(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】口内分散性粉末組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 9/14 20060101AFI20231228BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231228BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20231228BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20231228BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20231228BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20231228BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231228BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20231228BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231228BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20231228BHJP
A61P 1/08 20060101ALI20231228BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20231228BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20231228BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20231228BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20231228BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231228BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20231228BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20231228BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20231228BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20231228BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20231228BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20231228BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20231228BHJP
A61P 15/10 20060101ALI20231228BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20231228BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231228BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A61K9/14
A61K45/00
A61P25/04
A61P29/02
A61P11/06
A61P31/04
A61P25/28
A61K47/12
A61K47/26
A61P3/10
A61P1/08
A61P25/08
A61P9/12
A61P3/06
A61P25/18
A61P29/00
A61P31/18
A61P7/02
A61P25/22
A61P31/12
A61P25/16
A61P25/14
A61P13/08
A61P15/10
A61P1/14
A61P43/00 105
A61K9/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533355
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 IB2021062096
(87)【国際公開番号】W WO2022144691
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522021572
【氏名又は名称】バイオファーマ・シナジーズ,エス.エル.
【氏名又は名称原語表記】BIOPHARMA SYNERGIES, S. L.
(74)【代理人】
【識別番号】100106448
【氏名又は名称】中嶋 伸介
(72)【発明者】
【氏名】フランセスク・アヘル・プイグ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA36
4C076BB01
4C076BB22
4C076CC01
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4C076CC14
4C076CC15
4C076CC16
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4C076CC21
4C076CC26
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4C084MA05
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4C084ZB352
4C084ZC332
4C084ZC352
4C084ZC552
(57)【要約】
本発明は、薬学的有効成分と、クエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースの相乗的3成分混合物とを含む口内分散性粉末組成物に関する。それはまた、そのような口内分散性粉末組成物を含むスティック状包装物及び錠剤、並びにそれらの薬剤としての使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口内分散性粉末組成物であって、
a)薬理学的有効量の薬学的有効成分又はその薬学的に許容可能な塩;
b)クエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースからなる3成分混合物;並びに
c)1つ以上のさらなる賦形剤
を含み、
前記3成分混合物の総重量に対して、クエン酸ナトリウムの含有量は、55重量%~85重量%、好ましくは60重量%~80重量%、より好ましくは61重量%~78重量%であり、クエン酸の含有量は、5重量%~30重量%、好ましくは10重量%~25重量%、より好ましくは12重量%~22重量%であり、そして、スクラロースの含有量は、5重量%~25重量%、好ましくは8重量%~20重量%、より好ましくは10重量%~18重量%であり、
前記3成分混合物の含有量は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して少なくとも8重量%であり、そして
前記薬学的有効成分として、酵素、ステロイド、トリプタン及び抗ヒスタミン活性化合物を除く、前記口内分散性粉末組成物。
【請求項2】
前記薬学的有効成分は、注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬、鎮痛剤、抗喘息薬、抗菌薬、抗認知症剤、抗うつ薬、抗糖尿病薬、制吐薬、抗てんかん薬、抗高コレステロール血症剤、降圧薬、抗炎症剤、統合失調症治療薬、抗レトロウイルス剤、抗血栓薬、抗ウイルス剤、抗不安薬、勃起不全治療薬、胃腸機能調整剤、化学療法剤、抗パーキンソン病薬、嚢胞性線維症治療薬、前立腺肥大症薬、及びこれらの混合物から選択され;好ましくは注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬、鎮痛剤、抗喘息薬、抗菌薬、抗認知症剤、抗うつ薬、抗糖尿病薬、制吐薬、抗てんかん薬、抗高コレステロール血症剤、降圧薬、抗炎症剤、統合失調症治療薬、抗レトロウイルス剤、抗血栓薬、抗ウイルス剤、抗不安薬、勃起不全治療薬、胃腸機能調整剤、抗パーキンソン病薬、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項3】
前記薬学的有効成分は、注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬としてアトモキセチン及びリスデキサンフェタミン;鎮痛剤としてタラマドール;抗喘息薬としてモンテルカスト;抗菌薬としてアモキシシリン;抗認知症剤としてドネペジル及びメマンチン;抗うつ薬としてフルオキセチン及びミルタザピン;抗糖尿病薬としてダパグリフロジン、メトホルミン、シタグリプチン、ビルダグリプチン及びこれらの混合物;制吐薬としてオンダンセトロン;抗てんかん薬としてプレガバリン;抗高コレステロール血症剤としてアトルバスタチン、エゼチミブ、シンバスタチン及びこれらの混合物;降圧薬としてアムロジピン、オルメサルタンメドキソミル、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)、バルサルタン、カンデサルタン、インダパミド、ペリンドプリル、サクビトリル及びこれらの混合物;抗炎症剤としてエトリコキシブ;抗パーキンソン病薬としてカルビドバ、レボドバ、エンタカポン及びこれらの混合物;統合失調症治療薬としてアリピプラゾール及びオランザピン;抗レトロウイルス剤としてアバカビル、ラミブジン、ドルテグラビル、コビシスタット、ダルナビル、エムトリシタビン、テノホビルアラフェナミド、テノホビルジソプロキシル、エルビテグラビル、エファビレンツ、リルピビリン及びこれらの混合物;抗血栓薬としてクロピドグレル及びリバーロキサバン;抗ウイルス剤としてアシクロビル、エルバスビル、グラゾプレビル、グレカプレビル、ピブレンタスビル、レジパスビル、ソフォスブビル、ベルパタスビル、ボクシラプレビル及びこれらの混合物;抗不安薬としてアルプラゾラム;前立腺肥大症薬としてデュタステリド、タムスロシン及びこれらの混合物;嚢胞性線維症治療薬としてイヴァカフトール、ルマカフトル及びこれらの混合物;勃起不全治療薬としてタダラフィル;並びに胃腸機能調整剤としてブチルスコポラミン、ドンペリドン及びロペラミドから選択されることを特徴とする、請求項2に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項4】
