(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】四置換オレフィン化合物の塩形、結晶及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 401/10 20060101AFI20231228BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20231228BHJP
A61P 5/32 20060101ALI20231228BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
C07D401/10 CSP
A61K31/4439
A61P5/32
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535918
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 CN2021143129
(87)【国際公開番号】W WO2022143907
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011613790.2
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】段 淑 文
(72)【発明者】
【氏名】陸 剣 宇
(72)【発明者】
【氏名】姚 ▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】胡 利 紅
(72)【発明者】
【氏名】丁 照 中
(72)【発明者】
【氏名】黎 健
(72)【発明者】
【氏名】陳 曙 輝
(72)【発明者】
【氏名】張 喜 全
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB06
4C063CC12
4C063DD06
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC17
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA13
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA03
4C086NA11
4C086ZB26
4C086ZC11
(57)【要約】
四置換オレフィン化合物の塩形、化合物と塩の結晶及びその製造方法であって、具体的には、式(I)化合物の結晶、その塩、その塩の結晶及びその製造方法に関する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶であって、前記式(I)化合物の塩は、フマル酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩又は臭化水素酸塩から選ばれ、前記式(I)化合物の塩の結晶は、塩酸塩の結晶、フマル酸塩の結晶、マレイン酸塩の結晶、メタンスルホン酸塩の結晶又は臭化水素酸塩の結晶から選ばれる、式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶。
【化1】
【請求項2】
前記式(I)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、13.14±0.20°、16.62±0.20°、17.60±0.20°、19.98±0.20°、21.78±0.20°、22.38±0.20°、23.41±0.20°及び24.22±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含み、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、17.60±0.20°、19.98±0.20°及び23.41±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、13.14±0.20°、16.62±0.20°、17.60±0.20°、19.98±0.20°、21.78±0.20°、22.38±0.20°、23.41±0.20°及び24.22±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、13.14±0.20°、14.68±0.20°、16.62±0.20°、17.60±0.20°、19.98±0.20°、21.32±0.20°、21.78±0.20°、22.38±0.20°、23.41±0.20°、24.22±0.20°、26.46±0.20°及び28.84±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、8.56±0.20°、10.13±0.20°、12.16±0.20°、13.14±0.20°、13.54±0.20°、14.68±0.20°、15.68±0.20°、16.38±0.20°、16.62±0.20°、17.24±0.20°、17.60±0.20°、18.86±0.20°、19.22±0.20°、19.46±0.20°、19.98±0.20°、20.89±0.20°、21.32±0.20°、21.78±0.20°、22.38±0.20°、22.70±0.20°、23.08±0.20°、23.41±0.20°、23.70±0.20°、24.01±0.20°、24.22±0.20°、24.62±0.20°、24.89±0.20°、25.26±0.20°、25.92±0.20°、26.46±0.20°、26.92±0.20°、27.32±0.20°、28.18±0.20°、28.54±0.20°、28.84±0.20°、29.42±0.20°、30.24±0.20°、30.70±0.20°、30.94±0.20°、31.64±0.20°、32.71±0.20°、33.22±0.20°及び34.84±0.20°で回折ピークがあり、又は、
前記式(I)化合物の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンは
図1に示されるとおりである、請求項1に記載の式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶。
【請求項3】
前記式(I)化合物の結晶の示差走査熱量測定グラフでは、144.92±3℃で吸熱ピークがある、請求項1又は2に記載の式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶。
【請求項4】
前記式(I)化合物の塩の結晶は、塩酸塩の結晶であり、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.97±0.20°、7.58±0.20°、16.49±0.20°、17.63±0.20°、20.25±0.20°、22.84±0.20°、23.99±0.20°及び24.62±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含み、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.97±0.20°、7.58±0.20°、11.08±0.20°、11.38±0.20°、14.14±0.20°、15.30±0.20°、16.49±0.20°、17.63±0.20°、18.44±0.20°、19.72±0.20°、20.25±0.20°、20.66±0.20°、21.39±0.20°、21.88±0.20°、22.23±0.20°、22.84±0.20°、23.99±0.20°及び24.62±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7、8、9、10、11、12つ又はそれ以上の回折ピークを含み、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.97±0.20°、7.58±0.20°、9.83±0.20°、11.08±0.20°、11.38±0.20°、12.69±0.20°、14.14±0.20°、15.30±0.20°、16.49±0.20°、17.63±0.20°、18.44±0.20°、19.72±0.20°、20.25±0.20°、20.66±0.20°、21.39±0.20°、21.88±0.20°、22.23±0.20°、22.84±0.20°、23.79±0.20°、23.99±0.20°及び24.62±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7、8、9、10、11、12つ又はそれ以上の回折ピークを含み、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.97±0.20°、7.58±0.20°及び17.63±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.97±0.20°、7.58±0.20°、16.49±0.20°、17.63±0.20°、20.25±0.20°、22.84±0.20°、23.99±0.20°及び24.62±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.97±0.20°、7.58±0.20°、11.08±0.20°、11.38±0.20°、14.14±0.20°、15.30±0.20°、16.49±0.20°、17.63±0.20°、18.44±0.20°、19.72±0.20°、20.25±0.20°、20.66±0.20°、21.39±0.20°、21.88±0.20°、22.23±0.20°、22.84±0.20°、23.99±0.20°及び24.62±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.97±0.20°、7.58±0.20°、9.83±0.20°、11.08±0.20°、11.38±0.20°、12.69±0.20°、14.14±0.20°、15.30±0.20°、16.49±0.20°、17.63±0.20°、18.44±0.20°、19.72±0.20°、20.25±0.20°、20.66±0.20°、21.39±0.20°、21.88±0.20°、22.23±0.20°、22.84±0.20°、23.79±0.20°、23.99±0.20°及び24.62±0.20°で回折ピークがあり、又は、
前記式(I)化合物の塩酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンは
図4に示されるとおりであり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、9.84±0.20°、16.31±0.20°、16.76±0.20°、20.09±0.20°、22.61±0.20°、23.65±0.20°、24.55±0.20°及び25.32±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含み、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、9.84±0.20°、16.76±0.20°及び20.09±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、9.84±0.20°、16.31±0.20°、16.76±0.20°、20.09±0.20°、22.61±0.20°、23.65±0.20°、24.55±0.20°及び25.32±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、9.84±0.20°、10.59±0.20°、12.39±0.20°、12.61±0.20°、13.99±0.20°、16.31±0.20°、16.76±0.20°、18.31±0.20°、18.72±0.20°、19.06±0.20°、19.55±0.20°、19.72±0.20°、20.09±0.20°、20.77±0.20°、21.22±0.20°、22.61±0.20°、23.04±0.20°、23.41±0.20°、23.65±0.20°、24.55±0.20°、25.11±0.20°、25.32±0.20°、26.49±0.20°、26.90±0.20°、27.71±0.20°、28.27±0.20°、28.47±0.20°、29.22±0.20°、29.61±0.20°、30.22±0.20°、31.11±0.20°、31.47±0.20°、34.18±0.20°で回折ピークがあり、又は、
前記式(I)化合物の塩酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンは
図17に示されるとおりである、請求項1に記載の式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶。
【請求項5】
前記式(I)化合物の塩酸塩の結晶の示差走査熱量測定グラフでは、204.5±3℃で吸熱ピークがあり、又は、前記式(I)化合物の塩酸塩の結晶の示差走査熱量測定グラフでは、101.4±3℃、113.3±3℃及び195.9±3℃で吸熱ピークがある、請求項4に記載の式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶。
【請求項6】
前記式(I)化合物の塩の結晶は、フマル酸塩の結晶であり、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.12±0.20°、9.20±0.20°、14.99±0.20°、18.08±0.20°、19.17±0.20°、21.39±0.20°、22.57±0.20°及び25.15±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含み、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.12±0.20°、14.99±0.20°及び19.17±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.12±0.20°、9.20±0.20°、14.99±0.20°、18.08±0.20°、19.17±0.20°、21.39±0.20°、22.57±0.20°及び25.15±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.12±0.20°、9.20±0.20°、12.03±0.20°、14.99±0.20°、15.31±0.20°、16.75±0.20°、17.62±0.20°、18.08±0.20°、18.83±0.20°、19.17±0.20°、20.80±0.20°、21.39±0.20°、22.21±0.20°、22.57±0.20°、23.09±0.20°、23.50±0.20°、24.42±0.20°、25.15±0.20°、25.78±0.20°、27.14±0.20°、28.25±0.20°、29.54±0.20°、30.50±0.20°、31.09±0.20°及び32.16±0.20°で回折ピークがあり、又は、
