IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベレヴァ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータの特許一覧

特表2024-501072ダクトに沿って流れる流体の流量を自動的に制御するための装置および前記装置を備える冷凍または冷却システム
<>
  • 特表-ダクトに沿って流れる流体の流量を自動的に制御するための装置および前記装置を備える冷凍または冷却システム 図1
  • 特表-ダクトに沿って流れる流体の流量を自動的に制御するための装置および前記装置を備える冷凍または冷却システム 図2
  • 特表-ダクトに沿って流れる流体の流量を自動的に制御するための装置および前記装置を備える冷凍または冷却システム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】ダクトに沿って流れる流体の流量を自動的に制御するための装置および前記装置を備える冷凍または冷却システム
(51)【国際特許分類】
   H02P 8/22 20060101AFI20231227BHJP
   F16K 31/04 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H02P8/22
F16K31/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559179
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 IB2021061574
(87)【国際公開番号】W WO2022130149
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】102020000030794
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】523224682
【氏名又は名称】ベレヴァ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エラルド、ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】パウレティ、ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ボロニェーゼ、ロレンツォ
【テーマコード(参考)】
3H062
5H580
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062AA15
3H062BB18
3H062BB26
3H062BB30
3H062CC02
3H062DD01
3H062EE06
3H062HH04
3H062HH08
3H062HH09
5H580CA12
5H580CA16
5H580FB01
(57)【要約】
ダクト(101)に沿って流れる流体(FR)の流量を自動的に制御するための装置(1)であって、ダクト(101)の一部に沿って挿入されるように適合され、栓体(21)が設けられた弁要素(2)と、栓体(21)の変位を可能にするように栓体(21)に動作可能に接続されたサーボモータ(3)と、サーボモータ(3)に動作可能に接続され、サーボモータ(3)に供給される出力信号(OS)を生成するように構成された電子制御ユニット(4)とを備える、装置(1)。装置は、電子制御ユニット(4)に動作可能に接続され、外部電子制御手段(102)に接続されるように構成された電子インターフェースモジュール(5)を備える。電子インターフェースモジュール(5)は、外部電子制御手段(102)によって受信された入力信号(IS)を中間信号(MS)に変換するように構成され、電子制御ユニット(4)は、中間信号(MS)を出力信号(OS)に変換するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクト(101)に沿って流れる流体(FR)の流量を自動的に制御するための装置(1)であって、
前記ダクト(101)の一部に沿って挿入されるように適合され、前記流体(FR)を完全に遮断する第1の端部位置と完全に開口する第2の端部位置との間でその位置を変えるように構成された栓体(21)を備える弁要素(2)と、
前記栓体(21)を前記第1の端部位置と前記第2の端部位置との間に配置することを可能にするように前記栓体(21)に動作可能に接続された直流サーボモータ(3)と、
前記サーボモータ(3)に動作可能に接続された、および、前記サーボモータ(3)に提供される、前記栓体を特定の第1の位置に配置するように適合された出力信号(OS)を生成するように構成された電子制御ユニット(4)と
