(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】超音波加工のための対向要素
(51)【国際特許分類】
B23K 20/10 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B23K20/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023534157
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2021083652
(87)【国際公開番号】W WO2022122487
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】102020132523.1
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520062177
【氏名又は名称】ヘルマン ウルトラシャルテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ラケール ルセル-ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ロビン アレクサンダー ボーデ
(72)【発明者】
【氏名】ティモ ツィンク
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167AA22
4E167BE04
4E167BE06
4E167BE07
(57)【要約】
本発明は、超音波を用いて材料を加工するための対向要素3に関するもので、前記対向要素3はシール面9を有し、前記シール面9は、少なくとも部分的に凹状に湾曲している溶接部9Bを有する。より高い送り速度で信頼性の高い溶接が可能となる対向要素3を提供するために、本発明によれば、前記シール面9は、前記溶接部9Bに隣接して配置された進入部9Aを有し、前記進入部9Aは湾曲していないか、又は溶接部9Bの曲率半径よりも大きい曲率半径で凹状に湾曲していることが提案される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を用いて材料を加工するための対向要素であって、前記対向要素はシール面を有し、前記シール面は、少なくとも部分的に凹状に湾曲している溶接部を有する対向要素。
【請求項2】
前記シール面は、前記溶接部に隣接して配置された進入部を有し、前記進入部は湾曲していないか、凸状に湾曲しているか、又は溶接部の曲率半径よりも大きい曲率半径で凹状に湾曲していることを特徴とする、請求項1に記載の対向要素。
【請求項3】
前記進入部と前記溶接部は、ほぼ同じ大きさであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の対向要素。
【請求項4】
前記対向要素は、ソノトロードであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の対向要素。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の対向要素と加工要素とを備える超音波溶接装置であって、加工要素は、加工中に材料と接触するようにされた実質的に円筒形又は円筒セグメント形の支持面を有しており、前記加工要素は、加工中にその長手方向軸を中心に回転し、その結果として支持面が周方向に移動して被加工材料上を転動するようにされており、対向要素のシール面は、被加工材料を配置できる支持面とシール面との間に生じるように加工要素に対向して配置されることができ、溶接部は、加工要素の長手方向軸に垂直な断面図において少なくとも部分的に凹状に湾曲している超音波溶接装置。
【請求項6】
支持面上に少なくとも1つの構造要素が配置されており、前記構造要素は実質的に円筒形又は円筒セグメント形の支持面から半径方向に突出していて、被加工材料と接触するようにされた上面を有し、前記上面はベース部分と少なくとも1つの切り欠きを有し、前記切り欠きは長手方向軸からの距離がベース部分よりも小さくなっており、長手方向軸に垂直な断面図においてベース部分と切り欠きは互いに並置されており、切り欠きによって形成された凹部は、好ましくは支持面まで延びておらず、凹部の深さは、好ましくは1mm未満、特に好ましくは0.05mm~0.2mmであることを特徴とする、請求項5に記載の超音波溶接装置。
【請求項7】
