(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】低レベルのVA-RNAを有する産生細胞
(51)【国際特許分類】
C12N 15/35 20060101AFI20231228BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231228BHJP
C12N 15/34 20060101ALI20231228BHJP
C12N 15/85 20060101ALI20231228BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
C12N15/35 ZNA
C12N5/10
C12N15/34
C12N15/85 Z
C12N7/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537252
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2021086768
(87)【国際公開番号】W WO2022136258
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517238400
【氏名又は名称】ツェヴェック ファーマシューティカルズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】ハイン ケルスティン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ カルモ ギル ゴンカルベス イネス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッシンク ジルケ
(72)【発明者】
【氏名】ハジェッツ ベン
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
(57)【要約】
本発明は、アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドタンパク質をコードする核酸を含む宿主細胞であって、AAVカプシドタンパク質VP1の開始コドンを囲むプロテインキナーゼR(PKR)活性化配列が不活性化されていると同時に、AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3の機能的発現を維持している、宿主細胞に関する。本発明は、アデノ随伴ウイルス(AAV)を産生する方法であって、本発明の宿主細胞において該AAVを発現させる工程を含む、方法に更に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドタンパク質をコードする核酸を含む宿主細胞であって、
AAVカプシドタンパク質VP1の開始コドンを囲むプロテインキナーゼR(PKR)活性化配列が不活性化されていると同時に、AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3の機能的発現を維持している、宿主細胞。
【請求項2】
前記PKR活性化配列が、カプシドのプレmRNAをコードする配列のイントロンのスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1を置き換えることにより不活性化されている、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項3】
前記PKR活性化配列が、天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40を異なるプロモーターと置き換え、カプシドコード配列の外側のスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1を含むp40イントロンの一部を異なる起源のイントロンと置き換えることにより不活性化されている、請求項1又は2に記載の宿主細胞。
【請求項4】
天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40が、誘導性プロモーターと置き換えられており、及び/又は天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40のイントロンが、スプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1の代わりとなり、適切なスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位を提供する置換用イントロンとカプシドコード配列の外側で置き換えられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の宿主細胞。
【請求項5】
前記置換用イントロンが、SV40イントロン、合成CAGプロモーターイントロン、及びβ-グロビンイントロンからなる群から選択される、請求項4に記載の宿主細胞。
【請求項6】
誘導性プロモーター制御下のAAVレプリカーゼ(Rep)タンパク質をコードする核酸、及び/又は、
アデノウイルスE1Aタンパク質及びアデノウイルスE1Bタンパク質をコードする核酸、及び/又は、
誘導性プロモーター制御下のアデノウイルスE2Aタンパク質及びアデノウイルスE4orf6タンパク質をコードする核酸、
を更に含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の宿主細胞。
【請求項7】
1種以上の目的遺伝子(GOI)を含む導入ベクターをコードする核酸を更に含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の宿主細胞。
【請求項8】
前記AAVカプシドタンパク質の発現を制御する誘導性プロモーター及び/又はAAVレプリカーゼタンパク質の発現を制御する誘導性プロモーター及び/又はアデノウイルスE2Aタンパク質及びアデノウイルスE4orf6タンパク質の発現を制御する誘導性プロモーターが、tet誘導性プロモーター、cumate誘導性プロモーター、タモキシフェン誘導性プロモーター、ラパマイシン誘導性プロモーター、FKCsA誘導性プロモーター、ABA誘導性プロモーター、リボスイッチ制御プロモーター、及び熱ショックプロモーター駆動型システム、光切り替え可能なシステムからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の宿主細胞。
【請求項9】
前記PKR活性化配列が、天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40を異なるプロモーターと置き換え、カプシドコード配列の外側のスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1を含むp40イントロンの一部を異なる起源のイントロンと置き換えることにより不活性化されており、
天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40が、恒常的プロモーター又は誘導性プロモーターと置き換えられており、天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40のイントロンが、部分的に置き換えられ、すなわち、カプシドコード配列の外側が、スプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1の代わりとなるイントロンと置き換えられており、
プロモーターから前記AAVカプシドタンパク質のコード配列の開始コドンまでのそれぞれのヌクレオチド配列が、
プロモーター-N1-イントロン-N2-ATG
(式中、
プロモーターは、前記恒常的プロモーター又は前記誘導性プロモーターであり、
N1は、1ヌクレオチド~4000ヌクレオチドの配列であり、
イントロンは、最小コンセンサス配列であるGT/AGを有する適切なスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位を供給するイントロンからなる群から選択されるイントロンであり、
N2は、1ヌクレオチド~4000ヌクレオチドの配列であり、
ATGが、AAVカプシドタンパク質コード配列の開始コドンである)の構造を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の宿主細胞。
【請求項10】
プロモーターが、第三世代のTRE3Gプロモーター等のtet誘導性プロモーター、cumate誘導性プロモーター、タモキシフェン誘導性プロモーター、ラパマイシン誘導性プロモーター、FKCsA誘導性プロモーター、ABA誘導性プロモーター、リボスイッチ制御プロモーター、及び熱ショックプロモーター駆動型システム、光切り替え可能なシステムからなる群から選択される誘導性プロモーターである、請求項9に記載の宿主細胞。
【請求項11】
イントロンが、SV40イントロン、合成CAGプロモーターイントロン、及びβ-グロビンイントロンからなる群から選択されるイントロンである、請求項9又は10に記載の宿主細胞。
【請求項12】
前記PKR活性化配列が、天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40を異なるプロモーターと置き換え、カプシドコード配列の外側のスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1を含むp40イントロンの一部を異なる起源のイントロンと置き換えることにより不活性化されており、
天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40が、異なるプロモーターと置き換えられており、天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40のイントロンが、部分的に置き換えられ、すなわち、カプシドコード配列の外側が、スプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1の代わりとなるSV40イントロンと置き換えられており、
プロモーターから前記AAVカプシドタンパク質のコード配列の開始コドンまでのそれぞれのヌクレオチド配列が、
(i)配列番号4若しくは配列番号5に記載のヌクレオチド配列、又は、
