(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】細胞培養培地調整容器および灌流バイオリアクタシステム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20231228BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20231228BHJP
C12M 1/04 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
C12M1/00 C
C12M1/34 Z
C12M1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530602
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 US2021060040
(87)【国際公開番号】W WO2022115319
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】カラッチ,ステファン ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】シュルテス,ジョエル アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA07
4B029BB01
4B029CC02
4B029DA04
4B029DB01
4B029DB11
4B029DG06
4B029FA13
4B029GA02
4B029GB08
(57)【要約】
灌流バイオリアクタシステムのための培地調整容器が提供される。培地調整容器は、ある体積の液体細胞培養培地を保持するための内部空洞を有する容器;細胞培養培地を灌流バイオリアクタからその容器に戻すための培地入口;および細胞培養培地を容器から灌流バイオリアクタに移送するための培地出口を備える。細胞培養培地の特徴を測定または検出するためのセンサが、培地入口および培地出口の少なくとも一方の中のインラインセンサまたは培地調整容器の側壁または底部に取り付けられたパッチセンサの形態で設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
灌流バイオリアクタシステムのための培地調整容器であって、
ある体積の液体細胞培養培地を保持するように作られた内部空洞を有する容器、
細胞培養培地を灌流バイオリアクタから前記容器に戻すように作られた培地入口、および
細胞培養培地を前記容器から前記灌流バイオリアクタに移送するように作られた培地出口、
を備え、
前記培地入口および前記培地出口の少なくとも一方が、前記細胞培養培地の特徴を測定または検出するように作られた1つ以上のインラインセンサを含む、培地調整容器。
【請求項2】
前記1つ以上のインラインセンサが、溶存酸素センサ、pHセンサ、および温度センサの内の少なくとも1つを含む、請求項1記載の培地調整容器。
【請求項3】
前記内部空洞内にガスを散布するように作られたガス散布管をさらに備える、請求項1または2記載の培地調整容器。
【請求項4】
細胞培養培地を前記培地出口から、細胞培養培地を前記内部空洞に戻す培地帰路に送るように作られたポンプを含む灌流ループをさらに備える、請求項1から3いずれか1項記載の培地調整容器。
【請求項5】
前記1つ以上のインラインセンサが、前記灌流ループ内のインラインに配置されている、請求項4記載の培地調整容器。
【請求項6】
培地を前記灌流バイオリアクタに供給するように作られた供給管をさらに備え、該供給管が、前記培地出口と、前記灌流ループ内の前記1つ以上のインラインセンサとの間に配置されている、請求項4または5記載の培地調整容器。
【請求項7】
前記培地調整容器の側壁または底部に取り付けられた1つ以上のパッチセンサをさらに備える、請求項1から6いずれか1項記載の培地調整容器。
【請求項8】
前記1つ以上のパッチセンサが、溶存酸素センサ、pHセンサ、および温度センサの内の少なくとも1つを含む、請求項7記載の培地調整容器。
【請求項9】
前記内部空洞内に配置された外側散布管をさらに備え、
前記培地入口は、前記内部空洞内の管を含み、該管は、前記外側散布管内に少なくとも部分的に配置されており、
前記外側散布管内にガス入口が少なくとも部分的に配置されている、請求項1から8いずれか1項記載の培地調整容器。
【請求項10】
前記外側散布管が、複数の開口を含む側壁を含み、該複数の開口は、該外側散布管内からの気泡が該複数の開口を通過するのを防ぐようなサイズである、請求項9記載の培地調整容器。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2020年11月30日に出願された米国仮特許出願第63/119007号および2020年11月30日に出願された米国仮特許出願第63/119045号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、広く、細胞培養システムのための培地調整システム、および培地調整システムを備えた細胞培養のためのバイオリアクタとバイオリアクタシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
バイオプロセス産業では、ホルモン、酵素、抗体、ワクチンの生産、および細胞療法の目的で、細胞の大規模培養が行われている。細胞療法と遺伝子療法の市場は、急成長しており、有望な治療法が、臨床試験を開始し、急激に商業化に進んでいる。しかしながら、1回の細胞療法の用量は、数十億の細胞または数兆のウイルスを必要とし得る。それゆえ、臨床的に成功を収めるためには、わずかな時間で大量の細胞産物を提供できることが非常に重要である。
【0004】
バイオプロセスに使用される細胞の大部分は足場依存性であり、これは、細胞が、成長し、機能するために接着する表面が必要であることを意味する。従来、接着細胞の培養は、T-フラスコ、ペトリ皿、細胞工場、細胞積層容器、ローラーボトル、およびHYPERStack(登録商標)容器などの多数の容器形態の内の1つに組み込まれた二次元(2D)細胞接着表面上で行われる。これらの手法には、治療または細胞の大規模生産を実行可能にするのに十分に高い細胞密度を達成するのが困難であることを含む、重大な欠陥があり得る。培養細胞の体積密度を増加させるために、代わりの方法が提言されてきた。これらには、撹拌槽内で行われるマイクロキャリア培養がある。高密度細胞培養システムの別の例に、細胞が、隙間の繊維空間内で増殖するときに、大きい三次元集合体を形成することができる、中空繊維バイオリアクタがある。
【0005】
足場依存性細胞のための高密度培養システムのさらに別の例に、充填床バイオリアクタシステムがある。このタイプのバイオリアクタでは、接着細胞が付着する表面を提供するために、細胞基体が使用される。細胞成長に必要な栄養素と酸素を提供するために、表面に沿って、または半多孔質基体を通じて、培地が灌流される。例えば、細胞を取り込むための支持体または基質システムの充填床を含有する充填床バイオリアクタシステムが、既に特許文献1~3に開示されている。充填床基質は、通常、高分子の基体としての多孔質粒子または不織布超極細繊維から作られる。そのようなバイオリアクタは、再循環流通型バイオリアクタとして機能する。
【0006】
