(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】ナノマシンによる熱エネルギーハーベスティング
(51)【国際特許分類】
H10N 30/30 20230101AFI20231227BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20231227BHJP
F03G 7/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H10N30/30
H01L29/06 601N
F03G7/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561930
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 IB2021061977
(87)【国際公開番号】W WO2022130345
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523231842
【氏名又は名称】アヴェティソフ,ウラディク
(71)【出願人】
【識別番号】523231864
【氏名又は名称】イリエフ,ロマン
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アヴェティソフ,ウラディク
(72)【発明者】
【氏名】イリエフ,ロマン
(57)【要約】
第1の端部および第2の端部を有する第1のオリゴマーモジュールと、第1の端部および第2の端部を有する第2のオリゴマーモジュールと、少なくとも1つの発電要素とを有する、エネルギーハーベスティングのためのオリゴマーマシンが開示される。例示的オリゴマーマシンは、確率共鳴および/または自発的振動を示すように構成され、それに加えられる規定量のエネルギーに応答して、発電要素への第2のオリゴマーモジュールの機械的作用を引き起こして電圧および/または電流を生成する方法で、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間で相対運動が生じるように構成される。
【選択図】
図14A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーハーベスティングのためのオリゴマーマシンであって、
第1の端部および第2の端部を有する第1のオリゴマーモジュールと、
第1の端部および第2の端部を有する第2のオリゴマーモジュールと、
少なくとも1つの発電要素と
を含み、
前記第1のオリゴマーモジュールの前記第1の端部は、前記第2のオリゴマーモジュールの前記第1の端部に連結され、
前記オリゴマーマシンは、それに加えられる規定量のエネルギーに応答して、前記発電要素への前記第2のオリゴマーモジュールの機械的作用を引き起こして電圧および/または電流を生成する方法で、前記第1のオリゴマーモジュールと前記第2のオリゴマーモジュールとの間で相対運動が生じるように構成され、
前記オリゴマーマシンは、温度が臨界温度範囲にある時の温度で、溶液中で確率共鳴および/または自発的振動を示し、前記オリゴマーマシンは、温度が前記臨界温度範囲にない場合、前記溶液中で確率共鳴および/または自発的振動を示さず、
前記オリゴマーマシンは、負荷力が臨界力範囲にある場合、前記オリゴマーマシンに加えられる前記負荷力下で、溶液中で確率共鳴および/または自発的振動を示し、前記オリゴマーマシンは、前記負荷力が前記臨界力範囲にない場合、前記溶液中で確率共鳴および/または自発的振動を示さない、
オリゴマーマシン。
【請求項2】
前記第1のオリゴマーモジュールと前記第2のオリゴマーモジュールとの間のコジョインダーの位置に、少なくとも1つの屈曲またはヒンジ部位をさらに含み、前記屈曲またはヒンジ部位は、前記第1のオリゴマーモジュールと前記第2のオリゴマーモジュールとの間の相対的な曲がりを可能にする、請求項1に記載のオリゴマーマシン。
【請求項3】
前記第1および/または第2のオリゴマーモジュールは、任意選択で置換されたアクリルアミド残基、任意選択で置換された(メタ)アクリルアミド残基、任意選択で置換された(メタ)アクリル酸残基、任意選択で置換されたアジリジン残基、任意選択で置換されたエポキシ残基、アルコキシ置換エタン残基、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のオリゴマーマシン。
【請求項4】
前記第1および/または第2のオリゴマーモジュールは、N-エチルアクリルアミド残基、2-(イソプロピルカルバモイル)アクリル酸残基、1-(アジリジン-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オン残基、メトキシエテン残基、および2-メチルオキシラン残基の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のオリゴマーマシン。
【請求項5】
前記第1のオリゴマーモジュールの前記第1の端部は、前記第1および第2のオリゴマーモジュールの両方の持続長未満の持続長を有するリンカーユニットを通して、前記第2のオリゴマーモジュールの前記第1の端部に連結される、請求項1に記載のオリゴマーマシン。
【請求項6】
前記第1および第2のオリゴマーモジュールは、10~30個の繰り返し単位を各々含む、請求項1に記載のオリゴマーマシン。
【請求項7】
前記第1および第2のオリゴマーモジュールは、10~30個の立体規則性繰り返し単位を各々含む、請求項1に記載のオリゴマーマシン。
【請求項8】
前記第1および第2のオリゴマーモジュールは、0.5nm~20nmの持続長を各々有する、請求項1に記載のオリゴマーマシン。
【請求項9】
前記溶液は、水溶液である、請求項1に記載のオリゴマーマシン。
【請求項10】
前記臨界温度範囲は、-25℃~100℃によって与えられる温度範囲内である、請求項1に記載のオリゴマーマシン。
【請求項11】
前記臨界温度範囲は、25℃~45℃によって与えられる温度範囲内である、請求項1に記載のオリゴマーマシン。
【請求項12】
前記臨界力範囲は、10pN~1000pNによって与えられる力範囲内である、請求項1に記載のオリゴマーマシン。
【請求項13】
前記臨界力範囲は、250pN~350pNによって与えられる力範囲内である、請求項1に記載のオリゴマーマシン。
【請求項14】
前記臨界力範囲は、350pN~400pNによって与えられる力範囲内である、請求項1に記載のオリゴマーマシン。
【請求項15】
発電要素は、圧電素子、ナノ粒子、ナノワイヤ、およびナノ層から選択される、請求項1に記載のオリゴマーマシン。
【請求項16】
前記オリゴマーマシンは、圧電素子へ機械的作用を及ぼすことによって電圧を発生させるように構成される、請求項1に記載のオリゴマーマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年12月18日に出願された米国仮出願第63/127,367号の優先権を主張する。
【0002】
本出願は、ナノ機械装置を対象とし、その機能は、ナノスケールのオリゴマー構造および/またはそれらのナノスケールの組成の双安定性に関連する。
【背景技術】
【0003】
装置および機械の工業的小型化は、典型的にはトップダウン設計によって行われる。ますます小さい構成要素および装置の作成が望まれ、製造は、マイクロメートルスケールからナノメートルスケールに移っている。トップダウン設計によって約10nmのサイズに取り組むために、巨視的な装置を使用する精密な操作のコストは、典型的には増加し、ひどく高価になる場合がある。あるいは、サブナノメートル(原子)サイズの構築要素からナノメートルスケールで機能デバイスを設計するボトムアップ戦略が、有益だと判明する場合がある。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態では、オリゴマーモジュールを含む分子マシンおよび/またはオリゴマーマシンは、立体配座双安定性を示すように選択および連結され、オリゴマーモジュール間の相対配向は、1つ以上の刺激に応答して、第1の配向から第2の配向へ変化し得る。
【0005】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、第1のオリゴマーモジュール、および第1のオリゴマーモジュールに連結されてオリゴマー鎖を形成する第2のオリゴマーモジュール、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間のコジョインダー(co-joinder)の位置の少なくとも1つの屈曲またはヒンジ部位であって、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間の相対的な曲がりを可能にする、屈曲またはヒンジ部位、少なくとも1つの発電要素、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間の相対的な曲がりが、オリゴマー鎖の少なくとも第2のオリゴマーモジュールと少なくとも1つの発電要素との間の機械的相互作用をもたらすように、少なくとも1つの発電要素およびオリゴマー鎖に対して構成された基材を含む、合成材料を含み、オリゴマー鎖は、刺激に応答して、第2のオリゴマーモジュールと発電要素との間の機械的相互作用を引き起こす方法で、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間で相対的な曲がりが生じるように形成され、機械的相互作用は、少なくとも1つの発電要素に関連する電圧の変化をもたらす。
【0006】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、第1のオリゴマーモジュール、および第1のオリゴマーモジュールに連結されてオリゴマー鎖を形成する第2のオリゴマーモジュール、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間のコジョインダーの位置の少なくとも1つの屈曲またはヒンジ部位であって、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間の相対的な曲がりを可能にする、屈曲またはヒンジ部位、少なくとも1つのピストン要素、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間の相対的な曲がりが、オリゴマー鎖の少なくとも第2のオリゴマーモジュールと少なくとも1つのピストン要素との間の機械的相互作用をもたらすように、少なくとも1つのピストン要素およびオリゴマー鎖に対して構成された基材を含む、合成材料を含み、オリゴマー鎖は、それに加えられる規定量のエネルギーに応答して、第2のオリゴマーモジュールとピストン要素との間の機械的相互作用を引き起こす方法で、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間で相対的な曲がりが生じるように形成され、機械的相互作用は、機械力を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】オリゴNIPAm-20aの2つの立体配座状態を示す。
【
図2】例示的オリゴNIPAm-20実施形態の回転半径対温度を示す。
【
図3】末端間距離d対圧縮力Fを示し、Fcは、例示的オリゴNIPMAm-30実施形態の臨界圧縮である。
【
図4】本開示の実施形態のある態様と関連するオイラーアーチを示す。
【
図5】オイラーアーチのエッジ間の距離d対引っ張り力Fによって表されるカスプカタストロフモデルの分岐図を示す。
【
図6】屈曲オリゴマー鎖の一方のエッジが固定され、力Fが鎖のもう一方のエッジに加えられる、シミュレーションされた加えられる力を有する例示的実施形態を示す。
【
図7】例示的NIPMAm-30オリゴマーの末端間距離対時間を示す。
【
図8】例示的実施形態オリゴNIPMAm-30の自発的振動(上部パネル)、ならびに引っ張り力Fが臨界値を過ぎる時の「開いた」および「閉じた」状態の訪れに対する統計的重みを示す。
【
図9】弱い振動力によって制御される例示的NIPMAm-30オリゴマーの確率共鳴を示す。
【
図10】2つの立体配座間で自発的に振動することができる双安定系を示す。
【
図11】臨界引っ張り力付近の振動領域にある例示的オリゴNIPMAm-30実施形態における末端間距離の時間依存性を示す。
【
図12】臨界引っ張り力の近く(左)および遠く(右)での例示的オリゴNIPMAm-30実施形態の、最大値で正規化された、屈曲および伸長状態の統計を示す。