前記薬学的有効成分は、アトモキセチン、リスデキサンフェタミン、タラマドール、モンテルカスト、アモキシシリン、ドネペジル、メマンチン、フルオキセチン、ミルタザピン、ダパグリフロジン、メトホルミン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、オンダンセトロン、プレガバリン、アトルバスタチン、エゼチミブ、シンバスタチン、アムロジピン、オルメサルタンメドキソミル、ヒドロクロロチアジド、バルサルタン、カンデサルタン、インダパミド、ペリンドプリル、サクビトリル、エトリコキシブ、カルビドバ、レボドバ、エンタカポン、アリピプラゾール、オランザピン、アバカビル、ラミブジン、ドルテグラビル、コビシスタット、ダルナビル、エムトリシタビン、テノホビルアラフェナミド、テノホビルジソプロキシル、エルビテグラビル、エファビレンツ、リルピビリン、クロピドグレル、リバーロキサバン、アシクロビル、エルバスビル、グラゾプレビル、グレカプレビル、ピブレンタスビル、レジパスビル、ソフォスブビル、ベルパタスビル、ボクシラプレビル、アルプラゾラム、デュタステリド、タムスロシン、イヴァカフトール、ルマカフトル、タダラフィル、ブチルスコポラミン、ドンペリドン、ロペラミド、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項5】
前記薬学的有効成分は、ダパグリフロジン/メトホルミン、メトホルミン/シタグリプチン、メトホルミン/ビルダグリプチン、アトルバスタチン/エゼチミブ、シンバスタチン/エゼチミブ、アムロジピン/オルメサルタンメドキソミル、アムロジピン/オルメサルタンメドキソミル/ヒドロクロロチアジド、アムロジピン/バルサルタン、アムロジピン/バルサルタン/ヒドロクロロチアジド、カンデサルタン/ヒドロクロロチアジド、インダパミド/アムロジピン/ペリンドプリル、オルメサルタン/アムロジピン/ヒドロクロロチアジド、サクビトリル/バルサルタン、カルビドバ/レボドバ/エンタカポン、アバカビル/ラミブジン、アバカビル/ラミブジン/ドルテグラビル、コビシスタット/ダルナビル、コビシスタット/ダルナビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、コビシスタット/エルビテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン/エファビレンツ/テノホビルジソプロキシル、エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシル、テノホビルアラフェナミド/エムトリシタビン/リルピビリン、テノホビルジソプロキシル/エムトリシタビン/リルピビリン、エルバスビル/グラゾプレビル、グレカプレビル/ピブレンタスビル、レジパスビル/ソフォスブビル、ソフォスブビル/ベルパタスビル、ソフォスブビル/ベルパタスビル/ボクシラプレビル、デュタステリド/タムスロシン、及びイヴァカフトール/ルマカフトルから選択される混合物であることを特徴とする、請求項4に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項6】
上記3成分混合物は、55重量%~85重量%のクエン酸ナトリウム、5重量%~30重量%のクエン酸、及び5重量%~25重量%のスクラロース;好ましくは60重量%~80重量%のクエン酸ナトリウム、10重量%~25重量%のクエン酸、及び8重量%~20重量%のスクラロース;より好ましくは61重量%~78重量%のクエン酸ナトリウム、12重量%~22重量%のクエン酸、及び10重量%~18重量%のスクラロースを含み、上記3成分混合物中のクエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースの量は、100%となるように組み合わされることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項7】
上記3成分混合物の含有量は、上記口内分散性粉末組成物の総重量に対して47重量%以下であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項8】
前記1つ以上のさらなる賦形剤は、希釈剤、潤滑剤、滑剤、香料、甘味料、酸味料、アルカリ化剤、緩衝剤、抗酸化剤、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項9】
上記希釈剤は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、イソマルト、エリスリトール、粉末セルロース、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、デンプン、リン酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項10】
上記潤滑剤は、タルク、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリル、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項11】
上記滑剤は、コロイダル二酸化ケイ素、リン酸三カルシウム、疎水性コロイダルシリカ、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項12】
上記香料は、オレンジ、バナナ、ストロベリー、チェリー、ワイルドチェリー、レモン、カルダモン、アニス、ペパーミント、メントール、バニリン及びエチルバニリン、並びにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の口内分散性粉末を含む、スティック状包装物。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の口内分散性粉末を含む、錠剤。
【請求項15】
薬剤として使用するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の口内分散性粉末組成物、請求項13に記載のスティック状包装物、又は請求項14に記載の錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬学的有効成分(active pharmaceutical ingredient)を含み、口内分散性粉末としてスティック状包装物(stick packs)の形態に分包(dose)される医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
経口は、薬剤を投与するための最も利便かつ容易に行えるルートであると考えられる。この場合、非特許文献1:C.A.Challener,Adapting APIs for Specially Dosage Forms,Pharm.Technol.Europe,2019,16-18や非特許文献2:F.Thomas,Avoiding Bitter Taste,Pharm.Technol.Europe,2019,19-21に開示されるように、患者に受け入れられる良好な呈味が要求される。
【0003】
しかし、特許文献1:US-A-2006/0198885に開示されるように、薬学的有効成分は、通常、望ましくない苦味を特徴とし、そして唾液中の薬学的有効成分の溶解度が上がるにつれて、不快な味がする。
【0004】
従来技術では、非特許文献3:Gala等,Taste Masking Techniques in the Pharmaceutical Industry,Am.Pharm.Rev.,2014,17(4) 1-6,及び非特許文献4:Savita等,Taste masking:a novel approach for better patient compliance,J.Pharm.Sci.Innnov., 2012,1(3),6-10に開示されるように、薬学的有効成分の苦味をマスクするためのさまざまなアプローチが提案されている:
a) 甘味料又は香料の添加
b) 薬剤分子の錯体形成剤の空孔内への複合化
c) イオン交換樹脂との複合化
d) 剤形、例えば錠剤の被覆
e) 薬学的有効成分のマイクロカプセル化
f) リポソーム
g) マスエクストルージョン(Mass extrusion)
h) 固体分散体
i) 多重エマルジョン
j) 薬剤の高分子、樹脂、ゲル又は脂質のかさばった母体への取り込み
k) プロドラッグ形成による苦味の位置の改変
l) 唾液内の薬学的有効成分の溶解を遅らせるための塩の形成
【0005】
例えば非特許文献5:AlAteibi等,Taste masking approaches for unpleasant taste drugs,Open Access J.,2019,DOI: 10.31021/ddddj.20191107に開示されるように、薬剤の苦味をマスクするために二酸化炭素を放散させる発泡性組成物もまた使用されている。
【0006】
液剤経口医薬組成物が、薬剤の苦味をマスクするために使用される。非特許文献6:Coupland等,Physical Approaches to Masking Bitter Taste:Lessons from Food and Pharmaceuticals,Pharm.Res.,2014,31(11),2921-2939に開示されるように、苦味の抑制度合いは唾液中の薬学的有効成分の濃度に依存するので、水は味覚マスキング剤である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】C.A.Challener,Adapting APIs for Specially Dosage Forms,Pharm.Technol.Europe,2019,16-18
