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特表2024-501079セカンドライフ電気車両用電池を用いるエネルギー貯蔵システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】セカンドライフ電気車両用電池を用いるエネルギー貯蔵システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/251 20210101AFI20231227BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231227BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20231227BHJP
   H02J 15/00 20060101ALI20231227BHJP
   H01M 50/583 20210101ALI20231227BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20231227BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20231227BHJP
【FI】
H01M50/251
H02J7/00 L
H02J7/00 P
H02J3/32
H02J15/00 D
H01M50/583
H01M50/284
H01M50/249
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560256
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022011411
(87)【国際公開番号】W WO2022126141
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】17/382,933
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523221924
【氏名又は名称】ビートゥーユー ストレージ ソリューションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】B2U STORAGE SOLUTIONS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン ストフレット ホール
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジョセフ スターン
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5G066JA07
5G066JB03
5G503AA04
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5H040AA36
5H040AS01
5H040AY03
5H040AY10
5H040DD26
5H043AA04
5H043BA11
5H043GA02
(57)【要約】
電気車両用電池パックを統合型電池エネルギー貯蔵システムに統合するための統合型電池エネルギー貯蔵システム及び方法が開示される。統合型電池エネルギーシステムは、直列/並列配置で連結された複数の電気車両用電池パックを備え、直列/並列配置は、電気車両用電池パックの複数の直列ストリングを含み、電気車両用電池パックの複数の直列ストリングのそれぞれは、直列に連結された複数の電気車両用電池パックのうちの少なくとも2つを含み、電気車両用電池パックの複数の直列ストリングは、並列に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列/並列配置で連結された複数の電気車両用電池パックを備え、
前記直列/並列配置は、電気車両用電池パックの複数の直列ストリングを含み、
電気車両用電池パックの前記複数の直列ストリングのそれぞれは、直列に連結された前記複数の電気車両用電池パックのうちの少なくとも2つを含み、
電気車両用電池パックの前記複数の直列ストリングは、並列に接続されている、統合型電池エネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
前記複数の電気車両用電池パックは、製造元のパックケーシング又はエンクロージャを再構成又は変更することなく使用される、請求項1に記載の統合型電池エネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
