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特表2024-501119ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/22 20060101AFI20231228BHJP
   A61N 5/067 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A61B18/22
A61N5/067
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531510
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 IB2021060945
(87)【国際公開番号】W WO2022112977
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/118,117
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/118,857
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/252,830
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502272398
【氏名又は名称】ルメニス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ハチャトゥロフ、アルカジー
(72)【発明者】
【氏名】ロンデル、ヴィタリー
【テーマコード(参考)】
4C026
4C082
【Fターム(参考)】
4C026AA03
4C026AA04
4C026AA08
4C026FF03
4C026FF17
4C026GG06
4C082RA02
4C082RA05
4C082RA06
4C082RC06
4C082RC09
4C082RE03
4C082RE17
4C082RJ06
(57)【要約】
本開示は、ファイバ・フィードバック(FFB)技術の分野に関し、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための方法およびシステムを提供する。方法は、光放射、伝送、および検出(LETD)システムによって、異なるレーザ光源を使用して、低い吸水率および高い吸水率を有する異なる波長のレーザ光で標的を照射する工程と、異なる波長の入射レーザ光に対応する戻された信号を受け取る工程と、特有の波長の戻された信号の強度値を測定するために、戻された信号を検出する工程とを含む。測定された強度値を使用して、処理ユニットは、ファイバ端部と標的との間の距離を推定してもよい。本開示は、ファイバ端部と標的との間の距離の正確な推定を可能にする。本開示はまた、異なるタイプの標的と適合可能であるロバストな距離推定技法も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長のレーザ光を生成するための第1のレーザ源と、
第2の波長のレーザ光を生成するための第2のレーザ源と、
遠位端部を有する光ファイバであって、前記第1および前記第2のレーザ源からのレーザ光を前記遠位端部から外に進め、反射レーザ光を前記遠位端部内に受け取るように構成される、光ファイバと、
前記反射光の強度を測定するための光検出器と、
命令を備えるプロセッサおよびメモリであって、前記命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに、前記光検出器によって測定された前記反射光の前記強度に基づいて、前記光ファイバの前記遠位端部と標的との間の距離を推定させる、プロセッサおよびメモリとを備える、システム。
【請求項2】
前記第1の波長が、前記第2の波長の第2の吸水率より高い第1の吸水率を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の吸水率対前記第2の吸水率の比が、少なくとも2対1である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の波長が、約1330nmから約1380nmであり、前記第2の波長が、約1260nmから約1320nmである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記光ファイバの状態を特徴付けるために利用される第3の波長のレーザ光を生成するための第3のレーザ源を備え、前記第3の波長が、前記第1および前記第2の吸水率より高い第3の吸水率を有する、請求項2乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第3の波長が、約1435nm、約2100nm、または約1870nmから約2050nmの間の波長を備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記光検出器が、前記第1の波長の前記レーザ光に対応する前記反射光の第1の強度値と、前記第2の波長の前記レーザ光に対応する前記反射光の第2の強度値とを測定する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記命令が、前記プロセッサによって実行されたとき、さらに、前記プロセッサに、
前記第1の強度値と前記第2の強度値との比を計算させ、
前記第1の強度値と前記第2の強度値との前記比に基づいて、前記光ファイバの前記遠位端部と前記標的との間の前記距離を推定させる、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1および前記第2のレーザ源の1つまたは複数が、偏光保持ピグテール型ファイバ・レーザ、単一モード・ピグテール型ファイバ・レーザ、または自由空間レーザを備える、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記光ファイバの近位端部に結合された波長分割多重装置(WDM)であって、同じ地点および同じ角度の1つまたは複数において前記光ファイバの近位端部に入るように前記第1の波長の前記レーザ光および前記第2の波長の前記レーザ光を配置する、WDMを備える、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
複数の異なる波長のレーザ光で標的を照明する工程と、
光ファイバを介して前記標的から反射光ビームを受け取る工程と、
1つまたは複数の光検出器によって前記反射光ビームの強度を測定する工程と、
前記1つまたは複数の光検出器によって測定された前記反射光ビームの強度に基づいて、前記光ファイバの遠位端部と前記標的との間の距離を推定する工程とを備える、方法。
【請求項12】
前記標的を照明するために前記光ファイバを介して前記複数の異なる波長の前記レーザ光を放射する工程を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1の波長のレーザ光に対応する前記反射光ビームの第1の強度値と、第2の波長のレーザ光に対応する前記反射光ビームの第2の強度値とを測定する工程を備える、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の波長が、約1330nmから約1380nmであり、前記第2の波長が、約1260nmから約1320nmである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の強度値と前記第2の強度値との比を計算する工程と、
前記第1の強度値と前記第2の強度値との前記比に基づいて、前記光ファイバの前記遠位端部と前記標的との間の前記距離を推定する工程とを備える、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、医療または治療レーザ送達において使用される光ファイバの分野に関する。詳細には、それに限らないが、本開示は、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野へのレーザの導入およびレーザを使用する光ファイバ技術の開発は、治療、診断、セラピーなどにおいて数多くの用途を開いてきた。そのような用途は、侵襲的および非侵襲的治療から内視鏡手術および画像診断にわたる。たとえば、尿石治療では、尿石は、より小片に破砕することが必要とされる。レーザ砕石術として知られている技術が、そのような破砕プロセスに使用されてもよく、この場合、中小サイズの尿石のために、剛性または可撓性の尿管鏡が、照明および撮像のために尿路を通って留置される。同時に、光ファイバが、尿管鏡の作動チャネルを通って標的場所に(たとえば膀胱、尿管、または腎臓内の石が存在する場所に)挿入される。レーザは、次いで、石をより小片に破砕するか、またはこれをダスティングするように活性化される。別の場合では、凝固またはアブレーション治療において、レーザおよび光ファイバ技術が使用される。アブレーション治療中、レーザ光は、組織を気化させるために組織に送達される。凝固治療中、レーザ光は、組織内に熱的ダメージを誘発するために使用される。そのようなアブレーション治療は、前立腺肥大症(BPH)、前立腺がん、肝がん、肺がんなどのがんなどのさまざまな臨床症状を治療するために、また心臓内の組織の一部をアブレーションするおよび/または凝固させることによって心臓の状態を治療するために使用されてもよい。
【0003】
レーザおよび光ファイバ技術を使用するこれらの治療は、組織アブレーション、凝固、砕石、ダスティングなどの臨床的目的を達成するために、レーザが正しい標的(石、組織、腫瘍など)に照準されることを保証するために高い正確性を必要とする。したがって、エネルギー、パルス幅、レーザ・パワー変調、および/または繰り返し数などのレーザ治療パラメータは、光ファイバの先端から標的までの間の距離に基づいて決定されることが多いため、標的と、レーザ光が放射される光ファイバの端部(遠位端部)との間の距離を知ることは重要である。
【0004】
光ファイバの遠位端部と標的との間の距離を推定するための既存の技法の1つは、光ビームの反射の強度値を測定し、比較することを実現し、この場合、光ビームは、光ビームの開口数を変調することによって、光ファイバを通って伝送される。しかし、光ビームの開口数をシフトさせることは、常に好都合であるとは限らない。さらに、これらの技法に必要とされる、異なる開口数の光ビームの反射の分離は難しい。
【発明の概要】
【0005】
本概要は、詳細な説明において以下にさらに説明される簡易化された形態の一連の概念を導入するために提供される。この概要は、特許請求される主題の重要となる特徴または必須の特徴を必ずしも特定するようには意図されておらず、特許請求される主題の範囲を決定する上での補助として意図されるものでもない。
【0006】
1つの態様では、本開示は、第1および第2のレーザ源と、光ファイバと、光検出器と、プロセッサおよびメモリとを備えるシステムに関する。第1のレーザ源は、第1の波長のレーザ光を生成してもよく、第2のレーザ源は、第2の波長のレーザ光を生成してもよい。光ファイバは、遠位端部を有してもよく、第1および第2のレーザ源からのレーザ光を遠位端部から外に進め、反射レーザ光を遠位端部内に受け取るように構成されてもよい。光検出器は、反射光の強度を測定してもよい。プロセッサおよびメモリは、プロセッサによって実行されたとき、プロセッサに、光検出器によって測定された反射光の強度に基づいて、光ファイバの遠位端部と標的との間の距離を推定させる命令を含んでもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の波長は、第2の波長の第2の吸水率より高い第1の吸水率を有する。いくつかのそのような実施形態では、第1の吸水率対第2の吸水率の比は、少なくとも2対1である。別のそのような実施形態では、第1の波長は、約1330nmから約1380nmであり、第2の波長は、約1260nmから約1320nmである。さらに別の実施形態は、光ファイバの状態を特徴付けるために利用される第3の波長のレーザ光を生成するために第3のレーザ源を含み、第3の波長は、第1および第2の吸水率より高い第3の吸水率を有する。別の実施形態では、第3の波長は、約1435nm、約2100nm、または約1870nmから約2050nmの間の波長を備える。
【0008】
いくつかの実施形態では、光検出器は、第1の波長のレーザ光に対応する反射光の第1の強度値と、第2の波長のレーザ光に対応する反射光の第2の強度値とを測定する。いくつかのそのような実施形態では、命令は、プロセッサによって実行されたとき、さらに、プロセッサに、第1の強度値と第2の強度値との比を計算させ、第1の強度値と第2の強度値との比に基づいて、光ファイバの遠位端部と標的との間の距離を推定させる。
【0009】
さまざまな実施形態では、第1および第2のレーザ源の1つまたは複数は、偏光保持ピグテール型ファイバ・レーザ、単一モード・ピグテール型ファイバ・レーザ、または自由空間レーザを備える。
【0010】
一部の実施形態は、光ファイバの近位端部に結合された波長分割多重装置(WDM)であって、同じ地点および同じ角度の1つまたは複数において光ファイバの近位端部に入るように第1の波長のレーザ光および第2の波長のレーザ光を配置する、WDMを含む。
【0011】
別の態様では、本開示は、命令のセットを備える少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令のセットは、プロセッサ回路によって実行されたことに応答して、プロセッサ回路に、第1の波長のレーザ光に対応する第1の反射レーザ光に基づいて、第1の強度値を決定することであって、第1の波長のレーザ光は、光ファイバの遠位端部を退出し、第1の反射レーザ光は、標的によって反射され、光ファイバの遠位端部に入る、第1の強度値を決定することと、第2の波長のレーザ光に対応する第2の反射レーザ光に基づいて、第2の強度値を決定することであって、第2の波長のレーザ光は、光ファイバの遠位端部を退出し、第2の反射レーザ光は、標的によって反射され、光ファイバの遠位端部に入る、第2の強度値を決定することと、第1の強度値と第2の強度値との比を計算することと、第1の強度値と第2の強度値との比に基づいて、光ファイバの遠位端部と標的との間の距離を推定することとのうちの1つまたは複数を実施させる、少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読媒体に関する。
【0012】
いくつかの実施形態では、命令のセットは、プロセッサ回路による実行に応答して、さらに、プロセッサ回路に、第1の強度値を決定するために第1の測定された強度値から第1の内部反射値を減算させ、第2の強度値を決定するために第2の測定された強度値から第2の内部反射値を減算させる。
【0013】
さまざまな実施形態では、命令のセットは、プロセッサ回路による実行に応答して、さらに、プロセッサ回路に、第3の波長のレーザ光に対応する第3の反射レーザ光に基づいて、内部反射値を決定させ、第3の波長のレーザ光は、レーザ源を退出し、第3の反射レーザ光の少なくとも一部分は、光ファイバの遠位端部によって反射される。さまざまなそのような実施形態では、命令のセットは、プロセッサ回路による実行に応答して、さらに、プロセッサ回路に、内部反射値とベースラインの内部反射値とを比較させ、内部反射値とベースラインの内部反射値との比較に基づいて、治療ビームの動作パラメータを調整させる。別のそのような実施形態では、命令のセットは、プロセッサ回路による実行に応答して、さらに、プロセッサ回路に、内部反射値とベースラインの内部反射値とを比較させ、内部反射値とベースラインの内部反射値との比較に基づいて光ファイバの状態を特徴付けさせ、ユーザ・インターフェースを介して光ファイバの状態の表示を伝えさせる。
【0014】
いくつかの実施形態では、命令のセットは、プロセッサ回路による実行に応答して、さらに、プロセッサ回路に、ユーザ・インターフェースを介して、光ファイバの遠位端部と標的との間の推定された距離の表示を伝えさせる。
【0015】
さらに別の態様では、本開示は、複数の異なる波長のレーザ光で標的を照明する工程、光ファイバを介して標的から反射光ビームを受け取る工程、1つまたは複数の光検出器によって反射光ビームの強度を測定する工程、および1つまたは複数の光検出器によって測定された反射光ビームの強度に基づいて、光ファイバの遠位端部と標的との間の距離を推定する工程のうちの1つまたは複数を備える、方法を含んでもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法は、標的を照明するために光ファイバを介して複数の異なる波長のレーザ光を放射する工程を含む。
さまざまな実施形態では、方法は、第1の波長のレーザ光に対応する反射光ビームの第1の強度値と、第2の波長のレーザ光に対応する反射光ビームの第2の強度値とを測定する工程を含む。さまざまなそのような実施形態では、方法は、第1の強度値と第2の強度値との比を計算する工程と、第1の強度値と第2の強度値との比に基づいて、光ファイバの遠位端部と標的との間の距離を推定する工程とを含む。
【0017】
