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特表2024-501209迅速挿入型中心静脈カテーテルおよびアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】迅速挿入型中心静脈カテーテルおよびアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M25/06 580
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536558
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 US2021064174
(87)【国際公開番号】W WO2022133297
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/126,997
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ヘイモンド、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、グレード エイチ.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267AA12
4C267AA24
4C267AA32
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB39
4C267BB40
4C267CC08
4C267HH08
4C267HH11
(57)【要約】
本明細書には、迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC)、迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ、それらの方法が開示される。例えば、RICCは、カテーテルチューブと、カテーテルチューブの中間部分の上に配置されている縫合翼と、カテーテルチューブの近位部分に結合されているハブと、ハブから延びているいくつかの延長レッグと、を備える。カテーテルチューブは、カテーテルチューブの遠位部分に第1セクションと、第1セクションの近位に第2セクションとを含む。縫合翼は、縫合翼の患者に面する側の反対側に突出部と、突出部を通る針貫通孔とを含む。針貫通孔は、縫合翼を通ってカテーテルチューブ貫通孔を通過するカテーテルチューブの一次管腔への針の挿入のために、針貫通孔を通して針を受け入れるように構成されている。RICCの方法は、RICCの使用を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
迅速挿入型中心静脈カテーテルであって、
カテーテルチューブであって、カテーテルチューブの遠位部分に第1セクションと、第1セクションの近位に第2セクションとを含む、カテーテルチューブと、
カテーテルチューブの中間部分の上に配置されている縫合翼であって、縫合翼は、縫合翼の患者に面する側の反対側に突出部と、突出部を通る針貫通孔とを含み、針貫通孔は、カテーテルチューブの一次管腔への針の挿入のためにそこに針を受け入れるように構成され、カテーテルチューブは、縫合翼を通ってカテーテルチューブ貫通孔を通過する、縫合翼と、
カテーテルチューブの近位部分に結合されているハブと、
ハブから延びているいくつかの延長レッグであって、迅速挿入型中心静脈カテーテルを通って延びている管腔の数に等しい数の延長レッグと、
を備える、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項2】
請求項1に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルにおいて、
縫合翼は、更に、針貫通孔に配置される隔壁を含み、
隔壁は、カテーテルチューブの一次管腔に配置される針を用いた経皮的穿刺中、又は経皮的穿刺後の針貫通孔からの針の抜去後に、針貫通孔の液密シールを提供するように構成されている、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルにおいて、
カテーテルチューブの第1セクションは、第1デュロメータを有する第1ポリマー材料からなり、
カテーテルチューブの第2セクションの少なくとも一部は、第1デュロメータよりも小さな第2デュロメータを有する第2ポリマー材料からなる、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項4】
請求項3に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルにおいて、
第1および第2のポリマー材料の各ポリマー材料はポリウレタンである、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルにおいて、
第2セクションは、カテーテルチューブの外径が第1セクションよりも第2セクションで大きくなるように、カテーテルチューブの内層の上に押し出されるカテーテルチューブの外層を含む、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルにおいて、
カテーテルチューブは、更に、第2セクションの近位にカテーテルチューブの第3セクションを画設するバンプを含み、
第3セクションは、カテーテルチューブの第1および第2の両セクションよりも大きな外径を有する、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項7】
請求項6に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルにおいて、
縫合翼は、針貫通孔がカテーテルチューブの針アイレットと揃うように、カテーテルチューブのバンプの上に配置され、
縫合翼の近位のカテーテルチューブは、縫合翼の遠位のカテーテルチューブよりも大きな外径を有する、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項8】
請求項1~7のうちいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルにおいて、
迅速挿入型中心静脈カテーテルは、前記ハブとしての三つ叉に分かれたハブと、前記ハブから延びているいくつかの延長レッグとしての3つの延長レッグとを含む三重管腔式カテーテルであり、
3つの延長レッグの各延長レッグは、延長レッグの近位部分に結合されているルアーコネクタを含む、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項9】
請求項8に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルにおいて、
迅速挿入型中心静脈カテーテルは、第1ルアーコネクタの近位端の開口からカテーテルチューブの第1セクションの遠位端の開口まで延びている一次管腔と、第2ルアーコネクタの近位端の開口からカテーテルチューブの第2セクションの遠位部分の第1アイレットまで延びている二次管腔と、第3ルアーコネクタの近位端の開口から第1アイレットの近位にあるカテーテルチューブの第2セクションの遠位部分の第2アイレットまで延びている三次管腔とを含む、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項10】
迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリであって、
迅速挿入型中心静脈カテーテルと、
迅速挿入型中心静脈カテーテルに予め装填されている針と、
を備え、
迅速挿入型中心静脈カテーテルは、
カテーテルチューブであって、カテーテルチューブの遠位部分に第1セクションと、第1セクションの近位に第2セクションとを含むカテーテルチューブと、
カテーテルチューブの中間部分の上に配置されている縫合翼であって、縫合翼の患者に面する側の反対側に突出部と、突出部を通る針貫通孔とを含む縫合翼とを含み、カテーテルチューブは、縫合翼を通ってカテーテルチューブ貫通孔を通過する縫合翼と、
カテーテルチューブの近位部分に結合されているハブと、を含み、
針は、縫合翼の針貫通孔によってカテーテルチューブの一次管腔に挿入される、迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリにおいて、
針の遠位先端は、針を用いた経皮的穿刺のために、カテーテルチューブの遠位端を越えて延びる、迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリは、更に、
迅速挿入型中心静脈カテーテルに予め装填されているガイドワイヤを備え、
ガイドワイヤは、カテーテルチューブの一次管腔への針の進入点の近位で、カテーテルチューブの一次管腔に挿入される、迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項13】
請求項10~12のうちいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリにおいて、
縫合翼は、更に、針貫通孔に配置されている隔壁を含み
隔壁は、カテーテルチューブの一次管腔に配置されている針を用いた経皮的穿刺中、又は経皮的穿刺後の針貫通孔からの針の抜去後に、針貫通孔の液密シールを提供するように構成される、迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項14】
請求項10~13のうちいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリにおいて、
カテーテルチューブの第1セクションは、第1デュロメータを有する第1ポリマー材料からなり、
カテーテルチューブの第2セクションの少なくとも一部は、第1デュロメータよりも小さな第2デュロメータを有する第2ポリマー材料からなる、迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項15】
請求項14に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリにおいて、
第1および第2のポリマー材料の各ポリマー材料はポリウレタンである、迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項16】
請求項10~15のうちいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリにおいて、
第2セクションは、カテーテルチューブの外径が第1セクションよりも第2セクションで大きくなるように、カテーテルチューブの内層の上に押し出されるカテーテルチューブの外層を含む、迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項17】
請求項10~16のうちいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリにおいて、
カテーテルチューブは、更に、第2セクションの近位にカテーテルチューブの第3セクションを画設するバンプを含み、
第3セクションは、カテーテルチューブの第1および第2の両セクションよりも大きな外径を有する、迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項18】
請求項17に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリにおいて、
縫合翼は、針貫通孔がカテーテルチューブの針アイレットと揃うように、カテーテルチューブのバンプの上に配置され、
縫合翼の近位のカテーテルチューブは、縫合翼の遠位のカテーテルチューブよりも大きな外径を有する、迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項19】
請求項10~18のうちいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリにおいて、
迅速挿入型中心静脈カテーテルは、前記ハブとして三つ叉に分かれたハブと、前記ハブから延びている3つの延長レッグとを含む三重管腔式カテーテルであり、
3つの延長レッグの各延長レッグは、延長レッグの近位部分に結合されているルアーコネクタを含む、迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項20】
請求項19に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリにおいて、
迅速挿入型中心静脈カテーテルは、第1ルアーコネクタの近位端の開口からカテーテルチューブの第1セクションの遠位端の開口まで延びている一次管腔と、第2ルアーコネクタの近位端の開口からカテーテルチューブの第2セクションの遠位部分の第1アイレットまで延びている二次管腔と、第3ルアーコネクタの近位端の開口から第1アイレットの近位にあるカテーテルチューブの第2セクションの遠位部分の第2アイレットまで延びている三次管腔とを含む、迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、迅速挿入型中心静脈カテーテルおよびアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
セルジンガー法は、中心静脈カテーテル(「CVC:central venous catheter」)および同様なものを患者に導入して当該カテーテルを患者の血管構造を通して前進させるために、多くのステップおよび医療機器(例えば、針、外科用メス、ガイドワイヤ、イントロデューサシース、拡張器等)を利用する。セルジンガー法は有効ではあるものの、多くのステップは時間がかかり、多くの医療機器を扱うのは煩雑で、前述のいずれもが患者の外傷につながる可能性がある。加えて、セルジンガー法の多くのステップ中に交換する必要のある多くの医療機器があることから、接触汚染の可能性が比較的高い。したがって、カテーテルを患者に導入してカテーテルをその血管構造を通して前進させることに関わるステップおよび医療機器の数を減らす必要がある。
【0003】
本明細書では、前述のことに対処する迅速挿入型中心静脈カテーテル(「RICC:rapidly insertable central catheter」)、RICCアセンブリおよびその方法が開示される。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、いくつかの実施形態において、カテーテルチューブと、カテーテルチューブの中間部分の上に配置されている縫合翼と、カテーテルチューブの近位部分に結合されているハブと、ハブから延びているいくつかの延長レッグと、を含む、迅速挿入型中心静脈カテーテル(「RICC」)が開示される。カテーテルチューブは、カテーテルチューブの遠位部分に第1セクションと、第1セクションの近位に第2セクションとを含む。縫合翼は、縫合翼の患者に面する側の反対側に突出部と、突出部を通る針貫通孔とを含む。針貫通孔はカテーテルチューブの一次管腔への針の挿入のためにそこに針を受け入れるように構成され、カテーテルチューブは、縫合翼を通ってカテーテルチューブ貫通孔を通過する。延長レッグの数は、RICCを通って延びている管腔の数に等しい。
