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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】エフィナコナゾール経口用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/454 20060101AFI20231227BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20231227BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231227BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20231227BHJP
【FI】
A61K31/454
A61K9/08
A61K9/20
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/42
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539828
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 KR2021020112
(87)【国際公開番号】W WO2022146007
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0186819
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.SILWET
(71)【出願人】
【識別番号】518204006
【氏名又は名称】デボン エルエス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】パク,ウン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジ,ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジン オ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソク ヨン
(72)【発明者】
【氏名】バン,ミン ヒョク
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC18
4C076CC31
4C076DD38A
4C076DD41C
4C076DD46C
4C076DD67A
4C076EE06
4C076EE09
4C076EE09A
4C076EE16
4C076EE16B
4C076EE23
4C076EE30A
4C076EE31A
4C076EE31B
4C076EE32
4C076EE32A
4C076EE32B
4C076EE36A
4C076EE38A
4C076EE38B
4C076EE42A
4C076FF63
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC60
4C086GA07
4C086GA14
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA03
4C086NA10
4C086ZA89
4C086ZB35
(57)【要約】
本発明は、エフィナコナゾールとポリエチレングリコールの共形成化物、及び薬剤学的に許容可能な添加剤を含むエフィナコナゾール経口用組成物に関する。本発明は、安定でかつ生体利用率が高く、投与効果に優れる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エフィナコナゾールとポリエチレングリコールの共形成化物、及び薬剤学的に許容可能な添加剤を含む、経口用薬剤学的組成物。
【請求項2】
錠剤又は液剤であることを特徴とする、請求項1に記載の経口用薬剤学的組成物。
【請求項3】
エフィナコナゾール0.6~2040mgを含むことを特徴とする、請求項1に記載の経口用薬剤学的組成物。
【請求項4】
前記共形成化物は、エフィナコナゾール:ポリエチレングリコール=1:1の重量比からなることを特徴とする、請求項1に記載の経口用薬剤学的組成物。
【請求項5】
前記薬剤学的に許容可能な添加剤は、賦形剤、結合剤、崩解剤、界面活性剤、滑沢剤及び着色剤からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の経口用薬剤学的組成物。
【請求項6】