本開示の非限定的な実施形態は、添付の図を参照しながら例として説明され、それらの図は、概略的であり、縮尺に合わせて描かれるようには意図されていない。図では、図示されるそれぞれの同一またはほぼ同一の構成要素は、典型的には、単一の番号によって表される。本開示に含まれるさまざまな図が、いくつかの構成要素を省略してもよく、いくつかの構成要素の一部分を示してもよく、および/または別様では隠されているように見え得る構成要素を示し、説明することを容易にするために、いくつかの構成要素を透明であるように提示してもよいことが理解されよう。明確にするために、すべての図においてすべての構成要素が標識されているとは限らず、当業者が本開示を理解することを可能にするのに説明が必要ではないところでは、各実施形態のすべての構成要素が示されているとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的なアーキテクチャを示す図。
図1B】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な光ファイバを示す図。
図2A】本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的な構成を示す図。
図2B】本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的な構成を示す別の図。
図2C】本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的な構成を示す別の図。
図2D】本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的な構成を示す別の図。
図2E】本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的な構成を示す別の図。
図2F】本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的な構成を示す別の図。
図2G】本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的な構成を示す別の図。
図2H】本開示のいくつかの実施形態による、特有の角度において切断された、光ファイバの近位端部の例示的な図。
図2I】本開示のいくつかの実施形態による、特有の角度において切断された、光ファイバの近位端部の別の例示的な図。
図3A】本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定する方法を示すフロー図。
図3B】本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定する方法を示す別のフロー図。
図3C】本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定する方法を示す別のフロー図。
図4】本開示と一致する実施形態を実装するための例示的なコンピュータ・システムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、光ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための方法およびシステムを提供する。レーザを使用する治療の効率性が、標的に対する光ファイバ先端の相対的な位置および配向に左右されることが多いことを理解されたい。しかし、対象者(たとえば患者)の体内の位置および配向に関する光ファイバの移動、組織環境、組織の移動、標的の表面、標的の色、標的の色素、治療中の光ファイバ先端の劣化、潅注、および見通しが悪い環境(たとえばダスティングによる)などのさまざまな要因により、光ファイバ先端と標的との間の距離を決定または推定することは極めて難しい。光ファイバ先端と標的との間の距離を決定することは、光ファイバ先端が、典型的には、対象者の体に挿入されるという事実によってさらに複雑にされる。
【0020】
ファイバ端部と標的との間の距離の間違った推定およびファイバ端部の配向の間違った推定は、標的の関心領域ではない領域にレーザを照準することを招く可能性がある。これは、不必要な合併症を招くことがあり、いくつかの場合では、これは、対象者の組織、器官などの特定の部分に対して恒久的なダメージを招く可能性もあり、それによって対象者の体の一部分を機能不全にし得る。いくつかの他のシナリオでは、間違った距離測定および配向は、治療の継続時間の増大を招くことがあり、または低品質のアブレーション/破砕結果を招くことがある。BPHまたはがんなどのいくつかの場合、腫瘍が適切にアブレーションされない場合、腫瘍(または他の望ましくない組織)の再増殖を招いて、さらなる合併症を招くことがある。したがって、上記で論じられたようなレーザおよび光ファイバ技術を使用して特定の治療を実施する間、光ファイバ先端と標的との間の正確な距離を決定する(または所望の距離を維持する)ことが重要である。
【0021】
方法は、光放射、伝送、および検出(LETD)システムによって、異なるレーザ光源を使用して、低い吸水率および高い吸水率を有する異なる波長のレーザ光で標的を照明する工程を含む。波長は、これらが互いに近く、同じ「nmスケール」に属するように選択されてもよい。さらに、LETDシステムは、異なる波長の入射レーザ光に対応する、戻された信号を受け取る。戻された信号は、照明後に標的から反射された光ビームを備える。LETDシステム内に構成された1つまたは複数の光検出器が、特有の波長の戻された信号の強度値を測定するために、戻された信号を検出してもよい。測定された強度値を使用して、処理ユニットが、次いで、ファイバ端部と標的との間の距離を推定してもよい。
【0022】
本開示は、ビーム合成器、ビーム分割器、偏光器、コリメータ、波長分割多重装置(WDM)、光検出器などのさまざまな光構成要素の異なる配置を備える異なる構成において、説明されたLETDシステムを使用する。本開示は、ファイバ端部と標的との間の距離の正確な推定を可能にする。追加的に、本開示は、異なるタイプの標的に適合可能であるロバストな距離推定技法を提供する。さらに、本開示は、1つまたは複数の動作パラメータを制御および/または調整する目的で使用されてもよい。たとえば、治療中、標的は、あちらこちらに、前後に、もしくは別様に移動することがあり、またはその形状、サイズ、組成、色素、および色の1つまたは複数を変化させることがある。したがって、標的へのレーザ発振を開始する前に事前設定されたレーザ源のパラメータは、効果が低下し得る。従来的には、そのような事前設定されたパラメータは、手動で変更されており、それによって、エラーが生じやすく、時間がかかることがあり、またはいくつかの場合、事前設定されたパラメータは、変更されないままにされることがあり、それによって、光ファイバが標的に近すぎる、または標的から遠すぎることになり得るシナリオを招くことがある。したがって、本開示は、光ファイバ端部と標的との間の距離の自動のリアルタイムでの監視を可能にし、さらに、標的の形状、位置などにしたがってレーザ発振を調整し、治療からの所望の結果または転帰をより達成しやすくするために、事前設定されたレーザ発振パラメータの自動の変更を可能にする。
【0023】
前述は、本開示の以下の詳細な説明がより良好に理解され得るように、本開示の特徴および技術的利点を広範に概説してきた。開示される実施形態は、本開示の同じ目的を行うために他の構造を改変または設計するための基礎として容易に利用されてもよいことが、当業者によって理解されるものとする。本開示の、その構成および動作方法に関する新規の特徴は、さらなる目的および利点と共に、添付の図に関連して考慮することで以下の説明からより良好に理解されるであろう。しかし、図のそれぞれが、例証および説明の目的のみで提供されており、本開示の限定の定義として意図されていないことを明確に理解されたい。
【0024】
図1Aは、本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的なアーキテクチャ100を示す。いくつかの実施形態では、例示的なアーキテクチャ100は、標的101と、光ファイバ103と、光放射、伝送、および検出(LETD)システム105と、処理ユニット107と、表示器109とを備える。いくつかの実施形態では、標的101は、治療、アブレーション、または破壊される対象である対象者体内の組織、石、腫瘍、嚢腫などであってもよい。いくつかの実施形態では、対象者は、ヒトまたは動物であってもよい。さらに、光ファイバ103は、近位端部と遠位端部とを備える。近位端部は、光ファイバ103の、光ビームが光ファイバ103にそこを通って入る端部であり、遠位端部は、光ファイバ103の、光ビームがそこを通って放射され、標的101上に導かれることが可能である端部である。したがって、光ビーム115は、図1Bに示されるように、光ファイバ103の近位端部111で入り、光ファイバ103の長さを通して伝播し、遠位端部113から退出し、光ファイバ103の遠位端部113から標的101上に(または向かって)導かれる。
【0025】
いくつかの実施形態では、光ビームは、光源から導かれたビームであってもよい。たとえば、光源は、レーザ光源であることができる。一例として、レーザ光源は、それだけに限定されないが、固体レーザ、ガス・レーザ、ダイオード・レーザ、およびファイバ・レーザを含んでもよい。光ビームは、照準ビーム、治療ビーム、および光ファイバ103を通って伝送される任意の他のビームの1つまたは複数を含んでもよい。さまざまな実施形態では、照準ビームは、光ファイバ端部(たとえば、遠位端部113)と標的101との間の距離を推定するために光ファイバ103を通って伝送される低強度の光ビームを含んでもよい。一部の実施形態では、治療ビームは、標的101を治療するために光ファイバ103を通って伝送される高強度の光ビームを含んでもよい。いくつかの実施形態では、異なる光ビームが、1つまたは複数のレーザ光源によって生み出されてもよい。特有の例として、照準ビームは、1つのレーザ源によって生成されてもよく、治療ビームは、別のレーザ源によって生成されてもよい。別の例では、照準ビームと治療ビームの両方は、単一のレーザ源によって生成されてもよい。さらに別の例では、異なるレーザ光源が、異なる波長、特徴などの光ビームを生成するために使用されてもよい。
【0026】
さらに、光ファイバ103は、光ビームを受け取り、標的101に照準され、標的101の表面およびその周りの領域から反射した反射光ビームを送達するために、図1Aに示されるようなLETDシステム105に関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、光ファイバ103は、任意選択により、ポート(図1Aには示されず)を介してLETDシステム105に機械的および/または電気的に結合されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、LETDシステム105は、本開示のさらなる部分において詳細に説明されるようにさまざまな組合せで構成された、それだけに限定されないが、レーザ光源、偏光器、ビーム分割器、ビーム合成器、光検出器、波長分割多重装置、コリメータ、サーキュレータを含んでもよい光構成要素を備える。
【0028】
多くの実施形態では、レーザ光源は、標的101に光ビーム115を照準する目的の低強度照準ビームおよび標的101を治療するための高強度治療ビーム、ならびに/または用途に基づいて可変の特徴(たとえば強度、波長など)を有する光ビームなどのレーザ光ビームを生成するように構成される。各レーザ光源は、異なる波長を有するレーザ光を生成するように構成されてもよく、異なる波長の各々は、異なる吸水率を有することができる。さらに、各レーザ光源は、同じ開口または異なる開口を有してもよい。いくつかの実施形態では、各レーザ光源は、異なる目的で設計されてもよく、たとえば、1つのレーザ光源は、特定の強度の照準ビームを生成するように構成されてもよく、1つのレーザ光源は、特定の強度の治療ビームを生成するように構成されてもよく、1つまたは複数のレーザ光源は、特有の吸水率を有する特有の波長の光ビームを生成するように構成されてもよい。追加的に、各レーザ光源は、偏光されたレーザ光または偏光されていない/偏光解消された光を生成するように構成されてもよい。
【0029】
偏光器は、光フィルタとして作用する光構成要素を含んでもよい。たとえば、偏光器は、特有の偏光の光ビームを通過させ、異なる偏光の光ビームをブロックすることを可能にするように構成されてもよい。したがって、未定義の光(または混合した偏光の光ビーム)が偏光器に対する入力として提供されると、偏光器は、十分に定義された、単一の偏光された光ビームを出力として提供する。
【0030】
ビーム分割器は、入射光を指定された比で2つの別個のビームに分割するために使用される光構成要素を含んでもよい。さらに、ビーム分割器は、入射の所望の角度(AOI)で入射するように光を操作するように配置されてもよい。したがって、多くの実施形態では、ビーム分割器は、2つのパラメータ、すなわち分離の比とAOIとを有して主に構成されることが可能である。分離の比は、ビーム分割器の反射対伝送の比(反射/伝送(R/T)比)を備える。したがって、本明細書で使用されるとき、ビーム分割器の分離比が50:50として表示される場合、これは、ビーム分割器が、入射光ビームを50:50のR/T比で分割することを意味する。換言すれば、ビーム分割器は、入射光を50%反射し、他の50%を伝送することによって変更することにより、入射光ビームを分割する。さらに、一例として、ビーム分割器のAOIが45度として表示される場合、これは、ビーム分割器が、45度の角度で光ビームが入射することを保証することを意味している。ビーム分割器は、それだけに限定されないが、偏光型ビーム分割器、および無偏光型ビーム分割器を含んでもよい。偏光型ビーム分割器は、S偏光成分およびP偏光成分に基づいて、たとえば、光のS偏光成分を反射し、光のP偏光成分を伝送する(またはその逆の形)などによって、入射光を分割してもよい。いくつかの実施形態では、無偏光型ビーム分割器は、入射光ビームの元の偏光状態を維持しながら特有のR/T比に基づいて入射光ビームを分割してもよい。
【0031】
ビーム合成器は、上記で説明されたように伝送および反射の原理を使用するなどによって、光の2つ以上の波長を組み合わせる部分的反射装置を含んでもよい。多くの実施形態では、ビーム合成器は、2つ以上の波長の光を組み合わせる機能を実施する、ビーム分割器および鏡の組合せであってもよい。
【0032】
光検出器は、光ビームの特徴を検出および/または測定し、検出されたおよび/または測定された特徴を電気信号で符合化するデバイスを含んでもよい。たとえば、光検出器は、(事前構成された)光ビームの特有のタイプを検出し、検出された光ビームに関連付けられた光エネルギーを電気信号に変換してもよい。いくつかの実施形態では、波長分割多重化は、異なる波長のレーザ光を使用しながら、いくつかの光キャリア信号を単一の光ファイバ上で組み合わせる技術を含み得る。
【0033】
コリメータは、光ビームを絞り込むデバイスを含んでもよい。光ビームを絞り込むために、コリメータは、動きの方向が特有の方向(たとえば平行光線)により位置合わせされるように、またはビームの空間断面を小さくするように構成されてもよい。多くの実施形態では、コリメータは、点源から発散する光を平行ビームに変更するために使用されてもよい。
【0034】
サーキュレータは、複数のポートの所定の順序によって光を受け取り、放射するように構成された複数ポート光デバイスを含んでもよい。たとえば、サーキュレータは、任意の1つのポートに入った光が次のポートから退出するように設計された、3ポート(または4ポート、または5ポートなど)の光デバイスを含んでもよい。1つのそのような例では、第1のポートに入った光は、第2のポートを退出してもよく、第2のポートに入った光は、第3のポートを退出してもよく、第3のポートに入った光は、第1のポートを退出してもよい。しばしばサーキュレータは、光ビームを一方向のみに進行させることを可能にするために利用されてもよい。
【0035】
ビーム分割器が50:50のR/T比と45度のAOIとを有するなど、本明細書に説明される光構成要素が特有のパラメータをリストする場合、これらのパラメータは、開示される概念の全般的な理解のために提供されるものであり、限定的ではないことが留意される。特有の例として、ビーム分割器は、本開示および特許請求の範囲から逸脱することなく、ここで明記されたものとは異なるR/T比および/またはAOIを有して、本明細書に説明されるさまざまな実施形態において提供され得る。1つのそのような例では、40度のAOIが利用されてもよい。別のそのような例では、47:53のR/T比が利用されてもよい。
【0036】
LETDシステム105は、さらに、通信ネットワークを介して処理ユニット107に関連付けられる。いくつかの実施形態では、通信ネットワークは、有線通信ネットワークまたは無線通信ネットワークであってもよい。処理ユニット107は、LETDシステム105から測定された値を受け取り、光ファイバ103の遠位端部と標的101との間の距離を推定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、処理ユニット107は、距離推定に必要とされる処理能力を有するスタンドアロンのデバイスであってもよい。たとえば、処理デバイス107は、LETDシステム105から受け取られた電気信号に基づいて距離を決定するように配置された回路を含むことができる。別の例として、処理デバイス107は、命令を備える回路およびメモリを含むことができ、この命令は、回路によって実行されたとき、回路に、LETDシステム105から受け取られた電気信号に基づいて距離を決定させる。さらに、いくつかの他の実施形態では、処理ユニット107は、処理能力を使用して距離推定を実施するように構成された、ラップトップ、デスクトップ、モバイル・フォン、タブレット・フォンなどのコンピューティング・デバイスであってもよい。
