(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】金属合金スペーサを有する真空断熱ガラス(VIG)窓ユニット、及び/又はその作製方法
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20231228BHJP
E06B 3/663 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
C03C27/06 101Z
E06B3/663 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536100
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 IB2021062359
(87)【国際公開番号】W WO2022144756
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517413513
【氏名又は名称】ガーディアン・グラス・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GUARDIAN GLASS, LLC
【住所又は居所原語表記】2300 Harmon Road, Auburn Hills, MI 48326-1714 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ブラッシュ ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】テイオス ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ホダップ ティモシー
【テーマコード(参考)】
2E016
4G061
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016BA01
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
2E016EA01
2E016GA01
4G061AA20
4G061BA01
4G061CB02
4G061CB14
4G061CD02
4G061CD21
4G061CD22
(57)【要約】
真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットは、ガラス基板などの少なくとも一対の基板の間に設けられたスペーサの配列を含む。特定の例示的な実施形態は、金属合金のスペーサ(例えば、ピラー)又は金属合金を含むスペーサ(例えば、ピラー)を含むVIG窓ユニットに関する。スペーサの金属合金は、非晶質金属合金(例えば、Zr及び/又はCu系非晶質合金)であり得る。このような金属合金スペーサは、スペーサ配列の熱伝導率を有益に低減させ、VIG窓ユニットのガラス中心R値を増加させ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットであって、
第1及び第2の離間されたガラス基板の間に間隙を画定する第1及び第2の離間されたガラス基板と、
前記第1及び第2の基板の周辺部に近接して設けられて、気密封止を形成し、大気圧未満の圧力である前記間隙を画定するのに役立つ、端部封止と、
前記VIG窓ユニットの少なくとも前記第1及び第2のガラス基板の間に設けられて、少なくとも前記第1及び第2のガラス基板の離間に役立つ、複数のスペーサと、を含み、
前記スペーサが、13.0W/m-K以下の熱伝導率と、少なくとも80,000psiの圧縮降伏強度とを有する金属合金を含む、真空断熱ガラス(VIG)窓ユニット。
【請求項2】
前記スペーサが、12.0W/m-K以下の熱伝導率を有する金属合金を含む、請求項1に記載のVIGユニット。
【請求項3】
前記スペーサが、11.0W/m-K以下の熱伝導率を有する金属合金を含む、請求項1又は2に記載のVIGユニット。
【請求項4】
前記スペーサが、10.0W/m-K以下の熱伝導率を有する金属合金を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項5】
前記スペーサが、9.0W/m-K以下の熱伝導率を有する金属合金を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項6】
前記スペーサが、少なくとも100,000psiの圧縮降伏強度を有する金属合金を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項7】
前記スペーサが、少なくとも150,000psiの圧縮降伏強度を有する金属合金を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項8】
前記スペーサが、少なくとも200,000psiの圧縮降伏強度を有する金属合金を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項9】
前記金属合金が、窒化されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項10】
前記金属合金が、最大金属元素としてTiを含み、前記金属合金のTi含有量が、少なくとも約30重量%である、請求項1~9のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項11】
