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特表2024-501193二重入口インペラを有するエンドサクションポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】二重入口インペラを有するエンドサクションポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/22 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
F04D29/22 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535458
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 US2020064457
(87)【国際公開番号】W WO2022125109
(87)【国際公開日】2022-06-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505194077
【氏名又は名称】アイティーティー マニュファクチャーリング エンタープライジズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルパー、アブラハム
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AB22
3H130AB46
3H130AB58
3H130AB62
3H130AB70
3H130AC01
3H130BA24C
3H130CA02
3H130CA05
3H130CA13
3H130DA03X
3H130DA04X
3H130DD01X
3H130EA07A
3H130EA07D
3H130EC12C
3H130EC15C
3H130ED02A
3H130ED02C
3H130ED02D
(57)【要約】
二重入口インペラに適合されたエンドサクションポンプに関する技術が、概して説明される。例となるエンドサクションポンプは、ポンプハウジングを有する本体ケーシングと、単一入口と、単一出口と、本体ケーシング内のインペラに対する駆動を実施するための磁気的に結合された駆動部と、を含む。流体は、本体ケーシングのインペラ入口から一次流路を介して、インペラの一方の側(例えば、右アイ側)に流れ、そしてまた、半中空液圧通路をその中に有する固定シャフトを通る二次流路を介して、インペラのもう一方の側(例えば、左アイ側)にも流れる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドサクションポンプ装置であって、
入口ポートと、出口ポートと、を有するポンプケーシングと、
前記ポンプケーシング内に位置するインペラと、ここにおいて、前記インペラは、左アイ側と、右アイ側と、を有し、
前記ポンプケーシング内の半中空固定シャフトと、
を備え、
ここにおいて、
前記インペラは、前記シャフトの円周の周りに位置し、
前記インペラの右側アイが、前記ポンプケーシングの前記入口ポートから一次流路を介して流体を受け入れるように構成されており、
前記インペラの左側アイが、前記ポンプケーシングの前記入口ポートから前記半中空固定シャフトの本体を通る二次流路を介して流体を受け入れるように構成されている、
エンドサクションポンプ装置。
【請求項2】
前記インペラから前記ポンプケーシングの前記出口ポートまでの吐出経路を更に備える、請求項1に記載のエンドサクションポンプ装置。
【請求項3】
前記半中空固定シャフトは、前記ポンプケーシングの前記入口ポートに結合された出口部分の入口部分と、前記インペラの前記左側アイの近くに配置された出口部分と、を更に備える、請求項1に記載のエンドサクションポンプ装置。
【請求項4】
前記半中空固定シャフトは、その前記入口部分から前記出口部分まで延在する1つ以上のベーンを更に備える、請求項3に記載のエンドサクションポンプ装置。
【請求項5】
前記半中空固定シャフトは、その前記入口部分から対応する出口部分まで延在する3つ以上のベーンを更に備える、請求項3に記載のエンドサクションポンプ装置。
【請求項6】
前記半中空固定シャフトは、半中空金属材料、半中空非金属材料、補強材料、又はこれらの組合せのうちの1つ以上を備える、請求項3に記載のエンドサクションポンプ装置。
【請求項7】
前記インペラは、前記半中空固定シャフトの前記円周の周りに位置する1つ以上のファンブレードを更に備える、請求項1に記載のエンドサクションポンプ装置。
【請求項8】
前記インペラは、前記本体ケーシング内の前記ファンブレードを覆うインペラカバーを更に備える、請求項7に記載のエンドサクションポンプ装置。
