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特表2024-501096製品をコーティングするためのデバイス、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】製品をコーティングするためのデバイス、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 3/00 20060101AFI20231228BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20231228BHJP
   A23B 7/16 20060101ALI20231228BHJP
   B05B 13/02 20060101ALI20231228BHJP
   B05D 3/04 20060101ALI20231228BHJP
   A23P 20/15 20160101ALI20231228BHJP
   A23L 3/00 20060101ALI20231228BHJP
   B05C 9/14 20060101ALN20231228BHJP
   B05C 13/00 20060101ALN20231228BHJP
   B05C 11/10 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
B05D3/00 D
A23L5/00 F
A23B7/16
B05B13/02
B05D3/04 Z
A23P20/15
A23L3/00 102
B05C9/14
B05C13/00
B05C11/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520412
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 US2021071995
(87)【国際公開番号】W WO2022087632
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】63/104,600
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】516027797
【氏名又は名称】アピール テクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ロス,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヘーゲル,コディ
(72)【発明者】
【氏名】パティソン,リチャード
【テーマコード(参考)】
4B021
4B035
4B048
4B169
4D075
4F035
4F042
【Fターム(参考)】
4B021LA08
4B021LA14
4B021LT02
4B021LT03
4B021LW02
4B021MQ04
4B035LC05
4B035LC16
4B035LE20
4B035LG07
4B035LG08
4B035LG32
4B035LK13
4B035LP26
4B035LT09
4B048PE09
4B048PN02
4B048PN20
4B048PN23
4B048PN30
4B169FA02
4B169HA07
4B169HA11
4B169KA01
4B169KA02
4B169KA08
4B169KA10
4B169KB01
4B169KB02
4D075AA01
4D075AA55
4D075AA81
4D075AA82
4D075AA83
4D075AA84
4D075AA85
4D075AA86
4D075AE01
4D075BB24Z
4D075BB91Y
4D075BB92Y
4D075BB93Y
4D075BB95Y
4D075EA05
4D075EA06
4D075EC07
4D075EC30
4D075EC54
4F035AA01
4F035AA02
4F035CA02
4F035CA05
4F035CB03
4F035CB13
4F035CB21
4F035CB26
4F035CB29
4F035CC01
4F035CC04
4F042AA01
4F042BA04
4F042BA08
4F042BA13
4F042BA19
4F042BA20
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB19
4F042DB02
4F042DB26
4F042DB27
4F042DB31
4F042DB36
4F042DB37
4F042DF17
4F042DF24
4F042DH09
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 生鮮品をコーティングで処理する方法について説明する。一実施形態では、方法は、乾燥トンネルに関連する動作パラメータを識別する工程と、所望のコーティング要件を識別する工程と、動作パラメータ及び所望のコーティング要件に基づいて最適な乾燥トンネルパラメータを決定する工程と、最適な乾燥トンネルパラメータに基づいて乾燥トンネルを動作させる工程と、を含む。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置を用いて、複数の物品をコーティング混合物で処理する方法であって、前記方法は、
前記処理装置に関連する第1のデータを識別する工程と、
前記複数の物品に関連する第2のデータを識別する工程と、
前記コーティング混合物に関連する第3のデータを識別する工程と、
前記複数の物品に対するコーティングの所望の特性を表すコーティング要件を決定する工程と、
前記第1のデータ、前記第2のデータ、前記第3のデータ、及び前記コーティング要件に基づいて、処理プロセスパラメータを決定する工程と、
前記処理プロセスパラメータに基づいて前記処理装置を設定する工程と、
前記処理装置を動作させて前記複数の物品を前記コーティング混合物で処理する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記コーティング混合物が、コーティング剤、水性溶液、及び溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理装置は、
前記複数の物品を支持するように構成され、前記複数の物品をその上で搬送するように回転可能であるコンベアベッドと、
前記コンベアベッド上の前記複数の物品に前記コーティング混合物を塗布するように構成される1つ以上のスプレーヤーと、
前記溶媒が前記複数の物品から少なくとも部分的に除去され、前記コーティング剤の保護膜が前記複数の物品上に形成されるように、前記複数の物品に空気を吹き付けるように構成される1つ以上のブロワーと、
周囲温度よりも高い所定温度の空気を加熱するように構成される熱交換器と、
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のデータは、質量スループット、前記周囲温度、周囲湿度、熱交換器後温度、熱交換器後湿度、物品経路空気速度、コンベア長、コンベア幅、及び加熱室の高さのうち少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のデータは、前記物品の形状、前記物品の密度、前記物品の熱伝導率、前記物品の皮厚、前記物品の水分量、前記物品の組成、又は前記物品の表面積のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第3のデータは、付着率、動的粘性、質量拡散率、比熱容量、気化潜熱、熱伝導率、密度、熱移動率、又は質量移動率のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
処理プロセスパラメータを決定する工程は、
前記処理装置を通る滞留時間を設定する工程と、
前記処理プロセスパラメータを監視する工程と、
前記処理装置に関連する変数が閾値を満たすかどうかを判定する工程であって、前記閾値は前記コーティング要件を表す、判定する工程と、
前記変数が前記閾値を満たすことに基づいて、前記変数を前記処理プロセスパラメータとして識別する工程と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
処理プロセスパラメータを決定する工程は、
前記第1データ、前記第2データ、前記第3データ、及び前記コーティング要件の入力を有する前記処理プロセスモデルに基づいて、前記処理プロセスパラメータを予測する工程を含む。請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記処理プロセスパラメータを決定する工程は、
処理プロセスモデルを決定する工程と、
前記第1のデータ、前記第2のデータ、前記第3のデータ、及び前記コーティング要件に基づいて、前記処理プロセスモデルを適合させる工程と、
前記適合した処理プロセスモデルに基づいて、前記処理プロセスパラメータを予測する工程と、
を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記処理装置の動作に基づき、前記処理プロセスモデルを検証する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記処理装置が、加熱対流ベースの乾燥装置を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記コーティング混合物が、モノグリセリド及び脂肪酸塩を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティング混合物が、50%~99%の間のモノグリセリドと、1%~50%の間の脂肪酸塩を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記物品の前記滞留時間が150秒~180秒の間である、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記処理プロセスパラメータが、平均システム温度を含み、前記平均システム温度が65℃より大きい、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記処理プロセスパラメータが、製品経路空気速度を含み、前記製品経路空気速度が3m/s~6m/sの間である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記処理プロセスパラメータが、前記装置内の相対湿度を含み、前記相対湿度が15%未満である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記コーティング要件が、0.1ミクロン~5ミクロンの間のコーティング厚さを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記コーティング要件が、コーティングモザイシティ要件、又は二層積層モザイシティのうちの1つを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
コーティング混合物で物品を処理する方法であって、
乾燥トンネルに関連する動作パラメータを識別する工程と、
所望のコーティング要件を識別する工程と、
前記動作パラメータ及び前記所望のコーティング要件に基づいて、最適な乾燥トンネルパラメータを決定する工程と、
前記最適な乾燥トンネルパラメータに基づいて、前記乾燥トンネルを動作させる工程と、
を含む、方法。
【請求項21】
前記コーティング要件が、コーティング厚さ、又はコーティングモザイシティのうちの1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
コーティングされた製品を乾燥させるための処理システムであって、
乾燥トンネル制御装置と、
コーティングされた製品を受け取る第1の端部と、前記コーティングされた製品を第2の端部に向かって進めるコンベアと、を有する乾燥トンネルであって、前記乾燥トンネルは、前記乾燥トンネルの1つ以上の処理プロセスパラメータを所定の範囲内に維持するように前記乾燥トンネル制御装置によって制御され、前記処理プロセスパラメータは、平均システム温度及びコンベア速度を含み、前記コンベア速度が、前記乾燥トンネルの第1の端部に入る前の前記製品の温度に少なくとも部分的に基づく、前記乾燥トンネルと、
を含む、処理システム。
【請求項23】
前記1つ以上の処理プロセスパラメータは、平均システム温度を含み、前記平均システム温度は65℃より大きい、請求項22に記載の処理システム。
【請求項24】
前記コンベア速度は、前記乾燥トンネル内の製品滞留時間が90秒~240秒となるように制御される、請求項22又は23に記載の処理システム。
【請求項25】
前記1つ以上の処理プロセスパラメータは、製品経路空気速度を含み、前記製品経路空気速度は、3m/s~6m/sの間に維持される、請求項22~24のいずれか1項に記載の処理システム。
【請求項26】
前記1つ以上の処理プロセスパラメータは、平均相対湿度を含み、前記平均相対湿度は15%未満となるように制御される、請求項22~25のいずれか1項に記載の処理システム。
【請求項27】
前記処理プロセスパラメータは、製品の形状、製品の密度、製品の熱伝導率、製品の皮厚、製品の水分量、製品の組成、及び製品の表面積のうちの1つ以上に基づいて選択される、請求項22~26のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項28】
前記コーティングされた製品が液体コーティングを含み、前記液体コーティングが、水性溶液を含み、モノグリセリド及び脂肪酸塩を含む、請求項22~27のいずれか1項に記載の処理システム。
【請求項29】
前記液体コーティングが、50%~99%の間のモノグリセリドと、1%~50%の間の脂肪酸塩とを含む、請求項28に記載の処理システム。
【請求項30】
前記処理プロセスパラメータが、二層積層モザイシティを示す0.1ミクロン~5ミクロンの間の厚さを有する乾燥コーティングを前記製品上に形成するように構成される、請求項22~29のいずれか1項に記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2020年10月23日に出願された米国特許出願番号63/104,600の35USC§119(e)に基づく優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、生鮮品にコーティングを適用するためのデバイス、システム、及び方法など、製品の処理に関連するデバイス、システム、及び方法について説明する。
【背景技術】
【0003】
食品、農産物、及び生鮮食品などの一般的な製品は、環境に晒されると劣化や分解(すなわち、腐敗)を起こしやすい。製品の劣化は、農産物の外表面から大気への水分の蒸発損失、環境から農産物に拡散した酸素による酸化、表面に対する機械的損傷、及び/又は光誘発の劣化(すなわち光分解)の結果として、非生物学的手段を介して起こり得る。さらに、細菌、真菌、ウイルス、及び/又は害虫などの生物学的ストレス要因も農産物に侵入し、分解される可能性がある。
【0004】
多くの製品は梱包工場で扱われ、そこで選別され梱包される。市販の梱包ラインでは、農産物を保存するワックス、細菌又は他の生物学的ストレス要因を低減又は除去する除菌剤、及び/又は農産物の上に保護膜を形成できる溶液などで処理されることがある。これらのいくつかの行程は人手で行うこともできるが、工程を自動化したり、より簡単に工程を行ったりすることができる産業機器も有効である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、食品、非食品、パッケージ、農産物、及び他の生鮮品又は分解性の物品などの物品を処理するためのデバイス、システム、及び方法を含む。このような物品の処理には、コーティング剤を物品上に塗布し、物品の表面に層が形成されるまで乾燥させることによって、物品の表面上へのコーティングの形成が含まれる。いくつかの実装において、コーティング剤は、水性溶液である。製品の処理は、溶液から少なくとも一部の水分を除去することを容易にする様々なタイプの乾燥機器によって行うことができる。いくつかの実装において、加熱対流ベースのシステムは、物品の表面上に塗布されるコーティング剤を乾燥させるために使用され得る。物品上のコーティング剤を十分に加熱蒸発乾燥させることによって、製品の安定性向上や下流機器の清浄性及び機能性向上など、さまざまなメリットを得ることができる。いくつかの実施形態において、所定のパラメータ下でコーティング剤を乾燥させることによって、製品の賞味期限を延ばすコーティングの性能を高める所望の特性を有するコーティングを促進することができる。
【0006】
様々な例示的な実施形態において、乾燥プロセスパラメータは、所望の乾燥性又は他のコーティング特性を達成するために選択することができる。水性コーティング溶液は、比較的高い含水率(例えば、いくつかのワックスベースのコーティング混合物よりも高い)を含むことができる。水性コーティング溶液の塗布と乾燥は、乾燥システム内の滞留時間、空気の乱れ、温度、湿度、及び他のパラメータによって制御することができる。水性コーティング溶液及び塗布/乾燥パラメータは、コーティング厚さ、モザイシティなどの1つ以上の所定の特性を有する物品上のコーティング層を提供するように選択することができる。いくつかの任意の実施形態において、乾燥システムは、水性コーティング溶液からの水の除去を促進し、所定のコーティング厚さ、モザイシティなどを有するコーティング層の形成を促進するために、比較的高い温度を使用し得る。
【0007】