(ii)配列番号4若しくは配列番号5に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列であり、ただし、上記の必要条件が該ヌクレオチド配列に適用され、
配列番号4又は配列番号5の最後の3ヌクレオチドであるATGが、AAVカプシドタンパク質コード配列の開始コドンである、請求項1~11のいずれか1項に記載の宿主細胞。
【請求項13】
CAP細胞、HEK293細胞、及びPer.C6細胞からなる群から選択される細胞に由来する、請求項1~12のいずれか1項に記載の宿主細胞。
【請求項14】
アデノ随伴ウイルス(AAV)を産生する方法であって、請求項1~13のいずれか1項に記載の宿主細胞において該AAVを発現させる工程を含む、方法。
【請求項15】
アデノ随伴ウイルス(AAV)の産生における請求項1~13のいずれか1項に記載の宿主細胞の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドタンパク質をコードする核酸を含む宿主細胞であって、AAVカプシドタンパク質VP1の開始コドンを囲むプロテインキナーゼR(PKR)活性化配列が不活性化されていると同時に、AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3の機能的発現を維持している、宿主細胞に関する。本発明は、アデノ随伴ウイルス(AAV)を産生する方法であって、本発明の宿主細胞において該AAVを発現させる工程を含む、方法に更に関する。
【背景技術】
【0002】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、ヒト及び一部の他の霊長類種に感染する小型ウイルスである。それらは、ディペンドウイルス(Dependoparvovirus)属に属し、またディペンドウイルス属は、パルボウイルス(Parvoviridae)科に属する。アデノ随伴ウイルスは、小型(20nm)のエンベロープのない複製欠損ウイルスである。
【0003】
AAVは、なんらの疾患も引き起こさず、非常に軽度の免疫応答を誘発するのみであることが現在知られている。幾つかの更なる特徴のため、AAVは、遺伝子治療用のウイルスベクターを作製するため、及び同質遺伝子型のヒト疾患モデルを作製するための魅力的な候補である。AAVを使用する遺伝子治療ベクターは、分裂細胞及び静止細胞の両方に感染することができ、宿主細胞のゲノムに組み込まれることなく染色体外の状態で存続することができるが、天然のウイルスでは、ウイルスに保有される遺伝子の宿主ゲノムへの組み込みが発生する。
【0004】
近年、AAV由来のベクターに基づく承認製品の数及び遺伝子治療の臨床試験数が急速に増加している。遺伝子治療におけるAAVベクターの利点は、優れた安全性プロファイル、上述の非病原性、導入遺伝子の安定した発現、並びに分裂細胞及び非分裂細胞への形質導入が可能なことである。
【0005】
現在、組換えAAVの産生は、多数の構成要素を必要とする。組換えウイルスの産生には、AAVゲノムにより通常コードされるレプリカーゼ(Rep)及びカプシド(Cap)タンパク質が必要とされ、これらはトランスで供給される。ヘルパー遺伝子は、異なるヘルパーウイルスに由来し得て、最も一般的なものは、アデノウイルスから得られるヘルパーウイルス遺伝子であるE1A、E1B、E2A、E4orf6、及びVA RNA(ウイルス関連RNA)である。加えて、逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた目的遺伝子(GOI)を含む導入ベクターが必要とされる。
【0006】
現在のAAVベースの産生系は、主に以下の技術に依存するが、これらには幾つかの欠点がある。一過性の形質移入は、通常、2つ又は3つのプラスミド系(目的遺伝子を含む導入ベクター;アデノウイルスのヘルパー機能を有するpHelper;カプシド及びレプリカーゼ機能を供給するpAAV-Rep2CapX(CapX=異なるAAV血清型のカプシド機能))を必要とする。しかしながら、かかる技術は、十分な拡張性、頑強性、及び再現性を欠き、プラスミドDNAに高い費用がかかる。目的遺伝子が既に安定的に組み込みこまれた、いわゆる産生細胞株は、主にHEK細胞又はHeLa細胞がベースとなっている。しかしながら、かかる細胞は、ヘルパーウイルス、例えばアデノウイルスの追加の感染を必要とする。AAV産生におけるヘルパーウイルスのこの追加により、対応するヘルパーウイルスの最初の産生後に、産生されたAAVベクターの徹底的な精製により最終製品からヘルパーウイルスを除去すること、及び高い費用をかけてヘルパーウイルスが存在しないことを証明することが必要となる。単純ヘルペスウイルス(HSV)ベースの系及びバキュロウイルスベースの系にも同じことが当てはまり、加えて後者は、十分な拡張性及び頑強性を欠く。
【0007】
AAVの産生に必要な全ての構成要素が細胞に安定的に組み込まれている、完全に安定したAAVベースの産生細胞株の作製は、様々な困難により妨げられる。全てのヘルパー機能の細胞への組込みは、困難である。CAP又はHEK293細胞では、E1A及びE1Bは、既に恒常的に発現している。ヘルパー機能E2A及びE4orf6は、細胞に対して有毒である。しかしながら、これらのヘルパー機能は、誘導性プロモーターから発現され得る。誘導性プロモーターからの発現は、自身のコード配列内にそのPolIIIプロモーターが存在する非コードVA RNAではより困難である。したがって、VA RNAの高レベル発現が実証された安定細胞株は、現時点で存在しない。
【0008】
VA RNAは、アデノウイルスにおいて見出される非コードRNAである。これは、翻訳を調節する役割を果たす。VAI又はVA RNAI及びVAII又はVA RNAIIと称される2コピーのこのRNAが存在する。これら2つのVA RNA遺伝子は、アデノウイルスゲノム内の別個の遺伝子である。VA RNAIが主要な種であり、VA RNAIIは低レベルで発現する。VAIは、E3及びヘキソンを含む初期及び後期アデノウイルス遺伝子の両方の翻訳を促進する。一過性形質移入アッセイは、VAIがリボソームに結合した転写物の安定性を増加させることを示した。さらに、VAIは細胞内でプロセシングされて、siRNA又はmiRNAとして作用することができる22ヌクレオチド長のRNAを生じる。さらに、VAIは、普通なら真核生物開始因子2(eIF2)をリン酸化するはずの二本鎖RNA活性化プロテインキナーゼRに対するデコイRNAとして機能する。
【0009】
AAVとの関係において、VA RNAは、高力価のAAV産生に重要である。AAV産生におけるVA RNAの最もよく記述される機能は、PKRのリン酸化/活性化及びこれによるeIF2αのリン酸化の抑制であり、eIF2αのリン酸化はウイルスタンパク質発現の減少をもたらす。eIF2αは、Met-tRNA及び40Sリボソームに結合して、前開始複合体を形成することにより全般的な翻訳を調節する三量体の真核生物開始因子2(eIF2)のサブユニットである。セリン51のリン酸化により、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)であるeIF2BによるeIF2に結合したGDPのGTPへの交換が阻止され、これにより、タンパク質合成の阻害がもたらされる。PKRは、VP1のAUGを囲む、カプシド遺伝子RNAのリーダー配列の短い領域により活性化されることが示されている。この配列は、上流のrep遺伝子に組み込まれているp40プロモーターとカプシド遺伝子との間のイントロンの一部である。PKR活性の阻害は、例えば、C型肝炎ウイルス等の多数の異なるウイルスの感染時に発生する一般的なメカニズムである。
【0010】
この文脈において、非特許文献1は、AAV感染サイクルにおいてVA RNAがカプシドの発現にどのくらい重要であるか、すなわち、カプシドのプレmRNAがPKRをどのくらい活性化し、次にPKRがeIF2αをどのくらいリン酸化し、このことが次にどのくらいカプシドタンパク質の低発現をもたらすかを記載している。さらに、上記文献は、欠失実験によりPKR活性化配列の同定を試みており、これをVP1のAUG配列周辺の約200ヌクレオチドに絞り込んでいる。
【0011】
要約すると、現在のAAVベースの産生系は、それらの再現性、拡張性、及び頑強性に関して限界がある。さらに、ヘルパーウイルスが要求されることにより、徹底的な精製、及び高い費用をかけてヘルパーウイルスが存在しないことを証明することが必要とされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Nayak and Pintel (Nayak, R. and Pintel, D. J.; Journal of Virology, 81(21); 2007; pp. 11908-11916)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の背景にある技術的課題は、一過性の形質移入又はヘルパーウイルスを必要とせず、これにより、高レベルのVA RNAの非存在下でのAAV遺伝子治療ベクターの工業的かつ拡張可能な産生を可能にする、AAVベクターの安定した産生のための拡張可能な系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の技術的課題の解決は、特許請求の範囲を特徴とする実施の形態によって達成される。
【0015】
特に、第一の態様において、本発明は、アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドタンパク質をコードする核酸を含む宿主細胞であって、AAVカプシドタンパク質VP1の開始コドンを囲むプロテインキナーゼR(PKR)活性化配列が不活性化されていると同時に、AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3の機能的発現を維持している、宿主細胞に関する。
【0016】
本発明におけるAAVは、特定のAAV血清型に限定されない。したがって、AAVは、アデノ随伴ウイルス血清型1(AAV1)、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAVDJ、AAVDJ8、及びAAVrh10から選択され得る。さらに、AAVは、合成血清型、例えば、上記の血清型のうちの異なる2つ以上のハイブリッド、又はAAV血清型の指向性を変化させる顕著な変異を有する上記の血清型のうちの1つであり得る。しかしながら、特定の実施の形態において、AAVは、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8、又はAAV9、好ましくは、AAV8である。
