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特表2024-501092移動閉塞ベースの鉄道信号のための自動化した連動ロジックを提供する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】移動閉塞ベースの鉄道信号のための自動化した連動ロジックを提供する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B61L 23/14 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B61L23/14 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559706
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 KR2021015131
(87)【国際公開番号】W WO2023054789
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0130331
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519293058
【氏名又は名称】韓国鉄道技術研究院
【氏名又は名称原語表記】Korea Railroad Research Institute
【住所又は居所原語表記】176, Cheoldobangmulgwan-ro, Uiwang-si, Gyeonggi-do 16105 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】オ、セチャン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュンソン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨンジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ラグギョ
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB01
5H161CC20
5H161DD21
5H161EE11
(57)【要約】
本開示は、移動閉塞ベースの鉄道信号のための自動化した連動ロジックを提供するための方法及び装置を提供する。
本開示の一側面によると、移動閉塞ベースの鉄道信号のための列車の進路を生成する方法において、予め保存した線路情報を呼び出してトラックレイアウトに関する方向性グラフを生成するステップと、前記方向性グラフに基づいて列車の移動ホップ(hop)数に対応する経路行列を生成し、前記経路行列から列車の進路を生成するステップ、及び、管制ATSのミッションから前記列車に関する進路情報を取得し、前記進路情報と前記列車の進路とを比較することにより、前記列車の進路を検証するステップと、を含むことを特徴とする進路を生成する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動閉塞ベースの鉄道信号のための列車の進路を生成する方法において、
予め保存した線情報を呼び出してトラックレイアウトに関する方向グラフを生成するステップと、
前記方向性グラフに基づいて列車の移動ホップ(hop)数に対応する経路行列を生成し、前記経路行列から列車の進路を生成するステップ、及び、
管制ATSのミッションから前記列車に関する進路情報を取得し、前記進路情報と、前記列車の進路とを比較することで、列車の進路を検証するステップと、
を含むことを特徴とする進路を生成する方法。
【請求項2】
前記方向性グラフは、
トラックレイアウト上に位置する少なくとも1つの線路切換器(PM:Point Machine)及び少なくとも1つのクラス(class)をノード(node)として含み、
前記ノードのうちの隣接するノード間に位置するトラックをエッジ(edge)として含むことを特徴とする、請求項1に記載の進路を生成する方法。
【請求項3】
前記クラスは、前記トラックレイアウト上で隣接する複数の地上子(balise)を含むことを特徴とする、請求項2に記載の進路を生成する方法。
【請求項4】
前記方向グラフは、
前記列車が、前記クラスが増加する方向に走行するときの列車の進路を表現するための公称方向グラフ(nominal direction graph)、及び前記列車が、クラスが減少する方向に走行するときの列車の進路を表現するための逆方向グラフ(reverse direction graph)を含むことを特徴とする、請求項2に記載の進路を生成する方法。
【請求項5】
前記方向性グラフを生成するステップは、
前記方向性グラフを千鳥状の方向に巡回(traversal)することによって、ノードに対するノード行列(node matrix)を生成するステップと、
前記ノード行列と単位行列(identity matrix)を乗算して初期進路行列を生成するステップ、及び、
前記ノードのうちの任意のノードが互いにつながるかの如何、及び前記クラスが増加する方向であるか否かに基づいて隣接行列(reachability matrix)を生成するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の進路を生成する方法。
【請求項6】
前記隣接行列は、前記公称方向グラフに対する隣接行列である公称隣接行列(nominal reachability matrix)、及び、前記逆方向グラフに対する隣接行列である逆隣接行列(reverse reachability matrix)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の進路を生成する方法。
【請求項7】
前記列車の進路を生成するステップは、さらに、
公称方向グラフの初期進行列及び前記公称隣接行列間の繰り返しの乗算演算によって前記公称方向グラフに対する経路行列を生成し、前記経路行列に含まれるすべての要素が0になるまで行列乗算を繰り返すことによって第kの経路行列を算出するステップと、