いくつかの任意の実装では、物理ベースの蒸発乾燥モデルは、1つ以上のパラメータに基づいてコーティング特性をシミュレートするために使用できる。例えば、モデルは、乾燥機器の異なる場所における空気の温度及び/又は湿度、乾燥機器を通る製品の滞留時間、乾燥機器の異なる場所における空気の速度、温度、形状、システム内の製品の質量流率、周囲の温度及び湿度などの入力特性、並びに製品へのコーティング溶液の塗布及び乾燥に影響を及ぼす他の特性を考慮しても良い。このようなデータ及びモデル評価から、一連の乾燥プロセスパラメータ要件を確立し、所望の結果(例えば、コーティング要件)を満たす処理システムの動作、選択、及び/又は設計、あるいは既存の処理システム(例えば、異なるコーティング組成物で以前に使用されていたもの)の設定又は修正に使用することができる。
【0008】
いくつかの実装において、所望の結果は、製品上のコーティング剤の所望の乾燥度、コーティング厚さ、コーティングモザイシティ、乾燥時間、所定期間にわたるコーティングされた製品の質量損失係数等を含む。例示的な実施形態において、処理システムは、コーティング厚さ、コーティングモザイシティ、乾燥値、及びスループット要件(例えば、物品の質量/体積及び滞留時間)などの競合する特性のバランスをとるように設計し、構成し、及び/又は動作させても良い。例えば、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、製品が乾燥トンネルを出るときに所望の乾燥度を提供しながら、所定範囲内の温度(例えば、製品を損傷することを避ける安全範囲内にあるように十分に冷たく、製品表面からの水の蒸発/コーティング層の形成を促進するように十分に熱い)を有する空気/ガスを使用しながら、比較的速く所定量の製品のコーティングを促進する。追加的に、又は代替的に、他の特性は、選択的に、コーティングの質量の量、溶媒(例えば、水)の量、コーティング溶液の濃度、溶媒(例えば、水)の蒸発速度、物品を損傷せずに乾燥する時間枠、乾燥コーティングの厚さなど、モデルを使用して少なくとも部分的に決定及び制御することができる。
【0009】
様々な例示的実施形態において、所定のプロセスパラメータに基づく処理システムの動作は、所望の結果(例えば、乾燥度、コーティングの厚さ、コーティングモザイシティ、コーティング製品の質量損失係数、及び/又は他のコーティング要件)を予測可能に達成できるように、処理システムが乾燥条件(例えば、乾燥装置の異なる位置における空気温度、湿度、及び/又は空気速度、乾燥機器を通る物品の滞留時間、その他の適した乾燥変数)を与えることを可能にする。本明細書に記載される様々な実施形態は、生鮮食料品等の賞味期限を延ばすコーティング層を提供しながら、廃棄物(例えば、コーティング廃棄物、水廃棄物等)を減らし、持続可能性を高め、及びエネルギー消費及びカーボンフットプリントを減らすことができる、処理機器、及び処理機器の動作を容易にするものである。代替的に、又は追加的に、いくつかの例示的な実施形態は、残留水分を除去するための意図的な「ノックオフ」プロセス(例えば、製品の表面から液体コーティング剤を強制的に吹き飛ばすなど)なしでの動作を容易にする。
【0010】
所望の乾燥性又は乾燥/コーティング性能は、1つ以上の因子によって表され得る。いくつかの実装において、質量損失率は、乾燥性又は乾燥/コーティング性能の指標として使用され得る。液体コーティング剤で覆われた製品の場合、質量損失率は、物品が乾燥し、コーティングの水分が蒸発する際のコーティングされた物品からの水分量の損失に関連し得る。いくつかの実装において、質量損失率は、液体コーティング中の水が蒸発するにつれて物品上の液体コーティングの質量が減少することから、蒸発率として記載し得る。いくつかの実装において、所望の乾燥性又は乾燥/コーティング性能を表す所定の質量損失率を達成するために、一連の乾燥プロセスパラメータ要件を決定することができる。
【0011】
本明細書に記載のデバイス、システム、及び技術のいくつかの実施形態は、以下の利点のうちの1つ以上を提供し得る。第一に、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、生鮮品又は他の製品への水性コーティング溶液の適用を容易にする。水性コーティング溶液は、例えば、味、外観、及び触感に実質的な影響を与えることなく、賞味期限を延ばすために製品上に所望のコーティング特性を提供するように配合することができる。いくつかの実施形態では、塗布システムは、長期間にわたって製品の質量損失(例えば、水分損失から)を低減するコーティング層を製品上に提供するように動作させても良い。
【0012】
第二に、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、製品上のコーティング層の有効性を促進する方法で、水性コーティング溶液の適用及びコーティングを容易にする。例えば、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、所望のコーティング厚さ範囲内で製品上に実質的に均一なコーティングを提供するパラメータ、コーティングモザイシティなどに従ったコーティングシステムの動作を容易にすることができる。厚みの範囲は、製品からの水分損失を減らし、及び/又は保護バリアを提供するのに十分であり、一方で製品の自然な熟成を可能にするのに十分な薄さである。いくつかの実施形態において、加熱乾燥が処理システムによって促進され、その結果、(例えば、周囲温度での乾燥から形成されるコーティング組成物と比較して)強化された性能を有するコーティングをもたらし得る。例えば、乾燥温度を比較的高くすることで、二層積層モザイシティを低下させることができ、これはコーティング性能の向上と関連させることができる。強化された性能は、(例えば、異なる化学、異なる厚さ、又は異なる乾燥温度で形成されたコーティング等と比較して)製品の賞味期限の延長を提供し得る。
【0013】
第三に、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、システムの1つ以上の既知の入力に基づいて、乾燥システムの指定及び構築、ならびに/又は乾燥システムの動作を容易にする。例えば、乾燥システムは、例えば、乾燥システムを通る質量流量(例えば、コーティングされる製品の)、周囲温度、周囲湿度、熱交換器後の温度、熱交換器後の湿度、製品経路空気速度、コンベア長、コンベア幅、及び加熱室の高さ、製品の形状、密度、温度、熱伝導率、皮厚、水分量、組成、及び表面積、コーティング液付着率、動的粘性、質量拡散率、比熱容量、気化潜熱、熱伝導率、密度、熱移動率、及び質量移動率、などの1つ以上の入力に基づく1つ以上の計算されたパラメータに従って動作させることができる。いくつかの任意の実施形態において、1つ以上の入力を使用して、製品を予測して処理し、所望のコーティング特性を提供するように塗布及び乾燥システムを動作させることができ、動作パラメータを連続的に変更する必要性や、製品がシステムを通過する際に観察される特性に主に基づいて出力パラメータを選択する必要性を減らすことができる。
【0014】
第四に、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、比較的高い水含有量を有するコーティング溶液のエネルギー効率的な適用を容易にする。このシステムは、所望の特性を有するコーティングを提供するために十分な乾燥(例えば、蒸発)を達成し、下流の機器の清浄度を維持し、比較的小さな長さ/フットプリントを有するように、高度な一貫性を持って制御することができる。いくつかの任意の実施形態において、乾燥プロセスは実質的に又は完全に蒸発乾燥の結果として起こり、乾燥システムを通過する際に「ノックオフ」又はその他の方法で失われるコーティング溶質を制限して、乾燥製品上のコーティング層として維持されるコーティング溶質の高い割合を促進する。
【0015】
第五に、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、所望の特性を有する一貫したコーティングを提供する際に高い予測可能性を維持しながら、1つ以上の入力が変化した場合に、塗布及び乾燥システムに対する制御された調整/修正を容易にする。例えば、製品タイプ、製品温度、質量流量、周囲温度、周囲湿度など、1つ以上の入力が変化した場合に、所望のコーティング厚さ、コーティングモザイシティを維持し、エネルギー使用量を減らすなど、システムを調整/修正することができる。
【0016】
本明細書に記載される特定の実施形態は、処理装置を使用して、複数の物品をコーティング混合物で処理する方法を提供し、前記方法は、前記処理装置に関連する第1のデータを識別する工程と、複数の物品に関連する第2のデータを識別する工程と、前記コーティング混合物に関連する第3のデータを識別する工程と、複数の物品にわたるコーティングの所望の特性を表すコーティング要件を決定する工程と、第1のデータ、第2のデータ、第3のデータ、及びコーティング要件に基づいて処理プロセスパラメータを決定する工程と、前記処理プロセスパラメータに基づいて前記処理装置を設定する工程と、前記処理装置を動作させて前記複数の物品を前記コーティング混合物で処理する工程と、を含む。
【0017】
いくつかの実装では、本方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を選択的に含んでも良い。コーティング混合物は、コーティング剤と溶媒を含んでも良い。処理装置は、複数の物品を支持するように構成され、複数の物品をその上に搬送するように回転可能であるコンベアベッドと、前記コーティング混合物を前記コンベアベッド上の前記複数の物品に塗布するように構成される1つ以上のスプレーヤーと、前記溶剤が前記複数の物品から少なくとも部分的に除去されて前記コーティング剤の保護膜が複数の物品上に形成されるように前記複数の物品に空気を吹き付けるように構成される1つ以上のブロワーと、周囲温度より高い所定の温度で空気を加熱するように構成される熱交換器と、を含んでも良い。第1のデータは、質量スループット、周囲温度、周囲湿度、熱交換器後温度、熱交換器後湿度、物品経路風速、コンベア長、コンベア幅、吸気速度(例えば、新鮮な空気が受動的及び/又は能動的にシステムに導入される速度)、又は加熱室の高さのうち少なくとも1つを含んでも良い。第2のデータは、物品の温度(例えば、物品の平均温度又は保存温度)、物品の形状、物品の密度、物品の熱伝導率、物品の皮厚、物品の含水率、物品の組成、又は物品の表面積のうちの少なくとも1つを含んでも良い。第3のデータは、付着率、動的粘性、質量拡散率、比熱容量、気化潜熱、熱伝導率、密度、熱移動率、又は質量移動率の少なくとも1つを含んでも良い。処理プロセスパラメータを決定することは、処理装置を通る滞留時間を設定すること、処理プロセスパラメータを監視すること、処理装置に関連する変数が閾値を満たすかどうかを判定すること、閾値を満たす変数に基づいて、変数を処理プロセスパラメータとして識別することを含んでも良い。処理プロセスパラメータを決定することは、第1のデータ、第2のデータ、第3のデータ、及びコーティング要件の入力を有する処理プロセスモデルに基づいて、処理プロセスパラメータを予測することを含んでも良い。処理プロセスパラメータを決定することは、処理プロセスモデルを決定することと、第1のデータ、第2のデータ、第3のデータ、及びコーティング要件に基づいて処理プロセスモデルを適合させることと、適合させた処理プロセスモデルに基づいて処理プロセスパラメータを予測することと、を含んでも良い。方法は、処理装置の動作に基づき、処理プロセスモデルを検証することを含んでも良い。処理装置は、加熱対流ベースの乾燥装置を含んでも良い。
【0018】
コーティング混合物は、水性溶液を含んでも良い。コーティング混合物は、モノグリセリドと脂肪酸塩を含んでも良い。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、約50質量%~約99質量%の量で混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、約90質量%~約99質量%の量でコーティング混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、約95質量%の量でコーティング混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、炭素数10より長いか又はそれと同等の炭素鎖長(例えば、11より長い、12より長い、14より長い、16より長い、18より長い)を有するモノグリセリドを含む。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、炭素数20より短いか又はそれと同等の炭素鎖長(例えば、18より短い、16より短い、14より短い、12より短い、11より短い、10より短い)を有するモノグリセリドを含む。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、C16モノグリセリド及びC18モノグリセリドを含む。いくつかの実施形態において、脂肪酸塩は、約1質量%~約50質量%の量でコーティング混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態において、脂肪酸塩は、約1質量%~約10質量%の量でコーティング混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態において、脂肪酸塩は、約5質量%の量でコーティング混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態において、脂肪酸塩は、C16脂肪酸塩、C18脂肪酸塩、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、脂肪酸塩は、C16脂肪酸塩及びC18脂肪酸塩を含む。いくつかの実施形態において、C16脂肪酸塩とC18脂肪酸塩とは、約50:50の比率で存在する。いくつかの実施形態において、コーティング混合物は、細胞、生物学的シグナル伝達分子、ビタミン、ミネラル、酸、塩基、塩、顔料、アロマ、酵素、触媒、防菌剤、抗菌剤、時間放出薬、及び類似物などの添加物、又はそれらの組み合わせをさらに含むが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、コーティング混合物は、約1g/L~約50g/Lのコーティング混合物の濃度を有する溶液、懸濁液、又はエマルジョンの形態で製品に塗布され得る。いくつかの実施形態において、単一のコーティングが製品に塗布される。いくつかの実施形態において、複数のコーティングを製品に塗布されても良い。いくつかの実施形態において、2、3、4、又は5つのコーティングが製品に塗布される。
【0019】
滞留時間は、150秒~180秒の間であっても良い。処理プロセスパラメータは、平均システム温度を含んでも良く、平均システム温度は、65℃(例えば、約65℃、プラスマイナス5℃)であっても良い。処理プロセスパラメータは、製品経路風速を含んでも良く、製品経路空気速度は3m/s~6m/sの間であっても良い。処理プロセスパラメータは、システム内の相対湿度を含んでも良く、相対湿度は15%未満であっても良い。塗布要件としては、コーティング厚さ、コーティングモモザイシティ、二層積層モザイシティ等を含んでも良い。物品は、生鮮品であっても良い。物品は、農産物物品であっても良い。物品は、非食用物品であっても良い。物品は、アボカド、レモン、オレンジ、リンゴ、プラム、グレープフルーツ、桃、柑橘類、ベリー類、ピーマン、トマト、葉物、果物、野菜、豆類、ナッツ、花、加工食品、キャンディー、ビタミン、及び栄養補助食品からなる群から選択されても良い。
【0020】
本明細書に記載される特定の実施形態は、乾燥トンネルに関連する動作パラメータを識別する工程と、所望のコーティング要件を識別する工程と、動作パラメータ及び所望のコーティング要件に基づいて最適乾燥トンネルパラメータを決定する工程と、最適な乾燥トンネルパラメータに基づいて乾燥トンネルを動作させる工程を含む、コーティング混合物で物品を処理する方法を提供する。いくつかの実装において、コーティング要件は、コーティング厚さ、コーティングモザイシティ、二層積層モザイシティなどを含んでも良い。
【0021】
本明細書に記載される特定の実施形態は、乾燥トンネルが物品上に所望のコーティングを生成することを可能にする最適な乾燥トンネルパラメータを決定し、最適な乾燥トンネルに基づいて乾燥トンネルを動作させる工程を含む、コーティング混合物で物品を処理する方法を提供する。
【0022】
本明細書に記載の特定の実施形態は、コーティング混合物で物品を処理する方法を提供する。本方法は、乾燥トンネルが1つ以上のコーティング要件を有する物品にコーティングを生成することを可能にする乾燥トンネルパラメータを決定するための手段を含んでも良い。いくつかの実装において、本方法は、乾燥トンネルパラメータに基づいて乾燥トンネルを動作させるための手段を含んでも良い。
【0023】
本明細書に記載の特定の実施形態は、コーティングされた物品を乾燥させるための処理システムを提供する。処理システムは、乾燥トンネル制御装置によって制御される乾燥トンネルを含んでも良い。乾燥トンネル制御装置は、1つ以上の処理プロセスパラメータを所定の範囲内に維持するように構成されても良い。
【0024】
いくつかの実装において、本方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を選択的に含んでも良い。1つ以上の処理プロセスパラメータは、平均システム温度を含んでも良い。平均システム温度は、65℃を超えても良い。1つ以上の処理プロセスパラメータは、コンベア速度を含んでも良い。コンベア速度は、乾燥トンネル内の製品滞留時間が90秒~240秒となるように制御されても良い。1つ以上の処理プロセスパラメータは、製品経路空気速度を含んでも良い。製品経路空気速度は、3m/s~6m/sの間で維持されても良い。1つ以上の処理プロセスパラメータは、平均相対湿度を含んでも良い。平均相対湿度が15%未満となるように制御されても良い。処理プロセスパラメータは、乾燥トンネルに入る前の製品の温度、製品の形状、製品の密度、製品の熱伝導率、製品の皮厚、製品の水分量、製品の組成、及び製品の表面積に基づいて選択することができる。
