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特表2024-501057廃プラスチックおよび廃プラスチックからの熱分解油の処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】廃プラスチックおよび廃プラスチックからの熱分解油の処理方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 69/06 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
C10G69/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539817
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 IB2021060940
(87)【国際公開番号】W WO2022144627
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】63/131,284
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508171804
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ゴイエヌー,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェラスコ・ペラエス,ラウル
(72)【発明者】
【氏名】シャッカー,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナスワミー,ラヴィチャンダー
(72)【発明者】
【氏名】アスタナ,ナヴィン
(72)【発明者】
【氏名】スタニスラウス,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA03
4H129CA09
4H129CA10
4H129CA22
4H129KA02
4H129KA05
4H129MA01
4H129MA02
4H129MA03
4H129MA07
4H129MA13
4H129MB02A
4H129MB02C
4H129MB03A
4H129MB13B
4H129NA20
4H129NA26
4H129NA43
(57)【要約】
プラスチック由来の熱分解油を処理するためのシステムおよび方法が開示される。プラスチック由来の熱分解油および/またはプラスチックが、プロピレンを含むガス流および液体流を生成するのに十分な反応条件下で、接触分解ユニットおよび/または熱分解ユニットにおいて、処理される。前記液体流は、さらに処理されて、さらなるプロピレンを生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱分解油を処理する方法であって、
接触分解ユニット、水素化分解ユニット、および/または熱分解ユニットにおいて、プロピレンを含むガス流および沸点範囲が35~400℃の液体流を生成するのに十分な反応条件下で、プラスチックの熱分解から得られた熱分解油を処理するステップと、
前記液体流を処理してさらなるプロピレンを生成するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記液体流が、ナフサの沸点範囲を有する炭化水素流を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理が、
前記液体流を水素化処理して、水素化処理された液体流を生成するステップと、
前記水素化処理された液体流を、水蒸気分解装置において水蒸気分解して、さらなるプロピレンを生成するステップと、を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記水蒸気分解ステップの前に、前記水素化処理された液体流を、芳香族化合物抽出ユニットにおいて処理して芳香族化合物を除去することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記水蒸気分解ステップが、さらにエチレン、ベンゼン、トルエン、およびキシレンを生成する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ベンゼンおよび少なくとも一部のプロピレンを使用してクメンを生成し、該クメンを使用してポリカーボネートを生成し、前記ベンゼンおよび少なくとも一部のエチレンを使用してエチルベンゼンを生成し、該エチルベンゼンを続いて脱水素してスチレンを生成する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記スチレンを使用して、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリロニトリル樹脂(SAN)、またはスチレンブタジエンゴム(SBR)を生成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プラスチックが、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)およびポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)およびアクリロニトリル/ブタジエンスチレンコポリマー(ABS)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記熱分解油を真空軽油と混合して第1の熱分解油ブレンドを形成し、該第1の熱分解油ブレンドを前記接触分解ユニットにおいて処理する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記熱分解油を真空残油と混合して第2の熱分解油ブレンドを形成し、該第2の熱分解油ブレンドを前記熱分解ユニットにおいて処理する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