前記公称方向グラフに対する0番目のホップの経路行列である第0の経路行列ないし前記第kの経路行列を合計することによって、前記公称方向グラフに対する全経路行列である公称方向進行行列を算出するステップと、
前記公称方向グラフに対する前記第0の経路行列ないし前記第kの経路行列の転置演算により、前記逆方向グラフに対する全経路行列である逆方向進行行列を算出するステップ、及び、
前記公称方向進路行列と前記逆方向進路行列を合計することで前記トラックレイアウトに対する最終進路行列を生成するステップと、を含むことを特徴とする、請求項6に記載の進路を生成する方法。
【請求項8】
前記列車の進路を検証するステップは、
前記最終進路行列を探索して前記進路情報に対応する列車の進路を抽出し、それぞれの線路切換器の切換方向が前記進路情報と一致するかの如何を検証することにより、前記列車の進路を検証することを特徴とする、請求項7に記載の進路を生成する方法。
【請求項9】
前記列車の進路を検証するステップは、さらに、
前記進路情報の検証結果を前記管制ATSに伝送するステップを含むことを特徴とする、請求項8に記載の進路を生成する方法。
【請求項10】
列車の進路を生成する装置として、
データベースと、
通信モジュール、及び、
プロセッサを含み、
前記プロセッサは、
予め保存した線情報を呼び出してトラックレイアウトに関する方向性グラフを作成し、
前記方向性グラフに基づいて列車の移動ホップ(hop)数に対応する経路行列を生成し、前記経路行列から列車の進路を生成し、
管制ATSのミッションから前記列車に関する進路情報を取得し、前記進路情報と前記列車の進路を比較することで、列車の進路を検証するように構成したことを特徴とする進路を生成する装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項9のうち、いずれか1項に記載の進路を生成する方法が含む各ステップを実行するためにコンピュータで読み取り可能な記録媒体に保存したコンピュータプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動閉塞ベースの鉄道信号のための自動化した連動ロジックを提供する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下で説明する内容は、単に本開示の実施例に関連する背景情報のみを提供するだけで従来技術を構成するものではない。
【0003】
鉄道信号システムの技術分野にて、固定閉塞方式(fixed block principle)は、線路上に設置した装置によってのみ列車の位置情報を把握できるため、列車のリアルタイム位置を正確に判断できないという問題点があった。固定閉塞方式の問題点を改善するために、移動閉塞方式(moving block principle)の鉄道信号システムが研究されている。しかし、従来の移動閉塞ベースのATC(Automatic Train Control:自動列車制御装置)は、図1に示すように、固定閉塞ベースの連動装置(interlocking)の上に追加した階層として具現するのが実情である。また、従来の移動閉塞方式のCBTC(Communication Based Train Control)及びETCS(European Train Control System)に関する標準規格であるIEEE 1474.3及びETCSサブセット026は、システム要求事項に関連して連動装置(interlocking)を外部システム(external system)とみなし、連動装置のインターフェースのみを定義するのが実情である。現在公開されたATCの構造上の制限は、システムの複雑さを増加させ、移動閉塞ベースの列車制御システムの制御効率を低下させる。したがって、1つの閉塞又は1つの進路内に複数の列車を許容することで、線路容量を増加させることができる移動閉塞ベースのATCが必要である。
【0004】
図2を参照すると、列車T1及びT2がそれぞれ地点A及び地点Dから走行する。線路切換器P1及びP2は方向転換を行うことで、列車の走行方向を変更することができる。図2の地点A、B、D及びEを境界として分岐区間を点線で示す。列車T1が予め設定したスケジュールに従って地点Aから出発して線路切換器P1を経由した後に、地点Bを通過しようとする場合、線路切換器P1は定位モード(normal mode)で動作する。線路切換器P1の動作に応じ、列車T1に対して[A、P1、B]の進路が生成する。列車T2が地点Dから出発し、地点Cを経由して地点Bを通過しようとする場合、線路切換器P1及びP2は両方とも反位モード(reverse mode)で動作しなければならない。すなわち、列車T2に対して[D、P2、C、P1、B]の進路を生成しなければならない。しかしながら、従来の連動装置は、列車T1の後部が地点Bから完全に外れる前まで、T2列車が分岐区間に進入しないようにT2の進路を遮断する。すなわち、従来の連動装置が提供する進路は固定閉塞ベースの連動ロジックに基づくため、線路リソース(track resource)の利用効率及び移動閉塞ベースのATC効率が低下するという問題がある。したがって、移動閉塞環境のための新しい連動ロジックが必要である。
【0005】
連動装置(interlocking system)は、連動ロジック(interlocking logic)によって線路上で走行する列車の進路(route)を生成することで、分岐区間(switching area)の排他的なリソース配分の役割を果たす。連動装置が生成する複数の列車の進路は、管轄区域内に存在する他の列車との衝突を防止するために互いに重複してはならない。言い換えれば、発生した列車の進路内に他の列車が存在してはならない。また、連動装置が生成した進路内に位置する線路切換器(PM:Point Machine)の方向転換は、予め設定したスケジュールに従って正確かつ安全に行わなければならない。連動装置は走行中の列車の軌道占有情報を除いては、列車の走行状況をリアルタイムで把握することはできない。したがって、従来の連動装置は、限られた情報に基づいて安全な列車の進路を生成するために複雑な連動ロジックを必要とする。