を備えるタイプの装置(1)において、
前記装置(1)が、前記電子制御ユニット(4)に動作可能に接続され、ダクト内の流体の流れを制御するために弁要素の栓体を移動させるように意図されたステッパモータのための少なくとも1つの入力信号(IS)を生成するように適合された外部電子制御手段(102)と接続されるように構成された電気入力コネクタ(51)を備える電子インターフェースモジュール(5)を備え、前記少なくとも1つの入力信号(IS)が、栓体を特定の第2の位置に配置するように適合され、前記電子インターフェースモジュール(5)が、前記少なくとも1つの入力信号(IS)を、前記電子制御ユニット(4)への入力として配置される中間信号(MS)に変換するように構成され、前記電子制御ユニット(4)が、前記中間信号(MS)を前記出力信号(OS)に変換するように構成され、その結果、前記特定の第1の位置が前記特定の第2の位置に実質的に対応することを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記電子インターフェースモジュール(5)が、バイポーラステッパモータの第1の相および第2の相を駆動するための2つの電流信号(F1S、F2S)を入力として受信して前記中間信号(MS)に変換するように構成され、前記電流信号(F1S、F2S)が、ハーフステップ、フルステップまたはマイクロステッピングタイプであることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記中間信号(MS)が、前記第1の端部位置に関連する所定の最小値と、前記第2の端部位置に関連する所定の最大値との間の範囲に含まれる特定の値を有し、前記特定の値が、前記範囲内で比例的に、前記特定の第2の位置を表すことを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記中間信号(MS)の前記特定の値が、前記第1の端部位置に関連する0値と、前記第2の端部位置に関連する所定の最大値との間に含まれる純粋なデジタル値であることを特徴とする、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記中間信号(MS)が、電圧のアナログ信号であり、前記特定の値が、前記第1の端部位置に関連するOボルト値と、前記第2の端部位置に関連するボルトで表される最大所定電圧値との間に含まれる連続的な電圧値であることを特徴とする、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記電子インターフェースモジュール(5)によって実施される前記変換段階が、前記特定の第2の位置に栓体を配置するために実行される移動ステップの数および前記移動の実行方向を前記少なくとも1つの入力信号(IS)から検出する段階を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記移動ステップの数および前記移動方向を検出する前記段階が、以下の段階:
step_number変数を0に設定する段階と、
前記第1の相および前記第2の相の各々の前記電流信号(F1S、F2S)に対して、低レベル(L)および高レベル(H)の2つのレベルの方形波(OQ1、OQ2)を生成する段階であって、前記方形波(F1S、F2S)の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジが、ヌル値を通る前記電流信号(F1S、F2S)の各々の過渡によって、それぞれ負の値および正の値によって決定される、段階と、
所定のサンプリング周期Tごとに、前記方形波(OQ1、OQ2)のレベルを経時的に検出する段階であって、前記サンプリング周期Tが、サンプリング周波数1/Tが前記電流信号(F1S、F2S)の基本周波数に等しいかまたは4倍高くなるように選択される、段階と、
各サンプリング時点tについて、
以下の真理表を考慮に入れて、サンプリング時点tおよび直前のサンプリング時点t-Tにおける前記方形波(OQ1、OQ2)の前記レベルの組み合わせに基づいてステップの値を検出する段階と、
【表1】

ここで、xは、その値が整数の集合Zから選択される変数であり、
時点tのステップ値を直前の時点t-Tのステップ値で減算した結果を計算する段階と、
前記結果が1より大きい絶対値を有する正の値である場合、前記減算の結果として値-1を設定する段階と、
前記結果が1より大きい絶対値を有する負の値である場合、前記減算の結果として値+1を設定する段階と、
前記減算結果が正の数である場合、前記2つの移動方向から選択される第1の移動方向を必要な移動方向として設定し、前記結果が負の数である場合、前記2つの移動方向のうちの第2の移動方向を必要な移動方向として設定する段階と、