前記金属合金が、最大金属元素としてTiを含み、前記金属合金のTi含有量が、少なくとも約50重量%である、請求項1~10のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項12】
前記金属合金が、最大金属元素としてTiを含み、前記金属合金のTi含有量が、少なくとも約80重量%である、請求項1~11のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項13】
前記金属合金の金属含有量が、少なくとも50重量%のTi、約1~20重量%のAl、及び約1~20重量%のVを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項14】
前記金属合金が、非晶質であり、非結晶構造を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項15】
Zr又はCuが、前記金属合金の最大金属含有量を有する、請求項1~9又は14のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項16】
前記金属合金の金属含有量が、少なくとも40重量%のZrを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項17】
前記金属合金の金属含有量が、少なくとも40重量%のZr、及び約1~35重量%のCu、並びに約1~30重量%のNi、約1~15重量%のTi、及び/又は約1~15重量%のAlのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~9又は14~16のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項18】
前記金属合金の金属含有量が、少なくとも40重量%のZr、及び約1~35重量%のCu、並びに約1~15重量%のNb、及び/又は約1~15重量%のAlのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~9又は14~16のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項19】
前記金属合金の金属含有量が、少なくとも30重量%のCu、及び約1~35重量%のTi、並びに約1~35重量%のZr、約1~20重量%のNi、及び/又は約1~15重量%のSnのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~9又は14、15のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項20】
前記スペーサのうちの少なくとも1つが、その表面上にコーティングを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項21】
前記コーティングが、ジルコニウムの酸化物を含む、請求項20に記載のVIGユニット。
【請求項22】
前記コーティングが、ZrO
2を含む、請求項20又は21に記載のVIGユニット。
【請求項23】
前記コーティングが、前記少なくとも1つのスペーサの全ての側面上に設けられている、請求項20~22のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項24】
真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットであって、
第1及び第2の離間されたガラス基板の間に間隙を画定する第1及び第2の離間されたガラス基板と、
前記第1及び第2の基板の周辺部に近接して設けられて、気密封止を形成し、大気圧未満の圧力である前記間隙を画定するのに役立つ、端部封止と、
前記VIG窓ユニットの少なくとも前記第1及び第2のガラス基板の間に設けられて、少なくとも前記第1及び第2のガラス基板の離間に役立つ、複数のスペーサと、を含み、
前記スペーサが、前記金属合金中の最大金属元素としてTiを有する金属合金を含み、前記金属合金のTi含有量が、少なくとも約50重量%である、真空断熱ガラス(VIG)窓ユニット。
【請求項25】
前記金属合金が、13.0W/m-K以下の熱伝導率、及び/又は少なくとも80,000psiの圧縮降伏強度を有する、請求項24に記載のVIGユニット。
【請求項26】
前記金属合金の金属含有量が、少なくとも50重量%のTi、約1~20重量%のAl、及び約1~20重量%のVを含む、請求項24又は25に記載のVIGユニット。
【請求項27】
真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットであって、
第1及び第2の離間されたガラス基板の間に間隙を画定する第1及び第2の離間されたガラス基板と、
前記第1及び第2の基板の周辺部に近接して設けられて、気密封止を形成し、大気圧未満の圧力である前記間隙を画定するのに役立つ、端部封止と、
前記VIG窓ユニットの少なくとも前記第1及び第2のガラス基板の間に設けられて、少なくとも前記第1及び第2のガラス基板の離間に役立つ、複数のスペーサと、を含み、
前記スペーサが、非晶質金属合金を含み、Zr又はCuが、前記非晶質金属合金の最大金属元素である、真空断熱ガラス(VIG)窓ユニット。
【請求項28】
前記金属合金の金属含有量が、少なくとも40重量%のZrを含む、請求項27に記載のVIGユニット。
【請求項29】
