(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ウェブ構造体を有する非空気圧式タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 7/00 20060101AFI20231228BHJP
B29D 30/02 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B60C7/00 H
B29D30/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537206
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 US2021072694
(87)【国際公開番号】W WO2022140726
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リマイ,ベンジャミン イー.
【テーマコード(参考)】
3D131
4F215
【Fターム(参考)】
3D131AA30
3D131BB19
3D131CC03
3D131LA28
4F215AH21
4F215VC08
(57)【要約】
【解決手段】 非空気圧式タイヤは、第1の直径を有する下部リングと、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する上部リングと、下部リングに接続された複数の閉じた幾何学的形状と、を含む。非空気圧式タイヤは、各閉じた幾何学的形状から上部リングまで延在する複数のスポークを更に含む。複数のスポークのうちの各々は、複数の閉じた幾何学的形状のうちの1つに接続され、かつ第1の方向に延在する第1の直線セグメントと、上部リングに接続され、かつ第1の方向とは異なる第2の方向に延在する第2の直線セグメントと、を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非空気圧式タイヤであって、
少なくとも第1のフープと第2のフープとを含む複数のフープを備え、前記複数のフープのうちの各々が、前記非空気圧式タイヤの回転軸に対して実質的に垂直な対向する平面内に位置する対向する面を有し、前記複数のフープの各々が、
第1の直径を有する下部リングと、
前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する上部リングであって、前記下部リングと実質的に同軸である、上部リングと、
前記下部リングと前記上部リングとの間に延在する支持構造体と、を含み、前記支持構造体が、
前記下部リングに接続された複数の閉じた幾何学的形状と、
各閉じた幾何学的形状から前記上部リングまで延在する複数のスポークと、を含み、前記複数のスポークのうちの各々が、前記複数の閉じた幾何学的形状のうちの1つに接続され、かつ第1の方向に延在する第1の直線セグメントと、前記上部リングに接続され、かつ前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在する第2の直線セグメントと、を含む、非空気圧式タイヤ。
【請求項2】
前記複数の閉じた幾何学的形状のうちの各々が、前記非空気圧式タイヤの第1の側から視認可能である開口部を画定する、請求項1に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項3】
前記第1のフープの前記複数の閉じた幾何学的形状の各開口部が、前記第2のフープの前記複数の閉じた幾何学的形状の対応する開口部と位置合わせされている、請求項2に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項4】
各閉じた幾何学的形状から延在する前記複数のスポークが、第1のスポーク及び第2のスポークを含み、前記第1のスポークの前記第1の直線セグメントが、前記第2のスポークの前記第1の直線セグメントに実質的に平行である、請求項1に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項5】
前記第1のスポークの前記第2の直線セグメントが、前記第2のスポークの前記第2の直線セグメントに実質的に平行である、請求項4に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項6】
前記第1のフープ上の第1の閉じた幾何学的形状が、前記第2のフープ上の第1の閉じた幾何学的形状と位置合わせされており、前記第1のフープ上の前記第1の閉じた幾何学的形状に接続された前記第1のスポークの前記第1の直線セグメントが、前記第2のフープ上の前記第1の閉じた幾何学的形状に接続された第1のスポークの第1の直線セグメントとは異なる方向に延在し、前記第1のフープ上の前記第1の閉じた幾何学的形状から延在する前記第1のスポークの前記第2の直線セグメントが、前記第2のフープ上の前記第1の閉じた幾何学的形状から延在する前記第1のスポークの第2の直線セグメントとは異なる方向に延在する、請求項4に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項7】
前記第1のフープの前記複数のスポークは、荷重が前記非空気圧式タイヤに加えられたときに、第1の撓み方向に撓むように構成されている、請求項1に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項8】
前記第2のフープの前記複数のスポークは、荷重が前記非空気圧式タイヤに加えられたときに、前記第1の撓み方向とは反対の第2の撓み方向に撓むように構成されている、請求項7に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項9】
