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特表2024-501055メトピマジンおよびその塩を代謝する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】メトピマジンおよびその塩を代謝する方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/40 20060101AFI20231227BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20231227BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 31/5415 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231227BHJP
   A61P 1/08 20060101ALI20231227BHJP
   C12N 9/78 20060101ALN20231227BHJP
   C12N 9/02 20060101ALN20231227BHJP
【FI】
C12P7/40
A61P1/00
A61P43/00 121
A61K31/5415
A61K45/00
A61P1/08
C12N9/78
C12N9/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539808
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 US2021065290
(87)【国際公開番号】W WO2022146970
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】63/131,419
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/219,047
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515149133
【氏名又は名称】ニューロガストルクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バズビー, ロバート ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】デ コル, シリル
【テーマコード(参考)】
4B064
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B064AD27
4B064CA21
4B064CB05
4B064CD12
4B064DA16
4C084AA19
4C084MA13
4C084MA17
4C084MA22
4C084MA23
4C084MA27
4C084MA28
4C084MA31
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA57
4C084MA58
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA12
4C084ZA661
4C084ZA711
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA04
4C086BC88
4C086GA07
4C086GA10
4C086GA14
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA27
4C086MA28
4C086MA31
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA12
4C086ZA66
4C086ZC75
(57)【要約】
メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩をヒトミクロソーム肝アミダーゼと反応させることによる、メトピマジンの酸を調製する方法が、本明細書において提供される。同様に、それを必要とするヒト対象において、ヒトミクロソーム肝アミダーゼおよび/またはヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない追加の治療剤と組み合わせたメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩により、胃不全まひを処置する方法が、本明細書において提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メトピマジンの酸
【化7】
を調製する方法であって、メトピマジン
【化8】
または薬学的に許容されるその塩にヒトミクロソーム肝アミダーゼを接触させるステップを含む、方法。
【請求項2】
メトピマジンの酸を調製する方法であって、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩にヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼを接触させるステップを含む、方法。
【請求項3】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、メトピマジンメシル酸塩
【化9】
である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
胃不全まひの処置を必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、前記対象における、胃不全まひを処置する方法であって、前記追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法。
【請求項5】
胃不全まひの処置を必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、前記対象における、胃不全まひを処置する方法であって、前記追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。
【請求項6】
胃不全まひが、糖尿病性胃不全まひである、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記胃不全まひが、特発性胃不全まひである、請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
前記胃不全まひが、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、鼓脹、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群より選択される症状を含む、請求項4~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記胃不全まひが、吐き気という症状を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記胃不全まひが、嘔吐という症状を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
胃不全まひに関連する吐き気の処置を必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、前記対象における、胃不全まひに関連する吐き気を処置する方法であって、前記追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法。
【請求項12】
胃不全まひに関連する吐き気の処置を必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、前記対象における、胃不全まひに関連する吐き気を処置する方法であって、前記追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。
【請求項13】
胃不全まひに関連する嘔吐の処置を必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、前記対象における、胃不全まひに関連する嘔吐を処置する方法であって、前記追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法。
【請求項14】
胃不全まひに関連する嘔吐の処置を必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、前記対象における、胃不全まひに関連する嘔吐を処置する方法であって、前記追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。
【請求項15】
胃排出の改善を必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、前記対象における、胃排出を改善する方法であって、前記追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法。
【請求項16】
胃排出の改善を必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、前記対象における、胃排出を改善する方法であって、前記追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。
【請求項17】
GI管の機能障害および運動障害の処置を必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、前記対象における、GI管の機能障害および運動障害を処置する方法であって、前記追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法。
【請求項18】
GI管の機能障害および運動障害の処置を必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、前記対象における、GI管の機能障害および運動障害を処置する方法であって、前記追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。
【請求項19】
腸管神経系障害の処置を必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、前記対象における、腸管神経系障害を処置する方法であって、前記追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法。
【請求項20】
腸管神経系障害の処置を必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、前記対象における、腸管神経系障害を処置する方法であって、前記追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。
【請求項21】
前記腸管神経系障害が慢性障害である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記腸管神経系障害が急性障害である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項23】
前記腸管神経系障害が、胃不全まひ、過敏性腸症候群、リソソーム蓄積症、腸管運動障害、神経節細胞腫、多発性内分泌腺腫瘍2B型(MEN2B)、胃腸管神経障害、機能性消化不良、胃食道逆流症(GERD)および腸管神経形成異常からなる群より選択される、請求項19または20に記載の方法。
【請求項24】
前記腸管神経系障害が、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、鼓脹、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群より選択される症状を含む、請求項19~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記腸管神経系障害が吐き気という症状を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記腸管神経系障害が嘔吐という症状を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、前記対象に慢性的に投与される、請求項4~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、前記対象に急性的に投与される、請求項4~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、前記対象に少なくとも6日間投与される、請求項4~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、前記対象に少なくとも7日間投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、前記対象に少なくとも4週間投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、前記対象に少なくとも12週間投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、前記対象に1日1回投与される、請求項4~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、前記対象に1日2回投与される、請求項4~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、前記対象に1日3回投与される、請求項4~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、前記対象に1日4回投与される、請求項4~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
1日あたり、約5mg~約160mgの間の前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、前記対象に投与される、請求項4~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
1日あたり20mgを超えるメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、前記対象に投与される、請求項4~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩、および前記追加の治療剤が、別個の組成物で同時に投与される、請求項4~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩、および前記追加の治療剤が、別個の組成物で異なる時間に投与される、請求項4~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩、および前記追加の治療剤が、両方の薬剤が存在する組成物で投与される、請求項4~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、経口、十二指腸内、結腸内、非経口、腸内、腹腔内、局所、経皮、眼、鼻内、局部的、非経口、スプレーにより、皮下、静脈内、扁桃内、筋肉内、口内、舌下、動脈内、髄腔内、注入により、吸入によりまたは直腸に投与するのに好適である、請求項4~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、経口、十二指腸内、結腸内、腸内、局所、鼻内、非経口、口内、舌下、吸入によりまたは直腸に投与するのに好適である、請求項42に記載の方法
【請求項44】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、経口投与するのに好適である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、舌下投与するのに好適である、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、錠剤、カプセル状油剤、カプセル剤、ゲル剤、ペースト剤、散剤、懸濁剤、シロップ剤、浣腸、坐剤、エマルション剤、液剤、延長放出製剤または改変放出製剤として製剤化される、請求項4~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、錠剤、カプセル剤、ペースト剤、散剤、懸濁剤、坐剤、延長放出製剤または改変放出製剤として製剤化される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、延長放出製剤として製剤化される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、カプセル剤として製剤化される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、メトピマジンメシル酸塩である、請求項4~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて含む医薬組成物であって、前記追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、医薬組成物。
【請求項52】
メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて含む医薬組成物であって、前記追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、医薬組成物。
【請求項53】
前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、メトピマジンの薬学的に許容される塩である、請求項51または52に記載の医薬組成物。
【請求項54】
メトピマジンの前記薬学的に許容される塩が、メトピマジンメシル酸塩である、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項55】
胃不全まひの処置を必要とするヒト対象に請求項51~54のいずれかに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、前記対象における胃不全まひを処置する方法。
【請求項56】
胃不全まひが、糖尿病性胃不全まひである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記胃不全まひが、特発性胃不全まひである、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記胃不全まひが、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、鼓脹、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群より選択される症状を含む、請求項55~57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記胃不全まひが、吐き気という症状を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記胃不全まひが、嘔吐という症状を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
胃不全まひに関連する吐き気の処置を必要とするヒト対象に請求項51~54のいずれかに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、前記対象における胃不全まひに関連する吐き気を処置する方法。
【請求項62】
胃不全まひに関連する嘔吐の処置を必要とするヒト対象に請求項51~54のいずれかに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、前記対象における胃不全まひに関連する嘔吐を処置する方法。
【請求項63】
胃排出の改善を必要とするヒト対象に請求項50~53のいずれかに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、前記対象における胃排出を改善する方法。
【請求項64】
GI管の機能障害および運動障害の処置を必要とするヒト対象に請求項51~54のいずれかに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、前記対象におけるGI管の機能障害および運動障害を処置する方法。
【請求項65】
腸管神経系障害の処置を必要とするヒト対象に請求項51~54のいずれかに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、前記対象における腸管神経系障害を処置する方法。
【請求項66】
前記腸管神経系障害が慢性障害である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記腸管神経系障害が急性障害である、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記腸管神経系障害が、胃不全まひ、過敏性腸症候群、リソソーム蓄積症、腸管運動障害、神経節細胞腫、多発性内分泌腺腫瘍2B型(MEN2B)、胃腸管神経障害、機能性消化不良、胃食道逆流症(GERD)および腸管神経形成異常からなる群より選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記腸管神経系障害が、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、鼓脹、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群より選択される症状を含む、請求項65~68のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記腸管神経系障害が、吐き気という症状を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記腸管神経系障害が、嘔吐という症状を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記医薬組成物が、前記対象に慢性的に投与される、請求項55~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
医薬組成物が、前記対象に急性的に投与される、請求項55~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記医薬組成物が、前記対象に少なくとも6日間投与される、請求項55~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記医薬組成物が、前記対象に少なくとも7日間投与される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記医薬組成物が、前記対象に少なくとも4週間投与される、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記医薬組成物が、前記対象に少なくとも12週間投与される、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記医薬組成物が、前記対象に1日1回投与される、請求項55~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記医薬組成物が、前記対象に1日2回投与される、請求項55~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記医薬組成物が、前記対象に1日3回投与される、請求項55~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記医薬組成物が、前記対象に1日4回、投与される、請求項55~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
1日あたり、約5mg~約160mgの間の前記メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、前記対象に投与される、請求項55~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
1日あたり20mgを超えるメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、前記対象に投与される、請求項55~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記医薬組成物が、経口、十二指腸内、結腸内、非経口、腸内、腹腔内、局所、経皮、眼、鼻内、局部的、非経口、スプレーにより、皮下、静脈内、扁桃内、筋肉内、口内、舌下、動脈内、髄腔内、注入により、吸入によりまたは直腸に投与するのに好適である、請求項55~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記医薬組成物が、経口、十二指腸内、結腸内、腸内、局所、鼻内、非経口、口内、舌下、吸入によりまたは直腸に投与するのに好適である、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記医薬組成物が、経口投与するのに好適である、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記医薬組成物が、舌下投与するのに好適である、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
前記医薬組成物が、錠剤、カプセル状油剤、カプセル剤、ゲル剤、ペースト剤、散剤、懸濁剤、シロップ剤、浣腸、坐剤、エマルション剤、液剤、延長放出製剤または改変放出製剤として製剤化される、請求項55~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記医薬組成物が、錠剤、カプセル剤、ペースト剤、散剤、懸濁剤、坐剤、延長放出製剤または改変放出製剤として製剤化される、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
医薬組成物が、延長放出製剤として製剤化される、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
医薬組成物が、カプセル剤として製剤化される、請求項88に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年12月29日出願の米国仮特許出願第63/131,419号、および2021年7月7日出願の米国仮特許出願第63/219,047号への優先権の利益を主張し、これらの出願の全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
背景
腸管神経系(ENS)は、胃腸管系の内張りに埋め込まれている約1億個のニューロンを含む。ENSは、食道、胃(例えば、胃領域)、および腸を含めた、胃腸管系を神経支配している。ENSの運動ニューロンは、胃筋肉の収縮、ぜん動、腸内容物の撹拌を制御している。身体のドーパミンの約50%が、ENSにおいて見出されると推定されてきた。
【0003】
胃腸(GI)管の障害に多数のヒトが罹患している。GI管の筋肉または神経の機能不全により、腸が正常に機能しない障害である過敏性腸症候群(IBS)には、成人人口の10~15%が罹患している。IBSの症状には、便秘、下痢および腹痛が含まれる。機能性消化不良(上部GI管に関連する筋肉または神経の機能不全によって引き起こされた消化不良)には、成人人口の10~20%が罹患している。胃による食物の不適切なすりつぶしおよび胃排出遅延を引き起こす障害である胃不全まひには、総人口の最大で10%が罹患している。米国では、食道に胃酸および/または胆汁が逆流する際に起こる慢性の消化性疾患である胃食道逆流障害(GERD)に、生後数か月の乳児の最大で35%、および総人口の半数超が罹患していると推定されている。