【請求項9】
前記インペラは、金属材料、非金属材料、補強材料、又はこれらの組合せのうちの1つ以上を備える、請求項1に記載のエンドサクションポンプ装置。
【請求項10】
前記半中空固定シャフト及び前記ポンプケーシングは、前記一次流路及び前記二次流路が前記ポンプケーシングの前記入口ポートからの全体の流れの50%をそれぞれ備えるように配置されている、請求項1に記載のエンドサクションポンプ装置。
【請求項11】
前記ポンプケーシング内に配置され、磁石キャリアの運動が前記インペラの回転運動をもたらすように前記インペラに結合された前記磁石キャリアを更に備える、請求項1に記載のエンドサクションポンプ装置。
【請求項12】
エンドサクションポンプ装置であって、
入口ポートと、出口ポートと、外部ドライバに結合するように構成されたドライバ取付面と、を有するポンプ本体ケーシングと、
前記ポンプ本体ケーシング内に位置し、前記外部ドライバの磁性材料に磁気的に結合するように配置された磁石キャリアと、
前記ポンプ本体ケーシング内に位置し、インペラが前記外部ドライバの前記磁性材料の運動に応答して回転するように前記磁石キャリアに結合された前記インペラと、ここにおいて、前記インペラは、左アイ側と、右アイ側と、を有し、
前記ポンプケーシング内の半中空固定シャフトと、
を備え、
ここにおいて、
前記インペラは、前記シャフトの円周の周りに位置し、
前記インペラの右側アイが、前記ポンプケーシングの前記入口ポートから一次流路を介して流体を受け入れるように構成されており、
前記インペラの左側アイが、前記ポンプケーシングの前記入口ポートから前記半中空固定シャフトの本体を通る二次流路を介して流体を受け入れるように構成されている、
エンドサクションポンプ装置。
【請求項13】
前記インペラから前記ポンプケーシングの前記出口ポートまでの吐出経路を更に備える、請求項12に記載のエンドサクションポンプ装置。
【請求項14】
前記半中空固定シャフトは、前記ポンプケーシングの前記入口ポートに結合された出口部分の入口部分と、前記インペラの前記左側アイの近くに配置された出口部分と、を更に備える、請求項12に記載のエンドサクションポンプ装置。
【請求項15】
前記半中空固定シャフトは、その前記入口部分から前記出口部分まで延在する1つ以上のベーンを更に備える、請求項14に記載のエンドサクションポンプ装置。
【請求項16】
前記インペラは、前記半中空固定シャフトの前記円周の周りに位置する1つ以上のファンブレードを更に備える、請求項12に記載のエンドサクションポンプ装置。
【請求項17】
前記半中空固定シャフト及び前記ポンプケーシングは、前記一次流路及び前記二次流路が前記ポンプケーシングの前記入口ポートからの全体の流れの50%をそれぞれ備えるように配置されている、請求項12に記載のエンドサクションポンプ装置。
【請求項18】
エンドサクションポンプ装置であって、
入口ポートと、出口ポートと、一次インペラ入口と、二次インペラ入口と、外部ドライバに結合するように構成されたドライバ取付面と、を有するポンプ本体ケーシングと、
前記ポンプ本体ケーシング内に位置し、前記外部ドライバの磁性材料に磁気的に結合するように配置された磁石キャリアと、
前記ポンプケーシング内の半中空固定シャフトと、ここにおいて、前記半中空固定シャフトの入口が、前記ポンプケーシングの前記入口ポートに結合され、前記半中空固定シャフトの出口が、前記ポンプ本体ケーシングの前記二次インペラ入口に結合され、前記半中空固定シャフトは、その中に液圧通路を有し、
前記ポンプ本体ケーシング内で前記半中空固定シャフトの周りに円周方向に位置するインペラと、ここにおいて、前記インペラは、前記インペラが前記外部ドライバの前記磁性材料の運動に応答して回転するように、前記磁石キャリアに結合され、前記インペラは、前記一次インペラ入口に面する右アイ側と、前記二次インペラ入口に面する左アイ側と、を有する、
を備えるエンドサクションポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]本明細書で別段の指示がない限り、このセクションで説明される材料は、本願の特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、また、このセクションに含めることによって先行技術として認められるものではない。
【0002】
[0002]エンドサクションポンプは、インペラと呼ばれる被駆動ロータから回転エネルギーを伝達することによって流体を移動させる遠心ポンプである。流体は、インペラが位置する入口において遠心ポンプに入る。モータが、インペラに接続されたシャフトを回転させるために利用され、それによって、インペラの回転を制御する。インペラの回転運動は、流体がポンプケーシングを通って出口に流れるように、流体の速度を増大させる遠心力を生成する。