【0005】
いくつかの実施形態において、縫合翼は、針貫通孔に配置されている隔壁をさらに含む。隔壁は、カテーテルチューブの一次管腔に配置されている針を用いた経皮的穿刺中に、針貫通孔の液密シールとなるように構成される。隔壁は、経皮的穿刺後の針貫通孔からの針の抜去後に、針貫通孔の液密シールとなるようにも構成される。
【0006】
いくつかの実施形態において、カテーテルチューブの第1セクションは、第1デュロメータを有する第1ポリマー材料からなり、カテーテルチューブの第2セクションは、第1デュロメータよりも小さな第2デュロメータを有する少なくとも1つの第2ポリマー材料からなる。
【0007】
いくつかの実施形態において、第1および第2のポリマー材料の各ポリマー材料はポリウレタンである。
いくつかの実施形態において、第2セクションは、カテーテルチューブの外径が第1セクションよりも第2セクションで大きくなるように、カテーテルチューブの内層の上に押し出されるカテーテルチューブの外層を含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、カテーテルチューブは、第2セクションの近位にカテーテルチューブの第3セクションを画設するバンプをさらに含む。第3セクションは、カテーテルチューブの第1および第2の両セクションよりも大きな外径を有する。
【0009】
いくつかの実施形態において、縫合翼は、針貫通孔がカテーテルチューブの針アイレットと揃うように、カテーテルチューブのバンプの上に配置され、縫合翼の近位のカテーテルチューブは、縫合翼の遠位のカテーテルチューブよりも大きな外径を有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、RICCは、ハブとして三つ叉に分かれたハブと、ハブから延びているいくつかの延長レッグとして3つの延長レッグとを含む三重管腔式カテーテルである。3つの延長レッグの各延長レッグは、延長レッグの近位部分に結合されているルアーコネクタを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、RICCは、第1ルアーコネクタの近位端の開口からカテーテルチューブの第1セクションの遠位端の開口まで延びている一次管腔と、第2ルアーコネクタの近位端の開口からカテーテルチューブの第2セクションの遠位部分の第1アイレットまで延びている二次管腔と、第3ルアーコネクタの近位端の開口から第1アイレットの近位にあるカテーテルチューブの第2セクションの遠位部分の第2アイレットまで延びている三次管腔とを含む。
【0012】
また、本明細書では、いくつかの実施形態において、RICCとRICCに予め装填されている針と、を含む、RICCアセンブリが開示される。RICCは、カテーテルチューブと、カテーテルチューブの中間部分の上に配置されている縫合翼と、カテーテルチューブの近位部分に結合されているハブとを含む。カテーテルチューブは、カテーテルチューブの遠位部分に第1セクションと、第1セクションの近位に第2セクションとを含む。縫合翼は、縫合翼の患者に面する側の反対側に突出部と、突出部を通る針貫通孔とを含む。カテーテルチューブは、縫合翼を通ってカテーテルチューブ貫通孔を通過し、針は、縫合翼の針貫通孔によってカテーテルチューブの一次管腔に挿入される。
【0013】
いくつかの実施形態において、針の遠位先端は、針を用いた経皮的穿刺のために、カテーテルチューブの遠位端を越えて延びる。
いくつかの実施形態において、RICCアセンブリは、RICCに予め装填されているガイドワイヤをさらに含む。ガイドワイヤは、カテーテルチューブの一次管腔への針の進入点の近位で、カテーテルチューブの一次管腔に挿入される。
【0014】
いくつかの実施形態において、縫合翼は、針貫通孔に配置されている隔壁をさらに含む。隔壁は、カテーテルチューブの一次管腔に配置されている針を用いた経皮的穿刺中に、針貫通孔の液密シールとなるように構成される。隔壁は、経皮的穿刺後の針貫通孔からの針の抜去後に、針貫通孔の液密シールとなるようにも構成される。
【0015】
いくつかの実施形態において、カテーテルチューブの第1セクションは、第1デュロメータを有する第1ポリマー材料からなり、カテーテルチューブの第2セクションは、第1デュロメータよりも小さな第2デュロメータを有する少なくとも1つの第2ポリマー材料からなる。
【0016】
いくつかの実施形態において、第1および第2のポリマー材料の各ポリマー材料はポリウレタンである。
いくつかの実施形態において、第2セクションは、カテーテルチューブの外径が第1セクションよりも第2セクションで大きくなるように、カテーテルチューブの内層の上に押し出されるカテーテルチューブの外層を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、カテーテルチューブは、第2セクションの近位にカテーテルチューブの第3セクションを画設するバンプをさらに含む。第3セクションは、カテーテルチューブの第1および第2の両セクションよりも大きな外径を有する。
【0018】
いくつかの実施形態において、縫合翼は、針貫通孔がカテーテルチューブの針アイレットと揃うように、カテーテルチューブのバンプの上に配置され、縫合翼の近位のカテーテルチューブは、縫合翼の遠位のカテーテルチューブよりも大きな外径を有する。
【0019】
いくつかの実施形態において、RICCは、ハブとして三つ叉に分かれたハブと、ハブから延びている3つの延長レッグとを含む三重管腔式カテーテルである。3つの延長レッグの各延長レッグは、延長レッグの近位部分に結合されているルアーコネクタを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、RICCは、第1ルアーコネクタの近位端の開口からカテーテルチューブの第1セクションの遠位端の開口まで延びている一次管腔と、第2ルアーコネクタの近位端の開口からカテーテルチューブの第2セクションの遠位部分の第1アイレットまで延びている二次管腔と、第3ルアーコネクタの近位端の開口から第1アイレットの近位にあるカテーテルチューブの第2セクションの遠位部分の第2アイレットまで延びている三次管腔とを含む。
【0021】
また、本明細書では、RICCを患者の血管管腔に導入するための方法も開示される。方法は、いくつかの実施形態において、RICCアセンブリ取得ステップと、針経路確立ステップと、RICC前進ステップと、針抜去ステップとを含む。RICCアセンブリ取得ステップは、RICCアセンブリを取得することを含む。RICCアセンブリは、RICCと、RICCアセンブリの導入準備完了状態でRICCに予め装填されている針とを含む。RICCは、カテーテルチューブと、カテーテルチューブの中間部分の上に配置されている縫合翼と、カテーテルチューブの近位部分に結合されているハブとを含む。RICCアセンブリの導入準備完了状態において、針のシャフトは、縫合翼を通る針貫通孔およびカテーテルチューブの一次管腔を通って延びている。加えて、RICCアセンブリの導入準備完了状態において、針の遠位先端は、カテーテルチューブの遠位端を越えて延びる。針経路確立ステップは、針の遠位先端による皮膚の領域から血管管腔までの針経路を確立することを含む。RICC前進ステップは、針を越えてカテーテルチューブの遠位部分を血管管腔内に前進させることを含む。針抜去ステップは、縫合翼の針貫通孔によってRICCから針を抜去することを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、方法は、注射器接続ステップと血液吸引ステップとをさらに含む。注射器接続ステップは、注射器がRICCアセンブリの導入準備完了状態の針にまだ接続されていない場合に注射器を針に接続することを含む点で、任意選択である。血液吸引ステップは、針抜去ステップの前に、注射器を用いて血液を吸引することを含む。血液吸引ステップは、針の遠位先端が血管管腔に配置されていることを確認する。