前記減算結果が0以外の値である場合、前記step_number変数を1だけ増加させる段階と
を実行することによって得られることを特徴とする、請求項2と組み合わせて請求項6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記電子インターフェースモジュール(5)によって実施される前記変換段階が、サンプリングする前記段階、前記移動方向を設定する前記段階および前記step_number変数を増加させる前記段階の終わりに、
設定された前記移動方向を考慮して、step_current_position変数で前記電子インターフェースモジュール(5)によって以前に記憶された前記栓体のステップ単位の現在の絶対位置に前記step_number変数の値を加算することによって、前記栓体(21)に必要なステップ単位の絶対位置を計算することと、
前記step_current_position変数を更新することと、
前記外部電子制御手段(102)によって制御可能な最大移動ステップ数を前記電子インターフェースモジュール(5)によって制御可能な最大ステップ数で除算することによって計算される変換比Rでステップ単位の前記絶対位置の前記値を除算することによって、前記所定の最小値と前記所定の最大値との間の前記範囲内の前記絶対位置の値を取得することと
を提供することを特徴とする、請求項7に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記電子インターフェースモジュール(5)が、前記外部電子制御手段(102)が前記第1の端部位置から前記第2の端部位置に、またはその逆に栓体を移動させるためのステッパモータを制御するように適合された入力信号(IS)を生成することを提供する初期化工程を実行するときに、前記ステップ数および前記移動方向の前記検出を実行することによって前記外部電子制御手段(102)によって制御可能な前記最大移動ステップ数を検出するように構成されることを特徴とする、請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記電子制御ユニット(4)、前記電子インターフェースモジュール(5)および前記サーボモータ(3)が収容される外側ケーシング(7)を提供することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記栓体(21)がボール栓体であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
冷媒流体(FR)のための少なくとも1つのダクト(101)と、
前記ダクト(101)内の前記冷媒流体(FR)の流れを制御するための弁要素栓体を移動させるように意図されたステッパモータのための少なくとも1つの入力信号(IS)を生成するように構成された電子制御手段(102)と
を備えるタイプの冷凍または冷却システム(100)において、
請求項1~11のいずれか一項に記載の装置(1)を少なくとも備え、前記装置(1)の前記弁要素(2)が前記ダクト(101)の一部に沿って挿入され、前記電子インターフェースモジュール(5)が前記電気入力コネクタ(51)によって前記電子制御手段(102)と接続されることを特徴とする、冷凍または冷却システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクトに沿って流れる流体の流量を自動的に制御する装置に関する。
【0002】
本発明はまた、前述の装置を備える冷凍または冷却システムに関する。
【背景技術】
【0003】
知られているように、冷凍および冷却システム分野では、蒸発器出口で検出された過熱に応じて、蒸発器に入る冷媒流体を調節する膨張弁の使用を提供する冷凍回路が使用される。
【0004】
今日まで、それらは、検知球および空気圧ダイヤフラムアクチュエータによって動作する、蒸発器過熱を制御するための公知の機械的デバイス、または通常「ドライバ」と呼ばれる電子制御手段によって駆動されるステッパアクチュエータによって動作する弁を有する電子デバイスであり、電子制御手段は、流体の圧力および温度の値を取得し、これらの値を所与の設定点内に維持するために上述のステッパアクチュエータの制御信号を生成する。
【0005】
換言すれば、このタイプの電子制御は、フィードバックタイプのものであるか、または「閉ループ」としても知られている。
【0006】
前述の電子制御手段によって生成される制御信号に関して、バイポーラステッパアクチュエータの場合、すなわち2つの駆動相を含む場合、それは3つの異なるタイプ、すなわちいわゆるマイクロステッピングタイプ、フルステップタイプおよびハーフステップタイプのものであり得る。
【0007】
現在、市場の電子制御手段の大部分は、マイクロステッピングを使用し、より少ない程度で他の2つのタイプを使用する。