各スポークの前記第1の直線セグメントが、楕円形移行部によって前記第2の直線セグメントに接合されている、請求項1に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項10】
非空気圧式タイヤを作製する方法であって、前記方法が、
第1の面と第2の面とを有する第1のフープであって、前記第1のフープが、
前記第1の面から前記第2の面まで横方向に延在する第1の下部リングと、
前記第1の面から前記第2の面まで横方向に延在する第1の上部リングであって、前記第1の下部リングと実質的に同軸である、第1の上部リングと、
前記第1の下部リングに接続され、かつ前記第1の面から前記第2の面まで横方向に延在する第1の複数の閉じた幾何学的形状と、
前記第1の複数の閉じた幾何学的形状から前記第1の上部リングまで延在する第1の複数のスポークと、を含み、前記第1の複数のスポークのうちの各々が、前記第1の複数の閉じた幾何学的形状のうちの1つに接続され、かつ第1の方向に延在する第1の直線セグメントと、前記上部リングに接続され、かつ前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在する第2の直線セグメントと、を含む、第1のフープを提供することと、
第1の面と第2の面とを有する第2のフープであって、前記第2のフープが、
前記第1の面から前記第2の面まで横方向に延在する第2の下部リングと、
前記第1の面から前記第2の面まで横方向に延在する第2の上部リングであって、前記第2の下部リングと実質的に同軸である、第2の上部リングと、
前記第2の下部リングに接続され、かつ前記第1の面から前記第2の面まで横方向に延在する第2の複数の閉じた幾何学的形状と、
前記第2の複数の閉じた幾何学的形状から前記第2の上部リングまで延在する第2の複数のスポークと、を含み、前記第2の複数のスポークが、前記第1の複数のスポークと実質的に同じ幾何学的形状を有する、第2のフープを提供することと、
前記第1の複数のスポークが前記第2の複数のスポークと反対の方向に延在するように、前記第1のフープの前記第1の面を前記第2のフープの前記第1の面と位置合わせすることと、を含む、方法。
【請求項11】
前記第1の上部リング及び前記第2の上部リングの周りに周方向にトレッドを巻き付けることを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のフープの前記第1の面を前記第2のフープの前記第1の面と前記位置合わせすることが、前記第1の複数のスポークを前記第2の複数のスポークに接着することなく、前記第1のフープを前記第2のフープに隣接して設置することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
各スポークの前記第1の直線セグメントと前記第2の直線セグメントとの間に楕円形移行部を適用することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
第1の面と第2の面とを有する第3のフープであって、前記第3のフープが、
前記第1の面から前記第2の面まで横方向に延在する第3の下部リングと、
前記第1の面から前記第2の面まで横方向に延在する第3の上部リングであって、前記第3の下部リングと実質的に同軸である、第3の上部リングと、
前記第3の下部リングに接続され、かつ前記第1の面から前記第2の面まで横方向に延在する第3の複数の閉じた幾何学的形状と、
前記第3の複数の閉じた幾何学的形状から前記第3の上部リングまで延在する第3の複数のスポークと、を含み、前記第3の複数のスポークが、前記第1の複数のスポークと実質的に同じ幾何学的形状を有する、第3のフープを提供することと、
前記第3の複数のスポークが前記第2の複数のスポークと反対の方向に延在するように、前記第3のフープの前記第2の面を前記第2のフープの前記第2の面と位置合わせすることと、を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の複数の閉じた幾何学的形状のうちの各々が、六角形形状を有し、前記第2の複数の閉じた幾何学的形状のうちの各々が、六角形形状を有する、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェブ構造体を有する非空気圧式タイヤ及びそれを作製する方法に関する。より具体的には、本開示は、複数の閉じた幾何学的形状と複数のスポークとで形成されたウェブを有する非空気圧式タイヤ及びそれを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤが非膨張状態又は膨張不足状態で走行することを可能にする種々のタイヤの構造が開発されている。非空気圧式タイヤは膨張を必要としないが、「ランフラットタイヤ」は、パンクして加圧空気が完全に又は部分的に失われた後に、長期間、比較的高速で動作し続けることができる。非空気圧式タイヤは、複数のスポーク、ウェビング、又はインナーリングをアウターリングに接続するその他の支持構造体を含んでもよい。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、非空気圧式タイヤは、少なくとも第1のフープと第2のフープとを含む複数のフープを有する。複数のフープのうちの各々は、非空気圧式タイヤの回転軸に対して実質的に垂直な対向する平面内に位置する対向する面を有する。複数のフープのうちの各々は、第1の直径を有する下部リングと、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する上部リングと、を含む。上部リングは、下部リングと実質的に同軸である。複数のフープのうちの各々はまた、下部リングと上部リングとの間に延在する支持構造体を有する。支持構造体は、下部リングに接続された複数の閉じた幾何学的形状と、各閉じた幾何学的形状から上部リングまで延在する複数のスポークと、を含む。複数のスポークのうちの各々は、複数の閉じた幾何学的形状のうちの1つに接続され、かつ第1の方向に延在する第1の直線セグメントと、上部リングに接続され、かつ第1の方向とは異なる第2の方向に延在する第2の直線セグメントと、を含む。