【0017】
AAVカプシドタンパク質は、3つのカプシドタンパク質であるVP1、VP2、及びVP3を包含し、これらは、p40と名付けられた1つのプロモーターから天然に発現され、cap遺伝子によりコードされる。これらのタンパク質の分子量は、それぞれ、87kDa、72kDa、及び62kDaである。AAVカプシドは、合計60個の単量体が正二十面体対称に配置された1:1:10の比率のVP1、VP2、及びVP3の混合物から構成され、3.9MDaの推定サイズを有する。
【0018】
3つ全てのVPは、1つのmRNAから翻訳される。プレmRNAは、合成された後、2つのアクセプター部位での選択的スプライシングに起因して2つの異なる様式でスプライシングされ得る(
図1)。通常、特にアデノウイルスの存在下では、第2のスプライスアクセプター部位が優先され、いわゆる「主要スプライス」となる。この様式では、VP1タンパク質の合成が始まる最初のAUGコドンが取り除かれ、これにより、VP1タンパク質合成の全体的なレベルの減少がもたらされる。主要スプライスに残存する最初のAUGコドンは、VP3タンパク質の開始コドンである。しかしながら、同じオープンリーディングフレーム内のそのコドンの上流に、最適なKozakコンテキストに囲まれている(トレオニンをコードする)ACG配列が存在する。このことが、追加のN末端残基を有するVP3タンパク質からなるVP2タンパク質の低レベルの合成をもたらす。
【0019】
より大きなイントロンがスプライシングにより切り出されることが優先されるため、及び主要スプライスにおいてACGコドンが非常に弱い翻訳開始シグナルであるため、AAV構造タンパク質がin vivoで合成される比率は、約1:1:10となり、これは成熟ウイルス粒子における比率と同じである。
【0020】
カプシドタンパク質のプレmRNAにおいて、p40プロモーターにより転写されるイントロンに存在する、VP1のAUGを囲む短い配列は、PKRを活性化する。活性なPKRは、次にeIF2αをリン酸化し、ここで、リン酸化されたeIF2αは、次にカプシドタンパク質の発現を抑制し、この系全体は負の調節フィードバックループを構成する。VA RNAは、PKRを抑制し、このことは、AAVを多量に発現させようとする場合に、高レベルのVA RNAが必要となることを説明する。
【0021】
非特許文献1は、最初のAUGを囲む配列を除去することによりVA RNAの必要性をなくすことができることを示した。しかしながら、これはVP1タンパク質の発現の喪失ももたらす。非特許文献1は、3つ全てのカプシドタンパク質を正しい比率で発現させることに対する解決策を提案していない。また彼らは、VA RNAなしでのAAV産生のための安定細胞株を作製するためにこの知見を利用することも提案していない。
【0022】
VP1の発現を消失させずに高レベルのVA RNAの必要性をなくすために、有利には、本発明は、カプシドのプレmRNAのイントロンをコードする配列を部分的に置き換えることにより、特に該イントロンのスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1を異なる起源のイントロンと置き換えることにより、VP1、VP2、及びVP3の機能的発現を維持すると同時に、VP1のAUGを囲むPKR活性化配列を不活性化することができることを見出した。
【0023】
好ましい実施の形態において、上記PKR活性化配列は、天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40を異なるプロモーターと置き換え、カプシドコード配列の外側のスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1を含むp40イントロンの一部を異なる起源のイントロンと置き換えることにより不活性化されている。好ましくは、天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40は、恒常的プロモーター又は誘導性プロモーターと置き換えられ、天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40のイントロンは、部分的に置き換えられ、すなわち、カプシドコード配列の外側が、スプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1の代わりとなるSV40イントロンと置き換えられる(
図1)。しかしながら、SV40イントロンの他に、適切なスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位(最小コンセンサス配列であるGT/AG)を供給する任意のイントロンが置換用イントロンとして機能し得る。それぞれのイントロン、例えば、合成CAGプロモーターイントロン又は(ヒト)β-グロビンイントロンは、当該技術分野において既知である。
【0024】
好ましい実施の形態において、それぞれ改変されたAAVカプシド配列が宿主細胞ゲノムに安定的に組み込まれている。
【0025】
好ましい実施の形態において、本発明の宿主細胞は、恒常的プロモーター又は誘導性プロモーターの制御下のAAVレプリカーゼ(Rep)タンパク質をコードする核酸を更に含む。
【0026】
更に好ましい実施の形態において、本発明の宿主細胞は、アデノウイルスE1A及びE1Bタンパク質をコードする核酸を更に含む。
【0027】
この文脈において、上記E1A及びE1Bタンパク質は、好ましくは、恒常的に発現している。さらに、本発明に好適な宿主細胞は、特に限定されず、当該技術分野において既知である。しかしながら、好ましい実施の形態において、上記宿主細胞は、E1A及びE1Bの恒常的発現を示す。好ましい実施の形態において、上記宿主細胞は、CAP細胞、HEK293細胞、又はPer.C6細胞であり、すなわち、上記細胞株に由来し、これらは全て、E1A及びE1Bの恒常的発現を特徴とする。
【0028】
好ましい実施の形態において、本発明の宿主細胞は、恒常的プロモーター又は誘導性プロモーターの制御下のアデノウイルスE2A及びE4orf6タンパク質をコードする核酸を更に含む。
【0029】
さらに、本発明の宿主細胞は、好ましくは、1種以上の目的遺伝子(GOI)を含む導入ベクターをコードする核酸を更に含み、該1種以上の目的遺伝子は、好ましくは、AAV逆位末端反復配列(ITR)に挟まれている。
【0030】
本発明の文脈において使用されるGOIは特に限定されず、例えば、眼疾患、失明疾患、筋疾患、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、GM2ガングリオシドーシス及び脊髄小脳失調型、ALS、ハンチントン病、X連鎖重症複合免疫不全(X-SCID)、アデノシンデアミナーゼ欠損症(ADA-SCID)、中枢神経系疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、肝疾患、肝臓酵素オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症、レーバー先天黒内障、血友病、β-サラセミア、癌疾患、頭頸部癌、転移性黒色腫、心疾患、肺疾患又は嚢胞性線維症、ウィスコット・アルドリッチ症候群(WAS)、異染性白質ジストロフィー(MLD)及び重症リポタンパク質リパーゼ欠損障害(LPLD)、感染症、重症複合免疫不全症候群、HIV感染症、ニーマン・ピック病C型及びオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症をはじめとする希少疾患の治療のための、AAVベクターの受容者へのその移行が目的である任意の遺伝子が含まれる。
【0031】
本発明の文脈において使用される誘導性プロモーターは、特に限定されず、当該技術分野において既知である。しかしながら、好ましい実施の形態において、AAVカプシドタンパク質の発現を制御する誘導性プロモーター及び/又はAAVレプリカーゼタンパク質の発現を制御する誘導性プロモーター及び/又はアデノウイルスE2A及びE4orf6タンパク質の発現を制御する誘導性プロモーターは、第三世代のTRE3Gプロモーター等のtet誘導性プロモーターである。本発明の文脈において使用され得る他の誘導性プロモーターとしては、cumate誘導性プロモーター、タモキシフェン誘導性プロモーター、ラパマイシン誘導性プロモーター、FKCsA誘導性プロモーター、ABA誘導性プロモーター、リボスイッチ制御プロモーター、熱ショックプロモーター、又は光切り替え可能なシステムが挙げられる。この文脈において、上記のタンパク質のうちの2種以上又は全てが、同じ種類の独立したプロモーターの制御下で発現され得る。
【0032】
この文脈において、代替的な実施の形態において、当該技術分野において既知のように、恒常的発現のための非誘導性プロモーターが使用されてもよい。それぞれのプロモーターとしては、CMV、EF1α、SV40、RSV、UbC、CAG、BOS、及びPGKプロモーターが挙げられる。
【0033】
特定の実施の形態において、本発明の宿主細胞では、
PKR活性化配列が、天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40を異なるプロモーターと置き換え、カプシドコード配列の外側のスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1を含むp40イントロンの一部を異なる起源のイントロンと置き換えることにより不活性化されており、
天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40が、恒常的プロモーター又は誘導性プロモーター、好ましくは誘導性プロモーターと置き換えられており、天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40のイントロンが、部分的に置き換えられ、すなわち、カプシドコード配列の外側が、スプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1の代わりとなるイントロン、好ましくはSV40イントロンと置き換えられており、
