(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】アキシャルフラックスマシン製造
(51)【国際特許分類】
H02K 15/03 20060101AFI20231228BHJP
H02K 1/2793 20220101ALI20231228BHJP
【FI】
H02K15/03 A
H02K1/2793
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535280
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 EP2021084626
(87)【国際公開番号】W WO2022128641
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513039333
【氏名又は名称】ヤサ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティム ウールマー
(72)【発明者】
【氏名】トム ヒルマン
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622CA02
5H622CA06
5H622CA10
5H622PP03
5H622QA06
(57)【要約】
アキシャルフラックス永久磁石マシン用の永久磁石を製造する方法。アキシャルフラックス永久磁石マシンは、マシン軸の周りに周方向に間隔を置いて配置された1組のコイルを備えるステータと、マシン軸の周りに周方向に間隔を置いて配置された1組の永久磁石を支えるロータと、を含む。ロータおよびステータは、磁束が概して軸方向となるギャップを画定するように離間される。方法は、各(永久)磁石に関して、切断線の列に沿って切断するように構成された切断機に関連する切断位置で、磁石を磁石固定具内に据え付ける工程と、各々磁石の厚さを通して延在する磁石を横切る切れ目の列を同時に作製するために、磁石および切断線の列を移動させる工程と、を含む。切断機は、ワイヤ切断機であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アキシャルフラックス永久磁石マシン用の永久磁石の製造方法であって、前記アキシャルフラックス永久磁石マシンは、
マシン軸の周りに周方向に間隔を置いて配置された1組のコイルを含むステータ、および
前記マシン軸周りの回転のために搭載されたロータであって、前記ロータは、前記マシン軸の周りに周方向に間隔を置いて配置された1組の永久磁石を持つ、ロータ
を含み、
各永久磁石は、前記マシン軸に垂直な平面内に延在し、および前記ステータに向かう第1の面および第2の反対面を有し、ならびに、
前記ロータおよび前記ステータは、前記マシン内の磁束が概して軸方向となるギャップを画定するように前記マシン軸に沿って離間され、
前記方法は、各永久磁石に関して、
切断線の列に沿って切断するように構成された切断機に関連する切断位置で磁石固定具に前記永久磁石を据え付ける工程と、
前記永久磁石および前記切断線の列を互いに関して移動させて、前記永久磁石を横切る切れ目の列を同時に作製する工程であって、各切れ目は、前記永久磁石の厚さを通して前記第1の面から前記第2の面に延在する、工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記切断線の列の線は、各々、線軸の方向に延在し、および前記永久磁石を前記磁石固定具に据え付ける工程は、前記線軸が前記第1および第2の面によって画定される平面に垂直となるように、前記永久磁石を据え付ける工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記永久磁石を前記切断線の列に関して移動させる工程は、前記永久磁石および前記切断線の列のうちの少なくとも一方を他方に向かって第1の方向に沿って並進させる工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記永久磁石は、前記ロータによって画定されるリングの周りに適合し、各永久磁石は、前記リングのセクター内に適合する形状を有し、半径方向によって画定される1対の側縁ならびに前記リングの内縁および外縁内に適合する内縁および外縁を備え、前記方法は、前記側縁のうちの一方および前記外縁の一部から切れ目の単一の列を作製する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記永久磁石は、前記ロータによって画定されるリングの周りに適合し、各永久磁石は、前記リングのセクター内に適合する形状を有し、半径方向によって画定される1対の側縁ならびに前記リングの内縁および外縁内に適合する内縁および外縁を備え、前記方法は、前記側縁のうちの一方から前記永久磁石に切れ目の第1の列を作製する工程、および前記側縁の他方から前記永久磁石に切れ目の第2の列を前記切れ目の第1および第2の列が互いと交わらないように作製する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記線の列の線はそれぞれ線軸の方向に延在し、および前記永久磁石を前記切断線の列に関して移動させる工程は、前記永久磁石および前記切断線の列のうちの少なくとも一方を他方に向かって前記第1の方向に沿って並進させると同時に、前記永久磁石および前記切断線の列のうちの少なくとも一方を前記第1の方向および前記線軸の両方に垂直な第2の方向に沿って並進させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記永久磁石は、前記ロータによって画定されるリングの周りに適合し、各永久磁石は、前記リングのセクター内に適合する形状を有し、半径方向によって画定される1対の側縁ならびに前記リングの内縁および外縁内に適合する内縁および外縁を備え、前記方法は、前記側縁のうちの一方から、湾曲した切れ目の単一の列を作製する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記永久磁石を前記切断線の列に関して移動させる工程は、前記永久磁石および前記切断線の列のうちの少なくとも一方を他方に向かって切断軸の周りで回転させる工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記永久磁石は、前記ロータによって画定されるリングの周りに適合し、各永久磁石は、前記リングのセクター内に適合する形状を有し、半径方向によって画定される1対の側縁ならびに前記リングの内縁および外縁内に適合する内縁および外縁を備え、前記方法は、前記側縁のうちの一方から湾曲した切れ目の第1の列を作製する工程を含み、前記湾曲した切れ目の第1の列の前記湾曲した切れ目は、各切れ目の長さに沿って互いから一定の 