【
図13】引っ張り力Fc=400pN(左パネル)およびF=500pN(右パネル)での、例示的NIPMAm-30実施形態のヒンジ部位の周囲の水素結合の数および鎖の末端間距離の時間依存性を示す。
【
図14A】一方が他方の内側で可逆的に移動する2つのナノチューブに接続された双安定オリゴマーマシンを含むピストン型エンジンのようにふるまう例示的ナノマシン実施形態を示す。
【
図14B】一端が固定され、一端が減衰されるオリゴPNIPMAm-30を含む例示的系を示す。
【
図14C】オリゴPNIPMAm-30を含む例示的系の自発的振動を示す。
【
図14D】減衰基によってオリゴPNIPMAm-30を含む例示的系から抽出されるエネルギーを示す。
【
図14E】外部調和振動場V=0.2V/nm、周波数=100MHzにおける、オリゴPNIPMAm-30を含む例示的系の確率共鳴を示す。
【
図14F】減衰基によってオリゴPNIPMAm-30を含む例示的系から抽出されるエネルギーを示す。
【
図14G】外部調和振動場によってオリゴPNIPMAm-30を含む例示的系に送り込まれるエネルギーを示す。
【
図15】例示的NIPAm-20i実施形態の広がった(2000)および折り畳まれた(2002)形状を示す。
【
図16】例示的NIPMAm-30s実施形態の回転半径対シミュレーション時間を示す。
【
図17】例示的NIPMAm-30s実施形態の広がった(2200)および折り畳まれた(2201)形状を示す。
【
図18】例示的NIPMAm-30i実施形態の広がった(2300)および折り畳まれた(2301)形状を示す。
【
図19】例示的NIPMAm 30i実施形態の回転半径対シミュレーション時間を示す。
【
図20】例示的NIPAm-21i-19sジブロック実施形態の回転半径対シミュレーション時間を示す。
【
図21】例示的NIPAm-21i-19aジブロック実施形態の広がった(2600)および折り畳まれた(2601)形状を示す。
【
図22】例示的21i-19a NIPAmジブロック実施形態の回転半径対シミュレーション時間を示す。
【
図23】例示的NIPAm-12i-4s-12iトリブロック実施形態の広がった(2800)および折り畳まれた(2801)形状を示す。
【
図24】例示的12i-6s-12i NIPAmトリブロック実施形態の回転半径対シミュレーション時間を示す。
【
図25】例示的オリゴNIPAm-12i-8s-12iトリブロック実施形態の回転半径対シミュレーション時間を示す。
【
図26】例示的NIPAm-12i-8s-12iトリブロック実施形態の広がった(3100)、折り畳まれた(3101)、および半折り畳み(3102)状態を示す。
【
図27】例示的オリゴNIPMAm-12i-7s-12iトリブロック実施形態の広がった(3200)および折り畳まれた(3201)形状を示す。
【
図28A】開いた立体配座の例示的10-7-10-NMIPAm-NIPMAm-NMIPAmキメラ組成物を示す。
【
図28B】例示的実施形態の末端間距離対温度を示す。
【
図28C】閉じた立体配座の例示的10-7-10-NMIPAm-NIPMAm-NMIPAmキメラ組成物を示す。
【
図28D】T=320Kでの例示的実施形態の自発的振動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
人類は、帆および風力タービンの発明以来、風力を使用している。しかしながら、常に風が強いとは限らない。コーヒー豆をひくためのオフィスに風車があるのは、良いアイデアではない。さらに、完全な無風状態であっても、空気中の分子は、ハリケーンである場合と同じくらい速く飛ぶ。気体には、エネルギー的に豊かな揺らぎが常に存在し、2状態の系を操作することによって有用になる場合がある。2状態の力学系は、ナノ風車として働き得る。
【0009】
すべての揺らぎを平均するため、古典熱力学は、ナノマシンとうまく一致しない。対照的に、ナノマシンを設計する場合、ランダム摂動は、明示的に考慮されるべきである。幸運にも、確率的熱力学は、過去20年間で大きく進歩した。今日では、古典熱力学が通常のエンジンのバックグラウンドであるのと同じように、確率的熱力学は、ナノマシンのバックグラウンドである。また、複雑な分子系の全原子シミュレーションの強力な方法、および単一分子操作のための優れたツールが出現した。実際、現代のナノ科学およびナノテクノロジーは、ナノマシンにつながっている。
【0010】
確率的熱力学の観点から、ナノメートルサイズの分子は、機械のように働く特殊な動力学を有し得る。ナノメートルサイズの分子は、数千個の原子および数千の自由度を有する。しかしながら、機械のような作用は、低次元力学を暗示し、これは、いくつかの最も遅い自由度と関連する集団としての原子の運動を通して実現されると思われる。したがって、機械のような作用を及ぼすために、最も遅い自由度は、すべてのより速い自由度から動的に分離され得る。例えば、2状態の系は、いくつかの刺激が閾値を超えた時の突然の状態変化を暗示し得る。そのような作用は、非線形力学系の挙動に関連する。例えば、弾性棒を考える。実際、棒は、軽い長手方向の圧縮下では真っすぐなままである。しかしながら、圧縮が臨界レベルを超えるとすぐに、真っすぐ伸びた状態は不安定になり、棒は、上または下に屈曲する。臨界圧縮超では、棒は、2状態の機械のように振る舞う。それは、横方向の力を加えると、一方の状態から他方の状態へのジャンプを介して機械的作用を及ぼし得る。しかしながら、分子スケールでは、棒自体がジャンプし得る。ランダム摂動が2つの状態間の転移を活性化させることができる場合、棒は、自発的にジャンプし、自発的振動を行うことになる。ランダムなジャンプは、弱い振動圧縮によって規則的なジャンプに変換され得る。この現象は、確率共鳴と呼ばれ得る。
【0011】
自発的振動および確率共鳴は、熱浴エネルギーをナノマシンの「燃料」として使用するために魅力的である。ミクロンサイズ、またはさらにはサブミクロンサイズの系にとって、熱揺らぎは、弱すぎて自発的振動を活性化できない場合があり、はるかに強い摂動が必要とされ得る。熱揺らぎは、サイズがわずか数ナノメートルの系を乱すことができる。したがって、ナノメートルサイズの分子が双安定であり、双安定性障壁が熱揺らぎと同等である場合、自発的振動が自然に表れることになる。そのようなエネルギーハーベスティングは、本明細書に記載される材料のいずれかを使用して、またはそのような材料の組み合わせを使用して達成され得る。
【0012】
オリゴマーマシンおよび/または分子マシンは、ナノスケールで制御された運動を示すことができる装置を含み得る。いくつかのオリゴマーマシンおよび/または分子マシンは、立体配座双安定性を示し、これらのマシンは、特定の条件下で、1つ以上の刺激を加えると、少なくとも2つの立体配座の間で変化すること可能であり得る。いくつかのオリゴマーマシンならびに/または分子マシンは、オリゴマーモジュール、屈曲および/もしくはヒンジ領域、ならびに拡張部などの、様々な構成要素を含み得る。
【0013】
オリゴマーマシンは、立体配座双安定性を示すように構成され得、制御可能なかつ/または再現性のある立体配座の変化を示すように選択および連結されるオリゴマーモジュールを含み得る。立体配座双安定性は、少なくとも2つの区別可能な立体配座状態の存在によって特徴づけられ得、そのような状態間の自発的なまたは再現性のある転移は、制御可能であり得る。立体配座状態の非限定的な例としては、分子、オリゴマー、および/またはポリマー材料の空間的形状または配置が挙げられる。例えば、オリゴマー鎖は、伸長形状を有し得るか、または屈曲形状に折り畳まれ得る。双安定性は、少なくとも2つの立体配座状態が、所望のプロセスまたは用途にとって十分に安定または準安定であることを暗示する。例えば、伸長状態および屈曲状態を有するオリゴマー鎖は、例えば、オリゴマー鎖を、臨界温度範囲の温度または/および臨界力範囲の負荷力に曝すことによって、伸長状態と屈曲状態との間を往復して繰り返し転移し得る。立体配座双安定性を示すオリゴマーマシンは、ナノ機械動作に利用され得る。ナノメカニクスは、例えば、ナノメートルスケールの分子、オリゴマー、および/またはポリマー構造体などの、材料構造体によって行われる運動を指す。そのような構造体の原子の揺らぎは、典型的には、構造体のサイズおよびその運動よりはるかに小さい。現在、装置および機械の工業的小型化は、トップダウン設計に基づいて行われる。現在、数十ナノメートルのスケールは、工業的に達成可能である。同時に、トップダウン設計によって約10nmのサイズに取り組むために、「巨視的な」装置を使用する精密な操作のコストは急激に増加し、典型的なバッチ生産では高価になり過ぎることが明らかになっている。あるいは、数ナノメートルのサイズの物体による操作は、およそ同じサイズの「分子マシン」を利用すべきである。ナノメカニクスは、剛直なナノスケールの材料を使用して、ナノメートルスケールで機械のような運動を可能にする。機械のような運動は、「固体」ユニットの運動、すなわち剛直構造体の運動を暗示し得、原子の揺らぎは、構造体の特性サイズおよびそれらの運動のスケールよりはるかに小さい。室温での原子の揺らぎは、1オングストロームのオーダーであるため、機能ユニットの最小サイズは、一般に、1ナノメートルより大幅に小さいことはない。
【0014】
確率共鳴は、自発的に振動する双安定系に周期的刺激を加えることによって実現され得る特定の動的モードである。自発的振動は、双安定系に特有であり得る特定の動的モードである。双安定性は、臨界挙動を有する非線形力学系によって実現され得る。臨界温度または臨界力は、定常状態動力学の新しい(第2の)分岐が出現し、系が双安定になる臨界点に関係する。
【0015】
図1は、開いた(100)および閉じた(101)立体配座状態の間の温度制御転移を有する、長さ20単位のポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(オリゴNIPAm-20)の2つの区別可能な立体配座状態を含む例示的実施形態を示す。
図2は、290Kでの、例示的オリゴNIPAm-20の開いた状態(200)と閉じた状態(201)との間の温度制御転移を示す。
図3は、オリゴNIPMAm-30(要素303)を含む例示的実施形態における立体配座転移の制御を示し、圧縮力(304)が、一方の端部(302)が固定されているオリゴNIPMAm-30の端部に加えられる。臨界力は、オリゴマーマシンの双安定性についての臨界温度に関連し得る。この例示的実施形態では、400pN(ピコニュートン)付近の圧縮下で、オリゴマーマシンは双安定になり、すなわち、閉じた立体配座(306)を有する定常状態の新しい分岐が出現し、系は、開いた立体配座状態(305)との間で自発的に振動することができ(301)、不安定になり、オリゴマーは、閉じた立体配座状態(306)に急激に転移する。
【0016】
いくつかの実施形態では、機械的特性は、オイラーアーチまたはゼーマンカタストロフマシンなどの、古典的な非線形機械系の作用と同様であり得る。カタストロフマシンは、「カタストロフ」を実証する力学を有する機械装置である。
図4は、「カタストロフィックな」挙動を有する最も単純な機械構成の1つであり、弾性ヒンジ(404)によって連結された2つの剛体棒(403および405)からなる、オイラーアーチを示す。「カタストロフ」を実証するために、オイラーアーチの一方のエッジは固定され(402)、他方のエッジは外力によって圧縮される。圧縮力が臨界値に達すると、オイラーアーチは突然屈曲する。圧縮力が増加すると、オイラーアーチは、伸長状態から屈曲状態へのジャンプのような転移を有する双安定性を示す(400および401は、2つの異なる屈曲状態を示す)。小さい圧縮力では、オイラーアーチは伸長したままであるが、圧縮力が臨界値を過ぎるとすぐに、オイラーアーチは突然屈曲する。力学系の理論では、そのような急激な変化は、「カタストロフ」として知られている。したがって、オイラーアーチは、「カタストロフマシン」と呼ばれる。同じカタストロフが、屈曲したアーチに引っ張り力を加えることによって実証され得る。オイラーアーチの双安定性は、
図5に示すようなカスプカタストロフモデルの分岐図によって記述される。