【0023】
いくつかの実施形態において、方法は、ガイドワイヤ前進ステップをさらに含む。ガイドワイヤ前進ステップは、針抜去ステップの後に、ガイドワイヤをカテーテルチューブの遠位端を越えて血管管腔内に前進させることを含む。ガイドワイヤは、RICCアセンブリの導入準備完了状態において、カテーテルチューブの一次管腔への針の進入点の近位に、RICCに予め装填されている。
【0024】
いくつかの実施形態において、カテーテルチューブは、第1デュロメータを有する第1ポリマー材料からなる第1セクションと、第1デュロメータよりも小さな第2デュロメータを有する少なくとも1つの第2ポリマー材料からなる、第1セクションの近位の第2セクションとを含む。このように、カテーテルチューブは、カテーテルチューブの少なくとも遠位部分を座屈なく血管管腔内に前進させるための円柱強度を備えて構成される。
【0025】
本明細書で提供される概念のこのような特徴および他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面および以下の説明を考慮して、当業者にとってより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】いくつかの実施形態による、組み立てられた導入準備完了状態のRICCアセンブリを示す。
図2】いくつかの実施形態による、分解された状態のRICCアセンブリを示す。
図3】いくつかの実施形態による、分解された状態のRICCを示す。
図4】いくつかの実施形態による、RICCの縫合翼の端面図を示す。
図5】いくつかの実施形態による、RICCのカテーテルチューブの上の縫合翼の側面図を示す。
図6】いくつかの実施形態による、RICCの代替的な縫合翼・ハブ結合体を示す。
図7】いくつかの実施形態による、図3のRICCのカテーテルチューブの遠位部分を示す。
図8A】いくつかの実施形態による、カテーテルチューブの第1セクションの横断面図を示す。
図8B】いくつかの実施形態による、カテーテルチューブの第1セクションと第2セクションとの間の移行部の横断面図を示す。
図8C】いくつかの実施形態による、カテーテルチューブの第1セクションと第2セクションとの間の移行部の別の横断面図を示す。
図8D】いくつかの実施形態による、カテーテルチューブの第2セクションの横断面図を示す。
図9】いくつかの実施形態による、カテーテルチューブの製造の一部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。
【0028】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、複数の特徴または複数のステップのグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的な限定または数値制限を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、および他の同様の用語などのラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、および「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0029】
「近位」に関しては、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0030】
「遠位」に関しては、例えば、本明細書に開示されているカテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、または患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。
【0031】
カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0032】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
上述したように、カテーテルを患者に導入し、カテーテルをその血管構造を通して前進させることに関わるステップおよび医療機器の数を減らす必要がある。本明細書では、前述のことに対処するRICC、RICCアセンブリおよびその方法が開示される。
迅速挿入型中心静脈カテーテル
図1および図2は、いくつかの実施形態による、RICCアセンブリ102内のRICC100を示す。図3は、いくつかの実施形態による、分解された状態のRICC100を示す。
【0033】
図示されるように、RICC100は、カテーテルチューブ104と、縫合翼106と、ハブ108と、ハブ108から延びているいくつかの延長レッグ110とを含む。
縫合翼106は、カテーテルチューブ104の近位部分と遠位部分との間の、カテーテルチューブ104の中間部分の上に配置されている。縫合翼106は、縫合翼106の患者に面する側の反対側に突出部112と、突出部112を通る針貫通孔114とを含む。針貫通孔114は、針をRICC100の一次管腔に、具体的には、縫合翼106を通ってカテーテルチューブ貫通孔116を通過するカテーテルチューブ104の一次カテーテルチューブ管腔146に挿入するために、針貫通孔114を通して針(例えば、針150)を受け入れるように構成されている。
【0034】
縫合翼106は、針貫通孔114に配置されている隔壁118をさらに含む。隔壁118は、以下に記載されるRICCアセンブリ102の導入準備完了状態など、RICC100の一次管腔(例えば、カテーテルチューブ104の一次カテーテルチューブ管腔146)に配置されているときの針(例えば、針150)を用いた経皮的穿刺中、針貫通孔114の液密シールを提供するように構成される。また、隔壁118は、経皮的穿刺後の針貫通孔114からの針の抜去後にも、針貫通孔114の液密シールを提供するように構成される。
【0035】
縫合翼106は、縫合翼106を患者に縫合するためのいくつかの翼貫通孔122を含む対の翼120を含む。対の翼120の各翼は、縫合翼106を患者に縫合するために、1つの翼貫通孔、2つの翼貫通孔、3つの翼貫通孔、または4つの翼貫通孔を含むことができる。
【0036】
図6は、いくつかの実施形態による、RICC100の代替的な縫合翼・ハブ結合体107を示す。
図示されるように、縫合翼106などの縫合翼・ハブ結合体107は、針貫通孔114を含む。針貫通孔114は、針をRICC100の一次管腔に、具体的には、縫合翼106を通ってカテーテルチューブ貫通孔116を通過するカテーテルチューブ104の一次カテーテルチューブ管腔146に挿入するために、針貫通孔114を通して針(例えば、針150)を受け入れるように構成されている。
【0037】