【非特許文献2】F.Thomas,Avoiding Bitter Taste,Pharm.Technol.Europe,2019,19-21
【非特許文献3】Gala等,Taste Masking Techniques in the Pharmaceutical Industry,Am.Pharm.Rev.,2014,17(4) 1-6
【非特許文献4】Savita等,Taste masking:a novel approach for better patient compliance,J.Pharm.Sci.Innnov., 2012,1(3),6-10
【非特許文献5】AlAteibi等,Taste masking approaches for unpleasant taste drugs,Open Access J.,2019,DOI: 10.31021/ddddj.20191107
【非特許文献6】Coupland等,Physical Approaches to Masking Bitter Taste:Lessons from Food and Pharmaceuticals,Pharm.Res.,2014,31(11),2921-2939
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
当業技術分野で利用可能な様々な提案にもかかわらず、有効成分を含み、味がマスキングされ、患者による受け入れやすさの程度の高い新規な経口医薬組成物に対する需要が
依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、口内分散性粉末組成物である。
【0011】
上記口内分散性粉末組成物を含むスティック状包装物もまた、本発明の一部である。
【0012】
上記口内分散性粉末組成物を含む錠剤もまた、本発明の一部である。
【0013】
薬剤として使用するための上記口内分散性粉末組成物もまた、本発明の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目的は、口内分散性粉末組成物であって、
a)薬理学的有効量の薬学的有効成分又はその薬学的に許容可能な塩;
b)クエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースからなる3成分混合物;並びに
c)1つ以上のさらなる賦形剤
を含み、
前記3成分混合物の総重量に対して、クエン酸ナトリウムの含有量は、55重量%~85重量%、好ましくは60重量%~80重量%であり、クエン酸の含有量は、5重量%~30重量%、好ましくは10重量%~25重量%であり、そして、スクラロースの含有量は、5重量%~25重量%、好ましくは8重量%~20重量%であり、
前記3成分混合物の含有量は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して少なくとも8重量%であり、そして
前記薬学的有効成分として、酵素、ステロイド、トリプタン及び抗ヒスタミン活性化合物を除く、前記口内分散性粉末組成物である。
【0015】
一実施態様では、前記口内分散性粉末組成物は、顆粒化されない。好ましい一実施態様では、前記口内分散性粉末組成物は、顆粒化されない。
【0016】
一実施態様では、前記口内分散性粉末組成物は、発泡性ではない。好ましい実施態様では、前記口内分散性粉末組成物は、発泡性ではない。
【0017】
本発明者等は、直接的な混合によって、最適な流れ特性を有し、酵素、ステロイド、トリプタン及び抗ヒスタミン活性化合物を除く薬学的有効成分の苦味をマスキングし、また製剤の患者による優れた受け入れやすさを示す口内分散性粉末を開発した。苦味のマスキングは、驚くべきことに、クエン酸、クエン酸ナトリウム及びスクラロースの相乗効果によって生み出された。この口内分散性製剤は口腔内で迅速に(15秒未満で)溶解し、口内に製品残留物を残さず、投与後に水を飲む必要がない。さらに、本発明の口内分散性粉末は、室温での長期保管後であっても、驚くほど最適な流れ特性を示す。
【0018】
本発明の口内分散性粉末によってアレルギー疾患患者の治療コンプライアンスを改善でき、また製造コストを削減できる。さらに、上記製剤は、糖尿病及び乳糖不耐症に好適である。
【0019】
本発明の文脈では、口内分散性粉末は、薬学的有効成分及び賦形剤が粉末形状となっており、口腔内で迅速に分散及び/又は溶解する固形の医薬組成物である。「迅速に(rapidly)」は、30秒未満、好ましくは20秒未満、より好ましくは15秒未満を意味する。
【0020】
本発明の文脈では、用語「薬学的有効化合物」は、薬学的有効化合物及びその薬学的に許容可能な塩の両方を指す。
【0021】
本説明及び特許請求の範囲では、単数形「ある(a、an)」及び「前記(the)」は、文脈的にそうでないことが明らかでない限り、複数の指示対象を含む。前置詞「…の間(between)」によって、又は用語「・・・から・・・まで(from・・・to・・・)」によって定義される範囲は、該範囲の両端も含む。用語「約(about)」は、±10%、好ましくは±5%の偏差を指す。パーセンテージは、そうでないことが明記されていない限り、重量%で表される。
【0022】
薬学的活性化合物
本発明の口内分散性粉末の有効成分は、酵素、ステロイド、トリプタン及び抗ヒスタミン活性化合物を除く薬学的有効成分又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に許容可能な塩」は、例えば酢酸塩、アジピン酸塩、アントラニル酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、カンファースルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、フロ酸塩、ガラクツロン酸塩、ゲンチジン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、イセチオン酸、イソニコチン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ムチン酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、フェニル酢酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サッカリン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルファニル酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、p-トルエンスルホン酸塩といった、薬理学的に許容可能なアニオンから調製される塩、及びこれらの水和物を指す。
【0024】
前記薬学的有効成分は、好ましくは注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬、鎮痛剤、抗喘息薬、抗菌薬、抗認知症剤、抗うつ薬、抗糖尿病薬、制吐薬、抗てんかん薬、抗高コレステロール血症剤、降圧薬、抗炎症剤、統合失調症治療薬、抗レトロウイルス剤、抗血栓薬、抗ウイルス剤、抗不安薬、勃起不全治療薬、胃腸機能調整剤、化学療法剤、抗パーキンソン病薬、嚢胞性線維症治療薬、前立腺肥大症薬及びこれらの混合物から選択され;より好ましくは注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬、鎮痛剤、抗喘息薬、抗菌薬、抗認知症剤、抗うつ薬、抗糖尿病薬、制吐薬、抗てんかん薬、抗高コレステロール血症剤、降圧薬、抗炎症剤、統合失調症治療薬、抗レトロウイルス剤、抗血栓薬、抗ウイルス剤、抗不安薬、勃起不全治療薬、胃腸機能調整剤、抗パーキンソン病薬及びこれらの混合物から選択される。
【0025】
上記治療適用にふさわしい薬学的有効成分は、例えば注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬としてアトモキセチン及びリスデキサンフェタミン;鎮痛剤としてタラマドール;抗喘息薬としてモンテルカスト;抗菌薬としてアモキシシリン;抗認知症剤としてドネペジル及びメマンチン;抗うつ薬としてフルオキセチン及びミルタザピン;抗糖尿病薬としてダパグリフロジン、メトホルミン、シタグリプチン、ビルダグリプチン及びこれらの混合物;制吐薬としてオンダンセトロン;抗てんかん薬としてプレガバリン;抗高コレステロール血症剤としてアトルバスタチン、エゼチミブ、シンバスタチン及びこれらの混合物;降圧薬としてアムロジピン、オルメサルタンメドキソミル、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)、バルサルタン、カンデサルタン、インダパミド、ペリンドプリル、サクビトリル及びこれらの混合物;抗炎症剤としてエトリコキシブ;抗パーキンソン病薬としてカルビドバ、レボドバ、エンタカポン及びこれらの混合物;統合失調症治療薬としてアリピプラゾール及びオランザピン;抗レトロウイルス剤としてアバカビル、ラミブジン、ドルテグラビル、コビシスタット、ダルナビル、エムトリシタビン、テノホビルアラフェナミド、テノホビルジソプロキシル、エルビテグラビル、エファビレンツ、リルピビリン及びこれらの混合物;抗血栓薬としてクロピドグレル及びリバーロキサバン;抗ウイルス剤としてアシクロビル、エルバスビル、グラゾプレビル、グレカプレビル、ピブレンタスビル、レジパスビル、ソフォスブビル、ベルパタスビル、ボクシラプレビル及びこれらの混合物;抗不安薬としてアルプラゾラム;前立腺肥大症薬としてデュタステリド、タムスロシン及びこれらの混合物;嚢胞性線維症治療薬としてイヴァカフトール、ルマカフトル及びこれらの混合物;勃起不全治療薬としてタダラフィル;並びに胃腸機能調整剤としてブチルスコポラミン、ドンペリドン及びロペラミドである。
【0026】