前記式(I)化合物のフマル酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンは
図7に示されるとおりである、請求項1に記載の式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶。
【請求項7】
前記式(I)化合物のフマル酸塩の結晶の示差走査熱量測定グラフでは、164.5±3℃で吸熱ピークがある、請求項6に記載の式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶。
【請求項8】
前記式(I)化合物の塩の結晶は、マレイン酸塩の結晶であり、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、4.55±0.20°、12.85±0.20°、16.19±0.20°、16.68±0.20°、18.12±0.20°、21.18±0.20°、22.71±0.20°及び27.31±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含み、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、4.55±0.20°、18.12±0.20°及び21.18±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、4.55±0.20°、12.85±0.20°、16.19±0.20°、16.68±0.20°、18.12±0.20°、21.18±0.20°、22.71±0.20°及び27.31±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、4.55±0.20°、18.12±0.20°、21.18±0.20°、9.06±0.20°、10.63±0.20°、11.00±0.20°、12.85±0.20°、13.75±0.20°、15.96±0.20°、16.19±0.20°、16.68±0.20°、16.99±0.20°、17.51±0.20°、20.12±0.20°、20.75±0.20°、22.71±0.20°、23.04±0.20°、24.13±0.20°、24.55±0.20°、25.32±0.20°、25.95±0.20°、27.31±0.20°、28.38±0.20°、28.97±0.20°、29.62±0.20°及び34.09±0.20°で回折ピークがあり、又は、
前記式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンは
図9に示されるとおりである、請求項1に記載の式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶。
【請求項9】
前記式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶の示差走査熱量測定グラフでは、160.3±3℃で吸熱ピークがある、請求項8に記載の式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶。
【請求項10】
前記式(I)化合物の塩の結晶は、メタンスルホン酸塩の結晶であり、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.47±0.20°、6.25±0.20°、16.11±0.20°、16.64±0.20°、18.11±0.20°、19.73±0.20°、24.22±0.20°及び25.12±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含み、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.47±0.20°、6.25±0.20°及び16.11±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.47±0.20°、6.25±0.20°、16.11±0.20°、16.64±0.20°、18.11±0.20°、19.73±0.20°、24.22±0.20°及び25.12±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.47±0.20°、6.00±0.20°、6.25±0.20°、8.29±0.20°、9.62±0.20°、10.88±0.20°、12.02±0.20°、12.46±0.20°、13.81±0.20°、16.11±0.20°、16.39±0.20°、16.64±0.20°、18.11±0.20°、18.72±0.20°、19.73±0.20°、20.21±0.20°、21.08±0.20°、21.41±0.20°、22.80±0.20°、23.45±0.20°、24.22±0.20°、24.55±0.20°、25.12±0.20°、25.64±0.20°、26.00±0.20°、26.99±0.20°、29.06±0.20°、29.88±0.20°及び31.18±0.20°で回折ピークがあり、又は、
前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンは
図11に示されるとおりであり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、6.17±0.20°、8.76±0.20°、12.16±0.20°、16.12±0.20°、17.18±0.20°、19.23±0.20°、20.19±0.20°及び23.03±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含み、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、6.17±0.20°、8.76±0.20°及び23.03±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、6.17±0.20°、8.76±0.20°、12.16±0.20°、16.12±0.20°、17.18±0.20°、19.23±0.20°、20.19±0.20°及び23.03±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、6.17±0.20°、8.76±0.20°、12.16±0.20°、12.37±0.20°、14.53±0.20°、15.46±0.20°、16.12±0.20°、17.18±0.20°、17.40±0.20°、18.30±0.20°、18.78±0.20°、19.23±0.20°、19.71±0.20°、20.19±0.20°、20.74±0.20°、21.05±0.20°、22.19±0.20°及び23.03±0.20°で回折ピークがあり、又は、
前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンは
図12に示されるとおりである、請求項1に記載の式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶。
【請求項11】
前記式(I)化合物の塩の結晶は、臭化水素酸塩の結晶であり、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、3.12±0.20°、5.96±0.20°、7.59±0.20°、16.49±0.20°、17.62±0.20°、23.84±0.20°、24.54±0.20°及び30.30±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含み、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、7.59±0.20°、17.62±0.20°及び23.84±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、3.12±0.20°、5.96±0.20°、7.59±0.20°、16.49±0.20°、17.62±0.20°、23.84±0.20°、24.54±0.20°及び30.30±0.20°で回折ピークがあり、又は、
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、3.12±0.20°、5.96±0.20°、7.59±0.20°、9.76±0.20°、11.11±0.20°、12.78±0.20°、16.49±0.20°、17.62±0.20°、18.44±0.20°、19.57±0.20°、20.69±0.20°、21.16±0.20°、22.16±0.20°、22.77±0.20°、23.84±0.20°、24.31±0.20°、24.54±0.20°、25.15±0.20°、26.07±0.20°、27.31±0.20°、27.83±0.20°、28.91±0.20°、30.30±0.20°及び31.74±0.20°で回折ピークがあり、又は、
前記式(I)化合物の臭化水素酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンは
図13に示されるとおりである、請求項1に記載の式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶。
【請求項12】
前記式(I)化合物の塩は、塩酸塩であり、式(I)化合物と塩酸のモル比は1:1であり、又は、
前記式(I)化合物の塩は、フマル酸塩であり、式(I)化合物とフマル酸のモル比は1:1であり、又は、
前記式(I)化合物の塩は、マレイン酸塩であり、式(I)化合物とマレイン酸のモル比は1:1であり、又は、
前記式(I)化合物の塩は、メタンスルホン酸塩であり、式(I)化合物とメタンスルホン酸のモル比は1:2であり、又は、
前記式(I)化合物の塩は、臭化水素酸塩であり、式(I)化合物と臭化水素酸のモル比は1:1である、請求項1~11のいずれか一項に記載の式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の結晶を含む結晶組成物であって、前記結晶は、結晶組成物の重量の50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上を占める結晶組成物。
【請求項14】
治療又は予防有効量の請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶、或いは請求項13に記載の結晶組成物を含む医薬組成物。
【請求項15】
エストロゲン受容体に関連する疾患を治療又は予防するための請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶、請求項13に記載の結晶組成物、或いは請求項14に記載の医薬組成物であって、前記エストロゲン受容体に関連する疾患が、好ましく、乳がんであり、より好ましく、エストロゲン受容体陽性乳がんである、式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩又はその結晶、結晶組成物、或いは医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【関連出願の相互参照】
【0002】
本願は、2020年12月30日に中国国家知識産権局へ提出された中国発明特許出願第202011613790.2号の利益及び優先権を主張し、その全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0003】
本願は、四置換オレフィン化合物の結晶、その塩、その塩の結晶及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0004】
世界保健機関(WHO)の統計によると、乳がんはすでに世界で発生率が2番目に高いがんになっており、女性では発生率が最も高いがんである。長年の研究を経て、乳がんの進行におけるエストロゲン-エストロゲン受容体シグナル伝達経路の役割が明かされ、エストロゲン受容体(ER)は乳がんの最も重要なバイオマーカーとして定着されている。エストロゲン受容体の発現を判断指標とする場合に、乳がんはエストロゲン受容体陽性乳がん及びエストロゲン受容体陰性乳がんに分けられる。そのうち、エストロゲン受容体陽性乳がんは乳がんの患者総数の70%以上を占める。
【0005】
乳がん細胞内のエストロゲン-エストロゲン受容体シグナル伝達経路に対する内分泌療法(Endocrine Therapy、ET)はその小さな副作用と明らかな治療効果から、すでにエストロゲン受容体陽性乳がんの治療で第一選択療法になっている。内分泌療法の第一選択療法は主にアロマターゼ阻害剤(Aromatase inhibitor、AI)である。アロマターゼ阻害剤であるレトロゾールはエストロゲン受容体陽性乳がんの治療で優れた治療効果を示しているが、2種の薬物を併用すると、エストロゲン受容体陽性乳がんのアロマターゼ阻害剤に対する薬剤耐性の問題が浮き彫りになっている。アロマターゼ阻害剤に対して、エストロゲン受容体には特定の変異として、主にY537X変異が生じることが多くの研究から明らかになった。変異後のエストロゲン受容体はエストロゲンが存在しなくても活性化された立体配座を保っているため、受容体としての機能を果たして乳がん細胞の増殖を促すことができる。現在市販されている唯一の選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーターとしてフルベストラント(Fulvestrant)はホルモン抵抗性乳がんの治療で優れた効果を示している。しかしながら、AI耐性ER変異乳がんの治療においてフルベストラントには様々な問題がある。まず、フルベストラントのPK特性が悪いため、経口投与の場合は生物学的利用能がゼロである。また、フルベストラントの血漿クリアランスが高い。この2つの点から、当該薬物の投与は筋肉内注射に限る。しかし、親油性の強い構造であるため、筋肉内注射投与の場合はフルベストラントの組織分布にも深刻な問題がある。臨床上フルベストラントを用いる乳がん患者では応答を示すのは約50%にとどまる。また、PK特性が優れないため、現在承認されている用量でフルベストラントの組織内濃度はER、とりわけ変異ERを完全に分解させられないため、AI耐性ER変異乳がんの治療で最適な選択ではない。そのために、薬物動態特性が向上しているER変異乳がん向きの薬物の研究と開発がなおも医療上のニーズとしては満たされていない。
