IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 朝日インテック株式会社の特許一覧 ▶ パスウェイズ メディカル コーポレーションの特許一覧

特表2024-501174導電性エレメントを持つガイドワイヤ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】導電性エレメントを持つガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A61M25/09 510
A61M25/09 500
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023534347
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 US2021072760
(87)【国際公開番号】W WO2022126089
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/122,430
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520388240
【氏名又は名称】パスウェイズ メディカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パチル,ニティン
(72)【発明者】
【氏名】小川 稔
(72)【発明者】
【氏名】ホーレ,フィリップ・アール
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA29
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB13
4C267BB40
4C267BB62
4C267CC08
4C267EE01
4C267FF03
4C267GG24
4C267HH03
4C267HH08
4C267HH11
(57)【要約】
多様なサイズと材料組成の複数の導体トレースを別々の絶縁層上に構築することにより、ガイドワイヤに複数の導体を組み込むための複数のアプローチについて説明する。本発明に記載のアプローチは、ガイドワイヤまたはカテーテル要素へのセンサの組み立てを容易にする。このアプローチは、デバイスの電気的または機械的特性を特定の部分で変更して、デバイスの性能および信頼性を高めるか(例えば、選択的な耐摩耗性)、組み立てを容易にするか(例えば、はんだ付けまたは接続の容易性)、または場合によっては所望の電気的特性(例えば、インピーダンス)を達成する必要があるシナリオで特に有用である。このような所望の特性を当該デバイスに組み込むには、デバイスの主要な機械的性能に影響を与えることなく、狭いスペースに信号線を形成する革新的なアプローチが必要となる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドワイヤコアと、
前記ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、
前記ガイドワイヤコアの側面方向に離隔して、前記第1絶縁層の表面に、且つ、前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースと、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に設けられ、電子部品と電気的に接続される複数の接続部と、を備え、
前記複数の接続部が設けられた前記複数の第1導電性トレースの端部同士は、前記ガイドワイヤコアの長さ方向に対して並列するように設けられ、
前記複数の接続部は、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置されている
ガイドワイヤ。
【請求項2】
さらに、前記複数の第1導電性トレースおよび前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層が設けられており、
前記複数の接続部は、対応する第1導電性トレースに到達するように前記第2絶縁層に開口された内側開口部を含んで構成されている
請求項1記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記少なくとも一つの導電性トレースの端部は、前記隣接する他の導電性トレースの端部よりも前記ガイドワイヤコアの長さ方向の先に隙間を介して位置するように、前記ガイドワイヤコアの周方向に延びて形成されている
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項4】
前記接続部の前記内側開口部の少なくとも一部を覆うように、導電性材料から形成された導電性バンドが配置され、前記内側開口部には導電性接続部材が配置され、前記接続部と前記導電性バンドとは前記導電性接続部材を介して電気的に接続されており、前記導電性バンドと前記導電性接続部材とは異なる導電性材料から形成されている
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項5】
前記複数の導電性バンドは、当該導電性バンドの厚さ方向に貫通し、前記内側開口部と重なって配置される前記外側開口部を有し、
前記外側開口部の内部には、前記導電性バンドと前記接続部とを電気的に接続する前記導電性接続部材が設けられている
請求項4に記載のガイドワイヤ。
【請求項6】
前記外側開口部と前記内側開口部とは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向にずれて重なって配置される
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項7】
前記外側開口部の面積よりも前記内側開口部の面積の方が大きい
請求項6に記載のガイドワイヤ。
【請求項8】
前記外側開口部は、平面視で矩形状に形成されている
請求項7に記載のガイドワイヤ。
【請求項9】
前記外側開口部は、平面視で、前記導電性バンドの両端部のうち少なくとも一方の端部側が開いた切り欠き形状に形成されている
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項10】
前記外側開口部は、平面視で、前記導電性バンドの幅方向の両端部のうち一つの端部で開口する箇所から、前記導電性バンドの幅方向へ変位した位置にある辺へ向かうにつれて広がる逆テーパ状に形成されている
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項11】
前記複数の接続部は、前記複数の第1導電性トレースの長さ方向両端側のうち近位端側に設けられている
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項12】
前記外側開口部は、前記導電性バンドの幅方向の両端側にそれぞれ形成されている
請求項8に記載のガイドワイヤ。
【請求項13】
前記導電性バンドと前記導電性接続部材とは、導電性材料から形成されている
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項14】
前記導電性接続部材は、前記導電性バンドの厚さ方向から圧力が加わると、前記導電性バンドの厚さ方向に導電経路が形成される異方性導電性材料であって、半田よりも弾性変形可能な前記異方性導電性材料から形成されている
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項15】
前記導電性バンドは、
前記外側開口部内および前記内側開口部内を埋めるようにして、かつ前記第2絶縁層を覆うようにして設けられた異方性導電性材料からなる導電性接続部材と、
前記導電性接続部材の外側に設けられるC字状部材であって、導電性材料から形成された前記C字状部材と、を備える
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項16】
前記接続部の前記内側開口部の少なくとも一部を覆うように、導電性材料から形成された導電性バンドが配置され、前記接続部と前記導電性バンドとは前記内側開口部内に配置された導電性接続部材を介して電気的に接続されており、
前記導電性バンドと前記導電性接続部材とは一体的に形成されている
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項17】
前記第2絶縁層の外周表面に巻回された導電性ワイヤが配置され、前記導電性ワイヤの両端は、前記内側開口部を介して前記第1導電性トレースに固着されている、
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項18】
前記第1導電性トレースのうち前記導電性ワイヤの一端が固着される領域には金または金合金の金属層と、前記金属層と導電性トレースへの拡散を防止するバリアメタル層とが形成されており、
前記導電性ワイヤは、金、金合金またはアルミニウムから形成されている
請求項17に記載のガイドワイヤ。
【請求項19】
前記複数の接続部は、前記複数の第1導電性トレースの長さ方向両端側のうち遠位端側に設けられている
請求項17に記載のガイドワイヤ。
【請求項20】
さらに、
前記第2絶縁層の表面に設けられた複数の第2導電性トレースと、
前記複数の第2導電性トレースおよび前記第2絶縁層を覆うようにして設けられた第3絶縁層と、
前記複数の第2導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方において前記ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置され、電子部品と電気的に接続される複数の第2接続部であって、対応する第2導電性トレースに到達するように前記第3絶縁層に開口された第2内側開口部を含んで構成された前記複数の第2接続部と、
前記複数の第2接続部のうち少なくとも1つを覆うようにして前記ガイドワイヤコアの周方向に形成された第2導電性バンドと、を備え、
前記第2導電性バンドで覆われた前記第2接続部と前記第2導電性バンドとは、前記第2内側開口部に設けられた導電性接続部材を介して電気的に接続されている
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項21】
前記複数の接続部は、前記複数の第1導電性トレースの長さ方向両端側のうち遠位端側に設けられており、
前記内側開口部の少なくとも一部を覆うように、導電性材料から形成された導電性バンドが配置され、前記接続部と前記導電性バンドとは前記内側開口部内に配置された導電性接続部材を介して電気的に接続されており、
前記導電性バンドは、基板用の導電性接続部材を介して、前記電子部品の搭載されたプリント配線基板に電気的に接続されている
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項22】
前記プリント配線基板は、前記導電性バンド側に位置するフレキシブル基板部と、前記フレキシブル基板部の遠位端側に位置するリジット基板部とを有し、
前記電子部品は前記リジット基板部に設けられている
請求項21に記載のガイドワイヤ。
【請求項23】
前記リジット基板部には前記電子部品を収容して取り付けるための収容部が形成されており、前記リジット基板部は、前記ガイドワイヤコアの遠位端側に配置されている
請求項22に記載のガイドワイヤ。
【請求項24】
前記複数の第1導電性トレースは、互いに長さの等しい複数の第1導電性トレースのグループを少なくとも一つ含む
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項25】
前記グループを構成する複数の第1導電性トレースは、点対称のペアとして形成される
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項26】
前記グループを構成する複数の第1導電性トレースのうち少なくとも1本は、前記グループの他の第1導電性トレースと同一長さとなるように蛇行部分を有する
請求項24に記載のガイドワイヤ。
【請求項27】
ガイドワイヤコアと、
前記ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、
前記ガイドワイヤコアの側面方向に離隔して、前記第1絶縁層の表面に、且つ、前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースと、
前記複数の第1導電性トレースおよび前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層と、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に設けられ、電子部品と電気的に接続される複数の接続部であって、対応する第1導電性トレースに到達するように前記第2絶縁層に開口された内側開口部を含む前記複数の接続部と、
前記複数の接続部および前記第2絶縁層を覆うようにして周方向に形成された導電性バンドと、
前記複数の導電性バンドの厚さ方向に貫通し、前記内側開口部と重なって配置される外側開口部と、
前記外側開口部の内部と前記内側開口部の内部とに設けられ、前記導電性バンドと前記接続部とを電気的に接続する導電性接続部材と、を備える
ガイドワイヤ。
【請求項28】
前記外側開口部と前記内側開口部とは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向にずれて重なって配置される
請求項27に記載のガイドワイヤ。
【請求項29】
前記外側開口部の面積よりも前記内側開口部の面積の方が大きい
請求項28に記載のガイドワイヤ。
【請求項30】
前記外側開口部は、平面視で矩形状に形成されている
請求項27に記載のガイドワイヤ。
【請求項31】
前記外側開口部は、平面視で、前記導電性バンドの端部側が開いた切り欠き形状に形成されている
請求項27に記載のガイドワイヤ。
【請求項32】
前記外側開口部は、平面視で、前記導電性バンドの端部側の幅寸法が狭く、前記導電性バンドの幅方向に進むにつれて幅寸法が広がる逆テーパ状に形成されている
請求項27に記載のガイドワイヤ。
【請求項33】
前記外側開口部は、前記導電性バンドの幅方向の両端側にそれぞれ形成されている
請求項29に記載のガイドワイヤ。
【請求項34】
前記導電性バンドと前記導電性接続部材とは、導電性金属材料から形成されている
請求項29に記載のガイドワイヤ。
【請求項35】
前記導電性接続部材は、前記導電性バンドの厚さ方向から圧力が加わると、前記導電性バンドの厚さ方向に導電経路が形成される異方性導電性材料から形成されている
請求項29に記載のガイドワイヤ。
【請求項36】
さらに、
前記第2絶縁層の表面に設けられた複数の第2導電性トレースと、
前記複数の第2導電性トレースおよび前記第2絶縁層を覆うようにして設けられた第3絶縁層と、
前記複数の第2導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方において前記ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置され、電子部品と電気的に接続される複数の第2接続部であって、対応する第2導電性トレースに到達するように前記第3絶縁層に開口された第2内側開口部を含んで構成された前記複数の第2接続部と、
前記複数の第2接続部のうち少なくとも1つを覆うようにして前記ガイドワイヤコアの周方向に形成された第2導電性バンドと、を備え、
前記第2導電性バンドで覆われた第2接続部と前記第2導電性バンドとは、前記第2内側開口部に設けられた導電性接続部材を介して電気的に接続されている
請求項29に記載のガイドワイヤ。
【請求項37】
前記複数の第1導電性トレースは、互いに長さの等しい複数の第1導電性トレースのグループを少なくとも一つ含む
請求項29に記載のガイドワイヤ。
【請求項38】
前記グループを構成する複数の第1導電性トレースは、点対称のペアとして形成される
請求項37に記載のガイドワイヤ。
【請求項39】
前記グループを構成する複数の第1導電性トレースの内、少なくとも1本は、前記グループの他の第1導電性トレースと同一長さとなるように蛇行部分を有する
請求項37に記載のガイドワイヤ。
【請求項40】
ガイドワイヤコアと、
前記ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、
前記ガイドワイヤコアの側面方向に離隔して、前記第1絶縁層の表面に、且つ、前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースと、
前記複数の第1導電性トレースおよび前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層と、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に設けられ、前記複数の第1導電性トレースに到達するように前記第2絶縁層に開口された内側開口部を含む前記複数の接続部と、
前記複数の接続部のうち少なくとも1つの接続部を介して前記第1導電性トレースおよび前記第2絶縁層を覆うようにして形成され、厚さ方向から圧力が加わると、前記厚さ方向に導電経路が形成される導電性部材と、を備える
ガイドワイヤ。
【請求項41】
さらに、前記複数の接続部と電気的に接続される電子部品と、を備え、
前記電子部品としての電気的接続用部品は、前記複数の第1導電性トレースに対応する複数の押圧部を有しており、前記各押圧部を前記導電性部材へ押し当てることにより、前記電気的接続用部品と前記複数の第1導電性トレースとが電気的に接続される
請求項40に記載のガイドワイヤ。
【請求項42】
前記導電性部材は、半田よりも弾性変形可能な異方性導電性材料から形成される
請求項40に記載のガイドワイヤ。
【請求項43】
前記導電性部材の表面を覆う導電性バンドを備える
請求項40に記載のガイドワイヤ。
【請求項44】
請求項1に記載のガイドワイヤを備える長尺医療器具。
【請求項45】
ガイドワイヤコアを提供するステップと、
前記ガイドワイヤコアの表面に第1絶縁層を形成するステップと、
前記第1絶縁層の表面に前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースを形成するステップと、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置されるように複数の接続部を形成するステップと、
前記ガイドワイヤコアの遠位側に電子部品を配置するステップと、
前記接続部の前記内側開口部を介して前記第1導電性トレースと前記電子部品とを電気的に接続するステップと、から成る、
ガイドワイヤの製造方法。
【請求項46】
ガイドワイヤコアを提供するステップと、
前記ガイドワイヤコアの表面に第1絶縁層を形成するステップと、
前記第1絶縁層の表面に前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースを形成するステップと、
前記複数の第1導電性トレースおよび前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層を形成するステップと、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれに到達するように前記第2絶縁層に開口された内側開口部を含む複数の接続部を形成するステップと、
外側開口部を有する導電性バンドを前記第2絶縁層の表面に、前記外側開口部と前記内側開口部とが重なるように前記導電性バンドを配置する工程と、
前記外側開口部の内部と前記内側開口部の内部とに、前記導電性バンドと当該導電性バンドに対応する前記接続部とを電気的に接続する導電性接続部材を形成するステップと、
前記ガイドワイヤコアの遠位側に電子部品を配置するステップと、
前記電子部品と前記導電性バンドとを電気的に接続するステップと、から成る、
ガイドワイヤの製造方法。
【請求項47】
ガイドワイヤコアを提供するステップと、
前記ガイドワイヤコアの表面に第1絶縁層を形成するステップと、
前記第1絶縁層の表面に前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースを形成するステップと、
前記複数の第1導電性トレースおよび前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層を形成するステップと、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれに到達するように前記第2絶縁層に開口された内側開口部を含む複数の接続部を形成するステップと、
