(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】断熱板シート及び断熱板シートの使用
(51)【国際特許分類】
F16L 59/02 20060101AFI20231227BHJP
A63C 19/10 20060101ALI20231227BHJP
E01H 4/02 20060101ALI20231227BHJP
F16L 59/10 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
F16L59/02
A63C19/10 Z
E01H4/02
F16L59/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557830
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 FI2021050849
(87)【国際公開番号】W WO2022123116
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523214052
【氏名又は名称】エフエフ-フューチャー オーイー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニエミネン、ヘンリ
【テーマコード(参考)】
3H036
【Fターム(参考)】
3H036AA09
3H036AB18
3H036AC03
3H036AD01
3H036AE02
3H036AE13
(57)【要約】
断熱板シート(1)は、断熱板シートの長手方向(P)に対して交差方向となる端部側面において、交差方向となる端部側面の上側角部と下側角部とで交互に互いに取り付けられ、連続的に配置された細長い断熱板(2a、2b、3a、3b、4a、4b)を備え、これにより、こうして形成された複数の細長い断熱板を備える均一な断熱板シートは、細長い断熱板をアコーディオン状に折り畳んで積み重ねられ、上面及び下面を有する均一な断熱板シート再び展開され得る。断熱板シート(1)の上面は、断熱板シートの長手方向(P)において、連続する2つの細長い絶縁板のグループ毎に、細長い断熱板(2a、2b、3a、3b、4a、4b)に交互に取付又は離間して配置される表面層(5)を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱板シート(1)の長手方向(P)に対して交差方向となる端部側面において、交差方向の前記端部側面の上側角部と下側角部とで交互に互いに取り付けられ、連続的に配置された細長い断熱板(2a、2b、3a、3b、4a、4b)を備え、
これにより形成される、複数の前記細長い断熱板(2a、2b、3a、3b、4a、4b)を備える均一な断熱板シートは、前記細長い断熱板をアコーディオン状に折り畳んで積み重ねることが可能であり、かつ、上面及び下面を有する均一な断熱板シートに展開することが可能であり、
前記断熱板シート(1)の上面は、前記断熱板シートの長手方向(P)において、連続する2つの細長い絶縁板のグループ毎に、前記細長い断熱板(2a、2b、3a、3b、4a、4b)に交互に取付又は離間して配置される表面層(5)を備えることを特徴とする、
断熱板シート(1)。
【請求項2】
前記細長い断熱板(2a、2b、3a、3b、4a、4b)は、前記細長い断熱板の長辺側の端部側面が、前記断熱板シートの長手方向(P)に対して交差方向となるように、前記断熱板シートの長手方向に沿って配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の細長い断熱板(1)。
【請求項3】
前記断熱板シートの前記細長い断熱板(2a、2b、3a、3b、4a、4b)は、1つの断熱板を備え、好ましくは、前記断熱板シートにおけるすべての細長い断熱板が1つの断熱板から形成されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の断熱板シート(1)。
【請求項4】
前記断熱板シートの前記細長い断熱板(2a、2b、3a、3b、4a、4b)は、互いに対向させて配置された2つ以上の断熱板を備えることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の断熱板シート(1)。
【請求項5】
前記表面層(5)が、防水性材料で形成されていることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の断熱板シート(1)。
【請求項6】
前記表面層(5)が布状材料及び/又はプラスチック材料を備え、好ましくは、前記表面層(5)がポリ塩化ビニル(PVC)又はポリエチレン(PE)を含む材料から形成されることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の断熱板シート(1)。