これらの様々なタイプの細胞培養リアクタでは、細胞は、細胞の命と成長に必要な栄養素を含有する液体培地である、細胞培養培地中に懸濁されていること、または灌流されていることを含む、管理された条件下で成長させなければならない。pH、溶存ガス比、栄養素、および老廃物を含む、細胞培養培地の内容、並びに培地および/または細胞の温度をモニタし、細胞成長およびバイオリアクタの他の性能を最適化するために制御しなければならない。したがって、その中の培地を調整するために、バイオリアクタと組み合わせて、培地調整システムが使用される。従来、培地調整は、細胞培養容器自体に組み込まれてきた。言い換えると、細胞培養培地の培地調整および/または混合は、細胞が培養されるのと同じ容器内で行われる。培地調整は、多くの場合、培地の組成を制御するためのプローブ、培地を混合するための1つ以上の撹拌機、および容器の周りにある一種の温度制御ジャケットの複雑なシステムを備えた中空の直立壁コンテナまたは容器(例えば、ビーカーまたはボトル)内で行われる。それらのプローブは、容器本体の上にあるキャップを通じて容器に入ることができ、特に、システムが開放型である、または使用中に開けられる場合、無菌状態が常に懸念となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4833083号明細書
【特許文献2】米国特許第5501971号明細書
【特許文献3】米国特許第5510262号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、単純で、信頼性のある、閉じた構造を提供しつつ、拡張可能な細胞培養プラットフォームの要望を満たすことのできる改善された培地調整システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施の形態によれば、灌流バイオリアクタシステムのための培地調整容器であって、ある体積の液体細胞培養培地を保持するように作られた内部空洞を有する容器;細胞培養培地を灌流バイオリアクタからその容器に戻すように作られた培地入口;および細胞培養培地を容器から灌流バイオリアクタに移送するように作られた培地出口を備え、培地入口および培地出口の少なくとも一方が、細胞培養培地の特徴を測定または検出するように作られた1つ以上のインラインセンサを含む、培地調整容器が、提供される。
【0010】
いくつかの実施の形態の態様において、1つ以上のインラインセンサは、溶存酸素センサ、pHセンサ、および温度センサの内の少なくとも1つを含む。培地調整容器は、内部空洞内にガスを散布するように作られたガス散布管をさらに備える。培地調整容器は、細胞培養培地を培地出口から、細胞培養培地を内部空洞に戻す培地帰路に送るように作られたポンプを含む灌流ループをさらに備えることができる。
【0011】
いくつかの実施の形態において、灌流バイオリアクタシステムのための培地調整容器であって、ある体積の液体細胞培養培地を保持するように作られた内部空洞を有する容器;細胞培養培地を灌流バイオリアクタからその容器に戻すように作られた培地入口;細胞培養培地を容器から灌流バイオリアクタに移送するように作られた培地出口;および培地調整容器の側壁または底部の少なくとも一方に取り付けられ、細胞培養培地の特徴を測定または検出するように作られた1つ以上のパッチセンサを備えた培地調整容器が、提供される。その1つ以上のパッチセンサは、溶存酸素センサ、pHセンサ、および温度センサの内の少なくとも1つを含むことができる。
【0012】
本開示の追加の態様が、一部には、下記の詳細な説明、図面および任意の請求項に述べられており、一部には、その詳細な説明から導かれ、または本開示の実施により分かり得る。先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、例示と説明に過ぎず、開示されたように本開示を制限するものではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の1つ以上の実施の形態による細胞培養システムの概略図
【
図2】1つ以上の実施の形態による、インラインセンサを備えた培地調整容器を示す図
【
図3】1つ以上の実施の形態による、インラインセンサおよび再循環ループを備えた培地調整容器を示す図
【
図4】1つ以上の実施の形態による、パッチセンサを備えた培地調整容器を示す図
【
図5】1つ以上の実施の形態による、培地調整容器のガス散布ラインおよび培地入口を示す拡大図
【
図6】1つ以上の実施の形態による、培地調整容器を示す図
【
図7】1つ以上の実施の形態による、培地調整容器を示す図
【
図8C】1つ以上の実施の形態による、培地調整容器の形状を示す図
【
図8D】1つ以上の実施の形態による、培地調整容器の形状を示す図
【
図8E】1つ以上の実施の形態による、培地調整容器の形状を示す図
【
図9A】1つ以上の実施の形態による、培地調整容器の形状を示す図
【
図9B】1つ以上の実施の形態による、培地調整容器の形状を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の様々な実施の形態を、もしあれば、図面を参照して、詳しく説明する。様々な実施の形態に対する言及は、本発明の範囲を限定するものではなく、その範囲は、ここに付随の特許請求の範囲によってしか限定されない。それに加え、本明細書に述べられたどの例も、限定的ではなく、請求項に記載された発明の多くの可能な実施の形態のいくつかを述べているに過ぎない。
【0015】
本開示の実施の形態は、培地調整容器およびシステム、並びに培地調整システムを組み込んだ細胞培養システムに関する。詳しくは、ここに記載された培地調整システムは、細胞培養に使用される容器とは別の培地調整容器を備える。培地調整容器およびシステムは、インラインセンサやパッチセンサなどの多種多様なセンサ、および細胞培養培地への酸素供給を改善し、汚染のリスクを減少させるための改良または簡易設計を含み得る。いくつかの実施の形態において、バイオリアクタは、細胞成長のための高密度足場を有する固定床または充填床バイオリアクタであると考えられる。
【0016】
例えば、細胞の浮遊培養のために使用される多くのバイオリアクタ容器は、培地調整容器としても使用される。それゆえ、その容器は、細胞が経験する剪断力を減少させるように設計され、細胞培養パラメータをモニタするために培地中に専用の固定センサまたはプローブを含有することになる。しかしながら、これらの特徴の多くは、細胞培養バイオリアクタ容器から隔てられている培地調整容器のために、本開示の実施の形態では必要とされない。この設計は、細胞培養容器内で培地を調整する制約がないので、性能を向上させ、複雑さおよび/または費用を減少させることもできる。例えば、培地調整が組み込まれた細胞培養バイオリアクタは、汚染を防ぐために閉鎖系としてバイオリアクタを維持すると同時に、多数のプローブ/センサを容器および/または培地に通して、細胞培養の進行をモニタできるように高度に設計される必要がある。要求されるレベルの設計は、使い捨て容器にとって、桁違いに費用がかかり得る。
【0017】
図1は、本開示の1つ以上の実施の形態による、細胞培養システム50の概略図を示す。細胞培養システム50は、細胞、細胞副産物および/またはウイルスベクターを成長させるためのバイオリアクタ容器13、およびそのバイオリアクタ容器に供給される培地を調整するための培地調整システム100の両方を備えている。
図1に示されるように、システム50は、再循環ループで構成することができ、その場合、培地は、出口102を介して培地調整システム100から、管104または他の流体コネクタを介してバイオリアクタ容器13に流れる。バイオリアクタ容器13内では、培地は、必要な栄養素を細胞に供給し、健康な細胞環境を維持する。必要に応じて、培地は、戻し管106または別のコネクタを介して培地調整容器100に戻すことができる。本開示の実施の形態は、細胞培養システム50の全体、並びに様々なシステムまたは用途において培地を調整するために使用できる、個々の培地調整システム100を含む。
【0018】
図2は、本開示の1つ以上の実施の形態による、灌流バイオリアクタシステムのための培地調整容器120の概略図である。培地調整容器120は、それぞれ、細胞培養培地を培地調整容器120に移送するための培地入口121とそこから移送するための培地出口122を備える。培地出口122には、3つのインラインセンサ:溶存酸素(DO)センサ124、pHセンサ126、および温度センサ128が設けられている。培地調整容器120は、ガス散布器130、ベント132、および補給入口134をさらに備える。
