(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】レボドパ投薬レジメン
(51)【国際特許分類】
A61K 31/198 20060101AFI20231228BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20231228BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20231228BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A61K31/198
A61K9/48
A61P25/16
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537598
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 US2021064693
(87)【国際公開番号】W WO2022140448
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522213982
【氏名又は名称】アムニール ファーマスーティカルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】AMNEAL PHARMACEUTICALS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デスーザ,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ビサー,ヘスター
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,サニール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA54
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD05F
4C076DD28H
4C076DD28J
4C076DD38
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4C076DD47J
4C076EE11J
4C076EE12H
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4C076EE16
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4C076EE48J
4C076FF04
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF24
4C076FF25
4C076FF31
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA56
4C206HA03
4C206KA01
4C206KA17
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA57
4C206MA72
4C206NA12
4C206ZA15
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、パーキンソン病患者の治療に使用するための制御放出レボドパ組成物の経口投薬レジメンを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レボドパと制御放出賦形剤及び/又は粘膜付着性賦形剤とを含む制御放出剤形の経口投与を含む、パーキンソン病と診断された患者を治療する方法であって;前記制御放出剤形の投与は12時間毎に行われ、総1日用量は前記制御放出剤形によって提供されるレボドパのものであり、約400mg~約1,400mgであり;前記制御放出剤形から12時間毎に投与されるレボドパの用量は約200mg~約700mgであり、レボドパの前記制御放出剤形を受ける前の前記患者は、24時間の期間に3回、4回又はそれ以上の用量で投与される500mg以下の総1日用量のレボドパで治療されていた、方法。
【請求項2】
前記制御放出剤形から12時間毎に投与されるレボドパの用量が、約200mg~約500mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御放出剤形から12時間毎に投与されるレボドパの用量が、約250mg~約450mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記制御放出剤形が、カルビドパをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記制御放出剤形が、
(a)140mgのレボドパ及び35mgのカルビドパ;
(b)210mgのレボドパ及び52.5mgのカルビドパ;
(c)280mgのレボドパ及び70mgのカルビドパ;
(d)350mgのレボドパ及び87.5mgのカルビドパ;又は
(e)上記の組み合わせ
を含む1つ又は複数のカプセルを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
USP装置Iを使用して、75rpm及び37±0.5℃で、500ml~900mlの模擬胃液を用いて2時間試験し、その後pH6.8のリン酸緩衝液で試験した場合、前記制御放出剤形が、
2時間後に20%~60%のレボドパが放出される;
3時間後に40%~80%のレボドパが放出される;
4時間後に60%~100%のレボドパが放出される;及び
7時間後に80%以上が放出される
というレボドパ放出プロファイルを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