前記複数の電気車両用電池パックは、前記複数の電気車両用電池パックのそれぞれに元々統合されている製造元の電池管理システムと共に使用される、請求項1に記載の統合型電池エネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
前記複数の直列ストリングのそれぞれは、前記複数の直列ストリングのそれぞれと直列に接続された過電流デバイスを備える回路コンバイナによって保護される、請求項1に記載の統合型電池エネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
前記複数の直列ストリングのそれぞれは、複数のDC-DCコンバータを備えるスマートコンバイナによって保護され、
前記スマートコンバイナは、共通直列ストリング内の電気車両用電池パックから別の電気車両用電池パックにエネルギーを移動させることによって、又は、共通直列ストリング内の別の電気車両用電池パックから電気車両用電池パックにエネルギーを移動させることによって、共通直列ストリング内の2つ以上の電気車両用電池パックのバランスを取るように構成されている、請求項1に記載の統合型電池エネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
前記複数の電気車両用電池パックのためのラッキングシステムと、
前記複数の電気車両用電池パックの設置又は交換を容易にするように構成されている取り外し可能なパネルを含むと共に内部環境制御を有するエンクロージャと、
を更に備え、
前記エンクロージャは建築基準法又は消防法の規定に従って占有可能な空間とは判断されない、請求項1に記載の統合型電池エネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
前記複数の電気車両用電池パックのそれぞれの内部の電池管理システムと通信し、該電池管理システムを制御するように構成されている電池パック制御部をさらに備える、請求項1に記載の統合型電池エネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
前記複数の電気車両用電池パックは、セカンドライフ電気車両用電池パックであり、
前記セカンドライフ電気車両用電池パックは、電気車両におけるファーストライフ用途から別の目的のために利用される電池である、請求項1に記載の統合型電池エネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
エネルギーを貯蔵するように構成されている複数の電気車両用電池パックと、
エネルギー貯蔵アセンブリの屋外配備を可能にするように構成されているエンクロージャと、
前記エンクロージャから前記複数の電気車両用電池パックの設置及び取り外しを容易にするように構成されている複数の取り外し可能な外装エンクロージャパネルと、
直列接続される電気車両用電池パックの電圧又はエネルギー貯蔵容量のバランスを取るように構成されている複数のDC-DCコンバータと、
前記エンクロージャ内の前記複数の電気車両用電池パックの使用可能な寿命を延ばすように構成されている、前記エンクロージャ内の環境制御部と、
前記複数の電気車両用電池パックの間の電気的絶縁及び断熱をもたらすように構成されている、前記複数の電気車両用電池パックのためのラッキングシステムと、
製造元の設計及び意図された機能から変更せずに、電気車両用パック電池管理システムを使用するように構成されている電気車両用電池パック制御部と、
を備える、統合型電池エネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
DC電気車両用電池パック電力をAC電気グリッド電力に変換し
、又は、AC電気グリッド電力を変換してDC電気車両用電池パックを充電するように構成されている双方向電力コンバータをさらに備える、請求項9に記載の統合型電池エネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
前記複数の電気車両用電池パックは、製造元のパックケーシング又はエンクロージャを再構成又は変更することなく使用される、請求項9に記載の統合型電池エネルギー貯蔵システム。
【請求項12】
前記複数の電気車両用電池パックは、前記複数の電気電池パックのそれぞれに元々統合されている製造元の電池管理システムと共に使用される、請求項9に記載の統合型電池エネルギー貯蔵システム。
【請求項13】
前記複数の電気車両用電池の直列ストリングは、過電流デバイスを備える回路コンバイナによって保護されている、請求項9に記載の統合型電池エネルギー貯蔵システム。
【請求項14】
前記複数の電気車両用電池の直列ストリングは、複数のDC-DCコンバータを備えるスマートコンバイナによって保護され、