【請求項7】
前記断熱板が、押出ポリスチレン(XPS)、発泡ポリスチレン(EPS)、ポリウレタン(PIR/PUR)、ポリフェノール、及び/又はポリ乳酸(PAL)発泡体を含むことを特徴とする、請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載の断熱板シート(1)。
【請求項8】
前記表面層(5)が、前記細長い断熱板(2a、2b、3a、3b、4a、4b)の表面上に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の断熱板シート(1)。
【請求項9】
連続する2つ細長い断熱板において前記細長い断熱板の表面上に取り付けられた表面層(5)が、前記連続する細長い断熱板の間における前記端部側面であって、前記断熱板シートの長手方向(P)に対して交差方向となる前記端部側面の上側角部の接合領域を形成することを特徴とする、請求項8に記載の断熱板シート(1)。
【請求項10】
前記表面層(5)と前記細長い断熱板(2a、2b、3a、3b、4a、4b)との間に別体の補強材料(6)が配置され、前記別体の補強材料(6)が、前記表面層(5)と前記細長い断熱板とに取り付けられていることを特徴とする、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の断熱板シート(1)。
【請求項11】
前記断熱板シート(1)の前記細長い断熱板(2a、2b、3a、3b、4a、4b)の下面がコーティングされていることを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の断熱板シート(1)。
【請求項12】
少なくとも、前記細長い断熱板(2a、2b、3a、3b、4a、4b)の間の端部側面であって、前記断熱板シートの長手方向(P)に対して交差方向にある端部側面の接合領域が、前記表面層を形成する接合部を含まず、ヒンジ構造を含むことを特徴とする、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の断熱板シート(1)。
【請求項13】
前記断熱板シートの長手方向に対して交差する方向の終端部、及び/又は前記断熱板シートの前記細長い断熱板の長手方向における前記細長い断熱板の側端部に折り目(8)が形成され、及び/又は表面層(5)の端部が、前記細長い断熱板の外側に延在していることを特徴とする、請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の断熱板シート(1)。
【請求項14】
前記細長い断熱板の外側に延在する前記表面層(5)の端部及び/又は前記折り目(8)が、ハトメ穴を含む1つ以上の貫通孔を備えることを特徴とする、請求項13に記載の断熱板シート(1)。
【請求項15】
請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の断熱板シート(1)の保護カバーとしての使用。
【請求項16】
前記断熱板シート(1)が、雪を貯蔵する際、雪貯蔵用の断熱材を配置するための保護カバーとして使用されることを特徴とする、請求項15に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添付の独立請求項による断熱板シート(sheet of insulating plates)に関する。本発明はまた、保護カバーとしての断熱板シートの使用、特に、雪を貯蔵するための保護カバーとして使用するための断熱板シートに関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、スラロームスロープやクロスカントリースキートラック上の雪を維持するために、夏場には断熱された雪貯蔵庫に雪を保管することがより一般的である。夏場の雪の貯蔵には、貯蔵可能な雪を目的に適した十分な断熱材で覆い、雪の融解をできるだけ効率的に防止する必要がある。
【0003】
雪貯蔵用の断熱材の設置及び撤去を実現するための迅速かつ容易な方法の1つは、断熱材をアコーディオン状に折り畳まれた断熱板シートに配置することである。この種の断熱板シートでは、断熱板又は断熱板グループのような断熱材は、典型的には、防水材料で形成された2つの対向する開放端を有するパウチ内又はスリーブ内に配置され、それによって、パウチ内又はスリーブ内に適合された断熱板又は断熱板グループは、パウチ又はスリーブ間の接合部によって連結されて互いに取り付けられ、アコーディオン状の折り畳み構造を形成する。断熱板シートが展開されると、パウチ又はスリーブによって互いに取り付けられた断熱板又は断熱板グループは、互いにしっかりと固定される。断熱板シートの連続する接合部は、断熱板の上面及び下面の平面上に交互に配置される。これらの形成された接合部によって、断熱板シートは、アコーディオン状に折り畳まれた断熱板の積み重ねとすることができるし、また、断熱板シートは、容易に展開され、雪の上に引き出すことができる。