【0037】
処理ユニット107は、光ファイバ103の遠位端部と標的101との間の推定された距離を表示するために表示器109に関連付けられてもよい。表示器109は、それだけに限定されないが、推定された距離を表示する視覚的表示器、推定された距離をアナウンスする音声表示器、または振動パターンによって推定された距離を表示する触覚表示器を含んでもよい。さまざまな実施形態では、表示器は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースによって提示されてもよく、および/またはビデオ・フィードなどのグラフィカル表現上に重ねられてもよい。いくつかの実施形態では、処理ユニット107として構成されたコンピューティング・デバイスは、表示器109の機能を実施するように構成されてもよい。いくつかの他の実施形態では、表示器109は、光ファイバ103の遠位端部と標的101との間の推定された距離を表示するように構成された、スタンドアロンのデバイスであってもよい。
【0038】
ファイバ端部と標的との間の距離を推定するためのさまざまな例示的な構成が、以下で詳細に説明される。しかし、以下で説明される構成の各々に使用される異なる光構成要素に関連付けられた値およびパラメータは、例示的のみとして考慮されなければならず、本開示の限定として捉えられてはならない。
【0039】
図2Aから図2Gは、LETDシステム105の数多くの構成を含むアーキテクチャ100の一部の例示的な構成を示す。しばしば前の図(たとえば図2A)の説明が、別の図(たとえば図2E)を完全に説明するために使用されることが留意される。しかし、例は、この点に関して限定されない。
【0040】
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的な構成200Aを示す。構成200Aでは、LETDシステム105は、1つまたは複数の偏光(または無偏光)レーザと、1つまたは複数のビーム分割器と、偏光器と、ビーム合成器と、1つまたは複数の光検出器とを含んでもよい。1つまたは複数のビーム分割器は、偏光ビーム分割器、無偏光ビーム分割器、または偏光と無偏光の両方のビーム分割器の組合せであってもよい。図2Aに示されるように、LETDシステム105は、第1の偏光レーザ源201aと、第2の偏光レーザ源201bと、第1のビーム分割器203と、パワー検出器205と、偏光器207と、第1のビーム合成器209と、第2のビーム分割器211と、偏光ビーム分割器213と、第1の光検出器215と、第2の光検出器217とを含む。
【0041】
構成200Aでは、第1の偏光レーザ源201aは、第2の偏光レーザ源201bによって生成されるレーザ光225bの波長と比べて高い吸水率を有する波長を有するレーザ光225a(または光ビーム225a)を生成するように配置される。本明細書において使用されるとき、第1の偏光レーザ源201aによって生成されるレーザ光225aは、高い吸水率の光(HI)と称されることが可能であり、その一方で第2の偏光レーザ源201bによって生成されるレーザ光225bは、低い吸水率の光(LO)と称されることが可能である。用語「高い」および「低い」が使用されているが、これらは、互いに対して、または代替的には特定の波長の吸水を説明する閾値特徴と比べて解釈されるように意図されることを理解されたい。たとえば、高い吸水特徴は、50%以上であることができ、その一方で低い吸水特徴は、50%以下であることができる。
【0042】
さまざまな実施形態では、高い吸水率対低い吸水率の比は、約1:2であってもよい。たとえば、レーザ光225aは、約1310nmの波長を利用し、約0.1651の吸水率を有してもよく、その一方でレーザ光225bは、約1340nmの波長を利用し、約0.333の吸水率を有してもよい。高い吸水率と低い吸水率との間の比が高いほど、システム・ノイズ(たとえば電気または光機械ノイズ)に対する感度は低くなり得るが、結果として得られるシステムは、3mmを超える距離では効果的でなくなり得る。高い吸水率と低い吸水率との間の比が低いほど、システム・ノイズに対する感度は高くなり得るが、結果として得られるシステムは、5または6mmの距離まで効果的であり続け得る。いくつかの例では、第1および第2の偏光レーザ源201aおよび201bは、偏光保持(PM)ピグテール型ファイバ・レーザであってもよい。
【0043】
レーザ源201aおよび201bは、第1のビーム分割器203に関連付けられ、これと光通信状態にある。異なって言えば、レーザ源201aおよび201bによって生成されたレーザ・ビーム225aおよび225bはそれぞれ、第1のビーム分割器203に対する入力として提供され、この第1のビーム分割器203は、入射光ビーム225aおよび225bが光ビーム227として単一の光路に沿って位置合わせするように、約50:50(たとえば47:53または49:51)の比で入射光ビーム225aおよび225bを分割するように構成される。しかし、本開示の範囲から逸脱することなく、99:1から1:99の間の任意の比が利用されてもよいことが理解されよう。同様に、45度のAOIが実施形態において説明され得るが、本開示の範囲から逸脱することなく、43~47度、40度、または20度などの1から89の間の任意のAOIが利用されてもよいことが理解されよう。
【0044】
パワー検出器205は、第1のビーム分割器203に関連付けられ、これと光通信状態にある。パワー検出器205は、光ビーム227内の光の各波長に対応する光信号(たとえばパワー検出器205までルーティングされる光ビーム225aおよび225bの部分)内の光パワーを測定するように配置される。いくつかの実施形態では、用語「光パワー」は、単位時間あたりに特定のレーザ・ビームによって搬送されるエネルギーを指し得る。
【0045】
第1のビーム分割器203は、さらに、偏光器207に関連付けられ、これと光通信状態にある。第1のビーム分割器は、さらに、単一の光路に沿って位置合わせされる光ビーム227として示される光ビーム225aおよび225bの一部分を、偏光器207に対する入力として提供するように配置される。いくつかの実施形態では、偏光器207の偏光は、事前構成されてもよい。偏光器207は、第1のビーム合成器209に関連付けられ、これと光通信状態にある。そのような方法として、偏光器207から出力として得られた、偏光された光229は、第1のビーム合成器209に対する入力として提供される。
【0046】
第1のビーム合成器209は、図2Aに示されるように、偏光された光ビーム229を照準ビーム231および治療ビーム233と組み合わせて、組み合わせられた光ビーム235にしてもよい。いくつかの他の実施形態では、照準ビーム231および治療ビーム233は、レーザ源201aおよび201b以外の1つまたは複数のレーザ源(図示されず)によって生成されてもよい。一例として、治療ビーム233は、固体レーザ、またはホルミウム(HO)・レーザなどのファイバ・レーザによって生成されてもよい。しかし、これは、治療ビームがネオジム、エルビウム、ツリウムなどのHOレーザ以外のレーザによって生成されてもよいため、本開示の限定として考慮されてはならない。いくつかの他の実施形態では、照準ビーム231および治療ビーム233は、レーザ源201aおよび201bによって生成されてもよい。照準ビーム231と、治療ビーム233と、レーザ源201aおよび201bからの偏光された光ビーム229とを備える、組み合わせられた光ビーム235は、50:50のR/T比および45度のAOIの構成を有する第2のビーム分割器211にかけられてもよい。すなわち、第1のビーム合成器209は、組み合わせられた光ビーム235が第2のビーム分割器211に対する入力として提供されるように、第2のビーム分割器211に関連付けられ、これと光通信状態にあることができる。
【0047】
第2のビーム分割器211は、照準ビーム231、治療ビーム233、およびレーザ源201aおよび201bからの偏光された光ビーム229が単一の光路に沿って位置合わせされるように、組み合わせられた光ビーム235を50:50の比で分割してもよい。第2のビーム分割器211は、第2のビーム分割器211の出力である光ビーム235の一部分が、図2Aに示され、光ビーム221として示されるように、(たとえばポート219を介して)光ファイバ103を通って伝送されるように、(たとえばポート219などを介して)光ファイバ103に光結合される。光ビーム221は、光ファイバ103の近位端部111に対して伝送され、次いで、光ファイバ103の長さを通して伝播して、光ファイバ103の遠位端部113から標的101に対して送達される。一例として、標的101は、治療、アブレーション、破壊などが行われる対象である対象者体内の組織、石、腫瘍、嚢腫などであってもよい。
【0048】
光ビーム221が光ファイバ103を介して標的101に対して送達されたとき、標的101は、入射光ビーム221の一部を光ファイバ103から離れるように、その光の一部を光ファイバ103に向かって反射してもよく、光ファイバ103に向かって反射された光の部分は、光ファイバ103の遠位端部において光ファイバ103に再入してもよい。遠位端部において再入する反射光の部分は、反射光223aとして示されてもよい。反射光223aは、光ファイバ103内で光ファイバ103の遠位端部から近位端部に「逆行して」伝送されてもよい。反射光223aが光ファイバ103の近位端部に到達したとき、反射光223aは、第2のビーム分割器211にかけられてもよい。反射光223aは、光ファイバ103の近位端部から、光ファイバ103の遠位端部から、ポート219からなどの数多くの反射を含んでもよく、これらの反射により、反射光223aは、もはや偏光されていない。
【0049】
反射光223aを偏光するために、反射光は、最初に、反射光223aの光路を位置合わせするために第2のビーム分割器211にかけられてもよく、次いで、偏光ビーム分割器213にかけられてもよい。反射光223aは、第2のビーム分割器211に対して45度の角度で入射し、50:50の比(または本明細書によって概説されるような別の比)で分割される。第2のビーム分割器211の外に出現した反射光223bは、その後、図2Aに示されるように偏光ビーム分割器213にかけられる。偏光ビーム分割器213は、反射光223bを反射されるP偏光ビームおよび伝送されるS偏光ビームに分割してもよい。いくつかの実施形態では、第1の光検出器215は、偏光ビーム分割器213によって反射された光223bのP偏光ビームを検出するように構成されてもよく、その一方で第2の光検出器217は、偏光ビーム分割器213によって伝送された光223bのS偏光ビームを検出するように構成されてもよい。第1の光検出器215および第2の光検出器217は、光223bの検出された光ビームの強度をそれぞれ測定し、処理ユニット104に対してその強度を伝送してもよい。いくつかの実施形態では、処理ユニット107は、測定された強度に基づいて、光ファイバ103の遠位端部と標的101との間の距離を推定してもよい。測定された強度に基づいて光ファイバ103の遠位端部と標的101との間の距離を推定する方法は、図3A~3Cに関して以下でより詳細に説明される。
【0050】
図2Bは、本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的な構成200Bを示す。構成200Bは、2つの構造的態様において構成200Aとは異なる。構成200Aと比較したときに構成200Bにおいて異なる構造的態様の1つは、第1のビーム分割器203の配置である。構成200Bでは、第1のビーム分割器203は、第2のビーム合成器237に置き換えられる。第1のビーム分割器203は第2のビーム合成器237に置き換えられるため、構成200Aでは第1のビーム分割器203に関連付けられていたパワー検出器205は、構成200Bでは第2のビーム分割器211に関連付けられるように配置される。実施形態は、この文脈において限定されない。
【0051】
構成200Bでは、LETDシステム105は、1つまたは複数の偏光レーザと、1つまたは複数のビーム分割器と、偏光器と、1つまたは複数のビーム合成器と、1つまたは複数の光検出器とを含んでもよい。1つまたは複数のビーム分割器は、偏光ビーム分割器、無偏光ビーム分割器、または偏光と無偏光の両方のビーム分割器の組合せであってもよい。図2Bに示されるように、LETDシステム105、偏光レーザ源201a、偏光レーザ源201b、パワー検出器205、偏光器207、第1のビーム合成器209、第2のビーム合成器237、第2のビーム分割器211、偏光ビーム分割器213、第1の光検出器215、および第2の光検出器217。この構成では、図2Bに示されるように、偏光レーザ源201aは、高い吸水率(HI)を有する波長を有し、偏光レーザ源201bは、低い吸水率(LO)を有する波長を有する。
【0052】
レーザ源201aおよび201bからの入射光ビームは、第2のビーム合成器237に対する入力として提供され、この第2のビーム合成器237は、レーザ源201aおよび201bによって生成された入射光ビーム225aおよび225bを組み合わせて光ビーム227にするように構成される。さらに、第2のビーム合成器237の出力(たとえば光ビーム227)は、偏光された光ビーム229を出力として提供するために偏光器207に対する入力として提供されることが可能である。いくつかの実施形態では、偏光器207の偏光は、事前構成されてもよい。その後、偏光器207からの出力として得られた偏光された光229は、第1のビーム合成器209に対する入力として提供されてもよい。第1のビーム合成器209は、図2Bに示されるように、偏光された光ビーム229を照準ビーム231および治療ビーム233と組み合わせて、組み合わせられた光ビーム235にしてもよい。
【0053】
照準ビーム231と、治療ビーム233と、レーザ源201aおよび201bからの偏光された光ビーム229とを備える、組み合わせられた光ビーム235は、50:50のR/T比および45度のAOI(または本明細書によって概説される任意の他のR/T比およびAOI)の構成を有する第2のビーム分割器211にかけられてもよい。第2のビーム分割器211は、照準ビーム231、治療ビーム233、ならびにレーザ源201aおよび201bからの偏光された光ビーム229が単一の光路に沿って位置合わせされ得るように、組み合わせられた光ビーム235を50:50の比で分割してもよい。
【0054】
第2のビーム分割器211に関連付けられたパワー検出器205は、各波長に対応する光信号(光ビーム235、光ビーム229など)内のパワーを測定してもよい。さまざまな実施形態では、パワー検出器205は、第2のビーム分割器211において受け取られた光信号の累積エネルギーを検出してもよい。いくつかの実施形態では、用語「光パワー」は、単位時間あたりの特定のレーザ・ビームによって搬送されるエネルギーを指し得る。第2のビーム分割器211の出力である光ビーム221は、次いで、図2Aに関して上記で概説されたように、(たとえばポート219を介して)光ファイバ103に対して伝送される。追加的に、反射光223aが、図2Aに関して上記で概説されたように受け取られ、処理される。
【0055】
図2Cは、本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的な構成200Cを示す。本開示は、偏光および無偏光のレーザ源と共に作動することができる。したがって、構成200Cでは、入射光ビーム(レーザ源光)を提供するために使用されるレーザ源201a’および201b’は、無偏光レーザ源である。一例として、レーザ源201a’および201b’は、単一モード(SM)ファイバ・ピグテール型レーザであってもよい。レーザ源201a’および201b’が無偏光レーザ源であるとき、上記で説明された構成200Aおよび200Bに描かれるように、偏光器207、偏光ビーム分割器213、P偏光された光ビームを検出するための第1の光検出器215、およびS偏光された光ビームを検出するための第2の光検出器217は必要ではない。
【0056】
構成200Cでは、LETDシステム105は、1つまたは複数の無偏光レーザと、1つまたは複数のビーム分割器と、ビーム合成器と、光検出器とを含んでもよい。1つまたは複数のビーム分割器は、無偏光ビーム分割器であってもよい。図2Cに示されるように、LETDシステム105は、第1の無偏光レーザ源201a’と、第2の無偏光レーザ源201b’と、第1のビーム分割器203と、パワー検出器205と、第1のビーム合成器209と、第2のビーム分割器211と、第3の光検出器239とを含む。
【0057】
前の構成のように、構成200Cでは、無偏光レーザ源201a’は、高い吸水率(HI)を有する波長を有することができ、その一方で無偏光レーザ源201b’は、低い吸水率(LO)を有する波長を有することができる。レーザ源201a’および201b’からの入射光ビーム225a’および225b’は、第1のビーム分割器203に対する入力として提供され、この第1のビーム分割器203は、入射光ビーム225a’および225b’が光ビーム227’として単一の光路に沿って位置合わせするように、入射光ビームを50:50の比で分割するように構成される。
