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特表2024-501182食品の推定重量を決定するための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】食品の推定重量を決定するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01G 9/00 20060101AFI20231228BHJP
   G01N 33/12 20060101ALI20231228BHJP
   A22C 25/00 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
G01G9/00
G01N33/12
A22C25/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535002
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2021086605
(87)【国際公開番号】W WO2022129581
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】20215045.4
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521162931
【氏名又は名称】マレル・サーモン・アクティエセルスカブ
【氏名又は名称原語表記】Marel Salmon A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100224627
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 稔
(72)【発明者】
【氏名】ケア,アナス
(72)【発明者】
【氏名】アナスン,マーティン
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011KE21
(57)【要約】
食品の推定重量を決定するための方法およびシステム。食品の外表面の画像は、受信され、グレースケールまたは輝度等の測定値をそれぞれ有する複数のピクセルを含む。ピクセルの測定値により、第2組織と異なる第1組織の表面含有量が識別される。表面含有量は、体積含有量に変換され、密度パラメータが記録される。最後に、体積含有量、密度パラメータ、および食品の体積を識別する体積データに基づいて、重量の推定値が決定される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の推定重量を決定する方法であって、
前記方法は、以下のステップ:
a)食品の外表面の画像を受信し、前記画像は、それぞれが測定値を有する複数のピクセルを有し;
b)前記ピクセルの前記測定値により、第2組織と異なる第1組織の表面含有量を識別し;
c)前記表面含有量を体積含有量に変換し;
d)前記食品の密度パラメータを記録し、前記密度パラメータは、前記第1組織に関連する第1密度寄与率と、前記第2組織に関連する第2密度寄与率とを少なくとも含み;
e)前記食品または前記食品の部分の体積を表す食品体積データを受信し;
f)前記体積含有量と、前記密度パラメータと、前記食品体積データとに基づいて、前記食品または前記食品の部分の推定重量を決定する
ことを備える、方法。
【請求項2】
前記表面含有量の前記体積含有量への変換は、各ピクセルまたはピクセル群を、前記ピクセルまたはピクセル群での前記食品の高さと関連させ、前記高さに基づいて、識別された前記表面含有量を体積含有量寄与率に変換することにより実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記体積含有量は、各ピクセルまたはピクセル群からの前記体積含有量寄与率の蓄積である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記食品の三次元プロファイルから、前記画像の各ピクセルまたはピクセル群での前記食品の前記高さを抽出することを備える、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記食品の三次元プロファイルから、前記食品体積データを抽出することを備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記表面含有量を前記体積含有量に変換するステップc)は、経験的データに基づく伝達関数を用いて実行される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記表面含有量を前記体積含有量へ変換するようにともに構成された第1伝達関数と第2伝達関数とを提供し、
経験的データに基づいてステップc)を実行するために前記第1伝達関数と前記第2伝達関数とのどちらを使用するか選択する
ことを備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記食品を計量することで実重量を決定し、
ステップf)で求めた前記推定重量と、前記食品の計量により求めた実重量との間の偏差に基づいて、ステップc)での変換と、ステップd)で記録された前記密度パラメータを少なくとも1つを補正する
ことを備える、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記食品を複数の部分に区画分けするステップと、
体積含有量、密度パラメータ、および食品体積データに基づいて前記食品の部分の部分的な推定重量を決める、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
区画分けに従って、前記食品を食品部分に切断することを更に備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記食品は、タイセイヨウサケなどのサケ科の切り身である、請求項1から10のいずれか1項に記載に方法。
【請求項12】
食品を加工するためのシステムであって、
スタート位置から少なくとも1つの加工位置まで、食品の流れの中で前記食品を移動させるように構成された少なくとも1つのコンベアと、
それぞれが測定値を有する複数のピクセルを備える前記食品の画像を提供するように構成された画像撮影装置と、