【0004】
アコーディオン状の断熱板シートでは、断熱板シートの上面に向かって開口する折り目における断熱板間の接合部に水が溜まることが課題となっている。これらの接合領域に溜まった水が、積雪に流れ込んで、望ましくない融雪を引き起こす可能性がある。断熱板シートは、貯蔵可能な雪の上にケースに応じて配置することができるが、断熱板シートは、通常、雨水が断熱板シートの下に入り込むのをできるだけ制限する構造で配置される。
断熱板シートの折り目領域の上に配置される別個の接合部の保護カバーは、雨水が断熱板シートの下に流れ込むのを防止するために使用することができる。したがって、雨水は、断熱板シートの下に、例えば雪山に、そう簡単には入り込むことができない。この種の別個の接合部の保護カバーは、設置が困難であり、しかも、雨水が一部の接合領域から断熱板シートの下に入り込む可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、従来技術に現れる上述の問題を低減するか、又は解消することである。
【0006】
本発明の目的は、断熱板シートにおける細長い断熱板(lamellae of insulating plates)間の折り目領域への雨水の浸入を低減又は防止し、ひいては断熱板シートの下への雨水の浸入を防止する構造を有する、アコーディオン状の折り畳み式の断熱板シートを提供することである。
【0007】
本発明の目的は、特に、設置が容易であり、かつ、雨水が断熱板シートの接合領域内に入らないように、断熱板シートの接合領域を保護するための別個の接合部の保護カバーを使用する必要がない、アコーディオン状の折り畳み式の断熱板シートを提供することである。
【0008】
この目的を達成するために、本発明による断熱板シートは主に、独立請求項の特徴部分に示された内容を特徴とする。
【0009】
本発明による断熱板シートは、断熱板シートの長手方向に対して交差方向となる端部側面において、交差方向の前記端部側面の上側角部と下側角部とで交互に互いに取り付けられ、連続的に配置された細長い断熱板を備え、これにより形成される、複数の前記細長い断熱板を備える均一な断熱板シートは、細長い断熱板をアコーディオン状に折り畳んで積み重ねることが可能であり、かつ、上面及び下面を有する均一な断熱板シートに展開することが可能である。本発明による断熱板シートの上面は、断熱板シートの長手方向において、連続する2つの細長い絶縁板のグループ毎に、細長い断熱板に交互に取付又は離間して配置される表面層を備える。
【0010】
本発明による断熱板シートは、保護カバーとして使用することができる。本発明の一実施形態によれば、本発明による断熱板シートは、雪を貯蔵する際に、雪を貯蔵するための断熱材を配置するための保護カバーとして使用される。特に、雪を貯蔵する際に、本発明による断熱板シートは、積雪の上及び/又は側面に隣接して及び/又は連続的に容易に配置することができ、雪貯蔵後に、本発明による断熱板シートは、断熱板シートのアコーディオン状の構造により折り畳んで積み重ねることができ、それにより、保管が容易である。本発明による断熱板シートは、他の用途においても保護カバーとして使用することができる。特に、断熱性を有する保護カバーが必要とされる場所で、断熱板シートを安価に使用することができる。本発明による断熱板シートのアコーディオン状の折り畳み構造は、断熱板シートの使用を容易にすることができる。
【0011】
保護すべき対象物を覆うための本発明による方法では、対象物は、少なくとも部分的に、本発明による断熱板シートによって被覆される。雪を貯蔵する際に雪貯蔵用の断熱材を配置するための本発明による方法では、雪貯蔵場所に形成された積雪が断熱材で覆われ、断熱材の少なくとも一部は断熱板であり、本発明による断熱板シートが積雪の断熱に使用される。
【0012】
本発明によるアコーディオン状の折り畳み式の断熱板シートは、表面層が、断熱板シートの上面の断熱板シートの長手方向に配置されることに基づいており、典型的には、この表面層は、断熱板シートの実質的に全長及び全幅にわたって配置される。断熱板シートの上面に配置される表面層は、断熱板シートの長手方向において、細長い断熱板に交互に取付又は離間された状態で配置される。本発明による断熱板シートは、断熱板シートの長手方向において、その上面に配置された表面層が、連続する2つの細長い断熱板のグループ毎に、細長い断熱板に交互に取付又は離間された状態で配置される。このように、細長い断熱板に取り付けられた表面層は、断熱板シートを移動させる際に荷重を受ける。また、断熱板を均一なシートに展開する際に、表面層が細長い断熱板の上面に均一な表面層を形成する。これにより、雨水が、細長い断熱板間の継ぎ目領域に入り込むことが無くなる。しかしながら、表面層は断熱板シートのアコーディオン状構造の機能を妨げることはなく、断熱板シートは、細長い断熱板をアコーディオン状に積み重ねて折り畳まれ、再び、均一な断熱板シートに展開され得る。