前記スマートコンバイナは、前記直列ストリング内の電気車両用電池パックから別の電気車両用電池パックにエネルギーを移動させることによって、又は、前記直列ストリング内の別の電気車両用電池パックから電気車両用電池パックにエネルギーを移動させることによって、前記直列ストリング内の2つ以上の電気車両用電池パックのバランスを取るように構成されている、請求項9に記載の統合型電池エネルギー貯蔵システム。
【請求項15】
前記複数の電気車両用電池パックは、セカンドライフ電気車両用電池パックであり、
前記セカンドライフ電気車両用電池パックは、電気車両におけるファーストライフの用途から別の目的のために利用される、請求項9に記載の統合型電池エネルギー貯蔵システム。
【請求項16】
複数の電気車両用電池パックを直列/並列配置で連結する連結ステップと、
電気車両用電池パックの前記複数の直列ストリングを並列に接続する接続ステップと、を含み、
前記直列/並列配置は、電気車両用電池パックの複数の直列ストリングを含み、
電気車両用電池パックの前記複数の直列ストリングのそれぞれは、直列に連結された前記複数の電気車両用電池パックのうちの少なくとも2つを含む、
電気車両用電池パックを統合型電池エネルギー貯蔵システムに統合する方法。
【請求項17】
前記複数の電気車両用電池パックを、製造元のパックケーシング又はエンクロージャを再構成又は変更することなく使用する第1使用ステップと、
前記複数の電気車両用電池パックのそれぞれに元々統合されている、製造元の電池管理システムと共に使用される前記複数の電気車両用電池パックを使用する第2使用ステップ、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の直列ストリングのそれぞれを、複数の直列ストリングのそれぞれに直列に接続された過電流デバイスを備える回路コンバイナによって保護する保護ステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の直列ストリングのそれぞれをスマートコンバイナによって保護する保護ステップをさらに含み、
前記スマートコンバイナは、共通直列ストリング内の電気車両用電池パックから別の電気車両用電池パックにエネルギーを移動させることによって、又は、共通直列ストリング内の別の電気車両用電池パックから電気車両用電池パックにエネルギーを移動させることによって、共通直列ストリング内の2つ以上の電気車両用電池パックのバランスを取るように構成されている複数のDC-DCコンバータを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の電池車両用電池パックは、セカンドライフ電池車両用電池パックであり、前記セカンドライフ電池車両用電池パックは、電池車両におけるファーストライフの用途から別の目的のために利用される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、セカンドライフ電気車両用電池を用いるエネルギー貯蔵システム及び方法に関し、より詳細には、直列/並列配置で連結された複数の電気車両用電池パックを含む、統合型電池エネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー貯蔵システム(ESS)のコストを削減することは、電気料金納付者及び為政者にとって重要な目標である。ESSコストを測定するための主な測定基準は、システムが貯蔵した累積送達電力量で割った構築資本コスト及び運用コストを含む、ESSの総ライフコストとして定義される、平準化貯蔵コスト(LCOS)である。
【0003】
二次使用又はセカンドライフ定置式貯蔵利用のために、電気化学電池を電気車両(EV)から再利用することは、新しい電池を使用することと比較して、ESSのLCOSを著しく低減することができる。EV電池がもはやEVでの使用に適さなくなったとき、EV電池を定置式貯蔵利用に配備することは、電池の最高かつ最良の用途である。より大きな規模のESSは、高い電圧及び電流レベルでエネルギーを送達するために、直列及び並列の電気構成で配備される多数の電池を必要とする。ESSは、顧客のメータの前に電気的に接続されていても後ろに電気的に接続されていても、電池を経時的に効率的に統合及び管理し、充電/放電周期を効果的に管理しなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
総合的なエネルギー貯蔵システム(ESS)内のセカンドライフ定置式貯蔵利用においては、複数の電気車両(EV)用電池を利用するシステムを有することが望ましい。
【0005】
一態様においては、
直列/並列配置で連結された複数の電気車両用電池パックを備え、
前記直列/並列配置は、電気車両用電池パックの複数の直列ストリングを含み、