【0003】
[0003]遠心ポンプの設計は、流体のタイプ及び所望の流量に依存する。高容量ポンプ用途は、典型的に、水、溶媒、化学物質(chemicals)及び軽油等の低粘度流体を伴う。ポンプのいくつかの典型的な用途は、給水、循環ポンプ、灌漑ポンプ、及び化学物質移送ポンプを含む。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本開示は、概して、単一の流体入口からインペラへの二重流体経路を実装するために半中空固定シャフトを利用するエンドサクションポンプを説明する。
【0005】
[0005]いくつかの例では、ポンプケーシングと、インペラと、半中空固定シャフトと、を備えるエンドサクションポンプ装置が本明細書で説明される。ポンプケーシングは、入口ポートと、出口ポートと、を有し得る。インペラが、ポンプケーシング内に位置し得、ここで、インペラは、左アイ側(left eye side)と、右アイ側(right eye side)と、を有する。半中空固定シャフトは、ポンプケーシング内に位置し得る。インペラは、このシャフトの円周の周りに位置し得る。インペラの右側アイ(right-side eye)は、ポンプケーシングの入口ポートから一次流路を介して流体を受け入れるように構成され得る。インペラの左側アイ(left-side eye)は、ポンプケーシングの入口ポートから半中空固定シャフトの本体を通る二次流路を介して流体を受け入れるように構成され得る。
【0006】
[0006]様々な例では、ポンプ本体ケーシングと、磁石キャリアと、インペラと、半中空固定シャフトと、を備えるエンドサクションポンプ装置が説明される。ポンプ本体ケーシングは、入口ポートと、出口ポートと、外部ドライバに結合するように構成されたドライバ取付面と、を有し得る。磁性キャリアは、ポンプ本体ケーシング内に位置し、外部ドライバの磁性材料に磁気的に結合するように配置され得る。インペラは、ポンプ本体ケーシング内に位置し、インペラが外部ドライバの磁性材料の運動に応答して回転するように磁石キャリアに結合され得、ここで、インペラは、左アイ側と、右アイ側と、を有する。半中空固定シャフトは、ポンプケーシング内に位置し得る。インペラは、シャフトの円周の周りに位置し得、ここで、インペラの右側アイが、ポンプケーシングの入口ポートから一次流路を介して流体を受け入れるように構成され得、インペラの左側アイが、ポンプケーシングの入口ポートから半中空固定シャフトの本体を通る二次流路を介して流体を受け入れるように構成され得る。
【0007】
[0007]本明細書に記載のいくつかの例となるエンドサクションポンプは、インペラからポンプケーシングの出口ポートまでの吐出経路(discharge path)を更に備え得る。また、半中空固定シャフトは、ポンプケーシングの入口ポートに結合された出口部分の入口部分と、インペラの左側アイの近くに(about)配置された出口部分と、を更に備え得る。
【0008】
[0008]いくつかの更なる例では、半中空固定シャフトは、その入口部分から出口部分まで延在する1つ以上のベーンを更に備え得る。例えば、半中空固定シャフトは、その入口部分から対応する出口部分まで延在する、1つ以上のベーン、又は3つ以上のベーンを更に備え得る。半中空固定シャフトのいくつかの例は、半中空金属材料、半中空非金属材料、補強材料、又はこれらの組合せのうちの1つ以上を備え得る。
【0009】
[0009]本明細書に記載のいくつかの例となるエンドサクションポンプのインペラは、半中空固定シャフトの円周の周りに位置する1つ以上のファンブレードを更に備え得る。インペラは、本体ケーシング内でファンブレードを覆うインペラカバーを更に備え得る。インペラは、金属材料、非金属材料、補強材料、又はこれらの組合せのうちの1つ以上で構成され得る。
【0010】
[0010]本明細書に記載のいくつかの例では、エンドサクションポンプの半中空固定シャフト及びポンプケーシングは、一次流路及び二次流路がポンプケーシングの入口ポートからの全体の流れの50%をそれぞれ備えるように配置され得る。いくつかの例となるエンドサクションポンプは、ポンプケーシング内に配置され、磁石キャリアの運動がインペラの回転運動をもたらすようにインペラに結合された磁石キャリアを含み得る。
【0011】