【0013】
本発明による断熱板シートは、雨水が細長い断熱板間の接合領域に浸入するのを防止するために、本発明による断熱板シートと共に別個の接合部保護カバー又は他の保護カバーを使用する必要がないので、保護カバーとしての断熱板シートの使用を容易にする。本発明による断熱板シートは、特に雪を貯蔵する際の保護カバーとして、及び断熱を必要とする他の対象物の保護カバーとして使用される、容易でかつ費用対効果の高い保護カバーを提供するものである。
【0014】
以下、添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、従来技術による断熱板シートを、断熱板シートの長手方向の断面で示す図である。
【
図2】
図2は、従来技術による断熱板シートの細長い断熱板間の上面方向に開口する接合領域を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る断熱板シートを、断熱板シートの長手方向における断面で示す図であり、表面層は、断熱板シートの長手方向において、連続する2つの細長い断熱板のグループ毎に、細長い断熱板に交互に取付又は離間された状態で配置されていることを示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る断熱板シートを、断熱板シートの長手方向の断面で示すように、均一な断熱板シートに展開された状態示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る断熱板シートにおける細長い断熱板の端部構造を示す図であり、この構造では、表面層は、折り目とその折り目に配置された貫通孔及び/又は取付部とを含む。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る、隣接する2つの断熱板シートの間の接合領域の構造を示す図である。
【
図7】
図7は、上から見た本発明の一実施形態に係る断熱板シートを示す図であり、このシートでは、表面層は、断熱板シートの長手方向において、連続する2つの細長い断熱板のグループ毎に、表面層の端部で細長い断熱板に取り付けられている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明による断熱板シートは、断熱板シートの長手方向に対して交差方向となる端部側面(edge side)において、交差方向となる端部側面の上側角部(upper corners)と下側角部(lower corners)で互いに取り付けられて連続的に配置された細長い断熱板を備え、これによりアコーディオン状に折り畳まれた断熱板シートを形成する。断熱板シートの長手方向とは、アコーディオン状の折り畳みシート構造を得るために、細長い断熱板を連続的に連結して配置する方向である。断熱板シートにおける細長い断熱板の数は異なっていてもよい。断熱板シートは上面及び下面を有し、これらの面は、断熱板シートが展開されて均一な断熱板シートとなるときに、細長い断熱板で形成される。
【0017】
本発明による断熱板シートの上面は、表面層をさらに備えている。典型的には、表面層は、断熱板シートの実質的に全長及び全幅にわたって配置される。表面層は、本発明による断熱板シートの一方の表面上にのみ配置される。本発明による断熱板シートでは、表面層は、断熱板シートの長手方向において、連続する2枚の細長い断熱板のグループ毎に、細長い断熱板に交互に取付又は離間するように配置される。本発明の一実施形態では、表面層は、実質的に、単一の細長い断熱板において細長い断熱板の上面全体に取り付けられる。別の実施形態では、表面層は、断熱板シートの長手方向において、細長い断熱板の端部側面においてのみ、細長い断熱板上に取り付けられる。本発明の一実施形態では、表面層は、細長い断熱板に取り外し可能に取り付けられている。表面層が連続する細長い断熱板から離間されるとき、離間された表面層の長さは、断熱板シートの長手方向における当該距離に沿った細長い断熱板の長さに対応するように定義され、これによって、断熱板シートを均一なシートに展開するときに、表面層の別個の領域がこれらの細長い断熱板の表面上に密着して配置される。この表面層の配置により、断熱板シートのアコーディオン状の折り畳み構造を機能させることができ、同時に、上方に向けて開口する接合領域を保護することができる。
【0018】