電気車両用電池パックの前記複数の直列ストリングのそれぞれは、直列に連結された前記複数の電気車両用電池パックのうちの少なくとも2つを含み、
電気車両用電池パックの前記複数の直列ストリングは、並列に接続されている、統合型電池エネルギー貯蔵システム、が開示される。
【0006】
別の態様においては、
エネルギーを貯蔵するように構成されている複数の電気車両用電池パックと、
エネルギー貯蔵アセンブリの屋外配備を可能にするように構成されているエンクロージャと、
前記エンクロージャから前記複数の電気車両用電池パックの設置及び取り外しを容易にするように構成されている複数の取り外し可能な外装エンクロージャパネルと、
直列接続される電気車両用電池パックの電圧又はエネルギー貯蔵容量のバランスを取るように構成されている複数のDC-DCコンバータと、
前記エンクロージャ内の前記複数の電気車両用電池パックの使用可能な寿命を延ばすように構成されている前記エンクロージャ内の環境制御部と、
前記複数の電気車両用電池パックの間の電気的絶縁及び断熱をもたらすように構成されている、前記複数の電気車両用電池パックのためのラッキングシステムと、
製造元の設計及び意図された機能から変更せずに、電気車両用パック電池管理システムを使用するように構成されている電気車両用電池パック制御部と、
を備える、統合型電池エネルギー貯蔵システム、が開示される。
【0007】
一態様においては、
複数の電気車両用電池パックを直列/並列配置で連結する連結ステップと、
電気車両用電池パックの前記複数の直列ストリングを並列に接続する接続ステップと、を含み、
前記直列/並列配置は、電気車両用電池パックの複数の直列ストリングを含み、
電気車両用電池パックの前記複数の直列ストリングのそれぞれは、直列に連結された前記複数の電気車両用電池パックのうちの少なくとも2つを含む、
電気車両用電池パックを統合型電池エネルギー貯蔵システムに統合する方法、が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の例示的実施形態に従うエネルギー貯蔵システムの一部としてのユーティリティを示すブロック図である。
図2】例示的実施形態に従うエネルギー貯蔵システムの変更された電気的な単線結線図である。
図3】本発明の一実施形態に従う電池パック制御部(BPC)及びスマートコンバイナを示す図である。
図4】例示的実施形態に従うエンクロージャ構成要素の機械的配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
簡素化及び説明のために、実施形態の原理は、主にその実施例を参照することによって説明される。以下の説明では、実施形態の深い理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、実施形態は、これらの具体的な詳細に限定されることなく実施され得ることが、当業者には明らかであろう。いくつかの例では、実施形態を不必要に不明瞭にしないよう、周知の方法及び構造が詳細には説明されていない。
【0010】
一態様においては、EVパック貯蔵システム(EPS)は、統合された機能ユニット又は構成要素として複数のEV電池パックを使用する。この場合、複数のEV電池パックは、かなり容易に集約され、ESS内のより大きな電池として機能する。電池は、EV内で据え付けられた、元のパックケーシング内の特殊な環境制御されたエンクロージャ内にラッキングされ得る。特殊な環境制御されたエンクロージャは、統合されたEVパック貯蔵ユニットとして機能し、EPSは、総合的なESS内のサブシステム構成要素として機能する。EPS内のEV電池パックは、直列及び並列に、電気的に接続されてもよい。直列ストリング(string)のそれぞれは、過電流デバイスで保護される。EPSエンクロージャは、EV電池パックの取り付け、取り外し及び交換が容易になるように設計されている。各電池パック及びストリングは、専用の電池パック制御部(BPC)で監視してもよい。BPCは、適切な動作パラメータを保証し、各EV電池パックの健全性を監視するのに役立つ。電池パック制御部(BPC)は、EVパックが統合された電池管理システム(BMS)とインターフェースすることによって、各EV電池パックの健全性を監視することができる。BPCは、スマートコンバイナ(SC)を管理して、各パックの容量のばらつきを調整しながら個々のパックの充放電サイクルを有効に利用するために、能動的にセカンドライフ電池のバランスを取る。EPSエンクロージャの環境は、適切な動作温度を維持し、ハザードを検出するために管理される。EPSは、インバータ電力変換システム(PCS)並びに監視制御及びデータ取得(SCADA)も含む、より大きなESS内で動作する。複数のEPSは、ESS内で一体的に動作することができる。ESSは、インバータにDC結合又はAC結合されて構成され得る。EPSは、太陽光若しくは風力などのオンサイト発電又はAC電力システムによって供給される電気によって充電することができる。ESS内のEPSは、グリッドに直接相互接続されたメータの前(IFM)又はメータの後ろ(BTM)に配備され、顧客の負荷及び需要を補うことができる。
