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特表2024-501080自己案内式リニア誘導モータシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】自己案内式リニア誘導モータシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/025 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
H02K41/025 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561413
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 CH2021050027
(87)【国際公開番号】W WO2022126287
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】01613/20
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523232609
【氏名又は名称】スイスポッド テクノロジーズ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】レネド アングラダ ジェイミー
(72)【発明者】
【氏名】ブエノ-バケス ダリオ
【テーマコード(参考)】
5H641
【Fターム(参考)】
5H641BB07
5H641GG02
5H641GG10
5H641GG16
(57)【要約】
多相リニア誘導モータは、磁性体(110)と、磁性体の周りに配置された多相巻線(120)とを含む、可動の一次側部材(100)と、間隙によって一次側部材(100)から分離され、導電性リアクションプレート(200)と裏当て磁性体(300)とを含む、長手方向に伸長する固定の二次側部材(150)とを備え、導電性リアクションプレート(200)は、中間セクション(205)と2つの外側セクション(210.1、210.2)とを含み、中間セクション(205)と2つの外側セクション(210.1、210.2)は、リアクションプレート(200)の長手方向伸長軸と平行に互いに隣接して配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相リニア誘導モータであって、
磁性体(110)と、前記磁性体の周りに配置された多相巻線(120)とを含む、可動の一次側部材(100)と、
間隙によって前記一次側部材(100)から分離され、導電性リアクションプレート(200)と裏当て磁性体(300)とを含む、長手方向に伸長する固定の二次側部材(150)と、
を備え、
前記導電性リアクションプレート(200)は、中間セクション(205)と2つの外側セクション(210.1、210.2)とを含み、前記中間セクション(205)と前記2つの外側セクション(210.1、210.2)は、前記導電性リアクションプレート(200)の長手方向伸長軸と平行に互いに隣接して配置されている、多相リニア誘導モータ。
【請求項2】
前記2つの外側セクション(210.1、210.2)は、前記中間セクション(205)の導電率と比較して高い導電率を有する、請求項1に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項3】
前記2つの外側セクション(210.1、210.2)は、前記2つの外側セクション(210.1、210.2)に隣接して配置される裏当て磁性体(300)を有していない、請求項1に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項4】
前記可動の一次側部材(100)の前記多相巻線(120)の少なくとも1つの巻線は、台形形状を有するように配置されたグランメ型巻線を含む、請求項1に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項5】
前記外側セクション(210.1、210.2)と前記中間セクション(205)との間の傾斜角度は、前記長手方向伸長軸の方向で見たときに斜めになっている、請求項1に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項6】
前記導電性リアクションプレート(200)は、追加の外側セクション(210.3、210.4)を含み、前記追加の外側セクション(210.3、210.4)の傾斜角度は、前記外側セクション(210.1、210.2)の傾斜角度と異なっている、請求項2に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項7】
前記外側セクション(210.1、210.2)と前記中間セクション(205)との間の傾斜角度は、前記導電性リアクションプレート(200)の長手方向伸長軸に沿う第1のセクションと第2のセクションで異なり、前記第1のセクションは、前記第2のセクションと異なる位置にある、請求項2に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項8】
前記導電性リアクションプレート(200)の前記中間セクション(205)の導電率は、前記二次側部材(150)の長手方向伸長軸に沿って可変である、請求項1に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項9】
前記導電性リアクションプレート(200)の前記中間セクション(205)は、層のスタック(210、220)を含み、前記層のスタック(210、220)の各層は、異なる導電率を提供する異なる材料組成で作られている、請求項5に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項10】
前記可動の一次側部材(100)の前記磁性体(110)は、中間セクション(130)と2つの外側セクション(140.1、140.2)とを含み、前記中間セクション(130)と前記2つの外側セクション(140.1、140.2)は、間隙を介して、前記導電性リアクションプレート(200)の前記中間セクション(205)と前記2つの外側セクション(210.1、210.2)にそれぞれ向かい合っている、請求項2に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項11】
前記可動の一次側部材(100)の前記磁性体(110)の断面形状は、長手方向伸長軸の方向で見たときに台形形状を有し、前記2つの外側セクション(140.1、140.2)の表面は台形形状の側脚を形成する、請求項10に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項12】
前記可動の一次側部材(100)の前記2つの外側セクション(140.1、140.2)と前記中間セクション(130)との間の傾斜角度は、前記長手方向伸長軸の方向で見たときに斜めになっている、請求項10に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項13】
前記可動の一次側部材(100)の前記2つの外側セクション(140.1、140.2)と前記導電性リアクションプレート(200)の2つの前記外側セクション(210.1、210.2)は、それぞれ互いに平行になるように配置されている、請求項10に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項14】
多相リニア誘導モータの長手方向に伸長する固定用の二次側部材(150)であって、
導電性リアクションプレート(200)と、
裏当て磁性体(300)と、
を備え、
前記導電性リアクションプレート(200)は、中間セクション(205)と2つの外側セクション(210.1、210.2)とを含み、前記中間セクション(205)と前記2つの外側セクション(210.1、210.2)は、前記導電性リアクションプレート(200)の長手方向伸長軸と平行に互いに隣接して配置されている、多相リニア誘導モータの長手方向に伸長する固定用の二次側部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本特許出願は、Swisspod Technologies SAに譲渡された2020年12月17日出願のスイス特許出願番号CH 01613/20「LINEAR INDUCTION MOTORS AND SYSTEMS」の優先権を主張し、その開示内容全体は、明示的に参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に、乗り物、物体、又は装置を直線方向に推進及び浮上させるために使用されるリニア誘導機に関する。詳細には、限定されるものではないが、本発明は、例えば輸送に使用される非接触型複合推進及び浮上システム用の多相リニア誘導モータの使用、ならびにこれらを制御するシステム、装置、機器及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リニア誘導モータ(LIM)は、交流電流源を使って力を発生させる電気機械である。LIMの動作原理は回転誘導モータと同じであるが、直線方向に力及び運動を発生させるものである。
【0004】
リニア誘導モータは、固定子巻線又は電機子、及び磁気ヨークを指すコア又は一次側と、電流が誘導される導電プレートを指す二次側又はリアクションプレートによって構成され、間隙と呼ばれる規定距離で一次側から分離される。
【0005】
固定子コアが1つしかないリニア誘導モータの構成又は形態では、間隙内の磁束を強化するために、通常、導電プレートの後に高透磁率材料のプレートが追加される。これは通常、背面鉄板又は鏡面板と呼ばれる。
【0006】
交通機関に使用される従来のモータは、多相一次側を使用し、一次側巻線に多相電流が印加される。すなわち、一次側のスロットに配置された巻線に印加される交流電流の相は、そのような巻線のセットごとに異なり、一般に、複数の相の間の相間隔は等しい。
【0007】
モータの一次側と二次側は、一次側と二次側をつなぐ磁束が導電プレートを通過する低リラクタンス経路を提供するように配置され、相対的に置かれる。この磁束は作動磁束と呼ばれる。作動時、励起された巻線によって駆動される磁束は、二次側の導電プレートに電流を誘導し、磁束と反応して機械の一次側と二次側の間に推進力及び反発力を生じさせる。推進力と反発力の比率は、機械の構成と巻線を励起するために使用される多相電流の周波数に依存する。
【0008】
モータの一次側と二次側との間の可能性のある様々な配置を含むリニアモータは、例えば米国特許第4,727,387号、米国特許第3,585,423号、米国特許第3,958,138号、米国特許第5,105,110号、米国特許第7,271,509号及び米国特許第10,044,251号などに広範囲に説明されており、多くの引用文献は、その開示内容全体が参照によって本出願に組み込まれている。
【0009】
リニア誘導モータでは、一次側の直下にある二次側のセクションのみが、一次側によって生成される磁束にさらされる。この点に関して、二次側の無励磁領域には連続的な誘導起電力が発生し、結果として一次側の前端部の作動磁束の確立を妨害する。これはリニア誘導モータの問題点として知られており、端効果と呼ばれている。端効果によって導電プレートに誘導された電流は、モータ一次側の接近する端部を消磁し、ここで、二次側に対する一次側の相対速度に応じて増加する反対向きの力及び追加損失を生じさせる。同様に、一次側の出て行くセクションにも同等の効果がある。
【0010】
さらに、リニア誘導モータは、所定の相の巻線の見掛け上の有限長に起因して、相のアンバランスが発生する。これは、上記の端効果によってさらに増幅され、間隙磁束密度を変形させ、相巻線に連なる磁束に直接的な影響を有する。
【0011】
さらに、リニア誘導機の推力、力率、効率は、高速で作動する場合に顕著に低下する。
【0012】
Swisspod Technologies SAに譲渡された2021年12月16日出願の同時係属出願PCT/CH2021/050026(その出願内容全体は、参照により本出願に組み込まれる)では、長手方向伸長軸に沿って抵抗率/導電率の観点からリアクションプレートの組成を変化させ、高速で推進力を増加させるための手段を提供する、リニア誘導モータM、システム及び方法が提案されている。この同時係属出願のPCT/CH2021/050026の説明及び図は、完全性を期すために本明細書において全面的に追加される。本発明の実施形態は、この同時係属出願の実施形態と組み合わせることができ、そのような主題、実施形態、特徴及び組み合わせをカバーする請求項によって、すべての実施形態及び/又は組み合わせに対して保護を求めることができる。
【0013】
さらに、リニア誘導モータの浮上力は、巻線における出口電流(exiting current)の周波数の上昇に伴って増加することになる。この効果は、例えば本出願にその開示内容全体が参照として組み込まれている米国特許第3,858,521号に記載されているように、推力と組み合わせて磁気浮上を実現する手段として用いることが以前から提案されている。
【0014】