半径方向距離を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記側縁のうちの前記他方から湾曲した切れ目の第2の列を作製する工程を含み、前記湾曲した切れ目の第2の列の前記湾曲した切れ目は、各切れ目の長さに沿って互いから一定の半径方向距離を有し、および前記湾曲した切れ目の第1および第2の列の切れ目が互いと交わらないようにすることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記湾曲した切れ目の第1および第2の列の切れ目がインターレースされていることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記切れ目を非磁性材料で充填する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から11のいずれの一項に記載の方法。
【請求項13】
前記永久磁石を前記ロータ上に据え付ける工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
複数の永久磁石を、前記磁石固定具内に、前記切断線の列が前記複数の永久磁石にわたるように据え付ける工程と、前記複数の永久磁石および前記切断線の列を互いに関して移動させて、前記複数の永久磁石の各々を横切る切れ目の列を同時に作製する工程と、を含むことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記切断機は、ワイヤ切断機であり、前記切断線の列は、前記ワイヤ切断機のワイヤによって画定されることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記アキシャルフラックス永久磁石マシンは、YASA(ヨークレスおよびセグメンテッドアーマチュア)トポロジーを有することを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
アキシャルフラックス永久磁石マシンを製造する方法であって、前記方法は、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法を用いてアキシャルフラックス永久磁石マシン用の永久磁石を製造する工程と、次に、前記永久磁石を用いて前記アキシャルフラックス永久磁石マシンを製造する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
アキシャルフラックス永久磁石マシンであって、
マシン軸の周りに周方向に間隔を置いて配置された1組のコイルを含むステータと、
前記マシン軸周りの回転のために搭載されたロータであって、前記ロータは、前記マシン軸の周りに周方向に間隔を置いて配置された1組の永久磁石を支える、ロータと、
を含み、
各永久磁石は、前記マシン軸に垂直な平面内に延在し、前記ステータに向かう第1の面および第2の反対面を有し、
前記ロータおよび前記ステータは、前記マシン内の磁束が概して軸方向となるギャップを画定するように前記マシン軸に沿って離間され、
前記永久磁石は、前記ロータによって画定されるリングの周りに適合し、各永久磁石は、前記リングのセクター内に適合する形状を有し、半径方向によって画定される1対の側縁ならびに前記リングの内縁および外縁内に適合する内縁および外縁を備え、
前記永久磁石の各々は、切れ目の列を有し、各切れ目は、前記永久磁石の厚さを通して 前記第1の面から前記第2の面に延在し、
i) 切れ目の単一の列は、前記側縁のうちの一方および前記外縁の一部から内側に延在し、あるいはまた、
ii) 切れ目の第1の列は、前記側縁のうちの一方から内側に延在し、切れ目の第2の列は、前記切れ目の第1の列および第2の列の切れ目が互いと交わらないように、前記側縁の他方から内側に延在し、あるいはまた、
iii) 湾曲した切れ目の単一の列は、前記側縁のうちの一方から内側に延在し、あるいはまた、
iv) 湾曲した切れ目の第1の列は、前記側縁のうちの一方から内側に延在し、湾曲した切れ目の第2の列は、前記側縁のうちの前記他方から内側に延在し、前記湾曲した切れ目の第1および第2の列の切れ目が互いと交わらないことを特徴とするアキシャルフラックス永久磁石マシン。
【請求項19】
前記切れ目は、前記側縁のうちの一方から延在し、前記永久磁石の切れ目要素を接続するために、未切断材料のストリップが前記側縁の他方に沿って残されることを特徴とする請求項18に記載のアキシャルフラックス永久磁石マシン。
【請求項20】
前記切れ目は、湾曲した切れ目であり、半径方向に測定された隣接する切れ目間の距離は、切れ目の長さに沿って変化することを特徴とする請求項18または19に記載のアキシャルフラックス永久磁石マシン。
【請求項21】
