(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】飼料作物を収穫及び処理するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A01D 43/04 20060101AFI20231227BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20231227BHJP
A23K 30/18 20160101ALI20231227BHJP
A01D 69/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
A01D43/04
A01B69/00 303Z
A23K30/18
A01D69/00 302Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559181
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 IB2021061628
(87)【国際公開番号】W WO2022130167
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523225184
【氏名又は名称】ランヴィ パテント ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル ベルク カレル
【テーマコード(参考)】
2B043
2B075
2B076
2B150
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043BA09
2B043BB13
2B043EA23
2B043EC12
2B043ED27
2B075AA03
2B075AB10
2B075AC07
2B076AA01
2B076DA10
2B076EA01
2B076EC11
2B076EC23
2B076ED30
2B150AA02
2B150AB20
2B150EA03
2B150EB03
2B150EB20
2B150EE10
(57)【要約】
本発明は、自律型無人装置、制御装置、及び作物処理手段を使用する方法に関し、この方法は、-自律型無人装置によって、作物畑の一部において、第1の量の飼料作物を自動的に収穫することと、-直接、自律型無人装置に設けられた貯蔵空間に、第1の量の収穫飼料作物を自動的に積載することと、-自律型無人装置によって、作物畑から作物処理手段が設けられた作物処理位置まで、第1の量の収穫飼料作物を自動的に輸送することと、-作物処理位置において、第1の量の収穫飼料作物を自律型無人装置の貯蔵空間から自動的に荷降ろしすることと、-作物処理位置において、第1の量の収穫飼料作物を作物処理手段によって処理することとを含み、制御装置は、自律型無人装置を制御して、第2の量の飼料作物を収穫するために方法ステップを繰り返すために、及び、作物処理手段による、第1の量の収穫飼料作物の処理の監視のために構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの自律型無人装置、制御装置、及び作物処理手段を使用する、農業方法において、
a)前記自律型無人装置によって、作物畑の一部において、第1の量の飼料作物を自動的に収穫することと、
b)直接、前記自律型無人装置に設けられた貯蔵空間に前記第1の量の収穫飼料作物を自動的に積載することと、
c)前記自律型無人装置によって、前記作物畑から前記作物処理手段が設けられた作物処理位置まで、前記第1の量の収穫飼料作物を自動的に輸送することと、
d)前記作物処理位置において、前記第1の量の収穫飼料作物を前記自律型無人装置の前記貯蔵空間から自動的に荷降ろしすることと、
e)前記作物処理位置において、前記第1の量の収穫飼料作物を前記作物処理手段によって処理することと
を含み、
前記制御装置が、前記自律型無人装置を制御して、第2の量の収穫飼料作物を収穫するためにステップa)~d)を繰り返すために、及び、前記作物処理手段による前記第1の量の収穫飼料作物を処理することの監視のために構成される、方法。
【請求項2】