しかしながら、リニア誘導モータの誘導方法、装置、及びシステムの分野では、コストを低減し、誘導システムの操作を簡略化するために、追加的かつ簡略化された解決策に対する強いニーズが依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第4,727,387号
【特許文献2】米国特許第3,585,423号
【特許文献3】米国特許第3,958,138号
【特許文献4】米国特許第5,105,110号
【特許文献5】米国特許第7,271,509号
【特許文献6】米国特許第10,044,251号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、本発明の目的は、公知の解決策、製品及び方法を改善し、上記の目的を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
以下は、本明細書に開示された実施形態又は態様に関連する簡略化された要約を提示する。そのため、この要約は、本開示に企図された全てに関する広範な概要とみなされるべきではなく、また、以下の要約は、全ての企図された態様及び/又は実施形態に関する主要な又は重要な要素を特定すると、又は何らかの特定の態様及び/又は実施形態に関連する範囲を画定するとみなされるべきではない。
【0018】
さらに、以下の要約は、以下に提示される詳細な説明に先立ち、本明細書に開示される機構に関連する1又は2以上の態様及び/又は実施形態に関連する概念を簡略化して提示することのみを目的としている。
【0019】
本発明の一態様によれば、多相リニア誘導モータが提供される。好ましくは、リニア誘導モータは、磁性体と、磁性体の周りに配置された多相巻線とを有する可動の一次側部材と、導電性リアクションプレートと裏当て磁性体を含み、間隙によって一次側部材から分離された固定の長手方向に伸長する二次側部材とを備える。さらに好ましくは、導電性リアクションプレートは、中間セクション及び2つの外側セクションを含み、中間セクション及び2つの外側セクションは、リアクションプレートの長手方向伸長軸に平行に互いに隣接して配置されている。
【0020】
本発明の別の態様によれば、多相リニア誘導モータの固定の長手方向に伸長する二次側部材が提供される。好ましくは、固定の長手方向に伸長する二次側部材は、導電性リアクションプレートと、裏当て磁性体とを含み、導電性リアクションプレートは、中間セクション及び2つの外側セクションを含み、中間セクション及び2つの外側セクションは、リアクションプレートの長手方向伸長軸と平行に互いに隣接して配置されている。
【0021】
本発明のさらに別の態様によれば、特定の構成を有するリニア誘導モータにより駆動される乗り物に対して案内及び浮上をもたらす方法が提案され、案内は、能動的誘導システムによってではなく、推進に使用され横方向又は側方リアクションプレート要素の特定の配置を有するリニア誘導モータの使用によって提供される。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態は、推力を提供することと組み合わせて、浮上と、当該機械をガイドウェイに整列させておくための自己案内機構とを提供できるリニア誘導機械及び配置に関する記述として特徴付けることができる。この機械は、機械の一次側と二次側との間の間隙を横切る作動磁束を生成する多角形の一次側によって構成され、磁束の時間変化により機械の二次側のリアクションプレートの組立体に誘導される電流と協働して、推力又は推力、浮上力及び案内力を生成する。
【0023】
実施形態において本発明は、多相リニア誘導モータに関し、多相リニア誘導モータは、
磁性体と、磁性体の周りに配置された多相巻線を含む可動の一次側部材と、
間隙によって一次側部材から分離された、導電性リアクションプレートと裏当て磁性体とを含む固定の長手方向に伸長する二次側部材と、
を備え、
導電性リアクションプレートは、中間セクション及び2つの外側セクションを含み、中間セクション及び2つの外側セクションは、リアクションプレートの長手方向伸長軸と平行に互いに隣接して配置されている。
【0024】
本発明の実施形態では、2つの外側セクションは、中間セクションの導電率と比較してより高い導電率を有する。
【0025】
本発明の実施形態では、2つの外側セクションは、2つの外側セクションに隣接して配置される裏当て磁性体を有していない。
【0026】
本発明の実施形態では、可動の一次側部材の多相巻線の少なくとも1つの巻線は、台形形状を有するように配置されたグランメ型巻線を含む。
【0027】
本発明の実施形態では、外側セクションと中間セクションとの間の傾斜角は、長手方向伸長軸の方向で見たときに斜めになっている。
【0028】
本発明の実施形態では、リアクションプレートは、追加の外側セクションを含み、追加の外側セクションの傾斜角度は、外側セクションの傾斜角度と異なる。
【0029】
本発明の実施形態では、外側セクションと中間セクションとの間の傾斜角度は、リアクションプレートの長手方向伸長軸に沿った第1のセクションと第2のセクションとで異なり、第1のセクションは第2のセクションと異なる位置にある。
【0030】
本発明の実施形態では、リアクションプレートの中間セクションの導電率は、二次側部材の長手方向伸長軸に沿って可変である。
【0031】
本発明の実施形態では、リアクションプレートの中間セクションは、層のスタックを含み、層のスタックの各層は、異なる導電率をもたらす異なる材料組成で作られている。
【0032】
本発明の実施形態では、可動の一次側部材の磁性体は、中間セクション及び2つの外側セクションを含み、中間セクション及び2つの外側セクションは、間隙を介して、リアクションプレートの中間セクション及び2つの外側セクションにそれぞれ向かい合っている。
【0033】
本発明の実施形態では、可動の一次側部材の磁性体の断面形状は、長手方向伸長軸の方向に見たときに台形形状を有し、2つの外側セクションの表面は、台形形状の側脚を形成する。
【0034】
本発明の実施形態では、可動の一次側部材の2つの外側セクションと中間セクションとの間の傾斜角は、長手方向の延伸の軸の方向に見たときに斜めになっている。
【0035】
本発明の実施形態では、可動の一次側部材の2つの外側セクションとリアクションプレートの2つの外側セクションは、それぞれ互いに平行になるように配置されている。
【0036】
実施形態において、本発明は、多相リニア誘導モータの固定の長手方向に伸長する二次側部材に関し、二次側部材は、
導電性リアクションプレートと、
裏当て磁性体と、
を備え、
導電性リアクションプレートは、中間セクションと2つの外側セクションとを含み、中間セクションと2つの外側セクションとは、リアクションプレートの長手方向伸長軸と平行に互いに隣接して配置されている。
【0037】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の現在好ましい実施形態を示し、上記の一般的説明及び以下の詳細な説明と共に、本発明の特徴を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1A】断面で例示的に示されたリニア誘導モータMであり、例示的に片面リニア誘導モータとして示され、中央に配置された中間セクション205に加えて、左側及び右側の外側セクション210.1及び210.2を含む導電性リアクションプレート200を有する二次側部材又は組立体150を有する。
図1B図1Aの断面図に基づいて一次側部材100に作用する力F1、F2を表した図である。
図2】モータMの一次側部材又は要素100における多相巻線120の特定の配置を有する断面で例示的に示されたモータMを示す。
図3】2又は3以上の層212、214で作られた複合リアクションプレートを有する中間セクション205を有する、導電性リアクションプレート200の態様を備える断面で例示的に示されたモータMを示す。
図4】乗り物800のためのモータMの可能性のある用途を示す断面で例示的に示された図を示す。
図5】一次側部材100に作用する力F1、F2の別の表現を示し、外側セクション210.1、210.2の傾斜角度αを示す。
図6】本発明の図3の実施形態による配置の一実施形態を示し、一次側及び二次側部材100、150の間の空隙510、520を示す。
図7】別の実施形態を断面図で示し、リアクションプレート200は、外側セクション210.1、210.2のそれぞれの1つに隣接して配置される追加の外側セクション210.3、210.4を含み、追加の外側セクション210.3、210.4の傾斜角度は、外側セクション210.1、210.2の傾斜角度とは異なり、より急である。
図8】二次側部材150の長手方向軸に沿った異なる位置の2つのセクションA及びBの別の実施形態を断面図で示し、外側セクション210.1、210.2と中間セクション205との間の傾斜角度は、リアクションプレート200の長手方向軸に沿ったセクションA及び第2のセクションBで異なり、セクションAは、セクションBと異なる位置に位置する。ここで、各図に共通する同一の要素を指定するために、可能な限り同一の参照数字が使用される。また、異なる図面における表現は、説明のために簡略化されており、縮尺通りに描かれていない場合がある。
図9】本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の現在好ましい実施形態を示し、上記の一般的説明及び以下の詳細な説明と共に、本発明の特徴を説明するのに役立つ。図9は、可動の一次側部材100と固定の長手方向に伸長する二次側部材150とを有する片面リニア誘導モータ(SLIM)として動作するリニア誘導モータMの側面図の例示的な表現であり、二次側部材150は導電性リアクションプレート200と裏当て磁性体300とを備え、導電性リアクションプレート200は異なる固定の長手方向に伸長する二次側部材150の長手方向伸長軸に沿って異なるセクションで異なる導通率を有する。
図10】磁気ヨーク110及び巻線120を含むモータMの一次側部材100の側面図の例示的な表現を示す。
図11】乗り物400に適用されるリニア誘導モータMを、固定の長手方向に伸長する二次側部材150の長手方向に見た例示的な断面図である。
図12】導電性リアクションプレート200が、異なる導電率を有する層210、220のスタックの各層を含む、リニア誘導モータMの第2の実施形態による概略表現を示す。
図13】層210、220のスタックを含む導電性リアクションプレート200を有する長手方向に伸長する二次側部材150の2つの異なるセクションの側面図を示し、長手方向に伸長する二次側部材150に沿った異なるセクションは、二次側部材150の長手方向に伸長するセクションの位置の関数として導電性リアクションプレート200の導電率を調整するために異なる厚さのプレートを有する
図14】本発明の実施形態の例示的な側面図を示し、リアクションプレート200の層210、220のスタックの各層210、220は、複数の積層又は層210、212、214及び220、222、224を含み、積層又は層210、212、214及び220、222、224の各積層又は層は、好ましくは異なる厚さを有する。
図15】従来のSLIMに関して予想される推力-スリッププロファイルのグラフ表示を示し、横軸に推力T、縦軸にスリップgを示し、最大スリップ値gmaxを超えるとSLIMの推力Tが著しく低下する可能性があることが図示され、一次側部材100の機械的速度は同期速度にスリップgを乗じたものである。
図16】電源の周波数の関数として、従来のSLIMに予想される推力プロファイルTと本発明の態様によるモータMの推力プロファイルとの間の比較を行う2つのグラフT1、T2を示す。
図17】一実施形態の例示的な側面図を示し、導電性リアクションプレート200は、互いに隣接して配置される異なるサイドプレートを含み、サイドプレートは、例えば、異なる厚さを有すること、異なる導電率を有する材料を用いること、又はその両方によって、異なるセクションで異なる導電率を可能にする。
図18A図18は本明細書に記載のリニア誘導モータM及び導電性リアクションプレート200の応用例の態様を示し、図18Aは例示的なシステムを示す。
図18B図18Bは従来のリニアモータを用いた機械A、及び本明細書に記載の原理及び実施形態を用いた機械Bについて達成できる例示的な推力値のグラフを示す。
図19A図19Aから図19Cは、本明細書で説明するリニア誘導モータM及び導電性リアクションプレート200の応用例の態様を示し、図19Aは、乗り物又は装置を高速に、例えば地球からの宇宙脱出速度まで加速するように構成された、リニア誘導モータMベースの宇宙船SC打ち上げシステム、又は他のタイプの線形加速器システムを示し、高速に伴って高い抵抗率の導電性リアクションプレート200の概略表現を示す。
図19B図19B及び19Cは、導電性リアクションプレート200の異なる材料構成について、速度の関数として最大推力Tを例示する2つのグラフを示す。
図19C図19B及び19Cは、導電性リアクションプレート200の異なる材料構成について、速度の関数として最大推力Tを例示する2つのグラフを示す。
図20】2つの異なる機械A、Bを有する例示的な高速列車用途について、従来のリニア誘導モータ及び本明細書に記載のリニア誘導モータMに関する、速度の関数としての2つの異なる推力を例示するグラフを示す。