前記アキシャルフラックス永久磁石マシンは、YASA(ヨークレスおよびセグメンテッドアーマチュア)トポロジーを有することを特徴とする請求項18、19または20に記載のアキシャルフラックス永久磁石マシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキシャルフラックス永久磁石マシンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載される際に、アキシャルフラックス永久磁石マシンは、モータまたはジェネレータであってもよい。典型的には、そのようなマシンは、典型的には、軸回りに配置されたディスク形状またはリング形状のロータおよびステータ構造を有する。ステータは、各々軸に平行な1組のコイルを含み、ロータは、1組の永久磁石を支え(bears)、およびステータコイルからの場によって駆動される軸の周りで回転可能であるようにベアリング上に据え付けられる。
【0003】
図1aは、ステータSの両側に1対のロータR1、R2を有する例示的なアキシャルフラックスマシンの一般的な構成を示すが、単純な構造は、ロータのうちの1つを省略することができる。ロータ(複数可)とステータとの間にエアギャップGがあり、およびアキシャルフラックスマシンでは、エアギャップを通るフラックスの方向は、実質的に軸方向である。別の構成(不図示)は、この配置を拡張し、3つのステータおよび2つのロータを有する。
図1bは、単一のロータ(両側に永久磁石面が露出していてもよい)、およびロータのいずれかの側に1つの、2つのステータを備える構成の例を示す。他の変形(variants)も可能である。
【0004】
また、例えば、ロータ(複数可)上に北極および南極の配置に応じて可能なアキシャルフラックス永久磁石マシンの様々な構成が存在する。
図1bは、トーラスNSマシン(Torus NS machine)、トーラスNNマシン(Torus NN machine)(これは、NN極配置がヨークの厚さを通って流れるためにフラックスを必要とするため、より厚いヨークを有する)、およびYASA(ヨークレスおよびセグメンテッドアーマチュア(Yokeless and Segmented Armature))トポロジーの基本構成を示す。YASAトポロジーの図は、2つのコイルを通る断面を示しており、クロスハッチエリアは各コイルの周りの巻線を示す。ここで、ステータヨークを省くことは、重量および鉄の損失の大幅な節約を提供するが、欠点がある。1つは、YASAトポロジーがコンパクトであり、非常に大きな応力(stresses)をもたらす可能性があるため、強度の必要性が潜在的に増加しているにもかかわらず、鉄が提供したステータに対する構造強度の損失である。もう1つは、ステータコイルから熱が逃げるための経路の損失であり、したがって、冷却剤がマシンを通って循環され得る。
【0005】
そのようなマシンでは、過剰な熱生成を最小限に抑える必要がある。より具体的には、
図1bから分かるように、効率的な動作のために、それは高磁気抵抗(high reluctance)エアギャップにおける最小損失であり、ロータとステータとの間のギャップはできるだけ小さくなければならない。しかしながら、これは、それがこの領域からの熱損失を阻害するため、問題となる。この問題はYASAトポロジーにおいて特に深刻である可能性がある。また、よりコンパクトな設計と電気効率の向上も一般的に必要とされる。背景となる先行技術は、特許文献1、特許文献2,および特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第2760112号明細書(EP 2760112 A)
【特許文献2】特開平04-169205号公報
【特許文献3】特開2003-303728号公報
【特許文献4】国際公開第2012/022974号
【発明の概要】
【0007】
冷却問題に対処する1つの方法は、ロータとステータとの間の領域での熱の発生を低減させることである。これは、鉄、または鉄系材料または合金のような導電性金属で典型的には作られた永久磁石の各々における渦電流を減少させることによって行われ得る。
【0008】
そこではフラックスは一般的に軸方向であるため、渦電流は軸方向に垂直な平面で循環する傾向がある。したがって、渦電流は、永久磁石を通して、すなわち、軸方向において磁石の厚さを通して非導電性スロットを切ることによって減少され得る。スロットは、ステータに面する磁石の平面内の渦電流の循環を阻害するように延びる(run)必要がある。しかしながら、モータには多くの永久磁石があり、渦電流低減に効果的である1組のスロットを迅速かつ効率的に切断する方法を見つけるというさらなる問題が生じる。
【0009】
したがって、第1の態様では、特にアキシャルフラックス永久磁石マシン用の永久磁石を製造する方法が記載されている。
【0010】
アキシャルフラックス永久磁石マシンは、例えば、それぞれのステータ歯上に巻き付けられ、およびマシン軸の周りに周方向に間隔を置いて(at intervals)配置された、1組のコイルを含むステータを含んでいてもよい。いくつかのトポロジー、例えばYASAトポロジーにおいて、ステータ歯は、ステータバーの形態を取る。アキシャルフラックス永久磁石マシンは、マシン軸周りの回転のために据え付けられたロータをさらに含んでいてもよい。ロータは、マシン軸周りで、例えばリング形状の背板上で、周方向に間隔を置いて配置された1組の永久磁石を支える。各永久磁石は、マシン軸に垂直な平面内に延在していてもよく、およびステータに向かう第1の面および背板に向かう第2の反対面を有する。ロータおよびステータは、マシン内の磁束が概して軸方向となるギャップを画定するように、マシン軸に沿って離間される。
【0011】
方法は、各(永久)磁石に関して、切断線の列(array)に沿って切断するように構成された切断機(cutting machine)に関連する切断位置(cutting position)で磁石固定具(magnet fixture)に磁石を据え付ける工程を含んでいてもよい。方法は、磁石および切断線の列を互いに関して移動させて、磁石を横切る切れ目(cuts)の対応する列を同時に作製する工程をさらに含んでいてもよい。各切れ目は、磁石の厚さを通して第1の面から第2の面に延在していてもよい。
【0012】