誘導性プロモーターからAAVカプシドタンパク質のコード配列の開始コドンまでのそれぞれのヌクレオチド配列が、
プロモーター-N1-イントロン-N2-ATG
(式中、
プロモーターは、恒常的プロモーター又は誘導性プロモーター、好ましくは誘導性プロモーターであり、
N1は、1ヌクレオチド~4000ヌクレオチドの配列であり、
イントロンは、最小コンセンサス配列であるGT/AGを有する適切なスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位を供給するイントロンからなる群から選択されるイントロンであり、
N2は、1ヌクレオチド~4000ヌクレオチドの配列であり、
ATGは、AAVカプシドタンパク質コード配列の開始コドンである)の構造を有する。
【0034】
好ましくは、上記構造において、プロモーターは、CMV、EF1α、SV40、RSV、UbC、CAG、BOS、及びPGKプロモーターからなる群から選択される恒常的プロモーターであるか、又は第三世代のTRE3Gプロモーター等のtet誘導性プロモーター、cumate誘導性プロモーター、タモキシフェン誘導性プロモーター、ラパマイシン誘導性プロモーター、FKCsA誘導性プロモーター、ABA誘導性プロモーター、リボスイッチ制御プロモーター、及び熱ショックプロモーター駆動型システム、光切り替え可能なシステムからなる群から選択される誘導性プロモーターであり、ここで、誘導性プロモーター、特にtet誘導性プロモーターが特に好ましい。さらに、上記構造において、イントロンは、好ましくは、SV40イントロン、合成CAGプロモーターイントロン、及び(ヒト)β-グロビンイントロンからなる群から選択されるイントロンである。さらに、N1及びN2は、互いに独立して、好ましくは、1ヌクレオチド~3000ヌクレオチド、より好ましくは、1ヌクレオチド~2000ヌクレオチド、より好ましくは、1ヌクレオチド~1000ヌクレオチド、より好ましくは、1ヌクレオチド~500ヌクレオチド、より好ましくは、1ヌクレオチド~300ヌクレオチドの配列である。更なる実施の形態において、N1及びN2は、互いに独立して、好ましくは、50ヌクレオチド~250ヌクレオチド又は100ヌクレオチド~200ヌクレオチドの配列である。
【0035】
より特定の実施形態において、本発明の宿主細胞では、
PKR活性化配列が、天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40を異なるプロモーターと置き換え、カプシドコード配列の外側のスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1を含むp40イントロンの一部を異なる起源のイントロンと置き換えることにより不活性化されており、
天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40が、誘導性プロモーターと置き換えられており、天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40のイントロンが、部分的に置き換えられ、すなわち、カプシドコード配列の外側が、スプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1の代わりとなるSV40イントロンと置き換えられており、
誘導性プロモーターからAAVカプシドタンパク質のコード配列の開始コドンまでのそれぞれのヌクレオチド配列が、
(i)配列番号4若しくは配列番号5に記載のヌクレオチド配列、又は、
(ii)配列番号4若しくは配列番号5に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列であり、ただし、上記の必要条件が該ヌクレオチド配列に適用され、
配列番号4又は配列番号5の最後の3ヌクレオチドであるATGが、AAVカプシドタンパク質コード配列の開始コドンである。
【0036】
上記のように、上述した特定のヌクレオチド配列に対して配列同一性を有する核酸は、特定の配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する。好ましくは、上記ヌクレオチド配列は、上記に記載される核酸に対して少なくとも72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.2%、98.4%、98.6%、98.8%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、又は99.9%の配列同一性を有する。特定の実施の形態において、かかる核酸は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、又は30個のヌクレオチド欠失、挿入、及び/又は置換(交換)を有する。
【0037】
上記に記載される核酸に対して既定の配列同一性を有するか、又は上記に記載される核酸に対して特定のヌクレオチド欠失、挿入、及び/又は置換を有するそれぞれの核酸には、どの種類のフレームシフト変異を有するどの核酸も含めないものとする。
【0038】
さらに、上述した特定のヌクレオチド配列に対して或る特定の配列同一性を有するヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質の文脈における、上記で使用される用語「機能的」は、それぞれのタンパク質が、特定のヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質と比較して同じか、又は少なくとも十分な活性若しくは機能を有することを示す。
【0039】
本発明の宿主細胞に含まれる核酸は、誘導性プロモーター、ポリ(A)領域、選択マーカー、IRES配列、及び増強エレメントからなる群から選択される1種以上のエレメントを更に含み得る。好適な誘導性プロモーターは、特に限定されず、当該技術分野において既知であり、例えば、第三世代のTRE3Gプロモーター等のTet誘導性プロモーターである。好適なポリ(A)領域は、特に限定されず、当該技術分野において既知であり、例えば、SV40ポリ(A)領域である。好適な選択マーカーは、特に限定されず、当該技術分野において既知であり、例えば、ブラストサイジン又はアンピシリン耐性カセット等の抗生物質耐性カセットである。
【0040】
好ましくは、本発明の宿主細胞において、AAVカプシドタンパク質をコードする核酸、及び/又はAAVレプリカーゼタンパク質をコードする核酸、及び/又はアデノウイルスE1A及びE1Bタンパク質をコードする核酸、及び/又はアデノウイルスE2A及びE4orf6タンパク質をコードする核酸、及び/又はGOIを含む導入ベクターをコードする核酸は、宿主細胞ゲノムに安定的に組み込まれている。
【0041】
好ましくは、本発明の宿主細胞は、VA RNAを発現しないか、又は低レベルのVA RNAしか発現せず、例えば、VA RNA発現レベルは、一過性の形質移入により達成されるVA RNAの発現と比較して少なくとも10分の1、好ましくは、少なくとも100分の1、より好ましくは、少なくとも1000分の1に低減される。
【0042】
本発明の宿主細胞を作製する方法、すなわち、本発明の核酸を好適な宿主細胞へ導入する方法は、特に限定されず、当該技術分野において既知である。
【0043】
第二の態様において、本発明は、アデノ随伴ウイルス(AAV)を産生する方法であって、本発明による宿主細胞において該AAVを発現させる工程を含む、方法に関する。
【0044】
第三の態様において、本発明は、アデノ随伴ウイルス(AAV)の産生における本発明による宿主細胞の使用に関する。
【0045】
AAVを産生させるためのそれぞれの手段は、特に限定されず、当該技術分野において既知である。
【0046】
具体的には、好ましい実施の形態において、本発明の方法及び使用は、本発明の宿主細胞に(i)AAVカプシドタンパク質を発現させる工程であって、本発明により、AAVカプシドタンパク質VP1の開始コドンを囲むプロテインキナーゼR(PKR)活性化配列が不活性化されていると同時に、AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3の機能的発現が維持されている、工程を含む。好ましくは、VP1のAUGを囲むPKR活性化配列は、カプシドのプレmRNAのイントロンを部分的に置き換えることにより、特に該イントロンのスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1を異なる起源のイントロンと置き換えることにより不活性化される。好ましい実施の形態において、上記PKR活性化配列は、天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40を異なるプロモーターと置き換え、カプシドコード配列の外側のスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1を含むp40イントロンの一部を異なる起源のイントロンと置き換えることにより不活性化される。好ましくは、天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40は、誘導性プロモーターと置き換えられ、及び/又は天然のAAVカプシドタンパク質プロモーターであるp40のイントロンは、部分的に置き換えられ、すなわち、カプシドコード配列の外側が、スプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位1の代わりとなるSV40イントロンと置き換えられる(
図1)。しかしながら、SV40イントロンの他に、適切なスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位(最小コンセンサス配列であるGT/AG)を供給する任意のイントロンが置換用イントロンとして機能し得る。それぞれのイントロンは、当該技術分野において既知である。
【0047】
好ましくは、本発明の方法及び用途において使用される宿主細胞は、宿主細胞ゲノムに安定的に組み込まれた、AAV ITRに挟まれた1種以上のGOIを含む導入ベクターを更に有する。好ましくは、上記宿主細胞は、本発明の方法及び使用の過程において、VA RNAを発現しないか、又は上記のように低レベルのVA RNAしか発現しない。