【0008】
いずれの場合も、付随的に電流信号であるこれらのタイプの制御信号の3つすべては、「ステップ」として定義される測定単位に従ってステッパアクチュエータの移動の変化を可能にすることを特徴とする。
【0009】
各ステッパアクチュエータは、実際には、所定の最大ステップ数によって特徴付けられる。
【0010】
前述の制御デバイスは、「弁座および栓体」タイプの市場で入手可能な弁の使用に基づくことも知られている。そのような制御デバイスは、周知であり、広く普及しているが、特定の欠点を有する。
【0011】
第1の欠点は、閉鎖されたときに冷媒の完全な封止を保証せず、結果として蒸発器への流体漏れおよび再始動時の圧縮機の破損の危険性を伴う、そのような弁座および栓体弁の使用に関連する。
【0012】
いくつかの用途では、遮断弁を直列に追加する必要があり、その結果、構成要素が追加され、その後のその管理のために、コストが増加する。
【0013】
弁座および栓体弁の第2の欠点は、それらが、その最も小さい偏差で栓体によって覆われていない円形クラウンの面積に起因して、栓体の第1の開口に対して「ステップ」最小流量を有することであり、すなわち、円形クラウンのサイズ、したがって最小流量のサイズは、通過孔および栓体のサイズに関連し、そのようなステップは、調整の連続性、したがって制御システムの動作の最適化に影響を及ぼす。
【0014】
弁座および栓体弁のさらなる欠点は、それらが汚損(栓体と弁座との間の不純物の挿入)および可動要素と固定要素との間の氷形成の影響をより受けやすいことである。
【0015】
弁座および栓体弁の別の欠点は、弁の内側に作用する圧力の差が、栓体を移動させる弁棒に機械的応力をかけ、その耐用年数に影響を及ぼすことである。
【0016】
さらに、現在使用されている電子膨張弁のさらなる欠点は、それらが栓体の実際の位置に関するフィードバックを提供しないため、いかなる閉塞も検出可能ではないことである。
【発明の概要】
【0017】
本発明は、従来技術の上述の欠点すべてを克服することを目的とする。
【0018】
特に、本発明の目的は、冷凍回路に現在使用されている弁よりも良好な性能を有する弁要素を使用することを可能にする、ダクトに沿って流れる流体の流量を自動的に制御するための装置を作製することである。
【0019】
特に、本発明の目的は、短い操作時間で、高い差圧および低い圧力降下で動作することができる、漏れのない弁要素の使用および制御を可能にする前述の装置を作製することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、既存の冷凍回路に予め存在する膨張弁をオペレータによって容易かつ迅速に交換することを可能にする装置を作製することである。
【0021】
特に、本発明の目的は、既存の冷凍回路に既に存在する電子制御手段と容易にインターフェース接続することができ、その設置後にいかなる種類の設定も、既に存在する同じ電子制御手段の設定パラメータのいかなる変化も必要としない、装置を作製することである。
【0022】
換言すれば、本発明の目的は、既存の冷凍回路上の制御デバイスを、オペレータにとって完全に透過的な方法で交換または統合することを可能にする装置を作製することである。
【0023】
本発明のさらなる目的は、既存の冷凍回路に既に存在する多種多様な電子制御手段と自動的にインターフェース接続することができる装置を作製することである。
【0024】
前述の目的は、請求項1に記載の、ダクトに沿って流れる流体の流量を自動的に制御するための装置によって達成される。本発明のさらなる詳細な特徴は、従属請求項に記載されている。
【0025】
前述の目的はまた、請求項13に記載の冷凍または冷却システムによって達成される。
【0026】
有利には、本発明の技術は、既存の冷凍回路内の膨張弁を交換する時間およびコストを削減することを可能にする。
【0027】
さらに、なお有利には、本発明の技術は、そのような交換後の既存の冷凍回路の始動時間を短縮することを可能にし、そのような新しい制御装置のパラメータの設定の誤差または不正確さに起因するそのような交換後の回路の誤動作を回避することを可能にする。
【0028】
本発明の制御装置によって得られるさらなる利点は、そのコンパクトさおよび統合性であり、既存の冷凍回路への設置を容易にする。
【0029】
前述の目的および利点は、以下に言及される他の目的および利点と共に、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられる本発明の好ましい実施形態の説明の間に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の装置の第1の実施形態を概略的に表す。