発明の実施(Implementations)は、アキシャルフラックス永久磁石マシン用の複数の永久磁石の迅速な製造を容易にする。加えて、このアプローチは、他の技術では達成することが困難であり得る、多くの細かく密接に間隔が置かれた切れ目の付いた永久磁石の製造を容易にし得る。これは、他のいくつかのアプローチよりも積層構造に近い近似(closer approximation)を可能にする。
【0013】
方法の実施において、マシン用の永久磁石は、取り扱いの容易のために、マグネットをそれらが磁化される前に切断することによって製造されるが、これは必須ではない。したがって、方法は、切断後に永久磁石を磁化する工程(magnetising)を伴っていてもよく、これは、磁石をロータ上に据え付ける工程、および次いで磁石をその位置で(in-situ)磁化する工程を伴っていてもよい
【0014】
したがって、永久磁石への言及は、アキシャルフラックス永久磁石マシンに組み込まれたときに永久磁石であるが、切れ目が作製される時点で必ずしも永久磁石でなくてもよい、磁石への言及として理解されるべきである。したがって、本明細書で使用される際に、永久磁石への言及は、永久磁石の前駆体への言及であってもよく、または永久磁石の前駆体への言及を含んでいてもよい。
【0015】
本明細書に記載される方法において、および対応するマシンにおいて、切断線の列によって切断される永久磁石は、固体の(solid)永久磁石である。そのような固体の磁石は、典型的には、焼結プロセスによって形成されており、物理的に柔らかく粉末から形成されたいわゆる素地(green body)から始まり、これは次いで、固体かつ堅固(hard)となるように焼成される(fired)。このようにして作られてもよい磁石は、NdFeBおよびSmCoを含む希土類遷移金属の金属間化合物(rare earth transition-metal inter-metallics)に基づく磁石、および六方晶フェライト(hexagonal ferrites)に基づく磁石を含んでいてもよい。素地を切断することははるかに簡単である一方で、素地は、焼成中にわずかに形が変わる可能性がある。記載されたアキシャルフラックス永久磁石マシンにおける使用のために、永久磁石は、これは公差を減少させるのに役立ちそれによってマシンをより効果的かつより効率的にすることができるため、正確な形状を有することが有利である。したがって、記載された方法において、切断線の列によって切断されるのは、素地ではなく、固体の永久磁石である。前述のように、記載された方法の実施において、固体の永久磁石は、切断時にまだ磁化されていない。
【0016】
切断線の列の線は、それぞれ、線軸を画定する方向に延在していてもよい。方法の実施において、永久磁石を磁石固定具に据え付ける工程は、線軸が第1の面および第2の面によって画定される平面に垂直となるように、永久磁石を据え付ける工程を含んでいてもよい。例えば、永久磁石は、それぞれ、磁性材料の成形されたスラブを含んでいてもよく、このスラブは切断線が上から下行する状態で、垂直に据え付けられてもよい。永久磁石は、鉄、または鉄系材料もしくは合金から作製されてもよく、および/またはネオジムのような他の磁性材料を含んでいてもよい。
【0017】
前述されたように、永久磁石は、ロータによって画定されるリングの周り、特にロータの背板に適合し得る。実施において、各永久磁石は、リングのセクター内に適合する形状を有し(しかしながら適合は厳正でなくてもよい)、いくつかの実施において、磁石は、形状が互いにわずかに異なっていてもよい。各永久磁石は、半径方向(すなわち、マシン軸から半径方向)によって画定される1対の側縁(lateral edges)を有していてもよく、およびリングの内縁および外縁(inner and outer edges)内に適合する内縁および外縁を有していてもよい。したがって、永久磁石は、いくつかの例においては、ほぼ先端が切られたような(truncated)三角形の、リングのセクターの形状を有する磁性材料のスラブとして記載され得る。
【0018】
切れ目は、各切れ目の長さに沿って互いから一定の距離を維持していてもよい。いくつかの実装形態において、切断線は互いから同じ距離であり、すなわち、それらは等間隔である。いくつかの他の実装形態において、切断線は互いから異なる距離を有する。例えば、切断線は、内縁に向かってよりも外縁に向かって、より高い切れ目の密度(単位長さ当たり)が存在するように配置されてもよい。すなわち、切れ目は、マシン軸からの半径方向距離が増加するにつれて、より密接に間隔が置かれてもよい。これは、渦電流の損失が、マシン軸からの半径方向距離がより大きいところでより大きくなる可能性があるためであり、このアプローチはそのような損失をよりよく軽減し得る。
【0019】
いくつかの実施において、永久磁石を切断線の列に関して移動させる工程は、永久磁石および切断線の列のうちの少なくとも一方を他方に向かって第1の方向に沿って並進させる工程を含む。これは、移動の唯一の自由度であってもよい。
【0020】
いくつかの実施において、方法は、側縁のうちの一方および外縁の一部から、例えば、直線状の切れ目の単一の列を作製する工程を含んでいてもよい。切れ目は、ほとんど他方の側縁まで延在していてもよく、構造的一体性(structural integrity)のために、切れ目によって分割された要素を一方の端部で接続するように、永久磁石のストリップを他方の側縁に沿って残す。側縁のうちの一方と外縁との両方から切れ目を開始することは、広い未分割の領域を残すことなく永久磁石のより大きいエリアを別個の要素に分割するのに役立ち、したがって渦電流低減の改善を容易にする。
【0021】
本明細書に記載される方法において、切れ目によって分割された要素は、ラミネーションに類似しており、そのように呼ばれ得る。
【0022】