連動ロジックは、固定閉塞(fixed block)ベースの列車の軌道占有情報(track occupation information)のみを用いて構成した防護論理(protection logic)として定義することができる。防護論理は、複数の状況に対して設計し、例えば排他的リソース(exclusive resource)の占有及び信号機と線路切換器の制御に関する論理である。連動装置は、列車が一つの軌道内で移動中か否かを正確に知ることができない。したがって、連動装置は、軌道移動時間をカウント(「シーソー」とも称する)し、列車が所定時間内にある1つの軌道から別の軌道に移動するか否かを判断する。一方、連動装置は列車の走行速度を確認して防護することができないため、列車が必ず進路内で停車することを保証できない。したがって、連動装置は、進路外に線路切換器が位置する場合、列車と共に固定して脱線を防護する。このような動作論理をオーバーラップ(overlap)鎖錠と称する。連動装置は一般的に、列車が到着軌道内で60秒間動かないと解錠する。
【0006】
図3を参照すると、従来の複雑な防護論理による連動装置の連動ロジックは、移動閉塞(moving block)ベースのZC(Zone Controller、地域制御器)の機能と重複する。連動装置の連動ロジックは、特定列車の進路を制御することにより、管轄領域上の分岐区間を含む線路区間を排他的に確保する。言い換えれば、連動装置は、列車の進路内に他の列車が存在しないように線路リソースを配分する。ZCも特定列車に移動権限(MA:Movement Authority)を付与することで、線路区間を排他的に確保する。言い換えれば、ZCは、列車に付与した移動権限内に他の列車が含まれないように線路リソースを配分する。ZCは、生成した進路を受信し、進路内に含まれる列車に移動権限を提供するため、移動閉塞の効果を発揮できない問題がある。上述したように、連動ロジックとZCは同様に排他的なリソース割り当て機能を実行する。したがって、移動閉塞のための連動ロジックは、分岐領域における線路切換器の方向転換が正確かつ安全に行われるための転換方向を検証することによって、システムの設計をより簡素化することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の一態様によると、移動閉塞ベースの鉄道信号システムのための列車進路生成装置及び方法を提供することに主な目的がある。
【0008】
本開示の他態様によると、移動閉塞ベースの鉄道信号システムの構造を単純化させることができる技術を提供することに他の主な目的がある。
【0009】
本開示のまた別の態様によると、分岐区間で列車間の間隔を効率的に制御する技術を提供することにまた別の主な目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一実施例によると、移動閉塞ベースの鉄道信号のための列車の進路を生成する方法において、予め保存した線路情報を呼び出してトラックレイアウトに関する方向性グラフを生成するステップと、前記方向性グラフに基づいて列車の移動ホップ(hop)数に対応する経路行列を生成し、前記経路行列から列車の進路を生成するステップ、及び、管制ATSのミッションから前記列車に関する進路情報を取得し、前記進路情報と前記列車の進路とを比較することにより、列車の進路を検証するステップと、を含むことを特徴とする進路を生成する方法を提供する。
【0011】
本開示の他実施例によると、列車の進路を生成する装置であって、DBと、通信モジュール、及び、プロセッサを含み、前記プロセッサは、予め保存した線情報を呼び出してトラックレイアウト関する方向性グラフを生成し、前記方向性グラフに基づいて列車の移動ホップ(hop)数に対応する経路行列を生成し、前記経路行列から列車の進路を生成し、管制ATSのミッションから前記列車に関する進路情報を取得し、前記進路情報と前記列車の進路とを比較することにより、列車の進路を検証するように構成したことを特徴とする進路を生成する装置を提供する。
【0012】
本開示のまた別の実施例によると、進路を生成する方法が含む各ステップを実行させるためにコンピュータで読み取り可能な記録媒体に保存したコンピュータプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一実施例によると、グラフベースの演算を用いて可能な全ての経路を動的に探索し、安全な進路に関する検証が可能になるという効果がある。
【0014】
本開示の他実施例によると、完全な移動閉塞ベースの鉄道信号システムを具現することで、システムの構造を単純化できるという効果がある。
【0015】
本開示のまた他の実施例によると、分岐区間で列車間の効率的な間隔制御が可能になるという効果がある。
【0016】
本開示のさらに別の実施例によると、自動化した連動ロジックによるシステムの柔軟性及び拡張性に寄与する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】固定閉塞ベースの連動装置(interlocking)上に追加の層として具現する従来の移動閉塞ベースのATCを説明するためのブロック図である。
図2】従来のCBTCの連動ロジックを説明するための例示図である。
図3】従来の連動装置と地域制御器の排他的リソース割り当て機能との衝突を説明するための例示図である。
図4】本開示の一実施例に係る列車進路生成装置がグラフを生成するために少なくとも1つの地上子からクラスを構成する実施例を示す例示図である。
図5】本開示の一実施例に係る列車進路生成装置が用いるトラックレイアウト及びサブトラックレイアウトの一実施例を示す例示図である。
図6図5のサブトラックレイアウトに関するグラフ、公称方向グラフ及び逆方向グラフを示す例示図である。
図7】本開示の一実施例に係る列車進路生成装置が含む各構成を説明するためのブロック構成図である。
図8】本開示の一実施例に係る列車進路生成装置が列車の進路を検証するステップに関連する分岐領域における危険側進路を説明するための例示図である。
図9】本開示の一実施例に係る列車進路生成装置が生成する最終進路行列を示す例示図である。