前記処理することを監視することが、前記第1の量の収穫飼料作物を前記作物処理手段によって処理することの速度を決定することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御装置が、ステップe)による前記処理することの速度を決定するためにさらに構成され、それにより、前記自律型無人装置が前記第2の量の収穫飼料作物を収穫するためにステップa)~d)の実行を開始しなければならないときを、前記制御装置が決定することができる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記制御装置による、前記処理することの速度を決定することが、所定の時間間隔の後に前記作物処理位置において残りの収穫飼料作物の第3の量を決定することを含み、前記残りの収穫飼料作物の第3の量が、収穫飼料作物の未処理の第1の量を表す、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記制御装置による、前記処理することの速度を決定することが、前記作物処理手段によって所定の間隔中に製造されている製品の第4の量を決定することを含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の量の収穫飼料作物を処理することが、前記第1の量の収穫飼料作物からタンパク質及び/又は炭水化物を得ることを含み、
前記タンパク質及び/又は炭水化物が、食品及び飼料製品の基礎を形成する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の量の収穫飼料作物から得られた前記タンパク質が、動物由来成分非含有乳タンパク質であり、
前記動物由来成分非含有乳タンパク質が、動物由来成分非含有酪農製品の基礎を形成する、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記動物由来成分非含有乳タンパク質が、前記収穫された作物飼料の発酵によって得られる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の量の収穫飼料作物を処理することが、前記第1の量の収穫された飼料から前記タンパク質及び/又は炭水化物を抽出することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記収穫するステップの後に、前記自律型無人装置(1)を使用して前記作物畑(9)の前記一部に自動的に施肥する追加のステップが実行される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記自動的に積載するステップが、前記第1の量の収穫飼料作物が前記土壌に接触することなく実行される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行するためのシステムにおいて、
-車輪を備える自動駆動手段、ナビゲーション手段、前記第1の量の飼料作物を収穫するための自動飼料収穫手段、自動飼料積載手段、飼料貯蔵空間、及び自動飼料荷降手段が設けられた自律型無人装置と、
-前記飼料作物が成長する地表と、
-制御装置と、
-前記自律型無人装置のための自動エネルギ充電装置と、
-前記第1の量の収穫飼料作物を処理するための作物処理手段を有する作物処理位置と
を備え、
前記制御装置が、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法に従って前記地表から第2の量の飼料作物を収穫するために、及び、前記作物処理手段による前記第1の量の収穫飼料作物の前記処理することを監視するために、前記自律型無人装置を制御するように構成される、
システム。
【請求項13】
前記処理することが、前記作物処理手段によって前記第1の量の収穫飼料作物を処理することの速度の決定によって監視される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御装置が、前記作物処理手段による前記処理することの速度を決定するようにさらに構成され、それにより、前記自律型無人装置が前記第2の量の収穫飼料作物の収穫を開始しなければならないときを、前記制御装置が決定することができる、請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
前記処理することの速度が、所定の時間間隔の後に、前記作物処理位置において残りの収穫飼料作物の第3の量を決定することによって決定され、
前記残りの収穫飼料作物の第3の量が、収穫飼料作物の未処理の第1の量を表す、請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
前記処理することの速度が、前記作物処理手段によって所定の間隔中に製造される製品の第4の量を決定することによって決定される、請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項17】