【0011】
例示的実施形態では、エネルギー貯蔵システム(ESS)内に複数のセカンドライフ電気車両(EV)電池パックを配備するための統合システムが開示される。
【0012】
本開示において、EVパック貯蔵システム(EPS)と呼ばれるものは、統合された機能的構成要素であり、多数のEV電池パックが、容易に集約され、総合的なESS内でより大きな電池として機能する。EPSの構成及び機能は、(1)EV電池パックが、電池パックの電池管理システム(BMS)並びに類似デジタルシリアルデータリンクフォーマット及びプロトコルを組み込んだ、元のファーストライフ車両用途のように、機械的かつ電気的に利用されることと、(2)EV電池パックが、並列配置及びしばしば直列で、電気的に構成されることと、を含む。EV電池パックは、もともとは直列接続での使用のために設計されたものではない可能性もあるが、この制限は、取り付け、通信、及び相互接続のための特有の設計によって克服される。この特有の設計は、(3)多数のEV電池パックが、環境制御され、監視されるキャビネット又はエンクロージャ(このエンクロージャは、建物基準法若しくは消防法の定義に従って占有可能な空間とは判断されず、単一のエンクロージャ又は多数のエンクロージャは、ESSに統合され得る)に統合されること、(4)電池パック制御部(BPS)がEPSの部分として配備され、電池が一体化された機能ブロックとして一体的に機能するとともに連動して動作するために、必要な通信及び制御を統合すること、及び、(5)スマート回路コンバイナがEPS内の全てのEV電池パックに対する電気的平衡及び過電流保護を提供すること、を含む。
【0013】
図1は、グリッドタイ(grid-tied)エネルギー貯蔵システムの部分としての好ましい実施形態における本開示の有用性を示すブロック図である。例示的実施形態では、EVパック貯蔵システム(EPS)100は、総合的なエネルギー貯蔵システム(ESS)の部分として実装され得る。矢印を有する全ての太線600は、電力接続及び可能な電力潮流方向を示す。全ての破線500は、双方向デジタルデータバス接続を示す。
【0014】
EPS100は、図1においてブロック1、N-1、及びNとして指定される複数のEV電池パックを含み、同じEV電池パックの任意の数Nを示す。EV電池パック1は、電池1.1及び電池管理システム(BMS)1.2を含む。EV電池パック電池1.1~N.1は、単一パックの公称電圧の倍数である公称電圧で直列に接続される。N個のEV電池パックは、直列/並列構成で接続され、又は、スマートコンバイナ130内に集約されて、総合的なエネルギー貯蔵システム内のより大きな電池として電気的に機能する。スマートコンバイナ130は、双方向DCDC(DC-to-DC)コンバータ603に接続される。DCDCコンバータ603は、集約EV電池パックとインバータ電力変換システム(PCS)605との間に最適な電圧適合を提供して、太陽光発電部606の最高電力点が温度及び負荷に応じて変化するように、最適な電圧適合を提供し得る。スマートコンバイナ(SC)130は、各パックの容量の相違を調整する個々のパックの充放電サイクルを効果的に利用するため、能動的にセカンドライフ電池のバランスを取るために使用され得る。
【0015】
総合的なシステムが、EV電池パックに貯蔵されたエネルギーを、例えば電力グリッド610に送達しているとき、DC電力は、EV電池パックからスマートコンバイナ130を通り、DCDCコンバータ603を通って流れる。次に、DC電力は、PCS605によってAC電力に変換され、エネルギーを電力グリッド610に供給する。太陽光発電部606からの電力は、例えば利用可能な場合、DC/AC電力コンバータとして機能するPCS605を通って流れ、電力を電力グリッド610に放電することもできる。この構成では、電力グリッド610への総電力は、例えば、電池から供給された電力及び太陽光発電部から供給された電力の組み合わせとすることができる。
【0016】
例示的実施形態では、総合的なシステムがEV電池パック1~Nを充電するためにエネルギーを送達しているとき、PCS605は電力グリッド610からAC電力を調達し、AC電力をDC電力に変換することによって、AC/DC電力コンバータとして機能する。このDC電力は、DCDCコンバータ603を通り、スマートコンバイナ130を通って、すべてのEV電池パック1~Nに流れる。太陽光発電部606からの電力は、利用可能な場合、電力グリッド610からの必要な電力を低減してEV電池パック1~Nを充電するために使用することができ、又は、利用可能な太陽光発電部606からの電力がこれらのEV電池パックを充電するために必要な電力よりも大きいとき、余剰電力が電力グリッド610に与えられ得る。いくつかのシステム変形例は、オンサイトな太陽光発電部606を含まず、従って、DCDCコンバータ603は必要ではない場合がある。