前記切り欠きは溝として形成されており、好ましくは前記溝は周方向に向けられておらず、かつ/又は前記溝の幅は1mm未満、好ましくは0.6mm未満、特に好ましくは0.2mm~0.4mmであることを特徴とする、請求項6記載の超音波溶接装置。
【請求項8】
前記溝の断面積は0.15mm
2未満、好ましくは0.05mm
2未満、特に好ましくは0.015mm
2~0.04mm
2であることを特徴とする、請求項7に記載の超音波溶接装置。
【請求項9】
前記構造要素は、上面に、周方向に向けられていない複数の溝、好ましくは少なくとも3つの溝を有し、好ましくは前記溝が互いに平行に配置されていることを特徴とする、請求項7から8のいずれか1項に記載の超音波溶接装置。
【請求項10】
前記上面は、実質的に平坦に形成されているか又は円筒軸からの主要部の距離に対応する曲率半径で凸状に湾曲して形成されている主要部と、周方向で前記主要部に隣接している少なくとも1つの面取り部とを有し、前記面取り部は前記主要部に対して、前記主要部と前記面取り部とが180°未満の角度をなすように角度が付けられかつ/又は凸状に湾曲しており、前記主要部が凸状に湾曲して形成されている場合は、前記面取り部の曲率半径は前記主要部の曲率半径よりも小さく、好ましくは少なくとも1つの切り欠きが前記主要部に配置されていることを特徴とする、請求項5から9のいずれか1項に記載の超音波溶接装置。
【請求項11】
前記加工要素の主要部は、前記対向要素の凹状に湾曲した部分の曲率半径とほぼ一致する曲率半径で凸状に湾曲していることを特徴とする、請求項10に記載の超音波溶接装置。
【請求項12】
周方向に互いに離間した少なくとも2つの構造要素が設けられており、かつ/又は前記加工要素がアンビルとして形成されており、かつ/又は上面が長さIと幅bの細長い形状を有し、l>bであることを特徴とする、請求項5から11のいずれか1項に記載の超音波溶接装置。
【請求項13】
前記加工要素は、被加工材料が前記加工要素と前記対向要素との間を通されて移動する送り方向に回転するようにされており、前記進入部と前記溶接部は、送り方向で間隙を通って移動される材料が最初に前記進入部と接触し、次に前記溶接部と接触するように配置されていることを特徴とする、請求項5から12のいずれか1項に記載の超音波溶接装置。
【請求項14】
被加工材料ウェブが巻き付けられている少なくとも1つの引き出しローラ及び/又は被加工材料ウェブを案内する少なくとも1つのウェブ案内ローラが設けられており、引き出しローラ及び/又はウェブ案内ローラは、1つ以上の材料ウェブが前記加工要素と前記対向要素との間を通って移動できるように配置されていることを特徴とする、請求項5から13のいずれか1項に記載の超音波溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料の超音波加工用の対向要素、例えばソノトロード又はアンビルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
不織布材料の接合に、ますます多く超音波が応用されている。この場合、互いに接合しようとする2つの不織布部分をソノトロードとアンビルとの間の間隙に重ねて置き、ソノトロードを超音波振動させる。重ね合わせた接触面は、超音波振動によって誘起される摩擦で局所的に加熱され、特に不織布の熱可塑性成分が溶融する。接合しようとする材料部分の溶融した成分は互いに流れ込み、冷却後に強固な接合を生み出す。
【0003】
これにより、おむつを製造する際にサイドシームを形成して対応する不織布部分を接合することが可能になる。
【0004】
通常、対向要素の側方に加工要素が置かれて、被加工材料、例えば複数の材料ウェブからなる装置を、対向要素と加工要素との間の間隙に配置し又は通すことができ、その間に少なくとも対向要素又は加工要素から超音波振動を被加工材料に加えることができるようになっている。
【0005】
この場合、加工要素は、機械加工中に材料と接触するようにされた実質的に円筒形又は円筒セグメント形の支持面を有することができる。そして加工要素は加工中にその長手方向軸を中心に回転し、その結果として支持面が被加工材料上を転動する。
【0006】
この場合、支持面は、支持面から半径方向に突出する少なくとも1つの構造要素を有することが多く、この構造要素は、被加工材料と接触するようにされた上面を有している。そして本来の溶接は、この構造要素の上面と、そこから離れて配置された対向要素のシール面との間の領域で行われる。
【0007】