処理構造体と
を備え、
前記処理構造体は、
前記ピクセルの前記測定値により、第2組織とは異なる第1組織の表面含有量を識別し、
前記表面含有量を体積含有量に変換し、
前記食品の密度パラメータを記録し、前記密度パラメータは、前記第1組織に関連する第1密度寄与率と、前記第2組織に関連する第2密度寄与率とを少なくとも含み、
前記食品の体積を表す食品体積データを受信し、
前記体積含有量と、前記密度パラメータと、前記食品体積データとに基づいて、前記食品または前記食品の部分の推定重量を決定する
ように構成されている、システム。
【請求項13】
前記食品の三次元プロファイルを提供するように構成された三次元画像提供装置を備え、
前記処理構造体は、前記三次元プロファイルから、前記食品体積データおよび/または前記食品の高さを抽出するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記三次元画像提供装置は、前記画像撮影装置から構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
複数の受け入れ容器と、前記食品の重量を有するバッチ基準または等級付け基準に基づいて前記食品を前記容器に割り当てるように構成されたコントローラとを備えるバッチ装置または等級付け装置の一部を形成し、
前記コントローラは、前記体積含有量、前記密度パラメータ、および前記食品体積データに基づいて決定された前記推定重量を前記食品の前記容器への割り当てに使用するように構成されている、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラは、秤から、前記容器のうちの1つに含まれる複数の食品の合計重量を受け取り、前記合計重量を前記容器の前記食品のそれぞれの前記推定重量の合計と比較するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記コントローラは、秤から複数の前記容器に含まれる食品の複数の合計重量を受け取り、前記合計重量を前記容器の前記食品のそれぞれの推定重量の合計と比較するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記変換および/または前記密度パラメータは、前記合計重量と、前記推定重量の合計との間の偏差に基づいて補正される、請求項16または17に記載のシステム。
【請求項19】
食品小分けシステムの一部を形成し、
前記処理構造体は、前記食品を複数の部分に区画分けし、前記体積含有量、前記密度パラメータ、および前記食品体積データに基づいて前記食品の部分の部分的な推定重量を決定するように構成されている、請求項12から18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記区画分けに基づいて前記食品を食品部分に切断するように構成された切断構造体を更に備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
プログラムがコンピュータにより実行されたとき、前記コンピュータに請求項1から11のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品の推定重量を決定するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品を加工する場合、食品の重量は有用なパラメータであることが多い。しかし、食品は、異なる組織等の異なる成分を含み、異なる大きさおよび形状を有し得るため、各食品を個別に計量する必要があり、加工が扱い難くなることがある。
【0003】
従来の計量器は、食品の計量には有用であるが、例えば小分けの目的のため、食品の利用可能な部分の重量を評価することが望ましいことがある。食品から切り出す多くの部分を用意するとき、食品を計量し、密度を得るために重量を体積で割り、これを部分重量の推定に使用すれば十分であると考えられるが、食品全体にわたって均一な密度を要求する正しい部分重量を得るためには、各食品が計量器で計量される必要があり、このプロセスは、時間がかかり、および/または加工ラインでスペースと更なる設備を必要とする場合がある。
【0004】
カメラは、異なる器官、大きさおよび形状、または食品の多の特徴を識別するために頻繁に使用される。
【発明の概要】
【0005】
食品を加工する能力を向上するために、本開示は、第1態様において、食品の推定重量を決定するための方法を提供し、本方法は、以下のステップ:
a)食品の外表面の画像を受信し、前記画像は、それぞれが測定値を有する複数のピクセルを有し;
b)前記ピクセルの前記測定値により、第2組織と異なる第1組織の表面含有量を識別し;
c)前記表面含有量を前記第2組織に対する前記第1組織の体積含有量に変換し;
d)前記食品の密度パラメータを記録し、前記密度パラメータは、第1密度寄与率、例えば前記第1組織の密度の1つ以上の特定値と、第2密度寄与率、例えば前記第2組織の密度の1つ以上の特定値とを少なくとも含み;
e)前記食品または前記食品の部分の体積を表す食品体積データを受信し;
f)前記体積含有量と、前記密度パラメータと、前記食品体積データとに基づいて、前記食品または前記食品の部分の推定重量を決定する
ことを備える。
【0006】
本方法は、秤を使用することなく自動重量推定を可能にし、したがって食品加工システムの速度を向上させ、複雑性を低減させる。潜在的には、労働要件が軽減されることもある。
【0007】
本方法は、食品の異なる組織、組織の異なる密度、ならびに組織の密度のばらつきを考慮に入れている。したがって、食品が断片に切り分けられる前であっても、食品の異なる部分について個別に重量を決定することができる。これにより、食品を望ましい重量を有する断片に小分けするために改善された基礎を提供することができる。
【0008】
また、秤は完全に清潔ではない場合があり、秤の汚染物は、精度を低下させることがある。また、秤は、通常、一度に1つの食品のみが秤に載せられるように、食品を完全に分離する必要がある。このため、コンベアベルト上の処理能力が制限され、食品がコンベアベルト上で横並びにならないように、食品を一列に配置する必要がある。本開示によれば、画像内で互いに区別できる限り、そのような横並びの食品の重量を推定することができる。
【0009】