図21】一次側部材100が、コントローラ又は制御装置700と、2つの例示的な一連の電力電子コンバータ610、620、630を有する電源600とを備え、各電力電子コンバータ610、620、630がそれぞれ巻線121、122、123に接続されている電力変換システムS及びリニア誘導モータMの簡略化された概略図を示し、システムSには、移動磁界の磁極の間の可変磁極ピッチを適用できる。
図22A図22Aから図22Bは、リニア誘導モータMに適用される可変磁極ピッチの態様を表す異なるグラフを示し、図22Aは、速度が増加すると磁極ピッチが増加する適用において、同期速度Vsの関数としての移動磁界の周波数を有するグラフを示す。
図22B図22Bは、48スロットを有する可動一次側部材100を例として、2つの異なる磁極ピッチに基づく2つの異なる電磁界を視覚化するグラフを示す。
図23】モータMの可変磁極ピッチを生成することを可能にする電力をモータMに供給するための例示的なシステムSの別の実施形態の簡略化された概略図の側面図を示す。
図24】モータMの可変磁極ピッチを生成することを可能にする電力をモータMに提供するための別の例示的なシステムSの簡略化された概略図の側面図を示す。ここで、各図に共通する同一の要素を指定するために、可能な限り同一の参照数字が使用される。また、異なる図面における表現は、説明のために簡略化されており、縮尺通りに描かれていない場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書において、用語「例示的」は、「例、事例、又は実例として機能する」意味で使用される。本明細書において「例示的」として説明される何らかの実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるものではない。
【0040】
以下、本発明の様々な実施形態を、添付図面を参照しながらより詳細に説明する。本発明は、多くの形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定して解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用要件を満たすように提供される。
【0041】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的だけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1又は2以上の全ての及び何らかの組み合わせを含む。
【0042】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の技術を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、関連する技術及び本開示の文脈におけるその意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそう定義されない限り、理想的な又は過度に形式的な意味で解釈されないことをさらに理解されたい。
【0043】
本発明を説明する際に、複数の技術及びステップが開示されていることを理解されたい。これらの各々は、個々の利点を有し、各々はまた、他の開示された技術の1又は2以上、又は場合によっては全てと組み合わせて使用することができる。従って、明瞭化のために、本明細書では、個々のステップの全ての可能な組み合わせを不必要に繰り返すことは避けることになる。それにもかかわらず、明細書及び請求項は、そのような組み合わせが完全に本発明及び請求項の範囲内にあることを理解した上で読まれるべきである。
【0044】
図1Aは、本発明の1つの態様による多相リニア誘導モータMの断面図を示し、この断面図は、リニア誘導モータMの長手方向伸長軸の方向又は駆動方向である。リニア誘導モータMは、可動一次側部材100を含み、可動一次側部材100は、複数のスロットを有する磁性体110と、磁性体110の周りに配置された多相巻線120と、間隙によって一次側部材100から分離された長手方向に延びる固定された又は静止した二次側部材150を含み、二次側部材150は、導電性リアクションプレート200及び裏当て磁性体300を含む。リニア誘導モータMのこの構成は例示的なものであり、本明細書にその開示内容全体が参照により組み込まれ、以下に詳細に説明される、同時係属出願の国際特許出願PCT/CH2021/050026に類似している。
【0045】
さらに、導電性リアクションプレート200は、中間セクション205と2つの外側セクション210.1、210.2を含み、中間セクション205と2つの外側セクション210.1、210.2は、導電性リアクションプレート200の長手方向伸長軸又は一次側部材100の駆動方向に対して平行に隣り合って配置されている、換言すれば、外側セクション210.1及び210.2は、中間セクション205に対して横方向に配置されている。図1Aから分かるように、2つの外側セクション210.1及び210.2は、長手方向伸長軸に沿って中間セクション205の対応する側壁に接触するように、例えば別々のプレート又は層として、又は隣接プレート又は層を形成するように配置されるが、外側セクション210.1及び210.2の側壁が中間セクション205の側壁に接触せず、距離を置いて相互に分離されることも可能である。
【0046】
好ましくは、2つの外側セクション210.1、210.2は、導電性の中間セクション205の材料又は組成物と比較して、より高い導電性を有する材料又は組成物で作られている。例えば、2つの外側セクション210.1、210.2は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)又は他の高導電性材料で作ることができる。
【0047】
さらに、裏当て磁性体300が、導電性リアクションプレートの中間セクション205に接触するように、例えば中間セクション205の下方に配置されるものと比較して、好ましくは、2つの外側セクション210.1、210.2は、例えばそれぞれの外側セクション210.1、210.2が形成する平面と実質的に平行に、その隣に第2の層としての裏当て磁性体300を有していない。また、例示的な実施形態として図1Aに示すように、外側セクション210.1、210.2と中間セクション205との間の傾斜角度は、長手方向伸長軸の方向で見ると斜めであり、例えば両側で同じ角度である。しかしながら、変形例では、2つの外側セクション210.1、210.2が、中間セクションによって規定される平面に対して平行になるように配置され、実質的に軸方向に配置されることも可能である。
【0048】
図1Bは、例えば、多相巻線120に供給される多相電流又は電圧を用いた可動一次側部材100の推進中に、可動一次側部材100に作用し得る異なる力F1、F2を示す。好ましくは、可動一次側部材100の磁性体110の断面形状は台形であり、2つのそれぞれの外側セクション210.1及び210.2に対して実質的に平行になるように配置された2つの側脚を有する。可動一次側部材100の運動又は移動方向において、二次側部材150の長手方向伸長軸の方向に対して、二次側部材150の中間セクション205及び外側セクション210.1、210.2の両方から推進力を生成させることができる。加えて、力F1、F2は、移動方向と直交する平面内にあるように生成され、ここでは、力F1が生成され、力F1は、一次側部材100を二次側部材150から離れる方向、ここではY軸と呼ばれる二次側部材150が形成する平面が規定する方向と直交する方向に付勢する。二次側部材150が形成する平面の側方方向を、ここではX軸と定義する。力F1は、多相巻線120への供給電圧又は電流の周波数によって大きさが変化し、一次側部材100対二次側部材150の所定の相対速度につながる、所定の周波数において、力F1は一次側部材100の浮上力又は持ち上げ力を提供するのに十分である。
【0049】
加えて、2つの力F2が生成され、それぞれの外側セクション210.1及び210.2の伸長平面に垂直となるように配置される。外側セクション210.1及び210.2が中間セクション205に対して斜めに配置される場合、各力F2は、Y軸にある成分、ここではF2Vと呼ばれる、例えば垂直である力成分を有し、さらに各力F2は、X軸に別の成分、ここではF2Hと呼ばれる、例えば水平である力成分を有し、外側セクション210.1及び210.2の各側から、このように2つの力が互いに作用する。力F2のこれらの水平配置された力成分F2Hは、基本的に、2つの外側セクション210.1及び210.2が実質的に同様の又は同じ寸法を有し、互いに対して軸対称に配置されていると仮定すると、一次側部材100に対する案内力として作用して、一次側部材100を中間セクション205の中心に安定させ、対称の軸又は平面は、中間セクション205の中間又は中心で交差するように配置されたY軸に対して平行の平面として定義される。さらに、力F2の2つの垂直方向成分F2Vは、一次側部材100に対する追加の持ち上げ力又は浮上力を提供する。
【0050】
図2は、本発明の別の実施形態を示し、多相巻線120は、グランメ型(Gramme-type)構成で配置される個々の相巻線121、122、123を有する。リニア誘導モータ用のグランメ型コイル又はグランメ型巻線は、例えば独国公開第2265049号及び英国公開第1288985に記載されている。例えば、多相巻線120の個々の巻線121、122、123には、多相電流又は電圧、例えば、限定されるものではないが、三相電力変換器からの三相電圧系を供給することができる。
【0051】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載されたリニア誘導モータMの態様により、高速を目的とした又はそのために設計された二次側部材200のセクションで高い抵抗力を提供するために、長手方向伸長軸に沿って可変抵抗率を有するリアクションプレート200の構造及び構成に加えて、高速で可動一次側部材100の推進力又は推力、及び持ち上げ力又は浮上力を増加又は強化することが可能であるが、非限定的に、米国特許第3,585,423号、米国特許第3,958,138号、及びその参照文献に開示されている従来技術に記載されているような磁気ヨーク110及び多相巻線120の異なる配置を使用しても同様に達成できる。従って、明確にするために、本明細書の図1及び図2の実施形態は、一般的に磁気ヨーク及び固定子巻線の協働を表すものであり、片面リニア誘導モータにおける一次側への一般的な言及として理解されるべきであるが、リニア誘導モータの他のタイプ及び構成に適用することができる。
【0052】
図1及び図2によって表される例示的な実施形態において。モータMの一次側部材及び二次側部材100、150の間の間隙を横切る磁束とみなされる作動磁束は、磁束の時間変化により、モータMの二次部材150の導電性リアクションプレート200に誘導される電流と協働して、推進力又は推力、及び浮力も生じるようになっている。
【0053】
本明細書に記載された全ての実施形態において、一次側部材100及び二次側部材150の両方の磁性体は、それ自体がモータMに対して横方向に配向している作動磁束のための低リラクタンス経路を協働して提供するために、これらの部材100、150によって規定される横方向の平面にあることを理解されたい。ここに記載したモータMにより、モータMに高推力及び高速で横方向の自己案内をもたらすようにさせる方法及びシステムを提供することも可能であり、水平方向に配置された反対向きの力F2が一次側部材100に作用する。
【0054】
図3は、伸長外側セクション210.1及び210.2を規定する平面が、中間セクション205の伸長によって規定される平面に対して角度αだけ斜めに配置される実施形態を示す。好ましくは、軸対称性のために、両方の外側セクション210.1及び210.2は同じ角度αで配置される。好ましくは、角度αの範囲は、0°から90°の間の任意とすることができ、ここで、0°は、力F2Hによる横方向の案内が提供されない設定であり、90°は、最大横方向の案内力F2Hの例である。
【0055】
より急な角度、例えば60°の角度では、力F2の水平成分F2Hは垂直成分F2Vより大きくすることができ、一方、より平らな角度α、例えば30°の角度では、力F2の水平成分F2Hは垂直成分F2Vより小さくすることができる。従って、一次側部材100に取り付けられた乗り物を案内するための要件に応じて、角度αを選択的に選択して、F2V及びF1によって与えられる浮上力に加えて、案内力として特定の力F2Hを提供することができる。角度αが45°に等しい場合、F2VとF2Hは実質的に同じになる。
【0056】
図4は、2つの一次側部材100が互いに隣接して配置された実施形態を示し、一次側部材100の両方の磁性コア110は、例えば輸送システム用のモータMとして台形の断面形状を有し、両方の一次側部材100は乗り物800に作動的に取り付けられており、一方、両方の二次側部材150は、軌道300に統合される、取り付けられる、又は別の方法で配置される、外側セクション210.1及び210.2と中間セクション205とを有するリアクションプレート200を備える。さらに、リアクションプレート又は層200は、同時係属出願の組み込まれている国際特許出願PCT/CH2021/050026に示されているように、例えば2つの層212、214の層のスタックで作られることが示されており、例えば2つの層212、214は、異なる材料組成、例えば、限定されるものではないが異なる磁気特性及び電気特性を有する層を有する。
