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特表2024-501048原子力発電所の対象物の自律的な除染経路の計画および実行
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  • 特表-原子力発電所の対象物の自律的な除染経路の計画および実行 図1
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  • 特表-原子力発電所の対象物の自律的な除染経路の計画および実行 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】原子力発電所の対象物の自律的な除染経路の計画および実行
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/28 20060101AFI20231227BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G21F9/28 521B
B25J13/08 A
G21F9/28 501A
G21F9/28 522B
G21F9/28 531A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539777
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 US2021073088
(87)【国際公開番号】W WO2022147414
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】17/134,619
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】ラプレスティ、マイケル、エー
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、デーン、ピー
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・ザ・フォース、ダブリュ、エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ペトロスキー、ライマン、ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】バーイー、ニコラス、エヌ
(72)【発明者】
【氏名】パーク、ジューンホィー
(72)【発明者】
【氏名】ナラシムハデバラ、ムラリ・テジョ・ヴィジャイ
(72)【発明者】
【氏名】シュネフ、マーク
(72)【発明者】
【氏名】グラバー、ジャレド
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS15
3C707AS27
3C707BS09
3C707KS03
3C707KS04
3C707KT03
3C707KT05
3C707LS15
3C707LT06
3C707LV04
3C707LV05
3C707LV14
3C707NS03
(57)【要約】
原子力発電所から取り出された対象物を除染システムによって除染する方法を開示する。当該除染システムは、プラットフォームと、撮像システムと、除染媒体を吐出するように構成されたエンドエフェクタを含むロボットアームと、当該撮像システムおよび当該ロボットアームに動作可能に結合された制御システムとを備える。当該方法は、当該対象物を当該プラットフォームに配置するステップと、当該撮像システムにより当該対象物を走査するステップと、当該走査された対象物に基づいて当該制御システムにより当該対象物の三次元モデルを生成するステップと、当該生成された三次元モデルに基づいて当該制御システムにより除染経路を計画するステップと、当該計画された除染経路に従って当該制御システムにより当該ロボットアームの位置を制御するステップと、当該計画された除染経路に沿った複数の位置において当該エンドエフェクタにより当該除染媒体を当該対象物に吐出するステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所から取り出された対象物を除染システムによって除染する方法であって、当該除染システムは、プラットフォームと、撮像システムと、除染媒体を吐出するように構成されたエンドエフェクタを含むロボットアームと、当該撮像システムおよび当該ロボットアームに動作可能に結合された制御システムとを備え、当該方法は、
当該プラットフォームに当該対象物を配置するステップと、
当該撮像システムにより対象物を走査するステップと、
当該走査された対象物に基づき、当該制御システムにより当該対象物の三次元モデルを生成するステップと、
当該生成された三次元モデルに基づき、当該制御システムにより除染経路を計画するステップと、
当該計画された除染経路に従って、当該制御システムにより当該ロボットアームの位置を制御するステップと、
当該計画された除染経路に沿った複数の位置で、当該エンドエフェクタにより当該除染媒体を当該対象物に吐出するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、前記除染システムは、前記プラットフォームおよび前記制御システムに動作可能に結合された動作生成システムをさらに備え、当該動作生成システムは、前記プラットフォームを回転させるように構成されており、当該方法は、
前記制御システムにより前記撮像システムの位置を維持するステップと、
前記動作生成システムにより前記プラットフォームを前記撮像システムに対して複数の回転位置に回転させるステップと、
前記撮像システムにより当該複数の回転位置で当該対象物を走査するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項3】
請求項1の方法であって
前記制御システムにより前記撮像システムを前記対象物に対して複数の走査位置に移動させるステップと、
前記撮像システムにより前記複数の走査位置で前記対象物を走査するステップとをさらに含むことを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項4】
前記撮像システムが前記ロボットアームに取り付けられている、請求項1の方法。
【請求項5】
前記除染システムが処理システムをさらに備え、