前記金属合金の金属含有量が、少なくとも40重量%のZr、及び約1~35重量%のCu、並びに約1~30重量%のNi、約1~15重量%のTi、及び/又は約1~15重量%のAlのうちの少なくとも1つを含む、請求項27又は28に記載のVIGユニット。
【請求項30】
前記金属合金の金属含有量が、少なくとも40重量%のZr、及び約1~35重量%のCu、並びに約1~15重量%のNb、及び/又は約1~15重量%のAlのうちの少なくとも1つを含む、請求項27又は28に記載のVIGユニット。
【請求項31】
前記金属合金の金属含有量が、少なくとも30重量%のCu、及び約1~35重量%のTi、並びに約1~35重量%のZr、約1~20重量%のNi、及び/又は約1~15重量%のSnのうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載のVIGユニット。
【請求項32】
前記スペーサのうちの少なくとも1つが、その表面上にコーティングを含む、請求項27~31のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【請求項33】
前記コーティングが、ジルコニウムの酸化物を含む、請求項32に記載のVIGユニット。
【請求項34】
前記コーティングが、ZrO
2を含む、請求項32又は33に記載のVIGユニット。
【請求項35】
前記コーティングが、前記少なくとも1つのスペーサの全ての側面上に設けられている、請求項32~34のいずれか一項に記載のVIGユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年12月30日に出願された米国特許出願第17/138,587号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の特定の例示的な実施形態は、真空断熱ガラス(vacuum insulated glass、VIG)窓ユニットにおいて使用されるスペーサに関する。より具体的には、本発明の特定の例示的な実施形態は、金属合金のスペーサ(例えば、ピラー)又は金属合金を含むスペーサ(例えば、ピラー)を含むVIG窓ユニットに関する。金属合金スペーサ(例えば、Ti、Cu、及び/又はZr含有合金)は、従来のアニーリングされた316ステンレス鋼スペーサと比較して、より低い熱伝導率を有し、圧縮強度を増加させることが見出された。特定の例示的な実施形態では、スペーサの金属含有量は、少なくとも30重量%(より好ましくは少なくとも40重量%、及び最も好ましくは少なくとも50重量%)のTi、Cu、及び/又はZrを含む。スペーサの金属合金は、特定の例示的な実施形態では、非晶質金属合金(例えば、Zr及び/又はCu系非晶質合金)であり得る。したがって、金属合金スペーサ(例えば、Ti、Cu、及び/又はZr含有合金)を使用することは、スペーサ配列の熱伝導率を有益に低減させ、VIG窓ユニットのガラス中心R値を増加させ、VIG窓ユニットの基板の十分な間隔強度も提供し得ることが見出された。このような様式でスペーサの圧縮降伏強度を増加させることは、窓ユニット内の隣接するスペーサ間の増加した間隔を可能にし得、それは、より高いR値が達成されることを可能にし得る。
【発明の概要】
【0003】
真空IGユニットは、当該技術分野において既知である。例えば、その開示が全て参照により本明細書によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5,664,395号、同第5,657,607号、及び同第5,902,652号を参照されたい。
【0004】
図1及び
図2は、従来の真空IGユニット(真空IGユニット又はVIGユニット)を示す。真空IGユニット1は、2つの離間されたガラス基板2及び3を含み、これらは、その間に真空又は低圧空間6を囲む。ガラスシート/基板2及び3は、溶融はんだガラス4(又は他の好適な材料)の周辺又は密封端部封止、及び支持スペーサ(例えば、ピラー)5の配列によって相互接続される。
【0005】
ポンプアウトチューブ8は、ガラスシート2の内部表面からシート2の外部面の凹部11の底に通じる開口部又は孔10に、はんだガラス9によって気密に封止されている。基板2と3との間の内部空洞が排気されて、大気圧未満の圧力を有する低圧領域又は空間6を作成し得るように、ポンプアウトチューブ8を真空にする。排気後、チューブ8が溶融して、真空を封止する。凹部11は、封止チューブ8を保持する。任意選択的に、化学ゲッター12は、凹部13内又は他の好適な位置に含められ得る。
【0006】
スペーサ5のための既知のスペーサ材料は、アニーリングされた316ステンレス鋼である。残念ながら、316ステンレス鋼は、13.5W/m-Kの熱伝導率と42,000psiの圧縮降伏強度との組み合わせを有する。低い圧縮降伏強度と中程度から高い熱伝導率とのこの組み合わせは、VIG窓ユニット内のスペーサが互いに遠く離間されすぎることはできない(すなわち、故障を防止するために、互いに合理的に近接して位置する必要がある)ことを意味し、これは、その結果VIG窓ユニットが約R-12のR値を有することに寄与する。
【0007】
316ステンレス鋼の圧縮降伏強度を、アニーリングされた状態と比較して、歪み硬化を通して増加させることが可能である。しかしながら、歪み硬化は、構造内のマルテンサイトの量を増加させ、それを強磁性にさせ、高磁性スペーサは、製造プロセス中に問題を引き起こす。更に、ほとんどの高純度金属は、高い熱伝導率値及び低い圧縮降伏強度を有する。
【0008】