図10】本開示の一実施例に係る列車進路生成装置が同じクラスに向かって互いに異なるクラスから進出しようとする複数の列車のリソースを割り当てる実施例を説明するための例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一部の実施例を例示的な図面を通して詳しく説明する。各図面の構成要素に参照符号を加えるにあたり、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面に表示されても可能な限り同一の符号を有するようにすることに留意しなければならない。なお、本発明の実施例を説明するに当たり、関連する公知の構成又は機能についての具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断した場合には、その詳しい説明は省く。
【0019】
また、本発明の構成要素を説明するために、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を用いる場合がある。これらの用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語によって当該構成要素の本質、順番又は順序などが限定されない。本明細書全体にて、ある部分がある構成要素を「含む」、「備える」とする場合、これは、特に逆の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載した「…部」、「モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能又は動作を処理する単位を意味し、これはハードウェア又はソフトウェア、あるいはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで具現することができる。
【0020】
本発明は、移動閉塞(moving block)ベースの鉄道信号システムのための連動ロジックを生成するシステム及びその方法を提案する。移動閉塞ベースの鉄道信号システムにおける列車の進路は、安全で正確な線路切換方向(track switching direction)を意味し、提案した連動ロジックを用いて進路の生成及び進路内に存在する線路切換の方向を検証できる効果がある。さらに、本開示は、移動閉塞ベースの鉄道信号システムのための効率的な連動ロジック及びシステムを提供するので、システムの単純化及び分岐区間の制御効率の向上に寄与する。
【0021】
連動ロジック(interlocking logic)は、列車の進路を生成し、生成した進路が有効であることを検証する機能を実行する。連動装置は、ATS(Automatic Train Supervision、自動列車監視装置)から列車スケジュールを受信し、列車スケジュールに含まれる列車の移動経路が安全か否かを判断する。連動装置は、第1ないし第3の条件が満たされているか否かを確認することによって、進路の有効性を検証する。第1の条件は、生成した進路内に他の列車が存在するか否かを意味する。第2の条件は、生成した複数の列車の進路が互いに重なり合うか否かを意味する。第3の条件は、列車の進路内に存在する線路切換器の線路方向転換(direction switching)が安全かつ正確に行われるか否かを意味する。線路切換器が切り換える方向に誤りが発生すると、列車の脱線、衝突、追突などのような重大な事故を引き起こす。したがって、進路検証は安全のために非常に重要な機能である。ZCは列車に移動権限を付与することによってリソースを排他的に配分するため、移動閉塞ベースの鉄道信号システムでは第1及び第2の条件を統合することができる。したがって、本開示の移動閉塞システムのための新しい連動装置は、第3の条件のみを確認することによって進路を検証することができる。すなわち、連動装置は、列車進路内に位置する線路切換器の線路切換方向の無欠性のみを検証すればよいので、システムの構造を単純化することができる。
【0022】
添付の図面と共に以下に開示する詳細な説明は、本開示の例示的な実施例を説明することを意図するものであり、本開示を実施することができる唯一の実施例を示すものではない。
【0023】
図4は、本開示の一実施例に係る列車進路生成装置がグラフを生成するために少なくとも1つの地上子からクラスを構成する実施例を示す例示図である。
【0024】
図4を参照すると、列車進路生成装置は、グラフを生成するために第1ないし第3の制限を定義する。第1の制限は、クラス(class)が少なくとも1つの地上子又はタググループとして構成されるべきであることを意味する。第2の制限は、2つの互いに異なるクラス間に必ず1つの線路切換器が存在しなければならないことを意味する。第3の制限は、互いに異なる2つの線路切換器の間に必ず1つのクラスが存在しなければならないことを意味する。
【0025】
図5は、本開示の一実施例に係る列車進路生成装置が使用するトラックレイアウトの一実施例を示す例示図である。
【0026】
図5を参照すると、大韓民国湖南線鶏龍駅の線路図を簡略化したトラックレイアウトが示されている。トラックレイアウトはサブトラックレイアウト(sub-track layout)を含む。図5に破線で示すように、サブトラックレイアウトは、クラス21ないしクラス25及び、線路切換器21Aないし線路切換器21Bを含む。連動機能(interlocking function)は線路切換方向を決定し、線路切換方向の有効性を検証する。連動機能は、トラックレイアウトをクラス及び線路切換器として簡素化することができる。図5にて、Cは地上子に関するクラスを意味し、それぞれのクラスは番号で区分する。Pは線路切換器を意味し、それぞれの線路切換器は番号で区分する。
【0027】
図6は、図5のサブトラックレイアウトに関するグラフ、公称方向グラフ及び逆方向グラフを示す例示図である。
【0028】