当該処理システムにより、前記対象物に吐出された前記除染媒体を回収するステップと、
当該処理システムにより、当該回収された除染媒体を洗浄するステップとをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項6】
前記計画された除染経路に沿った前記複数の位置において、前記対象物から所定の距離だけ離れた位置に前記エンドエフェクタを位置決めするステップをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項7】
前記除染媒体が高圧水を含む、請求項1の方法。
【請求項8】
前記除染媒体が砂を含む、請求項1の方法。
【請求項9】
原子力発電所から取り出された対象物を除染するように構成された除染システムであって、当該除染システムは、
プラットフォームと、
撮像システムと、
除染媒体を吐出するように構成されたエンドエフェクタを備えるロボットアームと、
当該撮像システムおよび当該ロボットアームに動作可能に結合された制御システムとを備え、当該制御システムは、
当該プラットフォームに配置された当該対象物に基づき、当該撮像システムにより当該対象物を走査し、
当該走査された対象物に基づき、当該制御システムにより当該対象物の三次元モデルを生成し、
当該生成された三次元モデルに基づき、当該制御システムにより除染経路を計画し、
当該計画された除染経路に従って、当該制御システムにより当該ロボットアームを制御し、
当該計画された除染経路に沿った複数の位置で、当該エンドエフェクタにより当該除染媒体を当該対象物に吐出するように構成されていることを特徴とする除染システム。
【請求項10】
請求項9の除染システムであって、前記プラットフォームおよび前記制御システムに動作可能に結合された動作生成システムをさらに備え、当該動作生成システムは、前記プラットフォームを回転させるように構成されていることを特徴とする除染システム。
【請求項11】
請求項10の除染システムであって、前記制御システムは、
前記制御システムにより前記撮像システムの位置を維持し、
前記動作生成システムにより前記プラットフォームを前記撮像システムに対して複数の回転位置に回転させ、
前記撮像システムにより当該複数の回転位置で当該対象物を走査するように構成されていることを特徴とする除染システム。
【請求項12】
請求項9の除染システムであって、前記制御システムは、
前記制御システムにより前記撮像システムを前記対象物に対して複数の走査位置に移動させ、
前記撮像システムにより当該複数の走査位置で前記対象物を走査するように構成されていることを特徴とする除染システム。
【請求項13】
前記撮像システムが前記ロボットアームに取り付けられている、請求項9の除染システム。
【請求項14】
請求項9の除染システムであって、処理システムをさらに備え、当該処理システムは、
前記対象物に吐出された当該除染媒体を回収し、
当該回収された除染媒体を洗浄するように構成されていることを特徴とする除染システム。
【請求項15】
前記制御システムは、前記計画された除染経路に沿った前記複数の位置において、前記対象物から所定の距離だけ離れた位置に前記エンドエフェクタを位置決めするようにさらに構成されている、請求項9の除染システム。
【請求項16】
前記除染媒体が高圧水を含む、請求項9の除染システム。
【請求項17】
前記除染媒体が砂を含む、請求項9の除染システム。
【請求項18】
原子力発電所から取り出された対象物を除染システムによって除染する方法であって、当該除染システムは、プラットフォームと、当該プラットフォームを回転させるように構成された動作生成システムと、撮像システムと、除染媒体を吐出するように構成されたエンドエフェクタを含むロボットアームと、当該モータ、当該撮像システム、および当該ロボットアームに動作可能に結合された制御システムとを備え、当該方法は、
当該プラットフォームに当該対象物を配置するステップと、
当該制御システムにより当該撮像システムの位置を維持するステップと、
当該動作生成システムにより当該プラットフォームを当該撮像システムに対して複数の回転位置に回転させるステップと、
当該撮像システムにより当該複数の回転位置で当該対象物を走査するステップと、
当該走査された対象物に基づき、当該制御システムにより当該対象物の三次元モデルを生成するステップと、
当該生成された三次元モデルに基づき、当該制御システムにより除染経路を計画するステップと、
当該計画された除染経路に従って、当該制御システムにより当該ロボットアームの位置を制御するステップと、
当該計画された除染経路に沿った複数の位置で、当該エンドエフェクタにより当該除染媒体を当該対象物に吐出するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18の方法であって、前記除染システムが処理システムをさらに備え、
当該処理システムにより、前記対象物に吐出された前記除染媒体を回収するステップと、
当該処理システムにより、当該回収された除染媒体を洗浄するステップとをさらに含む方法。
【請求項20】
前記撮像システムが前記ロボットアームに取り付けられている、請求項18の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)の下で、参照によりその全てが本願に組み込まれる2021年12月28日に出願された「AUTONOMOUS PATH PLANNING AND PATH EXECUTION FOR DECONTAMINATION OF NUCLEAR POWER PLANT OBJECTS」と題する米国特許出願第17/134,619号の利益および優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は概して対象物を除染するための除染システムに関し、具体的には、廃止された原子力発電所から取り出された構成部品を除染するための除染システムに関する。
【発明の概要】
【0003】