【発明の概要】
【0006】
本願は、一態様において、式(I)化合物の結晶を提供する。
【0007】
【0008】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、17.60±0.20°、19.98±0.20°及び23.41±0.20°で回折ピークがある。
【0009】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、13.14±0.20°、16.62±0.20°、17.60±0.20°、19.98±0.20°、21.78±0.20°、22.38±0.20°、23.41±0.20°及び24.22±0.20°で回折ピークがある。
【0010】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、13.14±0.20°、14.68±0.20°、16.62±0.20°、17.60±0.20°、19.98±0.20°、21.32±0.20°、21.78±0.20°、22.38±0.20°、23.41±0.20°、24.22±0.20°、26.46±0.20°及び28.84±0.20°で回折ピークがある。
【0011】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、8.56±0.20°、10.13±0.20°、12.16±0.20°、13.14±0.20°、13.54±0.20°、14.68±0.20°、15.68±0.20°、16.38±0.20°、16.62±0.20°、17.24±0.20°、17.60±0.20°、18.86±0.20°、19.22±0.20°、19.46±0.20°、19.98±0.20°、20.89±0.20°、21.32±0.20°、21.78±0.20°、22.38±0.20°、22.70±0.20°、23.08±0.20°、23.41±0.20°、23.70±0.20°、24.01±0.20°、24.22±0.20°、24.62±0.20°、24.89±0.20°、25.26±0.20°、25.92±0.20°、26.46±0.20°、26.92±0.20°、27.32±0.20°、28.18±0.20°、28.54±0.20°、28.84±0.20°、29.42±0.20°、30.24±0.20°、30.70±0.20°、30.94±0.20°、31.34±0.20°、31.64±0.20°、32.71±0.20°、33.22±0.20°及び34.84±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7、8、9、10、11、12つ又はそれ以上の回折ピークを含む。
【0012】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、13.14±0.20°、14.68±0.20°、16.62±0.20°、17.60±0.20°、19.98±0.20°、21.32±0.20°、21.78±0.20°、22.38±0.20°、23.41±0.20°、24.22±0.20°、26.46±0.20°及び28.84±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12つの回折ピークを含む。
【0013】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、13.14±0.20°、16.62±0.20°、17.60±0.20°、19.98±0.20°、21.78±0.20°、22.38±0.20°、23.41±0.20°及び24.22±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含む。
【0014】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、約8.56°、約10.13°、約12.16°、約13.14°、約13.54°、約14.68°、約15.68°、約16.38°、約16.62°、約17.24°、約17.60°、約18.86°、約19.22°、約19.46°、約19.98°、約20.89°、約21.32°、約21.78°、約22.38°、約22.70°、約23.08°、約23.41°、約23.70°、約24.01°、約24.22°、約24.62°、約24.89°、約25.26°、約25.92°、約26.46°、約26.92°、約27.32°、約28.18°、約28.54°、約28.84°、約29.42°、約30.24°、約30.70°、約30.94°、約31.34°、約31.64°、約32.71°、約33.22°及び約34.84°で回折ピークがある。
【0015】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンにおける回折ピークのピーク位置及び相対強度は次の表1に示されるとおりである。
【0016】
表1:式(I)化合物の結晶のX線粉末回折パターンの回折ピークのピーク位置及び相対強度
【0017】
【0018】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折(XRPD)パターンは
図1に示されるとおりである。
【0019】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶の示差走査熱量測定(DSC)グラフでは、144.92±3℃で吸熱ピークがある。
【0020】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶のDSCパターンは
図2に示されるとおりである。
【0021】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶の熱重量分析(TGA)グラフでは、200.00±3℃での重量減少が0.108%である。
【0022】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶のTGAパターンは
図3に示されるとおりである。
【0023】
本願は、別の態様において、式(I)化合物の結晶を酢酸エチル溶媒から析出させるステップを含む前記式(I)化合物の結晶の製造方法を提供する。
【0024】
本願の一部の実施形態において、本願は、式(I)化合物に酢酸エチルを加え、溶解して清澄化するまで加熱しながら撹拌し、冷却して撹拌し、結晶が析出した後、濾過及び減圧乾燥を行って、前記式(I)化合物の結晶を得ることを含む前記式(I)化合物の結晶の製造方法を提供する。
【0025】
本願は、別の態様において、さらに、式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶を提供する。
【0026】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.97±0.20°、7.58±0.20°及び17.63±0.20°で回折ピークがある。
【0027】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.97±0.20°、7.58±0.20°、16.49±0.20°、17.63±0.20°、20.25±0.20°、22.84±0.20°、23.99±0.20°及び24.62±0.20°で回折ピークがある。
【0028】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.97±0.20°、7.58±0.20°、11.08±0.20°、11.38±0.20°、14.14±0.20°、15.30±0.20°、16.49±0.20°、17.63±0.20°、18.44±0.20°、19.72±0.20°、20.25±0.20°、20.66±0.20°、21.39±0.20°、21.88±0.20°、22.23±0.20°、22.84±0.20°、23.99±0.20°及び24.62±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7、8、9、10、11、12つ又はそれ以上の回折ピークを含む。
【0029】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.97±0.20°、7.58±0.20°、9.83±0.20°、11.08±0.20°、11.38±0.20°、12.69±0.20°、14.14±0.20°、15.30±0.20°、16.49±0.20°、17.63±0.20°、18.44±0.20°、19.72±0.20°、20.25±0.20°、20.66±0.20°、21.39±0.20°、21.88±0.20°、22.23±0.20°、22.84±0.20°、23.79±0.20°、23.99±0.20°及び24.62±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7、8、9、10、11、12つ又はそれ以上の回折ピークを含む。
【0030】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.97±0.20°、7.58±0.20°、16.49±0.20°、17.63±0.20°、20.25±0.20°、22.84±0.20°、23.99±0.20°及び24.62±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含む。
【0031】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.97±0.20°、7.58±0.20°、11.08±0.20°、11.38±0.20°、14.14±0.20°、15.30±0.20°、16.49±0.20°、17.63±0.20°、18.44±0.20°、19.72±0.20°、20.25±0.20°、20.66±0.20°、21.39±0.20°、21.88±0.20°、22.23±0.20°、22.84±0.20°、23.99±0.20°及び24.62±0.20°で回折ピークがある。
【0032】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.97±0.20°、7.58±0.20°、9.83±0.20°、11.08±0.20°、11.38±0.20°、12.69±0.20°、14.14±0.20°、15.30±0.20°、16.49±0.20°、17.63±0.20°、18.44±0.20°、19.72±0.20°、20.25±0.20°、20.66±0.20°、21.39±0.20°、21.88±0.20°、22.23±0.20°、22.84±0.20°、23.79±0.20°、23.99±0.20°及び24.62±0.20°で回折ピークがある。
【0033】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、約5.97°、約7.58°、約11.08°、約11.38°、約14.14°、約15.30°、約16.49°、約17.63°、約18.44°、約19.72°、約20.25°、約20.66°、約21.39°、約21.88°、約22.23°、約22.84°、約23.99°、約24.62°、約25.15°、約25.74°、約26.19°、約27.03°、約27.43°、約27.88°、約28.52°、約29.08°、約30.08°、約30.47°、約31.51°、約31.94°で回折ピークがある。
【0034】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、約5.97°、約7.58°、約9.83°、約11.08°、約11.38°、約12.69°、約14.14°、約15.30°、約16.49°、約17.63°、約18.44°、約19.72°、約20.25°、約20.66°、約21.39°、約21.88°、約22.23°、約22.84°、約23.79°、約23.99°、約24.62°、約25.15°、約25.74°、約26.19°、約27.03°、約27.43°、約27.88°、約28.52°、約29.08°、約30.08°、約30.47°、約31.51°、約31.94°で回折ピークがある。
【0035】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンにおける回折ピークのピーク位置及び相対強度は次の表2に示されるとおりである。
【0036】
表2:式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶のX線粉末回折パターンの回折ピークのピーク位置及び相対強度
【0037】
【0038】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折(XRPD)パターンは
図4に示されるとおりである。
【0039】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶の示差走査熱量測定(DSC)グラフでは、204.5±3℃で吸熱ピークがある。
【0040】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶のDSCパターンは
図5に示されるとおりである。