投与後、前記制御放出剤形が、投与後0.25~1時間以内に少なくとも300ng/mLのレボドパ血漿レベルをもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも7日間、約12時間毎の前記制御放出剤形の投与後、最小レボドパ血漿レベルが、投薬後7~8時間で約250ng/mLである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも7日間、約12時間毎の前記制御放出剤形の投与後、最小カルビドパ血漿レベルが、投薬後7~8時間で少なくとも約40ng/mLである、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記患者が、パーキンソン病と新たに診断された患者であるか、又はレボドパ未経験患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
レボドパと制御放出賦形剤及び/又は粘膜付着性賦形剤とを含む制御放出剤形の経口投与を含む、パーキンソン病と診断された患者を治療する方法であって;前記制御放出剤形の投与は、12時間毎又は7~8時間毎に行われ、前記患者は、(i)5時間未満の24時間の期間中の合計「オフ」時間;(ii)24時間の期間内で5時間未満の覚醒時間中の合計「オフ」時間;(iii)投薬時間間隔中の5時間超の合計オン時間;(iv)投薬時間間隔中の5時間超の合計良好オン時間;(v)1日当たりの合計同等経口即時放出CD-LD用量と比較した、1日当たりの患者の「オン」時間の少なくとも20分の増加;(vi)1日当たりの合計同等経口即時放出CD-LD用量と比較した、1日当たり少なくとも20分の患者の「良好オン」時間の増加;又は(vii)上記の組み合わせを示す、方法。
【請求項12】
前記制御放出剤形が、
(a)140mgのレボドパ及び35mgのカルビドパ;
(b)210mgのレボドパ及び52.5mgのカルビドパ;
(c)280mgのレボドパ及び70mgのカルビドパ;
(d)350mgのレボドパ及び87.5mgのカルビドパ;又は
(e)上記の組み合わせ
を含む1つ又は複数のカプセルを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
レボドパと制御放出賦形剤及び/又は粘膜付着性賦形剤とを含む制御放出剤形の経口投与を含む、パーキンソン病と診断された患者を治療する方法であって;前記制御放出剤形の投与は、12時間毎又は7~8時間毎に行われ、前記患者は、即時放出型レボドパ及びカルビドパ経口剤形による治療を受けている患者と比較して、覚醒時間中に合計「オフ」時間の少なくとも5%の低減を示す、方法。
【請求項14】
前記制御放出剤形が、
(a)140mgのレボドパ及び35mgのカルビドパ;
(b)210mgのレボドパ及び52.5mgのカルビドパ;
(c)280mgのレボドパ及び70mgのカルビドパ;
(d)350mgのレボドパ及び87.5mgのカルビドパ;又は
(e)上記の組み合わせ
を含む1つ又は複数のカプセルを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
レボドパと制御放出賦形剤及び/又は粘膜付着性賦形剤とを含む制御放出剤形の経口投与を含む、パーキンソン病と診断された患者を治療する方法であって;前記制御放出剤形の投与は、12時間毎又は7~8時間毎に行われ、前記患者は、180分以内の投薬間隔中の合計「オフ」時間を示す、方法。
【請求項16】
前記制御放出剤形が、
(a)140mgのレボドパ及び35mgのカルビドパ;
(b)210mgのレボドパ及び52.5mgのカルビドパ;
(c)280mgのレボドパ及び70mgのカルビドパ;
(d)350mgのレボドパ及び87.5mgのカルビドパ;又は
(e)上記の組み合わせ
を含む1つ又は複数のカプセルを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
レボドパと制御放出賦形剤及び/又は粘膜付着性賦形剤とを含む制御放出剤形の経口投与を含む、パーキンソン病と診断された患者を治療する方法であって;前記制御放出剤形の投与は、12時間毎又は7~8時間毎に行われ、前記患者は、就寝前の約30分以内に前記制御放出剤形を投与され、PD患者は、オン又は良好オン状態で約7~約8で覚醒する、方法。
【請求項18】
前記制御放出剤形が、
(a)140mgのレボドパ及び35mgのカルビドパ;
(b)210mgのレボドパ及び52.5mgのカルビドパ;
(c)280mgのレボドパ及び70mgのカルビドパ;
(d)350mgのレボドパ及び87.5mgのカルビドパ;又は
(e)上記の組み合わせ
を含む1つ又は複数のカプセルを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
レボドパと制御放出賦形剤及び/又は粘膜付着性賦形剤とを含む制御放出剤形の経口投与を含む、パーキンソン病と診断された患者を治療する方法であって;前記制御放出剤形の投与は、12時間毎又は7~8時間毎に行われ、前記患者は、各投薬間隔で同じ用量を投与される、方法。
【請求項20】
前記制御放出剤形が、
(d)140mgのレボドパ及び35mgのカルビドパ;
(e)210mgのレボドパ及び52.5mgのカルビドパ;
(f)280mgのレボドパ及び70mgのカルビドパ;
(d)350mgのレボドパ及び87.5mgのカルビドパ;又は
(e)上記の組み合わせ
を含む1つ又は複数のカプセルを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
レボドパと制御放出賦形剤及び/又は粘膜付着性賦形剤とを含む制御放出剤形の経口投与を含む、パーキンソン病と診断された患者を治療する方法であって、前記制御放出剤形の投与は、12時間毎又は7~8時間毎に行われ、前記患者は、摂食条件下又は絶食条件下で前記制御放出剤形を投与され、前記患者は、前記制御放出剤形が絶食条件下での投与と比較して摂食条件下で投与された場合、類似又は増加したレボドパ最大血漿濃度(C
max)及び/又は血漿濃度時間曲線下レボドパ面積(AUC)を示す、方法。
【請求項22】