【0057】
図1Bを参照して説明され、さらに図5にさらに示されるように、角度αで傾斜した外側セクション210.1及び210.2での浮上力は、力成分F2H及びF2Vを有する力F2に帰着することになる。F2Vの力成分は、モータMの一次側部材100の浮上への寄与をもたらすが、F2Hの力成分は互いに作用して、二次側部材200及びガイドウェイ300に沿った自己整列及び案内をもたらすことになる。
【0058】
図6は、左側外側セクション210.1と一次側部材100の磁性体110の左側外側セクション140.1の外面との間の空隙510と、右側外側セクション210.2と一次側部材100の磁性体110の右側外側セクション140.2の外面との間の空隙520を示す。2つの傾斜した外側セクション210.1、140.1と、210.2、140.2の軸対称の配置により、空隙510、520が形成する距離は、一定となるように自己調整されることになる。例えば、空隙520が空隙510に比べて小さくなると、一次側部材100と対応する外側セクション210.2との協働により、小さな空隙に起因して、対応する外側セクション210.2の誘導電流が増加する結果として、右側の力F2Hが適宜増加することになる。これは、外側セクション210.1及び210.2、及び中間セクション205を含む二次側組立体又は要素150に対する一次側要素100の平衡アライメント(equilibrium alignment)を復元することになる力成分F2H及びF2Vの増加に帰着することになる。一次側部材及び二次側部材100、150の組立体の間の協働から生じる上記の動作は、二次組立体又は要素150があるガイドウェイ300に沿った一次側部材100の自己案内式の変位をもたらすことになる。
【0059】
これにより、本明細書に提示されたリニア誘導モータM、二次側部材150、及び外側セクション210.1、210.2を有するリアクションプレートの特定の配置により、多相電力が供給される一次側部材100の主多相巻線120を必要とするだけで、例えば、距離測定及び追加の補助巻線又はコイルによる能動的電力制御を必要とする能動的誘導システムの電磁石のための追加の巻線又はコイルといった追加の要件なしで、自己平衡的かつ受動的に修正される横方向の案内力をもたらすことができる。
【0060】
図7は、断面図による別の実施形態を示し、リアクションプレート200は、外側セクション210.1、210.2のそれぞれの1つに隣接して配置される追加の外側セクション210.3、210.4を含み、追加の外側セクション210.3、210.4の傾斜角度は、外側セクション210.1、210.2の傾斜角度と異なり且つより急である。
【0061】
さらに、図8に示すリアクションプレート200の長手方向伸長軸に沿う2つのセクションA、Bで示すように、外側セクション210.1、210.2と中間セクション205との間の傾斜角度は、第1のセクションAにおいて、リアクションプレート200及びモータMの長手方向伸長軸に沿って、別の第2のセクションBに比べて異なることが可能である。これにより、急な角度(セクションB)を有する外側セクション210.1、210.2と比較して、より平らな角度(セクションA)を有する外側セクション210.1、10.2で横方向の案内力F2Hが小さくなるように、機械設計により水平方向に配置された案内力F2Hを変えることができる。レール又は軌道システムのセクションに応じて、例えばカーブがあるセクションでは、より強い案内力F2Hが必要となる場合があり、これらは外側セクション210.1、210.2のより急な角度によって実現することができる。
【0062】
以下の説明は、2021年12月16日出願の上述の同時係属出願PCT/CH2021/050026の説明に対応しており、これは、Swisspod Technologies SAの出願であり、その開示内容全体は、本出願に組み込まれている。同時係属出願の記載に加えて、本出願は、以下に詳述するように、同時係属出願の図面を包含してそれを含む。
【0063】
(概略)
以下は、本明細書に開示された態様及び/又は実施形態に関連する簡略化された要約を提示する。そのため、この要約は、本開示に企図された全てに関する広範な概要とみなされるべきではなく、また、以下の要約は、全ての企図された態様及び/又は実施形態に関する主要な又は重要な要素を特定すると、又は何らかの特定の態様及び/又は実施形態に関連する範囲を画定するとみなされるべきではない。以下の要約は、以下に提示される詳細な説明に先立ち、本明細書に開示される機構に関連する1又は2以上の態様及び/又は実施形態に関連する概念を簡略化して提示することのみを目的としている。
【0064】
本開示のいくつかの実施形態は、従来のリニア誘導モータと比較して、高速で推進力が強化されたリニア誘導モータMに向けられる。
【0065】
本発明の一態様によれば、多相リニア誘導モータが提供される。好ましくは、リニア誘導モータは、磁性体と、磁性体の周りに配置された多相巻線とを有する可動の一次側部材と、間隙によって一次側部材から分離され、導電性リアクションプレートと裏当て磁性体を有する、長手方向に伸長する固定の二次側部材を含む。
【0066】
さらに好ましくは、導電性リアクションプレートの導電率は、二次側部材の長手方向伸長軸に沿って可変である。
【0067】
本発明の別の態様によれば、好ましくは、可動の一次側部材と長手方向に伸長する二次側部材との間の相対速度又は速度がより高いように設計されているか又はそれを意図している、長手方向に伸長する二次側部材に沿った第1の位置の第1のセクションは、可動の一次側部材と長手方向に伸長する二次側部材との間の相対速度又は速度がより低いように設計されているか又はそれを意図している、長手方向に伸長する二次側部材に沿った第2の位置の第2のセクションと比べて高い抵抗率を有し、第1のセクションで動作する場合に、一次側部材により高い推力をもたらすことを目的としている。換言すれば、意図された高い速度に対しては高い有効抵抗率が望まれ、意図された低い速度に対しては低い有効抵抗率が望まれる、あるいは別の言い方をすれば、意図された高い速度は低い導電率を意味し、低い速度は高い導電率を意味する。
【0068】
本発明のさらに別の態様によれば、リニア誘導モータMが提供され、リニア誘導モータMは、一次側部材と二次側部材との間の間隙を横切る作動磁束を発生させることができる一次側部材を含み、作動磁束は、磁束の時間変化によりモータの二次側部材のリアクションプレート内に誘導される電流と協働して推進力又は推力を発生する。さらに、この提案された二次側部材の構造によれば、導電層セットが複合導電性リアクションプレートの有効導電率を下げることで、バックヨークに流れることができる磁束が増える。結果として、これは、一次側と二次側との間の間隙の作動磁束の増加、及び、本開示で提示及び説明されるような低い端効果及び遮蔽効果をもたらすことになる。さらに、これは、高速で移動する場合により高い有効推力をもたらす。
【0069】
本発明のさらに別の態様によれば、多相リニア誘導モータの固定の長手方向に伸長する二次側部材が提供される。好ましくは、固定の長手方向に伸長する二次側部材は、導電性リアクションプレート及び裏当て磁性体を含み、導電性リアクションプレートの導電率は、二次側部材の長手方向伸長軸に沿って可変である。
【0070】
本発明の別の態様によれば、多相リニア誘導モータシステムが提供される。好ましくは、多相リニア誘導モータシステムは、磁性体と、磁性体の周りに配置された多相巻線とを含む可動の一次側部材と;間隙によって一次側部材から分離され、導電性リアクションプレート及び裏磁性体を含む、固定長手方向に伸長する二次側部材と;複数の電力変換器を含み、各電力変換器は、多相巻線のうちの少なくとも1つの巻線に電力を供給するように構成されている電源と;電源を制御するための制御装置と、を含み、制御装置は、好ましくは、電源の複数の電力変換器を制御して多相巻線によって引き起こされる1又は2以上の磁極を有する移動磁場を生成するように構成されている。
【0071】
加えて、好ましくは、制御装置は、電源によって引き起こされる移動磁界の磁極の間の距離を増加又は減少させることにより、多相巻線の移動磁界の磁極ピッチを変化させるようにさらに構成されている。好ましくは、磁極ピッチは、一次側部材の速度の上昇に伴って増加する。
【0072】
本発明のさらに別の態様によれば、複数の電力変換器を変調する方法が提供され、各電力変換器は、リニア誘導モータの一次側部材の多相巻線の巻線に接続される。好ましくは、この方法は、複数の電力変換器で1又は2以上の磁極を有する移動磁界を生成するステップと、リニア誘導モータの一次側部材の速度の関数として磁極間の磁極ピッチを変更するステップとを含み、磁極ピッチは一次側部材の速度上昇に伴って増加される。
【0073】
本開示の他の実施形態は、上述の複合導電性リアクションプレートに関連して、可変磁極ピッチ方式におけるリニア誘導機械の駆動の実施、制御及び最適化のための説明として特徴付けることができる。駆動及び制御は、多相機における適切な相を、機械の一次側で所与の巻線セットに供給するように構成された電力電子回路を含むことができる。機械の有効磁極ピッチは、二次側リアクションプレートの有効導電率及び多相誘導モータの公称動作周波数を考慮して、最適化された速度を達成するように調整することができる。
【0074】
実施形態において、本発明は、多相リニア誘導モータに関し、多相リニア誘導モータは、
磁性体と、磁性体の周りに配置された多相巻線とを含む可動の一次側部材と、
間隙によって一次側部材から分離され、導電性リアクションプレートと裏当て磁性体とを含む、長手方向に伸長する固定の二次側部材と
を備え、
導電性リアクションプレートの導電率は、二次側部材の長手方向伸長軸に沿って可変である。
【0075】
本発明の実施形態では、導電性リアクションプレートは、リアクションプレートの導電率の可変性をもたらすために、長手方向伸長軸に沿って使用される材料の様々な種類を含む。
【0076】
本発明の実施形態では、導電性リアクションプレートは、リアクションプレートの導電率の可変性をもたらすために、長手方向伸長軸に沿って互いに隣接して配置される複数のサブプレートを含み、複数のサブプレートの少なくとも一部は、異なる導電率を有する。
【0077】
本発明の実施形態では、導電性リアクションプレートは、層のスタックを含み、層のスタックの第1の層及び第2の層は、異なる導電率をもたらす異なる材料組成で作られている。
【0078】
本発明の実施形態では、層のスタックの第1の層の厚さは、層のスタックの第2の層の厚さとは異なる。
【0079】
本発明の実施形態では、層のスタックの少なくとも1つの層の厚さは、層のスタックの少なくとも1つの層の増加した断面によってリアクションプレートの導電率の可変性をもたらすために、長手方向伸長軸に沿って異なる位置で測定すると変化し得る。
【0080】
本発明の実施形態では、第1の層は、第1のサブスタックの層を含み、第2の層は、第2のサブスタックの層を含み、第1及び第2のサブスタックの層の各層は、異なる厚さを有する。
【0081】
本発明の実施形態では、長手方向伸長部に沿ったリアクションプレートの導電率の可変性は、一次側部材の多相巻線からの多相電流で励起されると磁気作動磁束を増加させるように構成されており、結果として一次側部材への推力が増加する。
【0082】
本発明の実施形態では、裏当て磁性体は、作動磁束を持続させるための複合磁性体を含む。
【0083】
本発明の実施形態では、複合磁性体は、低導電性キャリア材料に埋め込まれた高透磁率の要素の層を含む。
【0084】
本発明の実施形態では、導電性リアクションプレートの導電率は、二次側部材の長手方向伸長軸に沿った第1の位置における第1のセクションで、二次側部材の長手方向伸長軸に沿った第2の位置における第2のセクションと比較して低く、第1及び第2の位置は異なる。
【0085】
本発明の実施形態では、リアクションプレートの第1のセクションは、第2のセクションと比較して、二次側部材に対する可動一次側部材の相対速度がより高くなるように指定された領域に位置する。
【0086】
実施形態において、本発明は、多相リニア誘導モータの固定の長手方向に伸長する二次側部材に関し、二次側部材は、
導電性リアクションプレートと、
裏当て磁性体と、
を備え、
導電性リアクションプレートの導電率は、二次側部材の長手方向伸長軸に沿って可変である。
【0087】
本発明の実施形態では、導電性リアクションプレートの導電率は、二次側部材の長手方向伸長軸に沿った第1の位置の第1のセクションで、二次側部材の長手方向伸長軸に沿った第2の位置の第2のセクションと比較して低く、第1及び第2の位置は異なる。
【0088】
実施形態では、本発明は、多相リニア誘導モータシステムに関し、多相リニア誘導モータシステムは、
磁性体と、磁性体の周りに配置された多相巻線とを含む可動の一次側部材と、
間隙によって一次側部材から分離され、導電性リアクションプレートと裏当て磁性体とを含む、固定の長手方向に伸長する二次側部材と、
各々が多相巻線の少なくとも1つの巻線に電力を供給するように構成されている、複数の電力変換器を含む電源と、
多相巻線によって引き起こされる1又は2以上の磁極を有する移動磁場を生成するように、電源の複数の電力変換器を制御するように構成される、電源を制御するための制御装置と、
を備え、