【0048】
具体的には、好ましい実施の形態において、本発明の方法及び使用は、血清含有培地又は無血清培地を利用して、宿主細胞をローラーボトル、セルスタック、若しくは固定床式バイオリアクターのいずれかで接着培養するか、又は宿主細胞を撹拌槽型バイオリアクター、WAVE若しくはバッグ培養システムで懸濁培養して、上記のようなAAV粒子を産生させることを含む。産生のスケールは、1回の産生の実行あたり、ミリリットル範囲の少量から中規模の量を超えて2000L又は20000Lの量を用いる大規模な量まで変わり得る。プロセスの形式は、追加の供給物質を添加しないことを意味する回分培養、又は供給物質のボーラス添加若しくは連続添加を伴う流加培養であり得る。
【0049】
最大力価を達成するために、生存細胞密度、温度、撹拌速度、速度、pH、及び浸透圧濃度のようなプロセスパラメーターは、産生プロセスの間に変更され得る。加えて、或る特定のアミノ酸、糖、有機酸、補助因子、ビタミン、ミネラル、又は他の要素の欠乏を回避するために、不足している成分を細胞培養に補充することは、産生プロセスの一部であり得る。
【0050】
本発明の宿主細胞においてそれぞれのタンパク質を発現させるための手段は、特に限定されず、当該技術分野において既知である。手段としては、例えば、好適な誘導因子の添加による誘導性プロモーターの誘導が挙げられる。
【0051】
本発明の第一の態様について定義された全ての定義及び限定は、本発明の第二及び第三の態様にも同様に適用される。
【0052】
本明細書において使用する場合、用語「含む」("comprising"/"comprises")は、用語「から本質的になる」("consisting essentially of"/"consists essentially of")及び「からなる」("consisting of"/"consists of")を明確に含み、すなわち、上記用語の全ては互いに互換的である。
【0053】
本発明において、AAVカプシド配列の改変により、非常に低いVA RNA発現レベルを有するか、又はVA RNAが発現していない安定産生細胞株が可能となる。AAV安定産生細胞株は、レプリカーゼ、ヘルパー、及びカプシド機能を十分に発現しなければならない。タンパク質機能は、誘導性プロモーターの制御下で誘導性にすることができる。
【0054】
特に本発明は、有利には、例えば、rep及びcapを分離し、異なるイントロンを導入することにより、VPタンパク質の正確な発現パターンを同時に維持するように、PKR活性化配列を含む200ヌクレオチド領域を改変する方法を同定した。したがって、改変された配列を使用して、低レベルのVA RNAを発現する安定細胞株が高力価のrAAVを産生することを可能にすることができる。
【0055】
高レベルのVA RNAの必要性を回避するために、VPタンパク質の正しい比率を維持し、同時にPKRを活性化しないような様式で、内在性のp40プロモーターが異なるプロモーターと置き換えられ、プロテインキナーゼR(PKR)を活性化する配列を含むイントロンの部分が、例えば、SV40、β-グロビン、キメライントロン等の他のイントロンと置き換えられるため、高レベルのAAVベクター産生のためにより少ないVA RNAが必要とされるか、又はVA RNAが必要とされない。
【0056】
このことは、有利には、再現可能かつ均一な製品品質、優れた拡張性、コスト効率の良い製造を可能にし、ヘルパーウイルスの必要性をなくし、より大規模なバッチの製造を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】p40プロモーター領域をp40イントロンと共に示すカプシド遺伝子座の概略図である(SD:スプライスドナー部位、SA1:スプライスアクセプター部位1、SA2:スプライスアクセプター部位2)。上の図は野生型の構成を示す。下は置換された配列を示す改変型である。この場合、SD及びSA1はSV40イントロンにより提供され、プロモーターは、CMVのような恒常的プロモーター又はTRE3Gのような誘導性プロモーターであり得る。
【
図2】プラスミドにコードされるVA RNAが一過性の形質移入により導入された一過性の手法と比較した、VA RNAを含む安定的に組み込まれた核酸を保有するCAPプレパッケージング安定細胞株Z3081におけるVA RNAレベルを示すグラフである。安定的に組み込まれたVA RNAを有する細胞は、一過性の手法と比較した場合に最大3log減少した量のVA RNAを示す。
【
図3】p40プロモーターを有するカプシド構築物又はSV40イントロンを有する改変されたプロモーター(TRE3G/SV40イントロン)を有するカプシド構築物と空ベクター又は追加のVA RNAとの組合せでの形質移入時のCAPプレパッケージング安定SCC(単一細胞クローン)におけるAAV8カプシドタンパク質の発現を示す写真である。形質移入の5時間後、rep、E2A、及びE4orf6タンパク質の発現を誘導するために、細胞を1mg/Lのドキシサイクリンで処理した。形質移入の3日後に、抗VP1/VP2/VP3抗体(Progen)を使用して、一過性に形質移入されたプレパッケージング細胞の細胞溶解物におけるタンパク質レベルを検出した。
【
図4】p40プロモーターを有するAAV8カプシド構築物又はSV40イントロンを有する改変されたTRE3Gプロモーターを有するAAV8カプシド構築物と空ベクター(eV)又は追加のVA RNAとの組合せでの形質移入時のCAPプレパッケージング安定SCCにおけるPKRの活性化及びeIF2αのリン酸化を示す写真である。形質移入の5時間後、安定的に組み込まれたレプリカーゼ、E2A、及びE4ORF6タンパク質の発現を誘導するために、細胞を1mg/Lのドキシサイクリンで処理した。形質移入の3日後に、抗VP1/VP2/VP3抗体(Progen)、抗リン酸化PKR抗体(Abcam)、抗eIF2α(Cell Signaling)、及びローディングコントロールとして抗ヒストンH3抗体(Abcam)を使用して、一過性に形質移入されたCAPプレパッケージング細胞の細胞溶解物におけるタンパク質レベルを検出した。対照として、空ベクターで形質移入した細胞の細胞溶解物が含まれた。
【
図5】アセンブルされたカプシド(AAV8)のELISAを示すグラフである。HEK293ベースのプレパッケージング単一細胞クローンに、改変されたAAV8カプシド構築物(TRE3G/SV40イントロン)又はAAV8 p40イントロン(AAV8又はAAV2)カプシド構築物(TRE3G/p40イントロン)、及びITRに挟まれたAAV GOI構築物(GFP)を形質移入した。p40イントロン構築物については、VA RNA構築物と組み合わせた追加の形質移入を実行した。形質移入の5時間後、細胞を1mg/Lのドキシサイクリンにより誘導した。形質移入の3日後、細胞懸濁液試料を採取し、ProgenのAAV8カプシドELISAを製造者の使用説明書に従って使用してカプシド発現について分析した。このELISAは、完全にアセンブルされたウイルス粒子のみを検出した。TRE3G/SV40イントロン構築物について追加のVA-RNAの非存在下で10
12粒子/mL弱の高レベルのアセンブルされたカプシドが検出されたが、TRE3G/p40イントロン構築物では、追加のVA-RNAの同時形質移入時にのみ検出された。
【
図6】アセンブルされたカプシド(AAV8)のELISAを示すグラフである。CAPベースのプレパッケージング単一細胞クローンに、改変されたAAV8カプシド構築物(TRE3G/SV40イントロン)又はAAV8 p40イントロン(AAV8)カプシド構築物(TRE3G/p40イントロン)、及びITRに挟まれたAAV GOI構築物(GFP)を形質移入した。p40イントロン構築物については、VA RNA構築物と組み合わせた追加の形質移入を実行した。形質移入の5時間後、細胞を1mg/Lのドキシサイクリンにより誘導した。形質移入の3日後、細胞懸濁液試料を採取し、ProgenのAAV8カプシドELISAを製造者の使用説明書に従って使用してカプシド発現について分析した。このELISAは、完全にアセンブルされたウイルス粒子のみを検出した。TRE3G/SV40イントロン構築物について追加のVA-RNAの非存在下で10
12粒子/mL弱の高レベルのアセンブルされたカプシドが検出されたが、TRE3G/p40イントロン構築物では、追加のVA-RNAの同時形質移入時にのみ検出された。
【
図7】改変されたTRE3G/SV40イントロン及びTRE3G/p40イントロン(AAV2及びAAV8)のカプシド構築物を使用した、HEK293ベースのプレパッケージングSCCにおけるrAAV8-GFP産生のqPCR分析を示すグラフである。HEK293ベースのプレパッケージングSCCに、改変されたカプシド構築物(TRE3G/SV40イントロン)又はp40イントロン(TRE3G/AAV8又はAAV2由来のp40イントロン)のカプシド構築物、及びAAV2 ITRに挟まれたGOI構築物(GFP)を形質移入した。p40イントロン(TRE3G/p40イントロン)のカプシド構築物については、VA-RNAの産生能に対する影響を分析するために、VA-RNA有り無し両方の2つの形質移入を実行した。形質移入の5時間後、安定的に組み込まれたレプリカーゼ及びヘルパー機能の発現を1mg/Lのドキシサイクリンにより誘導した。形質移入の3日後、細胞懸濁液試料を採取し、SV40ポリAに対して指向されたプライマー/プローブを使用したqPCRによりパッケージングされたウイルスゲノムを分析した。
【
図8】改変されたTRE3G/SV40イントロン及びTRE3G/p40イントロン(AAV8)のカプシド構築物を使用した、CAPベースのプレパッケージングSCCにおけるrAAV8-GFP産生のqPCR分析を示すグラフである。CAPベースのプレパッケージングSCCに、改変されたカプシド構築物(TRE3G/SV40イントロン)又はp40イントロン(TRE3G/p40イントロン)のカプシド構築物、及びAAV2 ITRに挟まれたGOI構築物(GFP)を形質移入した。p40イントロン(TRE3G/p40イントロン)のカプシド構築物については、VA-RNAの産生能に対する影響を分析するために、VA-RNA有り無し両方の2つの形質移入を実行した。形質移入の5時間後、安定的に組み込まれたレプリカーゼ及びヘルパー機能の発現を1mg/Lのドキシサイクリンにより誘導した。形質移入の3日後、細胞懸濁液試料を採取し、GFPに対して指向されたプライマー/プローブを使用したqPCRによりパッケージングされたウイルスゲノムを分析した。