前記制御放出剤形が、
(g)140mgのレボドパ及び35mgのカルビドパ;
(h)210mgのレボドパ及び52.5mgのカルビドパ;
(i)280mgのレボドパ及び70mgのカルビドパ;
(d)350mgのレボドパ及び87.5mgのカルビドパ;又は
(e)上記の組み合わせ
を含む1つ又は複数のカプセルを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記制御放出剤形が摂食条件下で投与される場合の最大レボドパ血漿濃度(T
max levodopa)までの時間又は最大カルビドパ血漿濃度(T
max carbidopa)までの時間が、前記制御放出剤形が絶食条件下で投与される場合のT
max levodopa又はT
max carbidopaの±5時間である、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月22日に出願された米国特許出願第63/129,063号、2021年2月17日に出願された米国特許出願第63/150,121号、2021年8月24日に出願された米国特許出願第63/236,403号、及び2021年9月23日に出願された米国特許出願第63/247,639号の利益を主張し、すべての内容は、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、レボドパ(以下「LD」)の経口投薬レジメンに関し、具体的には、LDの制御放出医薬組成物を用いる経口投薬レジメンに関する。投与レジメンは、ドーパミンレベルの低減又は障害に関連する神経疾患などの状態の治療に有用であり、パーキンソン病(以下「PD」)患者の治療に特に有用である。
【背景技術】
【0003】
PDに罹患している患者は、しばしば運動性が困難になる期間を有し、運動不能になることが多い。骨格筋系の運動性及び制御に影響を及ぼす神経伝達物質であるドーパミンの異常に低いレベルは、一般に、PD患者におけるこれらの運動症状の主な原因であると考えられている。しかしながら、ドーパミンは血液脳関門を通過しないため、ドーパミンの投与はパーキンソン病の運動症状を治療するのに有効ではない。この問題を解決するために、PD患者には、ドーパミンの代謝前駆体であるレボドパが投与されるが、レボドパには問題がないわけではない。
【0004】
経時的に、LDで治療された患者は、「ウェアリングオフ」の症状を示し、レボドパの単回用量は、レボドパ療法の初期ほど長くは持続しない(通常、レボドパ療法の開始後5~10年)。そのような患者は、投与終了不全、ピーク用量ジスキネジア及びアキネジアを特徴とする運動変動を発症し得る。進行した形態の運動変動(一般に「オン-オフ」現象とも呼ばれる)は、可動性から無可動性への予測不可能な転換を特徴とする。これらの運動変動の原因は完全には理解されていないが、進行した患者は一般に、LDの腸内注入などによってLDの定常血漿レベルを産生する治療レジメンから利益を得るが、これはそのような送達方法が通常は緊張性の内因性ドーパミンを模倣し得るためである。しかしながら、LDの腸内注入は制限的で、侵襲的であり、また面倒である。LDの経口送達が好ましいが、血漿濃度レベルを経口送達により制御するのは依然として困難である。
【0005】
PDを治療するためのLDとデカルボキシラーゼ阻害剤(典型的にはカルビドパ(以下「CD」))との組み合わせは、製薬分野において公知である。現在、LDとCDとの組み合わせを含有するいくつかの製剤、例えば、SINEMET(登録商標)、SINEMET(登録商標)CR、STALEVO(登録商標)、PARCOPA(登録商標)、RYTARY(登録商標)及びそれらの対応するジェネリック製品が市販されている。さらに、米国外での使用が承認されているデカルボキシラーゼ阻害剤はベンセラジドであり、これはLDと組み合わせて与えられ得る。
【0006】
多くの経口LD剤形が文献に記載されているが、LDの1日1回又は2回の経口剤形の開発の成功は困難であった。LDは速やかに代謝される。LDは、CDなしで経口投与した場合は約50分の血漿中半減期を有し、CDとともに経口投与した場合は約1.5時間の血漿中半減期を有する。この短い血漿半減期のために、1日1回又は2回の経口投薬を可能にするLDの持続放出型を提供するための多くの努力がなされてきた。インビトロデータは、LDが1日1回及び2回の投薬を可能にし得る様式で経口制御放出剤形から放出され得ることを示唆しているが、インビボデータは、一部には患者の消化管からのLDの吸収問題のために、1日1回及び2回の経口投薬を得ることが極めて困難であることを証明している。LDは、患者の上部消化管のごく一部からのみ吸収される。LDがこの狭い吸収窓で剤形から放出されない場合、剤形は狭い窓を通過し、LDは非常に低い吸収で下部消化管に放出される。LDの吸収が患者の上部消化管のごく一部に限定されるだけでなく、LDは吸収部位で食事性アミノ酸などの他の化合物と競合する。LDが患者の狭い吸収窓で放出されたとしても、吸収部位と相互作用する他の分子によって吸収が妨げられ得る。この競合により、放出されたレボドパは、正常な胃運動性を介して狭い吸収窓を通過し、患者の血流に到達することなく排泄され得る。
【0007】
1日2回又は3回の投薬を提供することができ、毎日の投薬中の「最高最低間」変動が最小限であるLDの安定した血漿濃度を提供することができ、また市販のLDの経口剤形よりも長い効果持続期間を提供する経口LD剤形及び投薬レジメンが依然として必要とされている。
【0008】
また、特に24時間の期間において6、7、8、9、10、11又は12時間毎に投与される場合、「オフ」時間の量を低減もしくは排除するか、又は「オン」時間及び「良好オン」時間の量を増加させる経口LD剤形及び投薬レジメンも依然として必要とされている。
【0009】
さらに、即時放出型CD-LD錠剤などの市販の経口LD剤形と比較して、特に24時間の期間で6、7、8、9、10、11又は12時間毎に投与する場合、「オフ」時間の量を低減もしくは排除するか、又は1用量当たり、1日当たり、及び/もしくは1日のうちの覚醒時間当たりの「オン」時間及び「良好オン」時間の量を増加させる経口LD剤形及び投与レジメンが依然として必要とされている。