プロピレンを、ポリプロピレンを生成するための原料として使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記接触分解ユニットが流動接触分解装置を含み、該流動接触分解装置が450~750℃の反応温度および1~6baraの反応圧力で操作される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記熱分解ユニットが、ビスブレーカーおよび/またはディレイドコーカー、あるいはさらなる分解段階を備えた強度熱分解ユニットを含み、該熱分解ユニットが350~900℃の反応温度および1~6baraの反応圧力で操作される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記水素化処理装置が、150~450℃の温度、20~120bargの反応圧力、および15~100bargの水素分圧で操作される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
プラスチックを処理する方法であって、
熱分解ユニットにおいて、プロピレンを含むガス流および沸点範囲35~400℃を有する液体流を生成するのに十分な反応条件下で、プラスチックを熱分解するステップと、
前記液体流を処理してさらなるプロピレンを生成するステップと、を含む方法。
【請求項16】
前記熱分解ステップが、熱分解軽油および、熱分解軽質ガスを含む熱分解軽質ガス流をさらに生成する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
水素化処理ユニットにおいて、前記熱分解軽油を水素化処理して水素化処理軽油を生成するステップと、
前記水素化処理軽油を接触分解して、沸点範囲が35~400℃のナフサを含む第2の液体流を生成するステップと、
軽質ガスを接触分解するステップと、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
原油からの真空残油を前記熱分解ユニットに供給するステップと、
真空軽油を前記水素化処理ユニットに供給するステップと、をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記液体流および前記第2の液体流をさらに処理してベンゼンおよび軽質オレフィンを生成する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記接触分解軽質ガスおよび前記熱分解軽質ガスをさらに処理してエチレンおよびプロピレンを生成する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年12月28日に出願された米国仮特許出願第63/131,284号に対する優先権の利益を主張し、その全内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に、軽質オレフィンおよびポリマーを生成するためのシステムおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、プラスチックを原料として使用して軽質オレフィンおよび環状ポリマーを生成するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
毎年、何百万トンものプラスチック廃棄物が発生する。廃プラスチックは、適切にリサイクルまたは回収されないと、深刻な環境問題を引き起こす可能性がある。過去数十年にわたり、プラスチックを再利用するための多くのプロセスが検討されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、プラスチック廃棄物が熱分解されて、主として燃料として使用される炭化水素の混合物である熱分解油が生成される。しかし、燃料としての熱分解油の市場価値は比較的低いため、プラスチック廃棄物の熱分解の経済的実行可能性は制限されている。さらに、生成された熱分解油には、燃料として直接燃焼すると環境汚染を引き起こす可能性がある塩素などのヘテロ原子汚染物質が依然として含まれていることがよくある。
【0005】
全体として、プラスチック廃棄物を再利用するプロセスは存在するが、従来のプロセスに伴う前述の欠点を考慮すると、この分野における改善の必要性は依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の簡単な概要)
プラスチック廃棄物の再利用プロセスに関連する上述の問題の少なくとも一部に対する解決策が発見された。前記解決策は、軽質オレフィンおよび芳香族化合物を生成するためにプラスチックから得られる熱分解油を処理するシステムおよび方法にある。これは、プラスチック由来の熱分解油の価値を高めるのに有益である。
【0007】
さらに、前記開示された方法は、前記熱分解油からヘテロ原子を除去するように構成された水素化処理ステップを含むことができ、それによって前記熱分解油からのヘテロ原子による環境への悪影響を軽減することができる。さらに、前記生成された軽質オレフィンをさらに処理して環状ポリオレフィンを生成することができ、生成されたベンゼンおよび少なくとも一部のプロピレンを使用してクメン、フェノール、アセトン、ビスフェノールA(BPA)を生成することができ、また生成されたベンゼンおよび少なくとも一部のエチレンを使用してスチレンを生成することができ、これにより、高価値の化学物質を生成するための原料としてのプラスチック由来熱分解油の価値がさらに高まる。したがって、開示される本発明のシステムおよび方法は、プラスチック由来の熱分解油を処理するための従来のシステムおよび方法に関連する問題に対する技術的解決策を提供する。
【0008】
本発明の実施形態は、熱分解油を処理する方法を含む。この方法は、接触分解ユニットおよび/または熱分解ユニットにおいて、プロピレンを含むガス流および沸点範囲35~400℃の液体流を生成するのに十分な反応条件下で、プラスチックの熱分解から得られた熱分解油を処理することを含む。この方法は、液体流を処理してさらなるプロピレンを生成することを含む。
【0009】
本発明の実施形態は、プラスチックを処理する方法を含む。この方法は、熱分解油を生成するのに十分な反応条件下でプラスチックを熱分解することを含む。この方法は、接触分解ユニットおよび/または熱分解ユニットにおいて、プロピレンを含むガス流および沸点範囲が35~400℃のナフサ流を生成するのに十分な反応条件下で、熱分解油の少なくとも一部を処理することを含む。この方法は、ナフサ流を水素化処理して、水素化処理されたナフサ流を生成することを含む。この方法は、水蒸気分解装置において、水素化処理されたナフサ流を水蒸気分解して、さらなるプロピレンを生成することを含む。
【0010】