図5の領域IおよびVでは、ポテンシャルエネルギーは、それぞれ屈曲したおよび真っすぐ伸びたオイラーアーチに関連する単一の極小を有する。領域IIおよびIVでは、2つのエネルギー極小が存在し、それらの一方が支配的であるが、領域IIIでは、2つのエネルギー極小は対称であり、2つの状態のどちらも支配的ではない。領域IIIは、ランダム摂動を受けるアーチが2つの屈曲状態間で自発的に振動し得る双安定領域である。自発的振動は、弱い調和力を加えることによって、確率共鳴と呼ばれる2つの状態間の規則的なジャンプに変換され得る。いくつかの例示的実施形態は、双安定性、自発的振動、および確率共鳴とともに、「カタストロフィックな」機械的挙動を示すように構成されたナノスケールのオリゴマーマシンを含む。カタストロフマシンとして機能する好ましい実施形態のナノ機械装置は、屈曲またはヒンジ部位によって連結された2つの持続Kuhnセグメントからなるオリゴマーマシンであり得る。そのような実施形態は、驚くべきことに、数ナノメートルのサイズのオリゴマーマシンの動的挙動を実証する。これは、コンピューターシミュレーション法によって研究された引っ張り力の作用を受ける2つの例示的オリゴマーマシン(オリゴNIPAm-20、オリゴNIPMAm-30)によって実証され得る。GROMACS分子動力学パッケージを使用して、屈曲状態から伸長状態への転移の臨界温度未満および臨界温度超の温度の水中のオリゴマーマシンの動力学の原子論的シミュレーションを行った。TIP3P明示的水モデルと組み合わせたOPLS-AA力場を使用して、分子間および分子内相互作用を記述する。そのような例示的実施形態では、一定温度において屈曲した(折り畳まれた)立体配座(600)にあるオリゴマーマシンは、鎖の一方のエッジ(603)に加えられた力を受け、鎖の他方のエッジは固定されており(602)、このことは、真っすぐ伸びた(広がった)立体配座(601)への転移を引き起こす。この構成は、
図6に示される。屈曲状態から真っすぐ伸びた状態への転移を開始する引っ張り力Fを変動させることにより、閾値力は、NIPMAm-30オリゴマーでは約400pNであり、オリゴNIPAm-20オリゴマーでは約120pNであることがわかる。
図7に、NIPMAm-30オリゴマーの末端間距離の時系列が示される。曲線(701)は、閾値未満の引っ張り力に対応し、曲線(702)は、臨界力領域に対応し、曲線(703)は、閾値より大きい引っ張り力に対応する。閾値未満の引っ張り力は、屈曲立体配座から伸長立体配座への転移を刺激しない。閾値より十分に大きい力は、かなり短い時間での屈曲立体配座から伸長立体配座へのジャンプのような転移を刺激する。臨界領域の引っ張り力は、屈曲立体配座と伸長立体配座との間の自発的振動を刺激する。組成物の動力学は、外力が閾値を過ぎる時に立体配座双安定性を示す。
図8は、いくつかの例示的実施形態の立体配座双安定性を実証する。
図8では、曲線(802)は、325pNの力に対応し、曲線(803)は、350pNの力に対応し、曲線(804)は、375pNの力に対応し、曲線(805)は、400pNの力に対応し、曲線(806)は、425pNの力に対応する。閾値力付近のこれらの例示的系では、オリゴNIPMAm-30およびオリゴNIPAm-20は、屈曲状態および伸長状態を交互に訪れる。パネル(800)は、臨界力領域における自発的振動を示す。自発的振動を有する立体配座双安定性は、オリゴNIPMAm-30での約390pNおよびオリゴNIPAm-20での約120pNからの20pN以下の小さいずれで実証される。より大きいずれでは、オリゴマーマシンは、それぞれ屈曲または伸長状態である、うまく規定された状態を有する。したがって、双安定性は、動力学の例示的実施形態によって実証され得る。この意味で、オリゴNIPMAm-30およびオリゴNIPAm-20は、「カタストロフィックな」ナノ機械力学を示すように構成され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、閾値付近での制御パラメータの周期変動が、確率共鳴を刺激するさらなる弱い振動力を加えることによって、確率共鳴領域において、全原子コンピューターシミュレーションを使用して実証され得る。閾値Fc=400pN付近での引っ張り力の周期変動は、オリゴマーの可動端に素電荷を設定し、0.01~1.00V/nmの範囲の振幅E
0および50~500MHzまで変動する周波数を有する弱い振動電場を印加することによって実現された。確率共鳴は、これらの制御パラメータの変動の下で明確に観察された。例示的実施形態が
図9に示され、弱い振動力によって制御されたNIPMAm-30オリゴマーの確率共鳴が示されている。プロット(900)および(901)は、オリゴマーに振動力を加えていない場合の、2つの状態間の自発的振動および転移の周波数スペクトルを示す。プロット(902)および(903)は、弱い振動力がオリゴマーの振動を制御する場合の、確率共鳴効果および転移の周波数スペクトルを示す。いくつかの実施形態では、ナノメートルスケールは、熱揺らぎを用いて自発的振動領域を有する双安定性に直接アクセスすることを可能にする。いくつかの実施形態では、ナノ機械装置、ナノ振動子の新しいクラスが、双安定オリゴマーマシンの熱活性化振動の予期しない効果を使用して構築され得る。
図10は、この原理の図示であり、(1000)は、屈曲状態(1001)と伸長状態(1002)との間で振動する双安定系のエネルギープロファイルを示す。
図10の要素(1003)、(1004)、(1005)、(1006)、(1007)、(1008)、および(1009)は、伸長立体配座、固定エッジ、剛体要素、屈曲またはヒンジ領域、剛体要素、加えられる力、および振動作用をそれぞれ示す。好ましいナノ機械実施形態は、屈曲またはヒンジ部位によって連結された長さ約1ナノメートルの2つの持続Kuhnセグメントからなる、オリゴNIPMA-30またはオリゴNIPAm-20組成物であり得る。引っ張り力の作用を受けるオリゴマーマシンの動力学が、コンピューターシミュレーション法によって研究された。GROMACS分子動力学パッケージを使用して、臨界温度超の水中のオリゴマーマシンの原子論的シミュレーションを行った。TIP3P明示的水モデルと組み合わせたOPLS-AA力場を使用して、分子間および分子内相互作用を記述する。オリゴマーマシンの動力学は、鎖の末端間距離の時間依存性によって特徴づけられる。オリゴマーマシンの熱的に誘起される自発的振動は、閾値付近の引っ張り力の微調整制御によって確立される。
図11は、例示的実施形態を示し、臨界引っ張り力Fc=400pN付近の、振動領域におけるオリゴNIPMAm-30オリゴマーの末端間距離の時間依存性を示す。例示的実施形態オリゴNIPMAm-30およびNIPAm-20の引っ張り力の閾値付近では、オリゴマーは、開いた状態および閉じた状態の両方を交互に訪れる。これらの状態間の振動は、オリゴNIPMAm-30での400pNおよびNIPAm-20オリゴマーでの120pNからの20pN以下の引っ張り力のかなり小さいずれで生じる。
図12は、双安定ポテンシャルが大きく非対称であり、オリゴマーマシンが2つの状態の一方に取り残され、振動が生じない場合などの、より大きいずれのためのこれらの例示的実施形態について実証する。
図12は、それぞれ臨界引っ張り力の近く(1200)および遠く(1201)での例示的オリゴNIPMAm-20実施形態の、最大値で正規化された、屈曲および伸長状態の訪れの統計を示す。曲線(1202)、(1203)、(1204)、(1205)、(1206)、および(1207)は、280pN、300pN、320pN、230pN、250pN、および280pNの力にそれぞれ対応する。いくつかの例示的実施形態では、非共有結合性相互作用が、この双安定振動挙動を調節するのに使用され得る。
図13は、オリゴNIPMAm-30の鎖に沿った、オリゴNIPMAm-30と周囲の水との間の水素結合が振動を調節する、例示的実施形態を示す。驚くべきことに、これらの例示的実施形態では、NIPMAm-30鎖のエッジ部の周囲の水素結合の数と振動との間の相関は観察されない。
図13は、NIPMAm-30オリゴマーの例示的実施形態を示し、上の曲線(1300および1302)にヒンジ部位の周囲の水素結合の数の時間依存性を示し、下の曲線(1301および1303)に鎖の末端間距離の時間依存性を示し、左パネル(1300および1301)はFc=400pNの引っ張り力、右パネル(1302および1303)はF=500pNの引っ張り力に対するものである。そのような実施形態は、NIPMAm-30オリゴマーのヒンジ部位の周囲の水素結合が、オリゴマーマシンの機械のような振動において支配的な役割を果たすことを示す。この実施形態では、オリゴマーマシンは、平均で約5ナノ秒の時間間隔で2つの状態を交互に訪れ、これは、約10k
BTの活性化障壁を飛び越えるのに相当し、振動は、ヒンジ部位領域中のおよそ1つの水素結合の転換によって調節される。熱的に誘起される自発的振動は、分子マシンおよび/またはオリゴマーマシンのいくつかの実施形態の重要な特徴を明らかにする。そのような実施形態の機械のような運動は、熱揺らぎと明確に区別されるが、同時に、機械作用は、低ポテンシャルの熱エネルギーによっても活性化され得る。
【0018】
エネルギーハーベスティングのためのオリゴマーマシンのさらなる実施形態
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、第1の端部および第2の端部を有する第1のオリゴマーモジュールと、第1の端部および第2の端部を有する第2のオリゴマーモジュールとを含み、第1のオリゴマーモジュールの第1の端部は、第2のオリゴマーモジュールの第1の端部に連結され、オリゴマーマシンは、温度が臨界温度範囲にある時の温度で、溶液中で動的双安定性、自発的振動、および/または確率共鳴を示し、オリゴマーマシンは、温度が臨界温度範囲にない場合、溶液中で確率共鳴を示さず、オリゴマーマシンは、温度は臨界温度範囲にないが負荷力が臨界力範囲にある場合、オリゴマーマシンに加えられる負荷力下で、溶液中で動的双安定性、自発的振動、および/または確率共鳴を示し、オリゴマーマシンは、負荷力および温度の両方が臨界範囲にない場合、溶液中で動的双安定性、自発的振動、および/または確率共鳴を示さない。
【0019】
動的双安定性、自発的振動、および/または確率共鳴は、第1の立体配座と第2の立体配座との間で自発的または規則的に繰り返し揺らぐオリゴマーマシンによって特徴づけられる。オリゴマーマシンの立体配座は、第1および第2のオリゴマーモジュールのそれぞれの第2の端部の相対的な配向および変位によって特徴づけられ得る。双安定系がランダムな衝撃によって乱される場合、およびこれらの摂動が双安定性障壁に対して十分に強い場合、系は、2つのエネルギー極小間をジャンプして自発的振動を行うことになる。確率共鳴は、双安定系に加えられる弱い振動力による自発的振動の規則化である。すなわち、自発的振動領域において系に弱い振動力を加えることによって、自発的振動に特有の2つの状態間のランダムなジャンプは、確率共鳴に特有のより規則的なジャンプに変換され得る。
【0020】
オリゴマーモジュールは、数個および/または多くの繰り返しモノマー残基を含むオリゴマーである。オリゴマーは、1種類または多くの種類のモノマー残基を含み得る。例えば、オリゴマーは、1種類、2種類、3種類、またはそれ以上の種類のモノマー残基を含み得る。モノマーの種類は、オリゴマーマシンが、臨界温度または/およびオリゴマーマシンに加えられる臨界負荷力下において溶液中で自発的振動および確率共鳴を示す限り、特に限定されない場合がある。例えば、モノマー残基は、任意選択で置換されたアクリルアミド残基、任意選択で置換された(メタ)アクリルアミド残基、任意選択で置換された(メタ)アクリル酸残基、任意選択で置換されたアジリジン残基、任意選択で置換されたエポキシ残基、アルコキシ置換エタン残基、またはそれらの組み合わせを含み得る。一般に、「置換された」という用語は、C1~C8アルキル基などの特定の置換基のラジカルによる、所与の構造中の水素ラジカルの置き換えを指す。好ましい実施形態では、モノマー残基は、N-エチルアクリルアミド残基、2-(イソプロピルカルバモイル)アクリル酸残基、1-(アジリジン-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オン残基、メトキシエテン残基、および2-メチルオキシラン残基、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0021】