【0010】
また、就寝前に投薬することができ、患者の睡眠全体を通して治療上の利益を提供することができ、また就寝投薬の7~9時間後に覚醒したときに治療上の利益を提供し続けることができる経口LD剤形及び投与レジメンも依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前述の必要性及び他の必要性を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、好ましくは即時放出LD製剤から1日当たり500mg以下のLDを服用するPD患者への1日2回の投薬を可能にする投薬レジメンを提供する。投薬レジメンは、経口制御放出LD製剤の1日に2回の投薬、すなわち約12時間毎に1回の投薬を可能にし、ここで、各用量は、約140~約700mgのLD、好ましくは約210mgのLD~約450mgのLD、最も好ましくは約280mg~約420mgのLDを含む。約12時間毎に投与される用量は、単一剤形又は複数剤形として投与され得る。例えば、560mgのレボドパの合計1日用量は、280mgのLDの単回用量として1日2回、すなわち12時間毎に投与され得、ここで280mgのLDの各単回12時間用量は、各カプセルが140mgのLDを含有する1用量当たり2つのカプセルとして、又は280mgのLDを含有する1用量当たり1つのカプセルとして投与され得る。ある特定の実施形態において、1日に2回行うレジメンの1日の合計用量は、約400mg~約500mgのLD又は12時間毎の約200mg~約250mgの用量である。
【0013】
本発明はまた、LD治療を開始していない又はLD未経験患者である新たに診断されたPD患者への1日2回又は3回の投薬を可能にする投与レジメンを提供する。新たに診断されたPD患者又はLD未経験患者に対する投薬レジメンは、経口制御放出LD製剤の1日に2回の投薬、すなわち約12時間又は8時間毎に1回の投薬を可能にし、ここで、各用量は、約140~約700mgのLD、好ましくは約210mgのLD~約450mgのLD、最も好ましくは約280mg~約420mgのLDを含む。1用量は、約12時間又は8時間毎に、単一剤形又は複数剤形として投与され得る。例えば、560mgのレボドパの合計1日用量は、280mgのLDの単回用量として1日2回、すなわち12時間毎に投与され得、ここで280mgのLDの各単回12時間用量は、各カプセルが140mgのLDを含有する1用量当たり2つのカプセルとして、又は280mgのLDを含有する1用量当たり1つのカプセルとして投与され得る。ある特定の実施形態において、1日に2回行うレジメンの1日の合計用量は、約400mg~約500mgのLD又は12時間毎の約200mg~約250mgの用量である。
【0014】
本発明はまた、4~12時間毎、好ましくは6~12時間毎の投与、すなわち1日に2、3、4又は5回の投薬を可能にし、投薬間に「オフ」時間がない、又は「オフ」時間が実質的にない投薬レジメンを提供する。
【0015】
本発明はさらに、4~12時間毎、好ましくは6~12時間毎、すなわち1日当たり2、3、4又は5回の投薬を可能にし、経口即時放出CD-LD用量又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較して、各用量による、1日当たり及び/又は1日のうちの覚醒時間当たりの「オン」時間の増加又は「良好オン」時間の増加を伴う投薬レジメンを提供する。
【0016】
本発明はまた、本明細書中に記載される制御放出剤形が就寝前に服用されることを可能にし、それにより、投与の6~9時間後、好ましくは7~8時間後に覚醒したときに患者に治療上の利益を提供する投薬レジメンを提供する。ある特定の実施形態において、本発明において有用な制御放出剤形は、24時間の期間において6時間~7時間又は7時間~8時間毎に投与され、7日間~15日間の連続処置の後、患者は、用量間で少なくとも250ng/mL、好ましくは少なくとも300ng/mL、最も好ましくは少なくとも330ng/mLの定常状態最小LD血漿レベルを得、次の用量の投与前の7時間~8時間にわたって治療上の利益を示す。
【0017】
本発明はさらに、6~12時間毎、すなわち1日当たり2、3、又は4回の投薬を可能にし、経口即時放出CD-LD用量又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較して、1用量当たり、1日当たり及び/又は1日のうちの覚醒時間当たりの運動変動の回数を低減する投薬レジメンを提供する。
【0018】
本発明はまた、6~12時間毎、すなわち1日当たり2、3、又は4回の投薬を可能にし、経口即時放出CD-LD用量又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較して、1用量当たり、1日当たり及び/又は1日のうちの覚醒時間当たりの患者の精神的安定を増加させる投薬レジメンを提供する。
【0019】
本発明はまた、6~12時間毎、すなわち1日当たり2、3、又は4回の投薬を可能にし、経口即時放出CD-LD用量又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較して、1用量当たり、1日当たり及び/又は1日のうちの覚醒時間当たりの患者の知覚問題及び/又は幻覚を低減する投薬レジメンをさらに提供する。
【0020】
ある特定の実施形態において、本発明の投薬レジメンにおいて使用される制御放出剤形は、即時放出量のLD及び調節又は制御放出量のLDを含む多粒子剤形である。LDの調節又は制御放出量は、制御放出材料及び/又は粘膜付着性材料とともに混合、それらによりコーティング又はそれらにより層状化され、腸溶性材料、好ましくは腸溶性ポリマーで任意選択的にコーティングされ得るLDを含有するコアを含む、ビーズ、ペレット、顆粒又はミニ錠剤などの調節又は制御放出成分として存在し得る。