前記賦形剤は、乳糖水和物、微結晶セルロース、微結晶セルロース-乳糖、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、その他の置換及び非置換のセルロース、トウモロコシ澱粉、糊化澱粉、ラクトース、無水乳糖、糖アルコール、スクロース、キシリトール、アクリレート重合体及び共重合体、デキストレート、デキストリン、デキストロース、マルトデキストリン、ペクチン、ゼラチン、及び無機希釈剤からなる群から選択される1種以上である、請求項5に記載の経口用薬剤学的組成物。
【請求項7】
前記結合剤は、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフト共重合体、ポリビニルピロリドンビニルアセテート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ゼラチン、プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の経口用薬剤学的組成物。
【請求項8】
前記崩解剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、糊化澱粉、ナトリウム澱粉、グリコレート及び澱粉グリコール酸ナトリウムからなる群から選択される1種以上である、請求項5に記載の経口用薬剤学的組成物。
【請求項9】
前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びベヘン酸グリセリルからなる群から選択される、請求項5に記載の経口用薬剤学的組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項の用途は、真菌感染症の予防又は治療であることを特徴とする、経口用薬剤学的組成物。
【請求項11】
前記真菌感染症は爪真菌症であることを特徴とする、請求項10に記載の経口用薬剤学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定でかつ生体利用率が高く、投与効果に優れたエフィナコナゾール経口用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エフィナコナゾールは、爪真菌症の治療において活性が立証されたトリアゾール化合物であって、真菌細胞膜の主成分であるエルゴステロール(ergosterol)の合成を抑制して抗真菌作用を示す。
【0003】
現在商用化されている製品としてジュブリアTMがあり、ジュブリアは、エフィナコナゾールを主成分として採択した、皮膚糸状菌による爪甲真菌症の治療剤であって、2017年5月に食品医薬品安全処から品目許可を取得し、韓国で本格的に市販された。
【0004】
ジュブリアは、局所塗布の剤型であり、局所抗真菌剤は、皮膚発疹と肝毒性、消化器系副作用などの経口抗真菌剤の欠点から比較的自由であり、高い服薬順応度及び選好度を示す。
【0005】
爪真菌症の治療におけるエフィナコナゾール及び他のトリアゾール抗真菌薬物の局所伝達に有用な剤形は、例えば、米国特許番号第8,486,978号(特許文献1)などを例示することができる。
【0006】
しかし、局所塗布剤型の場合、外皮や爪甲などを通って浸透する特性上、深部にまで根付いた真菌の抑制には多少不十分であることがあり、また、病変部位にいちいち満遍なく塗布しなければならないという特性上、全身などに広範囲に広がった真菌の抑制及び予防には多少限界がある。
【0007】
実は、手白癬・足白癬、または爪白癬のような真菌性疾患の再発が容易に起こる理由も、上述した局所塗布剤型の限界とも関連が深い。すなわち、局所塗布剤型は、表面に常在している真菌にはよく作用するとしても、真菌が完全な死滅に至るように深部にまで所望の有効濃度で作用できないためである。
【0008】
そのため、抗真菌成分を血液などを介して当該組織に伝達できる投与方法(例えば、注射剤、経口用錠剤、液剤、カプセル剤、散剤など)の開発が重要であり、特に、手軽に食べる方法として、服薬順応度及び選好度が高い経口型剤形の開発が求められる。
【0009】
但し、エフィナコナゾールの水溶解度は0.61mg/mL程度と比較的低いため、経口投与時に吸収率及び生体利用率に問題があるおそれがある。
【0010】
また、エフィナコナゾールを含有する溶液製剤は、安定性の問題、すなわち、短い貯蔵期間内に変色し、黄色から濃い赤色又は褐色の範囲の組成物色を発生させる問題点を有する。このような安定性の問題を解決するために、米国特許第9,662,394号は、特定のキレート剤、抗酸化剤、及び酸、すなわちエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩、ブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、BHT)、及びクエン酸を含む液体又は半固体組成物を開示している。
【0011】
そのため、生体利用率が高く、かつ安定したエフィナコナゾールの経口用製剤の開発が求められている。
【0012】