食品は、例えば、野菜、果物、肉、鳥肉、魚、および水産物から構成されるリストからの物品であってもよく、食品は、そのような野菜、果物、肉、鳥肉、魚、および水産物の断片であってもよい。特に、本方法は、魚の切り身等の魚、または牛肉、豚肉、鳥肉の切り身またはそれらのスライス等の肉の処理に使用されてもよい。
【0010】
粘着性の食品は、表面に粘着する傾向が強まり、秤の表面上への食品の移動を避けることが特に有利な場合がある。同じことが、壊れやすい、またはばらばらの構造を持つ食品にも当てはまる。したがって、本方法は、そのような食品の重量を推定するのに特に有利である。
【0011】
一実施形態では、食品は哺乳類、魚類、またはその一部である。具体的には、食品は、サケ科の魚の切り身、例えばサケの切り身、またはマスの切り身であってもよい。また、チャー、グレイリング、オヒョウ、グリーンランドオヒョウの切り身であってもよく、白身魚の切り身でもよい。好ましくは、食品は非加熱食品である、すなわち、食品は調理、燻製、グリルまたは加熱工程を経ていない。食品は、燻製された魚の切り身などの燻製された切り身でもよい。
【0012】
本開示の文脈において、「魚の切り身」という用語は、背骨と平行に魚の片側に沿って縦に切断することにより、骨から切り離された魚の部分として理解されるべきである。片側にある皮は、切り身から剥がされても剥がされなくてもよい。代替的な実施形態では、食品はフィッシュステーキ(フィッシュカツレツとしても知られる)であってもよい。フィッシュステーキは、脊椎骨に対して垂直にカットされた魚の切り身とは対照的である。例えば魚の切り身やステーキなどでは、内部組織、特に脂肪や身がはっきりと見えるため、本方法が特に適している。
【0013】
画像は、一例として、カラー画像またはモノクロ画像であってもよく、電磁放射線を捕捉するカメラ、例えばライン型またはマトリクス型のCCDカメラ、または任意の類似の種類のカメラ、可視範囲外の電磁放射線を捕捉するカメラ、例えばX線カメラを含む、当該技術分野で公知の画像撮影手段で撮影することができる。さらに別の方法として、超音波を使用してもよい。
【0014】
画像は、各ピクセルの位置と、各ピクセルについてピクセルの測定値を含む画像データで表される。
【0015】
ピクセルの測定値は、本明細書で使用される場合、例えば、ピクセルの強度、輝度、および/または色度を含んでもよい。
【0016】
「画像データ」とは、輝度および/または色度を代表するデータ(二次元又は三次元で空間的に分解されたもの等)を意味し、例えば、スキャナ(例えば、ラスターパターンで点を走査する、または複数のラインを走査する)または光学カメラ(例えば、単一のスナップショットで画像データを取得する)などの測定装置によって観察される。画像データは、モノクロであってもよく、赤、緑、および青(RGB)の強度の情報を有するカラーであってもよい。「光学的」とは、画像データが、紫外線(UV)、人間に見える光のスペクトル(VIS)、および赤外線(IR)に対応する[100nm;1mm]の区間内の波長を有する電磁放射を介して得られることを意味する。特定の実施形態では、画像データは、人間に見える光のスペクトル(VIS)に対応する[380nm;740nm]の区間内の電磁放射線について得られる。
【0017】
「データ」は通常、デジタルデータを意味する。
【0018】
画像は、食品の外表面上の異なる組織を視覚化し、異なる組織を識別する。異なる組織は、身、脂肪、骨、軟骨等が含まれてもよく、測定値は、第1組織と第2組織とを区別するために使用される。
【0019】
脂肪は、例えば、身とは異なる光を反射するため、ピクセルの強度または輝度によって識別可能であり、または脂肪は異なる色を有しており、ピクセルの色度によって識別可能である。識別プロセスは、第2組織とは異なる第1組織の表面含有量を提供する。本方法は、例えば、画像中の各ピクセルの色を閾値と比較するステップを含んでよい。一例として、第1組織が身である場合、色は赤の尺度と比較され、第1組織の色が尺度の所定の閾値より高い場合、当該ピクセルは身として分類されることがある。第1組織の色が尺度の所定の閾値より低い場合、当該ピクセルは脂肪に分類されることがある。食品の部分が第1組織に属するか第2組織に属するかを判定するために、他のプロセスを使用することもできる。
【0020】
「ピクセルの測定値によって、第2組織とは異なる第1組織の表面含有量を識別する」とは、以下を意味する:
第1組織と第2組織の絶対表面積が決定され、
第2組織に対する第1組織の面積の比率が決定され、これを本明細書では画像比率と呼び、および/または
各ピクセルまたはピクセル群は、第1組織および第2組織の一方に割り当てられ、識別ステップは、画像中のどこに第1組織があるか、画像中のどこに第2組織があるかを識別する。
【0021】
本方法は、表面含有量を第2組織に対する第1組織の体積含有量に変換するステップを備える。変換ステップにより、例えば表面上の脂肪の含有量は、食品を通した含有量に変換される。
【0022】
本明細書において、「体積含有量」は、以下を意味する:
第1組織および第2組織の絶対量、すなわち表面だけでなく食品全体における量、および/または
食品全体における第2組織に対する第1組織の比率、これは本明細書において食品比率と呼ばれる。
【0023】
変換は、本明細書において伝達関数と呼ばれるモデルにより実行されてもよい。伝達関数は、表面含有量に基づいて体積含有量を表現する数学的モデルであってもよい。
【0024】
変換は、一例として、画像だけでなく、追加的に経験的データに基づいてもよい。本明細書では、経験的データは、例えば、研究により得られたデータおよび/または動物または植物の飼育に関する情報および/または動物または植物の処理または加工に関する情報として定義される。
【0025】
経験的データには、表面含量率から体積含量率への変換に対して決定的である様々な側面に関するデータが含まれる。このようなデータの例としては、定量化された指標、例えば食品の高さおよび/または幅および/または長さが挙げられる。例えば身または脂肪の体積量は、食品の高さが一定の範囲にある場合等に高くなる。経験的データの例は後述する。
【0026】
本方法は、食品の密度パラメータを記録するステップを備え、密度パラメータは、第1組織に関連する第1密度寄与率と、第2組織に関連する第2密度寄与率とを少なくとも含む。