【0041】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶の熱重量分析(TGA)グラフでは、150.0±3℃での重量減少が2.28%である。
【0042】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶のTGAパターンは
図5に示されるとおりである。
【0043】
本願は、別の態様において、式(I)化合物の塩酸塩の結晶を酢酸エチルと水の混合溶媒から析出させるステップを含む前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶の製造方法を提供する。
【0044】
本願の一部の実施形態において、本願の式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶は、
(1)式(I)化合物と塩酸を酢酸エチルと水の存在下で反応させて、式(I)化合物の塩酸塩を得ること、
(2)晶析させることを含む方法で製造される。
【0045】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶では、式(I)化合物と塩酸のモル比は1:1であり、又は式(I)化合物の塩酸塩は式(II)化合物である。
【0046】
【0047】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶と酢酸エチルを混合し、溶液が清澄化するまで加熱し、塩酸の酢酸エチル溶液を加えて撹拌し、冷却して晶析させ、次に濾過及び減圧乾燥を行って、前記式(II)化合物のI型結晶を得ることを含む前記式(II)化合物のI型結晶の製造方法を提供する。
【0048】
本願は、別の態様において、さらに、式(I)化合物の塩酸塩のII型結晶を提供する。
【0049】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のII型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、9.84±0.20°、16.76±0.20°、20.09±0.20°で回折ピークがある。
【0050】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のII型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、9.84±0.20°、16.31±0.20°、16.76±0.20°、20.09±0.20°、22.61±0.20°、23.65±0.20°、24.55±0.20°、25.32±0.20°で回折ピークがある。
【0051】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のII型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、9.84±0.20°、10.59±0.20°、12.39±0.20°、12.61±0.20°、13.99±0.20°、16.31±0.20°、16.76±0.20°、18.31±0.20°、18.72±0.20°、19.06±0.20°、19.55±0.20°、19.72±0.20°、20.09±0.20°、20.77±0.20°、21.22±0.20°、22.61±0.20°、23.04±0.20°、23.41±0.20°、23.65±0.20°、24.55±0.20°、25.32±0.20°、26.49±0.20°、26.90±0.20°、27.71±0.20°、28.27±0.20°、28.47±0.20°、29.22±0.20°、29.61±0.20°、30.22±0.20°、31.11±0.20°、31.47±0.20°、34.18±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7、8、9、10、11、12つ又はそれ以上の回折ピークを含む。
【0052】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のII型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、9.84±0.20°、16.31±0.20°、16.76±0.20°、20.09±0.20°、22.61±0.20°、23.65±0.20°、24.55±0.20°、25.32±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含む。
【0053】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のII型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、約9.84°、約10.59°、約12.39°、約12.61°、約13.99°、約16.31°、約16.76°、約18.31°、約18.72°、約19.06°、約19.55°、約19.72°、約20.09°、約20.77°、約21.22°、約22.61°、約23.04°、約23.41°、約23.65°、約24.55°、約25.11°、約25.32°、約26.49°、約26.90°、約27.71°、約28.27°、約28.47°、約29.22°、約29.61°、約30.22°、約31.11°、約31.47°、約34.18°で回折ピークがある。
【0054】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のII型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンにおける回折ピークのピーク位置及び相対強度は次の表10に示されるとおりである。
【0055】
表10:式(I)化合物の塩酸塩のII型結晶のX線粉末回折パターンの回折ピークのピーク位置及び相対強度
【0056】
【0057】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のII型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折(XRPD)パターンは
図17に示されるとおりである。
【0058】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のII型結晶の示差走査熱量測定(DSC)グラフでは、101.4±3℃、113.3±3℃及び195.9±3℃で吸熱ピークがある。
【0059】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のII型結晶のDSCパターンは
図18に示されるとおりである。
【0060】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のII型結晶の熱重量分析(TGA)グラフでは、55.0±3℃での重量減少が5.48%であり、90.0±3℃での重量減少が9.67%である。
【0061】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のII型結晶のTGAパターンは
図18に示されるとおりである。
【0062】
本願は、別の態様において、式(II)化合物のII型結晶を酢酸エチルと水の混合溶媒から析出させるステップを含む前記式(I)化合物の塩酸塩の結晶の製造方法を提供する。
【0063】
本願の一部の実施形態において、本願の式(I)化合物の塩酸塩のII型結晶は、
(1)式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶を酢酸エチルと水の存在下で反応させること、
(2)晶析させることを含む方法で製造される。
【0064】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩のII型結晶では、式(I)化合物と塩酸のモル比は1:1であり、又は式(I)化合物の塩酸塩は式(II)化合物である。
【0065】
【0066】
本願の一部の実施形態において、前記式(II)化合物のI型結晶と酢酸エチル及び水を混合し、加熱しながら溶液が清澄化するまで撹拌し、冷却して晶析させ、次に濾過及び減圧乾燥を行って、前記式(II)化合物のII型結晶を得ることを含む前記式(II)化合物のII型結晶の製造方法を提供する。
【0067】
本願は、別の態様において、式(I)化合物のフマル酸塩を提供する。
【0068】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のフマル酸塩は結晶の形態である。
【0069】
本願は、別の態様において、式(I)化合物のフマル酸塩の結晶を提供する。
【0070】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のフマル酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.12±0.20°、14.99±0.20°及び19.17±0.20°で回折ピークがある。
【0071】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のフマル酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.12±0.20°、9.20±0.20°、14.99±0.20°、18.08±0.20°、19.17±0.20°、21.39±0.20°、22.57±0.20°及び25.15±0.20°で回折ピークがある。
【0072】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のフマル酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.12±0.20°、9.20±0.20°、12.03±0.20°、14.99±0.20°、15.31±0.20°、16.75±0.20°、17.62±0.20°、18.08±0.20°、18.83±0.20°、19.17±0.20°、20.80±0.20°、21.39±0.20°、22.21±0.20°、22.57±0.20°、23.09±0.20°、23.50±0.20°、24.42±0.20°、25.15±0.20°、25.78±0.20°、27.14±0.20°、28.25±0.20°、29.54±0.20°、30.50±0.20°、31.09±0.20°及び32.16±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7、8つ又はそれ以上の回折ピークを含む。
【0073】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のフマル酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.12±0.20°、9.20±0.20°、14.99±0.20°、18.08±0.20°、19.17±0.20°、21.39±0.20°、22.57±0.20°及び25.15±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含む。
【0074】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のフマル酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、約5.12°、約9.20°、約12.03°、約14.99°、約15.31°、約16.75°、約17.62°、約18.08°、約18.83°、約19.17°、約20.80°、約21.39°、約22.21°、約22.57°、約23.09°、約23.50°、約24.42°、約25.15°、約25.78°、約27.14°、約28.25°、約29.54°、約30.50°、約31.09°及び約32.16°で回折ピークがある。
【0075】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のフマル酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンにおける回折ピークのピーク位置及び相対強度は次の表3に示されるとおりである。
【0076】
表3:式(I)化合物のフマル酸塩の結晶のX線粉末回折パターンの回折ピークのピーク位置及び相対強度
【0077】
【0078】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のフマル酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折(XRPD)パターンは
図7に示されるとおりである。
【0079】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のフマル酸塩の結晶の示差走査熱量測定(DSC)グラフでは、164.5±3℃で吸熱ピークがある。
【0080】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のフマル酸塩の結晶のDSCパターンは
図8に示されるとおりである。
【0081】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のフマル酸塩の結晶の熱重量分析(TGA)グラフでは、140.0±3℃での重量減少が0.85%である。
【0082】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のフマル酸塩の結晶のTGAパターンは
図8に示されるとおりである。
【0083】
本願は、別の態様において、式(I)化合物のフマル酸塩の結晶をアセトン溶媒から析出させるステップを含む前記式(I)化合物のフマル酸塩の結晶の製造方法を提供する。
【0084】
本願の一部の実施形態において、本願の式(I)化合物のフマル酸塩の結晶は、
(1)式(I)化合物とフマル酸をアセトンの存在下で反応させて式(I)化合物のフマル酸塩を得ること、
(2)晶析させることを含む方法で製造される。
【0085】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のフマル酸塩又は式(I)化合物のフマル酸塩の結晶では、式(I)化合物とフマル酸のモル比は1:1であり、又は式(I)化合物のフマル酸塩は式(III)化合物である。