様々な実施形態において、原子力発電所から取り出された対象物を除染システムによって除染する方法を開示する。当該除染システムは、プラットフォームと、撮像システムと、除染媒体を吐出するように構成されたエンドエフェクタを含むロボットアームと、当該撮像システムおよび当該ロボットアームに動作可能に結合された制御システムとを含む。当該方法は、当該対象物を当該プラットフォームに配置するステップと、当該撮像システムにより当該対象物を走査するステップと、当該走査された対象物に基づいて当該制御システムにより当該対象物の三次元モデルを生成するステップと、当該生成された三次元モデルに基づいて当該制御システムにより除染経路を計画するステップと、当該計画された除染経路に従って当該制御システムにより当該ロボットアームの位置を制御するステップと、当該計画された除染経路に沿った複数の位置において当該エンドエフェクタにより当該除染媒体を当該対象物に吐出するステップとを含む。
【0004】
様々な実施形態において、原子力発電所から取り出された対象物を除染するように構成された除染システムを開示する。当該除染システムは、プラットフォームと、撮像システムと、除染媒体を吐出するように構成されたエンドエフェクタを含むロボットアームと、当該撮像システムおよび当該ロボットアームに動作可能に結合された制御システムとを含む。当該制御システムは、当該プラットフォームに配置された当該対象物に基づいて当該撮像システムにより当該対象物を走査し、当該走査された対象物に基づいて当該制御システムにより当該対象物の三次元モデルを生成し、当該生成された三次元モデルに基づいて当該制御システムにより除染経路を計画し、当該計画された除染経路に従って当該制御システムにより当該ロボットアームを制御し、当該計画された除染経路に沿った複数の位置で当該エンドエフェクタにより当該除染媒体を当該対象物に吐出するように構成されている。
【0005】
様々な実施形態において、原子力発電所から取り出された対象物を除染システムによって除染する方法を開示する。当該除染システムは、プラットフォームと、撮像システムと、当該プラットフォームを回転させるように構成された動作生成システムと、除染媒体を吐出するように構成されたエンドエフェクタを含むロボットアームと、当該モータ、当該撮像システム、および当該ロボットアームに動作可能に結合された制御システムとを含む。当該方法は、当該対象物を当該プラットフォームに配置するステップと、当該制御システムにより当該撮像システムの位置を維持するステップと、当該動作生成システムにより当該プラットフォームを当該撮像システムに対して複数の回転位置に回転させるステップと、当該複数の回転位置で当該撮像システムにより当該対象物を走査するステップと、当該走査された対象物に基づいて当該制御システムにより当該対象物の三次元モデルを生成するステップと、当該生成された三次元モデルに基づいて当該制御システムにより除染経路を計画するステップと、当該計画された除染経路に従って当該制御システムにより当該ロボットアームの位置を制御するステップと、当該計画された除染経路に沿った複数の位置において当該エンドエフェクタにより当該除染媒体を当該対象物に吐出するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本願に記載する実施形態の様々な特徴とその利点を、下記の添付図面を参照して以下に説明する。
【0007】
図1】本開示の少なくとも一態様による除染システムを示す。
【0008】
図2】本開示の少なくとも一態様による、原子力発電所から取り出された対象物を除染システムによって除染する方法を示す。
【0009】
図3】本開示の少なくとも一態様による、原子力発電所から取り出された対象物を除染システムによって除染する方法を示す。
【0010】
図4】本開示の少なくとも一態様による、原子力発電所から取り出された対象物を除染システムによって除染する方法を示す。
【0011】
同一の参照符号は、いくつかの図面を通して対応する部品を指している。本願に記載された実施例は、本発明の様々な実施形態の一形態を示すものであり、かかる例示は、いかなる様式においても本発明の範囲を限定的に解釈するものでないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願に記載され、添付の図面に例示されているような実施形態の全体的構造、機能、製造、および使用について綿密に理解できるよう、数多くの具体的な詳細事項を記載する。本願に記載された実施形態が不明瞭にならないようにするため、よく知られた操作、構成部品、および要素については詳述しない。読者においては、本願で説明および図示する実施形態が非限定的な例であり、したがって、本願で開示する特定の構造および機能の詳細が代表的かつ例示的なものであり得ることを理解されたい。これらの実施形態は、本願の特許請求の範囲から逸脱することなく変形・変更される可能性がある。
【0013】
原子力発電所の寿命期間に、原子力発電所内で使用される構成部品が放射線にさらされ、汚染される可能性がある。原子力発電所が廃止される際、原子力発電所から取り出された構成部品に放射能がないこと、または少なくとも実質的に放射能ないことを確実にするために、除染作業が必要となる。現在、この除染作業は、湿式除染ボックスの中で手作業で行われているが、汚れと疲労を伴い、さらに重大な点として、除染プロセス中に作業員が吸収する放射線量のために、除染作業員に危険が及ぶ。
【0014】
作業負荷を軽減し、作業員が吸収する放射線量を低減するためには、除染プロセスの自動化が望まれる。しかし、除染プロセスを効果的に自動化するためには、CADモデルや図面が伴わない弁やポンプなどの原子力発電所由来の未知のパーツと、除染システムが密接に連携できなければならない。CADモデルや図面が伴わなければ、対象物の除染経路を計画することは極めて困難である。
【0015】
したがって、本開示の目的は、除染作業員の危険な作業条件をなくし、原子力発電所由来のパーツが未知のものであっても作業可能な自動除染システムを提供することである。
【0016】
図1は、本開示の少なくとも一態様による、原子力発電所から取り出された対象物を除染するための除染システム100を示している。除染システム100は、制御システム102、ロボットアーム104、撮像システム106、およびプラットフォームを含むターンテーブル108を備えることができる。制御システム102は、以下に詳述するように、ロボットアーム104、撮像システム106、およびターンテーブル108と連動することができる。様々な実施形態において、制御システム102は、プロセッサと、プロセッサに動作可能に結合されたメモリとを備えることができる。メモリは、本願の他の箇所で説明するように、除染プロセスの様々な機能を果たすためにプロセッサが実行可能な命令を含むことができ、そのような機能には、ロボットアーム104、ターンテーブル108、撮像システム106などの制御がある。