本開示の一実施例では、線路連動ロジック(railway interlocking logic)が生成する進路は単純経路(simple path)の形態でなければならない。線路連動ロジックは、線路切換特性(railway switching characteristics)を満たすために、図2に示すV字状の形の進路は生成できない。本開示では、線路切換特性による制約事項を考慮し、移動閉塞ベースの連動ロジックを生成するために鉄道トラックレイアウト(track layout)をグラフの形態で再構成する。グラフGは、ノード(node)とエッジ(edge)の一対の集合(N、E)である。ここで、ノードは、地上子(baliseあるいはtag group)として構成した少なくとも1つのクラス及び線路切換器を用いて構成した集合を意味する。エッジは、ノード間のトラック(track)によって形成される集合を意味する。公称方向(nominal direction)グラフGは、線路上を走行する少なくとも1つの列車がクラスの番号が増加する方向に走行するように列車の進路を生成するための方向グラフである。逆方向グラフGは、線路上を走行する少なくとも1つの列車がクラスの番号が減少する方向に走行するように列車の進路を生成するための方向グラフである。
【0029】
図5のサブトラックレイアウトが含む少なくとも1つのノードは、式1に示すように、ノード行列(node matrix)Kによって変換することができる。図6を参照すると分かるように、ノード行列Kの元素は、グラフGのノードNを、地理的位置を基準にして千鳥状(zigzag)方向に巡回することにより抽出することができる。ノード行列Kの要素は、グラフGから抽出する順でそれぞれの列(column)に配置する。
【0030】
[式1]
【0031】
初期進路行列(initial routing matrix)Cは、式2で表すように、グラフGのノードを千鳥状方向に巡回することによって得られる2次元行列である。初期進行行列は、ノード行列及びノード行列と列の個数が同じ単位行列(identity matrix、I)を乗じて算出することができる。初期進路行列は、グラフGに含まれるノードを表す文字列を元素として含む対角行列(diagonal matrix)となる。初期進路行列は、行と列の数が同じ正方行列(square matrix)であり、三角行列(triangular matrix)の形態を有するため、行列演算が容易な特性を有する。
【0032】
[式2]
【0033】
隣接行列(reachability matrix)Rは、グラフGのノードが互いにつながったかの如何及び方向に関する情報を含む行列である。公称方向グラフに関する隣接行列である公称隣接行列(nominal reachability matrix)Rは、式3で表すように、上三角行列(upper triangular matrix)の形態を有する。式3による公称隣接行列は、図5のサブトラックレイアウトの公称方向グラフに対する隣接行列である。
【0034】
[式3]
【0035】
逆方向グラフに対する隣接行列である逆隣接行列(reverse reachability matrix)Rは、下三角行列(lower triangular matrix)の形態を有する。式4による逆隣接行列は、図5のサブトラックレイアウトの逆方向グラフに対する隣接行列である。
【0036】
[式4]
【0037】
それぞれの隣接行列は、文字型値(character value)を行列の要素として含む。それぞれの隣接行列が含む要素は、ri、jとして表すことができる。それぞれの隣接行列は式5によって算出することができる。隣接行列R及びRは式3と式4に示す通りである。
【0038】
[式5]
【0039】
列車の進路は、初期進路行列Cと隣接行列Rとの間の繰り返しの乗算演算によって生成することができる。行列乗算で「ゼロ(zero value)」を含む2つの要素間の乗算演算の結果は0である。0以外の2つの要素間の乗算操作は、文字列連結(string concatenation)を意味する。グラフGにて、互いに隣接するノード間移動の単位をホップ(hop)と定義することができる。例えば、1ホップの移動のためには2つのノードが必要であり、k番目のホップに含まれるノードの数はk+1である。
【0040】
公称方向グラフに対するk番目のホップの経路行列である第kの経路行列Pn(k)は、式6の演算によって算出することができる。列車進路生成装置は、第kの経路行列のすべての要素が0になるまで行列乗算を繰り返す。
【0041】
[式6]
【0042】
公称方向グラフに対する公称方向進行行列Pは、0番目のホップの経路行列からk番目のホップの経路行列を合計することで。つまり、
を計算することによって生成できる。式2ないし式6に基づいて生成した図5のサブトラックレイアウトに関する公称方向進行行列は式7の通りである。
【0043】
[式7]
【0044】
図5に示すサブトラックレイアウトの逆方向グラフに対するk番目のホップの経路行列Pr(k)は、式8の演算によって算出することができる。すなわち、逆方向グラフGに対するk番目のホップの経路行列は、公称方向グラフに対するk番目のホップの経路行列Pn(k)の転置(transpose)演算によって簡単に算出することができる。逆方向グラフGに対する逆方向進行行列Pは、0番目のホップの経路行列からk番目のホップの経路行列を合計することによって、すなわち、
を演算することによって生成することができる。
【0045】
[式8]
【0046】
図5に示すトラックレイアウト及び図6に示すグラフGに対する最終進行行列(final routing matrix)Pは、公称方向進行行列Pと逆方向進行行列Pを合計することによって算出することができる。図5のサブトラックレイアウトの最終進行行列は式9の通りである。一実施例で、グラフGに含まれる複数のノードのうち、任意のノードAから他のノードBまでの進路をP(A,B)のように表すことができる。式9に示すように、ノードC22からノードC24に到達する進路P(C22,C24)は、[C22+P21A-C23-P21B+C24]のように表すことができる。ここで、それぞれのノード間に存在する「+」は定位切換方向(normal switch direction)を意味する。それぞれのノード間に存在する「-」は、反位切換方向(reverse switch direction)を意味する。列車はクラスC22を通過するとき、定位切換方向に移動し、線路切換器P21Aを通過するとき、反位切換方向に移動する。列車はクラスC23を通過するとき、反位切換方向に移動し、線路切換器P21Bを通過するとき、定位切換方向に移動する。列車はC22、P21A、C23、及びP21Bを通過してC24に到達する。