前記薬学的有効成分は、好ましくはアトモキセチン、リスデキサンフェタミン、タラマドール、モンテルカスト、アモキシシリン、ドネペジル、メマンチン、フルオキセチン、ミルタザピン、ダパグリフロジン、メトホルミン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、オンダンセトロン、プレガバリン、アトルバスタチン、エゼチミブ、シンバスタチン、アムロジピン、オルメサルタンメドキソミル、ヒドロクロロチアジド、バルサルタン、カンデサルタン、インダパミド、ペリンドプリル、サクビトリル、エトリコキシブ、カルビドバ、レボドバ、エンタカポン、アリピプラゾール、オランザピン、アバカビル、ラミブジン、ドルテグラビル、コビシスタット、ダルナビル、エムトリシタビン、テノホビルアラフェナミド、テノホビルジソプロキシル、エルビテグラビル、エファビレンツ、リルピビリン、クロピドグレル、リバーロキサバン、アシクロビル、エルバスビル、グラゾプレビル、グレカプレビル、ピブレンタスビル、レジパスビル、ソフォスブビル、ベルパタスビル、ボクシラプレビル、アルプラゾラム、デュタステリド、タムスロシン、イヴァカフトール、ルマカフトル、タダラフィル、ブチルスコポラミン、ドンペリドン、ロペラミド、及びこれらの混合物の群から選択される。
【0027】
前記薬学的有効成分は、より好ましくはアシクロビル、アルプラゾラム、アモキシシリン、アリピプラゾール、アトモキセチン、ブチルスコポラミン、カルビドバ、クロピドグレル、ダパグリフロジン、ドルテグラビル、ドンペリドン、ドネペジル、エンタカポン、エトリコキシブ、エゼチミブ、フルオキセチン、レジパスビル、レボドバ、リスデキサンフェタミン、 ロペラミド、メマンチン、メトホルミン、シタグリプチン、ミルタザピン、モンテルカスト、オランザピン、オルメサルタン、アムロジピン、ヒドロクロロチアジド、オンダンセトロン、 プレガバリン、リバーロキサバン、シンバスタチン、ソフォスブビル、タダラフィル、タラマドール又はそれらの薬学的に許容可能な塩、及びこれらの混合物の群から選択される。
【0028】
特に好ましい混合物は、ダパグリフロジン/メトホルミン、メトホルミン/シタグリプチン、メトホルミン/ビルダグリプチン、アトルバスタチン/エゼチミブ、シンバスタチン/エゼチミブ、アムロジピン/オルメサルタンメドキソミル、アムロジピン/オルメサルタンメドキソミル/ヒドロクロロチアジド、アムロジピン/バルサルタン、アムロジピン/バルサルタン/ヒドロクロロチアジド、カンデサルタン/ヒドロクロロチアジド、インダパミド/アムロジピン/ペリンドプリル、オルメサルタン/アムロジピン/ヒドロクロロチアジド、サクビトリル/バルサルタン、カルビドバ/レボドバ/エンタカポン、アバカビル/ラミブジン、アバカビル/ラミブジン/ドルテグラビル、コビシスタット/ダルナビル、コビシスタット/ダルナビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、コビシスタット/エルビテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン/エファビレンツ/テノホビルジソプロキシル、エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシル、テノホビルアラフェナミド/エムトリシタビン/リルピビリン、テノホビルジソプロキシル/エムトリシタビン/リルピビリン、エルバスビル/グラゾプレビル、グレカプレビル/ピブレンタスビル、レジパスビル/ソフォスブビル、ソフォスブビル/ベルパタスビル、ソフォスブビル/ベルパタスビル/ボクシラプレビル、デュタステリド/タムスロシン、及びイヴァカフトール/ルマカフトルである。
【0029】
上記薬学的有効成分は、市販であるか当業者に容易に手に入る従来技術文献に開示された手順、例えばRoyal Society of Chemistryによって出版されたメルクインデックスハンドブックに含まれる各有効成分のための研究論文中で引用された手順に従って調製される。
【0030】
各薬学的有効成分の薬理学的有効量は、当業者には公知である。それは、1mg~1000mgであり得る。
【0031】
本発明の口内分散性粉末中の薬学的有効成分の含有量は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して、通常、0.04重量%~30重量%である。製剤中に薬学的有効成分の薬学的に許容可能な塩を使用する場合は、それに応じて上記量が補正される。
【0032】
3成分混合物
本発明の口内分散性粉末は、クエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースからなる相乗的3成分混合物を含む。好ましくは、本発明の口内分散性粉末は、クエン酸ナトリウム無水物、クエン酸無水物及びスクラロースの3成分混合物を含む。
【0033】
クエン酸ナトリウムは、二水和物又は無水物のいずれかとして、医薬製剤中に使用される。これは主にpHを調整するための緩衝剤として使用される。
【0034】
クエン酸は、一水和物又は無水物のいずれかとして、医薬製剤中に使用される。これは主にpHを調整するための緩衝剤として使用される。
【0035】
本発明の組成物中では、クエン酸ナトリウムは、好ましくは無水物であり、また、クエン酸は、好ましくは無水物である。
【0036】
スクラロースは、医薬品用途において甘味料として使用される。スクラロースはショ糖のおよそ300~1000倍の甘味を有し、後味を有さない。スクラロースには栄養価がなく、非う蝕原性であり、う歯を発生させず、また血糖反応を引き起こさない。
【0037】
3成分混合物中では、クエン酸ナトリウムの含有量は、3成分混合物の総重量に対して55重量%~85重量%、好ましくは60重量%~80重量%、より好ましくは61重量%~78重量%である。
【0038】
3成分混合物中では、クエン酸の含有量は、3成分混合物の総重量に対して5重量%~30重量%、好ましくは10重量%~25重量%、より好ましくは12重量%~22重量%である。
【0039】
上記3成分混合物中では、スクラロースの含有量は、3成分混合物の総重量に対して5重量%~25重量%、好ましくは8重量%~20重量%、より好ましくは10重量%~18重量%である。
【0040】
3成分混合物中のクエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースの量は、100%となるように組み合わされる。水和物形態のクエン酸ナトリウム及び/又はクエン酸を使用する場合は、上記量はそれに応じて補正される。
【0041】
3成分混合物の好ましい実施形態は:55重量%~85重量%のクエン酸ナトリウム、5重量%~30重量%のクエン酸、及び5重量%~25重量%のスクラロース;より好ましくは60重量%~80重量%のクエン酸ナトリウム、10重量%~25重量%のクエン酸、及び8重量%~20重量%のスクラロース;より好ましくは61重量%~78重量%のクエン酸ナトリウム、12重量%~22重量%のクエン酸、及び10重量%~18重量%のスクラロースを含み、3成分混合物中のクエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースの量は、100%となるように組み合わされる。
【0042】
口内分散性粉末組成物中の3成分混合物の含有量は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して少なくとも8重量%、好ましくは47重量%以下である。口内分散性粉末組成物中の3成分混合物の含有量は、当業者の定型作業によって調整され得る。
【0043】
驚くべきことに、上記3成分混合物は、実施例で示されているように、薬学的有効成分と3成分混合物との間の1:0.8~1:250という幅広い比にわたって、異なる治療群に属する薬学的有効成分の苦味をマスキングすることができる。
【0044】
他の賦形剤
本発明の口内分散性粉末は一般に、さらなる賦形剤、例えば希釈剤、潤滑剤、滑剤、香料、甘味料、酸味料、アルカリ化剤、緩衝剤、抗酸化剤、及びこれらの混合物を含んでよい。
【0045】
本発明の口内分散性粉末の調製に使用するために好適な賦形剤は、例えばHandbook of pharmaceutical excipients、R.C. Rowe, P.J. Sheskey及びM.E. Quinn、編者、Pharmaceutical Press、6版、2009に記載されている。
【0046】
本発明の口内分散性粉末中で通常使用されるさらなる賦形剤は、希釈剤、潤滑剤、滑剤、香料、及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0047】
ある好ましい実施形態では、口内分散性粉末は、希釈剤、潤滑剤、滑剤、香料、及びこれらの混合物を含む群から選択される1つ以上のさらなる賦形剤を含む。
【0048】
好適な希釈剤は、例えばマンニトール、ソルビトール、キシリトール、イソマルト、エリスリトール、粉末セルロース、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、デンプン、リン酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、及びこれらの混合物を含んでよく、希釈剤は、好ましくはマンニトールである。好ましい一実施形態では、上記組成物は乳糖を含まない。
【0049】
マンニトールは、医薬製剤に使用される。マンニトールは主に希釈剤として使用され、吸湿性がないため湿気に敏感な有効成分と共に使用できることから、特に価値がある。マンニトールは一般に、負の溶解熱、甘味、及び口内に冷感を与える「口当たり(mouth feel)」を理由として、チュアブル錠剤製剤の製造時に賦形剤として使用される。またマンニトールは、迅速な分散性を有する経口剤形中の希釈剤としても使用される。マンニトールは経口投与された場合、消化管からは略吸収されず、糖尿病患者に好適である。マンニトールはメイラード反応を起こさない。マンニトールはカロリーが低く、また非う蝕原性である。
【0050】
一般に希釈剤は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して40重量%~90重量%、好ましくは45重量%~87重量%の量で存在する。
【0051】
口内分散性粉末は、さらに潤滑剤を含んでよく、この潤滑剤は通常、タルク、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリル、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは上記潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウムである。
【0052】