【0027】
食品についての密度パラメータは、これにより、第1組織および第2組織のそれぞれの密度を定義する。
【0028】
実施態様では、更なる組織が識別され、密度パラメータは、更なる密度寄与率を含んでもよい。
【0029】
実施形態では、第1組織が身であり、第2組織が脂肪であり、第1密度寄与率は、身の密度、例えば1.05g/cmであってもよく、第2密度寄与率は、脂肪の密度、例えば0.94g/cmであってもよい。
【0030】
密度パラメータは、第1組織に異なる密度を定義してもよく、および/または第2組織に異なる密度を定義してもよい。このことは、例えば同じ組織が、異なる側面に応じて、例えば食品中での組織の位置に応じて異なる密度を有することがあるため、適切である場合がある。脂肪は、一例として、例えば魚の尾部に由来するか腹部の部分に由来するかによって密度が変わることがある。
【0031】
本方法は、食品の体積を表す食品体積データを受信するステップを更に備える。食品が実質的に同じ大きさの実施形態では、食品体積データは、食品に関連付けられた固定値であってもよい。例えば、全ての魚は例えば1000立方センチメートルであると考えられてもよい。
【0032】
食品が異なる大きさを有する実施形態では、食品体積データは、異なる方法で決定されてもよい。一実施形態では、食品の厚みを測定するために単純な手段、例えば食品がピンの下を横切ると上昇する回動可能なピンが使用される。この実施形態では、体積は、例えば食品が常に一定の輪郭を有するとみなすことで計算することができ、厚みと体積との間に一定の比率を定義することができる。ここで、V(h)は、高さhの体積であり、kは定数である。
【0033】
【数1】
【0034】
他の例では、体積は、例えば画像に基づいて、例えば具体的な輪郭を抽出することで決定されてもよい。この輪郭を面積に変更し、例えば以下の式に使用してもよい。ここで、V(h,a)は、高さh、面積aの体積であり、kは定数である。
【0035】
【数2】
【0036】
画像が二次元画像であっても、特に食品の高さが実質的に均一であれば、体積データの決定に使用することができる。
【0037】
他の実施形態では、実質的に各食品について個別に体積を評価する必要がある場合がある。そのような実施形態では、体積データは、一例として、食品の三次元キャプチャに基づく三次元プロファイルを確立するために当該技術分野で既知の装置を使用することにより、三次元カメラで撮影された食品の画像等の三次元プロファイルに基づいてもよい。
【0038】
続いて、食品の推定重量が、食品比率、密度パラメータ、および食品体積データに基づいて決定される。
【0039】
推定重量は、必ずしも正確な重量ではなく、すなわち推定重量は、体積含有量、密度パラメータ、および食品体積データから決定される概算重量である。
【0040】
「三次元プロファイルデータ」という用語は、食品の表面の三次元プロファイルに関する情報を有する任意の種類のデータ(二次元または三次元で空間的に分解されたものなど)を意味することがあり、「三次元プロファイル」という用語は、食品の表面の形状(表面の部分の三次元的な位置など)を意味することがある。三次元プロファイルデータは、三次元点群、(ラスタライズされた)高さマップ、および表面形状を記述する1以上の数学関数(例えばz=f(x,y)、ここで支持面からの距離zは横方向位置(x,y)の数学関数fとして与えられる)を含む非限定的な例から選択されてもよい。
【0041】
食品は、第3組織、第4組織、および第5組織等を備えてもよく、そのような更なる異なる組織の更なる表面含有量を決定することができる。
【0042】
a)からf)までのナンバリングはステップの特定の順序を意味するものではないため、方法ステップa)-f)は他の順序で実行されてもよい。一例として、密度パラメータを記録するステップおよび/またはおよび/または食品体積データを受信するステップは、画像を受信するステップまたは表面含有量の決定または表面含有量を体積含有量に変換するステップより前に実行されてもよい。
【0043】
食品の重量の推定は、分類、切断、スライス、トリミング、軟骨除去、バッチング、包装、または食品の単なる計数または登録などの他の食品を処理するプロセスの前後、またはそれらの間に実行されてもよい。
【0044】
表面含有量の体積含有量への変換は、各ピクセルまたはピクセル群をピクセルまたはピクセル群における食品の高さに結合することにより実行されてもよい。高さに基づいて、識別された表面含有量が体積含有量寄与率に変換されてもよく、続いて、体積含有量が、各ピクセルまたはピクセル群からの体積含有量寄与率を累積することで決定されてもよい。
【0045】
食品の高さは食品の長さに沿って変化することがあるため、平均高さを決定の基礎として使用してもよい。代替的には、食品の高さは、複数の位置、例えば、各ピクセルまたは定められたピクセル群において決定されてもよい。
【0046】
本方法は、食品の三次元プロファイルから、画像中の各ピクセルまたはピクセル群における食品の高さを抽出するステップを備えてもよい。
【0047】
本方法は、食品の三次元プロファイルから、食品体積データを抽出するステップを更に備えてもよい。
【0048】
表面含有量を第2組織に対する第1組織の体積含有量に変換するステップc)は、前述したように、画像に依存し、さらに経験的データに依存する伝達関数を使用して実行されてもよい。このような経験的データは、以下のものに関連し、定義することができる:
1年の季節(以下、「季節データ」と呼ぶ);
例えば、食品の一般的な状態に関連し、野菜の場合は水分含有量に関連し、肉または魚の場合は動物の年齢に関連し、または性的に成熟していることなどに関連する他の特性に関連する食品の特性(本明細書において「食品データ」と呼ぶ);および/または
例えば肉の熟成またはトリミングおよび切り分けの原理などに関連する、食品を加工した、または加工することを意図した方法の特徴(本明細書において「加工データ」と呼ぶ)。
【0049】
経験的データは、試験により求められてもよい。一例として、1つのモデルは冬季に表面含有量から体積含有量に変換するのに対して、夏季では、他のモデルまたはモデルの他の設定がよりよく変換することが、試験により示されることがある。
【0050】
したがって、第2組織に対する第1組織の体積含有量に表面含有量を変換するステップc)は、季節データ、食品データ、または加工データに依存する伝達関数を使用することで実行されてもよい。