【0047】
[式9]
【0048】
一実施例で、本開示の一実施例に係る列車進路生成装置が管制ATSのミッション(mission)から新しい進路情報(route information)[C21-P21B-C24]を受信する場合、列車進路生成装置は、3番目のホップに該当する進路行列P(3)を計算する。列車進路生成装置は、ATSから受信した進路情報と、進路行列を用いて算出した進路とを比較する。式9に提示するように、クラスC21からクラスC24までの進路は[C21+P21B+C24]であるため、列車進路生成装置は受信した進路に誤りがあると判断することで進路を検証することができる。列車進路生成装置は、正確な進路をリセットすることで列車を危険状況から保護できるようになるという効果がある。別の実施例で、列車進路生成装置は、車載ATCS(onboard Automatic Train Control System)の一部として動作してもよい。
【0049】
図7は、本開示の一実施例に係る列車進路生成装置が含む各構成を説明するためのブロック構成図である。
【0050】
本開示の一実施例による列車進路生成装置700は、プロセッサ(processor)702、通信モジュール(communications module)704、及びDB(database)706の全部又は一部を含む。図7に示す列車進路生成装置700は、本開示の一実施例によるものであり、図7に示す全てのブロックが必須の構成要素ではなく、他の実施例にて列車進路生成装置700に含まれる一部のブロックを追加、変更、又は削除することができる。例えば、列車進路生成装置700は、プロセッサ702に本発明の一実施例に係る列車進路生成方法を実行させるプログラムを保存するメモリ(図示せず)をさらに含む。ここで、プログラムは、プロセッサ702によって実行可能な複数の命令語を含み、複数の命令語がプロセッサ702によって実行されることによって列車進路を生成及び検証することができる。メモリは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリのうちの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、SRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)などを含み、不揮発性メモリはフラッシュメモリ(flash memory)などを含む。
【0051】
以下、図7を参照して列車進路生成装置700に含まれるそれぞれの構成について説明する。
【0052】
プロセッサ702は、少なくとも1つの命令語を実行することができる少なくとも1つのコアを含む。プロセッサ702は、メモリに保存した命令語を実行することができ、命令語を実行することによって列車進路生成及び検証を実行する。本開示の一実施例で、プロセッサ702は、グラフ生成部708、進路生成部710、及び進路検証部712を全部又は一部含む。ここで、グラフ生成部708、進路生成部710、及び進路検証部712は、論理的構成である。
【0053】
グラフ生成部708は、DB706に保存した線路情報を呼び出してトラックレイアウトに関するグラフを生成する。具体的には、グラフ生成部708は、管制ATSのミッションから列車の運行進路を受信し、DB706を探索して受信した列車の進路と対応する線路情報を呼び出す。グラフ生成部708がサブトラックレイアウトに関するグラフ、公称方向グラフ及び逆方向グラフを生成する具体的な方法は、図4ないし図6で説明し、これ以上の説明は省く。
【0054】
グラフ生成部708は、サブトラックレイアウトに関するグラフ、公称方向グラフ及び逆方向グラフに基づいて、式1ないし式5に係るノード行列、隣接行列及び初期進路行列を生成する。グラフ生成部708が図5に示すサブトラックレイアウトに関するノード行列、隣接行列、及び初期進行行列を生成する具体的な実施例は、式1ないし式5を参照して説明し、これ以上の説明は省く。
【0055】
進路生成部710は、グラフ生成部708が生成した複数のグラフ及びグラフに対する複数の行列に基づいて、式6ないし式9による経路行列及び進路行列を構成することにより列車の進路を生成する。進路生成部710が図5に示すサブトラックレイアウトに関する進路行列を生成する具体的な実施例は、式6ないし式9を参照して説明し、これ以上の説明は省く。
【0056】
進路検証部712は、進路生成部710が生成した列車の進路と管制ATSから受信した進路とを比較することにより、列車の進路内に位置する線路切換器の線路切換方向が正確かつ安全であるか否かを検証する。移動閉塞(moving block)環境では、列車の進路内の線路切換器の切換方向に誤りが発生した場合、列車の脱線、衝突及び追突などのような重大な事故を引き起こす可能性がある。したがって、進路検証部712は、列車の進路を検証するために、進路生成部710が生成した進路内に位置する線路切換器の切換方向に対する無欠性を検証する。
【0057】
図8は、本開示の一実施例に係る列車進路生成装置が列車の進路を検証するために用いる分岐領域における危険側進路を示す例示図である。
【0058】
以下、図8を参照し、進路検証部712が、図5に示す大韓民国湖南線鶏龍駅のトラックレイアウトに対して生成した列車の進路を検証する実施例を説明する。
【0059】
本開示の一実施例で、列車進路生成装置700は、図5のトラックレイアウトに示したクラス28ないしクラス33、及び左側に位置する複数のノードを含む、左側領域ノード(left-area node)に対する進出入進路を生成する。進出入進路を生成するためのノードは、クラス21ないし33、及び線路切換器21Aないし21B及び線路切換器22ないし25を含む。式1に示した方法によって、進路生成部710が生成する左側領域ノードに対するノード行列Kは、式10のように表すことができる。
【0060】
[式10]
【0061】
式2を参照して上述した方法によって、進路生成部710が生成する左側領域ノードに対する初期進路行列Cは、式11のように表現することができる。
【0062】