図2のシステムでは、培地が灌流バイオリアクタに移動するときに容器の出口で培地をモニタするためにインラインセンサを使用することによって、容器のキャップにある貫通の数が減少している。
【0019】
図3は、1つ以上の実施の形態による培地調整容器140を示す。培地調整容器140は、
図2の培地調整容器120のように、それぞれ、細胞培養培地を培地調整容器140に移送するための培地入口121とそこから移送するための培地出口122を備える。培地出口122に接続された灌流ループには、3つのインラインセンサ:溶存酸素(DO)センサ124、pHセンサ126、および温度センサ128が設けられている。培地調整容器140は、ガス散布器130、ベント132、および補給入口134をさらに備える。しかしながら、培地調整容器140は、
図2のシステムとは異なり、下流の灌流の流れ(培地出口122を介した)が停止された場合でさえ、インラインセンサを使用して、培地を連続的にサンプリングするための内蔵式灌流ループも有する。
【0020】
図4において、本開示の別の実施の形態による培地調整容器150が提供される。培地調整容器150は、
図2の培地調整容器120のように、それぞれ、細胞培養培地を培地調整容器150に移送するための培地入口121とそこから移送するための培地出口122を備える。培地調整容器150は、ガス散布器130、ベント132、および補給入口134をさらに備える。培地調整容器150では、
図2および3のインラインセンサではなく、培地調整容器150に設けられたパッチセンサ154、156、158が使用される:溶存酸素(DO)センサ154、pHセンサ156、および温度センサ158。パッチセンサの各タイプについて3つの異なる位置が、
図4に示されている:培地調整容器150の側壁上のセンサの垂直配列;側壁上のセンサの水平配列;および容器150の底部。いくつかの実施の形態の態様として、培地調整容器150の底部に配置されたパッチセンサは、システムの組立て(すなわち、センサ154、156、158の配置)をより容易にすることができ、培地調整容器150を、パッチセンサの読出し表示(例えば、光学読出し表示)を維持するようにドッキング・ステーションに正確に方向付けることができるであろう。培地調整容器150の底にあるパッチセンサ(例えば、センサ154、156、158)が、培地調整容器150の底の周辺部分に位置している底部マグネチックスターラーの邪魔にならないという前提で、これにより、マグネチックスターラーの使用も可能になるであろう。
図2および3はインラインセンサのみを示し、
図4はパッチセンサのみを示しているが、本開示の実施の形態は、インラインセンサとパッチセンサの組合せを有する培地調整容器も含む。
【0021】
図5は、培地入口164とガス入口166の周りに外側ガス散布管162を有するガス散布システム160の拡大図(原寸に比例していない)である。外側ガス散布管162は、気泡が通過するのに小さすぎるが、細胞培養培地が外側ガス散布管162から出て培地調整容器のより大きい細胞培養培地貯蔵部に入るのに十分な大きさの小孔またはスリット168を含み得る。この小孔またはスリット168は、外側ガス散布管162内の気泡を破裂させるのにも役立つことがある。ガスは、ガス入口166を通って外側ガス散布管162の底部近くの散布環170に流れる。次いで、気泡172が、散布環170から出て、外側ガス散布管162内で浮上し、外側ガス散布管162内に上向流を作り出す。次に、培地入口164の底から出た培地も、その上向流のために、上方に流れる。散布環170は、果たすべき所望の機能に応じて、所望のサイズの気泡を放出することもできる。例えば、大きい気泡を、浮力とCO
2除去のために放出することができ、一方で、小さい気泡を、O
2交換のために放出することができる。外側ガス散布管162は、排出のための開口174を有する。開口174は、高い培地レベルで閉じ、低い培地レベルで落ちるドレン栓176を備えることができる。使用済み培地を外側ガス散布管162内の限定空間に導入することによって、より効率的な散布を行うことができ、散布気泡を培地調整容器の出口から離れて維持し、それによって、気泡がバイオリアクタ容器に入るのを防ぐことができる。
【0022】
図6は、上部培地入口202および底部培地出口204を備えた培地調整容器200を示す。上部培地入口202の利点は、容器200のオーバーレイ部分にガス混合物を利用して、容器200の内壁に亘り培地を分散させて、培地への酸素供給に役立てられることである。培地が容器に流入するときに、嵩容積に到達する前に、培地の事前酸素供給のために高い表面積対体積(培地膜または細流)を達成することができる。混合のために撹拌を使用することができる、または混合に、底が開いたガス散布管を使用しても差し支えない。底部培地出口204には、容器200内の液体のより低い停止を可能にする利点があり、培地出口204内の液体圧をより高くして、ガス放出とそれに続くポンプの上流での気泡形成を防ぐ。
【0023】
培地調整容器200は、DOインラインセンサ206、pHインラインセンサ208、および温度インラインセンサ210も備える。さらに、培地調整容器200は、ガス散布管212、ベント214、ミキサ216、補給入口218、およびガスオーバーレイ管220を有し得る。
【0024】
図7は、
図6の培地調整容器200を変更した培地調整容器230を示す。培地調整容器230は、ガス散布ライン231、補給入口238、培地入口234、ベント234、ミキサ236、ガスオーバーレイライン239、および回転盤エアレータ232を備える。使用済み培地が、高速回転しているエアレータ232に衝突し、培地調整容器230のオーバーレイ部分で酸素供給されるべき培地の小滴が作り出される。この回転盤エアレータ232は、培地ミキサ236上、またはそれ自体の回転軸上にあり得る。
【0025】
先に述べたように、灌流バイオリアクタシステムの培地調整には、細胞の剪断、検出、および混合に関する、システムへの要望が少ない。このために、従来の真っ直ぐな側壁の容器を超えた容器の設計が可能になり、さらに追加の利点を提供することができる。したがって、本開示の実施の形態は、異なる最小体積の培地を灌流システムに使用できる新たな新規の側壁形状を持つ容器を含む。さらに、同じ培地調整容器を使用して、より大きい範囲の灌流システムを可能にでき、散布(細胞培養培地に望ましくない発泡を生じさせ得る)に依存せずに、表面でのガス交換を増加させるためにより大きい空気/培地界面を可能にすることができる。本開示の実施の形態は、従来の真っ直ぐな側壁の容器よりも大きいターンダウン比を有する培地調整容器を含む。「ターンダウン比」は、所定の構成要素(この場合には、培地調整容器)が実用可能な容量の範囲を称する。言い換えると、ターンダウン比は、最小容量に対する最大容量の比である。より大きいターンダウン比は、ユーザが、異なるサイズの灌流システムに同じ培地調整容器を使用できるようにする。
【0026】
本開示の実施の形態は、異なる実施に使用できるようにし、そのいくつかはその体積の範囲(すなわち、培地調整容器のターンダウン比)のために、より幅の広い灌流床サイズに亘り使用でき、ガス交換を改善するためのオーバーレイ界面(すなわち、ガス/培地界面)の表面積を増加させるために使用できる様々な異なる形状の培地調整容器を含む。
【0027】
図8A~8Eは、いくつかの実施の形態による、培地調整容器の様々な形状を示す。
図8Aは、培地調整容器の従来のバイオリアクタ容器の一例を示す。培地(または容器)の体積は、容器内の培地の高さが増加するにつれて、線形に増加する。これには、大きい最小作業体積を有するという明白な欠点があり、ガス/培地界面の表面積は、培地体積の追加により増加しない。しかし、このことは、表面積対体積比が、培地中にガスを溶解させるためのオーバーレイガス処理と呼ばれることを可能にするのに、小さい体積で十分に大きいであろうという事実によってある程度は相殺される。
【0028】
図8Bは、培地調整容器の形状は、最小作業体積を減少させるためにどのように変化させられるかを示しているが、より小さい全作業体積という欠陥を持ち、重ねて、表面積は、培地の量の増加には対応しない。この場合、表面積対体積比は非常に小さく、オーバーレイガス処理は、最小作業体積をはるかに超えると機能しないことになる。