【0021】
本発明で使用される制御放出剤形は、CDなどのデカルボキシラーゼ阻害剤も含み得る。CDなどのデカルボキシラーゼ阻害剤は、即時放出形態、調節もしくは制御放出形態、又はその両方で存在し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】絶食条件下、実施例8で試験した製剤の1日目のインビボレボドパ血漿プロファイルを示す図である。
【
図2】絶食条件下、実施例8で試験した製剤の1日目の用量正規化インビボレボドパ血漿プロファイルを示す図である。
【
図3】絶食条件下、実施例8で試験した製剤の1日目のインビボカルビドパ血漿プロファイルを示す図である。
【
図4】実施例8で試験した製剤の15日目のインビボレボドパ血漿プロファイルを示す図である。
【
図5】実施例8で試験した製剤の15日目のインビボカルビドパ血漿プロファイルを示す図である。
【
図6】実施例8で試験した製剤の1日目の平均MDS-UPDRSパートIIIスコアを示す図である。
【
図7】実施例8で試験した製剤の処置別の1日目の平均LD血漿濃度の経時変化及びMDS-UPDRSパートIIIスコアの平均ベースラインからの変化を示す。
【
図8】実施例8で試験した製剤の処置別の15日目の平均LD血漿濃度の経時変化及びMDS-UPDRSパートIIIスコアの平均ベースラインからの変化を示す。
【
図9】実施例9で試験した製剤のインビボレボドパ血漿プロファイルを示す図である。
【
図10】実施例9で試験した製剤のインビボカルビドパ血漿プロファイルを示す図である。
【
図11】実施例9で試験した製剤の治験責任医師の運動評価スコアの要約を示す。
【
図12】実施例9で試験した製剤の平均投薬前MDS-UPDRSパートIIIスコアからの平均変化を示す図である。
【
図13】実施例9で試験した製剤のMDS-UPDRSパートIIIスコアの4、7、又は13ポイントの改善の最小二乗平均時間を示す図である。
【
図14】実施例9で試験した製剤の処置別の平均LD血漿濃度の経時変化及びMDS-UPDRSパートIIIスコアの平均ベースラインからの変化を示す。
【
図15】実施例10で試験した製剤A及びEのインビボレボドパ血漿プロファイルを示す図である。
【
図16】実施例10で試験した製剤A及びEのインビボカルビドパ血漿プロファイルを示す図である。
【
図17】実施例11に記載のベースラインから試験終了までの「良好オン」時間の改善を示す図である。
【
図18】実施例11に記載の試験における訪問7での用量あたりの「良好オン」時間の改善を示す。
【
図19】実施例11に記載のベースラインから試験終了までの「オフ」時間の低減を示す図である。
【
図20】実施例12に記載の投与における平均LD血漿濃度を示す。
【
図21】実施例12に記載の投与における平均CD血漿濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0024】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「製剤(a formulation)」への言及は、複数の製剤を含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「約(about)」という用語は、例えば温度、時間、量、濃度など、範囲を含む数値指定の前に使用される場合、(+)又は(-)10%、5%又は1%変動し得る近似値を示す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「即時放出」という用語は、患者もしくは対象への投与後30分以内、25分以内、20分以内、15分以内に、又は500~900mlの水性媒体を使用して米国薬局方のI型もしくはII型溶解装置で試験した場合に、LD及び/又はCDなどの特定量の活性成分を放出する剤形又は組成物を指す。即時放出LD剤形の代表的な例は、Merck Sharpe&Dohme Corp.により販売されている、米国食品医薬品局(FDA)承認及び市販の錠剤製品、SINEMET(登録商標)、又はSINEMET(登録商標)の米国FDA「AB」級ジェネリック、例えば、Actavis Elizabeth,LLC、Apotex Inc.、Mayne Pharma LLC、Mylan Pharmaceuticals Inc.、Sciegen Pharmaceuticals Inc.又はSun Pharmaceutical Industries,Inc.により販売されているFDA承認錠剤である。
本明細書で使用される場合、「成分」という用語は、文脈によって決定付けられない限り、又は具体的に述べられない限り、その最も広い従来の解釈で使用される。より具体的には、成分は、要素、構成部分、単一成分又は成分の混合物であり得る。例えば、即時放出成分は、薬物自体などの単一成分を含んでもよく、又は「即時放出成分」が投与直後に薬物を放出することを条件として、薬物と1種又は複数種の薬学的に許容される賦形剤との組み合わせであってもよい。
【0027】
標的患者集団
本発明は、すべてのPD患者に有用である。本発明はまた、特定の標的患者集団において有用である。
【0028】
第1の標的患者集団は、(a)現在、500mg以下の合計1日用量のLDで治療されているPD患者を含み、500mg以下の合計1日用量は、24時間にわたってLDの3回、4回又はそれ以上の分割用量で投与される。いくつかの態様において、第1の標的患者集団におけるPD患者には、約100mgのLD及び25mgのCDを含む即時放出型経口錠剤などの即時放出型経口LD組成物が1日に3回、4回又は5回投与されている。別の実施形態では、第1の標的患者集団のPD患者は、500mg以下の総1日LD用量のための即時放出型経口LD組成物と制御放出型経口LD組成物との組み合わせを投与されている。さらに別の実施形態では、第1の標的患者集団のPD患者は、新たに診断されたPD患者及び/又はLDによる治療を開始していないPD患者である。