前記接続部の前記内側開口部の内部に位置する前記第1導電性トレースおよび前記第2絶縁層を覆うようにして設けられる導電性部材であって、厚さ方向から圧力が加わると、前記厚さ方向に導電経路が形成される導電性部材を形成するステップと、
前記ガイドワイヤコアの遠位側に電子部品を配置するステップと、
前記電子部品と前記導電性部材とを電気的に接続するステップと、から成る、
ガイドワイヤの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許庁へ2020年12月7日に出願された63/122,430号に対する優先権の履歴を主張する。その出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、センサを有するガイドワイヤと、ガイドワイヤの本体内にまたは本体に沿って組み込まれた複数のセンサを有するガイドワイヤの組み立てのための方法および装置に関するものである。 特に、本発明は、ガイドワイヤの本体内または本体に沿って圧力センサを組み込んだガイドワイヤ、およびそのガイドワイヤの組み立てのための方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ガイドワイヤは、ガイドワイヤに直接組み込まれた多数のセンサまたはセンサアセンブリを有することができる。 そのようなセンサを備えたガイドワイヤは、患者の体内の様々な生理学的パラメータを測定するために適応されてもよい。 例えば、センサは、典型的には、センサ素子を電子アセンブリに電気的に結合するためにガイドワイヤに渡された1つ以上のケーブルを有する。
【0004】
ガイドワイヤは、一般的に、ガイドワイヤの長さまたは部分的な長さを通って延びることができるコアワイヤのハイポチューブとコイル状のセグメントから構成される。 ガイドワイヤコアは、ステンレス鋼またはニチノールから製造され、コイル状のセグメントは、ガイドワイヤの柔軟性、押しやすさ、および耐キンク性を提供するワイヤまたはブレードから製造されてもよい。 ニチノールワイヤは、それ自体で使用されるか、またはステンレス鋼と組み合わされて使用され、柔軟性を高め、ワイヤが形状に戻るようにするのにさらに役立ち得る。
【0005】
さらに、ガイドワイヤの標準的な直径は0.014インチであり、その結果、ある種のセンサを収容したり、複数のセンサを有することは、ガイドワイヤによって提供される比較的小さなスペースによって制限される可能性がある。 さらに、ガイドワイヤは一般的に、非常に曲がりくねった経路を持つ血管に挿入したり、血管内を進んだりするために使用される。 そのため、ガイドワイヤや、ガイドワイヤに沿ったセンサや電極は、ガイドワイヤが多数のカーブや屈曲を有する通路上で押したり、引いたり、ねじったりする際に、比較的大きな応力を受ける可能性がある。
【0006】
その長さに沿って1つ以上の電極を組み込んだガイドワイヤは、ガイドワイヤの構造および使用にさらなる課題をもたらす可能性がある。 例えば、ガイドワイヤに沿った複数の電極の存在は、ガイドワイヤの長さに渡される追加の導電性配線を必要とするかもしれない。 ガイドワイヤには限られたスペースと柔軟性が要求されるため、その長さに沿って配置されたセンサおよび/または電極は、望ましくは対応して構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
その結果、長さに沿って1つまたは複数の電極および/またはセンサを組み込んだガイドワイヤの効果的な構築を提供するガイドワイヤの設計が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、ガイドワイヤコアと、ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、ガイドワイヤコアの側面方向に離隔して、第1絶縁層の表面に、且つ、ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースと、複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に設けられ、電子部品と電気的に接続される複数の接続部と、を備え、複数の接続部が設けられた複数の第1導電性トレースの端部同士は、ガイドワイヤコアの長さ方向に対して並列するように設けられ、複数の接続部は、ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置されているガイドワイヤを提供する。
【0009】
さらに、複数の第1導電性トレースおよび第1絶縁層を覆う第2絶縁層が設けられており、複数の接続部は、対応する第1導電性トレースに到達するように第2絶縁層に開口された内側開口部を含んで構成されてもよい。
【0010】
少なくとも一つの導電性トレースの端部は、隣接する他の導電性トレースの端部よりも前記ガイドワイヤコアの長さ方向の先に隙間を介して位置するように、前記ガイドワイヤコアの周方向に延びて形成されてもよい。
【0011】
接続部の内側開口部の少なくとも一部を覆うように、導電性材料から形成された導電性バンドが配置され、内側開口部には導電性接続部材が配置され、接続部と導電性バンドとは導電性接続部材を介して電気的に接続され、導電性バンドと導電性接続部材とは異なる導電性材料から形成されてもよい。
【0012】
複数の導電性バンドは、当該導電性バンドの厚さ方向に貫通し、内側開口部と重なって配置される外側開口部を有し、外側開口部の内部には、導電性バンドと接続部とを電気的に接続する前記導電性接続部材が設けられてもよい。
【0013】
外側開口部と内側開口部とは、ガイドワイヤコアの長さ方向にずれて重なって配置されてもよい。
【0014】
外側開口部の面積よりも内側開口部の面積の方が大きくてもよい。
【0015】
外側開口部は、平面視で矩形状に形成されてもよい。
【0016】
外側開口部は、平面視で、導電性バンドの幅方向の両端部のうち少なくとも一方の端部側が開いた切り欠き形状に形成されてもよい。
【0017】
外側開口部は、平面視で、導電性バンドの幅方向の両端部のうち一つの端部で開口する箇所から、導電性バンドの幅方向へ変位した位置にある辺へ向かうにつれて広がる逆テーパ状に形成されてもよい。
【0018】
複数の接続部は、複数の第1導電性トレースの長さ方向両端側のうち近位端側に設けられてもよい。
【0019】
外側開口部は、導電性バンドの幅方向の両端側にそれぞれ形成されてもよい。
【0020】
導電性バンドと導電性接続部材とは、導電性材料から形成されてもよい。
【0021】
導電性接続部材は、導電性バンドの厚さ方向から圧力が加わると、導電性バンドの厚さ方向に導電経路が形成される異方性導電性材料であって、半田よりも弾性変形可能な前記異方性導電性材料から形成されてもよい。
【0022】
導電性バンドは、外側開口部内および内側開口部内を埋めるようにして、かつ第2絶縁層を覆うようにして設けられた異方性導電性材料からなる導電性接続部材と、導電性接続部材の外側に設けられるC字状部材であって、導電性材料から形成されたC字状部材と、を備えてもよい。
【0023】
接続部の内側開口部の少なくとも一部を覆うように、導電性材料から形成された導電性バンドが配置され、接続部と導電性バンドとは内側開口部内に配置された導電性接続部材を介して電気的に接続されており、導電性バンドと導電性接続部材とは一体的に形成されてもよい。
【0024】
第2絶縁層の外周表面に巻回された導電性ワイヤが配置され、導電性ワイヤの両端は、内側開口部を介して第1導電性トレースに固着されてもよい。
【0025】
第1導電性トレースのうち導電性ワイヤの一端が固着される領域には金または金合金の金属層と、金属層と導電性トレースへの拡散を防止するバリアメタル層とが形成されており、導電性ワイヤは、金、金合金またはアルミニウムから形成されてもよい。
【0026】
複数の接続部は、複数の第1導電性トレースの長さ方向両端側のうち遠位端側に設けられてもよい。
【0027】
さらに、第2絶縁層の表面に設けられた複数の第2導電性トレースと、複数の第2導電性トレースおよび第2絶縁層を覆うようにして設けられた第3絶縁層と、複数の第2導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方においてガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置され、電子部品と電気的に接続される複数の第2接続部であって、対応する第2導電性トレースに到達するように前記第3絶縁層に開口された第2内側開口部を含んで構成された前記複数の第2接続部と、複数の第2接続部のうち少なくとも1つを覆うようにしてガイドワイヤコアの周方向に形成された第2導電性バンドと、を備え、第2導電性バンドで覆われた第2接続部と第2導電性バンドとは、第2内側開口部に設けられた導電性接続部材を介して電気的に接続されてもよい。
【0028】
複数の接続部は、複数の第1導電性トレースの長さ方向両端側のうち遠位端側に設けられており、内側開口部の少なくとも一部を覆うように、導電性材料から形成された導電性バンドが配置され、接続部と導電性バンドとは内側開口部内に配置された導電性接続部材を介して電気的に接続されており、導電性バンドは、基板用の導電性接続部材を介して、電子部品の搭載されたプリント配線基板に電気的に接続されてもよい。
【0029】
プリント配線基板は、導電性バンド側に位置するフレキシブル基板部と、フレキシブル基板部の遠位端側に位置するリジット基板部とを有し、電子部品はリジット基板部に設けられてもよい。
【0030】
リジット基板部には電子部品を収容して取り付けるための収容部が形成されており、リジット基板部は、ガイドワイヤコアの遠位端側に配置されてもよい。
【0031】
複数の第1導電性トレースは、互いに長さの等しい複数の第1導電性トレースのグループを少なくとも一つ含んでもよい。
【0032】
グループを構成する複数の第1導電性トレースは、点対称のペアとして形成されてもよい。
【0033】
グループを構成する複数の第1導電性トレースのうち少なくとも1本の第1導電性トレースは、グループの他の第1導電性トレースと同一長さとなるように蛇行部分を有してもよい。
【0034】
本開示の一態様では、ガイドワイヤコアと、ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、ガイドワイヤコアの側面方向に離隔して、第1絶縁層の表面に、且つ、ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースと、複数の第1導電性トレースおよび第1絶縁層を覆う第2絶縁層と、複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に設けられ、電子部品と電気的に接続される複数の接続部であって、対応する第1導電性トレースに到達するように第2絶縁層に開口された内側開口部を含む複数の接続部と、複数の接続部および第2絶縁層を覆うようにして周方向に形成された導電性バンドと、複数の導電性バンドの厚さ方向に貫通し、内側開口部と重なって配置される外側開口部と、外側開口部の内部と内側開口部の内部とに設けられ、導電性バンドと接続部とを電気的に接続する導電性接続部材と、を備えるガイドワイヤが提供される。
【0035】
外側開口部と内側開口部とは、ガイドワイヤコアの長さ方向にずれて重なって配置されてもよい。
【0036】
外側開口部の面積よりも内側開口部の面積の方が大きくてもよい。
【0037】
外側開口部は、平面視で矩形状に形成されてもよい。
【0038】
外側開口部は、平面視で、導電性バンドの端部側が開いた切り欠き形状に形成されてもよい。
【0039】
外側開口部は、平面視で、導電性バンドの幅方向の両端部のうち一つの端部で開口する箇所から、導電性バンドの幅方向へ変位した位置にある辺へ向かうにつれて広がる逆テーパ状に形成されてもよい。
【0040】
外側開口部は、導電性バンドの幅方向の両端側にそれぞれ形成されてもよい。
【0041】
導電性バンドと導電性接続部材は、導電性材料から形成されてもよい。
【0042】
導電性接続部材は、導電性バンドの厚さ方向から圧力が加わると、導電性バンドの厚さ方向に導電経路が形成される異方性導電性材料から形成されてもよい。
【0043】
さらに、第2絶縁層の表面に設けられた複数の第2導電性トレースと、複数の第2導電性トレースおよび第2絶縁層を覆うようにして設けられた第3絶縁層と、複数の第2導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方においてガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置され、電子部品と電気的に接続される複数の第2接続部であって、対応する第2導電性トレースに到達するように第3絶縁層に開口された第2内側開口部を含んで構成された複数の第2接続部と、複数の第2接続部のうち少なくとも1つを覆うようにしてガイドワイヤコアの周方向に形成された第2導電性バンドと、を備え、第2導電性バンドで覆われた第2接続部と前記第2導電性バンドとは、第2内側開口部に設けられた導電性接続部材を介して電気的に接続されてもよい。
【0044】
複数の第1導電性トレースは、互いに長さの等しい複数の第1導電性トレースのグループを少なくとも一つ含む。
【0045】
グループを構成する複数の第1導電性トレースは、点対称のペアとして形成されてもよい。
【0046】
グループを構成する複数の第1導電性トレースのうち少なくとも1本は、グループの他の第1導電性トレースと同一長さとなるように蛇行部分を有してもよい。
【0047】
本発明のさらに別の態様では、ガイドワイヤコアと、ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、ガイドワイヤコアの側面方向に離隔して、第1絶縁層の表面に、且つ、ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースと、複数の第1導電性トレースおよび第1絶縁層を覆う第2絶縁層と、複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に設けられ、複数の第1導電性トレースに到達するように第2絶縁層に開口された内側開口部を含む複数の接続部と、複数の接続部のうち少なくとも1つの接続部を介して第1導電性トレースおよび第2絶縁層を覆うようにして形成され、厚さ方向から圧力が加わると、厚さ方向に導電経路が形成される導電性部材と、を備えるガイドワイヤが提供される。
【0048】
さらに、複数の接続部と電気的に接続される電子部品と、を備え、電子部品としての電気的接続用部品は、複数の第1導電性トレースに対応する複数の押圧部を有しており、各押圧部を当該導電性部材へ押し当てることにより、電気的接続用部品と複数の第1導電性トレースとが電気的に接続されてもよい。
【0049】
導電性部材は、半田よりも弾性変形可能な異方性導電性材料から形成されてもよい。
【0050】
導電性部材の表面を覆う導電性バンドを備えてもよい。
【0051】
上述した構成のガイドワイヤを備える長尺医療器具にも本開示は適用することができる。
【0052】
本開示の他の態様では、ガイドワイヤコアを提供するステップと、ガイドワイヤコアの表面に第1絶縁層を形成するステップと、第1絶縁層の表面にガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースを形成するステップと、複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に、ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置されるように複数の接続部を形成するステップと、ガイドワイヤコアの遠位側に電子部品を配置するステップと、接続部の内側開口部を介して第1導電性トレースと電子部品とを電気的に接続するステップと、から成るガイドワイヤの製造方法が提供される。
【0053】
本開示の別の態様では、ガイドワイヤコアを提供するステップと、ガイドワイヤコアの表面に第1絶縁層を形成するステップと、第1絶縁層の表面にガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースを形成するステップと、複数の第1導電性トレースおよび第1絶縁層を覆う第2絶縁層を形成するステップと、複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に、複数の第1導電性トレースのそれぞれに到達するように第2絶縁層に開口された内側開口部を含む複数の接続部を形成するステップと、外側開口部を有する導電性バンドを第2絶縁層の表面に、外側開口部と内側開口部とが重なるように導電性バンドを配置する工程と、外側開口部の内部と内側開口部の内部とに、導電性バンドと当該導電性バンドに対応する接続部とを電気的に接続する導電性接続部材を形成するステップと、ガイドワイヤコアの遠位側に電子部品を配置するステップと、電子部品と導電性バンドとを電気的に接続するステップと、から成るガイドワイヤの製造方法が提供される。
【0054】
本開示のさらに別の態様では、ガイドワイヤコアを提供するステップと、ガイドワイヤコアの表面に第1絶縁層を形成するステップと、第1絶縁層の表面にガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースを形成するステップと、複数の第1導電性トレースおよび第1絶縁層を覆う第2絶縁層を形成するステップと、複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に、複数の第1導電性トレースのそれぞれに到達するように第2絶縁層に開口された内側開口部を含む複数の接続部を形成するステップと、接続部の内側開口部の内部に位置する第1導電性トレースおよび第2絶縁層を覆うようにして設けられる導電性部材であって、厚さ方向から圧力が加わると、厚さ方向に導電経路が形成される導電性部材を形成するステップと、ガイドワイヤコアの遠位側に電子部品を配置するステップと、電子部品と導電性部材とを電気的に接続するステップと、から成るガイドワイヤの製造方法が提供される。
【0055】
ガイドワイヤは、ガイドワイヤの本体内または本体に沿って、多数の異なるセンサを組み込むことができる。 ある特定の変形例では、ガイドワイヤの本体に沿って、またはガイドワイヤの遠位端に、任意に1つ以上の電極を有する圧力センサを組み込んでもよい。 ガイドワイヤ本体に沿って直接統合された1つ以上の電極を有するガイドワイヤは、1つ以上の電極を有する電極組立体に取り付けられた近位コイルと、電極組立体の遠位端に取り付けられた遠位コイルとを有してもよい。 ガイドワイヤコアは、ガイドワイヤ組立体の長さを通って延びていてもよく、電極組立体を部分的または完全に通って延びていてもよい。
【0056】
ガイドワイヤアセンブリを組み立てるための1つの変形例は、一般に、テーパ状の遠位部を有するコアワイヤを提供することと、センサパッケージを介してまたはセンサパッケージに沿って定義されたワイヤ受け取りチャネルにコアワイヤを通すことによって、1つ以上の導電性ワイヤをコアワイヤに固定することと、1つ以上の導電性ワイヤをコアワイヤに固定することと、その後、1つ以上の導電性ワイヤおよびコアワイヤを封入することとを含むことができる。
【0057】
ガイドワイヤアセンブリを形成する方法の一例は、一般に、ガイドワイヤコアを提供することと、ガイドワイヤコアの表面上に絶縁層を配置することと、絶縁層の表面上に1つまたは複数の導電性トレースを直接印刷することとを含むことができる。
【0058】
ガイドワイヤアセンブリを形成する方法の他の例は、一般に、ガイドワイヤコアを提供することと、ガイドワイヤコアの表面に絶縁層を配置することと、1つ以上の導電性トレースを形成するために絶縁層の表面にエアロゾル化された導電性インクを配置することとを含むことができる。
【0059】
ガイドワイヤアセンブリを形成する方法のさらに別の例は、一般に、ガイドワイヤコアを提供することと、ガイドワイヤコアの表面上に絶縁性層を配置することと、絶縁性層の表面上に導電性層を配置することと、1つ以上の導電性トレースが絶縁性層上に形成されるように導電性層の一部を除去することとを含むことができる。
【0060】
ガイドワイヤアセンブリを形成する際に、圧力センサパッケージングは、1つの変形例では、一般的に、内部に固定された圧力センサの構成要素を取り囲むまたは支持する円筒形のハウジングを形成するセンサケーシングを含んでもよい。 センサケーシングは、ケーシングの側面に沿って検出窓を定義してもよく、これは、内部の圧力センサを流体環境に露出させる。 センサコアは、センサケーシング内に固定され、センサケーシングの近位端から延びるフレックス回路に接続され、ガイドワイヤの長さを介して延びる1つまたは複数の導線を介してコントローラまたはプロセッサに接続されることがある。 フレックス回路に沿った導電性トレースまたはワイヤは、コントローラまたはプロセッサに電気的に接続するために、ガイドワイヤ本体を通って近位側に延びる1つまたは複数の対応する導電ワイヤに直接取り付けられてもよい。