【0029】
図8Cは、容器の大きい全作業体積を維持しつつ、最小作業体積を減少させられる実施の形態の一例である。表面積対体積比は、
図8Aの例のように、特定の体積の培地に対して効率的なオーバーレイガス処理を可能にするであろう。
【0030】
図8Dは、円錐形の調整容器を使用する実施の形態の別の例である。底部での小さい寸法のために、小さい最小作業体積が達成され、次いで、追加の培地が添加されるにつれて、表面積対体積比が増加する。これには、より大きい全作業体積を有し、表面積対体積比を増加させて、オーバーレイガス処理を最大作業体積までの選択肢に維持するという2倍の利益がある。
【0031】
図8Eは、
図8Dの円錐形を組み込みつつ、ある場合には、より実際的であろう別の形状を示す。
図8Eの容器は、上部幅W
tと上部高さH
tにより規定される上部、円錐高さH
cを持つ円錐部分、および底部幅W
bと底部高さH
bを持つ底部を有する。円錐部分より上の鉛直側壁を持つ上部により、容器が、オーバーレイガスの頭頂部を有し、プローブと撹拌器を取り付けるヘッドプレートをより持ちやすくする形状を有することができる。表1は、上部幅W
t、上部高さH
t、円錐高さH
c、底部幅W
b、底部高さH
b、および最小作業体積と全作業体積に関して定義された8つの例示の培地調整容器を示している。
【0032】
【0033】
図9Aおよび9Bは、いくつかの実施の形態による、灌流固定床に使用できる2つの培地調整容器の構成を示す。いくつかの実施の形態の態様において、灌流固定床は、充填床の高さおよび/または充填床の積層体における基体の層の数を増加させることによって、異なる容量に拡大縮小することができる。
図9Aおよび9Bにおける異なる垂直セクションは、充填床中の細胞培養層の数を増加させても、使用されるであろう。上部半径(またはサイズ)をより大きくすると、表面積対体積比を一定に維持しつつ表面積を増加させ、よって、同じガス処理スキームを使用することができ、体積も、増加した床サイズを伴うであろう、追加の細胞数に要求される追加の培地体積を可能にするように増加する。容器の断面は、容器の底部から上部まで表面積対体積比に適合するように、円形、長方形または正方形であり得ることに留意されたい。
【0034】
いくつかの実施の形態において、培地調整システムは、外囲器内のガスの、ガス交換システム内の培地の、またはバイオリアクタに入る前、そこから出た後、またはその中にある間の培地の性質を検出するための1つ以上のセンサをさらに備える。その1つ以上のセンサは、温度、pH、酸素(O2)、CO2、または行われている細胞培養操作に関連する多数の変数のいずれかを測定することができる。
【0035】
ここに開示された培地調整容器およびシステムは、充填床または固定床細胞培養基体を有するバイオリアクタに使用できると考えられる。従来の大規模細胞培養バイオリアクタでは、異なるタイプの充填床バイオリアクタが使用されてきた。通常、これらの充填床は、接着または浮遊細胞を維持し、成長と増殖を支援するために多孔質基質を含有する。充填床基質は、高い表面積対体積比を提供し、よって、細胞密度は、他のシステムにおけるよりも高くなり得る。しかしながら、充填床は、多くの場合、深層フィルタとして機能し、その場合、細胞は、基質の繊維に物理的に捕えられるか、巻き込まれる。それゆえ、充填床を通る細胞接種材料の直線流のために、細胞は、充填床内の不均一な分布に曝され、充填床の深さまたは幅に亘る細胞密度のばらつきがもたらされる。例えば、細胞密度は、バイオリアクタの入口領域でより高く、バイオリアクタの出口に近いところで著しく低いであろう。充填床の内部の細胞のこのような不均一な分布により、バイオプロセス製造においてそのようなバイオリアクタの拡張性と予測可能性が著しく妨げられ、充填床の単位表面積または体積当たりの細胞の成長またはウイルスベクター産生に関する効率の低下さえもたらし得る。
【0036】
従来技術に開示された充填床バイオリアクタにおいて遭遇する別の問題に、チャネリング効果がある。充填床の任意の所定の断面での局所繊維密度は、充填不織繊維のランダム性のために、均一ではない。培地は、繊維密度が低い(床透過性が高い)領域で速く流れ、繊維密度が高い(床透過性がより低い)領域でずっと遅く流れる。充填床を横切る結果としての不均一な培地灌流により、チャネリング効果が生じ、これは、細胞培養全体とバイオリアクタの性能に悪影響を及ぼす栄養素と代謝産物の著しい勾配として現れる。培地灌流が低い領域に位置する細胞は、飢え、非常に多くの場合、栄養素の欠乏または代謝産物中毒のために死ぬことになる。細胞収穫は、不織繊維足場が充填されたバイオリアクタが使用される場合に遭遇するさらに別の問題である。細胞培養過程の終わりに放出される細胞は、深層フィルタとしての充填床機能のために、充填床の内部に取り込まれ、細胞回収率は非常に低い。このことにより、生細胞が産生物であるバイオプロセスにおけるそのようなバイオリアクタの利用が著しく制限される。それゆえ、不均一性は、流動と剪断への曝露が異なる区域をもたらし、利用できる細胞培養区域を事実上減少させ、不均一な培養を生じ、トランスフェクション効率と細胞放出を妨げる。
【0037】
既存の細胞培養の解決策のこれらと他の問題に対処するために、本開示の実施の形態は、接着依存性細胞の効率的かつ高収率の細胞培養および細胞産物(例えば、タンパク質、抗体、ウイルス粒子)の産生を可能にする、細胞成長基体、そのような基体の基質、および/またはそのような基体を使用する充填床システムを提供する。実施の形態は、均一な細胞播種および培地/栄養素灌流、並びに効率的な細胞収穫を可能にする、多孔質基体材料の規則的な秩序配列から製造された多孔質細胞培養基質を含む。実施の形態は、実施の形態の均一な性能を犠牲にせずに、プロセス開発規模から完全生産サイズ規模まで、細胞を播種し成長させられる、および/または細胞産物を収穫することのできる基体およびバイオリアクタに関する拡張可能な細胞培養の解決策も提供する。例えば、いくつかの実施の形態において、バイオリアクタは、プロセス開発規模から、生産規模に亘り基体の単位表面積当たりの同等なウイルスゲノム(VG/cm2)で生産規模まで、容易に拡張できる。ここに記載された実施の形態の収穫安定性および拡張性により、同じ細胞基体上での複数の規模での細胞集団を成長させるための効率的なシードトレインに使用可能になる。それに加え、ここに記載された実施の形態は、記載された他の特徴との組合せで、高収率の細胞培養の解決策を可能にする高い表面積を有する細胞培養気質を提供する。いくつかの実施の形態において、例えば、ここに述べられた細胞培養基体および/またはバイオリアクタは、バッチ当たり1016から1018のウイルスゲノム(VG)を産生できる。
【0038】
1つの実施の形態において、接着細胞が付着し、増殖するための構造的に明確な表面積を有し、良好な機械的強度を有し、充填床または他のバイオリアクタ内で組み立てられたときに、高度に均一な多数の相互接続された流体ネットワークを形成する基質が提供される。特定の実施の形態において、機械的に安定で非分解性織物メッシュを基体として使用して、接着細胞産生を支援することができる。ここに開示された細胞培養基質は、高い体積密度の形式で足場依存性細胞の付着と増殖を支援する。そのような基質の均一な細胞播種、並びに細胞またはバイオリアクタの他の産生物の効率的な収穫が達成できる。それに加え、本開示の実施の形態は、接種工程中に均一な細胞分布を提供し、開示された基質上の接着細胞のコンフルエントな単層または多層を達成するように細胞培養を支援し、栄養素の拡散が限られ、代謝産物の濃度が増加した大きいおよび/または制御不能な3D細胞凝集体の形成を避けることができる。それゆえ、その基質では、バイオリアクタの作動中、拡散限界がなくなる。それに加え、その基質は、バイオリアクタからの容易かつ効率的な細胞収穫を可能にする。1つ以上の実施の形態の構造的に明確な基質により、バイオリアクタの充填床からの完全な細胞回収と一貫した細胞収穫が可能になる。