【0017】
例示的実施形態では、電池管理システム(BMS)1.2は、EV電池パック1内のすべてのセルを監視して、主に、直列ストリングにおけるミスマッチセル、充電不足セル又は過充電セルをチェックする。ミスマッチセルを監視し、再びバランスをとることによって、EV電池パックの使用可能な寿命を改善させることができ、電池セル及び電池パックの安全な動作パラメータを保証して危険な状況を回避することができる。電池パック制御部(BPC)140は、デジタルデータバスを通じて個々のEV電池パック1~Nと通信する。監視制御及びデータ取得(SCADA)501は、BPC140と通信して、集約EV電池パックの充電状態、健全性の状態及び全体的な利用可能性を確認する。例示的実施形態では、SCADA501は、インターネット502を通じて電力システム管理部503からトップレベルコマンドを受信して、全体的なエネルギー貯蔵システムの動作を制御する。
【0018】
SCADA501はまた、キャビネット制御システム150と通信することができる。EPS100内で、キャビネット制御システム150は、温度管理ブロック151及び危険保護ブロック152と通信することができる。温度管理ブロック151は、必要に応じて、空調、除湿、通気及び空気循環を提供し、EV電池パック1~Nに最適な環境を維持する。危険検出ブロック152は、EPS100エンクロージャ内の環境を、煙及び温度超過/温度不足状態を対象にして監視する。
【0019】
図2は、例示的実施形態によるエネルギー貯蔵システムの変更された単線電気回路図であり、電力潮流を示す。しかしながら、本開示及び説明は、本開示の範囲を、本明細書に記載される数の要素及び/又は構成要素を有するシステムに限定するものではない。
【0020】
図2に示されるように、エネルギー貯蔵システムは、例えば、4つのEVパック貯蔵アセンブリ(EPS)100、200、300及び400を有する。各EPS100、200、300、400は、同一であり得る。しかしながら、各EPSは同一でなくてもよく、1つ以上のEPS100、200、300、400の変更が行われてもよい。例示的実施形態では、EPS100は、1~24で示される24個のEV電池パック(EVBP)を含む。各EVBP内には、EVBP1の1.1~EVBP24の24.1として示されている多数の直列又は直並列接続された電池モジュールが有る。また、通常は、EVBP1の1.3からEVBP24の24.3に指定された1つ以上の直列接続コンタクタとして構成され得る開放コンタクタも、存在する。EVBP1~24はまた、限定はされないがプリチャージ抵抗器及びコンタクタなどの、他の電力回路を含んでもよい。この例示的なシステムでは、EVBP1~24は、EVBP対が直列に接続され、これらの直列ストリングのうちの12が並列に接続される2S12P回路構成で接続される。直列ストリング対は、1/2、3/4、5/6、7/8、9/10、11/12、13/14、15/16、17/18、19/20、21/22及び23/24である。12個の直列ストリング1/2~23/24のそれぞれは、スマートコンバイナ130において、ヒューズ101~112を通じて接続されている。ヒューズ101~112は、第2段階目の過電流保護を提供して、EV電池1.1~24.1を異常状態下の過電流から保護する。ヒューズ101~112はまた、コンタクタ1.3~24.3が安全コンタクタの限界を超える電流を遮断することを防止することができる。コンタクタ1.3~24.3は、ヒューズ101~112の定格未満の電流並びに他の回路絶縁及び接続制御機能のために、第1段階目の過電流保護を提供することができる。スマートコンバイナ(SC)130のアウトプットは、EPS100の電源回路を他のエネルギー貯蔵システム構成要素から接続又は隔離するスイッチ161に接続される。ヒューズ162は、コンダクタの電流容量及びスイッチ161の遮断機能を保護する。例示的実施形態では、ブレーカ又は他の過電流デバイス及びシステムを、図2のヒューズの代わりに使用することができる。
【0021】