例えば対向要素はソノトロードであり、加工要素はアンビルであることができる。これは好適な実施形態であるため、以下ではこの実施例に基づいて本発明を説明する。しかし、加工要素をソノトロードとして、対向要素をアンビルとして設計することも原理的に可能である。
【0008】
加工中、構造要素を備えた支持面が被加工材上を転動し、特に構造要素が溶接を引き起こす。
【0009】
先行技術の装置では、加工速度が制限されている。
【0010】
送り速度、即ち材料が加工要素と対向要素との間隙を通って移動する速度は、基本的に上げることができる。
【0011】
しかしながら、一定の周波数で材料に作用するソノトロードによって、信頼性の高い溶接を可能にするのに十分なエネルギーを材料に加えることができなくなる。その理由は、送り速度を上げると、材料がソノトロードのシール面と接触している時間が短くなり、そのためソノトロードによって材料に加えられる「打撃」が少なくなるからである。
【0012】
これは、ソノトロードを被加工材料に押し付ける力を増すことによって、部分的に補うことができる。そうすることによってソノトロードの「一撃」当たりより多くのエネルギーが材料に伝達される。しかしながら、これはより高い摩擦を引き起こし、その結果、超音波加工によって溶接される材料層間の界面、即ちいわゆる接合ゾーンで形成される溶融成分が、構造要素によって接合ゾーンから押し出される。そうすると接合ゾーンで利用できる熱可塑性成分が十分ではなくなるため、これも不良なシームにつながる。代替的に又は組み合わせて、超音波振動の振動振幅を大きくすることも可能であろう。そうすることによってもソノトロードの「一撃」当たりより多くのエネルギーが材料に伝達される。しかし、これは限られた範囲内でのみ可能である。ソノトロードを過大な振動振幅で駆動すると、ソノトロード材料が損傷する可能性がある。
【0013】
より高い加工速度を達成するために、ホイール上に複数のソノトロードを配置して、ホイール回転中の接触時間を長くした、いわゆる「溶接ホイール」が既に使用されている。しかし、この解決策は非常に複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
(原文に記載なし)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
それゆえ、本発明の課題は、上述した先行技術に基づき、より高い送り速度で信頼性の高い溶接を可能にする対向要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、上記の課題は、対向要素が、少なくとも部分的に凹状に湾曲している溶接部を備えたシール面を有することによって解決される。
【0017】
溶接部が部分的に湾曲していることにより、対向要素と加工要素との間の接触時間が長くなって、より多くのエネルギーを材料に導入することができる。それによってまた、ソノトロード又はアンビルを被加工材料に押し付ける力を大きくしなくても、送り速度を高めることができる。
【0018】
別の好適な実施形態では、対向要素のシール面は、溶接部に隣接して配置された進入部を有し、進入部は湾曲していないか、凸状に湾曲しているか、又は溶接部の曲率半径よりも大きい曲率半径で凹状に湾曲している。そうすることにより、進入部と溶接部の間の移行部でシール面の傾き又は曲率が変化して、円筒形又は円筒セグメント形の支持面を有する対向要素を進入部の領域に使用すると、加工要素と対向要素の支持面との間の距離は連続的に小さくなり、最後に最小距離に達する。この最小距離は溶接部と支持面との間の距離、若しくは溶接部と支持面上に配置された構造要素の上面との間の距離に対応する。この進入部は、送り方向に間隙を通って移動する材料が、最初に進入部と接触し、次に溶接部と接触するように配置されている。好適な実施形態では、進入部は湾曲していないか、又は溶接部の曲率半径よりも大きい曲率半径で凹状に湾曲している。
【0019】
好適な実施形態では、進入部は溶接部の0.2倍ないし5倍の大きさである。特に、進入部と溶接部が、ほぼ同じ大きさであると好ましい。
【0020】
上記の課題は、上述した対向要素と加工要素とを備えた超音波溶接装置によっても解決される。この場合、加工要素は、加工中に材料と接触するようにされた実質的に円筒形又は円筒セグメント形の支持面を有しており、加工要素は、加工中にその長手方向軸を中心に回転し、その結果として支持面が周方向に移動して被加工材料上を転動するようにされており、対向要素のシール面は、被加工材料を配置できる間隙が支持面とシール面との間に生じるように加工要素に対向して配置されることができ、溶接部は、加工要素の長手方向軸に垂直な断面図において少なくとも部分的に凹状に湾曲している。