[0011]更に他の例では、ポンプ本体ケーシングと、磁性キャリアと、半中空固定シャフトと、インペラと、を備えるエンドサクションポンプ装置が説明される。ポンプ本体ケーシングは、入口ポートと、出口ポートと、一次インペラ入口と、二次インペラ入口と、外部ドライバに結合するように構成されたドライバ取付面と、を含み得る。磁石キャリアは、ポンプ本体ケーシング内に位置し、外部ドライバの磁性材料に磁気的に結合するように配置され得る。半中空固定シャフトは、ポンプケーシング内に位置し得、ここで、半中空固定シャフトの入口が、ポンプケーシングの入口ポートに結合され、半中空固定シャフトの出口が、ポンプ本体ケーシングの二次インペラ入口に結合され、半中空固定シャフトは、その中に液圧通路を有する。インペラは、ポンプ本体ケーシング内で半中空固定シャフトの周りに円周方向に位置し得、ここで、インペラは、インペラが外部ドライバの磁性材料の運動に応答して回転するように、磁石キャリアに結合され、インペラは、一次インペラ入口に面する右アイ側と、二次インペラ入口に面する左アイ側と、を有する。
【0012】
[0012]前述の概要は、例示的なものにすぎず、決して限定することを意図していない。上述の例示的な態様、実施形態、及び特徴に加えて、更なる態様、実施形態、及び特徴が、図面及び以下の詳細な説明への参照によって明らかになる。
【0013】
[0013]本開示の前述の及び他の特徴は、添付の図面と併せて、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになる。これらの図面は、本開示によるいくつかの実施形態のみを図示しており、従って、その範囲を限定すると見なされるべきではないことを理解して、本開示は、添付の図面の使用を通じて、更に具体的且つ詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、二重入口インペラを有する例となるエンドサクションポンプを例示する。
図2A図2Aは、二重入口インペラを有するエンドサクションポンプの詳細切断組立図を例示する。
図2B図2Bは、二重入口インペラを有するエンドサクションポンプの詳細切断組立図を例示する。
図3図3は、二重入口インペラを有するエンドサクションポンプの概念的な切断組立図を例示する。
図4図4は、二重入口インペラを有するエンドサクションポンプのための半中空固定シャフトを例示する。
図5図5は、二重入口インペラを有するエンドサクションポンプのためのインペラ及びシャフトを例示する。
図6図6は、二重入口インペラを有するエンドサクションポンプの動作の流れを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面におけるこれら全ては、本明細書に記載の少なくともいくつかの実施形態に従って配置されている。
【0016】
[0014]以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面への参照が行われる。図面では、文脈上別段の指示がない限り、同様の記号は、典型的に、同様の構成要素を識別する。詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載の例示的な実施形態は、限定することを意図していない。本明細書に提示される主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され得、他の変更が行われ得る。本明細書で概して説明され、図面に例示される本開示の態様は、多種多様な異なる構成で配置され、置き換えられ、組み合わされ、分離され、及び設計され得、これらの全てが本明細書で明示的に企図される。
【0017】
[0015]本開示は、概して、特にエンドサクションポンプと実質的に同じ設置面積(footprint)を有する二重入口インペラ設計を用いる方法、装置、システム、及び/又は磁気駆動ポンプデバイスに関する。
【0018】
[0016]簡潔に述べると、概して、二重入口インペラ設計を含むポンプのための技術が説明される。ポンプの回転要素は、インペラを駆動するためのモータに磁気的に結合され得る。単一フランジ設計が用いられ得、ここで、一次インペラ入口が、インペラの一方の側に流体を送出し、二次インペラ入口が、半中空液圧通路をその中に有する固定シャフトを介して、インペラのもう一方の側に流体を送出する。
【0019】
[0017]本開示は、エンドサクションポンプが、一般に、ダブルサクションポンプ(double suction pumps)よりも低コストで入手可能であるが、その代償として信頼性が低減し、使用が限定されることを認識している。エンドサクションポンプは、より広範な用途で使用され、従って、エンドサクションポンプは、ダブルサクションポンプよりも高い設置基盤(higher installation base)を有する。一方、ダブルサクションポンプは、より高い信頼性を有し、低吸引圧力用途に適している。
【0020】