【0039】
いくつかの実施の形態によれば、治療用タンパク質、抗体、ウイルス性ワクチン、またはウイルスベクターをバイオプロセスで生産するための基質を有するバイオリアクタを使用する、細胞培養方法も提供される。
【0040】
細胞培養バイオリアクタに使用される既存の細胞培養基体(すなわち、無作為な秩序の繊維の不織基体)とは対照的に、本開示の実施の形態は、明確な秩序構造を有する細胞培養基体を含む。明確な秩序構造により、一貫した予測可能な細胞培養結果が得られる。それに加え、その基体は、細胞の閉じ込めを防ぎ、充填床を均一な流れが通れるようにする開放多孔質構造を有する。この構成により、細胞播種、栄養素の供給、細胞成長、および細胞収穫を改善することができる。1つ以上の特別な実施の形態によれば、比較的小さい厚さだけ隔てられた第1と第2の面を有する薄いシート状構造を有し、よって、シートの厚さが、基体の第1と第2の面の幅および/または長さに対して小さい、基体材料で基質が形成される。それに加え、複数の孔または開口が、基体の厚さを貫通して形成されている。開口の間の基体材料は、ほぼ二次元(2D)表面であるかのように基体材料の表面に細胞を付着させ、一方で、基体材料の周りと開口を通じて適切に流体を流せるサイズと形状のものである。いくつかの実施の形態において、基体は、高分子系材料であり、成形高分子シート;厚さを貫通して開口が開けられた高分子シート;メッシュ状層に融合された多数のフィラメント;3Dプリント基体;またはメッシュ層に編み込まれた複数のフィラメントとして形成され得る。基質の物理的構造は、足場依存性細胞を培養するために高い表面積対体積比を有する。様々な実施の形態によれば、基質は、均一な細胞播種と成長、均一な培地灌流、および効率的な細胞収穫についてここに述べられた特定の様式でバイオリアクタ内に配列または充填することができる。
【0041】
本開示の実施の形態は、バッチ当たり約1014ウイルスゲノム超、バッチ当たり約1015ウイルスゲノム超、バッチ当たり約1016ウイルスゲノム超、バッチ当たり約1017ウイルスゲノム超、またはバッチ当たり約1016ウイルスゲノムまでまたは超の規模でウイルスゲノムを産生できる実用的サイズのウイルスベクタープラットフォームを達成できる。いくつかの実施の形態において、産生は、バッチ当たり約1015から約1018以上のウイルスゲノムである。例えば、いくつかの実施の形態において、ウイルスゲノム収量は、バッチ当たり約1015から約1016のウイルスゲノム、またはバッチ当たり約1016から約1019のウイルスゲノム、またはバッチ当たり約1016から約1018のウイルスゲノム、またはバッチ当たり約1017から約1019のウイルスゲノム、またはバッチ当たり約1018から約1019のウイルスゲノム、またはバッチ当たり約1018以上のウイルスゲノムであり得る。
【0042】
それに加え、ここに開示された実施の形態は、細胞培養基体への細胞の付着と成長だけでなく、培養細胞の生存した状態での収穫を可能にする。生存細胞を収穫できないことは、現行のプラットフォームにおける重大な欠点であり、これは、生産能力に関する十分な数の細胞の構築と維持の難点をもたらす。本開示の実施の形態の態様によれば、80%から100%生存、または約85%から約99%生存、または約90%から約99%生存を含む、生存細胞を細胞培養基体から収穫することが可能である。例えば、収穫された細胞の内、少なくとも80%が生存している、少なくとも85%が生存している、少なくとも90%が生存している、少なくとも91%が生存している、少なくとも92%が生存している、少なくとも93%が生存している、少なくとも94%が生存している、少なくとも95%が生存している、少なくとも96%が生存している、少なくとも97%が生存している、少なくとも98%が生存している、または少なくとも99%が生存している。細胞は、例えば、トリプシン、TrypLE、またはAccutase(登録商標)を使用して、細胞培養基体から放出されることがある。
【0043】
細胞培養基体は、第1の方向に延びる第1の複数の繊維および第2の方向に延びる第2の複数の繊維から作られた織りメッシュ層であり得る。基体の織り繊維は、複数の開口を形成し、その開口は、1つ以上の幅または直径により規定することができる。開口のサイズと形状は、織り方のタイプ(例えば、フィラメントの数、形状およびサイズ;交差するフィラメント間の角度など)に基づいて様々であり得る。織りメッシュは、マクロ規模、二次元シートまたは層として、特徴付けられることがある。しかしながら、織りメッシュを綿密に検査すると、メッシュの交差する繊維の隆起と降下のために、三次元構造が明らかになる。理論で束縛する意図はないが、基体の三次元構造は、接着細胞を培養するために大きい表面積を提供するので、都合よく、メッシュの構造的硬直性は、均一な流体流を可能にする一貫した予測可能な細胞培養基質構造を提供できると考えられる。
【0044】
1つ以上の実施の形態において、繊維は、約50μmから約1000μm、約100μmから約750μm、約125μmから約600μm、約150μmから約500μm、約200μmから約400μm、約200μmから約300μm、または約150μmから約300μmの範囲の直径を有することがある。微小規模では、細胞と比べた繊維の規模のために(例えば、繊維の直径は細胞より大きい)、単繊維の表面は、接着細胞が付着し、増殖するための2D表面の近似として提示される。繊維は、約100μm×100μmから約1000μm×1000μmに及ぶ開口を持つメッシュに編むことができる。いくつかの実施の形態において、開口は、約50μmから約1000μm、約100μmから約750μm、約125μmから約600μm、約150μmから約500μm、約200μmから約400μm、または約200μmから約300μmの直径を有することがある。フィラメントの直径および開口の直径のこれらの範囲は、いくつかの実施の形態の例であって、全ての実施の形態によるメッシュの可能な特徴サイズを限定する意図はない。繊維の直径と開口の直径の組合せは、例えば、細胞培養基質が多数の隣接するメッシュ層(例えば、個々の層の積層体または丸められたメッシュ層)から作られる場合、基体を通る効率的かつ均一な流体流を提供するように選択される。
【0045】
繊維の直径、開口の直径、および織り方/パターンなどの要因により、細胞の付着と成長に利用できる表面積が決まることになる。それに加え、細胞培養基質が、重複する基体の積層体、ロール、または他の配置を含む場合、細胞培養基質の充填密度が充填床基質の表面積に影響することになる。充填密度は、基体材料の充填厚さ(例えば、基体の層に必要な空間)により代わり得る。例えば、細胞培養基質の積層体が特定の高さを有する場合、積層体の各層は、積層体の全高を積層体中の層の数で割ることによって決まる充填厚さを有すると言える。その充填厚さは、繊維の直径と織り方に基づいて様々となるが、積層体中の隣接する層の揃い方に基づいても変動し得る。例えば、編み層の三次元特性のために、互いの揃い方に基づいて隣接する層が収容できるかみ合いまたは重複の特定の量がある。第1の揃い方では、隣接する層は互いにきつく収まり得るが、第2の揃い方では、隣接する層は、上層の最下点が下層の最上点と直接接触している場合など、重複がないことがあり得る。特定の用途では、層の充填密度がより低い(例えば、より高い透過性が優先事項である場合)または充填密度がより高い(例えば、基体の表面積を最大にすることが優先事項である場合)細胞培養基質を提供することが望ましいことがある。1つ以上の実施の形態によれば、充填厚さは、約50μmから約1000μm、約100μmから約750μm、約125μmから約600μm、約150μmから約500μm、約200μmから約400μm、約200μmから約300μmであり得る。
【0046】