[式11]
【0063】
式3及び式4を参照して上述した方法によって、進路生成部710が生成する左側領域ノードに対する公称隣接行列R及び逆隣接行列Rは、それぞれ式12及び式13のように表現できる。
【0064】
[式12]
【0065】
[式13]
【0066】
図9は、本開示の一実施例に係る列車進路生成装置が生成する最終進路行列を示す例示図である。
【0067】
図9aないし図9dを参照すると、進路生成部710が式6ないし式9を用いて上述した方法によって左側領域グラフ(left-area graph)に対して生成した最終進路行列Pが示されている。図9aないし図9Dは、図示の便宜を考慮し、グラフ全体に対する最終進路行列の一部を示しており、最終進行行列は、左側領域ノード間で生成することができる進出入進路の全ての場合の数を含む。
【0068】
図8を参照すると、列車T1及びT2は、クラスの番号が増加する方向に走行している。列車T3及びT4は、クラスの番号が減少する方向に走行している。ここで、線路切換器の切換方向に誤りが発生した場合、列車T1ないしT4に対する危険側進路(dangerous side route)である第1ないし第4の危険側進路を定義することができる。例えば、第1の危険側進路は、線路切換器P1の線路切換方向が反位モード(reverse mode)の状態で列車T1に対して生成される進路である[C21+P1+C24]に該当する。図6bに示す公称方向グラフを参照すると、列車T1は、線路切換器P1が定位モードである場合にクラス21からクラス24に到達することができる。しかし、線路切換器P1が反位モードにあるので、列車T1はクラス24に到達できず脱線することになる。第2の危険側進路は線路切換器P1の方向が定位モード(normal mode)の状態で列車T2に対して生成される進路である[C22+P2-C23-P1+C24]に該当する。図6bに示す公称方向グラフを参照すると、列車T2は、線路切換器P1が反位モードの場合にクラス23からクラス24に到達することができる。しかし、線路切換器P1が定位モード状態であるため、列車T2はクラス24に達せず脱線することになる。第3の危険側進路は、線路切換器P2の方向が定位モードの状態で列車T3に対して生成される進路である[C24+P1-C23-P2+C22]に該当する。図6cに示す逆方向グラフを参照すると、列車T3は、線路切換器P2が反位モードである場合にクラス23からクラス22に到達することができる。しかし、線路切換器P2が定位モード状態であるため、列車T3はクラス22に到達できず脱線することになる。第4の危険側進路は、線路切換器P2の方向が反位モードの状態で列車T4に対して生成される進路である[C25+P2+C22]に該当する。図6cに示す逆方向グラフを参照すると、列車T4は、線路切換器P2が定位モードである場合にクラス25からクラス22に到達することができる。しかし、線路切換器P2が反位モード状態であるため、列車T4はクラス22に到達できず脱線することになる。
【0069】
図9aないし図9dに係る左側領域ノードに対する最終進路行列にて、進路生成部710が生成したクラス21又はクラス22からクラス28ないしクラス33までの列車の進出入進路に対する全ての場合の数は、表1のように羅列することができる。ここで、クラス21又は22は、図5に示すトラックレイアウトの左側端に位置するノードである。クラス28ないし33はトラックレイアウトの駅停車地点(station dwell point)に該当する。
【0070】
[表1]
【0071】
列車進路生成装置700が管制ATSのミッションから[C21-P21B+C24+P23+C30]に該当する列車の進路情報を受信する場合、進路検証部712は表1を探索して3番目行の進路P(C21,C30)を出力する。進路P(C21,C30)が含む経路は、[C21+P21B+C24+P23+C30]に該当するので、進路検証部712は、線路切換器P21Bの切換方向に誤りが発生したと判断する。すなわち、進路検証部712は、列車が受信した進路情報に従って線路を走行する場合、脱線、衝突及び追突のうちのいずれかの状況が発生する危険状況であることと検証する。一方、進路検証部712は、線路切換器の線路切換方向が正確で安全であると判断した場合、管制ATSから受信した進路を最終進路として出力する。進路検証部712は、通信モジュール704を介して最終進路を管制ATSに伝送する。これにより、本開示の一実施例に係る列車進路生成装置700は、列車の進路内に位置する線路切換器の線路切換方向が安全であるか否かを事前に確認することにより、危険側経路に対する防護が可能になるという効果がある。
【0072】
通信モジュール704はプロセッサ702につながり、外部ネットワークへのアクセスを提供する。例えば、列車進路生成装置700は、通信モジュール704を介して他の装置、例えば地上装置又は車上装置と通信を行うことができる。通信モジュール704は、例えば、送信フィルタ、受信フィルタ、アンプ、ミキサ(mixer)、発振器(oscillator)、DAC(Digital to Analog Convertor)、及びADC(Analog to Digital Convertor)などの全部又は一部を含む。
【0073】
DB706は、路線のトラックレイアウトのデータベースである。DB706は、例えば、路線上に設置した全ての地上子(又はTag)IDと、地上子基準座標系(ETCS SRS-subset 026)として表現した施設を含む。ここで、施設物は、線路切換器、乗り場プラットフォーム、踏切遮断器(crossing gate)、乗り場安全扉PSD(Platform Screen Door)を含む。例えば、乗り場プラットフォームの始点及び終点は、それぞれ、線上の特定の地上子IDからの変位に応じて、整数型変数であるオフセット(offset)として表すことができる。
【0074】
図10は、本開示の一実施例に係る列車進路生成装置が同じクラスに向かって互いに異なるクラスから進出しようとする複数の列車のリソースを割り当てる実施例を説明するための例示図である。
【0075】