【0058】
第1のビーム分割器203に関連付けられたパワー検出器205は、各波長に対応する光信号(光ビーム227’)内のパワーを測定してもよい。構成200Cは無偏光環境内で実装されるため、偏光器および偏光ビーム分割器などの偏光ベースの光構成要素は、この構成では必要とされない。したがって、光227’として単一の光路に沿って位置合わせされた入射光225a’および225b’である第1のビーム分割器203の出力は、第1のビーム合成器209に対する入力として提供されてもよい。第1のビーム合成器209は、図2Cに示されるように、第1のビーム分割器203から生じる光ビーム227’を照準ビーム231および治療ビーム233と組み合わせてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、照準ビーム231および治療ビーム233は、レーザ源201a’および201b’以外の1つまたは複数のレーザ源によって生成されてもよい。いくつかの他の実施形態では、照準ビーム231および治療ビーム233は、レーザ源201a’および201b’によって生成されてよい。照準ビーム231と、治療ビーム233と、レーザ源201a’および201b’からの無偏光の光ビーム201a’および201b’とを備える、組み合わせられた光ビーム235’は、50:50の比および45度のAOI(または本明細書によって概説される任意の他のR/T比およびAOI)の構成を有する第2のビーム分割器211にかけられてもよい。第2のビーム分割器211は、照準ビーム231、治療ビーム233、および無偏光の光ビーム225a’および225b’が単一の光路に沿って位置合わせされるように、組み合わせられた光ビーム235’を50:50の比で分割してもよい。第2のビーム分割器211の出力である光ビーム221は、次いで、(たとえばポート219を介して)光ファイバ103に対して伝送され、その一方で反射光233aは、図2Cに示され、上記で説明されたように、逆行して伝送される。
【0060】
構成200Cは無偏光環境内で実装されるため、反射光223aは、その光路を位置合わせするために第2のビーム分割器211にかけられるだけであり、構成200Aおよび200Bに描かれたような偏光ビーム分割器は、必要とされない。反射光223aは、第2のビーム分割器211に対して45度の角度で入射し、50:50の比で分割される。第2のビーム分割器211の外に出現した反射光223bは、単一の検出器によって直接検出されてもよい。したがって、構成200Cは、第3の光検出器239を提供する。
【0061】
第3の光検出器239は、反射光223bの検出された光ビームの強度をそれぞれ測定し、処理ユニット107に対してその強度を伝送してもよい。いくつかの実施形態では、処理ユニット107は、測定された強度に基づいて、光ファイバ103の遠位端部と標的101との間の距離を推定してもよい。測定された強度に基づいて光ファイバ103の遠位端部と標的101との間の距離を推定する方法は、図3A~3Cに関して以下でより詳細に説明される。
【0062】
図2Dは、本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的な構成200Dを示す。構成200Dは、第3の偏光レーザ源201cを備え、この第3の偏光レーザ源201cは、光ファイバの状態をリアルタイムで較正するために導入される。一例として、光ファイバ103の状態は、それだけに限定されないが、光ファイバ103の遠位もしくは近位端部のあらゆる変化もしくは劣化、偏光スクランブリングに対するファイバ屈曲効果、または光ファイバ103内で発生するあらゆる他の劣化および変化を含んでもよい。光ファイバ103、詳細には光ファイバ103の先端/端部(たとえば入力面および出力面)の状態の変化は、伝送される光ビームおよび反射される光ビームに有害な影響を与えて、多くの反射、エネルギーの損失および不正確な測定を引き起こし得る。これは、距離推定の正確性に影響を与え、それによって治療中の光ファイバ103の間違った位置決めを招く可能性がある。
【0063】
構成200Dでは、LETDシステム105は、1つまたは複数の偏光レーザと、1つまたは複数のビーム分割器と、偏光器と、ビーム合成器と、1つまたは複数の光検出器とを含んでもよい。1つまたは複数のビーム分割器は、偏光ビーム分割器、無偏光ビーム分割器、または偏光と無偏光の両方のビーム分割器の組合せであってもよい。図2Dに示されるように、LETDシステム105は、偏光レーザ源201a、偏光レーザ源201b、および偏光レーザ源201cと、第1のビーム分割器203と、パワー検出器205と、偏光器207と、第1のビーム合成器209と、第2のビーム分割器211と、偏光ビーム分割器213と、第1の光検出器215と、第2の光検出器217と、第3のビーム分割器241とを含む。構成200Dでは、図2Dに示されるように、レーザ源201aおよび201bからの入射光ビーム225aおよび225bは、第1のビーム分割器203に対する入力として提供され、この第1のビーム分割器203は、入射光ビーム225aおよび225bが光ビーム227を形成する単一の光路に沿って位置合わせするように、入射光ビーム225aおよび225bを50:50の比で分割するように構成される。さらに、単一の光路(たとえば光ビーム227)に沿って位置合わせされる入射光ビーム225aおよび225bである第1のビーム分割器203の出力は、第3のビーム分割器241に対する入力として提供されることが可能であり、この第3のビーム分割器241もまた、入射光ビームを50:50の比で分割するように構成されて、光225aと、225bと、225cとを備える光ビーム243を形成する。
【0064】
第3のビーム分割器241において、偏光レーザ源201cからの入射光ビーム225c(たとえば、較正のための光)が、第1のビーム分割器203の出力(たとえば光ビーム227)と共に入力として提供される。第3のビーム分割器241に関連付けられたパワー検出器205は、第3のビーム分割器241に到着した各波長に対応する光信号(たとえば光ビーム243)内のパワーを測定してもよい。第1のビーム分割器203の出力と共に、第3のビーム分割器241は、偏光レーザ源201cから入射光ビームを受け取る。
【0065】
いくつかの実施形態では、偏光レーザ源201cは、レーザ源201aおよび201bによって放射された光の波長と比べて非常に高い吸水率を有する(たとえば、水によって実質的に、完全に、またはほぼ完全に吸収される)波長を有する。一例として、偏光レーザ源201cの波長は、約1435nmであってもよく、約31.55(または「高い」吸水源の約100倍)の吸水率を有してもよい。1435nmの波長で0.5mmの距離では、光の約98~99%が吸収される。いくつかの実施形態では、較正光源は、約1420から約1440の波長を有してもよい(その結果、吸水率は約30となる)。非常に高い吸水率を有する、代替のまたは追加的な波長が、利用されてもよい(たとえば1870~2070nm)。しかし、波長がHIおよびLOの波長(たとえば、それぞれ1310nmおよび1340nm)から離れるほど、より複雑な光設計を招き得る。たとえば、検出器は、約1100~1600nmの範囲を対象とすることがあり、非常に高い吸水率のレーザが2000nmの波長を有する場合、独自のまたは追加的な検出器が必要とされる。いくつかの実施形態では、較正レーザは、約1435nmの波長、約2100nmの波長、または約1870nmから約2050nmの間の波長を有してもよい。
【0066】
偏光レーザ源201cの(たとえばパワー検出器205によって測定されるような)読取値に基づいて、処理ユニット107は、光ファイバ103の遠位端部113にあるファイバ先端の「品質」の光のベースライン特徴を規定してもよい。より詳細には、レーザ源201cは水中に多く吸収されるので、レーザ源201cからの光は、標的組織に到達しにくくなり、その結果、レーザ源201cからの光が反射光223aの一部として光ファイバ103内に反射されることはほとんどない。したがって、レーザ源201cに関連付けられた光の波長を有する光反射223Cの成分は、主に、光ファイバ103の遠位端部113の光特徴に起因する。光ファイバ103の遠位端部113がレーザ治療中、たとえば熱およびキャビテーションによって劣化を受けることを理解されたい。多くの実施形態では、戻り(back)反射光223cの強度読取値の増大は、光ファイバ先端の劣化を表示し得る。一部の実施形態では、特有のファイバのベースライン読取値からの強度変化の特定の閾値(たとえば、10%から50%、25%以上、50%以上、75%以上、90%以上、10%から100%の間など)において、処理ユニット107は、光ファイバ103がチェックされるか、または置き換えられなければならないことを、ユーザ・インターフェースおよび/または可聴アラームを通して表示してもよい。加えて、光ファイバ先端の劣化は、ファイバの遠位端部から、偏光レーザ源201aおよび201bからの光のより多くの内部反射を引き起こし得る。レーザ源が偏光のものであるか否かは、光がファイバ内でランダムに偏光解消されるため、内部反射にはほとんど影響を与えない場合がある。しかし、非常に高い吸水率のレーザ(たとえば1435nmレーザ)によるファイバ遠位端部からの反射を監視することは、(1435の初期反射対リアルタイム反射の割合の)遠位端部反射における変化を決定するために利用されることが可能である。さらに、遠位端部反射における変化は、初期反射を更新するために、LOレーザ(たとえば1310nmレーザ)およびHIレーザ(たとえば1340nmレーザ)についての遠位端部からの初期反射に適用されてもよい。
【0067】
さらに、ファイバ先端の劣化は、戻り反射光223aまたは223c内で偏光PとSとの間の比を変化させ得る。したがって、現在使用している特有の光ファイバ103のベースライン読取値を作りだし、これらのベースラインをその場で監視することにより、ファイバの先端が劣化しているとき、およびその間であっても、また、光ファイバ103が置き換えられなければならないことを表示する閾値レベルに劣化が到達するまで、より正確な距離推定が可能になり得る。さらに、単一の光路に沿って位置合わせされた入射光ビーム225a、225b、および225cを含む第3のビーム分割器241の出力、または光ビーム243は、単一の偏光された光ビーム245を出力として得るために、偏光器207に対する入力として提供されてもよい。いくつかの実施形態では、偏光器207の偏光は、事前構成されてもよい。
【0068】
偏光器207からの出力として得られた偏光された光245は、第1のビーム合成器209に対する入力として提供されることが可能である。第1のビーム合成器209は、図2Dに示されるように組み合わせられた光ビーム235を形成するために、偏光された光ビーム245を照準ビーム231および治療ビーム233と組み合わせてもよい。上記で詳述されたように、照準ビーム231および/もしくは治療ビーム233は、レーザ源201a、201b、もしくは201c以外の1つまたは複数のレーザ源によって生成されてもよく、または照準ビーム231および/もしくは治療ビーム233は、レーザ源L1およびL2によって生成されてもよい。
【0069】
照準ビーム231と、治療ビーム233と、偏光された光ビーム245とを備える組み合わせられた光ビーム235は、50:50の比および45度のAOIの構成を有する第2のビーム分割器211にかけられてもよい。第2のビーム分割器211は、照準ビーム231、治療ビーム233、および偏光された光ビーム245が単一の光路に沿って位置合わせされるように、組み合わせられた光ビーム235を50:50の比で分割してもよい。第2のビーム分割器211の出力である光ビーム221は、次いで、(たとえばポート219を介して)光ファイバ103に対して伝送される。
【0070】
図2Eは、本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的な構成200Eを示す。構成200Eは、構成200Cのように無偏光環境内で実装される。さらに、構成200Eは、前の構成(たとえば構成200D)に見られる2つの入力ビーム分割器が、波長分割多重装置(WDM)と置き換えられる「セミファイバ・ベースの設計」である。WDMのパワー損失は約20%であり得、その一方でビーム分割器のパワー損失は約50%であり得るため、WDMの使用によりLETDシステム105の効率性が改善される。追加的に、WDMは、完全に、またはほぼ完全に、3つのレーザ源の各々を光路に位置合わせし得る。しかし、ビーム分割器およびビーム合成器は、3つのレーザ源の各々を単一ビームに位置合わせすることにおいて正確性がかなり劣る。
【0071】
構成200Eは、第1の無偏光レーザ201a’および第2の無偏光レーザ201b’と共に第3の無偏光レーザ201c’を利用する。第3の無偏光レーザ201c’は、上記で説明されたようにリアルタイムで光ファイバの状態を較正するために導入される。本開示の範囲から逸脱することなく、較正レーザが、偏光または無偏光のものであってもよいことが理解されよう。構成200Eでは、LETDシステム105は、1つまたは複数の無偏光レーザと、1つまたは複数のビーム分割器と、ビーム合成器と、1つまたは複数の光検出器と、WDMと、コリメータとを含んでもよい。図2Eに示されるように、LETDシステム105は、無偏光レーザ源201a’と、無偏光レーザ源201b’と、無偏光レーザ源201c’と、パワー検出器205と、第1のビーム合成器209と、第2のビーム分割器211と、第3の光検出器239と、WDM247と、第4のビーム分割器249と、コリメータ251とを含む。構成200Eでは、無偏光レーザ源201a’は、高い吸水率(HI)を有する波長を有する光を放射することができ、その一方で無偏光レーザ源201b’は、低い吸水率(LO)を有する波長を有する光を放射することができる。さらに、無偏光レーザ源201c’は、レーザ源201a’および201b’によって放射される光の波長と比べて非常に高い吸水率を有する(たとえば、水によって完全にまたはほぼ完全に吸収される)波長を有する光を放射することができる。一例として、無偏光レーザ源(L3’)の波長は、1435nmであってもよい。
【0072】
上記で言及されたように、構成200Eでは、図2Dに示される第1のビーム分割器203および第3のビーム分割器241は、WDM247によって置き換えられる。いくつかの実施形態では、リアルタイム較正器として無偏光レーザ源201c’を正しく使用することを保証するために、無偏光レーザ201a’、201b’、および201c’の各々から生じる入射光ビームは、同じ地点および同じ角度で光ファイバ103の近位端部において入るように配置されることが可能である。多くの実施形態では、無偏光レーザ201a’、201b’および201c’の各々からの入射光ビームを同じ地点および同じ角度で入るように合成器/分割器で位置合わせすることは難しく、または不可能であり得る。同じ地点および同じ角度のこの条件の固守を保証するために、構成200Eは、WDM247を利用する。WDM247は、無偏光レーザ201a’、201b’および201c’の各々から生じるすべての入射光ビームが、同じ地点および同じ角度で光ファイバ103の近位端部において入ることを保証するように構成されることが可能である。さらに、さまざまな実施形態では、WDM247の使用は、50%~75%のパワー損失を引き起こすいくつかのビーム分割器と比較されるなどの場合、パワー損失を減少させ得る。
【0073】
201a’、201b’、201c’からの入射光ビームおよび照準ビーム231は、WDM247に対する入力として提供され、このWDM247は、光ビームが同じように移動するように入射光ビームを組み合わせるように構成される。さらに、WDM247の出力は、ファイバベースのビーム分割器(たとえば第4のビーム分割器249)に対する入力として提供されてもよく、このビーム分割器は、図2Eに示されるように、高い伝送対反射比(たとえば95:5または99:1)で入射光ビームを分割するように配置されることが可能である。いくつかの実施形態では、第4のビーム分割器249は、ファイバベースのビーム分割器である。第4のビーム分割器249に関連付けられたパワー検出器205は、各波長に対応する光信号(たとえば光ビーム253’)内のパワーを測定してもよい。さらに、単一の光路に沿って位置合わせされた入射光である第4のビーム分割器233の出力(たとえば光ビーム253’)は、光ビーム253’を平行ビームに絞り込むためにコリメータ251に対する入力として提供されてもよい。
【0074】
その後、コリメータ251の出力(たとえば光ビーム255’)は、第1のビーム合成器209に対して提供されることが可能であり、この第1のビーム合成器209は、図2Eに示されるように、コリメータ251から外に出た光ビーム255’を照準ビーム231および治療ビーム233と組み合わせる。一部の実施形態では、照準ビーム231は、WDM251において導入されてもよい。多くの実施形態では、照準ビーム231は、第1のビーム合成器209において導入されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、照準ビーム231は、WDM251と第1のビーム合成器209の両方において導入されることが可能である。いくつかの実施形態では、照準ビーム231および/または治療ビーム233は、レーザ源201a’、201b’および201c’以外の1つまたは複数のレーザ源によって生成されてもよく、あるいは照準ビーム231および/または治療ビーム233は、レーザ源201a’、201b’および201c’によって生成されてもよい。