【0051】
2つの異なる方法を実施することができる。一実施形態群では、1つの伝達関数が、表面含有量から体積含有量への変換のために、経験的データおよび画像を使用する。他の実施形態群では、異なる伝達関数が経験的データに基づいて選択される。
【0052】
本方法は、例えば、
例えば異なる2種類の魚などについて、ある種類の食品に適した1つの伝達関数と、他の種類の食品に適した他の伝達関数のどちらかを選択する;または
例えば夏または冬について、ある季節に適した1つの伝達関数と、他の季節に適した他の伝達関数のどちらかを選択する;または
食品の前処理または後処理に適した1つの伝達関数と、食品の他の前処理または後処理に適した他の伝達関数とのどちらかを選択する(例えば一方は肉の短期熟成に適しており、他方は肉の長期熟成に適している)。
【0053】
食品は、特に、コンベアベルト等のコンベアシステムを使用して移動されてもよく、食品は食品の連続的な流れで受け取られてもよい。
【0054】
上述したように、食品体積データは、例えば食品の画像から得られた三次元プロファイルに基づいてもよい。一実施形態では、三次元画像と異なる組織の画像とは、三次元画像と当該画像との両方を提供可能な単一の画像撮影装置により提供されてもよい。
【0055】
画像撮影装置は、三次元画像からの情報を体積データに変換可能な処理装置と通信してもよい。処理装置は、表面含有量から体積含有量への変換を実行してもよい。
【0056】
本方法は、実重量を決定するために食品を計量するステップと、推定重量と得られた実重量とを比較するステップとを更に備えてもよい。
【0057】
本方法は、ステップcで変換を補正すること、および/またはステップd)で記録された密度パラメータを補正することを更に備えてもよく、補正は、ステップf)で求められた推定重量と食品を計量することにより求められた実重量との間の偏差に基づく。
【0058】
その結果、例えば食品のバッチが食品の前のバッチと異なる等、複数の食品に対して本方法を較正することが可能となることがある。一実施形態では、画像比率の決定は、ピクセルが第1組織を表すか、第2組織を表すか、またはさらなる組織を表すかを決定するために使用される色の測定値に関する所定の閾値を補正することによって変更することができる。
【0059】
一例として、画像比率が2%の場合に食品比率が3%であることが求められている場合、画像比率が2%の場合に食品比率が3.5%になるように変更することができる。
【0060】
本方法は、食品を複数の部分に区分分けするステップと、食品の部分的な推定重量を決定するステップとを更に備えてもよく、部分的な推定重量は、食品の部分の重量の推定値である。食品比率、密度パラメータ、および食品体積パラメータに基づいて、食品は複数の部分に分割されてもよい。区分分けは、部分的な推定重量が各部分で実質的に同じになるように実行されてもよい。
【0061】
本方法は、食品を食品部分に切断するステップを更に備えてもよく、食品部分は、部分的な推定重量に基づいて決定されるため、区分分けは、食品を食品の部分に切断する前のプレステップとして実行されてもよい。
【0062】
第2態様では、本開示は、食品を加工するためのシステムを提供し、本システムは、
スタート位置から少なくとも1つの加工位置まで、食品の流れの中で前記食品を移動させるように構成された少なくとも1つのコンベアと、
それぞれが測定値を有する複数のピクセルを備える前記食品の画像を提供するように構成された画像撮影装置と、
処理構造体と
を備え、
前記処理構造体は、
前記ピクセルの前記測定値により、第2組織とは異なる第1組織の表面含有量を識別し、
前記表面含有量を体積含有量に変換し、
前記食品の密度パラメータを記録し、前記密度パラメータは、前記第1組織に関連する第1密度寄与率と、前記第2組織に関連する第2密度寄与率とを少なくとも含み、
前記食品の体積を表す食品体積データを受信し、
前記体積含有量と、前記密度パラメータと、前記食品体積データとに基づいて、前記食品または前記食品の部分の推定重量を決定する
ように構成されている。
【0063】
処理構造体は、プログラムがコンピュータによって実行されるとコンピュータに第1態様に係る方法を実行させる命令を有するコンピュータプログラムを備える記憶装置に動作可能に接続されたコンピュータにより構成されてもよい。
【0064】
本システムは、食品の三次元プロファイルを提供するように構成された三次元画像提供装置を備えてもよく、処理構造体は、三次元プロファイルから、食品体積データおよび/または食品の高さを抽出するように構成されてもよい。
【0065】
本システムは、複数の受け入れ容器と、食品の重量を有するバッチ基準または等級付け基準に基づいて食品を容器に割り当てるように構成されたコントローラとを備えるバッチ装置または等級付け装置の一部を形成してもよく、コントローラは、体積含有量、密度パラメータ、および食品体積データに基づいて決定された推定重量を食品の容器への割り当てに使用するように構成されている。
【0066】
コントローラは、秤から容器のうちの1つに含まれる複数の食品の合計重量を受け取り、合計重量を容器の食品のそれぞれの推定重量の合計と比較するように構成されてもよい。コントローラは、その後、表面含有量を体積含有量に変換する方法、または密度パラメータを補正して、推定重量と秤により決定された重量との偏差を最小化する。
【0067】
コントローラは、秤から複数の容器に含まれる食品の複数の合計重量を受け取り、合計重量を容器の食品のそれぞれの推定重量の合計と比較するように構成されてもよい。
【0068】
当業者であれば、本開示の第1態様と組み合わされた記載された任意の特徴が、本開示の第2態様に組み合わせ可能であり、その逆も同様であることを容易に認識するであろう。
【0069】
本発明の第2態様に係るシステムは、本発明の第1態様に係る方法ステップを実行するために非常に適している。したがって、方法に関連して上述したことは、システムに関連して同様に適用可能である。
【0070】