縫合翼106および縫合翼・ハブ結合体107の各々は、RICC100とともに経皮的穿刺を確立するために使用される針を他のRICCに必要なものよりも短くすることができる点で、現在開発中の他のどのRICCをも凌ぐ、RICC100を使用する利点を提供する。実際、他のRICCは、その一次管腔内に配置される比較的長い針を必要とし、他のRICCの近位端の開口(例えば、ルアーコネクタの開口)からその遠位端の開口にまで延びている。このように長い針を用いると、針を用いた経皮的穿刺後の血液のフラッシュバックを観察するのに比較的長い時間がかかる可能性がある。さらに、このように長い針は、管腔内血栓を生じやすい。これに対し、RICC100を用いると、針は、他のRICCに必要なものよりも短くすることができる。それによって、針を用いた経皮的穿刺後の血液のフラッシュバックを観察する時間を比較的短くできるとともに、針の管腔内血栓のリスクを下げることもできる。
【0038】
ハブ108は、カテーテルチューブ104の近位部分をハブ108の遠位部分の軸穴に挿入するなどして、カテーテルチューブ104の近位部分に結合される。図示されていないが、ハブ108は、ハブ108の近位部分に、いくつかの延長レッグ110に数が対応するいくつかの軸穴も含む。ハブ108の遠位部分にあるいくつかの軸穴は、いくつかの延長レッグ110のいくつかの軸穴への挿入を受け入れるように構成されている。
【0039】
RICC100は、単一管腔式カテーテル、または二重管腔式カテーテル、三重管腔式カテーテル、四重管腔式カテーテル、五重管腔式カテーテルもしくは六重管腔式カテーテルなどの多重管腔式カテーテルとすることができる。したがって、ハブ108は、単一管腔式カテーテルに応じて分岐されないか、RICC100を通って延びるいくつかの管腔に応じて分岐される。例えば、ハブ108は、二重管腔式カテーテルについては二叉に分かれるか、三重管腔式カテーテルについては三つ叉に分かれることができる。選択される製造方法によっては、ハブ108は、カテーテルチューブ104のいくつかのカテーテルチューブ管腔をいくつかの延長レッグ110のいくつかの延長レッグ管腔に流体接続するように構成されるハブ108を通って縦方向に延びるいくつかの流路用のいくつかのコアピンの上に成形することができる。代替的に、ハブ108は、カテーテルチューブ104のいくつかのカテーテルチューブ管腔をいくつかの延長レッグ110のいくつかの延長レッグ管腔に流体接続するように構成されるハブ108を通って縦方向に延びるいくつかのカニューレの上に成形することができる。
【0040】
いくつかの延長レッグ110は、それらの遠位部分を介してハブ108から延びている。延長レッグ110の数は、RICC100を通って延びている管腔の数に等しい。例えば、RICC100が単一管腔式カテーテルである場合、1つの延長レッグがハブ108から延びている。RICC100が二重管腔式カテーテルである場合、2つの延長レッグがハブ108から延びている。RICC100が三重管腔式カテーテルである場合、3つの延長レッグがハブ108から延びている。
【0041】
RICC100は、いくつかの医療機器をRICC100に流体接続するためのいくつかのルアーコネクタ124をさらに含む。いくつかの延長レッグ110の各延長レッグは、延長レッグの近位部分に結合されているいくつかのルアーコネクタ124のうちの1つのルアーコネクタを含む。前述のことを前提とすると、ルアーコネクタ124の数は、延長レッグ110の数に等しく、延長レッグ110の数は、さらに、RICC100を通って延びる管腔の数に等しい。例えば、RICC100が単一管腔式カテーテルである場合、1つの延長レッグがハブ108から延びて、1つのルアーコネクタが1つの延長レッグに結合される。RICC100が二重管腔式カテーテルである場合、2つの延長レッグがハブ108から延びて、2つのルアーコネクタが2つの延長レッグにそれぞれ結合される。RICC100が三重管腔式カテーテルである場合、3つの延長レッグがハブ108から延びて、3つのルアーコネクタが3つの延長レッグにそれぞれ結合される。
【0042】
カテーテルチューブ104は、少なくとも、カテーテルチューブ104の遠位部分に第1セクション126と、カテーテルチューブ104の第1セクション126の近位に第2セクション128とを含む。カテーテルチューブ104は、以下に記載されるカテーテルチューブの製造方法によっては、カテーテルチューブ104の第1セクション126と第2セクション128との間に移行部130を含むことができる。実際、以下に記載される製造方法によっては、カテーテルチューブ104の移行部130および第2セクション128は、カテーテルチューブ104の外径がカテーテルチューブ104の第1セクション126と第2セクション128との間の移行部130で始まるカテーテルチューブ104の第1セクション126よりも第2セクション128で大きくなるように、カテーテルチューブ104の内層134(図8A図8Dを参照)の上に押し出されたカテーテルチューブ104の外層132(図8B図8Dを参照)を含む。
【0043】
カテーテルチューブ104の第1セクション126ならびにカテーテルチューブ104の移行部130および第2セクション128の両方の内層134は、第1デュロメータを有する第1ポリマー材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、またはポリウレタン)から形成されるのに対し、カテーテルチューブ104の移行部130および第2セクション128の残りの部分、すなわち、それらの外層132は、第1デュロメータよりも小さいか、第1デュロメータよりも大きいか、または第1デュロメータと実質的に等しい第2デュロメータを有する第2ポリマー材料(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、またはシリコン)から形成される。例えば、カテーテルチューブ104の内層134および外層132の各層は、異なるデュロメータを有する異なるポリウレタンから形成できる(例えば、異なるジオールまたはトリオールと反応する同じまたは異なるジイソシアナートまたはトリイソシアナート、同じまたは異なるジオールもしくはトリオールと反応する異なるジイソシアナートまたはトリイソシアナート等)。ポリウレタンは、室温で比較的硬いが、生体内の体温ではより柔軟になることで血管壁への刺激および静脈炎が軽減される点で、カテーテルチューブ104にとって有利である。ポリウレタンは、いくつかの他のポリマーよりも血栓を形成しにくい点でも有利である。
【0044】
前述のことにも関わらず、カテーテルチューブ104の内層134および外層132の両方を含むカテーテルチューブ104の第1セクション126および第2セクションは、挿入部位に挿入されて患者の血管構造を通って前進させるとき、カテーテルチューブ104の円柱強度がカテーテルチューブ104の座屈を防止するのに十分であれば、同じデュロメータをもつ同じポリマー材料(例えば、ポリウレタン)から形成することができる。任意の所与の実施形態のカテーテルチューブ104の円柱強度は、セルジンガー法を使用しなくてもカテーテルチューブ104を挿入部位に迅速に挿入して患者の血管構造を通って前進させることができる点で、注目に値する。
【0045】
第1デュロメータおよび第2デュロメータは、異なるスケール(例えば、タイプAまたはタイプD)にすることができることは理解されるべきである。したがって、第2ポリマー材料の第2デュロメータが第1ポリマー材料の第1デュロメータよりも小さい場合でも、数値的には、第2デュロメータは第1デュロメータよりも小さくないかもしれない。同様に、第2ポリマー材料の第2デュロメータが第1ポリマー材料の第1デュロメータよりも大きい場合でも、数値的には、第2デュロメータは第1デュロメータよりも大きくないかもしれない。すなわち、異なるスケール(それぞれが、0から100までの範囲をもつ)は同様な硬さを有する材料群内の異なる材料を特徴付けるために設計されているので、第2ポリマー材料の硬さは、依然として、第1ポリマー材料の硬さよりも小さいか、または大きい可能性がある。