【0061】
別の変形例には、フレックス回路がセンサケーシングから近位方向に延びる構成が含まれるが、1つまたは複数の導電ワイヤに直接取り付けられる代わりに、フレックス回路は1つまたは複数の導電リング要素に電気的に接続されてもよく、このリング要素は、1つまたは複数の導電ワイヤに電気的に接続される。 リング要素は、同軸上に隣接して配置され、使用される要素の数は、必要な電気接続の数に依存してもよい。 1つまたは複数の導電性ワイヤは、フレックス回路の特定のパッドまたはトレースに選択的に電気的に結合され、各リング要素が単一のパッドまたはトレースに電気的に接続されるようにしてもよい。 各リング要素は、リング要素の内径に沿って選択的な導電ワイヤに電気的に結合されてもよく、リング要素の残りの部分は、必要に応じて別の導体またはコンポーネントに電気的に接続することができる。
【0062】
センサケーシングは、ケーシング全体を貫通する長手方向の通路を定義して、そこを通るガイドワイヤコアの通過を可能にしてもよい。 ケーシングは、さらに、ガイドワイヤの先端がケーシングの遠位端から延びるように位置決めされて固定される遠位開口部を規定してもよく、ガイドワイヤのコアは、フレックス回路、圧力センサ、および検出窓に隣接またはその下のケーシングを通って長手方向に延びる。 センサコアは、ケーシングから近位に延びるフレックス回路に隣接してケーシング内に固定されていることが示されている。
【0063】
ガイドワイヤ内またはガイドワイヤに沿って要素を電気的に結合するためのさらに別の変形例では、ガイドワイヤアセンブリは、ガイドワイヤまたはカテーテルの一端から他端まで信号を運ぶためのサブアセンブリを形成するために、ポリマー基板上に印刷された導電性インクを有してもよい。 デバイス基板上に直接導電性トレースを使用し、その後、誘電体材料によってトレースを絶縁することで、導電性ワイヤの必要性、および関連する処理と取り扱いを排除することができる。
【0064】
ポリマー層(例えば、PET、PTFEなど)は、絶縁基板を提供するために、熱収縮を介してガイドワイヤのコア上にコーティングされてもよい。 ポリマー層は、ガイドワイヤコアの全体にコーティングまたは敷設してもよいし、圧力センサーアセンブリを固定するために遠位端の一部をコーティングせずに残してもよい。 次に、1つまたは複数の導電性トレース(例えば、ナノ銀、ナノ金、ナノ銅など)を、トレースが1つまたは複数の対応する遠位パッドから1つまたは複数の対応する近位パッドまで延びるように、ポリマー層上に直接印刷してもよい。
【0065】
これらの1つまたは複数の導電性トレースは、ポリマー層上に直接印刷されるので、多数の異なるパターンで構成することができる。 1つまたは複数の導電性トレースがポリマー層上に印刷されると、次に、トレースは絶縁されてもよい。 痕跡を絶縁するための1つのバリエーションは、電気接続用パッドを形成するために露出したままにする必要がある痕跡の端をマスキングし、次に導電性痕跡の上に別のポリマー層を堆積させることである。 例えば、別の熱収縮チューブや層を使用したり、物理的気相成長法やディップコーティング法などを用いて、露出した導電性トレースに別のポリマー層(PTFE、パリレンなど)を堆積させたりすることができる。
【0066】
さらに別のバリエーションとして、物理的気相成長(PVD)などのバルクメタライゼーションプロセス、または電気メッキ、無電解メッキ、誘電体層の上に導電性インクを使用してより広い金属層を印刷するなどの方法で、誘電体層の上に導電性コーティングを施すことができる。 このような金属層は、EMシールドを提供することで、ノイズを除去または低減し、システムのSNR(Signal to Noise Ratio)を向上させることができる。
【0067】
トレースを絶縁するための別のバリエーションとして、ポリマーインクを用いて導電性トレースの上に直接誘電性ポリマーを印刷することができる。 ポリマーインクを使用して導電性トレースに直接印刷する場合、印刷プロセスは、ポリマーインクを選択的に印刷して絶縁層を形成する一方で、導電性トレースの一部を露出させて部品との電気的結合のための導電性パッドを形成するために使用することができる。
【0068】
いずれの方法を使用するかにかかわらず、得られたガイドワイヤコアおよびポリマー層は、圧力センサアセンブリと結合してもよい。1つ以上のリング要素は、その内径の一部に沿って、フレックス回路に沿って露出された対応するパッドに電気的に結合されてもよく、1つ以上のリング要素に沿った第2の部分は、ポリマー層上に配置された導電性トレースの対応するパッドに電気的に結合されて、圧力センサアセンブリ(または任意の他のコンポーネント)を電気的に結合してもよい。 次に、遠位コイルチップをセンサケーシングの遠位端に取り付け、ポリマーを、中央部に沿ったガイドワイヤコア、遠位部に沿った遠位コイル又はチップ、および近位部に沿ったガイドワイヤコアの残りの部分、並びに(利用される場合)電極間の部分の上にリフロー又は成形してもよい。
【0069】
組立方法の別の変形例は、ガイドワイヤコア上に配置される前に別個に形成されたポリマー層を含む。 導電性トレースは、ポリマー層の長さにわたって延びるそれらの対応する露出したパッドとともに、ポリマーの外層に直接印刷されてもよい。 絶縁層も同様に、導電性トレースの上に直接印刷してもよい。 事前に印刷されたポリマー層を用いて、ガイドワイヤコアをポリマー層に挿入し、任意の数の適切な接着剤、例えば、シアノアクリレートなどで接着してもよい。 その後、圧力センサーアセンブリをガイドワイヤコアに固定し、フレックス回路をアタッチメントの露出したパッドに直接電気的に結合して、電気的接続を完了してもよい。導電性トレースを印刷するための別のバリエーションでは、ポリマーチューブをガイドワイヤコアに配置し、チューブの外層に1つ以上の導電性トレースを印刷してもよい。 次に、導電性インクを使用してポリマーチューブに円形のリングを印刷し、リングが導電性トレースの露出領域と一致するようにして、圧力センサアセンブリのフレックス回路やその他のコンポーネントが円形のリングへの接続を介して導電性トレースに電気的に結合できるようにしてもよい。 円形リングは、チューブの円周方向に印刷されるため、露出領域は、チューブの円周全体にリングを印刷できるように、長手方向に互いにずれていてもよい。 また、露出した領域の間には、好ましくは十分な長手方向の間隔があり、リングを干渉することなく互いに同軸に印刷することができる。 他の変形例では、全周リングよりも部分的な周回リングが印刷されてもよい。
【0070】
導電性トレースを作成するためのさらに別の変形例は、ガイドワイヤコアの外面上に配置された第1の絶縁性ポリマー層(例えば、PARYLENE(Specialty Coating Systems, Inc.、Indianapolis, IN)、TEFLON(E. I. Du Pont De Nemours, Wilmington, DE)、ポリイミドなど)を有してもよい。 次に、導電性材料を有する第2の導電性ポリマー層(金、銀、銅など)を、例えば無電解蒸着、物理的気相成長などの任意の数のプロセスを用いて、第1のポリマー層上にコーティングしてもよい。 導電層の厚さは用途によって異なり、電気的要件(通電容量)とデバイスの機械的要件(剛性など)の両方を考慮して決定されることが多い。 この第2の導電層は、レーザー微細加工、光化学エッチングなどを用いて、個別の導電要素に分離してもよい。
【0071】
次に、用途に応じて、コーティングまたは熱収縮(テフロン、PETなど)のいずれかの形で、誘電体絶縁性ポリマーを使用してアセンブリ全体を絶縁することができる。 用途に応じて、複数の個別の導電要素を形成することができる。また、用途に応じて、様々な接続端子のサイズや形状を両端に形成し、形成された個別の導電素子との接続を容易にすることができる。このような構造技術により、デバイス上に複数の個別の導電素子を直接形成することができるため、個別の導電線を収容するために材料を除去したり、導電線や素子を収容するためにデバイスを中空にしたりする必要がない。したがって、意図したデバイスの性能が大幅に向上し、製造コストが削減される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1図1は、センサを有するガイドワイヤの正面図である。
図2図2は、センサの取り付けられたガイドワイヤコアの正面図である。
図3図3は、導電性トレースと導電性バンドとが電気的に接続された状態を示す縦方向断面図である。
図4図4は、図3中の矢示IV-IV方向から見た断面図である。
図5図5は、図3中の矢示V-V方向から見た断面図である。
図6図6は、直線上に並ぶ複数の電気的接続部の配置を示す図である。
図7図7は、導電性バンドの変形例を示す、図5と同様の方向から見た断面図である。
図8A図8Aは、複数の導電性トレースと複数の電気的接続部との関係を模式的に示す図である。
図8B図8Bは、複数の導電性トレースと複数の電気的接続部との他の関係を模式的に示す図である。
図8C図8Cは、複数の導電性トレースと複数の電気的接続部との別の関係を模式的に示す図である。
図9図9は、複数の導電性トレースと複数の電気的接続部とのさらに別の関係を模式的に示す図である。
図10図10は、複数の電気的接続部と複数の導電性バンドとが電気的に接続された様子を示す平面図である。
図11A図11Aは、一つの電気的接続部を拡大して示す平面図である。
図11B図11Bは、一つの導電性バンドを拡大して示す平面図である。
図11C図11Cは、導電性バンドの切り欠き部と絶縁層の開口部とが一部重なるようにして配置した平面図である。
図11D図11Dは、切り欠き部と開口部とを導電性接続部材により電気的に接続した平面図である。
図12図12は、導電性バンドの切り欠き部と絶縁層の開口部との関係を示す図である。
図13図13は、導電性バンドの切り欠き部と絶縁層の開口部との他の関係を示す図である。
図14図14は、導電性バンドの切り欠き部と絶縁層の開口部との別の関係を示す図である。
図15図15は、導電性バンドの開口部の方が絶縁層の開口部よりも広い例を示す図である。
図16図16は、図15の例の縦方向断面図である。
図17図17は、図16中の矢示方向から見た平面図である。
図18図18は、絶縁層の開口部の方が導電性バンドの開口部よりも広い例を示す縦方向断面図である。
図19図19は、図18中の矢示方向から見た平面図である。
図20図20は、導電性接続部材として異方性導電性材料を用いた例を示す横断面図である。
図21図21は、複数の導電性トレースの層を有するガイドワイヤの遠位端側を示す縦方向断面図である。
図22図22は、複数の導電性トレースの層を有するガイドワイヤの近位端側を示す縦方向断面図である。
図23図23は、導電性ワイヤから形成された導電性バンドにセンサの搭載されたプリント配線基板を取り付ける例を示す図である。
図24図24は、ガイドワイヤコアの遠位端側にセンサを取り付ける構造の例を示す図である。
図25図25は、フレキシブル基板部とリジット基板部とを有するプリント配線基板にセンサを搭載した例を示す図である。
図26図26は、リジット基板部にセンサを収容するための収容部を設けた例を示す図である。
図27図27は、導電性バンドを各導電性トレース層に対応させて設ける例を示す図である。
図28図28は、各導電性バンドが各層の導電性トレースにそれぞれ電気的に接続された例を示す図である。
図29図29は、各導電性トレース層に導電性バンドを対応させる場合において、フレキシブル基板部とリジット基板部とを備えるフレキシブル基板を用いた例を示す図である。
図30図30は、導電性バンドと導電性トレースと電気的接続部の配置関係の例を示す図である。
図31図31は、導電性バンドと導電性トレースと電気的接続部の配置関係の他の例を示す図である。
図32図32は、導電性バンドと導電性トレースと電気的接続部の配置関係の別の例を示す図である。
図33図33は、各導電性トレースの長さを変えて配置する例を示す図である。
図34図34は、同一の長さを持つ導電性トレースのペアを配置する例を示す図である。
図35図35は、同一の長さを持つ導電性トレースのペアを配置する他の例を示す図である。
図36図36は、異方性導電性材料としての異方性導電性エラストマを用いて導電性バンドと導電性トレースとを電気的に接続する例を示す図である。
図37図37は、異方性導電性材料としての異方性導電性エラストマを、導電性バンドおよび電気的接続部の両方の機能を持つ部材として使用する例を示す図である。
図38図38は、図37中の矢示XXXVIII-XXXVIII方向から見た断面図である。
図39図39は、ガイドワイヤと外部機器とを電気的に接続するコネクタ部材を模式的に示す説明図である。
図40A図40Aは、ガイドワイヤコアの平面図である。
図40B図40Bは、表面に第1絶縁層が形成されたガイドワイヤコアの平面図である。
図40C図40Cは、第1絶縁層の表面に導電層が形成されたガイドワイヤコアの平面図である。
図40D図40Dは、導電層を選択的にエッチングすることにより複数の導電性トレースが形成されたガイドワイヤコアの平面図である。
図41図41は、センサのパッドと電気的接続部とを接続する方法の例を示す図である。
図42図42は、図41中の矢示方向から見た正面図である。
図43図43は、センサのパッドと電気的接続部とを導電性バンドを用いて接続する例を示す図である。
図44図44は、導電性トレースの遠位端側と近位端側の少なくともいずれか一方に他の部分よりも面積の広いフラッグ部を形成できることを示す図である。
図45図45は、表面に導電性トレースが形成されたガイドワイヤコアの外観図である。
図46図46は、表面に導電性トレースが形成されたガイドワイヤコアを別の方向から見た外観図である。
図47図47は、第1絶縁層と導電性トレースとを覆うようにして第2絶縁層が形成されたガイドワイヤコアの平面図である。
図48図48は、直線上に並ぶ電気的接続部が形成されたガイドワイヤコアの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本開示では、ガイドワイヤコアに導電性トレースを形成し、導電性トレースの長さ方向の両端側には複数の電気的接続部をそれぞれ設ける。複数の電気的接続部は、ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して直線上に配置される。複数の電気的接続部が直線上に配置されるとは、複数の電気的接続部が一つの直線上に正確に並んで配置される場合に限らず、複数の電気的接続部が実質的に同一の直線に沿って配置される場合も含む。複数の電気的接続部が実質的に同一の直線に沿って配置されるとは、例えば、矩形状の所定範囲内に複数の電気的接続部が一つの方向に沿って配置されている場合を含む。
【0074】
本開示は、複数の導電性トレースは、複数の電気的接続部を介して、ガイドワイヤに設けられる少なくとも一つのセンサと電気的に接続される。センサは、例えば、ガイドワイヤが挿入される体組織の圧力、温度、流量などのパラメータを計測する。センサは、物理的または化学的にそれらのパラメータまたは他のパラメータを計測する。センサの計測した信号は導電性トレースを介してガイドワイヤの外部にある測定装置へ出力される。
【0075】
本開示では、長尺医療器具としてガイドワイヤを例に挙げて説明する。しかし、本開示はガイドワイヤに限らず、カテーテルにも適用することができる。本開示は、例えば、バルーンカテーテル、マイクロカテーテル、心臓カテーテル、肺動脈カテーテル、血管造影用カテーテル、尿道カテーテル、消化器カテーテルなどにも適用可能である。
【0076】
なお、本開示は、以下に述べる実施形態以外に、様々な変形例が含まれる。ある実施形態で述べた構成の一部を他の実施形態で述べた構成に置き換えることができるであろう。ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることもできるであろう。
【0077】
図1には、センサ52が導電性トレースに取り付けられたガイドワイヤ10の全体が示されている。図2は、センサ52の取り付けられたガイドワイヤコア20の正面図である。ガイドワイヤ10は、例えば、ガイドワイヤコア20と、ガイドワイヤコア20の先端側に設けられたセンサアッセンブリ50を備える。本開示では、ガイドワイヤ10の基端側を近位端側または手元側と、ガイドワイヤ10の先端側を遠位端側と、呼ぶことがある。ガイドワイヤコア20は、図2に示すガイドワイヤコア20にコイル体41,42と各リング電極31とを組み付けることにより形成される。コイル体41,42は、固着材を用いてガイドワイヤコア20の細径部202に固着されている。ガイドワイヤコア20の先端に位置する先端チップ43は、ガイドワイヤコア20の細径部202の先端とコイル体42の先端とを固着する固着部材により略半球状に形成されている。固着材には、例えば、ろう材または接着剤を用いることができる。
【0078】
ガイドワイヤコア20は、例えば、ニチノールまたはステンレス鋼から形成される。ガイドワイヤコア20は、手元側の大径部201と、大径部201の先端側に位置する細径部202と、大径部201と細径部202との間に位置するテーパ部203とを備える。細径部202の遠位端側には、図2に示すようにセンサ取付部2021が形成されている。大径部201の近位端側には、外部接続部204が形成されている。外部接続部204には、導電性バンド30の一例であるリング電極31が複数設けられている。導電性バンド30については後述する。リング電極31は、「ガイドワイヤ10を図示せぬ外部回路へ電気的に接続するための部品である。
【0079】
テーパ部203は、大径部201の遠位端側から細径部202の近位端側までを滑らかに接続するように、徐々に径寸法が小さくなるように形成されている。細径部202の外側には、複数のコイル体41,42が設けられている。センサアッセンブリ50は、近位端側のコイル体41と遠位端側のコイル体42との間に配置されている。コイル体41,42は、例えば、ステンレス鋼、白金(Pt)、白金-イリジウム合金(Pt/Ir)などから形成される。後述のように、ガイドワイヤコア20は一つのコイル体を備えてもよい。センサアッセンブリ50の他の配置例は、後述する。
【0080】
後述のように、センサ取付部2021から外部接続部204まで、ガイドワイヤコア20の外側には側面方向(図1中のSD方向)に離隔して、複数の導電性トレース22が形成されている。複数の導電性トレース22には、センサ取付部2021および外部接続部204の両方において、図3で後述する複数の電気的接続部24が設けられる。ガイドワイヤコア20の側面方向とは、例えば、図1中にSD方向として示すように、ガイドワイヤコア20の周方向である。ガイドワイヤコア20の横断面は円形状に限らず、楕円形状または多角形状であってもよい。ガイドワイヤコア20の横断面形状が円形状に限定されないことを明らかにするために側面方向と呼ぶ。
【0081】
「ガイドワイヤコア20の長さ方向」とは、例えば、図1中に示すガイドワイヤコア20の中心軸O1-O1方向を意味する。ガイドワイヤ10の中心軸とガイドワイヤコア20の中心軸とは実質的に一致する。したがって、ガイドワイヤコア20の長さ方向とガイドワイヤ10の長さ方向とは実質的に同一である。縦方向断面図とは、ガイドワイヤ10の長さ方向に沿った断面図である。
【0082】
図3は、導電性トレースと導電性バンドとが電気的に接続された状態を示す縦方向断面図である。図3の構造は、ガイドワイヤ10の遠位端側または近位端側のいずれにも適用可能である。ガイドワイヤ10の遠位端側と近位端側の両方に、図3に示す構造が設けられてもよい。
【0083】
ガイドワイヤコア20の表面には、第1絶縁層21が設けられている。第1絶縁層21の表面には、複数の導電性トレース22がガイドワイヤコア20の側面方向に離隔して形成されている。互いに隣接する導電性トレース22の間には、図6で後述する隙間28が形成される。隙間28は、例えば、第1絶縁層21の表面に形成された導電層を、レーザー光線などによって所定形状にエッチングすることにより形成される。レーザー光線の出力および/または走査軌跡などを制御することにより、所望の幅寸法を持つ隙間28を形成することができる。隙間28は、通常、絶縁性物質で埋められる。隙間28は、絶縁性を持つ間隔セグメントと呼ぶこともできる。
【0084】
各導電性トレース22の遠位端または近位端のいずれかまたは両方の端部には、複数の電気的接続部24が設けられている。各導電性トレース22の遠位端側の電気的接続部24は、プリント配線基板60を介してセンサ52と電気的に接続するためのものである。各導電性トレース22の近位端側の電気的接続部24は、測定装置などの外部機器(不図示)などに電気的に接続するためのものである。各電気的接続部24は、内側開口部231と、導電性接続部材25とを含んで構成される。内側開口部231は、導電性トレース22に到達するように第2絶縁層23に形成された開口部である。導電性接続部材25は、内側開口部231の少なくとも一部を覆うようにして設けられた導電性バンド30と導電性トレース22とを電気的に接続する。導電性接続部材25は、内側開口部231内に設けられる。後述の例では、導電性接続部材25は、内側開口部231と図10で述べる外側開口部301とに設けられる。