上述した構造要因により、細胞培養基体の単層または基体の多層を有する細胞培養基質であるかにかかわらず、細胞培養基質の表面積を決定することができる。例えば、特定の実施の形態において、円形で直径6cmの編みメッシュ基体の単層は、約68cm2の有効表面積を有し得る。ここに用いられているような「有効表面積」は、細胞の付着と成長に利用できる基体材料の部分における繊維の全表面積である。特に明記のない限り、「表面積」に対する言及は、この有効表面積を称する。1つ以上の実施の形態によれば、直径6cmの単一編みメッシュ基体層は、約50cm2から約90cm2、約53cm2から約81cm2、約68cm2、約75cm2、または約81cm2の有効表面積を有することがある。有効表面積のこれらの範囲は、例としてのみ与えられ、いくつかの実施の形態は、異なる有効表面積を有してもよい。細胞培養基質は、本明細書の実施例に述べられるように、多孔質に関して特徴付けることもできる。
【0047】
基体メッシュは、例えば、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルピロリドン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキシド、ポリピロール、およびポリプロピレンオキシドを含む、細胞培養用途に適合する高分子材料の単繊維または多繊維から製造することができる。メッシュ基体は、例えば、編み、縦編み、または織り(例えば、平織り、あや織り、畳織り(dutch weave)、五本針織り(five needle weave))を含む、異なるパターンまたは織りを有することがある。
【0048】
メッシュフィラメントの界面化学は、所望の細胞接着特性を提供するように変更する必要があるであろう。そのような変更は、メッシュの高分子材料の化学処理により、またはフィラメント表面に細胞接着分子をグラフト化することにより、行うことができる。あるいは、メッシュに、例えば、コラーゲンまたはMatrigel(登録商標)を含む、細胞接着特性を示す生体適合性ヒドロゲルの薄層を被覆することができる。あるいは、メッシュのフィラメント繊維の表面に、当該技術分野で公知の様々なタイプのプラズマ、処理ガス、および/または化学物質による処理過程で、細胞接着特性を与えることができる。しかしながら、1つ以上の実施の形態において、メッシュは、表面処理を行わずに、効率的な細胞成長表面を提供することができる。
【0049】
図1のシステム50は、ここに開示された1つ以上の実施の形態の細胞培養基質を収容するバイオリアクタ13を含む。バイオリアクタ13は、上述したように、培地調整容器100に流体接続され得、このシステムは、調整容器100内の細胞培養培地をバイオリアクタ13に供給することができる。培地調整容器100は、懸濁バッチ、供給バッチまたは灌流培養のためのバイオプロセス産業に使用されている典型的なバイオプロセスに見られるセンサおよび制御部品を含み得る。これらには、以下に限られないが、DO酸素センサ、pHセンサ、酸素供給/ガス散布ユニット、温度プローブ、および栄養素添加と塩基添加のためのポートがある。散布ユニットに供給されるガス混合物は、N
2、O
2、およびCO
2ガスのガス流量制御装置により制御できる。培地調整容器100は、培地を混合するためのポンプまたは羽根車も含有し得る。先に列挙したセンサで測定される全ての培地パラメータは、培地調整容器100と通信し、細胞培養培地の状態を測定できるおよび/またはその状態を所望のレベルに調節できる培地調整制御ユニットによって制御することができる。
図1に示されるように、培地調整容器100は、バイオリアクタ容器13とは別の容器として設けられる。このことには、細胞が培養されるところから離れて培地を調整することができ、次いで、調整された培地を細胞培養空間に供給することに関して利点であり得る。
【0050】
培地調整容器100からの培地は、細胞接種材料を播種するための細胞接種材料の注入ポートも含み、細胞の培養を始めることがある、コネクタまたは管104を介してバイオリアクタ13に送達される。バイオリアクタ容器13は、そこを通じて細胞培養培地が容器13から出る別のコネクタまたは管105への1つ以上の出口も含むことがある。バイオリアクタ13からの流出物の内容物を分析するために、そのラインに1つ以上のセンサが設けられることがある。いくつかの実施の形態において、システム50は、バイオリアクタ13および/または培地調整容器100へと、そこからの流れを制御するための流量制御ユニットを含む。例えば、流量制御ユニットは、1つ以上のセンサ(例えば、O2センサ)から信号を受信し、その信号に基づいて、バイオリアクタ13の入口の上流にあるポンプ(例えば、蠕動ポンプ)に信号を送信することによって、バイオリアクタ13への流れを調節することができる。それゆえ、センサが測定した要因または要因の組合せに基づいて、ポンプは、所望の細胞培養条件を得るために、バイオリアクタ13中への流れを制御することができる。
【0051】
培地灌流速度は、培地調整容器100および例えば、バイオリアクタ13内またはその出口に配置されたセンサからのセンサ信号を収集し、比較する信号処理ユニットによって制御される。充填床バイオリアクタを通る培地灌流の充填流の性質のために、充填床に沿って、栄養素、pH、および酸素の勾配が発生する。バイオリアクタの灌流流量は、蠕動ポンプに作動可能に接続された流量制御ユニットによって自動的に制御することができる。
【0052】
説明に役立つ実行例
以下は、開示された主題の実行例の様々な態様の記述である。各態様は、開示された主題の様々な特徴、特性、または利点の1つ以上を含むことがある。この実行例は、開示された主題のいくつかの態様を説明する意図があり、全ての可能な実行例の包括的なまたは網羅的な記述と考えるべきではない。
【0053】
態様1は、灌流バイオリアクタシステムのための培地調整容器であって、ある体積の液体細胞培養培地を保持するように作られた内部空洞を有する容器;細胞培養培地を灌流バイオリアクタからその容器に戻すように作られた培地入口;および細胞培養培地を容器から灌流バイオリアクタに移送するように作られた培地出口を備え、培地入口および培地出口の少なくとも一方が、細胞培養培地の特徴を測定または検出するように作られた1つ以上のインラインセンサを含む、培地調整容器に関する。
【0054】
態様2は、1つ以上のインラインセンサが、溶存酸素センサ、pHセンサ、および温度センサの内の少なくとも1つを含む、態様1の培地調整容器に関する。
【0055】
態様3は、内部空洞内にガスを散布するように作られたガス散布管をさらに備える、態様1または態様2の培地調整容器に関する。
【0056】
態様4は、細胞培養培地を培地出口から、細胞培養培地を内部空洞に戻す培地帰路に送るように作られたポンプを含む灌流ループをさらに備える、態様1から3のいずれか1つの培地調整容器に関する。
【0057】
態様5は、1つ以上のインラインセンサが、灌流ループ内のインラインに配置されている、態様4の培地調整容器に関する。
【0058】
態様6は、培地を灌流バイオリアクタに供給するように作られた供給管をさらに備え、その供給管が、培地出口と、灌流ループ内の1つ以上のインラインセンサとの間に配置されている、態様4または態様5の培地調整容器に関する。
【0059】
態様7は、培地調整容器の側壁または底部に取り付けられた1つ以上のパッチセンサをさらに備える、先の態様のいずれか1つの培地調整容器に関する。
【0060】
態様8は、1つ以上のパッチセンサが、溶存酸素センサ、pHセンサ、および温度センサの内の少なくとも1つを含む、態様7の培地調整容器に関する。
【0061】
態様9は、内部空洞内に配置された外側散布管をさらに備え、培地入口は、内部空洞内の管を含み、その管は、外側散布管内に少なくとも部分的に配置されており、外側散布管内にガス入口が少なくとも部分的に配置されている、態様1から8のいずれか1つの培地調整容器に関する。
【0062】
態様10は、外側散布管が、複数の開口を含む側壁を含み、その複数の開口は、外側散布管内からの気泡が複数の開口を通過するのを防ぐようなサイズである、態様9の培地調整容器に関する。
【0063】