参考に、下記の先行技術文献の内容のすべては、本発明の背景技術の内容として引用され、組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第08486978号明細
【特許文献2】米国特許第09662394号明細
【特許文献3】米国特許第05620994号明細
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決し、生体利用率が高く、かつ安定したエフィナコナゾールの経口用製剤を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するために案出されたもので、エフィナコナゾールとポリエチレングリコールの共形成化物、及び薬剤学的に許容可能な添加剤を含む経口用薬剤学的組成物を提供する。
【0016】
また、本発明において、錠剤又は液剤であることを特徴とする経口用薬剤学的組成物を提供する。
【0017】
また、本発明において、エフィナコナゾール0.6~2040mgを含むことを特徴とする経口用薬剤学的組成物を提供する。
【0018】
また、本発明において、前記共形成化物は、エフィナコナゾール:ポリエチレングリコール=1:1の重量比からなることを特徴とする、経口用薬剤学的組成物を提供する。
【0019】
また、本発明において、前記薬剤学的に許容可能な添加剤は、賦形剤、結合剤、崩解剤、界面活性剤、滑沢剤及び着色剤からなる群から選択される1種以上を含む、経口用薬剤学的組成物を提供する。
【0020】
また、本発明において、前記賦形剤は、乳糖水和物、微結晶セルロース、微結晶セルロース-乳糖、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、その他の置換及び非置換のセルロース、トウモロコシ澱粉、糊化澱粉、ラクトース、無水乳糖、糖アルコール、スクロース、キシリトール、アクリレート重合体及び共重合体、デキストレート、デキストリン、デキストロース、マルトデキストリン、ペクチン、ゼラチン、及び無機希釈剤からなる群から選択される1種以上である、経口用薬剤学的組成物を提供する。
【0021】
また、本発明において、前記結合剤は、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフト共重合体、ポリビニルピロリドンビニルアセテート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ゼラチン、プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、経口用薬剤学的組成物を提供する。
【0022】
また、本発明において、前記崩解剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、糊化澱粉、ナトリウム澱粉、グリコレート及び澱粉グリコール酸ナトリウムからなる群から選択される1種以上である、経口用薬剤学的組成物を提供する。
【0023】
また、本発明において、前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びベヘン酸グリセリルからなる群から選択される、経口用薬剤学的組成物を提供する。
【0024】
また、本発明の用途は真菌感染症の予防又は治療であることを特徴とする、経口用薬剤学的組成物を提供する。
【0025】
また、本発明において、前記真菌感染症は爪真菌症であることを特徴とする、経口用薬剤学的組成物を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、高い安定性及び生体利用率を示すため、経口投与用に適するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】エフィナコナゾールとポリエチレングリコールの共結晶に対する粉末XRDパターンである。
図2】エフィナコナゾールとポリエチレングリコールの共結晶に対するDSC熱分析図である。
図3】エフィナコナゾール結晶形に対する粉末XRDパターンである。
図4】エフィナコナゾール結晶形に対するDSC熱分析図である。
図5】エフィナコナゾール結晶形とエフィナコナゾールポリエチレングリコール共結晶(Co-crystal)の安定性を比較したグラフである。
図6】前臨床実験におけるボリコナゾールの時間-血中濃度を示したグラフである。
図7】前臨床実験におけるエフィナコナゾールの時間-血中濃度を示したグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0029】
本発明は、エフィナコナゾールとポリエチレングリコールの共形成化物、及び薬剤学的に許容可能な添加剤を含む経口用薬剤学的組成物に関する。
【0030】
共形成化物は、2つ以上の物質がまるで一つの個別物質のような独特の(unique)物性を示す物質であって、無定形形態の共無定形(Co-amorphous)と結晶形形態の共結晶(Co-crystal)に分類することができる。