このシステム実施例では、EPS100及び200は、DCDCコンバータ603に接続される。EP300及び400は、DCDCコンバータ604に接続される。DCDCコンバータ603は、並列接続されたEPS100及びEPS200とインバータ電力変換システム(PCS)605との間の最適な電圧マッチングを提供して、太陽光発電部606の最高電力点が温度及び放射照度とともに変化するように最適な電圧適合を提供することができる。DCDCコンバータ603及び604の両方は、EV電池パックを充電又は放電するために、双方向の電力伝送が可能である。PCS605はまた、電力潮流に関して双方向である。
【0022】
例えば、総合的なシステムがEPS100、200、300及び400の電池に貯蔵されたエネルギーを電力グリッド610及び/又は局所負荷部607に送達しているとき、DC電力は、DCDCコンバータ603を通じてEPS100及び200から、並びに、DCDC電力コンバータ604を通じてEPS300及び400から、並列に流れる。次いで、DC電力は、PCS605によってAC電源に変換され得る。次いで、AC電力は、電力グリッド610への接続前に、配電変圧器608を通り(この場合、電圧は、より効率的な配電圧レベルに高められ得る)、レベニューメータ(revenue meter)609を通って流れる。太陽光発電部606からの電力は利用可能かつ利用される場合、PCS605及びPCS605を通って流れ、DCAC電力コンバータとして機能し、電力を電力グリッド610及び/又は局所負荷部607に供給する。電力グリッド610への総電力は、電池供給電力と太陽光発電部供給電力との合計から、局所負荷部607によって使用される電力を差し引いたものとすることができる。また、局所負荷部は、電力グリッド610に接続されることなくサポートされてもよく、このケースではPCS605が「独立型」AC電圧レギュレーションモードで動作する。
【0023】
EPS100、200、300及び400において、全体エネルギー貯蔵システムがエネルギーを供給してEV電池パックを充電するとき、PCS605は、電力グリッド610からAC電力を供給し、AC電力をDC電力に変換することによって、ACDC電力コンバータとして機能する。例示的実施形態では、DC電力は、DCDCコンバータ603及び604を通って流れ、EPS100、200、300及び400内のEV電池パックを充電する。太陽光発電部606からの電力は、利用可能な場合、例えば、EV電池パックを充電するために電力グリッド610から必要とされる電力を低減するために使用することができ、又は、太陽光発電部606から利用可能な電力が、これらのEV電池パックを充電するとともに「ビハインド・ザ・メーター」の局所負荷部607に給電するために必要とされる電力よりも大きいとき、余剰電力は電力グリッド610に送達され得る。
【0024】
図2に示されるような代替実施形態によれば、エネルギー貯蔵システムは、統合型EPS100の部分として、PCS605、DCDCコンバータ603、トランス608及びパワーメータ609のうちの1つ以上を含むことができる。
【0025】
図3は、図1に示すような電池パック制御部140及びスマートコンバイナ130の詳細図である。参照符号1は、EVBP1をトップに有する複数のEV電池パック(EVBP)を示す。参照符号2は、EVBP2をトップに有する複数のEVBPを示す。このEPSの実施形態では、EVBP1,2は、第1の直列対として電気的に直列に接続されている。EPS内の各直列対は、BPC内の1つのEV用BMSインターフェースボード(EVIB)と通信する。まず、トップレベルの場合、BMS1.2及びBMS2.2は、それぞれデジタルデータバス504及び505を通じてEVIB141と通信する。通信プロトコルは、製造元の電気車両利用で使用されるようなコントローラエリアネットワークバス(CANバス)である。EPS内の他のすべてのEVBP直列対は、同様の方法で通信する。制御回路142は、BPC140内のすべてのEVIBからのデータを集約し、EPSの外部のシステム制御部へのModbus(登録商標)デジタル通信リンク507を提供し、スマートコンバイナ130へのModbusリンク506を提供する。例示的実施形態では、Modbusデジタル通信回線507は、総合的なエネルギーシステムSCADA(図1の要素501)と通信して、すべてのEV電池パックの直列/並列接続から構成されている「コンポジット」電池の健全性、利用可能性及び充電状態を報告する。Modbusデータリンク506は、制御回路142を制御回路138に接続して、直列ストリング内のそれぞれのEV電池パックのバランスを能動的に制御する。
【0026】