【0021】
特に、上記の対向要素が、実質的に円筒形又は円筒セグメント形の支持面を有する加工要素と協働することによって、超音波加工が行われる時間が増加する。好適な実施形態では、支持面は円筒形又は円筒セグメント形であるが、わずかな差異は本発明による効果を損なわない。
【0022】
特に好適な実施形態では、超音波溶接装置は、1つの材料ウェブ又は複数の材料ウェブが加工要素と対向要素との間を通って移動するように設計及び設定されている。被加工材料ウェブが巻き付けられている1つ以上の引き出しローラを設けることができ、そこから材料が引き出されて加工要素と対向要素との間の間隙を通って移動する。また、加工要素と対向要素の間で被加工材料ウェブを案内する1つ又は複数のウェブ案内ローラを設けることも可能である。
【0023】
別の好適な実施形態では、支持面上に少なくとも1つの構造要素が配置されており、この構造要素は実質的に円筒形又は円筒セグメント形の支持面から半径方向に突出していて、被加工材料と接触するようにされた上面を有し、この上面はベース部分と少なくとも1つの切り欠きを有し、切り欠きは長手方向軸からの距離がベース部分よりも小さくなっており、長手方向軸に垂直な断面図においてベース部分と切り欠きは互いに並置されている。
【0024】
構造要素が材料上を転動すると、可塑化した成分を切り欠きに受容することができ、その結果として上述したように可塑化した成分が接合ゾーンから押し出される量が減少する。
【0025】
好適な実施形態では、切り欠きによって形成された凹部は支持面まで延びておらず、深さは、好ましくは1mm未満、好ましくは0.05mm~0.2mmである。
【0026】
別の好適な実施形態では、切り欠きは、できるだけ周方向のみに向けられていない溝として形成されている。溝が周方向に向けられている場合は、溝は、好ましくは支持面を完全に周回せず、周方向角度360°未満、好ましくは45°未満、最も好ましくは25°未満にわたってのみ延びる。また、複数の溝が周方向に互いに間隔をあけて配置されていることも可能である。
【0027】
溝は溶接を中断すべきではなく、溶融した材料を受容するのみで、実質的にその場所に留まって材料層を接合する役割を果たすことができる。
【0028】
溝は、被加工材料に対するソノトロードの圧力上昇による溶融物の不利な非局在化を、溝の位置で阻止できることが示された。その場合、溶融物は溝までしか移動しない。このように、溝は溶融材料の受容体として機能する。
【0029】
好適な実施形態において、溝の幅は1mm未満、好ましくは0.6mm未満である。最も好ましくは溝の幅は0.2~0.4mmである。
【0030】
溶接される材料に応じて、溝の断面積は0.15mm2未満であれば十分であり得る。好ましくは、断面積は0.05mm2未満であり、理想的には断面積は0.015mm2~0.04mm2である。
【0031】
好適な実施形態では、構造要素は、上面に複数の溝、好ましくは少なくとも3つの溝を有し、これらの溝は周方向に向けられておらず、好ましくは溝は互いに平行に配置されている。溝によって溶融材料をそれぞれの位置に保持することに成功し、したがって複数の溝が有利である。
【0032】
別の好適な実施形態では、構造要素の上面は、実質的に平坦に形成されているか又は円筒軸からの主要部の距離に対応する曲率半径で凸状に湾曲して形成されている主要部と、周方向で主要部に隣接している少なくとも1つの面取り部とを有している。面取り部は主要部に対して、主要部と面取り部とが180°未満の角度をなすように角度が付けられているか、又は面取り部は凸状に湾曲しており、主要部が凸状に湾曲している場合は、面取り部の曲率半径は主要部の曲率半径より小さい。この場合、少なくとも1つの切り欠きが主要部に配置されていることが好ましい。面取り部は、材料を主要部と対向要素との間の溶接接触に対して徐々に準備する役割を果たす。主要部と面取り部との間の移行部では、上面の傾き又は曲率が変化する。これにより、加工要素を使用する際に、構造要素と対向要素の間の距離が連続的に小さくなり、最後に構造要素と対向要素の間の最小距離が実現されることが保証される。
【0033】
別の好適な実施形態では、上面は、周方向において対向する側で主要部に隣接する2つの面取り部を有しており、これらの面取り部は主要部に対して角度が付けられていて、主要部と面取り部はそれぞれ180°未満の角度をなすようになっている。したがって構造要素の上面は加工時に、進入する面取り部だけでなく進出する面取り部も有しており、それによって構造要素の加工が終了したときも、対向要素によって加工要素に加えられる力は、徐々にしか減少しない。