本発明の実施形態は、プラスチックを処理する方法を含む。この方法は、プロピレンを含むガス流および35~400℃の沸点範囲を有する液体流を生成するのに十分な反応条件下でプラスチックを熱分解することを含む。この方法は、液体流を処理して、さらなるプロピレンを生成することを含む。
【0011】
以下には、本明細書全体で使用されるさまざまな用語や語句の定義が含まれる。
【0012】
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって理解されるものに近いものとして定義される。一つの非限定的な実施形態において、この用語は、10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内、最も好ましくは0.5%以内であるように定義される。
【0013】
「重量%」、「体積%」または「モル%」という用語は、それぞれ、成分を含む材料の総重量、総体積、または総モルに基づく、成分の重量、体積、またはモル百分率を指す。非限定的な例において、100モルの材料中の10モルの成分は、10モル%の成分である。
【0014】
「実質的に」という用語およびその変形は、10%以内、5%以内、1%以内、または0.5%以内の範囲を含むと定義される。
【0015】
「阻害する」もしくは「低減する」もしくは「予防する」もしくは「回避する」という用語、またはこれらの用語の任意の変形は、特許請求の範囲および/または明細書で使用される場合、所望の結果を達成するための任意の測定可能な減少または完全な阻害を含む。
【0016】
「有効な」という用語は、明細書および/または特許請求の範囲で使用される場合、所望の、予想される、または意図された結果を達成するのに十分であることを意味する。
【0017】
「環状ポリマー」および/または「環状ポリオレフィン」という用語は、明細書および/または特許請求の範囲で使用される場合、全体的または部分的に再生されたプラスチックを使用して生成される材料を意味する。
【0018】
特許請求の範囲または明細書で「含む」、「包含する」、「備える」、または「有する」という用語と組み合わせて使用される「a」または「an」という用語の使用は、「一つの」を意味する場合があるが、「一つ以上」、「少なくとも一つ」、および「一つ以上」の意味とも一致する。
【0019】
「含む」(および「含む」や「含む」などのあらゆる形式の「含む」)、「有する」(および「有する」や「有する」などのあらゆる形式の「有する」)、「包含する」(および「包含する」や「包含する」などのあらゆる形式の「包含する」)または「備える」(および「備える」や「備える」などのあらゆる形式の「備える」)は包括的または無制限であり、追加の言及されていない要素や方法ステップを除外するものではない。
【0020】
本発明の方法は、本明細書全体にわたって開示される特定の成分、成分、組成物などを「含む」、「本質的にからなる」、または「からなる」ことができる。
【0021】
「主に」という用語は、明細書および/または特許請求の範囲で使用される場合、50重量%、50モル%、および50体積%のいずれよりも大きいことを意味する。例えば、「主として」には、50.1重量%~100重量%およびそれらの間のすべての値および範囲、50.1モル%~100モル%およびそれらの間のすべての値および範囲、または50.1体積%~100体積%、およびその間のすべての値と範囲が含まれ得る。
【0022】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の図、詳細な説明、および実施例から明らかになるであろう。しかしながら、図面、詳細な説明、および実施例は、本発明の特定の実施形態を示しているが、例示のみを目的としており、限定を意図するものではないことを理解されたい。さらに、本発明の精神および範囲内の変更および修正は、この詳細な説明から当業者には明らかになるであろうことが企図される。さらなる実施形態では、特定の実施形態の特徴を他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。例えば、一実施形態の特徴を他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることができる。さらなる実施形態では、本明細書に記載の特定の実施形態に追加の特徴を追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
より完全な理解のために、添付の図面と併せて以下の説明を参照する。
図1A図1Aは、本発明の実施形態による、軽質オレフィンおよび/またはポリマーを生成するために熱分解油を処理するためのシステムの概略図を示す。
図1B図1Bは、本発明の実施形態による、軽質オレフィンおよび/またはポリマーを生成するために熱分解油を処理するためのシステムの概略図を示す。
図1C図1Cは、本発明の実施形態による、軽質オレフィンおよび/またはポリマーを生成するために熱分解油を処理するためのシステムの概略図を示す。
図1D図1Dは、本発明の実施形態による、軽質オレフィンおよび/またはポリマーを生成するために熱分解油を処理するためのシステムの概略図を示す。
図1E図1Eは、本発明の実施形態による、軽質オレフィンおよび/またはポリマーを生成するために熱分解油を処理するためのシステムの概略図を示す。
図1F図1Fは、本発明の実施形態による、軽質オレフィンおよび/またはポリマーを生成するためにプラスチックを処理するシステムの概略図を示す。
図1G図1Gは、本発明の実施形態による、軽質オレフィンおよび/またはポリマーを生成するためにプラスチックを処理するシステムの概略図を示す。
図1H図1Hは、本発明の実施形態による、軽質オレフィンおよび/またはポリマーを生成するためにプラスチックを処理するシステムの概略図を示す。
図2A図2Aは、本発明の実施形態による、軽質オレフィンおよび/またはポリマーを生成するために熱分解油を処理する方法の概略フローチャートを示す。
図2B図2Bは、本発明の実施形態による、軽質オレフィンおよび/またはポリマーを生成するためにプラスチックを処理する方法の概略フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(発明の詳細な説明)