【0086】
【0087】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶とアセトンを混合し、溶液が清澄化するまで加熱し、さらにフマル酸を加えて撹拌し、冷却して晶析させ、次に濾過及び減圧乾燥を行って、前記式(III)化合物の結晶を得ることを含む前記式(III)化合物の結晶の製造方法を提供する。
【0088】
本願は、別の態様において、さらに、式(I)化合物のマレイン酸塩を提供する。
【0089】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のマレイン酸塩は結晶の形態である。
【0090】
本願は、別の態様において、さらに、式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶を提供する。
【0091】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、4.55±0.20°、18.12±0.20°及び21.18±0.20°で回折ピークがある。
【0092】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、4.55±0.20°、12.85±0.20°、16.19±0.20°、16.68±0.20°、18.12±0.20°、21.18±0.20°、22.71±0.20°及び27.31±0.20°で回折ピークがある。
【0093】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、4.55±0.20°、9.06±0.20°、10.63±0.20°、11.00±0.20°、12.85±0.20°、13.75±0.20°、15.96±0.20°、16.19±0.20°、16.68±0.20°、16.99±0.20°、17.51±0.20°、18.12±0.20°、20.12±0.20°、20.75±0.20°、21.18±0.20°、22.71±0.20°、23.04±0.20°、24.13±0.20°、24.55±0.20°、25.32±0.20°、25.95±0.20°、27.31±0.20°、28.38±0.20°、28.97±0.20°、29.62±0.20°及び34.09±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7、8つ又はそれ以上の回折ピークを含む。
【0094】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、4.55±0.20°、12.85±0.20°、16.19±0.20°、16.68±0.20°、18.12±0.20°、21.18±0.20°、22.71±0.20°及び27.31±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含む。
【0095】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、約4.55°、約9.06°、約10.63°、約11.00°、約12.85°、約13.75°、約15.96°、約16.19°、約16.68°、約16.99°、約17.51°、約18.12°、約20.12°、約20.75°、約21.18°、約22.71°、約23.04°、約24.13°、約24.55°、約25.32°、約25.95°、約27.31°、約28.38°、約28.97°、約29.62°及び約34.09°で回折ピークがある。
【0096】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンにおける回折ピークのピーク位置及び相対強度は次の表4に示されるとおりである。
【0097】
表4:式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶のX線粉末回折パターンの回折ピークのピーク位置及び相対強度
【0098】
【0099】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折(XRPD)パターンは
図9に示されるとおりである。
【0100】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶の示差走査熱量測定(DSC)グラフでは、160.3±3℃で吸熱ピークがある。
【0101】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶のDSCパターンは
図10に示されるとおりである。
【0102】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶の熱重量分析(TGA)グラフでは、140.0±3℃での重量減少が1.67%である。
【0103】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶のTGAパターンは
図10に示されるとおりである。
【0104】
本願は、別の態様において、式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶を酢酸エチル溶媒から析出させるステップを含む前記式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶の製造方法を提供する。
【0105】
本願の一部の実施形態において、本願の式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶は、
(1)式(I)化合物とマレイン酸を酢酸エチルの存在下で反応させて式(I)化合物のマレイン酸塩を得ること、
(2)晶析させることを含む方法で製造される。
【0106】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のマレイン酸塩又は式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶では、式(I)化合物とマレイン酸のモル比は1:1であり、又は式(I)化合物のマレイン酸塩は式(IV)化合物である。
【0107】
【0108】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶と酢酸エチルを混合し、溶液が清澄化するまで加熱し、マレイン酸を加えて撹拌し、冷却して晶析させ、次に濾過及び減圧乾燥を行って、前記式(IV)化合物の結晶を得ることを含む前記式(IV)化合物の結晶の製造方法を提供する。
【0109】
本願は、別の態様において、さらに、式(I)化合物のメタンスルホン酸塩を提供する。
【0110】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩は結晶の形態である。
【0111】
本願は、別の態様において、さらに、式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のI型結晶を提供する。
【0112】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.47±0.20°、6.25±0.20°及び16.11±0.20°で回折ピークがある。
【0113】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.47±0.20°、6.25±0.20°、16.11±0.20°、16.64±0.20°、18.11±0.20°、19.73±0.20°、24.22±0.20°及び25.12±0.20°で回折ピークがある。
【0114】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.47±0.20°、6.00±0.20°、6.25±0.20°、8.29±0.20°、9.62±0.20°、10.88±0.20°、12.02±0.20°、12.46±0.20°、13.81±0.20°、16.11±0.20°、16.39±0.20°、16.64±0.20°、18.11±0.20°、18.72±0.20°、19.73±0.20°、20.21±0.20°、21.08±0.20°、21.41±0.20°、22.80±0.20°、23.45±0.20°、24.22±0.20°、24.55±0.20°、25.12±0.20°、25.64±0.20°、26.00±0.20°、26.99±0.20°、29.06±0.20°、29.88±0.20°及び31.18±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7、8つ又はそれ以上の回折ピークを含む。
【0115】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、5.47±0.20°、6.25±0.20°、16.11±0.20°、16.64±0.20°、18.11±0.20°、19.73±0.20°、24.22±0.20°及び25.12±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含む。
【0116】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、約5.47°、約6.00°、約6.25°、約8.29°、約9.62°、約10.88°、約12.02°、約12.46°、約13.81°、約16.11°、約16.39°、約16.64°、約18.11°、約18.72°、約19.73°、約20.21°、約21.08°、約21.41°、約22.80°、約23.45°、約24.22°、約24.55°、約25.12°、約25.64°、約26.00°、約26.99°、約29.06°、約29.88°及び約31.18°で回折ピークがある。
【0117】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンにおける回折ピークのピーク位置及び相対強度は次の表5に示されるとおりである。
【0118】
表5:式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のI型結晶の回折ピークのピーク位置及び相対強度
【表6】
【0119】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のI型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折(XRPD)パターンは
図11に示されるとおりである。
【0120】
本願は、別の態様において、式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のI型結晶を酢酸エチル溶媒から析出させるステップを含む前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のI型結晶の製造方法を提供する。
【0121】
本願の一部の実施形態において、本願の式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のI型結晶は、
(1)式(I)化合物とメタンスルホン酸を酢酸エチルの存在下で反応させて式(I)化合物のメタンスルホン酸塩を得ること、
(2)晶析させることを含む方法で製造される。
【0122】
本願は、別の態様において、さらに、式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のII型結晶を提供する。
【0123】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のII型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、6.17±0.20°、8.76±0.20°及び23.03±0.20°で回折ピークがある。
【0124】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のII型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、6.17±0.20°、8.76±0.20°、12.16±0.20°、16.12±0.20°、17.18±0.20°、19.23±0.20°、20.19±0.20°及び23.03±0.20°で回折ピークがある。
【0125】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のII型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、6.17±0.20°、8.76±0.20°、12.16±0.20°、12.37±0.20°、14.53±0.20°、15.46±0.20°、16.12±0.20°、17.18±0.20°、17.40±0.20°、18.30±0.20°、18.78±0.20°、19.23±0.20°、19.71±0.20°、20.19±0.20°、20.74±0.20°、21.05±0.20°、22.19±0.20°及び23.03±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7、8つ又はそれ以上の回折ピークを含む。
【0126】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のII型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、6.17±0.20°、8.76±0.20°、12.16±0.20°、16.12±0.20°、17.18±0.20°、19.23±0.20°、20.19±0.20°及び23.03±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含む。
【0127】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のII型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、約6.17°、約8.76°、約12.16°、約12.37°、約14.53°、約15.46°、約16.12°、約17.18°、約17.40°、約18.30°、約18.78°、約19.23°、約19.71°、約20.19°、約20.74°、約21.05°、約22.19°及び約23.03°で回折ピークがある。