制御装置は、電源によって引き起こされる移動磁界の磁極の間の距離を増加又は減少させることによって、多相巻線の移動磁界の磁極ピッチを変化させるようにさらに構成されている。
【0089】
本発明の実施形態では、制御装置は、二次側部材に対する一次側部材の相対速度の増加に伴って磁極ピッチを増加させるように構成されている。
【0090】
本発明の実施形態では、制御装置は、可動の一次側部材と二次側部材との間の相対速度の関数として、異なる同期速度を実現するために磁極ピッチを変化させるように構成されている。
【0091】
本発明の実施形態では、制御装置は、同じ相電圧又は電流を有する多相巻線の隣接配置された巻線の数を増加させることによって、磁極ピッチを増加させるように構成されている。
【0092】
本発明の実施形態では、電源装置の複数の電力変換器によって供給される多相電流又は電圧の周波数が、所定の周波数閾値以下のままであるように、磁極ピッチが変更される。
【0093】
実施形態において、本発明は、複数の電力変換器を変調する方法に関し、各電力変換器はリニア誘導モータMの可動の一次側部材の多相巻線の巻線に接続されており、この方法は、
複数の電力変換器を用いて1又は2以上の磁極を有する移動磁界を発生させるステップと、
リニア誘導モータMの一次側部材の速度の関数として、移動磁界の磁極の間の磁極ピッチを変更するステップと、
を含み、磁極ピッチは、可動の一次側部材の速度の増加に伴って増加する。
【0094】
本発明の実施形態では、磁極ピッチを変更するステップは、複数の電力変換器によって供給される多相電流又は電圧の周波数が所定の周波数閾値以下のままであるように行われる。
【0095】
本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点、及びそれらを実現する方法は、本発明のいくつかの好ましい実施形態を示す添付図面を参照した以下の説明の検討からより明らかになり、本発明自体、最もよく理解されるであろう。
【0096】
(異なる実施形態の詳細な説明)
本明細書において、用語「例示的」は、「例、事例、又は実例として機能する」意味で使用される。本明細書において「例示的」として説明される何らかの実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるものではない。
【0097】
以下、本発明の様々な実施形態を、添付図面を参照しながらより詳細に説明する。本発明は、多くの形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定して解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用要件を満たすように提供される。
【0098】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的だけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1又は2以上の全ての及び何らかの組み合わせを含む。
【0099】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の技術を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、関連する技術及び本開示の文脈におけるその意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそう定義されない限り、理想的な又は過度に形式的な意味で解釈されないことをさらに理解されたい。
【0100】
本発明を説明する際に、複数の技術及びステップが開示されていることを理解されたい。これらの各々は、個々の利点を有し、各々はまた、他の開示された技術の1又は2以上、又は場合によっては全てと組み合わせて使用することができる。従って、明瞭化のために、本明細書では、個々のステップの全ての可能な組み合わせを不必要に繰り返すことは避けることになる。それにもかかわらず、明細書及び請求項は、そのような組み合わせが完全に本発明及び請求項の範囲内にあることを理解した上で読まれるべきである。
【0101】
以下の図におけるいくつかのブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、及び制御アルゴリズムの可能性のある実施構成のアーキテクチャ、機能性、及び動作を示す。これに関して、これらのフローチャート又はブロック図のいくつかのブロックは、特定の論理機能(複数可)を実施するための1又は2以上のブロックを備える、制御モジュール、制御セグメント、又は制御部分を表す場合がある。また、いくつかの代替的な実施構成では、ブロックに記された機能は、図に記された順序とは異なる順序で生じる可能性があることに留意されたい。また、ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせは、特定の機能又行為を実行する特殊用途のハードウェアベースのシステム、又は特殊用途のハードウェアの組み合わせによって実装できることに留意されたい。
【0102】
図9に示されるように、例示的な片面リニア誘導モータMが、簡略化された側面図で示されている。この例示的な実施形態では、誘導モータMは、一次側部材100と、固定の長手方向に伸長する二次側部材150とを含み、一次側部材100は、可動であり、巻線120及び磁気コア110を含み、長手方向に伸長する固定用の二次側部材150は、導電性リアクションプレート200及びバックヨーク又は鏡鉄(mirror iron)とも呼ばれる裏当て磁性材又は層300を含む。
【0103】
一態様によれば、導電性リアクションプレート200の構造及び構成は、一次側部材100によって高速で推進される乗り物又は他の装置に対する推力の増加を可能にすることができるようなものである。導電性リアクションプレート200の導電率が固定の二次側部材150の長手方向伸長軸に沿った様々な位置で一定である従来の解決策と比較して、対照的に、本発明の態様によれば、導電性リアクションプレート200の導電率は、二次側部材150の特定の位置における一次側部材100と二次側部材150との間の意図される相対速度又は速度に基づいて、固定の長手方向に伸長する二次側部材150に沿って様々な位置で異なる。例えば、一次側部材100が二次側部材150に対して高速で通過するように構成又は意図されている固定の長手方向に伸長する二次側部材150に沿った位置では、導電率はより低く、対照的に、一次側部材のより低い速度が意図されている二次側部材150の位置では、導電率はより高い。
【0104】
この原理を、一次側部材100によって駆動され、レールが二次側部材150を含む列車のようなリニア誘導モータM駆動式乗り物の例示的な状況に適用すると、一次側部材100及び乗り物が二次側部材150に対して400km/hと600km/hの間に達することが意図されているレールの高速セクションでは、乗り物がより低速を意図する場所、例えば意図される速度が0km/hと100km/hの間である鉄道駅又は停車場と比べて、導電リアクションプレート200はより低い導電率を有する。この意味で、一態様によれば、導電性リアクションプレート200の導電率は、従って電気抵抗率も二次側部材150の長手方向伸長軸に沿って可変である。
【0105】
例えば、変形例では、導電性リアクションプレート200の導電率は、二次側部材150の長手方向伸長軸に沿った第1の位置における第1のセクションで、二次側部材150の長手方向伸長軸に沿った第2の位置における第2のセクションと比べて低く、第1及び第2の位置は異なっている。
【0106】
1つの実施形態では、導電性リアクションプレート200は、例えば、限定されるものではないが、銅、アルミニウム、鉄、又はステンレス鋼などの鉄系材料などの異なる導電率を有する異なる導電性材料の使用によって、又はその導電性を調整するために導電性リアクションプレート200を形成する材料に分散することができる導電性又は非導電性の添加充填材の使用によって、リアクションプレート200の導電率の可変性を提供するために長手方向伸長軸に沿って使用される材料の様々な種類を含む。本明細書との関連において、リニア誘導モータMは、例えば図9に示すような片面誘導モータSLIM機構を参照して説明されるが、リアクションプレート200に関する同じ原理、構成及び設計は、他のリニアモータ構成、例えば両面リニア誘導モータ(DLIM)、及び他のタイプにも適用される。
【0107】
図10の例示的表現に示すように、可動の一次側部材100が簡略化された断面側面図として示されており、一次側部材100は、複数のスロットを有する磁気ヨーク110と、複数の固定子巻線を有する多相巻線120とを含む。非限定的に、固定子の多相巻線120には、例えば1又は2以上の電力変換器から多相交流(AC)を供給することができる。例えば、3相電圧の電力変換を使用して、多相巻線120の各巻線に1相を供給するが、他の多くの構成も可能である。説明目的で、磁気ヨーク110と協働する固定子巻線120は、一次側部材110に沿って長手方向に間隔をあけた面巻き(face-wound)及び多層巻線又はグランメ型コイルに相当することができる。リニア誘導モータ用のグランメ型コイル又はグランメ型巻線は、例えば独国公開第2265049号及び英国公開第1288985に記載されている。
【0108】
リニア誘導モータMの推力Tの強化又は増加は、導電性リアクションプレート200の構造及び構成に基づいて高速で達成することができ、非限定的に、例えば米国特許第3,585,423号及び米国特許第3,958,138号に開示されている背景技術で説明されているような異なる配置の磁気ヨーク110及び多相巻線120を用いて同様に達成することができる。しかしながら、これらの背景技術の解決策は、これらの特許出願時に可変周波数電源を有する電子電力変換器がない以上、速度を制御するための推力-スリップ特性の変更を重視している。
【0109】
図9及び図10に例示的に示される多相リニア誘導モータMでは、モータMの一次側部材100と二次側部材150との間の間隙を横切る磁束である作動磁束が、磁束の時間変化によりモータMの二次側部材160の導電性リアクションプレート200に誘導される電流と協働して、一次側部材100に推進力又は推力Tを生成する。一次側部材100と二次側部材150の両方の磁性体は、モータMの長手方向伸長軸に対して横方向の平面内にあり、それ自体がモータMに対して横方向に配向している作動磁束のための低リラクタンス経路を協働して提供する。
【0110】
図15にグラフで示されるように、リニア誘導モータMの推力Tは、スリップgの関数として、一次側部材100と二次側部材150との間の相対速度の増加とともに著しく減少する。従来のリニア誘導モータでは、一次側部材100の高速に相当する高周波では、最大推力T_maxが劇的に減少する。本発明の態様では、リニアモータMを用いると、周波数、従って速度が増加しても、T_maxの減少はかなり少ない。
【0111】
一次側部材の発生する作動磁束が連続的で、その周囲の周りで始まりも終わりもなく、従って無限とみなすことができる伝統的な回転式誘導モータとは対照的に、リニア誘導モータでは、一次側部材100の直下の二次側部材150の一部のみが一次側発生作動磁束に晒される。ここで、有限長の可動一次側部材100と長手方向に伸長する二次側部材150との間の相対運動は、一次側部材100により近いリアクションプレート200の領域に、モータMの一次側部材100の接近する端部を消磁する可能性がある端効果電流を生成することで動的端効果を引き起こす。これらの端効果電流は、推力Tに対抗する追加の力を作り出し、同期速度でも存在し得る追加の損失を引き起こし、同期速度は、作動磁束によって誘導される進行磁波の速度が一次側及び二次側部材100、150の間の相対速度と一致するか又は同じである速度である。文献、Selcuk et al.,“Investigation of End Effects in Linear Induction Motors by Using the Finite-Element Method,” in IEEE Transactions on Magnetics,Vol.44,No.7,pp.1791-1795,July 2008,doi:10.1109/TMAG.2008.918277を参照されたい。さらに、この効果は、一次側及び二次側部材100、150の間の相対速度の上昇に伴って顕著に増大する。
【0112】
さらに、高い相対速度での上述の端効果に関連して、モータMの二次側部材150のリアクションプレート200での有効誘導電流の増加は、一次側部材100と二次側部材150との間の間隙における作動磁束の減少につながり、例えばバックヨーク又は鏡鉄300などの裏当て磁性体300を通って流れることができる磁束が少なくなり、利用できる推力Tの減少につながる。これは、遮蔽効果と呼ぶことができる。
【0113】
本明細書に記載される、一次側部材100と二次側部材150との間の意図された相対速度又は速度の関数として二次側部材150のセクションに選択的に適用される、導電性リアクションプレート200の可変導電率、従って可変電気抵抗率によって、従来の設計と比較して、高速で増加した推力を提供することを目標として、多相リニア誘導モータMを提供すること、多相リニア誘導モータMの固定の長手方向に伸長する二次側部材150を提供すること、固定の長手方向に伸長する二次側部材150及びその対応するシステムを設計及び製造する方法を提供することが可能である。二次側部材150の本明細書で提案する構成では、電気力学に起因して、この遮蔽効果が強く低減されるため、より多くの推力が生じる。