態様11は、灌流バイオリアクタシステムのための培地調整容器であって、ある体積の液体細胞培養培地を保持するように作られた内部空洞を有する容器;細胞培養培地を灌流バイオリアクタからその容器に戻すように作られた培地入口;細胞培養培地を容器から灌流バイオリアクタに移送するように作られた培地出口;および培地調整容器の側壁または底部の少なくとも一方に取り付けられ、細胞培養培地の特徴を測定または検出するように作られた1つ以上のパッチセンサを備えた培地調整容器に関する。
【0064】
態様12は、1つ以上のパッチセンサが、溶存酸素センサ、pHセンサ、および温度センサの内の少なくとも1つを含む、態様11の培地調整容器に関する。
【0065】
態様13は、内部空洞内にガスを散布するように作られたガス散布管をさらに備える、態様11または態様12の培地調整容器に関する。
【0066】
態様14は、培地入口および培地出口の少なくとも一方が、細胞培養培地の特徴を測定または検出するように作られた1つ以上のインラインセンサを含む、態様11から13のいずれか1つの培地調整容器に関する。
【0067】
態様15は、1つ以上のインラインセンサが、溶存酸素センサ、pHセンサ、および温度センサの内の少なくとも1つを含む、態様14の培地調整容器に関する。
【0068】
態様16は、細胞培養培地を培地出口から、細胞培養培地を内部空洞に戻す培地帰路に送るように作られたポンプを含む灌流ループをさらに備える、態様11から15のいずれか1つの培地調整容器に関する。
【0069】
態様17は、1つ以上のインラインセンサが、灌流ループ内のインラインに配置されている、態様16の培地調整容器に関する。
【0070】
態様18は、培地を灌流バイオリアクタに供給するように作られた供給管をさらに備え、その供給管が、培地出口と、灌流ループ内の1つ以上のインラインセンサとの間に配置されている、態様16または態様17の培地調整容器に関する。
【0071】
態様19は、内部空洞内に配置された外側散布管をさらに備え、培地入口は、内部空洞内の管を含み、その管は、外側散布管内に少なくとも部分的に配置されており、外側散布管内にガス入口が少なくとも部分的に配置されている、態様11から18のいずれか1つの培地調整容器に関する。
【0072】
態様20は、外側散布管が、複数の開口を含む側壁を含み、その複数の開口は、外側散布管内からの気泡が複数の開口を通過するのを防ぐようなサイズである、態様19の培地調整容器に関する。
【0073】
態様21は、接着に基づく細胞の細胞培養基体を収容するように作られた第1の容器と、細胞培養培地を調整するように作られ、1つ以上の流体流コネクタを介して第1の容器と流体連通した第2の容器とを含むバイオリアクタを備えた細胞培養システムであって、第2の容器は、その中に収容された細胞培養培地のオーバーレイガス処理のために作られ、第2の容器は、バイオリアクタと細胞培養基体のサイズに応じて、異なる体積の細胞培養培地を調整するのに適した形状を有する、細胞培養システムに関する。
【0074】
態様22は、細胞培養培地の特徴を測定または検出するように作られた1つ以上のセンサをさらに備えた、態様21の細胞培養システムに関する。
【0075】
態様23は、1つ以上のセンサが、細胞培養培地が第2の容器に入るのに通る流体入口内、または細胞培養培地が第2の容器から出るのに通る流体出口内に配置されたインラインセンサである、態様22の細胞培養システムに関する。
【0076】
態様24は、1つ以上のセンサが、第2の容器の側壁または底部の少なくとも一方に取り付けられたパッチセンサを含む、態様22または態様23の細胞培養システムに関する。
【0077】
態様25は、第2の容器に接続され、第2の容器にガスおよび細胞栄養素の少なくとも一方を供給するように作られた、ガス入口および細胞栄養素入口の少なくとも一方をさらに備える、態様22から24のいずれか1つの細胞培養システムに関する。
【0078】
態様26は、ガス入口を介して第2の容器に接続されたガス供給部および細胞栄養素入口を介して第2の容器に接続された細胞栄養素供給部の少なくとも一方をさらに備える、態様25の細胞培養システムに関する。
【0079】
態様27は、第1の容器と第2の容器が灌流ループ内に配列され、灌流ループは、細胞培養培地を第2の容器から第1の容器に移送するように作られた新たな培地の供給ライン、および細胞培養培地を第1の容器から第2の容器に移送するように作られた廃棄培地供給ラインを含む、態様21から26のいずれか1つの細胞培養システムに関する。
【0080】
態様28は、第2の容器が、細胞培養培地を収容するように作られた内部空洞を含み、その内部空洞は、内部空洞の第1の部分内に第1の直径を、内部空洞の第2の部分内に第2の直径を有し、第2の直径は第1の直径より大きい、態様21から27のいずれか1つの細胞培養システムに関する。
【0081】
態様29は、第1の部分は、第2の部分に流体を充填できる前に、第2の部分を流体で充填しなければならないように第2の部分よりも内部空洞内で下にある、態様28の細胞培養システムに関する。
【0082】
態様30は、内部空洞が、逆円錐部分を含む、態様28または態様29の細胞培養システムに関する。
【0083】
態様31は、第1の部分が、垂直側壁により一定の直径を有し、第2の部分が、傾斜した側壁により可変直径を有する、態様28から30のいずれか1つの細胞培養システムに関する。
【0084】
態様32は、内部空洞が、第3の直径を有する第3の部分をさらに含み、第3の直径は、第2の部分の最も大きい直径以下であり、第2の部分は、第1の部分と第3の部分との間に配置されている、態様31の細胞培養システムに関する。
【0085】
態様33は、第1の部分が、垂直側壁および一定の第1の直径を有し、第2の部分が、第1の直径から第2の直径まで増加する可変直径と共に傾斜した側壁を有し、第3の部分が垂直側壁を有する、態様32の細胞培養システムに関する。
【0086】
態様34は、第1の部分が、垂直側壁により一定の第1の直径を有し、第2の部分が、垂直側壁により一定の第2の直径を有する、態様28から30のいずれか1つの細胞培養システムに関する。
【0087】
態様35は、内部空洞が、第2の直径より大きい第3の直径を有する第3の部分をさらに含む、態様34の細胞培養システムに関する。
【0088】
態様36は、内部空洞が、約0.3Lから約35Lの作業体積を有する、態様28から35のいずれか1つの細胞培養システムに関する。
【0089】
定義
「全合成」または「完全合成」とは、合成供給源材料から完全になり、どのような動物由来または動物源の材料も含まない、マイクロキャリアまたは培養容器の表面など、細胞培養物品を称する。開示された全合成細胞培養物品には、異種汚染のリスクがない。
【0090】
「含む」などの用語は、限定されずに包含する、すなわち、包括的であって排他的ではないことを意味する。
【0091】
「ユーザ」は、ここに開示されたシステム、方法、物品、またはキットを使用する人を称し、細胞または細胞産物を収穫するために細胞を培養する人、またはここに記載された実施の形態にしたがって培養された、および/または収穫された細胞または細胞産物を使用する人を含む。
【0092】
本開示の実施の形態を記載する上で使用される、例えば、組成物中の成分の量、濃度、体積、工程温度、工程所要時間、収率、流量、圧力、粘度、および同様の値、並びにその範囲、または構成要素の寸法、および同様の値、並びにその範囲を修飾する「約」は、例えば、材料、組成物、複合体、濃縮物、構成部品、製造物品、または使用製剤の調製に使用される典型的な測定および取扱手順により;これらの手順における故意ではない誤りにより;方法を実施するために使用される出発材料または成分の製造、供給源、または純度の差により;および同様の検討事項により生じ得る数量のばらつきを称する。「約」という用語は、特定の初期濃度または混合物を有する組成物または配合物の経年変化により異なる量、および特定の初期濃度または混合物を有する組成物または配合物の混合または処理により異なる量も包含する。
【0093】
「随意的」または「必要に応じて」とは、その後に記載された事象または環境が起こり得るまたは起こり得ないこと、およびその記載が、その事象または環境が生じる例と生じない例を含むことを意味する。