現在、プラスチック由来熱分解油を生成するために熱分解によって処理されたプラスチック廃棄物は、価値の低い燃料として使用および販売されているため、プラスチック廃棄物の再利用価値は低い。さらに、プラスチック由来の熱分解油にはヘテロ原子が含まれており、熱分解油を燃料として直接燃焼させると環境に悪影響を与える可能性がある。本発明は、これらの問題の少なくともいくつかに対する解決策を提供する。この解決策は、接触分解、熱分解、および/または水蒸気分解によって軽質オレフィンおよび芳香族化合物を生成することを含む、プラスチック由来の熱分解油を処理する方法を前提としており、その結果、プラスチック由来の熱分解油の価値が高くなる。さらに、この方法は、一つ以上のプロセス流を水素化処理してヘテロ原子を除去し、それによって熱分解油の環境への悪影響を軽減することを含むことができる。本発明のこれらおよび他の非限定的な態様については、以下のセクションでさらに詳細に説明する。
【0025】
(A.プラスチックを処理するためのシステム)
本発明の実施形態において、プラスチックを処理して軽質オレフィン、芳香族化合物、および/またはポリマーを含む高価値の化学物質を生成するためのシステムは、接触分解ユニット、水素化分解ユニット、熱分解ユニット、水蒸気分解ユニット、およびポリマープラントを備えることができる。図1Aを参照すると、熱分解油を処理するために使用されるシステム100の概略図が示されている。
【0026】
本発明の実施形態によれば、システム100は、第1の熱分解油流11の熱分解油および/または真空軽油流12を分解して、(1)C炭化水素を含む接触分解軽質流13および(2)ナフサを含む第1の液体流14を生成するように構成されている接触分解ユニット101を備える。本発明の実施形態において、接触分解ユニット101は、流動接触分解装置および/または水素化分解装置を含む。接触分解ユニット101は、アルミナ、アルミノケイ酸塩、ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、USYゼオライト、モルデナイト、フォージャサイト、ナノ結晶性ゼオライト、MCMメソ多孔質材料、SBA-15、シリコアルミノホスフェート、ガリウムホスフェート、チタノホスフェートまたはモレキュラーシーブ、金属担持アルミノシリケート、またはそれらの組み合わせを含む触媒を含むことができる。熱分解油はプラスチックを熱分解することによって生成できる。
【0027】
本発明の実施形態によれば、システム100は、第1の熱分解油流11の熱分解油および/または真空軽油流12を分解して、(1)C炭化水素を含む接触分解軽質流13および(2)ナフサを含む第1の液体流14を生成するように構成されている接触分解ユニット101を備える。本発明の実施形態において、接触分解ユニット101は水素化分解装置を含む。水素化分解装置は、アルミナ、シリカ、アルミノケイ酸塩、ゼオライト、またはそれらの組み合わせの上に担持された貴金属または遷移金属を含む触媒を含むことができる。熱分解油はプラスチックを熱分解することによって生成できる。
【0028】
本発明の実施形態によれば、システム100は、第2の熱分解油流15の熱分解油および/または真空残油流16を分解して、(1)C炭化水素を含む熱分解軽質流17および(2)ナフサを含む第2の液体流18を生成するように構成された熱分解ユニット102を備える。本発明の実施形態において、熱分解ユニット102はビスブレーカーおよび/またはディレイドコーカーを含む。本発明の実施形態において、接触分解軽質流13と熱分解軽質流17とを組み合わせて、組合せ軽質流19を形成する。第1の液体流14と第2の液体流18とを組合せて、組合せ液体流20を形成することができる。
【0029】
本発明の実施形態によれば、組合せ軽質流19は、分離ユニット103に流入する。本発明の実施形態において、分離ユニット103は、組合せ軽質流19を分離して、主としてプロピレンを含むプロピレン流21と主としてプロパンを含むプロパン流22を生成するように構成されている。本発明の実施形態において、分離ユニット103は一つ以上の蒸留塔を備える。
【0030】
本発明の実施形態によれば、分離ユニット103の出口は、プロピレン流21が分離ユニット103からポリマープラント104に流れるように、ポリマープラント104の入口と流体連通している。ポリマープラント104は、プロピレンを反応させてポリプロピレンを生成するように構成することができる。本発明の実施形態において、ポリマープラント104は、溶液重合、スラリー重合、気相重合、塊状重合、またはそれらの組み合わせのいずれかの生成プロセスを使用することができる。
【0031】
本発明の実施形態によれば、組合せ液体流20は、水素化処理ユニット105に流入される。水素化処理ユニット105は、組合せ液体流20を水素化処理して、水素化処理された液体流23を生成するように構成されている。本発明の実施形態において、分離ユニット103の出口は、プロパン流22が分離ユニット103から水蒸気分解ユニット106へ流れるように、水蒸気分解ユニット106の入口と流体連通している。水素化処理ユニット105の出口は、水素化液体流23が水素化処理ユニット105から水蒸気分解ユニット106へ流れるように、水蒸気分解ユニット106の入口と流体連通している。本発明の実施形態において、水蒸気分解ユニット106は、プロパン流22のプロパンと水素化処理液体流23のナフサとを水蒸気分解して、主としてエチレンを含むエチレン流24と主としてプロピレンを含む第2のプロピレン流25とを生成するように構成されている。本発明の実施形態において、水蒸気分解ユニット106の出口は、エチレン流24が水蒸気分解ユニット106からポリマープラント104に流れるように、ポリマープラント104と流体連通している。水蒸気分解ユニット106の出口は、第2のプロピレン流25がポリマープラント104に流れるように、ポリマープラント104と流体連通している。ポリマープラント104はさらに、エチレンを反応させてポリエチレンを生成するように構成することができる。本発明の実施形態において、接触分解ユニット101、熱分解ユニット102、および水蒸気分解ユニット106はそれぞれ、そこからの流出物を分離するための分離ユニットを個別に備え得る。
【0032】
本発明の実施形態によれば、図1Bに示されるように、システム200は、図1Bに示されるものおよび以下に記載のものを除き、システム100と同様のすべてのユニットおよび流を含む。本発明の実施形態において、システム200において、熱分解軽質流17、接触分解軽質流13、および組合せ軽質流19は、C(エタンおよびエチレン)炭化水素とC炭化水素の両方を含む。本発明の実施形態において、システム200の分離ユニット103は、組合せ軽質流19を分離して、プロピレン流21、プロパン流22、主としてエチレンを含む第2のエチレン流26、主としてエタンを含むエタン流27を生成するように構成されている。本発明の実施形態において、システム200において、第2のエチレン流26がポリマープラント104に流入される。エタン流27およびプロパン流22が水蒸気分解ユニット106に流入される。