【0114】
非限定的に、図11は、軌道又はレール500の長手方向伸長軸の方向で見たときに、輸送システムの誘導モータMの一般的な用途を示す簡略化された断面図を示す。図示の変形例では、モータMの一次側部材100は乗り物400に動作可能に取り付けられ、一方で、導電性リアクションプレート200及び裏当て磁性体を含む二次側部材150は、軌道又はレール500に取り付けられる。モータMの二次側部材150が軌道敷の長さに及ぶことを前提とすると、これはシステム全体のコストのかなりの部分を占め、二次側部材150の構造は、エネルギー効率の良い解決策で乗り物が高速を実現する能力を提供しながら可能な限り単純であることが望ましい。これは、非限定的に、例えばバッテリシステムのような車載有限エネルギー貯蔵装置を用いて長距離を高速で運転することが意図される乗り物に特に興味深い。
【0115】
本発明の一態様によれば、本明細書に提示されたモータM、二次側部材150、及び二次側部材150を含むシステムにより、一次側部材100の特有の又は特定の構成とは無関係に、増加した推力を提供することが可能である。それにもかかわらず及び図17及び18に関連して、以下に説明するような協働構成を選択することによって、さらに高い性能を得ることができる。
【0116】
図12は、本発明の一実施形態による、特定の場所におけるモータMの例示的な簡略化された側面図であり、二次側部材150の導電性プレート200は、多層構造又は層のスタック、例えば2つの層210及び220を含む。一例として、層210の厚さは、層220の厚さと異なることができるが、層210及び220は、例えば、異なる磁気及び電気特性を提供するために、異なる材料組成で作ることができる。変形例では、第1の層210が第1の導電率を有し、第2の層220が第2の導電率を有し、第1及び第2の導電率は異なることが可能である。従って、二次側部材150の長手方向軸に沿った異なる位置で、第1及び第2の層210、220を異なる厚さとすることによって、導電率を変更することができる。
【0117】
図13は、第1及び第2の層210、220からなる導電性リアクションプレート200を有する、長手方向に伸長する二次側部材150の2つの異なるセクションA及びBの例示的で簡略化された側面図である。各セクションA及びBは、二次側部材150に対する一次側部材100の異なる相対速度を意図することができ、セクションAは、セクションBと比較して異なる導電率を有する導電性リアクションプレート200を有する。導電性プレート200は、セクションA、Bともに同じ厚さを有するが、セクションAについては、第2の層220の厚さがセクションBにおける第2の層220の厚さに比べて大きく、逆に、第1の層210については厚さが異なっており、それによってセクションA及びBにおいて異なる導電率を提供することができる。一例として、異なるセクションA、Bにおいて、層210の厚さを層220の厚さと逆にすることができる。これにより、効率的かつ簡単な設計で二次側部材150の導電部を変化させて、結果として有効磁束を変化させることができる。しかしながら、導電性リアクションプレート200の全体の厚さが、長手方向伸長軸に沿って可変であることも可能である。プレート又は層210、220の厚さの変化は、非限定的に、複合導電性リアクションプレートを作るための構成として解釈されるものとする。例示のために、2つの層210、220のみが示されているが、例えば異なる材料組成を使用することによって、異なる導電率を有する導電性リアクションプレート200を形成する3以上の層が存在することも可能である。
【0118】
従って、層又はプレート210、220の厚さ、順序及び特性を変えることによって、結果として裏当て磁性体300の磁束を変えることができることを理解されたい。さらに、導電性リアクションプレート200のこの構成、例えば複合導電性リアクションプレートに対して、より低い有効導電率は、より多くの磁束が裏当て磁性体300中を流れることができるという事実につながるであろう。これは、結果として、一次側部材100と二次側部材150との間の間隙における作動磁束の増加と、低い端効果及び遮蔽効果をもたらすことになる。
【0119】
図14は、2つの層210、220で作られている長手方向に伸びる第2の部材150の例示的かつ簡略化された側面図を示し、各層210、220は、複数の層を含んでおり、第1の層210は、層212、214、216の第1のサブスタックを含み、第2の層220は、層222、224、226の第2のサブスタックを含み、第1及び第2のサブスタックの各層は異なる厚さを有するようになっている。この実施形態により、導電性リアクションプレート200、例えば複合導電性リアクションプレートの有効導電率は、限定されるものではないが、例えば非磁性ステンレス鋼、ポリマーベースの複合材料、炭素-アルミニウム合金、錫、青銅、アルミニウム、グラファイトのように異なる電気特性を有する材料の薄層を組み合わせることによってさらに調整することができる。結果として得られる導電性リアクションプレート200の有効導電率は、導電性リアクションプレート200のこのセクションに含まれる、3つの層212、214、216及び222、224、226の2つのスタックを示す変形例では、層の導電率の加重平均になるであろう。従って、リニア誘導モータMの設計において、異なる意図された速度が要求される異なる場所において、この特徴に基づいて、二次側部材150の各所与のセクション又は部分で推力を最適化することができることを理解されたい。
【0120】
非限定的な例として、200km/hから1300km/hの速度で移動する一次側部材100を備える乗り物のための導電性リアクションプレート200の有効導電率は、リアクションプレート200が2.7×10-7から7×10-6オーム・mの範囲の等価抵抗率を示すことができ、これは高速セクションのためのリアクションプレート200として考慮される。同様に、50km/hから200km/hの速度については、等価抵抗率が2.65×10-8から2.7×10-7オーム・mの範囲であり、これは中速セクションのリアクションプレート200に対応し、50km/hより低い速度については、リアクションプレート200の等価抵抗率の例示的な値が1.68×10-8から2.65×10-8オーム・mの範囲であり、低速セクション用である。
【0121】
非限定的に、リアクションプレート200の各セクションに対する導電率の値は、解析計算の結果を入力値として取る有限要素モデリングシミュレーションを使用して最適化することができる。モータM1の一次側部材100の所定の構成に関する、例えば速度v1が50km/hと言った低速運転を意図したリアクションプレート200のための有効導電率は、高いと想定することができ、すなわち、銅又はアルミニウム、又は他の高導電材料の有効導電率と想定することができる。その後、導電性リアクションプレート200の高速セクション、例えば速度v2の場合、概算として、目標有効導電率シグマ2は、速度v1とv2の比に比例して減少すると想定することができる。
【0122】
さらに、非限定的に、図14の実施形態の層212、214、216及び222、224、226によって表されるような複合リアクションプレートの有効導電率は、導電性複合プレート200の平均導電率と理解することができ、以下のように計算することができる。
【数1】
ここで、Nは、導電性層の総数であり、σiは、複合プレート内の任意のi-エシマル層の電気抵抗率であり、diは層の厚さであり、dtotは複合プレート200の全厚である。
【0123】
図16は、従来技術による単一の導電性プレートを有するリニア誘導モータによって生成される例示的な推力T1、及び本明細書で説明する実施形態によるリニア誘導モータMから期待される例示的な推力T2を示す2種類のグラフを示す。一次側部材100の意図された低い速度、又はゼロから低速への最初の加速のために設計されているセクションの場合、モータMによって引き起こされるジャーク作用を回避するために、一次側部材100と共に動く電磁場を生成することになる電源の低い周波数によって例示される低速は、意図された又は要求される速度が実質的に高いセクションと比較して、リアクションプレート200のために高導電材料が望ましい。この点において、低速及び停止を目的とするセクションでは、従来のアルミニウムベースのリアクションプレート200を使用することができ、高速を目的とするセクションでは、目的の速度に基づいて、より高い抵抗率のリアクションプレート200を選択的に使用することができる。従来のモータの推力を表すグラフT1、及び本明細書で説明するリニア誘導モータMの実施形態の推力を表すT2の2つのグラフで示すように、一次側部材100によって推進される乗り物の軌道に沿って導電性リアクションプレート200を使用して、軌道の所定のセクションで意図される速度で推力を最大化するために軌道に沿って導電率の調整を行うと、最も効果的な推力-速度特性をもたらすことになる。推力T2は、従来のモータが発生する推力の2倍以上となることが分かる。
【0124】
従来技術とは対照的に、本明細書に説明する本発明の実施形態では、例えば複合リアクションプレートを使用することによる、導電性リアクションプレート200の可変導電率により、モータMの推力性能は、電源600に対して特定の制御を行う必要なく、二次側部材150の所定の区域で所定の速度において、特に高速において、強く改善又は最大化することができる。異なる材料組成、層の数、層の厚さ、及び他の設計態様は、導電性リアクションプレート200を提供するために使用することができ、最大推力-速度比を達成するために所与のセクションにおける導電性リアクションプレート200の必要な有効導電率を確立するようになっている。
【0125】
上述のように、例えば図14に示すような裏当て磁性体300は、協働して作動磁束のための低リラクタンス経路を提供することを目的としており、磁束レベルは、導電性リアクションプレート200の特性から生じる端部遮蔽効果に左右されることになる。好ましくは、裏当て磁性体300は、誘導渦電流による損失を避けるために、高い透磁率及び低いバルク有効導電率を有する。一例として、これは、モータMの一次側部材100に関して上述したような電気鋼積層体を用いて、又は例えば低導電性の複合磁性材を用いて実現することができる。例えば、複合磁性体は、その中に埋め込まれた要素を有する低導電性キャリア材料で作ることができ、この要素は高い透磁率を有する。例えば、これらの要素は、キャリア材料に埋め込まれた鉄ペレット、鉄繊維、鉄粒子、鉄ビーズ、又はそれらの組み合わせとすることができる。キャリア材料は、コンクリート、例えば、コンクリート平板とすることができる。好ましくは、複合磁性体は、高い透磁率、例えば相対透磁率μr=>50を有する。裏当て磁性体300に期待される磁束と相関して、裏当て磁性体300の組成、幅及び構造は、作動磁束の大きさ、従ってモータMの二次側部材150に対する一次側部材100の相対速度に応じて最適化することができる。裏当て磁性体300は、モータMの二次側部材150の一部でもあり、軌道の長さに及ぶことを前提とすると、これは全体としてシステムのコストのかなりの部分を占め、エネルギー効率の良い解決策で一次側部材100によって駆動される乗り物が高速を達成する能力を提供しながら使用される構成要素のコストを低減するために、できるだけ最適化されることが望まれる。
【0126】
図17は、導電性リアクションプレート200が、互いに隣接して配置される異なる側板を含み、側板が異なるセクションで異なる導電性を提供する実施形態の例示的な側面図である。例えば、導電性リアクションプレート200は、リアクションプレート200の導電率の可変性を可能にするために、長手方向伸長軸に沿って互いに隣接して配置される複数のサブプレートを含むことができ、複数のサブプレートの少なくとも一部は、異なる導電率を有する。変形例では、互いに隣接して配置される異なるサブプレートは、例えば、異なる厚さを有する隣接して配置されたプレートの使用によって、長手方向伸長軸に沿って異なるセクションを見たときに、可変の厚さを有することができる。変形例では、互いに隣接して配置されるサブプレートの態様は、異なる厚さを有すると共に異なる導電率も有する。
【0127】
次に、改善されたあるいは最大化された推力速度プロファイルを可能にすることを目的として、可変導電率を有する導電性リアクションプレート200の用途に関する異なる非限定的な例を提示する。
【0128】
非限定的な例として、図18Aの簡略化された非限定的な例で示すように、1200km/hを超える速度で移動することが意図された、推進力としてリニア誘導モータを用いる乗り物500としての輸送カプセルを想定することができる。輸送カプセルは比較的軽量であり(100トン未満)、リニア誘導モータの二次側部材を備えたレール上で乗客が輸送するように構成され、さらに磁気浮上を利用する。輸送カプセルは、A地点からB地点まで移動し、停止したA地点から出発した後、時速1000km以上まで加速して巡航速度に達し、その後、減速してB地点の目的地に到達して停止するように構成されている。この点Aから点Bへの移動のための例示的なパラメータとして、必要な加速推力は、ほぼ30kNから41kNの大きさであり、巡航速度については1000km/hで10kN前後とすることができる。