【0017】
ターンテーブル108のプラットフォームは、原子力発電所から取り出された対象物を載せられる大きさにすることができる。ターンテーブル108は、プラットフォームに結合されたモータなどの動作生成装置を備えることができ、それにより、プラットフォームを制御システム102に対して回転可能にすることができる。一態様では、制御システム102がプラットフォームの回転を制御でき、それによりプラットフォーム上に配置された対象物の回転位置を制御できるように、動作生成装置を制御システム102と連動させることができる。様々な実施形態において、制御システム102は、プラットフォームを均一な一定速度で回転させることができる。様々な実施形態において、制御システム102は、プラットフォームを様々な速度で回転させることができる。様々な実施形態において、制御システム102は、以下に詳述するように、撮像システム106が複数の回転位置で対象物を走査できるように、プラットフォームを撮像システム106に対して複数の離散的な回転位置に回転させることができる。様々な実施形態において、制御システム102は、対象物の走査プロセス中にプラットフォームが静止状態(すなわち回転しない)となるようにプラットフォームを制御することができる。
【0018】
様々な実施形態において、ロボットアーム104はエンドエフェクタを備えることができる。エンドエフェクタから除染媒体を吐出できるように、エンドエフェクタを除染媒体の供給源に結合することができる。様々な実施形態において、エンドエフェクタは、除染が意図される対象物に除染媒体を吐出または噴霧できるように、ホースまたはノズルに類似したものとすることができる。様々な実施形態において、除染媒体は高圧で吐出可能な水を含んでよい。様々な実施形態において、除染媒体は高圧で吐出可能な砂を含んでよい。様々な実施形態において、除染媒体は対象物のレーザーアブレーションを可能にするレーザーを含むことができる。
【0019】
様々な実施形態において、除染システム100は、処理システムをさらに備えることができる。処理システムは、エンドエフェクタから対象物上に吐出された除染媒体を回収可能な、例えば排水口、ポンプ、シンクなどの回収システムを備えることができる。一態様では、除染媒体が対象物に噴霧された後、落下して回収システムに到達するように、回収システムを排水ポンプと同様に床に設置することができる。他の様々な実施形態において、回収システムは、使用済みの除染媒体を真空引きして回収するために、制御システム102により制御可能な真空装置を備えてよい。
【0020】
様々な実施形態において、処理システムは、回収システムに結合された洗浄システムをさらに備えてよい。洗浄システムは、例えば除染媒体の浄化、ろ過、滅菌を行うことで、回収システムによって回収された除染媒体を洗浄することができる。洗浄システムは、洗浄された除染媒体を除染プロセスで再使用できるように、除染媒体の供給源と作動可能に接続することができる。
【0021】
様々な実施形態において、撮像システム106は、プラットフォーム上に配置された対象物をリアルタイムで走査し、走査画像を制御システム102に提供することが可能な、任意の適切な三次元(3D)撮像システム、検出器システム、または視覚化システムであってよい。以下でさらに詳述するように、一態様において、制御システム102は撮像システム106の位置を制御することができ、それにより、撮像システム106はプラットフォーム上に配置された対象物を十分に走査でき、制御システム102は走査画像を用いて対象物の3Dモデルを生成することができる。様々な実施形態において、撮像システム106はロボットアームに取り付けることができ、制御システム102はロボットアームを対象物に対して複数の走査位置に移動させることができる。他の様々な実施形態において、撮像システム106が取り付けられるロボットアームは、前述のロボットアーム104とは別のものとすることができ、それにより、除染システム100は2つのロボットアームを備えることになる。他の様々な実施形態では、撮像システム106をロボットアーム104に取り付けることができる。様々な実施形態において、撮像システム106を走査プロセス中に静止させることができるように、撮像システム106をロボットアーム104または他の位置に任意の適切な方法で取り付けることができる。撮像システム106が静止状態に保たれる実施形態では、制御システム102は前述のように、プラットフォームを撮像システム106に対して複数の回転位置に回転させることができ、それにより、静止した視覚化システム106が対象物を複数の角度から走査することができる。撮像システム106が複数の走査位置に移動され、プラットフォームも複数の回転位置に回転されるような、様々な実施形態が想定される。
【0022】
様々な実施形態において、制御システム102は、撮像システム106からの走査画像を使って、プラットフォーム上に配置された対象物のCADモデルなどの3Dモデルを作成することができる。いくつかの実施形態では、制御システム102は、撮像システム106が対象物を走査している間に、対象物の3Dモデルを生成することができる。いくつかの実施形態では、制御システム102は、撮像システム106が対象物の走査を完了したら、対象物の3Dモデルを生成することができる。様々な実施形態において、撮像システム106から提供された走査画像の一部がぼやけている場合など、制御システム102が走査画像から3Dモデルを十分に完成させることができない場合、制御システム102は、対象物の完全な3Dモデルが得られるように、不完全な画像の位置で対象物を再走査するように撮像システム106を制御することができる。他の様々な実施形態では、撮像システム106を対象物に対して位置決めし、十分な画像を取得して完全な3Dモデルを確実に生成できるように、ユーザが制御システム102を手動で制御することができる。様々な実施形態において、制御システム102は、参照によりその全体が本願に組み込まれる米国特許第10,600,203号に記載のクライアントと同様とすることができる。
【0023】