したがって、当該技術分野において、例えば、(i)VIG窓ユニットの強度を著しく損なわず、より高いR値を達成し得る解決策を見出すこと、(ii)アニーリングされた316ステンレス鋼と比較して、より高い圧縮降伏強度を有し、かつ著しく磁性を有することなくスペーサ材を提供すること、及び/又は(iii)316ステンレス鋼と比較して、より低い熱伝導率を有するスペーサ材料を提供すること、のうちの1つ以上などの、上記で考察された問題の解決策を見出すことの必要性が存在することが理解されるであろう。
【0009】
本発明の特定の例示的な実施形態では、合金化金属は、圧縮塑性変形に対する抵抗を増加させ、熱伝導率を減少させることが見出された。したがって、このような合金は、VIG窓ユニット中のスペーサに特に有益であることが見出された。本発明の特定の例示的な実施形態は、金属合金のスペーサ(例えば、ピラー)又は金属合金を含むスペーサ(例えば、ピラー)を含むVIG窓ユニットに関する。金属合金スペーサ(例えば、Ti、Cu、及び/又はZr含有合金)は、従来のアニーリングされた316ステンレス鋼スペーサと比較して、より低い熱伝導率、及び増加した圧縮強度を有することが見出された。特定の例示的な実施形態では、スペーサの金属含有量は、少なくとも30重量%(より好ましくは少なくとも40重量%、及び最も好ましくは少なくとも50重量%)のTi、Cu、及び/又はZrを含む。スペーサの金属合金は、特定の例示的な実施形態では、非晶質金属合金(例えば、Zr及び/又はCu系非晶質合金)であり得る。例えば、スペーサは、Zr、並びにCu、Ni、Al、及び/又はTiのうちの1つ以上を含むZr系非晶質金属合金であり得るか、又はそれを含み得、Zr含有量は、少なくとも約30重量%、より好ましくは少なくとも約40重量%、及び最も好ましくは少なくとも約50重量%、及び時には少なくとも約60重量%である。別の例、スペーサは、Ti、並びにAl、及び/又はVのうちの1つ以上を含むTi系金属合金であり得るか、又はそれを含み得、Ti含有量は、少なくとも約30重量%、より好ましくは少なくとも約40重量%、及び最も好ましくは少なくとも約50重量%、及び時には少なくとも約60重量%又は少なくとも約80重量%である。したがって、金属合金スペーサ(例えば、Ti、Cu、及び/又はZr含有合金)を使用することは、スペーサ配列の熱伝導率を有益に低減させ、VIG窓ユニットのガラス中心R値を増加させ、VIG窓ユニットの基板の十分な間隔強度も提供し得ることが見出された。このような様式でスペーサの圧縮降伏強度を増加させることは、窓ユニット内の隣接するスペーサ間の増加した間隔を可能にし得、それは、より高いR値が達成されることを可能にし得る。
【0010】
本発明の特定の例示的な実施形態では、真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットであって、第1及び第2の離間されたガラス基板の間に間隙を画定する第1及び第2の離間されたガラス基板と、第1及び第2の基板の周辺部に近接して設けられて、気密封止を形成し、大気圧未満の圧力である間隙を画定するのに役立つ、端部封止と、VIG窓ユニットの少なくとも第1及び第2のガラス基板の間に設けられて、少なくとも第1及び第2のガラス基板の離間に役立つ、複数のスペーサと、を含み、スペーサが、13.0W/m-K以下の熱伝導率と、少なくとも80,000psiの圧縮降伏強度とを有する金属合金を含む、真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットが提供される。金属合金は、任意選択的に窒化され得る。
【0011】
特定の例示的な実施形態では、金属合金は、最大金属元素としてTiを含み得、金属合金のTi含有量は、少なくとも約30重量%、より好ましくは少なくとも約重量50%、及び最も好ましくは少なくとも約80重量%であり得る。
【0012】
特定の例示的な実施形態では、金属合金の金属含有量は、少なくとも50重量%のTi、約1~20重量%のAl、及び約1~20重量%のVを含み得る。
【0013】
金属合金は、非結晶構造を含む非晶質であり得る。Zr又はCuは、非晶質金属合金の最大金属元素含有量であり得る。金属合金(例えば、非晶質)の金属含有量は、少なくとも40重量%のZr、及び約1~35重量%のCu、並びに約1~30重量%のNi、約1~15重量%のTi、及び/又は約1~15重量%のAlのうちの少なくとも1つを含み得る、少なくとも40重量%のZr、及び約1~35重量%のCu、並びに約1~15重量%のNb、及び/若しくは約1~15重量%のAlのうちの少なくとも1つを含み得る、かつ/又は少なくとも30重量%のCu、及び約1~35重量%のTi、並びに約1~35重量%のZr、約1~20重量%のNi、及び/若しくは約1~15重量%のSnのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0014】
本発明の特定の例示的な実施形態では、真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットであって、第1及び第2の離間されたガラス基板の間に間隙を画定する第1及び第2の離間されたガラス基板と、第1及び第2の基板の周辺部に近接して設けられて、気密封止を形成し、大気圧未満の圧力である間隙を画定するのに役立つ、端部封止と、VIG窓ユニットの少なくとも第1及び第2のガラス基板の間に設けられて、少なくとも第1及び第2のガラス基板の離間に役立つ、複数のスペーサと、を含み、スペーサが、金属合金中の最大金属元素としてTiを有する金属合金を含み、金属合金のTi含有量が、少なくとも約50重量%である、真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットが提供される。