図2】マイクロステッピングタイプの入力信号、および本発明の装置の実施された手順に従って前記入力信号から得られた2つの方形波の時間グラフを表す。
図3図1の本発明の装置を備えた本発明の冷凍または冷却システムを概略的に表す。
【0031】
ダクトに沿って流れる流体の流量を自動的に制御するための本発明の装置が図1に示されており、ここでは集合的に1として参照される。
【0032】
本明細書に記載の本発明の好ましい実施形態によれば、必ずしもそうである必要はないが、好ましくは、そのような装置1は、同じ流体の圧力および温度の値を特定の設定点内に維持するために、蒸発器に入る冷媒流体の流量を自動的に制御するように、冷凍または冷却システムの冷凍回路に適用されるように適合される。
【0033】
しかしながら、そのような装置1は、システムのダクトに沿って流れる一般的な流体の流量を調整する必要がある他のタイプのシステムで使用されてもよいことは排除されない。
【0034】
そのような装置1は、弁要素2を備え、弁要素2は、前述のダクトの一部に沿って挿入されるように適合され、流体が同じダクトを通って流れるのを防止するために流体を完全に遮断するための第1の端部位置と、同じ流体がダクトに沿って自由に流れることを可能にする完全に開口する第2の端部位置との間でその位置を変えるように構成された栓体21を備える。
【0035】
本発明の好ましい実施形態によれば、そのような弁要素2の栓体21は、ボール栓体であり、それにより、公知の制御デバイスで使用される「弁座および栓体」タイプの栓体の使用に起因する上述の欠点のすべてを回避する。
【0036】
装置1は、栓体21自体を前述の第1の端部位置と第2の端部位置との間に配置することを可能にするように、前述の栓体21に動作可能に接続された直流サーボモータ3をさらに備える。
【0037】
さらに、本発明の装置1は、サーボモータ3に動作可能に接続され、サーボモータ3自体を駆動するための出力信号OSを生成するように構成された電子制御ユニット4を備える。そのような出力信号OSは、特に、栓体21を特定の第1の所望の位置に配置するように適合されている。
【0038】
サーボモータ3の移動を制御するための前述の出力信号OSのタイプは、栓体21を前述の特定の第1の位置に配置するために、前述のサーボモータ3の移動を適切に駆動するのに適している限り、それ自体公知のタイプである。
【0039】
本発明によれば、装置1は、電子制御ユニット4に動作可能に接続され、電気入力コネクタ51を備える電子インターフェースモジュール5を備え、電子インターフェースモジュール5は、少なくとも1つの入力信号ISを生成するように適合され、ダクト内の流体の流れを制御するために弁要素栓体を移動させるように意図されたステッパモータを駆動するための外部電子制御手段102に接続されるように構成される。特に、上述の外部電子制御手段102によって生成されるそのような入力信号ISは、栓体を特定の第2の位置に配置するように適合される。
【0040】
本発明によれば、電子インターフェースモジュール5は、前記入力信号ISを電子制御ユニット4への入力として配置される中間信号MSに変換するように構成され、電子制御ユニット4は、前記中間信号MSを出力信号OSに変換するように構成され、その結果、栓体21が取るべき特定の第1の位置は、入力信号ISによって課される特定の第2の位置に実質的に対応する。
【0041】
したがって、そのような提案された解決策は、既存の冷凍回路に既に存在する電子制御手段102を変更する必要なく、既存の冷凍回路に使用される弁要素を有利に交換し、ステッパモータによって前述の弁要素の栓体の配置を制御するように適切に設定することを可能にする。
【0042】
換言すれば、有利には、本発明の装置1のそのような特徴は、弁要素栓体を移動させるように意図されたステッパモータのための制御入力信号ISを利用し、適切に適合させることを可能にして、サーボモータ3を制御し、次に、前記入力信号ISが生成された特定の位置に同じ装置1の弁要素2の栓体21を適切に移動させるように構成される。
【0043】
入力として受信され、電子インターフェースモジュール5によって変換される入力信号ISに関して、それらは、バイポーラステッパモータの第1の相および第2の相を駆動するための2つの電流信号F1SおよびF2Sである。特に、これらの電流信号F1SおよびF2Sは、ハーフステップ、フルステップまたはマイクロステッピングタイプであり得る。
【0044】
本発明によれば、中間信号MSに関して、中間信号MSは、第1の端部位置に関連する所定の最小値と第2の端部位置に関連する所定の最大値との間の範囲内の特定の値を有する。特に、そのような特定の値は、前記範囲内で比例的に、入力信号ISが電子制御手段102によって生成された特定の第2の位置を表す。
【0045】