【0004】
別の実施形態では、非空気圧式タイヤを作製する方法は、第1の面と第2の面とを有する第1のフープを提供することを含む。第1のフープは、第1の面から第2の面まで横方向に延在する第1の下部リングと、第1の面から第2の面まで横方向に延在する第1の上部リングと、を含む。第1の上部リングは、第1の下部リングと実質的に同軸である。第1のフープは、第1の下部リングに接続され、かつ第1の面から第2の面まで横方向に延在する第1の複数の閉じた幾何学的形状と、第1の複数の閉じた幾何学的形状から第1の上部リングまで延在する第1の複数のスポークと、を更に含む。第1の複数のスポークのうちの各々は、第1の複数の閉じた幾何学的形状のうちの1つに接続され、かつ第1の方向に延在する第1の直線セグメントと、上部リングに接続され、かつ第1の方向とは異なる第2の方向に延在する第2の直線セグメントと、を含む。本方法はまた、第1の面と第2の面とを有する第2のフープを提供することを含む。第2のフープは、第1の面から第2の面まで横方向に延在する第2の下部リングと、第1の面から第2の面まで横方向に延在する第2の上部リングと、を含む。第2の上部リングは、第2の下部リングと実質的に同軸である。第2のフープは、第2の下部リングに接続され、かつ第1の面から第2の面まで横方向に延在する第2の複数の閉じた幾何学的形状と、第2の複数の閉じた幾何学的形状から第2の上部リングまで延在する第2の複数のスポークと、を更に含む。第2の複数のスポークは、第1の複数のスポークと実質的に同じ幾何学的形状を有する。本方法はまた、第1の複数のスポークが第2の複数のスポークと反対の方向に延在するように、第1のフープの第1の面を第2のフープの第1の面と位置合わせすることとを含む。
【0005】
更に別の実施形態では、非空気圧式タイヤは、第1の直径を有する下部リングと、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する上部リングと、下部リングに接続された複数の閉じた幾何学的形状と、を含む。非空気圧式タイヤは、各閉じた幾何学的形状から上部リングまで延在する複数のスポークを更に含む。複数のスポークのうちの各々は、複数の閉じた幾何学的形状のうちの1つに接続され、かつ第1の方向に延在する第1の直線セグメントと、上部リングに接続され、かつ第1の方向とは異なる第2の方向に延在する第2の直線セグメントと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面では、以下に提供される詳細な説明とともに、特許請求される本発明の代表的実施形態を説明する構造体が例解される。同様の要素は、同一の参照番号で特定される。単一の構成要素として示される要素を、多数の構成要素に置き換えてもよく、多数の構成要素として示される要素を、単一の構成要素に置き換えてもよいことを理解されたい。図面は正確な縮尺ではなく、特定の要素の比率が例解のために誇張されている場合がある。
【
図1】
図1は、非空気圧式タイヤのためのフープ100の一実施形態の正面図である。
【
図2】
図2は、フープ100の拡大部分の部分正面図である。
【
図3】
図3は、フープ100における一対のスポークの第1の直線セグメントの拡大部分の部分正面図である。
【
図4】
図4は、フープ100における一対のスポークの第2の直線セグメントの拡大部分の部分正面図である。
【
図5】
図5は、スポークの第2の直線セグメントとフープ100の上部リングとの間の境界面の拡大部分の部分正面図である。
【
図6】
図6は、非空気圧式タイヤを形成するように組み立てられた複数のフープの一実施形態の正面図である。
【
図7】
図7は、第1のフープ及び第2のフープを有する、部分的に組み立てられた非空気圧式タイヤの一実施形態の部分正面図である。
【
図8】
図8は、第1のフープ及び第2のフープを有する、部分的に組み立てられた非空気圧式タイヤの代替的な実施形態の部分正面図である。
【
図9】
図9は、無荷重状態の第1のフープ及び第2のフープを有する非空気圧式タイヤ400の簡略化された実施形態の部分正面図である。
【
図10】
図10は、荷重状態の非空気圧式タイヤ400の部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下は、本明細書において採用される選択用語の定義を含む。定義は、用語の範囲内にあり、及び実装のために使用され得る構成要素の様々な例又は形式を含む。例は、限定を意図するものではない。用語の単数形及び複数形は、いずれも定義の範囲内であり得る。
【0008】
「軸方向の」及び「軸方向に」は、タイヤの回転軸と平行する方向を指す。
【0009】
「周方向の」及び「周方向に」は、軸方向に対して垂直であるトレッドの表面の外周部に沿って延在する方向を指す。
【0010】
「径方向の」及び「径方向に」は、タイヤの回転軸に対して垂直である方向を指す。
【0011】
本明細書で使用するとき、「トレッド」は、通常の膨張度及び通常の荷重において、道路又は地面と接触するタイヤの部分を指す。
【0012】
以下の説明で使用される同様の用語によって一般的なタイヤ構成要素が説明されるが、当然のことながら、用語は若干異なる含意を有するため、当業者は、以下の用語のうちのいずれか1つが、一般的なタイヤ構成要素の説明に使用される別の用語と単に交換することができるとは見なさないであろうことを理解されたい。