[0018]顧客は、有害な化学物質及び/又は腐食性の化学物質が存在する場合、ANSI/ISOタイプのプロセスポンプ用途を選択することが多い。磁気駆動ポンプは、典型的に、ANSI/ISO寸法規格に準拠したエンドサクションポンプとして設計されている。磁気駆動ポンプは、機械的なシャフトシールの必要性を排除し、従って、過酷な化学環境での性能が優れている。従って、腐食性又は毒性の高い化学物質を処理する際に、磁気駆動エンドサクションポンプが、それらの一般的なプロセスポンプと交換されることが多い。
【0021】
[0019]図1は、本明細書に記載の少なくともいくつかの実施形態に従って配置された、二重入口インペラを有する例となるエンドサクションポンプ100を例示する。例示されるエンドサクションポンプ100は、ポンプハウジング120を有する本体ケーシング110と、単一入口フランジ130と、単一出口フランジ140と、を含む。エンドサクションポンプ100は、ポンプハウジング120内のインペラに対する駆動を実施するために、本体ケーシング110に嵌合される磁気的に結合された駆動部150を更に含む。ポンプハウジングの入口130は、本体ケーシングのインペラ入口から一次流路を介して、インペラの一方の側(例えば、右アイ側)に流体を送出し、そしてまた、半中空液圧通路をその中に有する固定シャフトを通る二次流路を介して、インペラのもう一方の側(例えば、左アイ側)にも流体を送出する。
【0022】
[0020]図2A及び図2Bは、本明細書に記載の少なくともいくつかの実施形態に従って配置された、二重入口インペラを有する例となるエンドサクションポンプ200の詳細な切断図を例示する。図2Aに例示されるように、例となるエンドサクションポンプ200は、ポンプハウジング220を有する本体ケーシング210と、単一入口フランジ230と、単一出口フランジ240と、を含む。エンドサクションポンプ100は、左側断面図に例示される第1の端部252と、第2の端部254と、を含む磁気的に結合された駆動部250を更に含む。第2の端部254は、ポンプハウジング220内のインペラに対する駆動を実施するために、本体ケーシング210に結合されている。右側断面図に更に例示される入口230は、インペラ入口を介して、インペラの一方の側に流体を送出するように構成されており、第2のインペラ入口は、半中空液圧通路をその中に有する固定シャフトを介して、インペラものもう一方の側に流体を送出する。
【0023】
[0021]図2Bは、追加の詳細が識別された、図2Aの例となるエンドサクションポンプ200の拡大切断図を例示する。示されるように、エンドサクションポンプ200は、本体ケーシング210に(例えば、ボルト、リベット、ねじ等のような締結具を介して)結合された端部254を有する駆動部250を含む。端部254において、駆動磁石256が、本体ケーシング210内に位置するポンプ磁石212と磁気的に結合するように配置されている。固定シャフトは、本体ケーシング210の入口側(例えば、入口230の近く)から本体ケーシング210の駆動端に向かって延在する。インペラ280が、固定シャフト260の周りに円周方向に位置し、ここで、インペラ280は、磁気結合を介して駆動部250の運動に応答して固定シャフトの周りを回転するように構成されている。入口230は、固定シャフト260の開口部(例えば、入口部分)の周りに位置し、ここで、固定シャフト260は、流体を、入口230からインペラ280の一方の側の(例えば、インペラの左アイ側からの)出口262に結合するための半中空液圧通路をその中に有する。別の入口270が、固定シャフト260の外部の周りに位置し、流体を、入口230から(例えば、インペラの右アイ側から)インペラ280のもう一方の側に結合するように構成されている。
【0024】
[0022]図3は、本明細書に記載の実施形態の態様による二重入口インペラを有するエンドサクションポンプ300の概念的な切断組立図を例示する。ポンプ300の動作は、図2に例示したポンプ200と実質的に同様であるが、分かりやすくするために簡略化して示してある。エンドサクションポンプ300は、磁石キャリア320を有するポンプケーシング310と、単一入口フランジ(図示せず)と、単一出力フランジ330と、を含む。単一入口フランジ(図示せず)は、流体を一次インペラ入口360に供給し、これは、ポンプケーシング310内のインペラ340の一方の側(例えば、右アイ側)に位置する。単一入口フランジ(図示せず)はまた、流体を半中空固定シャフト350に供給し、これは、シャフト350内の開口部352を通ってポンプケーシング310内のインペラ340のもう一方の側(例えば、左アイ側)に至る液圧入口経路370を提供する。
【0025】