前記作物処理手段が、前記第1の量の収穫飼料作物からタンパク質及び/又は炭水化物を得るように構成され、
前記タンパク質及び/又は炭水化物が、食品及び飼料製品の基礎を形成する、
請求項12~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記作物処理手段が、前記収穫された飼料作物からタンパク質及び/又は炭水化物を抽出するための抽出ステーションを備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記作物処理手段が、前記収穫された飼料作物の発酵を通して動物由来成分非含有乳タンパク質を得るための発酵ステーションを備え、
前記乳タンパク質が、動物由来成分非含有酪農製品の基礎を形成する、
請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人自律型装置を使用して、飼料作物を収穫及び処理するための農業方法に関する。本発明は、該方法を実行するためのシステムにも関する。
【背景技術】
【0002】
そのような方法は知られている。先行技術文献である米国特許第5,557,859号明細書は、単一の通過作業で、収容されている輸送可能なチャンバ内に、農地の作物を直接、連続的に切断、天日乾燥、ベール包装、及び蓄積する方法を開示している。天日乾燥は、あまり効率的ではない。すべての作物処理作業は、農地で実行され、それは、複雑であり、コストがかかる。他の知られている方法もすべて、欠点を有する。それらの多くは、肉体労働、又は少なくとも機械操作者及び/若しくはトラクタ運転手の利用を必要とする。他の方法は、作物畑での局所的な作物の収穫及び処理に限定される。さらに他の方法は、収穫した作物を土壌の上に一時的に置く必要があり、それは、作物の汚染につながる。飼料作物の収穫及び処理のための、改善され、高度に自動化された、普遍的な方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、飼料作物の収穫及び処理のための、改善された農業方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、少なくとも1つの自律型無人装置、制御装置、及び作物処理手段を使用する、請求項1に記載の方法、特に、農業方法によって少なくとも部分的に目的を達成し、この方法は、
a)自律型無人装置によって、作物畑の一部において、飼料作物の第1の量を自動的に収穫することと、
b)直接、自律型無人装置に設けられた貯蔵空間に、第1の量の収穫飼料作物を自動的に積載することと、
c)自律型無人装置によって、作物畑から作物処理手段が設けられた作物処理位置まで、収穫飼料作物の第1の量を自動的に輸送することと、
d)作物処理位置において、第1の量の収穫飼料作物を自律型無人装置の貯蔵空間から自動的に荷降ろしすることと、
e)作物処理位置において、第1の量の収穫飼料作物を作物処理手段によって処理することと
を含み、
制御装置は、自律型無人装置を制御して、第2の量の収穫される飼料作物を収穫するためにステップa)~d)を繰り返すために、及び、作物処理手段による、第1の量の収穫飼料作物の処理の監視のために構成される。
【0005】
このようにして、効率的で完全に自動化された方法が実現され、収穫された飼料作物は、作物処理位置に搬送され、そこで、作物はさらに処理されて、制御装置は、作物処理位置への、収穫飼料作物のさらなる量の供給を自動化する。この作業のために以前は必要とされた農業者又は農場労働者は、現在では、農場又は動物舎のまわりでの他の作業に自分の時間を費やすことができる。
【0006】
収穫された飼料作物は伝統的に、畜産における動物の新鮮な飼料として使用される。しかしながら、飼料作物は、反芻動物及び非反芻動物両方の動物のための改善された飼料、又は、干し草若しくはサイレージなどの、より長い期間、貯蔵することができる飼料を得るために処理することもできる。追加的に又は代替的に、収穫された飼料作物は、精製プロセスの原料として使用して、ヒトに適した食品などの精製品、たとえば、酪農動物の関与しない乳製品を製造することができ、それから得られる酪農製品は、ビーガン食(動物由来成分非含有乳製品)、又は植物由来のタンパク質及び炭水化物に適している。
【0007】
自動的に積載するステップは、第1の量の収穫飼料作物が土壌に接触することなく、行うことができる。上記の農業方法は、収穫された作物の土壌との接触を避けることができ、それは、作物を刈り取り、広げて干し、かき集め、そして積載することが、収穫された作物及び農地に残る作物の両方である前記作物にかなりの汚染及び損傷をもたらすと知られている方法に勝る大きな利点を有することに留意されたい。