図10では、クラス31及び30に停車した列車T1及びT2がクラス22に向かって進出しようとする状況であることを前提とする。一実施例で、列車T1は列車T2より先にクラス22までのリソースに対する移動権限を確保することができる。具体的には、列車T1に搭載した列車進路生成装置は、進路P(C30,C22)を呼び出した後、クラス31とクラス22との間に位置する少なくとも1つの線路切換器を排他的に鎖錠(lock)する。列車T1は、確保したリソースに基づいて、クラス31からクラス22まで移動できるようになる。列車T2は、クラス30からクラス22までの進路を検証するために、表1を探索して進路P(C30,C22)を呼び出し、列車T1の進路と衝突する可能性がある限界地点を探索する。具体的には、列車T2に搭載した列車進路生成装置は、列車T1によって制限したリソースの限界地点であるクラス23までのリソースを確保する。すなわち、列車T2は、クラス30とクラス23との間に位置する少なくとも1つの線路切換器を鎖錠し、クラス30からクラス23までのみ移動できるようになる。
【0076】
図2に示す従来のCBTCの連動装置と対比し、提案した列車進路生成装置700に含まれる連動ロジックは移動閉塞環境の特性を用いて分岐領域でのリソースを効率的に管理できるようになるという効果がある。
【0077】
すなわち、提案した列車進路生成装置700に含まれる連動関数(interlocking function)は、進路の方向に対する検証を行い、進路内に存在する列車と重なる進路を許容することで移動閉塞方式(moving block principle)の利点を最大化できる。
【0078】
本明細書で説明する装置及び方法の様々な具現例は、デジタル電子回路、集積回路、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実現できる。そのような様々な具現例は、プログラマブルシステム上で実行可能な1つ以上のコンピュータプログラムで具現することを含み得る。プログラマブルシステムは、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス、そして少なくとも1つの出力デバイスからデータ及び命令を受信し、それらにデータ及び命令を伝送するように結合した少なくとも1つのプログラマブルプロセッサ(これは特殊目的プロセッサであるか、あるいは汎用プロセッサである)を含む。コンピュータプログラム(これはまた、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、あるいはコードとして知られている)は、プログラマブルプロセッサに対する命令語を含み、「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」に保存する。
【0079】
コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取ることができるデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。このようなコンピュータが読み取り可能な記録媒体は、ROM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、メモリカード、ハードディスク、光磁気ディスク、ストレージデバイスなどの不揮発性(non-volatile)又は非一時的な(non-transitory)媒体又はデータ転送媒体(data transmission medium)などのような一時的な(transitory)媒体をさらに含んでもよい。また、コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、ネットワークでつながったコンピュータシステムに分散され、分散方式でコンピュータが読み取り可能なコードを保存して実行してもよい。
【0080】
本明細書で説明した装置及び方法の様々な具現例は、プログラム可能なコンピュータによって具現することができる。ここで、コンピュータは、プログラム可能なプロセッサ、データ保存システム(揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又は他の種類の保存システム、又はそれらの組み合わせを含む)、及び少なくとも1つのコミュニケーションインターフェースを含む。例えば、プログラム可能なコンピュータは、サーバ、ネットワーク機器、セットトップボックス、組み込み型デバイス、コンピュータ拡張モジュール、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、PDA(Personal Data Assistant)、クラウドコンピューティングシステム、又はモバイルデバイスのうちの1つである。
【0081】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したに過ぎず、本発明の実施例は、本実施例の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本実施例の技術思想の範囲が限定されるわけではない。本実施例の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術思想は、本実施例の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0082】
700:列車進路生成装置 702:プロセッサ
704:通信モジュール 706:DB
708:グラフ生成部 710:進路生成部
712:進路検証部
【0083】
CROSS-REFERENCE TO RELATED APPLICATION
本特許出願は、2020年9月30日付で韓国に出願した特許出願番号10-2020-0130331号に対し、米国特許法119(a)条(35 USC§119(a))に従って優先権を主張し、そのすべての内容は参考文献として本特許出願に併合される。なお、本特許出願は米国以外に国に対しても前記と同様の理由で優先権を主張し、そのすべての内容は参考文献として本特許出願に併合される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図10
【国際調査報告】