本システムは、特に、送り込みセクションと送り出セクションとの間に隙間を形成することを可能にするコンベア構造を備えてもよく、送り込みと送り出しは、2つのセクションの間の隙間に対する相対位置であり、送り込みおよび/または送り出しセクションは、隙間に対して相対的に移動可能である。間隙に関連して、ナイフが配置されてもよく、食品を切断/小分けするための切断プロセス中に、切断断片が隙間に導かれてもよく、または食品の末端部が隙間に導かれてもよい。そのような構造は、隙間おいてプロセスが実行されるか否かに関わらず、スタート位置とエンド位置との間の位置で、食品または食品の断片の排除を可能にすることがある。魚を加工する場合、食品は、魚全体または魚の切り身である場合があり、食品の断片は、スタート位置とエンド位置との間で通常排除される尾部および頭部を含む場合がある。
【0071】
第3態様では、本開示は、プログラムがコンピュータにより実行されたときに、コンピュータに請求項1-9に係る方法を実行させる命令を有するコンピュータプログラムを提供する。
【0072】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1図1は、2つの食品を図示している。
図2図2は、本開示に係るシステムの主要なコンポーネントを模式的に図示している。
図3図3は、本開示に係るシステムをより詳細に図示している。
図4図4は、食品の画像の撮影を図示している。
図5図5は、食品の画像と、食品の三次元プロファイルとの間の重なり合いを図示している。
図6図6は、画像に基づいて決定され、食品の体積を決定するために使用される外郭を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0074】
詳細な説明および具体例は、本開示の実施形態を示すものであるが、本開示の精神および範囲内での様々な変更および修正が詳細な説明から当業者に明らかになるため、例示のためのみに与えられる。
【0075】
図1は、デジタルカラー画像をグレートーンに変換した画像である。各グレートーンは、「グレーのレベル」によって測定値を定めている。
【0076】
図1では、画像は、2つの食品2を示しており、それぞれ魚の切り身2の形態である。魚の切り身2は、身の形態の第1組織30と、脂肪の形態の第2組織40とを備える。図1では、身30は、白い部分として図示されており、脂肪40は、黒い部分として図示されている。これは説明のためのみであり、一実施形態での画像1は、身が赤色で脂肪が白色のカラー画像であってもよい。画像1に基づいて、各組織の含有量が決定される。これは、画像を撮影するカメラによって表面上で見られる含有量であるため、表面含有量と呼ばれる。
【0077】
測定値、すなわちこの場合グレースケールは、脂肪として考慮されるもの、および身として考慮されるものを決定し、2つの異なる組織は、グレー閾値を導入することで互いに区別することができる。閾値を上回るピクセルは、身を表し、閾値を下回るピクセルは脂肪を表す。
【0078】
この場合、第1組織は、身30で表されており、第2組織は、この場合脂肪40で表されている。
【0079】
図示された実施形態では、魚の切り身2において広い白色の領域が観察されており、魚の切り身2の大部分が身30であることを図示している。
【0080】
2つの食品2を比較すると、2つの切り身2の第2組織40、即ち脂肪の面積が異なることがわかる。右側の魚の切り身2は、左側の魚の切り身2よりも広い脂肪の縞を有している。これは、右側の魚の切り身2では第2組織40、すなわち脂肪の量が多く、したがって、右側の魚の切り身2は左側の魚の切り身2よりも密度が低いことを表している。
【0081】
右側の魚の切り身2は、左側の魚の切り身2よりも脂肪40の面積が広いため、各魚の切り身の画像は、ピクセルの測定値により、第2組織とは異なる第1組織の表面含有量を識別できる。この例において、表面含有量は、脂肪に関連するピクセルを身に関する他のピクセルから具体的に分離する。表面含有量は、画像中の脂肪の絶対的な表面積であってもよく、画像等における身の面積に対する脂肪の面積の比率であってもよい。これは、本明細書では画像比率と呼ばれる。
【0082】
第1組織30の量および/または第2組織40の量は、食品2内で変化する場合があるため、画像比率は、食品中の第1組織30と第2組織40との間の比率と必ずしも一致しない。
【0083】
図2は、食品2の重量を推定するためのシステム201の主要なコンポーネントを模式的に図示している。システム100は、S1,S2,S3と名付けられた3つのステーションを備える。3つのステーションは、例えばコンベアによって接続されてもよく、単に、テーブル、または1以上のコンベアベルトを有するラインの3つの異なる位置に配置された3つのステーションであってもよい。S1は、スタート位置、例えば食品をスキャンするためのスキャナを表してもよい。S2は、処理ステーション、例えば食品2の重量が推定される加工ステーションを表してもよい。他の処理ステップは、分類、計数、マーキング、小分け、トリミング、重量制御、バッチング、または任意の類似の種類の食品の既知の処理であってもよい。S3は、エンド位置、例えば包装ステーションを表してもよい。
【0084】
図3は、図2に模式的に図示されたシステム201の更なる詳細を図示している。例示されたシステムは、食品202のオペレータ支援加工のために構成されているが、全自動加工であってもよい。
【0085】
図示された施設は、食品202を入口204から出口205に搬送するコンベアベルトなどのコンベア203を備える。
【0086】
重量推定位置206では、食品の画像を提供できるように画像撮影装置207が配置されている。図示された実施形態では、画像撮影装置は、コンベア203の上方に配置されており、ランプ208が食品のより良好な詳細を認識するための十分な光を提供するように配置されてもよい。画像撮影装置207は、可視光の反射に基づくが、代替的な実施形態では、画像撮影装置は、X線ベースまたは超音波ベースなどであってもよい。
【0087】
システムは、重量推定位置に配置され、三次元画像を提供するように構成された三次元画像提供装置209を備えている。三次元画像は、食品202の体積を表す食品体積データを決定するための基礎として使用される。
【0088】
三次元画像提供装置209は、各ピクセルに測定値を有するピクセル画像を撮影できる場合、画像撮影装置207を置き換えてもよい。
【0089】
計量ステーション210は、重量推定の後に配置されており、食品のいくつかを計量することができる。実重量は、その後、食品の重量を推定する方法を較正するために使用することができる。ランプ211が、食品を追加的に手動で視覚的にスキャンするために、計量ステーション210に配置されている。