【0031】
前記共結晶とは、一つの結晶格子内に一定の化学量論比(stoichiometric ratio)で2つ以上の異なる分子が結晶構造を形成している形態を意味し、共結晶内の分子間の結合形態は塩及び混合物と区別される。
【0032】
また、共結晶(Cocrystal)は、O、OH、Nなどのような水素結合をなし得る官能基が豊富であるか、または共同分子(Coformer)と水素結合を通じて規則的な比率で結合して新たな結晶構造を有する結晶性固体を意味する。
【0033】
前記共形成体(coformer)とは、共結晶医薬品の結晶を構成する分子のうち活性のない分子を指し、本発明においてはポリエチレングリコールが好ましく選択される。
【0034】
本発明に係るエフィナコナゾールとポリエチレングリコールの共結晶に対する粉末XRDパターン、DSC熱分析図を図1及び図2に示し、エフィナコナゾール結晶形に対するXRDパターン、DSC熱分析図を図3及び図4に示した。
【0035】
図1乃至図4を比較分析すると、本発明に係るエフィナコナゾールの共形成化物は、エフィナコナゾール結晶形とは全く異なる傾向を示していることを確認することができる。
【0036】
すなわち、エフィナコナゾールとポリエチレングリコールの共形成化物は、粉末XRDパターンにおいて7.78、11.50、13.85、15.49、16.79、18.97、19.22、23.57、26.18、27.09の回折角(2θI/I0>10%)を特徴的に示す結晶構造を有しており、示差走査熱量計(DSC)で分析したスペクトル上において61.62℃、78.78℃で最大の吸熱ピークが観測されたが、このようなXRDパターンやDSC熱分析図は、エフィナコナゾール結晶形に対するそれとは確実に異なるものである。
【0037】
したがって、本発明のエフィナコナゾールの共形成化物は、既存のエフィナコナゾール結晶形とは全く異なる物理化学的特性を有する新規物質であることを確認することができる。
【0038】
併せて、エフィナコナゾールは、多少不安定な状態の薬物であるため、薬剤学的組成物の活性成分として用いるためには安定性を高める必要があるが、共形成化物を形成することによって安定性を高めることができる。
【0039】
すなわち、図5に示したように、本発明に係るエフィナコナゾールの共形成化物は安定性に優れる。
【0040】
さらに、エフィナコナゾールの共形成化物は、薬物の溶解度及び溶解速度を増加させることができ、これによって、人体内の薬物の吸収率を変化させて生体利用率を変化させることができる。
【0041】
すなわち、図6に示したように、本発明に係るエフィナコナゾールの共形成化物は、生体利用率が非常に優れる。
【0042】
このような特徴をベースとして、本発明に係るエフィナコナゾールの共形成化物は、薬剤組成物の有効成分として要求される事項、すなわち、結晶の化学的純度、組成液と温度に対する安定性、及び経口投与時の生体利用率などの全てを満足する。
【0043】
このような本発明に係るエフィナコナゾールの共形成化物の安定性又は生体利用率に関するより詳細な理解は、後述する実施例を通じて行われ得る。
【0044】
本発明の経口用薬剤学的組成物において、有効成分であるエフィナコナゾールは、安全性及び有効性資料に基づいて、予防または治療学的有効量含まれる。一部の具体例において、治療学的有効量は、約0.01~約30mg/kgであり、一部の特定の具体例において約0.01~約6mg/kgであってもよく、これによる経口用投与剤形のエフィナコナゾールの含量は0.6~2040mgであるか、または0.6~410mgであってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではなく、臨床的発見によって変動可能である。
【0045】
前記薬剤学的に許容可能な添加剤は、通常の技術者に自明であり、かつ広く知られている薬剤学的添加剤を非制限的に使用することができ、安定化剤、界面活性剤、滑沢剤、可溶化剤、緩衝剤、甘味剤、基剤、吸着剤、矯味剤、結合剤、懸濁化剤、硬化剤、抗酸化剤、光沢剤、着香剤、香味剤、顔料、コーティング剤、湿潤剤、湿潤調整剤、充填剤、消泡剤、清涼化剤、咀嚼剤、静電防止剤、着色剤、糖衣剤、等張化剤、軟化剤、乳化剤、粘着剤、粘増剤、発泡剤、pH調節剤、賦形剤、分散剤、崩解剤、防水剤、防腐剤、保存剤、溶解補助剤、溶剤及び流動化剤などを例示することができ、より具体的に、賦形剤、結合剤、崩解剤、界面活性剤、滑沢剤及び着色剤からなる群から選択される1種以上であることを例示することができる。
【0046】