【0075】
照準ビーム231と、治療ビーム233と、光ビーム255’(たとえば、第1のビーム合成器209から受け取られた、レーザ源201a’、201b’および201c’からの光)とを備える、組み合わせられた光ビーム235’は、R/T比50:50および45度AOIの構成を有する第2のビーム分割器211にかけられてもよい。第2のビーム分割器211は、照準ビーム231、治療ビーム233、ならびにレーザ源201a’、201b’、および201c’からの無偏光の光ビーム255’が単一の光路に沿って位置合わせされ得るように、組み合わせられた光ビーム235’を50:50の比で分割してもよい。第2のビーム分割器211の出力である光ビーム221は、次いで、図示され、上記でより完全に説明されたように、(たとえばポート219を介して)光ファイバ103に対して伝送される。
【0076】
図2Fは、本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的な構成200Fを示す。構成200Fは、構成200Cおよび200Eと同様に、無偏光検出器と共に実装される。しかし、レーザ源は、無偏光または偏光のものであることができる。この例示的な構成では、LETDシステム105は、1つまたは複数の無偏光レーザ(または偏光レーザ)と、1つまたは複数のビーム分割器と、ビーム合成器と、1つまたは複数の光検出器と、WDMと、サーキュレータと、コリメータとを含んでもよい。図2Fに示されるように、LETDシステム105は、無偏光レーザ源201a’と、無偏光レーザ源201b’と、無偏光レーザ源201c’と、パワー検出器205と、第1のビーム合成器209と、第3の光検出器239と、WDM247と、第4のビーム分割器249と、コリメータ2251と、サーキュレータ257とを含む。構成200Fでは、無偏光レーザ源201a’は、高い吸水率(HI)を有する波長を有する光を放射することができ、その一方で偏光レーザ源201b’は、低い吸水率(LO)を有する波長を有する光を放射することができる。さらに、無偏光レーザ源201c’は、水中に実質的に吸収される非常に高い吸水率を有する波長を有することができる。
【0077】
上記で言及されたように、構成200Fでは、図2Dに示されるような第1のビーム分割器203および第3のビーム分割器241は、図2Fに示されるようにWDM247によって置き換えられる。さらに、例示的な構成200Fでは、すべての前述の例示的な構成において光ビームをポート219に対して送達するように配置されていた第2のビーム分割器211も排除される。ビーム分割器は、出力パワーを最大50%(またはそれ以上)低減し、戻された信号を受け取ったときに出力パワーのさらに50%(またはそれ以上)を低減する。したがって、構成200Fにおけるビーム分割器の除去は、信号および出力パワーを大きく増大させる。
【0078】
レーザ源201a’、201b’および201c’からの入射光ビーム225a’、225b’および225c’、ならびに照準ビーム231は、WDM247に対する入力として提供され、このWDM247は、光ビームが同じように移動するように入射光ビームを組み合わせるように構成される。さらに、WDM231の出力は、図2Fに示されるように95:5の比で入射光ビームを分割する第4のビーム分割器249に対する入力として提供されてもよい。先に言及されたように、本開示の範囲から逸脱することなく、99:1などの他の比が利用されてもよい。いくつかの実施形態では、第4のビーム分割器233は、ファイバベースのビーム分割器であり、それによって構成200F全体をファイバベース設計にする。第4のビーム分割器249に関連付けられたパワー検出器205は、各波長に対応する光信号(たとえば光ビーム253’)内のパワーを測定してもよい。さらに、単一の光路に沿って位置合わせされた入射光である、第4のビーム分割器249の出力(たとえば光ビーム253’)は、サーキュレータ257に対する入力として提供されてもよい。サーキュレータ257は、すべての光ビームが1つの方向に進行することを保証するように構成される。追加的に、サーキュレータ257は、光ビーム253’をコリメータ251に、光ビーム253’が入ったポート以外のポートから提供する。コリメータ251は、光ビームを平行ビーム255’になるように絞り込んでもよい。サーキュレータ257は、ビーム分割器と比較して、(1)より低いパワー損失(ビーム分割器の損失は各方向に約50%である)と、(2)より柔軟な光設計(自由空間光学装置は直線を必要とするが、ファイバベースの設計は所望に応じて折り曲げられ得る)とを提供し得る。
【0079】
コリメータ251の出力(たとえば平行な光ビーム255’)は、第1のビーム合成器209に対して提供されてもよく、この第1のビーム合成器209は、図2Fに示されるように、コリメータ251から出た光ビーム255’を照準ビーム231および治療ビーム233と組み合わせて、組み合わせられた光ビーム221にする。いくつかの実施形態では、照準ビーム231は、開始時に(たとえばWDM247に)導入されることが可能であり、第1のビーム合成器209において導入されることが可能であり、またはWDM247と第1のビーム合成器209の両方において導入されることが可能である。いくつかの実施形態では、照準ビーム231および/または治療ビーム233は、レーザ源201a’、201b’および201c’以外の1つまたは複数のレーザ源によって生成されることが可能であり、あるいは照準ビーム231および/または治療ビーム233は、レーザ源201a’、201b’または201c’によって生成されることが可能である。第1のビーム合成器209から受け取られた、照準ビーム231と、治療ビーム233と、光ビーム255’(たとえば、レーザ源2901a’、201b’および201c’からの光ビーム225a’、225b’および225c’)とを備える組み合わせられた光ビーム221は、図2Fに示されるように、(たとえばポート219を介して)光ファイバ103に対して伝送されてもよい。組み合わせられた光ビーム221は、光ファイバ103の近位端部111に対して伝送され、次いで、光ファイバ103の長さを通して伝播し、光ファイバ103の遠位端部113から標的101に対して送達される。
【0080】
上記で概説されたように、光ビーム221が光ファイバ103の遠位端部113を介して標的101に対して送達されたとき、標的101は、光の一部を光ファイバ103から離れるように、そして光の一部を光ファイバ103に向かって反射してもよく、光ファイバ103に向かって反射された光の部分は、遠位端部113において光ファイバ103に再入してもよい。上記で概説されたように、遠位端部113において再入した反射光の部分は、反射光223aと称される。反射光223aは、光ファイバ103を通って遠位端部113から近位端部111に「逆行して」伝送されてもよい。反射光223aが光ファイバ103の近位端部111に到達したとき、反射光223aは、第1のビーム合成器209およびコリメータ251を通過してサーキュレータ251にかけられてもよく、ここで、この光は、第3の光検出器239までルーティングされ、上記で説明されたように測定される。図2Gは、本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定するための例示的な構成200Gを示す。構成200Gは、前の構成のいくつかと同様に、無偏光環境内で実装されてもよい。一部の実施形態では、構成200Gは、単一ビーム分割器ベースの光設計を含んでもよい。構成200Gでは、WDM247は、複数のビーム分割器(たとえば構成200A~200Dに利用されるものなど)の機能または動作に置き換わることができる。WDM247は、無偏光レーザ源201a’、201b’および201c’から入力ビーム225a’、225b’および225c’を受け取ることができる。
【0081】
構成200Gでは、LETDシステム105は、1つまたは複数の無偏光レーザ(または偏光レーザ)と、ビーム分割器と、ビーム合成器と、1つまたは複数の光検出器と、WDMと、コリメータとを含んでもよい。図2Gに示されるように、LETDシステム105は、第1の無偏光レーザ源201a’と、第2の無偏光レーザ源201b’と、第3の無偏光レーザ源201c’と、パワー検出器205と、第1のビーム合成器209と、第5のビーム分割器259と、第3の光検出器239と、WDM248とを含む。構成200Gでは、前の構成と同様に、無偏光レーザ・ビーム225a’は、低い吸水率(LO)を有する波長をそれ自体が有することができる無偏光レーザ・ビーム225b’と比べて高い吸水率(HI)を有する波長を有することができる。さらに、無偏光レーザ・ビーム225c’は、上記で詳細に説明されたように非常に高い吸水率を有する波長を有することができる。
【0082】
上記で説明されたように、処理ユニット107は、無偏光レーザ源201c’によって生成された光の反射に関連付けられた読取値に基づいて、光ファイバ103の遠位端部113(たとえば出力面など)の品質の光のベースライン特徴を規定することができる。より詳細には、レーザ源201c’からの光は水中に多く吸収されるので、少量の光のみが、反射光223aの一部として光ファイバ103内へと反射される。したがって、反射光223cに関連付けられた読取値は、光ファイバ103の遠位端部113の光特徴に主に起因し、この遠位端部113は、説明されたように、レーザ治療中、たとえば熱およびキャビテーションによって劣化を受ける。したがって、戻り反射光223cの強度読取値の増大は、光ファイバ先端の劣化を表示し得る。
【0083】
一部の実施形態では、特有の光ファイバ103のベースライン読取値からの強度変化の特定の閾値(たとえば、10%から50%、25%以上、50%以上、75%以上、90%以上、10%から100%の間など)において、処理ユニット107は、光ファイバ103がチェックされるか、または置き換えられなければならないことを、ユーザ・インターフェースおよび/または可聴アラームなどを通して表示してもよい。加えて、光ファイバ先端の劣化は、光ファイバ103の遠位端部113から、無偏光レーザ源201a’および201b’に関連付けられた光のより多くの内部反射を引き起こし得る。さらに、ファイバ先端の劣化は、戻り反射光223aまたは223c内の偏光PとSとの間の比を変化させ得る。したがって、現在使用している特有の光ファイバについてベースライン読取値を作りだし、これらのベースラインをその場で監視することにより、光ファイバの先端が劣化しているとき、およびその間であっても、また、光ファイバが置き換えられなければならない点に到達するまで、より正確な距離推定が可能になり得る。したがって、セラピーまたは治療に関連付けられたパラメータのより優れた動的制御を提供することが可能である。
【0084】
構成200Gは、いくつかの前の構成と同様に、無偏光レーザ201a’、201b’および201c’の各々から生じるすべての入射光ビームが同じ地点および同じ角度で光ファイバ103の近位端部111において入ることを保証するために、WDM247を利用する。さらに、さまざまな実施形態では、WDM247の使用は、ビーム分割器を利用するいくつかの構成と比較されるなどの場合、パワー損失を減少させ得る。
【0085】
レーザ源201a’、201b’および201c’からの入射光ビーム225a’、225b’および225c’ならびに照準ビーム231は、WDM247に対する入力として提供されることが可能であり、このWDM247は、光ビームが同じように移動するように入射光ビームを組み合わせるように構成されることが可能である。さらに、WDM247の出力は、第5のビーム分割器259に対する入力として提供されてもよく、この第5のビーム分割器259は、図2Gに示されるように、入射光ビームを50:50の比で分割することができる。いくつかの実施形態では、第5のビーム分割器259は、自由空間(たとえばガラス)ベースのビーム分割器であってもよい。いくつかの他の実施形態では、第5のビーム分割器259は、ファイバベースのビーム分割器であってもよい。多くの実施形態では、第5のビーム分割器259に関連付けられたパワー検出器205は、各波長に対応する光信号(たとえば光ビーム253’)内のパワーを測定してもよい。
【0086】
単一の光路に沿って位置合わせされた入射光である、第5のビーム分割器259の出力は、第1のビーム合成器209に対する入力として提供されてもよい。第1のビーム合成器209は、図2Gに示されるように、第5のビーム分割器259から外に出た光ビーム253’を照準ビーム231および治療ビーム233と組み合わせてもよい。さまざまな実施形態では、照準ビーム231は、WDM247内に導入されてもよく、第1のビーム合成器209において導入されてもよく、またはWDM247と第1のビーム合成器209の両方において導入されてもよい。一部の実施形態では、照準ビーム231および/または治療ビーム233は、レーザ源201a’、201b’および201c’以外の1つまたは複数のレーザ源によって生成されてもよく、あるいは照準ビーム231および/または治療ビーム233は、レーザ源201a’、201b’および201c’によって生成されることが可能である。第1のビーム合成器209から受け取られた、照準ビーム231と、治療ビーム233と、レーザ源201a’、201b’および201c’からの光ビーム253’とを備える組み合わせられた光ビーム221は、(たとえばポート219を介して)光ファイバ103に対して伝送されることが可能である。
【0087】
この図から分かるように、構成200Gは、第2のビーム分割器(たとえば、第2のビーム分割器211)の使用を排除し、その代わりに、入射光を単一の光路に沿って位置合わせするために入射光ビームを分割するように最初に構成された第5のビーム分割器259が、反射光233aの光路を位置合わせするために利用される。さらに、構成200Gは、単一のビーム分割器を利用するため、これは、治療ファイバの移動およびファイバ屈曲半径に対する感度はかなり低く、その結果よりロバストな構成が得られ得る。さらに、構成200Gは、ビーム分割器、ビーム合成器、検出器などの光構成要素がより少ないため、構成200Gは、他の構成よりコンパクトであり、簡単であり、安価であり得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書において説明される例示的な構成の各々において、光ファイバ103の近位端部には、反射防止(AR)コーティングなどの特別なコーティングがコーティングされてもよい。ARコーティングは、光ファイバ103の近位端部111において作りだされるノイズの低減に役立ち、動的範囲を増大させることができる。いくつかの実施形態では、光検出器に入った光信号(たとえば反射光ビーム223)は、(a)ポート・レンズからの反射、(b)ブラスト・シールドからの反射、(c)光ファイバの近位端部111からの反射、および/または(d)光ファイバの遠位端部113からの反射の1つまたは複数を含み得る。
【0089】
さまざまな実施形態では、ブラスト・シールドのARコーティングは、ポート・レンズからの反射を1%未満に低減してもよく、ポート・レンズのARコーティングは、ブラスト・シールドからの反射を1%未満に低減してもよく、光ファイバ103の近位端部111におけるARコーティングは、光ファイバ103の近位端部111からの反射を3.5%から約0.5%に低減してもよい。いくつかの実施形態では、石などの標的101からの反射信号は、非常に低エネルギーのものであり、たとえば、光ファイバ先端から組織までの距離が約0mmである場合ファイバ出力パワーの1%近くのものであり得る。光ファイバ103の近位端部111からの反射を0.5%近くまで低減することにより、本開示は、標的101から反射された信号の動的範囲を改善するのに役立ち得る。
【0090】
前述の例示的な構成のいくつかの実施形態では、光ファイバの近位端部111は、図2Hに示されるように8度の角度で研磨または切断され得る超小型バージョンA(SMA)コネクタを含むことができる。この図に示されるように8度の角度で傾斜して切断することにより、光ファイバ103の近位端部111からの反射光ビーム(近位端部111から引き起こされる望ましくない反射)の発散が達成され、これは、さらに、かなりのノイズを低減させ、動的範囲を増大させ得る。いくつかの実施形態では、光検出器に入った光信号(たとえば反射光ビーム223)は、(a)ポート・レンズからの反射、(b)ブラスト・シールドからの反射、(c)光ファイバの近位端部111からの反射、および/または(d)光ファイバの遠位端部113からの反射の1つまたは複数を含んでもよい。
【0091】
上記で説明されたように、光ファイバ103の近位端部におけるARコーティングは、光ファイバ103の近位端部からの反射を3.5%から約0.5%に低減し得る。しかし、光ファイバ103の角度付けされたより鋭い近位端部は、望ましくない反射を低減するのに役立ち、標的101から反射された信号の動的範囲を改善する。いくつかの他の実施形態では、SMAコネクタは、図2Iに示されるように、8度の代わりに4度の角度で研磨または切断されることが可能である。さまざまな実施形態では、8度(またはより大きい)角度などの代わりに4度の角度で傾斜して切断することにより、信号のロバスト性が改善されてもよい。いくつかの実施形態では、SMAコネクタの切断角度が小さいほど、光ファイバ103の信号のロバスト性が大きくなり得る。さまざまな実施形態では、約2度から約8度までの角度が利用されてもよい。一般に、角度が小さいほど、光学系内に実装するのはより困難になる。換言すれば、これを主要信号から取り去ることはより困難である。しかし、角度が大きくなると(たとえば+10度)、光はファイバに入らない。