一態様では、対象物の3Dモデルが生成されたら、制御システム102は、生成された対象物の3Dモデルに基づいて除染経路を計画することができる。除染経路は、除染プロセスにおいてエンドエフェクタが対象物を横切ることを意図した経路を含むことができる。様々な実施形態において、除染経路は、エンドエフェクタを対象物に対して複数の離散位置に移動させることを含むことができる。この複数の位置は、以下に詳述するように、エンドエフェクタが対象物を十分に除染できるような任意の数の位置を含むことができる。様々な実施形態において、計画された除染経路は、対象物の洗浄を支援するための様々な制約を含むことができる。制約の一例として、除染経路に沿った複数の位置において、エンドエフェクタを対象物から所定の距離、または所定範囲の距離だけ離すことを含んでよい。別の制約の例は、除染経路に沿って対象物を十分に除染するのに必要な最小数の位置を含んでよい。別の制約の例は、除染経路に沿った複数の位置間の最小または最大の距離を含んでよい。これ以外にも、対象物を十分に除染するための様々な制約が想定される。
【0024】
制御システム102によって除染経路が計画されたら、制御システム102は、計画された除染経路を実行することにより、ロボットアーム104を制御し、除染経路に従ってエンドエフェクタを対象物に対して位置決めすることができる。一態様では、制御システム102は、除染経路に沿った複数の離散的な位置にエンドエフェクタを位置決めし、次いで、エンドエフェクタが除染経路のその離散的な位置でのみ除染媒体を吐出するように制御することができる。他の実施形態では、制御システム102は、エンドエフェクタを除染経路に沿って移動させることができ、エンドエフェクタは、除染経路に沿って移動しつつ、除染媒体を連続的に吐出することができる。様々な実施形態において、制御システム102は、ターンテーブル108を制御して対象物を回転させながら、除染経路に沿ってエンドエフェクタを対象物に対して相対的に位置決めすることができる。一態様では、制御システム102は、ロボットアーム104を静止させた状態で、ターンテーブル108が回転するように制御することができる。計画された除染経路に沿ってエンドエフェクタが移動して対象物を除染できるように、ロボットアーム104とターンテーブル108との間で任意の移動の組み合わせが想定される。
【0025】
様々な実施形態において、除染システム100は、計画された除染経路に従って対象物が除染されたのちに、対象物から放出される放射線レベルを検知するために利用できるセンサ組立体をさらに備えることができる。一態様では、放射線レベルが所定のしきい値未満であれば、対象物をプラットフォームから取り外し、原子力発電所から取り出すことができる。一態様において、放射線レベルが所定のしきい値以上である場合、制御システム102は、対象物の除染が不十分で、さらに除染が必要であると判断することができる。このようなシナリオでは、一例として、制御システム102は、ロボットアーム104を制御して、エンドエフェクタによる計画された除染経路を再度実行し、検知された放射線が所定の要求しきい値を下回るまで対象物をさらに除染することができる。様々な実施形態において、放射線レベルが所定のしきい値以上である場合、制御システム102はプロセスを再開し、新しい3Dモデルを作成するために対象物を走査することから始めることができる。
【0026】
図2は、本開示の少なくとも一態様による、原子力発電所から取り出された対象物を除染システムによって除染する方法200を示す。様々な実施形態において、当該除染システムは、除染システム100と同様のものとすることができる。様々な実施形態において、当該除染システムは、プラットフォームと、撮像システムと、除染媒体を吐出するように構成されたエンドエフェクタを含むロボットアームと、当該撮像システムおよび当該ロボットアームに動作可能に結合された制御システムとを備える。
【0027】
一態様では、当該方法200は、当該対象物を当該プラットフォームに配置するステップ202と、当該撮像システムにより当該対象物を走査するステップ204と、当該走査された対象物に基づいて当該制御システムにより当該対象物の三次元モデルを生成するステップ206と、当該生成された三次元モデルに基づいて当該制御システムにより除染経路を計画するステップ208と、当該計画された除染経路に従って当該制御システムにより当該ロボットアームの位置を制御するステップ210と、当該計画された除染経路に沿った複数の位置において当該エンドエフェクタにより当該除染媒体を対象物に吐出するステップ212とを含むことができる。
【0028】
図3は、本開示の少なくとも一態様による、原子力発電所から取り出された対象物を除染システムによって除染する方法300を示す。様々な実施形態において、当該除染システムは、除染システム100と同様のものとすることができる。様々な実施形態において、当該除染システムは、プラットフォームと、当該プラットフォームを回転させるように構成されたモータと、撮像システムと、除染媒体を吐出するように構成されたエンドエフェクタを含むロボットアームと、当該モータ、当該撮像システム、および当該ロボットアームに動作可能に結合された制御システムとを備える。
【0029】
一態様において、当該方法300は、当該対象物を当該プラットフォームに配置するステップ302と、当該制御システムにより当該撮像システムの位置を維持するステップ304と、当該動作生成システムにより当該プラットフォームを当該撮像システムに対して複数の回転位置に回転させるステップ306と、当該撮像システムにより複数の回転位置で当該対象物を走査するステップ308と、当該走査された対象物に基づいて当該制御システムにより当該対象物の三次元モデルを生成するステップ310と、当該生成された三次元モデルに基づいて当該制御システムにより除染経路を計画するステップ312と、当該計画された除染経路に従って当該制御システムにより当該ロボットアームの位置を制御するステップ314と、当該計画された除染経路に沿った複数の位置において当該エンドエフェクタにより当該除染媒体を当該対象物に吐出するステップ316とを含むことができる。
【0030】
図4は、本開示の少なくとも一態様による、原子力発電所から取り出された対象物を除染システムによって除染する方法400を示す。様々な実施形態において、当該除染システムは、除染システム100と同様のものとすることができる。様々な実施形態において、当該除染システムは、プラットフォームと、撮像システムと、除染媒体を吐出するように構成されたエンドエフェクタを含むロボットアームと、当該モータ、当該撮像システム、および当該ロボットアームに動作可能に結合された制御システムとを含む。
【0031】