【0008】
作物処理位置は、固定された作物処理位置であってもよい、すなわち、作物が処理されている位置は、少なくともより長い期間、たとえば、1週間、1か月、1年間、又はさらに長く、固定されている。或いは、作物処理位置は、移動式の作物処理位置であってもよい、すなわち、作物が置かれている位置は、期間ごとに、たとえば、1時間ごとに又は1日ごとに変わる。そのような移動式の作物処理位置は、移動式の作物処理手段と組み合わせて使用されてもよい。或いは、作物処理手段は移動式であってもよいが、位置は固定されていてもよく、それにより、作物処理手段は、順番に固定されてもよい異なる所定の位置で使用されてもよい。
【0009】
飼料作物が作物処理位置で経るプロセスに関係なく、本発明の利点は、収穫された飼料作物の連続流れを作物処理手段に供給することができるということであり、それにより、たとえ飼料作物がバッチで収穫されるとしても、作物処理は連続プロセスとすることができる。
【0010】
或いは、作物処理手段は、バッチで収穫された飼料作物を処理することができ、飼料作物の供給は、新しいバッチの処理開始時に準備ができている。したがって、後続バッチ間の時間間隔は、最小限に短くすることができる、又は、プロセスを最適な効率にするように適合させることができる。監視は、反復するプロセスであってもよく、たとえば、処理の速度が、時間とともに変化するとき、収穫されるバッチ間の時間間隔をそのように調整することができる。
【0011】
無人自律型装置は、収穫ロボットなどの無人自律走行車であってもよく、自動駆動手段、及び、飼料作物が成長する土地の小区画を案内するナビゲーション手段が設けられてもよい。制御装置の供給により、処理の自動監視が可能になり、方法ステップの繰り返しのタイミングを作物処理位置の処理に適応させる。制御装置は、無人自律型装置上に、又は、たとえば、作物処理手段が設けられる作物処理位置に設けられてもよい。飼料作物は、任意の種類の草、アルファルファ、穀草、又は任意の他の好適な作物であってもよい。
【0012】
ある実施形態によると、処理することを監視することは、第1の量の収穫飼料作物を作物処理手段によって処理することの速度を決定することを含む。監視することは、異なる方法で、好ましくは、カメラ又はレーザセンサなどのセンサ又は撮像ユニットを使用して実行されてもよい。計量器又は容積測定装置などの他の装置も、時間記録装置と組み合わせて使用することができる。したがって、監視することは自動化することができる。監視することから得られる情報は、制御装置と共有されてもよい。
【0013】
さらなる実施形態において、制御装置は、処理することの速度を決定するためにさらに構成され、それにより、制御装置は、自律型無人装置が、第2の量の収穫飼料作物を収穫するために、ステップa)~d)の実行を開始しなければならないときを決定することができる。制御装置は、監視しているデータから、作物処理手段による処理することの速度を決定するように備えられてもよい。制御装置は、飼料作物の次の収穫サイクルを開始する必要があるときを、監視しているデータから決定することができ、それにより、収穫される飼料作物の後続の量は、作物処理手段に合わせて搬送される。或いは、請求項1の方法ステップは、処理することの速度に関係なく、繰り返されてもよいが、時間に依存し、予めプログラムされた時間間隔に基づいて制御装置によって制御されてもよい。さらにまた、方法ステップa)~d)による次の収穫サイクルの開始は、他のセンサ及び/又は外部ソース、すなわち、ウェブサイト及び/又はデータベースから得られる作物畑及び/又は天気に関する情報に依存してもよい。そのような情報の例は、作物畑の収穫可能な作物の量、作物畑のサイズ、作物の高さ、作物の栄養分、作物の成長速度、時期(成長シーズンのピーク)などであってもよい。
【0014】
有利なことには、制御装置による、処理することの速度を決定することは、所定の時間間隔の後に作物処理位置において残りの収穫飼料作物の第3の量を決定することを含み、残りの収穫飼料作物の第3の量は、収穫飼料作物の未処理の第1の量を表す。さらに別の実施形態において、制御装置による、処理することの速度を決定することは、作物処理手段によって所定の間隔中に製造されている製品の第4の量を決定することを含む。したがって、処理することの速度は、収穫された飼料作物の受入れの速度、飼料作物がプロセス中に製品に変換される速度などのいくつかの方法で、又は、精製品の出力速度として、測定することができる。
【0015】