前記賦形剤の例示としては、乳糖水和物、微結晶セルロース、微結晶セルロース-乳糖、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、その他の置換及び非置換のセルロース、トウモロコシ澱粉、糊化澱粉、ラクトース、無水乳糖、糖アルコール、スクロース、キシリトール、アクリレート重合体及び共重合体、デキストレート、デキストリン、デキストロース、マルトデキストリン、ペクチン、ゼラチン、及び無機希釈剤からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
【0047】
前記結合剤の例示としては、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフト共重合体、ポリビニルピロリドンビニルアセテート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ゼラチン、プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0048】
前記崩解剤の例示としては、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、糊化澱粉、ナトリウム澱粉、グリコレート及び澱粉グリコール酸ナトリウムからなる群から選択される1種以上が挙げられる。
【0049】
前記界面活性剤の例示としては、ドデシルスルホン酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfonate、SDS)、ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate、SLS)、プルロニック(登録商標)(Pluronic)F127、プルロニック(登録商標)(Pluronic)F68、ポリ(エチレングリコール)(poly(ethylene glycol)、PEG)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(polyoxyethylene sorbitan monooleate、Tween 80)、ポロキサマー(Poloxamer、Lutrol F68)、ポリエチレングリコール-15-ヒドロキシステアレート(polyethylene glycol-15-hydroxystearate、Solutol HS15)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Hydroxypropyl methyl cellulose、HPMC)、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)(poly(N-vinyl-2-pyrrolidone、PVP)、シルウェット(Silwet)L77、ポリ(ビニルアルコール)(poly(vinylalcohol)、PVA)、ウシ血清アルブミン(bovine serum albumin、BSA)、及びショ糖脂肪酸エステル(sucrose fatty acid esters)などが挙げられる。
【0050】
前記滑沢剤の例示としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びベヘン酸グリセリルからなる群から選択されるものが挙げられるが、必ずしもこれらに制限されるものではなく、通常の技術者に自明であり、かつ広く知られている薬剤学的添加剤を非制限的に使用することができる。
【0051】
本発明の組成物は、真菌感染症の予防又は治療に使用され得る。具体的な適応症の例示として、カンジダ性膣炎、白癜、皮膚糸状菌による体部白癬、股部白癬(頑癬)、手部白癬、足部白癬、口腔カンジダ症、真菌性角膜炎、爪真菌症、アスペルギルス症、カンジダ症、カンジダ尿症、カンジダ血症、クリプトコッカス症(クリプトコッカス髄膜炎を含む)、パラコクシジオイデス症、全身真菌感染症、脂漏性皮膚炎、酵母菌によるふけなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0052】
以下、本発明について実施例を挙げてより詳細に説明する。但し、以下の実施例は、発明の詳細な説明のためのものに過ぎず、これによって権利範囲を制限しようとする意図ではないことを明らかにしておく。
【0053】
<実施例>
実施例1-エフィナコナゾールとポリエチレングリコールの共結晶の製造(1:1の比率)
エフィナコナゾール(1g)を常温でアセトニトリル(5mL)に撹拌して溶解させる。この反応液にポリエチレングリコール-6000(1g)を添加して1時間撹拌した後、減圧蒸留を通じて溶媒を除去し、短時間内にエフィナコナゾールとポリエチレングリコール-6000の共結晶の結晶形が自発的に形成された。真空乾燥下で結晶のみを回収して、収率95%、純度99.5%を獲得した。前記実施例1で製造されたエフィナコナゾールとポリエチレングリコール-6000の共結晶に対する粉末XRDスペクトル(X-ray Diffraction Spectrum)、示差走査熱量記録図(Differential Scanning Calorimeter Thermogram)は、それぞれ図1、及び図2に添付した。