【0092】
図3Aは、本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定する方法300を示すフロー図を示す。方法300は、上記で説明されたアーキテクチャ100およびLETD105のさまざまな構成を参照しながら説明される。しかし、方法300は、本明細書で説明されるものとは異なるLETDを使用して実施され得ることを理解されたい。実施形態は、この文脈に限定されない。
【0093】
ブロック301において、方法300は、複数の異なる波長のレーザ光で標的を照明する工程を含む。たとえば、LETD105は、光ファイバ103を介して複数の異なる波長のレーザ光で標的101を照明するために、複数のレーザ光源(たとえば201aおよび201bまたは201a’および201b’)を利用してもよい。いくつかの実施形態では、複数の異なる波長のレーザ光は、本開示の上記で論じられた構成200A~200Gの1つを使用して、標的101を照明するために光ファイバ103に対して提供されてもよい。さまざまな実施形態では、本開示は、2つの異なる波長を有する光(たとえば光225aおよび225bまたは光225a’および225b’)を使用してもよく、各波長は、異なるタイプの標的101、標的の組成、標的の色、標的の表面などに対するロバスト性を保証するために、異なる吸水率を有する。
【0094】
いくつかの実施形態では、2つの波長は、一方が低い吸水率(LO)を有する波長であり、もう一方が高い吸水率(HI)を有する波長であるように選択されてもよい。一例として、2つの波長は、1310nmおよび1340nmであってもよい。しかし、この例は、異なる吸水率を有する異なる波長が使用されることが可能であるため、限定として捉えられてはならない。たとえば、1260~1320nmがLOに利用されてもよく、1330~1380nmがHIに利用されてもよい。より全般的には、2:1(またはそれ以上の)比を有する波長吸水率の対の任意の組合せが利用されてもよい。いくつかの実施形態では、それぞれ、1310nmおよび1340nmのレーザ、1260nmおよび1340nmのレーザ、1260nmおよび1310nm、ならびに1310nmおよび1550nmのレーザの対の1つまたは複数が、LOおよびHIレーザに利用されてもよい。上記で概説されたように、いくつかの実施形態では、2つのレーザ源(たとえば201aおよび201bまたは201a’および201b’)が、2つの異なる波長の光を放射するために使用されることが可能である。いくつかの実施形態では、レーザ光源は、偏光レーザ源、無偏光レーザ源、または偏光レーザ源および無偏光レーザ源の組合せであることができる。一例として、光ファイバ103の遠位端部113と標的101との間の距離を測定するために、限定的ではないが、低パワー赤外線(IR)レーザが、光ファイバ103を介して標的101を照明するために使用されてもよい。他の実施形態では、IRレーザ以外のレーザが利用されてもよい。しかし、IRレーザは、ユーザを妨害し得る可視光を含まないため、利用されてもよい。
【0095】
ブロック303において、方法300は、光ファイバを介して標的から反射光ビームを受け取る工程を含む。たとえば、LETDシステム105は、光ファイバ103を介して標的101から反射光ビーム223を受け取ってもよい。いくつかの実施形態では、反射光ビーム223は、光ファイバ103の近位端部111から、光ファイバ103の遠位端部113から、ポート219から、ブラスト・シールド(図示されず)からなどの反射の混合物を含んでもよい。さまざまな実施形態では、LETDシステム105は、強度を測定するのに適する反射光ビームを特定するように構成されてもよい。
【0096】
ブロック305において、方法は、1つまたは複数の光検出器を使用して反射光ビームを検出することによって、反射光ビームの強度を測定する工程と、1つまたは複数の光検出器によって測定された反射光ビームの強度の表示(たとえば電気信号など)を処理ユニットに対して伝送する工程とを含む。たとえば、LETDシステム105は、反射光ビーム223(本明細書では戻された信号とも称される)の強度を、戻された信号223をLETDシステム105内に設けられた1つまたは複数の光検出器を使用して検出することによって測定してもよい。いくつかの実施形態では、2つの異なる波長が標的101を照明するために使用されるため、測定された強度は、2つの異なる波長に対するものである。したがって、レーザ源(たとえばレーザ源201aおよび201bまたは201a’および201b’など)の2つの異なる波長に対応する2つの測定された強度は、LETDシステム105に関連付けられた処理ユニット107に対して伝送されてもよい。さまざまな実施形態では、3つ以上の異なる波長が、利用、測定、および/または伝送されてもよい。
【0097】
ブロック307において、方法は、1つまたは複数の光検出器によって測定された反射光ビーム223の強度の表示を処理ユニットによって受け取る工程を含む。たとえば、処理ユニット107は、LETDシステム105からの戻された信号223の測定された強度の表示を備える電気信号を受け取ってもよい。
【0098】
ブロック309において、方法は、1つまたは複数の光検出器によって測定された反射光ビームの強度に基づいて、光ファイバの遠位端部と標的との間の距離を処理ユニットによって推定する工程を含む。たとえば、処理ユニット107は、戻された信号の測定された強度に基づいて、光ファイバ103の遠位端部と標的101との間の距離を推定してもよい。いくつかの実施形態では、処理ユニット107は、測定された強度を以下で示されるような式1に代入してもよい:
【0099】
【数1】
【0100】
上記の式1では、「R」は、標的の組成、標的の色/色素、標的の角度、標的の表面などによって影響される標的反射係数を指し、「λ」は、特有の波長の吸水率を指し、「X」は、光ファイバ103の遠位端部と標的101との間の距離を指す。
【0101】
上記の式1では、「X」および「R」は、処理ユニット107によって決定される必要がある未知のパラメータである。したがって、「X」および「R」の値を決定するために、処理ユニット107は、2つの測定された強度値を上記の式1に代入し、それによって測定された強度の代入された値および対応する波長の吸水率を有する2つの式を得てもよい。たとえば、代入された値を有する2つの式は、以下に示される通りであってもよい。
【0102】
【数2】
【0103】
処理ユニット107は、以下に2つのステップで示されるように、上記の代入された式1.1および1.2をさらに簡易化してもよい。
ステップ1:2つの異なる波長の戻された信号について得られた、測定された強度値の比を計算する。
【0104】
【数3】
【0105】
ステップ2:以下に示されるように自然対数を使用して距離値を決定する。
【0106】
【数4】
【0107】
したがって、処理ユニット107は、上記で示されたような式1.1および1.2を簡易化することによって、光ファイバ103の遠位端部113と標的101との間の距離(X)を推定してもよい。上記の式2.2では、「ln」は自然対数を指す。いくつかの実施形態では、距離(X)は、ミリメートルで測定されてもよい。いくつかの実施形態では、選択された波長が「nmスケール」で互いに近いとき、「X」は、両方の波長について同じ距離であり、R(標的反射)は、両方の波長についてほぼ同一である。いくつかの実施形態では、波長は、これらが250nm以内にあるとき、「nmスケール」で互いに近いと考えられ得る(たとえば1310nmおよび1340nm、または1310nmおよび1550nm)。しかし、多くの実施形態では、より近いR値を有する波長が選択されてもよい。したがって、1310nmおよび1550nmより、1310nmおよび1340nmが選択されてもよい。本開示のいくつかの例では、2つのレーザ源(たとえば、201aおよび201bまたは201a’および201b’)は、互いに100nm以内にある波長を有する光を放射するように配置されることが可能である。
【0108】
光ファイバ103の状態は、光ファイバ103の遠位端部113および/または近位端部111の変化または劣化、偏光スクランブリングに対するファイバ屈曲効果、または光ファイバ103内で発生するあらゆる他の劣化および変化などの要因によって影響され得る。光ファイバ103、詳細には光ファイバ103の先端/端部の光状態の変化は、照射されたビームの品質、内部反射された光ビームの強度、ファイバに入った標的からの戻り反射光の量、標的に到達するエネルギーの量、および測定値の正確性の1つまたは複数に有害な影響を与え得る。これは、距離推定の正確性に影響を与え、場合によっては、治療中の光ファイバ103の間違った位置決め、または本願明細書に援用する米国仮特許出願第63/118,117号に説明されるように、距離推定に基づくエネルギー最適化の算出ミスを招き得る。
【0109】
ファイバ(たとえばファイバ近位端部またはファイバ遠位端部)に関連付けられた平面、またはファイバに光学的に接続された他の光要素(たとえばレンズまたはシールド)に関連付けられた平面からの内部反射は、寄生および望ましくない反射を生成する可能性がある。さらに、これらの内部反射は、ファイバまたは他の要素の劣化によって経時的に変化し得る。また、ファイバの劣化は、標的に向かって照射されるレーザ・ビームの品質、および/またはビーム223aおよび223bとして光ファイバに入り、そこを通過する反射光などの、標的組織からの戻り反射光の強度を変化させ得る。
【0110】
したがって、いくつかの実施形態に伴い、ブロック309において、方法300は、ファイバ劣化および内部反射における変化中に正確な距離測定を保つために、治療が開始する前に各レーザの初期内部反射を測定することができる。多くのそのような実施形態では、初期内部反射値(またはベース値)は、経時的に変化を監視するために記録および利用されてもよい。たとえば、処理ユニット107は、初期内部反射値の表示を記憶するために回路(たとえば、レジスタ、メモリなど)を含むことができる。一部の実施形態では、このプロセスは、レーザ・システムと共に使用される1つまたは複数の光ファイバ103について実施されてもよい。たとえば、このプロセスは、レーザ・システムと共に使用される各光ファイバ103について実施されてもよい。本明細書において説明されるさまざまな実施形態は、本明細書において提供されるように、距離測定値を動的に較正するために、(たとえば処理ユニット107の回路内などに記憶された)初期内部反射値からの変化を監視してもよい。
【0111】
いくつかの実施形態では、処理ユニット107は、システム治療前較正プロセスを使用して、そのような寄生(たとえば望ましくない)反射のベースライン値を(たとえばレジスタ、メモリなどから)読み取るように構成される。いくつかの実施形態では、システム治療前較正プロセスは、標的無しで水中に治療ファイバを設定することを含んでもよい。この文脈において、「標的無し」は、最も近い標的(たとえば石、腫瘍など)が、光が信号223aとして標的から光ファイバ103内に全く、または実質的に全く反射しないように、ファイバの先端から十分遠くに離れて位置し得ることを意味するように解釈されることが可能である。そのような距離は、たとえば、IR源(たとえば1310nmおよび1340nm源)について、光ファイバ103の遠位端部113から10mm、またはそれ以上であってもよい。しかし、可視光(たとえば400~700nm)が利用される場合、10mmを上回る長さが利用されてもよい。この後、これらの状態下、システムは、レーザ(たとえば201aおよび201bまたは201a’および201b’)を活性化し、上記で説明されたように反射信号223を測定してもよい。これらの状態(たとえば、標的無しの水存在下にあるアクティブ・レーザ)下の反射光223aは非常に小さいので、光検出器に到達する信号は、主に、光ファイバに関連付けられた(たとえばポート219から、近位端部111から、遠位端部113からなどの)内部反射に関連する。
【0112】
そのようなシナリオにおける内部反射された(IR)光ビームは、光検出器を使用して検出されてもよく、測定された強度値は、処理ユニット107によって(たとえば、レジスタ内、メモリ回路内などに)IR(HI)およびIR(LO)として記憶されてもよい。IR(HI)は、ファイバ先端(たとえば遠位端部113)の近くに標的が存在しないときのより高い吸水率を有する入射光の内部反射の強度であってもよく、その一方でIR(LO)は、ファイバ先端(たとえば遠位端部113)の近くに標的が存在しないときの低い吸水率を有する入射光の内部反射の強度であってもよい。その後、セラピーまたは治療中、光ファイバの遠位端部113が標的101により近づけて留置されながらレーザが活性化されたとき、戻り信号223aは、光ファイバを通って逆行して反射され、本明細書において説明される光検出器を使用して検出されてもよい。
【0113】
上記で説明されたように測定された強度値を算出することに加えて、処理ユニット107は、ブロック309において、より高い吸水率(HI)を有する波長に対応する、標的101(たとえば組織、石など)からの戻された信号の強度の表示であってもよいI(HI)として、(たとえばレジスタ内、メモリ回路内などに)測定された強度値を記憶し、より低い吸水率(LO)を有する波長に対応する、標的101(たとえば組織、石など)からの戻された信号の強度の表示であってもよいI(LO)を記憶することができる。しかし、実際の戻された信号223の読取値から寄生(または望ましくない)反射の値を排除するために、処理ユニット107は、以下の式3.1内に示されるように実際の戻された信号I(HI)の読取値からIR(HI)を、そして、以下の式3.1および3.2それぞれに示されるように実際の戻された信号I(LO)の読取値からIR(LO)を減算および/または低減してもよい。
【0114】
【数5】
【0115】
上記の式3.1では、I’(HI)は、(寄生(または望ましくない)反射を有さない)より高い吸水率(HI)を有する波長に対応する戻された信号の新たに算出された強度を指し、I(HI)は、(寄生(または望ましくない)反射を有する)より高い吸水率(HI)を有する波長に対応する戻された信号の測定された強度を指し、IR(HI)は、(「標的無し」で測定された)より高い吸水率を有する入射光の内部反射の測定された強度を指す。
【0116】
同様に、上記式3.2では、I’(LO)は、(寄生(または望ましくない)反射を有さない)より低い吸水率(LO)を有する波長に対応する戻された信号の新たに算出された強度を指し、I(LO)は、(寄生(または望ましくない)反射を有する)より低い吸水率(LO)を有する波長に対応する戻された信号の測定された強度を指し、IR(LO)は、(「標的無し」で測定された)より低い吸水率を有する入射光の内部反射の測定された強度を指す。
【0117】
したがって、新たな強度の算出された値I’(HI)およびI’(LO)を使用して、処理ユニット107は、新たに「較正された」値I’(HI)およびI’(LO)を以下で示されるように式2.2に代入することによって、光ファイバ103の遠位端部113と標的101との間の距離を決定してもよい。
【0118】
【数6】
【0119】
いくつかの実施形態では、「X」の上記の式は、以下に示されるように表示されてもよい。
【0120】
【数7】
【0121】
上記で言及されたように、内部反射は、経時的に一定でないことがあり、光ファイバ103の遠位端部113の光品質などの、(システムの外部である治療環境の動態による変化ではなく)システムの内部光パラメータの何らかの変化によって変化することがある。治療ビーム233のパワー・レベル、光ファイバ103の遠位端部113(または先端)において生じるキャビテーション効果、およびファイバが治療中に配設される液体環境の1つまたは複数により、光ファイバは、主に遠位端部113(または先端)においてさまざまな量の劣化を受ける。したがって、一部の実施形態では、治療中に反射信号223を繰り返し監視し、内部反射におけるそのような変化を動的に考慮に入れる、またはこれに合わせて調整することによって、「リアルタイム」または「動的」な較正が実施されてもよい。たとえば、構成200D~200Gにおいて示されるように、そのようなリアルタイム較正を実施するために、較正レーザ(たとえばレーザ源201cまたはレーザ源201c’)が、光ファイバ103のそのような劣化を考慮に入れたより正確な距離推定を容易にするために利用されることが可能である。
【0122】
構成200D~200Gに関して説明されるように、較正レーザ・ビーム(たとえば225cまたは225c’)は、水中で非常に高い吸収率を有する波長を有する。一例として、偏光レーザ源201c、または無偏光レーザ源201c’の波長は、1435nmであってもよい。較正レーザ201cおよび201c’によって生成されたレーザ・ビームは、上記で説明されたように、液体環境によって非常に強く吸収されるため、これらのレーザ・ビームに関連付けられた戻り反射光233aがファイバ内に戻ることはほとんどない。したがって、較正レーザ源(たとえば201cまたは201c’)がアクティブである間、較正レーザ源201cまたは201c’の波長を有する反射信号223は主に、内部反射に関連付けられる(またはこれを表示する)。