【0085】
図26で後述するように、導電性トレース22の外側に第2絶縁層23を挟んで第2導電性トレース26が設けられる場合、第2導電性トレース26を覆う第3絶縁層27の所定箇所が開口することにより、電気的接続部24が形成される。この場合、第3絶縁層27の所定箇所には、図21で後述するように、第2内側開口部271が形成される。電気的接続部24Mのうち第1導電性トレース22に接続される電気的接続部24Mは、第1の内側開口部231および第2内側開口部271の両方に設けられた導電性接続部材25を介して、第1導電性トレース22に電気的に接続される。電気的接続部を、電気的に接続するために絶縁層の所定位置に形成された開口部、すなわちビアホールと言い換えることもできる。
【0086】
導電性バンド30は、導電性材料から筒状、環状、またはC字状に形成されている。各導電性バンド30は、それぞれ同一形状で形成されてもよいし、いずれか少なくとも一つの導電性バンド30の幅寸法を他の導電性バンドの幅寸法と異ならせてもよい。いずれか少なくとも一つの導電性バンド30の厚さ寸法を他の導電性バンド30の厚さ寸法と異ならせてもよい。
【0087】
導電性バンド30は、各電気的接続部24に対応して、第2絶縁層23の表面に設けられている。各導電性バンド30は、それぞれに対応する電気的接続部24の内側開口部231の少なくとも一部を覆うようにして、設けられている。各導電性バンド30と対応する電気的接続部24とは、導電性接続部材25によって電気的に接続されている。
【0088】
図3では、導電性バンド30の内周面の所定領域と電気的接続部24とが導電性接続部材25によって電気的に接続されている例を示す。すなわち、導電性バンド30と導電性接続部材25とは平面的に接続される。正確には、導電性バンド30と導電性接続部材25とは曲面で接続される。
【0089】
導電性バンド30と導電性接続部材25とは、異なる導電性材料から形成されてもよいし、同一の導電性材料から形成されてもよい。導電性バンド30と導電性接続部材25とは、それぞれ別の部材として形成されてもよいし、一体化されて形成されてもよい。導電性材料としては、例えば、銅、銀、金などの導電性を有する金属材料や、導電性を有するポリマなどがある。導電性ポリマは、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアニリンであるが、これらの材料に限定されない。
【0090】
ガイドワイヤコア20は、導電性材料から形成することができる。ガイドワイヤコア20がステンレス鋼などの導電性材料から形成される場合、ガイドワイヤコア20自体をグランド電極として使用することができる。ガイドワイヤコア20の表面に良導電性金属層(不図示)を形成してもよい。良導電性金属層は銅、金、銀などの金属に限らない。良導電性金属層を導電性ポリマから形成してもよい。良導電性金属層29をガイドワイヤコア20の表面に形成することにより、ガイドワイヤコア20をグランド層(GND)として使用する場合の、リターンパスを確保することができる。ガイドワイヤコア20単独でグランド電極として使用することもできる。
【0091】
ガイドワイヤコア20を電気的なグランドとして使用しない場合は、複数の導電性トレース22のうちいずれかの導電性トレース22を電気的なグランドとして使用することもできる。ガイドワイヤコア20といずれか一つの導電性トレース22とを、電気的なグランドとして使用することもできる。
【0092】
図4は、図3中の矢示IV-IV方向から見た断面図である。図5は、図3中の矢示V-V方向から見た断面図である。上述のように、ガイドワイヤコア20の表面には、第1絶縁層21が全周にわたって形成されている。第1絶縁層21の表面には、ガイドワイヤコア20の側面方向に離隔する複数の導電性トレース22が形成されている。第2絶縁層23は、第1絶縁層21および複数の導電性トレース22の両方を覆うようにして形成されている。第1絶縁層21と、導電性トレース22と、第2絶縁層23とは、ビルドアップ方式で形成されている。第1絶縁層21と第2絶縁層23は、ガイドワイヤ10に要求される特性に応じた材料を使用することができる。これら絶縁層21,23に要求される特性には、例えば、電気絶縁性、コア密着性、誘電特性(低ε)、耐熱性、耐滅菌性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、良滑り性、耐防水湿性、防錆、親水コート剤(ヒアルロン酸、シリコーン、・・)との密着性等がある。
【0093】
第1絶縁層21の特性と第2絶縁層23の特性とを違えることもできる。一つの例では、第1絶縁層21は、第2絶縁層23よりも誘電率の小さい材料から形成されてもよい。第1絶縁層21の誘電率を小さくすることにより、導電性トレース22とガイドワイヤコア20との間の寄生容量を少なくすることができる。すなわち、ガイドワイヤコア20を導電性トレース22と共に電気配線として利用する場合、導電性トレース22とガイドワイヤコア20との間の相互キャパシタンスは、導電性トレース同士の間に生じる相互キャパシタンスに比べて、ずっと大きくなる傾向がある。この相互キャパシタンスの増加を抑制する場合は、導電性トレース22とガイドワイヤコア20との間に挟まれた第1絶縁層21をより低誘電率の誘電材料にすることが有効である。他の一つの例では、第1絶縁層21は、第2絶縁層23よりも、ガイドワイヤコア20の表面との密着性の高い材料から形成されてもよい。さらに他の一つの例では、第2絶縁層23は、第1絶縁層21よりも耐湿性の高い材料から形成されてもよい。
【0094】
第1絶縁層21および/または第2絶縁層23に使用可能な材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、BCB、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、LCP(液晶ポリマー)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(テトラフルオロエチレン(C2F4)とエチレン(C2H4)の共重合体)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、パリレン樹脂、ソルダーレジスト等をあげることができる。
【0095】
一つの例として、第1絶縁層21をポリイミドから形成し、第2絶縁層23をポリイミド(フィラー含有強化グレード)から形成してもよい。他の一つの例として、第1絶縁層21をLCPから形成し、第2絶縁層23をポリイミドから形成してもよい。さらに他の一つの例として、第1絶縁層21をLCPから形成し、第2絶縁層23をPEEKから形成してもよい。さらに別の一例として、第1絶縁層21をポリイミドから形成し、第2絶縁層23をPTFEから形成してもよい。他の一例として、第1絶縁層21をポリイミドから形成し、第2絶縁層23をパリレンから形成してもよい。
【0096】
各導電性トレース22の幅寸法と厚さ寸法とは、その導電性トレース22の使用目的に合わせて設定することができる。各導電性バンド30の幅寸法と厚さ寸法とは、その導電性バンド30の使用目的に合わせて設定することができる。
【0097】
図6は、ガイドワイヤ10Aの長さ方向の一端側を上方から見た図であり、各導電性トレース22と各電気的接続部24と各導電性バンド30との配置関係を示す。図6では、2つの導電性トレース22(1),22(2)を例に挙げて説明するが、導電性トレース22の数は2本に限らない。ガイドワイヤ10Aは、3本以上の導電性トレース22を備えることもできる。図6に示す配置は、ガイドワイヤ10Aの長さ方向の両端側、すなわちガイドワイヤの遠位端側または近位端側の少なくともいずれか一方に適用可能である。ここでは、ガイドワイヤ10Aの遠位端側における構成として説明する。すなわち、図6の右側は、ガイドワイヤ10Aの遠位端側である。ここでは、複数の導電性トレース22と複数の電気的接続部24および複数の導電性バンド30を区別するために、これら構成を示す符号にかっこ付きの番号(1),(2)を添えている。
【0098】
一つの導電性トレース22(1)の端部221(1)は、ガイドワイヤコア20の遠位端側へ延びる直線状(矩形状)に形成されている。他の一つの導電性トレース22(2)の端部221(2)は、導電性トレース22(1)の端部221(1)よりもさらにガイドワイヤコア20の遠位端側へ延びて、導電性トレース22(1)の方へ略90度曲がっている。これにより、導電性トレース22(2)の遠位端側は、全体として略L字状に形成されている。
【0099】
導電性トレース22(1)のトレース幅TW11と導電性トレース22(2)の端部221(2)以外のトレース幅TW12(長さ方向のトレース幅TW12)とは実質的に同一に設定される(TW11=TW12)。導電性トレース22(2)の端部221(2)のトレース幅TW2は、長さ方向のトレース幅TW12よりも広くすることができる(TW2>TW12)。長さ方向のトレース幅TW12よりも広い幅TW2を有する端部221(2)を、例えばフラッグ部と呼ぶことができる。あるいは、端部221(2)を、大面積部またはランド部と呼ぶこともできる。フラッグ部や大面積部等の呼び方は、その他の端部221についても同様である。
【0100】
複数の導電性トレース22(1),22(2)の端部221(1),221(2)は、ガイドワイヤコア20の長さ方向に対して並列するように設けられている。一つの導電性トレース22(1)の端部221(1)には、電気的接続部24(1)が設けられている。他の一つの導電性トレース22(2)の端部221(2)には、電気的接続部24(2)が設けられている。複数の電気的接続部24(1),24(2)のそれぞれ中心を通る線O2は、ガイドワイヤコア20の長さ方向の軸O1に対して実質的に平行である。各電気的接続部24(1),24(2)は、正確に直線O2上に位置している必要はなく、ガイドワイヤコア20の周方向(ガイドワイヤコアの短軸方向)に多少ずれて配置されてもよい。換言すれば、製造公差などを考慮した所定範囲内に各電気的接続部24(1),24(2)が配置されていればよい。あるいは、一つの導電性トレース22(1)に設けられる電気的接続部24(1)の中心位置(重心位置)は、導電性トレース22(1)の幅寸法W1と、他の一つの導電性トレース22(2)の端部221(2)の周方向の幅寸法W2とが重なった範囲内に存在すればよい。
【0101】
導電性トレース22(1)の端部221(1)の遠位端から導電性トレース22(2)の端部221(2)の近位端までの寸法L1は、導電性トレース22(1)と導電性トレース22(2)の周方向(SD方向)の隙間28の寸法L2よりも大きくすることができる。寸法L1と寸法L2とをほぼ等しくしてもよいし、あるいは、寸法L1を寸法L2よりも短くしてもよい。ガイドワイヤコア20の長さ方向の軸O1に3つ以上の電気的接続部24が配置される例は、後述する。
【0102】
各電気的接続部24(1),24(2)には、それぞれ導電性バンド30(1),30(2)が設けられている。電気的接続部24(1)は、導電性接続部材25(図6では図示省略)を介して、導電性トレース22(1)と導電性バンド30(1)を電気的に接続する。電気的接続部24(2)は、導電性接続部材25(同じく図6では図示省略)を介して、導電性トレース22(2)と導電性バンド30(2)を電気的に接続する。
【0103】
図7は、図5の変形例である。ガイドワイヤ10AAの導電性バンド30Aは、周方向に隙間30A1を有する横断面C字状に形成されてもよい。例えば、横断面C字状の導電性バンド30Aを第2絶縁層23の外側から被せてかしめることにより、導電性バンド30Aをガイドワイヤコア20に取り付けることができる。
【0104】
図8A図8Cおよび図9を用いて、複数の導電性トレース22と複数の電気的接続部24と複数の導電性バンド30の関係を幾つか説明する。図8A図8Cおよび図9は、導電性トレース22および電気的接続部24などの配置関係がわかるように、ガイドワイヤの周面を平面に展開した図である。図8A図8Cおよび図9では、各導電性トレース22および各電気的接続部24を区別するために、かっこ付き数字を添えている。図8A図8Cおよび図9では、ガイドワイヤコア20および絶縁層21,23の図示を省略し、各導電性トレース22と各電気的接続部24および各導電性バンド30の配置を模式的に示す。以下の図面では、他の実施例で述べた構成と区別するために、ガイドワイヤの符号に添えた大文字のアルファベットを導電性トレース22、電気的接続部24などにも添える。
【0105】
図8Aには、複数の導電性トレースの例として、3つの導電性トレース22B(1)~22B(3)が示されている。図中中央に位置する導電性トレース22B(2)は直線状に形成されており、フラッグ部は設けられていない。これに対し、導電性トレース22B(2)を挟むようにしてガイドワイヤコア20の周方向に離隔して配置される導電性トレース22B(1),22B(3)の遠位端側には、導電性トレース22B(2)の端部の位置する直線O2上へ延びるフラッグ部221B(1),221B(3)が形成されている。各導電性トレース22B(1)~22B(3)の近位端側にはフラッグ部は形成されていない。
【0106】
図中上側の導電性トレース22B(1)では、遠位端側端部221B(1)に電気的接続部24B(1)が設けられており、近位端側に電気的接続部24B(4)が設けられている。図中中央の導電性トレース22B(2)では、遠位端側に電気的接続部24B(2)が設けられており、近位端側に電気的接続部24B(5)が設けられている。図中下側の導電性トレース22B(3)では、遠位端側の端部221B(3)に電気的接続部24B(3)が設けられており、近位端側に電気的接続部24B(6)が設けられている。
【0107】
各電気的接続部24B(1)~24B(6)には、導電性バンド30Bがそれぞれ設けられている。これにより、導電性トレース22B(1)~22B(6)は、電気的接続部24B(1)~24B(6)を介して、対応する導電性バンド30Bに電気的に接続される。導電性トレース22B(1)~22B(6)の遠位端側は、導電性バンド30Bを介してセンサ52(ここでは不図示)に電気的に接続される。導電性トレース22B(1)~22B(6)の近位端側は、導電性バンド30Bを介して、外部機器(不図示)に電気的に接続される。この説明は、図8B図8Cおよび図9に示す例についても同様に適用される。
【0108】
図8Aに示すガイドワイヤ10Bでは、遠位端側の複数の電気的接続部24B(1)~24B(3)は、ガイドワイヤコア20(不図示)の長さ方向の軸O1(不図示)に平行な線O3上に配置されている。近位端側の複数の電気的接続部24B(4)~24B(6)は、ガイドワイヤコア20の周方向であるSD方向(側面方向SDと呼ぶこともできる。)に沿って配置されている。このように、複数の第1導電性トレース22B(1)~22B(3)のうち遠位端側の電気的接続部24B(1)~24B(3)だけを直線O3に沿って配置してもよい。
【0109】
図8Bに示すガイドワイヤ10Cは、複数の導電性トレースの例として、3つの導電性トレース22C(1)~22C(3)を持つ。図中中央に位置する導電性トレース22C(2)は直線状に形成されており、フラッグ部は設けられていない。導電性トレース22C(2)を挟むようにしてガイドワイヤコア20の周方向に離隔して配置される導電性トレース22C(1),22C(3)の近位端側および遠位端側には、導電性トレース22C(2)の端部の位置する直線O4上へ延びるフラッグ部221C(1),221C(3)が形成されている。すなわち、導電性トレース22C(1),22C(3)の近位端側および遠位端側は、中央の導電性トレース22C(2)へ向けて直角に折れ曲がって延びるフラッグ部221C(1),221C(3)が形成されている。導電性トレース22C(2)がガイドワイヤコア20の長さ方向の軸O1に平行に配置される場合、導電性トレース22C(2)の長さ方向の両端の中心を結ぶ直線O4は、ガイドワイヤコア20の長さ方向の軸O1に対して実質的に平行な線となる。
【0110】
導電性トレース22C(1)では、遠位端側端部221C(1)に電気的接続部24C(1)が設けられており、近位端側に電気的接続部24C(4)が設けられている。導電性トレース22C(2)では、遠位端側に電気的接続部24C(2)が設けられており、近位端側に電気的接続部24C(5)が設けられている。導電性トレース22C(3)では、遠位端側の端部221C(3)に電気的接続部24C(3)が設けられており、近位端側の端部221C(6)に電気的接続部24C(6)が設けられている。
【0111】
図8Bに示すガイドワイヤ10Cでは、遠位端側に位置する複数の電気的接続部24C(1)~24C(3)と近位端側に位置する複数の電気的接続部24C(4)~24C(6)とは、ガイドワイヤコア20の長さ方向の軸O1に実質的に平行な直線O4上に配置される。
【0112】
図8Cに示すガイドワイヤ10Dも、複数の導電性トレースの例として、3つの導電性トレース22D(1)~22D(3)を持つ。導電性トレース22D(2)は直線状に形成されており、フラッグ部は設けられていない。導電性トレース22D(2)を挟むようにしてガイドワイヤコア20の周方向に離隔して配置される導電性トレース22D(1),22D(3)の遠位端側には、導電性トレース22D(2)の端部の位置する直線O5上へ延びるフラッグ部221D(1),221D(3)が形成されている。導電性トレース22D(1),22D(3)の近位端側は、導電性トレース22D(2)の端部の位置する直線O5上へ延びるフラッグ部221D(4),221D(6)が形成されている。直線O5は、ガイドワイヤ10Dの周方向中央に位置する導電性トレース22D(2)の長さ方向の両端の中心を結ぶ線である。導電性トレース22D(2)がガイドワイヤコア20の長さ方向の軸O1に平行に配置される場合、直線O5は軸O1に対して実質的に平行な線となる。
【0113】
図8Cに示すガイドワイヤ10Dと図8Bで述べたガイドワイヤ10Cとを比較すると、導電性トレース22D(1),22D(3)の長さ寸法と導電性トレース22C(1),22C(3)の長さ寸法が異なる。図8Bの例では、導電性トレース22C(3)の両端部221C(3),221C(6)は、導電性トレース22C(1)の両端部221C(1),221C(4)よりもガイドワイヤコア20の長さ方向の外側に位置している。すなわち、導電性トレース22C(3)の長さ寸法は、導電性トレース22C(1)の長さ寸法よりも大きい。これに対し、図8Cの例では、導電性トレース22D(1)の長さ寸法と導電性トレース22D(3)の長さ寸法とは実質的に同一である。
【0114】
図8Bの例では、ガイドワイヤコアの長さ方向の最も遠位端側に導電性トレース22C(3)の遠位端側の端部221C(3)が位置しており、ガイドワイヤコアの長さ方向の近位端側に導電性トレース22C(3)の近位端側の端部221C(6)が位置している。導電性トレース22C(2)は、その長さ寸法が最も短く形成されている。導電性トレース22C(1)の遠位端側の端部221C(1)は、導電性トレース22C(3)の遠位端側の端部221C(3)と導電性トレース22C(2)の遠位端側の端部との間に位置する。導電性トレース22C(1)の近位端側の端部221C(4)は、導電性トレース22C(3)の近位端側の端部221C(6)と導電性トレース22C(2)の近位端側の端部との間に位置する。
【0115】
これに対し、図8Cの例では、ガイドワイヤコア20の遠位端側では、ガイドワイヤコア20の長さ方向の最も遠位端側に導電性トレース22D(3)の遠位端側端部221D(3)が位置する。遠位端側端部221D(3)よりも近位端側に、導電性トレース22D(1)の遠位端側の端部221D(1)が位置する。遠位端側の端部221D(1)よりも近位端側に、導電性トレース22D(2)の遠位端側が位置する。ガイドワイヤコアの近位端側では、ガイドワイヤコア20の長さ方向の最も近位端側に導電性トレース22D(1)の近位端側の端部221D(6)が位置する。近位端側の端部221D(6)よりも遠位端側に、導電性トレース22D(3)の近位端側の端部221D(4)が位置する。近位端側の端部221D(4)よりも遠位端側に、導電性トレース22D(2)の近位端側の端部が位置している。
【0116】
図8Cに示すように、導電性トレース22D(1)の長さ寸法(配線長)と導電性トレース22D(3)の長さ寸法(配線長)とを実質的に等しくすることにより、差動信号用の配線ペアを得ることができる。等長配線ペアの例についてはさらに後述する。