一態様において、方法400は、プラットフォームに対象物402を配置するステップ402と、当該制御システムにより、当該撮像システムを当該対象物に対して複数の走査位置に移動させるステップ404と、当該撮像システムにより、当該複数の走査位置で当該対象物を走査するステップ406と、当該走査された対象物に基づいて、当該制御システムにより当該対象物の三次元モデルを生成するステップ408と、当該生成された当該三次元モデルに基づいて、当該制御システムにより除染経路を計画するステップ410と、当該計画された除染経路に従って、当該制御システムにより当該ロボットアームの位置を制御するステップ412と、当該計画された当該除染経路に沿った複数の位置で、当該エンドエフェクタにより当該除染媒体を当該対象物に吐出するステップ414とを含むことができる。
【0032】
本願に記載された主題の様々な態様を、以下の実施例にて記載する。
【0033】
[実施例1]原子力発電所から取り出された対象物を除染システムによって除染する方法であって、当該除染システムは、プラットフォームと、撮像システムと、除染媒体を吐出するように構成されたエンドエフェクタを含むロボットアームと、当該撮像システムおよび当該ロボットアームに動作可能に結合された制御システムとを備え、当該方法は、当該対象物を当該プラットフォームに配置するステップと、当該撮像システムによって当該対象物を走査するステップと、当該走査された対象物に基づいて当該制御システムにより当該対象物の三次元モデルを生成するステップと、当該生成された三次元モデルに基づいて当該制御システムにより除染経路を計画するステップと、当該計画された除染経路に従って当該制御システムにより当該ロボットアームの位置を制御するステップと、当該計画された除染経路に沿った複数の位置において当該エンドエフェクタにより当該除染媒体を当該対象物に吐出するステップとを含む方法。
【0034】
[実施例2]実施例1の方法であって、前記除染システムは、前記プラットフォームおよび前記制御システムに動作可能に結合された動作生成システムをさらに備え、当該動作生成システムは、前記プラットフォームを回転させるように構成されており、当該方法は、前記制御システムにより前記撮像システムの位置を維持するステップと、前記動作生成システムにより前記プラットフォームを前記撮像システムに対して複数の回転位置に回転させるステップと、当該複数の回転位置で前記撮像システムにより前記対象物を走査するステップとをさらに含む方法。
【0035】
[実施例3]前記制御システムにより前記撮像システムを前記対象物に対して複数の走査位置に移動させるステップと、当該複数の走査位置で前記撮像システムにより前記対象物を走査するステップとをさらに含む、実施例1の方法。
【0036】
[実施例4]前記撮像システムが前記ロボットアームに取り付けられている、実施例1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0037】
[実施例5]実施例1~4のいずれか1つに記載の方法であって、前記除染システムが処理システムをさらに備え、当該方法は、前記対象物に吐出された前記除染媒体を当該処理システムにより回収するステップと、当該回収された除染媒体を前記処理システムにより洗浄するステップとをさらに含む方法。
【0038】
[実施例6]前記計画された除染経路に沿った前記複数の位置において、前記対象物から所定の距離だけ離れた位置に前記エンドエフェクタを位置決めするステップをさらに含む、実施例1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0039】
[実施例7]前記除染媒体が高圧水を含む、実施例1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0040】
[実施例8]前記除染媒体が砂を含む、実施例1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0041】
[実施例9]原子力発電所から取り出された対象物を除染する除染システムであって、当該除染システムは、プラットフォームと、撮像システムと、除染媒体を吐出するように構成されたエンドエフェクタを含むロボットアームと、当該撮像システムおよび当該ロボットアームに動作可能に結合された制御システムとを備え、当該制御システムは、当該プラットフォームに配置された当該対象物に基づいて当該撮像システムにより当該対象物を走査し、当該走査された対象物に基づいて当該制御システムにより当該対象物の三次元モデルを生成し、当該生成された三次元モデルに基づいて当該制御システムにより除染経路を計画し、当該計画された除染経路に従って当該制御システムにより当該ロボットアームを制御し、当該計画された除染経路に沿った複数の位置で当該エンドエフェクタにより当該除染媒体を当該対象物に吐出するように構成されている除染システム。
【0042】
[実施例10]実施例9の除染システムであって、前記プラットフォームおよび前記制御システムに動作可能に結合された動作生成システムをさらに備え、当該動作生成システムは、前記プラットフォームを回転させるように構成されている除染システム。
【0043】
[実施例11]実施例10に記載の除染システムであって、前記制御システムは、前記制御システムにより前記撮像システムの位置を維持し、前記運動生成システムにより前記プラットフォームを前記撮像システムに対して複数の回転位置に回転させ、当該複数の回転位置で前記撮像システムにより前記対象物を走査するようにさらに構成されている除染システム。
【0044】
[実施例12]実施例9に記載の除染システムであって、前記制御システムは、前記制御システムにより前記撮像システムを前記対象物に対して複数の走査位置に移動させ、前記撮像システムにより前記複数の走査位置で前記対象物を走査するように構成されている除染システム。
【0045】
[実施例13]前記撮像システムが前記ロボットアームに取り付けられている、実施例9~12のいずれか1つに記載の除染システム。
【0046】
[実施例14]前記対象物に吐出された前記除染媒体を回収し、当該回収された除染媒体を洗浄するように構成された処理システムをさらに備える、実施例9~13のいずれか1つに記載の除染システム。
【0047】
[実施例15]前記制御システムが、前記計画された除染経路に沿った前記複数の位置において、前記対象物から所定の距離だけ離れた位置に前記エンドエフェクタを位置決めするようにさらに構成されている、実施例9~14のいずれか1つに記載の除染システム。