【0046】
カテーテルチューブ104は、カテーテルチューブ104の第2セクション128の近位に、カテーテルチューブ104の中間部分のバンプ138で画設されるバンプ付きの径を有する第3セクション136を含むことができる。カテーテルチューブ104の第3セクション136は、カテーテルチューブ104の第1セクション126および第2セクション128の両方よりも大きな外径を有する。図1および図2に示すように、縫合翼106は、針貫通孔114がカテーテルチューブ104の任意選択の針アイレット140と揃うようにバンプ138の上に配置される。したがって、縫合翼106の近位のカテーテルチューブ104(本明細書ではカテーテルチューブ延長部としても知られる)は、縫合翼106の遠位のカテーテルチューブ104よりも大きな外径を有する。縫合翼106の近位のカテーテルチューブ104の第3セクション136のより大きな外径は、RICC100を使用しているときに、患者の頭または首から離してハブ108およびいくつかの延長レッグ110を曲げるのに便利な、より厚く、より耐捩れ性のあるカテーテルチューブの壁を提供する。加えて、カテーテルチューブ104に存在する任意の管腔は、縫合翼106の遠位よりも縫合翼106の近位のカテーテルチューブ104の第3セクション136でより大きな径を有することができる。このことが、特に、縫合翼106の近位のカテーテルチューブ104の第3セクション136が患者の頭または首から離して曲げられるときに、流量低下を防止する。
【0047】
縫合翼106とハブ108との間のカテーテルチューブ104は、カテーテルチューブ104のより大きな外径が縫合翼106からハブ108まで増大し続ける、逆テーパを有することができる。言い換えると、カテーテルチューブ104は、ハブ108から縫合翼106まで徐々に細くなるが、縫合翼106の遠位のカテーテル104よりも大きな外径を維持している。縫合翼106からハブ108まで連続して増大するカテーテルチューブ104の外径に関連して、カテーテルチューブの壁の厚さは連続して増大することができ、カテーテルチューブ104のいずれの管腔の断面積も連続的に増大することができ、またはその組み合わせである。その結果、縫合翼106とハブ108との間のカテーテルチューブ104は、特に縫合翼106の近位のカテーテルチューブ104が患者の頭または首から離して曲げられるとき、捩れおよび流量低下に対してより耐性をもつことができる。前述のことに関わらず、縫合翼106とハブ108との間のカテーテルチューブ104は、代替的に、縫合翼106からハブ108まで一定の径を有することができる。
【0048】
有利なことに、縫合翼106とハブ108との間のカテーテルチューブ104、すなわち、カテーテルチューブ104の第3セクションまたはカテーテルチューブ延長部は、縫合翼106の上に施されるドレッシングと患者の皮膚との間の細菌侵入を低減させるように構成される単一カテーテルチューブである。既存のCVCまたは末梢挿入型中心静脈カテーテル(「PICC:peripherally inserted central catheter」)は、CVCおよびPICCに共通の縫合翼・ハブ結合体から延びている複数の延長レッグを有する。CVCまたはPICCの複数の延長レッグは、ドレッシングの下に、細菌侵入のための複数の経路を提供する。カテーテルチューブ104が少なくとも縫合翼106とハブ108との間で単一カテーテルチューブであることで、既存のCVCまたはPICCの複数の延長レッグで可能であるよりもさらにぴったりと、ドレッシングをカテーテルチューブ104の周りに挟むことができる。例えば、ドレッシングをカテーテルチューブ104の全体に容易に巻き付けて、カテーテルチューブ104と患者との間でカテーテルチューブ104の下に一緒に挟むことができる。対して、カテーテルチューブ延長部について説明されるように、既存のCVCまたはPICCの複数の延長レッグの周りにドレッシングを巻き付けても、隣り合う延長チューブ間に、細菌侵入のための隙間が残る。このように、カテーテルチューブ104が単一カテーテルチューブであることで、縫合翼106の上に施されるドレッシングと患者の皮膚との間の細菌の侵入を制限する。
【0049】
縫合翼106とハブ108との間のカテーテルチューブ104、ここでも、カテーテルチューブ104の第3セクション136またはカテーテルチューブ延長部は、延長レッグ110付近から患者の頭または首への患者の不快感を緩和するようにも構成される。上記のように、縫合翼136の近位のカテーテルチューブ104の第3セクション136は、より厚く、より耐捩れ性のあるカテーテルチューブ壁を提供するが、カテーテルチューブ104の第3セクション136は、カテーテルチューブ104を患者の頭または首から離して曲げて、患者に快適なように患者に固定することが可能なほど十分に柔軟である。
【0050】
図7は、いくつかの実施形態による、RICC100のカテーテルチューブ104の遠位部分を示す。図8A図8Dは、いくつかの実施形態による、カテーテルチューブ104の様々な横断面図を示す。
【0051】
ここでも、RICC100は、単一管腔式カテーテル、または二重管腔式カテーテル、三重管腔式カテーテル、四重管腔式カテーテル、五重管腔式カテーテルもしくは六重管腔式カテーテルなどの多重管腔式カテーテルとすることができる。カテーテルチューブ104は、これに対応して、単一管腔式カテーテルチューブ、または二重管腔式カテーテルチューブ、三重管腔式カテーテルチューブ、四重管腔式カテーテルチューブ、五重管腔式カテーテルチューブもしくは六重管腔式カテーテルチューブなどの多重管腔式カテーテルチューブとすることができる。
【0052】
RICC100が図1図3図7および図8A図8Dの中に示三重管腔式カテーテルとして構成されるとき、RICC100は、一次管腔、二次管腔および三次管腔を含む。一次管腔は、いくつかのルアーコネクタ124の第1ルアーコネクタの近位端にある開口からカテーテルチューブ104の第1セクション126の先端または遠位端にある開口まで延びている。二次管腔は、いくつかのルアーコネクタ124の第2ルアーコネクタの近位端にある開口からカテーテルチューブ104の第2セクション128の遠位部分にあるアイレット142まで延びている。三次管腔は、いくつかのルアーコネクタ124の第3ルアーコネクタの近位端にある開口からカテーテルチューブ104の第2セクション128の遠位部分にあるアイレット142の近位のアイレット144まで延びている。一次管腔、二次管腔および三次管腔の各管腔は、以下に記載される個別の段落でさらに説明する。
【0053】
RICC100の一次管腔は、一次カテーテルチューブ管腔146を含む流体接続される管腔セクションを含み、カテーテルチューブ104、ハブ108の一次流路または一次カニューレ管腔、いくつかの延長レッグ110の第1延長レッグの一次延長レッグ管腔、およびいくつかのルアーコネクタ124の第1ルアーコネクタの一次ルアーコネクタ管腔の全長に沿って延びている。
【0054】