【0123】
一部の実施形態では、処理ユニット107は、ブロック309において、治療が開始する前にレーザ源201cまたは201c’に関連付けられたアーキテクチャ100の内部反射の1つまたは複数のベース値を読み取り、記憶するように構成されることが可能である。これらの1つまたは複数のベース値は、治療が開始する前の光ファイバ103の「品質」(たとえば、遠位端部113の光品質)を表してもよく、処理ユニット107によって(たとえばレジスタ内、メモリ回路内などに)記憶されることが可能である。さらに、処理ユニット107は、ベース値からの逸脱を特定するために、較正レーザ源201cまたは201c’によって放射された光の内部反射を、治療中に「リアルタイム」で測定し続けるように構成されてもよい。これらの逸脱の監視は、光ファイバの光品質の劣化に関する表示を提供し、また、信号223aに関連付けられた、任意の測定された戻り反射強度を正すために使用されてもよい。多くの実施形態では、較正レーザ源201cまたは201c’によって放射された光の内部反射の読取値に基づいて、処理ユニット107は、主要レーザ源201aおよび201bまたは201a’および201b’の較正パラメータを修正してもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、方法300は、較正プロセスのブロックを含むことができる。たとえば、処理ユニット107は、システムが水中で活性化される場合に較正レーザ201cまたは201c’によって放射された光に関連付けられた、1つまたは複数の内部放射値を読み取り、記憶することができる。較正レーザ201cおよび201c’は水中に非常に多く吸収されるので、レーザ201aおよび201bまたは201a’および201b’によって放射された光に関連付けられた反射信号の測定値と比べて、201cまたは201c’の較正読み取り中の標的101までの距離に対する感度は、かなり低くなり得る。以下でより詳細に説明されるように、これは、標的がファイバの先端近くにあり得るときでも、治療中、較正レーザ測定の継続を提供することができる。
【0125】
その後、標的101は、レーザ201aおよび201bまたは201a’および201b’を有する例示的な構成200D~200Gの1つを使用して、照明されることが可能である。そのようなシナリオにおける反射光ビーム223aおよび223bは、光検出器を使用して検出されてもよく、処理ユニット107は、測定された強度値をI(HI)、I(LO)として、較正レーザIR(CAL)の内部反射の追加の関連付けられた測定値と一緒に記憶することができる。I(HI)は、より高い吸水率を有する入射光の標的からの戻り反射の強度であってもよく、I(LO)は、低い吸水率を有する入射光の標的からの戻り反射の強度であってもよく、IR(CAL)は、較正レーザ201cまたは201c’からの入射光の内部反射の強度であってもよい。
【0126】
いくつかの実施形態では、較正レーザ源201cまたは201c’からの入射光は水によって多く吸収されるため、標的101の存在または不在は、反射IR(CAL)に影響を与えない場合がある。その結果、IR(CAL)値における変化は、光ファイバ103、詳細には光ファイバ103の先端(たとえば遠位端部113など)の劣化における変化の結果となり得る。いくつかの実施形態では、IR(CAL)値の相対変化に基づいて、処理ユニット107は、前に測定されたIR(HI)およびIR(LO)値、または現在測定されているI(LO)またはI(HI)を調整してもよい。
【0127】
その後、治療中(たとえばレーザが標的101を治療するために活性化されているとき)、標的101が存在するとき(たとえば、標的が光ファイバ103の遠位端部113から10mm以下の距離にあるときなどの、標的101が、戻り反射信号223aを生成するのに十分な近さの距離にあるとき)、レーザ源201aまたは201a’およびレーザ源201bまたは201b’についての戻り反射光ビーム223a、ならびに較正レーザ源201cまたは201c’からの内部反射223cは、光検出器を使用して検出されてもよい。処理ユニット107は、ブロック309において、より高い吸水率(HI)を有する波長を有する光に対応する戻された信号の強度を表し得るI(HI)として、より低い吸水率(LO)を有する波長を有する光に対応する戻された信号の強度を表し得るI(LO)として、およびさらにより高い吸水率を有する波長を有する光(たとえば、較正レーザ源201cまたは201c’によって放射された光)に対応する戻された内部反射信号の強度を表し得るIR(CAL)として、測定された強度値を記憶することができる。さらに、較正係数を決定するために、処理ユニット107は、以下の式4に示されるように、較正プロセス治療前からのIR(CAL-PRE)を、治療中に行われた較正プロセスからのIR(CAL-DUR)から除算してもよい。
【0128】
【数8】
【0129】
治療前および治療中の較正レーザ源201cまたは201c’の内部反射が同じであり、光ファイバ103における変化がないとき、較正係数は「1」であり得る。さらに、較正係数に基づいて主要レーザ201aおよび201bまたは201a’および201b’のパラメータを修正するために、処理ユニット107は、以下の式5.1および5.2に示されるように、較正係数を使用してもよい。
【0130】
【数9】
【0131】
上記の式5.1では、I’’(HI)は、より高い吸水率(HI)を有する波長を有する光に対応する、標的からの戻り反射信号の新たに較正された強度を指し、I(HI)は、より高い吸水率(HI)を有する波長を有する光に対応する、標的からの戻り反射信号の測定された強度を指し、IR(HI)は、(「標的無し」で測定された)より高い吸水率を有する波長を有する入射レーザ光の内部反射の測定された強度を指し、CFは、式4を使用して決定された較正係数を指す。
【0132】
上記の式5.2では、I’’(LO)は、より低い吸水率(LO)を有する波長を有する光に対応する、標的からの戻り反射信号の新たに較正された強度を指し、I(LO)は、より低い吸水率(LO)を有する波長を有する光に対応する、標的からの戻り反射信号の測定された強度を指し、IR(LO)は、(「標的無し」で測定された)より低い吸水率を有する波長を有する入射レーザ光の内部反射の測定された強度を指し、CFは、式4を使用して決定された較正係数を指す。
【0133】
したがって、新しく較正された強度値I’’(HI)およびI’’(LO)を使用して、処理ユニット107は、ブロック309において、新たに較正された値I’’(HI)およびI’’(LO)を以下に示されるように式2.2に代入することによって、光ファイバ103の遠位端部113と標的101との間の距離を決定することができる。
【0134】
【数10】
【0135】
したがって、このようにして、システム治療前較正およびリアルタイム較正が、動作中、ファイバの変化(たとえば劣化など)を動的に考慮に入れるために、リアルタイムで(たとえば処理ユニット107によって)較正係数を更新するために実施および利用されてもよい。一部の実施形態では、治療前較正およびリアルタイム較正は、ファイバが劣化を受けたときに、光ファイバ103の遠位端部113と標的101との間の推定された距離の正確性を保証するために実施されてもよい。
【0136】
ブロック311において、方法は、表示器を介して光ファイバ103の遠位端部113と標的101との間の(たとえば、ブロック309において)推定された距離を処理ユニット107によって表示する工程を含む。たとえば、処理ユニット107は、光ファイバ103の遠位端部と標的101との間の推定された距離を、処理ユニット107に関連付けられた表示器109を介して表示されるようにする。特有の例として、表示器109は、視覚表示器、音声表示器、および触覚表示器の1つまたは複数を含んでもよい。したがって、処理ユニット107は、ブロック311において、推定された距離の表示を表示器に表示させる(たとえば、ディスプレイさせる、可聴的に知らせる、触覚的に知らせるなど)ために、表示器109に制御信号を送ることができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、光ファイバ103の遠位端部と標的101との間の推定された距離に基づいて、光ファイバ103の位置、光ファイバ103の配向、治療ビームの特徴などの1つまたは複数が、より正確な照準などによって治療ビームが標的101に対して正確に効率的に影響を与えるように、リアルタイムで変更されてもよい。
【0138】
図3Bは、本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定する方法350を示すフロー図を示す。方法350は、上記で説明されたアーキテクチャ100およびLETD105のさまざまな構成を参照しながら説明される。しかし、方法300が、本明細書に説明されるものとは異なるLETDを使用して実施され得ることを理解されたい。実施形態は、この文脈に限定されない。
【0139】
ブロック351において、方法350は、第1の波長のレーザ光に対応する第1の反射レーザ光に基づいて、第1の強度値を決定する工程を含み、第1の波長のレーザ光は、光ファイバ103の遠位端部113を退出し、第1の反射レーザ光は、標的101によって反射され、光ファイバ103の遠位端部113に入る。たとえば、処理ユニット107は、高い吸水率を有する波長を有する光に対応する反射レーザ光223aに基づいて、第1の強度値を決定してもよい。いくつかの実施形態では、高い吸水率を有する波長に対応するレーザ光は、上記で論じられたように、レーザ源201aまたは201a’によって生成されてもよい。
【0140】
ブロック353において、方法350は、第2の波長のレーザ光に対応する第2の反射レーザ光に基づいて、第2の強度値を決定する工程を含み、第2の波長のレーザ光は、光ファイバ103の遠位端部113を退出し、第2の反射レーザ光は、標的101によって反射され、光ファイバの遠位端部113に入る。たとえば、処理ユニット107は、ブロック350において、低い吸水率を有する波長を有する光に対応する反射レーザ光223に基づいて、第2の強度値を決定してもよい。いくつかの実施形態では、低い吸水率を有する波長に対応するレーザ光は、上記で論じられたように、201bまたは201b’によって生成されてもよい。
【0141】
ブロック355において、方法350は、第1の強度値と第2の強度値との比を計算する工程を含む。たとえば、プロセッサ107は、ブロック355において、第1の強度値と第2の強度値との比を計算するために、式2.1を利用してもよい。ブロック357において、方法350は、ブロック355において導出された第1の強度値と第2の強度値との比に基づいて、光ファイバ103の遠位端部113と標的101との間の距離を推定する工程を含む。たとえば、プロセッサ107は、ブロック357において、第1の強度値と第2の強度値との比に基づいて、光ファイバ103の遠位端部113と標的101との間の距離を推定するために、式2.2を利用してもよい。
【0142】
図3Cは、本開示のいくつかの実施形態による、ファイバ端部と標的との間の距離を推定する方法380を示すフロー図を示す。方法380は、上記で説明されたアーキテクチャ100およびLETD105のさまざまな構成を参照しながら説明される。しかし、方法300は、本明細書に説明されるものとは異なるLETDを使用して実施され得ることを理解されたい。実施形態は、この文脈に限定されない。
【0143】
ブロック381において、方法380は、複数の異なる波長のレーザ光で標的を照明する工程を含む。たとえば、構成200A~200Gの1つが、複数の異なる波長のレーザ光221で標的101を照明するために利用されてもよい。一部の実施形態では、複数の異なる波長のレーザ光221は、光ビーム225a、225b、225c、231、および/または233の1つまたは複数を含むことができる。
【0144】
ブロック383において、方法380は、光ファイバを介して標的から反射光ビームを受け取る工程を含む。たとえば、構成200A~200Gの1つが、(たとえば標的101から反射された光に対応する)反射光ビーム223を受け取り、光ファイバ103を介して戻り伝送するために使用されてもよい。一部の実施形態では、反射光ビーム223は、標的101から反射され、光ファイバ103の遠位端部113に入ることができ、したがって反射光223aを含んでもよい。反射光223aはまた、システム内の光構成要素(たとえば近位端部111、遠位端部113など)から反射された光を含むこともでき、較正光ビーム225cに関連付けられた反射光に対応する反射光223cを含むことができる。
【0145】
ブロック385において、方法380は、1つまたは複数の光検出器によって反射光ビーム223の強度を測定する工程を含む。多くの実施形態では、構成200A~200Gの1つが、1つまたは複数の光検出器によって反射光ビーム223の強度を測定するために利用されてもよい。たとえば、第1の光検出器215および第2の光検出器217が、反射光ビーム223の強度を測定するために利用されてもよい。別の例では、第3の光検出器227が、反射光ビーム223の強度を測定するために利用されてもよい。
【0146】
ブロック387において、方法380は、1つまたは複数の光検出器によって測定された反射光ビーム223の強度に基づいて、光ファイバ103の遠位端部113と標的101との間の距離を推定する工程を含む。たとえば、処理ユニット107は、1つまたは複数の光検出器によって測定された反射光ビーム223の強度に基づいて、光ファイバ103の遠位端部113と標的101との間の距離を推定するために利用されてもよい。いくつかの実施形態では、処理ユニット107は、コンピュータ・システム400の1つまたは複数の部分内に備えられてもよい。
【0147】
図4は、本開示と一致する実施形態を実装するための例示的なコンピュータ・システム400のブロック図である。コンピュータ・システム400、またはその1つまたは複数の部分は、処理ユニット107を備えてもよい。異なって言えば、処理ユニット107は、コンピュータ・システム400によって実装されることが可能である。いくつかのそのような実施形態では、コンピュータ・システム400は、光ファイバ103の遠位端部113と標的101との間の距離を推定するために利用されてもよい。実施形態は、本文脈に限定されない。
【0148】
コンピュータ・システム400は、中央処理ユニット(「CPU」または「プロセッサ」)402を含んでもよい。プロセッサ402は、(たとえば方法300、350、および/または380に関して)上記で説明された動作を行うために命令またはプログラム構成要素を実行するように配置された、少なくとも1つのデータ・プロセッサを含んでもよい。ユーザは、本開示に含められるものなどのデバイスを使用する人(たとえば、医師、看護師、技術者など)、またはデバイスそれ自体を含んでもよい。プロセッサ402は、統合されたシステム(バス)・コントローラ、メモリ管理制御ユニット、浮動小数点ユニット、画像処理ユニット、デジタル信号処理ユニット、特定用途向け集積回路(ASICS)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、または商用処理ユニットなどの特殊な処理ユニットを含んでもよい。プロセッサ402は、入力デバイス411および/または出力デバイス412と(たとえばI/Oインターフェース401などを介して)通信するように構成され、これと通信状態で配置されてもよい。I/Oインターフェース401は、限定的ではないが、音声、アナログ、デジタル、ステレオ、IEEE-1394、シリアル・バス、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)(登録商標)、赤外線、PS/2、BNC、同軸、コンポーネント、複合、デジタル視覚インターフェース(DVI)、高品位マルチメディア・インターフェース(HDMI)(登録商標)、高周波(RF)アンテナ、S-ビデオ、ビデオ・グラフィックス・アレイ(VGA)、IEEE 802.xx/b/g/n/x、Bluetooth(登録商標)、セルラー(たとえば、符号分割多元アクセス(CDMA)、高速パケット・アクセス(HSPA+)、モバイル通信のためのグローバル・システム(Global System For Mobile Communications)(GSM)(登録商標)、ロングターム・エボリューション(LTE)(登録商標)、Wimax(登録商標)など)などの通信プロトコルまたは通信方法を採用してもよい。
【0149】