【0015】
本発明の特定の例示的な実施形態では、真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットであって、第1及び第2の離間されたガラス基板の間に間隙を画定する第1及び第2の離間されたガラス基板と、第1及び第2の基板の周辺部に近接して設けられて、気密封止を形成し、大気圧未満の圧力である間隙を画定するのに役立つ、端部封止と、VIG窓ユニットの少なくとも第1及び第2のガラス基板の間に設けられて、少なくとも第1及び第2のガラス基板の離間に役立つ、複数のスペーサと、を含み、スペーサが、非晶質金属合金を含み、Zr又はCuが、非晶質金属合金の最大金属元素である、真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットが提供される。
【0016】
本明細書に記載の特徴、態様、利点、及び例示的実施形態は、更なる実施形態を実現するために組み合わされてもよい。
【0017】
これら及び他の特徴及び利点は、図面と併せて、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって、より良好かつより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来の真空IGユニットの先行技術の断面図である。
【0019】
【
図2】
図1に示された断面線に沿ってとられた
図1の真空IGユニットの底部基板、端部封止、及びスペーサの先行技術の上平面図である。
【0020】
【
図3】本発明の例示的な実施形態による、
図1~
図2のVIG窓ユニット、又は任意の他のVIG窓ユニットにおいて使用され得る金属合金スペーサの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで添付の図面をより詳細に参照すると、同様の参照番号は、いくつかの図を通して同様の部分を示す。
【0022】
図1~
図2は、例示的な真空IGユニット(真空IGユニット又はVIGユニット)を示す。VIG窓ユニット1は、2つの離間された実質的に平行なガラス基板2及び3を含み、これらは、その間に真空又は低圧空間6を囲む。ガラスシート/基板2及び3は、溶融はんだガラス又は他の好適な材料の周辺又は密封端部封止4、及び支持スペーサ(例えば、ピラー)5の配列によって相互接続される。ポンプアウトチューブ8は、ガラスシート2の内部表面からシート2の外部面の凹部11の底に通じる開口部又は孔10に、はんだガラス9によって気密に封止されている。基板2と3との間の内部空洞が排気されて、大気圧未満の圧力を有する低圧領域又は空間6を作成し得るように、ポンプアウトチューブ8を真空にする。排気後、チューブ8が溶融して、真空を封止し、スペーサ5が少なくともガラス基板2及び3を互いに離間させる。凹部11は、封止チューブ8を保持する。任意選択的に、化学ゲッター12は、凹部13内又は他の好適な位置に含められ得る。
【0023】
本発明の特定の例示的な実施形態は、金属合金のスペーサ(例えば、ピラー)又は金属合金を含むスペーサ(例えば、ピラー)を含むVIG窓ユニットに関する。金属合金スペーサ(例えば、Ti、Cu、及び/又はZr含有合金)は、従来のアニーリングされた316ステンレス鋼スペーサと比較して、より低い熱伝導率、及び増加した圧縮強度を有することが見出された。特定の例示的な実施形態では、スペーサ5の金属含有量は、少なくとも30重量%(より好ましくは少なくとも40重量%、及び最も好ましくは少なくとも50重量%)のTi、Cu、及び/又はZrを含む。スペーサの金属合金は、特定の例示的な実施形態では、非晶質金属合金(例えば、Zr及び/又はCu系非晶質合金)であり得る。本発明の特定の例示的な実施形態では、スペーサ5の材料は、(i)VIG窓ユニットの強度を著しく損なわず、ガラス中心R値を増加させる(例えば、スペーサ間隔の関数として、少なくとも11.1、より好ましくは少なくとも12.0、より好ましくは少なくとも13.0、及び時には少なくとも14.0)、(ii)アニーリングされた316ステンレス鋼と比較して、より高い圧縮降伏強度を有し、かつ著しく磁性を有することなくスペーサ材を提供すること、及び/又は(iii)316ステンレス鋼と比較して、より低い熱伝導率を有するスペーサ材料を提供すること、のうちの1つ以上を有益に提供するように設計されている。
【0024】
本発明の例示的な実施形態では、合金化金属は、スペーサ5のための材料について、圧縮塑性変形に対する抵抗を増加させ、熱伝導率を減少させる。このような金属合金は、VIG窓ユニット中のスペーサに特に有益であることが見出された。
【0025】
本発明の特定の例示的な実施形態は、金属合金のスペーサ(例えば、ピラー)5又は金属合金を含むスペーサ(例えば、ピラー)5を含むVIG窓ユニットに関する。金属合金スペーサ5は、
図1~
図3に示されるように、少なくともガラス基板2と3との間に設けられる。
図3の金属合金スペーサ5は、本発明の例示的な実施形態による、
図1~
図2のVIG窓ユニットにおいて、又は任意の他のVIG窓ユニットにおいて使用され得る。例えば、本明細書で考察されるかつ/又は
図3に示される金属合金スペーサ5は、米国特許第5,664,395号、同第5,657,607号、同第5,902,652号、同第10,703,667号、同第10,683,695号、同第10,590,695号、同第10,465,433号、及び/又は同第10,435,938号のいずれかに記載されるVIG窓ユニットのいずれかで使用され得、これらの開示は、全て参照により本明細書によって本明細書に組み込まれる。