いくつかの実装形態において、方法は、切れ目の第1および第2の列の切れ目が互いと交わらないように、側縁のうちの一方から永久磁石に例えば直線状の切れ目の第1の列を作製する工程と、他方の側縁から永久磁石に例えば直線状の切れ目の第2の列を作製する工程と、を含んでいてもよい。そのように形成された切れ目は、「フィッシュボーン」パターンを画定していてもよく、すなわち、切れ目は、延長された場合にそれらが交わり得るように整列させられていてもよい。この場合において、永久磁石の中央のストリップが、切れ目によって形成された要素を接続していてもよい。あるいはまた、切れ目は、例えば、切れ目によって分割された要素が蛇行パターンを画定するように、互いにインターレースしていてもよい。
【0023】
いくつかの実施において、永久磁石を切断線の列に関して移動させる工程は、永久磁石および切断線の列のうちの少なくとも一方を、第1の方向および線軸の両方に垂直な第2の方向に沿って並進させる工程を含む。そのような方法は、2自由度(two degrees of freedom)に関与する。したがって、方法は、永久磁石および切断線の列を同時に二方向に互いに関して並進させて、湾曲した切れ目を形成してもよい。
【0024】
したがって、本方法のいくつかの実施は、側縁のうちの一方から湾曲した切れ目の単一の列を作製する工程を含む。線軸に垂直な方向において、線間隔は一定のままであってもよく、切れ目は、各切れ目の長さに沿って互いから一定の距離を維持していてもよい。
しかしながら、後でより詳細に説明されるように、半径方向に測定された隣接する切れ目間の距離は、切れ目の長さに沿って変化し得る。方法によって形成された弓形の薄片(lamina)が非常に薄い場合、これは分割された要素(ラミネーション)がどれくらい薄くあり得るかを制限する可能性がある。
【0025】
前のように、切れ目は、構造的一体性のために、分割された要素を一方の端部で接続するための永久磁石のストリップを残して、ほとんど他方の側縁にまで延在していてもよい。そのような方法において、切れ目は、それぞれ、同じ曲率半径を有していてもよい。しかしながら、それぞれが円弧を画定していてもよい切れ目によって画定される曲線は、異なる原点を有してもよく、すなわち、弧を画定する円は、異なる中心を有してもよい。湾曲した切れ目を作製する利点は、上述される永久磁石の形状、すなわち、アキシャルフラックス永久磁石マシンに見られる永久磁石の形状に関して、より多くの領域が切れ目によって分割され得、したがって、より良好な渦電流低減を容易にすることである。
【0026】
いくつかの実施において、永久磁石を切断線の列に関して移動させる工程は、永久磁石および切断線の列のうちの少なくとも一方を他方に向かって切断軸の周りで回転させる工程を含む。切断軸は、線軸に平行であってもよい。
【0027】
次いで、方法は、側縁のうちの一方から湾曲した切れ目の第1の列を作製する工程を含んでいてもよい。再び、湾曲した切れ目の第1の列の湾曲した切れ目は、各切れ目の長さに沿って互いから一定の距離を維持していてもよい。しかしながら、切断中に線間隔が一定のままである場合、半径方向に測定された隣接する切れ目間の距離は、切れ目の長さに沿って一定である。これまでのように、切れ目は、構造的一体性のために、分割された要素を一方の端部で接続するための永久磁石のストリップを残して、ほとんど他方の側縁にまで延在していてもよい。そのような方法において、切れ目はそれぞれ円弧を画定し、弧を画定する円は同じ中心(共通の原点)を有する。このアプローチは、湾曲した切れ目の前述の利点を提供するが、潜在的により単純な機械的配置、および潜在的により間隔の近い(closer)切れ目を伴う。
【0028】
いくつかの実施において、方法は、側縁のうちの他方から湾曲した切れ目の第2の列を作製する工程を含む。湾曲した切れ目の第1の列のものと同様に、湾曲した切れ目の第2の列の湾曲した切れ目は、各切れ目の長さに沿って互いから一定の半径方向距離を有し得る。
【0029】
湾曲した切れ目の第1および第2の列の切れ目は、それらが互いと交わらないように作製されてもよい。例えば、直線状の切れ目に関して上述されたように、切れ目は、それらが延長された場合に交わるように整列させられた、「フィッシュボーン」パターンを画定してもよい。あるいはまた、湾曲した切れ目の第1および第2の列の切れ目は、一方の側縁からの切れ目が他方の側縁からの切れ目の間に延在するように、例えば、切れ目によって分割された要素(ラミネーション)が蛇行パターンを画定するように、インターレースされていてもよい。これは、記載された回転運動によって容易にされ得る。
【0030】
方法のいくつかの実施は、改善された構造安定性のために、切れ目をエポキシのような非磁性材料で充填する工程を含む。しかしながら、これは必須ではなく、構造安定性は、永久磁石をロータ上に据え付ける工程によって、例えば、永久磁石をロータ背板に取り付ける工程によって、提供されてもよい。
【0031】
いくつかの実施において、切れ目は複数の永久磁石に同時に作製されてもよい。したがって、方法は、線の列が複数の永久磁石にわたる(spans)ように、複数の永久磁石を磁石固定具に据え付ける工程、複数の永久磁石および切断線の列を、互いに関して移動させて、永久磁石の各々を横切る切れ目の列を同時に作製する工程に関与し得る。
【0032】
いくつかの実施において、切断機は、切断ワイヤの列を有するワイヤ切断機であり、切断線は、マシンの切断ワイヤによって画定される。
【0033】
例えば、いくつかの実施において、ワイヤ切断機は、マルチワイヤソーイングマシンである。そのようなマシンにおいて、ワイヤは細く(thin)てもよく、切れ目はそれに応じて狭くてもよい。これは、多くの細かく密接に間隔が置かれた切れ目の作製、およびしたがって、渦電流損失の低減の改善を容易にする。
【0034】
いくつかの他の実施において、ワイヤ切断機は、切れ目を作るためにスパーク浸食(spark erosion)を使用するEDM(放電加工(electrical discharge machining))マシンである。
【0035】
いくつかの実施において、切断機はレーザー切断機であり、切断線はレーザービームによって画定される。