【0029】
第2の標的患者集団は、運動変動を有するLD経験PD患者を含む。第2の標的患者集団のサブセットは、少なくとも4、5、6、7、8年間又はそれ以上にわたってLD療法を受けており、LD療法、特に即時放出型経口LD療法を受けている間に運動合併症又は運動変動を経験しているPD患者を含む。第2の標的患者集団のこのサブセットは、進行PD患者と呼ばれ得る。
【0030】
第3の標的患者集団は、特に明記しない限り、第1及び第2の標的患者集団の患者ならびに進行PDを有する患者を含むすべてのPD患者を含む。
【0031】
投薬レジメン
本発明は、上述の第1の標的患者集団へのLDの1日2回の経口投薬を可能にし、それによって患者のPD症状を制御する。より具体的には、1日2回の投薬は、患者の運動変動症状を制御又は管理し、ある特定の実施形態では、患者の合計「オフ」時間を1日当たり5時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満及び0.5時間未満に短縮する。1日2回の投薬は、患者の運動変動症状を制御又は管理し、ある特定の実施形態ではまた、1用量当たり、1日当たり及び/又は覚醒時間中の患者の合計「オフ」時間を、1用量当たり、1日当たり及び/又は24時間の期間内の覚醒時間中5時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満及び0.5時間未満に短縮する。1日2回の投薬は、患者の運動変動症状を制御又は管理し、ある特定の実施形態では、患者の合計「オン」時間を、12時間の投薬間隔の間に(すなわち1用量当たり)5時間超、6時間超、7時間超、8時間超、9時間超、10時間超又は11時間超に増加させる。1日2回の投薬は、患者の運動変動症状を制御又は管理し、ある特定の実施形態ではまた、患者の合計「良好オン」時間を、12時間の投薬時間間隔の間に(1用量当たり)5時間超、6時間超、7時間超、8時間超、9時間超、10時間超又は11時間超に増加させる。PD患者に関する「オフ」、「オン」及び「Good On」時間という用語は、PD患者の治療の当業者に周知の用語であり、概要は以下の実施例8に提供される。
【0032】
第1の標的患者集団は、約400mg~約1000mgのLD、好ましくは約400mg~約800mg、最も好ましくは約400mg~約600mgのLDの合計1日用量を服用するか、又は投与される。この総1日LD用量は、約12時間毎に投与される2つの等しい又は等しくない用量に分割され得、ここで、12時間毎に服用又は投与される用量は、12時間毎に約200mgのLD~約500mgのLD、好ましくは約200mg~約450mgのLD、最も好ましくは約200mgのLD~約400mgのLDである。LDは、以下により詳細に記載されるように、経口制御放出剤形、好ましくは即時放出LD成分及び制御放出LD成分を含む多粒子剤形の形態でPD患者によって服用されるか、又はPD患者に投与される。
【0033】
ある特定の実施形態では、第1の標的患者集団によって12時間毎に服用又は投与されるLD用量は、約140mgのLD、210mgのLD、280mgのLD、350mgのLD、410mgのLD、又は420mgのLDを含む。ある特定の実施形態では、12時間毎に服用又は投与されるLD用量は、(i)約35mgのCD及び約140mgのLD;(ii)約52.5mgのCD及び約210mgのLD;(iii)約70mgのCD及び約280mgのLD;ならびに(iv)87.5mgのCD及び約350mgのLDを含む1つ又は複数の錠剤又はカプセルを含む。錠剤又はカプセルは、全体が嚥下されてもよく、あるいは、錠剤は、破砕され、ヨーグルトもしくはアップルソースなどの食品上に振りかけられてもよく、又はカプセルの内容物は、ヨーグルトもしくはアップルソースなどの食品上に振りかけられ、食品が患者によって嚥下されてもよい。
【0034】
第1の標的患者集団に対する本発明の投薬レジメンのある特定の実施形態では、単回又は複数回投与に基づき、投与後0.25~1時間以内、好ましくは0.25~0.75時間以内に、少なくとも300ng/mL、325ng/mL、350ng/mL、375ng/mL、400ng/mL又は425ng/mLのLD血漿レベルを提供すべきである。投与される剤形はまた、単回又は複数回投薬に基づいて、投与後0.25~1時間以内、好ましくは0.25~0.75時間以内に、少なくとも30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、75ng/mL、80ng/mL、85ng/mL、90ng/mL、95ng/mL又は100ng/mLのCD血漿レベルを提供すべきであり、CD血漿レベルを投薬後1時間~投与後7又は8時間まで75ng/mL、85ng/mL、95ng/mL、100ng/mL、110ng/mL、120ng/mL、125ng/mL、130ng/mL、135ng/mL、140ng/mL、145ng/mL、150ng/mL超に維持すべきである。
【0035】
第1の標的患者集団に対する本発明の投与レジメンのある特定の実施形態では、投薬後7~8時間で少なくとも250ng/mL、275ng/mL、285ng/mL、290ng/mL、300ng/mL、310ng/mL、320ng/mL又は330ng/mLの定常状態最小LD血漿レベルを提供すべきである。本発明の投薬レジメンはまた、投薬後7~8時間で少なくとも40ng/mL、45ng/mL、50ng/mL、55ng/mL、60ng/mL、65ng/mL、70ng/mL又は75ng/mLの定常状態最小CD血漿レベルを得るべきである。
【0036】
本発明の投薬レジメンにより、第1の標的患者集団のPD患者は、制御放出剤形の投与なしの患者の症状と比較して、又は即時放出CD-LD経口剤形による処置と比較して、投薬後及び次の投薬前に改善された治療上の利益を経験することが可能になる。改善される治療上の利益は、以下であり得る。