【0090】
入口204と出口205との間では、処理ステーションで食品が処理される。この場合、処理ステーションは、2つの加工テーブル212,213を備える。代替的には、そのような処理ステーションは、自動加工設備を備えてもよい。
【0091】
オペレータ214,215が、各加工テーブルに割り当てられてもよい。
【0092】
コンピュータ216は、画像撮影装置207から食品の画像を受け取るように構成されたデータ入力を備えている。この画像は、例えばピクセルのマトリクスで配置された複数のピクセルを含み、各ピクセルは、グレースケール値の形態の測定値を有している。
【0093】
食品の異なる組織が画像中に視覚化されている。
【0094】
コンピュータは、三次元画像提供装置209から食品の体積を表す食品体積データを、例えばローカルエリアネットワークLAN217を介して受け取るようにさらに構成されている。対応するソフトウェアコードを有するCPUは、処理構造体を形成するように構成されており、画像から第2組織とは異なる第1組織の表面含有量を決定するように構成されている。表面含有量は、画像中の第1組織と第2組織との間の画像比率で表されてもよい。
【0095】
コンピュータは、表面含有量を体積含有量に変換するようにそれぞれ構成された様々な伝達関数のライブラリを有する。各伝達関数は、特定の状況、例えば特定の種類の食品、季節、または他の変数に適合する。特に遭遇する状況に対して最も有望な伝達関数は、ユーザインターフェースで選択されるか、コンピュータによって自動的に認識される。コンピュータは、日付、したがって時期に応じて異なる伝達関数の間を自動的に移行してもよく、オペレータは、ある種類の魚から他の種類の魚に移行したときに、伝達関数の新たな範囲を選択してもよい。
【0096】
伝達関数は、一例として、以下であってもよい。ここで、xは、組織(例えば脂肪)の表面含有量であり、F(x)は、当該組織の体積含有量であり、kは定数である。
【0097】
【数3】
【0098】
他の例では、伝達関数は以下であってもよい。ここで、i1は、食品の長さ寸法の影響を表す経験的な値であり、l1は、長さ方向、例えば画像から決定され、xは、組織(例えば脂肪)の表面含有量であり、F(x)は、当該組織の体積含有量であり、kは定数である。
【0099】
【数4】
【0100】
他の実施態様では、コンピュータは、体積パラメータを各ピクセルまたは領域に個別に適用するようにプログラムされている。この実施態様では、コンピュータプログラムは、ピクセルまたはピクセル群に関連する厚みを決定する。この厚みは、例えば三次元画像または当該分野で知られている他のスキャナから決定されてもよい。その後、コンピュータは、ピクセルまたはピクセル群により表される組織の体積を決定する。この場合、伝達関数は、例えば以下の形態であってもよい。ここで、aiは、ピクセル番号iのピクセルの面積またはピクセルのi群の面積であり、hiは、ピクセル番号iで識別されるピクセルでの食品の高さ、またはピクセルのi群での食品の高さである。Fは、当該組織の体積含有量である。
【0101】
【数5】
【0102】
他の実施態様では、コンピュータは、以下の伝達関数でプログラムされている。
【0103】
【数6】
【0104】
【数7】
【0105】
ここで、pは、全てのピクセル、すなわち画像中のピクセルの合計数である。関数F1は、組織1(例えば、脂肪)の合計体積を返し、F2は、組織2(例えば、身)の合計体積を返す。関数gは、当該ピクセル群の体積(表面積*高さで計算される)を返す。関数F1は、当該ピクセルの組織1(例えば、脂肪)の量を表す区間[0,1]の数値を返す。関数F2は、当該ピクセルの組織2(例えば、身)の量を返す。
【0106】
関数F1,F2は、ピクセル群の表面の組織を考慮に入れており、F1は、表面上のピクセル群全体が組織1である場合に1.0を返すが、製品年齢または種類等または食品の位置に基づいて、例えば0.7のみが脂肪であることを知ることもできる。
【0107】
コンピュータは、食品の密度パラメータを記録してもよく、密度パラメータは、第1組織に関連する第1密度寄与率と第2組織に関連する第2密度寄与率とを少なくとも有している。密度パラメータは、他のコンピュータシステムからLANにより受信してもよく、システムのオペレータにより手動で入力されてもよい。
【0108】
体積含有量、密度パラメータ、および食品体積データに基づいて、コンピュータは、食品の重量を推定することができる。
【0109】
本方法を実行するためのC++オブジェクトを以下に示す。この例では、第1組織は、脂肪であり、第2組織は、身である。
enum TisueType { FAT, MEAT };
struct Pixel
{
double height;
double area;
TisueType tissue_type;
list<double> location;
};
double calcFatShare(Pixel p) { return 0.8; }
double calcFatMeat(Pixel p){ return 0.98; }
list<double> calcTisueVolumens(list<pixel> pixels)
{
double volumen_fat = 0;
double volumen_meat = 0;
for(int i=0; i<pixels.size(); ++i)
{
Pixel p = pixels[i];
double pixel_volumen = p.height * p.area;
if(p.tissue_type==FAT)
{
double k1 = calcFatShare(p);
volumen_fat = volumen_fat + pixel_volumen * k1;
volumen_meat = volumen_meat + pixel_volumen * (1-k1);
}
else if(p.tissue_type==MEAT)
{
double k2 = calcMeatShare(p);
volumen_meat = volumen_meat + pixel_volumen * k2;
volumen_fat = volumen_fat + pixel_volumen * (1-k2);