【0033】
本発明の実施形態によれば、図1Cに示されるように、システム300は、図1Cに示されるものおよび以下に記載するものを除いて、システム100と同様のすべてのユニットおよび流を含む。本発明の実施形態において、システム300は、水素化処理ユニット105の下流および水蒸気分解ユニット106の上流に設置された芳香族化合物抽出ユニット107をさらに含む。本発明の実施形態において、システム300において、水素化液体流23は、水素化処理ユニット105から芳香族化合物抽出ユニット107まで流れる。本発明の実施形態において、芳香族化合物抽出ユニット107は、水素化処理された液体流23を処理して、20重量%未満の芳香族化合物を含む非芳香族化合物流28、実質的にベンゼンを含まない芳香族化合物を含む芳香族化合物流29、および主としてベンゼンを含むベンゼン流30を生成するように構成することができる。本発明の実施形態において、システム300において、水蒸気分解ユニット106は、プロパン流22および非芳香族化合物流28を水蒸気分解して(水素化処理液体流23を分解するように構成されたシステム100と比較して)エチレン流24、第2のプロピレン流25、および主としてベンゼン31を含む第2のベンゼン流31を生成するように構成されている。本発明の実施形態において、システム300において、ベンゼン流30と第2のベンゼン流31とが組み合わされて、組合せベンゼン流32が形成される。本発明の実施形態によれば、システム100と比較して、システム300は、さらに、BPAプラント171を含む。BPAプラント171は、組合せベンゼン流32のベンゼンを第2のプロピレン流25の少なくとも一部のプロピレンと反応させて、主としてクメンを含むクメン流33を生成するように構成されているクメン合成ユニット108を含み得る。BPA(ビスフェノールA)プラント171は、クメン流33のクメンを酸素と反応させてフェノールおよびアセトンを生成するように構成されているフェノールおよびアセトンユニット109をさらに備えることができる。BPAプラント171は、アセトンとフェノールを反応させて主としてBPAを含むBPA流34を生成するように構成されたBPA合成ユニット110をさらに含む。本発明の実施形態において、BPA流34を使用してポリカーボネートを生成することができる。
【0034】
本発明の実施形態によれば、図1Dに示されるように、システム400は、図1Dに示されるものおよび以下に記載するものを除いて、システム300と同様のすべてのユニットおよび流を含む。本発明の実施形態において、システム400において、接触分解軽質流13、熱分解軽質流17、および/または組合せ軽質流19は、C炭化水素とC炭化水素の両方を含む。本発明の実施形態において、システム400において、分離ユニット103は、組合せ軽質流19を分離して、プロピレン流21、プロパン流22、主としてエチレンを含む第2のエチレン流26、および主としてエタンを含むエタン流27を生成するように構成されたガス分離および処理ユニットを含む。本発明の実施形態において、システム400において、第2のエチレン流26がポリマープラント104に流入する。エタン流27は、水蒸気分解ユニット106に流入することができる。
【0035】
本発明の実施形態によれば、図1Eに示されるように、システム500は、図1Eに示されるものおよび以下に記載するものを除いて、システム400と同様のすべてのユニットおよび流を含む。本発明の実施形態において、システム500において、プラスチック由来の熱分解油流52は、まず原油流51の原油と混合されて、原料混合物53を形成する。システム500は、原料混合物53を蒸留して真空軽油流12および真空残油流16を生成するように構成された原油蒸留ユニット111をさらに備える。本発明の実施形態において、システム500において、真空軽油流12が接触分解ユニット101において処理される。真空残油流16は、熱分解ユニット102で処理することができ、軽質画分は水蒸気分解装置において処理される。
【0036】
本発明の実施形態によれば、図1Fに示されるように、システム600は、図1Fに示されるものおよび以下に記載するものを除いて、システム500と同様のすべてのユニットおよび流を含む。本発明の実施形態において、システム600は、原油流51と混合された熱分解油流52を含まない。本発明の実施形態において、システム600では、主としてプラスチックを含む第1のプラスチック流61が真空軽油流12と混合され、主としてプラスチックを含む第2のプラスチック流62が真空残油流16と混合される。システム600の接触分解ユニット101は、第1のプラスチック流61および真空軽油流12を分解して、主としてナフサを含む第1の液体流14およびCおよび/またはC炭化水素を含む接触分解軽質流13を生成するように構成することができる。システム600の熱分解ユニット102は、第2のプラスチック流62および真空軽油流16を分解して、主としてナフサを含む第2の液体流18およびCおよび/またはC炭化水素を含む熱分解軽質流17を生成するように構成することができる。
【0037】
本発明の実施形態によれば、図1Gに示されるように、システム1000は、図1Gに示されるものおよび以下に記載するものを除いて、システム600と同様のすべてのユニットおよび流を含む。システム600と比較すると、システム1000では、本発明の実施形態において、熱分解油流52が原油流51と混合されて、混合流53を形成する。混合流53を、原油蒸留ユニット111に供給することができる。本発明の実施形態において、システム1000では、水蒸気分解ユニット106は、さらに、主として水素を含む水素流81および主としてブタジエンを含むブタジエン流84を生成するように構成されている。水素流81の水素を使用して、NH合成ユニット701において窒素ガスと反応させて、主としてNHを含むNH流83を生成することができる。第2のプロピレン流25およびNH流83の少なくとも一部は、アンモ酸化ユニット702において主としてアクリロニトリル(ACN)を含むアクリロニトリル流86を生成するために使用され得る。