【0004】
さらに、胃腸障害は、いくつかの他の疾患に関連し得る。例えば、ドーパミンニューロンの神経変性を特徴とする障害である、パーキンソン病の最も早期の症状のいくつかには、恐らく、ENSドーパミンニューロンの変性または機能不全による、例えば、便秘および他の胃腸管の症状が含まれる。慢性の高血糖は、腸管神経系をモジュレートする迷走神経を損傷する恐れがあるので、別の例は、胃不全まひの最も一般的な原因の1つのである糖尿病である。多発性硬化症は、例えば胃不全まひなどの、ENS障害に関連する別の疾患である。片頭痛は、胃停滞に一般に関係している。化学療法誘発性の吐き気および/または嘔吐は、化学療法を受けているがん患者の85%が罹患していると推定されており、処置の中止に至る恐れがある。化学療法誘発性の吐き気および/または嘔吐が、適切に管理されていない場合、それは、脱水および不良なクオリティオブライフを引き起こす恐れがあり、化学療法の中止に至ることがある。
【0005】
ENS機能不全は、上記の障害のいくつかに関与している。例えば、ENSニューロンのシグナル伝達の障害または機能不全は、胃不全まひの原因因子として、強力に関与している。
【0006】
これらの障害に適切な処置は、現在、存在しない。例えば、IBS処置用のルビプロストンは、便秘を処置するため、伝染性下痢を模倣するために使用されている。しかし、これらの薬剤は、根本的なENS機能不全を修復するものではなく、例外なく有効というわけではない。ドーパミンD受容体アンタゴニストであるドンペリドンおよびメトクロプラミドは、吐き気および嘔吐の処置に以前には適応されていたが、深刻な安全性問題のために、特に長期間の使用は推奨されていない。2つの深刻な安全性懸念は、(1)例えば、これらの薬剤と心筋活動電位に関与するイオンチャネルとの相互作用によって引き起こされる、望ましくない心臓の副作用、および(2)血液脳関門を通過して脳に入るドーパミンアンタゴニストの作用によって引き起こされる望ましくない運動機能不全に関連する。例えば、多数のドーパミン受容体アンタゴニストは、hERGチャネル(カリウムチャネルの一種)を阻害し、心筋活動電位リズムの異常を特徴とする心臓の状態である薬物誘発性QT延長症候群を引き起こすことが立証されている。QT延長症候群は、心不整脈のリスクを増大させる恐れがあり、これは、心臓性突然死をもたらすことがある。実際に、ドーパミンDアンタゴニストであるドンペリドンは、hERG活性を阻害して、QT延長症候群のリスクを増大させ、心臓性突然死のリスクが増大することが示されている。これによって、米国では、FDAがドンペリドンの使用を禁止し、欧州医薬品庁によって、ドンペリドン使用の安全性の再調査が開始された。メトクロプラミドは、12週間を超えて服用することができず、不随意で反復的な身体の動きを特徴とする、難治性および多くの場合、不治の障害である遅発性ジスキネジアなどのCNS関連性副作用のために、黒枠警告がある。
【0007】
メトピマジン(MPZ)は、フランスにおいて、吐き気および嘔吐の短期処置のため、40年間にわたり使用されてきたVogalene(登録商標)(メトピマジン、遊離塩基)という商標名で承認されている薬物である。MPZの新規塩の製剤化が、機械的閉塞の証拠のない、胃排出遅延を特徴とする胃の慢性障害である胃不全まひを処置するため、米国において臨床開発中にある(Camilleri et al. (2013) "Clinical Guideline: Management of Gastroparesis" Am. J. Gastroenterol, 108:18-38; Stein et al. (2015) "Gastroparesis A Review of Current Diagnosis and Treatment Options" J. Clin. Gastroenterol. 49:550-558; NCT04303195)。MPZとは、ヒトでは、高い初回通過代謝を受けるフェノチアジン(1)のことである(Herrstedt et al., (1990) "The effect of food on serum concentrations of metopimazine" Br. J. Clin. Pharmacol. 30:237-43; Mallet, et al., (2015) "Pharmacokinetic study of metopimainze by oral route in children" Pharma. Res. Per., 3(3):1-7)。MPZは、血液脳関門を通過しない、強力なD2/D3選択的ドーパミン受容体アンタゴニストである(De Colle et al., (2016) "A Potent and Selective Dopamine D2 Receptor Antagonist as a Potential Alternative to Metoclopramide and Domperidone for the Treatment of Gastroparesis" AGA Abstracts Volume 150, Issue 4, Supplement 1, S214)。MPZに関して多くのことが知られているが、この薬物の代謝は完全には解明されていない。MPZは脱アミノ化されて、その親よりもかなり高い血漿中濃度で存在する、主要な循環性代謝産物である、メトピマジンの酸(MPZA)(2)を形成する(Herrstedt et al., 1990)。MPZAは、ある程度の薬理学的活性を保持しているが、親に比べると、ヒトD2受容体では、約200分の1の効力である(De Colle et al., 2016)。新しい臨床的適応に関するMPZの可能性を探索することに新たに関心がもたれていることを鑑みると、この薬物のその一次代謝産物への生体内変換を担う酵素を特定することは、効力および安全性リスクに関する代謝変動性のなんらかの潜在的な影響の理解、ならびに薬物-薬物相互作用の可能性の評価に重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Camilleri et al. (2013) "Clinical Guideline: Management of Gastroparesis" Am. J. Gastroenterol, 108:18-38
【非特許文献2】Stein et al. (2015) "Gastroparesis A Review of Current Diagnosis and Treatment Options" J. Clin. Gastroenterol. 49:550-558
【非特許文献3】Herrstedt et al., (1990) "The effect of food on serum concentrations of metopimazine" Br. J. Clin. Pharmacol. 30:237-43
【非特許文献4】Mallet, et al., (2015) "Pharmacokinetic study of metopimainze by oral route in children" Pharma. Res. Per., 3(3):1-7
【非特許文献5】De Colle et al., (2016) "A Potent and Selective Dopamine D2 Receptor Antagonist as a Potential Alternative to Metoclopramide and Domperidone for the Treatment of Gastroparesis" AGA Abstracts Volume 150, Issue 4, Supplement 1, S214
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願の要約
本出願は、メトピマジンの酸
【化1】
を調製する方法であって、メトピマジン
【化2】
または薬学的に許容されるその塩にヒトミクロソーム肝アミダーゼを接触させるステップを含む、方法を提供する。本出願は、メトピマジンの酸を調製する方法であって、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩にヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼを接触させるステップを含む、方法をさらに提供する。上述の方法のある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、メトピマジンメシル酸塩
【化3】
である。
【0010】
本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひを処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法を提供する。本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひを処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法をさらに提供する。上述の方法のある特定の実施形態では、胃不全まひは、糖尿病性胃不全まひである。上述の方法のある特定の他の実施形態では、胃不全まひは、特発性胃不全まひである。ある特定の実施形態では、胃不全まひは、早期満腹、食後膨満感(post-prandial fullness)、腹部膨満感(abdominal fullness)、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、鼓脹、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群より選択される症状を含む。ある特定のこのような実施形態では、胃不全まひは、吐き気という症状を含む。他のこのような実施形態では、胃不全まひは、嘔吐という症状を含む。
【0011】
本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひに関連する吐き気を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法を提供する。本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひに関連する吐き気を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法をさらに提供する。
【0012】
本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひに関連する嘔吐を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法を提供する。本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひに関連する嘔吐を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法をさらに提供する。
【0013】
本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃排出を改善する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法を提供する。本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃排出を改善する方法であって、追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法をさらに提供する。
【0014】
本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、GI管の機能障害および運動障害を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法を提供する。本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、GI管の機能障害および運動障害を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法をさらに提供する。
【0015】
本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、腸管神経系障害を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法を提供する。本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、腸管神経系障害を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法をさらに提供する。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、慢性障害である。他の実施形態では、腸管神経系障害は、急性障害である。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、胃不全まひ、過敏性腸症候群、リソソーム蓄積症、腸管運動障害、神経節細胞腫、多発性内分泌腺腫瘍2B型(MEN2B)、胃腸管神経障害、機能性消化不良、胃食道逆流症(GERD)および腸管神経形成異常(intestinal neuronal dysplasia)からなる群より選択される。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、鼓脹、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群より選択される症状を含む。ある特定のこのような実施形態では、腸管神経系障害は、吐き気という症状を含む。他のこのような実施形態では、腸管神経系障害は、嘔吐という症状を含む。
【0016】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、対象に慢性的に投与される。上述の方法のいずれかのある特定の他の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、対象に急性的に投与される。
【0017】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、対象に、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも4週間、または少なくとも12週間、投与される。
【0018】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、対象に1日1回、1日2回、1日3回または1日4回、投与される。
【0019】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、約5mg~約160mgの間のメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、対象に投与される。ある特定のこのような実施形態では、1日あたり20mgを超えるメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、対象に投与される。
【0020】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩、および追加の治療剤は、別個の組成物で同時に投与される。上述の方法のいずれかのある特定の他の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩、および追加の治療剤は、別個の組成物で異なる時間に投与される。上述の方法のいずれかのある特定の他の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩、および追加の治療剤は、両方の薬剤が存在する組成物で投与される。
【0021】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、経口、十二指腸内、結腸内、腸内、局所、鼻内、非経口、口内、舌下、吸入によるまたは直腸など、経口、十二指腸内、結腸内、非経口、腸内、腹腔内、局所、経皮、眼、鼻内、局部的、非経口、スプレーにより、皮下、静脈内、扁桃内、筋肉内、口内、舌下、動脈内、髄腔内、注入により、吸入によりまたは直腸に投与するのに好適である。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、経口投与するのに好適である。ある特定の他の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、舌下投与するのに好適である。
【0022】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、錠剤、カプセル剤、ペースト剤、散剤、懸濁剤、坐剤、延長放出製剤または改変放出製剤として製剤化されるなど、錠剤、カプセル状油剤(capsulean oil)、カプセル剤、ゲル剤、ペースト剤、散剤、懸濁剤、シロップ剤、浣腸、坐剤、エマルション剤、液剤、延長放出製剤または改変放出製剤として製剤化される。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、延長放出製剤として製剤化される。ある特定の他の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、カプセル剤として製剤化される。
【0023】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、メトピマジンメシル酸塩である。
【0024】
本出願は、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて含む医薬組成物であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、医薬組成物をさらに提供する。本出願は、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて含む医薬組成物であって、追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、医薬組成物をさらに提供する。上述の医薬組成物のある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、メトピマジンの薬学的に許容される塩である。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンの薬学的に許容される塩は、メトピマジンメシル酸塩である。
【0025】
本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひを処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、および/またはヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法をさらに提供する。ある特定の実施形態では、胃不全まひは、糖尿病性胃不全まひである。他の実施形態では、胃不全まひは、特発性胃不全まひである。上述のある特定の実施形態では、胃不全まひは、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、鼓脹、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群より選択される症状を含む。ある特定のこのような実施形態では、胃不全まひは、吐き気という症状を含む。他のこのような実施形態では、胃不全まひは、嘔吐という症状を含む。
【0026】
それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひに関連する吐き気を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、および/またはヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。
【0027】
それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひに関連する嘔吐を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、および/またはヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。
【0028】
それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃排出を改善する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、および/またはヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。
【0029】
それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、GI管の機能障害および運動障害を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、および/またはヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。
【0030】
それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、腸管神経系障害を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、および/またはヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、慢性障害である。他の実施形態では、腸管神経系障害は、急性障害である。上述のある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、胃不全まひ、過敏性腸症候群、リソソーム蓄積症、腸管運動障害、神経節細胞腫、多発性内分泌腺腫瘍2B型(MEN2B)、胃腸管神経障害、機能性消化不良、胃食道逆流症(GERD)および腸管神経形成異常からなる群より選択される。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、鼓脹、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群より選択される症状を含む。ある特定のこのような実施形態では、腸管神経系障害は、吐き気という症状を含む。他のこのような実施形態では、腸管神経系障害は、嘔吐という症状を含む。
【0031】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に慢性的に投与される。上述の方法のいずれかのある特定の他の実施形態では、医薬組成物は、対象に急性的に投与される。
【0032】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも4週間、または少なくとも12週間投与される。
【0033】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に1日1回、1日2回、1日3回または1日4回投与される。
【0034】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、約5mg~約160mgの間のメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、対象に投与される。ある特定のこのような実施形態では、1日あたり20mgを超えるメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩が、対象に投与される。
【0035】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、経口、十二指腸内、結腸内、腸内、局所、鼻内、非経口、口内、舌下、吸入によるまたは直腸など、経口、十二指腸内、結腸内、非経口、腸内、腹腔内、局所、経皮、眼、鼻内、局部的、非経口、スプレーにより、皮下、静脈内、扁桃内、筋肉内、口内、舌下、動脈内、髄腔内、注入により、吸入によりまたは直腸に投与するのに好適である。ある特定のこのような実施形態では、医薬組成物は、経口投与するのに好適である。ある特定の他の実施形態では、医薬組成物は、舌下投与するのに好適である。
【0036】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、ペースト剤、散剤、懸濁剤、坐剤、延長放出製剤または改変放出製剤として製剤化されるなど、錠剤、カプセル状油剤、カプセル剤、ゲル剤、ペースト剤、散剤、懸濁剤、シロップ剤、浣腸、坐剤、エマルション剤、液剤、延長放出製剤または改変放出製剤として製剤化される。ある特定のこのような実施形態では、医薬組成物は、延長放出製剤として製剤化される。ある特定の他の実施形態では、医薬組成物は、カプセル剤として製剤化される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、インキュベーション時に、プールしたヒト肝ミクロソーム、NADPHを含み、阻害剤を含まないで、汎シトクロムP450阻害剤である1-ABTの存在下でNADPHを含んで、およびNADPHも阻害剤も含まないで、10μMのメトピマジンをインキュベートした後のMPZ、MPZAおよびMPZSの平均(±標準偏差)濃度を図示する。MPZAは、ABTによって、またはNADPHが存在しないことによって影響を受けない一方、MPZSは、ABTによって強力に阻害され、NADPHの非存在下では形成しない。
図2図2は、同一試料に由来するMPZ、MPZA、MPZSおよびMPZHのピーク面積比を図示する。MPZAは、CYP阻害によって、またはNADPHの欠如によって影響を受けない一方、MPZHおよびMPZSは、ABTの存在下で阻害され、NADPHの非存在下では生成されない。
図3図3は、それぞれが、7種の一般的なシトクロムP450酵素に対して特異的な阻害剤と共に、HLMを含む1μMのMPZを60分間、インキュベートした後の、MPZ、MPZAおよびMPZSの平均(±標準偏差)濃度を図示する。MPZS形成は、CYP3A4/5阻害剤であるイトラコナゾールの存在によって阻害された。
図4図4は、特定の組換えCYP酵素と共に1μMのメトピマジンをインキュベートした際のメトピマジンおよびその代謝産物のPARを図示する。Hは、CYP2D6によってMPZHが生成したことを意味し、Sは、CYP3A4によってMPZSが生成したことを示す。
図5図5は、特定の組換えCYPアイソフォームと共に1μMのメトピマジンを60分間インキュベートした後のメトピマジン、MPZAおよびMPZSの平均(±標準偏差)濃度を図示する。MPZSは、CYP3A4によって主に生成されたが、CYP3A5によっては生成されなかった。
図6図6は、pH8.4において、三連で、NADPHの存在下、混合しプールしたHKMにおいて、1μMのメトピマジンをインキュベートした後のメトピマジン、MPZAおよびMPZSの平均(±標準偏差)濃度を図示する。熱不活性化(5分間、50℃)、ならびにFMO阻害剤であるメチマゾールの存在および非存在をすべて試験した。いかなる条件下でも、代謝産物は生成しなかった。
図7図7は、組換えFMO酵素と共に1μMのMPZでインキュベートした後のMPZ、MPZAおよびMPZSの平均(±標準偏差)濃度を図示する。
図8図8は、pH7.4、8.4および9.4において、公知のアミダーゼ阻害剤であるBNPPの非存在下、ならびに2μMおよび16μMの存在下で、60分間にわたり、HLM中での10μMのメトピマジンのインキュベーション後のMPZAの形成(nM(平均値±標準偏差)単位)を図示する。すべてのpHにおいて、MPZAの生成が起こり、pH9.4を含む、生理的pHより高いpHでは増大する。アミダーゼ阻害剤BNPPは、すべての条件下で、MPZAの形成を効果的に阻害する。