【0117】
図9に示すように、導電性トレース22E(1)~22E(3)の遠位端側を直角以外の角度で曲げてもよい。図9のガイドワイヤ10Eでは、ガイドワイヤコア20(不図示)の長さ方向の軸O1に実質的に平行な線O6上に各導電性トレース22E(1)~22E(3)の遠位端側の電気的接続部24E(1)~24E(3)が位置するように、線O6から周方向(SD方向)へ離隔した導電性トレース22E(1),22E(2)の遠位端側が線O6に向けて斜めに延びている。
【0118】
導電性トレース22E(3)は、線O6上に位置して線状(矩形状)に形成されている。導電性トレース22E(3)の遠位端側には電気的接続部24E(3)が設けられ、導電性トレース22E(3)の近位端側には電気的接続部24E(6)が設けられている。
【0119】
導電性トレース22E(2)は、導電性トレース22E(3)からガイドワイヤコア20の周方向に離隔して形成されている。導電性トレース22E(2)の遠位端側は、導電性トレース22E(3)の遠位端よりもさらにガイドワイヤコア20の遠位端側に向けて、線O6と交わる位置まで延びている。導電性トレース22E(2)の遠位端側には電気的接続部24E(2)が設けられ、導電性トレース22E(2)の近位端側には電気的接続部24E(5)が設けられている。
【0120】
導電性トレース22E(1)は、導電性トレース22E(2)からガイドワイヤコア20の周方向へ離隔して形成されている。導電性トレース22E(1)の遠位端側は、導電性トレース22E(2)の遠位端よりもさらにガイドワイヤコア20の遠位端側に向けて、線O6と交わる位置まで延びている。導電性トレース22E(1)の遠位端側には、電気的接続部24E(1)が設けられている。導電性トレース22E(1)の近位端側には、電気的接続部24E(4)が設けられている。
【0121】
各電気的接続部24E(1)~24E(6)には、それぞれ導電性バンド30Eが設けられている。各導電性トレース22E(1)~22E(6)は、対応する電気的接続部24E(1)~24E(6)に設けられた導電性接続部材25(不図示)により、対応する導電性バンド30Eと電気的に接続されている。
【0122】
図10は、複数の電気的接続部24Fと複数の導電性バンド30Fとが電気的に接続された様子を示す平面図である。図10は、ガイドワイヤ10Fの近位端側(ガイドワイヤコア20の近位端側)を示している。
【0123】
導電性バンド30Fは、筒状、環状あるいは略C字状に形成されている。以下の説明において、導電性バンドの幅方向とは、導電性バンドをガイドワイヤコアに取り付けた場合に、ガイドワイヤコアの長さ方向の軸O1に沿った方向である。したがって、導電性バンド30Fの幅方向の両端部とは、ガイドワイヤコア20の近位端側の端部と、ガイドワイヤコア20の遠位端側の端部である。
【0124】
導電性バンド30Fの幅方向(ガイドワイヤの長さ方向)の両端部のうち遠位端側の端部には、外側開口部301Fが形成されている。外側開口部301Fは、導電性バンド30Fの幅方向両端部のうち遠位端側の端部を矩形状に切り欠くようにして形成されている。外側開口部301Fは、その遠位端側が開いた矩形状に形成されている。外側開口部301Fを切り欠き部301Fと呼ぶこともできる。
【0125】
導電性バンド30Fの外側開口部301Fは、第2絶縁層23(不図示)に開口された第1内側開口部231Fに一部重なるようにして、ガイドワイヤコア20に取り付けられる。半田などの導電性接続部材25Fが、外側開口部301Fから内側開口部231F内へ充填されることにより、導電性バンド30Fと導電性トレース22(図10では図示省略)とは、電気的にかつ機械的に接続される。すなわち、外側開口部301Fの内部および第1内側開口部231Fの内部に設けられる導電性接続部材25Fによって、導電性バンド30Fは導電性トレース22に接着または固着されると共に、導電性トレース22に電気的に接続される。
【0126】
図10に示す導電性バンド30Fをガイドワイヤコア20へ取り付ける様子を、図11A図11Dを用いて説明する。
【0127】
図11Aは、ガイドワイヤコア20の平面図である。第2絶縁層23の所定位置には、矩形状の第1内側開口部231Fが形成されている。第1内側開口部231Fは、第1導電性トレース22の表面に届くようにして角筒状に形成されているため、第1内側開口部231F内で導電性トレース22の一部が露出している。
【0128】
図11Bは、一つの導電性バンド30Fの平面図である。上述の通り、導電性バンド30Fの幅方向両端部のうち遠位端側が矩形状に切りかかれて、外側開口部301Fが形成されている。
【0129】
図11Cは、図11Bに示す導電性バンド30Fを図11Aに示すガイドワイヤコア20に取り付けた状態を示す。外側開口部301Fが第1内側開口部231Fの近位端側と重なるように、導電性バンド30Fはガイドワイヤコア20の外側に取り付けられる。外側開口部301Fは、例えば、第1内側開口部231Fの面積の略半分程度に重なるようにして、ガイドワイヤコア20に取り付けることができる。
【0130】
図11Dは、外側開口部301Fの内部および第1内側開口部231Fの内部に、半田などの導電性接続部材25Fを注入することにより、導電性バンド30Fと導電性トレース22とを電気的かつ機械的に接続した状態を示す。導電性バンド30Fが金属材料から形成されており、かつ導電性接続部材25Fが半田などの金属材料から形成されている場合、導電性バンド30Fを形成する金属と導電性接続部材25Fを形成する金属とが接合する面積を広くすることができる。これにより、導電性バンド30Fと導電性トレース22との電気的かつ機械的接続の信頼性を向上させることができる。
【0131】
図12に示すように、導電性バンド30FFの外側開口部301FFの開口寸法L5は、第1内側開口部231FFの開口寸法L6よりも少し小さく設定することもできる。開口寸法L5,L6は、開口部301FF,231FFの周方向(SD方向)の長さである。外側開口部301FFは、第1内側開口部231FFの面積の略半分以上と重なるようにして、ガイドワイヤコア20に取り付けることができる。
【0132】
図13に示すガイドワイヤ10Gでは、導電性バンド30Gの幅方向両端側に、軸O1方向の一辺が開いた外側開口部301Gが形成されている。第1内側開口部231Gは、導電性バンド30Gの幅寸法L7よりも長く形成されている。第1内側開口部231Gの略中央に位置するように、導電性バンド30Gがガイドワイヤコア20に取り付けられる。半田などの導電性接続部材25(不図示)は、導電性バンド30Gの幅方向両側の外側開口部301Gの内部から第1内側開口部231Gの内部へ向けて充填される。
【0133】
図13に示す例は、図11または図12に示す例に比べて、導電性バンド30Gと導電性接続部材25とが接触する面積を広くできる。このため、図13に示すガイドワイヤ10Gでは、導電性バンド30Gおよび導電性接続部材25がいずれも導電性金属材料から形成される場合に、導電性バンド30Gと導電性トレース22との電気的かつ機械的接続の信頼性をさらに向上させることができる。
【0134】
図14に示すガイドワイヤ10Hでは、導電性バンド30Hの幅方向両側に、略台形状に切り欠かれた外側開口部301Hが形成されている。第1内側開口部231Hは、導電性バンド30Hの幅寸法L8よりも長く形成されている。
【0135】
外側開口部301Hは、平面視で、導電性バンドの30Hの幅方向の両端部のうち一つの端部で開口する箇所3011から、導電性バンド30Hの幅方向へ変位した位置にある辺3012へ向かうにつれて広がる台形状に形成されている。外側開口部301Hは、逆テーパ状に形成されていると表現してもよい。逆テーパ状とは、開口する箇所3011から導電性バンド30Hの幅方向中心側へ進むにつれて、開口幅WHが次第に増加する形状を意味する。逆に言えば、各外側開口部301Hは、導電性バンド30Hの幅方向の中央寄りに位置する辺3012から導電性バンド30Hの端部(開口する箇所3011)へ向かうにつれて次第に開口幅WHが減少するテーパ状に形成されている。
【0136】
外側開口部301Hを導電性バンド30Hの幅方向両側に形成することにより、図13の例で述べたと同様に、導電性バンド30Hと導電性トレース22との電気的かつ機械的接続を信頼性が高まる。さらに、外側開口部301Hは、逆テーパ状または略台形状に形成されるため、ガイドワイヤコア20の長さ方向の軸O1に対して傾斜する辺3013を有する。したがって、平面視において、導電性バンド30Hは、軸O1に対して直交する辺3012だけでなく、軸O1に対して90度以外の角度で交差する辺3013,3013も備えることができる。これにより、導電性バンド30Hは、角度の異なる複数の方向から導電性接続部材25により、導電性トレース22に電気的かつ機械的に接続される。したがって、ガイドワイヤ10Hが血管などの体組織に挿入されて移動した場合に、導電性バンド30Hの位置がずれるのを抑制することができる。
【0137】
図15図17に示すガイドワイヤ10Jでは、外側開口部301Jの面積の方が第1内側開口部231Jの面積よりも広い。導電性バンド30Jの略中央には、矩形状の外側開口部301Jが形成されている。例えば、外側開口部301Jの中心は、導電性バンド30Jの幅方向(軸O1方向)の略中心であって、かつ導電性バンド30Jの周方向(SD方向)の略中心に位置する。ただし、外側開口部301Jは、導電性バンド30Jの中央から外れた場所に設けられてもよい。複数の外側開口部301Jを導電性バンド30Jに形成してもよい。
【0138】
図16は、図15の例の縦方向断面図である。外側開口部301Jの幅寸法(軸O1方向の寸法)は、第1内側開口部231Jの幅寸法よりも長くなっている。外側開口部301Jの内部と第1内側開口部231Jの内部とに、半田などの導電性接続部材25Jが設けられている。
【0139】
図17は、図16中の矢示方向から見た平面図である。上述の通り、外側開口部301Jの面積の方が第1内側開口部231Jの面積よりも大きい。換言すれば、外側開口部301Jは、第1内側開口部231Jよりも大きな矩形状に形成されている。例えば、外側開口部301Jの形状と第1内側開口部231Jの形状とは相似である。ただし、外側開口部301Jの形状と第1内側開口部231Jの形状とが相似しない場合も、本開示の範囲に含まれる。例えば、外側開口部301Jの縦横の比と第1内側開口部231Jの縦横の比とは異なってもよい。さらに、外側開口部301Jの形状と第1内側開口部231Jの形状とは異なってもよい。例えば、外側開口部301Jが矩形状で、第1内側開口部231Jが三角形状でもよいし、外側開口部301Jが楕円状で、第1内側開口部231Jが正円状でもよい。これら以外の形状の組合せも本開示の範囲に含まれる。
【0140】
図18および図19に示すガイドワイヤ10Kでは、第1内側開口部231Kの面積の方が外側開口部301Kの面積よりも大きい。これにより、導電性接続部材25Kが導電性トレース22に接触する面積を図16の例に比べて大きくすることができる。したがって、導電性バンド30Kと導電性トレース22との電気的かつ機械的接続の信頼性を向上させることができる。外側開口部301Kと第1内側開口部231Kとは、相似形状でもよいし、異なる形状でもよい。
【0141】
図19は、図18中の矢示方向から見た平面図である。外側開口部301Kの中心と第1内側開口部231Kの中心は一致している。外側開口部301Kと第1内側開口部231Kとは相似形状である。しかし、外側開口部301Kの中心と第1内側開口部231Kの中心とがずれている構成も本開示の範囲に含まれる。
【0142】
導電性バンド30Kと導電性トレース22とを半田や導電性ペーストなどで電気的に接続した後で、導電性バンド30Kの外側周縁および外側開口部301K内に接着剤を塗布または充填することにより、導電性バンド30Kをガイドワイヤコア20に機械的に接続することもできる。上述の他の例も同様に、導電性材料により導電性バンドとガイドワイヤ20の導電性トレース22とを電気的に接続すると共に、非導電性材料により導電性バンドとガイドワイヤ20とを機械的に接続してもよい。あるいは、上述のように、半田のような導電性と接着性を兼ね備える材料を用いることにより、導電性バンドとガイドワイヤコア20とを電気的かつ機械的に接続してもよい。
【0143】
図20は、導電性接続部材として異方性導電性材料を用いた例を示すガイドワイヤ10Lの横断面図である。第2絶縁層23と導電性バンド30Lとの間には、異方性導電性材料から形成された異方性導電性層251が設けられている。電気的接続部24Lは、第1内側開口部231と当該第1内側開口部231内に侵入した異方性導電性材料の層251とから構成される。
【0144】
第2絶縁層の表面と第1内側開口部231の内部とに、異方性導電性材料を塗布または貼付し、異方性導電性材料の外側から導電性バンド30Lを被せて圧着または熱圧着することにより、導電性バンド30Lを導電性トレース22に電気的に接続すると共に、導電性バンド30Lをガイドワイヤコア20に機械的に取り付けることができる。これにより、導電性バンド30Lと導電性トレース22とを電気的に接続した後で、導電性バンド30Lの外側から接着剤を充填して固定する場合に比べて、より確実に導電性バンド30Lをガイドワイヤコア20に電気的かつ機械的に接続することができる。
【0145】
異方性導電性材料には、例えば、ACF(Anisotropic Conductive Film)、ACP (Anisotropic Conductive Paste)、ACR(Anisotropic Conductive Rubber)がある。ACFは、熱硬化性のエポキシ樹脂の中に導電性粒子を分散させて形成した封止樹脂である。ACPは、熱硬化性のエポキシ樹脂の中に導電性粒子を分散させてペースト状に形成したものである。
【0146】
ACFまたはACPから層251が形成された場合、導電性バンド30Lを層251に被せて熱圧着すると、異方性の導電パスが形成される。その導電パスは半永久的なパスとなり、導電性バンド30Lが取り外されても導通状態はそのまま維持される。これにより、導電性バンド30Lと絶縁層を構成するポリイミドとの間の確実な接着と、強度アップとを実現することができる。一方、ACRは、加圧時のみ導通し、圧力がかからなくなると導通は失われる。
【0147】
導電性バンド30Lと絶縁層23および導電性トレース22との間に異方性導電性層251を設けることにより、導電性バンド30Lと絶縁層23および導電性トレース22とを、電気的かつ機械的に接続することができると共に、その電気的かつ機械的接続に耐久性を持たせることができる。例えば、半田や導電性接着剤によって導電性バンド30Lと導電性トレース22等とを接続した場合、外部から加わる機械的ストレスによりクラックを生じる可能性がある。柔軟な異方性導電性層251を用いて電気的接続部24Lを構成することにより、電気的接続部24Lに柔軟性を持たせることができる。もしも電気的接続部24Lにクラックが一時的に発生したとしても、柔軟な異方性導電性層251により、そのクラックは自然に解消される。したがって、外部のストレスが加わった場合でも、導電性バンド30Lと導電性トレース22との電気的接続を維持することができ、ガイドワイヤ10Lの信頼性が高まる。
【0148】
図21は、複数の導電性トレース22,26の層を有するガイドワイヤ10Mの遠位端側を示す縦方向断面図である。図22は、複数の導電性トレース22,26の層を有するガイドワイヤ10Mの近位端側を示す縦方向断面図である。
【0149】
ガイドワイヤ10Mでは、ガイドワイヤコア20に複数の導電性トレース層がビルドアップ方式で形成されている。第1導電性トレース層は、第1導電性トレース22の形成される導電層である。第2導電性トレース層は、第2導電性トレース26の形成される導電層である。各導電性トレース22,26には、それぞれ異なるプリント配線基板を介して、異なるセンサ(いずれも不図示)を接続することもできる。
【0150】
第2導電性トレース層の表面は第3絶縁層27で覆われている。第3絶縁層27の所定箇所には、第2内側開口部271が形成されている。第2導電性トレース層の電気的接続部24M(2)は、第2内側開口部271と導電性接続部材25とから構成される。第1導電性トレース層の電気的接続部24M(1)は、第1内側開口部231と第2内側開口部271と導電性接続部材25から構成される。各電気的接続部24M(1),24M(2)は、導電性接続部材25により、対応する導電性バンド30に電気的かつ機械的に接続されている。導電性接続部材25としては、例えば、半田、導電性接着剤、ACF、ACPなどを用いることができる。
【0151】
図23は、導電性ワイヤ32から形成された導電性バンド30Nにセンサ52を搭載するプリント配線基板60が取り付けられる前の、ガイドワイヤ10Nの遠位端側を示す。導電性ワイヤ32は、例えば金、銀、銅、金合金などの導電性金属材料から形成された、微細径なワイヤまたはリボン線である。導電性ワイヤ32を、いわゆるワイヤボンディング法により絶縁層23の上からガイドワイヤコア20に巻回し、導電性トレース22に固定することにより、導電性バンド30Nが形成される。すなわち、導電性ワイヤ32を第1内側開口部231の位置で絶縁層23の上からガイドワイヤコア20に巻回し、導電性ワイヤ32の両端部を第1内側開口部231内で導電性トレース22に接着して固定することにより、導電性バンド30Nを得ることができる。
【0152】
導電性ワイヤ32は、導電性トレース22の端部221(図23では図示省略)に電気的かつ機械的に接続される。フラッグ状に形成される端部221は、例えば、銅メッキされた導電性トレースの表面に金またはニッケルと金の合金をメッキした金属多層膜として形成することができる。導電性ワイヤ32は、金、金合金、アルミニウムなどから形成することができる。金または金合金は電気化学的に安定であるため、導電性ワイヤ32を金または金合金から形成すれば、隣接する導電性バンド30Nの間でイオンの移動が生じるのを抑制することができる。
【0153】
プリント配線基板60の遠位端側には、センサ52が搭載されている。プリント配線基板60の近位端側には、複数のパッド611が導電性バンド30Nに対応して設けられている。各パッド611は、センサ52の端子と配線パターン(いずれも不図示)を介して電気的に接続されている。各パッド611を対応する導電性バンド30Nに、半田または導電性接着剤などで固定することにより、導電性トレース22とセンサ52とが電気的に接続される。
【0154】
図24は、ガイドワイヤ10Pの遠位端側を示す。図24では、ガイドワイヤコア20の遠位端側に導電性バンド30およびプリント配線基板60を用いて、センサ52を取り付ける。図24は、ガイドワイヤ10Pを側面方向から見た図である。
【0155】
ガイドワイヤコア20の周方向(SD方向または側面方向)に複数の導電性トレース22Pが離隔して形成されている。各導電性トレース22Pには、電気的接続部24Pが形成されている。各導電性トレース22Pは、電気的接続部24Pを介して導電性バンド30に電気的に接続される。各電気的接続部24Pの位置は、ガイドワイヤコア20の周方向および軸O1方向にそれぞれ離隔している。各電気的接続部24Pは、導電性バンド30に電気的にそれぞれ接続されている。このため、プリント配線基板60は、電気的接続部24Pの位置を問わずに、電気的接続部24Pと電気的に接続することができる。プリント配線基板60のパッド(図24では図示省略)は、半田などの導電性接続部材612を介して、導電性バンド30と電気的かつ機械的に接続される。
【0156】
図25は、ガイドワイヤ10Qのセンサ部分を示しており、ガイドワイヤコア側の構成の図示を省略している。プリント配線基板60Qは、フレキシブル基板部61とリジット基板部62とを有し、リジット基板部62にはセンサ52が搭載されている。ガイドワイヤ10Qで使用されるプリント配線基板60Qは、近位端側に位置するフレキシブル基板部61と、フレキシブル基板部61の遠位端側に設けられたリジット基板部62とを備える。フレキシブル基板部61の両面のうちガイドワイヤコア20(図25では図示省略)に対向する面には、各導電性バンド30(図25で図示省略)に対応するパッド611が形成されている。ガイドワイヤコア20に対向する面とは、図25での下向きの面である。リジット基板部62の持つ複数の面のうち、ガイドワイヤコア20に対向する面には、ガイドワイヤコア20の細径部202に設けられる他の導電性バンド(いずれも不図示)に接続される接続部621が形成されている。
【0157】