【0048】
[実施例16]前記除染媒体が高圧水を含む、実施例9~15のいずれか1つに記載の除染システム。
【0049】
[実施例17]前記除染媒体が砂を含む、実施例9~15のいずれか1つに記載の除染システム。
【0050】
[実施例18]原子力発電所から取り出されたされた対象物を除染システムによって除染する方法であって、当該除染システムは、プラットフォームと、当該プラットフォームを回転させるように構成された動作生成システムと、撮像システムと、除染媒体を吐出するように構成されたエンドエフェクタを含むロボットアームと、当該モータ、当該撮像システム、および当該ロボットアームに動作可能に結合された制御システムとを備え、当該方法は、当該対象物を当該プラットフォームに配置するステップと、当該制御システムにより当該撮像システムの位置を維持するステップと、当該動作生成システムにより当該プラットフォームを当該撮像システムに対して複数の回転位置に回転させるステップと、当該複数の回転位置で当該撮像システムにより当該対象物を走査するステップと、当該走査された対象物に基づいて当該制御システムにより当該対象物の三次元モデルを生成するステップと、当該生成された三次元モデルに基づいて当該制御システムにより除染経路を計画するステップと、当該計画された除染経路に従って当該制御システムにより当該ロボットアームの位置を制御するステップと、当該計画された除染経路に沿った複数の位置で当該エンドエフェクタにより当該対象物に当該除染媒体を吐出するステップとを含む方法。
【0051】
[実施例19]実施例18に記載の方法であって、前記除染システムが処理システムをさらに備え、前記対象物に吐出された前記除染媒体を当該処理システムにより回収するステップと、当該回収された除染媒体を前記処理システムにより洗浄するステップとをさらに備える方法。
【0052】
[実施例20]前記撮像システムが前記ロボットアームに取り付けられている、実施例18または19に記載の方法。
【0053】
前述の開示から明らかなように、特に断らない限り、前述の開示全体を通じて、「処理(processing)」、「コンピューティング(computing)」、「計算(calculating)」、「決定(determining)」、「表示(displaying)」などの用語を用いた議論は、コンピュータシステムまたは同様の電子計算装置の作用およびプロセスを指し、その際に、当該コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理量(電子的量)として表されるデータは、当該コンピュータシステムのメモリまたはレジスタまたは他の情報記憶、伝送、表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに操作により変換されることが理解されるであろう。
【0054】
本願において1つまたは複数の構成要素が、「~するように構成される(configured to)」、「~するように構成可能である(configurable to)」、「~するよう動作可能である/動作する(operable/operative to)」、「適応された/適応可能な(adapted/adaptable)」、「~が可能である(able to)」「~するように適合可能である/適合した(conformable/conformed to)」等と称されることがある。当業者であれば、「~するように構成される」は、文脈上そうでない場合を除き、一般的に活動状態の構成要素、および/または非活動状態の構成要素、および/または待機状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0055】
通常、本願において、特に添付の特許請求の範囲(例えば添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、一般に「非限定的(open)」な用語として意図されることを当業者は理解するであろう(例えば、用語「備える(including)」は「備えるがそれに限定しない」と解釈し、用語「有する(having)」は「少なくとも~を有する」と解釈し、用語「含む(includes)」は「含むがそれに限定しない」と解釈すべきである等)。さらに当業者は、導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は当該請求項において明示的に記載されるものであり、かかる記載がない場合、かかる意図は存在しないものと理解するであろう。例えば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、請求項の記載事項を導くために、「少なくとも1つ(at least one)」および「1つ以上(one or more)」という導入句を使用する場合がある。しかしながら、そのような句の使用は、「a」または「an」という不定冠詞によって請求項の記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」または「少なくとも1つの」といった導入句と「a」または「an」といった不定冠詞が共に含まれる場合であっても、かかる導入された請求項の記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つだけ含む請求項に限定されることが示唆される、と解釈すべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、通常、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈すべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するために定冠詞を使用している場合にも当てはまる。
【0056】