【0129】
図18Bは、速度の関数として得られる推力を比較する2つの例示的なグラフを示し、濃いグラフ(機械A)は、例えば導電性リアクションプレートとして固体アルミニウムを用いる従来のリニア誘導モータで理論的に利用できる推力を示し、上部の明るいグラフ(機械B)は、輸送カプセルの意図される速度の関数として抵抗率が適合される導電性リアクションプレート200を用いる本明細書に示されるリニア誘導モータMで利用できる推力を示す。従来設計されたリニア誘導モータMによって生成される推力T1は、上記の移動仕様のために最低限必要な推力値を提供することができないことが分かる。
【0130】
別の非限定的な例として、リニア型加速器装置、例えば、燃料ベースのロケット推進に代わる物体を推進するためのリニア型加速器装置の用途を説明する目的で、図19Aを用いて概略的に示されるように、リニア誘導モータMは、宇宙船SCを、それが位置する地球から40,000km/h前後の脱出速度に推進するための発射システムとして理論的に用いることができる。具体的には、特定の長さを有する二次側部材150を備えた発射塔として、垂直方向に配置された軌道又は急角度で斜めに配置された軌道を用いることができ、宇宙船SCのためのリニア誘導モータベースのシステムは、二次側部材150と係合するように構成された一次側部材100を備えている。他のタイプのリニア発射システムも開発可能である。これらの非常に高い速度を実現するために、発射塔の軌道に配置されたモータMの二次側部材150の導電性リアクションプレート200は、本発明の実施形態の態様及び原理に従って作ることができる。例えば、発射塔の軌道に沿ったモータMの二次側部材150の特性の変化は、適度な磁気レイノルズ数での動作を可能にするようなものであることが必要であろう。
【0131】
リニア誘導モータMの性能は、磁気レイノルズ数が増加するにつれて低下することが示されている。この問題を解決する方法は、本明細書で示す発明の原理及び実施形態を利用することであろう。上述したように、基本的な考え方は、非常に高い速さ又は速度に到達できるように、より高い速度のために設計されたセクションで、ますます抵抗率の高い二次側部材150のリアクションプレート200を有することであるが、これは、所望の等価抵抗率に至るように、所定の材料の固体層又は異なる材料の複数の複合層を有する導電性リアクションプレートを設けることによって行うことができる。例示的な40,000km/hを達成するために、垂直方向の又は斜めに傾斜した発射塔に、軌道に沿って抵抗率が変わる二次側部材150を有する軌道を設けることが可能であり、これは図19Aに概略的に示されている。重要なのは、導電性リアクションプレート200は、速度が上昇するにつれて抵抗率が高くなることである。
【0132】
1つの選択肢は、二次側部材150が、長手方向の伸長方向に沿って互いに隣接して配置された4つの異なるセクションを有することであり、アルミニウム製の低速用の第1のセクション、次にステンレス鋼、又はステンレス鋼の高い割合を有する複合材からなる第1の低中速用の第2のセクション、次に基底面に対して平行に配置される黒鉛から製造された第2の高中速用の第3セクション、及び、発射塔の端部で基底面に対して垂直な黒鉛製の最後の第4のセクションである。この点で、4つの異なるセクションの有効抵抗率は、以下の式に従う。
ρ1<ρ2<・・・ρN-1<ρN
導電性リアクションプレート200の最後の第4のセクションの有効抵抗率は、近似的にρ=3・10-5Ω・m程度である。
【0133】
図19B及び図19Cは、図19Bに示す基底面に平行な黒鉛(ρ=5・10-6Ω・m)、及び図19Cに示す複合黒鉛(ρ=3・10-5Ω・m)に関して、速度の関数として最大推力Tを例示する2つのグラフを示す。図19Bから分かるように、推力は速度の上昇に伴って強く減少し、44kNで始まり14kN未満に低下するが、図19Cのグラフでは、推力の減少は44kNから約33kNである。これらのシミュレーション結果に使用された例示的なモータMは、365mmの磁極ピッチを有し、この値は、性能向上のためにさらに最適化することができる。
【0134】
本明細書に提示された本発明の実施形態の使用のための別の非限定的な例として、高速列車への適用がある。例えば、高速列車は、従来の車輪を使用して、A地点からB地点までレール上を移動する乗客を輸送するために使用することができる。乗り物は、停止しているA地点から始まり、巡航速度の500km/hまで加速し、その後、減速してB地点の目的地に到達する。必要な加速推進力は、500km/hで190kNから220kN程度の大きさ、巡航時は約75kNとすることができる。図20は、速度の関数としての2つの異なる推力T1、T2を示すグラフであり、例えばアルミニウム製リアクションプレートを使用する従来のリニア誘導モータ(機械A)のグラフ、及び比較される本発明の実施形態の原理による特定の速度に対して調整された導電率を有するリアクションプレート200を有するリニア誘導モータ(機械B)のグラフである。なお、高速鉄道において、1つの一次側部材100、又は列車の異なる客車又はセクションに分散配置された複数の小型の一次側部材100とすることができることに留意されたい。
【0135】
本発明の別の態様によれば、図21に第1の実施形態を例示するように、可動の一次側部材100と固定の二次側部材150との間の相対速度又は速度の関数として磁極ピッチを変化させるように制御可能な多相リニア誘導モータMが提供される。好ましくは、固定数の物理的な磁極を有する所定のリニア誘導モータについて、移動磁界の磁極ピッチは、電源(例えば、各々が多相巻線の巻線に接続された複数の単相電力変換器を含む電源)の使用によって電子的に変えることができる。
【0136】
例えば、図21に示されるように、可動一次側部材100と、多相巻線120と、固定の長手方向に伸長する二次側部材150と、電源600とを含む多相リニア誘導モータシステムSを提供することができ、可動一次側部材100は磁性体110を含み、多相巻線120は、磁性体110の周りに配置され、例えばグランメ構成で複数の巻線121、122、123を含み、固定の長手方向に伸長する二次側部材150は、間隙によって一次側部材100から分離され、導電性リアクションプレート200及び裏当て磁性体300を含み、電源600は、複数の電力変換器610、620、630を含み、各電力変換器610、620、630は、多相巻線120のうちの少なくとも1つの巻線121、122、123に電力供給を行うように構成されている。
【0137】
さらに、電源600を制御するための制御装置700が設けられ、制御装置700は、電源600の複数の電力変換器610、620、630を制御して、多相巻線120によって引き起こされる1又は2以上の磁極を有する移動磁界を生成するように構成され、制御装置700はさらに、多相巻線120の移動磁界の磁極ピッチを変えるように構成される。
【0138】
一般に、平衡多相供給源、例えば電源600から励起されるリニア誘導モータにおいて、一次側部材100が二次側部材150に対して移動できる最大理論速度は、以下の式で与えられる同期速度と一致する。
s=2τps
ここで、ここで、vsはリニアモータの同期速度、τpは磁極ピッチ、fsは電源600、例えば多相巻線120に供給される多相電圧の周波数である。この点で、モータMの同期速度は、固定子であるモータの可動一次側部材100における多相電流、多相電圧の周波数、及び/又は磁極ピッチのいずれかを増加させることによって増加させることができることを理解することができる。
【0139】
図21の例示的かつ簡略化された実施形態により、電源600は、1つの単相電力変換器610、620、630が、グループで示される単一のコイル又は巻線121、122、123のそれぞれに動作可能に接続された状態で示されている。図示の非限定的な例では、6つの単相電力変換器610.1、620.1、630.1、620.2、及び630.2が存在し、各々は、単一のコイル又は巻線121.1、122.1、123.1、121.2、122.2、及び123.2にそれぞれ接続され、これは、例示的な三相電圧又は電流、例えば電圧V1、V2、V3を有する三相準正弦波電圧によって駆動することができる。多相固定子、本明細書では可動一次側部材100において、磁極は、瞬時電流又は電圧の同じ方向の同じ相で動作する多相巻線120の複数の連続したコイル又は巻線121、122、123により与えられる。ここで、磁極間の距離は、磁極ピッチτと見なされる。
【0140】
最初のより小さな磁極ピッチは、q=1の相あたり磁極あたりのスロットの小さな値で生成することができ、さらに、コントローラ700によって生成された3相変調を選択し、所定の周波数で3相システムとして、3つの隣接配置の電力変換器610.1、620.1、630.1と次の3つの隣接配置の電力変換器610.2、620.2、630.2とを作動させることにより、電源600によって多相電磁場を生成できる。次に、q=2で磁極ピッチを2倍にするために、隣接して配置された2つの電力変換器のグループをまとめ、各グループは同相となるように同じ信号で変調され、例えば、電力変換器610.1、620.1の第1のグループは、第1の信号で変調され、電力変換器630.1、610.2の第2のグループは、第2の信号で変調され、電力変換器620.2、620.3の第3のグループは、第3の信号で変調され、第1、第2及び第3の信号は3相の変調信号である。これにより、隣接する2つの巻線121.1、122.1には同じ電圧V1が、隣接する2つの巻線123.1、121.2には同じ電圧V2が、隣接する2つの巻線123.2には同じ電圧V3が印加される。これにより、多相電磁波は、同じ所与の周波数を有するが、磁極ピッチが2倍になることができる。上式を考慮すると、これは同期速度vsの2倍につながる。換言すれば、磁極ピッチが2倍になった場合、同じ速度vsを維持するために、電源600によって生成される多相電磁波の周波数を半分にすることができる。
【0141】
上述のように、同期速度の関数としての、電源600、例えば電圧又は電流によって生成される多相電磁波の周波数は、例示的な3つの異なる磁極ピッチ構成に関して図22Aのグラフに示されている。破線は、この機械が動作中に辿ることができる軌道を示し、その狙いは、電源600の異なる電力変換器610、620、630からの高い切り替え損失を避けるために、100Hzと200Hzとの間の周波数で動作する時間を最大限にすることである。例えば、単相電力変換器610、620、630などは、多相巻線120の異なる巻線に供給するために多相電圧又は電流を生成する際に、電源600を生成する切り替え周波数に対して最も低い切り替え損失を有するように最適化することができる。従って、一般的に言えば、電源600の複数の電力変換器610、620、630によって供給される多相電流又は電圧の周波数が、所定の周波数閾値、例えば200Hz以下のままであるように、システムSの磁極ピッチを変化させることができる。動作原理はさらに次のように要約される:動作は、可能な最大磁極数(q=1、左から1番目のライン)で始まり、速度が周波数200Hzである点に達すると、電源600の電力変換器612、614、616は、機械をq=2(左から2番目)に変換する周波数を有する多相電圧又は電流を供給する。q=2からq=4(左から3番目)へも同様に行われる。この例は、三相システムの多相電圧又は電流に向けられるが、さらに一層柔軟な動作モードをもつために相の数を変更することもできる。
【0142】
本発明の別の態様によれば、移動磁界の磁極ピッチが、二次側部材150に対する可動一次側部材100の相対速度の関数として可変である、リニア誘導モータシステムS、リニア誘導モータMを制御する制御装置700、又はリニア誘導モータMのための電力変換器を変調する方法が提供される。例えば、本明細書で提示されるような対象の高速リニア誘導モータ、例えばモータM、及び他のタイプのリニア誘導モータに関連して、可変磁極ピッチ方式でのリニア誘導モータMの駆動は、可変抵抗を有する導電性リアクションプレート200に関連して提供することができる。
【0143】
図22Bは、可変磁極ピッチ戦略の動作原理を説明するための、例示的なリニア誘導モータM及び電源600によって生成することができる2つの異なる磁極ピッチの説明図を示し、一次側部材100は、相A、B、及びCを備える三相電圧又は電流システムによって駆動される例示的な48個のスロットを有する。上の図は、各々の隣接する巻線又はコイルが、最初の磁極ピッチを有する異なる相A、B又はCによって駆動される第1の状況を示す。下の図は、隣接して配置された2つのコイル又は巻線が同じ相A、B又はCによって駆動され、磁極ピッチが2倍になり、磁極の数が半分に減少する第2の状況を示す。第3の状況(図示せず)では、3つの隣接配置されたコイル又は巻線が同じ相A、B又はCによって駆動され、最初の磁極の4倍になり、磁極数は1/4に減少することができる。
【0144】