[0023]磁性キャリア320は、ポンプの動作中に吸引力を生成するために、インペラ340を回転させるように構成されている。駆動部の磁気結合は、シールを損なうことなく腐食性材料を圧送することができるという利点を有するシールフリーポンプを提供するのに有利である。磁気駆動ポンプは、回転シャフトを必要とせず、従って、シャフトは、固定された中実シャフトとして実装され得る。エンドサクションポンプ設計の欠点を認識して、本開示は、シャフト内の通路を通してインペラに液圧流体を送出し得る半中空シャフトを有する(with)エンドサクションポンプを修正する新しい設計を企図する。これは、図3の説明においてより明らかになる。
【0026】
[0024]図4は、本明細書に記載の少なくともいくつかの実施形態に従って配置された、二重入口インペラを有するエンドサクションポンプのための半中空固定シャフト400を例示する。シャフトは、複数の液圧流体通路と共に例示されている。この例では、右から開始して、シャフト400は、固定軸受(図示せず)によって、ポンプケーシングに取着されている。流体は、入口開口部410が位置する右側に示される入口端部402でシャフトに入る。シャフト400の内部は、シャフトに構造的支持(例えば、剛性)を提供する複数のベーン412又はリブ状構造(例えば、3つのベーン、4つのベーン、...N個のベーン)を含み得る。ベーン又はリブ412は、(例えば、入口開口部410によって)入口端部402からシャフトの内部に沿ってシャフト400の反対側の端部404の方に位置する出口開口部420まで延在する。複数の開口部420が存在し得、この例では、入口端部402と反対側の端部404との間のシャフト400に沿ったほぼ中間として例示されている。入口フランジ(図示せず)からの液圧流体は、シャフト400の内部に入り、ベーンに沿って移動し、開口420のうちの1つから出得る。従って、ベーン412は、シャフトのための構造的支持のみならず、液圧流体通路として機能する二重の役割を提供し、従って、これは、液圧流体をインペラに導き得る(例えば、図2及び図3参照)。
【0027】
[0025]シャフトは、金属材料又は非金属材料のいずれかで作製され得る。いくつかの例となる非金属材料は、限定はしないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド、又はこれらの組合せを含む、樹脂又はプラスチック系材料を含み得る。いくつかの例となる金属シャフトは、特定の用途の必要に応じ得るように、鋼、ステレス鋼、鋳鉄、鋳造アルミニウム、又は他の合金で作製され得る。いくつかの例となるシャフト材料は、剛性、耐久性、及び/又は耐腐食性等の他の特性を増大させるのに適した、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック、又は他の補強材料等の補強要素を更に含み得る。
【0028】
[0026]図5は、本明細書に記載の少なくともいくつかの実施形態に従って配置された二重入口インペラを有するエンドサクションポンプのためのインペラ及びシャフトを例示する。例となるインペラ及びシャフト500は、側面図、端面図、対向端面図、及び斜め側面図から例示されている。示されるように、シャフト部分は、入口端部502と、反対側の端部504と、入口510と、図5では隠れて見えない出口を通して流体をインペラに送出するために、シャフトを通って延在する1つ以上のベーン512と、を含む。インペラは、インペラカバー520の下に位置する1つ以上のファンブレード部分522を含み、各ブレードは、シャフトの周りに円周方向に配置されている。出口は、図3及び図4に関して前述したのと実質的に同様の方法で、流体をインペラに送出するように配置され得る。シャフトと同様に、インペラは、特定の環境要件及び動作要件に基づいて必要とされ得るように、金属材料若しくは非金属材料のいずれかで、又は、金属材料、非金属材料若しくは複合材料のいずれかの組合せで作製され得る。
【0029】
[0027]図6は、本開示の態様に従って配置された二重入口インペラを有するエンドサクションポンプ600の動作の流れを例示する。エンドサクションポンプ600は、入口フランジ(例えば、図1図2A、及び図2B参照)からの入口流620を含み、ここで、液圧流体の100%が最初にポンプハウジング610内に引き込まれる。一旦ポンプハウジング610内に入ると、液圧流体は、シャフト(例えば、図3及び図4を参照)に向かって移動し、ここで、入口流620は、互いにほぼ等しい2つの流路630及び640に分割される。従って、入口流の50%が流路630に導かれ、入口流の50%が流路640に導かれる。流路630は、一次流路に対応し、ここで、入口流の50%がインペラ680の右側670に送出される。流路650は、二次流路に対応し、ここで、入口流620の50%がインペラ680の左側660に送出される。液圧流体は、出口フランジ690を通ってポンプハウジング610から出る。
【0030】