フマル酸ステアリルナトリウムは、医薬組成物中で潤滑剤として使用される。フマル酸ステアリルナトリウムは純粋な形態で供給され、化学的な非適合性を原因として、純度が比較的低いステアリン酸塩タイプの潤滑剤が好適でない場合に価値がある。フマル酸ステアリルナトリウムは、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸よりも疎水性が低く、ステアリン酸マグネシウムよりも溶解に対する遅延効果が低い。一般に、潤滑剤は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.2重量%~2.5重量%、より好ましくは0.4重量%~1重量%、より好ましくは0.45重量%~0.75重量%、さらに好ましくは約0.5重量%の量で存在する。
【0053】
口内分散性粉末は、さらに滑剤を含んでよく、この滑剤は通常、コロイダル二酸化ケイ素、リン酸三カルシウム、疎水性コロイダルシリカ、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましい滑剤はコロイダル二酸化ケイ素である。
【0054】
コロイダル二酸化ケイ素は、医薬製剤に使用される。コロイダル二酸化ケイ素は、その小さな粒径及び大きな比表面積により、乾燥粉末の流れ特性を改善するために利用される望ましい流れ特性を有する。一般に滑剤は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.2重量%~2.5重量%、より好ましくは0.4重量%~1重量%、より好ましくは0.45重量%~0.75重量%、さらに好ましくは約0.5重量%の量で存在する。
【0055】
口内分散性粉末は、さらに香料を含んでよく、上記香料は通常、オレンジ、バナナ、ストロベリー、チェリー、ワイルドチェリー、レモン及びこれらの混合物等のフルーツフレーバー、並びにカルダモン、アニス、ペパーミント、メントール、バニリン、及びエチルバニリン等の他のフレーバー、並びにこれらの混合物から選択される。上記香料は、好ましくはペパーミントフレーバーである。一般に上記香料の含有量は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して0.05重量%~5.0重量%である。
【0056】
いくつかの実施形態では、口内分散性粉末は甘味料を含んでよく、この甘味料は通常、サッカリンナトリウム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは上記組成物は、ショ糖を含まず、従って糖尿病に好適である。一般に甘味料は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して、通常、0.1重量%~5重量%の量で存在する。
【0057】
いくつかの実施形態では、口内分散性粉末は酸味料を含んでよく、この酸味料は通常、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一般に、上記酸味料の含有量は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して0.1重量%~2.0重量%である。
【0058】
いくつかの実施形態では、口内分散性粉末はアルカリ化剤を含んでよく、このアルカリ化剤は通常、重炭酸カリウム、クエン酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一般に、上記アルカリ化剤は口内分散性粉末組成物の総重量に対して、通常、1重量%~40重量%の量で存在する。
【0059】
いくつかの実施形態では、口内分散性粉末は緩衝剤を含んでよく、この緩衝剤は、通常、二塩基性リン酸ナトリウム、グリシン、メチオニン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一般に、緩衝剤の含有量は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して1重量%~40重量%である。
【0060】
いくつかの実施形態では、上記口内分散性粉末は抗酸化剤を含んでよく、この抗酸化剤は、通常、アスコルビン酸、エリソルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一般に、上記抗酸化剤は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して、通常、0.1重量%~5重量%の量で存在する。
【0061】
製造方法
前記口内分散性粉末の調製方法は、成分の直接混合であり、これは工業生産にとって極めて魅力的である。上記方法は一般に、0.5mm~1mmメッシュのふるいに上記成分を通すステップ;及び例えば自由流動性の粉末に適したV型ミキサーの中で混合を行うステップを含む。混合時間は、均質な混合物を得るための通常の慣行に従って調整され、上記混合物はスティック状包装物として分包される。
【0062】
薬学技術における当業者に公知の従来の混合手順は、当該技術分野の参考書籍、例えばAulton’s Pharmaceutics. The design and manufacture of medicines、M.E. Aulton及びK.M.G.Taylor、編者、Churchill Livingstone Elsevier、第4版、2013、又はRemington:The Science and Practice of Pharmacy、D.Limmer編、Lippincott Williams & Wilkins、2000に開示されている。
【0063】
スティック状包装物
本発明の口内分散性粉末を含むスティック状包装物も、本発明の一部を形成する。
【0064】
スティック状包装物は、特定のバリア及び密封特性を付与するために通常は積層構造を有する、包装の形態である。スティック状包装物は、単回用量の投与に使用される。スティック状包装物は、医薬組成物や例えば砂糖等の食品を内包するという一般的な用途を有する。スティック状包装物の製造に通常採用される材料は、アルミニウム、紙、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、プロピレン、及びこれらの組み合わせである。
【0065】
スティック状包装物は、薬理学的有効量の、薬学的有効成分を含む口内分散性粉末組成物を、1用量含む。
【0066】
スティック状包装物は、通常、1g~10g、好ましくは1.5g~5g、より好ましくは1.9g~3.5gの口内分散性粉末組成物を含む。
【0067】
成分の直接混合によって得られる新規な口内分散性粉末製剤は、薬学的有効成分の苦味の優れたマスキングを提供し、製剤は患者にとって極めて受け入れやすくなる。
【0068】
薬学的有効成分の直接混合によって得られる口内分散性粉末、及び直接混合によって得られる口内分散性粉末組成物を含むスティック状包装物は、市販されていない。
【0069】
成分の直接混合により、有効成分を口腔内で直接露出させ、口腔内での有効成分の溶解速度及び吸収率を向上させ、薬剤の迅速な効果を促進できる。薬剤の迅速な効果は、極めて重要な属性であり、患者及び医師の両方から評価される。
【0070】
本発明では、スティック状包装物による包装形態は、実用的であり、堅固であり、輸送及び個別使用が容易であることを理由に選択されており、したがってこれは現代的でアクティブなライフスタイルによく適合する。患者はスティック状包装物を常に携帯できるため、水を飲む必要なしに薬剤を服用でき、薬学的有効成分の効力を向上させる。直接混合プロセスは医薬産業において広く使用されている製造プロセスとして使用されているため、本発明の口内分散性粉末組成物は産業上の用途を有し、さらには実施例に示されているように、上記製剤は、欧州薬局方現行版による最適な流動特性を示すため、上記製剤は規模を産業レベルに拡張でき、したがって機器を用いてスティック状包装物包装フォーマットへと分包できる。
【0071】
実施例に示されるように、本発明の口内分散性粉末組成物は、幅広い組成にわたる全ての薬学的有効成分に関して、患者による高いレベルの受け入れやすさを示す。
【0072】
一実施態様では、前記口内分散性粉末組成物は、錠剤に圧縮可能である。したがって、口内分散性粉末組成物を含む錠剤もまた、本発明の一部である。
【0073】
使用
薬剤として使用するための本発明の口内分散性粉末組成物、スティック状包装物及び錠剤もまた、本発明の一部を形成する。
【0074】
好ましい実施態様では、本発明の口内分散性粉末組成物、スティック状包装物及び錠剤は、薬剤としての使用である。
【0075】
本発明は以下の実施形態を含む:
1.口内分散性粉末組成物であって、
a)薬理学的有効量の薬学的有効成分又はその薬学的に許容可能な塩;
b)クエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースからなる3成分混合物;並びに
c)1つ以上のさらなる賦形剤
を含み、前記3成分混合物の総重量に対して、クエン酸ナトリウムの含有量は、55重量%~85重量%、好ましくは60重量%~80重量%、より好ましくは61重量%~78重量%であり、クエン酸の含有量は、5重量%~30重量%、好ましくは10重量%~25重量%、より好ましくは12重量%~22重量%であり、そして、スクラロースの含有量は、5重量%~25重量%、好ましくは8重量%~20重量%、より好ましくは10重量%~18重量%であり、前記3成分混合物の含有量は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して少なくとも8重量%であり、そして前記薬学的有効成分として、酵素、ステロイド、トリプタン及び抗ヒスタミン活性化合物を除く、前記口内分散性粉末組成物。
【0076】
2.前記薬学的有効成分は、注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬、鎮痛剤、抗喘息薬、抗菌薬、抗認知症剤、抗うつ薬、抗糖尿病薬、制吐薬、抗てんかん薬、抗高コレステロール血症剤、降圧薬、抗炎症剤、統合失調症治療薬、抗レトロウイルス剤、抗血栓薬、抗ウイルス剤、 抗不安薬、勃起不全治療薬、胃腸機能調整剤、化学療法剤、抗パーキンソン病薬、嚢胞性線維症治療薬、前立腺肥大症薬及びこれらの混合物から選択され;好ましくは注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬、鎮痛剤、抗喘息薬、抗菌薬、抗認知症剤、抗うつ薬、抗糖尿病薬、制吐薬、抗てんかん薬、抗高コレステロール血症剤、降圧薬、抗炎症剤、統合失調症治療薬、抗レトロウイルス剤、抗血栓薬、抗ウイルス剤、抗不安薬、勃起不全治療薬、胃腸機能調整剤、抗パーキンソン病薬及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、実施形態1に記載の口内分散性粉末組成物。