【0025】
製品は、液体コーティングを含んでも良い。コーティングは、水性溶液を含んでも良い。コーティング混合物は、モノグリセリドと脂肪酸塩を含んでも良い。コーティング混合物は、モノグリセリドと脂肪酸塩を含んでも良い。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、約50質量%~約99質量%の量で混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、約90質量%~約99質量%の量でコーティング混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、約95質量%の量でコーティング混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、炭素数10より長いか又はそれと同等の炭素鎖長(例えば、11より長い、12より長い、14より長い、16より長い、18より長い)を有するモノグリセリドを含む。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、炭素数20より短いか又はそれと同等の炭素鎖長(例えば、18より短い、16より短い、14より短い、12より短い、11より短い、10より短い)を有するモノグリセリドを含む。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、C16モノグリセリド及びC18モノグリセリドを含む。いくつかの実施形態において、脂肪酸塩は、約1質量%~約50質量%の量でコーティング混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態において、脂肪酸塩は、約1質量%~約10質量%の量でコーティング混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態において、脂肪酸塩は、約5質量%の量でコーティング混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態において、脂肪酸塩は、C16脂肪酸塩、C18脂肪酸塩、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、脂肪酸塩は、C16脂肪酸塩及びC18脂肪酸塩を含む。いくつかの実施形態において、C16脂肪酸塩とC18脂肪酸塩とは、約50:50の比で存在する。いくつかの実施形態において、コーティング混合物は、細胞、生物学的シグナル伝達分子、ビタミン、ミネラル、酸、塩基、塩、顔料、アロマ、酵素、触媒、防菌剤、抗菌剤、時間放出薬、及び類似物などの添加物、又はそれらの組み合わせをさらに含むが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、コーティング混合物は、約1g/L~約50g/Lのコーティング混合物の濃度を有する溶液、懸濁液、又はエマルジョンの形態で製品に塗布され得る。いくつかの実施形態において、単一のコーティングが製品に塗布される。いくつかの実施形態において、複数のコーティングを製品に塗布されても良い。いくつかの実施形態において、2、3、4、又は5つのコーティングが製品に塗布される。
【0026】
処理プロセスパラメータは、0.1ミクロン~5ミクロンの間の厚さを有する乾燥コーティングを物品上に形成するように構成されても良い。いくつかの実施形態では、物品上の乾燥コーティングは、0.1ミクロン~20ミクロンの間の厚さを有しても良い。処理プロセスパラメータは、二層積層モザイシティを示す乾燥コーティングを物品に形成するように構成されても良い。物品は、生鮮品であっても良い。物品は、農産物物品、非食用物品などであっても良い。物品は、リンゴ、柑橘類、ベリー類、メロン、ピーマン、トマト、葉物野菜、果物、野菜、豆類、ナッツ、花、加工食品、キャンディ、ビタミン、栄養補助食品、及び類似物からなる群から選択されても良い。いくつかの実施形態において、物品は、リンゴ、アプリコット、アボカド、バナナ、ブルーベリー、ベイベリー、チェリー、クレメンタインマンダリン、キュウリ、カスタードアップル、イチジク、ブドウ、グレープフルーツ、グァバ、キウイフルーツ、ライム、ライチ、マメイサポテ、マンゴー、メロン、マウンテンパパイヤ、ネクタリン、オレンジ、パパイヤ、桃、洋ナシ、ピーマン、柿、パイナップル、プラム、イチゴ、トマト、スイカ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
1つ以上の実装の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴及び利点は、説明及び図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
図面の簡単な説明
図1図1A~Bは、処理システムの一例を示す。
図2図2は、例示的な処理パラメータシステムを示す。
図3図3は、例示的なコンベアシステムを示す。
図4A図4Aは、別の例示的なコンベアシステムを示す。
図4B図4Bは、例示的な処理装置を概略的に示す。
図5図5A~Cは、表面乾燥モデルの一例を示す。
図6図6は、乾燥装置の最適性能のための変数を決定するための例示的なプロセスのフローチャートである。
図7図7は、製品乾燥機モデルを適合させるための例示的なプロセスのフローチャートである。
図8図8A~Iは、図7のプロセスに基づく例示的な実験を示す。
図9図9は、製品乾燥機モデルを適合させるための別の例示的なプロセスのフローチャートである。
図10図10A~Fは、図9のプロセスに基づく実験の例を示す。
図11図11は、例示的な熱力学モデルを示す。
図12図12は、製品がトンネル内を搬送される際の残存水分質量の割合の変化を示す。
図13図13A~Dは、分析された乾燥機器のカスタマイズ案の例示的なレポートを示す。
図14図14は、本明細書に記載のシステム及び方法を実装するために使用され得るコンピューティングデバイスのブロック図である。
図15図15は、質量損失係数を処理条件と比較した棒グラフである。
図16図16は、呼吸と熟成時間を比較する散布図チャートである。
図17図17は、固さと熟成時間を比較した散布図チャートである。
図18図18は、萎凋の発生率を周囲条件での保存日数と比較した散布図チャートである。
図19図19処理条件に対する熱損傷%を比較した棒グラフである。
図20図20は、キュウリ表面温度と乾燥室内温度設定値とを比較した散布図チャートである。
図21図21は、萎んだチップの割合と乾燥室外の温度と停止時間を比較した棒グラフである。
図22図22は、停止時間に対して、萎んだチップと販売可能なサンプルの%とを比較した棒グラフである。
図23図23は、質量損失率と乾燥室外の温度を処理条件と比較した棒グラフである。
図24図24は、サンプルの非販売可能性%を処理後の時間と比較する散布図チャートである。
図25図25は、乾燥トンネルに存在する果実の皮の乾燥の発生率と温度とを処理条件と比較した棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1A~Bを参照すると、例示的な処理装置100が示される。処理装置100は、乾燥装置を含み得る。処理装置102は、食品、収穫した農産物または他の農産物、種子、非食品、包装等の物品を処理して、コーティング(例えば、溶剤、溶液、他のコーティング等)を形成するように構成される。例として、処理装置100は、リンゴ、柑橘類、ベリー類、メロン、ピーマン、トマト、葉物野菜、果物、野菜、豆類、ナッツ、花、加工食品、キャンディ、ビタミン、栄養補助食品、及び類似物などの製品を処理(例えば、コーティング、乾燥など)するように構成又は適用され得る。いくつかの実施形態では、処理装置100は、リンゴ、アプリコット、アボカド、バナナ、ブルーベリー、ベイベリー、チェリー、クレメンタインマンダリン、キュウリ、カスタードアップル、イチジク、ブドウ、グレープフルーツ、グアバ、キウイフルーツ、ライム、ライチ、マメイサポテ、マンゴー、メロン、マウンテンパパイヤ、ネクタリン、オレンジ、パパイヤ、桃、洋ナシ、ピーマン、柿、パイナップル、プラム、イチゴ、トマト、スイカ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される製品を処理するように構成又は適用され得る。
【0029】
例示的な実施形態において、処理装置100は、1つ以上の所望の特性を有するコーティング層を製造するために、水性コーティング溶液の塗布を促進する。処理装置100、及びその動作パラメータの1つ以上は、所定のコーティング厚さ、コーティングのモザイシティなどの所定の範囲内の特性を有するコーティングを製造しながら、コーティング溶液の比較的高い水分の乾燥を促進し得る。いくつかの実施形態において、製品(例えば、熱への長時間の曝露、又は閾値を超える温度に敏感である可能性がある)を損傷することなく、コーティング溶液の水分含有量の実質的な部分の蒸発を促進するために、比較的高い熱が製品に適用されることがある。
【0030】
処理装置100は、乾燥トンネル118と、乾燥トンネル118を通して製品を移動させるように構成されたコンベアシステム102とを含み得る。処理システムは、さらに、インフィードシステム、ベッド、1つ以上のコーティングアプリケーター、及び/又はパッキングステーションとともに使用されることができ、又はこれらを含むことができる。インフィードシステムは、物品が手動又は自動でローディングされるローディングシステムを含み得る。いくつかの実装において、物品は、例えば、インフィードシステムにおいて、サイズ、色、及び/又は熟成の段階によって選別され得る。代替的に、インフィードシステムに到着する前に、物品を選別することも可能である。ベッドは、処理装置100において、例えば、インフィードシステムから処理装置の異なる構成要素を介してパッキングステーションに物品を搬送するように構成される。ベッドは、ブラシベッド、転動並進コンベアなど、様々なタイプのものが使用され得る。アプリケーターは、ベッド上で搬送される物品上に処理剤を塗布するように動作させることができる。代替的に、又は追加的に、処理剤に浸漬することにより、処理剤を物品にコーティングしても良い。処理剤は、コーティング剤を含んでも良い。乾燥トンネル118は、水分を除去し、物品に塗布されたコーティング剤を乾燥させるように動作することができる。梱包ステーションは、搬送のために処理物品を梱包することを促進し得る。
【0031】
乾燥トンネルは、物品上のコーティング剤の乾燥を促進するための様々な構成要素を含み得る。いくつかの実装において、構成要素は、乾燥ブラシ及びローラーコンベアを有する乾燥トンネルの上に配置される加熱空気ブロワーを含み得る。例えば、乾燥トンネルには、熱風をシステムに送り込むブロワーと、長さ方向に沿って追加の空気流を提供するファンを含み得る。別の例において、乾燥トンネルは、製品経路にわたる高速の空気を供給するために、パンチングプレートによる圧力上昇を使用しても良い。いくつかの実施形態において、乾燥トンネルの温度設定値は、45~95℃、50~90℃、55~85℃、又は65~80℃の間である。乾燥システムは、直火バーナーを使用しても良い。陽極酸化されたアルミニウムローラーを使用しても良い。乾燥トンネルは、換気ダクトと調節可能な排気を追加することにより、空気の再循環、及び選択的に湿度制御システムを含んでも良い。パンチングプレートに空気を供給するために、高圧ブロワーを設けても良い。これにより、製品経路にわたって空気の速度が高くなる場合がある。空気は、例えばトンネルの両側から再循環させても良い。
【0032】
処理装置100は、コーティング混合物が物品に塗布される間、及び/又は物品がその後乾燥される間、物品を移動させるためにコンベアシステム102が利用可能である。いくつかの実装において、コンベアシステム102は、物品が1つのセクションから別のセクションに移動する際に同時に回転させるように構成されたコンベアベッドを含み、完全な表面被覆及び/又は乾燥を促進する。代替的に、又は追加的に、処理装置100は、コンベアシステム102のベッド上にある間に物品を直接処理し、及び/又は乾燥を促進するスプレーヤー及び/又はブロワーなどの他の構成要素を含み得る。例えば、1つ以上のスプレーヤーをベッドの上に取り付け、物品がスプレーヤーを通過する際に、溶剤又は溶液の液滴を物品に噴霧するために使用し得る。液滴は、例えば、エタノールなどの除菌剤を含み得る。液滴は、代替的に、水、エタノールと水の組み合わせ、又は物品の処理に適した他の溶媒を含み得る。以下にさらに記載するように、液滴は、例えば、それが噴霧される物品の上に保護膜を形成するコーティング剤を含み得る。代替的に、スプレーヤーは、物品が移動するローラーを飽和させることによって、間接的に物品を処理又はコーティングすることができる。ローラーは、コンベアを動かすベルト又はチェーン駆動システムとは独立して動くことができ、物品を回転させ、ローラーが物品上に溶液をコーティングするように作用する。
【0033】
コンベアシステムベッド上の物品を処理するための他のタイプの構成要素も、処理装置100に提供することができる。例えば、ファン、ブロワー、又はエアナイフは、コンベアシステム102のベッドの上にその排気を取り付けて、物品の乾燥を促進するために、空気又は他のガス(例えば、窒素ガス又は空気/窒素混合物)を物品に吹き付けるために使用することができる。処理装置100は、物品に噴霧される溶液又は懸濁液を調製するための混合システム、並びに混合システムからスプレーヤーに溶液/懸濁液を適切な圧力及び流量で搬送する液体送達システムを含み得る。
【0034】
処理装置100のコンベアシステム102は、コンベアシステム102を動作させるように構成されたモーター104及び巻き取りローラー106を含み得る。コンベアシステム102のベッド(及びローラー)を清掃するために、ロールクリーニングアセンブリ120が提供され得る。
【0035】
処理装置100は、コンベアシステム102によって搬送される物品を乾燥させるための調整された空気を循環させるための様々な構成要素をさらに含み得る。例えば、乾燥装置100は、乾燥装置100に空気を吸い込むように構成された吸気ブロワー108と、乾燥装置100から空気を排出するように構成された排気ブロワー110とを含み得る。乾燥装置100は、乾燥装置100内を循環する空気の温度を調整するための発熱体112をさらに含み得る。1つ以上の熱風再循環制御ダンパー114は、再循環空気の体積を制御し、及び/又は1つ以上の空気温度及び湿度値の制御を促進し得る。処理装置100は、装置内の異なる場所に配置され、そのような場所での気流を制御するように構成される1つ以上の気流制御パネル116を含み得る。乾燥装置100は、装置内の異なる位置に配置され、所望の方向で空気流を駆動するように構成される1つ以上のファンアセンブリ115を含み得る。
【0036】
いくつかの実装では、処理装置100は、装置内の乾燥性能を決定するために使用することができる様々なパラメータを測定するための様々なセンサーを含み得る。処理装置100は、例えば図10Cに示されるように、温度センサー、風速センサー、及びヒーター制御センサーを含み得る。
【0037】
処理装置100の1つ以上のプロセスパラメータは、処理パラメータシステム204(図2)によって決定及び/又は制御され得る。処理パラメータシステム204は、特定のコーティング製品及び処理入力を用いて所望の結果(例えば、乾燥度、コーティング厚さ、コーティングモザイシティ、コーティング性能など)を達成するための処理装置100の1つ以上のプロセスパラメータ(例えば、乾燥パラメータ)の決定を促進する。例えば、乾燥システムを通る質量流量(例えば、コーティングされる製品物品の)、周囲温度、周囲湿度、熱交換器後温度、熱交換器後湿度、製品経路空気速度、コンベア長、コンベア幅、及び加熱室の高さ、製品の形状、密度、温度、熱伝導率、皮厚、及び表面積、コーティング溶液付着率などのような種々なパラメータが処理装置100によるコーティング溶液の塗布中に制御又は活用され得る。
【0038】
コーティング塗布及び乾燥工程を規定するプロセスパラメータは、コーティング溶液の化学的性質、コーティングされる物品の特性、及び他の因子とともに、物品上の乾燥コーティングの性能に影響を与えても良い。例えば、コーティングの塗布と乾燥プロセスを定義するプロセスパラメータを制御して、予測可能な厚さを有する物品上の乾燥コーティングを生成しても良い。コーティング組成物の例では、乾燥したコーティング厚さ、コーティングモザイシティ、及び/又は他のコーティングパラメータが所定の範囲内にある場合、製品の有用な賞味期限を延ばす際の性能の向上を提供することができる。所定の厚さ範囲は、ある程度のガス搬送を可能にし(例えば、したがって、物品のために無酸素性の環境を作らない)、一方で、物品が老化するにつれて物品からの水分損失を低減することができる。ガス搬送をある程度許容する乾燥コーティング層は、コーティング層にわたってガス搬送をすべて阻止する乾燥コーティング層よりも、物品の賞味期限をより延ばすことが可能である。例示的な実施形態(例えば、本明細書に記載のコーティング組成物を使用する)において、約1ミクロンの乾燥コーティング層の厚さは、有益なガス搬送を遮断することなく、物品からの水分損失を効果的に防止することができる。様々な例示的な実施形態において、乾燥コーティング層の厚さは、約0.1ミクロン~5ミクロン、0.3ミクロン~3ミクロン、0.5ミクロン~2ミクロンの間、又は約1ミクロンである。代替的な例示的な実施形態において、乾燥コーティング層の厚さは、約0.1ミクロン~20ミクロン、3ミクロン~16ミクロン、5ミクロン~10ミクロンの間、又は約10ミクロンである。塗布及び乾燥工程の1つ以上のパラメータを制御することにより、所定範囲内の所望のコーティングの厚さ、コーティングモザイシティなどを有すコーティング層を予測的に提供することができる。したがって、処理装置102の1つ以上のプロセスパラメータは、所定の範囲内の厚さを有する乾燥コーティング層の形成を促進するように制御され得る。