[0028]インペラの両側に液圧流体を供給するための入口流の分割は、固定シャフト内のベーン又はリブ(例えば、図4参照)によって容易にされる。ポンプハウジング610内の追加の通路が、液圧流体を固定シャフトからインペラ680まで案内するために利用され得る。従って、流体を案内するように固定シャフトを修正することは、ダブルサクションインペラがエンドサクションポンプ内で動作することを可能にする吸引通路を設けるための新規な手法である。
【0031】
[0029]説明したポンプ設計の1つの利点は、流体がインペラの両側に送出されるので、インペラに作用する軸方向力が実質的に平衡することである。ロータ上のこれら力は、この説明した動作によって、インペラに関して実質的に対称である。
【0032】
[0030]二重入口インペラを有するエンドサクションポンプ配置は、従来のエンドサクションポンプに比べて数多くの利点がある。1つの利点は、低吸引圧力用途において、二重入口ポンプが単一入口ポンプよりも効率的に動作することである。別の利点は、完全に支持されたシャフトでの液圧平衡設計(例えば、液圧流体がインペラの両側において等しく供給される)からの改善された機械的信頼性があることである。これらの利点は、ポンプハウジング内に隠された二重入口配置を含むエンドサクションポンプ構成を維持しながら達成される。エンドサクションポンプは、それがより小さい設置面積を有し、従って、配備するのにより低コストであり得るという点で、望ましくあり得る。
【0033】
[0031]本開示は、本願に記載の特定の実施形態に関して限定されるべきではなく、それらは、様々な態様の例示として意図される。その趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び変形が行われ得る。本明細書に列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法及び装置が、前述の説明から可能である。そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲と共に、そのような特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。本明細書で使用した専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図したものではない。
【0034】
[0032]本明細書に記載の主題は、時として、異なる他の構成要素内に含まれる、又は、異なる他の構成要素と接続された異なる構成要素を例示する。そのように図示されたアーキテクチャは、単なる例であり、実際には、同じ機能を実現する多くの他のアーキテクチャが実装され得る。概念的な意味では、同じ機能を実現するための構成要素の任意の配置は、所望の機能が実現されるように効果的に「関連付けられる」。従って、特定の機能を達成するために本明細書で組み合わされる任意の2つの構成要素は、アーキテクチャ又は中間構成要素にかかわらず、所望の機能が達成されるように互いに「関連付けられている」と見なされ得る。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素はまた、所望の機能を実現するために互いに「動作可能に接続」又は「動作可能に結合」されていると見なされ得、そのように関連付けられることが可能な任意の2つの構成要素はまた、所望の機能を実現するために互いに「動作可能に結合可能」であると見なされ得る。動作可能に結合可能である特定の例は、限定はしないが、物理的に接続可能な及び/若しくは物理的に相互作用する構成要素、並びに/又は、ワイヤレスに相互作用可能な及び/若しくはワイヤレスに相互作用する構成要素、並びに/又は、論理的に相互作用する及び/若しくは論理的に相互作用可能な構成要素を含む。
【0035】
[0033]本明細書での実質的に任意の複数形及び/又は単数形の用語の使用に関して、当業者であれば、文脈及び/又は用途に適切であるように、複数形から単数形に、及び/又は、単数形から複数形に変換し得る。様々な単数形/複数形の置換えは、明確さのために、本明細書に明記され得る。
【0036】