オリゴマーは、様々な方法によって合成され得る。オリゴマーの合成は特に限定されず、いくつかの例示的技術としては、反復合成、逐次合成、重合反応、リビング重合、リビングラジカル重合、原子移動ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合、開環重合、メタセシス反応、および/または固体担持合成が挙げられる。オリゴマーは、一段反応または多段反応で合成され得る。例えば、分子量、官能性、立体規則性、立体化学、および/または位置化学によってオリゴマーを分画および/または分離するために、精製技術が使用され得る。オリゴマーは、2つ以上のモノマー種を含有し得、ブロックコオリゴマー、分岐オリゴマー、ランダムコオリゴマー、および/またはグラジエントオリゴマーなどの様々なアーキテクチャを有し得る。オリゴマーは、例えば、クリックケミストリー、アゾ-アルキン化学、チオール-エン化学、エポキシ化学、Diels-Alder反応、鎖末端置換などの様々な手段を通してともに結合され得、かつ/または一段および/もしくは多段反応ステップでともに合成され得る。オリゴマーはテレケリックであり得る。立体規則性は、例えば、触媒選択、溶媒選択、反応温度、配位子選択、および/または重合反応選択などの様々な手段を通して制御され得る。オリゴマーの分子量は、反応温度、モノマー濃度、開始剤濃度、阻害剤濃度、反応持続時間、合成後の分離を制御することによって制御され得、かつ/または反応はクエンチされ得る。
【0022】
オリゴマーおよび/またはオリゴマーマシンは、例えば、クリックケミストリー、アゾ-アルキン化学、チオール-エン化学、エポキシ化学、Diels-Alder反応、シラン化学などの様々な手段を通して表面および/もしくは固体担体に結合され得、かつ/または一段および/もしくは多段反応ステップで表面および/もしくは固体担体上で合成され得る。オリゴマーマシンは、オリゴマーマシンの一端を表面上に固定し、他方の端部を圧縮または引っ張り力下で動くようにしておくことによって、好適な有機または金属表面上に固定化され得る。オリゴマーマシンは、一方の端部と関連する正味の正電荷または正味の負電荷などの電荷を有し得、オリゴマーマシンの第2の端部は、例えば有機または金属表面などの好適な表面上に固定化され得る。電場は、オリゴマーマシンに負荷力を加えるようにオリゴマーマシンに印加され得る。電場は、時間によらず一定であり得るか、または時間とともに変化し得る。電場は、強度および周波数を有し、周期的であり得る。電場は、オリゴマーマシンの長軸に沿って配向され得る。いくつかの実施形態では、正味の負電荷が、1つ以上のカルボン酸基を使用してオリゴマーマシンの一方の端部に関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、正味の正電荷が、アミン基を使用してオリゴマーマシンの一方の端部に関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、例えば、チオール基、シラン基、またはナイトレン化学を使用して、表面上に固定化され得る。いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、表面に取り付けられた開始剤基から合成され得る。
【0023】
いくつかの例示的実施形態としては、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAm)および/またはN-イソプロピルメタクリルアミド(NIPMAm)を含むオリゴマーが挙げられる。いくつかの例示的実施形態としては、N-イソプロピルアクリルアミドおよび/またはN-イソプロピルメタクリルアミドのブロックコオリゴマーが挙げられる。いくつかの例示的実施形態としては、1つ以上のイソタクチック、アタクチック、またはシンジオタクチックブロックを有する、N-イソプロピルアクリルアミドおよび/またはN-イソプロピルメタクリルアミドのブロックコオリゴマーが挙げられる。いくつかのオリゴマーは、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、および/または少なくとも30個のモノマー単位を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のオリゴマーモジュールは、10~30個の繰り返し単位を各々含む。いくつかのオリゴマーは、少なくとも0.5nm、少なくとも1nm、および/または少なくとも2nmの持続長を有する。いくつかのオリゴマーは、少なくとも0.5nm、少なくとも1nm、少なくとも2nm、少なくとも5nm、および/または少なくとも10nmの長さであり得る。いくつかの実施形態では、第1および第2のオリゴマーモジュールは、0.5nm~20nmの持続長を各々有する。いくつかの実施形態では、第1のオリゴマーモジュールの第1の端部は、第1および第2のオリゴマーモジュールの両方の持続長未満の持続長を有するリンカーユニットを通して、第2のオリゴマーモジュールの第1の端部に連結される。
【0024】
いくつかのオリゴマーは、下限臨界溶液温度(LCST)を有し得る。いくつかのオリゴマーは、上限臨界溶液温度(UCST)を有し得る。バルクのポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAm)は、LCSTを示す。オリゴマーのLCSTは、同じモノマー単位から作られたより長いポリマーのLCSTとは異なり得る。オリゴマーのLCSTは、オリゴマーの組成を変化させることによって変化し得る。オリゴマーのLCSTは、オリゴマー中のコモノマーの比率を調整することによって変化し得る。いくつかのオリゴマーは、多分散であり得る。いくつかのオリゴマーは、単分散であり得る。いくつかのオリゴマーは、著しい多分散性を有しない場合がある。いくつかの例示的実施形態は、20~30単位のPNIPAmおよび同じ長さのPNIPMAm(ポリ-N-イソプロピルメタクリルアミド)のオリゴマーフラグメントを含み得る。いくつかの実施形態は、5~15単位の中央PNIPAmフラグメント、および5~20単位の2つの末端PNMIPAmフラグメントを有するブロックコオリゴマー組成物を含む。そのような例示的実施形態は、1つはオリゴマーフラグメントの広がった伸長形態に対応する一方で、他方は折り畳まれた屈曲形態を有する、2つのはっきりと識別できる立体配座状態を示すように構成され得る。これらの例示的実施形態におけるこれらの立体配座状態間の転移は、フラグメント部分の機械のようなナノスケールの運動を実装する。
【0025】
オリゴマーモジュールは、ともに連結され得る。オリゴマーモジュールは、オリゴマーモジュールの合成中にともに連結され得る。オリゴマーモジュールは、後続の反応でともに連結され得る。オリゴマーモジュールは、屈曲および/またはヒンジ領域でともに連結され得る。屈曲および/またはヒンジ領域は、オリゴマー構造に固有であり得る。屈曲および/またはヒンジ領域は、さらなる分子および/またはオリゴマー構造を含み得る。屈曲および/またはヒンジ領域は、例えば、クリック反応、鎖末端修飾反応、チオール-エン反応、アゾ-アルキン反応、Diels-Alder反応、エポキシ反応、エステル化反応、および/または環化付加反応などの連結反応の残留物を含み得る。屈曲および/またはヒンジ領域は、可撓性であり得る。屈曲および/またはヒンジ領域は、例えば、アクリルアミド残基、メタクリルアミド残基、エーテル結合、エチレンオキシドユニット、ペプチド、および/またはペプトイドを含み得る。いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間のコジョインダーの位置に、少なくとも1つの屈曲またはヒンジ部位を含み、屈曲またはヒンジ部位は、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間の相対的な曲がりを可能にする。
【0026】
オリゴマーマシンは、溶液が臨界温度範囲にある場合、溶液中で確率共鳴および/または自発的振動を示すように構成され得、オリゴマーマシンは、溶液が臨界温度範囲にない場合、溶液中で確率共鳴および/または自発的振動を示さない。オリゴマーマシンは、溶液が臨界温度範囲にある場合、溶液中で確率共鳴を示すように選択および連結されたオリゴマーモジュールを含み得、オリゴマーマシンは、溶液が臨界温度にない場合、溶液中で確率共鳴を示さない。オリゴマーマシンは、溶液が臨界温度範囲にある場合、溶液中で確率共鳴および/または自発的振動を示すように選択および連結されたオリゴマーモジュールを含み得、オリゴマーマシンは、溶液が臨界温度にない場合、溶液中で確率共鳴および/または自発的振動を示さない。
【0027】
オリゴマーマシンは、負荷力が臨界力範囲にある場合、オリゴマーマシンに加えられる負荷力下で、溶液中で確率共鳴および/または自発的振動を示すように構成され得、オリゴマーマシンは、負荷力が臨界力範囲にない場合、溶液中で確率共鳴および/または自発的振動を示さない。オリゴマーマシンは、負荷力が臨界力範囲にある場合、オリゴマーマシンに加えられる負荷力下で、溶液中で確率共鳴および/または自発的振動を示すように選択および連結されたオリゴマーモジュールを含み得、オリゴマーマシンは、溶液が、臨界力範囲にない負荷力である場合、溶液中で確率共鳴および/または自発的振動を示さない。
【0028】
臨界温度は、オリゴマーマシンが確率共鳴および/または自発的振動を示す温度であり、臨界温度範囲は、オリゴマーマシンが確率共鳴および/または自発的振動を示す、臨界温度を含む温度の範囲である。臨界温度範囲は、250K~400K、275K~375K、および/または300K~350Kによって与えられる温度範囲内であり得る。臨界温度範囲は、-25℃~100℃、0℃~100℃、および/または25℃~100℃によって与えられる温度範囲内であり得る。臨界温度範囲は、25℃~45℃によって与えられる温度範囲内であり得る。臨界温度範囲は、溶液の組成を変化させることによって増加または減少され得る。例えば、臨界温度範囲は、イオン強度、pH、ならびに/または溶液中の溶媒および/もしくは共溶媒の重量パーセントを変化させることによって増加または減少され得る。
【0029】
臨界負荷力は、オリゴマーマシンが確率共鳴および/または自発的振動を示す負荷力であり、臨界力範囲は、オリゴマーマシンが確率共鳴および/または自発的振動を示す、臨界負荷力を含む負荷力の範囲である。臨界力範囲は、25pN(ピコニュートン)~200pN、100pN~350pN、および/または300pN~450pNによって与えられる力範囲内であり得る。臨界力範囲は、370pN~400pNによって与えられる力範囲内であり得る。臨界力範囲は、溶液の組成を変化させることによって増加または減少され得る。例えば、臨界力範囲は、イオン強度、pH、ならびに/または溶液中の溶媒および/もしくは共溶媒の重量パーセントを変化させることによって増加または減少され得る。
【0030】
溶液は、水溶液であり得る。水溶液は、例えば、塩化ナトリウムなどのハロゲン化物塩、またはリン酸ナトリウムなどのリン酸塩などの、1つ以上の塩を含み得る。水溶液は、例えば、リン酸緩衝食塩水、トリス緩衝液、酢酸緩衝液、HEPES緩衝液、グッド緩衝液などの、1つ以上の緩衝液を含み得る。水溶液は、体液であり得る。水溶液は、ヒト対象などの対象に由来する体液であり得る。水溶液は、血液試料であり得る。水溶液は、唾液試料であり得る。
【0031】
立体配座双安定性を示すことができるオリゴマーマシンは、発電要素を含み得、発電要素を作動させるように構成され得る。発電要素は、例えば、圧電素子、ナノ粒子、ナノ層、および/またはナノチューブであり得る。オリゴマーマシンは、オリゴマーマシンが第1の立体配座から第2の立体配座に転移する時に、オリゴマーマシンが、例えば圧電素子などの発電要素に応力を加えるように構成され得る。応力としては、圧縮力、張力、または剪断力が挙げられ得る。オリゴマーマシンは、様々な方法で発電要素に応力を加えるように構成され得る。オリゴマーマシンは、オリゴマーマシンが第1の立体配座から第2の立体配座に転移する時に、圧電素子に圧縮応力を加え、したがって電圧を発生させるように構成され得る。発電要素は、オリゴマーマシンに共有結合的または非共有結合的に取り付けられ得る。発電要素は、屈曲および/またはヒンジ部位でオリゴマーマシンに共有結合的または非共有結合的に取り付けられ得る。発電要素は、オリゴマーマシンが開いた立体配座から閉じたまたは折り畳まれた立体配座に転移する時に、オリゴマーマシンが発電要素に応力を加えるように、屈曲および/またはヒンジ部位でオリゴマーマシンに共有結合的または非共有結合的に取り付けられ得る。
【0032】