RICC100の二次管腔は、二次カテーテルチューブ管腔148を含む流体接続される管腔セクションを含み、カテーテルチューブ104の第2セクション128の遠位部分にあるアイレット142からカテーテルチューブ104の残りの部分に沿って近位に延びている。RICC100の二次管腔の流体接続される管腔セクションは、ハブ108の二次流路または二次カニューレ管腔、いくつかの延長レッグ110の第2延長レッグの二次延長レッグ管腔、およびいくつかのルアーコネクタ124の第2ルアーコネクタの二次ルアーコネクタ管腔をさらに含む。
【0055】
RICC100の三次管腔は、三次カテーテルチューブ管腔149を含む流体接続される管腔セクションを含み、カテーテルチューブ104の第2セクション128の遠位部分にあるアイレット144からカテーテルチューブ104の残りの部分に沿って近位に延びている。RICC100の三次管腔の流体接続される管腔セクションは、ハブ108の三次流路または三次カニューレ管腔、いくつかの延長レッグ110の第3延長レッグの三次延長レッグ管腔、およびいくつかのルアーコネクタ124の第3ルアーコネクタの三次ルアーコネクタ管腔をさらに含む。
【0056】
RICC100が二重管腔式カテーテルとして構成されるとき、RICC100は、一次管腔および二次管腔を含む。三次管腔式カテーテルとして構成されるときのRICC100と同様に、一次管腔は、いくつかのルアーコネクタ124の第1ルアーコネクタの近位端にある開口からカテーテルチューブ104の第1セクション126の先端または遠位端にある開口まで延びている。二次管腔は、いくつかのルアーコネクタ124の第2ルアーコネクタの近位端にある開口からカテーテルチューブ104の第2セクション128の遠位部分にあるアイレット142まで延びている。二重管腔式カテーテルとして構成されるRICC100の一次管腔および二次管腔は、三次管腔式カテーテルとして構成されるRICC100の一次管腔および二次管腔と類似しているため、二重管腔式カテーテルとして構成されるRICC100の一次管腔および二次管腔の各管腔の追加の詳細は、三重管腔式カテーテルとして構成されるRICC100の一次管腔および二次管腔についての上記説明から知ることができる。
【0057】
RICC100が単一管腔式カテーテルとして構成されるとき、RICC100は、単一の管腔を含み、単一の管腔は、本明細書において、上記の説明との一貫性をもたせるために一次管腔としても知られる。三次管腔式カテーテルとして構成されるときのRICC100と同様に、一次管腔は、いくつかのルアーコネクタ124の第1ルアーコネクタの近位端にある開口からカテーテルチューブ104の第1セクション126の先端または遠位端にある開口まで延びている。単一管腔式カテーテルとして構成されるRICC100の一次管腔は、三次管腔式カテーテルとして構成されるRICC100の一次管腔と類似しているため、単一管腔式カテーテルとして構成されるRICC100の一次管腔の追加の詳細は、三重管腔式カテーテルとして構成されるRICC100の一次管腔についての上記説明から知ることができる。
RICCアセンブリ
図1および図2は、いくつかの実施形態による、RICCアセンブリ102を示す。具体的には、図1は、いくつかの実施形態による、組み立てられて導入準備完了状態のRICCアセンブリ102を示しているのに対し、図2は、いくつかの実施形態による、分解された状態のRICCアセンブリ102を示している。
【0058】
図示されるように、RICCアセンブリ102は、少なくとも、RICC100と、RICCアセンブリ102の導入準備完了状態でRICC100に予め装填されている針150とを含む。任意選択で、RICCアセンブリ102は、RICC100に予め装填されているガイドワイヤ152、針150のハブに結合されている注射器154、またはRICCアセンブリ102の導入準備完了状態のガイドワイヤ152および注射器154の両方を含む。RICCアセンブリ102のパッケージ状態では、RICCアセンブリ102は、RICCアセンブリ102の導入準備完了状態に似ている。しかし、RICCアセンブリ102を含むパッケージに注射器154が存在する場合、注射器154は、針150のハブに結合する必要はない。実際、注射器154は、RICCアセンブリ102のパッケージ状態では、RICCアセンブリ102の残りのものと共にパッケージ化することができる。
【0059】
針150は、RICCアセンブリ102の導入準備完了状態において、縫合翼106の針貫通孔114によってRICC100の一次管腔に挿入される。具体的には、針150は、カテーテルチューブ104の一次カテーテルチューブ管腔146に挿入され、カテーテルチューブ104は、縫合翼106を通ってカテーテルチューブ貫通孔116を通過する。加えて、斜面を含む針150の遠位先端は、針150を用いる経皮的穿刺のために、カテーテルチューブ104の遠位端を越えて延びている。
【0060】
ガイドワイヤ152は、RICCアセンブリ102の導入準備完了状態において、いくつかのルアーコネクタ124の第1ルアーコネクタの近位端にある開口によってRICC100の一次管腔に挿入される。ガイドワイヤ152の遠位端は、RICC100の一次管腔、具体的にはカテーテルチューブ104の一次カテーテルチューブ管腔146の針150の進入点の近位にある。RICCアセンブリ102の導入準備完了状態におけるこのようなガイドワイヤ152の定置は、針150を用いた経皮的穿刺およびRICC100からのその抜去後、ガイドワイヤ152をすぐに患者の血管管腔内に前進させることを可能にする。RICCアセンブリ102の導入準備完了状態での前述のガイドワイヤ152の定置により、針150によって許容されるよりも大きな径をガイドワイヤ152にもたせることができ、より大きな径は、ガイドワイヤ152上で操作するときにより高い安定性をカテーテルチューブ104にもたらすため、針150へのガイドワイヤ152の定置よりも有利である。
方法
上記のRICCおよびRICCアセンブリの方法は、RICCおよびRICCアセンブリの作製方法および使用方法を含む。RICC100を作製するための例示的な方法を以下に記載した後、RICCアセンブリ102を使用するための方法、具体的にはRICC100を患者の血管管腔に導入するための方法を記載する。
【0061】
RICC100を作製するための方法は、カテーテルチューブ104を製造するための1つまたは複数のカテーテルチューブ製造ステップと、いくつかの延長レッグ110などのカテーテルチューブ104以外の1つまたは複数の押出可能な構成要素を押し出す1つまたは複数の押出ステップと、1つまたは複数の成形可能な構成要素を成形する1つまたは複数の成形ステップと、カテーテルチューブ104を含む押出可能な構成要素と成形可能な構成要素とを合わせて結合することによってRICC100またはその任意の部分を組み立てる1つまたは複数の組み立てステップと、を含む。
【0062】
図9は、いくつかの実施形態による、カテーテルチューブ104の製造の一部分を示す。
1つまたは複数のカテーテルチューブ製造ステップは、内層形成ステップを含む。内層形成ステップは、第1ポリマー材料の単一管腔チュービング156を押し出すことによってカテーテルチューブ104の内層134を形成することを含む。
【0063】
1つまたは複数のカテーテルチューブ製造ステップは、挿入ステップをさらに含む。挿入ステップは、単一管腔チュービング156の末端を押出機160のダイ158に挿入することを含む。
【0064】
1つまたは複数のカテーテルチューブ製造ステップは、第2層形成ステップをさらに含む。第2層形成ステップは、第2ポリマー材料の溶融物162を単一管腔チュービング156の周りのダイ158に周期的に押し通し、それによって、単一管腔チュービング156のセクションが規則的に点在させられる混合層チュービング164のセクションをもつ出力チュービングを形成することにより、カテーテルチューブ104の外層132を形成することを含む。