本発明の一実施形態では、表面層は、連続する2枚の細長い断熱板のグループ毎に、細長い断熱板の表面に交互に取付又は離間されるように、断熱板シートの長手方向に沿って配置されている。これによって、表面層は、断熱板シートの2つおきの細長い断熱板の、長手方向に対して交差方向となる端部側面の上側角部の接合領域を形成し、表面層は、上側角部の2つおきの接合領域で断熱板シートの細長い断熱板の表面から離間される。このようにして、表面層は、断熱板シートの上面の全距離に沿って均一に配置することができ、断熱板シートが均一なシートとして配置されるとき、表面層は、断熱板シートの表面上に密着して配置される均一な表面層を形成する。これにより、上方に向けて開口する接合領域において、雨水流路の形成が防止される。典型的な実施形態では、断熱板シートの長手方向における最初の2つの細長い断熱板及び最後の2つの細長い断熱板は、細長い断熱板上に取り付けられた表面層を含む。
【0019】
本発明による一実施形態では、断熱板シートの細長い断熱板は、1つの断熱板を備え、好ましくは断熱板シートのすべての細長い断熱板が1つの断熱板から形成される。本発明による別の実施形態では、断熱板シートの細長い断熱板は、互いに対向して配置された2つ以上の断熱板を備えている。本発明による細長い断熱板は、例えば、隣接して及び/又は連続して配置された2つ以上の断熱板から形成された断熱板のグループを含むことができる。細長い断熱板が2つ以上の断熱板を備える場合、断熱板は、典型的には、互いに取り付けられ、及び/又は、断熱板は、開放端を有する別個のパウチ又はスリーブ/パウチなどの内部に配置される。一実施形態では、断熱板シートのアコーディオン状の折り畳み構造は、パウチ/スリーブによって形成され、本発明による表面層は、本発明によるパウチ/スリーブの上面に配置される。
【0020】
典型的な実施形態では、本発明による細長い断熱板を形成する断熱板は、短辺側の端部側面と、短辺に対して実質的に垂直な長辺側の端部側面と、を備える矩形状の断熱板である。
【0021】
本発明の典型的な実施形態では、細長い断熱板は、細長い断熱板の長辺側の端部側面が、長手方向に対して交差方向となるように、断熱板シートの長手方向に沿って配置される。
【0022】
最も典型的には、細長い断熱板の断熱板は、例えば、ポリウレタン又はポリスチレン製の断熱板である。本発明の一実施形態による断熱板シートにおける細長い断熱板は、押出ポリスチレン(XPS)、発泡ポリスチレン(EPS)、ポリウレタン(PIR/PUR)及び/又はポリフェノールを含む断熱板を含んでいる。本発明の一実施形態によれば、細長い断熱板における断熱板は、例えばポリ乳酸(PLA)発泡体などの生体材料ベースの材料を含んでいてもよい。したがって、本発明の一実施形態による断熱板シートにおける細長い断熱板は、押出ポリスチレン(XPS)、発泡ポリスチレン(EPS)、ポリウレタン(PIR/PUR)、ポリフェノール及び/又はPLA発泡体を含む断熱板(複数可)を含む。本発明の有利な実施形態によれば、細長い断熱板は、押出ポリスチレン(XPS)から作製されたなる断熱板を含む。XPS材料は高い強度を有し、水を吸収しないので耐久性があり、断熱板シートのために特に有用な材料である。さらに、XPSは、良好な断熱特性を有するため、特に雪を貯蔵する目的において、雪の貯蔵寿命を確保することを可能にする。あるいは、断熱板又はその一部には、目的に適した他の断熱板を用いることもできる。細長い断熱板における断熱板の外形寸法は、ケースに応じて選択することができ、又は標準的なサイズの断熱板を使用することもできる。積雪場所の気候条件を十分に考慮するために、断熱板は十分な厚さである必要がある。
【0023】
本発明の一実施形態による表面層は、防水性を有する。典型的には、表面層は防水性材料で形成される。本発明の一実施形態による表面層は、布状材料及び/又はプラスチックを含む。本発明による有利な実施形態では、表面層は、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリエチレン(PE)を含む材料から形成される。表面層は、1つ以上の材料層を含むことができる。本発明の一実施形態では、表面層が2つ以上の材料層を含み、少なくとも1つの層は繊維補強材などの補強材料を含む。本発明による断熱板シートにおいて、表面層は、断熱板シートの片面にのみ配置される。このため、より高い品質特性を有する材料、例えば紫外線耐性を有する材料を、表面層の材料として使用することができる。
【0024】
本発明の一実施形態では、表面層は、細長い断熱板の表面上に取り付けられる。本発明による実施形態では、表面層は、細長い断熱板の表面上に直接取り付けられる。一実施形態では、表面層及び細長い断熱板に取り付けられる別個の補強材料が、表面層と細長い断熱板との間に配置される。補強材料は、表面カバーと細長い断熱板との間に少なくとも部分的に配置され、典型的には、少なくとも細長い断熱板の端部領域に配置される。補強材料は、例えば、繊維補強材料、例えば、いくつかの布状材料であってもよい。補強材料の目的は、構造を補強し、必要に応じて、細長い断熱板の表面への表面層の取り付けを確実にすることである。特に、断熱板シートを移動させるときに最も力が掛かる細長い断熱板の端部領域において、補強材料は、本発明による断熱板シートの構造を補強する。補強材料は、例えば、細長い断熱板の表面上に接着され、表面層上に接着及び/又は縫合され得る。表面層及び可能な補強材料は、目的に適した他の方法によっても、細長い断熱板に取り付けることができる。本発明の一実施形態では、表面層、又は表面層と補強層とが、細長い断熱板に取り外し可能に取り付けられる。