【0034】
別の好適な実施形態では、構造要素の上面は、長さI及び幅bを有する細長い形状を有し、I>bである。この場合、好ましくは長さは長手方向軸に平行に延びず、最も好ましくはこれに実質的に垂直に延びている。
【0035】
他の好適な実施形態では、加工要素は、被加工材料が加工要素と対向要素との間を通されて移動する送り方向に回転するようにされており、進入部と溶接部は、送り方向で間隙を通って移動される材料が最初に進入部と接触し、次に溶接部と接触するように配置されている。
【0036】
既に上述したように、対向要素はソノトロードであり、加工要素はアンビルであることができる。
【0037】
本発明のその他の利点、特徴及び可能な応用は、好適な実施形態の以下の説明及び添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、超音波溶接装置の斜視図である。超音波溶接装置は、アンビルとして設計された加工要素1を有しており、これはここでは長手方向軸10を中心に回転可能なローラとして設計されている。ローラ上には、支持面2を備えた少なくとも1つの横方向シームバー11が配置されている。これと対向して、ソノトロードとして設計された対向要素3が配置されている。
【0040】
ここで、対向要素3は超音波振動で励起することができる。次に、被加工材料は支持面2と、支持面2に対面するソノトロード3のシール面との間を通って移動し、その材料の移動速度は加工要素1の周速に対応する。支持面2とソノトロード3の間の間隙は、加工中に超音波振動が材料に伝わり、熱可塑性成分が界面で溶融するように選択する。
【0041】
【0042】
支持面2上に多数の構造要素4が配置されていることが分かる。構造要素4は、周方向に配向した細長い形状を有している。これらの構造要素4は加工時に材料と接触し、加工時に材料に導入される溶接パターンを決定する。超音波溶接装置は、例えば、不織布製おむつのサイドシームを形成するために使用することができる。
【0043】
図3には
図2の詳細拡大図が示されており、構造要素4がはっきりと見えている。周方向(長手方向軸10を基準として)では、2つの構造要素4が相並んで配置されている。軸方向では、多数のそのような構造要素が相並んで配置されている。
【0044】
各構造要素は、主要部6と、主要部6に対して顕著に湾曲している2つの面取り部7,8とを備えている。主要部6には溝5が形成されており、図示の実施形態では周方向に対して垂直に延びている。溝は必ずしも周方向に対して垂直に延びる必要はない。しかし、本発明による効果を達成するためには、溝は周方向と平行に配置されるべきではない。溝が周方向に平行に配置されている場合は、構造要素4の全体にわたって延びるべきではない。
【0045】
溶接加工時に構造要素4は被加工材料上を転動して、最初に面取り部8が被加工材料と接触する。面取り部8は角度を付けて配置されていることにより、構造要素4とこれに対向して配置された対向要素3の反対側のシール面との間の距離は連続的に減少し、最後に主要部6の領域で最小距離に達する。主要部6は凸状に湾曲して形成することができ、その曲率半径は、実質的に構造要素4の上面と加工要素1の長手方向軸10との間の距離に対応している。
【0046】
主要部6には深さ0.1mm、幅0.3mmの溝5が設けられている。それによって生じる凹部に溶融材料が入り込むことができるので、溶融材料は実質的にその場に留まり、構造要素によって接合ゾーンから絞り出されることはない。
【0047】
図4に、
図1の超音波溶接装置の側面図を示す。シール面、即ち支持面若しくは構造要素4に対面する面は、表面9である。
【0048】
図5に、
図4の拡大部分図が示されている。ここでは、表面9は進入部9aと溶接部9bからなる。溶接部9bは、実質的に加工要素の主要部の曲率半径と同じ曲率半径で凹状に湾曲している。この方策により、加工中に材料がソノトロードとより長く接触することが保証されて、より多くのエネルギーを被加工材料に導入することができる。この実施形態では、進入部9aは湾曲して形成されておらず、それにより被加工材料が最初に進入部9aの領域で狭くなる間隙に導入されることを保証する。溶接部と進入部はほぼ同じ大きさである。それから間隙は溶接部9bの領域で最小となり、溶接部の領域では実質的に一定に保たれる。この場合、溶接は主として溶接部9bによって行われるが、進入部9aは溶接部9bに面した端部で既に溶接に寄与することができる。