【0077】
3.前記薬学的有効成分は、注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬としてアトモキセチン及びリスデキサンフェタミン;鎮痛剤としてタラマドール;抗喘息薬としてモンテルカスト;抗菌薬としてアモキシシリン;抗認知症剤としてドネペジル及びメマンチン;抗うつ薬としてフルオキセチン及びミルタザピン;抗糖尿病薬としてダパグリフロジン、メトホルミン、シタグリプチン、ビルダグリプチン及びこれらの混合物; 制吐薬としてオンダンセトロン;抗てんかん薬としてプレガバリン;抗高コレステロール血症剤としてアトルバスタチン、エゼチミブ、シンバスタチン及びこれらの混合物;降圧薬としてアムロジピン、オルメサルタンメドキソミル、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)、バルサルタン、カンデサルタン、インダパミド、ペリンドプリル、サクビトリル及びこれらの混合物;抗炎症剤としてエトリコキシブ;抗パーキンソン病薬としてカルビドバ、レボドバ、エンタカポン及びこれらの混合物;統合失調症治療薬としてアリピプラゾール及びオランザピン;抗レトロウイルス剤としてアバカビル、ラミブジン、ドルテグラビル、コビシスタット、ダルナビル、エムトリシタビン、テノホビルアラフェナミド、テノホビルジソプロキシル、エルビテグラビル、エファビレンツ、リルピビリン及びこれらの混合物;抗血栓薬としてクロピドグレル及びリバーロキサバン;抗ウイルス剤としてアシクロビル、エルバスビル、グラゾプレビル、グレカプレビル、ピブレンタスビル、レジパスビル、ソフォスブビル、ベルパタスビル、ボクシラプレビル及びこれらの混合物;抗不安薬としてアルプラゾラム;前立腺肥大症薬としてデュタステリド、タムスロシン及びこれらの混合物;嚢胞性線維症治療薬としてイヴァカフトール、ルマカフトル及びこれらの混合物;勃起不全治療薬としてタダラフィル;並びに胃腸機能調整剤としてブチルスコポラミン、ドンペリドン及びロペラミドから選択されることを特徴とすることを特徴とする、実施形態2に記載の口内分散性粉末組成物。
【0078】
4.前記薬学的有効成分は、アトモキセチン、リスデキサンフェタミン、タラマドール、モンテルカスト、アモキシシリン、ドネペジル、メマンチン、フルオキセチン、ミルタザピン、ダパグリフロジン、メトホルミン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、オンダンセトロン、プレガバリン、アトルバスタチン、エゼチミブ、シンバスタチン、アムロジピン、オルメサルタンメドキソミル、ヒドロクロロチアジド、バルサルタン、カンデサルタン、インダパミド、ペリンドプリル、サクビトリル、エトリコキシブ、カルビドバ、レボドバ、エンタカポン、アリピプラゾール、オランザピン、アバカビル、ラミブジン、ドルテグラビル、コビシスタット、ダルナビル、エムトリシタビン、テノホビルアラフェナミド、テノホビルジソプロキシル、エルビテグラビル、エファビレンツ、リルピビリン、クロピドグレル、リバーロキサバン、アシクロビル、エルバスビル、グラゾプレビル、グレカプレビル、ピブレンタスビル、レジパスビル、ソフォスブビル、ベルパタスビル、ボクシラプレビル、アルプラゾラム、デュタステリド、タムスロシン、イヴァカフトール、ルマカフトル、タダラフィル、ブチルスコポラミン、ドンペリドン、ロペラミド、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、実施形態3に記載の口内分散性粉末組成物。
【0079】
5.前記薬学的有効成分は、アシクロビル、アルプラゾラム、アモキシシリン、アリピプラゾール、アトモキセチン、ブチルスコポラミン、カルビドバ、クロピドグレル、ダパグリフロジン、ドルテグラビル、ドンペリドン、ドネペジル、エンタカポン、エトリコキシブ、エゼチミブ、フルオキセチン、レジパスビル、レボドバ、リスデキサンフェタミン、ロペラミド、メマンチン、メトホルミン、シタグリプチン、ミルタザピン、モンテルカスト、オランザピン、オルメサルタン、アムロジピン、ヒドロクロロチアジド、オンダンセトロン、プレガバリン、リバーロキサバン、シンバスタチン、ソフォスブビル、タダラフィル、タラマドール又はそれらの薬学的に許容可能な塩、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、実施形態4に記載の口内分散性粉末組成物。
【0080】
6.前記薬学的有効成分は、ダパグリフロジン/メトホルミン、メトホルミン/シタグリプチン、メトホルミン/ビルダグリプチン、アトルバスタチン/エゼチミブ、シンバスタチン/エゼチミブ、アムロジピン/オルメサルタンメドキソミル、アムロジピン/オルメサルタンメドキソミル/ヒドロクロロチアジド、アムロジピン/バルサルタン、アムロジピン/バルサルタン/ヒドロクロロチアジド、カンデサルタン/ヒドロクロロチアジド、インダパミド/アムロジピン/ペリンドプリル、オルメサルタン/アムロジピン/ヒドロクロロチアジド、サクビトリル/バルサルタン、カルビドバ/レボドバ/エンタカポン、アバカビル/ラミブジン、アバカビル/ラミブジン/ドルテグラビル、コビシスタット/ダルナビル、コビシスタット/ダルナビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、コビシスタット/エルビテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン/エファビレンツ/テノホビルジソプロキシル、エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシル、テノホビルアラフェナミド/エムトリシタビン/リルピビリン、テノホビルジソプロキシル/エムトリシタビン/リルピビリン、エルバスビル/グラゾプレビル、グレカプレビル/ピブレンタスビル、レジパスビル/ソフォスブビル、ソフォスブビル/ベルパタスビル、ソフォスブビル/ベルパタスビル/ボクシラプレビル、デュタステリド/タムスロシン、及びイヴァカフトール/ルマカフトルから選択される混合物であることを特徴とする、実施形態4に記載の口内分散性粉末組成物。
【0081】
7.上記3成分混合物は、55重量%~85重量%のクエン酸ナトリウム、5重量%~30重量%のクエン酸、及び5重量%~25重量%のスクラロース;好ましくは60重量%~80重量%のクエン酸ナトリウム、10重量%~25重量%のクエン酸、及び8重量%~20重量%のスクラロース;より好ましくは61重量%~78重量%のクエン酸ナトリウム、12重量%~22重量%のクエン酸、及び10重量%~18重量%のスクラロースを含み、上記3成分混合物中のクエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースの量は、100%となるように組み合わされることを特徴とする、実施形態1~6のいずれか1つに記載の口内分散性粉末組成物。
【0082】
8.上記3成分混合物の含有量は、上記口内分散性粉末組成物の総重量に対して47重量%以下であることを特徴とする、実施形態1~7のいずれか1つに記載の口内分散性粉末組成物。
【0083】
9.前記クエン酸ナトリウムは無水物であり、またクエン酸は無水物あることを特徴とする、実施形態1~8のいずれか1つに記載の口内分散性粉末組成物。
【0084】
10.前記1つ以上のさらなる賦形剤は、希釈剤、潤滑剤、滑剤、香料、甘味料、酸味料、アルカリ化剤、緩衝剤、抗酸化剤、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、実施形態1~9のいずれか1つに記載の口内分散性粉末組成物。
【0085】
11.上記希釈剤は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、イソマルト、エリスリトール、粉末セルロース、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、デンプン、リン酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、実施形態10に記載の口内分散性粉末組成物。
【0086】
12.上記希釈剤はマンニトールであることを特徴とする、実施形態11に記載の口内分散性粉末組成物。
【0087】
13.上記希釈剤は、上記口内分散性粉末組成物の総重量に対して40重量%~90重量%、好ましくは45重量%~87重量%の量で存在することを特徴とする、実施形態11又は12に記載の口内分散性粉末組成物。
【0088】
14.上記潤滑剤は、タルク、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリル、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、実施形態10に記載の口内分散性粉末組成物。
【0089】
15.上記潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウムであることを特徴とする、実施形態14に記載の口内分散性粉末組成物。
【0090】
16.上記潤滑剤は、上記口内分散性粉末組成物の総重量に対して0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.2重量%~2.5重量%、より好ましくは0.4重量%~1重量%、より好ましくは0.45重量%~0.75重量%、さらに好ましくは約0.5重量%の量で存在することを特徴とする、実施形態14又は15に記載の口内分散性粉末組成物。
【0091】
17.上記滑剤は、コロイダル二酸化ケイ素、リン酸三カルシウム、疎水性コロイダルシリカ、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、実施形態10に記載の口内分散性粉末組成物。
【0092】
18.上記滑剤は、コロイダル二酸化ケイ素であることを特徴とする、実施形態17に記載の口内分散性粉末組成物。
【0093】