【0036】
いくつかの実施において、切断機はウォータージェット切断機であり、切断線はウォータージェットによって画定される。ウォータージェットは、その必要はないが、研磨剤(abrasive)を含んでいてもよい。
【0037】
また、上述されるようにマシン用の永久磁石を製造し、次いでマシンを製造するために永久磁石を使用することによって、アキシャルフラックス永久磁石マシンを製造する方法が提供される。
【0038】
別の態様において、例えば、それぞれのステータバー上に巻き付けられ、およびマシン軸の周りに周方向に間隔を置いて配置された、1組のコイルを含むステータと、マシン軸周りの回転のために据え付けられたロータと、を含むアキシャルフラックス永久磁石マシンが記載される。ロータは、マシン軸の周りに周方向に間隔を置いて配置された1組の永久磁石を有する。各永久磁石は、マシン軸に垂直な平面内に延在していてもよく、およびステータに向かう第1の面および第2の反対面を有していてもよい。ロータおよびステータは、マシン内の磁束が概して軸方向となるギャップを画定するように、マシン軸に沿って離間される。永久磁石は、ロータによって画定されるリングの周りに適合してもよい。各永久磁石は、半径方向によって画定される1対の側縁と、リングの内縁および外縁内に適合する内縁および外縁とを備える、リングのセクター内に適合する形状を有していてもよい。永久磁石の各々は、切れ目の列を有する。各切れ目は、永久磁石の厚さを通して第1の面から第2の面に延在していてもよい。
【0039】
1つの実施において、例えば直線状の切れ目の単一の列は、側縁のうちの一方および外縁の一部から内側に、特に、切れ目要素を接続するために他方の側縁に沿ったブリッジを残して、延在する。
【0040】
1つの実施では、例えば直線状の切れ目の第1の列は、側縁のうちの一方から内側に延在し、例えば直線状の第2の列は、切れ目の第1および第2の列の切れ目が互いと交わらないように、他方の側縁から内側に延在する。切れ目の第1および第2の列の切れ目は、延長された場合にそれらが交わり得るように、例えば、1つの列の各切れ目が線を画定し、他の列の対応する切れ目が同じ線上にある(lies on the same line)ように、整列させられていてもよい。あるいはまた、切れ目の第1および第2の列の切れ目は、インターレースされていてもよい。
【0041】
1つの実施において、湾曲した切れ目の単一の列は、側縁のうちの一方から内側に延在する。しかしながら、上述したように、いくつかのアプローチにおいて、半径方向に測定された隣接する切れ目間の距離は、切れ目の長さに沿って変化するが、それに対して、他のアプローチにおいて、湾曲した切れ目は、各切れ目の長さに沿って互いから一定の距離を維持していてもよい。いずれのアプローチにおいても、ブリッジは、切れ目要素を接続するために、他方の側縁に沿って残され得る。
【0042】
1つの実施において、湾曲した切れ目の第1の列は、側縁のうちの一方から内側に延在し、湾曲した切れ目の第2の列は、側縁のうちの他方から内側に延在する。それらがどのように作製されるかに応じて、湾曲した切れ目の各列の湾曲した切れ目は、各切れ目の長さに沿って互いから一定の距離を維持していてもよく、あるいはまた、距離は変化していてもよい。湾曲した切れ目の第1および第2の列の切れ目は、互いと交わらない。上述されたように、切れ目は、「フィッシュボーン」配置、すなわち、切れ目が延長された場合に互いと交わり得る場所であってもよく、あるいはまた、それらは、インターレース配置、すなわち、一方の側縁からの切れ目が他方の側縁からの切れ目の間に延在する場所を画定してもよい。
【0043】
アキシャルフラックス永久磁石マシンは、モータまたはジェネレータであってもよい。実施において、それは、YASA(ヨークレスおよびセグメンテッドアーマチュア)トポロジーを有する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
ここで、本発明のこれらおよび他の態様は、例としてのみ、添付の図面を参照してさらに説明される。
【
図1a】2ロータ1ステータのアキシャルフラックスマシンの一般的な構成を示す図である。
【
図1b】2ステータ1ロータのアキシャルフラックスマシンの一般的な構成を示す図である。
【
図1c】アキシャルフラックス永久磁石マシンに関する例示的なトポロジーを示す図である。
【
図2a】ヨークレスおよびセグメンテッドアーマチュア(YASA)マシンの概略側面図である。
【
図3a】永久磁石を製造するための装置の第1の例を示す側面図である。
【
図4a】永久磁石を製造するための装置の第2の例の側面図である。
【
図4b】装置を用いて製造された磁石の例を示す図である。
【
図5a】永久磁石を製造するための装置の第3の例の側面図である。
【
図5b】装置を使用して製造された磁石の例を示す図である。
【
図5c】装置を使用して製造された磁石の例を示す図である。
【
図5d】装置に関する例示的な形状を示す図である。
【0045】
図面において、同様の要素は、同様の参照番号によって示されている。
【発明を実施するための形態】
【0046】
特許文献4から取られた
図2aおよび
図2bは、例示的なヨークレスおよびセグメント化アーマチュア(YASA)マシン10の概略図を示す。マシン10は、モータまたはジェネレータのどちらか一方として機能してもよい。
【0047】
マシン10は、ステータ12、およびこの例において、2つのロータ14a,14bを含み、ステータ12は、マシン軸20の周りに円周方向に離間された別個のステータバー16の集合を含み、これはまた、ロータ14a,14bの軸を画定する。各バー16は、ステータコイル22を担持し、典型的には回転軸20に平行に配置された軸を有する。ステータバーの各端部18a,18bには、シュー(shoe)27が設けられており、これは、ステータコイル22のコイルを閉じ込める(confine)のに役立ち、また、ステータコイルによって生成された磁場を広げることもできる。ステータコイル22は、高い充填係数(fill factor)が達成され得るように、正方形または長方形の断面の絶縁ワイヤから形成されてもよい。モータにおいて、ステータコイル22は、ステータコイル内に流れる電流によって生成された磁場の極が、隣接するステータコイル22内において反対となるように、コイルを通電させる電気回路(不図示)に接続される。