ブタジエン流84およびアクリロニトリル流86は、ABS合成ユニット703においてアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を生成するために使用され得る。本発明の実施形態において、エチレン流24および混合ベンゼン流32の少なくとも一部を使用して、アルキル化ユニット704において、主としてエチルベンゼンを含むエチルベンゼン流87を生成することができる。本発明の実施形態において、エチルベンゼン流87のエチルベンゼンを、脱水素化ユニット705において脱水素化してスチレンを生成する。本発明の実施形態において、ブタジエン流84、アクリロニトリル流86、および脱水素化ユニット705で生成される少なくとも一部のスチレンを使用して、ABS合成ユニット703においてアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を生成することができる。本発明の実施形態において、脱水素化ユニット705で生成された少なくとも一部のスチレンを使用して、ポリスチレン合成ユニット706においてポリスチレンを生成することができる。本発明の実施形態において、脱水素化ユニット705からのスチレンを使用して、アクリロニトリル樹脂(SAN)またはスチレンブタジエンゴム(SBR)を生成することができる。
【0038】
本発明の実施形態によれば、図1Hに示されるように、システム700は、図1Hに示されるものおよび以下に記載するものを除いて、システム600と同様のすべてのユニットおよび流を含む。システム600と比較して、システム700では、プラスチックは接触分解ユニット101に供給されない。本発明の実施形態において、システム700では、真空軽油流12が軽油水素化処理ユニット112に供給される。本発明の実施形態において、システム700では、主としてプラスチックを含むプラスチック流71と真空残油流16を熱分解ユニット102に供給することができ、熱分解ユニット102は、プラスチックと真空残油を熱分解して第2の液体流18、第2の軽油流17、および主として軽油を含む熱分解軽油流72を生成するように構成されている。熱分解ユニット102の出口は、熱分解軽油流72が熱分解ユニット102から軽油水素化処理ユニット112に流れるように、軽油水素化処理ユニット112の入口と流体連通していてもよい。軽油水素化処理ユニット112は、真空軽油流12の真空軽油および/または熱分解軽油流72の軽油を水素化処理して、水素化処理された軽油流73を生成するように構成することができる。本発明の実施形態において、システム700において、接触分解ユニット101は、水素化処理軽油流73の水素化処理軽油を接触分解して、主としてナフサを含む第1の液体流14およびCおよびC炭化水素を含む接触分解軽質流13を生成するように構成されている。
【0039】
(B.プラスチックおよび/またはプラスチック由来の熱分解油の処理方法)
プラスチックおよび/またはプラスチック由来の熱分解油を処理する方法が発見されている。この方法は、プラスチック由来の熱分解油を燃料として直接使用する従来のプロセスと比較して、廃プラスチックおよび/またはプラスチック由来の熱分解油の価値を高めることができる可能性がある。図2Aに示される方法80は、図1A図1Fに示されるように、システム100~600によって実行することができる。
【0040】
本発明の実施形態によれば、ブロック801に示されるように、方法80は、接触分解ユニット101および/または熱分解ユニット102において、プロピレンを含む組合せ軽質流19および主としてナフサを含む組合せ液体流20を生成するのに十分な反応条件下で、プラスチックの熱分解から得られる熱分解油を処理することを含む。組合せ液体流20のナフサは、0~60℃の初沸点範囲および150~400℃の最終沸点範囲を有し得る。本発明の実施形態において、プラスチックには、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)およびポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、およびアクリロニトリル/ブタジエン/スチレンコポリマー(ABS)、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0041】
図1A、1C、および2Aに示されるように、本発明の実施形態において、ブロック801における処理は、真空軽油流12および第1の熱分解油流11を接触分解ユニット101に流すこと、および、接触分解ユニット101において、(1)C炭化水素を含む接触分解軽質流13および(2)主としてナフサを含む第1の液体流14を生成するのに十分な反応条件下で、第1の熱分解油流11の熱分解油および真空軽油流12の真空軽油を接触分解すること、を含むことができる。本発明の実施形態において、接触分解ユニット101は、流動接触分解ユニットまたは水素化分解ユニットを含むことができる。本発明の実施形態において、接触分解ユニット101(流動接触分解ユニットまたは水素化分解ユニット)は、ブロック801において、450~750℃の操作温度および1~6baraの操作圧力で操作される。本発明の実施形態において、ブロック801における処理は、熱分解ユニット102において、(1)C炭化水素を含む熱分解軽質流17および(2)主としてナフサを含む第2の液体流18を生成するのに十分な反応条件下で、第2の熱分解油流15の熱分解油および/または真空残油流16の真空残油を熱分解することを含むことができる。本発明の実施形態において、熱分解ユニット102は、ブロック801で、350~900℃の操作温度および1~6baraの操作圧力で操作する。接触分解軽質流13と熱分解軽質流17とを組合せて、組合せ軽質流19を形成することができる。第1の液体流14と第2の液体流18とを組合せて、組合せ液体流20を形成することができる。
【0042】