【0094】
名詞は、特に明記のない限り、少なくとも1つ、または1つ以上の対象を含む。
【0095】
当業者に周知の省略形を使用してよい(例えば、時間の「h」または「hrs」、グラムの「g」または「gm」、ミリリットルの「mL」、および室温の「rt」、ナノメートルの「nm」、および同様の省略形)。
【0096】
構成要素、成分、添加物、寸法、条件、および同様の属性について開示された特定の値および好ましい値、並びにその範囲は、説明のためだけであり、それらは、他の所定の値または所定の範囲内の他の値を排除するものではない。本開示のシステム、キット、および方法は、明白なまたは潜在的な中間値および範囲を含む、ここに記載された値、特定値、より特定の値、および好ましい値のどの値またはどの組合せも含み得る。
【0097】
特に明記のない限り、ここに述べられたどの方法も、その工程が特定の順序で行われることを必要とするものと解釈されることは決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程がしたがうべき順序を実際に列挙していない場合、または工程が特定の順序に限定されるべきことが、請求項または記載に他の具体的に述べられていない場合、どの特定の順序も暗示されているものとは、決して意図されていない。
【0098】
開示された実施の形態の精神または範囲から逸脱せずに、様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。開示された実施の形態の精神および実体を含む実施の形態の改変、組合せ、部分的な組合せおよび変更が当業者に想起されるであろうから、開示された実施の形態は、付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に全てを含むと解釈されるべきである。
【0099】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0100】
実施形態1
灌流バイオリアクタシステムのための培地調整容器であって、
ある体積の液体細胞培養培地を保持するように作られた内部空洞を有する容器、
細胞培養培地を灌流バイオリアクタから前記容器に戻すように作られた培地入口、および
細胞培養培地を前記容器から前記灌流バイオリアクタに移送するように作られた培地出口、
を備え、
前記培地入口および前記培地出口の少なくとも一方が、前記細胞培養培地の特徴を測定または検出するように作られた1つ以上のインラインセンサを含む、培地調整容器。
【0101】
実施形態2
前記1つ以上のインラインセンサが、溶存酸素センサ、pHセンサ、および温度センサの内の少なくとも1つを含む、実施形態1に記載の培地調整容器。
【0102】
実施形態3
前記内部空洞内にガスを散布するように作られたガス散布管をさらに備える、実施形態1または2に記載の培地調整容器。
【0103】
実施形態4
細胞培養培地を前記培地出口から、細胞培養培地を前記内部空洞に戻す培地帰路に送るように作られたポンプを含む灌流ループをさらに備える、実施形態1から3のいずれか1つに記載の培地調整容器。
【0104】
実施形態5
前記1つ以上のインラインセンサが、前記灌流ループ内のインラインに配置されている、実施形態4に記載の培地調整容器。
【0105】
実施形態6
培地を前記灌流バイオリアクタに供給するように作られた供給管をさらに備え、該供給管が、前記培地出口と、前記灌流ループ内の前記1つ以上のインラインセンサとの間に配置されている、実施形態4または5に記載の培地調整容器。
【0106】
実施形態7
前記培地調整容器の側壁または底部に取り付けられた1つ以上のパッチセンサをさらに備える、実施形態1から6のいずれか1つに記載の培地調整容器。
【0107】
実施形態8
前記1つ以上のパッチセンサが、溶存酸素センサ、pHセンサ、および温度センサの内の少なくとも1つを含む、実施形態7に記載の培地調整容器。
【0108】
実施形態9
前記内部空洞内に配置された外側散布管をさらに備え、
前記培地入口は、前記内部空洞内の管を含み、該管は、前記外側散布管内に少なくとも部分的に配置されており、
前記外側散布管内にガス入口が少なくとも部分的に配置されている、実施形態1から8のいずれか1つに記載の培地調整容器。
【0109】
実施形態10
前記外側散布管が、複数の開口を含む側壁を含み、該複数の開口は、該外側散布管内からの気泡が該複数の開口を通過するのを防ぐようなサイズである、実施形態9に記載の培地調整容器。
【0110】
実施形態11
灌流バイオリアクタシステムのための培地調整容器であって、
ある体積の液体細胞培養培地を保持するように作られた内部空洞を有する容器、
細胞培養培地を灌流バイオリアクタから前記容器に戻すように作られた培地入口、
細胞培養培地を前記容器から前記灌流バイオリアクタに移送するように作られた培地出口、および
前記培地調整容器の側壁または底部の少なくとも一方に取り付けられ、前記細胞培養培地の特徴を測定または検出するように作られた1つ以上のパッチセンサ、
を備えた培地調整容器。
【0111】
実施形態12
前記1つ以上のパッチセンサが、溶存酸素センサ、pHセンサ、および温度センサの内の少なくとも1つを含む、実施形態11に記載の培地調整容器。
【0112】
実施形態13
前記内部空洞内にガスを散布するように作られたガス散布管をさらに備える、実施形態11または12に記載の培地調整容器。
【0113】
実施形態14
前記培地入口および前記培地出口の少なくとも一方が、前記細胞培養培地の特徴を測定または検出するように作られた1つ以上のインラインセンサを含む、実施形態11から13のいずれか1つに記載の培地調整容器。
【0114】
実施形態15
前記1つ以上のインラインセンサが、溶存酸素センサ、pHセンサ、および温度センサの内の少なくとも1つを含む、実施形態14に記載の培地調整容器。
【0115】
実施形態16
細胞培養培地を前記培地出口から、細胞培養培地を前記内部空洞に戻す培地帰路に送るように作られたポンプを含む灌流ループをさらに備える、実施形態11から15のいずれか1つに記載の培地調整容器。
【0116】
実施形態17
前記1つ以上のインラインセンサが、前記灌流ループ内のインラインに配置されている、実施形態16に記載の培地調整容器。
【0117】
実施形態18
培地を前記灌流バイオリアクタに供給するように作られた供給管をさらに備え、該供給管が、前記培地出口と、前記灌流ループ内の前記1つ以上のインラインセンサとの間に配置されている、実施形態16または17に記載の培地調整容器。
【0118】
実施形態19
前記内部空洞内に配置された外側散布管をさらに備え、
前記培地入口は、前記内部空洞内の管を含み、該管は、前記外側散布管内に少なくとも部分的に配置されており、
前記外側散布管内にガス入口が少なくとも部分的に配置されている、実施形態11から18のいずれか1つに記載の培地調整容器。
【0119】
実施形態20
前記外側散布管が、複数の開口を含む側壁を含み、該複数の開口は、該外側散布管内からの気泡が該複数の開口を通過するのを防ぐようなサイズである、実施形態19に記載の培地調整容器。
【符号の説明】
【0120】
13 バイオリアクタ、バイオリアクタ容器
50 細胞培養システム
100 培地調整システム
102 出口
104 管
106 戻し管
120、140、150、230 培地調整容器
121、164 培地入口
122 培地出口
124、154 溶存酸素センサ
126、56 pHセンサ
128、158 温度センサ
130 ガス散布器
132、214 ベント
134、218 補給入口
160 ガス散布システム
162 外側ガス散布管
166 ガス入口
168 孔、スリット
170 散布環
172 気泡
174 開口
176 ドレン栓
200 容器
202 上部培地入口
204 底部培地出口
206 DOインラインセンサ
208 pHインラインセンサ
210 温度インラインセンサ
212 ガス散布環
216 ミキサ
【国際調査報告】