図26は、リジット基板部62Rに複数のセンサ52R1,52R2を収容した例を示す。ガイドワイヤ10Rで使用されるプリント配線基板60Rは、フレキシブル基板部61と、リジット基板部62Rを備える。リジット基板部62Rには、複数のセンサ収容部622R1,622R2が形成されている。センサ収容部622R1,622R2には、センサ52R1,52R2が取り付けられている。センサ収容部622R1,622R2を有するリジット基板部62Rは、センサハウジングとしての機能を実現する。図26では、リジット基板部62Rに複数のセンサ52R1,52R2を収容する例を示したが、これに代えて、リジット基板部62Rにセンサ52R1,52R2のうちいずれか一つのセンサだけを収容してもよい。リジット基板部62Rに3つ以上のセンサを収容してもよい。リジット基板部62Rに、センサと、センサ以外の電子部品とを収容してもよい。センサ以外の電子部品としては、例えば信号処理回路、送受信回路などがある。各第1導電性トレース22Rは、電気的接続部24Rを介して、対応する導電性バンド30に電気的に接続される。
【0158】
図27は、導電性バンド30S1,30S2を各導電性トレース22S,26Sの層に対応させて設ける例を示す。図27は、ガイドワイヤ10Sの遠位端側を示す。複数の第1導電性トレース22Sは、ガイドワイヤコア20の遠位端側へ延びて形成されている。各第1導電性トレース22Sは、導電性バンド30S1を介して第1プリント配線基板60S1に電気的に接続されている。第1プリント配線基板60S1には、第1センサ52S1が搭載されている。
【0159】
第1導電性トレース22Sの外側に設けられる第2導電性トレース26Sは、その先端が第1導電性トレース22Sの遠位端側よりも近位端側寄りの位置まで延びて形成されている。各第2導電性トレース26Sは、導電性バンド30S2を介して第2プリント配線基板60S2に電気的に接続されている。第2プリント配線基板60S2には、第2センサ52S2が搭載されている。このように、導電性トレースの層毎に、導電性バンドを介してプリント配線基板を接続することができる。
【0160】
図28に示すガイドワイヤ10Tでは、一つのプリント配線基板が複数の導電性トレースの層に接続される例を示す。プリント配線基板60T1は、導電性バンド30T(1)を介して第1導電性トレース22Tに電気的に接続されているとともに、導電性バンド30T(5)を介して第2導電性トレース26Tにも電気的に接続されている。図示は省略するが、第1プリント配線基板60T1には、第1導電性トレース22Tに接続される配線パターンと、第2導電性トレース26Tに接続される配線パターンとが形成されている。
【0161】
第2プリント配線基板60T2は、導電性バンド30T(2)を介して第1導電性トレース22Tに電気的に接続されているとともに、導電性バンド30T(3),30T(4)を介して複数の第2導電性トレース26Tに電気的に接続されている。図示は省略するが、第2プリント配線基板60T2には、第1導電性トレース22Tに接続される配線パターンと、第2導電性トレース26Tに接続される配線パターンとが形成されている。
【0162】
図29は、各導電性トレース層に導電性バンドを対応させる場合において、フレキシブル基板部とリジット基板部とを備えるフレキシブル基板を用いた例を示す。ガイドワイヤ10T1に使用されるプリント配線基板60T1は、フレキシブル基板部61Tとリジット基板部62Tを備える。フレキシブル基板部61Tは、導電性バンド30T1(3),30T1(4),30T1(5)を介して、複数の第2導電性トレース26Tと電気的に接続されている。リジット基板部62Tは、導電性バンド30T1(1),30T1(2)を介して、複数の第1導電性トレース22Tと電気的に接続されている。
【0163】
リジット基板部62Tの内部には、複数の配線パターン(不図示)が形成されており、それら配線パターンを介して第1導電性トレース22Tとセンサ52Tとは電気的に接続されている。フレキシブル基板部61Tにも複数の配線パターン(不図示)が形成されており、それら配線パターンを介して第2導電性トレース26Tとセンサ52Tとは電気的に接続されている。
【0164】
図30図32を用いて、ガイドワイヤの近位端側における、導電性トレースと電気的接続部および導電性バンド(リング電極でもよい)の配置例を説明する。図30に示すガイドワイヤ10Uでは、ガイドワイヤコア20(図示省略)の周方向(SD方向)の中央に位置する導電性トレース22U(2)を周方向両側から挟むようにして、導電性トレース22U(1),22U(3)が配置されている。導電性トレース22U(1)の端部221U(1)と導電性トレース22U(3)の端部221U(3)とは、導電性トレース22U(2)の近位端よりもガイドワイヤコア20の近位端側に位置するように、ガイドワイヤコア20の周方向中央へ略直角に曲がって形成されている。
【0165】
各導電性バンド30は、対応する電気的接続部24Uの一部を覆うようにして、ガイドワイヤコア上の第2絶縁層23の表面に取り付けられる。すなわち、各電気的接続部24Uの第1内側開口部231Uの一部は露出しており、導電性バンド30により隠されていない。
【0166】
図31に示すガイドワイヤ10U1では、各電気的接続部24U1は直線O7上に並んで配置されている。直線O7は、ガイドワイヤ20の長さ方向の軸O1に平行な線である。各電気的接続部24U1の第1内側開口部231U1は、その幅方向の両端側が導電性バンド30から露出している。第1内側開口部231U1の幅方向とは、軸O1方向である。
【0167】
第1内側開口部231U1の幅寸法は、導電性バンド30の幅寸法よりも長く設定されている。そして、導電性バンド30は、導電性バンド30の中心と第1内側開口部231U1の幅方向の中心とが略一致するようにして、ガイドワイヤコア20を覆う第2絶縁層(いずれも不図示)の上に取り付けられる。したがって、第1内側開口部231U1の両端側は、導電性バンド30からはみ出している。導電性トレース22U1(1)~22U1(4)は、対応する電気的接続部24U1を介して導電性バンド30に電気的に接続される。
【0168】
図32に示すガイドワイヤ10U2では、各導電性バンド30の幅方向の両側にそれぞれ1つずつ電気的接続部24U2L,24U2Rが設けられている。近位端側の電気的接続部24U2Lは、導電性バンド30の幅方向の両端部のうち近位端側の端部から露出している。遠位端側の電気的接続部24U2Rは、導電性バンド30の幅方向の両端部のうち遠位端側の端部から露出している。すなわち、各導電性バンド30は、対応する電気的接続部24U2L,24U2Rが一部はみ出すようにして、ガイドワイヤコア20を覆う第2絶縁層(いずれも図示省略)の上に取り付けられている。導電性トレース22U2(1)~22U2(4)は、対応する電気的接続部24U2L,24U2Rを介して導電性バンド30に電気的に接続される。
【0169】
図33は、導電性トレース22Vの配置例を示す。ガイドワイヤ10Vでは、周方向(SD方向)に離隔して、複数の第1導電性トレース22V(1)~22V(4)が形成されている。第1導電性トレース22V(1)が最も短く、第1導電性トレース22V(2)は第1導電性トレース22V(1)よりも長い。第1導電性トレース22V(3)は、第1導電性トレース22V(2)よりも長い。第1導電性トレース22V(4)は、最も長い。図33に示すように、第1導電性トレース22V(1)~22V(4)の長さをそれぞれ異ならせることができる。各第1導電性トレース22V(1)~22V(4)の両端側には、電気的接続部24Vが設けられる。
【0170】
図34は、複数の第1導電性トレース22V1(1)~22V1(4)が、互いに長さの等しい第1導電性トレースのグループを少なくとも一つ含む例を示す。図34のガイドワイヤ10V1では、第1導電性トレース22V1(1)および第1導電性トレース22V1(4)の第1グループと、第1導電性トレース22V1(2)および第1導電性トレース22V1(3)の第2グループとが示されている。第1グループおよび第2グループは、配線長の等しい導電性トレースからなるグループであり、等長配線ペアと呼ぶこともできる。配線長の等しい導電性トレースのペアは、例えば、差動信号用の配線として用いることができる。
【0171】
第1グループを構成する第1導電性トレース22V1(1)および第1導電性トレース22V1(4)は、点対称のペアである。第2グループを構成する第1導電性トレース22V1(2)および第1導電性トレース22V1(3)も点対称のペアである。すなわち、同一グループに属する一方の第1導電性トレースを、その重心を中心として180度回転させると、当該グループに属する他方の第1トレースに重なる。したがって、同一グループ内に属する第1導電性トレースの長さは等しい。
【0172】
各第1導電性トレース22V1(1)~22V1(4)の両端側には、電気的接続部24V1が設けられている。各第1導電性トレース22V1(1)~22V1(4)は、対応する電気的接続部24V1を介して導電性バンド30に電気的に接続される。
【0173】
図35は、同一グループに属する第1導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、他の導電性トレースと同一長さとなるように、蛇行部分221Vを有する例である。図35のガイドワイヤ10V2では、複数の第1導電性トレース22V2(1)~22V2(4)は同じ長さであり、同一グループに属する。各導電性トレース22V2(1)~22V2(4)の両端側には、電気的接続部24V2が設けられている。
【0174】
第1導電性トレース22V2(1)の両端部は、他の第1導電性トレース22V2(2)~22V2(4)の両端部と比べて、軸O1方向の最も内側に位置しており、第1導電性トレース22V2(2)の両端部は、第1導電性トレース22V2(1)の軸O1方向外側に位置している。第1導電性トレース22V2(3)の両端部は、第1導電性トレース22V2(2)の軸O1方向外側に位置している。第1導電性トレース22V2(4)の両端部は、第1導電性トレース22V2(3)の軸O1方向外側に位置している。したがって、図35に示す各導電性トレース22V2(1)~22V2(4)の中間が単純な矩形状である場合、図33で述べた例と等しい。
【0175】
しかし、図35に示す複数の第1導電性トレースの一部は、蛇行部分221V2を備える。すなわち、複数の第1導電性トレースのうち一部の第1導電性トレース22V2(1)~22V2(3)には、その長さ方向の略中間部に、蛇行部分221V2(1)~221V2(3)が形成されている。蛇行部分221V2は、ミアンダ配線と呼ぶこともできる。第1導電性トレース22V2(4)は、その両端部が軸O1方向の最も外側に位置するため、蛇行部分221V2は設けられていない。第1導電性トレース22V2(4)の両端部よりも内側に両端部が位置する他の第1導電性トレース22V2(1)~22V2(3)は、蛇行部分を有していない第1導電性トレース22V2(4)と等しい長さとなるように、蛇行部分221V2(1)~221V2(3)を備えている。
【0176】
全ての第1導電性トレース22V2(1)~22V2(4)が等しい長さとなるように、全ての第1導電性トレース22V2(1)~22V2(4)に蛇行部分221V2を設けてもよい。図35では、直角に折れ曲がる蛇行部分221V2を示したが、滑らかに曲がるように蛇行部分221V2を形成することもできる。
【0177】
[0232] 図36のガイドワイヤ10Wでは、異方性導電性材料の層251を介して、第1導電性トレース22と導電性バンド30Wとを接続する。異方性導電性材料は、例えば、ACRである。ACR以外の材料を用いてもよい。例えば、第1導電性トレース22のうち比較的面積の広い端部221(フラッグ部)の全面を覆うようにして、異方性導電性材料の層251が設けられる。
【0178】
図37図39を用いて、異方性導電性材料の層251Xを、電気的接続部と導電性バンドの代わりに使用する例を説明する。異方性導電性材料としては、例えば、ACRを用いる。図37は、ガイドワイヤ10Xの近位端側を示す。ガイドワイヤ10Xを使用する際に、ガイドワイヤ10Xの近位端側は、コネクタ部材100に取り付けられる。コネクタ部材100は、測定装置または制御装置などの外部機器(不図示)とガイドワイヤ10Xとを電気的に接続するための部材である。コネクタ部材100は、底部104と、底部104に回動可能に取り付けられたクリップ部101と、クリップ部101の内面側から突出して設けられた複数の押圧ピン102と、各押圧ピン102に接続された配線103とを備える。各押圧ピン102は、導電性トレース22に対応して設けられている。
【0179】
ガイドワイヤ10Xの近位端は、コネクタ部材100の底部104に当接するようにして、コネクタ部材100内に挿入される。その後、クリップ部101がガイドワイヤ10Xを挟み込むことにより、クリップ部101の内面側に設けられた押圧ピン102が異方性導電性材料の層251Xの所定箇所を押圧する。異方性導電性の層251Xが押圧ピン102により径方向から押圧されると、押圧ピン102から導電性トレース22までを結ぶ導電パスが形成される。これにより、ガイドワイヤ10Xの遠位端側のセンサ(図示省略)と外部機器とが、導電性トレース22およびコネクタ部材100を介して電気的に接続される。
【0180】
図38は、図37中に示すXXXVIII方向の断面図である。第1導電性トレース22の端部221に対応して第2絶縁層23に形成された第1内側開口部231の内部を埋めるようにして、異方性導電性材料の層251Xが設けられている。図38では、配線103の図示を省略している。
【0181】
図39は、コネクタ部材100の概略を示す斜視図である。
【0182】
多様なサイズと材料組成の複数の導体トレースを別々の絶縁層上に構築することにより、ガイドワイヤに複数の導体を組み込むための複数のアプローチについて説明する。本発明に記載のアプローチは、ガイドワイヤまたはカテーテル要素へのセンサの組み立てを容易にする。このアプローチは、デバイスの電気的または機械的特性を特定の部分で変更して、デバイスの性能および信頼性を高めるか(例えば、選択的な耐摩耗性)、組み立てを容易にするか(例えば、はんだ付けまたは接続の容易性)、または場合によっては所望の電気的特性(例えば、インピーダンス)を達成する必要があるシナリオで特に有用である。このような所望の特性を当該デバイスに組み込むには、デバイスの主要な機械的性能に影響を与えることなく、狭いスペースに信号線を形成する革新的なアプローチが必要となる。
【0183】
典型的な0.014インチのガイドワイヤーの芯線に、追従性やトルク応答などの所望の機械的特性に影響を与えることなく、導電素子を組み込むことは困難である。特許出願63/090,487(ここに記載)に記載されているような層状の製造方法を用いれば、ガイドワイヤーデバイスの基本的な機械的性能を維持するために、コア上に直接導電性要素を形成することが可能である。しかし、一般的な0.014インチ以下のガイドワイヤーの直径の芯線に、より多くの導電性要素、例えば4つ以上の導電性要素を組み込むことは、非常に困難である。1つのデバイスに2つ以上のタイプのセンサーを組み込む必要がある場合や、4つ以上の独立した通信チャネルを必要とするセンサーを組み込む必要がある場合には、1つのデバイスに4つ以上の異なる信号伝達要素を持つことが有益な場合がある。これを実現するには、以下のようなレイヤードアプローチが有効である。なお、0.014インチのガイドワイヤコア20に限らず、他の一般的な直径寸法のガイドワイヤ10にも本開示は適用される。
【0184】
典型的なガイドワイヤコア20を図40Aに示す。複数の直径とテーパーを持ち、デバイスの遠位端の直径は通常、デバイスの他の部分よりも小さくなっている。コアの材質は、一般的にステンレススチール(SS)、ニチノール、またはその組み合わせである。
【0185】
図40Bに示すように、金属コア20上には絶縁層21が形成される。絶縁層21は、ディップコーティング、スプレーコーティング、PVD(Physical Vapor Depostion)、CVD(Chemical Vapor Deposition)、印刷、メルトリフローなど、さまざまな方法で形成することができる。ポリマーは、ポリイミド、PET、ナイロン、Pebaxなどがある。
【0186】
次に、図40Cに示すように、絶縁層21の上に導電層を形成する。一つの方法は、まずパラジウムや銀などの種となる導電層を塗布し、次に無電解めっきや電気めっきを用いて、銅や金などの高導電性金属の層を塗布することである。
【0187】
その後、導電層を選択的にエッチングすることで、電気的に絶縁された個々の導電素子22を形成する。これを実現する方法の一つとして、レーザーを用いて導体を切断し、個々のトレースを形成することが挙げられる。
【0188】
導電性素子を組み込む必要のある基板は、一定の寸法プロファイルを持たないことがよくある。例えば、冠動脈用ガイドワイヤの典型的なコアは、遠位端がより小さな外径に向かって先細りになるように研磨されているため、デバイスの剛性が低下し、遠位端が血管を横断する際に、より追跡可能で無傷になる。先行技術では、フラットワイヤーリボンのような導電性要素をポリマー絶縁層に埋め込むことが記載されている(US 10791991 B1)。この方法では、デバイス全体の長さ(180cmから300cmまで)にわたって導体プロファイルを変化させることが難しいという限界がある。
【0189】
さらに、センサと電気的に接続しなければならない遠位端では、埋め込まれた導体に接続するために、絶縁体の開口部に導電性バンドを形成または積層する必要がある。以下の図41図43は、その課題を示しています。露出部は半径方向に離れているため、通常は1つの平面にあるセンサーパッドに接続することができない。そのため、センサーをトレースに接続するための導電性バンドを形成するための追加工程が必要となる。図42は、図41中の矢示方向から見た正面図である。
【0190】
図41および図42から明らかなように、開口部D1、D2、D3が放射状に離れているため、露出部D1、D2、D3を介してセンサーパッドS1、S2、S3と埋め込み導体C1、C2、C3を接続することはできない。露出部に導電性バンドCB1、CB2、CB3を形成することで、センサーの接続が容易になる(図43)。
【0191】
上記の課題を軽減するアプローチとして、図40Bに示すように、導電層が基板の輪郭に沿うように、絶縁層の上に導電層を塗布する方法がある。上述の通り、図40Dに示すように、個々の導電性トレースは、例えば、レーザーアブレーションによって形成することができる。この方法では、図44図46に示すように、アブレーションのパターンを制御して、遠位端と近位端に「フラグ」を形成することができる。
【0192】
さらに、このアプローチでは、デバイスの長さに沿ってトレース幅を変化させることができる。そのため、芯線の長さが大幅に短くなる遠位端では、トレース幅を大幅に小さくすることができる。この方法は、絶縁材料に導体を埋め込む他の方法に比べて、加工の自由度が高いのが特徴である。さらに、導電材料自体を長さ方向の特定の位置で変化させることで、所望の特性を付与することができる。例えば、導電性トレースを全長にわたって銅とし、両端に金メッキを施して電気的接続性を高めることができる。
【0193】
続いて、図47に示すように、電気的に絶縁された導電体の上に第2の絶縁層を塗布する。絶縁性ポリマーには、ポリイミド、PET、ナイロン、Pebaxなどがある。この方法では、異なる特性を付与するために、第1ベース絶縁層とは異なる絶縁層を設けることができる。例えば、コーティングの耐摩耗性を向上させるために、絶縁層にナノ化したシリカを含浸させることができる。
【0194】
次に、図48に示すように、第2絶縁層23および第3絶縁層27に、エッチングやレーザーアブレーションなどの方法で開口部を設け、絶縁層の直下にある対応する導電性トレースにアクセスするためのビアを形成する。これらのビアは、形成された導電性要素をガイドワイヤの外部に接続または結合するための接続パッドを形成し、例えば、ガイドワイヤの遠位端にある1つまたは複数のセンサや近位端にある接続端子に適切に接続する。
【0195】
ご覧のように、形成された導電性要素にアクセスするための外部絶縁体上のすべてのビアまたは露出面は、図41とは異なり、すべて1つの長手方向軸上にあり、したがって、センサパッドに直接またはフレックス回路要素を介して容易に接続することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40A
図40B
図40C
図40D
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
【手続補正書】
【提出日】2022-10-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドワイヤコアと、
前記ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、