【0013】
本明細書では、方向は、タイヤの回転軸を基準にして述べられる。「上向きの」及び「上向きに」という用語は、タイヤのトレッドに向かう一般方向を指し、「下向きの」及び「下向きに」は、タイヤの回転軸に向かう一般方向を指す。したがって、「上部の」及び「下部の」又は「頂部の」及び「底部の」など相対的な方向用語が要素に関連して使用されるとき、「上部の」又は「頂部の」要素は、「下部」又は「底部」の要素よりもトレッドに近い位置に離間配置される。加えて、「上」又は「下」など相対的な方向用語が要素に関連して使用されるとき、別の要素の「上」にある要素は、他の要素よりもトレッドに近い。
【0014】
「内側の」及び「内側に」という用語は、タイヤの赤道面に向かう一般方向を指し、「外側の」及び「外側に」は、タイヤの赤道面から離れ、タイヤの側部に向かう一般方向を指す。したがって、「内部」及び「外部」など相対的な方向用語が要素と関連して使用されるとき、「内部」要素は、「外部」要素よりもタイヤの赤道面の近くに離間配置される。
【0015】
図1は、非空気圧式タイヤのためのフープ100の一実施形態の正面図を図示する。フープ100は、第1の直径を有する下部リング105と、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する上部リング110と、を含む。下部リング105は、上部リング110と実質的に同軸である。フープ100はまた、下部リング105に接続された複数の閉じた幾何学的形状115と、各閉じた幾何学的形状115から上部リング110まで延在する複数のスポーク120とによって形成されているウェビング又はウェブ構造体を含む。
【0016】
複数の閉じた幾何学的形状115のうちの各々は、フープ100の第1の側からフープ100の第2の側まで延在する開口部を画定する。したがって、開口部は、フープ100の第1及び第2の側の両方から視認可能である。図示の実施形態では、閉じた幾何学的形状115の各々は、実質的に同じ寸法を有する六角形形状を有する。代替的な実施形態では、閉じた幾何学的形状のうちの1つ以上は、異なる寸法を有し得る。閉じた幾何学的形状は六角形形状に限定されないことも理解されたい。他の代替的な実施形態では、閉じた幾何学的形状は、三角形、正方形、長方形、五角形、七角形、八角形、円形、卵形、楕円形、又は任意の他の幾何学的形状であってもよい。閉じた幾何学的形状は、直線状の辺、湾曲した辺、又は直線状及び湾曲した辺の両方を有し得る。
【0017】
図示される実施形態では、一対のスポーク120a、bが、各閉じた幾何学的形状115から延在する。代替的な実施形態では、単一のスポークが、各閉じた幾何学的形状から延在する。別の代替的な実施形態では、3つ以上のスポークが、各閉じる幾何学的形状から延在する。更に別の代替的な実施形態では、各閉じた幾何学的形状から延在するスポークの数は、変動してもよい。
【0018】
図2は、フープ100の拡大部分の部分正面図を図示し、単一の幾何学的形状115aと、その関連付けられた一対のスポークであって、第1のスポーク120aと第2のスポーク120bとを含む、一対のスポークと、を示す。この図で分かるように、第1のスポーク120aは、閉じた幾何学的形状115aに接続され、かつ第1の方向に延在する第1の直線セグメント125を含む。第1のスポーク120aは、第1の直線セグメント125に接続され、かつ第1の方向とは異なる第2の方向に上部リング110まで延在し、上部リング110と鋭角を形成する第2の直線セグメント130を更に含む。
【0019】
同様に、第2のスポーク120bもまた、閉じた幾何学的形状115aに接続され、かつ第1の方向に延在する第1の直線セグメント135を含む。第2のスポーク120bは、第1の直線セグメント135に接続され、かつ第2の方向に上部リング110まで延在し、したがって上部リング110と鋭角も形成する、第2の直線セグメント140を更に含む。
【0020】
・スポーク120は、近くにあるスポークとの衝突を回避するために、スポーク120が撓むときに特定の方向に座屈する傾向があるような方向性幾何学形状を特徴とする。図示される実施形態では、第1のスポーク120aの第1の直線セグメント125は、第2のスポーク120bの第1の直線セグメント135に実質的に平行である。代替的な方向において、第1のスポークの第1の直線セグメントは、第2のスポークの第1の直線セグメントの角度とは異なる角度で、閉じた幾何学的形状から延在してもよい。
【0021】
加えて、第1のスポーク120aの第2の直線セグメント130は、第2のスポーク120bの第2の直線セグメント140に実質的に平行である。代替的な方向において、第1のスポークの第2の直線セグメントは、第2のスポークの第2の直線セグメントの角度とは異なる角度で上部リングから延在してもよい。別の代替的な実施形態では、スポークのうちの少なくとも1つの第2の直線セグメントが、上部リングと直角を形成する。
【0022】
図3は、閉じた幾何学的形状115aに接続された一対のスポーク120a、bの第1の直線セグメント125、135の拡大部分の部分正面図を図示する。この図から分かるように、各スポーク120a、bの第1の直線セグメント125、135は、可変の厚さを有する。例えば、第1のスポーク120aの第1の直線セグメント125は、第1の厚さT
1を有する第1の端部と、第2の厚さT
2を有する第2の端部と、第3の厚さT
3を有する中間部分と、を有する。図示の実施形態では、第1の厚さT
1は、第2の厚さT
2にほぼ等しく、一方、第3の厚さT
3は、第1の厚さT
1よりも小さく、かつ第2の厚さT
2よりも小さい。
【0023】