図1B、1D、および2Aに示されるように、本発明の実施形態において、ブロック801における処理は、接触分解ユニット101において、(1)C炭化水素およびC炭化水素を含む接触分解軽質流13および(2)主としてナフサを含む第1の液体流14を生成するのに十分な反応条件下で、第1の熱分解油流11の熱分解油および真空軽油流12の真空軽油を接触分解することを含むことができる。本発明の実施形態において、接触分解ユニット101は、ブロック801において、450~750℃の操作温度および1~6baraの操作圧力で操作される。ブロック801における処理は、熱分解ユニット102において、(1)C炭化水素およびC炭化水素を含む熱分解軽質流17および(2)主としてナフサを含む第2の液体流18を生成するのに十分な反応条件下で、第2の熱分解油流15の熱分解油および/または真空残油流16の真空残油を熱分解することを含むことができる。本発明の実施形態において、熱分解ユニット102は、ブロック801で、350~900℃の操作温度および1~6baraの操作圧力で操作する。接触分解軽質流13と熱分解軽質流17とを組合せて、組合せ軽質流19を形成することができる。第1の液体流14と第2の液体流18とを組合せて、組合せ液体流20を形成することができる。
【0043】
図1Eに示されるように、本発明の実施形態において、ブロック801における処理は、原油流51を熱分解油流52と混合して混合流53を生成することと、混合流53を原油ユニット111において蒸留して真空軽油流12および真空残油流16を形成することを含むことができる。図1Eに示すシステム500において、ブロック801における処理は、接触分解ユニット101において、(1)C炭化水素およびC炭化水素を含む接触分解軽油流13および(2)主としてナフサを含む第1の液体流14を生成するのに十分な反応条件下で、真空軽油流12を接触分解することをさらに含む。本発明の実施形態において、接触分解ユニット101は、ブロック801において、450~750℃の操作温度および1~6baraの操作圧力で操作される。図1Eに示すシステム500において、ブロック801における処理は、熱分解ユニット102において、(1)C炭化水素およびC炭化水素を含む熱分解軽質流17および(2)主としてナフサを含む第2の液体流18を生成するのに十分な反応条件下で、真空残油流16を熱分解することを含むことができる。本発明の実施形態において、熱分解ユニット102は、ブロック801において、350~900℃の操作温度および1~6baraの操作圧力で操作される。接触分解軽質流13と熱分解軽質流17とを組合せて、組合せ軽質流19を形成することができる。第1の液体流14と第2の液体流18とを組合せて、組合せ液体流20を形成することができる。
【0044】
図1Fに示されるように、本発明の実施形態において、ブロック801における処理は、第1の廃プラスチック流61のプラスチックを真空軽油流12と混合すること、および、接触分解ユニット101において、(1)C炭化水素およびC炭化水素を含む接触分解軽質流13、および(2)主としてナフサを含む第1液体流14を生成するのに十分な反応条件下で、混合した真空軽油流12および第1の廃プラスチック流61を接触分解すること、を含むことができる。本発明の実施形態において、接触分解ユニット101は、ブロック801において、450~750℃の操作温度および1~6baraの操作圧力で操作される。図1Fに示すシステム600において、ブロック801における処理は、第2の廃プラスチック流62のプラスチックを真空残油流16と混合すること、および、熱分解ユニット102において、(1)C炭化水素およびC炭化水素を含む熱分解軽質流17および(2)主としてナフサを含む第2の液体流18を生成するのに十分な反応条件下で、第2の廃プラスチック流62の混合熱分解油および真空残油流16の真空残油を熱分解することを含むことができる。本発明の実施形態において、熱分解ユニット102は、ブロック801において、350~900℃の操作温度および1~6baraの操作圧力で操作される。接触分解軽質流13と熱分解軽質流17とを組合せて、組合せ軽質流19を形成することができる。第1の液体流14と第2の液体流18とを組合せて、組合せ液体流20を形成することができる。
【0045】
本発明の実施形態によれば、ブロック802に示されるように、方法80は、分離ユニット103において組合せ軽質流19を分離して、主としてプロピレンを含むプロピレン流21と、主としてプロパンを含むプロパン流22を生成するステップを含む。図1Bおよび図1D~1Fに示されるように、ブロック802における分離は、さらに、主としてエチレンを含むエチレン流26および主としてエタンを含むエタン流27を生成し得る。分離ユニット103は、一つ以上の蒸留塔を含んでもよい。プロピレン流21のプロピレンを、ポリマープラント104において処理してポリプロピレンを生成することができる。エチレン流26のエチレンを、ポリマープラント104において処理してポリエチレンを生成することができる。エタン流27および/またはプロパン流22は、それぞれさらなるエチレンおよびさらなるプロピレンを生成するために水蒸気分解ユニット106に流入することができる。
【0046】
本発明の実施形態によれば、ブロック803に示されるように、方法80は、組合せ液体流20を処理してさらなるプロピレンを生成することを含む。本発明の実施形態において、図1A~1Gに示されるように、ブロック803における処理は、水素化処理ユニット105において、組合せ液体流20を水素化処理して、主として水素化処理ナフサを含む水素化処理された液体流23を生成することを含む。
【0047】
図1Aおよび1Bに示されるように、本発明の実施形態において、ブロック803における処理は、水素化処理された液体流23を水蒸気分解してさらなるエチレンおよびさらなるプロピレンを生成することを含むことができる。本発明の実施形態において、水蒸気分解ユニット106は、750~900℃の操作温度、50ミリ秒~1秒の滞留時間、および0.2対1の水蒸気対炭化水素比で操作される。本発明の実施形態において、水蒸気分解ユニット106からのエチレン(第2のエチレン流24)を、ポリマープラント104において処理してポリエチレンを生成する。水蒸気分解ユニット106からのプロピレン(第2のプロピレン流25)を、ポリマープラント104において処理してポリプロピレンを生成することができる。
【0048】