【0025】
本発明の一実施形態では、断熱板シートの細長い断熱板の下面をコーティングすることができる。コーティングの目的は、断熱板の材料を保護することにより、断熱板シートの細長い断熱板をより耐久性のあるものにすることである。
【0026】
本発明による典型的な断熱板シートでは、少なくとも、断熱板シートの長手方向に対して交差方向であり、かつ、細長い断熱板の間にある端部側面の接合領域であって、表面層を形成する接合部を含まない接合領域がヒンジ構造を備えている。本発明による一実施形態では、断熱板シートの長手方向に対して交差方向であり、かつ、細長い断熱板の間にある端部側面のすべての接合領域はヒンジ構造を備えている。ヒンジ構造は、例えば、繊維補強材などの弾性体及び/又は補強材料を含むことができ、又はヒンジ構造は、目的に適した別の方法で形成される。別個のヒンジ構造を含むすべての接合領域は、表面層が細長い断熱板の表面上に取り付けられている必要はない。断熱板シートに加えられる応力及び荷重は、断熱板シートの上面に配置された表面層によって受け止められることにより、断熱板シートの細長い断熱板の間の他の接合領域に加えられる応力がかなり小さくなり、それによって、接合領域は、より簡単な方法で形成され得る。接合部の形成には、例えば、接合領域に適切な材料、接着剤及び/又はテープだけを使用することができるが、接合領域に補強材料、繊維補強材等を使用することによって耐久性を高めることができる。本発明の一実施形態では、細長い断熱板の接合領域は、取り付け手段によって取り外し可能に形成される。細長い断熱板間の接合部は、典型的には接合領域の長手方向における細長い断熱板の全距離に沿って配置される。
【0027】
本発明の一実施形態では、細長い断熱板の連結された取り付けは、連続する細長い断熱板の少なくとも一部が、防水性の布状材料で形成された2つの対向する開放端を有するパウチ内又はスリーブ内に配置されるように実装することが可能である。これにより、細長い断熱板の連続するパウチ又はスリーブは、適切な接合方法によって、それらの端部の1つで互いに接続される。したがって、パウチ又はスリーブ内に配置された細長い断熱板は、パウチとスリーブとの間の接合部によって、互いに対向する端部で連続的に連結するように互いに取り付けられる。さらに、断熱板シートの上面上には別個の表面層が配置され、この表面層は、本発明によれば、断熱板シートの長手方向において、細長い断熱板に取付又は離間された状態で交互に配置される。本発明による一実施形態では、表面層は、断熱板シートの長手方向における細長い断熱板の端部側においてのみ、細長い断熱板のパウチ及びスリーブ上に取り付けられる。本発明による別の実施形態では、表面層は、細長い断熱板のパウチ/スリーブの表面上に、好ましくは表面領域全体に取り付けられる。本発明による断熱板シートが別個の表面層を含む場合、細長い断熱板のパウチ及びスリーブは、より安価な材料で作製することができ、表面層のみを、より耐久性のある材料、例えば、紫外線耐性を有する材料で作製することができる。
【0028】
本発明の一実施形態に係る断熱板シートでは、細長い断熱板が断熱板シート内に取り外し可能に配置されているので、細長い断熱板が破損した場合にも、容易に交換することができる。細長い断熱板が断熱板シートの構造に取り外し可能に取り付けられている場合、断熱板シートの構造も、必要に応じて容易に分解することができる。
【0029】
本発明の一実施形態による断熱板シートでは、断熱板シートの長手方向に対する交差方向の終端部において、及び/又は断熱板シートの細長い断熱板の長手方向の側端部において、表面層には折り目が形成されている。折り目とは、表面層がある距離だけ少なくとも二重に曲げられて配置されていることを意味し、それによって、細長い断熱板の表面から分離された折り目が、細長い断熱板の側端部に、及び/又は断熱板シートの長手方向の終端部に形成され得る。本発明による実施形態では、表面層上の折り目に貫通孔が配置され、表面層上の折り目への取り付け手段の取り付けを可能にし、したがって、隣接する及び/又は連続する断熱板シートを互いに結び付けることができる。本発明による実施形態では、折り目は、例えば、ハトメ穴等の1つ又は複数の環状貫通孔を備えている。本発明による一実施形態では、ハトメ穴等の貫通孔は、細長い断熱板の外側に延在する表面層の端部に配置されていてもよい。この端部は、表面層の単層から形成することができるし、表面層の端部は、少なくとも二重に曲げられていてもよい。本発明の一実施形態では、ロープ、ジッパーなどの別個の取り付け手段をこれらの貫通孔に取り付けることができる。