立体配座双安定性を示すことができるオリゴマーマシンは、光吸収要素を含み得、光エネルギーの吸収時に立体配座を変化させるように構成され得る。光吸収要素としては、例えば、1つ以上の色素分子、共役分子、芳香族分子、半導体オリゴマーおよび/もしくはポリマー、量子ドット、ナノ粒子、スチルベン部分、アゾベンゼン部分、ならびに/またはシス-トランス異性化のために構成された結合が挙げられ得る。立体配座双安定性を示すことができるオリゴマーマシンは、1つ以上の屈曲および/またはヒンジ領域に光吸収要素を含み得る。立体配座双安定性を示すことができるオリゴマーマシンは、光吸収時に、シス-トランス異性化のために構成された結合が異性化し、したがってオリゴマーマシンの立体配座の変化を引き起こすように、1つ以上の屈曲および/またはヒンジ領域にシス-トランス異性化のために構成された結合を含み得る。シス-トランス異性化結合のために構成された結合は、例えば、シス-トランス異性化のために構成された結合を含む二官能性開始剤からの重合反応によって、オリゴマーマシンに組み込まれ得る。
【0033】
オリゴマーマシンは、ピストン型要素を含み得る。ピストン型要素は、ナノチューブおよび/または10nm超の持続長を有する分子構造などの剛直な分子構造であり得る。オリゴマーマシンは、一方の端部で表面に、第2の端部で剛直な分子構造に取り付けられ得る。オリゴマーマシンは、立体配座の変化が剛直な分子構造の機械的作動をもたらすように構成され得る。オリゴマーマシンは、例えば、チオール化学、シラン化学、および/またはナイトレン化学を使用して、表面に取り付けられ得る。オリゴマーマシンは、固体担体上で合成され得る。オリゴマーマシンは、例えば、チオール化学、クリックケミストリー、および/またはナイトレン化学を使用して、剛直な分子構造に取り付けられ得る。オリゴマーマシンは、剛直な分子構造上で合成され得る。オリゴマーマシンは、固体担体上で合成され得かつ/または固体担体に取り付けられ得、剛直な分子構造に結合するように構成された末端官能基化を含み得る。剛直な分子構造は、末端官能基化オリゴマーマシンと結合および/または反応するように構成され得る。いくつかの実施形態では、立体配座双安定性の特性を有する数ナノメートルのサイズのオリゴマー組成物が、オリゴマーマシンのパワーユニットとして使用され得る。パワーユニットとして機能する双安定オリゴマー組成物を有するピストンエンジン型のナノ機械装置が、
図14Aに示され、図中、(1400)は、表面への例示的な取り付け点を示し、(1401)は、例示的なオリゴマーマシン構成要素を示し、(1402)は、例示的なピストン型要素を示し、(1403)は、例示的な作動サイクルを示し、(1404)は、例示的な回転半径対時間を示す。そのような実施形態は、3つの構築要素から構築される複合組成物を含み得る。2つの要素は、シリンダー内のピストンのように一方が他方に同軸上に挿入された2つのナノチューブであり得る。内側のナノチューブは、移動可能であり、ピストンとして機能する一方で、外側のナノチューブは、静止し、シリンダーとして機能する。ナノ機械装置の第3の機能要素は、双安定オリゴマーを含み得、その一方の端部は固定されているが、他方の端部は、ピストン-ナノチューブ構造の内側のナノチューブに接続されている。
【0034】
オリゴマーマシンは、一端が固定され、一端が減衰され得る。減衰基は、オリゴマーマシンの運動を減衰させる基である。減衰基は、ピストン型要素であってもよく、またはピストン型要素でなくてもよい。
図14Bは、一端が固定され、一端が減衰基で減衰されるオリゴPNIPMAm-30オリゴマーマシンを含む例示的実施形態を示す。減衰される基の原子の減衰係数は、10psec-1である。他の全原子の減衰係数は、0.5psec-1である。自発的振動領域の圧縮力は、393pNである。
図14Cは、オリゴPNIPMAm-30を含む例示的系の自発的振動を示す。
図14Dは、減衰基によってオリゴPNIPMAm-30を含む例示的系から抽出されるエネルギーを示す。
図14Eは、外部調和振動場V=0.2V/nm、周波数=100MHzにおける、オリゴPNIPMAm-30を含む例示的系の確率共鳴を示す。
図14Fは、減衰基によってオリゴPNIPMAm-30を含む例示的系から抽出されるエネルギーを示す。
図14Gは、外部調和振動場によってオリゴPNIPMAm-30を含む例示的系に送り込まれるエネルギーを示す。
【0035】
オリゴマーマシンの非限定的な例示的実施形態およびその応用
いくつかの実施形態では、およそ2つの連結Kuhnセグメントの長さであるPNIPAmオリゴマーは、溶質の温度がLCSTを過ぎると可逆的な立体配座の変化を受け得、したがって、再現可能な方法でKuhnセグメントの相互配向を変化させる。これは、一連の計算実験を使用して実証され得る。全原子GROMACS分子動力学パッケージを使用して、LCST未満およびLCST超の温度の水溶液中のNIPAmオリゴマーの原子論的シミュレーションを行った。TIP3P明示的水モデルと組み合わせたOPLS-AA力場を使用して、分子間および分子内相互作用を記述する。鎖の立体配座は、その回転半径および/または鎖末端間の距離によって特徴づけられる。例示的実施形態では、オリゴマーは、イソタクチックに接続された20個のNIPAmモノマー単位を含み得る(オリゴNIPAm-20と名付ける)。
図15は、オリゴNIPAm-20iの例示的実施形態を示し、図中、鎖は、280Kの温度で広がっており、平均回転半径は1.20nmであり(1500および1501)、320Kの温度で平均回転半径0.90nmの状態に折り畳まれる(1502および1503)。
【0036】
いくつかの実施形態について、シンジオタクチックに接続された25~30個のモノマー単位が最適であり、これは、見たところおよそ2つの持続Kuhnセグメントに対応する。例えば、シンジオタクチックに接続された15個のNIPAmモノマーからなるオリゴマー(オリゴNIPAm-15sと名付ける)は、温度変化に応答して立体配座双安定性を示さず、280Kで0.97nmの回転半径、および320Kで0.98nmの回転半径を有する。
【0037】
ポリ-(N-イソプロピル)-メタクリルアミド(PNIPMAm)も、約315K(42℃/108°F)でLCSTを有する温度感受性ポリマーである。いくつかの実施形態では、およそ2つの連結持続Kuhnセグメントの長さであるPNIPMAmオリゴマーは、溶質の温度が転移点を過ぎると、広がった状態から折り畳まれた状態への立体配座の変化を受けるように構成され得る。GROMACS分子動力学パッケージを使用して、LCST未満およびLCST超の温度の水中の単一のPNIPMAmオリゴマーの全原子論的シミュレーションを行った。TIP3P明示的水モデルと組み合わせたOPLS-AA力場を使用して、分子間および分子内相互作用を記述する。いくつかのオリゴマーの臨界温度は、バルクポリマーのLCSTより低い。いくつかの実施形態では、305K~310Kであると予想される。
図16および
図17は、シンジオタクチックに接続された30個のNIPMAmモノマーを含む例示的オリゴマー実施形態(オリゴNIPMAm-30sと名付ける)を示し、290Kの温度で1.35nmの平均回転半径を有する広がった鎖を実証し(1601)、これは310Kの温度で折り畳まれ、1.15nmの平均回転半径を有する(1602)。
図17は、ワーム状の広がった形状(1700)からV字形のヘアピン状の折り畳まれた構造(1700)への、例示的オリゴマーの立体配座の変化を示す。
【0038】
例示的実施形態では、
図18は、イソタクチックに接続された30個のNIPMAmモノマーを含むオリゴマー(オリゴNIPMAm-30iと名付ける)を示す。この実施形態では、
図19は、鎖が、290Kの温度で広がっており、1.37nmの平均回転半径を有し(1901)、310Kの温度で折り畳まれ、1nmの平均回転半径を有する(1902)ことを示す。この実施形態では、オリゴマー鎖の立体配座は、伸長したワーム状形状(1800)から折り畳まれたヘアピン状形状(1801)へ変化する。
【0039】
いくつかのオリゴマー構造は、立体配座双安定性を示さないことが実証され得る。例えば、イソタクチックに接続された21個のNIPAmモノマーのブロックおよびシンジオタクチックに接続された19個のNIPAmモノマーのブロックからなるオリゴマー(オリゴNIPAm-21i-19sと名付ける)は、
図20に示されるように、温度感受性の折り畳みを示さない。アタクチックに接続された(オリゴNIPMAm-20aと名付ける)およびシンジオタクチックに接続された(オリゴNIPMAm-20sと名付ける)、20個のモノマーからなるNIPMAmのオリゴマーで行われたシミュレーションでは、両方のオリゴマーは、立体配座双安定性を示さない。LCST未満およびLCST超の温度で、それらは、オリゴNIPMAm-20aでは1nm、およびオリゴNIPMAm-20sでは0.8nmの平均回転半径を有する。オリゴNIPMAm-30aと名付けられ、アタクチックに接続された30個のNIPMAmモノマーからなるオリゴマーは、290Kの温度で1.57nmの平均回転半径を有する伸長した広がった形状を取る一方で、310Kの温度では、平均回転半径1.35nmのわずかにコンパクトなワーム状形状を有する。シミュレーションがまた、オリゴNIPMAm-20aと名付けられ、アタクチックに接続された、およびオリゴNIPMAm-20sと名付けられ、シンジオタクチックに接続された、20個のモノマーからなるNIPMAmのオリゴマーについて行われた。両方のオリゴマーは、立体配座双安定性を示さず、LCST未満およびLCST超の温度で、それらは、オリゴNIPMAm-20aでは1nm、およびオリゴNIPMAm-20sでは0.8nmの平均回転半径を有する。
【0040】
図21に示されたいくつかの例示的実施形態では、オリゴマーは、立体規則性が異なり、イソタクチックに接続された21個のNIPAmモノマーのブロックおよびアタクチックに接続された19個のNIPAmモノマーのブロックを含む、2つの連結された持続ブロックを含み得る(本明細書ではオリゴNIPAm-21i-19aと名付ける)。この構造は、温度変化に応答して立体配座双安定性を示し、LCST未満では、1.37nmの平均回転半径を有する広がった拡張形状を取り(2100)、LCST超では、オリゴマーは、1.1nmの平均回転半径を有する馬蹄状形状に折り畳まれる(2101)。
図22は、この例示的実施形態をさらに示し、折り畳まれた状態(2202)および広がった状態(2201)でのその変形に対する回転半径の小さい揺らぎは、これらの状態がうまく規定されていることを示す。
【0041】
別の例示的実施形態では、シンジオタクチックNIPAmの屈曲またはヒンジ部位によって連結された約10個のイソタクチックNIPAmユニットの2つの剛直フラグメントを含むオリゴマーマシン構成要素が実証される。各々がイソタクチックに接続された12個のNIPAmモノマーである2つのエッジブロックを含む、好ましい3ブロックオリゴマーマシンでは、それらは、シンジオタクチックに接続された4個のNIPAmモノマーで構成される屈曲部位によって連結される。この組成物は、オリゴNIPAm-12i-4s-12iと表される。LCST未満では、オリゴNIPAm-12i-4s-12i組成物は、1.3nmの平均回転半径を有する伸長した棒状構造で主に存在する。LCST超では、この3ブロックオリゴマーマシンは、1.05nmの平均回転半径を有するL字形のレバー状形態に折り畳まれる。
図23は、外部刺激に応答した、伸長形態とL字形のレバー状形態との間の再現性のある可逆的転移を有する、広がったもの(2300)および折り畳まれたもの(2301)の2つのよく分離した立体配座状態を実証する、オリゴNIPAm-12i-4s-12i組成物を示す。
図23では、要素(2803)は、屈曲またはヒンジサブ構成要素を示し、要素(2302)は、剛直サブ構成要素を示す。
【0042】
別の例示的実施形態では、3ブロックオリゴマーマシンは、各々がイソタクチックに接続された15個のNIPAmモノマーである2つのエッジブロックからなり、それらがシンジオタクチックに接続された10個のNIPAmモノマーで構成される屈曲またはヒンジ部位によって連結され、オリゴNIPAm-15i-10s-15iと名付けられる。LCST未満では、組成物は、1.5nmの平均回転半径を有する伸長した棒状構造として存在するが、LCST超では、これは、1.25nmの平均回転半径を有するV字形のヘアピン状形態に折り畳まれる。
図24は、オリゴNIPAm-15i-10s-15iの3ブロックオリゴマーマシンの広がった形状および折り畳まれた形状を示す。オリゴNIPAm-15i-10s-15i組成物はまた、外部刺激に応答した、棒状伸長形態とV字形のヘアピン状形態との間の再現性のある可逆的転移を有する、広がったものおよび折り畳まれたものの2つのよく分離した立体配座状態を実証する。3つのオリゴNIPAm組成物、12s-8i-12s、9i-6s-9i、および12i-6s-12iの全原子コンピューターシミュレーションの結果を、