【0039】
処理パラメータシステム204は、処理装置100の動作に適したプロセスパラメータのセットの決定を促進しても良い。乾燥プロセスの様々な側面は、競合するパラメータ(例えば、1つのパラメータの変更が、1つ以上の他のパラメータに影響を与えるか、又は対応する変更を必要とするかのような)を有しても良い。例えば、比較的高い水分含有量を有するコーティング組成物は、高温乾燥システムを用いてより迅速に蒸発させても良い。コーティングされる物品が冷蔵環境で保存されていた場合、追加の加熱が適切であっても良い。一方、処理された物品が、損傷を与えることなく晒され得る最大閾値温度や加熱期間を有しても良い。別の例として、乾燥システム内の製品経路を横切る相対的な空気速度は、液体コーティング組成物からの水分の対流蒸発を促進しても良いが、いくつかの実施形態において、コーティング組成物が表面から吹き飛ばされる「ノックオフ」効果を引き起こす閾値未満に望ましい形で維持されても良い。乾燥と所望のコーティング層の形成を促進するために、1つ以上の追加の要因を順番に制御されても良い。処理装置及び処理パラメータシステム204は、本明細書でさらに詳細に記載するように、一貫した特性及び性能を有する乾燥コーティングを繰り返し生成するために、そのような競合する因子を予測可能に均衡させることを促進し得る。
【0040】
いくつかの例において、処理装置内の相対湿度が低いと、液体コーティング組成物からの水分の蒸発速度を高めることができ、これによって、システムを通る新鮮な空気の回転速度が比較的高いことによって促進され得る。新鮮な空気の回転量は、システムを通して特定の温度を維持するために必要なエネルギー入力に影響を与えることができる。空気流や温度は、物理的なスペースの制約、エネルギーの制約などのような、動作上の制約の一部で均衡させても良い。
【0041】
いくつかの実装において、処理装置100は、収穫された農産物又は他の農産物などの物品をコーティングするための再梱包機器、梱包機器、及び他の適切な機器、装置、デバイス、又はシステムを含み得る。様々な実装において、プロセスパラメータ(例えば、処理パラメータシステム204を使用して決定される)は、処理装置100を構成又はカスタマイズするために使用され得る。例えば、既存の処理装置(例えば、梱包施設)が、決定されたプロセスパラメータを使用して動作するように改造及び/又は構成されても良い。
【0042】
処理パラメータシステム204は、処理装置100の構成、性能特性、容量などのような、処理装置100を識別するために使用され得る(工程A)。いくつかの実装において、システム204は、処理装置100における乾燥装置特性(例えば、乾燥トンネル118の仕様)を識別するために使用され得る。システム204は、入荷した商品を識別するために使用され得る(工程B)。例えば、システム204は、インフィードシステム上にローディングされた、ローティングされている、又はロードされる予定の、製品を決定するために使用され得る。
【0043】
システム204は、製品処理剤を識別するために使用することができる(工程C)。製品処理剤には、製品の表面をコーティングするためのコーティング剤を含み得る。様々なコーティング剤が使用され得る。コーティング混合物の例は、水性コーティング溶液を含む。コーティング混合物の例は、例えば図4A~Bを参照して、本明細書でさらに説明される。
【0044】
システム204は、1つ以上の処理要件を決定するために使用され得る(工程D)。処理要件は、物品上のコーティング混合物の所望の乾燥度を含んでも良い。追加的に、又は代替的に、処理要件は、互いに競合してもしなくても良い複数の要件(例えば、コーティング要件)の組合せを含んでも良い。例えば、処理要件は、乾燥度要件とスループット要件(物品量と滞留時間)のような競合する要件の均衡を達成する必要がある場合がある。例えば、処理機器は、所定の範囲内の温度(例えば、製品が損傷を受けることなく、晒され得る製品の閾値温度未満でありながら蒸発乾燥を促進する)を有する空気を用いて、物品に所望の乾燥度を提供しながら、所定量の製品を迅速に処理する必要がある場合がある。追加的又は代替的に、質量、塗布工程に必要な溶媒(例えば、水)の量、塗布するコーティング溶液の濃度、物品から溶媒(例えば、水)の蒸発速度、又は製品を損傷せずに乾燥する時間枠、製品上のコーティングの厚さなど、他の要件を考慮することができる。
【0045】
システム204は、乾燥プロセスパラメータの要件を決定するように動作し得る(工程E)。いくつかの実装において、乾燥プロセスパラメータ要件は、コーティング混合物でコーティングされる入荷製品の所望の結果(例えば、乾燥度及び/又は他の乾燥/コーティング性能(コーティング要件))を生成するように決定される。処理装置100に関連する様々なパラメータは、乾燥プロセスパラメータ要件の対象となり得る。例えば、乾燥プロセスパラメータは、乾燥機器の異なる場所における空気の温度、湿度、及び/又は空気の速度、及び/又は乾燥機器を通る物品の滞留時間を含み得る。
【0046】
いくつかの実装において、製品乾燥モデルは、そのような乾燥プロセスパラメータ要件を決定するために使用され得る。製品乾燥モデルは、表面乾燥モデル(例えば、図5A~C)及び乾燥機器の実際の動作及び/又は実験的動作から収集したデータに基づいて確立することができる。製品乾燥モデルは、環境及び供給者ベースのさまざまな潜在的シナリオのシミュレーションに使用でき、所望の結果(例えば、コーティング要件など)を満たす処理システム(乾燥トンネルなど)を選択又は設計したり、所望の結果に適応するように既存の処理システムを設定又は変更したりするために使用され得る。いくつかの実装において、製品乾燥モデルは、乾燥機モデルデータベース230に格納され、例えば、システム204によって検索され、既存の乾燥装置をカスタマイズするため、又は所望の乾燥性能(コーティング性能を含む)のために新しい乾燥装置を選択又は設計するために最適なパラメータを予測することができる。
【0047】
システム204は、処理装置100をカスタマイズするために使用され得る(工程F)。処理装置100は、所望の結果を生成すると判断された乾燥プロセスパラメータ要件に基づいてカスタマイズされ得る。例えば、乾燥機器(例えば、乾燥トンネル)内の様々な構成要素(例えば、空気ヒーター、ファンなど)を、乾燥プロセスパラメータの要求に応じて設定及び/又は動作させることができる。代替実装において、乾燥プロセスパラメータ要件は、特定の入荷製品の処理装置を選択又は設計するために使用され得る。
【0048】
いくつかの実装において、システム204は、プロセスパラメータを使用して処理された製品上の乾燥コーティングの測定又は観察された特性に基づくなど、乾燥プロセスパラメータ要件(工程G)を検証するように動作させることができる。このような検証されたデータは、さらに乾燥プロセスパラメータの要件、及び/又は製品乾燥モデルの更新に使用することができる。
【0049】
処理装置100は、所望のコーティング組成物を予測的に提供する1つ以上のプロセスパラメータ(例えば、システム204を用いて決定される1つ以上のプロセスパラメータなど)に従って動作するように構成及び/又は制御され得る。)例示的な実施形態において、コーティング組成物は水性であり、30%より大きい、50%より大きい、75%より大きい、85%より大きい、90%より大きい、95%より大きい、98%より大きい、又はそれ以上の水分含有量を有する。いくつかの実施形態において、コーティング剤の濃度は、周囲温度及び圧力における水の飽和限界の約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%より大きくなり得る。処理装置102の1つ以上のパラメータは、乾燥環境内のコーティングされた物品の所望の滞留時間を提供するように制御されても良い。例えば、40℃より大きい、45℃より大きい、50℃より大きい、55℃より大きい、60℃より大きい、65℃より大きい、70℃より大きい、75℃より大きい、80℃より大きい、85℃より大きい、90℃より大きい平均システム温度で、滞留時間が30秒~540秒、60秒~360秒、又は150秒~180秒であっても良い。いくつかの実装において、滞留時間は比較的短くても良く、平均システム温度は比較的高くても良い。いくつかの実装において、滞留時間は比較的長くても良く、平均システム温度は比較的低くても良い。代替的に、又は追加的に、システム内の相対湿度を30%未満、20%未満、又は15%未満として提供するように、1つ以上のパラメータを制御しても良い。いくつかの実施形態において、所定の湿度レベルは、新鮮な空気の大きく回転させる(例えば、蒸発した水を運び去る湿った空気を一掃させる)ことによって維持されても良い。また、製品経路空気速度も制御しても良い。例示的な実施形態において、製品空気経路速度は、2m/s~8m/sの間、2.5m/s~7m/sの間、又は3m/s~6m/sの間である。代替的に、又は追加的に、システムは、物品の単層を維持しながら、物品がシステム内を並進する際に物品を回転させるように構成されても良い。したがって、いくつかの例示的な実施形態において、処理装置100は、比較的高い含水率を有する水性コーティング組成物をコーティング物品に塗布し、コーティング物品を(コーティング物品を回転させながら)約150~180秒の滞留時間にわたって乾燥環境中を通過させ、約65℃の最低平均システム温度で、15%以下の湿度で、及び約3m/s~6m/sの製品経路空気速度で制御されても良い。
【0050】
処理装置100は、1つ以上の所定の特性を有する製品上のコーティングを製造するように制御され得る。例えば、乾燥温度(例えば、平均システム温度)は、コーティングのモザイシティに影響を与え、ひいては、適切な質量損失率/延長された製品の賞味期限を達成するためのコーティング性能に影響を与える可能性がある。モザイシティは、基材の平面に対する二重層の相対的な配向の確率を示す指標である。二層積層モザイシティは、水やガスの搬送経路を作る結晶欠陥の一種でもある。モザイシティが低いということは、より多くの二重層が基材の平面に対してより平行に配置されていることを意味する。乾燥温度を上げると、二層積層モザイシティが極端に低下するため、バリア性能が向上する。これに関連して、乾燥温度はガス拡散率に影響を与えることがある。いくつかの実装において、そのような特徴は、適用されたコーティングのX線散乱画像によって特徴付けることができる。
【0051】
図3は、例示的なコンベアシステム300を示す。いくつかの実施形態において、図1A~1Bの移送コンベア102を実施するために、コンベアシステム300の1つ以上の特徴が使用され得る。コンベアシステム300は、方向311に移動するベッド310を含み得る。ベッド310の上面に載置された1つ以上の物品320は、コンベアシステム300の第1の側面332から第2の側面334に搬送され得る。いくつかの実装において、ベッド310は、物品が細菌、真菌、ウイルス、又は他の生物学的ストレス要因にさらされたり感染したりするのを防ぐために、衛生材料、又は容易に除菌又は消毒することができる材料を含み得る。いくつかの実装において、物品320は、搬送中にベッド310に対して静止したままであり得る。例えば、物品320は、ベッド310上で搬送される際に、転がったり滑ったりしない。
【0052】
図4Aは、物品がベッドの一方の側から他方の側へ移動する際に物品(例えば、農産物、生鮮品、又は他の物)を回転させることができる別の例のコンベアシステム400を示す。コンベアシステム400は、複数の回転装置404を含むベッド402を含む。コンベアシステム400の動作中、各回転装置404は、前方回転方向412に(例えば、軸406を中心に)回転される。例示的な実施形態において、回転装置404は、それ以外にいかなる並進運動も持たない。ベッド402に載置された物品408は、前方搬送方向410に水平に並進しつつ、後方の回転方向414に回転する。いくつかの実装において、回転装置404は円筒形のローラーであり得る。代替的に、回転装置404は、各々がブラシを有する(例えば、軸406から延在する)ブラシローラーを含み得る。代替的に、又は追加的に、ベッド402は、円筒ローラーとブラシローラーの組み合わせを使用し得、及び/又は1つ以上の異なる場所に異なるタイプのブラシベッドローラーを含み得る。
【0053】
ベッド402上の物品408の回転運動414は、回転装置404の回転運動412から生じる。いくつかの実装において、回転装置404の特定の設計と物品408の形状及びサイズに応じて、物品408の並進運動410は、回転装置404の回転運動412によって引き起こされることもあれば、引き起こされないこともある。例えば、回転装置412が固体ローラーであり、物品408が大きく及び/又は不規則な形状である場合、回転装置404の回転運動412は、物品408を水平に並進させることもできる。しかしながら、回転装置412がブラシローラーであり、物品408が比較的小さい及び/又はかなり規則的な形状である場合、回転装置404の回転運動412は、物品408を前方搬送方向410に並進させることは独立して引き起こさなくても良い。ベッド402にわたる物品408の水平方向の並進は、新たに追加された物品が前方搬送方向410に先にローディングされた物品を押すように、ベッド402上に物品を連続的/一貫してローディングすることによって促進され得る。例えば、コンベアシステム400の動作中、物品408は、コンベアシステム400とインラインに置かれた第2のコンベアシステム(例えば、図3に示すコンベアシステム300)を介してベッド402に連続的にローディングされる。物品が横方向に並進する平均速度は、ベッド402上に送られる物品の質量流量によって決定することができる。
【0054】
図4Bは、物品(例えば、青果物、農産物、又は他の生鮮品)を処理するために使用できる例示的な処理装置470を概略的に示す。いくつかの実施形態において、処理装置470の1つ以上の特徴は、処理装置100、200を実装するために使用され得る。処理装置470は、図4Aのコンベアシステム400、図3のコンベアシステム300などのコンベアシステム450を含み得る。また、処理装置470は、ベッドの少なくとも第1の部分にわたるスプレーヤー454A~454Bと、ベッドの少なくとも第2の部分にわたるブロワー460A~460Eとを含む。ベッドに置かれた物品452は、まず、スプレーヤー454A~454Bからの液体でコーティングされ、次に、物品452の制御された乾燥を促進するブロワー排気460A~460Eの下を通過する。例示的な実施形態において、物品452は、最初にスプレーヤー454A~454Bによってコーティングされ(例えば、完全にコーティングされ)、その後、ブロワー排気460A~460Eによる排気に晒される。なお、スプレーヤー454A及び454Bはそれぞれ複数のスプレーヘッドを含むことができ、ブロワー排気460A、460B、460C、460D、及び460Eはそれぞれ個別のブロワーに接続することができ、あるいはすべて単一のブロワーに接続することができる。代替的に、又は追加的に、上述したように、スプレーヤーはローラーをコーティング溶液で飽和させることができ、飽和されたローラーは、製品がローラー上を回転する際に製品をコーティングする。
【0055】
処理装置470は、物品452上に保護膜(例えば、食用コーティング)の適用及び形成を促進する。例えば、物品452がベッド456に沿って(例えば、図4Bの図において横方向に)移動し、同時にローラー458によって回転させられる間、スプレーヤー454A~Bは、物品452の表面上に処理剤(例えば、溶液、懸濁液、エマルジョンなど)の液滴を噴霧するか、さもなければ分配し得る。処理剤は、溶媒中にコーティング剤(例えば、溶質)を含み得る。物品が処理剤で覆われると、物品452がコンベアシステム450上にある間に溶媒の制御された除去(例えば、蒸発を介して)を促進するブロワー排気460A~Eの下を通過し、それによって溶質組成物(例えば、コーティング剤)が物品452の表面に留まって保護膜を形成することができる。
【0056】
溶質組成物から形成される保護膜は、例えば、水分損失、酸化、又は外来病原体による感染による食品の腐敗を防止するために使用され得る。コーティング剤を溶解又は懸濁させる溶媒は、例えば、水、アルコール(例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、又はこれらの組み合わせ)、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、又はこれらの組み合わせであり得る。コーティング剤は、例えば、モノアシルグリセリド、脂肪酸、エステル(例えば、脂肪酸エステル)、アミド、アミン、チオール、カルボン酸、エーテル、脂肪族ワックス、アルコール、脂肪酸塩、有機塩、無機塩、又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実装において、コーティング剤は、モノマー、オリゴマー、又はそれらの組み合わせ(それらのエステル又は形成された塩を含む)を含む。いくつかの特定の実装において、溶液/懸濁液/コロイドは、湿潤剤又は界面活性剤を含み、塗布中に溶液/懸濁液/コロイドが基材の表面全体によく広がるようにし、それによって表面被覆だけでなく、得られるコーティングの総合性能も向上する。いくつかの特定の実装において、溶液/懸濁液/コロイドは、溶媒中のコーティング剤の溶解度を向上させ、及び/又はコーティング剤を溶媒中に懸濁又は分散させることができる乳化剤を含む。湿潤剤及び/又は乳化剤は、それぞれコーティング剤の構成要素とし得、又は溶液/懸濁液/コロイドに別々に添加し得る。
【0057】