これにより、隣接する及び/又は連続する断熱板シート間に大きな空間を残すことなく、隣接する及び/又は連続する断熱板シートを、互いに対して可能な限り強固に取り付けることを容易かつ迅速に行うことができる。本発明の一実施形態によれば、隣接して及び/又は連続して配置された断熱板シートを互いに取り付けることを可能にする他の取り付け手段も、表面層の端部(複数可)に、及び/又は表面層上に形成された折り目に配置することができる。取り付けは、結び付けるか、例えば、表面層の端部に及び/又は表面層上に形成された折り目に配置されたジッパーによって実現することができる。このようにして、本発明による断熱板シートは、保護カバーのために大きな表面に形成することができ、十分な気密性を確保するために、別々の断熱板シートの間の接合領域のために別々の保護カバーを配置する必要がない。
【0030】
典型的には、本発明による断熱板シートは、断熱板シートをその使用場所まで引き出し、及び使用場所から離れるように引っ張るための引っ張り部材をさらに備えている。引っ張り部材は、例えば、引っ張りロープ、ワイヤ、スリング等とすることができる。
【0031】
典型的には、本発明による断熱板シートは、保護カバーとして使用される。特に、本発明による断熱板シートは、雪を貯蔵する際に、雪貯蔵用の断熱材を配置するために使用される保護カバーである。
【0032】
雪貯蔵のための断熱材の配置方法は、雪貯蔵場所に形成された積雪を断熱材で覆うことを含む。本発明による方法では、積雪の断熱のために、積雪上に隣接して及び/又は連続して配置することができる本発明による断熱板シートが使用される。積雪を覆うために使用される断熱材の少なくとも一部は、本発明による断熱板シートで形成され、この断熱板シートは、アコーディオン状に互いに取り付けられ、積雪を断熱する際に、積雪の上又は側方に隣接して及び/又は連続的に引き出され、雪を貯蔵した後、貯蔵した雪が使用されるときには、アコーディオン状に折り畳まれて保管され、再び使用される。本発明による断熱板シートの表面層は、断熱板シートが断熱板の細長いシートに展開されるとき、断熱板シートの上面に均一な被覆を形成し、それによって、水が積雪の中に入り込むことを効率的に防止する。断熱板シートは積雪の上に隣接して及び/又は連続して配置され、それによって、隣接する又は連続する断熱板シートは、断熱板シートの端部に配置された貫通部及び/又は取り付け部によって互いに取り付けられる。また、断熱板シートを使用して、他の対象物も保護することができる。
【0033】
図面の詳細な説明
図1は、従来技術による断熱板シート1を、断熱板シートの長手方向の断面図で示す。断熱板シート1は、断熱板シートの長手方向Pに対して交差方向となる端部側面において、交差方向となる端部側面の上側角部と下側角部とで交互に互いに取り付けられ、連続的に配置された細長い断熱板2a、2b、3a、3b、4a、4bを備えている。これにより、このように形成された複数の細長い断熱板を備える一様な断熱板シートは、細長い断熱板をアコーディオン状に折り畳んで積み重ねることができ、かつ、上面及び下面を有する均一な断熱板シートに展開することもできる。典型的には、従来技術の断熱板シートでは、細長い断熱板はパウチの内部に配置されている。それによって、連続的に配置された細長い断熱板は、断熱板シートのアコーディオン状の折り畳み構造を形成するための適切な接合部によって、細長い断熱板のパウチを互いの対向する端部で交互に取り付けることによって、連結されて互いに取り付けられている。典型的には、細長い断熱板はパウチ内にあるため、細長い断熱板の各々において、細長い断熱板の周囲には、断熱材を保護する材料が配置されている。
【0034】
図2は、従来技術の断熱板シートにおける、連続する2つの細長い断熱板2a、2bの間の接合領域での課題を示し、接合領域は、断熱板シートの上面に向かって開口している。
図2に矢印で示すように、接合領域は、断熱板シートの表面から水が浸入する、いわゆる流路(chute)を断熱板シートに形成する可能性がある。この場合、水は、接合領域のこの流路を通って、断熱板シートによって覆われた積雪(snow pile)に流れ込み、断熱板シートの下にある雪の望ましくない融雪を引き起こす可能性がある。
【0035】
図3は、本発明の一実施形態に係る断熱板シート1を、断熱板シートの長手方向の断面図で示す。本発明に係る断熱板シート1は、断熱板シートの長手方向Pに対して交差方向となる端部側面において、交差方向となる端部側面の上側角部と下側角部とで交互に互いに取り付けられ、連続的に配置された細長い断熱板2a、2b、3a、3b、4a、4bを備えている。これにより、このように形成された複数の細長い断熱板を備える一様な断熱板シートは、細長い断熱板をアコーディオン状に折り畳んで積み重ねることができ、かつ、上面及び下面を有する均一な断熱板シートに展開することもできる。本発明による断熱板シート1の上面は、表面層5を備えている。断熱板シート1は上面と下面とを有し、下面は断熱板シートが均一なシートに展開されるときに被覆対象物に接し、上面は断熱板シートの外側を向く表面を形成する。表面層5は、断熱板シートの長手方向Pにおいて、細長い断熱板に交互に取付又は離間された状態となっている。