代替的な実施形態(図示せず)では、第1の厚さは第2の厚さよりも大きく、第2の厚さは第3の厚さよりも大きい。別の代替的な実施形態(図示せず)では、第2の厚さは第1の厚さよりも大きく、第1の厚さは第3の厚さよりも大きい。更に別の代替的な実施形態(図示せず)では、第1の厚さは第2の厚さにほぼ等しく、一方、第3の厚さは第1の厚さ及び第2の厚さの両方よりも大きい。なおも別の実施形態(図示せず)では、第1の厚さは第2の厚さよりも小さく、第2の厚さは第3の厚さよりも小さい。更に別の代替的な実施形態(図示せず)では、第2の厚さは第1の厚さよりも小さく、第1の厚さは第3の厚さよりも小さい。
【0024】
図4は、上部リング110に接続された一対のスポーク120a、bの第2の直線セグメント130、140の拡大部分の部分正面図を図示する。この図から分かるように、各スポーク120a、bの第2の直線セグメント130、140は、可変の厚さを有する。例えば、第1のスポーク120aの第2の直線セグメント130は、第4の厚さT
4を有する第1の端部と、第5の厚さT
5を有する第2の端部と、第6の厚さT
6を有する中間部分と、を有する。図示の実施形態では、第4の厚さT
4は、第5の厚さT
5にほぼ等しく、一方、第6の厚さT
6は、第4の厚さT
4よりも小さく、かつ第5の厚さT
5よりも小さい。
【0025】
代替的な実施形態(図示せず)では、第4の厚さは第5の厚さよりも大きく、第5の厚さは第6の厚さよりも大きい。別の代替的な実施形態(図示せず)では、第5の厚さは第4の厚さよりも大きく、第4の厚さは第6の厚さよりも大きい。更に別の代替的な実施形態(図示せず)では、第4の厚さは第5の厚さにほぼ等しく、一方、第6の厚さは第4の厚さ及び第5の厚さの両方よりも大きい。なおも別の実施形態(図示せず)では、第4の厚さは第5の厚さよりも小さく、第5の厚さは第6の厚さよりも小さい。更に別の代替的な実施形態(図示せず)では、第5の厚さは第4の厚さよりも小さく、第4の厚さは第6の厚さよりも小さい。
【0026】
図示される実施形態では、第1、第2、第4、及び第5の厚さ(T1、T2、T4、T5)は、全て互いにほぼ等しい。同様に、第3の厚さT3は、第6の厚さT6にほぼ等しい。しかしながら、これらの部分の相対的な厚さは変動し得ることを理解されたい。各スポークの厚さをその長さに沿って上述した方法のうちの1つで変動させることにより、スポークが撓むときの表面ひずみを低減又は最小化することができる。
【0027】
図2~
図4に見られるように、各スポーク120a、bの第1の直線セグメント125、135は、楕円形移行部145によってそれぞれの第2の直線セグメント130、140に接合されている。円形フィレットではなく楕円形移行部を使用することにより、スポークが撓むときの表面ひずみを低減するか、又は更に最小化することができる。しかしながら、製造を容易にするために、異なる移行部を用いることが望ましい場合がある。したがって、代替的な実施形態では、各スポークの第1の直線セグメントは、丸みを帯びた(すなわち、円弧によって画定される)又は他の湾曲した移行部によって、それぞれの第2の直線セグメントに接合されている。湾曲した移行部は、複数の半径によって画定され得る。更に別の代替的な実施形態では、第1の直線セグメント及び第2の直線セグメントは、鋭角を形成する。なおも別の代替的な実施形態では、1つ以上の追加の直線セグメントが、第1の直線セグメントと第2の直線セグメントとの間に配置される。
【0028】
追加的に、
図3に最もよく示されるように、各スポーク120a、bの第1の直線セグメント125、135は、楕円形移行部150、155によって閉じた幾何学的形状115aに接合されている。代替的な実施形態では、各スポークの第1の直線セグメントは、丸みを帯びた又は他の湾曲した移行部によって閉じた幾何学的形状に接合されている。更に別の代替的な実施形態では、第1の直線セグメントは、閉じた幾何学的形状と鋭角を形成する。
【0029】
図5は、スポーク120の第2の直線セグメント130とフープ100の上部リング110との間の境界面の拡大部分の部分正面図を図示する。図示される実施形態では、各スポーク120の第2の直線セグメント130は、一対の楕円形移行部160、165によって上部リング110に接合されている。代替的な実施形態では、各スポークの第2の直線セグメントは、丸みを帯びた又は他の湾曲した移行部によって上部リングに接合されている。更に別の代替的な実施形態では、第2の直線セグメントは、上部リングと鋭角を形成する。
【0030】
第2の直線セグメント130は、非半径方向に延在するので、上部リング110と直角を形成しない。代わりに、第2の直線セグメントは、第1の楕円形移行部160において上部リング110と鋭角を形成し、第2の直線セグメントは、第2の楕円形移行部165において上部リング110と鈍角を形成する。代替的な実施形態では、各スポークの第2の直線セグメントは、丸みを帯びた移行部によって上部リングに接合されている。更に別の代替的な実施形態では、第2の直線セグメントは、上部リングと鋭角を形成する。
【0031】
各直線セグメントの角度及び厚さは、各スポークの撓みを制御するように選択されてもよい。同様に、2つの直線セグメント間、直線セグメントと上部リングとの間、又は直線セグメントと閉じた幾何学的形状との間の接合部又は移行部の形状も、各スポークの撓みを制御するように選択されてもよい。そのような変数は、撓みの方向及び振幅の両方を制御し、スポーク、リング、及び閉じた幾何学的形状における応力集中を低減するように変更されてもよい。
【0032】