図1C~1Gに示されるように、本発明の実施形態において、ブロック803における処理は、芳香族化合物抽出ユニット107において、水素化処理された液体流23を処理して、主としてベンゼンを含むベンゼン流30、非ベンゼン芳香族化合物を含む芳香族化合物流29、および20重量%未満の芳香族化合物を含む非芳香族化合物流28を生成することを含むことができる。本発明の実施形態において、図1C~1Fに示されるように、非芳香族化合物流28を、水蒸気分解ユニット106において水蒸気分解して、さらなるエチレン(第2のエチレン流24)およびさらなるプロピレン(第2のプロピレン流25)を生成する。図1C~1Fに示されるように、非芳香族化合物流28の水蒸気分解により、主としてベンゼンを含む第2のベンゼン流31をさらに生成することができる。本発明の実施形態において、水蒸気分解ユニット106からのエチレンを、ポリマープラント104において処理してポリエチレンを生成する。水蒸気分解ユニット106からのプロピレンを、ポリマープラント104において処理してポリプロピレンを生成することができる。本発明の実施形態において、ベンゼン流30と第2のベンゼン流31を組み合わせて、組合せベンゼン流32を形成する。図1C~1Fに示されるように、第2のプロピレン流25のプロピレンの少なくとも一部および組合せベンゼン流32が、BPAプラント171に流入する。第2のプロピレン流25のプロピレンの少なくとも一部および組合せベンゼン流32のベンゼンを、BPAプラント171において処理して、BPAを生成することができる。本発明の実施形態において、BPAプラント171の生成BPAをさらに処理して、主としてポリカーボネートを含むポリカーボネート流34を生成する。図1Gに示されるように、水蒸気分解ユニット106は、主として水素を含む水素流81および主としてブタジエンを含むブタジエン流84を生成するようにさらに構成されている。水素流81の水素を使用して、NH合成ユニット701における窒素ガスと反応させて、主としてNHを含むNH流83を生成することができる。第2のプロピレン流25の少なくとも一部およびNH流83を使用して、アンモ酸化ユニット702において、主としてアクリロニトリル(ACN)を含むアクリロニトリル流86を生成することができる。ブタジエン流84およびアクリロニトリル流86を使用して、ABS合成ユニット703において、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を生成することができる。本発明の実施形態において、エチレン流24の少なくとも一部および組合せベンゼン流32を使用して、アルキル化ユニット704において、主としてエチルベンゼンを含むエチルベンゼン流87を生成することができる。本発明の実施形態において、エチルベンゼン流87のエチルベンゼンを、脱水素化ユニット705において脱水素化してスチレンを生成する。本発明の実施形態において、ブタジエン流84、アクリロニトリル流86、および脱水素化ユニット705で生成された少なくとも一部のスチレンを使用して、ABS合成ユニット703において、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を生成することができる。本発明の実施形態において、脱水素化ユニット705において生成された少なくとも一部のスチレンを使用して、ポリスチレン合成ユニット706において、ポリスチレンを生成することができる。
【0049】
本発明の実施形態は、プラスチックを処理するための方法90を含む。図2Bに示される方法90を、図1Hに示され前述したように、システム700において実施することができる。本発明の実施形態によれば、ブロック901に示されるように、方法90は、熱分解ユニット101において、プロピレンを含む熱分解軽質流17およびナフサを含む第2の液体流18を生成するのに十分な反応条件下で、廃プラスチック流71のプラスチックおよび/または真空残油流16を熱分解することを含む。本発明の実施形態において、熱分解軽質流17はガス流である。熱分解軽質流17は、エタン、エチレン、プロパン、またはそれらの組み合わせをさらに含むことができる。第2の液体流18は、0~50℃の初沸点範囲および150~400℃の最終沸点範囲を有し得る。本発明の実施形態において、真空軽油流12を、軽油水素化処理ユニット112において処理して、水素化処理された軽油流73を生成する。本発明の実施形態において、水素化処理された軽油流73を、接触分解ユニット101において分解して、(1)エタンおよび/またはエチレンを含むC炭化水素および(2)プロパンおよび/またはプロピレンを含むC炭化水素を含む接触分解軽油流13を生成する。
【0050】
本発明の実施形態によれば、ブロック902に示されるように、方法90は、第2の液体流18を処理してさらなるプロピレンを生成するステップを含む。本発明の実施形態において、ブロック902における処理は、第1の液体流14と第2の液体流18を組み合わせて、組合せ液体流20を形成することを含む。本発明の実施形態において、組合せ液体流20は、ブロック803のステップに従って処理される。本発明の実施形態において、接触分解軽質流13を熱分解流17と組み合わせて、組合せ軽質流19を形成する。本発明の実施形態において、組合せ軽質流19は、ブロック802のステップに従って処理される。
【0051】
本発明の実施形態を、図2Aおよび図2Bのブロックを参照して説明してきたが、本発明の操作は、図2Aおよび図2Bに示される特定のブロックおよび/またはブロックの特定の順序に限定されないことを理解すべきである。したがって、本発明の実施形態は、図2Aおよび2Bとは異なる順序で様々なブロックを使用して、本明細書で説明されるような機能を提供することができる。
【0052】
本明細書に記載されるシステムおよびプロセスは、図示されていないが化学処理の当業者に知られている様々な装置を含むこともできる。たとえば、一部のコントローラー、配管、コンピューター、バルブ、ポンプ、ヒーター、熱電対、圧力インジケーター、ミキサー、熱交換器などが示されていない場合がある。
【0053】
本願の実施形態およびその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換および修正を行うことができることを理解されたい。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。当業者であれば上記の開示から容易に理解できるように、実質的に同じ機能を実行する、または実質的に目的を達成する、現在存在する、または今後開発されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、またはステップは、本明細書で説明される対応する実施形態と同じ結果を利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、またはステップをその範囲内に含むことが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
【国際調査報告】