図9図9は、肝アミダーゼによって主に形成され、サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによってはより低い程度でしか形成しない、in vivoでの主要代謝産物であるMPZAの形成を示す、ヒトにおけるメトピマジンの代謝を図示する。CYPにより媒介された微量の代謝産物MPZSもまた、ヒト試料中に存在した。
図10図10は、462.3→98.1m/zの遷移をモニタリングして、MPZSを定量した、代表的な全イオンクロマトグラムを図示する。未特定の同重体ピークが、一部の試料(矢印で記す)において観察された。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本出願の詳細な説明
本出願は、メトピマジンの酸
【化4】
を調製する方法であって、メトピマジン
【化5】
または薬学的に許容されるその塩にヒトミクロソーム肝アミダーゼを接触させるステップを含む、方法を提供する。本出願は、メトピマジンの酸を調製する方法であって、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩にヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼを接触させるステップを含む、方法をさらに提供する。上述の方法のある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、メトピマジンメシル酸塩
【化6】
である。
【0039】
本出願は、メトピマジンの薬学的に許容される塩にヒトミクロソーム肝アミダーゼを接触させるステップを含む、メトピマジンの酸を調製する方法を提供する。本出願は、メトピマジンの薬学的に許容される塩にヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼを接触させるステップを含む、メトピマジンの酸を調製する方法をさらに提供する。上述の方法のある特定の実施形態では、メトピマジンの薬学的に許容される塩は、メトピマジンメシル酸塩である。
【0040】
本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひを処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法を提供する。本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひを処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法をさらに提供する。ある特定の実施形態では、追加の治療剤は、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されず、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによっても代謝されない。胃不全まひを処置する上述の方法のある特定の実施形態では、胃不全まひは、糖尿病性胃不全まひである。胃不全まひを処置する上述の方法のある特定の他の実施形態では、胃不全まひは、特発性胃不全まひである。ある特定の実施形態では、胃不全まひは、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、鼓脹、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群より選択される症状を含む。ある特定のこのような実施形態では、胃不全まひは、吐き気という症状を含む。他のこのような実施形態では、胃不全まひは、嘔吐という症状を含む。胃不全まひを処置する上述の方法のある特定の実施形態では、追加の治療剤は、モチリンアゴニスト、グレリンアゴニスト、5HT3アンタゴニスト、D2アンタゴニストまたは5HT4アゴニストなどの、胃不全まひの処置に有用なさらなる薬剤である。胃不全まひを処置する上述の方法の他の実施形態では、追加の治療剤は、GERD、IBS、IBD、便秘、下痢または疼痛の処置に有用な薬剤などの、併発状態の処置に有用な薬剤である。
【0041】
本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひに関連する吐き気を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法を提供する。本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひに関連する吐き気を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法をさらに提供する。
【0042】
本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひに関連する嘔吐を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法を提供する。本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひに関連する嘔吐を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法をさらに提供する。
【0043】
本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃排出を改善する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法を提供する。本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃排出を改善する方法する方法であって、追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法をさらに提供する。
【0044】
本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、GI管の機能障害および運動障害を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法を提供する。本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、GI管の機能障害および運動障害を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法をさらに提供する。
【0045】
本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、腸管神経系障害を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、方法を提供する。本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、腸管神経系障害を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法をさらに提供する。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、慢性障害である。他の実施形態では、腸管神経系障害は、急性障害である。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、胃不全まひ、過敏性腸症候群、リソソーム蓄積症、腸管運動障害、神経節細胞腫、多発性内分泌腺腫瘍2B型(MEN2B)、胃腸管神経障害、機能性消化不良、胃食道逆流症(GERD)および腸管神経形成異常からなる群より選択される。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、鼓脹、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群より選択される症状を含む。ある特定のこのような実施形態では、腸管神経系障害は、吐き気という症状を含む。他のこのような実施形態では、腸管神経系障害は、嘔吐という症状を含む。
【0046】
本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、対象に慢性的に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の他の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、対象に急性的に投与される。
【0047】
本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、対象に少なくとも6日間投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、対象に少なくとも7日間投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、対象に少なくとも4週間投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、対象に少なくとも12週間投与される。
【0048】
本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、対象に1日1回投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、対象に1日2回投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、対象に1日3回投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、対象に1日4回投与される。
【0049】
本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、約5mg~約160mgの間のメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が、対象に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、20mgを超えるメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が、対象に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、30mgを超えるメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が、対象に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約80mg、約90mg、約100mg、約120mg、約150mg、約160mg、約180mg、約200mg、約240mgのメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が対象に投与されるなど、1日あたり、約5mg~約240mgの間のメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が対象に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、約5mgのメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が、対象に、1日あたり1回、2回、3回または4回投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mgまたは約60mgのメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が、対象に、1日あたり1回、2回、3回または4回投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、約40mgのメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、対象に1日4回投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、約60mgのメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、対象に1日4回投与される。
【0050】
本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)および追加の治療剤は、別個の組成物で同時に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の他の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)および追加の治療剤は、別個の組成物で異なる時間に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の他の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)および追加の治療剤は、両方の薬剤が存在する組成物で投与される。
【0051】
本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、経口、十二指腸内、結腸内、腸内、局所、鼻内、非経口、口内、舌下、吸入によるまたは直腸など、経口、十二指腸内、結腸内、非経口、腸内、腹腔内、局所、経皮、眼、鼻内、局部的、非経口、スプレーにより、皮下、静脈内、扁桃内、筋肉内、口内、舌下、動脈内、髄腔内、注入により、吸入によりまたは直腸に投与するのに好適である。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、経口投与するのに好適である。ある特定の他の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、舌下投与するのに好適である。
【0052】
本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、錠剤、カプセル剤、ペースト剤、散剤、懸濁剤、坐剤、延長放出製剤または改変放出製剤として製剤化されるなど、錠剤、カプセル状油剤、カプセル剤、ゲル剤、ペースト剤、散剤、懸濁剤、シロップ剤、浣腸、坐剤、エマルション剤、液剤、延長放出製剤または改変放出製剤として製剤化される。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、延長放出製剤として製剤化される。ある特定の他の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、カプセル剤として製剤化される。
【0053】
本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、メトピマジンメシル酸塩である。
【0054】
本出願は、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて含む医薬組成物であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、医薬組成物をさらに提供する。本出願は、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を追加の治療剤と組み合わせて含む医薬組成物であって、追加の治療剤が、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、医薬組成物をさらに提供する。ある特定の実施形態では、追加の治療剤は、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されず、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによっても代謝されない。上述の医薬組成物のある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、メトピマジンの薬学的に許容される塩である。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンの薬学的に許容される塩は、メトピマジンメシル酸塩である。
【0055】
本出願は、それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひを処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、および/またはヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法をさらに提供する。ある特定の実施形態では、胃不全まひは、糖尿病性胃不全まひである。他の実施形態では、胃不全まひは、特発性胃不全まひである。上述のある特定の実施形態では、胃不全まひは、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、鼓脹、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群より選択される症状を含む。ある特定のこのような実施形態では、胃不全まひは、吐き気という症状を含む。他のこのような実施形態では、胃不全まひは、嘔吐という症状を含む。
【0056】
それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひに関連する吐き気を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、および/またはヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。
【0057】
それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃不全まひに関連する嘔吐を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、および/またはヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。
【0058】
それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、胃排出を改善する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、および/またはヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。
【0059】
それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、GI管の機能障害および運動障害を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、および/またはヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。
【0060】
それを必要とするヒト対象に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、対象における、腸管神経系障害を処置する方法であって、追加の治療剤が、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない、および/またはヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない、方法。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、慢性障害である。他の実施形態では、腸管神経系障害は、急性障害である。上述のある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、胃不全まひ、過敏性腸症候群、リソソーム蓄積症、腸管運動障害、神経節細胞腫、多発性内分泌腺腫瘍2B型(MEN2B)、胃腸管神経障害、機能性消化不良、胃食道逆流症(GERD)および腸管神経形成異常からなる群より選択される。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、鼓脹、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群より選択される症状を含む。ある特定のこのような実施形態では、腸管神経系障害は、吐き気という症状を含む。他のこのような実施形態では、腸管神経系障害は、嘔吐という症状を含む。
【0061】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に慢性的に投与される。上述の方法のいずれかのある特定の他の実施形態では、医薬組成物は、対象に急性的に投与される。
【0062】
本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に少なくとも6日間投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に少なくとも7日間投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に少なくとも4週間投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に少なくとも12週間投与される。
【0063】
本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に1日1回投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に1日2回投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に1日3回投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に1日4回投与される。
【0064】
本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、約5mg~約160mgの間のメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が、対象に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、20mgを超えるメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が、対象に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、30mgを超えるメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が、対象に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約80mg、約90mg、約100mg、約120mg、約150mg、約160mg、約180mg、約200mg、約240mgのメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が対象に投与されるなど、1日あたり、約5mg~約240mgの間のメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が対象に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、約5mgのメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が、対象に、1日あたり1回、2回、3回または4回投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mgまたは約60mgのメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が、対象に、1日あたり1回、2回、3回または4回投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、約40mgのメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が、対象に1日4回投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、約60mgのメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)が、対象に1日4回投与される。
【0065】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、経口、十二指腸内、結腸内、腸内、局所、鼻内、非経口、口内、舌下、吸入によるまたは直腸など、経口、十二指腸内、結腸内、非経口、腸内、腹腔内、局所、経皮、眼、鼻内、局部的、非経口、スプレーにより、皮下、静脈内、扁桃内、筋肉内、口内、舌下、動脈内、髄腔内、注入により、吸入によりまたは直腸に投与するのに好適である。ある特定のこのような実施形態では、医薬組成物は、経口投与するのに好適である。ある特定の他の実施形態では、医薬組成物は、舌下投与するのに好適である。
【0066】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、ペースト剤、散剤、懸濁剤、坐剤、延長放出製剤または改変放出製剤として製剤化されるなど、錠剤、カプセル状油剤、カプセル剤、ゲル剤、ペースト剤、散剤、懸濁剤、シロップ剤、浣腸、坐剤、エマルション剤、液剤、延長放出製剤または改変放出製剤として製剤化される。ある特定のこのような実施形態では、医薬組成物は、延長放出製剤として製剤化される。ある特定の他の実施形態では、医薬組成物は、カプセル剤として製剤化される。
【0067】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、有効量のメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)および薬学的に許容される希釈剤または担体を含む医薬組成物として投与される。ある特定のこのような実施形態では、組成物は、追加の治療剤をさらに含み、追加の治療剤は、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって代謝されない。他のこのような実施形態では、組成物は、追加の治療剤をさらに含み、追加の治療剤は、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼによって代謝されない。
【0068】
定義
本明細書および特許請求の範囲おいて使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、そうではないことを特に明確に指示しない限り、複数の参照物を含む。例えば、用語「細胞(a cell)」は、それらの混合物を含めた、複数の細胞を含む。
【0069】
用語「アゴニスト」は、本明細書において使用する場合、細胞において、特異的な受容体に結合し、応答の引き金となる、化合物、薬物、酵素活性化因子またはホルモンモジュレータなどの分子を一般に指す。アゴニストは、一般に、同じ受容体に結合する内在性リガンド(例えば、ドーパミンなど)の作用を疑似する。
【0070】