フープ100は、天然ゴム又は合成ゴムなどのポリマー材料、その他のエラストマー材料で構築されてもよい。代替的に、フープ100は、ポリウレタン、ポリエステル、ナイロン、及びポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)などの、より硬いポリマー材料で構築され得る。全ての場合において、フープ100は、任意選択的に、特定の構成要素に埋め込まれた、若しくは特定の構成要素の周りに配置された、補強コード又はメッシュなどの補強層を含むことができる。補強材は、ナイロン、ポリエステル、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド、ガラス、ポリエチレン(ポリエチレンテレフタレート)、鋼、他の金属、又は他の補強材料で構築されたコードによって形成され得る。別の代替的な実施形態では、フープ100は、鋼、アルミニウム、又は金属合金などの金属から構築されてもよい。
【0033】
一実施形態では、フープ100などの単一のフープを使用して、非空気圧式タイヤを形成することができる。そのような実施形態では、トレッド層(図示せず)をフープの周りに円周方向に配置することができる。トレッド層は、ゴム、又は別のエラストマー材料から構築されてもよい。トレッド層は、剪断バンドなどの剪断要素を含むことができる。剪断要素は、実質的に非弾性材料の1つ以上の層を含んでもよい。そのような層は、鋼などの金属から形成されてもよい。そのような層は、材料のシート又は材料のコードによって形成されてもよい。剪断要素は、エラストマーなどの伸張性材料の層を任意選択的に含むことができる。例えば、剪断要素は、伸張性材料の層によって分離された一対の非伸張性層を含んでもよい。
【0034】
トレッド層はまた、溝、リブ、ブロック、ラグ、サイプ、及び他の既知のトレッド要素などの複数のトレッド要素を含んでもよい。代替的な実施形態(図示せず)では、分離したトレッド層を省略してもよい。そのような場合、トレッド要素は、フープの上部リング上に直接形成されてもよい。
【0035】
代替的に、複数のフープを組み立てて、非空気圧式タイヤを形成してもよい。例えば、
図6は、トレッド205を有する非空気圧式タイヤ200を形成するように組み立てられた複数のフープ100の一実施形態の正面図を図示する。本実施形態では、フープ100の各々は、
図1~
図5に示され、上記で考察されたフープ100と実質的に同じである。同様の構成要素には同様の参照番号を使用する。しかしながら、上記で考察されたフープの代替的な実施形態のいずれも、複数フープの実施形態に同様に適用することができることを理解されたい。追加的に、代替的な実施形態では、異なる特性を有するフープをマルチフープタイヤにおいて用いることができる。
【0036】
図示される実施形態では、非空気圧式タイヤ200の複数のフープ100は、第1のフープ100aと、第2のフープ100bと、一連の追加のフープと、を含む。各フープ100は、非空気圧式タイヤ200の回転軸に対して実質的に垂直な対向する平面内に位置する対向する面を有する。一実施形態では、各フープ100は、1インチ(2.54cm)幅であり、非空気圧式タイヤ200は、12個のフープを含み、したがって12インチ(30.48cm)幅である。代替的な実施形態では、各フープは、0.5~6インチ(1.27~15.24cm)の幅を有してもよく、非空気圧式タイヤは、非空気圧式タイヤが5~12インチ(12.7~30.48cm)の幅を有するように、1~120個のフープから形成されてもよい。
【0037】
図示される実施形態では、フープ100は、第1のフープ100aの複数の閉じた幾何学的形状115のうちの各々の開口部が、第2のフープ100b及び後続のフープの複数の閉じた幾何学的形状115のうちの対応する1つの開口部と位置合わせされるように配設される。第1のフープ100aは、第1の配向で配設され、第2のフープは、反対の配向で配設され、後続のフープは、交互の配向で配設される。
【0038】
したがって、第1のフープ100a上の第1の閉じた幾何学的形状115に接続された第1のスポークの第1の直線セグメント125aは、第2のフープ100b上の第1の閉じた幾何学的形状115に接続された第1のスポークの第1の直線セグメント125bとは異なる方向に延在する。同様に、第1のフープ100a上の第1の閉じた幾何学的形状115から延在する第1のスポークの第2の直線セグメント130aは、第2のフープ100b上の第1の閉じた幾何学的形状115から延在する第1のスポークの第2の直線セグメント130bとは異なる方向に延在する。
【0039】
ここで、第1及び第2のフープ100a、bは、第1のフープ100a上の第1の閉じた幾何学的形状115から延在する第1のスポークの第1の直線セグメント125aが、第2のフープ100b上の第1の閉じた幾何学的形状115から延在する第1のスポークの第2の直線セグメント130bに実質的に平行であるように寸法決めされる。追加的に、第1のフープ100a上の第1の閉じた幾何学的形状115から延在する第1のスポークの第2の直線セグメント130aは、第2のフープ100b上の第1の閉じた幾何学的形状115に接続された第1のスポークの第1の直線セグメント125bに実質的に平行である。
【0040】
同様に、第1のフープ100a上の第1の閉じた幾何学的形状115から延在する第2のスポークの第1の直線セグメント135aは、第2のフープ100b上の第1の閉じた幾何学的形状115から延在する第2のスポークの第2の直線セグメント140bに実質的に平行である。追加的に、第1のフープ100a上の第1の閉じた幾何学的形状115から延在する第2のスポークの第2の直線セグメント140aは、第2のフープ100b上の第1の閉じた幾何学的形状115に接続された第2のスポークの第1の直線セグメント135bに実質的に平行である。しかしながら、代替的な実施形態では、異なるスポークのセグメントは、互いに平行ではない。
【0041】
一実施形態では、タイヤ内の隣接するフープは、互いに軸方向に離間している。代替的な実施形態では、隣接するフープは、互いに接触する。しかしながら、全ての実施形態では、フープ100は、隣接するフープが互いに直接接着されないように、又は他の方法で互いに直接固定されないように組み立てられる。このようにして、所与のスポークの撓みは、隣接するフープのスポーク又はウェビングによって制約されない。