19.上記滑剤は、上記口内分散性粉末組成物の総重量に対して0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.2重量%~2.5重量%、より好ましくは0.4重量%~1重量%、より好ましくは0.45重量%~0.75重量%、さらに好ましくは約0.5重量%の量で存在することを特徴とする、実施形態17又は18に記載の口内分散性粉末組成物。
【0094】
20.上記香料は、オレンジ、バナナ、ストロベリー、チェリー、ワイルドチェリー、レモン、カルダモン、アニス、ペパーミント、メントール、バニリン及びエチルバニリン、並びにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、実施形態10に記載の口内分散性粉末組成物。
【0095】
21.上記香料は、ペパーミントフレーバーであることを特徴とする、実施形態20に記載の口内分散性粉末組成物。
【0096】
22.上記香料の含有量は、上記口内分散性粉末組成物の総重量に対して0.05重量%~5.0重量%であることを特徴とする、実施形態20又は21に記載の口内分散性粉末組成物。
【0097】
23.実施形態1~22のいずれか一つに記載の口内分散性粉末を含む、スティック状包装物。
【0098】
24.上記スティック状包装物は、薬理学的有効量の、薬学的有効成分を含む上記口内分散性粉末組成物を、1用量含むことを特徴とする、実施形態23に記載のスティック状包装物。
【0099】
25.上記スティック状包装物は、1g~10g、好ましくは1.5g~5g、より好ましくは1.9g~3gの量の上記口内分散性粉末組成物を含むことを特徴とする、実施形態23又は24に記載のスティック状包装物。
【0100】
26.実施形態1~22のいずれか一つに記載の口内分散性粉末を含む、錠剤。
【0101】
27.薬剤として使用するための、実施形態1~22のいずれか一つに記載の口内分散性粉末組成物、実施形態23~25のいずれか一つに記載のスティック状包装物、又は実施形態26に記載の錠剤。
【実施例】
【0102】
以下の実施例では、例示を目的として本発明の様々な実施形態が提供される。これらの実施形態は非限定的なものであることを理解されたい。
【0103】
欧州薬局方第10版モノグラフ2.9.36粉体流動に従う、粉末製剤の物性は、製薬業において一番重要である。粉体流動は、調合、充填、輸送及びスケールアップ時等の一連のユニットプロセスの鍵となる要素である。
【0104】
薬剤開発段階では、流動特性の正確な評価は、最適な処方を同定するために非常に重要である。粉体流動特性を評価するために、一般に安息角、圧縮率及びハウスナー比のようなパラメータが採用される。これらの方法は、薬局方が粉末流動性を評価するのに推奨され、それは取り扱いが容易であり、そして、それらの応用は、産業的用途及びスケールアップ操作において広く使用されている。
【0105】
安息角
安息角は、いくつかの科学分野において固体の流動特性を特徴づけるために使用される。安息角は、粒子間の摩擦や粒子間の移動に対する抵抗と関連する特性である。
【0106】
安息角は、粉末を漏斗状容器に通した時に形成される材質の円錐状堆積が呈する、水平基線に対して測定された三次元角度の定数である。
【0107】
40°未満の安息角は、良好な流動性を示し、逆に40°を超える安息角は、 密着性の徴候である。
【0108】
圧縮率及びハウスナー比
圧縮率及びハウスナー比は、嵩密度、サイズ及び形状、表面積、水分、並びに材料の密着性の間接的な尺度として使用され、その理由は、これらは全て圧縮率及びハウスナー比に影響を及ぼすためである。
【0109】
圧縮率及びハウスナー比は、粉末を固めていない見掛け容積(unsettled apparent volume)及び容積がもう変化しなくなるまで材料をタップした後の最終的なタップ容積(final tapped volume)を考慮して計算される。
【0110】
圧縮率は、粉末が固まる傾向を測定する。このパラメータは、流動性と逆の関係にあり、すなわち、材料がより圧縮性であるほど、流動性がより低くなる。20%未満の圧縮率をもった粉末は、良好な流動性を有すると考えられる。
【0111】
ハウスナー比は、粒子の摩擦を反映した密着性の有用な尺度である。ハウスナー比が1.40より高いと、粉末は、流動化し難い密着性粒子と考えられる。1.25未満の比は、自由流動性粉末と特徴づけられる。
【0112】
統計解析
得られたデータの統計解析は、Minitabソフトウエアで対応のあるT検定(paired t-test)を用いて行った。対応のあるT検定は、同一又は関連する対象について経時又は異なる環境にある二群の観察の平均値を対比する統計試験である。
【0113】
〔実施例1~72〕口内分散性粉末
さまざまな薬学的有効成分を含む口内分散性粉末を、以下のステップを含むプロセスに従って調製した:
1)(1mmメッシュのふるいに通されたクエン酸無水物を例外として)成分を0.5mmメッシュのふるいに通し、これらを以下の順:クエン酸ナトリウム無水物、スクラロース、香料、有効成分、コロイダル二酸化ケイ素、マンニトール、クエン酸無水物、及び適宜の賦形剤でV型ミキサーに投入するステップ、
2)V型ミキサー内で、約20rpmで約15分間混合するステップ、
3)フマル酸ステアリルナトリウムを0.5mmメッシュのふるいに通し、これをV型ミキサーに投入するステップ、
4)V型ミキサー内で、約20rpmで約5分間混合するステップ、
5)製品をスティック状包装物に分包するステップ(例えば、スティック1個あたり2200~3500mg)。
【0114】
実施例1~36では、無水物形態のクエン酸及びクエン酸ナトリウムを用いて調製したのに対して、実施例37~72では、薬学的有効成分及び残余の成分を維持しながら、無水物及び水和物形態のクエン酸及びクエン酸ナトリウムを組み合わせて調製した。
【0115】
表Iに示すさまざまな薬学的有効成分(API)について本発明の口内分散性粉末を調製し、表1はさらに前記口内分散性粉末組成物中のAPI:3成分混合物の重量比、3成分混合物の含有量を含む。
【0116】
【0117】
【0118】
表II~Xは、口内分散性粉末の定量的組成を示す。含有量は、mg及びwt%で示され、少数の欠如は、正確な値を意味する。
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
前記粉末は、口腔内で迅速に分散及び/溶解し、口内に製品残留物を残さないことが確認された。
【0129】
実施例37~72では、実施例1~36に存在した無水物形態のクエン酸及びクエン酸ナトリウムの少なくとも1種が、表XIに示すように、対応する水和物形態に置換され、残りの成分は未変更のままであった。実施例37~72で存在するAPIは、表Iで示され、そして実施例1~36に存在するAPIに対応し、例えば、リバーロキサバンは、実施例1及び実施例37の両方に存在し、プレガバリンは、実施例2及び実施例38に存在し、以下同様である。
【0130】
【0131】
【0132】
前記粉末は、口腔内で迅速に分散及び/溶解し、口内に製品残留物を残さないことが確認された。
【0133】
〔比較例73~108〕3成分相乗的混合物を含まない口内分散性粉末
比較例73~108の口内分散性粉末は、実施例1~72に開示のプロセスを用いて、同じAPIと残余の成分を含むが、3成分相乗的混合物を除いて調製した。比較例が前記3成分相乗的混合物を含まないことを考慮して、無水クエン酸及び無水クエン酸ナトリウム又は無水物及び水和物形態のクエン酸とクエン酸ナトリウムとの組合せを含む組成物と対比する各薬学的有効成分について、36個の組成物のみを調製した。
【0134】
前記比較例の各口内分散性粉末を、対応する本発明に従う実施例1~72の口内分散性粉末、例えば実施例1対比較例73、実施例2対比較例74、実施例36対比較例108、実施例37対比較例73、実施例38対比較例74、実施例72対比較例108等を官能的に比較した。
【0135】
〔実施例109〕薬学的活性化合物を含む口内分散性粉末の試験
a)官能試験
スティック状包装物に分包された口内分散性粉末処方物の官能試験を、6人の健康なボランティアにて先行刊行物、例えばNoorjahan等,In vivo evaluation of taste masking for developed chewable and orodispersible tablets in humans and rats,Pharma.Dev.Technol.,2014,19(3),290-295に見受けられる規範に従って行った。
【0136】
患者による製剤の受け入れやすさを評価する方法は、製剤の呈味(酸味、甘味、又は塩味)に関する1~5のスコア(ここで1は受け入れられない味に対応し、5は優れた味に対応する)と、製剤の苦味を評価するための1~5の別のスコア(ここで1は受け入れられない苦味に対応し、5は有効成分の苦味のマスキングに関する優れた能力に対応する)を確立することからなっていた。製剤の味に関する値と有効成分の苦味をマスキングする能力を表す値とを乗算すると、患者による製剤の受け入れやすさの程度である値が得られる。
【0137】
表XIIは、結果を示す。得られた結果は、上記製剤が薬学的活性化合物の苦味をマスキングし、患者による製剤の優れた受け入れやすさをもたらし、また口内分散性製剤の投与後に水を飲む必要がないことを示している。
【0138】
さらに、本発明に従う実施例と比較例からの結果を適用したt-スチューデント統計試験では、表XIIに示すように、ttabulatedを明確に超えたtexperimentalの値(α=0.05)が得られ、これから、3成分相乗的混合物の存在は、口内分散性粉末組成物のような薬学的投与形態に存在する多種多様な薬学的有効成分の苦味をマスキングすることのできる処方因子(formulation factor)であることが確認された。
【0139】
結果はまた、薬学的有効成分の苦味をマスキングする能力に関して、クエン酸及びクエン酸ナトリウムの形態、すなわち、無水物及び水和物の形態と関連して統計的有意差がないことを示す。
【0140】
【0141】
【0142】
b)物理パラメータ
製剤の流動性:安息角(°)、圧縮率(%)及びハウスナー比を評価するために、以下のガレヌスパラメータ(galenic parameters)を測定した。表XIIIに示されているように、欧州薬局方第10版の方法論を使用した。
【0143】
【0144】
表XIVは、本発明による口内分散性粉末の結果を示す。