【
図9】改変されたCMV/SV40イントロン構築物を使用したCAPプレパッケージング安定SCCにおけるAAV8カプシドタンパク質の発現を示す写真である。プレパッケージングSCC#1に、CMV/SV40イントロンの改変カプシド構築物とGFPをGoIとして含む導入構築物との組合せを形質移入し、形質移入の5時間後、ドキシサイクリンにより誘導した。形質移入の4日後、一過性に形質移入されたCAPプレパッケージング細胞の細胞溶解物(P=ペレット)及び上澄み(SN)におけるタンパク質レベルを、抗VP1/VP2/VP3抗体(Progen)を使用して検出した。
【
図10】アセンブルされたカプシド(AAV8)のELISAを示すグラフである。3つの異なるプレパッケージングCAP単一細胞クローン(SCC#1、SCC#2、SCC#3)に、改変されたAAV8カプシド構築物(CMV/SV40イントロン)及びITRに挟まれたAAV GOI構築物(GFP)を形質移入した。形質移入の5時間後、細胞を1mg/Lのドキシサイクリンにより誘導した。形質移入の3日後、細胞懸濁液試料を採取し、ProgenのAAV8カプシドELISAを製造者の使用説明書に従って使用してカプシド発現について分析した。このELISAは、完全にアセンブルされたウイルス粒子のみを検出した。10
11粒子/mLを越える高レベルのアセンブルされたカプシドが検出された。
【
図11】改変されたCMV/SV40イントロンのカプシド構築物を使用したプレパッケージングSCC(SCC#1、SCC#2、SCC#3)におけるrAAV8-GFP産生のqPCR分析を示すグラフである。3つの異なるプレパッケージングSCCに、改変されたカプシド構築物(CMV/SV40イントロン)及びAAV2 ITRに挟まれたGOI構築物(GFP)を形質移入した。形質移入の5時間後、安定的に組み込まれたレプリカーゼ及びヘルパー機能の発現を1mg/Lのドキシサイクリンにより誘導した。形質移入の3日後、細胞懸濁液試料を採取し、SV40ポリAに対して指向されたプライマー/プローブを使用したqPCRによりパッケージングされたウイルスゲノムを分析した。
【
図12】プレパッケージングSCC#1に由来する材料を使用した形質導入アッセイを示すグラフである。要約すると、形質移入されたプレパッケージングSCC#1の細胞懸濁液を凍結解凍サイクルにより溶解させ、HEK293T細胞の形質導入に使用した。形質導入の48時間後にGFP陽性のHEK293T細胞の測定により形質導入をモニタリングした。
【
図13】安定的に組み込まれた誘導性レプリカーゼ、ヘルパー機能、並びに改変された誘導性プロモーター及びSV40イントロンを含むカプシド構築物を含む安定パッケージングプールZ3189からの細胞溶解物における、ドキシサイクリン誘導時の正しい化学量論比でのカプシド発現(AAV8)を示すウェスタンブロットを示す写真である。パッケージングプール細胞における非常に低レベルのVA RNAにもかかわらず、VP1:VP2:VP3についておよそ1:1:10の正しい化学量論比でカプシドタンパク質が生成される。
【
図14】選択されたrAAV8-GFP産生CAP単一細胞クローンのウイルスゲノム産生を示すグラフである。安定的に組み込まれたレプリカーゼ、E2A、E4ORF6、VA RNA、改変されたカプシド構築物(誘導性プロモーター/SV40イントロン)、及びITRに挟まれたGOIを含むrAAV8-GFP産生CAP SCCにおけるAAV産生をドキシサイクリンの添加により誘導した。誘導の7日後、細胞懸濁液試料を採取し、SV40ポリAに対して指向されたプライマー/プローブを使用したqPCRによりパッケージングされたウイルスゲノムを分析した。
【
図15】選択されたrAAV8-GFP産生CAP単一細胞クローンのAAV8-ELISA分析を示すグラフである。安定的に組み込まれたレプリカーゼ、E2A、E4ORF6、VA RNA、改変されたカプシド構築物、及びITRに挟まれたGOIを含むrAAV8-GFP産生CAP SCCにおけるAAV産生をドキシサイクリンの添加により誘導した。誘導の7日後、細胞懸濁液試料を採取し、AAV8-ELISA(Progen)を製造者の使用説明書に従って使用することによりアセンブルされたカプシドについて分析した。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明は、以下のアミノ酸及びヌクレオチド配列に関する:
配列番号1
SV40ポリAフォワードプライマー
AGCAATAGCATCACAAATTTCACAA
配列番号2
SV40ポリAリバースプライマー
CCAGACATGATAAGATACATTGATGAGTT
配列番号3
SV40ポリAプローブ
AGCATTTTTTTCACTGCATTCTAGTTGTGGTTTGTC
配列番号4
TRE3G-SV40イントロン-カプシドのATG
gagtttactccctatcagtgatagagaacgtatgaagagtttactccctatcagtgatagagaacgtatgcagactttactccctatcagtgatagagaacgtataaggagtttactccctatcagtgatagagaacgtatgaccagtttactccctatcagtgatagagaacgtatctacagtttactccctatcagtgatagagaacgtatatccagtttactccctatcagtgatagagaacgtataagctttaggcgtgtacggtgggcgcctataaaagcagagctcgtttagtgaaccgtcagatcgcctggagcaattccacaacacttttgtcttataccaactttccgtaccacttcctaccctcgtaaagactctagaggatccggtactcgaggaactgaaaaaccagaaagttaactggtaagtttagtctttttgtcttttatttcaggtcccggatccggtggtggtgcaaatcaaagaactgctcctcagtggatgttgcctttacttctaggcctgtacggaagtgttacttatg
プロモーター
イントロン
開始コドン
配列番号5
CMV-SV40イントロン-カプシドのATG
aattcgagcttgcatgcctgcaggtcgttacataacttacggtaaatggcccgcctggctgaccgcccaacgacccccgcccattgacgtcaataatgacgtatgttcccatagtaacgccaatagggactttccattgacgtcaatgggtggagtatttacggtaaactgcccacttggcagtacatcaagtgtatcatatgccaagtacgccccctattgacgtcaatgacggtaaatggcccgcctggcattatgcccagtacatgaccttatgggactttcctacttggcagtacatctacgtattagtcatcgctattaccatggtgatgcggttttggcagtacatcaatgggcgtggatagcggtttgactcacggggatttccaagtctccaccccattgacgtcaatgggagtttgttttggcaccaaaatcaacgggactttccaaaatgtcgtaacaactccgccccattgacgcaaatgggcggtaggcgtgtacggtgggaggtctatataagcagagctcgtttagtgaaccgtcagatcgcctggagacgccatccacgctgttttgacctccatagaagacaccgggaccgatccagcctccggactctagaggatccggtactcgaggaactgaaaaaccagaaagttaactggtaagtttagtctttttgtcttttatttcaggtcccggatccggtggtggtgcaaatcaaagaactgctcctcagtggatgttgcctttacttctaggcctgtacggaagtgttacttctgctctaaaagctgcggaattgtacccgcggccgcttaattaaatcgataccggtttcgaaacgcgtgataaatgccaccatg
プロモーター
イントロン
開始コドン
配列番号6
TRE3G-p40イントロン(AAV2)-カプシドのATG
gagtttactccctatcagtgatagagaacgtatgaagagtttactccctatcagtgatagagaacgtatgcagactttactccctatcagtgatagagaacgtataaggagtttactccctatcagtgatagagaacgtatgaccagtttactccctatcagtgatagagaacgtatctacagtttactccctatcagtgatagagaacgtatatccagtttactccctatcagtgatagagaacgtataagctttaggcgtgtacggtgggcgcctataaaagcagagctcgtttagtgaaccgtcagatcgcctggagcaattccacaacacttttgtcttataccaactttccgtaccacttcctaccctcgtaaaccgttgcgcagccatcgacgtcagacgcggaagcttcgatcaactacgcagacaggtaccaaaacaaatgttctcgtcacgtgggcatgaatctgatgctgtttccctgcagacaatgcgagagaatgaatcagaattcaaatatctgcttcactcacggacagaaagactgtttagagtgctttcccgtgtcagaatctcaacccgtttctgtcgtcaaaaaggcgtatcagaaactgtgctacattcatcatatcatgggaaaggtgccagacgcttgcactgcctgcgatctggtcaatgtggatttggatgactgcatctttgaacaataaatgatttaaatcaggtatg
プロモーター
イントロン
開始コドン
配列番号7
TRE3G-p40イントロン(AAV8)-カプシドのATG