種々の実施形態において、コーティング剤は、モノグリセリド及び脂肪酸塩を含み得る。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、約50質量%~約99質量%の量でコーティング剤中に存在し得る。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、約90質量%~約99質量%の量でコーティング剤中に存在し得る。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、約95質量%の量でコーティング剤中に存在し得る。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、炭素数10より長いか又はそれに等しい炭素鎖長(例えば、11より長い、12より長い、14より長い、16より長い、18より長い)を有するモノグリセリドを含む。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、炭素数20より短いか又はそれに等しい炭素鎖長(例えば、18より短い、16より短い、14より短い、12より短い、11より短い、10より短い)を有するモノグリセリドを含む。いくつかの実施形態において、モノグリセリドは、C16モノグリセリド及びC18モノグリセリドを含む。いくつかの実施形態において、脂肪酸塩は、約1質量%~約50質量%の量でコーティング剤中に存在し得る。いくつかの実施形態において、脂肪酸塩は、約1質量%~約10質量%の量でコーティング剤中に存在し得る。いくつかの実施形態において、脂肪酸塩は、約5質量%の量でコーティング剤中に存在し得る。いくつかの実施形態において、脂肪酸塩は、C16脂肪酸塩、C18脂肪酸塩、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、脂肪酸塩は、C16脂肪酸塩及びC18脂肪酸塩を含む。いくつかの実施形態では、C16脂肪酸塩とC18脂肪酸塩は、約50:50の比率で存在する。いくつかの実施形態において、コーティング剤は、細胞、生物学的シグナル伝達分子、ビタミン、ミネラル、酸、塩基、塩、顔料、アロマ、酵素、触媒、防菌剤、抗菌剤、時間放出薬などの添加剤、又はそれらの組み合わせをさらに含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、コーティング剤が、約1g/L~約50g/Lのコーティング剤の濃度を有する溶液、懸濁液、又はエマルジョンの形態で製品に適用され得る。いくつかの実施形態において、単一のコーティングが製品に適用される。いくつかの実施形態において、複数のコーティングが製品に適用されても良い。いくつかの実施形態において、2、3、4、又は5つのコーティングが製品に適用される。
【0058】
コーティング剤及び湿潤剤(コーティング剤と別個の場合)を添加する溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、アルコール、これらの組み合わせなどであり得る。得られた溶液、懸濁液、コロイドは、製品にコーティングを形成するのに好適である。
【0059】
様々な例示的実施形態において、本明細書に記載のコーティングは、質量又は体積で少なくとも約40%の水とし得る。いくつかの実装において、溶媒は水とエタノールの組み合わせを含み、任意に少なくとも約40体積%の水とし得る。いくつかの実装において、溶媒又は溶液/懸濁液/コロイドは、質量又は体積で約40%~100%の水とし得る。
【0060】
長鎖脂肪酸及び/又はその塩もしくはエステル(例えば、少なくとも14の炭素鎖長を有する)から形成されるか、又はそれを高い割合で含むコーティング剤は、基材からの水の損失及び/又は基材の酸化を防止できる、種々の基材上の保護膜の形成に有効であることが判明している。1つ以上の中鎖脂肪酸及び/又はその塩もしくはエステル(又は他の湿潤剤)の添加は、コーティングの性能をさらに向上させることができる。
【0061】
スプレーヤー454A~B、及びスプレーヤーの下にあるローラー458は、物品452がスプレーヤー454A~Bからの出力を受け、噴霧された液体でコーティングされる滞留時間を制御(例えば、低減)するように構成され得る。いくつかの実装において、スプレーヤー454Bの下のローラー458はそれぞれ、スプレーヤー454Bによってその上に噴霧される液体を吸収し、その後、そこを通過する物品にそれを磨くように構成された第1のタイプのブラシローラー459Bとすることができる。スプレーヤー454Aの下のローラー458は、スプレーヤー454Bの下のものと同じであり得、及び/又は、第1のタイプのブラシローラー459Bとは異なる第2のタイプのブラシローラー459Aを含み得、これは、例えば、物品452がスプレーヤー454Aの下を通過すると物品452の回転を促進するよう構成され得る。
【0062】
スプレーヤー454A、454Bの出力は、物品452の存在/不在、物品452の質量スループット(例えば、瞬時質量スループット、平均質量スループットなど)に基づいて調節され得る。処理装置470のいくつかの動作方法において、スプレーヤー454Bは、その下のローラーを飽和状態に保つために、スプレーヤー454Bの下に物品がない間は液体を(例えば、連続して)噴霧でき、任意で、下のベッド上に物品がある間は液体を噴霧しない。他の動作方法において、スプレーヤー454Bは、下のベッド上に物品がある時と、下のベッド上に物品がない時の両方で、連続的に液体を噴霧する。いくつかの動作方法において、スプレーヤー454Aは、下のベッド上に物品がある間は液体を噴霧するが、下に物品がない間は噴霧しない。いくつかの動作方法において、スプレーヤー454Aは、下のベッド上に物品がある時と、下のベッド上に物品がない時の両方で、連続的に液体を噴霧する。
【0063】
本明細書に記載のシステムで使用されるローラーは、物品452の移動及び/又は物品452への薬剤の塗布を促進する。いくつかの実装において、システムの塗布部(例えば、スプレーヤーの下のベッドの部分)のうち、物品がベッドに装填される場所に最も近い部分には、ストレートポリエーテルサルホン(PSE)及び/又はPSE/馬毛ブラシが含まれ、塗布システムのうち物品がベッドから除去される場所に最も近い部分には、帆立貝状PSE及び/又はPSE/馬毛ブラシが含まれる。ストレートブラシは、システムに入る物品の並進及び均一性を補助するために、物品を配列する(例えば、整列する)ように構成されても良い。いくつかの実施形態では、帆立貝状ブラシは、配置された物品への薬剤(例えば、コーティング溶液/懸濁液/エマルジョン)の接触を増加させ、効率的な塗布を促進する。
【0064】
スプレーヤー454A~Bによって噴霧される液体は、1つ以上の混合タンク482で調製され得る。水及び/又は他の任意の溶媒は、産業機器470の外部から混合タンク482に供給され得る。水を供給する場合、水の前処理機器が含まれても良い。タンク内の液体は、目標温度まで加熱し、コーティング剤などの添加剤や溶質を加え、未分散の混合物を、添加剤がよく分散するまで再循環ループの制御された高せん断装置を通してポンプで送ることによって調製され得る。
【0065】
調製された溶液/懸濁液は、スプレーヤーに送られ、スプレーヤーの下にあるローラー及び/又はベッド上の物品に噴霧される。タンク482とスプレーヤー454(454A~Bを含む)の間にインラインで接続することができる液体送達システム484は、処理されるべき機器及び物品の上に噴霧される液体の量及び分布を正確に制御することができるように、スプレーヤー454に液体の制御圧力/流量を提供することが可能である。スプレーヤー454から噴出される液体の流量は、例えば、噴霧ノズルの作動弁、液体送達システムのポンプ、又は他の調節装置によって制御され得る。流量が設定される値は、少なくとも部分的に、ローラーの回転速度及び/又はベッド上の物品の並進速度(例えば、物品452の質量流量)、及び例えば本明細書に記載される1つ以上の他の動作パラメータに依存し得る。先に述べた構成の1つ又は複数でブラシローラーを使用することで、高い材料使用効率とそれに対応する低いスプレーヤー流量を実現することができる。
【0066】
スプレーヤーが取り付けられているベッドのセクションの物理的な長さは、噴霧された液体による物品の選択的な被覆、及び/又はスプレーヤーの下の物品の比較的低い滞留時間を容易にする一方で、比較的短いものである。いくつかの実装において、スプレーヤーが取り付けられるベッドのセクションの長さは、約10フィート未満、約9フィート未満、約8フィート未満、約7フィート未満、約6フィート未満、又は約5フィート未満である。いくつかの実装において、スプレーヤーの下にある物品の全滞留時間は、約2分未満、約1分未満、約30秒未満、約15秒未満、約5秒未満、又はそれ未満である。
【0067】
少なくとも部分的にコーティングされた物品452は、乾燥システム490の下を通過するが、これは、ブロワーシステム462においてそれぞれのブロワー464A~E(集合的に464)に接続されたブロワー排気口460A~E(集合的に460)を含む。乾燥システム490は、例えば、図1A図1Bの処理装置100を実装するために使用され得る。
【0068】
排気口460に接続されたブロワー(複数可)464は、空気及び/又は他のガス(例えば、窒素、水素、空気、又はそれらの組み合わせ)を物品452上に吐出し得る。いくつかの実装において、ブロワー464は、排気が制御された温度でブロワーから送られるように空気及び/又は他のガスを加熱するヒーターと共に備えられる。加熱された空気/ガスは、溶媒を所望の速度で(例えば、より迅速に)蒸発させることができ、場合によっては、液体中のコーティング剤から物品452上に形成される所望の厚さを有するより均一な保護膜をもたらしても良い。いくつかの実装において、空気/ガスは、30℃~110℃の間の温度でブロワー464から吐出される。例示的な実施形態において、システムは5セットのブロワー排気を含む。様々な例示的な実施形態において、追加又は少数のブロワー排気を使用して、所望の割合、速度、場所、方向などで排気を出力し、物品452の制御された乾燥を促進しても良い。
【0069】
ブロワー464からの排気は、選択された相対湿度範囲内で空気/ガスを送達するように制御され得る。選択された相対湿度を有する空気/ガスの排気は、溶媒を所望の速度で(例えば、より迅速に)蒸発させ、場合によっては、物品452上に所望の厚さを有する比較的均一な保護膜の形成を容易にし得る。様々な例示的な実施形態において、システム内の相対湿度は、ブロワー464から送達される空気/ガスの相対湿度が、システム内の他の場所(例えば、スプレーヤー454の上流位置)における相対湿度とほぼ同じになるように制御されても良い。いくつかの実施形態において、ブロワー464から送達される空気/ガスの相対湿度は、周囲の相対湿度(例えば、システムの外部を取り囲む)よりも低く、及び/又はシステム内の平均周囲湿度(例えば、スプレーヤー454の上流位置における)よりも低くなる。
【0070】
いくつかの実施形態において、ブロワーは、物品を乾燥させるために(例えば、対流を通して)高速(及び任意に加熱、湿度制御など)の空気/ガスを提供できる遠心式ブロワーである。例えば、ブロワーから吐出される空気/ガスの速度は、50~110フィート/分とし得る。システムは、乾燥システムの下を通過する全ての物品への均衡された空気流を促進し、物品がベッドの端部に到達する前に物品から蒸発する液体の量を増加させるために、ベッドの幅にわたって圧力低下を生じさせるように構成される吹き出し口を含み得る。ブロワーから空気/ガスを吐出させている間のブロワーと下にあるベッドとの間の相対湿度を50%より低くし得る。乾燥システムによる物品の実質的な完全乾燥は、約300秒以下の時間で達成することができる。
【0071】
ベッドの乾燥セクション(例えば、ブロワー460の下のセクション)において、急速乾燥とナイロン、又は完全ナイロン、ローラーの1つ以上は、製品を物品表面に乾燥/堆積させる間にコーティングされる物品の表面からの製品(例えば、コーティング剤)の損失を低減するために利用される。乾燥/蒸発は、製品を物品表面から取り除くことなく、コーティング膜の形成と同時に行われる。そのような技術により、物品間で比較的一貫性のある物品表面の所定のコーティング厚さ、コーティングモザイシティなどをもたらす制御された乾燥プロセスを促進し得る。代替的に、又は追加的に、ナイロンローラーと速攻乾燥ローラーを組み合わせは、乾燥部を通過する物品の一貫した高い質量フローを促進することが可能である。ナイロンローラーとゴムローラーの様々な組み合わせにより、物品の移動に伴って塗布されたコーティングを維持及び保護することができる。いくつかの実装において、システムは、乾燥システムとは別の(例えば、上流の)ブラシベッドを含み、乾燥システムは、ローリングし、並進するコンベアを含む。
【0072】
ブロワーの排気が取り付けられるベッドの部分の長さは、約12フィート未満にすることができる。様々な例示的な実施形態において、ブロワー排気が取り付けられるベッドのセクションの長さは、2フィート~24フィート、4フィート~16フィート、又は6フィート~12フィートの間とすることができる。いくつかの実施形態では、そのようなブロワー排気長は、48フィート未満、36フィート未満、24フィート未満、又は20フィート未満である全長(例えば、塗布部及び乾燥部を含む)にすることが可能であり、それによって、ベッド上に置かれた物品の完全なコーティング及び乾燥をもたらしながら、コンパクト設計を促進ことができる。ローラーの直径は、処理する物品によって異なり得る。例えば、ローラーの直径は、約3cm~30cmの範囲とし得る。
【0073】
処理装置470は、コンピュータ及び関連するソフトウェアを介して、少なくとも部分的に制御及び/又は自動化することができる。例えば、自動制御により、システム470は、スプレーヤーへの自動スイッチを通して製品(例えば、物品を処理するために使用される溶液、懸濁液、又はエマルジョン)の連続的な流れを生成することができ、処方(例えば、製品の準備)と物品への塗布のためのスプレーヤーへの製品の送達の間の混合システムの動作サイクルを制御できる。いくつかの実施形態において、処理装置470は、1つ以上のフィードバックループを介してリアルタイムで、又は処理パラメータシステムによって以前に生成されたパラメータを使用して、処理パラメータシステム(例えば、処理パラメータシステム204)によって制御され得る。
【0074】
図5A~Bを参照すると、例示的な表面乾燥モデル500が示される。乾燥モデルは、物品502(例えば、アボカド)の乾燥中に存在する1つ以上の層(図5A)を記述するために使用され得る。例えば、層は、物品表面504、少なくとも部分的に液体コーティング層506、境界層508、及び対流空気流510を含み得る。対流空気流510は、コーティング層506/境界層508に作用するように生成することができる。
【0075】
本明細書で説明するように、コーティング層506は、溶質組成物によって形成され、例えば、水分損失、酸化、又は外来病原体による感染による食品の腐敗を防止するために使用し得る。コーティング層506は、コーティング剤を含み得る。コーティング剤の例としては、モノアシルグリセリド、脂肪酸、エステル(例えば、脂肪酸エステル)、アミド、アミン、チオール、カルボン酸、エーテル、脂肪族ワックス、アルコール、脂肪酸塩、有機塩、無機塩、又はそれらの組合せを含む。
【0076】
境界層508は、溶媒がコーティング層506から拡散されるにつれて、少なくとも部分的に液体コーティング層506に近接して形成され得る。境界層508は、溶媒がコーティング層506から拡散し、対流空気流510で運ばれるため、溶媒の濃度が比較的高い場合がある。
【0077】
本明細書に記載されているように、溶媒は水であり得る。代替的に、又は追加的に、溶媒は、例えば、アルコール(例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、又はそれらの組み合わせ)、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0078】
コーティング製品の含水率(パーセント)は、他のパラメータ(例えば、入力パラメータ620(図6)及び所望の結果(例えば、乾燥度、コーティング性能など))に影響を与えることがある。例によると、コーティング剤が高水分含有量を有する場合、製品上のコーティング製品から水を乾燥させるために、比較的高い空気の温度、比較的長い硬化時間、及び/又は比較的高い空気の乱流が使用されることがある。例示的な実施形態において、空気温度、硬化時間、及び/又は空気乱流は、製品からのコーティング製品の除去(「ノックオフ」)を制限又は防止するための閾値未満とする。
【0079】
ここで図5Bを参照すると、表面乾燥モデル500は、物品表面504における拡散を決定し(例えば、計算し)(ブロック524)、熱移動を決定し(例えば、計算し)(ブロック526)、それによって特徴付けることができる(ブロック522)。表面乾燥モデル500は、例えば、本明細書で説明する製品乾燥機モデルに適用することができる(ブロック528)。
【0080】
いくつかの実装において、物品表面504上の液体分子(例えば、水)の拡散は、フィックの第一法則及び第二法則を含む拡散のフィックの法則を用いて特徴付けられ得る。フィックの拡散法則を用いて拡散係数(D)を解くことができる。フィックの第一法則は、第二法則を導き出すために使用され、その結果、拡散方程式と同一にすることができる。
【数1】

ここで、Jは拡散フラックスであり、単位時間あたりの単位面積あたりの物質量を提供する。Jとは、単位時間内に単位面積を流れる物質の量を測定する;
Dは拡散係数又は拡散率(単位時間あたりの面積)である;
c(理想的な混合物の場合)は濃度(単位体積あたりの物質量)、
xは位置(長さ)、及び
tは時間である。
【0081】
フィックの第一法則(方程式1)は、境界層を横切る拡散が濃度勾配によってどのように駆動されるかを特徴付けるために使用することができ、フィックの第二法則(式2)は、拡散によって濃度が時間に関して変化する方法を特徴付けるために使用することができる。擬似定常状態での解答は、境界条件方程式3及び4を用いて促進される:
