下位部分124aが溶出カラムの底部濾材136内に配置されるまで溶出される物質を通過する。これで、溶出ジェネレータ100を発泡体包装102内に配置し、溶出手順が行われる目的地への輸送のために箱詰めする準備が整った。
【0022】
ここで図11Aおよび図11Bを参照すると、溶出プロセスは、生理食塩水を含むバイアル管160と、血液を採取するときに使用されるバイアル管など、真空にある追加のバイアル管162を用いて実行することができる。まず、生理食塩水を含むバイアル管160が、入口として機能する同軸針アセンブリ120(図5Aおよび図5B)のポートに配置され、その後、真空のバイアル管162が、出口として機能する同軸針アセンブリ120のポートに配置される。出口バイアル管162内に存在する真空は、生理食塩水を溶出カラム130内に下方に引き込み、その後、溶出カラム130から上方に引き戻す。前述したように、図5Aに示されるように、外針122を流入に使用し、内針124を流出に使用してもよく、逆に、内針124を流入に使用し、外針122を流出に使用してもよい。図12に示されるように、放射線への曝露から作業者を保護するために、溶出液を収集するために使用される同軸針アセンブリ120のポートに出口シールド170を設けることができる。同様に、濾材172は、濾材が容易に交換可能であるように、使い捨て針アクセス装置174内に提供されてもよい。
【0023】
ここで図13Aおよび図13Bを参照すると、本開示に係る溶出カラム180の代替の一実施形態が示されている。最初に開示された実施形態と同様に、図13Aおよび図13Bに示される溶出カラム180は、溶出プロセス中に生理食塩水の同軸流を利用する。しかしながら、溶出カラム180内の流れは同軸であるが、使用される針182は同軸ではないことに留意されたい。むしろ、溶出されるべき物質184、すなわちMo-99が、針182の内部容積内に配置される大径針182が使用される。大径針は、濾材190内に形成された対応する凹部186内に受容され、大径針182の長さを延長する。図示されるように、溶出液の濾過をさらに改善するために、多孔質フレット186が大径針182の両端に使用される。
【0024】
本発明の1つまたは複数の好ましい実施形態を上に説明したが、当業者であれば、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、本発明に様々な修正および変形を加えることができることを理解すべきである。本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲および趣旨に含まれるそのような修正および変形を包含することが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14
【国際調査報告】