好ましくは、収穫ステップの後に、自律型無人装置を使用して作物畑の前記一部に自動的に施肥する追加のステップが実行される。これは、良好な土壌再生を確実にする。収穫ステップの直後にこのステップを実行することは、土壌に容易にアクセスできる利点を有する。また、土壌及び/又は作物は、圧縮されない又は押し下げられないので、土壌への優れた施肥が保証される。
【0016】
飼料作物を精製することは、さまざまな方法で行うことができる。作物をすぐに処理し始めるために、収穫したての飼料作物を作物処理ステーションに直接輸送することは有利である。これは、経時的な飼料作物の栄養素の劣化を防ぐ。ある実施形態において、第1の量の収穫飼料作物を処理することは、第1の量の収穫飼料作物からタンパク質及び/又は炭水化物を得ることを含み、タンパク質及び/又は炭水化物は、食品及び/又は飼料製品の基礎を形成する。第1の量の収穫飼料作物からの得られたタンパク質は、動物由来成分非含有乳タンパク質であってもよく、動物由来成分非含有乳タンパク質は、動物由来成分非含有酪農製品の基礎を形成する。好ましくは、動物由来成分非含有乳タンパク質は、たとえば、真菌又は酵母培養物を使用する、収穫された作物飼料の発酵によって得られる。酪農動物の搾乳を介することなく、飼料作物から直接得られる乳タンパク質、すなわち、動物由来成分非含有乳製品は、乳漿及びカゼインタンパク質のように乳タンパク質が高純度であり、ラクトース、並びに、抗生物質及び/又はホルモン類などの他のあまり望まれない物質が含まれないという利点を有する。
【0017】
或いは、第1の量の収穫飼料作物を処理することは、第1の量の収穫された飼料からタンパク質及び/又は炭水化物を抽出することを含む。抽出後に飼料作物から得られる植物由来のタンパク質及び/又は炭水化物は、複数の動物に給餌するために使用するために、後の段階で収穫される飼料作物の元の量によるものよりも、長い期間、貯蔵することができる。
【0018】
本発明は、方法を実行するためのシステム、特に、上記方法を実行するためのシステムにも関し、このシステムは、
-車輪を備える自動駆動手段、ナビゲーション手段、第1の量の飼料作物を収穫するための自動飼料収穫手段、自動飼料積載手段、飼料貯蔵空間、及び自動飼料荷降手段が設けられた自律型無人装置と、
-飼料作物が成長する地表と、
-制御装置と、
-自律型無人装置のための自動エネルギ充填装置と、
-第1の量の収穫飼料作物を処理するための作物処理手段を有する作物処理位置と
を備え、
制御装置は、上記の方法に従って地表から第2の量の飼料作物を収穫するために、及び、作物処理手段により第1の量の収穫飼料作物の処理を監視するために、自律型無人装置を制御するように構成される。
【0019】
システムは、地表(すなわち、作物畑)で育成される飼料作物を収穫して、収穫された飼料作物を輸送するために、自律型無人装置、特に、車両を使用して、この方法を自動的に実行することができるので、本発明のシステムは特に、上記のような農業方法を実行するのに適している。地表は、草又は別の好適な飼料作物を育成するために、牧草地又は耕地として使用される土地の小区画であってもよい。
【0020】
自動エネルギ充填装置は、自律型無人装置が知られている充填手段及びコネクタ手段でその1つ又は複数のバッテリを電気的に充填することができる充填ステーションであってもよい。代替的に又は付加的に、自動エネルギ充填装置は、自律型無人装置が屋外にある間に、バッテリを充填するために、太陽電池及び変圧器を備えてもよい。
【0021】
ある実施形態において、処理することは、作物処理手段によって第1の量の収穫飼料作物を処理する速度を通して監視される。第1の量の収穫飼料作物又は任意の他の量を処理する速度は、処理を監視するのに有用なツールであってもよい。処理の速度の(連続的又は急激な)任意の上昇又は低下は、良くも悪くも、処理における変化を示すことがある。好ましくは、又は、上記の実施形態に加えて、制御装置は、作物処理手段によって処理することの速度を決定するようにさらに構成され、それにより、制御装置は、自律型無人装置が、第2の量の収穫飼料作物の収穫を開始しなければならないときを決定することができる。
【0022】
制御装置は、処理することの速度を決定するために、撮像ユニット又は他の好適なセンサ、たとえば、レーザセンサなどの検出器を備えていてもよい。
【0023】
処理することの速度は、所定の時間間隔の後に、作物処理位置において残りの収穫飼料作物の第3の量を決定することによって決定されてもよく、残りの収穫飼料作物の第3の量は、収穫飼料作物の未処理の第1の量を表す。代替的に又は付加的に、処理することの速度は、作物処理手段によって所定の間隔中に製造される製品の第4の量を決定することによって決定されてもよい。