必ずしもそうである必要はないが、好ましくは、中間信号MSの特定の値は、前記第1の端部位置に関連する0値と第2の端部位置に関連する所定の最大値との間の純粋なデジタル値である。本明細書に記載の例では、中間信号MSは、BELIMO Holding AG(登録商標)によって製造および販売されているアクチュエータデバイスの電子制御ユニット4の入力に配置され、様々な可能性の中でも、MPBus Belimo(登録商標)通信プロトコルに従って、栓体によって取られる位置に比例した値が0~10000の純粋な数で表されるデジタル信号をまさに入力として受信することを提供するので、そのような最大プリセット値は10000として選択される。
【0046】
しかしながら、本発明の異なる実施形態によれば、サーボモータを制御するように構成された異なる電子制御ユニットによって入力として必要とされる信号のタイプに応じて、前記中間信号MSの値は、前記第1の端部位置に関連するOボルト値と、前記第2の端部位置に関連する10ボルトなどのボルトで表される電圧の最大所定値との間の直流電圧信号であってもよいことは排除されない。
【0047】
さらに、上記のように電子制御ユニット4自体によって出力信号OSを適切に生成するために、入力信号ISが外部電子制御手段102によって生成された前述の特定の第2の位置のインジケータとして、電子インターフェースモジュール5の下流に配置された電子制御ユニット4によって前記中間信号MSが適切に解釈され得る限り、前記中間信号MSが特定の値の範囲内の電流信号であり得ることは排除されない。
【0048】
具体的には、電子インターフェースモジュール5に関して、電子インターフェースモジュール5は、栓体を前述の特定の第2の位置に配置するために、前述の入力信号ISから、実行される移動ステップの数および前記移動の実行方向を検出することによってそのような変換段階を実施するように構成される。
【0049】
さらにより具体的には、電子インターフェースモジュール5による入力として、ハーフステップ、フルステップまたはマイクロステッピングタイプに従って変調された2つの電流信号F1SおよびF2Sを入力信号ISとして受信することを提供する本発明の好ましい実施形態によれば、前述のステップ数および移動方向の検出は、以下の段階を実施することにより得られる:
この文脈において例示的にstep_numberとして定義される変数を値0に設定すること、
上述のバイポーラステッパモータの第1の相および第2の相を駆動するように適合された電流信号F1SおよびF2Sの各々について、それぞれ低レベルLおよび高レベルHとして定義される2つのレベルの方形波OQ1およびOQ2を生成すること。
【0050】
詳細には、これら2つの方形波OQ1およびOQ2は、方形波自体の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジが、ヌル値を通る電流信号F1SおよびF2Sの各々の過渡によって、すなわち、それぞれ負の値および正の値によって決定されるように生成される。
【0051】
そのような方形波生成手順の一例が図2にグラフで表されており、図2には、バイポーラステッパモータの相を駆動するための2つの電流信号F1SおよびF2Sが示されており、これらの電流信号はマイクロステッピングタイプであり、互いに明らかに位相がずれている。
【0052】
2つの電流信号F1SおよびF2Sの各々に対する方形波OQ1およびOQ2のこのような生成に続く検出手順は、所定のサンプリング周期Tごとに、2つの方形波OQ1およびOQ2自体によって想定されるレベルを経時的に検出することを含む。本発明によれば、そのようなサンプリング周期Tは、サンプリング周波数1/Tが電流信号F1SおよびF2Sの基本周波数に常に等しいかまたは4倍大きくなるように選択されるべきである。
【0053】
サンプリングが実行されると、電子インターフェースモジュール5によって実施される手順は、各サンプリング時点tについて、以下の真理表(表1)を考慮して、サンプリング時点tおよび直前のサンプリング時点t-Tにおける2つの方形波OQ1およびOQ2のレベルの組み合わせに基づいてステップの値を検出することを提供する。
【表1】

ここで、xは、その値が整数の集合Zから選択される変数である。例えば、xの値は1として選択することができる。
【0054】
手順は、続いて、サンプリング時点tにおけるステップ値を直前のサンプリング時点t-Tにおけるステップ値と減算した結果を計算することを提供する。特に、そのような手順は、実際の結果が1より大きい絶対値の正の値である場合に、この減算の結果として値-1を設定することを提供する。同様に、そのような手順は、実際の結果が1より大きい絶対値の負の値である場合、この減算の結果として値+1を設定することを提供する。これらの特別なケースの両方は、2つの電流信号F1SおよびF2Sが2つの方向のいずれかで2つの連続する期間の間を移動しているときに発生し、最後の2つの移動値に関連する以下の表のケースに対応する。