【0048】
2つのロータ14a,14bは、間にステータコイル22を有して互いに面する永久磁石24a,24bを担持する。永久磁石24a,24bは、側縁25a,25b、およびそれぞれに25cおよび25dである内縁および外縁を有する。各永久磁石は、マシン軸20に垂直な平面内に延在し、ステータに向かう第1の面25eおよび第2の反対面25fを有する。ステーバーが傾いているとき(不図示)、磁石も同様に傾いている。
【0049】
ギャップ26a,26bは、それぞれのシューと磁石対との間17/24a、27/24bに存在し、これらはエアギャップであってもよく、あるいはまた、ステータの周りの冷却剤含有チャンバによって部分的に占有されていてもよい。1つの例のモータにおいて、ステータコイル22は、それらの極性が交互に入れ替わってコイルを異なる時間に異なる磁石対と整列させ、結果としてトルクがロータとステータとの間に印加されるように、通電される。
【0050】
ロータ14a,14bは、一般に、例えば、シャフト(不図示)によって一緒に接続され、ステータ12に関してマシン軸20の周りを一緒に回転する。図示される例において、磁気回路30は、2つの隣接するステータバー16、2つの磁石対24a,24b、および2つの背板32a,32bによって、ロータ毎に1つ、形成され、各磁石対24a,24bの背部間のフラックスをそれぞれのコイル22から離して(facing away)連結する。背板32a,32bは、バックアイアン(back irons)と呼ばれ得、磁性材料、典型的には、強磁性材料、例えば、必ずしもではないが、鉄または鋼を含む。この磁性材料は、永久磁石である必要はない。ステータコイル16は、ステータ用のチャンバ(不図示)内に囲まれており、ステータ用のチャンバは、プラスチックであってもよく冷却剤が供給されていてもよい。ロータは、このチャンバの外側であるがマシン用の例えば金属の保護ハウジング内にあってもよい。
【0051】
図3aは、永久磁石を製造するための装置300の第1の例の側面図を概略的に示す。装置は、切断線の列310を有する切断機を備え、例えば1~5mmで間隔を置かれた、例えば約20~100本の切断線があってもよい。
【0052】
いくつかの実施において、切断機は、ワイヤ切断機、特に、例えばシリコンウエハをスライスするために使用されるタイプの、マルチワイヤソーイングマシンである。そのようなマシンは、ワイヤを使用して、研磨スラリーを切断ゾーンに輸送してもよく、スラリーは、例えば、一組のノズルによって移動ワイヤ上に供給される冷却剤流体中研磨粒子の懸濁液を含んでいてもよい。あるいはまた、マルチワイヤソーイングマシンは、ダイヤモンドコーティングされたワイヤを有していてもよい。そのようなマシンにおいて、ワイヤは、細く、例えば、直径200μm未満であってもよく、切れ目は、それに応じて幅が狭くてもよい。
【0053】
いくつかの他の実施態様において、切断機は、レーザー切断機またはウォータージェット切断機である。次に、切断線の列は、それぞれに、切断機のレーザービームまたはウォータージェットによって画定されてもよい。そのような切断技術は、ワイヤベースの切断よりも速度またはコストの利点を有し得る。
【0054】
永久磁石24a,24bのうちの1つは、図示された側縁25aのように、側縁のうちの一方が上向きになるように、磁石固定具320に保持される。磁石は、例えば、その内縁25cおよび外縁25dによって所定の位置にクランプされてもよく、または例えば、ブリッジが後述のように縁に沿って存在する場合に、1つの縁に沿って固定されてもよい。
【0055】
(ページ内への)線の軸は、第1および第2の面25e/25fによって画定される平面に垂直である。切断線、例えば、ワイヤは、矢印312によって示される第1の方向に下方に移動され、面25eと面25fとの間の永久磁石の厚さを通して永久磁石の横切る切れ目の列を作る。
【0056】
図示されるように保持された永久磁石24a,24bでは、切断線の列は、側縁25aおよび外縁25dから開始する切れ目を作る。これは、
図3bに示されるような切れ目の付いた永久磁石をもたらす。切れ目は、ほとんど反対側の側縁25bまで延在し、永久磁石をラミネーションに類似する要素330に分割する。材料340の細いストリップ、例えば、幅1~2mmは、要素330を接続(ブリッジ)するために、側縁25bに隣接して未切断のまま残されてもよい。
【0057】
別の方法では永久磁石は、図示される位置に対してわずかに反時計回りに回転させられてもよく、切断線の列は、1つが側縁25aおよび25bのそれぞれから開始する2組の切れ目を作るために使用されてもよい。これは、
図3cに示される切れ目の「フィッシュボーン」パターンをもたらす。この場合において、未切断の中央ストリップ350(またはブリッジ)は、切れ目要素を接続し得る。
【0058】
別の方法において、
図3dに示されるように、直線状の切れ目の単一のセットは、側縁のうちの一方だけから内側に作られ得る。この例において、切れ目は、縁25aから作られ、材料の細いストリップは、切れ目要素330を接続またはブリッジするために、側縁25bに隣接して未切断のまま残される。
【0059】
別の方法において、線の列は、
図3eに示されるように1つが側縁25aおよび25bのそれぞれから始まり切れ目がインターレースされている2組の切れ目を作るために使用されてもよい。この場合において、より大きな切れ目の間隔(線、例えばワイヤ)が使用されてもよい。切れ目によって分割された要素は接続されたままであるので、示されるような蛇行パターンを画定するために、未切断ストリップは不要である。