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
前記結果は、処方物が最適な流動特性を有し、室温で6ヶ月の貯蔵後でさえも維持したことを示す。前記組成物の平均嵩密度は、0.68g/mlであり、そしてタップ密度は0.74g/mlである。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口内分散性粉末組成物であって、
a)薬理学的有効量の薬学的有効成分又はその薬学的に許容可能な塩;
b)クエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースからなる3成分混合物;並びに
c)1つ以上のさらなる賦形剤
を含み、
前記3成分混合物の総重量に対して、クエン酸ナトリウムの含有量は、55重量%~85重量
%であり、クエン酸の含有量は、5重量%~30重量%
であり、そして、スクラロースの含有量は、5重量%~25重量%であり、
前記3成分混合物の含有量は、口内分散性粉末組成物の総重量に対して少なくとも8重量
%であり、そして
前記薬学的有効成分として、酵素、ステロイド、トリプタン及び抗ヒスタミン活性化合物を除く、前記口内分散性粉末組成物。
【請求項2】
前記薬学的有効成分は、注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬、鎮痛剤、抗喘息薬、抗菌薬、抗認知症剤、抗うつ薬、抗糖尿病薬、制吐薬、抗てんかん薬、抗高コレステロール血症剤、降圧薬、抗炎症剤、統合失調症治療薬、抗レトロウイルス剤、抗血栓薬、抗ウイルス剤、抗不安薬、勃起不全治療薬、胃腸機能調整剤、化学療法剤、抗パーキンソン病薬、嚢胞性線維症治療薬、前立腺肥大症薬、及びこれらの混合物から選択され;好ましくは注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬、鎮痛剤、抗喘息薬、抗菌薬、抗認知症剤、抗うつ薬、抗糖尿病薬、制吐薬、抗てんかん薬、抗高コレステロール血症剤、降圧薬、抗炎症剤、統合失調症治療薬、抗レトロウイルス剤、抗血栓薬、抗ウイルス剤、抗不安薬、勃起不全治療薬、胃腸機能調整剤、抗パーキンソン病薬、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項3】
前記薬学的有効成分は、注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬としてアトモキセチン及びリスデキサンフェタミン;鎮痛剤としてタラマドール;抗喘息薬としてモンテルカスト;抗菌薬としてアモキシシリン;抗認知症剤としてドネペジル及びメマンチン;抗うつ薬としてフルオキセチン及びミルタザピン;抗糖尿病薬としてダパグリフロジン、メトホルミン、シタグリプチン、ビルダグリプチン及びこれらの混合物;制吐薬としてオンダンセトロン;抗てんかん薬としてプレガバリン;抗高コレステロール血症剤としてアトルバスタチン、エゼチミブ、シンバスタチン及びこれらの混合物;降圧薬としてアムロジピン、オルメサルタンメドキソミル、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)、バルサルタン、カンデサルタン、インダパミド、ペリンドプリル、サクビトリル及びこれらの混合物;抗炎症剤としてエトリコキシブ;抗パーキンソン病薬としてカルビドバ、レボドバ、エンタカポン及びこれらの混合物;統合失調症治療薬としてアリピプラゾール及びオランザピン;抗レトロウイルス剤としてアバカビル、ラミブジン、ドルテグラビル、コビシスタット、ダルナビル、エムトリシタビン、テノホビルアラフェナミド、テノホビルジソプロキシル、エルビテグラビル、エファビレンツ、リルピビリン及びこれらの混合物;抗血栓薬としてクロピドグレル及びリバーロキサバン;抗ウイルス剤としてアシクロビル、エルバスビル、グラゾプレビル、グレカプレビル、ピブレンタスビル、レジパスビル、ソフォスブビル、ベルパタスビル、ボクシラプレビル及びこれらの混合物;抗不安薬としてアルプラゾラム;前立腺肥大症薬としてデュタステリド、タムスロシン及びこれらの混合物;嚢胞性線維症治療薬としてイヴァカフトール、ルマカフトル及びこれらの混合物;勃起不全治療薬としてタダラフィル;並びに胃腸機能調整剤としてブチルスコポラミン、ドンペリドン及びロペラミドから選択されることを特徴とする、請求項2に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項4】
前記薬学的有効成分は、アトモキセチン、リスデキサンフェタミン、タラマドール、モンテルカスト、アモキシシリン、ドネペジル、メマンチン、フルオキセチン、ミルタザピン、ダパグリフロジン、メトホルミン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、オンダンセトロン、プレガバリン、アトルバスタチン、エゼチミブ、シンバスタチン、アムロジピン、オルメサルタンメドキソミル、ヒドロクロロチアジド、バルサルタン、カンデサルタン、インダパミド、ペリンドプリル、サクビトリル、エトリコキシブ、カルビドバ、レボドバ、エンタカポン、アリピプラゾール、オランザピン、アバカビル、ラミブジン、ドルテグラビル、コビシスタット、ダルナビル、エムトリシタビン、テノホビルアラフェナミド、テノホビルジソプロキシル、エルビテグラビル、エファビレンツ、リルピビリン、クロピドグレル、リバーロキサバン、アシクロビル、エルバスビル、グラゾプレビル、グレカプレビル、ピブレンタスビル、レジパスビル、ソフォスブビル、ベルパタスビル、ボクシラプレビル、アルプラゾラム、デュタステリド、タムスロシン、イヴァカフトール、ルマカフトル、タダラフィル、ブチルスコポラミン、ドンペリドン、ロペラミド、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項5】
前記薬学的有効成分は、ダパグリフロジン/メトホルミン、メトホルミン/シタグリプチン、メトホルミン/ビルダグリプチン、アトルバスタチン/エゼチミブ、シンバスタチン/エゼチミブ、アムロジピン/オルメサルタンメドキソミル、アムロジピン/オルメサルタンメドキソミル/ヒドロクロロチアジド、アムロジピン/バルサルタン、アムロジピン/バルサルタン/ヒドロクロロチアジド、カンデサルタン/ヒドロクロロチアジド、インダパミド/アムロジピン/ペリンドプリル、オルメサルタン/アムロジピン/ヒドロクロロチアジド、サクビトリル/バルサルタン、カルビドバ/レボドバ/エンタカポン、アバカビル/ラミブジン、アバカビル/ラミブジン/ドルテグラビル、コビシスタット/ダルナビル、コビシスタット/ダルナビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、コビシスタット/エルビテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン/エファビレンツ/テノホビルジソプロキシル、エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシル、テノホビルアラフェナミド/エムトリシタビン/リルピビリン、テノホビルジソプロキシル/エムトリシタビン/リルピビリン、エルバスビル/グラゾプレビル、グレカプレビル/ピブレンタスビル、レジパスビル/ソフォスブビル、ソフォスブビル/ベルパタスビル、ソフォスブビル/ベルパタスビル/ボクシラプレビル、デュタステリド/タムスロシン、及びイヴァカフトール/ルマカフトルから選択される混合物であることを特徴とする、請求項4に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項6】
上記3成分混合物は、55重量%~85重量%のクエン酸ナトリウム、5重量%~30重量%のクエン酸、及び5重量%~25重量%のスクラロー
スを含み、上記3成分混合物中のクエン酸ナトリウム、クエン酸及びスクラロースの量は、100%となるように組み合わされることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項7】
上記3成分混合物の含有量は、上記口内分散性粉末組成物の総重量に対して47重量%以下であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項8】
前記1つ以上のさらなる賦形剤は、希釈剤、潤滑剤、滑剤、香料、甘味料、酸味料、アルカリ化剤、緩衝剤、抗酸化剤、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項9】
上記希釈剤は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、イソマルト、エリスリトール、粉末セルロース、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、デンプン、リン酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項10】
上記潤滑剤は、タルク、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリル、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項11】
上記滑剤は、コロイダル二酸化ケイ素、リン酸三カルシウム、疎水性コロイダルシリカ、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項12】
上記香料は、オレンジ、バナナ、ストロベリー、チェリー、ワイルドチェリー、レモン、カルダモン、アニス、ペパーミント、メントール、バニリン及びエチルバニリン、並びにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の口内分散性粉末組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の口内分散性粉末を含む、スティック状包装物。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の口内分散性粉末を含む、錠剤。
【請求項15】
薬剤として使用するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の口内分散性粉末組成物、請求項13に記載のスティック状包装物、又は請求項14に記載の錠剤。
【国際調査報告】