前記ガイドワイヤコアの側面方向に離隔して、前記第1絶縁層の表面に、且つ、前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースであって、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれが遠位端と近位端とを有する、複数の第1導電性トレースと、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に設けられ、電子部品と電気的に接続される複数の接続部と、を備え、
前記複数の接続部が設けられた前記複数の第1導電性トレースの端部同士は、前記ガイドワイヤコアの長さ方向に対して並列するように設けられ、
前記複数の接続部は、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置されており、
前記複数の第1導電性トレースの前記遠位端のうち最も近位側の遠位端と、前記複数の第1導電性トレースの前記近位端のうち最も遠位側の近位端とは、前記ガイドワイヤコアの前記長さ方向の軸に対して平行に配置されている、
ガイドワイヤ。
【請求項2】
さらに、前記複数の第1導電性トレースおよび前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層が設けられており、
前記複数の接続部は、対応する第1導電性トレースに到達するように前記第2絶縁層に開口された内側開口部を含んで構成されている
請求項1記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記少なくとも一つの導電性トレースの端部は、前記隣接する他の導電性トレースの端部よりも前記ガイドワイヤコアの長さ方向の先に隙間を介して位置するように、前記ガイドワイヤコアの周方向に延びて形成されている
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項4】
前記接続部の前記内側開口部の少なくとも一部を覆うように、導電性材料から形成された導電性バンドが配置され、前記内側開口部には導電性接続部材が配置され、前記接続部と前記導電性バンドとは前記導電性接続部材を介して電気的に接続されており、前記導電性バンドと前記導電性接続部材とは異なる導電性材料から形成されている
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項5】
前記複数の導電性バンドは、当該導電性バンドの厚さ方向に貫通し、前記内側開口部と重なって配置される前記外側開口部を有し、
前記外側開口部の内部には、前記導電性バンドと前記接続部とを電気的に接続する前記導電性接続部材が設けられている
請求項4に記載のガイドワイヤ。
【請求項6】
前記外側開口部と前記内側開口部とは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向にずれて重なって配置される
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項7】
前記外側開口部の面積よりも前記内側開口部の面積の方が大きい
請求項6に記載のガイドワイヤ。
【請求項8】
前記外側開口部は、平面視で矩形状に形成されている
請求項7に記載のガイドワイヤ。
【請求項9】
前記外側開口部は、平面視で、前記導電性バンドの両端部のうち少なくとも一方の端部側が開いた切り欠き形状に形成されている
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項10】
前記外側開口部は、平面視で、前記導電性バンドの幅方向の両端部のうち一つの端部で開口する箇所から、前記導電性バンドの幅方向へ変位した位置にある辺へ向かうにつれて広がる逆テーパ状に形成されている
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項11】
前記複数の接続部は、前記複数の第1導電性トレースの長さ方向両端側のうち近位端側に設けられている
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項12】
前記外側開口部は、前記導電性バンドの幅方向の両端側にそれぞれ形成されている
請求項8に記載のガイドワイヤ。
【請求項13】
前記導電性バンドと前記導電性接続部材とは、導電性材料から形成されている
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項14】
前記導電性接続部材は、前記導電性バンドの厚さ方向から圧力が加わると、前記導電性バンドの厚さ方向に導電経路が形成される異方性導電性材料であって、半田よりも弾性変形可能な前記異方性導電性材料から形成されている
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項15】
前記導電性バンドは、
前記外側開口部内および前記内側開口部内を埋めるようにして、かつ前記第2絶縁層を覆うようにして設けられた異方性導電性材料からなる導電性接続部材と、
前記導電性接続部材の外側に設けられるC字状部材であって、導電性材料から形成された前記C字状部材と、を備える
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項16】
前記接続部の前記内側開口部の少なくとも一部を覆うように、導電性材料から形成された導電性バンドが配置され、前記接続部と前記導電性バンドとは前記内側開口部内に配置された導電性接続部材を介して電気的に接続されており、
前記導電性バンドと前記導電性接続部材とは一体的に形成されている
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項17】
前記第2絶縁層の外周表面に巻回された導電性ワイヤが配置され、前記導電性ワイヤの両端は、前記内側開口部を介して前記第1導電性トレースに固着されている、
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項18】
前記第1導電性トレースのうち前記導電性ワイヤの一端が固着される領域には金または金合金の金属層と、前記金属層と導電性トレースへの拡散を防止するバリアメタル層とが形成されており、
前記導電性ワイヤは、金、金合金またはアルミニウムから形成されている
請求項17に記載のガイドワイヤ。
【請求項19】
前記複数の接続部は、前記複数の第1導電性トレースの長さ方向両端側のうち遠位端側に設けられている
請求項17に記載のガイドワイヤ。
【請求項20】
さらに、
前記第2絶縁層の表面に設けられた複数の第2導電性トレースと、
前記複数の第2導電性トレースおよび前記第2絶縁層を覆うようにして設けられた第3絶縁層と、
前記複数の第2導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方において前記ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置され、電子部品と電気的に接続される複数の第2接続部であって、対応する第2導電性トレースに到達するように前記第3絶縁層に開口された第2内側開口部を含んで構成された前記複数の第2接続部と、
前記複数の第2接続部のうち少なくとも1つを覆うようにして前記ガイドワイヤコアの周方向に形成された第2導電性バンドと、を備え、
前記第2導電性バンドで覆われた前記第2接続部と前記第2導電性バンドとは、前記第2内側開口部に設けられた導電性接続部材を介して電気的に接続されている
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項21】
前記複数の接続部は、前記複数の第1導電性トレースの長さ方向両端側のうち遠位端側に設けられており、
前記内側開口部の少なくとも一部を覆うように、導電性材料から形成された導電性バンドが配置され、前記接続部と前記導電性バンドとは前記内側開口部内に配置された導電性接続部材を介して電気的に接続されており、
前記導電性バンドは、基板用の導電性接続部材を介して、前記電子部品の搭載されたプリント配線基板に電気的に接続されている
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項22】
前記プリント配線基板は、前記導電性バンド側に位置するフレキシブル基板部と、前記フレキシブル基板部の遠位端側に位置するリジット基板部とを有し、
前記電子部品は前記リジット基板部に設けられている
請求項21に記載のガイドワイヤ。
【請求項23】
前記リジット基板部には前記電子部品を収容して取り付けるための収容部が形成されており、前記リジット基板部は、前記ガイドワイヤコアの遠位端側に配置されている
請求項22に記載のガイドワイヤ。
【請求項24】
前記複数の第1導電性トレースは、互いに長さの等しい複数の第1導電性トレースのグループを少なくとも一つ含む
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項25】
前記グループを構成する複数の第1導電性トレースは、点対称のペアとして形成される
請求項24に記載のガイドワイヤ。
【請求項26】
前記グループを構成する複数の第1導電性トレースのうち少なくとも1本は、前記グループの他の第1導電性トレースと同一長さとなるように蛇行部分を有する
請求項24に記載のガイドワイヤ。
【請求項27】
ガイドワイヤコアと、
前記ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、
前記ガイドワイヤコアの側面方向に離隔して、前記第1絶縁層の表面に、且つ、前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースであって、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれが遠位端と近位端とを有する、複数の第1導電性トレースと、
前記複数の第1導電性トレースおよび前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層と、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に設けられ、電子部品と電気的に接続される複数の接続部であって、対応する第1導電性トレースに到達するように前記第2絶縁層に開口された内側開口部を含む前記複数の接続部と、
前記複数の接続部および前記第2絶縁層を覆うようにして周方向に形成された導電性バンドと、
前記複数の導電性バンドの厚さ方向に貫通し、前記内側開口部と重なって配置される外側開口部と、
前記外側開口部の内部と前記内側開口部の内部とに設けられ、前記導電性バンドと前記接続部とを電気的に接続する導電性接続部材と、を備え
前記複数の第1導電性トレースの前記遠位端のうち最も近位側の遠位端と、前記複数の第1導電性トレースの前記近位端のうち最も遠位側の近位端とは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行に配置されている、
ガイドワイヤ。
【請求項28】
前記外側開口部と前記内側開口部とは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向にずれて重なって配置される
請求項27に記載のガイドワイヤ。
【請求項29】
前記外側開口部の面積よりも前記内側開口部の面積の方が大きい
請求項28に記載のガイドワイヤ。
【請求項30】
前記外側開口部は、平面視で矩形状に形成されている
請求項27に記載のガイドワイヤ。
【請求項31】
前記外側開口部は、平面視で、前記導電性バンドの端部側が開いた切り欠き形状に形成されている
請求項27に記載のガイドワイヤ。
【請求項32】
前記外側開口部は、平面視で、前記導電性バンドの端部側の幅寸法が狭く、前記導電性バンドの幅方向に進むにつれて幅寸法が広がる逆テーパ状に形成されている
請求項27に記載のガイドワイヤ。
【請求項33】
前記外側開口部は、前記導電性バンドの幅方向の両端側にそれぞれ形成されている
請求項29に記載のガイドワイヤ。
【請求項34】
前記導電性バンドと前記導電性接続部材とは、導電性金属材料から形成されている
請求項29に記載のガイドワイヤ。
【請求項35】
前記導電性接続部材は、前記導電性バンドの厚さ方向から圧力が加わると、前記導電性バンドの厚さ方向に導電経路が形成される異方性導電性材料から形成されている
請求項29に記載のガイドワイヤ。
【請求項36】
さらに、
前記第2絶縁層の表面に設けられた複数の第2導電性トレースと、
前記複数の第2導電性トレースおよび前記第2絶縁層を覆うようにして設けられた第3絶縁層と、
前記複数の第2導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方において前記ガイドワイヤコアの前記長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置され、電子部品と電気的に接続される複数の第2接続部であって、対応する第2導電性トレースに到達するように前記第3絶縁層に開口された第2内側開口部を含んで構成された前記複数の第2接続部と、
前記複数の第2接続部のうち少なくとも1つを覆うようにして前記ガイドワイヤコアの周方向に形成された第2導電性バンドと、を備え、
前記第2導電性バンドで覆われた第2接続部と前記第2導電性バンドとは、前記第2内側開口部に設けられた導電性接続部材を介して電気的に接続されている
請求項29に記載のガイドワイヤ。
【請求項37】
前記複数の第1導電性トレースは、互いに長さの等しい複数の第1導電性トレースのグループを少なくとも一つ含む
請求項29に記載のガイドワイヤ。
【請求項38】
前記グループを構成する複数の第1導電性トレースは、点対称のペアとして形成される
請求項37に記載のガイドワイヤ。
【請求項39】
前記グループを構成する複数の第1導電性トレースの内、少なくとも1本は、前記グループの他の第1導電性トレースと同一長さとなるように蛇行部分を有する
請求項37に記載のガイドワイヤ。
【請求項40】
ガイドワイヤコアと、
前記ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、
前記ガイドワイヤコアの側面方向に離隔して、前記第1絶縁層の表面に、且つ、前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースであって、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれが遠位端と近位端とを有する、複数の第1導電性トレースと、
前記複数の第1導電性トレースおよび前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層と、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に設けられ、前記複数の第1導電性トレースに到達するように前記第2絶縁層に開口された内側開口部を含む前記複数の接続部と、
前記複数の接続部のうち少なくとも1つの接続部を介して前記第1導電性トレースおよび前記第2絶縁層を覆うようにして形成され、厚さ方向から圧力が加わると、前記厚さ方向に導電経路が形成される導電性部材と、を備え
前記複数の第1導電性トレースの前記遠位端のうち最も近位側の遠位端と、前記複数の第1導電性トレースの前記近位端のうち最も遠位側の近位端とは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行に配置されている、
ガイドワイヤ。
【請求項41】
さらに、前記複数の接続部と電気的に接続される電子部品と、を備え、
前記電子部品としての電気的接続用部品は、前記複数の第1導電性トレースに対応する複数の押圧部を有しており、前記各押圧部を前記導電性部材へ押し当てることにより、前記電気的接続用部品と前記複数の第1導電性トレースとが電気的に接続される
請求項40に記載のガイドワイヤ。
【請求項42】
前記導電性部材は、半田よりも弾性変形可能な異方性導電性材料から形成される
請求項40に記載のガイドワイヤ。
【請求項43】
前記導電性部材の表面を覆う導電性バンドを備える
請求項40に記載のガイドワイヤ。
【請求項44】
請求項1に記載のガイドワイヤを備える長尺医療器具。
【請求項45】
ガイドワイヤコアを提供するステップと、
前記ガイドワイヤコアの表面に第1絶縁層を形成するステップと、
前記第1絶縁層の表面に前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースであって、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれが遠位端と近位端とを有する、複数の第1導電性トレースを形成するステップと、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置されるように複数の接続部を形成するステップと、
前記ガイドワイヤコアの遠位側に電子部品を配置するステップと、
前記接続部の前記内側開口部を介して前記第1導電性トレースと前記電子部品とを電気的に接続するステップと、から成り、
前記複数の第1導電性トレースの前記遠位端のうち最も近位側の遠位端と、前記複数の第1導電性トレースの前記近位端のうち最も遠位側の近位端とは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行に配置されている、
ガイドワイヤの製造方法。
【請求項46】
ガイドワイヤコアを提供するステップと、
前記ガイドワイヤコアの表面に第1絶縁層を形成するステップと、
前記第1絶縁層の表面に前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースであって、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれが遠位端と近位端とを有する、複数の第1導電性トレースを形成するステップと、
前記複数の第1導電性トレースおよび前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層を形成するステップと、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれに到達するように前記第2絶縁層に開口された内側開口部を含む複数の接続部を形成するステップと、
外側開口部を有する導電性バンドを前記第2絶縁層の表面に、前記外側開口部と前記内側開口部とが重なるように前記導電性バンドを配置する工程と、
前記外側開口部の内部と前記内側開口部の内部とに、前記導電性バンドと当該導電性バンドに対応する前記接続部とを電気的に接続する導電性接続部材を形成するステップと、
前記ガイドワイヤコアの遠位側に電子部品を配置するステップと、
前記電子部品と前記導電性バンドとを電気的に接続するステップと、から成り、
前記複数の第1導電性トレースの前記遠位端のうち最も近位側の遠位端と、前記複数の第1導電性トレースの前記近位端のうち最も遠位側の近位端とは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行に配置されている、
ガイドワイヤの製造方法。
【請求項47】
ガイドワイヤコアを提供するステップと、
前記ガイドワイヤコアの表面に第1絶縁層を形成するステップと、
前記第1絶縁層の表面に前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースであって、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれが遠位端と近位端とを有する、複数の第1導電性トレースを形成するステップと、
前記複数の第1導電性トレースおよび前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層を形成するステップと、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれに到達するように前記第2絶縁層に開口された内側開口部を含む複数の接続部を形成するステップと、
前記接続部の前記内側開口部の内部に位置する前記第1導電性トレースおよび前記第2絶縁層を覆うようにして設けられる導電性部材であって、厚さ方向から圧力が加わると、前記厚さ方向に導電経路が形成される導電性部材を形成するステップと、
前記ガイドワイヤコアの遠位側に電子部品を配置するステップと、
前記電子部品と前記導電性部材とを電気的に接続するステップと、から成り、
前記複数の第1導電性トレースの前記遠位端のうち最も近位側の遠位端と、前記複数の第1導電性トレースの前記近位端のうち最も遠位側の近位端とは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行に配置されている、
ガイドワイヤの製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドワイヤコアと、
前記ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、