また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、「少なくとも記載された数」を意味すると解釈すべきであることが、当業者には理解されよう(たとえば、他の修飾語を伴わずに「2つの記載事項(two recitations)」が記載されている場合、少なくとも2つの記載事項、または2つ以上の記載事項を意味する)。さらに、「A、B、およびCなどの少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、ならびに/またはAとBとCの全てなどを有するシステムを含むが、それらに限定されない)。さらに、「A、B、またはCなどの少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、ならびに/またはAとBとCの全てなどを有するシステムを含むが、それらに限定されない)。一般的に、2つ以上の選択的な用語を表す選言的な語および/または句は、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、当該用語のうちの1つ、当該用語のいずれか、または当該用語の両方を含む可能性を企図すると理解されるべきであることも、当業者には理解されよう。例えば、句「AまたはB」は、一般的に「A」、「B」、または「AおよびB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0057】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者であれば、そこに記載された動作は一般的に任意の順序で実行され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図はシーケンスで示されているが、様々な動作は、図示されている順序とは別の順序で実行されてもよいし、同時に実行されてもよいことが理解されよう。そのような代替の順序付けの例として、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、重複、割り込み、中断、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆、またはその他の順序付けを含んでもよい。さらに、「~に応答する(responsive to)」、「~に関連する(related to)」といった用語や他の過去時制の形容詞は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、一般にかかる変化形を除外するように意図するものではない。
【0058】
「一態様(one aspect)」、「ある態様(an aspect)」、「ある実施例(an exemplification)」、「一実施例(one exemplification)」などへの参照は、その態様に関連して記載される特定の特徴物、構造、または特性が少なくとも1つの態様に含まれることを意味することは、特記に値する。したがって、本願の全体を通じて様々な箇所に見られる句「一態様では(in one aspect)」、「ある態様では(in an aspect)」、「ある実施例では(in an exemplification)」、および「一実施例では(in one exemplification)」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。さらに、特定の特徴物、構造、または特性は、1つ以上の態様において任意の適当な様式で組み合わせることができる。
【0059】
本願で参照され、かつ/または任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、または他の開示資料は、組み込まれる資料が本願と矛盾しない範囲で、参照により本願に組み込まれる。そのため、必要な範囲において、本願に明瞭に記載された開示内容は、それと矛盾のある、参照により本願に組み込まれた資料に優先するものとする。既存の定義、見解、または本願に記載されたその他の開示内容と矛盾する任意の内容またはその一部は、参照により本願に組み込まれるが、組み込まれる内容と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれるものとする。
【0060】
「含む、備える(comprise)」の語およびその派生語(「comprises」、「comprising」など)、「有する(have)」の語およびその派生語(「has」、「having」など)、「含む(include)」の語およびその派生語(「includes」、「including」など)、「包有する(contain)」の語およびその派生語(「contains」、「containing」など)は、非限定的な連結動詞である。すなわち、1つ以上の要素を「備える」、「有する」、「含む」、または「包有する」システムは、当該1つ以上の要素を有しているが、当該1つ以上の要素のみを有することに限定されるものではない。同様に、1つ以上の特徴物を「備えている」、「有する」、「含む」、または「包有する」システム、装置、または機器の要素は、当該1つ以上の特徴物を有しているが、当該1つ以上の特徴物のみを有することに限定されるものではない。
【0061】
本開示で使用される「実質的に(substantially)」、「およそ(about)」、または「約(approximately)」という用語は、特に指定がない限り、通常の技量を有する当業者によって決定される特定の値に対する許容誤差を意味し、これは値がどのように測定または決定されるかに依存する面がある。特定の実施形態において、用語「実質的に」、「およそ」、または「約」は、標準偏差の1、2、3、または4倍以内の範囲を意味する。特定の実施形態において、用語「実質的に」、「およそ」、または「約」は、所定の値から50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.05%以内の範囲を意味する。
【0062】
要約すると、本願に記載された概念を採用することによって得られる多くの利点を記載してきた。1つ以上の形態に関する上述の記載は、例示と説明の目的で提示したものであり、開示された正確な形態を網羅的または限定的に示すことを意図するものではない。上記の教示に照らして、改修または変形が可能である。当該1つ以上の形態は、原理および実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な改修例と共に、想到される特定の用途に適するものとして、通常の技量を有する当業者が利用できるようにするために選択・説明したものである。本願と共に提示される特許請求の範囲によって、全体的な範囲が定義されることを意図している。


図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】