【0128】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のII型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンにおける回折ピークのピーク位置及び相対強度は次の表6に示されるとおりである。
【0129】
表6:式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のII型結晶の回折ピークのピーク位置及び相対強度
【0130】
【0131】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のII型結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折(XRPD)パターンは
図12に示されるとおりである。
【0132】
本願は、別の態様において、式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のII型結晶をアセトン溶媒から析出させるステップを含む前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のII型結晶の製造方法を提供する。
【0133】
本願の一部の実施形態において、本願の式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のII型結晶は、
(1)式(I)化合物とメタンスルホン酸をアセトンの存在下で反応させて、式(I)化合物のメタンスルホン酸塩を得ること、
(2)晶析させることを含む方法で製造される。
【0134】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物のメタンスルホン酸塩、式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のI型結晶又は式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のII型結晶では、式(I)化合物とメタンスルホン酸のモル比は1:2であり、又は式(I)化合物のメタンスルホン酸塩は式(V)化合物である。
【0135】
【0136】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶と酢酸エチルを混合し、溶液が清澄化するまで加熱し、メタンスルホン酸を加えて撹拌し、冷却して晶析させ、次に濾過及び減圧乾燥を行って、前記式(V)化合物のI型結晶を得ることを含む前記式(V)化合物のI型結晶の製造方法を提供する。
【0137】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶とアセトンを混合し、溶液が清澄化するまで加熱し、メタンスルホン酸を加えて撹拌し、冷却して晶析させ、次に濾過及び減圧乾燥を行って、前記式(V)化合物のII型結晶を得ることを含む前記式(V)化合物のII型結晶の製造方法を提供する。
【0138】
本願は、別の態様において、さらに、式(I)化合物の臭化水素酸塩を提供する。
【0139】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の臭化水素酸塩は結晶の形態である。
【0140】
本願は、別の態様において、さらに、式(I)化合物の臭化水素酸塩の結晶を提供する。
【0141】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の臭化水素酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、7.59±0.20°、17.62±0.20°及び23.84±0.20°で回折ピークがある。
【0142】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の臭化水素酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、3.12±0.20°、5.96±0.20°、7.59±0.20°、16.49±0.20°、17.62±0.20°、23.84±0.20°、24.54±0.20°及び30.30±0.20°で回折ピークがある。
【0143】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の臭化水素酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、3.12±0.20°、5.96±0.20°、7.59±0.20°、9.76±0.20°、11.11±0.20°、12.78±0.20°、16.49±0.20°、17.62±0.20°、18.44±0.20°、19.57±0.20°、20.69±0.20°、21.16±0.20°、22.16±0.20°、22.77±0.20°、23.84±0.20°、24.31±0.20°、24.54±0.20°、25.15±0.20°、26.07±0.20°、27.31±0.20°、27.83±0.20°、28.91±0.20°、30.30±0.20°及び31.74±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7、8つ又はそれ以上の回折ピークを含む。
【0144】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の臭化水素酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、3.12±0.20°、5.96±0.20°、7.59±0.20°、16.49±0.20°、17.62±0.20°、23.84±0.20°、24.54±0.20°及び30.30±0.20°から選ばれる3、4、5、6、7又は8つの回折ピークを含む。
【0145】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の臭化水素酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンでは、2θ値で示して、約3.12°、約5.96°、約7.59°、約9.76°、約11.11°、約12.78°、約16.49°、約17.62°、約18.44°、約19.57°、約20.69°、約21.16°、約22.16°、約22.77°、約23.84°、約24.31°、約24.54°、約25.15°、約26.07°、約27.31°、約27.83°、約28.91°、約30.30°及び約31.74°で回折ピークがある。
【0146】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の臭化水素酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折パターンにおける回折ピークのピーク位置及び相対強度は次の表7に示されるとおりである。
【0147】
表7:式(I)化合物の臭化水素酸塩の結晶の回折ピークのピーク位置及び相対強度
【0148】
【0149】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の臭化水素酸塩の結晶のCu Kα線を用いるX線粉末回折(XRPD)パターンは
図13に示されるとおりである。
【0150】
本願は、別の態様において、式(I)化合物の臭化水素酸塩の結晶をアセトンと水の混合溶媒から析出させるステップを含む前記式(I)化合物の臭化水素酸塩の結晶の製造方法を提供する。
【0151】
本願の一部の実施形態において、本願の式(I)化合物の臭化水素酸塩の結晶は、
(1)式(I)化合物と臭化水素酸をアセトンと水の存在下で反応させて式(I)化合物の臭化水素酸塩を得ること、
(2)晶析させるを含む方法で製造される。
【0152】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の臭化水素酸塩又は式(I)化合物の臭化水素酸塩の結晶では、式(I)化合物と臭化水素酸のモル比は1:1であり、又は式(I)化合物の臭化水素酸塩は式(VI)化合物である。
【0153】
【0154】
本願の一部の実施形態において、前記式(I)化合物の結晶とアセトンを混合し、溶液が清澄化するまで加熱し、臭化水素酸を加えて撹拌し、冷却して晶析させ、次に濾過及び減圧乾燥を行って、前記式(VI)化合物のI型結晶を得ることを含む前記式(VI)化合物のI型結晶の製造方法を提供する。
【0155】
本願の別の態様において、
(1)前記式(I)化合物の結晶と、アセトン又は酢酸エチルから選ばれる溶媒を混合し、溶液が清澄化するまで加熱すること、
(2)前記溶液に塩形成用の酸を加えて撹拌し、冷却して晶析させ、次に濾過及び減圧乾燥を行って、前記式(I)化合物の塩の結晶を得ることを含む前記式(I)化合物の塩の結晶の製造方法を提供する。
【0156】
又は、本願は、あるタイプの式(I)化合物の塩の結晶と、酢酸エチル及び水を混合し、加熱しながら溶液が清澄化するまで撹拌し、冷却して晶析させ、次に濾過及び減圧乾燥を行って、別のタイプの式(I)化合物の塩の結晶を得ることを含む前記式(I)化合物の塩の結晶の別の製造方法を提供する。
【0157】
本願は、別の態様において、式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶又はII型結晶、式(I)化合物のフマル酸塩の結晶、式(I)化合物のマレイン酸塩の結晶、式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のI型結晶、式(I)化合物のメタンスルホン酸塩のII型結晶、式(I)化合物の臭化水素酸塩の結晶を含む結晶組成物を提供し、前記結晶は、結晶組成物の重量の50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上を占める。
【0158】
本願は、別の態様において、医薬組成物を提供し、当該医薬組成物は、治療又は予防有効量の本願に記載の式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩酸塩又はそのI型結晶又はII型結晶、式(I)化合物のフマル酸塩又はその結晶、式(I)化合物のマレイン酸塩又はその結晶、式(I)化合物のメタンスルホン酸塩又はそのI型又はII型結晶、式(I)化合物の臭化水素酸塩又はその結晶、又は前記結晶組成物を含む。本願の医薬組成物は、薬学的に許容される添加物を含有してもよいし又は含有しなくてもよい。また、本願の医薬組成物は、1種又は複数種の他の治療薬をさらに含んでもよい。
【0159】
本願は、別の態様において、エストロゲン受容体に関連する疾患を治療又は予防する方法を提供し、前記方法は、必要とする個体に、治療又は予防有効量の前記式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩酸塩又はそのI型結晶又はII型結晶、式(I)化合物のフマル酸塩又はその結晶、式(I)化合物のマレイン酸塩又はその結晶、式(I)化合物のメタンスルホン酸塩又はそのI型又はII型結晶、式(I)化合物の臭化水素酸塩又はその結晶、又は前記結晶組成物、又は前記医薬組成物を投与することを含む。
【0160】
本願は、別の態様において、エストロゲン受容体に関連する疾患を治療又は予防するための薬物の製造における、前記式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩酸塩又はそのI型結晶又はII型結晶、式(I)化合物のフマル酸塩又はその結晶、式(I)化合物のマレイン酸塩又はその結晶、式(I)化合物のメタンスルホン酸塩又はそのI型又はII型結晶、式(I)化合物の臭化水素酸塩又はその結晶、又は前記結晶組成物、又は前記医薬組成物の用途を提供する。
【0161】
本願は、別の態様において、エストロゲン受容体に関連する疾患を治療又は予防するための、前記式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩酸塩又はそのI型結晶又はII型結晶、式(I)化合物のフマル酸塩又はその結晶、式(I)化合物のマレイン酸塩又はその結晶、式(I)化合物のメタンスルホン酸塩又はそのI型又はII型結晶、式(I)化合物の臭化水素酸塩又はその結晶、又は前記結晶組成物、又は前記医薬組成物の用途を提供する。
【0162】
本願は、別の態様において、エストロゲン受容体に関連する疾患を治療又は予防するための、前記式(I)化合物の結晶、式(I)化合物の塩酸塩又はそのI型結晶又はII型結晶、式(I)化合物のフマル酸塩又はその結晶、式(I)化合物のマレイン酸塩又はその結晶、式(I)化合物のメタンスルホン酸塩又はそのI型又はII型結晶、式(I)化合物の臭化水素酸塩又はその結晶、又は前記結晶組成物、又は前記医薬組成物を提供する。
【0163】
本願の一部の実施形態において、前記エストロゲン受容体に関連する疾患は乳がんである。
【0164】
本願の一部の実施形態において、前記エストロゲン受容体に関連する疾患はエストロゲン受容体陽性乳がんである。
【発明の効果】
【0165】
本願の化合物及びその塩の結晶は製造しやすく、良好な溶解度、物理的安定性及び化学的安定性を有するとともに、良好な経口暴露量を有し、良好な薬物動態特性を有しており、薬物として用いることができる。本願の化合物及びその塩の結晶は酸、アルカリ、酸化の条件で良好な化学的安定性を有するため、保存しやすく、製剤においては添加物が薬物を不安定にすることが避けられやすく、処方のスクリーニングに役立つ。本願の化合物及びその塩の結晶は吸湿性が低く、例えば、DVSパターンからは、本願の式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶及びII型結晶のいずれも、吸湿性が式(I)化合物の一塩酸塩の非晶質より低く、特に式(I)化合物の塩酸塩のI型結晶の方が効果はより優れていることが分かる。本願の各結晶は、薬物動態、生物学的利用能、吸湿性、流動性、安定性、溶解性、純度、品質の均一性などにおいて良好な特性を示すことができる。
【0166】
定義と説明