【0054】
実施例2-経口用液剤の製造
前記製造された実施例1と界面活性剤1%が含まれた蒸留水に0.5%メチルセルロースが分散された液を、vortex及び超音波処理して、均質な状態の経口用液剤を製造した。具体的な成分配合は、下記表1の通りである。
【0055】
【表1】
【0056】
実施例3-経口用錠剤の製造
前記製造された実施例1と賦形剤を混練し、これに、崩解剤と滑沢剤を順次追加投入して粒子を整粒した後、これを打錠して裸錠を製造した。具体的な成分配合は、下記表2の通りである。
【0057】
【表2】
【0058】
実施例4-経口用カプセル剤の製造
前記製造された実施例3の製剤を打錠せずに、ゼラチンカプセルに入れてカプセル剤を製造した。
【0059】
<試験例>
安定性試験>
本発明のエフィナコナゾールの共結晶に対する温度及び組成液に対する安定性を確認するために、下記の実験方法を行うことで、エフィナコナゾールの温度及び組成液に対する安定性を比較した。
【0060】
*実験方法
室温及び65℃のオーブンで、エフィナコナゾール結晶形と実施例1を、それぞれ、1週間、2週間、4週間、組成液に溶解された状態で放置した後、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析して純度を測定した。
【0061】
その結果は、下記表3、及び図5に示した。
【0062】
【表3】
【0063】
前記表3及び図5から確認できるように、本発明が特徴とするエフィナコナゾールの共結晶は、既存のエフィナコナゾール結晶形と比較すると、温度及び組成液に溶解された状態でさらに安定しているので、薬剤の製造にさらに有用であるという利点がある。それだけでなく、本発明のエフィナコナゾールの共結晶は新規物質であって、薬剤組成物の活性成分として要求される事項を全て満足する。
【0064】
<前臨床試験>
24匹の雄ビーグル犬を用いて、4群の構成で各群当たり6匹ずつ絶食条件下で対照薬(voriconazole)を経口経路で、試験薬(efinaconazole)を静脈及び経口経路で単回投与した後、各薬物別にPKプロファイル(profile)を確保して、PKパラメータ(parameter)を算出及び薬物動態を評価した。具体的な試験条件及び方法は、以下の通りである。
【0065】
1.試験薬の調剤
試験薬は、経口投与群の場合、試験物質の調剤時に算定された体重に基づいて投与用量によって算定されたボリコナゾール(経口投与G1グループ)、エフィナコナゾール(経口投与G2グループ)、前記実施例1で製造されたエフィナコナゾール共結晶(経口投与G3グループ-Efinaconazole copolymer)を電子天秤で秤量した後、ガラス容器に入れ、賦形剤(1%Tween80溶液(distilled water)中の0.5%メチルセルロース)を使用し、vortex及び超音波処理して、均質な状態に調剤した。
【0066】
静脈投与の場合、投与用量によって算定されたエフィナコナゾール(静脈投与G1グループ)、及び賦形剤として総調剤体積の30%に該当するPEG400を加えた後、vortex及び超音波を通じて完全に溶かし、総調剤体積の20%に該当するエタノールを加えた後、超音波で均質化した後、総調剤体積の50%に該当する0.9%食塩水(saline)を加えた後、vortex及び超音波処理を通じて均質な状態に用時調製した。
【0067】
2.投与
-投与経路:静脈投与(IV)、経口投与(PO)
-投与用量:G1(Voriconazole)-6mg/5ml/kg (PO);G2(Efinaconazole)-6mg/5ml/kg (PO);G3(Efinaconazole-Polymer)-6mg/5ml/kg (PO);G1(Efinaconazole)-0.5mg/1ml/kg (IV)
-投与頻度:単回(1日1回)-(QD)
【0068】
投与による試験群の構成は、下記表4の通りである。
【0069】
【表4】
【0070】
3.試験結果
試験を行う際に、経口投与G1群に1~6番、G2群に7~12番、G3群に13~18番、静脈投与G1群に1~6番を割り当てた。試験当日の各群の平均体重は、経口投与G1群11.5±1.2kg、G2群11.5±1.3kg、G3群11.5±1.0kg、静脈投与G1群11.6±1.6kgと確認された。
【0071】
試験を行う間に試験物質の投与と関連する異常症状(嘔吐、流涎、下痢、行動異常など)は観察されず、全ての試験の間に全個体において死亡個体の発生事例はなく、採血過程も順調に行われた。採血量は、各ポイント当たり4mlであり、採血された血液は、遠心分離した後、血漿上澄み液500μlを1.5ml EP tubeに分注し、残った1.5ml EP tube 1setには残余血漿を分注し、-80℃のディープフリーザー(deep freezer)に保管し、試験終了後、採血記録紙、検体内容確認書、調剤記録書、臨床症状観察記録書、投薬/採血結果及び試験検体(血漿)は、専門分析機関に送付した。