図3に示される、金属合金スペーサ5(例えば、Ti、Cu、及び/又はZr含有合金)は、従来のアニーリングされた316ステンレス鋼スペーサと比較して、より低い熱伝導率、及び増加した圧縮強度を有することが見出された。特定の例示的な実施形態では、スペーサの金属含有量は、少なくとも30重量%(より好ましくは少なくとも40重量%、及び最も好ましくは少なくとも50重量%)のTi、Cu、及び/又はZrを含む。スペーサの金属合金は、特定の例示的な実施形態では、非晶質金属合金(例えば、Zr及び/又はCu系非晶質合金)であり得る。例示的なスペーサ材料を以下の表に列挙する。ほとんどの高純度金属(例えば、以下の表中のAl、Ni、Zr、及びTiを参照)は、高い熱伝導率値及び低い圧縮降伏強度を有し、これらは、VIGスペーサ5での使用には望ましくないことがわかる。熱伝導率を減少させることによって、ガラス片の間で移動する熱の量が低減する。
【表1】
【0026】
高純度金属の合金化は、圧縮塑性変形に対する両方の抵抗を増加させ、熱伝導率を減少させる。圧縮降伏を増加させることによって、各個々のピラーの間の空間を増加させる能力が与えられ、ガラス片の間で熱伝導が起こり得る部位の数を低減させる。チタン系合金Ti-6A1-4V(チタン6-4としても知られている)は、本発明の実施例によるスペーサ5の例示的な材料であり、例えば、約6%のAl、約4%のV、及び約90%のTiから構成される。例えば、Ti-6A1-4V(チタン6-4としても知られている)、Timet685、及びハステロイC276などの例示的なスペーサ5材料合金は全て、アニーリングされた316ステンレス鋼よりも低い熱伝導率及び著しく高い圧縮降伏強度を有することがわかる。したがって、Ti-6A1-4V(チタン6-4としても知られている)、Timet685、及びハステロイC276などの例示的なスペーサ5材料合金は、スペーサ材料に関して、アニーリングされた316ステンレス鋼を超える著しい改善を示し、より高いR値がVIG窓ユニットに対して実現されること、及び/又はスペーサ5が耐久性を損なうことなく互いから更に離間されることを可能にすることが理解されるであろう。本発明の特定の例示的な実施形態では、スペーサ5の材料は、(a)少なくとも80,000psi、より好ましくは少なくとも100,000psi、より好ましくは少なくとも150,000psi、及び最も好ましくは少なくとも200,000psiの圧縮降伏強度、並びに/又は(b)13.0W/m-K以下、より好ましくは12.0W/m-K以下、更により好ましくは11.0W/m-K以下、及び最も好ましくは10.0W/m-K若しくは9.0W/m-K以下の熱伝導率を有するように設計されている。Ti-6A1-4V(チタン6-4としても知られている)及びTimet685などのTi系合金、並びにハステロイC276などのNi-Mo-Cr含有合金は、本発明の特定の例示的な実施形態におけるスペーサ5に好適であり得る。例えば、溶液エージング熱処理条件におけるTi-6A1-4Vは、わずか42,000psiでアニーリングされた316ステンレス鋼と比較して、圧縮降伏強度(155,000psi)及び熱伝導率(6.7W/m-K)の改善を提供する。Timet685などの他のTi系合金が使用され得る。このようなチタン合金の更なる有益性は、それらが強磁性又は常磁性ではないことであり、これによって製造中のピラー配置が容易になる。
【0027】
圧縮降伏強度を増加させるために、気相窒化が任意選択的に使用され得る。(例えば、Ti系合金の)気相窒化(上記の表を参照)は、窒素原子がチタン合金の格子内に拡散する二次熱処理プロセスである。窒素原子は、格子間原子部位に位置付けられ、表面上又はバルク中に著しい窒化チタンを形成することなく、流動強度及び硬度を増加に導く。これは、熱伝導率がTi合金よりも著しく高いので有益である。
【0028】
例えば、VIG窓ユニットのスペーサ5は、Ti、並びにAl、及び/又はVのうちの1つ以上を含むTi系金属合金であり得るか、又はそれを含み得、Ti含有量は、少なくとも約30重量%、より好ましくは少なくとも約40重量%、及び最も好ましくは少なくとも約50重量%、及び時には少なくとも約60重量%又は少なくとも約80重量%である。例えば、スペーサ5の金属含有量は、Tiに加えて、約1~20重量%のAl(より好ましくは約2~10重量%、及び最も好ましくは約4~8重量%)、並びに約1~20重量%のV(より好ましくは約1~10重量%、及び最も好ましくは約2~6重量%)を含み得る。Ti-6A1-4V(チタン6-4としても知られている)は、このようなTi系合金の一例である。
【0029】
別の例としては、スペーサ5は、Zr、並びにCu、Ni、Al、及び/又はTiのうちの1つ以上を含むZr系非晶質金属合金であり得るか、又はそれを含み得、Zr含有量は、少なくとも約30重量%、より好ましくは少なくとも約40重量%、及び最も好ましくは少なくとも約50重量%、及び時には少なくとも約60重量%である。したがって、金属合金スペーサ(例えば、Ti、Cu、及び/又はZr含有合金)を使用することは、スペーサ配列の熱伝導率を有益に低減させ、VIG窓ユニットのガラス中心R値を増加させ、VIG窓ユニットの基板の十分な間隔強度も提供し得ることが見出された。このような様式でスペーサの圧縮降伏強度を増加させることは、窓ユニット内の隣接するスペーサ間の増加した間隔を可能にし得、それは、より高いR値が達成されることを可能にし得る。