【数2】
【0082】
境界層には熱力学的な平衡が存在する。フガシティは同等である:
【数3】
【0083】
理想的な気体の単純化仮定では、界面での濃度は蒸気圧によって与えられる:
【数4】
【0084】
濃度プロファイル(方程式6)を用いて、拡散フラックス(J)を計算することができる:
【数5】
【0085】
境界層の厚さが測定できない場合、D/tは無次元量であるレイノルズ数とシュミット数の関数としてフィットさせることができる:
【数6】

ここで、kは、質量移動率である;及び
(Re,c)は、様々な形状にフィットする半実験的な関数である。本明細書で説明するように、これは、いくつかの実装において、実験データから適合されても良い。
【0086】
いくつかの実装において、表面への熱移動(熱流束)は、温度勾配によって駆動される:
【数7】

ここで、Qは単位面積当たりの熱量、hは熱移動率である。
【0087】
熱移動率は、レイリー数及びプランドル数の関数として適合される:
【数8】

ここで、hは熱移動率、fは異なるシステム形状に適合する半実験的関数である。一部の実装において、h、kmはスケール非依存なパラメータである。
【0088】
表面乾燥モデルを乾燥トンネルモデルに適用する場合、対流空気流510(気相(「G」))から液体(例えば、液相(「L」)のコーティング層506)への対流熱移動は、以下のように表すことができる:
【数9】

ここで、Qは所産/液体バリアへの熱流束、hfは流体の熱移動率、Afはコーティング製品の表面積、Tは気体の温度、Tは液体の温度である。
【0089】
対流熱移動において、液体温度は、その小さな層により、入荷物品温度と同等であると仮定することができる。
【0090】
物品表面504から離れる液体の対流質量移動は、以下のように表される:
【数10】

ここで、m(傍点付)は蒸発式質量移動速度、kmは質量移動率、Afはコーティングされた製品の表面積、Pはガス密度、Hsatは飽和蒸気圧、Tは液体の温度、Tはガスの温度、RHは相対湿度である。蒸発質量移動は、気体と液体の間の水分濃度の勾配の関数である。
【0091】
対流質量移動は、溶液の蒸気圧とトンネル内の湿度プロファイルに基づく濃度勾配と関連付けられることがある。
【0092】
物品の蒸発冷却は、以下のように表すことができる:
【数11】

ここで、Qは蒸発熱量、λは気化熱量である。
【0093】
物品への熱の伝導は、次のように表すことができる:
【数12】

ここで、Qfsはコーティング製品表面への熱流束、hはコーティング製品の熱移動率、Aはコーティング製品の表面積、Tは液体の温度、及びTはコーティング製品の温度である。この特徴は、コーティングされた製品に移動されるエネルギー量である。
【0094】
コーティング層506の除去(「ノックオフ」)は、以下のように表すことができる:
【数13】

ここで、m(傍点付)K0はノックオフに関係する質量移動率、KOはコーティングされた製品上の液体のノックオフ率、
はコーティングされた製品上に向かう液体の質量移動率である。方程式15は、(例えば、蒸発の結果としてよりむしろ)物理的な移動、滴下などによって除去される液体を考慮する。
【0095】
図5Cは、乾燥トンネル560内及びその周辺における例示的な空気循環を示す。乾燥トンネル560は、処理装置100又は乾燥システム490など、本明細書に記載された乾燥トンネルのいずれかの1つ以上の特徴を含み得る。物品502は、コンベアシステム570によって搬送される。物品520は、コーティングシステム550で散布されるコーティング混合物でコーティングされ得る。コーティングシステム550は、コーティングシステム480など、本明細書に記載のコーティングシステムのいずれかによって実装され得る。コーティングされた物品は、その後、乾燥トンネル560に導入され、乾燥空気は供給、循環、及び排出される。
【0096】
いくつかの実装において、乾燥空気は、能動的源(例えば、ブロワーシステム462)及び/又は受動的源(例えば、周囲空気)から乾燥トンネル560内に供給されても良い。乾燥トンネル内に供給された空気は、乾燥トンネル560内を循環して、物品502の表面からの溶媒(例えば、水)の除去を促進することができる(例えば、上述した熱移動及び拡散メカニズムを通じて)。
【0097】
いくつかの実装において、乾燥トンネル560における水の質量バランスは、以下のように表すことができる:
【数14】

ここで、Fは新鮮な空気の吸入流量、Vはトンネルの空気量である。
【0098】
さらに、乾燥トンネル560における熱収支は、以下のように表すことができる:
【数15】

ここで、ρは気相密度、cPgはガスの熱容量、QHEは熱交換器を通る熱流束、THEは熱交換器の温度、Tinは流入する新鮮な空気の温度、CP,inは流入する新鮮な空気の熱容量である。
【0099】
図6は、所望のコーティング特性、エネルギー使用量、物理的フットプリントなどを達成するために乾燥装置を制御及び動作させる、及び/又は1つ以上の決定された変数に基づいて既存の乾燥装置を変更するための例示的プロセス600のフローチャートである。プロセス600は、図1Bの処理パラメータシステム104の少なくとも一部を実施するために使用され得る。
【0100】
いくつかの実装において、プロセス600は、製品乾燥機モデルを決定する工程(602)を含む。製品乾燥機モデルは、1つ以上の乾燥装置に対する動作及び性能を表すことができる。製品乾燥機モデルは、特定の乾燥装置をカスタマイズして、入荷物品に対して所望の乾燥性能(例えば、乾燥度)を出力するための最適な変数を決定するために使用することができる。製品乾燥機モデルは、(例えば、既存の乾燥装置をカスタマイズする代わりに)特定の物品に対して所望の乾燥性能を生成する新しい乾燥装置を選択又は設計するために使用することができ流。図7を参照して、製品乾燥機モデルを構築するためのプロセスの例について説明する。
【0101】
プロセス600は、入力パラメータを決定する工程(604)を含む。入力パラメータ620は、特定の乾燥機器、物品、コーティング剤、又は乾燥動作に関連する他の関連条件について定義することができる。例えば、入力パラメータ620は、機器及び供給者パラメータ622、製品パラメータ624、及びコーティング剤パラメータ626を含み得る。
【0102】
機器及び供給者パラメータ622は、乾燥装置及び/又は供給者の要件に固有のパラメータを含む。様々な例示的な実施形態において、機器及び供給者パラメータ622は、質量スループット(例えば、コーティングされる製品物品の)、周囲温度、周囲湿度、熱交換後温度、熱交換後湿度、製品経路空気速度、コンベア長、コンベア幅、及び加熱室の高さの1つ以上を含む。
【0103】
例えば、コーティングされる製品の質量スループット、及びコーティングされる製品への付着率は、方程式16及び17の初期条件として使用される流入液体質量レートを定義するために使用することができる。システムの形状(長さ、幅、高さ)は、システム内の空気の体積(例えば、方程式16と方程式17のV)を特徴付けるために使用され得る。長さと質量スループットは、システム内の滞留時間、又は方程式16と方程式17を解くことができる長さと時間間隔をもたらす。製品経路空気速度、製品の形状、及び製品の密度や粘度によって、例えば方程式12や方程式14で使用される熱及び質量移動率を定義することができる。
【0104】
製品パラメータ624は、処理される物品に固有のパラメータを含み得る。様々な例示的実施形態において、製品パラメータ624は、製品の形状、密度、温度、熱伝導率、皮厚、水分量、組成、及び表面積の1つ以上を含み得る。
【0105】
製品の形状や密度は、均一性やコーティング用途及び乾燥の効果に影響を与えても良い。例えば、製品の輪郭が滑らかであれば、製品の表面にコーティング剤を均一に塗布さえ促進することができ、コーティングされた製品から水分を効率よく乾燥させることができる。さらに、比較的冷たい製品(例えば、冷蔵倉庫から配送される物品)は、コーティングされた製品から水分を蒸発させるために、比較的高い温度及び/又は比較的高い速度を有する空気の恩恵を受けることができる。熱伝導率が比較的高い製品は、乾燥プロセス中の乾燥空気の製品温度への影響を軽減するために、比較的低い温度を有する乾燥空気が有効であっても良い。比較的厚い皮膜を有する製品は、比較的高い温度の空気に耐えることができる。比較的大きな表面積を持つ製品は、比較的高い空気温度、比較的速い空気速度、及び/又は乾燥トンネル内の長い滞留時間を使用することで利益を得ることができる。
【0106】
コーティング剤パラメータ626は、処理される物品の表面上にコーティングされるコーティング剤に固有のパラメータを含む。様々な例示的な実施形態において、コーティング剤パラメータ626は、付着率、動的粘性、質量拡散率、比熱容量、気化潜熱、熱伝導率、密度、熱移動率、及び質量移動率の1つ以上を含み得る。
【0107】
図6をさらに参照すると、プロセス600は、1つ以上の出力要件を決定する工程を含み得る。例えば、出力要件には、所望の乾燥性能を含んでも良い。乾燥性能は、乾燥度、物品表面から除去された水分又は溶剤の量、コーティング剤の厚さ、不透明度、光沢などを示す1つ以上のパラメータによって特徴付けることができる。
【0108】
いくつかの実装において、乾燥性能(コーティング性能と同様に)は質量損失で表すことができる。質量損失とは、乾燥プロセスで発生する(例えば、表面の物品にコーティングされた液体から蒸発する)水の質量を示す。代替的に、又は追加的に、水溶性化合物を使用することで、水溶液中と乾燥時で異なる蛍光を発すること、及び/又は赤外線(IR)水分検出により、乾燥度を特徴付けることができる。
【0109】
プロセス600は、機器設定のための最適なパラメータを予測する工程(608)を含み得る。最適なパラメータは、決定された入力パラメータと出力要件を有する製品乾燥機モデルを使用して決定され得る。決定された最適なパラメータは、乾燥装置の1つ以上の設定と関連付けられ、入荷物品の所望の乾燥性能につながる可能性がある。
【0110】
プロセス600は、決定された最適なパラメータに基づいて機器(例えば、乾燥装置)を動作させる工程(610)を含み得る。例えば、乾燥装置の設定は、所望の乾燥度及び/又は他の要件を達成するために、特定の物品に対して調整及びカスタマイズすることができる。
【0111】
図7は、製品乾燥機モデルを適合するための例示的なプロセス700のフローチャートである。プロセス700は、例えば、図6に記載される製品乾燥機モデルの1つ以上の態様を構築するために使用され得る。プロセス700は、入力パラメータ620のうちの少なくとも1つを定義する工程(702)を含み得る。本明細書で説明するように、入力パラメータ620は、機器及び供給者パラメータ622、製品パラメータ624、及びコーティング剤パラメータ626を含み得る。
【0112】
プロセス700は、乾燥装置における物品の滞留時間を設定する工程(704)と、物品の乾燥プロセスを実行するために乾燥機器を動作させる工程(706)とを含み得る。乾燥装置は、定義された入力パラメータと滞留時間に従って動作させる。プロセス700は、特に設定されていない変数を追跡する工程(708)を含み得る。このような変数には、乾燥度などの出力要件が含まれ得る。物品の乾燥度は、質量損失率、蒸発率、蛍光灯の変化、及び/又は赤外線水分検出技術など、様々な方法で決定され得る。
【0113】
プロセス700は、物品の乾燥度が閾値を満たすかどうかを決定する工程(710)を含み得る。閾値は、いくつかの実装において、所望の値又は乾燥度の値の範囲を表し得る。代替的に、又は追加的に、閾値は、乾燥度、スループット、滞留時間、コーティング厚さ、コーティングモザイシティ、溶剤量、コーティング溶液の濃度、溶剤の蒸発速度など、複数の乾燥要件の組み合わせ所望の値又は範囲を表すことができる。乾燥度が閾値を満たす場合、プロセス700は、製品乾燥機モデルが入力パラメータ及び追跡された変数(出力)に適合される動作712に移行する。乾燥度が閾値を満たさない場合、プロセス700は、滞留時間が調整される(例えば、減少又は増加する)動作704に戻り、その後の動作は、上述のように実行される。図6で説明したように、製品乾燥機モデルは、特定の物品に対して所望の出力(例えば、乾燥度及び/又は他の要件)を生成するための乾燥装置の所望のパラメータを予測するために使用される。
【0114】
いくつかの実装において、乾燥装置が既知であり、入力パラメータと出力測定値のセットが定義されている状態で、熱及び質量移動率を製品乾燥機モデル中に適合させることができる。熱及び質量移動率は、例えば、製品固有の値(例えば、製品パラメータ624)及び/又は付着率推定値(例えば、コーティング剤パラメータ628)と均衡させることができる。各モデルフィットは、乾燥装置、製品タイプ、濃度、流量、及び/又は他の関連要因に固有である可能性がある。しかしながら、いくつかの実装において、1つ以上の傾向に従って調整することにより、各モデルフィットを他の乾燥装置、製品タイプ、濃度、流量、及び/又は他の関連要因に拡張することができる。
【0115】
図8A~Iを参照すると、プロセス700の例示的な実施形態である。例えば、図8Aを参照すると、異なるサンプル物品(アボカド、ライム)を様々な条件で処理(コーティング、乾燥)されても良い。サンプル物品は、異なる温度(低温対周囲)で、異なる製品濃度(例えば、異なる質量流量)で、乾燥トンネルに入ることができる。乾燥トンネルは、ファン速度、質量スループット、及び平均乾燥機温度の異なる組み合わせを提供するように構成されても良い。図8Bを参照すると、乾燥速度、滞留時間、周囲温度、周囲湿度、乾燥機平均湿度、物品入口温度、物品出口温度、及び蒸発量などの様々なパラメータが測定されても良い。図8Cを参照すると、収集したデータがあれば、いくつかの動作パラメータが推定され得る。例えば、設定及び測定されたパラメータを外挿することで、異なる条件下でのそのようなパラメータを推定し得る。図8Dを参照すると、収集及び推定されたデータがあれば、製品乾燥機モデルが適合され得る。図8Eを参照すると、製品モデルに適合するように追加の結果が考慮されても良い。
【0116】
図8Fを参照すると、入力パラメータは、製品乾燥機モデルに基づいて設定され得る。入力パラメータは、静的入力パラメータと可変入力パラメータを含んでも良い。この例において、静的入力パラメータとして、製品のパッキング密度、製品質量、製品温度、バーナー効率、コンベア長及び幅、及びチャンバーの高さを含む。可変入力パラメータは、質量スループット、付着係数、周囲温度、周囲湿度、熱交換気流、新鮮空気係数、物品経路空気速度、及び熱交換出力温度を含み得る。可変入力パラメータは、範囲(パーセンテージ変化を有する低、中、及び高)で設定することができる。
【0117】
図8Gを参照すると、設定された入力パラメータが与えられると、乾燥結果が評価されても良い。乾燥結果は、グラフ870に示されるように、乾燥トンネル874内への長さにわたる残存水分質量872として特徴付けられても良い。さらに、図880に示すように、入力パラメータ(例えば、新鮮空気係数、製品経路空気速度、熱交換出力温度、熱交換器空気流量、周囲温度、周囲湿度、質量スループット、及び付着係数)のそれぞれの感度882が、乾燥度割合884に対して評価された。図8Hを参照すると、図886に示すように、入力パラメータ(例えば、新鮮空気係数、物品経路空気速度、熱交換出力温度、熱交換器空気流量、周囲温度、周囲湿度、質量スループット、及び付着係数)の各々の感度887が、トンネル温度888に対して評価された。図889に示すように、入力パラメータ(例えば、新鮮空気係数、物品経路空気速度、熱交換出力温度、熱交換器空気流量、周囲温度、周囲湿度、質量スループット、及び付着係数)のそれぞれの感度890が、滞留時間891に対して評価された。図81を参照すると、図892に示すように、入力パラメータ(例えば、新鮮空気係数、物品経路空気速度、熱交換出力温度、熱交換器空気流量、周囲温度、周囲湿度、質量スループット、及び付着係数)の各々の感度893が、バーナーエネルギー894に対して評価された。図895に示すように、入力パラメータ(例えば、新鮮空気係数、物品経路空気速度、熱交換出力温度、熱交換器空気流量、周囲温度、周囲湿度、質量スループット、及び付着係数)のそれぞれの感度896が、相対湿度897に対して評価された。
【0118】
図9は、製品乾燥機モデルを適合させるための別の例示的なプロセス900のフローチャートである。プロセス900は、図6で説明した製品乾燥機モデルを構築するために使用することができる。プロセス900は、乾燥装置の1つ以上の設定を定義する工程(902)を含み得る。定義可能な乾燥装置の設定例は、入力パラメータ620のうち少なくとも1つを含む。次いで、工程900は、乾燥装置を動作させて物品の乾燥プロセスを実行する工程(904)を含み得る。乾燥装置は、定められた設定に従って動作させる。プロセス900は、特に設定されていない変数を追跡する工程(906)を含み得る。そのような変数には、乾燥度などの出力要件を含み得る。追加的に、又は代替的に、監視される変数は、乾燥装置を動作させるために特に設定されていない入力パラメータ620の1つ以上を含み得る。
【0119】
プロセス900は、乾燥装置の動作に関連する1つ以上の変数に対する結果的な効果を測定する工程を含み得る。いくつかの実装において、測定される変数は、物品速度、気流力学、及び/又は温度プロファイルを含み得る。物品速度は、乾燥装置における物品のスループットを表すことができる。気流動力は、乾燥装置内及びその周辺の1つ以上の場所で監視される空気の流量、方向、及びその他の特性を含む。いくつかの実装において、気流ダイナミクスは、気流速度、方向、及びその他の特性の時間的変動を示す時間的情報も含み得る。温度プロファイルは、乾燥装置内及びその周辺の1つ以上の位置における空気の温度を含む。いくつかの実装において、温度プロファイルは、時間の経過に伴う空気温度の変動を示す時間情報を含み得る。