図25に示す。ブロックの規則性の変化(すなわち、12i-8s-12iから12s-8i-12sへの切り替わり)は、双安定性の欠如をもたらし、系は、290Kおよび320Kで、平均回転半径が1.25nmである同じ立体配座状態を有する。(9i-6s-9iオリゴマー中の)比較的短いイソタクチックブロックは、鎖に沿って水素結合を形成する確率がより低く、これは持続長を急激に減少させるため、剛直性が低いように思われる。結果として、オリゴマーマシンは、290Kおよび320Kの両方で折り畳まれ、1nmの平均回転半径を有する。12i-6s-12iと名付けられたオリゴマーマシンは、LCST未満およびLCST超の温度で異なる立体配座状態を示し、折り畳まれた状態は、強く揺らぐ。いくつかの例示的実施形態では、3ブロック組成物の他の選択は、2つの立体配座状態を有し得るが、鎖が外部刺激に応答して折り畳まれた時、鎖の剛直エッジの相互配向の変化における制御性の低下を示し得る。そのような例示的実施形態は、各々がイソタクチックに接続された12個のNIPAmモノマーである2つのエッジブロックからなり、それらがシンジオタクチックに接続された8個のNIPAmモノマーで構成される屈曲部位によって連結される、3ブロックオリゴマーマシンであり得る。この例示的実施形態は、オリゴNIPAm-12i-8s-12iと名付けられる。
図26は、10Kのステップを有する異なる温度での一連のシミュレーションを示す。280Kでは、構造は、剛直な棒のように振る舞う(2600)。310Kでは、構造は崩壊して、よく折り畳まれたS字形状態になる(2601)。330Kでは、高温のため、エントロピーが疎水性相互作用を支配的し、折り畳まれたS字形を不安定にする(2602)。組成物の形状は、長いシミュレーション時間にわたって変化しないことに留意されたい。いくつかの実施形態では、NIPMAmのさらなる3ブロックオリゴマーが実証される。高い剛直性を示すイソタクチックフラグメントは、エッジブロックとして使用され得、シンジオタクチックフラグメントは屈曲し得、シンジオタクチックフラグメントは、屈曲またはヒンジ部位として組み込まれ得る。各々がイソタクチックに接続された12個のNIPMAmモノマーである2つのエッジブロックを含む、好ましい3ブロックオリゴマーは、シンジオタクチックに接続された7個のNIPMAmモノマーで構成される屈曲部位によって連結され得、この例示的実施形態は、オリゴNIPMAm-12i-7s-12iで表される。このオリゴマーマシンは、300K近い臨界温度を有する立体配座双安定性を有する。臨界温度未満では、これは、1.26nmの平均回転半径を有する伸長した棒状構造として存在するが、臨界温度超では、これは、1.12nmの平均回転半径を有するГ形のレバー状立体配座に折り畳まれる。
図27に示すように、オリゴNIPMAm-12i-7s-12i組成物は、外部刺激に応答した、伸長形態とГ形のレバー状形態との間の再現性のある可逆的転移を有する、広がったもの(2700)および折り畳まれたもの(2701)の2つのよく分離した立体配座状態を実証する。
【0043】
別の実施形態では、2つの剛直ブロックを含む3ブロックコオリゴマーは、屈曲する第3のブロックによって連結される。いくつかの実施形態では、メチル基およびイソプロピル基が次々に置き換えられたNIPAmの立体異性体であるオリゴNMIPAmフラグメントは、高い剛直性を実証し、組成物中の剛直エッジブロックとして使用され得る一方で、オリゴNIPAmフラグメントは、屈曲し得、屈曲またはヒンジ部位に配置され得る。例えば、好ましい3ブロックキメラオリゴマーは、各々が10個のモノマーである2つのエッジNMIPMAmブロックを含み得、イソタクチック立体配座の7個のNIPMAmモノマーで構成される屈曲部位によって連結される。この実施形態の組成物は、10-7-10-NMIPMA-NIPMA-NMIPMAと表される。
図28AおよびCでは、要素(2805および2806)は、屈曲またはヒンジサブ構成要素を示し、要素(2804および2807)は、剛直サブ構成要素を示す。
図28A(2800)は、この実施形態の開いた立体配座を示す。
図28C(2802)は、この実施形態の閉じた立体配座を示す。
図28B(2801)は、この実施形態によって示される立体配座双安定性を示す。
図28D(2803)は、320Kにおいてこの実施形態によって示される自発的振動を示す。このキメラ実施形態は、300K超において立体配座転移を有する。臨界温度未満では、これは、約4nmの平均末端間距離を有する「開いた」伸長構造として存在するが、臨界温度超では、これは、半分に折り畳まれて、平均で約1nmの末端間距離を有する「閉じた」立体配座になる。臨界温度付近では、10-7-10-NMIPMA-NIPMA-NMIPMA組成物は、開いた状態と閉じた状態との間で自発的転移を示し、したがって、外部刺激に応答して、再現可能な方法で、剛直なNMIPMAmフラグメントの相互配向を変化させる。一連の計算実験が、この実施形態について行われた。全原子GROMACS分子動力学パッケージを使用して、290K~360Kの範囲の温度の水溶液中のNMIPMA-NIPMA-NMIPMAオリゴマーの原子論的シミュレーションを行った。TIP3P明示的水モデルと組み合わせたOPLS-AA力場を使用して、分子間および分子内相互作用を記述する。鎖の立体配座は、その回転半径およびオリゴマー末端間の距離によって特徴づけられる。
【0044】
いくつかの例示的実施形態では、2つの連結されたオリゴマーモジュールは、立体配座の変化が制御される立体配座双安定性を有する。分子マシンおよび/またはオリゴマーマシン構成要素は、第1の端部および第2の端部を有する第1のオリゴマーモジュールと、第1の端部および第2の端部を有する第2のオリゴマーモジュールとを含む。第1のオリゴマーモジュールの第1の端部は、第2のオリゴマーモジュールの第1の端部に連結されてオリゴマー鎖を形成し、第1のオリゴマーモジュールの第2の端部は、第2のオリゴマーモジュールの第2の端部から切り離される。第1のオリゴマーモジュールおよび第2のオリゴマーモジュールは、一対の連結されたオリゴマーモジュールが立体配座双安定性を有するように選択および連結される。第1のオリゴマーモジュールおよび第2のオリゴマーモジュールの相対配向は、臨界温度超で第1の配向から第2の配向へ自発的に変化する。第1のオリゴマーモジュールおよび第2のオリゴマーモジュールの相対配向は、連結されたオリゴマーモジュールに加えられるエネルギーに応答して、第1の配向から第2の配向へ繰り返し変化する。オリゴマーモジュールは、0.5nm~20nmの長さを有し得る。第1および第2のオリゴマーモジュールの相対配向は、立体配座を規定し得、2つのそのような安定または準安定な立体配座が存在し得る。第1の立体配座と第2の立体配座との間の転移は、第1および第2のオリゴマーモジュールの相対運動を含み得る。オリゴマーモジュールは、少なくとも5個の繰り返し単位を含み得る。オリゴマーモジュールは、少なくとも10個の繰り返し単位を含み得る。オリゴマーモジュールは、少なくとも15個の繰り返し単位を含み得る。オリゴマーモジュールは、少なくとも20個の繰り返し単位を含み得る。オリゴマーモジュールは、少なくとも25個の繰り返し単位を含み得る。オリゴマーモジュールは、少なくとも30個の繰り返し単位を含み得る。オリゴマーモジュールは、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミドを含み得る。オリゴマーモジュールは、ポリ-N-イソプロピルメタクリルアミドを含み得る。オリゴマーマシンおよび/または分子マシン構成要素は、250K~400Kの範囲内で立体配座転移点を示すように構成され得る。オリゴマーマシンおよび/または分子マシン構成要素は、275K~375Kの範囲内で立体配座転移点を示すように構成され得る。オリゴマーマシンおよび/または分子マシン構成要素は、300K~350Kの範囲内で立体配座転移点を示すように構成され得る。オリゴマーモジュールは、単一の種類のモノマー単位を含み得る。オリゴマーモジュールは、NIPAm残基を含み得る。
【0045】
いくつかの例示的実施形態では、オリゴマーマシンは、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)を含み得る。双安定オリゴマーマシンのための合成オリゴマーは、少なくとも15個の繰り返し単位のポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAm)のフラグメントを含み得る。PNIPAmオリゴマーは、立体規則性または立体不規則性であり得る。PNIPAmオリゴマーは、イソタクチック、シンジオタクチック、および/またはアタクチックな領域を含み得る。PNIPAmオリゴマーは、PNIPAmオリゴマーの少なくとも3分の1の部分が、少なくとも3分の1の部分の長さに沿って50%超曲がらないようなものであり得る。PNIPAmオリゴマーは、臨界温度超において、オリゴマーフラグメント端部の相互変位の再現性のある変化を伴う立体配座双安定性を有し得る。PNIPAmオリゴマーは、臨界温度超において、オリゴマーフラグメント端部の相互変位の再現性のある変化を伴う熱活性化確率共鳴を示し得る。PNIPAmオリゴマーは、ブロックコオリゴマーであり得る。ブロックコオリゴマーは、各々がイソタクチック、シンジオタクチック、またはアタクチック形態である特定の部分で構成され得る。PNIPAmコオリゴマーは、PNIPAmコオリゴマー組成物の各ブロックが、ブロックの長さに沿って50%超曲がらないように選択され得る。オリゴマーは、30単位のNIPAmを含み得る。
【0046】
いくつかの例示的実施形態では、オリゴマーマシンは、ポリ(N-イソプロピルメタクリルアミド)を含み得る。オリゴマーマシンのための合成オリゴマーは、少なくとも15個の繰り返し単位のポリ(N-イソプロピルメタクリルアミド)(PNIPMAm)のフラグメントを含み得る。PNIPMAmオリゴマーは、立体規則性または立体不規則性であり得る。PNIPMAmオリゴマーは、イソタクチック、シンジオタクチック、および/またはアタクチックな領域を含み得る。PNIPMAmオリゴマーは、PNIPMAmオリゴマーの少なくとも3分の1の部分が、少なくとも3分の1の部分の長さに沿って50%超曲がらないようなものであり得る。PNIPMAmオリゴマーは、臨界温度超において、オリゴマーフラグメント端部の相互変位の再現性のある変化を伴う立体配座双安定性を有し得る。PNIPMAmオリゴマーは、臨界温度超において、オリゴマーフラグメント端部の相互変位の再現性のある変化を伴う熱活性化確率共鳴を示し得る。PNIPMAmオリゴマーは、ブロックコオリゴマーであり得る。ブロックコオリゴマーは、各々がイソタクチック、シンジオタクチック、またはアタクチック形態である特定の部分で構成され得る。PNIPMAmコオリゴマーは、PNIPMAmコオリゴマー組成物の各ブロックが、ブロックの長さに沿って50%超曲がらないように選択され得る。PNIPMAmコオリゴマーは、臨界温度超において、ブロックの相互配置の再現性のある変化を伴う立体配座双安定性を有し得る。オリゴマーは、20単位のNIPMAmを含み得る。オリゴマーは、25単位のNIPMAmを含み得る。オリゴマーは、30単位のNIPMAmを含み得る。
【0047】
いくつかの例示的実施形態は、キメラ双安定オリゴマーマシンを含み得る。分子マシンおよび/またはオリゴマーマシンのための合成オリゴマーは、立体規則性または立体不規則性形態の、少なくとも5個の繰り返し単位のポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAm)のフラグメント、ならびに少なくとも0.5nmの長さであり、かつ/または少なくとも0.5nmの持続長を有する、PNIPAm以外の少なくとも1つの他のオリゴマー部分を含み得る。PNIPAmの少なくとも一部は、PNIPAmオリゴマーの少なくとも一部の長さに沿って50%超曲がらず、少なくとも3分の1の部分の長さに沿って50%超曲がらないようなものであり得る。オリゴマーフラグメントは、臨界温度超において、フラグメント端部の空間的配置の再現性のある変化を伴う確率共鳴を示し得る。オリゴマー組成物は、3つのオリゴマーモジュールを含み得、各々が10個のモノマーである2つのエッジNMIPAmモジュールを有し、それらが、イソタクチック立体配座の7個のNIPMAmモノマーで構成される屈曲部位によって連結される。キメラ組成物は、例えば、長さ、剛直性、および/または化学官能基化などの、分子マシンおよび/またはオリゴマーマシンの構造および機能の大幅なカスタマイズを可能にし得る。オリゴマー組成物は、3つのモジュールを含み得、各々が8個のモノマーである2つのエッジNMIPAmモジュールを有し、それらが、イソタクチック立体配座の5個のNIPMAmモノマーで構成される屈曲部位によって連結される。