(i)適格な臨床医によって決定される患者の運動状態の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の改善又は増加;
(ii)患者のPD日誌によって決定される患者の運動状態の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の改善又は増加;
(iii)Kinesia 360センサによって測定した被験者の振戦、ジスキネジア及び/又は運動性の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の改善又は増加;
(iv)運動障害学会の統一パーキンソン病評価尺度(「MDS-UPDRS」)スコアの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20点以上の低減;
(v)1日当たり又は覚醒時間当たりの同等の合計即時放出型CD-LD用量と比較した、1日当たり又は覚醒時間当たりの患者の合計「オン」時間の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の増加;
(vi)1日当たり又は覚醒時間当たりの同等の合計即時放出型CD-LD用量と比較した、1日当たり又は覚醒時間当たりの患者の合計「良好オン」時間の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の増加;
(vii)即時放出CD-LD剤形の同等経口用量、又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、1用量当たり、1日当たり、及び/又は1日当たりの覚醒時間中の、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180分又はそれ以上の患者の「オン」時間の増加;
(viii)即時放出CD-LD剤形の同等経口用量、又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、1用量当たり、1日当たり、及び/又は1日当たりの覚醒時間中の、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180分又はそれ以上の患者の「良好オン」時間の増加;
(ix)1日当たり又は覚醒時間当たりの同等の合計即時放出型CD-LD用量と比較した、1日当たり又は覚醒時間当たりの患者の合計「オフ」時間の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の減少;
(x)即時放出CD-LD剤形の同等経口用量、又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、1用量当たり、1日当たり、及び/又は1日当たりの覚醒時間中の、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180分又はそれ以上の患者の「オフ」時間の減少;
(xi)即時放出CD-LD剤形の同等経口用量、又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、患者の変化に関する患者全般印象(「PGI-C」)スコア、変化に関する臨床全般印象(「CGI-C」)スコア及び/又は39項目パーキンソン病質問票(「PDQ-39」)スコアにおける少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の増加;
(xii)即時放出CD-LD剤形の同等経口用量、又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、1日当たりの運動変動の平均回数の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の減少;
(xiii)即時放出CD-LD剤形の同等経口用量、又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、1日当たりの知覚問題及び/又は幻覚の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の減少;あるいは
(xiv)前述の任意の組み合わせ。
【0037】
ある特定の実施形態では、改善される治療上の利益は、MDS-UPDRSパートIIIスコアの少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の改善を含む。
【0038】
運動状態、PD日誌、MDS-UPDRS、PGI-C、CGIC及びPDQ-39のより詳細な説明は、本明細書における後述の実施例8、9及び11において提供される。
【0039】
本発明はまた、第2又は第3の標的患者集団においてPD又は原発性パーキンソニズムを有する対象を治療するための投薬レジメンを提供する。投薬レジメンは、そのような治療を必要とする患者に、PD又は原発性パーキンソニズムの症状を治療するための有効量のLDを少なくとも6~9時間、好ましくは7~8時間提供するために、本明細書に記載されるような制御放出剤形を経口投与することを含む。
【0040】
本発明のある特定の実施形態では、第2又は第3の標的患者集団に対する投薬レジメンは、PD又は原発性パーキンソニズムの症状を治療するための有効量のLDを提供するために、本明細書に記載される制御放出剤形を24時間の期間(すなわち1日)で6、7又は8時間毎に対象に経口投与することを含む。投与される制御放出剤形は、単回又は複数回投与に基づき、投与後0.25~1時間以内、好ましくは0.25~0.75時間以内に、少なくとも300ng/mL、325ng/mL、350ng/mL、375ng/mL、400ng/mL又は425ng/mLのLD血漿レベルを提供すべきである。投与される制御放出剤形はまた、単回又は複数回投薬に基づいて、投与後0.25~1時間以内、好ましくは0.25~0.75時間以内に、少なくとも30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、75ng/mL、80ng/mL、85ng/mL、90ng/mL、95ng/mL又は100ng/mLのCD血漿レベルを提供すべきであり、CD血漿レベルを投薬後1時間~投与後7又は8時間まで75ng/mL、85ng/mL、95ng/mL、100ng/mL、110ng/mL、120ng/mL、125ng/mL、130ng/mL、135ng/mL、140ng/mL、145ng/mL、150ng/mL超に維持すべきである。