【0042】
フープの剛性は、フープの円周の周りのピッチの数を変動させることによって調整することができる。例えば、
図1に示すフープ100は、30ピッチを有する。すなわち、フープ100は、30個の閉じた幾何学的形状115と、30個の関連付けられた対のスポーク120(合計60個のスポーク120)と、を含む。この30ピッチ配設は、第1のフープ100a及び第2のフープ100bを有する部分的に組み立てられた非空気圧式タイヤの一実施形態の部分正面図を図示する
図7にも示されている。対照的に、
図8は、第1のフープ300a及び第2のフープ300bを有する部分的に組み立てられた非空気圧式タイヤの代替的な実施形態の部分正面図を図示する。この実施形態では、各フープ300a、bは、45ピッチを有する。すなわち、各フープ300a、bは、45個の閉じた幾何学的形状315と、45個の関連付けられたスポークの対320(合計90個のスポーク320)と、を含む。フープ300a、bのピッチは、フープ100a、bのピッチと比較して、互いに比較的接近して離間される。したがって、フープ300a、bは、フープが同様の材料から作製され、かつ同様に寸法決めされる場合、フープ100a、bよりも剛性である。
【0043】
上述した非空気圧式タイヤのうちの1つを製造するために、製造業者は、第1の面と第2の面とを有する第1のフープを提供する。第1のフープは、第1の面から第2の面まで横方向に延在する第1の下部リングと、第1の面から第2の面まで横方向に延在する第1の上部リングと、を含む。第1の上部リングは、第1の下部リングと実質的に同軸である。第1のフープは、第1の下部リングに接続され、かつ第1の面から第2の面まで横方向に延在する、第1の複数の閉じた幾何学的形状と、第1の複数の閉じた幾何学的形状から第1の上部リングまで延在する第1の複数のスポークと、を更に含む。複数のスポークのうちの各々は、第1の複数の閉じた幾何学的形状のうちの1つに接続され、かつ第1の方向に延在する第1の直線セグメントと、上部リングに接続され、かつ第1の方向とは異なる第2の方向に延在する第2の直線セグメントと、を含む。
【0044】
製造業者はまた、第1の面と第2の面とを有する第2のフープを提供する。第2のフープは、第1の面から第2の面まで横方向に延在する第2の下部リングと、第1の面から第2の面まで横方向に延在する第2の上部リングと、を含む。第2の上部リングは、第2の下部リングと実質的に同軸である。第2のフープは、第2の下部リングに接続され、かつ第1の面から第2の面まで横方向に延在する第2の複数の閉じた幾何学的形状と、第2の複数の閉じた幾何学的形状から第2の上部リングまで延在する第2の複数のスポークと、を更に含み、第2の複数のスポークは、第1の複数のスポークと実質的に同じ幾何学的形状を有する。
【0045】
次いで、製造業者は第1の複数のスポークが第2の複数のスポークと反対の方向に延在するように、第1のフープの第1の面を第2のフープの第1の面と位置合わせする。第1のフープの第1の面を第2のフープの第1の面と位置合わせすることが、第1の複数のスポークを第2の複数のスポークに接着することなく、第1のフープを第2のフープに隣接して設置することを含み得る。第1のフープは、第2のフープに接触してもよいか、又は第2のフープから軸方向に離間されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、製造業者はまた、第1の面と第2の面とを有する第3のフープを提供してもよい。第3のフープは、第1の面から第2の面まで横方向に延在する第3の下部リングと、第1の面から第2の面まで横方向に延在する第3の上部リングとを含み、第3の上部リングは、第3の下部リングと実質的に同軸である。第3のフープは、第3の下部リングに接続され、かつ第1の面から第2の面まで横方向に延在する第3の複数の閉じた幾何学的形状と、第3の複数の閉じた幾何学的形状から第3の上部リングまで延在する第3の複数のスポークと、を更に含む。第3の複数のスポークは、第1の複数のスポークと実質的に同じ幾何学的形状を有してもよい。次いで、製造業者は、第3の複数のスポークが第2の複数のスポークと反対の方向に延在するように、第3のフープの第2の面を第2のフープの第2の面と位置合わせする。製造業者は、所望の数のフープが組み立てられるまで、このプロセスを繰り返し得る。
【0047】
一実施形態では、製造業者はまた、第1の上部リング及び第2の上部リングの周りに周方向にトレッドを巻き付ける。代替的な実施形態では、製造業者は、組み立てられたフープの上部リングにトレッド要素を形成してもよい。
【0048】
組み立てられたタイヤのスポークは、所与の荷重下で所望の方向に所望の量だけ撓むように設計することができる。非空気圧式タイヤにおけるスポークの撓みの一例が
図9及び
図10に示されている。
図9は、無荷重状態の第1のフープ405及び第2のフープ410を有する非空気圧式タイヤ400の簡略化された実施形態の部分正面図を図示する。第1のフープ405及び第2のフープ410は各々、他の実施形態において上述した閉じた幾何学的形状及びスポークと同様に、複数の閉じた幾何学的形状415及び複数のスポーク420を含む。
【0049】
図10は、荷重状態の非空気圧式タイヤ400の部分正面図を図示する。非空気圧式タイヤ400が所定の閾値を超える荷重下に置かれると、回転軸の下のスポーク420はそれに応じて撓む。スポークは、近くにあるスポークとの衝突を回避するために、スポークが撓むときに特定の方向に座屈する傾向があるような方向性幾何学形状を特徴とする。図示される実施形態は、第1のフープ405内のスポーク420は、第1の方向に撓み、第2のフープ410内のスポーク420は、第1の方向とは異なる第2の方向に撓む。