【0048】
さらなる例示的実施形態は、機械力の発生ために構成されたオリゴマーマシンを含み得る。分子マシンならびに/またはオリゴマーマシンは、第1のオリゴマーモジュール、および第1のオリゴマーモジュールに連結されてオリゴマー鎖を形成する第2のオリゴマーモジュール、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間のコジョインダーの位置の少なくとも1つの屈曲もしくはヒンジ部位であって、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間の相対的な曲がりを可能にする、屈曲もしくはヒンジ部位、少なくとも1つのピストン型要素、ならびにオリゴマー鎖の第2のオリゴマーモジュールがピストン要素を機械的に作動させることができるようにピストン要素およびオリゴマー鎖で構成された基材を含む、合成材料を含み得る。ピストン要素は、例えば、グラフェンナノチューブ、ナノワイヤ、および/またはDNAフラグメントなどの、任意の好適な剛直な分子構造および/またはナノスケール構造であり得る。双安定オリゴマーマシンは、双安定オリゴマーマシンの運動を伝達してピストン型要素の周期運動にすることによって、機械力を発生させ得る。
【0049】
別の非限定的な例示的実施形態は、電気機械ナノデバイスのための双安定オリゴマーマシンを含み得る。分子マシンならびに/またはオリゴマーマシンは、第1のオリゴマーモジュール、および第1のオリゴマーモジュールに連結されてオリゴマー鎖を形成する第2のオリゴマーモジュール、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間のコジョインダーの位置の少なくとも1つの屈曲もしくはヒンジ部位であって、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間の相対的な曲がりを可能にする、屈曲もしくはヒンジ部位、少なくとも1つの発電要素、ならびにオリゴマー鎖の第2のオリゴマーモジュールが発電要素を機械的に作動させることができるように発電要素およびオリゴマー鎖で構成された基材を含む、合成材料を含み得る。オリゴマー鎖は、それに加えられる規定量のエネルギーに応答して、発電要素への第2のオリゴマーモジュールの機械的作用を引き起こして電圧および/または電流を生成する方法で、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間で相対運動が生じるように形成され得る。発電要素は、圧電素子、ナノ粒子、ナノワイヤ、および/またはナノ層であり得る。分子マシンおよび/またはオリゴマーマシンは、圧電素子へ機械的作用を及ぼすことによって電圧を発生させるように構成され得る。
他の例示的実施形態は、エネルギーハーベスティングのための双安定オリゴマーマシンを含み得る。
【0050】
分子マシンならびに/またはオリゴマーマシンは、第1のオリゴマーモジュール、および第1のオリゴマーモジュールに連結されてオリゴマー鎖を形成する第2のオリゴマーモジュール、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間のコジョインダーの位置の少なくとも1つの屈曲もしくはヒンジ部位であって、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間の相対的な曲がりを可能にする、屈曲もしくはヒンジ部位、屈曲もしくはヒンジ部位でオリゴマー鎖に取り付けられた少なくとも1つの光吸収要素、少なくとも1つの発電要素、ならびにオリゴマー鎖の第2のオリゴマーモジュールが発電要素への機械的作用を確実に行うように発電要素およびオリゴマー鎖で構成された基材を含む、合成材料を含み得る。オリゴマー鎖は、それに加えられる規定量のエネルギーに応答して、発電要素への第2のオリゴマーモジュールの機械的作用を引き起こして電圧および/または電流を生成する方法で、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間で相対運動が生じるように形成され得る。発電要素は、圧電素子、ナノ粒子、ナノワイヤ、および/またはナノ層であり得る。分子マシンおよび/またはオリゴマーマシンは、圧電素子へ機械的作用を及ぼすことによって電圧を発生させるように構成され得る。光吸収要素は、色素、芳香族基を含む化合物、共役を含む化合物、および/または半導体素子であり得る。
【0051】
さらなる非限定的な例示的実施形態:
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、第1の端部および第2の端部を有する第1のオリゴマーモジュールと、第1の端部および第2の端部を有する第2のオリゴマーモジュールとを含み、第1のオリゴマーモジュールの第1の端部は、第2のオリゴマーモジュールの第1の端部に連結され、オリゴマーマシンは、温度が臨界温度範囲にある時の温度で、溶液中で確率共鳴を示し、オリゴマーマシンは、温度が臨界温度範囲にない場合、溶液中で確率共鳴を示さない。
【0052】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、第1の端部および第2の端部を有する第1のオリゴマーモジュールと、第1の端部および第2の端部を有する第2のオリゴマーモジュールとを含み、第1のオリゴマーモジュールの第1の端部は、第2のオリゴマーモジュールの第1の端部に連結され、オリゴマーマシンは、温度が臨界温度範囲にある時の温度で、溶液中で自発的振動を示し、オリゴマーマシンは、温度が臨界温度範囲にない場合、溶液中で自発的振動を示さない。
【0053】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、第1の端部および第2の端部を有する第1のオリゴマーモジュールと、第1の端部および第2の端部を有する第2のオリゴマーモジュールとを含み、第1のオリゴマーモジュールの第1の端部は、第2のオリゴマーモジュールの第1の端部に連結され、オリゴマーマシンは、温度が臨界温度範囲にある時の温度で、溶液中で自発的振動を示し、オリゴマーマシンは、温度が臨界温度範囲にない場合、溶液中で自発的振動を示さず、自発的振動は、不規則な周波数を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、第1の端部および第2の端部を有する第1のオリゴマーモジュールと、第1の端部および第2の端部を有する第2のオリゴマーモジュールとを含み、第1のオリゴマーモジュールの第1の端部は、第2のオリゴマーモジュールの第1の端部に連結され、オリゴマーマシンは、温度が臨界温度範囲にある時の温度で、溶液中で自発的振動を示し、オリゴマーマシンは、温度が臨界温度範囲にない場合、溶液中で自発的振動を示さず、自発的振動は、不規則な周波数を有し、オリゴマーマシンへの、臨界力範囲内の負荷力および力周波数を有する振動力の適用時、温度が臨界範囲にある場合、オリゴマーマシンは、力周波数と実質的に同じ周波数を有する確率共鳴を示す。
【0055】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、第1の端部および第2の端部を有する第1のオリゴマーモジュールと、第1の端部および第2の端部を有する第2のオリゴマーモジュールとを含み、第1のオリゴマーモジュールの第1の端部は、第2のオリゴマーモジュールの第1の端部に連結され、オリゴマーマシンは、温度が臨界温度範囲にある時の温度で、溶液中で確率共鳴を示し、オリゴマーマシンは、温度が臨界温度範囲にない場合、溶液中で確率共鳴を示さない。
【0056】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、第1の端部および第2の端部を有する第1のオリゴマーモジュールと、第1の端部および第2の端部を有する第2のオリゴマーモジュールとを含み、第1のオリゴマーモジュールの第1の端部は、第2のオリゴマーモジュールの第1の端部に連結され、オリゴマーマシンは、温度は臨界温度範囲にないが負荷力が臨界力範囲にある場合、オリゴマーマシンに加えられる負荷力下で、溶液中で自発的振動を示し、オリゴマーマシンは、負荷力および温度が臨界範囲にない場合、溶液中で自発的振動を示さない。
【0057】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、第1の端部および第2の端部を有する第1のオリゴマーモジュールと、第1の端部および第2の端部を有する第2のオリゴマーモジュールとを含み、第1のオリゴマーモジュールの第1の端部は、第2のオリゴマーモジュールの第1の端部に連結され、オリゴマーマシンは、温度は臨界温度範囲にないが負荷力が臨界力範囲にある場合、オリゴマーマシンに加えられる負荷力下で、溶液中で確率共鳴を示し、オリゴマーマシンは、負荷力および温度が臨界範囲にない場合、溶液中で確率共鳴を示さない。
【0058】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間のコジョインダーの位置に、少なくとも1つの屈曲またはヒンジ部位をさらに含み、屈曲またはヒンジ部位は、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間の相対的な曲がりを可能にする。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2のオリゴマーモジュールは、任意選択で置換されたアクリルアミド残基、任意選択で置換された(メタ)アクリルアミド残基、任意選択で置換された(メタ)アクリル酸残基、任意選択で置換されたアジリジン残基、任意選択で置換されたエポキシ残基、アルコキシ置換エタン残基、またはそれらの組み合わせを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2のオリゴマーモジュールは、N-エチルアクリルアミド残基、2-(イソプロピルカルバモイル)アクリル酸残基、1-(アジリジン-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オン残基、メトキシエテン残基、および2-メチルオキシラン残基の少なくとも1つを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1のオリゴマーモジュールの第1の端部は、第1および第2のオリゴマーモジュールの両方の持続長未満の持続長を有するリンカーユニットを通して、第2のオリゴマーモジュールの第1の端部に連結される。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1および第2のオリゴマーモジュールは、10~30個の繰り返し単位を各々含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、第1および第2のオリゴマーモジュールは、10~30個の立体規則性繰り返し単位を各々含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1および第2のオリゴマーモジュールは、0.5nm~20nmの持続長を各々有する。
【0065】
いくつかの実施形態では、溶液は、水溶液である。
【0066】
いくつかの実施形態では、臨界温度範囲は、-25℃~100℃によって与えられる温度範囲内である。
【0067】
いくつかの実施形態では、臨界温度範囲は、25℃~45℃によって与えられる温度範囲内である。
【0068】
いくつかの実施形態では、臨界力範囲は、10pN(ピコニュートン)~1000pNによって与えられる力範囲内である。
【0069】
いくつかの実施形態では、臨界力範囲は、250pN(ピコニュートン)~350pNによって与えられる力範囲内である。
【0070】
いくつかの実施形態では、臨界力範囲は、375pN(ピコニュートン)~400pNによって与えられる力範囲内である。
【0071】
いくつかの実施形態では、立体配座双安定性を示すように構成されたオリゴマーマシン構成要素は、第1の端部および第2の端部を有する第1のオリゴマーモジュールと、第1の端部および第2の端部を有する第2のオリゴマーモジュールとを含み、第1のオリゴマーモジュールの第1の端部は、第2のオリゴマーモジュールの第1の端部に連結され、第1のオリゴマーモジュールおよび第2のオリゴマーモジュールの相対配向は、加えられる刺激に応答して、第1の配向から第2の配向へ変化する。