用語「アンタゴニスト」とは、本明細書において使用する場合、アゴニストによって活性化された受容体への細胞応答を低下させる、阻害するまたは予防する、化合物などの分子を指す。アンタゴニストは、以下に限定されないが、競合的アンタゴニスト、非競合的アンタゴニスト、不競合的アンタゴニスト、部分アゴニストおよびインバースアゴニストを含むことができる。競合的アンタゴニストは、受容体を必ずしも活性化することなく、内在性リガンドまたはアゴニストと同じ結合部位(活性部位)において、受容体に可逆的に結合することができる。非競合的アンタゴニスト(アロステリックアンタゴニストとしても知られている)は、アゴニストとは明確に別の結合部位に結合して、別の結合部位を介して、その受容体にアンタゴニストの作用を発揮することができる。非競合的アンタゴニストは、一般に、アゴニストと結合を競合しない。受容体への非競合的アンタゴニストの結合は、その受容体へのアゴニストの親和性を低下させることがある。代替的に、受容体への非競合的アンタゴニストの結合は、アゴニスト媒介性受容体活性化に必要な、受容体の立体構造変化を阻止することがある。不競合的アンタゴニストは、別個のアロステリック結合部位に結合することができる前に、アゴニストによる受容体活性化を必要とし得る。部分アゴニストは、所与の受容体において、最大の受容体占有後に誘発する機能的応答の大きさに差異が生じ得る分子を指すことができる。部分アゴニストはアゴニストであるが、部分アゴニストは、完全アゴニストと受容体占有で競合し、完全アゴニスト単独で観察される受容体活性化の正味の低下が生じるので、部分アゴニストは、完全アゴニストと同時投与されると、競合的アンタゴニストとして作用することができる。インバースアゴニストは、アンタゴニストに類似した作用を有することができるが、一連の区別される下流の生物学的応答を引き起こす。固有活性または基礎活性を示す構成的に活性な受容体は、インバースアゴニストを有することができ、これは、従来的なアンタゴニストのように結合アゴニストの作用を遮断するだけではなく、受容体の基礎活性も阻害する。
【0071】
本明細書において使用する場合、「胃腸(GI)管」とは、かなりの吸収が観察される消化管の一部を指す。当業者は容易に理解する通り、かなりの吸収は、一般に、口腔、小腸(例えば、十二指腸、空腸および回腸)および大腸(例えば、結腸)において観察される。
【0072】
本明細書において使用する場合、「メトピマジンメシル酸塩」とは、1-(3-(2-(メチルスルホニル)-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル)ピペリジン-4-カルボキサミドメタンスルホン酸を指す。
【0073】
本明細書において使用する場合、「口腔」とは、一般に、口を指し、唇、頬および唇の内側の内張り、舌、上側および下側の歯茎、舌の下の口腔底部、舌下粘膜、口腔上部、および親知らずの後ろ側の領域を含む。
【0074】
本明細書において使用する場合、「末梢に制限される」化合物とは、一般に、対象の無傷の血液脳関門を実質的に通過しない化合物を指す。この用語はまた、無傷の血液脳関門を通過することができるが、対象への投与時に、対象の無傷の血液脳関門を実質的に通過しない形態に迅速に代謝される、化合物も包含する。化合物は、対象に投与されると、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満の化合物が、対象の無傷の血液脳関門を通過する場合に、「末梢に制限される」と見なされ得る。
【0075】
用語「溶媒和物」とは、結晶構造内に取り込まれた、化学量論量または非化学量論量の溶媒のどちらかを含む、結晶性固体付加物を指す。したがって、用語「非溶媒和物」形態とは、本明細書では、本発明の結晶構造内に溶媒分子を含まない、または実質的に含まない、塩結晶を指す。同様に、用語「非水和物形態」とは、本明細書では、本発明の結晶構造内に水分子を含まない、または実質的に含まない、塩結晶を指す。
【0076】
本明細書において使用する場合、用語「処置」または「処置すること」は、本明細書において互換的に使用される。これらの用語は、以下に限定されないが、治療利益および/または予防利益を含めた、有益な結果または所望の結果を得るための手法を指す。治療利益は、処置されている根本的な障害の根絶または改善を意味することができる。同様に、対象が、依然として根本的な障害に罹患していることがあるにもかかわらず、改善が対象において観察されるように、根本的な障害に関連する生理的症状の1つまたは複数の根絶または改善により、治療的利益を達成することができる。予防的効果には、疾患または状態の出現を遅延または排除すること、疾患または状態の症状の発生を遅延させることまたは排除すること、疾患または状態の進行を減速、停止または反転させること、あるいはそれらの任意の組合せが含まれる。予防的利益に関すると、組成物は、この疾患の診断が行われたことがない場合でさえも、特定の疾患を発症するリスクのある対象、または疾患の生理的症状の1つもしくは複数を報告する対象に、投与されてもよい。
【0077】
薬剤の「治療量未満」とは、その薬剤にとって有効量よりも少ない量のことである。有効量もしくは治療量未満の1種または複数種の追加剤と組み合わせると、治療量未満は、例えば、生じた有効な効果または有害作用の軽減との相乗作用のために、医師によって望ましい結果を生じることができる。
【0078】
「相乗的に有効な」治療量もしくは「相乗的に有効な」量の薬剤または治療とは、有効量または治療量未満の1種または複数種の追加剤と組み合わせると、これらの薬剤のうちのいずれかを単独で使用した場合よりも、大きな効果を生じる量のことである。一部の実施形態では、相乗的に有効な治療量の薬剤または治療は、組み合わせて使用した場合、個々の薬剤のいずれかを単独で使用した場合の相加効果よりも大きな効果を生じる。用語「より大きな効果」は、処置される障害の症状の軽減だけではなく、副作用プロファイルの改善、耐容性の改善、患者の服薬順守の改善、効力の改善、または任意の他の臨床的転帰の改善も包含する。
【0079】
用語「共投与」、「組合せ投与」およびそれらの文法的等価物は、本明細書において使用する場合、動物への2種またはそれより多い薬剤の投与を包含し、その結果、両方の薬剤および/またはその代謝産物が、同時に対象中に存在する。共投与は、別個の組成物で同時に投与すること、別個の組成物で異なる時間に投与すること、または両方の薬剤が存在する組成物での投与を含む。
【0080】
用語「決定すること」、「測定すること」、「評価すること(evaluating)」、「評価すること(assessing)」、「アッセイすること」および「分析すること」は、本明細書において互換的に使用され、測定の任意の形態を指し、ある要素が存在するか否かを判定することを含む。これらの用語は、定量的決定および/または定性的決定の両方を含む。評価するとは、相対的であってもよく、または絶対的であってもよい。「の存在を評価する」は、存在するものの量を決定すること、およびそれが存在するかまたは存在しないかどうかを決定することを含む。
【0081】
例示的な対象
本明細書において開示されている医薬組成物および/または組合せ物は、それを必要とする対象における、障害の処置に使用することができる。対象は、障害に罹患していることがあるか、障害があると診断されていることがあるか、障害の症状を示していることがあるか、または障害を有することが疑われることがある。障害は、胃腸障害、腸管神経系障害または他の障害とすることができる。障害は、胃腸管の少なくとも一部の運動低下を特徴とし得る。例えば、障害は、胃および/または腸の運動低下を特徴とし得る。運動低下は、例えば、異常なドーパミンシグナル伝達活性による、異常なENSニューロンのシグナル伝達によって引き起こされることがある。
【0082】
一部の実施形態では、腸管神経系障害は、胃不全まひである。用語「胃不全まひ」および「胃排出遅延」は、本明細書において互換的に使用されて、例えば、胃から小腸への食物の移動を遅くするまたは停止させる障害を指す。通常、迷走神経によって制御される胃の筋肉は、食物を破壊して、これを胃腸(GI)管に移動させることを担う。胃不全まひは、例えば、迷走神経が疾病または傷害によって損傷を受けている場合に起こる恐れがあり、胃の筋肉の正常な働きを停止させる。胃不全まひを有する対象では、食物は、胃から小腸までゆっくりと移動する恐れがあるか、または移動が完全に停止することがある。したがって、対象は、胃不全まひに罹患していることがあるか、胃不全まひと診断されていることがあるか、胃不全まひの症状を示していることがあるか、または胃不全まひを有することが疑われることがある。
【0083】
対象が、胃不全まひの症状を示している、または示した場合、胃不全まひを有することが疑われ得る。胃不全まひの症状は、いわゆる酸の逆流または胃酸逆流とも呼ばれる、胃食道逆流(GER)を含むことができる。胃食道逆流は、一般に、胃の内容物が逆に流れて食道に戻る状態を指す。胃不全まひに関連する他の症状は、以下に限定されないが、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、腹痛および/または胃領域の灼熱感、腹部鼓脹、食欲減退、食欲不振、栄養不良、吐き気ならびに嘔吐を含む。胃不全まひの症状は、軽度、中度または重度とすることができ、頻繁にまたは不定期に起こり得る。胃不全まひの症状は、同一対象において重症度が経時的に変わり得る。したがって、対象は、GER、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、腹痛および/もしくは胃領域の灼熱感、腹部鼓脹、食欲減退、食欲不振、栄養不良、吐き気ならびに/または嘔吐を示すことがあるか、または示している。
【0084】
対象は、胃不全まひと診断されることがある。胃不全まひは、当業者に公知の、または他には本明細書に記載されている、任意の手段によって診断することができる。胃不全まひは、例えば、身体検査、病歴、血液検査、GI管における閉塞または構造上の問題を除外するための検査、胃排出アッセイ、およびGI収縮活動のアッセイにより診断することができる。検査はまた、栄養障害または根本的な疾患を特定することもある。胃不全まひを診断するのに有用な検査は、以下に限定されないが、上部胃腸(GI)内視鏡検査、上部GI造影、超音波検査、胃排出シンチグラフィー、胃排出呼気検査、洞内検圧法、胃筋電図検査法および/または胃腸電図検査法を含む。
【0085】
上部GI内視鏡検査は、胃排出遅延をもたらす恐れのある、他の状態(例えば、物理的な閉塞など)を除外するために使用することができる。上部GI内視鏡検査は、通常、例えば、食道、胃および十二指腸(小腸の最初の部分)を含めた、上部GI管を可視化するために、内視鏡(例えば、ライトを備える小型の可撓性管)の使用を含む。内視鏡は、一般に、胃および/または十二指腸を画像化するために使用される。内視鏡に装着されている小型カメラは、ビデオ画像をモニターに送信することができ、腸の内張りの綿密な検査をすることが可能となる。上部GI内視鏡検査は、上部GI管の物理的閉塞、例えば、大きな胃石(例えば、食物、粘液、食物繊維、毛髪または他の物質の固形堆積物)を示すことがある。一部の実施形態では、対象が胃不全まひの症状を示し、上部GI内視鏡検査が胃排出遅延を引き起こす物理的閉塞を明らかにしない場合、対象は胃不全まひと診断される。
【0086】
上部GI造影は、小腸を見るために行うことができる。この検査は、X線技師によって病院または外来患者施設において行われてもよく、画像は、放射線科医によって解釈され得る。手順の間に、対象は、X線装置の前に立つかまたは座り、粉っぽい液体であるバリウムを飲むことがある。バリウムは、小腸を覆い、胃不全まひの兆候がX線で一層はっきりと写る。胃不全まひは、X線が、空腹後の胃内の食物を示す場合に示され得る。一部の実施形態では、対象は、上部GI造影により、空腹後に胃内に食物があることが明らかになった場合、胃不全まひと診断される。
【0087】
超音波は、胃不全まひと共通した症状を共有することがある他の症候群を除外するのに有用となり得る。このような他の症候群は、胆嚢疾患およびすい臓炎を含む。超音波は、一般に、変換器と呼ばれる、安全で痛みのない音波を臓器から反射させて、その構造の画像を作成する装置を使用する。この手順は、特別に訓練を受けた技師によって、医療提供者のオフィス、外来患者施設または病院で行うことができる。超音波画像は、放射線科医によって解釈され得る。対象が胃不全まひの症状を示し、例えば、胆嚢疾患、すい臓炎などの他の症候群が、例えば、超音波によって除外される場合、その対象は胃不全まひと診断され得る。
【0088】
対象において、胃排出シンチグラフィーを使用して、胃不全まひを診断することができる。胃排出シンチグラフィーは、少量の放射活性物質を含有する、卵または卵代用品などの淡白な味の食事の摂取を含むことができる。放射活性物質は、99-Mテクネチウム(TC)硫黄コロイド、または他の放射活性リガンドとすることができる。検査は、放射線施設または病院で行われてもよい。腹部領域における放射活性を検出および/または測定するために、外部カメラが使用されてもよい。放射活性は、例えば、食後1、2、3および4時間時の時間間隔で測定され得る。胃不全まひは、4時間時の胃内の食事が10パーセントより多いことを示す対象において、陽性と特定され得る。胃排出の他の尺度は、以下に限定されないが、食事の50%が、胃から空になった時間を含む。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Thomforde, G. M. et al., Evaluation of an inexpensive screening scintigraphic test of gastric emptying, 36J. Nucl. Med. 93 (1995)を参照されたい。一部の実施形態では、対象は、胃排出シンチグラフィーにより、胃不全まひと診断される。
【0089】
胃排出を評価するのに有用な呼気検査は、放射活性標識した食物(例えば、C13-オクタン酸により標識される)を利用することができる。食物に由来するC13は、小腸に到達すると、吸収され得る。吸収されたC13は、次に、肝臓内で迅速に代謝されて、13COを生成することができる。次に、生成した13COは、対象の呼吸で検出することができる。対象の呼気を収集し、規定間隔でサンプリングすることができる。試料の13COが、当分野において公知の任意の手段によって分析され得る。呼気中の13COが現れる比率を使用して、胃排出の速度を示すことができる。C13-オクタン酸呼気検査を実施する例示的な方法は、参照により本明細書に組み込まれている、Ghoos, Y. S., et al., 104 Gastroenterology 1640-1647 (1993)に記載されている。一部の実施形態では、対象は、呼気検査により、胃不全まひと診断される。
【0090】
検圧法とは、管腔における圧力変化の評価を一般に指す。幽門洞十二指腸検圧法とも称され得る、洞内検圧法は、一般に、胃遠位および十二指腸における収縮活動の評価のための技法を指す。胃および/または十二指腸の腔内圧は、カテーテルによって管腔へ導入される圧力センサーによって測定することができる。測定は、腔内圧の変化を評価するために、経時的に記録され得る。記録は、任意の時間量の間、継続されてもよい。腔内圧の変化を使用して、胃および/または十二指腸における、収縮パターンを示すことができる。腔内圧の変化は、空腹状態および/または食事の摂取後(食後)に測定することができる。食後の収縮運動低下は、対象における胃不全まひを示す可能性がある。したがって、対象は、検圧法によって求めると、食後の胃運動の低下を示すことがある。
【0091】
胃筋電図検査法は、一般に、胃の電気的活動を記録するための技法および方法を指す。同様に、胃腸電図検査法は、胃および小腸の電気的活動を記録するための技法および方法を指す。このような電気的活動は、胃腸粘膜、漿膜また外側の皮膚表面(皮膚)から記録することができる。胃腸粘膜は、GI管の粘膜層を指すことができる。胃腸管の漿膜は、漿液を分泌する細胞の薄い層、および薄い上皮層を含むことができる。記録は、空腹状態の間、および食事の摂取後(通常、60分間)に行うことができる。電気的活動の正常な頻度からの逸脱は、遅波および/または速波を含むことができる。対照対象は、通常、食後に、GI運動の向上を示す電気的活動の増大を示す。GI運動の異常を有する対象は、活動のリズム異常、および/または食後の向上の減損を示し得る。GI電気的活動の正常な頻度は1分間あたり、例えば3サイクルとすることができる。正常値から低下した、例えば、少なくとも1分間、1分間あたり2サイクル未満となるGI電気的活動の頻度と特徴付けることができる遅波は、胃不全まひを示し得る。一部の実施形態では、対象は、遅波を示すことがある。心電図に使用されているものに類似した皮膚用電極を用いて電気的活動を測定する、胃筋電図検査法(EGG)を使用して、胃不全まひを診断することもできる。参照により本明細書に組み込まれている、(Stern, R. N. et al. EGG: Common issues in validation and methodology, 24 Psychophysiology 55-64 (1987))。したがって、対象は、胃筋電図検査法によって求めると、胃不全まひと診断され得る。
【0092】
対象は、胃食道逆流症(GERD)に罹患していることがあるか、胃食道逆流症(GERD)と診断されていることがあるか、胃食道逆流症(GERD)の症状を示していることがあるか、または胃食道逆流症(GERD)を有することが疑われることがある。GERDは、胃食道逆流をもたらす慢性の状態であり得る。GERDの症状には、例えば、胸やけ、乾燥した慢性の咳、喘鳴、喘息、再発性肺炎、吐き気、嘔吐、咽頭痛、嚥下困難、胸部または上腹部の疼痛、歯牙侵食、口臭、唾吐きが含まれる。GERDは、検査の手助けを得て診断されることがある。GERDの診断に有用な検査には、例えば、本明細書に記載されている上部GI造影、上部の内視鏡検査、食道のpHモニタリングおよび食道の検圧法が含まれる。
【0093】
対象は、耳の前庭障害に関連する腸管神経系障害に罹患していることがあるか、これと診断されていることがあるか、この症状を示していることがあるか、またはこれを有することが疑われることがある。耳の前庭障害は、メネトリエ病とすることができる。メネトリエ病は、胃壁の内側に沿った畝(本明細書において、ひだとも称される)が拡張し、胃の内張りに巨大ひだを形成することを特徴とし得る。メネトリエ病はまた、酸を産生する壁細胞の減少に起因する、胃酸の低下を引き起こすことがある。メネトリエ病の症状には、単なる例として、重症な胃痛、吐き気、頻繁な嘔吐などが含まれる。
【0094】
対象は、周期性嘔吐症候群(CVS)に罹患していることがあるか、周期性嘔吐症候群(CVS)と診断されていることがあるか、周期性嘔吐症候群(CVS)の症状を示していることがあるか、または周期性嘔吐症候群(CVS)を有することが疑われることがある。周期性嘔吐症候群は、無症状期と交互に現れる、重症な吐き気および嘔吐のエピソードまたはサイクルを特徴とすることができる。このようなエピソードは、数時間、または数日も続く恐れがある。エピソードは、1日の同じ時間に始まる可能性があり、同じ時間の長さ、続く可能性があり、同じ症状および強度のレベルで起こる可能性がある。エピソードは、ヒトが数日間、床についていなければならず、学校または職場に行くことができないほど重症であり得る。周期性嘔吐症候群の他の症状には、例えば、腹痛、下痢、発熱、目眩および嘔吐エピソードの間の光への過敏が含まれる。継続的な嘔吐は、生命を脅かす恐れがある、重症な脱水を引き起こすことがある。脱水の症状は、渇き、体重減少を含む。周期性嘔吐症候群は、少なくとも3か月間、以下の症状を経験した対象において診断され得る:1時間あたり数回の重症な嘔吐で始まり、1週間未満続く嘔吐エピソード、過去1年間に3回またはそれより多い別々の嘔吐エピソード、およびエピソード間に吐き気または嘔吐がないこと。
【0095】
対象は、過敏性腸症候群(IBS)に罹患していることがあるか、過敏性腸症候群(IBS)と診断されていることがあるか、過敏性腸症候群(IBS)の症状を示していることがあるか、または過敏性腸症候群(IBS)を有することが疑われることがある。IBSとは、一般に、対象が、再発性または慢性の胃腸管症状を経験する、複数のサブタイプを含む症候群を指す。IBSの症状は、例えば、腹痛、腹部の不快感、便秘、下痢、糞便中の粘液、腹部鼓脹、または上記のいずれかの組合せを含むことができる。IBSは、疼痛を説明することができる他の疾患または傷害がなく、ヒトが、直近の3か月間、1か月あたり少なくとも3回、腹痛または不快感を有した場合に診断されることがある。IBSの疼痛または不快感は、便の頻度もしくは硬さの変化を伴って起こることがあるか、または排便によって緩和されることがある。IBSは、対象の通常の便の硬さに基づいて、4つのサブタイプに分類することができる。IBSの4つのサブタイプは、以下の通りである:便秘を伴うIBS(IBS-C)、下痢を伴うIBS(IBS-D)、混合型IBS(IBS-M)およびサブタイプに分類されないIBS(IBS-U)。IBS-Cを有する対象は、少なくとも25%の回数で硬便または兎糞状便となることがあり、25%未満の回数で軟便または水様便を有することがあるか、またはこれら2つの組合せとなることがある。IBS-Dを有する対象は、少なくとも25%の回数で軟便または水様便となることがあり、25%未満の回数で硬便または兎糞状便となることがあるか、またはこれら2つの組合せとなることがある。IBS-Mを有する対象は、少なくとも25%の回数で硬便または兎糞状便となることがあり、少なくとも25%の回数で軟便または水様便となることがある。IBS-Uを有する対象は、25%未満の回数で硬便または兎糞状便となることがあり、25%未満の回数で軟便または水様便となることがあるか、またはこれら2つの組合せとなることがある。IBSに関連する便秘は、ゆっくりとした、または遅い胃運動によることができる。一部の実施形態では、IBSを有する対象は、便秘を経験している。IBSは、当分野で公知の、または他には本明細書に記載されている任意の手段によって対象において診断することができる。例えば、IBSは、医療提供者によって診断され得る。医療提供者は、身体検査を行うことができ、対象の病歴を取得することができる。IBSは、対象が、過去の3か月間、1か月あたり、少なくとも3回、起こる1つまたは複数の症状を伴い、少なくとも3、4、5または6か月間、IBSの1つまたは複数の症状を示した場合に診断されることがある。IBSの診断に有用となり得る追加の検査は、以下に限定されないが、便検査、下部GIシリーズ、可撓性S字結腸鏡検査または結腸内視鏡検査を含む。
【0096】
対象は、機能性消化不良(例えば、消化障害)に罹患していることがあるか、機能性消化不良と診断されていることがあるか、機能性消化不良の症状を示していることがあるか、または機能性消化不良を有することが疑われることがある。消化不良の症状には、以下に限定されないが、例えば、上腹部における慢性または再発性疼痛、上腹部膨満感、食後膨満感、早期満腹、鼓脹、曖気、吐き気、嘔吐、胸やけ、口内の酸味が含まれる。機能性消化不良(例えば、非潰瘍性消化不良)は、一般に、消化不良の症状を説明する可能性がある、器質性疾患の証拠のない、消化不良を指す。機能性消化不良の例は、潰瘍のない消化不良である。機能性消化不良は、西洋諸国における総人口の約15%が罹患していると推定される。他の例示的なENS障害には、以下に限定されないが、例えば、腸管運動障害、神経節細胞腫、多発性内分泌腺腫瘍2B型(MEN2B)、胃腸管神経障害および腸管神経形成異常が含まれる。
【0097】
対象は、根本的な別の疾患によって引き起こされる腸管神経系障害に罹患していることがあるか、これに診断されていることがあるか、この症状を示していることがあるか、またはこれを有することが疑われることがある。例えば、腸管神経系障害は、パーキンソン病誘発性ENS障害であり得る。パーキンソン病誘発性ENS障害は、ドーパミンENSニューロンの変性に関係し得る。パーキンソン病誘発性ENS障害の症状には、例えば、便秘、吐き気、嘔吐などが含まれる。一部の実施形態では、本出願の方法により処置される対象は、パーキンソン病と診断されており、この症状に罹患しており、これを有することが疑われており、本明細書に記載されているENS障害の症状をさらに示す。
【0098】
対象は、強皮症に関連し得る腸管神経系障害に罹患していることがあるか、これを診断されていることがあるか、この症状を示していることがあるか、またはこれを有することが疑われることがある。強皮症は、皮膚および結合組織の硬化およびつっぱりを特徴とすることができる。一部の実施形態では、対象は、強皮症に関連する胃不全まひに罹患していることがあるか、これを診断されていることがあるか、この症状を示していることがあるか、またはこれを有することが疑われることがある
【0099】
対象は、糖尿病関連腸管神経系障害に罹患していることがあるか、糖尿病関連腸管神経系障害と診断されていることがあるか、糖尿病関連腸管神経系障害の症状を示していることがあるか、または糖尿病関連腸管神経系障害を有することが疑われることがある。糖尿病関連腸管神経系障害は、糖尿病に関連する胃不全まひとすることができる。対象は、多発性硬化症に関連する腸管神経系障害に罹患していることがあるか、これを診断されていることがあるか、この症状を示していることがあるか、またはこれを有することが疑われることがある。
【0100】
胃不全まひなどの腸管神経系障害を引き起こし得る他の疾患および臨床状態には、例えば、がん、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、副腎不全(アジソン病)、胃潰瘍、胃炎、例えば、全迷走神経切除術(迷走神経の切除)、幽門洞切除(胃の前庭部より遠位の胃の一部の切除)、胃亜全摘術(胃腫瘍の切除)、胃空腸吻合術(胃の近位部分と小腸の部分などのGI管の2つの管腔を接続する外科的手順)、噴門形成術(胃の上部を食道の下端部に巻きつける外科的手順)などの胃手術後、多発性筋炎(筋力低下を引き起こす恐れのある持続的な炎症性筋肉疾患)、筋ジストロフィー(進行性筋力低下を引き起こす恐れのある疾患)、アミロイドーシス(胃腸管におけるような、対象の組織または臓器にアミロイドが蓄積することを特徴とする)、偽性腸閉塞症(腸閉塞に関連する症状を引き起こすが、腸閉塞は見られない状態)、皮膚筋炎(筋肉の炎症を特徴とする疾患)、全身性エリテマトーデス(神経系を含めた、身体の様々な組織に罹患し得る全身性自己免疫疾患)、例えば、食欲不振および過食症などの摂食障害、うつ病、腫瘍随伴症候群、ならびに高頸髄病変(high cervical cord lesion)(例えば、脊髄C4またはそれより上側における病変)が含まれる。
【0101】
対象は、腸管神経系障害の症状を罹患し得る。例示的な症状は、本明細書に記載されている。一部の実施形態では、症状は、吐き気および/または嘔吐である。一部の実施形態では、症状の原因は、不明である(例えば、説明ができない吐き気)である。一部の実施形態では、症状は、慢性または再発性症状である。対象は、少なくとも3日間、少なくとも5日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも3か月間、少なくとも4か月間、少なくとも5か月間、少なくとも6か月間、少なくとも7か月間、少なくとも8か月間、少なくとも9か月間、少なくとも10か月間、少なくとも11か月間、少なくとも12か月間(1年間)、少なくとも1.5年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間、少なくとも6年間、少なくとも7年間、少なくとも8年間、少なくとも9年間または少なくとも10年間、症状を例えば、経験することがある。対象は、1か月に、1、2、3、4、5、6、7、8、8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31回または31回より多い回数、症状を経験することがある。
【0102】
対象は、例えば、マウス、ラット、ハムスター、アレチネズミ、イヌ、ネコ、例えばサルまたはヒトなどの霊長類とすることができる。一部の実施形態では、対象はヒトである。対象は、成人、子供または乳児とすることができる。対象は、任意の年齢であってもよい。
【0103】
医薬組成物および/または組合せ物の使用