【0024】
上記の方法の収穫ステップが作物処理手段を供給するために繰り返される瞬間は、さまざまな方法で決定することができる。特定の時間間隔で、又は、連続的な時間とともに測定される、処理される飼料作物の残りの量は、作物処理手段の受入れの速度について何かを伝えてもよい。特定の時間間隔で、又は、連続的な時間とともに測定される、飼料作物からの製品の製造された量は、作物処理手段の出力の速度について何かを伝えてもよい。これらの測定は、同時に行うことができ、それにより、受入れ及び出力は、たとえば、処理することの同期及び微調整のために、同時に監視及び比較することができる。
【0025】
なおもさらなる実施形態では、作物処理位置において、収穫された飼料を精製する追加のステップが、作物処理位置で実行される。乾燥(干し草)を又はサイロに貯蔵する(サイレージ)ことによって、作物処理位置において、収穫された飼料作物を貯蔵する代わりに、それを処理する代替的な方法があり、それは、作物を精製することである。これは、さまざまな方法で、たとえば、抽出によって、又は、発酵によって、行われてもよい。
【0026】
本発明によるシステムのある実施形態において、作物処理手段は、第1の量の収穫飼料作物からタンパク質及び/又は炭水化物を得るように構成され、タンパク質及び/又は炭水化物は、食品及び飼料製品の基礎を形成する。作物処理手段は、収穫された飼料作物からタンパク質及び/又は炭水化物を抽出するための抽出ステーションを備えてもよい。それ自体知られている方法において、汁を作物から抽出することができ、それは、たとえば、タンパク質及び炭水化物を抽出するために、異なる留分に分離することができる。これは、収穫したての飼料作物を処理する有用性の高い代替的な方法を構成する。作物をすぐに処理し始めるために、収穫したての飼料作物を作物処理ステーションに直接輸送することは有利である。これは、経時的な飼料作物の栄養素の劣化を防ぐ。飼料作物から得られるタンパク質及び/又は炭水化物は、複数の動物に給餌するために使用するために、後の段階で収穫される飼料作物の元の量によるものよりも、長い期間、貯蔵することができる。
【0027】
或いは、作物処理手段は、収穫された飼料作物の発酵を通して乳タンパク質を得るための発酵ステーションを備えてもよく、乳タンパク質は、動物由来成分非含有酪農製品の基礎を形成する。酪農動物の搾乳を介することなく、飼料作物から直接得られる乳タンパク質、すなわち、動物由来成分非含有乳製品は、乳漿及びカゼインタンパク質のように乳タンパク質が高純度であり、ラクトース、並びに、抗生物質及び/又はホルモン類などの他のあまり望まれない物質が含まれないという利点を有する。そのような発酵のために、真菌又は酵母培養物が使用されてもよい。
【0028】
精製ステップは、抽出又は発酵プロセスに適した飼料作物を作るのに必要とされる必要な予備のステップによって進められてもよい。
【0029】
ここで、本発明は、以下の図に関してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明において使用される自律型無人装置を示す。
【
図3】本発明による作物処理手段を有する、作物処理位置における無人装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に、本発明による自律型無人装置1の実施形態が示されている。自律型無人装置1は、本体2及び車輪3を有する自走式車両であり、作物収穫ロボットを構成する。前側19には、自動収穫手段4が設けられ、ここでは、自動草刈装置の形態で示されている。さらにまた、本体2の内部の貯蔵空間6に収穫された作物を運搬するための、カバー20を有する自動積載手段5がある。これらの自動積載手段5は、防護カバー20内に配置される、クリートを有する、知られているコンベヤベルトを備えることができる。後側21には、目的位置において作物を自動的に荷降ろし及び投与するための荷降手段7が設けられ、ここでは、サイドディスチャージとして示されている。本体2の頂部のアンテナ8は、たとえば、制御装置(図示せず)との通信目的のために設けられる。
【0032】
使用することで、自律型無人装置1が制御及び作動される、自律型無人装置1のための、エンジン(燃料、ガス、又は電気)などの駆動手段、及び、制御装置、たとえば、コンピュータ又は他の制御手段は示されていない。制御装置は、プロセッサ、ナビゲーション手段、及びインタフェースを備えてもよい。それは、自律型無人装置1に含むことができるが、他の場所に配置することもでき、アンテナ8を介して車両1と通信することができる。
【0033】