【0055】
例えば、以下の表2に示すように、2つの方形波OQ1およびOQ2が8つの連続する値についてサンプリングされ、この減算演算が隣接するサンプリング時点の各対について実行された場合、得られた結果は移動列に示される値になる。

【表2】
【0056】
このような減算が電子インターフェースモジュール5によって実行された後、結果が正の数である場合、同じ電子インターフェースモジュール5は、サーボモータ3の2つの可能な移動方向の間で選択される第1の移動方向を必要な移動方向として設定するように構成され、一方、前記結果が負の数である場合、電子インターフェースモジュール5は、前記2つの移動方向のうちの第2の移動方向を必要な移動方向として設定するように構成される。
【0057】
好ましい実施形態によれば、第1の方向は、正の結果の場合、第2の端部位置に向かって、すなわち栓体21の開口に向かって栓体21の変位を可能にするサーボモータ3の移動方向であると理解される。明らかに、第2の方向は、減算の結果が負の数である場合、第1の端部位置に向かって、すなわち流体の完全な遮断の位置に向かって栓体21を移動させるサーボモータ3の移動方向に対応する。
【0058】
しかしながら、代替の実施形態によれば、方向と減算演算の結果との関連付けは、上述したものと正反対であり得ることは排除されない。
【0059】
加えて、電子インターフェースモジュール5は、この減算の結果が0以外の値である場合、step_number変数を1だけ増加させるように構成される。
【0060】
電子インターフェースモジュール5によって受信された特定の入力信号ISについてのそのような検出が完了すると、同じ電子インターフェースモジュール5は、好ましい実施形態によれば、同じ栓体21のステップ単位の現在の絶対位置に対するstep_number変数の値を合計することによって、栓体21に必要であり、ステップ単位で表される絶対位置を計算することによって、そのような情報の前述の中間信号MSへの変換を実行するように構成され、現在の絶対位置のそのような値は、step_current_positionとして本文脈において例示的に定義された変数で、同じ電子インターフェースモジュール5によって以前に記憶されている。
【0061】
明らかに、現在の絶対位置に対するstep_number変数の値のこの合計は、識別された移動方向を考慮して実行されなければならない。
【0062】
電子インターフェースモジュール5はまた、そのような加算演算の実行に続いてstep_current_position変数を更新するように構成される。
【0063】
さらに、電子インターフェースモジュール5は、所定の最小値と所定の最大値との間の前述の範囲内の値で表される栓体21によって想定される絶対位置の値を取得するように構成される。前述の値を得るために、電子インターフェースモジュール5は、ステップ単位の絶対位置の値を、外部電子制御手段102によって制御可能な最大移動ステップ数を電子インターフェースモジュール5によって制御可能な最大位置数で除算することによって計算される変換比Rで除算するように構成される。特に、電子インターフェースモジュール5によって制御可能な最大位置数に関して、それは、栓体の絶対位置に関する情報を表すために前述の電子インターフェースモジュール5で利用可能にされたビットの数に依存し、すなわち、それは中間信号MSの分解能に依存する。したがって、変換比Rに戻ると、例えば、外部電子制御手段102によって制御可能な最大移動ステップ数が480ステップに等しく、電子インターフェースモジュール5によって制御可能な前述の最大位置数が200である場合、Rの値は2.4に等しくなる。例えば、最大移動ステップ数が6386であり、制御可能な最大位置数が10000である場合、Rの値は0.639になる。
【0064】
外部電子制御手段102によって制御可能な最大移動ステップ数に関して、それは、本発明の装置1が設置される冷凍回路内に予め存在する弁要素のタイプに依存する。
【0065】
本発明の好ましい実施形態によれば、電子インターフェースモジュール5はまた、そのような最大移動ステップ数を自動的に検出するように構成される。
【0066】
具体的には、電子インターフェースモジュール5は、外部電子制御手段102が初期化段階を実行するときに、前記検出を実行し、移動ステップおよび上記で広く説明された前記移動方向を検出する前述の段階を実行するように構成され、初期化段階は、第1の端部位置から第2の端部位置へのまたはその逆の栓体の完全な移動のためにステッパモータを制御するように適合された入力信号ISの生成を提供する。
【0067】