[0034]一般に、本明細書及び特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の請求項の本体)で使用される用語は、概して「オープン」な用語(例えば、「~を含んでいる(including)」という用語は、「限定はしないが、~を含んでいる」と解釈されるべきであり、「~を有する」という用語は、「少なくとも~を有する」と解釈されるべきであり、「~を含む(includes)」という用語は、「限定はしないが、~を含む」と解釈されるべきである等)として意図されている。導入された請求項の記載の特定の数が意図される場合、そのような意図は請求項において明示的に記載され、そのような記載がない場合、そのような意図が存在しないことは、当業者には更に理解されよう。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の記載を導入するための「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」という導入句の使用を含み得る。しかしながら、このような語句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の記載の導入が、そのような導入された請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、1つのそのような記載のみを含む実施形態に限定することを暗示すると解釈されるべきではなく、これは、同一請求項が、導入句「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」と、不定冠詞「a」又は「an」とを含むときでさえ、そのように解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)。請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用についても同様のことが当てはまる。加えて、たとえ導入された請求項の記載の特定の数が明示的に記載された場合であっても、当業者であれば、そのような記載が、少なくともその記載された数を意味する(例えば、他の修飾語がない「2つの記載」のありのままの記載は、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)と解釈されるべきであることを認識されよう。
【0037】
[0035]更に、「A、B、及びC等の少なくとも1つ」に類似した慣例が使用される事例では、一般に、そのような構文は、当業者がその慣例について理解するだろう意味合いで意図されている(例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つを有するシステム」は、限定はしないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを共に、AとCを共に、BとCを共に、並びに/又はA、B、及びCを共に、等を有するシステムを含むであろう)。2つ以上の代替的用語を提示する実質的にいかなる離接的な単語及び/又は語句であっても、明細書、特許請求の範囲、又は図面であれ、それらの用語うちの1つ、それらの用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきであることは、当業者には更に理解されよう。例えば、「A又はB」という語句は、「A」若しくは「B」、又は「A及びB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0038】
[0036]あらゆる目的のために、例えば、書面による説明を提供するという観点から、本明細書に開示される全ての範囲は、あらゆる可能な部分範囲及びその部分範囲の組合せも包含する。任意の列挙された範囲は、少なくとも均等な2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1等に分解された同じ範囲を十分に説明し可能にするものとして容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書に記載の各範囲は、下側3分の1、中央3分の1、及び上側3分の1等に容易に分解され得る。当業者にまた理解されるように、「最大で」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」等の全ての文言は、記載された数字を含み、上述されたように、次いで部分範囲に分解され得る範囲を指す。最後に、範囲は個々の各メンバを含む。従って、例えば、1~3個のセルを有する群は、1、2、又は3個のセルを有する群を指す。同様に、1~5個のセルを有する群は、1、2、3、4、又は5個のセルを有する群を指し、以下同様である。
【0039】
[0037]様々な態様及び実施形態が本明細書に開示されてきたが、他の態様及び実施形態も可能である。本明細書に開示される様々な態様及び実施形態は、例示を目的としており、限定することを意図しておらず、真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示されている。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6
【国際調査報告】