【0030】
スペーサ5の金属合金は、特定の例示的な実施形態では、非晶質金属合金(例えば、Zr及び/又はCu系非晶質合金)であり得る。例えば、スペーサは、Zr、並びにCu、Ni、Al、及び/又はTiのうちの1つ以上を含むZr系非晶質金属合金であり得るか、又はそれを含み得、Zr含有量は、少なくとも約30重量%、より好ましくは少なくとも約40重量%、及び最も好ましくは少なくとも約50重量%、及び時には少なくとも約60重量%である。このようなスペーサを使用することは、スペーサ配列の熱伝導率を有益に低減させ、VIG窓ユニットのガラス中心R値を増加させ、VIG窓ユニットの基板の十分な間隔強度も提供し得ることが見出された。このような様式でスペーサの圧縮降伏強度を増加させることは、窓ユニット内の隣接するスペーサ間の増加した間隔を可能にし得、それは、より高いR値が達成されることを可能にし得る。
【0031】
スペーサ5のための非晶質合金(例えば、VIT105、VIT106、VIT601、AMZ4、又はAMC4)は、金属及び他の古典的な合金と比較して、それらの無秩序な非結晶構造によって特徴付けられる。異なる金属が熱と組み合わされ、ともに溶融されて、液体を作製し得る。この液体が急速に冷却される場合、金属原子は、非晶質合金を形成する際に溶融物から液体様ランダム位置を保持する。合金系は、液体から固体への著しい相転移が存在しないように選択され得、その結果、鋳造、3D印刷、又は射出成形によって製造され得るニアネットシェイプ部品が導かれる(したがって、スペーサ5は、VIGユニットのガラスへの3D印刷を含むがこれに限定されないこれらの技術のいずれかによって製造され得る)。格子欠陥が存在しないので、粒界又は相境界はほとんど又は全く存在せず、組成変動もほとんど又は全く存在しない。本明細書のスペーサ5に使用され得るいくつかの例示的なZr及びCu系非晶質合金が、以下の従来のアニーリングされた316ステンレス鋼スペーサと比較される。例えば、VIT105非晶質合金は、16%のCu、12%のNi、3%のTi、4%のAlから構成され、残り(例えば、約65%)は、本質的にZrから構成される。別の例として、AMZ4非晶質合金は、24%のCu、4%のAl、2%のNbから構成され、残り(例えば、約70%)は、本質的にZrから構成される。更に別の例として、AMC4非晶質合金は、26%のTi、16%のZr、8%のNi、4%のSnから構成され、残り(例えば、約46%)は、本質的にCuから構成される。
【0032】
【0033】
VIT105、AMZ4、及びAMC4非晶質合金は、より低い熱伝導率及び/又はより高い圧縮降伏強度を有するという点で、アニーリングされた316ステンレス鋼に対して有益であることがわかる。
【0034】
スペーサ5のための本発明の特定の例示的な非晶質合金の実施形態では、スペーサ5のための非晶質金属合金は、合金の金属含有量に関して、少なくとも40重量%のZr、より好ましくは少なくとも50重量%のZr、及び最も好ましくは少なくとも60重量%のZr;約1~35重量%のCu、より好ましくは約10~30重量%のCu、及び最も好ましくは約15~25重量%のCu;約1~30重量%のNi、より好ましくは約5~20重量%のNi、及び最も好ましくは約10~15重量%のNi;約1~15重量%のTi、より好ましくは約1~10重量%のTi、及び最も好ましくは約1~5重量%のTi;並びに/又は約1~15重量%のAl、より好ましくは約1~10重量%のAl、及び最も好ましくは約1~5重量%のAlであり得るか、又はそれらを含み得る。
【0035】
スペーサ5のための本発明の特定の例示的な非晶質合金の実施形態では、スペーサ5のための非晶質金属合金は、合金の金属含有量に関して、少なくとも40重量%のZr、より好ましくは少なくとも50重量%のZr、及び最も好ましくは少なくとも60重量%のZr;約1~35重量%のCu、より好ましくは約10~30重量%のCu、及び最も好ましくは約15~25重量%のCu;約1~15重量%のNb、より好ましくは約1~10重量%のNb、及び最も好ましくは約1~5重量%のNb;並びに/又は約1~15重量%のAl、より好ましくは約1~10重量%のAl、及び最も好ましくは約1~5重量%のAlであり得るか、又はそれらを含み得る。
【0036】
スペーサ5のための本発明の特定の例示的な非晶質合金の実施形態では、スペーサ5のための非晶質金属合金は、合金の金属含有量に関して、少なくとも30重量%のCu、より好ましくは少なくとも40重量%のCu;約1~35重量%のTi、より好ましくは約10~35重量%のTi、及び最も好ましくは約20~30重量%のTi;約1~35重量%のZr、より好ましくは約5~30重量%のZr、及び最も好ましくは約10~22重量%のZr;約1~20重量%のNi、より好ましくは約2~15重量%のNi、及び最も好ましくは約5~12重量%のNi;並びに/又は約1~15重量%のSn、より好ましくは約1~10重量%のSn、及び最も好ましくは約2~8重量%のSnであり得るか、又はそれらを含み得る。
【0037】
ジルコニア系バルク金属ガラスの追加の熱処理は、ピラーの表面上に酸化ジルコニウム(例えば、ZrO2)を作成し得る。酸化ジルコニウム(例えば、ZrO2)のこの薄層は、非晶質合金の機械的特性を維持しながら、バルク非晶質金属ピラーとガラスとの間に熱障壁を作成し得る。ZrO2の熱伝導率は、約1.7W/m Kである。例えば、225℃~275℃の温度で30分~60分間、酸素に富む雰囲気中で熱処理することによって、スペーサの少なくとも1つ又は全ての側面上に酸化ジルコニウム(例えば、ZrO2)表面が生成される。