実際、ほとんどすべての既存の冷凍または冷却システムがオンにされるとき、現在の外部電子制御手段102が前述の初期化段階を実行することは周知である。
【0068】
場合によっては、そのような初期化段階は、システムが既に動作しているときにオペレータによって強制され得る。
【0069】
しかしながら、本発明の代替の実施形態によれば、装置1、特に電子インターフェースモジュール5が、この最大移動ステップ数を自動的に検出するように構成されないが、オペレータによる手動入力後にそのような値を記憶するように構成されることは排除されない。
【0070】
これらの態様を明確にし、変換手順に戻ると、量の絶対位置の値が得られると、電子インターフェースモジュール5は、量の絶対位置のこの値を所定の最小値と所定の最大値との間の前述の範囲内で正規化することによって中間信号MSの値を計算するように構成される。
【0071】
本明細書で論じる本発明の実施形態に関して、この範囲は、上述のように0~10000である。
【0072】
さらに、本発明の装置1、特に電子インターフェースモジュール5は、栓体21によって想定される正確な位置をサーボモータ3から取得することができるように、サーボモータ3によって生成されたフィードバック信号SFを入力として受信するように構成される。
【0073】
そのような情報は、栓体21によって想定される実際の位置が中間信号MSによって設定された位置と整列していない場合に、位置補正ロジックを実施するために同じ電子インターフェースモジュール5によって有利に使用され得る。
【0074】
加えて、または代替として、そのようなフィードバック信号SFは、有線通信または無線通信のいずれかによって、同じ電子インターフェースモジュール5によって外部デバイスに利用可能にされてもよい。
【0075】
これに関して、本発明の好ましい実施形態によれば、装置1、特に電子インターフェースモジュール5はまた、無線タイプの通信手段6、好ましくは無線近接タイプの通信手段、さらにより好ましくはBluetoothインターフェースを備える。
【0076】
本発明の好ましい実施形態によれば、装置1は、電子制御ユニット4、電子インターフェースモジュール5、およびサーボモータ3が一体的に収容される外側ケーシング7を提供する。
【0077】
しかしながら、本発明の変形実施形態によれば、装置1は、いくつかの分離可能な構成要素、例えば、弁要素2、サーボモータ3、および電子制御ユニット4を備える第1の構成要素と、第1の構成要素に可逆的に結合可能な、前述の電子インターフェースモジュール5を備える第2の構成要素とから構成されてもよいことは排除されない。
【0078】
上述したように、冷凍または冷却システムも本発明の一部であり、図3に概略的に示され、全体として100として参照される。
【0079】
そのようなシステム100は、冷媒流体FRのためのダクト101と、前記ダクト内の冷媒流体FRの流れを制御するために弁要素栓体を移動させるように意図されたステッパモータのための少なくとも前述の入力信号ISを生成するように構成された前述の電子制御手段102とを備える。本発明によれば、そのようなシステムはまた、前述に従って、前記ダクト101に沿って流れる前記冷媒流体FRの流量を自動的に制御するための装置1を備え、装置1の弁要素2は、ダクト101の一部に沿って挿入され、電子インターフェースモジュール5は、電気入力コネクタ51を介して電子制御手段102と接続される。
【0080】
したがって、述べてきたことによれば、本発明の装置は、すべての意図された目的を達成する。
【0081】
特に、冷凍回路に現在使用されている弁よりも良好な性能を有する弁要素の使用を可能にする、ダクトに沿って流れる流体の流量を自動的に制御するための装置を作製する目的が達成される。
【0082】
動作時間が短く、高い差圧および低い圧力降下で動作する能力を有する、漏れのない弁要素の使用および制御を可能にする装置を作製する目的も達成される。
【0083】
本発明によって達成される別の目的は、オペレータが既存の冷凍回路に予め存在する膨張弁を容易かつ迅速に動作させることを可能にする装置を作製することである。
【0084】
特に、達成される目的は、既存の冷凍回路に既に存在する制御要素と容易にインターフェース接続することができ、設置後にいかなる種類の設定も、既に存在する前述の電子制御手段の設定パラメータのいかなる変化も必要としない装置を作製することである。
【0085】
換言すれば、既存の冷凍回路上に存在する制御デバイスを、オペレータにとって完全に透過的な方法で交換または統合することを可能にする装置を作製する目的が達成される。
【0086】
最後に、既存の冷凍回路に既に存在する多種多様な電子制御手段と自動的にインターフェース接続することができる装置を作製する目的が達成された。
図1
図2
図3
【国際調査報告】