特に説明がない限り、本明細書で用いられる下記の用語及び表現は以下の意味を有する。特定の表現又は用語は、特に定義されない場合、確定していない又は不明瞭なものではなく、通常の意味で理解される。本明細書で商品名が記載される場合、対応する商品又はその有効成分を意味する。
【0167】
いずれの確定した結晶形態では、例えば、結晶の態様などの要因が引き起こす優先配向により、回折ピークの相対強度が変わり得るということは、結晶学分野で周知される。優先配向の影響が及ぶ場所は、ピークの強度が変わるが、結晶形の回折ピークの位置は変わらない。また、いずれの確定した結晶形において、ピークの位置にはわずかな測定誤差が存在し得るということは、結晶学の分野で周知される。例えば、サンプルを分析する時の温度の変化、サンプルの移動、又は器具の校正などにより、ピークの位置が移ることがあり、2θ値の測定誤差は約±0.2°である場合があり、そのため、各結晶構造を決定する時には、当該誤差を考慮すべきであるということは当業者に知られる。
【0168】
DSCは、結晶構造が変化し又は融解して結晶が吸熱又は放熱する時の転移温度を測定する。同じ化合物の同じ結晶形の場合、連続的な分析では、熱転移温度及び融点の誤差は典型的に約±3℃以内にあり、化合物が確定したDSCピーク又は融点を有するという場合は、当該DSCピーク又は融点±3℃を指す。DSCは異なる結晶形を見分ける補助的な方法である。異なる結晶形は、その異なる転移温度という特徴により認識できる。なお、混合物の場合、そのDSCピーク又は融点がより大きい範囲で変動する可能性がある。また、物質の融解は分解を伴う過程であるため、融解温度は昇温速度に関係している。
【0169】
前記「薬学的に許容される添加物」とは有効成分と共に投与され、有効成分を投与しやすくする不活性物質を指し、中国国家食品薬品監督管理局がヒト又は動物(例えば、家畜)への使用を認める流動促進剤、甘味料、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、矯味剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、崩壊剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒又は乳化剤のいずれかを含み、ただしそれらに限定されない。
【0170】
用語「結晶組成物」とは、本願の式(I)又は式(II)又は式(III)又は式(IV)又は式(V)又は式(VI)化合物の1種又は複数種の結晶と、当該化合物の他の結晶形又は非晶質又は他の不純物とからなる混合物を指す。例えば、式(I)化合物の結晶組成物とは、本願の式(I)化合物の結晶を含有する他に、式(I)化合物の他の結晶形又は非晶質又は他の不純物をさらに含む混合物を指す。
【0171】
用語「医薬組成物」とは、1種又は複数種の本願の化合物、その塩又はそれらの結晶と任意の薬学的に許容される添加物とからなる混合物を指す。医薬組成物は、本願の化合物を生体に投与しやすくするためのものである。
【0172】
本願の化合物の治療用量は、例えば、治療上の具体的な用途、化合物の投与方式、患者の健康状態、処方を下す医師の判断などから定められてもよい。医薬組成物における本願の化合物の割合又は濃度は必ずしも一定とは限らず、用量、化学的特性(例えば、疎水性)、投与経路など様々な要因から決定される。
【0173】
用語「治療」とは、疾患又は前記疾患に関連する1つ又は複数の症状を改善又は解消するために、本願に記載の化合物又は製剤を投与することを意味し、且つ、
(i)疾患又は疾患の状態を抑え、即ち、その進行を抑えること、
(ii)疾患又は疾患の状態を緩和し、即ち、当該疾患又は疾患の状態を解消させることを含む。
【0174】
用語「予防」とは、前記疾患に関連する1つ又は複数の症状を予防するために、本願に記載の化合物又は製剤を投与することを意味し、且つ、哺乳動物における疾患又は疾患の状態の出現を予防することを含み、特に、かかる哺乳動物は当該疾患の状態になりやすいが、当該疾患の状態と診断されていない時の予防を含む。
【0175】
本願に記載の結晶形の治療有効量は約0.0001から20mg/kg体重/日であり、例えば、0.001から10mg/kg体重/日である。
【0176】
用語「治療又は予防上の有効量」とは、(i)特定の疾患、病状又は障害を治療又は予防し、(ii)特定の疾患、病状又は障害の1種又は複数種の症状を軽減、改善若しくは解消し、又は(iii)本明細書に記載の特定の疾患、病状又は障害の1種又は複数種の症状の発作を予防し又は遅延させる、本願の化合物の用量を意味する。本願の化合物の「治療有効量」を構成する量は、当該化合物、疾患の状態及びその重症度、投与方式及び被治療哺乳動物の年齢によって変わるものであるが、当業者がその知識及び本開示の内容に基づいて決定することができる。
【0177】
本願では特に指定がない限り、明細書全体及び添付した特許請求の範囲において、用語「含む(comprise)」、類似の用語及び英語の同等な表現、例えば、comprises、comprising又は同等なものは、「…を含み、ただし、それらに限定されない」と開放的で非排他的な意味で理解される。
【0178】
明細書全体を通して使用される「一実施形態」又は「実施形態」又は「別の実施形態において」又は「一部の実施形態において」とは、少なくとも1つの実施形態が当該実施形態に記載の関連する特定の参考要素、構造又は特徴を含むことを意味する。したがって、明細書全体の異なる箇所で出現する表現「一実施形態において」又は「実施形態において」又は「別の実施形態において」又は「一部の実施形態において」は必ずしも同じ実施形態が対象になるとは限らない。また、特定の要素、構造又は特徴を任意の適切な方式で1つ又は複数の実施形態において組み合わせることができる。
【0179】
なお、本願の明細書及び添付した特許請求の範囲において使用される単数形の限定語「一」(英語の「a」「an」「the」に対応する)は、文脈において明確な規定がない限り、複数の対象の場合を含む。言い換えれば、本明細書では、文脈において明確な規定がない限り、単数形の用語は用語の複数形を含み、逆の場合も同様である。したがって、例えば、「触媒」を含む反応とは、1種の触媒、又は2種若しくはそれ以上の触媒を含むものである。なお、用語「又は」は、文脈において明確な規定がない限り、一般に「及び/又は」の意味を含んで使用される。
【0180】
特に説明がない限り、本明細書では、成分の量又は物理化学的特性又は反応条件などを表すパラメータの値は、あらゆる場合において用語「約」によって修飾されるものと見なされるべきである。本願では用語「約」で説明する時に、用語「約」は誤差値の存在を表し、例えば、特定の値の±5%、例えば、±1%又は±0.1%の範囲において変化することである。
【0181】
本願の中間体化合物は、当業者に熟知される様々な合成方法で製造することができ、当該方法は、以下に列挙される特定の実施形態、他の化学的合成方法と組み合わせてなる実施形態及び当業者に熟知される代替の形態を含み、その好ましい実施形態は本願の実施例を含み、ただし、それらに限定されない。
【0182】
本願の特定の実施形態の化学反応は適切な溶媒において行われ、前記溶媒は本願の化学的変化及び必要とする試薬と原料に適合するものでなければならない。本願の化合物を得るために、場合によっては当業者が既存の実施形態に基づいて合成ステップ又は反応プロセスについて選択し又は変更する必要がある。
【0183】
以下、実施例を用いて本願を具体的に説明し、これらの実施例は本願に何らかの限定を加えるためのものではない。
【0184】
本願で使用する溶媒は全て市販品であり、精製しなくても使用できる。
【0185】
本願で使用する溶媒は、市販品を利用できる。
【0186】
本願では次の略語を使用する。
N2:窒素ガス、RH:相対湿度、mL:ミリリットル、L:リットル、min:分、℃:摂氏度、μm:ミクロン、mm:ミリメートル、μL:マイクロリットル、mol/L:モル毎リットル、mg:ミリグラム、s:秒、nm:ナノメートル、MPa:メガパスカル、lux:ルクス、μW/cm2:マイクロワット毎平方センチメートル、h:時間、kg:キログラム、nM:ナノモル、RRT:相対保持時間、rpm:回転速度。
【0187】
本願の化合物は、当分野の通常の命名規則に基づいて、又はソフトウェアChemDraw(登録商標)を用いて命名され、市販化合物はメーカーのカタログに記載の名称を使用する。
【0188】
本明細書では説明と開示の目的で、全ての特許、特許出願及び他のすでに確定した刊行物を参照して明確に組み込む。それらの刊行物は本願の出願日前に公開されているためだけで提供される。それらの書類の開示日に関する声明又はその内容の記載は出願人の知り得た情報に基づくもので、それらの書類の開示日又はその内容が正しいと承諾するものではない。しかも、いずれの対象国において、本明細書へのそれらの刊行物の参照で当該刊行物は当分野で周知される常識になると認めるものではない。
【0189】
器具及び分析方法
1.1 本願のX線粉末回折(X-ray powder diffractometer、XRPD)の方法
【0190】
器具モデル:PANalytical X’Pert3型X線回折計
試験方法:約10mgのサンプルに対してXRPDを測定する。
X線のタイプ:Cu、Kα、Kα1(Å):1.540598、Kα2(Å):1.544426、Kα2/Kα1強度比:0.50、電圧:45キロボルト(kV)、電流:40ミリアンペア(mA)、発散スリット:1/16°、スキャンモード:連続、スキャン範囲:3.0~40.0°。
【0191】
1.2 本願の示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimeter、DSC)の方法
【0192】
器具モデル:TA Instruments Discovery DSC 2500及びQ200型示差走査熱量計
試験方法:1~5mgのサンプルを、蓋付きアルミニウム坩堝に入れて、10℃/minの昇温速度で50mL/minの乾燥N2の保護下でサンプルを室温から350℃に上げていくと同時に、TAソフトウェアで昇温の過程におけるサンプルの熱変化を記録する。
【0193】
1.3 本願の熱重量分析(Thermal Gravimetric Analyzer、TGA)の方法
【0194】
器具モデル:TA Instruments Q5000型及びDiscovery TGA 5500型熱重量分析計
試験方法:2~5mgのサンプルを白金坩堝に入れて、セグメント化された高分解能検出により、10℃/minの昇温速度で50mL/minの乾燥N2の保護下でサンプルを室温から350℃に上げていくと同時に、TAソフトウェアで昇温の過程におけるサンプルの重量変化を記録する。
【0195】
1.4 本願の動的水蒸気吸着測定(Dynamic Vapor Sorption、DVS)の方法
【0196】
器具モデル:SMS(Surface Measurement Systems)社のDVS Intrinsic
DVS試験パラメータ:
温度:25℃、サンプル量:10~30mg、保護ガス及び流量:N2、200mL/min、dm/dt:0.002%/min、最小dm/dt平衡時間:10分、最大平衡時間:180分、RH範囲:0%RH-95%RH-0%RH、RH勾配:10%(90%RH-0%RH-90%RH)、5%(95%RH-90%RH及び90%RH-95%RH)。
【0197】
1.5 本願の塩素イオン含有量の分析方法
【0198】
器具モデル:SHIMADZU社のLC-20AD sp
ソフトウェア種類:Lab Solution Version 5.92
クロマトカラム及び移動相:SHIMADZU Shim-pack IC-A3 4.6mm×15cm 5μm、8.0mmol/Lのp-ヒドロキシ安息香酸+3.2mmol/L Bis-Trisバッファー
移動相速度:1.5mL/min、カラム温度:40℃
試験方法:外部標準一点法を採用し、供試品及び対照品を正確に秤量して水溶液を調製し、それぞれ一定の量を正確に秤量してロードし、クロマトグラムを記録し、対照品溶液及び供試品溶液における被験物質のピーク面積(又はピークの高さ)を測定し、下式で含有量を計算する。
【0199】
含有量(cx)=cR×Ax/AR
ここで、式中、cR:対照品の濃度含有量、Ax:供試品のピーク面積、AR:対照品のピーク面積。
【図面の簡単な説明】
【0200】
【
図1】式(I)化合物の結晶のXRPDパターンである。
【
図2】式(I)化合物の結晶のDSCパターンである。
【
図3】式(I)化合物の結晶のTGAパターンである。
【
図4】式(II)化合物のI型結晶のXRPDパターンである。
【
図5】式(II)化合物のI型結晶のDSC及びTGAパターンである。
【
図6】式(II)化合物のI型結晶のDVSパターンである。
【
図7】式(III)化合物の結晶のXRPDパターンである。
【
図8】式(III)化合物の結晶のDSC及びTGAパターンである。
【
図9】式(IV)化合物の結晶のXRPDパターンである。
【
図10】式(IV)化合物の結晶のDSC及びTGAパターンである。
【
図11】式(V)化合物のI型結晶のXRPDパターンである。
【
図12】式(V)化合物のII型結晶のXRPDパターンである。
【
図13】式(VI)化合物の結晶のXRPDパターンである。
【
図14】実施例1の式(I)化合物の一塩酸塩のXRPDパターンである。
【
図15】実施例1の式(I)化合物の一塩酸塩のDSC及びTGAパターンである。
【
図16】実施例1の式(I)化合物の一塩酸塩のDVSパターンである。
【
図17】式(II)化合物のII型結晶のXRPDパターンである。
【
図18】式(II)化合物のII型結晶のDSC及びTGAパターンである。
【
図19】式(II)化合物のII型結晶のDVSパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0201】
以下、実施例を用いて本願を詳細に説明し、ただし、これは本願に何らかの限定を加えることにならない。本願の化合物は、当業者に熟知される様々な合成方法で製造することができ、当該方法は、以下に列挙される特定の実施形態、他の化学的合成方法と組み合わせてなる実施形態及び当業者に熟知される代替の形態を含み、その好ましい実施形態は本願の実施例を含み、ただし、それらに限定されない。当業者には、本願の趣旨と範囲を逸脱せず本願の特定の実施形態に行う様々な変形と改良が自明なものであり、これらの変形と改良は本願の請求の範囲から逸脱していない。
【実施例】
【0202】