前記ガイドワイヤコアの側面方向に離隔して、前記第1絶縁層の表面に、且つ、前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースであって、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれが遠位端と近位端とを有する、複数の第1導電性トレースと、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に設けられ、電子部品と電気的に接続される複数の接続部と、を備え、
前記複数の接続部が設けられた前記複数の第1導電性トレースの端部同士は、前記ガイドワイヤコアの長さ方向に対して並列するように設けられ、
前記複数の接続部は、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置されており、
前記複数の第1導電性トレースの前記遠位端のうち最も近位側の遠位端と、前記複数の第1導電性トレースの前記近位端のうち最も遠位側の近位端との間では、前記複数の第1導電性トレースは前記ガイドワイヤコアの前記長さ方向の軸に対して平行に配置されている、
ガイドワイヤ。
【請求項2】
さらに、前記複数の第1導電性トレースおよび前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層が設けられており、
前記複数の接続部は、対応する第1導電性トレースに到達するように前記第2絶縁層に開口された内側開口部を含んで構成されている
請求項1記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記少なくとも一つの導電性トレースの端部は、前記隣接する他の導電性トレースの端部よりも前記ガイドワイヤコアの長さ方向の先に隙間を介して位置するように、前記ガイドワイヤコアの周方向に延びて形成されている
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項4】
前記接続部の前記内側開口部の少なくとも一部を覆うように、導電性材料から形成された導電性バンドが配置され、前記内側開口部には導電性接続部材が配置され、前記接続部と前記導電性バンドとは前記導電性接続部材を介して電気的に接続されており、前記導電性バンドと前記導電性接続部材とは異なる導電性材料から形成されている
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項5】
前記複数の導電性バンドは、当該導電性バンドの厚さ方向に貫通し、前記内側開口部と重なって配置される外側開口部を有し、
前記外側開口部の内部には、前記導電性バンドと前記接続部とを電気的に接続する前記導電性接続部材が設けられている
請求項4に記載のガイドワイヤ。
【請求項6】
前記外側開口部と前記内側開口部とは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向にずれて重なって配置される
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項7】
前記外側開口部の面積よりも前記内側開口部の面積の方が大きい
請求項6に記載のガイドワイヤ。
【請求項8】
前記外側開口部は、平面視で矩形状に形成されている
請求項7に記載のガイドワイヤ。
【請求項9】
前記外側開口部は、平面視で、前記導電性バンドの両端部のうち少なくとも一方の端部側が開いた切り欠き形状に形成されている
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項10】
前記外側開口部は、平面視で、前記導電性バンドの幅方向の両端部のうち一つの端部で開口する箇所から、前記導電性バンドの幅方向へ変位した位置にある辺へ向かうにつれて広がる逆テーパ状に形成されている
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項11】
前記複数の接続部は、前記複数の第1導電性トレースの長さ方向両端側のうち近位端側に設けられている
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項12】
前記外側開口部は、前記導電性バンドの幅方向の両端側にそれぞれ形成されている
請求項8に記載のガイドワイヤ。
【請求項13】
前記導電性バンドと前記導電性接続部材とは、導電性材料から形成されている
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項14】
前記導電性接続部材は、前記導電性バンドの厚さ方向から圧力が加わると、前記導電性バンドの厚さ方向に導電経路が形成される異方性導電性材料であって、半田よりも弾性変形可能な前記異方性導電性材料から形成されている
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項15】
前記導電性バンドは、
前記外側開口部内および前記内側開口部内を埋めるようにして、かつ前記第2絶縁層を覆うようにして設けられた異方性導電性材料からなる導電性接続部材と、
前記導電性接続部材の外側に設けられるC字状部材であって、導電性材料から形成された前記C字状部材と、を備える
請求項5に記載のガイドワイヤ。
【請求項16】
前記接続部の前記内側開口部の少なくとも一部を覆うように、導電性材料から形成された導電性バンドが配置され、前記接続部と前記導電性バンドとは前記内側開口部内に配置された導電性接続部材を介して電気的に接続されており、
前記導電性バンドと前記導電性接続部材とは一体的に形成されている
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項17】
前記第2絶縁層の外周表面に巻回された導電性ワイヤが配置され、前記導電性ワイヤの両端は、前記内側開口部を介して前記第1導電性トレースに固着されている、
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項18】
前記第1導電性トレースのうち前記導電性ワイヤの一端が固着される領域には金または金合金の金属層と、前記金属層と導電性トレースへの拡散を防止するバリアメタル層とが形成されており、
前記導電性ワイヤは、金、金合金またはアルミニウムから形成されている
請求項17に記載のガイドワイヤ。
【請求項19】
前記複数の接続部は、前記複数の第1導電性トレースの長さ方向両端側のうち遠位端側に設けられている
請求項17に記載のガイドワイヤ。
【請求項20】
さらに、
前記第2絶縁層の表面に設けられた複数の第2導電性トレースと、
前記複数の第2導電性トレースおよび前記第2絶縁層を覆うようにして設けられた第3絶縁層と、
前記複数の第2導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方において前記ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置され、電子部品と電気的に接続される複数の第2接続部であって、対応する第2導電性トレースに到達するように前記第3絶縁層に開口された第2内側開口部を含んで構成された前記複数の第2接続部と、
前記複数の第2接続部のうち少なくとも1つを覆うようにして前記ガイドワイヤコアの周方向に形成された第2導電性バンドと、を備え、
前記第2導電性バンドで覆われた前記第2接続部と前記第2導電性バンドとは、前記第2内側開口部に設けられた導電性接続部材を介して電気的に接続されている
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項21】
前記複数の接続部は、前記複数の第1導電性トレースの長さ方向両端側のうち遠位端側に設けられており、
前記内側開口部の少なくとも一部を覆うように、導電性材料から形成された導電性バンドが配置され、前記接続部と前記導電性バンドとは前記内側開口部内に配置された導電性接続部材を介して電気的に接続されており、
前記導電性バンドは、基板用の導電性接続部材を介して、前記電子部品の搭載されたプリント配線基板に電気的に接続されている
請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項22】
前記プリント配線基板は、前記導電性バンド側に位置するフレキシブル基板部と、前記フレキシブル基板部の遠位端側に位置するリジット基板部とを有し、
前記電子部品は前記リジット基板部に設けられている
請求項21に記載のガイドワイヤ。
【請求項23】
前記リジット基板部には前記電子部品を収容して取り付けるための収容部が形成されており、前記リジット基板部は、前記ガイドワイヤコアの遠位端側に配置されている
請求項22に記載のガイドワイヤ。
【請求項24】
前記複数の第1導電性トレースは、互いに長さの等しい複数の第1導電性トレースのグループを少なくとも一つ含む
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項25】
前記グループを構成する複数の第1導電性トレースは、点対称のペアとして形成される
請求項24に記載のガイドワイヤ。
【請求項26】
前記グループを構成する複数の第1導電性トレースのうち少なくとも1本は、前記グループの他の第1導電性トレースと同一長さとなるように蛇行部分を有する
請求項24に記載のガイドワイヤ。
【請求項27】
ガイドワイヤコアと、
前記ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、
前記ガイドワイヤコアの側面方向に離隔して、前記第1絶縁層の表面に、且つ、前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースであって、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれが遠位端と近位端とを有する、複数の第1導電性トレースと、
前記複数の第1導電性トレースおよび前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層と、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に設けられ、電子部品と電気的に接続される複数の接続部であって、対応する第1導電性トレースに到達するように前記第2絶縁層に開口された内側開口部を含む前記複数の接続部と、
前記複数の接続部および前記第2絶縁層を覆うようにして周方向に形成された導電性バンドと、
前記複数の導電性バンドの厚さ方向に貫通し、前記内側開口部と重なって配置される外側開口部と、
前記外側開口部の内部と前記内側開口部の内部とに設けられ、前記導電性バンドと前記接続部とを電気的に接続する導電性接続部材と、を備え
前記複数の第1導電性トレースの前記遠位端のうち最も近位側の遠位端と、前記複数の第1導電性トレースの前記近位端のうち最も遠位側の近位端との間では、前記複数の第1導電性トレースは前記ガイドワイヤコアの前記長さ方向の軸に対して平行に配置されている、
ガイドワイヤ。
【請求項28】
前記外側開口部と前記内側開口部とは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向にずれて重なって配置される
請求項27に記載のガイドワイヤ。
【請求項29】
前記外側開口部の面積よりも前記内側開口部の面積の方が大きい
請求項28に記載のガイドワイヤ。
【請求項30】
前記外側開口部は、平面視で矩形状に形成されている
請求項27に記載のガイドワイヤ。
【請求項31】
前記外側開口部は、平面視で、前記導電性バンドの端部側が開いた切り欠き形状に形成されている
請求項27に記載のガイドワイヤ。
【請求項32】
前記外側開口部は、平面視で、前記導電性バンドの端部側の幅寸法が狭く、前記導電性バンドの幅方向に進むにつれて幅寸法が広がる逆テーパ状に形成されている
請求項27に記載のガイドワイヤ。
【請求項33】
前記外側開口部は、前記導電性バンドの幅方向の両端側にそれぞれ形成されている
請求項29に記載のガイドワイヤ。
【請求項34】
前記導電性バンドと前記導電性接続部材とは、導電性金属材料から形成されている
請求項29に記載のガイドワイヤ。
【請求項35】
前記導電性接続部材は、前記導電性バンドの厚さ方向から圧力が加わると、前記導電性バンドの厚さ方向に導電経路が形成される異方性導電性材料から形成されている
請求項29に記載のガイドワイヤ。
【請求項36】
さらに、
前記第2絶縁層の表面に設けられた複数の第2導電性トレースと、
前記複数の第2導電性トレースおよび前記第2絶縁層を覆うようにして設けられた第3絶縁層と、
前記複数の第2導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方において前記ガイドワイヤコアの前記長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置され、電子部品と電気的に接続される複数の第2接続部であって、対応する第2導電性トレースに到達するように前記第3絶縁層に開口された第2内側開口部を含んで構成された前記複数の第2接続部と、
前記複数の第2接続部のうち少なくとも1つを覆うようにして前記ガイドワイヤコアの周方向に形成された第2導電性バンドと、を備え、
前記第2導電性バンドで覆われた第2接続部と前記第2導電性バンドとは、前記第2内側開口部に設けられた導電性接続部材を介して電気的に接続されている
請求項29に記載のガイドワイヤ。
【請求項37】
前記複数の第1導電性トレースは、互いに長さの等しい複数の第1導電性トレースのグループを少なくとも一つ含む
請求項29に記載のガイドワイヤ。
【請求項38】
前記グループを構成する複数の第1導電性トレースは、点対称のペアとして形成される
請求項37に記載のガイドワイヤ。
【請求項39】
前記グループを構成する複数の第1導電性トレースの内、少なくとも1本は、前記グループの他の第1導電性トレースと同一長さとなるように蛇行部分を有する
請求項37に記載のガイドワイヤ。
【請求項40】
ガイドワイヤコアと、
前記ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、
前記ガイドワイヤコアの側面方向に離隔して、前記第1絶縁層の表面に、且つ、前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースであって、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれが遠位端と近位端とを有する、複数の第1導電性トレースと、
前記複数の第1導電性トレースおよび前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層と、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に設けられ、前記複数の第1導電性トレースに到達するように前記第2絶縁層に開口された内側開口部を含む複数の接続部と、
前記複数の接続部のうち少なくとも1つの接続部を介して前記第1導電性トレースおよび前記第2絶縁層を覆うようにして形成され、厚さ方向から圧力が加わると、前記厚さ方向に導電経路が形成される導電性部材と、を備え
前記複数の第1導電性トレースの前記遠位端のうち最も近位側の遠位端と、前記複数の第1導電性トレースの前記近位端のうち最も遠位側の近位端との間では、前記複数の第1導電性トレースは前記ガイドワイヤコアの前記長さ方向の軸に対して平行に配置されている、
ガイドワイヤ。
【請求項41】
さらに、前記複数の接続部と電気的に接続される電子部品と、を備え、
前記電子部品としての電気的接続用部品は、前記複数の第1導電性トレースに対応する複数の押圧部を有しており、前記各押圧部を前記導電性部材へ押し当てることにより、前記電気的接続用部品と前記複数の第1導電性トレースとが電気的に接続される
請求項40に記載のガイドワイヤ。
【請求項42】
前記導電性部材は、半田よりも弾性変形可能な異方性導電性材料から形成される
請求項40に記載のガイドワイヤ。
【請求項43】
前記導電性部材の表面を覆う導電性バンドを備える
請求項40に記載のガイドワイヤ。
【請求項44】
請求項1に記載のガイドワイヤを備える長尺医療器具。
【請求項45】
ガイドワイヤコアを提供するステップと、
前記ガイドワイヤコアの表面に第1絶縁層を形成するステップと、
前記第1絶縁層の表面に前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースであって、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれが遠位端と近位端とを有する、複数の第1導電性トレースを形成するステップと、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の軸に対して平行な直線上に配置されるように複数の接続部を形成するステップと、
前記ガイドワイヤコアの遠位側に電子部品を配置するステップと、
前記接続部の内側開口部を介して前記第1導電性トレースと前記電子部品とを電気的に接続するステップと、から成り、
前記複数の第1導電性トレースの前記遠位端のうち最も近位側の遠位端と、前記複数の第1導電性トレースの前記近位端のうち最も遠位側の近位端との間では、前記複数の第1導電性トレースは前記ガイドワイヤコアの前記長さ方向の軸に対して平行に配置されている、
ガイドワイヤの製造方法。
【請求項46】
ガイドワイヤコアを提供するステップと、
前記ガイドワイヤコアの表面に第1絶縁層を形成するステップと、
前記第1絶縁層の表面に前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースであって、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれが遠位端と近位端とを有する、複数の第1導電性トレースを形成するステップと、
前記複数の第1導電性トレースおよび前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層を形成するステップと、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれに到達するように前記第2絶縁層に開口された内側開口部を含む複数の接続部を形成するステップと、
外側開口部を有する導電性バンドを前記第2絶縁層の表面に、前記外側開口部と前記内側開口部とが重なるように前記導電性バンドを配置する工程と、
前記外側開口部の内部と前記内側開口部の内部とに、前記導電性バンドと当該導電性バンドに対応する前記接続部とを電気的に接続する導電性接続部材を形成するステップと、
前記ガイドワイヤコアの遠位側に電子部品を配置するステップと、
前記電子部品と前記導電性バンドとを電気的に接続するステップと、から成り、
前記複数の第1導電性トレースの前記遠位端のうち最も近位側の遠位端と、前記複数の第1導電性トレースの前記近位端のうち最も遠位側の近位端との間では、前記複数の第1導電性トレースは前記ガイドワイヤコアの前記長さ方向の軸に対して平行に配置されている、
ガイドワイヤの製造方法。
【請求項47】
ガイドワイヤコアを提供するステップと、
前記ガイドワイヤコアの表面に第1絶縁層を形成するステップと、
前記第1絶縁層の表面に前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って設けられた複数の第1導電性トレースであって、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれが遠位端と近位端とを有する、複数の第1導電性トレースを形成するステップと、
前記複数の第1導電性トレースおよび前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層を形成するステップと、
前記複数の第1導電性トレースの長さ方向における両端側の少なくとも一方に、前記複数の第1導電性トレースのそれぞれに到達するように前記第2絶縁層に開口された内側開口部を含む複数の接続部を形成するステップと、
前記接続部の前記内側開口部の内部に位置する前記第1導電性トレースおよび前記第2絶縁層を覆うようにして設けられる導電性部材であって、厚さ方向から圧力が加わると、前記厚さ方向に導電経路が形成される導電性部材を形成するステップと、
前記ガイドワイヤコアの遠位側に電子部品を配置するステップと、
前記電子部品と前記導電性部材とを電気的に接続するステップと、から成り、
前記複数の第1導電性トレースの前記遠位端のうち最も近位側の遠位端と、前記複数の第1導電性トレースの前記近位端のうち最も遠位側の近位端との間では、前記複数の第1導電性トレースは前記ガイドワイヤコアの前記長さ方向の軸に対して平行に配置されている、
ガイドワイヤの製造方法。
【国際調査報告】