【0049】
破線は、進入部9aと封止部9bの境界を示す。図示の実施形態では、進入部9aと溶接部9bが同じ大きさになるように、この境界はシール面9の中央に配置されている。境界は、できるだけ溶接部が表面9の20%~80%、好ましくは30%~70%以下を占めるように配置されるべきである。
【符号の説明】
【0050】
1 加工要素(アンビル)
2 支持面
3 対向要素(ソノトロード)
4 構造要素
5 溝
6 主要部
7 面取り部
8 面取り部
9 シール面
9a 進入部
9b 溶接部
10 長手方向軸
11 横方向シームバー
【手続補正書】
【提出日】2022-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
より高い加工速度を達成するために、ホイール上に複数のソノトロードを配置して、ホイール回転中の接触時間を長くした、いわゆる「溶接ホイール」が既に使用されている。しかし、この解決策は非常に複雑である。
特許文献1(米国特許出願公開第2010/243172号明細書)では、一例として、ソノトロード及び対向ツールを有する超音波加工装置であって、対向ツールは隆起部を有し、この隆起部によって、対向ツールがソノトロードに対して回転するときにソノトロードと対向ツールの間の加工用間隙が変更される、超音波加工装置が開示されている。ソノトロードのシール面は、さらに、実質的に螺旋状の面を有し、この実質的に螺旋状の面によって、対向ツールの隆起部がソノトロードのシール面を通過して回転するときに当該間隙がこの実質的に螺旋状の面に沿って移動する。
また、特許文献2(欧州特許第1477293号明細書)において、ソノトロード及び対向ツールを有する超音波加工装置であって、対向ツールが隆起部を有し、この隆起部の表面が湾曲しうる、超音波加工装置が開示されている。
また、特許文献3(独国特許第2154057号明細書)は、シート状物品に穿孔するための方法を開示している。この方法では、緩やかに湾曲した表面及び傾斜を有するホーンが用いられている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/243172号明細書
【特許文献2】欧州特許第1477293号明細書
【特許文献3】独国特許第2154057号明細書
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明によれば、対向要素のシール面は、溶接部に隣接して配置された進入部を有し、進入部は湾曲していないか、凸状に湾曲しているか、又は溶接部の曲率半径よりも大きい曲率半径で凹状に湾曲している。そうすることにより、進入部と溶接部の間の移行部でシール面の傾き又は曲率が変化して、円筒形又は円筒セグメント形の支持面を有する対向要素を進入部の領域に使用すると、加工要素と対向要素の支持面との間の距離は連続的に小さくなり、最後に最小距離に達する。この最小距離は溶接部と支持面との間の距離、若しくは溶接部と支持面上に配置された構造要素の上面との間の距離に対応する。この進入部は、送り方向に間隙を通って移動する材料が、最初に進入部と接触し、次に溶接部と接触するように配置されている。好適な実施形態では、進入部は湾曲していないか、又は溶接部の曲率半径よりも大きい曲率半径で凹状に湾曲している。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を用いて材料を加工するための対向要素
(3)であって、前記対向要素
(3)はシール面
(9)を有し、前記シール面
(9)は、少なくとも部分的に凹状に湾曲している溶接部
(9b)を有する
、対向要素(3)において、
前記シール面(9)は、前記溶接部(9b)に隣接して配置された進入部(9a)を有し、前記進入部(9a)は、凸状に湾曲しているか、又は、前記溶接部の曲率半径よりも大きい曲率半径で凹状に湾曲していることを特徴とする対向要素
(3)。
【請求項2】
前記進入部
(9a)と前記溶接部
(9b)は、ほぼ同じ大きさであることを特徴とする、請求項
1に記載の対向要素
(3)。
【請求項3】
前記対向要素
(3)は、ソノトロードであることを特徴とする、請求項1から
2のいずれか1項に記載の対向要素
(3)。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の対向要素
(3)と加工要素とを備える超音波溶接装置であって、加工要素