【0072】
送付された検体は、分析前まで冷凍庫に保管され、検体はLC/MS/MSで分析され、薬動学的パラメータは、“Phoenix WinNonlin(Version 8.2 or higher,Certara L.P)”ソフトウェアを用いてノンコンパートメント(noncompartmental)方法により薬動学パラメータを算出した。
【0073】
血漿サンプルの分析時に、ボリコナゾール(6mg/kg、P.O)群はG1群(No.1~6)に割り当て、エフィナコナゾール群は、それぞれ、G2群-0.6mg/kg I.V(No.1~6)、G3群-6mg/kg P.O(No.7~12)、G4群-共重合体(copolymer) 6mg/kg P.O(No.13~18)に、下記表5のように割り当てて分析した。
【0074】
【表5】
【0075】
各群当たり6匹ずつ割り当て、単回投与後、計24匹の試験試料を分析したボリコナゾール(voriconazole)とエフィナコナゾール(efinaconazole)の血中濃度の推移は、図6図7、及び表6、表7に示した。ピークが検出された試料のうち、最低定量限界以下の試験試料はBLQとして処理した。
【0076】
【表6】
【0077】
【表7】
【0078】
生体利用率パラメータとしてAUCは、投薬時間から測定が可能な最後の採血時点までの血漿中濃度-時間曲線下面積であって、台形公式によって求めた。Cmaxは、各個体の血漿中薬物濃度-時間曲線から最も高い血漿中濃度を読み取った値を使用し、Tmaxは、各個体の血漿中薬物濃度-時間曲線から最高血漿中薬物濃度に到達する時間を読み取った値を使用した。AUCは、投薬時間から無限時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積で求めた。ボリコナゾール(Voriconazole)とエフィナコナゾール(efinaconazole)に対する算出されたPKパラメータは、下記表8の通りである。
【0079】
【表8】
【0080】
前記表に示されたように、PKパラメータにおいて、ボリコナゾール(6mg/kg、P.O)群、エフィナコナゾール(0.6mg/kg、I.V)群、エフィナコナゾール(6mg/kg、P.O)群、エフィナコナゾール共重合体(efinaconazole copolymer)(6mg/kg、P.O)群のAUCは、それぞれ、53,905.19±7,138.87、253.28±74.20、1,494.88±475.14、987.98±271.62と示され、AUCは、それぞれ、109,208.24±24,516.63、270.71±84.91、1,610.32±540.33、1,114.49±323.58と確認され、Cmaxは、それぞれ、3,674.45±169.60、322.20±58.61、925.10±236.42、827.06±349.93と確認された。
【0081】
統計分析結果において、試験薬エフィナコナゾール共重合体(6mg/kg、P.O)群は、エフィナコナゾール(6mg/kg、P.O)群と比較するとき、Cmax及びAUC指標で有意に低い結果を示した(下記表9~表12)。
【0082】
【表9】
【0083】
【表10】
【0084】
【表11】
【0085】
【表12】
【0086】
エフィナコナゾール共重合体(6mg/kg、P.O)群とエフィナコナゾール(6mg/kg、P.O)群の生体利用率は、それぞれ、35.69±22.61%、51.36±24.63%と確認された(下記表13、及び表14)。
【0087】
【表13】
【0088】
【表14】
【0089】
結果的に、エフィナコナゾール共重合体(6mg/kg、P.O)群は、エフィナコナゾール(6mg/kg、P.O)群と比較するとき、AUCの数値が66%レベルに該当して有意に低いものと確認されたが、copolymer剤形内に含有された原料成分が50%であることを勘案すると、これを上回るレベルであることが確認できた。
【0090】
また、エフィナコナゾール共重合体(6mg/kg、P.O)群の生体利用率は35.69%であって、用量線形性が成立するという前提下で51.36%を示したエフィナコナゾール(6mg/kg、P.O)群と比較するとき、約70%レベルに到達するものと確認され、ビーグルにおける試験物質であるエフィナコナゾール共重合体剤形の体内露出度は、理論上で予想したレベル(50%)よりも遥かに上回る結果を示した。
【0091】
このような試験結果から、エフィナコナゾールの経口投与が、ボリコナゾール、イトラコナゾールなどの他の抗真菌剤に比べて、少ない用量でも遥かに優れた生体利用率を示したので、経口投与による高い治療効果を期待することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】