実施例1:式(I)化合物及びその一塩酸塩の製造
【0203】
WO2020125640の実施例3において開示された方法を参照して、式(I)化合物及び式(I)化合物の一塩酸塩を得た。
【0204】
式(I)化合物の一塩酸塩は非晶質であり、そのXRPDパターン、DSC、TGA及びDVSパターンを
図14~
図16に示し、そのDSCグラフは80.0℃で吸熱ピークがあることを示し、そのTGAグラフは120.0℃での重量減少が3.94%であることを示す。
【0205】
実施例2:式(I)化合物の結晶の製造
【0206】
53gの式(I)化合物を秤量して1Lの透明のガラス瓶に入れ、500mLの酢酸エチルを加え、100℃に加熱し、系が溶解して清澄化するまで20分間撹拌し、加熱を停止して25℃に自然冷却した後、引き続き25℃で11時間40分間撹拌し、濾過して、フィルターケーキを減圧乾燥して(45℃、-0.1MPa以下)、式(I)化合物の結晶を得て、そのXRPDパターン、DSC及びTGAパターンを
図1~
図3に示す。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ 11.46(s,1H),7.62(d,J=2.4Hz,1H),7.49(d,J=7.6Hz,1H),7.38(d,J=8.0Hz,1H),7.33~7.27(m,2H),7.25~7.08(m,6H),6.66~6.53(m,2H),6.51~6.44(m,1H),4.14(t,J=5.6Hz,2H),3.29(d,J=4.8Hz,2H),2.97(s,3H),2.83(s,3H),2.75(t,J=5.2Hz,2H),2.48~2.41(m,2H),2.02(br s,1H),0.89(t,J=7.6Hz,3H)。
【0207】
実施例3:式(II)化合物のI型結晶の製造
【0208】
【0209】
実施例2において製造した式(I)の結晶(57.5g)、及び690mLの酢酸エチルをこの順にガラス瓶に加え、90℃に加熱して系が清澄化し、さらに9.5mLの濃塩酸(36~38wt%、1.05当量)を含有する酢酸エチル溶液(20mL)を加え、90℃で17時間撹拌し、室温に冷却した後、濾過し、フィルターケーキを酢酸エチルで2回(20mL)リンスし、フィルターケーキを減圧乾燥して(50℃、-0.1MPa以下)、式(II)化合物のI型結晶を得て、そのXRPDパターン、DSC、TGA及びDVSパターンを
図4~
図6に示す。検出及び解析をしたところ、Clイオンの平均含有量は6.19%で、塩形成係数は1であると決定された。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 11.55(s,1H),9.31(br s,2H),7.66(d,J=2.0Hz,1H),7.49(d,J=8.0Hz,1H),7.39(d,J=8.0Hz,1H),7.10~7.33(m,8H),6.81(d,J=15.2Hz,1H),6.63(d,J=8.6Hz,1H),6.54~6.61(m,1H),4.37(t,J=4.8Hz,2H),3.76(d,J=6.4Hz,2H),3.17~3.28(m,2H),3.02(s,3H),2.86(s,3H),2.41~2.48(m,2H),0.89(t,J=7.6Hz,3H)。
【0210】
実施例4:式(III)化合物の結晶の製造
【0211】
【0212】
実施例2において製造した式(I)化合物の結晶(101.34mg)を秤量して8mLの透明のガラス瓶に加え、さらに1.4mLのアセトンを加え、53℃に加熱して系が清澄化し、系にフマル酸(23.83mg、1.05当量)を加え、53℃で0.5時間撹拌した後、室温に冷却して12時間撹拌し、濾過し、フィルターケーキを減圧乾燥して(45℃、-0.1MPa以下)、式(III)化合物の結晶を得て、そのXRPDパターン、DSC及びTGAパターンを
図7、
図8に示す。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 11.49(br s,1H),7.59~7.66(m,1H),7.49(d,J=7.6Hz,1H),7.38(d,J=7.6Hz,1H),7.10~7.33(m,8H),6.49~6.63(m,5H),4.21(d,J=4.4Hz,2H),3.45(s,2H),2.98(s,3H),2.92(s,2H),2.84(s,3H),2.44(m,2H),0.89(t,J=7.4Hz,3H)。
【0213】
実施例5:式(IV)化合物の結晶の製造
【0214】
【0215】
実施例2において製造した式(I)化合物の結晶(100.45mg)を秤量して8mLのガラス瓶に加え、さらに1.2mLの酢酸エチルを加え、80℃に加熱して溶解させ、さらにマレイン酸(1.05当量、23.84mg)を加え、78℃で1時間撹拌した後、加熱を停止して室温に自然冷却し、引き続き室温で12時間撹拌し、濾過し、フィルターケーキを減圧乾燥して(45℃、-0.1MPa以下)、式(IV)化合物の結晶を得て、そのXRPDパターン、DSC及びTGAパターンを
図9、
図10に示す。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 11.50(s,1H),7.66(d,J=2.4Hz,1H),7.49(d,J=7.6Hz,1H),7.39(d,J=8.0Hz,1H),7.11~7.33(m,8H),6.77(d,J=14.8Hz,1H),6.50~6.67(m,2H),6.02(s,2H),4.33(t,J=4.8Hz,2H),3.77(d,J=6.4Hz,2H),3.25(t,J=4.8Hz,2H),3.02(s,3H),2.86(s,3H),2.42~2.48(m,2H),0.89ppm(t,J=7.4Hz,3H)。
【0216】
実施例6:式(V)化合物のI型結晶の製造
【0217】
【0218】
実施例2において製造した式(I)化合物の結晶(100.25mg)を秤量して8mLのガラス瓶に加え、さらに1.4mLの酢酸エチルを加え、80℃に加熱して溶解させ、さらにメタンスルホン酸(1.05当量、14.5μL)を加え、78℃で1時間撹拌した後、加熱を停止して、室温に自然冷却し、引き続き室温で12時間撹拌し、濾過し、フィルターケーキを減圧乾燥して(45℃、-0.1MPa以下)、式(V)化合物のI型結晶を得て、そのXRPDパターンを
図11に示す。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 11.51(s,1H),8.87(br s,2H),7.66(d,J=2.0Hz,1H),7.49(d,J=7.6Hz,1H),7.39(d,J=8.0Hz,1H),7.27~7.35(m,2H),7.16~7.27(m,5H),7.07~7.16(m,1H),6.79(d,J=15.2Hz,1H),6.64(d,J=8.4Hz,1H),6.54(m,1H),4.35(t,J=4.8Hz,2H),3.79(q,J=5.6Hz,2H),3.26(br s,2H),3.02(s,3H),2.86(s,3H),2.41~2.47(m,2H),2.36(s,6H),0.89ppm(t,J=7.4Hz,3H)。
【0219】
実施例7:式(V)化合物のII型結晶の製造
【0220】
実施例2において製造した式(I)化合物の結晶(100.39mg)を秤量して8mLのガラス瓶に加え、さらに1.4mLのアセトンを加え、53℃に加熱して溶解させ、さらにメタンスルホン酸(1.05当量、14.5μL)を加え、53℃で0.5時間撹拌した後、加熱を停止して、室温に自然冷却し、引き続き室温で12時間撹拌し、濾過し、フィルターケーキを減圧乾燥して(50℃)式(V)化合物のII型結晶を得て、そのXRPDパターンを
図12に示す。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 11.52(s,1H),8.88(br s,2H),7.66(d,J=2.4Hz,1H),7.49(d,J=8.0Hz,1H),7.40(d,J=8.0Hz,1H),7.27~7.35(m,2H),7.16~7.27(m,5H),7.08~7.16(m,1H),6.79(d,J=15.2Hz,1H),6.64(d,J=8.8Hz,1H),6.54(m,1H),4.34(t,J=5.2Hz,2H),3.79(q,J=5.6Hz,2H),3.26(br s,2H),3.02(s,3H),2.86(s,3H),2.42~2.48(m,2H),2.37(s,6H),0.89(t,J=7.4Hz,3H)。
【0221】
実施例8:式(VI)化合物の結晶の製造
【0222】
【0223】
実施例2において製造した式(I)化合物の結晶(約1g)を秤量してガラス瓶に加え、さらに14mLのアセトンを加え、53℃に加熱して溶解させ、さらに臭化水素酸(48wt%水溶液、1.05当量、225μL)を加え、53℃で0.5時間撹拌した後、加熱を停止して、室温に自然冷却し、引き続き室温で12時間撹拌し、濾過し、フィルターケーキを減圧乾燥して(50℃)式(VI)化合物の結晶を得て、そのXRPDパターンを
図13に示す。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 11.47~11.61(m,1H),8.94~9.23(m,2H),7.66(d,J=2.0Hz,1H),7.49(d,J=7.6Hz,1H),7.39(d,J=8.0Hz,1H),7.27~7.33(m,2H),7.16~7.27(m,5H),7.09~7.16(m,1H),6.76~6.89(m,1H),6.64(d,J=8.4Hz,1H),6.51~6.61(m,1H),4.37(br s,2H),3.78(d,J=6.4Hz,2H),3.19~3.29(m,2H),3.02(s,3H),2.86(s,3H),2.41~2.48(m,2H),0.89(t,J=7.4Hz,3H)。
【0224】
実施例9:式(II)化合物のII型結晶の製造
【0225】
【0226】
式(II)化合物のI型結晶(1g)、3mLの酢酸エチル及び3mLの水をこの順にガラス瓶に加え、油浴において60℃に加熱した後、0.1時間撹拌して系が清澄化し、油浴を20℃の水浴と交換して室温に冷却し、室温で12時間撹拌し、濾過して得たフィルターケーキを減圧乾燥して(50℃、-0.1MPa以下)、式(II)化合物のII型結晶を得て、そのXRPDパターン、DSC、TGA及びDVSパターンを
図17~
図19に示す。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ 11.58(s,1H),9.49(s,2H),7.67(d,J=2.4Hz,1H),7.49(d,J=8.0Hz,1H),7.40(d,J=8.0Hz,1H),7.34~7.28(m,2H),7.26~7.11(m,6H),6.83(d,J=15.2Hz,1H),6.67~6.53(m,2H),4.40(t,J=4.8Hz,2H),3.76(d,J=6.4Hz,2H),3.23(t,J=4.8Hz,2H),3.03(s,3H),2.87(s,3H),2.49~2.41(m,2H),0.90(t,J=7.2Hz,3H)
【0227】
実験例1:結晶形の特性の研究
【0228】
1~2mgの被験サンプルを半自動フィルターバイアルに入れ、450μLの純水又はFeSSIF模擬液(摂食時模擬腸液)に加えて過飽和懸濁液を得て、サンプルを少なくとも2分間ボルテックスした。バイアルをプレートシェーカーに置いて24時間振盪し、温度は37℃であり、回転速度は800rpmであった。遠心分離して濾過した後、サンプルに対してHPLC-UVを用いてサンプルの濃度を定量的に線形解析した。
【0229】
FeSSIF(摂食時模擬腸液):0.282%(w/v)のレシチン、0.806%(w/v)のタウロコール酸ナトリウム、0.865%(w/v)の酢酸、1.52%(w/v)の塩化カリウムを含有する水系バッファーであり、pHは5.0±0.05であった。
【0230】
表8
【0231】
【0232】
実験例2:式(II)化合物のI型結晶のインビボ薬物動態研究
【0233】
実験の目的:
【0234】
本実験の目的は化合物の単回胃内投与後の薬物動態学的挙動を評価し、胃内投与後の生物学的利用能を検討することである。
【0235】
実験操作:
【0236】
2匹の雌のビーグル犬に給餌して1時間がたつと、100mg/kgで式(II)化合物のI型結晶を単回経口投与し、投与後0.0833(5分)、0.25(15分)、0.5(30分)、1、2、4、6、8、12及び24時間で血漿サンプルを採取し、LC-MS/MS法を利用して血漿サンプル中の被験物の濃度を測定した。実験結果は表9に示すとおりである。
【0237】
表9:インビボPK特性評価の結果
【0238】
【0239】
T1/2:半減期、AUC0~last:曲線下面積、C0:初期濃度、Cmax:最大濃度、Tmax:最高血中濃度到達時間。
【0240】
実験例3:強制分解実験
【0241】
対照群:それぞれ20mgのサンプルを秤量し、適量の希釈剤(アセトニトリル:水=1:1、v/v)を加えてサンプルを溶解した後、希釈剤(アセトニトリル:水=1:1、v/v)で溶液を100mLに定容し、適量の当該溶液を使用して検出した。
【0242】
酸分解:20mgのサンプルを秤量し、1mLの1M HCl水溶液を加え、室温で24時間静置した後、1mLの1M NaOH水溶液で中和した。希釈剤(アセトニトリル:水=1:1、v/v)で溶液を100mLに定容し、適量の当該溶液を使用して検出した。
【0243】
アルカリ分解:20mgのサンプルを秤量し、1mLの1M NaOH水溶液を加え、室温で24時間静置した後、1mLの1M HCl水溶液で中和した。希釈剤(アセトニトリル:水=1:1、v/v)で溶液を100mLに定容し、適量の当該溶液を使用して検出した。
【0244】
酸化分解:20mgのサンプルを秤量し、1mLの3%過酸化水素溶液を加え、室温で24時間静置した。希釈剤(アセトニトリル:水=1:1、v/v)で溶液を100mLに定容し、適量の当該溶液を使用して検出した。
【0245】
試験結果を表10、表11に示す。
【0246】
表10:式(II)化合物のI型結晶の強制分解の結果
【0247】
【0248】
表11:式(I)化合物の一塩酸塩(非晶質)の強制分解の結果
【0249】
【0250】
したがって、本願の結晶は、良好な溶解度、吸湿性、薬物動態特性、生物学的利用能、安定性などを示すことができる。
【国際調査報告】