自律型無人装置1のための自動エネルギ充填装置、たとえば、充填ステーションも示されていないが、それは、知られている充填手段及びコネクタ手段でその1つ又は複数のバッテリを電気的に充填することができる。或いは、充電式バッテリの代わりに、装置1を駆動するための燃焼エンジン又は任意の他の好適な手段を使用することも可能である。
【0034】
図2は、本発明によるシステム100を示す。自律型無人装置1は、制御装置の制御下で、作物畑9、たとえば、草地の上を経路10に沿って移動する。自律型無人装置1が草を刈り取って、積載すると、自律型無人装置1は、以下でさらに説明される作物処理位置16へ移動する。作物処理位置16は、畜舎12内の固定作物処理位置として示され、畜舎12には、
図2に示されるように、牛13もいる。
【0035】
本発明に従って、飼料作物は、作物畑9の一部において、自律型無人装置1によって自動的に収穫される。それから、収穫された飼料作物は、前記収穫された飼料作物が土壌に接触することなく、自律型無人装置1に設けられた貯蔵空間6に直接、自動的に積載される。次いで、収穫された飼料作物は、自律型無人装置1によって、作物畑9から固定作物処理位置16まで自動的に輸送され、固定作物処理位置16で、収穫された飼料作物は、自律型無人装置1の貯蔵空間6から、自動的に荷降ろしされる。
【0036】
さらに、自律型無人装置1には、目的位置11の作物の量を測定又は決定するために、高さセンサなどのセンサ18、たとえば、レーザセンサが設けられる。センサ18は、制御装置と通信することができ、制御装置は、目的位置11における作物需要を決定するときに、測定値を考慮することができる。作物需要は、固定作物処理位置16における処理の速度に基づく。処理の速度は、一定の間隔でのセンサ18による測定で決定することができ、その一方で、自律型無人装置1は固定作物処理位置16に残る。処理の速度の決定時、制御装置は、作物畑における後続処理の開始点まで駆動するために、自律型無人装置1に必要とされる時間の量を計算してもよい。収穫し、収穫走行の最後から目的位置11に戻る間の経過時間は、固定作物処理位置16に収穫された飼料作物の量を補充するために、自律型無人装置1が方法ステップを繰り返し始めることができるときを決定する。
【0037】
固定作物処理位置16を訪れた後、制御装置が、目的位置11の作物の量を補充しなければならないことをセンサ18の測定値から確定したとき、自律型無人装置1は、次の収穫走行のために作物畑9に戻ってもよい。したがって、収穫したての作物14は目的位置11に供給され、それにより、作物処理手段16は、収穫された飼料作物を連続的に処理することができる。
【0038】
貯蔵空間6に収集される飼料作物14の量、及び/又は、固定処理位置における収穫された飼料作物の量は、同様に監視される。貯蔵空間6に収集される飼料作物14の量を監視するための監視手段は、貯蔵空間6内の又は固定処理位置16における計量床などの計量手段、或いは、貯蔵空間6に、貯蔵空間6内に、若しくは貯蔵空間6の近くに、固定処理位置16に、及び/又は作物処理手段内に設けられる飼料高さセンサとすることができる。
【0039】
すでに収穫された作物畑9の表面は、ナビゲーション手段の助けを借りて制御装置によって監視することができ、目的位置11を訪れた後、自律型無人装置1は、ナビゲーション手段の助けを借りて制御装置に登録された、すでに収穫された作物畑9の表面に応じて、開始位置まで作物畑9に自動的に戻される。その場合、自律型装置1は、次の収穫走行の準備ができている。これは、繰り返し実行されており、制御装置によって制御され、処理を実行するための、目的位置11における収穫された飼料作物の十分な供給が保証される。作物畑表面の監視は、単純な方法で、たとえば、収穫軌道の開始点及び最後を登録することによって行うことができるが、好ましくは、ナビゲーション手段(それ自体知られている)が使用される。最新の収穫走行の最後は、次の走行の開始始点とすることができる。
【0040】
図2における、自律型無人装置1の経路10は単なる略図であることに留意されたい。通常、装置1は、非常に何度も、畑9を上下に移動しなければならない。制御装置が、(たとえば、高さセンサ18で決定されるような)予想される飼料作物需要、(たとえば、計量床で決定されるような)貯蔵空間6に収集された飼料作物の量、並びに、(ナビゲーション手段で決定されるような)装置1の現在位置から目的位置11への予想される移動経路及び時間を考慮して、装置1は目的位置11に進まなければならないと決定するとすぐに、装置1は、制御装置によって計算された最適な経路10に沿って、畑9を去り、目的位置11に向けて移動する。制御装置が目的位置11により短いルートを提供する場合、装置1は任意の位置で畑9を離れてもよい。