【0065】
1つまたは複数のカテーテルチューブ製造ステップは、接着層貼付ステップをさらに含むことができる。接着層貼付ステップは、第2層形成ステップで第2ポリマー材料の溶融物162を単一管腔チュービング156の周りのダイ158に押し通す前に、単一管腔チュービング156の上に接着層を貼り付けることを含む。
【0066】
1つまたは複数のカテーテルチューブ製造ステップは、管腔形成ステップをさらに含む。管腔形成ステップは、第2ポリマー材料の溶融物162を単一管腔チュービング156の周りのダイ158に押し通している間に第2ポリマー材料の溶融物162に空気を注入することによって、単一管腔チュービング156のものに1つまたは複数の追加の管腔(例えば、二次カテーテルチューブ管腔148、三次カテーテルチューブ管腔149等)を形成することを含む。
【0067】
1つまたは複数のカテーテルチューブ製造ステップは、アイレット作成ステップをさらに含む。アイレット作成ステップは、一次カテーテルチューブ管腔146または1つもしくは複数の追加管腔に1つまたは複数の開口を対応して確立するために、混合層チュービング164のセクションに1つまたは複数のアイレット(例えば、針アイレット140、アイレット142、アイレット144等)を作成することを含む。
【0068】
1つまたは複数のカテーテルチューブ製造ステップは、バンプ形成ステップをさらに含むことができる。バンプ形成ステップは、バンプの後の出力チュービングの外径を大きくするために、プラーを用いて出力チュービングを引っ張る速度を周期的に遅くすることにより、混合層チュービング164のセクションにバンプ(例えば、カテーテルチューブ104の中間部分のバンプ138)を形成することを含む。
【0069】
1つまたは複数のカテーテルチューブ製造ステップは、逆テーパ形成ステップをさらに含むことができる。逆テーパ形成ステップは、プラーを用いて出力チュービングを引っ張る速度を連続的に遅くすることによって、バンプの後の混合層チュービング164のセクションの外径を逆テーパ状に形成することを含む。
【0070】
1つまたは複数のカテーテルチューブ製造ステップは、冷却ステップをさらに含むことができる。冷却ステップは、出力チュービングを冷却するために、プラーを用いて出力チュービングを冷却槽に通して引っ張ることを含む。
【0071】
1つまたは複数のカテーテルチューブ製造ステップは、切断ステップをさらに含む。切断ステップは、カテーテルチューブ104などのカテーテルチューブを形成するために、切断機を用いて単一管腔チュービング156の少なくともセクションに出力チュービングを切断することを含む。
【0072】
1つまたは複数の押出ステップは、1つまたは複数の延長レッグについての上記説明に従って、いくつかの延長レッグ110のうちの任意の1つまたは複数の延長レッグを押し出すことを含むことができる。
【0073】
1つまたは複数の成形ステップは、そのような成形可能な構成要素についての上記説明に従って、縫合翼106およびハブ108から選択される任意の1つまたは複数の成形可能な構成要素を成形することを含むことができる。1つまたは複数の成形ステップは、1つまたは複数のルアーコネクタについての上記説明に従って、いくつかのルアーコネクタ124のうちの任意の1つまたは複数のルアーコネクタを成形することをさらに含むことができる。
【0074】
RICC100またはその任意の部分を組み立てる1つまたは複数の組み立てステップは、カテーテルチューブ104の遠位部分が縫合翼106の近位部分に挿入されるという理解のもとに、図3に図示されるものに従ってRICC100を組み立てることを含むことができる。
【0075】
RICC100を患者の血管管腔に導入するための方法は、RICCアセンブリ取得ステップと、針経路確立ステップと、第1および第2のRICC前進ステップと、針抜去ステップとを含む。
【0076】
RICCアセンブリ取得ステップは、RICCアセンブリ102を取得することを含む。上記のように、RICCアセンブリ102は、少なくとも、RICC100と、RICCアセンブリ102の導入準備完了状態でRICCに予め装填されている針150とを含む。実際、RICC102の導入準備完了状態において、針150のシャフトは、RICC100の縫合翼106の針貫通孔114および一次管腔、具体的にはカテーテルチューブ104の一次カテーテルチューブ管腔146を通って延びている。加えて、RICCアセンブリ102の導入準備完了状態において、針150の遠位先端は、カテーテルチューブ104の遠位端を越えて延びている。
【0077】
針経路確立ステップは、針150の遠位先端を用いて皮膚の領域から血管管腔まで針経路を確立することを含む。
第1RICC前進ステップは、針150を越えてカテーテルチューブ104の遠位部分を血管管腔内に前進させることを含む。
【0078】
針抜去ステップは、縫合翼106の針貫通孔114によってRICC100から針150を抜去することを含む。
第2RICC前進ステップは、セルジンガー法を使用する必要なく、カテーテルチューブ104を患者の血管構造を通して前進させることを含む。例えば、挿入部位が右鎖骨下静脈または右内頸静脈である場合、第2RICC前進ステップは、カテーテルチューブ104または少なくともその遠位部分が右鎖骨下静脈または右内頸静脈、右腕頭静脈を通って、上大静脈内に前進するように、カテーテルチューブ104を挿入部位のさらに奥へと挿入することを含むことができる。左鎖骨下静脈または左内頸静脈などの他の挿入部位は、カテーテルチューブ104の遠位部分を、対応する血管構造を通って前進させる必要がある。カテーテルチューブ104は、挿入部位に挿入されて患者の血管構造を通って前進させられるとき、カテーテルチューブ104の座屈を防止するのに十分な円柱強度を有するため、セルジンガー法を使用する必要はない。
【0079】
方法は、注射器接続ステップと血液吸引ステップとをさらに含むことができる。注射器接続ステップは任意選択であり、RICCアセンブリ102の導入準備完了状態において注射器154が針150にまだ接続されていない場合に、注射器154を針150のハブに接続することを含む。血液吸引ステップは、針抜去ステップの前に、注射器154を用いて血液を吸引することを含む。血液吸引ステップは、針150の遠位先端が患者の血管管腔に配置されていることを確認する。
【0080】
方法は、針抜去ステップの後にガイドワイヤ前進ステップをさらに含むことができる。ガイドワイヤ前進ステップは、針抜去ステップの後に、ガイドワイヤ152をカテーテルチューブ104の遠位先端を越えて患者の血管管腔内に前進させることを含む。上記のように、RICCアセンブリ102の導入準備完了状態において、ガイドワイヤ152は、RICC100の一次管腔、具体的にはカテーテルチューブ104の一次カテーテルチューブ管腔146への針150の進入点の近位に、RICC100に予め装填されている。
【0081】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を制限することは意図されていない。当業者は、より広い態様において、付加的な適応をおこなったり、または改変を行ったりすることを理解することができ、これらの適応または改変も包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から外れて実施されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
【国際調査報告】