本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物は、対象に安全に投与することができる。本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物は、心臓の有害な副作用を発症するリスクを必ずしも増大することなく、投与することができる。例えば、本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物は、心筋活動電位をモジュレートするリスクを増大させることがないかもしれず、および/またはQT延長症候群を誘発するリスクを増大させることがないかもしれず、および/または心停止のリスクを増大させることがないかもしれず、および/または心停止による突然死のリスクを増大させることがないかもしれない。
【0104】
対象には、限定されない時間量の間、本明細書に記載されている有効量の本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物を安全に投与することができる。対象には、有効量の医薬組成物および/または組合せ物を急性的にまたは慢性的に、安全に投与することができる。例えば、対象には、1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、5日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間(1週間)、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間、少なくとも12週間、少なくとも3か月間、少なくとも4か月間、少なくとも5か月間、少なくとも6か月間、少なくとも7か月間、少なくとも8か月間、少なくとも9か月間、少なくとも10か月間、少なくとも11か月間、少なくとも12か月間(1年間)、少なくとも2年間、少なくとも5年間または少なくとも10年間に1回、有効量の医薬組成物および/または組合せ物を安全に投与することができる。
【0105】
本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与は、対象が望ましくない心臓の副作用を発症するという許容されるリスクをもたらす恐れがある。このような望ましくない心臓の副作用の発症に関する医薬組成物および/または組合せ物の投与リスクは、当分野で公知の、または本明細書に記載されている任意の手段によって判定することができる。例えば、リスクは、医薬組成物および/または組合せ物が投与されていない対照対象の集団における突然死の出現率に比べて、医薬組成物および/または組合せ物を投与した対象の集団における突然死の出現率を比較することによって判定することができる。リスクは、望ましくない心臓の副作用を経験した、医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けた対象の数、および望ましくない心臓の副作用を経験しなかった、医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けた対象の数を追跡することによって判定することができる。例えば、a=望ましくない心臓の副作用を経験した、医薬組成物および/または組合せ物および/または組合せ物の投与を受けた対象の数であり、b=望ましくない心臓の副作用を経験しなかった、医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けた対象の数である場合、医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けていることによりもたらされる望ましくない心臓の副作用を経験するリスクは、a/(a+b)として計算することができる。相対リスク(relative risk)(RR)を使用して、医薬組成物および/または組合せ物の投与によってもたらされる望ましくない心臓の副作用を発症するリスクを、医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けていない対象の集団における望ましくない心臓の副作用を発症するリスクと比較することができる。例えば、a=望ましくない心臓の副作用を経験した医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けた対象の数であり、b=望ましくない心臓の副作用を経験しなかった、医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けた対象の数であり、c=望ましくない心臓の副作用を経験した、医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けていない対象の数であり、d=望ましくない心臓の副作用を経験しなかった、医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けていない対象の数である場合、医薬組成物および/または組合せ物の投与によりもたらされるRRは、a/(a+b)/(c/(c+d))として計算することができる。他の例に関すると、リスクは、オッズ比を計算することによって判定することができる。
【0106】
心臓性突然死を伴う本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与のRRは、3.8未満、3.7未満、3.6未満、3.5未満、3.4未満、3.3未満、3.2未満、3.1未満、3.0未満、2.9未満、2.8未満、2.7未満、2.6未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満、2.2未満、2.1未満、2.0未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満、1.1未満、1.05未満、約1または1未満とすることができる。
【0107】
心臓性突然死を伴う本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与のオッズ比は、許容されるオッズ比となり得る。オッズ比(OR)という用語は、一般に、曝露(例えば、薬物への曝露)と転帰(例えば、心臓性突然死)との間の関連性の尺度を指す。ORは、特定の曝露の非存在下で起こる転帰のオッズと比較したときの、その曝露が与えられた場合に転帰が起こるオッズを表すことができる。オッズ比は、症例対照研究、ならびに横断研究およびコホート研究の設計研究において使用することができる。例えば、a=望ましくない心臓の副作用を経験した医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けた対象の数であり、b=望ましくない心臓の副作用を経験しなかった、医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けた対象の数であり、c=望ましくない心臓の副作用を経験した、医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けていない対象の数であり、d=望ましくない心臓の副作用を経験しなかった、医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けていない対象の数である場合、医薬組成物および/または組合せ物の投与によりもたらされるORは、ad/bcとして計算することができる。
【0108】
心臓性突然死を伴う本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与のORは、3.8未満、3.7未満、3.6未満、3.5未満、3.4未満、3.3未満、3.2未満、3.1未満、3.0未満、2.9未満、2.8未満、2.7未満、2.6未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満、2.2未満、2.1未満、2.0未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満、1.1未満、1.05未満、約1または1未満とすることができる。
【0109】
ENSの処置に使用するための本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物は、ENSの処置向けに以前に適応とされたドーパミンをモジュレートする他の薬物とは異なり、末梢に制限される。したがって、このような医薬組成物および/または組合せ物は、脳ドーパミン作動性シグナル伝達によって媒介される運動に関連する機能不全を発症する対象のリスクを増大することなく、対象に安全に投与することができる。例えば、このような医薬組成物および/または組合せ物は、錐体外路の副作用を発症する対象のリスクを増大することなく、対象に安全に投与することができる。例示的な錐体外路の副作用には、例えば、遅発性ジスキネジア(筋肉の不随意非対称運動)、ジストニア(持続的な筋肉収縮を特徴とする)、無動症(運動の欠如)、静座不能(運動不穏状態の感覚)、運動緩徐(遅い動き)、こわばりおよび振戦、ねじれおよび/または反復運動、異常な姿勢、筋痙攣、例えば、首の筋痙攣(斜頸)、目の筋痙攣(注視発作)、舌の痙攣、顎の痙攣などが含まれる。錐体外路症状は、当分野で公知の、または他には本明細書に記載されている任意の手段によって評価することができる。例えば、錐体外路症状は、シンプソン-アンガス尺度(SAS)、および/またはバーンズアカシジア評価尺度(Barnes Akathisia Rating Scale)(BARS)を使用して評価することができる。一部の実施形態では、錐体外路の副作用の出現を伴う腸管神経系障害を処置する際に使用するための本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与のオッズ比は、4未満、3.9未満、3.8未満、3.7未満、3.6未満、3.5未満、3.4未満、3.3未満、3.2未満、3.1未満、3.0未満、2.9未満、2.8未満、2.7未満、2.6未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満、2.2未満、2.1未満、2.0未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満、1.1未満、1.05未満、約1または1未満である。
【0110】
本出願の医薬組成物および/または組合せ物は、対象への投与時に、胃の運動性を促進することができる。このような医薬組成物および/または組合せ物は、例えば、対象の腸ニューロンにおけるドーパミンD-受容体媒介性シグナル伝達を低減することによって、胃の運動性を促進することができる。例えば、医薬組成物および/または組合せ物は、対象の腸ニューロンにおける、ドーパミンD受容体に拮抗することができる。他の例に関すると、医薬組成物および/または組合せ物は、腸ニューロンのドーパミン作動性神経伝達を低減することがある。
【0111】
胃の運動性は、当業者に公知の、または他には本明細書に記載されている、任意の手段によって評価することができる。例えば、胃の運動性は、洞内検圧法によって、または胃不全まひの診断において有用な方法によって評価することができる。胃不全まひの診断において有用な例示的な方法は、本明細書に記載されている。
【0112】
本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与は、対照対象および/または対照集団と比較して、胃の運動性を改善することができる。対照対象は、本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けたことがない個体とすることができる。対照集団は、本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けたことがない複数の個体とすることができる。対照対象は、本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与を受けていない、ENS障害に罹患しているか、その診断を受けたか、それを有することが疑われるか、またはその症状を示す、対象とすることができる。対照対象は、必ずしも異なる個体である必要はなく、ある用量の本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物を受容する前の時間点における同一対象であってもよい。対照対象は、本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物が、対象においてもはや作用しないように十分な時間が経過した後、ある用量の医薬組成物および/または組合せ物を受容した後の時間点における同一対象であってもよい。対照対象は、異なる対象とすることができる。一部の実施形態では、医薬組成物および/または組合せ物の投与により、対照対象に比べて、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%または100%を超えて、胃の運動性が向上する。
【0113】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与は、対象における、腸管神経系障害の症状を処置するのに有効である。例示的な症状は、本明細書に記載されている。症状は、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、鼓脹、胃食道逆流、食欲減退、体重減少および便秘からなる群より選択され得る。特定の場合、本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与は、対象における吐き気を軽減する。本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与は、本明細書に記載されている症状のいずれかの重症度を軽減することができる。一部の場合、本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与により、1~5%、2~10%、5~20%、10~30%、20~50%、40~70%、50~80%、70~90%、80~95%、90~100%、症状の重症度が軽減される。一部の場合、本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与により、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%または90%を超えて、症状の重症度が軽減される。
【0114】
本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与により、症状の発生の頻度が低減され得る。一部の場合、本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与により、1~5%、2~10%、5~20%、10~30%、20~50%、40~70%、50~80%、70~90%、80~95%、90~100%、症状の発生の頻度が低減される。一部の場合、本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与により、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または90%を超えて、症状の発生の頻度が低減される。一部の場合、本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与により、1日あたり1未満のエピソード、1週間あたり1未満のエピソード、1か月あたり2未満のエピソード、1か月あたり1未満のエピソード、2か月毎に1未満のエピソード、3か月毎に1未満のエピソード、4か月毎に1未満のエピソード、5か月毎に1未満のエピソード、6か月毎に1未満のエピソード、7か月毎に1未満のエピソード、8か月毎に1未満のエピソード、9か月毎に1未満のエピソード、10か月毎に1未満のエピソード、11か月毎に1未満のエピソードまたは12か月毎(1年間)に1未満のエピソードまで、症状の発生の頻度が低減される。
【0115】
hERGチャネル阻害は、当分野で公知の、または他には本明細書に記載されている任意の手段によって判定することができる。hERGチャネル阻害は、例えば、hERGを発現する培養細胞を利用することによって、in vitroにおいて評価することができる。hERGチャネル阻害を評価するためのhERGを発現する培養細胞は、例えば、Life Technologies、Cyprotexなどの、いくつかの市販供給業者から入手可能である。hERGチャネル阻害は、例えば、電圧クランプ研究、hERG結合アッセイなどを含めた、当分野で公知の様々な手段によって評価することができる。電圧クランプ研究は、市販のハイスループットシステムの使用を用いることができる。例示的なハイスループットシステムは、例えば、米国特許第8,329,009号および米国特許出願公開第20020164777号に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれている。hERG結合アッセイは、3Hドフェチリドを使用して、競合結合アッセイおよび/または飽和結合アッセイを含むことができる。このようなアッセイは、参照により本明細書に組み込まれている、J Pharmacol Toxicol Methods. 2004 Nov-Dec;50(3):187-99に記載されている。hERGチャネル阻害は、大型動物モデル、例えばイヌにおける、例えば、心筋活動電位の評価によるin vivo研究によって決定することができる。
【0116】
最小限のhERG阻害は、0.1μM超、0.2μM超、0.3μM超、0.4μM超、0.5μM超、0.6μM超、0.7μM超、0.8μM超、0.9μM超、1μM超、2μM超、3μM超、4μM超、5μM超、6μM超、7μM超、8μM超、9μM超、10μM超、15μM超、20μM超、30μM超、40μM超、50μM超、60μM超、70μM超、80μM超、90μM超または100μM超となる、IC50によって証明され得る。
【0117】
最小限のhERG阻害は、薬物の所与の任意の用量において、hERG媒介性末尾電流の%阻害を測定することによって証明することもできる。hERG媒介性末尾電流は、電圧クランプ研究によって、例えば、パッチクランプ研究によって測定することができる。例えば、hERG媒介性末尾電流は、細胞に試験剤を接触させる前に、hERGを発現する細胞において測定することができる。次に、hERG媒介性末尾電流は、ある用量の試験剤と接触させた後に、hERGを発現する細胞において測定することができる。試験剤の投与前および投与後のhERG媒介性末尾電流の間の差異は、試験剤がhERG媒介性末尾電流を阻害する程度を決定するために使用することができる。開示されている方法に使用するための好適な薬剤は、1μMの用量において、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.25%未満、0.2%未満、0.15%未満または0.1%未満だけ、hERG媒介性末尾電流を阻害することができる。開示されている方法に使用するための好適な薬剤は、100nMの用量において、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.25%未満、0.2%未満、0.15%未満または0.1%未満だけ、hERG媒介性末尾電流を阻害することができる。一部の実施形態では、メトピマジンは、3μMの用量において、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.25%未満、0.2%未満、0.15%未満または0.1%未満だけ、hERG媒介性末尾電流を阻害することができる。一部の実施形態では、メトピマジンの酸は、10μMまたはそれより高い用量において、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.25%未満、0.2%未満、0.15%未満または0.1%未満だけ、hERG媒介性末尾電流を阻害することができる。
【0118】
例示的な化合物
メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を言及する場合、溶媒付加形態、またはその結晶形態、特に溶媒和物または多形を含むことが理解されるべきである。溶媒和物は、化学量論または非化学量論の溶媒のどちらかを含有し、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒との結晶化の過程の間に形成されることがある。水和物は、溶媒が水である場合に形成されるか、または溶媒がアルコールである場合にはアルコレートが形成される。本明細書に記載されている化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されている方法の間に、都合良く調製され得るか、または形成され得る。さらに、本明細書において提供される化合物は、非溶媒和形態および溶媒和形態で存在することができる。一般に、溶媒和形態は、本明細書において提供されている化合物および方法のために、非溶媒和形態と等価であると考えられる。多形は、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む。多形は、通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学特性および電気特性、安定性ならびに溶解度を有する。再結晶化溶媒、結晶化速度および保管温度などの様々な因子により、単結晶形態が優勢になることがある。
【0119】
ある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、無水メトピマジンメシル酸塩である。ある特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩は、メトピマジンメシル酸塩水和物である。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩水和物は、メトピマジンメシル酸塩一水和物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されているメトピマジンメシル酸塩は、無水メトピマジンメシル酸塩とメトピマジンメシル酸塩水和物との混合物を含む。ある特定のこのような実施形態では、混合物は、約10%のメトピマジンメシル酸塩水和物~約100%のメトピマジンメシル酸塩水和物を含む。例えば、混合物は、約10%のメトピマジンメシル酸塩水和物、約20%のメトピマジンメシル酸塩水和物、約30%のメトピマジンメシル酸塩水和物、約40%のメトピマジンメシル酸塩水和物、約50%のメトピマジンメシル酸塩水和物、約60%のメトピマジンメシル酸塩水和物、約70%のメトピマジンメシル酸塩水和物、約80%のメトピマジンメシル酸塩水和物、約90%のメトピマジンメシル酸塩水和物または約95%のメトピマジンメシル酸塩水和物を含む。
【0120】
本明細書に記載されているメトピマジンメシル酸塩は、以下に限定されないが、アモルファス形態、粉砕形態およびナノ微粒子形態を含めた、様々な形態にあってもよい。さらに、本明細書に記載されているメトピマジンメシル酸塩は、多形としても知られている結晶形態を含む。多形は、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む。多形は、通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学特性および電気特性、安定性ならびに溶解度を有する。再結晶化溶媒、結晶化速度および保管温度などの様々な因子により、単結晶形態が優勢になることがある。
【0121】
例示的な医薬組成物
本出願の方法に利用される医薬組成物は、薬学的に許容される担体を含むことができる。本組成物用の薬学的に許容される担体は、以下に限定されないが、アミノ酸、ペプチド、生体ポリマー、非生体ポリマー、単糖またはデンプン、無機塩およびガムを含むことができ、これらは、単独で存在してもよく、または組合せで存在してもよい。許容される担体に使用されるペプチドは、例えば、ゼラチンおよび/またはアルブミンを含むことができる。セルロースまたはその誘導体は、薬学的に許容される担体に使用されてもよい。許容される担体に使用される糖は、ラクトースおよび/またはグルコースであってもよい。医薬組成物において利用することができる他の有用な糖は、以下に限定されないが、フルクトース、ガラクトース、ラクチコール、マルチトール、マルトース、マンニトール、メレジトース、ミオイノシトール、プラチネート(palatinate)、ラフィノーゼ、スタキオース、スクロース、トレハロース(tehalose)、キシリトール、それらの水和物、およびそれらの組合せ物を含む。結合剤は、薬学的に許容される担体に含まれていることがある。結合剤の例には、以下に限定されないが、デンプン(例えば、トウモロコシデンプンまたはバレイショデンプン)、ゼラチン;アカシア、アルギン酸ナトリウム、トラガカント粉末、グアーガム、セルロースまたはセルロース誘導体(例えば、メチルセルロース(methycellulose)、エチルセルロース、酢酸セルロース)などの天然または合成ガム;マイクロクリスタリンセルロース、ポリビニルピロリドンおよびそれらの混合物が含まれる。許容される担体に使用される無機塩は、マグネシウム塩、例えば、塩化マグネシウムまたは硫酸マグネシウムであってもよい。他の無機塩、例えば、カルシウム塩が使用されてもよい。カルシウム塩の例には、以下に限定されないが、塩化カルシウム、硫酸カルシウムが含まれる。薬学的に許容される担体に使用することができる物質の他の例には、以下に限定されないが、ピーナッツ油、綿実油、オリーブ油、トウモロコシ油などの植物油;グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリオール;発熱物質不含水、等張性生理食塩水、リン酸緩衝溶液;Tweens(登録商標)などの乳化剤;湿潤剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、保存剤が含まれる。
【0122】
用語「湿潤剤」は、「界面活性剤」と互換的に使用することができ、液体の表面張力を低下させ、これによって液体が一層容易に広がることを可能にする物質を指す。本出願の医薬組成物および剤形を形成するために使用することができる界面活性剤は、以下に限定されないが、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤およびそれらの混合物が含まれる。すなわち、親水性界面活性剤の混合物が使用されてもよく、親油性界面活性剤の混合物が使用されてもよく、または少なくとも1種の親水性界面活性剤と少なくとも1種の親油性界面活性剤との混合物が使用されてもよい。
【0123】
好適な親水性界面活性剤は、一般に、少なくとも10のHLB値を有することができる一方、好適な親油性界面活性剤は、一般に、約10またはそれ未満のHLB値を有することができる。非イオン性両親媒性化合物の相対的な親水性および疎水性を特徴付けるために使用することができる有用なパラメータが、親水性-親油性バランス(「HLB」値)である。低いHLB値を有する界面活性剤ほど、疎水性が高く、油への溶解度がより高い一方、高いHLB値を有する界面活性剤ほど、親水性が高く、水溶液への溶解度が一層高い。親水性界面活性剤は、一般に、約10より高いHLB値を有する化合物、およびHLBスケールが一般に適用可能ではない陰イオン性化合物、陽イオン性化合物、または双性イオン性化合物と考えられる。同様に、親油性(すなわち、疎水性)界面活性剤は、一般に、約10またはそれ未満のHLB値を有する化合物と考えられる。しかし、界面活性剤のHLB値は、工業用、医薬品用および化粧品用のエマルションの製剤化を可能にするよう一般に使用される、単なる大まかな指針を提供するに過ぎない。
【0124】
親水性界面活性剤は、イオン性または非イオン性のどちらか一方とすることができる。好適なイオン性界面活性剤には、以下に限定されないが、アルキルアンモニウム塩、アミノ酸の脂肪酸誘導体、アミノ酸のグリセリド誘導体、フシジン酸塩、オリゴペプチドおよびポリペプチド、オリゴペプチドおよびポリペプチド、レシチンおよび水素化レシチン、リゾレシチンおよび水素化リゾレシチン、リン脂質およびその誘導体、脂肪酸塩、リゾリン脂質およびその誘導体、カルニチン脂肪酸エステル塩、アルキル硫酸塩、ドキュセートナトリウム、アシラクチレート(acylactylate)、モノグリセリドおよびジグリセリドのモノおよびジアセチル化酒石酸エステル、スクシニル化モノグリセリドおよびジグリセリド、モノグリセリドおよびジグリセリドのクエン酸エステル、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0125】