図2は、システムの単なる略図である。
【0041】
自律型無人装置1によって収穫された飼料作物は、飼料としても使用することができ、作物処理手段22による処理のための固定処理位置16に収穫された飼料作物を搬送することと合わせて、動物13の群に分配することができる。次いで、自律型無人装置14は、飼料フェンス15において、保管場所6から収穫された飼料作物14を、サイドディスチャージ7を介して荷降ろしする。
【0042】
収穫ステップの後に、自律型無人装置1を用使用して作物畑9の前記一部に自動的に施肥する追加のステップを実行することができる。これは、良好な土壌再生を確実にする。収穫ステップの直後にこのステップを実行することは、土壌に容易にアクセスできる利点を有する。また、土壌及び/又は作物は、圧縮されない又は押し下げられないので、土壌への優れた施肥が保証される。
【0043】
このため、肥料混合物(たとえば、水で希釈された肥料)を収容するための肥料混合物タンクが、たとえば、100リットルの容積を有して、装置1上にさらに設けられてもよい。装置1上の、収穫手段4と車輪3との間に、たとえば、(それ自体知られている)投与バー上の投与ノズルの列(図示せず)を備える(肥料混合物タンクに接続された)肥料混合物投与手段が設けられてもよい。投与ノズルは、自律型無人装置1の移動の方向に見て、収穫手段4後方且つ車輪3の前方に設けられる。これは、技術的に単純で、さらに有利なソリューションである。土壌及び/又は作物は、車輪3によって圧縮されない又は押し下げられないので、土壌へのより良好な施肥が保証される。肥料混合物タンクを(再)充填するための肥料混合物充填ステーション(図示せず)を、たとえば、装置1のためのエネルギ充電ステーションに、好ましくは、目的位置11に又は目的位置11の近くに、準備することができる。
【0044】
本発明による固定作物処理位置16は、
図3に関してさらに詳細に説明される。
図3は、本発明による作物処理手段22を有する、固定作物処理位置16における無人装置1を示す。
【0045】
図3において、自律型無人装置1は、固定作物処理位置16である目的位置11に到着した。次いで、収穫された作物は、装置1の後端の自動荷降及び投与手段7、すなわち、サイドディスチャージによって、貯蔵空間6から自動的に荷降ろしされる(
図1参照)。サイドディスチャージ7は、装置1の両側で作物を荷降ろしするのに適している。作物は、作物が作物処理手段22へ導かれている輸送手段23、たとえば、コンベヤベルト上に荷降ろしされる。
【0046】
作物処理位置16において、収穫された飼料を精製する追加のステップが実行される。精製は、発酵によっても、又は、抽出によっても、行うことができる。後者の場合、汁を作物からしぼり出すことができ、それは、たとえば、タンパク質(それ自体知られている)を抽出するために、異なる留分に分離することができる。これは、収穫したての飼料作物を処理する有用性の高い代替的な方法を構成する。前者の場合、作物処理手段22は、飼料作物を発酵させるためのタンクを含んでもよい。飼料作物の発酵は、乳漿及びカゼインタンパク質などの動物由来成分非含有乳タンパク質をもたらすことができる。
【0047】
精製プロセスの後、結果として得られた製品は、包装ステーション24で包装される。包装は、精製で製作された製品の種類に応じた好適な方法で行われてもよい。
図3は、第2の輸送手段23上の、作物処理手段22から出てきているジャー又はボトル25を概略的に示す。しかしながら、これは、バッグ又は他のコンテナとすることもできる。ジャー25は、さらなる輸送及び分配のために、トレイ26上に集められる。
【0048】
特定の実施形態が説明されたが、現在予見されない又は予見されないことがある代替、改変、変形、改善、及び実質的な均等物は、出願人又は他の当業者に想起されてもよい。したがって、出願時及びそれらが修正されてもよいときの添付の特許請求の範囲は、すべてのそのよう代替、改変、変形、改善、及び実質的な均等物を包含すると意図される。
【符号の説明】
【0049】
1 自律型無人装置
2 本体
3 車輪
4 自動収穫手段
5 自動積載手段
6 貯蔵空間
7 自動荷降手段
8 アンテナ
9 作物畑
10 経路
11 目的位置
12 畜舎
13 牛
14 飼料作物
15 飼料フェンス
16 作物処理位置
18 センサ
19 装置の前側
20 カバー
21 後側
22 作物処理手段
23 輸送手段
24 包装ステーション
25 ジャー
26 トレイ
【国際調査報告】