【0120】
プロセス900は、定義された入力(例えば、動作902における乾燥装置の定義された設定)及び出力(例えば、動作906及び/又は908における追跡された変数)に製品乾燥機モデルを適合させること910を含み得る。図6で記載したように、製品乾燥機モデルは、特定の物品について所望の出力(例えば、乾燥度及び/又は他の要件)を生成するための乾燥装置の最適設定を予測するために使用される。
【0121】
図10A~Fを参照すると、プロセス900を使用して、例示的なシーケンスが記載される。
【0122】
図10Aを参照すると、例示的な気流1020が、乾燥トンネル1002における製品流1022と相対して図示される。1つ以上のヒーター制御センサー(複数可)1024、空気速度センサー(複数可)1026、温度及び湿度センサー(複数可)1028、及び周囲空気センサー(複数可)1030は、乾燥トンネル1002の監視及び制御を促進し、所望のプロセスパラメータ内での動作を促進するために、乾燥トンネル全体に配置されても良い。いくつかの例において、センサー1024、1026、1028、及び/又は1030は、乾燥トンネル1002の動作パラメータを特徴付けるために使用されても良い。代替的に、又は追加的に、センサ1024、1026、1028、及び/又は1030は、乾燥トンネル1002の制御を促進するために(例えば、乾燥トンネル1002の動作中にリアルタイムで)フィードバック制御ループに含まれても良い。
【0123】
図10Bを参照すると、乾燥機トンネル1002の幾何学的形状及び例示的な製品パッキング密度が示される。グラフ1010及び1012(図10C)は、乾燥トンネルにおける製品の滞留時間と、製品の質量スループットとの関係を示す。滞留時間は、一般にコンベアの速度や質量スループットが増加すると短くなる。滞留時間の減少及び/又は質量スループットの増加に伴い、適切な乾燥を促進するために、1つ以上の他のパラメータが調整されても良い。
【0124】
ここで図10Dを参照すると、例示的な実施形態では、様々な場所での空気速度を制御して乾燥を促進することができる。グラフ1040は、異なる場所(例えば、バーナーチャンバー出口、バーナーチャンバー入口、及び空気排気)における空気流とファン速度との間の関係の例を示す。図10Eを参照すると、物品経路空気速度が示される。物品が晒される空気速度は、物品上の乾燥プロセスや乾燥コーティングの形成に影響する。グラフ1050は、物品経路での空気速度とファン速度の関係の一例を示す。空気速度は、ファン本体と平行な方向と、物品経路と垂直な方向で評価することができる。
【0125】
図10Fを参照すると、コーティング製品に関する適合値が決定される場合がある。例えば、上記のプロセスを使用して決定されたデータは、モデル適合(例えば、図8D~Eを参照して上述したように)を生成するために、システム入力(例えば、図8A~Cを参照して上述したデータを含む)と組み合わせることができる。コーティング剤の種類によって、付着率、動的粘性、質量拡散率、比熱、気化潜熱、熱伝導率、密度、熱移動率、及質量移動率などのパラメータが決定されても良い。例示的な実施形態において、比較的高い水含有量を有するコーティング組成物の1つ以上の値は、水の値に基づいて近似されても良い。例えば、動的粘性、質量拡散率、比熱、気化潜熱、熱伝導率、及び密度のうち1つ以上は、水の値を用いて近似しても良い。これらの特徴から、1つ以上の物品について、付着率を予測することができる。グラフ1060は、異なる物品(例えば、アボカド、オレンジ、及びリンゴ)に関して、付着率と塗布率の関係の一例を示す。
【0126】
図11~17を参照すると、処理システムの特徴づけ及び動作(例えば、新しいシステムの構成、既存の処理システムの変更など)の例示的な実施形態が示されている。例示的な実施形態において、処理システムは、所定の質量スループット(例えば、36MT/hr)で、所定の乾燥機長(例えば、13m)で、所定の線速度(例えば、0.25m/s)で、所定の滞留時間(例えば、52.8秒)中といった所定の条件及び要件で特定の製品を乾燥するようにカスタマイズ/動作される。
【0127】
いくつかの実装において、処理システムは、コンベアベッドと乾燥トンネルを含み得る。温度及び相対湿度は、乾燥トンネルの前面(ローラー層の間)、及び/又は乾燥トンネルの前面から距離(例えば、4メートル)のある場所(循環ファンの下)など、システムの1以上の場所で測定されても良い。空気速度は、第1経路乾燥ラインの前面からの距離(例えば4m)、第1経路乾燥ラインの中心、第2経路乾燥ラインの中心など、システムの1つ以上の位置で測定されても良い。
【0128】
例示的な実施形態では、コーティングなし、水のみ、水性コーティング組成物、及び/又は1つ以上の他のコーティング処理を使用して、定性的な乾燥性評価を含む1つ以上の試験実行が実施され得る。
【0129】
例示的な実施形態において、1つ以上の、機能的な条件が、いくつかのシステム属性について考慮されても良い。様々な実施形態において、機能条件は、アプリケーション性能の異議、平均的な環境の考慮などに基づいて変化しても良い。例えば、350L/hrの速度で水を蒸発させる能力など、所定の蒸発速度を提供するようにシステムを構成されても良い。これは、物品がコーティング剤を塗布した後に乾燥機を通過する際に、物品(アボカドなど)に付着する水分の量であり得る。例示的な実施形態において、このような速度は、スループット速度42mT/時間の、物品(例えば、アボカド)1mTあたり15リットルのコーティング製品塗布率に基づいて十分であり得る。いくつかの実施形態において、ブラシベッド上に塗布された液体の一部のみが、乾燥トンネルに入る物品に付着し、その後、物品の表面から乾燥させる必要がある。システムは、乾燥トンネルの最小長さ(例えば、13.2m)、1層、2層、又は多層設計、所定の数の乾燥ファン及び容量(例えば、乾燥トンネルの幅及び長さに均一に分布する26個のファン)などの1つ以上の物理的乾燥機構条件を有しても良い。システムは、例えば、所定のバーナー出力(例えば、400,000BTU/hr)を有する1つ以上のバーナーなどの1つ以上の空気加熱要件を有しても良い。いくつかの実施形態において、バーナーは、乾燥トンネルの長さにわたって均一に分布し、乾燥トンネルの幅について中央に配置されても良い。いくつかの実施形態において、システムは、熱効率を高め、生産環境への熱の漏れを低減するために、熱気漏れ防止及び熱管理システムを含んでも良い。いくつかの実施形態において、所定の速度での蒸発を促進するために、空気再循環機構が提供されても良い。例えば、バーナーは、熱効率と温度分布の改善を促進するために、乾燥機の下部から戻り空気を引き込んでも良い。いくつかの実施形態において、内部電気システムは、IP65以上のIP定格を有する。
【0130】
図11は、例示のシステムに適用可能な熱力学モデルを示し、予想乾燥度(例えば、2経路後に約85%乾燥の予想乾燥度など)を示す。予想される乾燥度レベルは、コーティングされた製品の表面に残っている水分質量の割合に基づいて特徴付けられても良い。乾燥トンネルを通過する長さに比例して、残存する水分質量の割合が減少する。
【0131】
次に、図12を参照すると、乾燥トンネル内の長さから、乾燥トンネル内の物品の残存水分質量を予測することができる。例示的な実施形態において、乾燥トンネルは、残存水分質量割合(1202)とトンネルにおける製品の位置(1204)との間に線形関係を提供するように構成され得る。製品がトンネルに沿って搬送される間に製品から水分が乾燥されるため、残存水分質量は減少する可能性がある。製品(1206、1208、1210)のスループットが異なると、蒸発速度が異なる場合がある。例えば、製品のスループットが多いほど、コーティングされた物品から水分を蒸発させて所定の残存水分質量値にするためのトンネルの長さが長くなる。第1のスループット1210は、第2又は第3のスループット1206、1208よりも大きく、他のパラメータが一定であると仮定すると、第2及び第3のスループット1206、1208と比較して、コーティングされた物品から水分を除去するためにトンネルの長い長さを必要とする。同様に、第2のスループット1208は、第3のスループット1206よりも大きく、他のパラメータが一定のままであると仮定すると、コーティングされた物品から水分を除去するためにトンネルの長い長さを必要とする。
【0132】
図13A~Dは、本開示の実装に従って分析された、乾燥機器のカスタマイズ案のレポート1300の一例を示す。本例のレポートにおいて、乾燥機器は、図13Dに示すように、2つの乾燥トンネル(トンネルA及びトンネルB)を有する。
【0133】
図13Aを参照すると、レポート1300は、第1の乾燥トンネル(トンネルA)1302における異なる場所1304のそれぞれの様々なパラメータ1306の現在値1308を提供する。提示されたパラメーターは、寸法(幅と長さ)、偏差のある乾燥率、偏差のあるトンネル温度、偏差のある滞留時間、偏差のあるバーナーエネルギー、及び偏差のあるトンネル湿度である。さらに、レポート1300は、第1の乾燥トンネル(トンネルA)1302における各場所1304のパラメータ1306の提案値1310を提供する。図13Bを参照すると、レポート1300は、第2の乾燥トンネル(トンネルB)1312における場所1304の各々のパラメータ1306の現在値1308を提供する。さらに、レポート1300は、第2の乾燥トンネル(トンネルB)1302における各場所1304のパラメータ1306の提案値1310を提供する。図13Cを参照すると、レポート1300は、第1及び第2の乾燥トンネル(トンネルA及びB)1314の組み合わせにおける位置1304の各々のパラメータ1306の現在値1308を提供する。さらに、レポート1300は、第1の乾燥トンネルと第2の乾燥トンネル(トンネルA及びB)の組み合わせ1414における各場所1304のパラメータ1306の提案値1310を提供する。
【0134】
図13A~Cに示すように、提案された解決策は、乾燥性能及びエネルギー消費などのいくつかの出力を改善することができる。例えば、乾燥パーセンテージを増加させることができ、一方、全体的なエネルギー消費(例えば、バーナーによる)を減少させることができる。
【0135】
図13Dを参照すると、レポート1300は、乾燥機器の既存の設定と提案された設定との乾燥度の比較表1320を提供する。図示された例において、比較表1320は、既存設定1322の下で、第1の乾燥トンネル1302の異なる場所1304を通る乾燥性能(パーセンテージ)1324、第2の乾燥トンネル1302の場所1304を通る乾燥性能(パーセンテージ)1326、及び場所1304を通る複合乾燥性能(パーセンテージ)1328であることを示す。さらに、比較表1320は、推奨設定1332の下で、第1の乾燥トンネル1302の場所1304を通る乾燥性能(パーセンテージ)1334、第2の乾燥トンネル1302の場所1304を通る乾燥性能(パーセンテージ)1336、及び場所1304を通る複合乾燥性能(パーセンテージ)1338を示す。既存設定と提案された設定との間で、対応する乾燥性能を比較することにより、改善を認識又は算出することができる。
【0136】
本明細書に記載のシステムは、1つ以上の追加的又は代替的な乾燥技術及び/又はデバイスを利用することができる。例えば、本明細書に記載の乾燥装置の少なくとも一部を実施するために、垂直乾燥トンネルが使用され得る。代替的又は追加的に、本明細書に記載の乾燥装置の少なくとも一部を実施するために、エアナイフ乾燥機器が使用され得る。例示的な実施形態では、エアナイフ乾燥機器は、カーテン状の気流(例えば、エアカーテン)を発生させて、コーティング塗布前又は塗布中に処理される製品から余分な油、液体及び塵を乾燥、洗浄、除去できる。エアナイフ乾燥機は、コアンダ効果を利用して、吸気口から最大40倍まで空気を増幅させることができる。
【0137】
代替的に、又は追加的に、本明細書に記載のシステムは、赤外線及び/又は放射性乾燥技術を利用することができる。いくつかの実施形態において、赤外線及び/又は放射乾燥技術は、対流技術と比較して、乾燥時間を短縮しても良い。
【0138】
図14は、クライアントとして、又はサーバもしくは複数のサーバとして、本書に記載のシステム及び方法を実装するために使用され得るコンピューティングデバイス1400、1450のブロック図である。コンピューティングデバイス1400は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、及び他の適切なコンピュータなどの、様々な形態のデジタルコンピュータを表す。コンピューティングデバイス1450は、パーソナルデジタルアシスタント、携帯電話、スマートフォン、及び他の同様のコンピューティングデバイスなどの様々な形態のモバイルデバイスを表す。明細書に示した構成要素、それらの接続や関係、及びそれらの機能は、あくまで例示であり、本書で説明及び/又は主張する実装を限定することを意図していない。
【0139】
コンピューティングデバイス1400は、プロセッサ1402、メモリ1404、格納装置1406、メモリ1404及び高速拡張ポート1410に接続する高速インタフェース1408、及び低速バス1414及び格納装置406に接続する低速インタフェース1412を含む。各構成要素1402、1404、1406、1408、1410、及び1412は、各種バスを用いて相互に接続されており、共通のマザーボードに搭載されるなど、適宜の態様で搭載することができる。プロセッサ1402は、高速インターフェース1408に結合されたディスプレイ1416などの外部入出力デバイスにGUI用のグラフィカル情報を表示するために、メモリ1404又は格納装置1406に格納された命令を含むコンピューティングデバイス1400内で実行するための命令を処理できる。他の実装において、複数のプロセッサ及び/以上のバスが、複数のメモリ及びメモリの種類と共に、適宜、使用され得る。また、複数のコンピューティングデバイス1400を接続し、各装置が必要な動作の一部を提供することもできる(例えば、サーババンク、ブレードサーバ群、マルチ-プロセッサシステムとして)。
【0140】
メモリ1404は、コンピューティングデバイス1400内の情報を格納する。一実装において、メモリ1404は、揮発性メモリユニット又はユニットである。別の実装において、メモリ1404は、不揮発性メモリユニット又はユニットである。また、メモリ1404は、磁気ディスクや光ディスクなどの別の形態のコンピュータ読み取り可能な媒体であっても良い。
【0141】
格納装置1406は、コンピューティングデバイス1400のマスストレージを提供することが可能である。一実装において、格納装置1406は、フロッピーディスク装置、ハードディスク装置、光ディスク装置、又はテープ装置、フラッシュメモリ又は他の同様の固体メモリ装置、又はストレージエリアネットワーク又は他の構成における装置を含む装置のアレイなどのコンピュータ読み取り可能媒体であるか又はそれを含むことができる。コンピュータプログラム製品は、情報担体に接することができる。コンピュータプログラム製品は、実行されると、上述したような1つ以上の方法を実行する命令を含んでも良い。情報担体は、メモリ1404、格納装置1406、又はプロセッサ1402上のメモリなど、コンピュータ又は機械で読み取り可能な媒体である。
【0142】
高速コントローラ1408は、コンピューティングデバイス1400の帯域幅集約型の動作を管理し、低速コントローラ1412は、より低い帯域幅集約型の動作を管理する。そのような機能分担はあくまで一例である。一実装では、高速コントローラ1408は、メモリ1404、ディスプレイ1416(例えば、グラフィックプロセッサ又はアクセラレータを介して)、及び様々な拡張カード(図示せず)を受け入れることができる高速拡張ポート1410に結合される。実装において、低速コントローラ1412は、格納装置1406及び低速拡張ポート1414に結合される。様々な通信ポート(例えば、USB、Bluetooth、イーサネット、無線イーサネット)を含み得る低速拡張ポートは、例えば、ネットワークアダプタを介して、キーボード、ポインティングデバイス、スキャナ、又はスイッチやルータなどのネットワークデバイスなどの1つ以上の入力/出力デバイスに結合されても良い。
【0143】
コンピューティングデバイス1400は、図に示すように、多くの異なる形態で実装されても良い。例えば、標準的なサーバ1420として実装しても良いし、そのようなサーバ群として複数回実装しても良い。また、ラックサーバシステム1424の一部として実装されても良い。さらに、ラップトップパソコン1422のようなパーソナルコンピュータに実装されても良い。あるいは、コンピューティングデバイス1400からの構成要素は、デバイス1450などのモバイルデバイス(図示せず)において、他の構成要素と組み合わされても良い。このようなデバイスの各々は、コンピューティングデバイス1400、1450の1つ以上を含んでも良く、システム全体は、互いに通信する複数のコンピューティングデバイス1400、1450で構成されても良い。
【0144】
コンピューティングデバイス1450は、プロセッサ1452、メモリ1464、ディスプレイ1454などの入出力デバイス、通信インターフェース1466、及びトランシーバ1468などの構成要素を含む。また、デバイス1450は、追加のストレージを提供するために、マイクロドライブなどの格納装置を備えても良い。各構成要素1450,1452,1464,1454,1466,及び1468は、様々なバスを用いて相互接続され、構成要素のいくつかは、共通のマザーボードに、又は他の様式で適宜実装され得る。
【0145】