前述の群の範囲内で、イオン性界面活性剤には、以下に限定されないが、レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質およびその誘導体、カルニチン脂肪酸エステル塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、ドキュセートナトリウム、アシラクチレート、モノグリセリドおよびジグリセリドのモノおよびジアセチル化酒石酸エステル、スクシニル化モノグリセリドおよびジグリセリド、モノグリセリドおよびジグリセリドのクエン酸エステル、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0126】
イオン性界面活性剤は、脂肪酸の乳酸エステル、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、ステアロイル-2-ラクチレート、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、リシノール酸、硫酸ラウリル、硫酸テラセシル、ドキュセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、ならびにそれらの塩および混合物のイオン化形態であってもよい。
【0127】
親水性非イオン性界面活性剤は、以下に限定されないが、アルキルグルコシド、アルキルチオグルコシド、アルキルマルトシド、ラウリルマクロゴールグリセリド、ポリエチレングリコールアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルフェノールなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステルおよびポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーおよびそれらの混合物、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸およびステロール、ポリオキシエチレンステロールおよびそれらの誘導体またはアナログからなる群のうちの少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物、ポリオキシエチル化ビタミンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ならびにポリオールと、トリグリセリド、植物油および水素化植物油からなる群のうちの少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物を含むことができる。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトールまたはサッカライドとすることができる。
【0128】
他の親水性非イオン性界面活性剤には、非限定的に、ラウリン酸PEG-10、ラウリン酸PEG-12、オレイン酸PEG-12、オレイン酸PEG-15、オレイン酸PEG-20、ラウリン酸PEG-20、二ラウリン酸PEG-32、ラウリン酸PEG-32、二オレイン酸PEG-20、オレイン酸PEG-32、オレイン酸PEG-200、オレイン酸PEG-400、ステアリン酸PEG-15、二ステアリン酸PEG-32、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-100、二ラウリン酸PEG-20、トリオレイン酸PEG-25グリセリル、二オレイン酸PEG-32、ラウリン酸PEG-20グリセリル、トリオレイン酸PEG-20、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ステアリン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-40グリセリル、PEG-50水添ヒマシ油、PEG-40ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG-60ヒマシ油、PEG-40パーム核油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-60トウモロコシ油、PEG-6カプリン酸/カプリル酸グリセリド、PEG-8カプリン酸/カプリル酸グリセリド、ラウリン酸ポリグリセリル-10、PEG-30コレステロール、PEG-25フィトステロール、PEG-30ダイズステロール、オレイン酸PEG-40ソルビタン、ラウリン酸PEG-80ソルビタン、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE-9ラウリルエーテル、POE-23ラウリルエーテル、POE-10オレイルエーテル、POE-20オレイルエーテル、POE-20ステアリルエーテル、コハク酸トコフェリルPEG-100、PEG-24コレステロール、オレイン酸ポリグリセリル-10、Tween(登録商標)40、Tween(登録商標)60、モノステアリン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、モノパルミチン酸スクロース、PEG10-100ノニルフェノールシリーズ、PEG15-100オクチルフェノールシリーズおよびポロキサマーが含まれる。
【0129】
好適な親油性界面活性剤には、以下に限定されないが、脂肪アルコール、グリセロール脂肪酸エステル、アセチル化グリセロール脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ステロールおよびステロール誘導体、ポリオキシエチル化ステロールおよびステロール誘導体、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖エーテル、糖エステル、ポリオールとグリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸およびステロールからなる群のうちの少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物、油溶性ビタミン/ビタミン誘導体、モノグリセリドおよびジグリセリドの乳酸誘導体、ならびにそれらの混合物が含まれる。この群の範囲内では、好ましい親油性界面活性剤は、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびそれらの混合物を含むか、またはポリオールと植物油、水素化植物油およびトリグリセリドからなる群のうちの少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物である。
【0130】
医薬組成物に使用することができる滑沢剤には、以下に限定されないが、寒天、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、軽質鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル(ethylaureate)、またはそれらの混合物が含まれる。さらなる滑沢剤には、例として、syloidシリカゲル、合成シリカの凝集エアロゾル(coagulated aerosol)、またはそれらの混合物が含まれる。滑沢剤は、医薬組成物の約1重量%未満の量で、必要に応じて添加することができる。
【0131】
組成物は、1種または複数種の薬学的に許容される添加物を含むことができ、これらは、以下に限定されないが、脱粘着付与剤、消泡剤、緩衝化剤、抗酸化剤、ポリマー、保存剤、キレート剤、付臭剤、乳白剤、懸濁化剤、充填剤、可塑剤、およびそれらの混合物を含むことができる。
【0132】
一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、w/w、w/vまたはv/v基準で、医薬組成物の90%超、80%超、70%超、60%超、50%超、40%超、30%超、20%超、10%超、9%超、8%超、6%超、5%超、4%超、3%超、2%超、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超、0.2%超、0.1%超、0.09%超、0.08%超、0.07%超、0.06%超、0.05%超、0.04%超、0.03%超、0.02%超、0.01%超、0.009%超、0.008%超、0.007%超、0.006%超、0.005%超、0.004%超、0.003%超、0.002%超、0.001%超、0.0009%超、0.0008%超、0.0007%超、0.0006%超、0.0005%超、0.0004%超、0.0003%超、0.0002%超または0.0001%超を占める。
【0133】
一部の実施形態では、組成物中のメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)の濃度は、w/w、w/vまたはv/v基準で、医薬組成物の100%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、9%未満、8%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.04%未満、0.03%未満、0.02%未満、0.01%未満、0.009%未満、0.008%未満、0.007%未満、0.006%未満、0.005%未満、0.004%未満、0.003%未満、0.002%未満、0.001%未満、0.0009%未満、0.0008%未満、0.0007%未満、0.0006%未満、0.0005%未満、0.0004%未満、0.0003%未満、0.0002%未満または0.0001%未満を占める。
【0134】
一部の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)の濃度は、w/w、w/vまたはv/v基準で、医薬組成物の約0.0001%~約50%、約0.001%~約40%、約0.01%~約20%、約0.02%~約29%、約0.03%~約28%、約0.04%~約27%、約0.05%~約26%、約0.06%~約25%、約0.07%~約24%、約0.08%~約23%、約0.09%~約22%、約0.1%~約21%、約0.2%~約20%、約0.3%~約19%、約0.4%~約18%、約0.5%~約17%、約0.6%~約16%、約0.7%~約15%、約0.8%~約14%、約0.9%~約12%、約1%~約10%の範囲にある。
【0135】
一部の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)の濃度は、w/w、w/vまたはv/v基準で、医薬組成物の約0.0001%~約5%、約0.001%~約4%、約0.01%~約2%、約0.02%~約1%または約0.05%~約0.5%の範囲にある。
【0136】
医薬組成物の、一部の非限定例が以下に記載されている。
【0137】
経口投与向け医薬組成物
有効量のメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物は、経口投与向けに製剤化され得る。一部の実施形態では、経口投与向けの、有効量のメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物は、固体医薬組成物である。一部の実施形態では、固体医薬組成物は、別個の(例えば、単位)経口剤形として提示されてもよい。別個の経口剤形の非限定例には、錠剤、カプセル剤、カプレット剤(caplet)、ゼラチンカプセル剤、延長放出製剤、ロゼンジ剤、薄層フィルム剤、ロリポップ剤、チューインガム剤が含まれる。一部の実施形態では、別個の経口剤形は、例えば、口内崩壊性錠剤などの、口内崩壊性の経口剤形である。
【0138】
錠剤などの別個の経口剤形は、公知技法によってコーティングされて、胃腸管における吸収を遅延または延長することができ、こうして、一層長い期間の持続作用を提供する。一部の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、炭酸カルシウムまたはリン酸カルシウムなどの、1種または複数種の不活性固体希釈剤と混合される。一部の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、軟質ゼラチンカプセル剤として提示され、この場合、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、例えば、水と、またはピーナッツ油もしくはオリーブ油などの油性媒体と混合される。
【0139】
一部の実施形態では、経口投与向けの、有効量のメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物は、液体医薬組成物である。経口投与向けの液体組成物の非限定例には、親水性懸濁剤、エマルション剤、液体、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、液剤、エリキシル剤、ソフトゲル剤、チンキ剤およびヒドロゲル剤が含まれる。一部の実施形態では、経口投与向けの、有効量のメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む固体組成物または液体組成物は、様々な甘味剤または矯味矯臭剤または着色剤を含む。着色剤の例には、ブドウ果皮抽出物、赤ビーツパウダー、ベータカロテン、アナトー、カルミン、ターメリック、パプリカなどのF.D.&C.色素および天然着色剤として公知のものなどの、食物に好適な色素を含む。上記の有色化合物のいずれかの誘導体、アナログおよび異性体も使用されてよい。
【0140】
このような剤形は、例えば、薬局において、当業者に周知の方法によって調製されてもよい。このような方法は、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を薬学的に許容される担体と一緒にするステップを含む。
【0141】
水は、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)の分解を促進する恐れがあるので、本出願は、有効量のメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を含む、無水医薬組成物および剤形をさらに包含する。一部の実施形態では、本出願の無水医薬組成物および剤形は、無水成分または低水分含有成分を使用して調製される。一部の実施形態では、本出願の無水医薬組成物および剤形は、低湿度条件または低水分条件下で調製される。ラクトースを含有する本出願の医薬組成物は、製造、包装および/または保管中の水分および/または湿気との実質的な接触が予期される場合、無水にされ得る。メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩を含む無水医薬組成物は、その無水性質を維持するよう、調製および保管され得る。例えば、無水組成物は、好適な処方キットに含まれ得るよう、水に対する曝露を防止することが知られている材料を使用して包装されてもよく、これらの例には、以下に限定されないが、気密封着ホイル、プラスチックなど、単位用量容器、ブリスターパックおよびストリップパックが含まれる。
【0142】
注射または非経口投与用の医薬組成物
一部の実施形態では、医薬組成物は、非経口投与用に製剤化されている。「非経口投与」は、一般に、胃腸管以外の投与経路を指す。非経口投与の例には、以下に限定されないが、静脈内注射、動脈内注射、髄腔内注射(脊髄内へ)、扁桃内注射、皮下注射、筋肉内注射、注入または埋め込みが含まれる。注入は、皮内、または皮下、または経皮インプラントによるものであってもよい。非経口投与用の例示的な医薬組成物は、参照により本明細書に組み込まれている以下の参照文献:米国特許出願公開第2006/0287221号、米国特許第5244925号、同第4309421号、同第4158707号および同第5164405号に開示されており、それらのすべてが参照により本明細書に組み込まれている。
【0143】
非経口投与用に製剤化されている組成物は、注射および/または注入に一般に使用される水溶液および/または緩衝液を含んでもよい。一般に使用される水性緩衝液および/または溶液は、以下に限定されないが、約0.9%の塩化ナトリウム溶液、リン酸緩衝液、乳酸添加リンゲル液、酢酸リンゲル液、リン酸緩衝生理食塩水、クエン酸緩衝液、Tris緩衝液、ヒスチジン緩衝液、HEPES緩衝液、グリシン緩衝液、N-グリシルグリシン緩衝液などを含むことができる。非経口投与用の他の薬学的に許容される担体は、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体、植物油などを含むことができる。
【0144】
一部の実施形態では、注射および/または注入用の医薬組成物は、微生物の汚染もしくは分解を効果的に予防または低減する量で存在する保存剤を含有する。様々な作用剤、例えば、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール、パラベン、クロロブタノール、メトトレキセート、ソルビン酸、チメロサール(thimerosol)、ヒドロキシ安息香酸エチル、ビスマストリブロモフェネート、ヒドロキシ安息香酸メチル、バシトラシン、ヒドロキシ安息香酸プロピル、エリトロマイシン、5-フルオロウラシル、ドキソルビシン、ミトキサントロン、リファマイシン、クロロクレゾール、塩化ベンザルコニウムを使用して、汚染を予防または低減することができる。
【0145】
一部の実施形態では、滅菌溶液は、適切な溶媒中、必要量のメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を、必要に応じて本明細書に記載されている様々な他の成分と一緒に組み込み、次にろ過滅菌することによって調製される。一般に、分散物は、基礎分散媒、および上で列挙されているものから必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクルに様々な滅菌済み活性成分を組み込むことにより調製される。注射用滅菌溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製のある特定の方法は、以下に限定されないが、活性成分および任意のさらなる所望の成分の粉末を予め滅菌ろ過されたその溶液から得る真空乾燥技法および凍結乾燥技法を含む。
【0146】
一部の実施形態では、医薬組成物は、局所および/または経皮送達用に製剤化される。本出願の組成物は、局部または局所投与に好適な、液体、半固体または固体形態の調製物に製剤化され得る。局所または局部投与に好適な形態の例には、以下に限定されないが、ゲル剤、水溶性ゼリー剤、クリーム剤、ローション剤、懸濁剤、発泡体剤、散剤、スラリー剤、軟膏剤、油剤、ペースト剤、坐剤、液剤、噴霧剤、エマルション剤、生理食塩水液剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)をベースとする液剤が含まれる。一般に、より高い密度を有する担体は、活性成分に長期間曝露される領域をもたらすことが可能である。対照的に、溶液製剤は、選択領域への活性成分の一層速やかな曝露をもたらすことができる。
【0147】
医薬組成物は、好適な固相担体またはゲル相担体を含んでもよく、これらは、皮膚の角質層障壁を通過する、治療分子の浸透の増大または送達の支援を可能にする化合物である。局所製剤の当業者に公知のこれらの浸透促進性分子が多数存在する。このような担体および賦形剤の例には、以下に限定されないが、アルコール(例えば、エタノール)、脂肪酸(例えば、オレイン酸)、保水剤(例えば、ウレア)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、界面活性剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピルおよびラウリル硫酸ナトリウム)、モノラウリン酸グリセロール、スルホキシド、ピロリドン、テルペン(例えば、メントール)、アミン、アミド、アルカン、アルカノール、水、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチンおよびポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれる。
【0148】
本出願の方法において使用するための別の例示的な製剤は、経皮送達デバイス(「パッチ剤」)を使用する。このような経皮パッチ剤を使用して、追加剤を使用するか、または使用しないかのどちらか一方で、制御量の本明細書に記載されているメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)の連続注入または断続的注入を提供することができる。医薬剤の送達のための経皮パッチ剤の構築および使用は、当分野で周知である。参照により本明細書に組み込まれている、例えば、米国特許第5,023,252号;同第4,992,445号;および同第5,001,139号を参照されたい。
【0149】
一部の実施形態では、本出願は、経皮送達するための、有効量の本明細書に記載されているメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)、および吸入による送達に好適な薬学的賦形剤を含む医薬組成物を提供する。吸入用の組成物は、薬学的に許容される水性溶媒もしくは有機溶媒、またはそれらの混合物中の溶液および懸濁物、ならびに粉末を含む。液体組成物または固体組成物は、本明細書に記載される好適な薬学的に許容される賦形剤を含有することができる。組成物は、全身作用のために、経口または鼻呼吸経路によって投与されてもよい。一部の実施形態では、好ましくは薬学的に許容される溶媒中の組成物は、不活性ガスの使用によって噴霧されてもよい。一部の実施形態では、噴霧された溶液は、噴霧デバイスから直接、吸入されてもよい。他の実施形態では、噴霧デバイスは、フェイスマスク型テントに、または断続的な陽圧呼吸装置に取り付けられてもよい。溶液、懸濁物または粉末組成物は、適切な方法で製剤を送達するデバイスから、好ましくは経口または鼻投与されてもよい。
【0150】
他の医薬組成物
本出願において使用される医薬組成物および/または組合せ物は、眼内(眼)、直腸、舌下、口内または鼻内(例えば、肺内)投与用に製剤化することができる。眼内投与に好適な製剤は、活性成分が、活性成分用の好適な担体、とりわけ、水性溶媒中に溶解されているか、または懸濁されている点眼剤を含む。活性成分は、0.5~20%w/w、有利には、0.5~10%w/w、特に、約1.5%w/wの濃度で、このような製剤中に好ましくは存在する。舌下投与に好適な製剤は、通常、口内に入れると迅速に溶解し、活性成分が舌下の血管を介して吸収されるのが可能となるよう製剤化される。例示的な舌下製剤には、例えば、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントの風味付けされた基剤中に活性成分を含むロゼンジ剤;ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤中に活性成分を含むトローチ剤;好適な液体担体に活性成分を含む洗口剤;例えば、口内に入れると90秒未満に崩壊することができる口内崩壊性錠剤;および薄層フィルムが含まれる。このような崩壊は、in vitroでの溶解試験によって測定することができる。口内投与用の製剤は、いくつかの例を挙げると、例えば、口内錠剤、生体接着性粒子、ウェハ剤、ロゼンジ剤、薬用チューインガム剤、接着性ゲル剤、パッチ剤、フィルム剤を含むことができ、これらは、水溶液、ペースト、軟膏またはエアロゾルとして送達することができる。直腸投与向け製剤は、例えば、カカオ脂またはサリチレートを含む好適な基剤を含む坐剤として提示され得る。肺内投与または鼻投与に好適な製剤は、肺胞嚢に到達するよう、鼻道からの急速吸入によって、または口からの吸入によって投与される、例えば0.1~500ミクロン(0.5、1、30ミクロン、35ミクロンなどのミクロン増分で0.1~500ミクロンの間の範囲の粒子サイズを含む)の範囲の粒子サイズを有することができる。好適な製剤は、活性成分の水性または油性溶液を含む。エアロゾルまたは乾燥粉末投与に好適な製剤は、従来の方法に準拠して調製することができ、以下に記載されている通り、がん性感染の処置または予防に従来、使用される化合物などの他の治療剤と共に送達されてもよい。本出願の薬理学的製剤は、様々なビヒクル、佐剤、添加物および希釈剤などの、任意の適合可能な担体を含有する注射可能な製剤で、患者に投与することができる。または、本出願において利用されるメトピマジンメシル酸塩は、モノクローナル抗体、ベクター化送達、イオン導入、ポリマーマトリックス、リポソームおよびマイクロスフィアなどの緩徐放出皮下インプラントまたは標的送達システムの形態で患者に非経口投与することができる。本出願に有用な送達システムの例には、5,225,182;5,169,383;5,167,616;4,959,217;4,925,678;4,487,603;4,486,194;4,447,233;4,447,224;4,439,196;および4,475,196が含まれる。他の多くのこのようなインプラント、送達システムおよびモジュールは、当業者に周知である。
【0151】
このような医薬組成物に関する調製物は、例えば、Anderson, Philip O.; Knoben, James E.; Troutman, William G, eds., Handbook of Clinical Drug Data, Tenth Edition, McGraw-Hill, 2002; Pratt and Taylor, eds., Principles of Drug Action, Third Edition, Churchill Livingston, New York, 1990; Katzung, ed., Basic and Clinical Pharmacology, Ninth Edition, McGraw Hill, 20037ybg; Goodman and Gilman, eds., The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Edition, McGraw Hill, 2001; Remingtons Pharmaceutical Sciences, 20th Ed., Lippincott Williams & Wilkins., 2000; Martindale, The Extra Pharmacopoeia, Thirty-Second Edition (The Pharmaceutical Press, London, 1999)に記載されている。それらのすべての全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0152】
例示的な投与様式
本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物の投与は、作用部位に、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)の送達を可能にする任意の方法によって行うことができる。組成物および/または組合せ物は、経口、非経口、腸内、腹腔内、局所、経皮、眼、鼻内、局部、非経口、スプレーにより、皮下、静脈内、扁桃内、筋肉内、口内、舌下、直腸、動脈内、注入によりまたは髄腔内に投与することができる。一部の実施形態では、組成物および/または組合せ物は経口投与される。一部の場合、経口投与は、本明細書に記載されている経口剤形のいずれかの投与を含むことができる。投与される、有効量のメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、処置される対象、障害または状態の重症度、投与速度、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)の処分、および処方医師の自由裁量に依存するであろう。