【0038】
次いで、様々なスペーサの計算された熱伝導率が、VIG R値計算機に取り込まれて、VIG窓ユニットの熱性能に対するその効果を決定した。Ti-6A1-4V(チタン6-4又はTi-6-4としても知られている)及びHeraeus非晶質合金VIT105スペーサが、以下のステンレス鋼ピラーと比較される。圧縮強度の増加(例えば、より大きなピラー間隔をもたらす)及び熱伝導率の減少に起因して、例えば、
限定するものではないが、Ti6-4及びVIT105が、それぞれ20.3及び25.7のVIGユニットR値を達成することが可能である(これは、従来のステンレス鋼スペーサ/ピラーよりもはるかに高い)。分析の結果及び計算につながるパラメータは、以下に見ることができる。二重Ag及び三重Agは、VIGユニットのガラス基板のうちの1つの内部表面上の異なる種類のlow-Eコーティングを指すことに留意されたい。
【表3】
【0039】
したがって、本発明の例示的な実施形態によるスペーサは、従来のアニーリングされた316ステンレス鋼スペーサ(例えば、ピラー)と比較して、VIG窓ユニットがより高いR値を実現することを可能にし得ることが理解されるであろう。
【0040】
本発明の1つの例示的な実施形態では、真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットであって、第1及び第2の離間されたガラス基板の間に間隙を画定する第1及び第2の離間されたガラス基板と、第1及び第2の基板の周辺部に近接して設けられて、気密封止を形成し、大気圧未満の圧力である間隙を画定するのに役立つ、端部封止と、VIG窓ユニットの少なくとも第1及び第2のガラス基板の間に設けられて、少なくとも第1及び第2のガラス基板の離間に役立つ、複数のスペーサと、を含み、スペーサが、13.0W/m-K以下の熱伝導率と、少なくとも80,000psiの圧縮降伏強度とを有する金属合金を含む、真空断熱ガラス(VIG)窓ユニットが提供される。
【0041】
直前の段落に記載のVIG窓ユニットでは、スペーサは、12.0W/m-K以下、より好ましくは11.0W/m-K以下、より好ましくは10.0W/m-K以下、及び最も好ましくは9.0W/m-K以下の熱伝導率を有する金属合金を含み得る。
【0042】
先行する2つの段落のいずれか1つに記載のVIGユニットでは、スペーサは、少なくとも100,000psiの圧縮降伏強度、より好ましくは少なくとも150,000psiの圧縮降伏強度、及び最も好ましくは少なくとも200,000psiの圧縮降伏強度を有する金属合金を含み得る。
【0043】
先行する3つの段落のいずれか1つに記載のVIGユニットでは、金属合金は、窒化され得る。
【0044】
先行する4つの段落のいずれか1つに記載のVIGユニットでは、金属合金は、最大金属元素としてTiを含み得、金属合金のTi含有量は、少なくとも約30重量%、より好ましくは少なくとも約重量50%、及び最も好ましくは少なくとも約80重量%であり得る。
【0045】
先行する5つの段落のいずれか1つに記載のVIGユニットでは、金属合金の金属含有量は、少なくとも50重量%のTi、約1~20重量%のAl、及び約1~20重量%のVを含み得る。
【0046】
先行する6つの段落のいずれか1つに記載のVIGユニットでは、金属合金は、非結晶構造を含む非晶質であり得る。Zr又はCuは、非晶質金属合金の最大金属元素含有量であり得る。
【0047】
先行する7つの段落のいずれか1つに記載のVIGユニットでは、金属合金の金属含有量は、少なくとも40重量%のZrを含み得る。
【0048】
先行する8つの段落のいずれか1つに記載のVIGユニットでは、金属合金の金属含有量は、少なくとも40重量%のZr、及び約1~35重量%のCu、並びに約1~30重量%のNi、約1~15重量%のTi、及び/又は約1~15重量%のAlのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0049】
先行する9つの段落のいずれか1つに記載のVIGユニットでは、金属合金の金属含有量は、少なくとも40重量%のZr、及び約1~35重量%のCu、並びに約1~15重量%のNb、及び/又は約1~15重量%のAlのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0050】
先行する10の段落のいずれか1つに記載のVIGユニットでは、金属合金の金属含有量は、少なくとも30重量%のCu、及び約1~35重量%のTi、並びに約1~35重量%のZr、約1~20重量%のNi、及び/又は約1~15重量%のSnのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0051】
先行する11の段落のいずれか1つに記載のVIGユニットでは、スペーサのうちの少なくとも1つは、その表面上にコーティングを含み得る。コーティングは、ジルコニウムの酸化物(例えば、ZrO2)などのセラミックであり得るか、又はそれを含み得る。コーティングは、スペーサのうちの少なくとも1つの1つの側面、2つの側面、3つの側面、又は全ての側面上にあり得る。コーティングは、熱処理によって形成され得る。
【0052】
本発明は、現在実用的で好ましい実施形態と考えられるものと関連して説明されたが、本発明は、開示される実施形態に限定されるものではなく、寧ろ、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものであることを理解されたい。
【国際調査報告】