【0050】
一実施形態では、非空気圧式タイヤは、耐疲労性を最大にしながら、5000lbf以上の荷重を担持するように設計されてもよい。換言すれば、非空気圧式タイヤの設計者は、そのような荷重下での各スポークの撓みを制御するために、各直線セグメントの角度及び厚さを選択することができる。同様に、非空気圧式タイヤの設計者は、2つの直線セグメント間、直線セグメントと上部リングとの間、又は直線セグメントと閉じた幾何学的形状との間の接合部又は移行部の形状を、そのような荷重下での各スポークの撓みを制御するように選択してもよい。
【0051】
本明細書又は特許請求の範囲で使用される範囲において、「含む(comprising)」という用語が特許請求項で移行句として用いられる際の解釈と同様に、「含む(includes)」又は「含むこと(including)」という用語が包括的であることが意図される。更に、「又は(or)」という用語が用いられる範囲において(例えば、A又はB)、「A若しくはB、又は両方」を意味することが意図されている。本出願人らが「両方ではなくA又はBのみ」を示すことを意図する場合、「両方ではなくA又はBのみ(only A or B but not both)」という用語が用いられる。したがって、本明細書における「又は」という用語の使用は、排他的ではなく、包括的である。Bryan A.Garner,A Dictionary of Modern Legal Usage 624(2d.Ed.1995)を参照されたい。また、「中(in)」又は「中へ(into)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「上(on)」又は「上へ(onto)」を追加的に意味することが意図される。更に、「接続する(connect)」という用語が本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「~と直接接続する(directly connected to)」ことだけではなく、別の構成要素を介して接続することなどのように「~と間接的に接続する(indirectly connected to)」ことも同様に意味することが意図される。
【0052】
本出願をその実施形態の記述によって例解し、またその実施形態をかなり詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲の範囲をこのような詳細に制限するか、又はいかなる形式でも限定することは、出願人らの本意するものではない。追加の利点及び改良が、当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、そのより広い態様における本出願は、図示及び説明される、特定の詳細、代表的な装置及び方法、並びに例示的実施例に限定されるものではない。このため、出願人の一般的な発明概念の趣旨又は範囲から逸脱することなく、そのような詳細からの逸脱がなされてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非空気圧式タイヤであって、
少なくとも第1のフープと第2のフープとを含む複数のフープを備え、前記複数のフープのうちの各々が、前記非空気圧式タイヤの回転軸に対して実質的に垂直な対向する平面内に位置する対向する面を有し、前記複数のフープの各々が、
第1の直径を有する下部リングと、
前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する上部リングであって、前記下部リングと実質的に同軸である、上部リングと、
前記下部リングと前記上部リングとの間に延在する支持構造体と、を含み、前記支持構造体が、
前記下部リングに接続された複数の閉じた幾何学的形状と、
各閉じた幾何学的形状から前記上部リングまで延在する複数のスポークと、を含み、前記複数のスポークのうちの各々が、前記複数の閉じた幾何学的形状のうちの1つに接続され、かつ第1の方向に延在する第1の直線セグメントと、前記上部リングに接続され、かつ前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在する第2の直線セグメントと、を含む、非空気圧式タイヤ。
【請求項2】
前記複数の閉じた幾何学的形状のうちの各々が、前記非空気圧式タイヤの第1の側から視認可能である開口部を画定しており、前記第1のフープの前記複数の閉じた幾何学的形状の各開口部が、前記第2のフープの前記複数の閉じた幾何学的形状の対応する開口部と位置合わせされている、請求項1に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項3】
各閉じた幾何学的形状から延在する前記複数のスポークが、第1のスポーク及び第2のスポークを含み、前記第1のスポークの前記第1の直線セグメントが、前記第2のスポークの前記第1の直線セグメントに実質的に平行である、請求項1に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項4】
前記第1のフープの前記複数のスポークは、荷重が前記非空気圧式タイヤに加えられたときに、前記第1の撓み方向に撓むように構成されており、前記第2のフープの前記複数のスポークは、荷重が前記非空気圧式タイヤに加えられたときに、前記第1の撓み方向とは反対の第2の撓み方向に撓むように構成されている、請求項1に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項5】
各スポークの前記第1の直線セグメントが、楕円形移行部によって前記第2の直線セグメントに接合されている、請求項1に記載の非空気圧式タイヤ。
【国際調査報告】