I/Oインターフェース401を使用して、コンピュータ・システム400は、入力デバイス411および/または出力デバイス412と通信してもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ402は、(たとえば、ネットワーク・インターフェース403などを介して)通信ネットワーク409と通信するように構成され、これと通信状態で配置されてもよい。ネットワーク・インターフェース403は、通信ネットワーク409を介して通信するために利用されてもよい。ネットワーク・インターフェース403は、限定的ではないが、直接接続、イーサネット(登録商標)(たとえば、ツイスト・ペア10/100/1000 Base T)、伝送制御プロトコル/インターネット・プロトコル(TCP/IP)、トークン・リング、IEEE 802.11a/b/g/n/xなどを含む、接続プロトコルを採用してもよい。ネットワーク・インターフェース403および通信ネットワーク409を使用して、コンピュータ・システム400は、LETDシステム105および/または表示器109と通信してもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ・システム400の1つまたは複数の部分は、LETDシステム105内に統合されてもよい。いくつかのそのような実施形態では、LETDシステム105の1つまたは複数の構成要素(たとえばパワー検出器および/または光検出器)は、入力デバイス411を備えてもよい。
【0150】
通信ネットワーク409は、イントラネットまたはローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、クローズド・エリア・ネットワーク(CAN)などの異なるタイプのネットワークの1つとして実装されることが可能である。通信ネットワーク409は、互いに通信するために、たとえば、ハイパーテキスト・トランスファ・プロトコル(HTTP)、CANプロトコル、伝送制御プロトコル/インターネット・プロトコル(TCP/IP)、ワイヤレス・アプリケーション・プロトコル(WAP)などの多様なプロトコルを使用する異なるタイプのネットワークの関連付けを表す、専用ネットワークまたは共有ネットワークであってもよい。さらに、通信ネットワーク409は、ルータ、ブリッジ、サーバ、コンピューティング・デバイス、記憶デバイスなどを含む多様なネットワーク・デバイスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ402は、記憶インターフェース404を介してメモリ405(たとえば図4に図示されないが、RAM、ROMなど)と通信状態で配設されてもよい。記憶インターフェース404は、シリアル・アドバンスド・テクノロジ・アタッチメント(SATA)、統合ドライブ・エレクトロニクス(IDE)、IEEE-1394、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)(登録商標)、ファイバ・チャネル、スモール・コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)などの接続プロトコルを採用する、限定的ではないが、メモリ・ドライブ、取り外し可能なディスク・ドライブなどを含むメモリ405に接続してもよい。メモリ・ドライブは、ドラム、磁気ディスク・ドライブ、光磁気ドライブ、光学ドライブ、リダンダント・アレイ・オブ・インディペンデント・ディスクズ(RAID)、ソリッドステート・メモリ・デバイス、ソリッドステート・ドライブなどをさらに含んでもよい。
【0151】
メモリ405は、限定的ではないが、ユーザ・インターフェース406、オペレーティング・システム407、ウェブ・ブラウザ408、および命令415などを含む、プログラムまたはデータベース構成要素のコレクションを記憶してもよい。さまざまな実施形態では、命令415は、プロセッサ402によって実行されたとき、距離を推定するか、または較正を実施するなどのために、本明細書によって説明される1つまたは複数の技法、工程、手順、および/または方法をプロセッサ402に実施させる命令を含んでもよい。たとえば方法300、350、および/または380を実施するための命令が、メモリ405内に記憶されてもよい。多くの実施形態では、メモリ405は、少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読媒体を含む。たとえば、メモリ405は、命令415を非一時的に記憶するように配置されたメモリ回路を備えるメモリ・デバイスであることができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ・システム400は、本開示に説明されるように、データ、変数、記録などのユーザ/アプリケーション・データを記憶してもよい。そのようなデータベースは、オラクル(Oracle)(登録商標)またはサイベース(Sybase)(登録商標)などのフォールトトレラント(fault-tolerant)、リレーショナル(relational)、スケーラブル(scalable)、セキュアなデータベースとして実装されてもよい。
【0152】
オペレーティング・システム407は、コンピュータ・システム400のリソース管理および動作を容易にしてもよい。オペレーティング・システムの例は、限定的ではないが、APPLE(登録商標)MACINTOSH(登録商標)OS X(登録商標)、UNIX(登録商標)、UNIXライク・システム・ディストリビューション(たとえば、BERKELEY SOFTWARE DISTRIBUTION(BSD)、FREEBSD(登録商標)、NETBSD(商標)、OPENBSDなど)、LINUX(登録商標)DISTRIBUTIONS(たとえば、RED HAT(登録商標)、UBUNTU(登録商標)、KUBUNTU(商標)など)、IBM(登録商標)OS/2(登録商標)、MICROSOFT(登録商標)WINDOWS(登録商標)(XP(登録商標)、VISTA(登録商標)/7/8、10など)、APPLE(登録商標)IOS(登録商標)、GOOGLE(登録商標)ANDROID(登録商標)、BLACKBERRY(登録商標)OSなどを含む。ユーザ・インターフェース406は、テキストまたはグラフィック設備を介して、プログラム構成要素のディスプレイ、実行、インタラクション、操作、または動作を容易にしてもよい。たとえば、ユーザ・インターフェースは、カーソル、アイコン、チェックボックス、メニュー、スクロール、ウィンドウ、ウィジェットなどのコンピュータ・システム400に動作可能に接続されたディスプレイ・システム上のコンピュータ・インタラクション・インターフェース要素を提供してもよい。限定的ではないが、Apple(登録商標)Macintosh(登録商標)オペレーティング・システム Aqua(登録商標)、IBM(登録商標)OS/2(登録商標)、Microsoft(登録商標)Windows(登録商標)(たとえば、Aero、Metroなど)、ウェブ・インターフェース・ライブラリ(たとえば、ActiveX(登録商標)、Java(登録商標)、JavaScript(登録商標)、AJAX、HTML、Adobe(登録商標)Flash(登録商標)など)などを含むグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)が、採用されてもよい。
【0153】
いくつかの実施形態では、コンピュータ・システム400は、ウェブ・ブラウザ408に記憶されたプログラム構成要素を実装してもよい。ウェブ・ブラウザ408は、MICROSOFT(登録商標)INTERNET EXPLORER(登録商標)、GOOGLE(登録商標)CHROME(登録商標)、MOZILLA(登録商標)FIREFOX(登録商標)、APPLE(登録商標)SAFARI(登録商標)などのハイパーテキスト閲覧アプリケーションであってもよい。セキュアなウェブ・ブラウジングは、セキュア・ハイパーテキスト・トランスポート・プロトコル(HTTPS)、セキュア・ソケット・レイヤー(SSL)、トランスポート・レイヤー・セキュリティ(TLS)などを使用して提供されてもよい。ウェブ・ブラウザ408は、AJAX、DHTML、ADOBE(登録商標)FLASH(登録商標)、JAVASCRIPT(登録商標)、JAVA(登録商標)、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)などの設備を利用してもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ・システム400は、メール・サーバに記憶されたプログラム構成要素を実装してもよい。メール・サーバは、Microsoft Exchangeなどのインターネット・メール・サーバであってもよい。メール・サーバは、アクティブ・サーバ・ページ(ASP)、ACTIVEX(登録商標)、ANSI C++/C#、MICROSOFT(登録商標)、.NET、CGI SCRIPTS、JAVA(登録商標)、JAVASCRIPT(登録商標)、PERL(登録商標)、PHP、PYTHON(登録商標)、WEBOBJECTS(登録商標)などの設備を利用してもよい。メール・サーバは、インターネット・メッセージ・アクセス・プロトコル(IMAP)、メッセージング・アプリケーション・プログラミング・インターフェース(MAPI)、MICROSOFT(登録商標)exchange、ポスト・オフィス・プロトコル(POP)、シンプル・メール・トランスファ・プロトコル(SMTP)などの通信プロトコルを利用してもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ・システム400は、メール・クライアントに記憶されたプログラム構成要素を実装してもよい。メール・クライアントは、APPLE(登録商標)MAIL、MICROSOFT(登録商標)ENTOURAGE(登録商標)、MICROSOFT(登録商標)OUTLOOK(登録商標)、MOZILLA(登録商標)THUNDERBIRD(登録商標)などのメール閲覧アプリケーションであってもよい。
【0154】
さらに、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体が、本開示と一致する実施形態を実装する上で利用されてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって読み取り可能な情報またはデータが記憶され得る任意のタイプの物理的メモリを指す。したがって、コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサに、本明細書に説明される実施形態と一致する工程または段階を実施させるための命令を含む、1つまたは複数のプロセッサによる実行のための命令を記憶してもよい。用語「コンピュータ可読媒体」は、有形アイテムを含み、キャリア波および過渡信号を除くこと、すなわち非一時的であることが理解されなければならない。例として、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハード・ドライブ、コンパクト・ディスク(CD)ROM、デジタル・ビデオ・ディスク(DVD)、フラッシュ・ドライブ、ディスク、および任意の他の知られている物理的記憶媒体が含まれる。
【0155】
さまざまな実施形態では、本開示は、多様な技術的効果および改善を提供し得る。たとえば、本開示は、2つの異なる波長(一方は低吸水率を有し、他方は高吸水率を有する)のレーザ光を使用して、光ファイバの遠位端部と標的との間の距離の推定を可能にしてもよい。そのような波長選択に基づく距離の推定は、異なるタイプの標的、標的の組成、標的の色、標的の表面などに対するロバスト性を提供することができる。本開示に開示される波長変調ベースの技法およびシステムは、光ファイバの遠位端部と標的との間の距離を推定するために提供されることが可能であり、距離の正確な推定を容易にすることができる。さらに、本開示は、さまざまなタイプの標的について光ファイバの遠位端部と標的との間の距離の推定のプロセスを提供し、従来的に可能であったものより変化に富んだ標的についての距離の推定を実現することができる。したがって、本開示は、従来的に可能であったものよりさらに正確に標的に照準するためのシステムおよび方法を提供する。より正確な照準は、有害な転帰および/または恒久的なダメージをそれ自体が招き得る、標的の間違った部分のアブレーションおよび/または破砕を排除または低減することができる。また、より正確な照準は、標的をアブレーションおよび/または破砕する際に費やす時間をより短くする。
【0156】
一部の実施形態では、本開示は、低視認性環境(たとえばダストまたは標的断片を含む環境)内などで治療ビームを正確に位置決めおよび/または照準するために使用されてもよい。たとえば、標的(たとえば腎臓結石)の治療中、石片またはダストの存在によって水が濁ることがある。これは、標的(たとえば腎臓結石)を見る能力を低減し得る(または妨げ得る)。そのようなシナリオにおいて、本開示では、光ファイバの留置について(たとえば、ファイバが標的の前に留置されているか、または標的が検出されていないかを)治療する医師に正確に認識させ、伝えるためのシステムを提供する。
【0157】
さらに、多くの実施形態では、本開示は、距離測定に使用されてもよい。たとえば、標的(たとえば腎臓結石)は、治療中に動き回ることがあり、それによって、治療ビームに関連付けられたレーザ光が、標的に入射するのではなく、望ましくないエリア(たとえば、健康な組織など)に入射することを招き得る。したがって、本開示は、光ファイバと標的との間の距離の自動のリアルタイムでの監視を可能にしてもよく、それによって望ましくないエリアにレーザ発振するという可能性を低減または排除することができる。
【0158】
さらに、さまざまな実施形態では、本開示は、1つまたは複数の動作パラメータを制御および/または調整する目的で使用されてもよい。たとえば、治療中、標的は、前後に移動するか、またはその形状およびサイズを変化させることがある。したがって、標的へのレーザ発振を開始する前にレーザ源について事前設定されたパラメータは、効果が低下し得る。従来的には、そのような事前設定されたパラメータは手動で変更されており、それによってエラーが生じやすく、時間がかかることがあり、またはいくつかの場合、事前設定されたパラメータは、変更されないままであることがあり、それによって光ファイバが標的に近すぎる、またはそこから遠すぎることになり得るシナリオを招くことがある。したがって、本開示に開示されるような、光ファイバと標的との間の距離の自動のリアルタイムでの監視は、最良の結果になるようにレーザ発振を標的の形状、位置などにしたがって調整するために、レーザ発振の事前設定パラメータを自動で変更することを可能にすることができる。
【0159】
本明細書における実質的にいかなる複数および/または単数の用語の使用に関しても、当業者は、文脈および/または用途に適切であるように、複数から単数におよび/または単数から複数に読み替えることができる。さまざまな単数および/または複数の置換は、限定ではなく明確にするために、本明細書において明示的に述べられる。
【0160】
全般的に、本明細書において使用される用語が、通常、「オープンである」用語として意図される(たとえば用語「含んでいる」は、「それだけに限定されないが、含んでいる」として解釈されなければならず、用語「有する」は、「少なくとも有する」として解釈されなければならず、用語「含む」は、「それだけに限定されないが、含む」として解釈されなければならない、など)ことが、当業者によって理解されるであろう。さらに、導入された請求項の記載の特有の数が意図される場合が、当業者によって理解されるであろう。たとえば、理解を助けるものとして、詳細な説明は、請求項の記載を導入するために「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」の導入句の使用を含むことがある。しかし、そのような句の使用は、不定冠詞「1つ(a)」または「1つ(an)」による請求項の記載の導入が、同じ請求項が導入句「1つまたは複数」または「少なくとも1つ」、および「1つ(a)」または「1つ(an)」などの不定冠詞を含む場合であっても、導入されたそのような請求項の記載を含むいかなる特定の請求項も、1つのそのような記載のみを含む開示に限定することを示唆すると捉えられてはならない(たとえば、「1つ(a)」および/または「1つ(an)」は、典型的には「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味すると解釈されなければならない)。同じことが、請求項の記載を導入するために使用される定冠詞の使用についても当てはまる。加えて、導入された請求の記載の特有の数が明示的に記載される場合であっても、そのような記載が、典型的には、少なくとも記載された数を意味するように解釈されなければならないことを当業者は認識するであろう(たとえば、他の修飾語がない「2つの記載」だけの記載は、典型的には、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。
【0161】
本明細書において開示され、特許請求されるデバイスおよび/または方法のすべては、本開示に照らして過度の試験を行うことなく作製され、実行されることが可能である。本開示のデバイスおよび方法は、好ましい実施形態に関して説明されてきたが、本開示の概念、趣旨、および範囲から逸脱することなく、本明細書に説明されるデバイスおよび/または方法ならびに方法のステップまたはステップの順序において変更が適用可能であることが当業者に明らかになり得る。当業者に明らかであるすべてのそのような類似の代用および改変は、付属の特許請求の範囲によって定義される本開示の趣旨、範囲、および概念内に含まれるとみなされる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図3A
図3B
図3C
図4
【国際調査報告】