【0072】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシン構成要素は、加えられる刺激に応答して、第1の配向と第2の配向との間で繰り返し揺らぐ。
【0073】
いくつかの実施形態では、加えられる刺激は、第1の刺激であり、第1のオリゴマーモジュールおよび第2のオリゴマーモジュールの相対配向は、さらなる刺激が加えられ、かつ/または第1の刺激が停止されると、第2の配向から第1の配向へ変化する。
【0074】
いくつかの実施形態では、加えられる刺激は、温度の変化、設定温度、電場、磁場、pHの変化、少なくとも10ピコニュートンの力の適用、規定量のエネルギー、および/またはイオン強度の変化のいずれか1つ以上である。
【0075】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシン構成要素は、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間のコジョインダーの位置に、少なくとも1つの屈曲またはヒンジ部位をさらに含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの屈曲またはヒンジ部位は、第1および第2のオリゴマーモジュールの各々の可撓性より実質的に高い可撓性を有する第3のオリゴマーモジュールを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、加えられる刺激は、第3のオリゴマーモジュールを曲げる一方で、第1および第2のオリゴマーモジュールは、実質的に曲がらないままである。
【0078】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシン構成要素は、第1および第2のオリゴマーモジュールとは異なる材料で形成され、オリゴマーモジュールの可撓性より低い可撓性を有する、少なくとも1つの拡張部をさらに含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、各オリゴマーセグメントは、0.5nm~15nmの長さを有する。
【0080】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのオリゴマーモジュールは、少なくとも15個の繰り返し単位の立体規則性または立体不規則性ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのオリゴマーモジュールは、少なくとも15個の繰り返し単位の立体規則性または立体不規則性ポリ(N-イソプロピルメタクリルアミド)を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1のオリゴマーモジュールは、立体規則性または立体不規則性形態の、少なくとも5個の繰り返し単位のポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)を含み、第2のオリゴマーモジュールは、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)を含まず、少なくとも0.5nmの持続長をし、第1のオリゴマーモジュールの少なくとも3分の1の部分は、少なくとも3分の1の部分の長さに沿って50%超曲がらない。
【0083】
いくつかの実施形態では、第1または第2のオリゴマーモジュールの少なくとも一方は、イソタクチックブロックを含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、第1または第2のオリゴマーモジュールの少なくとも一方は、アタクチックブロックを含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、第1または第2のオリゴマーモジュールの少なくとも一方は、シンジオタクチックブロックを含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、第1および第2のオリゴマーモジュールは、オリゴマーマシン構成要素が250K~400K以内の立体配座転移温度を有するように構成されるよう選択および連結される。
【0087】
いくつかの実施形態では、第1および第2のオリゴマーモジュールは、共通のモノマー単位を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシン構成要素は、ナノチューブまたはDNAなどの剛直な分子構造をさらに含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、連結された第1および第2のオリゴマーモジュールは、イソタクチックなポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)ブロックおよびアタクチックなポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)ブロックを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、連結された第1および第2のオリゴマーモジュールは、2つのポリ(2-イソプロピル-N-メチルアクリルアミド)ブロックの間にポリ(N-イソプロピルメタクリルアミド)ブロックを含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、第1のオリゴマーモジュール、および第1のオリゴマーモジュールに連結されてオリゴマー鎖を形成する第2のオリゴマーモジュール、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間のコジョインダーの位置の少なくとも1つの屈曲またはヒンジ部位であって、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間の相対的な曲がりを可能にする、屈曲またはヒンジ部位、少なくとも1つの発電要素、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間の相対的な曲がりが、オリゴマー鎖の少なくとも第2のオリゴマーモジュールと少なくとも1つの発電要素との間の機械的相互作用をもたらすように、少なくとも1つの発電要素およびオリゴマー鎖に対して構成された基材を含む、合成材料を含み、オリゴマー鎖は、刺激に応答して、第2のオリゴマーモジュールと発電要素との間の機械的相互作用を引き起こす方法で、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間で相対的な曲がりが生じるように形成され、機械的相互作用は、少なくとも1つの発電要素に関連する電圧の変化をもたらす。
【0092】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、少なくとも1つの屈曲またはヒンジ部位でオリゴマー鎖に取り付けられた少なくとも1つの光吸収要素をさらに含み、光吸収要素を有するオリゴマー鎖は、光吸収要素に加えられる規定量の光エネルギーに応答して、第2のオリゴマーモジュールと少なくとも1つの発電要素との間の機械的相互作用を引き起こして、少なくとも1つの発電要素に関連する電圧の変化をもたらす方法で、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間で相対的な曲がりが生じるように形成される。
【0093】
いくつかの実施形態では、発電要素は、圧電素子、ナノ粒子、ナノワイヤ、またはナノ層の少なくとも1つを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、オリゴマーマシンは、第1のオリゴマーモジュール、および第1のオリゴマーモジュールに連結されてオリゴマー鎖を形成する第2のオリゴマーモジュール、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間のコジョインダーの位置の少なくとも1つの屈曲またはヒンジ部位であって、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間の相対的な曲がりを可能にする、屈曲またはヒンジ部位、少なくとも1つのピストン要素、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間の相対的な曲がりが、オリゴマー鎖の少なくとも第2のオリゴマーモジュールと少なくとも1つのピストン要素との間の機械的相互作用をもたらすように、少なくとも1つのピストン要素およびオリゴマー鎖に対して構成された基材を含む、合成材料を含み、オリゴマー鎖は、それに加えられる規定量のエネルギーに応答して、第2のオリゴマーモジュールとピストン要素との間の機械的相互作用を引き起こす方法で、第1のオリゴマーモジュールと第2のオリゴマーモジュールとの間で相対的な曲がりが生じるように形成され、機械的相互作用は、機械力を生成する。
【0095】
いくつかの実施形態では、ピストン要素は、グラフェンナノチューブ、ナノワイヤ、またはDNAフラグメントの少なくとも1つである。
【0096】
いくつかの実施形態では、オリゴマー鎖は、2つのポリ(2-イソプロピル-N-メチルアクリルアミド)ブロックの間にポリ(N-イソプロピルメタクリルアミド)ブロックを含む。
【0097】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含めて本文書が支配する。好ましい方法および材料が本明細書に記載されているが、本明細書に記載されたものと類似のまたは均等な方法または材料を、本開示の実施形態の実施または試験に使用することができる。本明細書に開示された材料、方法、および実施例は、単に例示的なものであり、限定を意図するものではない。用語「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain(s))」、およびそれらの変形は、本明細書で使用される場合、追加の行為または構造の可能性を除外しないオープンエンドの移行句、用語、または語句であるように意図される。単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上明らかに他の意味に解釈される場合を除き、複数の参照を含む。本開示は、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に提示される実施形態または要素「を含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、および「から本質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態も企図する。接続詞「または(or)」は、接続詞によって関連付けられる1つ以上の記載された要素のありとあらゆる組み合わせを含み得る。例えば、「aまたはbを含む装置」という表現は、bが存在しない場合があるaを含む装置、aが存在しない場合があるbを含む装置、またはaおよびbの両方が存在する装置を指し得る。「a、b、…、およびnの少なくとも1つ」または「a、b、…、n、またはそれらの組み合わせの少なくとも1つ」という表現は、a、b、…、およびnを含む群から選択される1つ以上の要素すなわち、いずれか1つの要素を単独で、または他の要素の1つ以上と組み合わせて含む、要素a、b、…、またはnの1つ以上の任意の組み合わせを意味するように最も広い意味で定義され、これは、記載されていない追加の要素も組み合わせて含み得る。「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、本明細書で使用される場合、順序、量、または重要性を示すのではなく、ある要素を別の要素と区別するために使用される。本明細書で使用される「実質的に」という用語は、定量的比較、値、測定、または他の表現に起因し得る固有の不確かさの程度を表す。「実質的に」という用語はまた、定量的表現が、問題となっている主題の基本的な機能の変化をもたらすことなく記載された基準から変動し得る程度を表すために、本明細書で利用され得る。「少なくとも1つの屈曲部位またはヒンジ部位」という用語は、少なくとも2つのオリゴマーモジュールが、屈曲またはヒンジ部位の周りで互いに対して予想通りに曲がることを可能にする、少なくとも2つのオリゴマーモジュール間のコジョインダーの少なくとも1つの位置を指す。
【国際調査報告】