リニアモータM又はリニアモータシステムSの第2の実施形態は図23に例示的に示されており、多相巻線120の1又は2以上の巻線又はコイル121、122、123に例示的な3つの異なる電子電力変換器610を選択的に相互接続できるスイッチボックス800、又は他のタイプのスイッチ装置の使用によって、多相移動磁界の磁極ピッチを変えるように構成されている。図15の側面図において、巻線120を有する多相可動一次側部材100のセクションが示されている。非限定的に、このセクションは、複数の磁極を有するモータMの一次側部材100の任意の所定のセクションとして理解することができる。多相電流又は電圧の供給、及びモータMの駆動は、コントローラ装置700によって制御される複数の電力変換器610、620、630を用いて行うことができ、電力変換器は、電力制御及び切り替えボックス800を介して一次側部材100の巻線に作動的に相互接続することができる。電力制御及び切り替えボックスは、特定の電力変換器610、620、630を、多相巻線120の1又はそれ以上の巻線に選択的に接続することができる。例えば、非限定的な例示目的で、電力変換器610、620、630は、電圧V1、V2、V3を有する3相の準正弦波(quasi-sinusoidal)電圧を供給するように構成することができ、変換器610、620、630ごとに1つの電圧相があり、準正弦波電圧V1、V2、V3は所定の周波数を有する。次に、多相巻線120を形成するために、例示的に互いの隣に又は互いに隣接して連続して配置される6つの個別の巻線121、122、123、124、125、126が存在すると考えることができる。
【0145】
切り替えボックス800の第1の構成では、切り替えボックス800は、制御装置700によって、多相巻線120の第1の巻線121及び第4の巻線124に第1の電圧V1を供給し、第2の巻線122及び第5の巻線125に第2の電圧V2が印加され、第3の巻線123及び第6の巻線126に第3の電圧V3が印加されるように指示され得る。この構成は、モータMの3つの巻線をカバーする磁極ピッチを生成する。次に、磁極ピッチは、一次側部材100の速度又は速さが所定の閾値を超えて増加したという理由で、又は三相準正弦波電圧V1、V2、V3の周波数が所定の閾値(例えば、非限定的に200Hz)を超えて増加したという理由で2倍になることができる。この段階で、切り替えボックス800は、制御装置700によって、第1の電圧V1が第1及び第2巻線121、122の両方に印加され、第2電圧V2が第3及び第4巻線123、124の両方に印加され、第3の電圧V3が第5及び第6巻線125、126の両方に印加される第2の構成に切り替わるように指示され得る。これは、隣接する2つの巻線ペア121及び122、123及び124、125及び126が並列に配置され、今度はこれらのペアが一緒にコアの磁化を共に担うことを意味する。これは、結果として磁極ピッチの長さを2倍にする。追加の巻線及び構成が可能であり、この場合も磁極ピッチを変更することができ、例えば、121/122/123などの平行に切り替えられる三つ組み巻線の使用により、最初の構成から磁極ピッチを3倍にすることも可能である。本実施形態における複数の電力変換器の使用は、単数のコントローラが使用され、電力制御及び切り替えボックス600を介して一次側部材100に相互接続される場合の制限を構成しない。実施形態は、このような制御及び駆動システムの可能性のある実施構成のアーキテクチャ、機能性、及び動作を例示することを理解されたい。
【0146】
図24は、別の変形例を示しており、電力制御及び切り替えボックス600は、磁極巻線の所定数のコイルにコントローラによって供給されるのと同じ電流相を供給する複数のモジュール610と、隣接するコイルに異なる相を供給してコイルの分割又は所定の磁極への随伴協働を引き起こすことができる複数のモジュール620とを含むことができる。これにより、巻線又は一次側部材100の物理的構成を変更することなく、可変磁極ピッチ構成でモータMを動作させることができる。所与のモータMの一次側部材100におけるコイル及びスロットの総量は、本明細書で説明する動作に必要な多様性に適合することが理解される。
【0147】
機械の例示的な動作において、推力対速度の関係は、上述したようにモータMの一次側部材100によって加えられる磁極ピッチを変更することによって、上述したような可変抵抗を有する導電性リアクションプレート200に関連してさらに調整することができる。これにより、詳細には高速において推力プロファイルを最適に確立することができる。従来のリニア誘導モータでは、磁極ピッチが固定されているため、速度を変えるためには電気周波数を変更する必要があった。本発明の一態様によれば、本明細書に記載されたシステムS、リニアモータMの電力供給、及び変調方法により、磁極ピッチを変化させることによって、モータMを最適な方法で動作させるための追加の自由度を加えることが可能であり、オペレータは、より良い性能を達成するために磁極ピッチ並びに周波数を変更することができる。
【0148】
本発明は、特定の好ましい実施形態を参照して開示されるが、記載された実施形態及びその等価物に対する多数の修正、変更、及び変更は、本発明の範囲及び領域から逸脱することなく可能である。従って、本発明は、記載された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の文言に従って最も広い合理的な解釈を与えられることが意図される。
【符号の説明】
【0149】
100 可動一次側部材
110 磁性体
120 多相巻線
150 二次側部材
200 導電性リアクションプレート
205 中間セクション
210.1 外側セクション
210.2 外側セクション
300 裏当て磁性体
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図19C
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2023-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相リニア誘導モータであって、
磁性体(110)と、前記磁性体の周りに配置された多相巻線(120)とを含む、可動の一次側部材(100)と、
制御間隙によって前記一次側部材(100)から分離され、導電性リアクションプレート(200)と裏当て磁性体(300)とを含む、長手方向に伸長する固定の二次側部材(150)と、
を備え、
前記導電性リアクションプレート(200)は、中間セクション(205)と、前記中間セクション(205)の導電率に比べて増加された導電率を有する2つの外側セクション(210.1、210.2)とを含み、
前記多相巻線(120)のうちの少なくとも1つの巻線は、台形形状の前記一次側部材の動作を助けるように配置された巻線を含む、多相リニア誘導モータ。
【請求項2】
前記外側セクション(210.1、210.2)と前記中間セクション(205)との間の傾斜角度は、前記導電性リアクションプレート(200)の長手方向伸長軸に沿う第1のセクションと第2のセクションで異なり、前記第1のセクションは、前記第2のセクションと異なる位置にある、請求項1に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項3】
前記可動の一次側部材(100)の前記磁性体(110)は、中間セクション(130)と2つの外側セクション(140.1、140.2)とを含み、前記中間セクション(130)と前記2つの外側セクション(140.1、140.2)は、間隙を介して、前記導電性リアクションプレート(200)の前記中間セクション(205)と前記2つの外側セクション(210.1、210.2)にそれぞれ向かい合っている、請求項1に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項4】
前記可動の一次側部材(100)の前記磁性体(110)の断面形状は、長手方向伸長軸の方向で見たときに台形形状を有し、前記2つの外側セクション(140.1、140.2)の表面は台形形状の側脚を形成し、前記可動の一次側部材(100)の前記2つの外側セクション(140.1、140.2)と前記中間セクション(130)との間の傾斜角度は、前記長手方向伸長軸の方向で見たときに斜めになっている、請求項3に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項5】
前記可動の一次側部材(100)の前記2つの外側セクション(140.1、140.2)と前記導電性リアクションプレート(200)の2つの前記外側セクション(210.1、210.2)は、それぞれ互いに平行になるように配置されている、請求項3に記載の多相リニア誘導モータ
【請求項6】
前記可動の一次側部材(100)の前記2つの外側セクション(140.1、140.2)は、さらに分割され、前記導電性リアクションプレート(200)の2つの前記外側セクション(210.1、210.2)及び(210.3、210.4)のそれぞれに対して平行になるように配置される、請求項3に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項7】
前記導電性リアクションプレートは、可変スタック導電性層を備え、前記可変スタック導電性層の導電率は層ごとに可変である、請求項1に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項8】
多相リニア誘導モータであって、
磁性体(110)と、前記磁性体の周りに配置された多相巻線(120)とを含む、可動の一次側部材(100)と、
間隙によって前記一次側部材(100)から分離され、リアクションプレートを形成するための可変スタック導電性層と、裏当て磁性体(300)とを含み、前記可変スタック導電性層の導電率は、層ごとに異なることができる、長手方向に伸長する固定の二次側部材(150)と、
を備える、多相リニア誘導モータ。
【請求項9】
前記可変スタック導電性層を含む前記導電性リアクションプレート(200)は、前記二次側部材(150)の長手方向伸長軸に沿った前記導電性リアクションプレート(200)の導電率の有効な可変性をもたらすために、長手方向伸長軸に沿った使用材料の変動を含む、請求項7に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項10】
前記可変スタック導電性層を含む前記導電性リアクションプレート(200)は、層のスタック(210、220)を含み、前記層のスタック(210、220)の第1の層(210)及び第2の層(220)は、異なる導電率を提供する異なる材料組成で作られている、請求項9に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項11】
前記可変スタック導電性層を含むリアクションプレート(200)を備え、前記層のスタック(210、220)の第1の層(210)の厚さは、前記層のスタック(210、220)の第2の層(220)の厚さと異なっている、請求項10に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項12】
前記可変スタック導電性層を含むリアクションプレート(200)を備え、前記層のスタック(210、220)の層の少なくとも1つの厚さは、長手方向伸長軸に沿って異なる位置で測定すると可変であり、前記層のスタック(210、220)の前記層の少なくとも1つの断面の増加によって前記リアクションプレート(200)の導電率の可変性をもたらすようになっている、請求項10に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項13】
前記第1の層(210)は、第1のサブスタックの層(212、214、216)を含み、前記第2の層(220)は、第2のサブスタックの層(222、224、226)を含み、前記第1及び第2のサブスタックの層の各層は、異なる厚さを有することにより、前記一次側部材(100)に対する増加された推力をもたらす、請求項10に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項14】
前記可変スタック導電性層を含む前記導電性リアクションプレート(200)は、前記二次側部材(150)の長手方向伸長軸に沿った第1の位置における第1のセクションで、前記二次側部材(150)の長手方向伸長軸に沿った第2の位置における第2のセクションに比べて低く、前記第1及び第2の位置は異なっている、請求項13に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項15】
前記可変スタック導電性層を含むリアクションプレート(200)を備え、前記導電性リアクションプレート(200)の第1のセクションは、前記第2のセクションと比較して、前記二次側部材(200)に対する前記可動の一次側部材(100)の相対速度がより高くなるように指定された領域に配置されている、請求項14に記載の多相リニア誘導モータ。
【請求項16】
複数の電力変換器を変調する方法であって、前記複数の電力変換器の各々は、リニア誘導モータ(M)の可動の一次側部材(100)内の多相巻線(120)の巻線又は巻線セットに接続され、前記方法は、
前記複数の電力変換器(610、620、630)を用いて1又は2以上の磁極及び複数の相を有する移動磁界を生成するステップと、
前記リニア誘導モータ(M)の前記一次側部材(100)の速度の関数として、前記移動磁界の磁極の間の磁極ピッチを変更するステップと、
を含み、
前記磁極ピッチは、前記可動の一次側部材(100)の速度の増加に伴って増加する、方法。
【国際調査報告】