例示的実施形態では、直列ストリング内の各EV電池パックのバランシング(balancing)は、例えば、各EV電池パックの電圧、電流、及び温度を監視し、次いで、直列ストリング内の2つのパックのより高い電圧からより低い電圧パックにエネルギーを伝達することによって実行することができる。例えば、EVBP1がEVBP2より高い電圧を有する場合、半導体スイッチ132は閉じられ、電流は電池1.1からインダクタ137を通って流れ、半導体スイッチ132は開かれ、そして、インダクタ137を通る電流はダイオード135を通って電池2.1に流れ、1つのエネルギー伝達サイクルを完了する。このエネルギー伝達サイクルは、所望のエネルギー伝達に比例する時間の間、高頻度で繰り返される。EVBP2がEVBP1より高い電圧を有する場合、半導体スイッチ134は閉じられ、電流は電池2.1からインダクタ137を通って流れ、半導体スイッチ134は開かれ、そして、インダクタ137を通る電流はダイオード133を通って電池1.1に流れ、1つのエネルギー伝達サイクルを完了する。
【0027】
図3は、直列電池ストリング内の電池のバランスを取る方法を示すが、本開示を任意の1つの電池のバランスを取る方法に又は直列ストリング内のEVBPの数に限定するものではない。例示的実施形態では、エネルギー貯蔵システムは、電池パック制御部140、EV電池パック電池管理システム(この実施形態では1.2及び2.2)、スマートコンバイナ130及びデータリンク507を介した全システム制御部の相互接続及び相互機能を含む。ヒューズ131及び136は、EVBP1及び2の直列ストリングと、すべての直列ストリングの+バス601及び-バス602の並列回路との間の故障分離を提供するために使用され得る。例示的実施形態では、例えば、他のすべての直列ストリングを同様の方法で保護することができる。
【0028】
例示的実施形態では、エネルギー貯蔵システムは、EVパック貯蔵システム(EPS)ボックス100内に、図1に示される要素それぞれに加えて、耐候性エンクロージャと、EV電池パック用のラッキングシステムと、を含み得る。図4は、固定され取り外し可能な外部絶縁パネル60を含み得るエンクロージャの実施形態を示す。エンクロージャ50は、例えば、電池システム及びシステム制御部がエンクロージャの外部からアクセス可能であり、エンクロージャ又はキャビネットは、建築基準法又は消防法(building or fire codes)で定義される占有可能な空間ではないキャビネットとして設計され得る。例示的実施形態では、エンクロージャ50は、エネルギー貯蔵アセンブリの屋外配備を可能にする屋外定格エンクロージャである。
【0029】
例示的実施形態では、ラッキングシステム40は構造用鋼から製造することができ、EV電池パック1~24を保持するように構成することができる。例えば、EVパック貯蔵システム(EPS)の本構築物中の各パックは、600ポンド(272キログラム)を超える重量であり得る。エンクロージャ50のサイドパネル60は、例えば、フォークリフトでEV電池パック1~24をかなり容易に着脱できるようにするために、取り外すことができる。加えて、ラッキングシステム40は、複数のEV電池パック間に空気を流すことを可能にするように設計される。例えば、各EV電池パックは、スタンドオフ30によってラッキングシステム40から電気的に絶縁することができる。EV電池パックは、例えば、キャビネット制御システム150の指示の下で、温度管理システム151によって冷却及び加熱することができる。温度管理システム151は、電気自動車電池パックの耐用年数を延ばすための手段として、冷房、除湿及び他の環境制御を含むことができる。危険検知システム152は、動作範囲外の煙、ガス又は温度状況が検知されたときに、警報をキャビネット制御システム150に提供することができる。
【0030】
スマートコンバイナ130及び電池パック制御部140の機能は、図1の内容に関連して説明される。スマートコンバイナ130、電池パック制御部140、キャビネット制御システム150、温度管理システム151及び危険検知システム152は、縮尺通りに又は特有の物理的特徴を有するように示されていない。スマートコンバイナ130、電池パック制御部140、キャビネット制御システム150、温度管理システム151及び危険検知システム152のうちの1つ以上は、EPSエンクロージャに取り付けることができる。例示的実施形態では、エンクロージャ50の固定され着脱可能な外装パネル60は、断熱されてもよい。
【0031】
本開示と一致する技術は、特に、セカンドライフ電気車両用電池を使用するエネルギー貯蔵システム及び方法を提供する。開示されたシステム及び方法の様々な例示的実施形態が上述されてきたが、それらは、限定ではなく、例示のみを目的として開示されていることを理解されたい。上述の例示的実施形態は網羅的ではなく、本開示を、開示された厳密な形態に限定しない。種々の変更及び変形は、上記の教示に照らして可能であり、又は、本開示の幅若しくは範囲から逸脱することなく、本開示の実施から獲得され得る。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】