(1)は、加工中に材料と接触するようにされた実質的に円筒形又は円筒セグメント形の支持面
(2)を有しており、前記加工要素
(1)は、加工中にその長手方向軸
(10)を中心に回転し、その結果として支持面
(2)が周方向に移動して被加工材料上を転動するようにされており、
前記対向要素
(3)の
前記シール面
(9)は、被加工材料を配置できる
前記支持面
(2)と
前記シール面
(9)との間に生じるように
前記加工要素
(1)に対向して配置されることができ、
前記溶接部
(9b)は、
前記加工要素
(1)の長手方向軸
(10)に垂直な断面図において少なくとも部分的に凹状に湾曲している超音波溶接装置。
【請求項5】
前記支持面
(2)上に少なくとも1つの構造要素
(4)が配置されており、前記構造要素
(4)は実質的に円筒形又は円筒セグメント形の支持面
(2)から半径方向に突出していて、被加工材料と接触するようにされた上面を有し、前記上面はベース部分と少なくとも1つの切り欠きを有し、前記切り欠きは長手方向軸
(10)からの距離がベース部分よりも小さくなっており、
前記長手方向軸
(10)に垂直な断面図においてベース部分と切り欠きは互いに並置されており、切り欠きによって形成された凹部は、好ましくは支持面
(2)まで延びておらず、凹部の深さは、好ましくは1mm未満、特に好ましくは0.05mm~0.2mmであることを特徴とする、請求項
4に記載の超音波溶接装置。
【請求項6】
前記切り欠きは溝
(5)として形成されており、好ましくは前記溝
(5)は周方向に向けられておらず、かつ/又は前記溝
(5)の幅は1mm未満、好ましくは0.6mm未満、特に好ましくは0.2mm~0.4mmであることを特徴とする、請求項
5記載の超音波溶接装置。
【請求項7】
前記溝
(5)の断面積は0.15mm
2未満、好ましくは0.05mm
2未満、特に好ましくは0.015mm
2~0.04mm
2であることを特徴とする、請求項
6に記載の超音波溶接装置。
【請求項8】
前記構造要素
(4)は、上面に、周方向に向けられていない複数の溝
(5)、好ましくは少なくとも3つの溝
(5)を有し、好ましくは前記溝
(5)が互いに平行に配置されていることを特徴とする、請求項
6から
7のいずれか1項に記載の超音波溶接装置。
【請求項9】
前記上面は、実質的に平坦に形成されているか又は円筒軸からの主要部
(6)の距離に対応する曲率半径で凸状に湾曲して形成されている主要部
(6)と、周方向で前記主要部
(6)に隣接している少なくとも1つの面取り部
(7、8)とを有し、前記面取り部
(7、8)は前記主要部に対して、前記主要部
(6)と前記面取り部
(7、8)とが180°未満の角度をなすように角度が付けられかつ/又は凸状に湾曲しており、前記主要部
(6)が凸状に湾曲して形成されている場合は、前記面取り部
(7、8)の曲率半径は前記主要部
(6)の曲率半径よりも小さく、好ましくは少なくとも1つの切り欠きが前記主要部
(6)に配置されていることを特徴とする、請求項
4から
8のいずれか1項に記載の超音波溶接装置。
【請求項10】
前記加工要素
(1)の主要部
(6)は、前記対向要素
(3)の凹状に湾曲した部分の曲率半径とほぼ一致する曲率半径で凸状に湾曲していることを特徴とする、請求項
9に記載の超音波溶接装置。
【請求項11】
周方向に互いに離間した少なくとも2つの構造要素
(4)が設けられており、かつ/又は前記加工要素
(1)がアンビルとして形成されており、かつ/又は上面が長さIと幅bの細長い形状を有し、l>bであることを特徴とする、請求項
4から1
0のいずれか1項に記載の超音波溶接装置。
【請求項12】
前記加工要素
(1)は、被加工材料が前記加工要素
(1)と前記対向要素
(3)との間を通されて移動する送り方向に回転するようにされており、前記進入部
(9a)と前記溶接部
(9b)は、送り方向で間隙を通って移動される材料が最初に前記進入部
(9a)と接触し、次に前記溶接部
(9b)と接触するように配置されていることを特徴とする、請求項
4から1
1のいずれか1項に記載の超音波溶接装置。
【請求項13】
被加工材料ウェブが巻き付けられている少なくとも1つの引き出しローラ及び/又は被加工材料ウェブを案内する少なくとも1つのウェブ案内ローラが設けられており、引き出しローラ及び/又はウェブ案内ローラは、1つ以上の材料ウェブが前記加工要素
(1)と前記対向要素
(3)との間を通って移動できるように配置されていることを特徴とする、請求項
4から1
2のいずれか1項に記載の超音波溶接装置。
【国際調査報告】