プロセッサ1452は、メモリ1464に格納された命令を含む、コンピューティングデバイス1450内の命令を実行することができる。プロセッサは、別個の複数のアナログ及びデジタルプロセッサを含むチップのチップセットとして実装されても良い。追加的に、プロセッサは、多数のアーキテクチャのいずれかを使用して実装されても良い。例えば、プロセッサは、CISC(複合命令セットコンピュータ)プロセッサ、RISC(縮小命令セットコンピュータ)プロセッサ、又はMISC(最小命令セットコンピュータ)プロセッサであっても良い。プロセッサは、例えば、ユーザインタフェースの制御、デバイス1450によって実行されるアプリケーション、及びデバイス1450による無線通信など、デバイス1450の他の構成要素の調整のために提供しても良い。
【0146】
プロセッサ1452は、ディスプレイ1454に結合された制御インターフェース1458及びディスプレイインターフェース1456を介して、ユーザと通信しても良い。ディスプレイ1454は、例えば、TFT(薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)ディスプレイやOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイなど、適切なディスプレイ技術であっても良い。ディスプレイインターフェース1456は、ディスプレイ1454を駆動してグラフィカルな情報及びその他の情報をユーザに提示するための適切な回路を構成しても良い。制御インターフェース1458は、ユーザからコマンドを受け取り、プロセッサ1452に提出するために変換しても良い。さらに、デバイス1450の他のデバイスとの近傍通信を可能にするように、外部インターフェース1462がプロセッサ1452と通信して提供しても良い。外部インターフェース1462は、例えば、いくつかの実装において有線通信を提供しても良く、他の実施形態では無線通信を提供し、また、複数のインターフェースが使用されても良い。
【0147】
メモリ1464は、コンピューティングデバイス1450内の情報を格納する。メモリ1464は、コンピュータ読み取り可能な媒体又はメディア、揮発性メモリユニット又はユニット、又は不揮発性メモリユニット又はユニットのうちの1つ以上として実装され得る。拡張メモリ1474はまた、例えばSIMM(シム、Single In Line Memory Module)カードインターフェースを含み得る拡張インターフェース1472を介してデバイス1450に提供及び接続され得る。このような拡張メモリ1474は、デバイス1450のための余分な格納空間を提供しても良く、又はデバイス1450のためのアプリケーション又は他の情報をも格納しても良い。具体的には、拡張メモリ1474は、上述したプロセスを実行又は補足するための命令を含んでも良く、また、安全な情報を含んでも良い。したがって、例えば、拡張メモリ1474は、デバイス1450のセキュリティモジュールとして提供されても良く、デバイス1450の安全な使用を可能にする命令でプログラムされても良い。さらに、SIMMカードに識別情報をハッキング不可能な方法で配置するなどの追加情報とともに、SIMMカードを介して安全なアプリケーションを提供されても良い。
【0148】
メモリは、例えば、後述するように、フラッシュメモリ及び/又はNVRAMメモリを含んでも良い。一実装において、コンピュータプログラム製品は、情報担体に明白に具現化される。コンピュータプログラム製品は、実行されると、上述したような1つ以上の方法を実行する命令を含む。情報担体は、例えば、トランシーバ1468又は外部インタフェース1462を介して受信され得るメモリ1464、拡張メモリ1474、又はプロセッサ1452上のメモリなどのコンピュータ又は機械読み取り可能媒体である。
【0149】
デバイス1450は、必要に応じてデジタル信号処理回路を含むことができる通信インターフェース1466を介して無線で通信することができる。通信インターフェース1466は、GSM音声通話、SMS、EMS、又はMMSメッセージング、CDMA、TDMA、PDC、WCDMA、CDMA2000、又はGPRSなどの様々なモード又はプロトコルでの通信を提供し得る。そのような通信は、例えば、無線周波数トランシーバ1468を介して発生しても良い。さらに、Bluetooth、WiFi又は他のそのようなトランシーバー(図示せず)を使用するなどの近距離通信が発生することもある。さらに、GPS(Global Positioning System)受信機モジュール1470は、追加のナビゲーション及び位置関連の無線データをデバイス1450に提供し、デバイス1450上で実行されるアプリケーションによって適切に使用される場合がある。
【0150】
デバイス1450はまた、音声コーデック1460を使用して聴覚的に通信しても良く、これは、ユーザから話された情報を受信し、それを使用可能なデジタル情報に変換しても良い。音声コーデック1460は、同様に、例えばデバイス1450のハンドセット内のスピーカーを介するなどして、ユーザに対して可聴音を生成し得る。そのような音は、音声電話からの音を含み、録音された音(例えば、音声メッセージ、音楽ファイルなど)を含み、デバイス1450上で動作するアプリケーションによって生成された音も含むことができる。
【0151】
コンピューティングデバイス1450は、図に示すように、多くの異なる形態で実装されても良い。例えば、携帯電話機1480として実装されても良い。また、スマートフォン1482、パーソナルデジタルアシスタント、又は他の同様のモバイルデバイスの一部として実装されても良い。
【0152】
追加的に、コンピューティングデバイス1400又は1450は、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブを含み得る。USBメモリには、OSやその他のアプリケーションを保存しても良い。USBフラッシュドライブは、ワイヤレストランスミッターや他のコンピューティングデバイスのUSBポートに挿入することができるUSBコネクタなどの入出力コンポーネントを含み得る。
【0153】
明細書に記載されたシステム及び技術のさまざまな実装は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実現することができる。これらの様々な実装は、特殊目的であっても汎用であっても良く、ストレージシステムからデータ及び命令を受信し、ストレージシステムにデータ及び命令を送信するように結合された少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサ、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力デバイスを含むプログラム可能なシステム上で実行可能及び/又は解釈可能である1つ以上のコンピュータプログラムにおける実施を含み得る。
【0154】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても知られている)は、プログラマブルプロセッサのための機械命令を含み、高レベルの手続き型及び/又はオブジェクト指向プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械言語で実装することができる。本明細書で使用する場合、「機械読み取り可能な媒体」「コンピュータ読み取り可能な媒体」という用語は、機械読み取り可能な信号として機械命令を受信する機械読み取り可能な媒体を含む、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用される任意のコンピュータプログラム製品、装置及び/又はデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLDs)を意味する。「機械読み取り可能な信号」という用語は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために用いられるあらゆる信号を意味する。
【0155】
ユーザとの対話を提供するために、明細書において記載されるシステム及び技術は、ユーザに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)と、ユーザがコンピュータに入力を提供できるキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)を有するコンピュータ上で実装することができる。また、他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの相互作用を提供することも可能であり、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚的フィードバック(例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、又は触覚的フィードバック)であり、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚入力を含む任意の形態で受信することができる。
【0156】
明細書に記載されたシステム及び技法は、バックエンドコンポーネント(例えば、データサーバとして)を含むコンピューティングシステム、又はミドルウェアコンポーネント(例えば、アプリケーションサーバ)を含むコンピューティングシステム、又はフロントエンドコンポーネント(例えば、ユーザが本明細書に記載されたシステム及び技法の実装と相互作用できる、グラフィカルユーザインターフェース又はWebブラウザを有するクライアントコンピュータ)、又はそのようなバックエンド、ミドルウェア、又はフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせにおいて実装することができる。システムの構成要素は、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体(例えば、通信ネットワーク)によって相互接続され得る。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ピアツーピアネットワーク(アドホック又はスタティックメンバーを有する)、グリッドコンピューティングインフラ、インターネットなどを含む。
【0157】
コンピューティングシステムは、クライアントとサーバを含み得る。クライアントとサーバは一般的に遠隔地にあり、通常、通信ネットワークを通じて相互作用する。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で動作するコンピュータプログラムが、互いにクライアントとサーバーの関係を持つことによって生じる。
【0158】
実施例
本明細書に記載されている加熱対流ベースのシステムは、リンゴ、キュウリ、ライム、及びマンゴーを含む様々な物品の表面に塗布されたコーティング剤を乾燥させるために適用された。各物品における様々な指標での性能結果は、以下に記載されている。
【実施例1】
【0159】
実施例1-リンゴ
少なくとも100個のリンゴ(100個以上)を用いた3つのサンプルを共通のコーティング剤塗布で処理した。3つのサンプルは、70℃から75℃の範囲の温度、及び1分40秒から7分15秒の間の滞留時間を含む、独立した乾燥条件に晒された。
【0160】
図15は、質量損失係数(MLF)と、未処理(UT)及び熱処理(HT)を含む処理条件を比較した棒グラフである。図15の熱処理結果は、70℃にて、滞留時間を1分40秒(1:40)から7分15秒(7:15)まで変化させて実施された。70℃から75℃(図示せず)までの温度上昇によってMLFは上昇し、滞留時間が増えるごとに性能は向上した。
【0161】
図16は、呼吸(例えば、CO生成率)と熟成時間(日)を比較した散布図チャートである。ヘッドトンネルでの滞留時間の延長による呼吸への悪影響はなかった。
【0162】
図17は、固さ(ショア押し込み硬度計)と、未処理(UT)及び熱処理(70℃)を含む熟成時間(日)を比較した散布図チャートである。図17の熱処理結果は、70℃にて、滞留時間を1分40秒(1:40)から7分15秒(7:15)まで変化させて実施された。コーティングされたサンプルの滞留時間の延長による、固さ(図17)、腐敗、皮目の損傷、萎凋及び焦げなどの品質指標に悪影響はなかった。
【0163】
図18は、萎凋の発生率と、未処理(UT)及び熱処理(70℃)を含む周囲条件での保存日数を比較した散布図チャートである。図18の熱処理結果は、70℃にて、滞留時間を1分40秒(1:40)から7分15秒(7:15)まで変化させて実施された。長時間の乾燥トンネルの曝露による萎凋への悪影響はなかった。
【0164】
図19は、未処理(UT)及び熱処理(70℃)を含む、処理条件に対する熱損傷%を比較した棒グラフである。図19の熱処理%の結果は、70℃にて、滞留時間を1分40秒(1:40)から7分15秒(7:15)まで変化させて実施された。例えば、70℃又は75℃での2分未満の乾燥時間では、過度の熱損傷をもたらすことはない。
3分を超えると、70℃で熱損傷をもたらす。
【実施例2】
【0165】
実施例2-キュウリ
キュウリのサンプルを共通のコーティング剤塗布で処理し、乾燥条件に晒した。図20は、キュウリ表面温度(℃)と乾燥室内温度設定値(℃)とを比較した散布図チャートである。比較的低い乾燥トンネル温度では、乾燥トンネルを含む乾燥室を出るキュウリの表面温度が低下する。処理時間が長くなると、ラインの停止する確率が高くなる。
【0166】
図21は、萎凋したチップ(棒)の割合と乾燥室外の温度(℃)(線)と停止時間(分)を比較した棒グラフである。1分より長い停止時間は、チップの萎凋の発生率を増加させ、55℃の設定値にてシミュレーションされたサプライチェーンを通じて、14日目の成果を低減させる。(図21及び22)図22は、停止時間(分)に対して、図21の14日目での萎凋したチップの割合(棒)と販売可能なサンプルの%(線)とを比較した棒グラフである。一方のキュウリは45℃の低温の設定値で乾燥させる。
【実施例3】
【0167】
実施例3-ライム
ライムのサンプルを共通のコーティング剤塗布で処理し、熱トンネルの温度が性能へ与える影響を判定するために乾燥条件に晒した。3つのサンプルは、乾燥トンネル内の可変温度条件を含む乾燥条件に晒された。サンプルには2分9秒の滞留時間が設けられた。
【0168】
固定されたパラメータ下における実行時間の増加による性能の向上は、実行前にブラシベッドをより長い時間飽和させることで性能が向上し得ることを示している。図23は、未処理(UT)及び熱処理されたサンプルを含む、処理条件に対する質量損失率(%/日、棒)及び乾燥室外の温度(℃)(線)を比較した棒グラフである。図23の熱処理結果は、40℃、50℃、60℃、及び70℃で実施された。性能(例えば、質量損失率の減少)は、トンネル温度によって向上する。
【0169】
皮の損傷は乾燥後に評価された。図24は、サンプルの非販売可能性%を処理後の時間(日)と比較する散布図チャートである。サンプルは、40℃、50℃、60℃、及び70℃の温度条件に晒され、処理後0日、7日、14日に評価された。40℃、50℃、及び60℃の温度条件では、時間経過による品質上の問題は見られない。
【実施例4】
【0170】
実施例4-マンゴー
マンゴーのサンプルを共通のコーティング剤塗布で処理し、熱トンネルの温度が皮の乾燥へ与える影響を判定するために乾燥条件に晒した。図25は、未処理(UT)及び熱処理されたサンプルを含む、皮の乾燥の発生率(サンプルの%、棒)と乾燥トンネルに存在する果実の温度(℃、線)とを処理条件と比較した棒グラフである。熱処理は50℃又は70℃で実施された。図25に示されるような、乾燥トンネルを出る果実の温度の高さと、増加する皮の乾燥の発生率、例えば性能の低下との間の相関関係。
【0171】
本明細書には、多くの具体的な実装の詳細が含まれているが、これらはいかなる発明の範囲又は請求され得るものの限定として解釈されるべきでなく、むしろ、特定の発明の特定の実装に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。本明細書に記載されている特定の特徴はまた、別々の実装の状況下では単一の実装と組み合わせて実装され得る。これに反して、単一の実装の状況下で記載されている様々な特徴は、多数の実装で別々に、又は任意の適切なサブコンビネーションにて実装されることも可能である。さらに、特徴は、上記では特定の組み合わせで作用するとして記載される場合があり、また当初はそのように請求されている場合さえあるが、場合によっては、請求される組み合わせからの1つ以上の特徴が、該当の組み合わせから削除され得、また請求される組み合わせが、1つのサブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形を対象とする場合がある。
【0172】
同様に、動作は図面に特定の順序で描かれているが、これは、所望の結果を得るために、そのような動作が、示されている特定の順序又は連続した順序で実行されること、又は示された全ての動作が実行されることを要求するものとして理解されるべきではない。特定の状況下では、マルチタスク及び並列処理が有利になり得る。さらには、上記に記載された実装における様々なシステム構成要素の分離が、全ての実装においてそのような分離を要求しているとして理解されるべきではなく、また記載されたプログラム構成要素及びシステムが、一般に単一のソフトウェア製品に一緒に統合され得る、又は多数のソフトウェア製品に実装され得ると理解されるべきである。
【0173】
このようにして、主題の特定の実装について記載した。その他の実装は、以下の請求の範囲内にある。場合によっては、請求の範囲内で記載されている動作が異なる順序で実行され、それでも所望の結果を得られることがある。加えて、添付の図に描かれたプロセスは、所望の結果を得るために、必ずしも特定の順序、又は連続した順序を要求するものではない。特定の実装においては、マルチタスク及び並列処理が有利になり得る。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【国際調査報告】