【0153】
対象には、腸管神経系障害の処置のために、1日投与量の本明細書に記載されているメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)を投与することができる。1日投与量は、1日あたり体重1kgあたり、約0.01mg~約500mgとすることができる。
【0154】
一部の実施形態では、投与は、注入を含んでもよい。一部の場合、注入は、慢性的な定常投与を含んでもよい。例えば、制御ポンプによる慢性的な定常投与用のデバイスは、当分野で公知である(例は、参照により本明細書において組み込まれている、US7341577、US7351239、US8058251に記載され得る)。
【0155】
メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)の投与は、必要な限り継続してもよい。一部の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、1、2、3、4、5、6、7、14または28日間を超えて投与される。特定の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、5日間を超えて投与される。一部の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、12週間を超えて投与される。一部の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、1か月間を超えて、2か月間を超えて、4か月間を超えて、6か月間を超えて、1年間を超えて、2年間を超えてまたは5年間を超えて投与される。一部の実施形態では、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)は、5日間未満にわたり投与される。
【0156】
例示的な併用療法
追加剤の共投与を含む、本明細書において開示されている方法では、追加剤は、低分子、栄養補給食品(nutraceutical)、ビタミン、例えばビタミンD、薬物、プロドラッグ、生物製剤、ペプチド、ペプチドミメティック、抗体、抗体断片、細胞または組織移植片、ワクチン、ポリヌクレオチド、DNA分子、RNA分子(すなわち、-siRNA、miRNA)、薬物にコンジュゲートされた抗体、毒素、融合タンパク質とすることができる。薬剤は、以下に限定されないが、プラスミドベクター、ウイルスベクター、非ウイルスベクター、リポソーム製剤、ナノ粒子製剤、毒素、治療的放射性同位体などを含むベクターによって送達されてもよい。
【0157】
一部の実施形態では、本出願の方法は、末梢に限定されるドーパミンデカルボキシラーゼ阻害剤と本明細書に記載されている医薬組成物との共投与を含む。例えば、本出願の方法は、カルビドーパと本明細書に記載されている医薬組成物との共投与を含むことができる。
【0158】
追加剤は、腸管神経系障害の処置に使用するための薬剤とすることができる。一部の実施形態では、追加剤は、追加の抗嘔吐剤(例えば、吐き気および/または嘔吐の処置に使用するためのもの)である。追加の抗嘔吐剤は、単なる非限定例として、5-HT3受容体アンタゴニスト、ドーパミン受容体アンタゴニスト、NK1受容体アンタゴニスト、抗ヒスタミン薬、カンナビノイド、ベンゾジアゼピン、抗コリン作動剤、ステロイド、フェノチアジンまたは他の抗嘔吐剤とすることができる。例示的な5-HT3受容体アンタゴニストには、以下に限定されないが、オンダンセトロン(Odansetron)、トロピセトロン、グラニセトロン、パロノセトロン、ドラセトロンが含まれる。例示的なドーパミン受容体アンタゴニストには、例えば、メトクロプラミド(レグラン)、ドンペリドン(モチリウム)、オランザピン(ジプレクサ)、ドロペリドール、ハロペリドール、クロルプロマジン、プロメタジン、プロクロルペラジン、アリザプリド、プロクロルペラジン、スルピリドが含まれる。例示的なNK1受容体アンタゴニストには、例えば、アプレピタント、トラジピタントまたはカソピタントが含まれる。例示的な抗ヒスタミン薬には、例えば、シクリジン、ジフェンヒドラミン(ベナドリル)、ジメンヒドリネート(グラボール、ドラマミン)、ドキシルアミン、メクロジン(ボニン、アンチベート)、プロメタジン(ペンタジン、フェネルガン、プロマコット)、およびヒドロキシジン(ビスタリル)、シメチジン、ファモチジン、ラフチジン、ニザチジン、ラニチジン、ロキサチジン、チオチジンが含まれる。例示的なカンナビノイドには、例えば、大麻、Sativex、テトラヒドロカンナビノール、ドロナビノール、およびナビロンなどの合成カンナビノイドが含まれる。例示的なベンゾジアゼピンには、例えば、ミダゾラムまたはロラゼパムが含まれる。例示的な抗コリン作動剤には、例えば、スコポラミンが含まれる。他の例示的な抗嘔吐剤には、例えば、トリメトベンズアミド、ショウキョウ、エメトロール、プロポフォール、ペパーミント、エリトロマイシン、ムシモール、ボツリヌス毒素A(例えば、幽門筋を弛緩するために胃に注入される)およびアジョワンが含まれる。例示的なフェノチアジンには、例えば、チエチルペラジン(トレカン)、プロクロルペラジン(コンプロ、コンパジン)、プロメタジン(フェネルガン)、チエチルペラジン(トレカン)が含まれる。他の例示的な薬剤は、ベタネコール(ウレコリン)、シサプリド(プロプルシド)、ドンペリドン(モチリウム)、エリトロマイシン(Eマイシン)、メトクロプラミド(レグラン、メトゾルブ)、臭化ピリドスチグミン(メスチノン)などの消化管運動促進薬である。追加剤は、胃不全まひに関連する別の疾患または臨床的な症候群の処置のための薬剤とすることができる。例示的な他の疾患および臨床的な症候群は、本明細書に記載されている。
【0159】
追加剤は、グレリンアゴニストまたはモチリンアゴニストなどの消化管運動促進剤とすることができる。例示的なグレリンアゴニストには、例えば、レラモレリンおよびウリモレリンが含まれる。例示的なモチリンアゴニストには、例えば、エリトロマイシン、アジスロマイシンまたはクラリスロマイシンが含まれる。
【0160】
追加剤は、糖尿病を処置する薬剤とすることができる。糖尿病を処置する例示的な薬剤には、例えば、インスリンが含まれる。糖尿病の処置のための他の薬剤は、例えば、米国特許第6274549号、同第8349818号、同第6184209号、米国特許出願公開番号US20070129307およびPCT出願公開番号WO/2004/082667A1に記載されており、それらのすべてが、参照により本明細書に組み込まれている。
【0161】
追加剤は、パーキンソン病に関連する、上部および下部の運動不全障害を処置するためのものとすることができる。追加剤は、パーキンソン病を処置するためのものとすることができる。パーキンソン病の処置のための例示的な薬剤には、例えば、ドーパミン作動剤、例えば、セレギリンなどのMAO-AまたはB阻害剤、エンタカポンなどのCOMT阻害剤、アマンタジン、幹細胞移植片および神経保護剤が含まれる。例示的なドーパミン作動剤には、以下に限定されないが、レボドーパ、ブロモクリプチン、ペルゴリド、プラミペキソール、カベルゴリン、ロピニロール(Ropinorole)、アポモルフィンまたはそれらの組合せが含まれる。
【0162】
追加剤は、鎮痛薬などの疼痛を処置するためのものとすることができる。例示的な鎮痛薬には、例えば、アミトリプチリン(エラビル)、ガバペンチン(ニューロンチン)、プレガバリン(リリカ)、ヒドロモルホン(ジラウジッド)、イブプロフェン(アドビル、モトリン)、アセトアミノフェン(タイレノール(Tylanol))、ケトロラクトロメタミン(トラドール)、ミルタザピン(レメロン)、モルフィン(MSコンチン(MSCotin))、ナプロキセン(アリーブ)、ノルトリプチリン(パメロール)、オキシコドン(オキシコチン)、オキシコドンおよびパラセタモール(パーコセット)、タペンタドール(ヌシンタ)、トラマドール(ウルトラム、ウルトラセト)が含まれる。
【0163】
追加剤は、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症または副甲状腺機能亢進症を処置するためのものとすることができる。このような疾患を処置するための例示的な薬剤には、例えば、ベータアドレナリン遮断薬(「ベータ遮断薬」)、レボチロキシンカルシウム受容体作動薬、エストロゲン、プロゲステロン、ビスホスホネートが含まれる。
【0164】
追加剤は、副腎不全を処置するためのものとすることができる。副腎不全を処置するための例示的な薬剤には、例えば、コルチコステロイドホルモン(例えば、アルドステロン、フルドロコルチゾンおよびコルチゾール)が含まれる。
【0165】
追加剤は、胃食道逆流を処置するためのものとすることができる。胃食道逆流を処置するための例示的な薬剤には、例えば、炭酸カルシウムまたは水酸化マグネシウム(magnesiun hydroxyde)などの制酸薬、例えば、オメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤、ラニチジン、ファモチジンなどのH2受容体アンタゴニスト、制酸薬、モサプリド、スクラルファートおよびバクロフェン、ボノプラザン、フェクスプレザン(fexuprezan)またはテゴプラザンなどのカリウム競合型酸遮断薬(P-CAB)が含まれる。
【0166】
追加剤は、強皮症を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、D-ペニシラミン、コルヒチン、PUVA、レラキシン、シクロスポリンおよびEPA(オメガ-3油誘導体)、例えばメトトレキセート、シクロホスファミド、アザチオプリンおよびミコフェノレートなどの免疫抑制剤とすることができる。追加剤は、多発性筋炎を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、コルチコステロイド、例えばプレドニゾンとすることができ、または免疫抑制剤とすることができる。
【0167】
追加剤は、筋ジストロフィーを処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、例えば、グルココルチコイド受容体アンタゴニストとすることができる。例示的なグルココルチコイド受容体アンタゴニストには、以下に限定されないが、ミフェプリストン、11β-(4-ジメチルアミノエトキシフェニル)-17α-プロピニル-17β-ヒドロキシ-4,9エストラジエン-3-オン、17β-ヒドロキシ-17α-19-(4-メチルフェニル)アンドロスタ-4,9(11)-ジエン-3-オン、4α(S)-ベンジル-2(R)-プロパ-1-イニル-1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)-オクタヒドロ-フェナントレン-2,7-ジオールおよび4α(S)-ベンジル-2(R)-クロロエチニル-1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)-オクタヒドロ-フェナントレン-2,7-ジオールおよび(11β,17β)-11-(1,3-ベンゾジオキソ-5-イル)-17-ヒドロキシ-17-(1-プロピニル)エストラ-4,9-ジエン-3-オンが含まれる。
【0168】
追加剤は、アミロイドーシスを処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、アミロイドベータシートミミック、抗酸化剤、分子シャペロンまたは他の作用剤とすることができる。アミロイドーシスを処置する例示的な薬剤は、例えば、WO/2008/141074に記載されている。例示的な分子シャペロンには、例えば、HSP60、HSP70、HSP90、HSP100、BiP、GRP94、GRP170、カルネキシンおよびカルレチクリン、タンパク質のジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、ペプチジルプロリルシス-トランス-イソメラーゼ(PPI)、トリメチルアミンN-オキシド(TMAO)、ベタイン、グリシンベタイン、グリセロ-ホスホリルコリン、例えば、グリセロール、ソルビトール、アラビトール、ミオ-イノシトールおよびトレハロースなどの炭水化物、コリン、4-フェニル酪酸およびタウリン-コンジュゲートウルソデオキシコール酸が含まれる。
【0169】
追加剤は、慢性の特発性偽性腸閉塞を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、プルカロプライド、ピリドスチグミン、メトクロプラミド、シサプリド、リナクロチド、オクトレオチド、カンナビノイドおよびエリトロマイシンとすることができる。
【0170】
追加剤は、皮膚筋炎を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、プレドニゾロン、メトトレキセート、ミコフェノレート(セルセプト/Myfortic)、静脈内免疫グロブリン、アザチオプリン(イムラン)、シクロホスファミド、リツキシマブおよびActharゲルとすることができる。
【0171】
追加剤は、全身性エリテマトーデス(erytematosus)を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、腎移植片、コルチコステロイド、免疫抑制剤、ヒドロキシクロロキン、シクロホスファミド、ミコフェノール酸、免疫抑制剤、鎮痛薬、静脈内免疫グロブリン(immunoglobin)などとすることができる。
【0172】
追加剤は、食欲不振および/または過食症を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、オランザピン、三環系抗うつ剤、MAO阻害剤、ミアンセリン、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、例えば、フロキセチン、炭酸リチウム(ithium carbonate)、トラゾドンおよびブプロピオン、フェニトイン、カルバムアゼピン、ならびにバルプロ酸、例えば、ナロキソンおよびナルトレキソンなどのオピエートアンタゴニスト、ならびにトピラメートとすることができる。
【0173】
追加剤は、うつ病を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害剤、ブプロピオン、三環系抗うつ剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤などとすることができる。追加剤は、腫瘍随伴症候群を処置するためのものとすることができる。追加剤は、高頸髄病変を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、コルチコステロイドまたは他の抗炎症薬とすることができる。追加剤は、多発性硬化症を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、インターフェロンベータ-1b、インターフェロンベータ-1a、酢酸グラチラマー、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、テリフルノミドまたはクラドリビンとすることができる。
【0174】
追加の治療剤は、セロトニンアゴニスト、セロトニンアンタゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、抗痙攣薬、オピオイド受容体アゴニスト、ブラジキニン受容体アンタゴニスト、NK受容体アンタゴニスト、アドレナリン受容体アゴニスト、ベンゾジアゼピン、性腺刺激ホルモン放出ホルモンアナログ、カルシウムチャネル遮断薬およびソマトスタチンアナログからなる群より選択することができる。
【0175】
腸管神経系障害の処置に使用するための、追加剤およびメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)の投与量は、使用される追加の治療剤のタイプ、処置されている疾患または状態などに応じて様々となり得る。治療量未満の追加剤およびメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)の一方または両方を使用することができる。治療量未満の追加剤およびメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩の一方または両方が、相乗的に有効な量とすることができる。治療有効量の追加剤およびメトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)の一方または両方を使用することができる。本明細書に記載されている医薬組成物および追加剤は、同時にまたは逐次のいずれかで投与されてもよい。逐次に投与される場合、主治医または介護人は、メトピマジンまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩などのメトピマジンの薬学的に許容される塩)および追加の治療剤を投与する適切な順序を決めることができる。
【0176】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物および/または組合せ物のいずれかを投与するステップを含む方法は、追加の治療レジメンとの併用療法をさらに含む。追加の治療レジメンは、医療デバイスの埋め込みを含むことができる。医療デバイスは、胃および/または腹部、例えば、十二指腸に埋め込まれ得る。医療デバイスは、電気的デバイスとすることができる。医療デバイスは、ペースメーカーとすることができる。このようなペースメーカーは、胃および/または十二指腸の収縮を誘導するよう電流を利用し、それによって胃腸管の運動を促すことができる。このような医療デバイス、およびそれらを使用する方法は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第8,095,218号に開示されている。
【0177】
本出願の実施形態は、以下の実施例を参照することによって、詳細にさらに記載される。これらの実施例は、例示目的のために提示されているに過ぎず、別段の指定がない限り限定を意図するものではない。したがって、本出願は、以下の実施例に限定されると決して解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書において提示されている教示の結果として明白になるありとあらゆる変形形態を包含すると解釈されるべきである。
【実施例
【0178】
以下の実施例は、本出願を例示するものであるが、それを限定するものではない。
【0179】
(実施例1)
in vitro研究
試験物品、代謝産物および試薬
メトピマジン(MPZ)、メトピマジンの酸(MPZA)および硫酸メトピマジン(MPZS)は、Pacific Pharmaceutical Services(Reno、NV)によって供給された。ブプロピオン、デキストロメトルファン、ジクロフェナク、ミダゾラム、パクリタキセル、フェナセチン、テストステロン、イトラコナゾール、モンテルカスト、キニジン、スルファフェナゾール、ベンジダミン、ビス(4-ニトロフェニル)ホスフェート(BNPP)、7-エトキシクマリン(7-EC)、メナジオン、メチマゾール、フタラジンおよびβニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH、四ナトリウム塩)は、Sigma-Aldrich(St.Louis、MO)から購入した。クロルゾキサゾンおよび1アミノベンゾトリアゾール(ABT)は、東京化成工業(Portland、OR)から購入した。クマリンは、Acros Organics(Waltham、MA)から購入した。(S)メフェニトイン、(+)-ベンジルニルバノールおよびトラニルシプロミンは、Toronto Research Chemicals(North York、Ontario、カナダ)から購入した。フラフィリンは、Cayman Chemical(Ann Arbor、MI)から購入した。プールしたヒト肝ミクロソーム(HLM)およびヒト腎ミクロソーム(HKM)は、BioIVT(Westbury、NY)から購入した。プールしたヒト肝S9およびヒト腸S9の画分およびプールしたヒト肝サイトゾル(HLC)は、Xenotech(Lenexa、KS)から購入した。Supersomes(商標)CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4、CYP3A5、FMO1、FMO3およびFMO5は、Corning Inc.(Corning、NY)から購入した。CTL P450(P450レダクターゼおよびシトクロムb5だけを含有するSupersomes(商標))も、Corning,Inc.から購入し、CYP反応においてタンパク質含有量を正規化するために使用した。受領時に、すべての試験システムは、使用するまで≦70℃で保管した。
【0180】
試薬の調製
リン酸二水素カリウム(1M)およびリン酸水素二カリウム(1M)ストック溶液を水(Milli-Q(登録商標)、Millipore)により、100mMに希釈した。100mMのリン酸カリウム緩衝液は、リン酸水素二カリウム溶液(100mM)に、pHの値を7.4、8.4または9.4に調節するまで、リン酸二水素カリウム溶液(100mM)を加えることによって調製した。得られた100mMのリン酸カリウム緩衝液(KPi)を冷蔵保管した(4℃)。使用前に、NADPH溶液(四ナトリウム塩)をKPi緩衝液中で新しく調製し、1mMの最終濃度で反応に使用した。
【0181】
ストック溶液の調製
20mMのMPZ(ロット番号AP237759063 076-01)のストック溶液を、DMSO中で調製し、使用するまで-20℃で保管した。インキュベーション前に、1μMまたは10μM(インキュベーション混合物中の最終濃度)のMPZを調製した。陽性対照プローブ(7-EC)の一次ストック溶液(ストックA)をエタノール中で調製し、使用するまで-20℃で保管した。ストックAの濃度は、100mMとした。実験の当日に、陽性対照のその後の作業用溶液は、適切な緩衝液(ストックB)を使用して、100×のインキュベーション濃度で(ストックAから)調製した。
【0182】
陽性対照プローブ(ベンジダミンおよびフタラジン)の一次ストック溶液(ストックA)をDMSO中で調製し、使用するまで-20℃で保管した。ストックAの濃度は、それぞれ、100mM(ベンジダミンの場合)および1mM(フタラジンの場合)とした。実験の当日に、陽性対照のその後の作業用溶液は、KPi緩衝液(ストックB)中で(ストックAから)調製した。
【0183】
ヒト肝S9中でのMPZのインキュベーション
肝臓および腸からのS9画分を用いて初期実験を行い、MPZの代謝における、肝臓および腸管酵素の役割を評価した。この反応混合物は、2.5μMのMPZ、プールしたヒト肝または腸S9画分(1mg/mLのS9タンパク質)、100mMのKPi緩衝液(pH7.4)を含有した。5%CO2を満たした加湿インキュベータ中で、この反応混合物を37℃で3~5分間、事前インキュベートし、次いで、NADPH(1mM)を加え、反応を開始した。この反応物を0分間および60分間、インキュベートした。インキュベーション混合物中の有機溶媒の全百分率は、≦0.1%であった。アセトニトリルおよびエタノール(90:10、v/v)の試料混合物の添加によって、この反応を終了した。陽性対照基質7-ECをS9画分に関して、MPZと同一の方法で、三連でインキュベートした。
【0184】
HLMとのインキュベーション
タンパク質濃度を最適化するため、1μMのMPZを様々な濃度のHLMタンパク質(0.1、0.25、0.5および1.0mg/mLのミクロソームタンパク質)、100mM KPi緩衝液(pH7.4)と共にインキュベートした。37℃で3~5分間、事前インキュベートした後に、60分間、三連で、NADPH(1mM)を添加することによって反応を開始した。
【0185】
インキュベーション時間を最適化するため、1μMのMPZをプールしたHLM(0.5mg/mLのミクロソームタンパク質)および100mM KPi緩衝液(pH7.4)と共にインキュベートした。37℃で3~5分間、事前インキュベートした後、NADPH(1mM)を添加することによって反応を開始し、0、10、20、40、60および90分間、インキュベートして、最適インキュベーション時間(線形範囲)を決定した。この研究における代謝反応はすべて、特に示さない限り、内部標準を含有する冷有機溶媒(アセトニトリル:エタノール90:10、v/v)の添加によって終了した。
【0186】
CYP阻害剤とのHLMのインキュベーション
MPZの代謝におけるミクロソームCYP酵素の役割を決定するため、MPZを三連で、1μMおよび10μMのプールしたHLMと共にインキュベートし、MPZの消失および既知の代謝産物(MPZA、MPZSおよびMPZH)の形成を評価した。最初に、2組のインキュベーションをHLM(0.5mg/mLのミクロソームタンパク質)、1μMおよび10μMのMPZ、100mMのKPi緩衝液(pH7.4)を用いて行い、この場合、1組は、非特異的なCYP阻害剤であるABTを1mMの存在下で60分間、行い、もう一方は、ABTの非存在下で60分間、行った。これによって、MPZ代謝に関する、CYPの総合的な寄与の評価が可能となった。次に、CYP特異的な化学的阻害剤を使用して、個々の主要なCYPアイソフォームの寄与を評価し、この場合、HLMを、各CYP特異的阻害剤の存在下、および非存在下、1μMまたは10μMのMPZと共に37℃で60分間、インキュベートした。以下のCYPアイソフォーム特異的化学阻害剤を使用した:CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6およびCYP3A4/5に対して、フラフィリン(10μM)、トラニルシプロミン(10μM)、モンテルカスト(montelucast)(0.5μM)、スルファフェナゾール(5μM)、(+)ベンジルニルビノール(5μM)、キニジン(1μM)およびイトラコナゾール(2.5μM)。7種のCYP特異的プローブ基質との並行インキュベーションを、陽性対照として含ませた。陰性対照反応に関しては、NADPHを含まない反応混合物中で、MPZを37℃において二連でインキュベートした。他のすべての手順は、既に記載したものと同じとした。
【0187】
組換えCYPアイソフォームとのインキュベーション
組換えCYPアイソフォーム(Supersomes(商標))を使用して、MPZの代謝における、CYPアイソフォームの寄与を決定した。1.0μMのMPZを、個々のCYP Supersomes(商標)(CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4およびCYP3A5)と共に三連でインキュベートした。インキュベーション混合物中の最終的なP450含有量は、50pmol/mLであった。CYPアイソフォームのすべてのタンパク質濃度を最高のタンパク質濃度を含有する組換えCYPに正規化した。MPZまたはCYP基質、KPi緩衝液(pH7.4)およびCYP酵素を含有する反応混合物を3~5分間、37℃で事前インキュベートした。他のすべての手順を既に記載したものと同じとした。マーカー基質(CYP2A6の場合、クマリン、CYP2E1の場合、クロルゾキサゾン、CYP3A4およびCYP3A5の場合、ミダゾラム、およびセクション7.2.8に表示したものと同じ他のCYPアイソフォームの場合、プローブ基質)を並行して、1.0μMでインキュベートした。インキュベーション反応に対する陰性対照は、同一条件下、NADPHの非存在下でインキュベートした。
【0188】
FMOの場合の、HLMおよびHKMとのインキュベーション
1.0μMおよび10.0μMのMPZを、HLMまたはHKMとインキュベートし、MPZの代謝に対するミクロソームFMOの寄与を決定した。
【0189】