}
}
return {volumen_fat, volumen_meat};
}
【0110】
関数calcFatShareおよび関数calcFatMeatは、p.heightまたはp.locationを考慮に入れている。食品の年齢を使用することもできる。より高度な式では、隣接するピクセルが考慮に入れられる。4mm以内の周囲の全てのピクセルが脂肪である場合、calcFatShare()は、1.0を返すが、当該半径でのピクセルの20%のみが脂肪である場合、0.15を返す。
【0111】
コンピュータ216は、製品カード218で象徴されるデータファイル218を生成してもよい。データファイルは、食品202および/または食品202の非切断部分の推定重量、および食品に関連するまたは食品の加工に関連する他の種類のデータを含んでもよい。
【0112】
各加工テーブル212,213は、例えばオペレータが食品を識別し、食品に関連する情報を生成することを可能にするタッチスクリーン219,220の形態のコンピュータインターフェースを有してもよい。このような情報は、オペレータのID、テーブルのID、または、食品に関連する視覚的に観察された問題、例えばオペレータにより観察された品質パラメータを特定してもよい。情報は、LAN217によりコンピュータ216または他の場所、例えば監督者222がデータを確認することができる監督者コンピュータシステム221に送信されてもよい。データは、例えば推定重量と共にデータファイル218を含んでもよい。データは、例えばデータファイルに含まれるように、例えば隣接する処理ステーションにエクスポートされてもよく、消費者に至るまで食品または食品の断片を追跡してもよい。
【0113】
出口205は、例えば、更なる加工、包装、検査、または排除等のために食品を隣接する処理ステーションに搬送するように配置されてもよい。
【0114】
図示されたシステムは、食品の推定重量を制御するための計量ステーション210を備える。システムは、例えば、特定の重量または特定の数の食品のバッチを得るために、特性に応じて多数の食品をグループ化することができるグレーダーの一部を形成してもよい。計量ステーションは、一般に、画像撮影装置207に対して下流の任意の場所に配置されてもよい。特に、計量ステーションは、バッチ、すなわち重量が個々に推定された多数の食品の累積を計量するように配置されてもよい。この場合、重量は、以前に用意されたバッチの数、例えば、システム内で用意されている食品の最後の1000個のバッチの重量に関連して記憶されてもよい。以前に用意されたバッチの数は、以下に説明するように、移動ウィンドウを定義してもよい。
【0115】
システムは、組織の1つの体積、例えば箱の中の各魚の脂肪の含有量および/または身の含有量を記録してもよい。
【0116】
新しいバッチの重量が保存されるたびに、コンピュータは、当該重量が妥当であるかどうか、例えば予想重量、すなわち当該バッチ内の食品の推定重量の合計により構成される重量の数パーセント以内に入っているかを、秤を使用して確認するように構成されている。
【0117】
推定重量と測定重量との間の差が特定の許容範囲内であるとき、最も古い箱がメモリから削除される。
【0118】
バッチの数が2つのグループ(システムにより用意された偶数バッチ番号と奇数バッチ番号)に分けられる
【0119】
2つのグループに2つの未知数を持つ2つの式が求められる。ここで、V1fは、番号1の食品の脂肪の体積であり、Dは、食品の密度であり、Dfは、脂肪の密度であり、Dmは、身の密度である。Wは、食品の重量である。参照符号1または2は、式が番号1および2の食品のためのものであることを示している。
【0120】
【数8】
【0121】
【数9】
【0122】
上記式を解くと、2つの新しい密度-脂肪と密度-身とが求められる。
【0123】
新しい密度は、直接使用されてもよく、learning_rate(例えばL=1.0)を有する既存の密度に適用してもよい。
【0124】
【数10】
【0125】
上述の例は、より多数のバッチ、例えば1000個のバッチを有する移動ウィンドウであってもよい。より小さな移動ウィンドウを使用することで、より低い学習率、例えば0.001が提供され、より多数のバッチの代わりに、例えば1000個のバッチの代わりに、最後の2つのバッチのみを使用してもよい。
【0126】
代替的には、多くの外れ値がフィルタリングされるアルゴリズムが定義されてもよい。例えば、2*10個のバッチを使用し、最も正の偏差を有する2個のバッチと、最も負の偏差を有する2個のバッチは使用されない。残りの16個のバッチは、2つのグループに分けられ、2つの未知数を有する2つの式が生成されて、解かれる。
【0127】
図4は、切り身2の形態の食品2の画像50の撮影を図示している。画像50は、身の形態の第1組織30と脂肪の形態の第2組織40とを示している。
【0128】
図5は、特定のピクセルまたはピクセル群における食品の高さをそれぞれ定義するベクトル51の形態の三次元プロファイルが重ね合わされた画像50を示す。一部のベクトル51のみを示す。実際には、三次元プロファイルは、各ピクセルまたはピクセル群にベクトルを含んでおり、ベクトルの長さは高さを示している。三次元プロファイルと画像の組み合わせにより、コンピュータプログラムは、ピクセルまたはピクセル群に関連する厚みを決定することができる。コンピュータは、この情報を使用して、特にピクセルまたはピクセル群から、例えば脂肪の体積含有量寄与率を決定してもよい。
【0129】
その後、コンピュータは、各ピクセルまたはピクセル群から体積含有量寄与率を累積して、これにより体積含有量を定義してもよい。累積は、例えば、以下に示される関数により実行されてもよい。ここで、vcciは、ピクセル番号iまたはピクセルのi群からの体積含有量寄与率であり、Vcは、体積含有量である。
【0130】
【数11】
【0131】
図6は、別の食品の外郭を図示している。外郭は、ピクセルの測定値により決定されてもよい。コンピュータは、外郭を食品の体積を決定するために使用する。食品が配置されている表面は、食品の色と異なる色を有してもよい。これにより、外郭を正確に定義する能力を向上でき、これにより体積データを決定するためのよりよい基礎を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】