図3では、表面層5は、連続する2つの細長い断熱板において、細長い断熱板に取り付けられている。表面層5は、これら連続する細長い断熱板の間において、断熱板シートの長手方向Pに対して交差方向となる端部側面の上側角部の接合領域(例えば、
図3の細長い断熱板2a及び2bの接合領域や、細長い断熱板4a及び4bの接合領域)を形成する。
図3において、表面層5は、断熱板シートの長手方向において、細長い断熱板2a、2bに取り付けられ、細長い断熱板3a、3bから離間され、再び、細長い断熱板4a、4bに取り付けられている。本発明の有利な実施形態に係る断熱板シート1の長手方向における表面層5の取り付けは、断熱板シートの全長にわたって、連続する2つの細長い断熱板のグループ毎に、それぞれ同じように続けられる。
図3に示すように、表面層5は、点Aと点Bとの間にある連続する2つの細長い断熱板からは離間されている。断熱板シートの長手方向における1つの細長い断熱板の幅はXであり、したがって、点Aと点Bとの間の断熱板シートの長手方向における離間された表面層の長さは2Xである。断熱板シートにおける細長い断熱板の下面7は、目的に適したコーティングによって被覆することができる。
【0036】
図3によって示される本発明の一実施形態による断熱板シートにおいて、少なくとも、細長い断熱板2bと3aとの間の接合部、細長い断熱板3aと3bとの間の接合部、及び細長い断熱板3bと4aとの間の接合部は、ヒンジ構造を形成するために、細長い断熱板の端部側面の上端部の間又は下端部(the upper or lower edges)の間に、目的に適した方法で(例えば、別個の弾性体及び/又は繊維補強材を配置することによって)形成される。表面層5の下の接合領域は、目的に適した方法で形成された別個の接合部を有することもできる。
【0037】
図4は、本発明の一実施形態に係る断熱板シートを、均一な断熱板シートに展開した状態を示す図であり、展開することによって、表面層5は、断熱板シート全体の長手方向Pにわたって、細長い断熱板の上面上に密着した均一な表面を形成する。
【0038】
図5は、細長い断熱板2aの端部に設けられた、本発明の一実施形態による折り目(fold)8を示す。折り目8は、断熱板シートの長手方向に対する交差方向の終端部において、及び/又は断熱板シートの長手方向Pにおける細長い断熱板の側端部において、表面層5上に形成されている。折り目8は、表面層5を少なくともある距離だけ二重に折り曲げて配置することにより形成されている。典型的には、折り目8は、ハトメ穴(eyelet holes)又は他の取り付け手段などの、1つ又は複数の貫通孔9a、9bを備えている。
【0039】
また、
図5は、表面カバー5と細長い断熱板2aとの間に配置され、表面層5と細長い断熱板2aとの両方の上に取り付けられる別個の補強材料6を示している。補強材料は、少なくとも細長い断熱板2aの端部領域において、表面層5と細長い断熱板2aとの間に配置される。このようにして、表面層を細長い断熱板に強固に取り付けることができ、耐久性のある構造とすることができる。
【0040】
図6は、本発明に係る2枚の断熱板シート11、12が隣接して配置され、それらの端部同士が密着するように配置され、断熱板シート11、12が、折り目8及びそれらに接続された取り付け手段10によって、断熱板シートの端部において互いに強固に結合されている構造を概略図として示す。
図6に示す実施形態では、折り目8は、断熱板シート11、12を互いに当接させて配置したときに、部分的に重なり合う。これらの折り目には、断熱板シート同士を容易かつ強固に取り付けることを可能にする別個の取り付け手段10(ジッパー構造など)を取り付けることができる。
【0041】
図7は、上から見た本発明の一実施形態に係る断熱板シートを示す図であり、この断熱板シート1では、表面層5は、断熱板シートの全長にわたって、長手方向Pにおいて2つの細長い断熱板のグループ毎に、表面層5の端部で細長い断熱板上に取り付けられている。図では、表面層は、細長い断熱板2a、2b、4a、4bにおける細長い断熱板の端部に取り付けられ、断熱板シートの全長にわたって、2つの細長い断熱板のグループ毎にこのやり方が続けられている。この実施形態では、細長い断熱板2a、2b、3a、3b、4a、4bは、別々のパウチ/スリーブの内部に配置され、アコーディオン状に折り畳まれる断熱板シートを形成することができる。表面層5は、断熱板シートの上面に配置され、2つの細長い断熱板のグループ毎に、取付手段13によって細長い断熱板の端部に取り付けられる。
【国際調査報告】