gagtttactccctatcagtgatagagaacgtatgaagagtttactccctatcagtgatagagaacgtatgcagactttactccctatcagtgatagagaacgtataaggagtttactccctatcagtgatagagaacgtatgaccagtttactccctatcagtgatagagaacgtatctacagtttactccctatcagtgatagagaacgtatatccagtttactccctatcagtgatagagaacgtataagctttaggcgtgtacggtgggcgcctataaaagcagagctcgtttagtgaaccgtcagatcgcctggagcaattccacaacacttttgtcttataccaactttccgtaccacttcctaccctcgtaaacctcgaggaactgaaaaaccagaaagttaacagtcgcggatccatcgacgtcagacgcggaaggagctccggtggactttgccgacaggtaccaaaacaaatgttctcgtcacgcgggcatgcttcagatgctgtttccctgcaaaacgtgcgagagaatgaatcagaatttcaacatttgcttcacacacggggtcagagactgctcagagtgtttccccggcgtgtcagaatctcaaccggtcgtcagaaagaggacgtatcggaaactctgtgcgattcatcatctgctggggcgggctcccgagattgcttgctcggcctgcgatctggtcaacgtggacctggatgactgtgtttctgagcaataaatgacttaaaccaggtatg
プロモーター
イントロン
開始コドン
【0059】
以下の実施例によって本発明を更に説明するが、本発明はそれらに限定されない。
【実施例】
【0060】
実験手順
細胞培養:
CAP細胞及びこれに由来するプレパッケージング細胞株、パッケージング細胞株、又は産生細胞株を、振盪インキュベーター上の振盪フラスコ(125mL;Corning)内の4mMのGlutaMAX(Gibco)を補足した動物性成分を含まない化学合成PEM培地(Thermo Fisher Scientific)で、120rpm~185rpm(5cmの軌道)、5%CO2及び37℃にて汎用的に培養した。
【0061】
汎用的培養の間、細胞を、72時間~96時間毎に、新鮮な培地で0.5×106細胞/ml~1×106細胞/mlの生存細胞密度に希釈した。生存細胞密度及び生存率を、CEDEX XSセルカウンター(Innovatis, Roche Applied Science)又はViCell Blu(Beckman Coulter)を使用したトリパンブルー色素排除法により決定した。
【0062】
ヌクレオフェクション及び安定プールの作製:
安定プールを、LonzaのNucleofectorを製造者の使用説明書に従って使用して作製した。
【0063】
各ヌクレオフェクション反応のために、1×107個の細胞を遠心分離(500×g、5分)により採取した。細胞を100μLのComplete Nucleofector Solution V(Lonza)中に再懸濁し、5μgの直鎖化した発現ベクターと混合した。DNA/細胞懸濁液を、キュベットに移し、X001プログラムを使用してヌクレオフェクションを実行した。形質移入した細胞を12.5mLの増殖培地に移し、前述のように37℃、5%CO2、185rpmで培養した。
【0064】
安定プールの作製のために、形質移入の後72時間~96時間前述のように振盪インキュベーター内で培養し、細胞を遠心分離によりペレット化し、選択培地中に再懸濁した。
【0065】
【0066】
一過性の形質移入、並びにカプシドタンパク質の発現並びにPKR及びEIF2aのリン酸化を試験するためのウェスタンブロット:
一過性の形質移入:
一過性の形質移入を、FreeStyle 293培地(Thermo Fisher Scientific)中でPEImax(PolySciences)を使用して実行した。形質移入の5時間後、細胞にPEM完全培地(Thermo Fisher Scientific)を供給し、安定的に組み込まれたレプリカーゼ及びヘルパー機能の発現を1μg/mLのドキシサイクリンの添加により誘導した。特に明記されない場合、タンパク質発現の分析を形質移入の72時間後に実行した。
【0067】
ウェスタンブロット:
形質移入の72時間後に採取され、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤を補足したRIPA緩衝液を使用して溶解された1×105個の形質移入した細胞の細胞溶解物を用いてウェスタンブロット分析を実行した。ウェスタンブロット分析のために、以下の抗体を利用した:マウス抗VP1/VP2/VP3抗体(Progen、ドイツ)、抗リン酸化PKR抗体(Abcam)、抗リン酸化eIF2α抗体(Cell Signaling)、並びに西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウス及び抗ウサギ抗体(Cell Signaling)。タンパク質を、Pierce ECL WB Substrate Kitを使用して化学発光検出器(INTAS)により検出した。
【0068】
改変したカプシド構築物を用いたプレパッケージング細胞、パッケージング細胞、又は産生細胞からのウイルス産生:
ヘルパー機能の安定した組み込みによりもたらされる限られた量のみのVA RNAの存在下での、改変したカプシド構築物を使用したウイルス産生を試験するために、AAVの生成に必要な欠けている構成要素を一過性の形質移入により細胞に導入した(表2)。AAV産生を、ドキシサイクリンによりレプリカーゼ及びヘルパータンパク質の発現を誘導することにより開始した。
【0069】
形質移入の3日後、細胞懸濁液試料を採取し、最終濃度0.5%のトリトンXの添加により溶解した。
【0070】
【0071】
ウイルス力価を決定するためのqPCR:
SV40ポリAに対する以下のプライマー/二重標識プローブの組合せ(MWG、Eurofins;表3)を使用して、ウイルス力価を測定した。
【0072】
【0073】
標準として、定義されたコピー数を有する直鎖状導入遺伝子プラスミドを使用した。qPCR反応は以下の成分を含んでいた:2×Brilliant Multiplex qPCR Master Mix(Agilent)、ヌクレアーゼフリーH2O(Thermo Fisher Scientific)、プライマー/プローブ混合物及び試料/標準物質。qPCRは、製造者の使用説明書に従ってAgilent Mx3005Pで実行した。
【0074】
アセンブルされたカプシドに対するELISA:
アセンブルされたカプシドに対して特異的なELISAは、製造者の使用説明書に従って市販のELISAキット(Progen)を用いて行った。
【0075】
VA RNA発現アッセイ:
VA RNA発現を試験するために、NucleoSpin miRNAキットを製造者の使用説明書に従って使用してRNAを単離した。逆転写後、VA RNAに特異的なプライマー/プローブの組合せを使用してVA RNA発現の分析を実行した。分析は製造者の使用説明書に従ってAgilent Mx3005Pで実行した。
【0076】
形質導入アッセイ:
要約すると、細胞溶解物を4回の凍結融解サイクルにより調製した。接着性のHEK293T細胞を播種し、AAV粒子を添加した。形質導入の48時間後、形質導入した細胞をGFP測定により定量化した。
【0077】
実施例1:
VA RNAのカプシド発現に対する影響
序論:
CAP細胞は、E1A/E1Bをコードする構築物を用いた安定的形質移入により不死化された、ヒト羊膜細胞由来の懸濁細胞である。プレパッケージング細胞は、親CAP細胞をベースとしており、(i)tet活性化因子、(ii)tet誘導性プロモーター制御下のレプリカーゼ(AAV2)及びアデノウイルスヘルパー機能(E2A、E4orf6)、並びに(iii)アデノウイルスVA RNAを安定的に発現する。しかしながら、アデノウイルスVA RNAとそのPollII RNAプロモーターのプレパッケージング安定細胞株のゲノムへの安定的組込みは、非常に低レベルのVA RNAをもたらし(
図2)、pHelperプラスミド上のVA RNAが細胞に導入される一過性形質移入の手法と比較した場合に、RNAレベルが約3log減少する。
【0078】
VA RNAは、高力価のAAV産生に重要である。AAV産生におけるVA RNAの機能は、PKRのリン酸化/活性化及びこれによるeIF2αのリン酸化の抑制であり、eIF2αのリン酸化はウイルスレプリカーゼ及びカプシドタンパク質のタンパク質発現の減少をもたらす。PKRは、VP1のAUGを囲む、カプシドタンパク質のRNAリーダー配列内の配列により活性化されることが示されている。
【0079】
本明細書に記載される実施例において、AAV8カプシド構築物は、Tet3Gプロモーターと共にSV40イントロンを含む改変されたカプシド構築物(Tet3G/イントロン)、又はAAV2 p5ミニプロモーター及びAAV2カプシドp40プロモーターとそのイントロンを含むP40プロモーター構築物(p5/p40/イントロン)のいずれかを含んでいた。これらを、VA RNA(VA RNAのみを発現する構築物)、又は対照として機能する空ベクターのいずれかと同時形質移入した(表4)。安定的に組み込まれたrep及びヘルパー遺伝子のドキシサイクリンの添加による誘導後、細胞溶解物を調製し、カプシド発現について分析した。
【0080】
【0081】
結果:
プレパッケージング細胞株は、一過性の手法と比較して最大3log減少したVA RNAレベルを有する(
図2)。興味深いことに、AAV p40プロモーター及びそのイントロン領域を有するカプシド構築物は、追加のVA RNA構築物無しでは発現を示さなかったが、追加のVA RNA機能の同時形質移入により増加を示した。追加のVA RNAの非存在下であっても、TRE3Gプロモーター及びSV40イントロンを含む改変されたプロモーター構築物を使用して、プレパッケージングSCCにおけるAAV8カプシド発現を検出することができた。加えて、SV40イントロン構築物のスプライシングが起こり得ることにより、3つの異なるカプシドタンパク質間の正しい比率(VP1:VP2:VP3)が達成され得る(~1:1:10)。異なるVP間の正しい比率は、AAVの形質導入効率、生成されたウイルスベクターの効力、及びしたがって、治療用の遺伝子治療製品としてのその潜在的用途にとって重要である(