【0060】
図3eに示されるインターレースされた切れ目配置は、
図3aにおける水平方向への、線軸(および方向312)に垂直な切断線(例えばワイヤ)に対する永久磁石の並進を必要とする。これは、2つの異なる磁石固定具320、または永久磁石24a,24bが2つの異なる位置に固定されることを可能にする固定具、または以下に説明されるように第2の方向に並進することを可能にする装置を使用して達成され得る。
【0061】
図4aは、永久磁石を製造する第2の方法についての装置400の第2の例の側面図を概略的に示す。この第2の方法において、磁石固定具320は、第1の方向312および線軸に直交する第2の方向410(水平方向)に並進させられる。磁石固定具320は、手動または自動のいずれかで、この第2の方向410に移動され得るように構成される。
【0062】
磁石固定具320が第2の方向に沿って2つの固定位置の間で移動するように配置され、一方で切れ目がそれぞれの側縁25aおよび25bのそれぞれに作られる場合、
図3dのインターレースされた切れ目配置がもたらされる。磁石固定具320が、切断線(例えば、ワイヤ)が第1の方向312(下方)に移動されると同時に、第2の方向(水平方向)に移動するように配置される場合、
図4bに示されるように、湾曲した切れ目が作られる。次いで、以前のように、ブリッジ材料340の細いストリップは、要素330を接続するために切断されないまま残されてもよい。
【0063】
湾曲した切れ目を作るために
図4aの装置が使用されるとき、曲線(curves)はそれぞれ円弧を画定し得るが、これらの弧は異なる原点を有し、すなわち、弧を画定する円は異なる中心を有する。結果として、線間隔およびしたがって切れ目間隔が一定であるとしても、半径方向に測定された隣接する切れ目間の距離は、切れ目の長さに沿って変化する。
図4aにおいて、切断線の列が下がるにつれて、最も左の線が切断を開始するが、永久磁石は、次の切断線(例えば、ワイヤ)が切断を開始する前に、水平方向に左(図中)に移動している。原則として、これは、前側の(leading)側縁、ここでは側縁25aに最小限の所望の厚さがある場合、要素(ラミネーション)の厚さを制限し得る。実際には、(必要に応じて)切れ目および細いストリップの最小厚さがあり、これは切断される磁石材料の構造的一体性の関数である。
【0064】
図5aは、磁石固定具510が線軸に平行な切断軸520の周りで回転させられる、永久磁石を製造するさらなる方法のための装置500の第3の例の側面図を概略的に示す。
図5aの装置において、切断線の列310は、固定位置を有し得、永久磁石24a,24bは、矢印530によって示されるように、列を通って(上に)移動し得る。磁石固定具510は、示されるように、永久磁石24a,24bを、その側縁25bのうちの1つの上に載せてもよい。例えば、永久磁石は、所定の位置に接着されてもよく、またはその内縁および外縁25c,25dによってクランプされてもよい。
【0065】
装置500は、
図5bに示されるように、側縁のうちの一方、例えば、側縁25aからの湾曲した切れ目の列を作製するために使用されてもよい。しかしながら、装置400の切れ目とは異なり、これらの湾曲した切れ目は、各切れ目の長さに沿って互いから一定の半径方向距離を有する。切れ目は、共通の原点550を有する弧を画定し、すなわち、それらが画定する円は、共通の中心を有するが、
図5dに示されるように、弧は、異なる曲率半径を有する。
【0066】
共通原点550は、マシン軸20によって画定される位置と一致し得るが、一致する必要はない。例えば、
図5dに示されるように、共通の原点は、マシン軸20からわずかに離れて移動させられていてもよい。永久磁石の形状に応じて、これは、切れ目が提供される永久磁石の面積を最大化する(すなわち、未切断領域を最小化する)のに役立ち得、したがって渦電流損失を低減させるのに役立ち得る。いくつかの実施において、最外側の切れ目は、ほぼ外縁25dに平行である。再び、材料340の細いストリップは、切れ目要素を接続するために、未切断のまま残されてもよい。
【0067】
装置500はまた、側縁25a,25bのそれぞれから1つの湾曲した切れ目の2つの列を作るために使用されてもよい。これらは、直線状の切れ目について前述したような蛇行パターンを画定するために、
図5cに示されるようにインターレースされてもよい。これは、切断軸520を切断軸に垂直な方向(図中の水平方向)に並進させることによって、または切断線の列310を同様に並進させることによって行われ得る。
【0068】
切れ目が作製された後、永久磁石を物理的に扱いやすく壊れにくくするために、ギャップはエポキシまたは類似物で充填されてもよいが、これは必須ではない。
【0069】
効率のために、上述した装置300、400、500は、複数の永久磁石を同時に据え付けおよび切断してもよい。例えば、10~50個の磁石が同時に切断されてもよい。
【0070】
各永久磁石の形状は、例えば、マシンの直径および永久磁石の数に依存し得る。多くの磁石がある場合、および/または直径が大きい場合、個々の永久磁石は長方形または正方形に近い形状を有し得る。そのようなマシンにおいて、磁石の面積の大部分は、磁石の内縁または外縁からも、または側縁の一方または両方からの代わりに切断を行うことによって、「ラミネーション」に切断されてもよい。
【0071】
したがって、発明の実施、および対応するマシンは、1または2の並進自由度を有する、または回転自由度を有し、側方縁うちの一方からの代わりに永久磁石の内縁および/または外縁から切れ目の1つまたは複数の列を作る、上述のような技術を企図する。切れ目は、その他の点では、前述のものと同様であってもよい。
【0072】
疑いなく、多くの他の効果的な代替案が当業者に生じることとなるであろう。本発明は、説明される実施形態に限定されず、本明細書に添付される特許請求の範囲内にある当業者にとって明らかな修正例および等価物を包含することは理解されよう。
【国際調査報告】