KPi緩衝液(pH8.4)、HLMまたはHKM(0.5mg/mLのタンパク質)およびMPZ(1.0μMおよび10.0μM)を含有する反応混合物を、37℃で3~5分間、事前インキュベートした。この反応混合物にNADPHを添加することによって反応を開始した。0分間および60分間、反応を行った。陽性対照(ベンジダミン、100μM)は、0分間および20分間、二連でインキュベートした。同一条件下、非特異的なFMO阻害剤であるメチマゾールを1mM添加することによって、並行インキュベーションを行った。熱不活性化ミクロソーム(少なくとも5分間、50℃)を同一条件の陰性対照の下でインキュベートした。他のすべての手順を既に記載したものと同じとした。
【0190】
組換えFMOとのインキュベーション
1.0μMのMPZを個々の組換えFMO(FMO1、FMO3およびFMO5の場合、Supersomes(商標))と共に三連でインキュベートした。rFMOアイソフォームのすべてのタンパク質濃度は、0.05mg/mLとした。陽性対照(ベンジダミン、100μM)を20分間、インキュベートした。MPZまたはFMO基質、KPi緩衝液(pH8.4)およびFMO Supersomes(商標)を含有する反応混合物を3~5分間、37℃で事前インキュベートした。他のすべての手順を既に記載したものと同じとした。陰性対照の反応をNADPHの非存在下でインキュベートした。
【0191】
ミクロソームヒドロラーゼ/アミダーゼ活性に関するHLMとのインキュベーション
アミダーゼ活性に関する反応の前に、KPi緩衝液(pH7.4、8.4または9.4)およびHLMを含有する反応混合物を50℃で5分間、事前インキュベートし、HLM中でCYPおよびFMO活性を不活性化した。この混合物を氷上に置き、冷却した。アリコートを採取し、これをt=0分のインキュベーションと見なした。次に、残りの混合物に10μMのMPZを加え、60分間、オービタルシェーカーにおいて37℃でインキュベートした。並行した1組のインキュベーションを2μMおよび16μMのBNPP(アミダーゼの公知の阻害剤)の存在下、10μMのMPZと共に行った。反応はすべて、三連とした。インキュベーション混合物中の有機溶媒の全百分率は、≦0.1%であった。冷アセトニトリル:メタノール90:10(v/v)の添加によって、この反応を終了した。試料をボルテックス混合し、≦-70℃で保管し、LC MS/MSによる分析を施した。
【0192】
AO活性に関するHLC画分とのインキュベーション
ヒト肝サイトゾルのインキュベーションにおいて、MPZの代謝を評価した。代謝インキュベーションをHLC(1mg/mLタンパク質)および10μMのMPZと共に、オービタルシェーカーにおいて37℃で60分間、行った。並行した1組のインキュベーションもまた、ヒトアルデヒドオキシダーゼの公知の阻害剤であるメナジオン100μMの存在下、10μMのMPZで行った。別の組のインキュベーションもまた、同一条件下、陽性対照としてアルデヒドオキシダーゼに対する公知の基質であるフタラジン1μMで行った。
【0193】
LC/MS/MS法
MPZおよびその代謝産物(MPZAおよびMPZS)、7ヒドロキシクマリン、CYPプローブ基質の各代謝産物、ベンジダミンN酸化物およびフタラジンのLC分離条件を開発した。LC MS/MSシステムは、Shimadzu Nexera X2 LC-30 UPLCシステム(島津製作所、京都、日本)からなり、API4000トリプル四重極質量分析計(SCIEX、Framingham、MA)を分析に使用した。検体はすべて、陰イオンモードを使用した7-ECを除き、陽イオンモードのエレクトロスプレーイオン化(ESI)を使用して分析した。LC-MS/MSシステムは、Analystソフトウェア(バージョン1.6.1、SCIEX、Framingham、MA)によって制御した。
【0194】
各分析方法に関しては、MPZおよびその2種の代謝産物(MPZAおよびMPZS)の定量を行うために較正曲線を生成した。参照標準がないために、ヒドロキシル化メトピマジン(MPZH)を、ISに対する推定ヒドロキシル化検体のピーク面積比(PAR)に基づいて、定性的に求めた。PARはまた、すべての陽性対照化合物にも使用した。
【0195】
データ分析
各検体の消失の程度をISに対する検体のPAR、または時間0(t=0、100%)のPARに対する異なるサンプリング時間点の濃度を比較することによって評価した。親の残存値の%は、以下の式に従って計算した:
親残存%=(各サンプリング時間点における平均濃度またはPAR/時間0の平均濃度またはPAR)×100
【0196】
データの表に提示されている全ての統計値(例えば、平均値、標準偏差)は、「表示された精度」数に基づく(MS Excel、バージョン2010)。作図にGraphPad Prism(バージョン8、San Diego、CA)を使用した。
【0197】
結果
肝臓および腸のS9画分、およびミクロソームにおける代謝
MPZをHLMと共にインキュベートすると、3種の一次代謝産物が全スキャンLC-MS分析において観察された。ピーク面積に基づくと、最大シグナルは、m/z 447.14に見出され、これは、ヒトにおける主要なin vivoでの代謝産物であるMPZAに相当した。2種の他の同重体ピークが、MPZHおよびMPZS代謝産物に一致する、m/z 462.15に観察された(表1)。
【表1】
【0198】
ヒト肝S9画分において、ほぼ30%のMPZが消失し、3種の代謝産物(MPZA、MPZHおよびMPZS)のすべてが、60分間のインキュベーション後に形成した。対照的に、ヒト腸S9画分は、MPZの代謝を実質的に示さず、腸での代謝の可能性が低いことを示した。MPZの消失に基づいて、HLMインキュベーションをタンパク質濃度および時間に対して最適化し、PARに基づいて決定した。MPZ(1μM)を表示したHLMと共に60分間、インキュベートした。0.5mg/mLのHLMタンパク質濃度を時間最適化インキュベーションに選択した。MPZを、90分間にわたり、0.5mg/mLのタンパク質濃度のHLM中でインキュベートした。MPZの消失は、インキュベーション期間をわたり本質的に線形であり、60分間のインキュベーション時間で37.2%が残存し、これは、今後のインキュベーションにとって最適と見なした。MPZ、MPZAおよびMPZSの真正標準は、定量に利用可能であった一方、MPZHは、合成標準がないため、ピーク面積比を使用した半定量しか行うことができなかった。
【0199】
シトクロムP450の関与
シトクロムP450酵素の関与を決定するため、NADPH補因子をインキュベーション混合物に添加して、および添加せずに、公知の非特異的なCYP阻害剤である1-ABTの存在下および非存在下、1μMおよび10μMで、HLM中でMPZをインキュベートした。図1に示されている通り、インキュベーションに1-ABTが存在すると、MPZSの形成が阻害されたが、MPZAには影響しなかった。さらに、NADPHが存在しない場合もまた、MPZAの形成が低減しなかったが、MPZSの形成は完全に遮断された。図2中のピーク面積比(PAR)を定性的に観察した場合、MPZSと同様にMPZHの形成もまた、汎CYP阻害剤である1-ABTによって阻害され、MPZHの形成も、NADPHの非存在下で完全に遮断された。このことは、NADPH依存性シトクロムP450酵素は、MPZSおよびMPZH代謝産物の両方の生成に関与しているが、MPZAは、シトクロムP450酵素またはいかなるNADPH依存代謝過程によっても形成しないことを示している。どのCYPアイソフォームがMPZ代謝に関与しているかを決定するため、別々のHLMインキュベーションを、7種のシトクロムP450酵素の各々に対する特異的な阻害剤と共に行い、MPZ、MPZAおよびMPZSの量を質量分析法によって定量した。MPZS形成は、CYP3A4特異的阻害剤であるイトラコナゾールの存在によって明確に阻害された(図3)。MPZS形成は、CYP3A4特異的阻害剤であるイトラコナゾールの存在によって明確に阻害された一方、CYP2D6特異的阻害剤であるキニジンは、MPZHの形成を阻害した。これらの阻害剤はどれも、MPZA形成に影響を及ぼさなかった。さらに、組換えCYPを60分間、MPZと共にインキュベートし、図4および5に示されている通り、いずれの代謝産物の生成も確認された。組換えCYP実験では、MPZSは、CYP3A4によって主に生成したが、CYP2D6によっても、より少ない程度で生成した。阻害実験に一致して、MPZHは、組換えCYP2D6を用いた場合しか生成しなかった。他のCYP酵素のいずれも、MPZ代謝に対する寄与は顕著でないように思われた。
【0200】
MPZAの形成に関与する酵素
MPZA形成は、シトクロムP450によって媒介されなかったので、他の酵素であるFMOおよびヒドロキシラーゼを調査した。MPZの代謝に及ぼすミクロソームFMOの寄与を決定するため、MPZのインキュベーションをpH8.4(CYP関与を最小限にするはずのpH)において、NADPHの存在下、FMO阻害剤(メチマゾール)と共に、およびこれを伴わずに、1μMおよび10μMの混合しプールしたHLMまたはHKM中、三連で行った。HLM対照を含ませ、この場合、HLMを50℃で5分間、事前インキュベートして、CYPおよびFMO活性を不活性化した。MPZAのかなりの形成が、pH8.4において、HLM中のすべての条件で観察され、MPZの濃度の向上に伴って増大した。
【0201】
pH8.4において、MPZをHKMとインキュベートしても、代謝産物はなんら生成しなかった(図6)。まとめると、これらの結果は、肝臓代謝は、pH、FMO阻害およびさらに高温のインキュベーションによって影響を受けない一方、HKMによる代謝の証拠がないことを示している。HKMのインキュベーションにおいて、pH8.4でいかなる代謝産物の形成もなかったことによって、MPZAの形成が、pH単独によって触媒されないことが実証される。さらに、MPZA形成は、公知のFMO阻害剤メチマゾールまたは熱(FMO不活性化)によって阻害されず、MPZA代謝産物の形成における、FMO酵素の関与は排除された。これと一致し、組換えフラビンモノオキシゲナーゼ酵素(rhFMO1、rhFMO3およびrhFMO5)は、インキュベーション時にMPZを代謝しなかった(図7)。
【0202】
どのヒドロラーゼ活性がMPZのMPZAへの代謝を担っているかを見つけ出すため、HLMインキュベーションを、pHの値を7.4、8.4および9.4に向上させた以外、これまでの条件下で行った。MPZA形成は、アミダーゼ活性と一致して、pH9.4において非常に強い形成があったことを含め、pHが高いほど、実際に速かった(図8)。さらに、アミダーゼ阻害剤である、ビス-p-ニトロフェニルホスフェート(BNPP)もまた、インキュベーションの一部に加えた。このアミダーゼ阻害剤が存在する場合、2μMにおいて、最も高いpH条件および最も活性なpH条件でさえも、すべての活性の少なくとも97%が阻害された。この阻害剤濃度を16μMまで向上させると、MPZA形成の>99%が、3つのpHの値のすべてにおいて阻害された。まとめると、これらの結果は、MPZAが、ヒトミクロソーム肝アミダーゼによって形成されることと一致する。
【0203】
MPZAの形成もまた、ヒト肝サイトゾル(HLC)中、10μMのMPZのインキュベーションにおいて観察された。HLCは、60分間にわたるインキュベーションにおいて、ある程度のMPZAの形成を触媒し、これは、ヒトAOの公知の阻害剤であるメナジオン100μMをインキュベーションに含ませると、阻害された(48%)(表2)。この知見は、ヒト肝サイトゾルアルデヒドオキシダーゼは、MPZA経路への潜在的な寄与因子であることを示唆する。
【表2】
【0204】
これらの結果は、主要なin vivoでの代謝産物であるMPZAは、肝アミダーゼによって触媒され、アルデヒドオキシダーゼからの潜在的な寄与がいくらかあるという、妥当なMPZ代謝スキームを明確に実証している。微量の代謝産物は、CYP3A4およびCYP2D6によって触媒される。しかし、CYP酵素の関与は、in vitroでのMPZ代謝におけるミクロソームヒドロラーゼ/アミダーゼよりもはるかに小さかった(図9)。
【0205】
MPZは、ヒト肝ミクロソーム中で加水分解を受けて、MPZAを形成することが示された。MPZのMPZAへのこのような変換は、CYPの非特異的阻害剤であるABTを含めた、個々のCYP阻害剤のいずれによっても阻害されない。この活性は、NADPHに依存せず、生理的pHより高い条件下で増大する。脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)などのアミダーゼ/ヒドロラーゼは、8.5~10のpH範囲において最適な活性を有することが知られている(Ueda, N, Yamanaka, K, and Yamamoto, S (2001) Purification and Characterization of an Acid Amidase Selective for N-Palmitoylethanolamine, a Putative Endogenous Anti-inflammatory Substance J. Biol. Chem. 276: 35552-35557; Bisogno, T, Maurelli, S, Melck, D, De Petrocellis, L, and Di Marzo, V (1997) Biosynthesis, Uptake, and Degradation of Anandamide and Palmitoyl ethanolamide in Leukocytes J. Biol. Chem. 272: 3315-3323; Asano, Y, Achibana, MT, and Ani, YT, Yamada, H (1982) Purification and Characterization of Amidase which Participates in Nitrile Degradation. Agric. Biol. Chem., 46 (5): 1175-1181)。HLMでは、MPZのMPZAへのミクロソーム変換は、試験した最高のpHであるpH9.4において、最大であった。これらの特徴は、肝アミダーゼがMPZA形成を担う酵素であると明らかに示している。これらの知見と一致して、公知のアミダーゼ阻害剤であるBNPP(Shih, T, Pai, C, Yang, P, Chang, W, Wang, N, and Hu, OY (2013) A Novel Mechanism Underlies the Hepatotoxicity of Pyrazinamide. Antimicrob. Agents Chemother.57: 1685-1690; Sarich T.C., Adams, S.P., Petricca, G. and Wright, J.M. (1999) Inhibition of Isoniazid-Induced Hepatotoxicity in Rabbits by Pretreatment with an Amidase Inhibitor. J. Pharmacol. Exp. Ther. 289: 695-702)の添加により、HLM中でMPZAの形成が劇的に阻害された。
【0206】
肝アミダーゼ変換は、MPZ代謝に関与する主要な生体内変換酵素であると思われる一方、MPZAの形成に寄与し得る別の酵素は、サイトゾル酵素AOである。本発明者らは、HLC中で、MPZのMPZAへの変換を観察したが、HLMよりも程度はかなり低かった。この活性は、AOの公知の阻害剤であるメナジオンによって適度に阻害され、MPZ代謝へのAOの寄与の可能性を示唆する。AOは、モリブデン補因子を含有するメタロ酵素であり、通常、ヒドロキシラーゼ活性を示す(Mendel RR (2009) Cell biology of molybdenum. Biofactors 35: 429-434)。AOは、肝臓において最も広範囲に発現するが、GI管、ならびに腎臓、肺および皮膚にも発現する(Abbasi A, Paragas EM, Joswig-Jones CA, Rodgers JT, Jones JP (2019) Time Course of Aldehyde Oxidase and Why It Is Nonlinear. Drug Metab Dispos 47: 473-483)。AOは、幅広い範囲のアルデヒドのその対応するカルボン酸への酸化を触媒する。AOは、ファムシクロビル、ザレプロン、ゾニサミドおよびジプラシドンなどのいくつかの臨床的に重要な薬物の代謝に関与している。AOと筋萎縮性側索硬化症およびアルコール誘導性肝傷害などのいくつかの臨床的な障害の病態生理学との関連性が示唆されている(Kitamura, S, Sugihara, K and Ohta, S (2006) Drug Metabolizing Ability of Molybdenum Hydrolases.Drug Metab. Pharmacokinet. 21 (2): 83-98)。
【0207】
(実施例2)
in vivo研究
試験物品、代謝産物および試薬;試薬およびストック溶液の調製
試験物品、試薬および溶液の供給ならびに調製は、上記の実施例1の通りとした。
【0208】
臨床研究
臨床研究は、ヘルシンキ宣言に準拠して、Biotrial Rennes(Rennes、フランス)で行った。本研究(NG100-101)は、健常な成人対象に経口投与したメトピマジンの安全性、耐容性および薬物動態の、二重盲検プラセボ対照の漸増単回および複数回用量研究とした。研究プロトコル、インフォームドコンセントフォームおよび適切な関連書類は、施設内審査委員会によって承認を受け、すべての対象は、この研究への参加前に、書面のインフォームドコンセントを提出した。
【0209】
この研究では、逐次漸増単回用量を8名の参加者からなる4つのコホートに投与した(コホート1、2および3では、6:2の無作為化後に、コホートあたり6名の有効成分および2名のプラセボ、およびコホート4では2名のセンチネル参加者に対して1:1の無作為化)。午前中に、一晩、少なくとも10時間の絶食後に、8名の健常な成人対象(18~45歳の男性または女性)に、メトピマジン(または、適合プラセボ)を経口投与した。コホート1~4は、適合プラセボ、またはそれぞれ、15mg、30mg、45mgもしくは60mgの用量のVogalene(メトピマジン)カプセル剤の漸増用量を受容した。血液試料を以下の時間点:投与前および投与後0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、2、3、4、6、8、12、18および24時間時に採取した。血漿試料を血液試料の遠心分離によって得た。この研究のSADおよびMADのパートに関して、各コホートの包括的な安全性および薬物動態分析を行い、他の場所に提示する。的確な発見方法を使用して、代謝産物の存在について、最高の単回投与したコホートからの4名の対象を分析した。メトピマジン、メトピマジンの酸およびメトピマジンスルホキシドの血漿中濃度を、LC-MS/MS法を使用して定量した。
【0210】
ラットPK研究
メトピマジン(親)およびメトピマジンの酸(代謝産物)の薬物動態を、45mg/kgのメトピマジン(遊離塩基)の単回経口用量後の雄および雌のスプラーグドーリーラットで評価した。各用量群中の性別あたり3匹の動物を投与後の各時間点でサンプリングした(0.25、0.5、1、2、4、8、12および24時間)。ラット(rattus norvegicus)をEnvigo RMS,Inc.(Indianapolis、IN)から入手し、これらは2か月齢であった。用量を計算するため、各用量投与前に、動物を秤量した。メトピマジンおよびメトピマジンの酸への曝露を決定するため、ほぼ0.5mLの全静脈血液試料を動物の末梢静脈から採取した。性別あたり3匹の動物を各時間点においてサンプリングした。試料をプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma、#P8340、1:100の比)を含むKEDTAを含有する管に採集し、3000rpmで少なくとも10分間、冷却下で、遠心分離することによって血漿について処理するまで、氷上に置いた。遠心分離後、上清を取り出し、LC-MS/MSによって分析するまで、-70℃の冷凍庫で凍結保管した。
【0211】
イヌのPK研究
メトピマジン(親)およびメトピマジンの酸(代謝産物)の薬物動態を、10mg/kgのメトピマジン(遊離塩基)の単回経口用量後の3頭の雄のビーグル犬で評価した。イヌは、Marshall BioResources(North Rose、NY)から得た。用量を計算するため、各用量投与前に、動物を秤量した。メトピマジンをサイズ13のゼラチンカプセル中で投与した。メトピマジンおよびメトピマジンの酸を決定するため、ほぼ1.0mLの全静脈血液試料を全動物の末梢静脈から採取した。試料を以下の時間点:試験品の投与後の0.25、0.5、1、2、4、8、12および24時間時に採取した。全動物を各時間点においてサンプリングした。KEDTAを含有する管に試料を採集し、3000rpmで少なくとも10分間、冷却下で、遠心分離することによって血漿について処理するまで、氷上に置いた。遠心分離後、上清を取り出し、LC-MS/MSによって分析するまで、-70℃の冷凍庫で凍結保管した。
【0212】
ヒト血漿試料の調製
MPZおよび代謝産物(MPZAおよびMPZS)の血漿中濃度を決定するための静脈血液試料(6mL)を直接静脈穿刺によって、または静脈内カテーテルを介して、KEDTA Vacutainer(登録商標)管に抜き取った。血液採集中の溶血を回避することが重要であった。採集後、60分間以内に、5℃で10分間、血液試料を1分あたり3000回転で遠心分離した。得られた血漿を2つの等しい1000μLのアリコート(アリコートAおよびB)に分離し、ポリプロピレン製管に移し、これにラベルを付けて、血液採集の120分以内に凍結して、生物学的分析に必要になるまで-70℃で保管した。生物学的分析の直前に、試料を解凍し、200μLのアリコートを取り出し、アセトニトリルタンパク質沈殿を使用して検体を抽出した。抽出した試料を2回、すなわち1回は、MPZおよびMPZAの定量のため、および以下に記載されているMPZSを定量するため、再度分析した。
【0213】
ラット、イヌおよびヒト血漿試料におけるメトピマジンおよびメトピマジンの酸のLC/MS/MS法。
ラット、イヌおよびヒト血漿において、MPZおよびメトピマジンの酸(MPZA)のための、MRM LC-MS/MS法を開発した。この方法は、陽イオンモードにおいて逆相で実施した。Analystソフトウェア1.4を実行した、Shimadzu Nexera X2 LC-30UPLCシステム(島津製作所、京都、日本)およびAPI4000トリプル四重極質量分析計(SCIEX、Framingham、MA)からなるLC-MS/MSシステムを使用して、LC分離条件を、Supelco Discovery HS F5 50x4.0mm 3μmカラム(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を使用して、MPZおよびMPZAに対して達成した。D6同位体標識内部標準を各検体に使用した。以下のm/zの遷移をモニタリングした:メトピマジン446.3→141.1およびメトピマジンの酸447.2→142.1。MPZおよびMPZAの定量に較正曲線を生成した。
【0214】
ヒト血漿におけるメトピマジンスルホキシドのLC/MS/MS法
ヒト血漿において、メトピマジンスルホキシド(MPZS)について観察するため、MRM LC-MS/MS法を開発した。この方法は、陽イオンモードにおいて、逆相で実施した。Supelco Discovery HS F5 100x4.0mm(3μM)カラム(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)というわずかに長いカラムを使用した以外、システムは上記のものと同一とした。D6同位体標識内部標準をMPSに使用し、モニタリングしたm/zの遷移は、462.3→98.1であった。ヒト血漿における、MPZSの定量に較正曲線を生成した。
【0215】
データ分析
各検体の消失の程度をISに対する検体のPAR、または時間0(t=0、100%)のPARに対する異なるサンプリング時間点の濃度を比較することによって評価した。親の残存値の%は、以下の式に従って計算した:
親残存%=(各サンプリング時間点における平均濃度またはPAR/時間0の平均濃度またはPAR)×100
【0216】
データの表に提示されている全ての統計値(例えば、平均値、標準偏差)は、「表示された精度」数に基づく(MS Excel、バージョン2010)。作図にGraphPad Prism(バージョン8、San Diego、CA)を使用した。
【0217】
ノンコンパートメント薬物動態解析をPhoenix64Winnonlinバージョン8.1で行った。
【0218】
結果
臨床的な薬物動態
in vitro代謝実験により、可能性のある3種の代謝産物MPZA、MPZSおよびMPZHが特定された。ヒト血漿中のMPZ、MPZAおよびMPZSを定量する生物学的分析法を開発した。MPZH代謝産物は、MPZSと同重体であり、in vitro実験における同じ方法で目視可能なほど、MPZSから十分に分離される(定性的のみ)。in vivoでのこれらの代謝産物の存在を観察するため、最高のSADコホートからの4名の対象から血漿を24時間にわたりサンプリングした。60mgのメトピマジンの単回経口用量後の、平均臨床曝露パラメータを表3に提示する。
【表3】
【0219】
予期される通り、主要な循環代謝産物は、MPZAであり、Tmaxは、1.25~3時間の範囲にあり、この検体は、すべての時間点に現れた。MPZSは、4名の対象のすべてにおいてやはり見出されたが、かなり低い濃度であった。MPZSは、30~45分に現れ、12時間までに定量可能ではなかった。代表的なクロマトグラムが、図10に示されている。試料の一部において、2分の直後(図10中の矢印を参照されたい)に溶出した非常に小さな同重体ピークが存在した。推測であるが、これは、わずか微量でしか存在しないが、MPZH代謝産物である可能性が高く、標準を作製することができた場合でさえも、定量可能である可能性は低い。AUClastに基づく確認されたin vivoでの代謝産物の循環薬物関連物質のパーセントの大まかな推定値を表4に示す。
【表4】
【0220】
これに基づくと、MPZAは、循環物質のほぼ90%を占める一方、親は10%未満である。同様に、MPZSは、全循環薬物関連物質の1%未満で存在する微量の代謝産物である。
【0221】
非臨床的な薬物動態
MPZAが、ヒトにおいて主要な循環代謝産物であることを考慮して、親と主要なヒト代謝産物の両方を定量する生物学的分析法を開発した。ラットおよびイヌにおける、メトピマジンおよびその酸代謝産物の薬物動態特性を決定するため、単回用量のメトピマジン(遊離塩基)を各種に経口投与し、血漿試料を経時的に採取し、分析した。生物学分析データのノンコンパートメント解析を行い、薬物動態パラメータを決定した。表5は、ラットおよびイヌにおける、平均PK曝露パラメータを示している。
【表5】
【0222】
興味深いことに、MPZA代謝産物対親の比は、イヌではかなり低く、特に、ヒトよりもラットの方が低く、MPZAは、ヒトでは、不均衡に生成されることを示している。
【0223】
本出願の好ましい実施形態が本明細書に示され、記載されているが、このような実施形態が単なる例として提示されているに過ぎないことは、当業者に明白である。本出願から逸脱することなく、多数の変形、変更および置き換えが、今や、当業者に思いつくであろう。本出願の実施に、本明細書に記載されている出願の実施形態への様々な代替を使用することができることを理解すべきである。以下の特許請求の範囲は、本出願の範囲を規定すること、およびこれらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの等価物が、これらにより包含されることを意図する。
【0224】
参照による組み込み
本出願に引用されている参照文献、およびそれらの参照文献はすべて、適切な場合、追加のもしくは代替的な詳細、特徴および/または技術的背景の教示に関して、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】