図3)。
【0082】
実施例2:
PKR活性化及び発現レベルに対するカプシドの改変の効果
序論:
プレパッケージング細胞において、元のp40プロモーターでのカプシドの発現は、TRE3Gプロモーター及びSV40イントロンを有する改変されたカプシド構築物の使用と比較して非常に低い発現レベルをもたらす。しかしながら、VA RNAの追加の発現は、力価を増加させる(実施例1を参照のこと)。カプシドタンパク質のRNAリーダー配列におけるPKR活性化配列の置換によりPKR活性化が減弱されるという仮説を調べるために、以下の実験を実行した。
【0083】
TRE3Gプロモーターと共にSV40イントロンを含む改変されたカプシド構築物、又はp5ミニプロモーター、p40プロモーター及びそのイントロンを含むAAV p40プロモーター構築物のいずれかを含むAAV8カプシド構築物を、VA RNAをコードする追加のプラスミドの存在下又は非存在下でプレパッケージング細胞に同時形質移入した(表4)。安定的に組み込まれたrep及びヘルパー遺伝子の誘導後、細胞溶解物を調製し、カプシド発現並びにPKR及びeIF2αリン酸化について分析した。
【0084】
結果:
本明細書に記載されるAAVプレパッケージング細胞株は、一過性の手法と比較して、非常に低いVA RNAレベルを有し(
図2)、このことが、PKR活性化配列を含むAAV p5/p40/イントロン構築物を使用した細胞におけるカプシドタンパク質力価の減少をもたらす。しかしながら、天然のAAVプロモーターのPKR活性化配列と別のプロモーターとの置換を含むTRE3G/SV40イントロン構築物の使用は、より高い力価をもたらす。カプシド発現を減少させることが記載されている、PKR及び下流の標的であるeIF2αのリン酸化レベルは、p40プロモーター及びそのイントロンを含むカプシド構築物の形質移入により実際に増加したが、改変された構築物を使用した場合は増加しなかった(
図4)。
【0085】
したがって、p40プロモーターとそのイントロンとの組合せの、改変されたTRE3GプロモーターとSV40イントロンとの組合せとの置換は、正しい比率のカプシドタンパク質(VP1:VP2:VP3)をもたらすだけでなく、PKR活性化の減少及びその結果生じたeIF2αリン酸化の減少に起因してタンパク質発現の増加ももたらす。
【0086】
実施例3:
改変されたカプシド構築物対p40イントロン構築物でのAAV産生の比較、及び異なる起源のプレパッケージング細胞株における追加のVA-RNAの影響
序論:
CAP細胞ベースの1種のプレパッケージングSCC及びHEK293細胞ベースの1種のプレパッケージングSCCにおけるrAAV8-GFPの産生を、改変されたカプシド構築物(SV40イントロンを有するTRE3Gプロモーター)又はp40イントロンカプシド構築物(AAV2(配列番号6)又はAAV8(配列番号7)由来のp40イントロンを有するTRE3Gプロモーター)と、AAV2 ITRに挟まれたGOIとしてGFPを含む構築物との組合せをそれらに形質移入することにより評価した。加えて、空ベクター又はVA-RNAを発現するベクターのいずれかを同時形質移入した。非常に低いVA RNAレベルを有する、誘導性のrep及びヘルパー機能を発現するプレパッケージング単一細胞クローンに形質移入を行った。形質移入の5時間後にAAV産生をドキシサイクリン誘導により開始した。
【0087】
アセンブルされたインタクトなAAVウイルス粒子(vp)の力価をELISAにより分析し、ウイルスゲノム(vg)の力価をSV40pA又はGFPに対して指向されたプライマー及びプローブを利用するqPCRにより分析した。
【0088】
結果:
これらの研究で利用されるELISAは、アセンブルされたカプシドの立体構造エピトープを認識する。したがって、改変されたTRE3G/SV40イントロンカプシド構築物と両方の細胞株ベースのプレパッケージングSCCとの組合せを使用しての、上記の1E11粒子/mlの検出は、高力価の完全にアセンブルされた機能的AAV粒子がこの構築物から産生されることを示す。比較すると、同じTRE3Gプロモーターの制御下のカプシドを有するp40イントロン構築物を形質移入した場合に産生されたカプシドの力価は、両方の細胞株ベースのプレパッケージングクローンについて顕著により低かった(10分の1未満)。力価は、VA-RNAの添加により、非常に低いVA-RNAレベルしか有さない細胞においてTRE3G/SV40イントロン構築物を使用して達成されるレベルまで回復され得る(
図5及び
図6)。完全なウイルス粒子の形成に対するイントロン構成及びVA-RNA追加の影響を、qPCRにより測定されるウイルスゲノム力価により分析した。イントロン構成間でのカプシド発現の差は、qPCRで示されたように、ウイルスゲノム力価の差ももたらした。ここでも、p40イントロン構築物へのVA RNAの追加は、追加のVA-RNA無しにTRE3G/SV40イントロン構築物により達成されるレベルまで力価を回復させた(
図7及び
図8)。要約すると、これらのデータは、TRE3G/SV40イントロン構築物が、VA-RNAの非存在下での効率的なAAV産生をもたらし、これにより、改変されていないp40イントロンではVA-RNAの存在下でのみ到達することができるレベルに達成することを示す。
【0089】
実施例4:
改変されたカプシド構築物を使用したAAV産生
序論:
3つの異なるプレパッケージングSCCにおけるrAAV8-GFPの産生を、改変されたカプシド構築物(SV40イントロンを有するCMVプロモーター)及びAAV2 ITRに挟まれたGOIとしてGFPを有する構築物をそれらに形質移入することにより評価した。誘導性のrep及びヘルパー機能を既に発現しているが、非常に低いレベルのVA RNAであることが以前に示されたプレパッケージング単一細胞クローンに形質移入を行った。形質移入の5時間後にAAV産生をドキシサイクリン誘導により開始した。
【0090】
アセンブルされたインタクトなAAVウイルス粒子の力価をELISAにより分析し、vg/mLの力価をSV40pAに対して指向されたプライマー及びプローブを利用するqPCRにより分析した。感染力を形質導入アッセイにより決定した。
【0091】
結果:
これらの研究で利用されるELISAは、アセンブルされたカプシドの立体構造エピトープを認識する。したがって、改変されたCMV/SV40イントロンカプシド構築物とプレパッケージングSCCとの組合せを使用しての、上記の1E11粒子/mlの検出は、完全にアセンブルされた機能的AAV粒子がこれらから産生されることを示す(
図10)。これらのAAV粒子は、qPCRにより示されように、ウイルスゲノムと共に効率的にパッケージングされる。評価された3つの異なるプレパッケージング細胞について、およそ1E10/mLのウイルスゲノム力価を検出することができた(
図11)。
【0092】
VP1は、ホスホリパーゼA2(PLA2)活性が後期エンドソームからのAAV粒子の放出に必要とされるため、AAV粒子の感染力に重要である一方で、VP2及びVP3は、ウイルス粒子の正確なアセンブリに重要である。
【0093】
産生されたAAV粒子のウェスタンブロットでの分析は、VP1、VP2、及びVP3の全3つのタンパク質の予想される比率での発現を明らかにした(
図9)。産生されたAAV粒子の形質導入アッセイでの分析は、約34%のAAVにより形質導入されたレポーター細胞をもたらし、したがって、改変されたカプシド構築物を使用することにより生成されたAAV粒子の感染力を証明する(
図12)。また、VP1:VP2:VP3の正しい化学量論比を達成することができたカプシド粒子の産生も示す。
【0094】
結論として、異なるプレパッケージングSCCにおける非常に低レベルのVA-RNAにもかかわらず、完全に機能的なAAVが本明細書に記載される手法により生成される。
【0095】
実施例5:
改変されたカプシドプロモーター領域を使用したパッケージング安定細胞株の作製
序論:
SV40イントロンと組み合わされた誘導性プロモーターの制御下の改変されたカプシド構築物をプレパッケージングSCCに導入した。安定プールを選択により作製した。プール作製後、細胞を1×106細胞/mLの密度で播種し、カプシド産生を、1μg/mLのドキシサイクリンの添加により誘導した。加えて、誘導されていない対照が含まれた。誘導の3日後、細胞溶解物を調製し、正しい化学量論比でのカプシド産生をウェスタンブロットにより分析した。
【0096】
結果:
プレパッケージング細胞株をベースとして、誘導性プロモーターの制御下の改変されたカプシド構築物を使用して安定パッケージングプールを作製した。ウェスタンブロット(
図13)により示されるように、ドキシサイクリン誘導により安定細胞株は、低レベルのVA RNAにもかかわらず、カプシドタンパク質を高効率かつ正しい比率で発現した。
【0097】
実施例6:
産生細胞株
序論:
完全安定産生細胞株を、SV40イントロンと組み合わされた誘導性プロモーターの制御下の改変されたカプシド構築物及びITRに挟まれたGOIであるGFPの、レンチウイルス形質導入によるプレパッケージングSCCへの導入により作製した。このポリクローナルプールは、高産生細胞を得るための単一細胞クローニングの開始点として役立った。24ディープウェルプレートでの小規模実験で最も有望なSCCを同定した後に、選択されたSCCを、誘導時のrAAV8-GFP産生についてAmbrでの培養中に分析した。簡潔には、細胞を1×106細胞/mLで播種し、播種の3日後にドキシサイクリンの添加により誘導した。試料を異なる時点で採取し、AAV産生をELISA及びqPCRにより測定した。
【0098】
結果:
改変されたカプシド構築物を使用して、安定産生細胞株を成功裡に作製した。最も良好なSCC産生株を、Ambr15での培養中に産生能について分析した。誘導により、完全安定産生細胞株は、低レベルのVA RNAしか有さないプレパッケージングクローンがベースであるにもかかわらず、カプシドのELISA及びqPCRで検出されたように、高力価のrAAV8-GFP産生を示した(
図14及び
図15)。改変された構築物を使用してのカプシドレベルは、SCCに応じて10
10カプシド/mL~10
13カプシド/mLの範囲であり、ウイルスゲノム産生は、10
9台中程から10
10台中程までの範囲であった。
【配列表】
【国際調査報告】