【0041】
本発明のある特定の実施形態では、第2又は第3の標的患者集団のための投薬レジメンは、本明細書に記載の制御放出剤形を6~9時間毎、好ましくは約7~8時間毎に、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、又は15日間にわたって対照に経口投与して、投薬の6~9時間後、好ましくは約7~約8時間後及び次の投薬の前に少なくとも250ng/mL、275ng/mL、285ng/mL、290ng/mL、300ng/mL、310ng/mL、320ng/mL、又は330ng/mLの定常状態最小LD血漿レベルを得ることを含む。制御放出剤形はまた、投薬の6~9時間後、好ましくは約7~約8時間後及び次の投薬の前に少なくとも40ng/mL、45ng/mL、50ng/mL、55ng/mL、60ng/mL、65ng/mL、70ng/mL又は75ng/mLの定常状態最小CD血漿レベルを得るために、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、又は15日間にわたって6~9時間、好ましくは約7~約8時間毎に投与されるべきである。
【0042】
第1、第2及び第3の標的患者集団への本発明の投薬レジメンは、制御放出剤形の投与の少なくとも1つが就寝前又は就寝時に30分、15分、10分、5分以内に行われ、就寝時投与の6、7又は8時間後、及び第1の標的患者集団において就寝時投与の約7、8、9、10、11又は12時間後までに覚醒すると治療上の利益を提供するように、本明細書に記載の制御放出剤形を経口投与するステップをさらに含み得る。この就寝時治療方法のある特定の実施形態では、本明細書に記載の制御放出剤形を少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、又は15日間、24時間で6、7、8、9、10、11又は12時間毎に投薬した後、覚醒LD血漿レベル、すなわち次の投薬前のLD血漿レベルは、少なくとも250ng/mL、275ng/mL、285ng/mL、290ng/mL、300ng/mL、310ng/mL、320ng/mL、又は330ng/mLであるべきであり、覚醒CD血漿レベルは、少なくとも40ng/mL、45ng/mL、50ng/mL、55ng/mL、60ng/mL、65ng/mL、70ng/mL、又は75ng/mLであるべきである。
【0043】
本発明の投薬レジメンにより、第2及び第3の標的患者集団は、本明細書に記載の制御放出形態の投与なしの患者の症状と比較して、又は即時放出CD-LD経口剤形による処置と比較して、投薬の6、7又は8時間後及び次の投薬前に改善された治療利益を経験することが可能になる。改善される治療上の利益は、以下であり得る。
(i)適格な臨床医によって決定される患者の運動状態の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の改善又は増加;
(ii)患者のPD日誌によって決定される患者の運動状態の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の改善又は増加;
(iii)Kinesia 360センサによって測定した被験者の振戦、ジスキネジア及び/又は運動性の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の改善又は増加;
(iv)MDS-UPDRSスコアの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20点以上の低減;
(v)1日当たり又は覚醒時間当たりの同等の合計即時放出型CD-LD用量と比較した、1日当たり又は覚醒時間当たりの対照の合計「オン」時間の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の増加;
(vi)1日当たり又は覚醒時間当たりの同等の合計即時放出型CD-LD用量と比較した、1日当たり又は覚醒時間当たりの患者の合計「良好オン」時間の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の増加;
(vii)即時放出CD-LD剤形の同等経口用量、又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、1用量当たり、1日当たり、及び/又は1日当たりの覚醒時間中の、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180分又はそれ以上の患者の「オン」時間の増加;
(viii)即時放出CD-LD剤形の同等経口用量、又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、1用量当たり、1日当たり、及び/又は1日当たりの覚醒時間中の、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180分又はそれ以上の患者の「良好オン」時間の増加;
(ix)1日当たり又は覚醒時間当たりの同等の合計即時放出型CD-LD用量と比較した、1日当たり又は覚醒時間当たりの患者の合計「オフ」時間の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の減少;
(x)即時放出CD-LD剤形の同等経口用量、又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、1用量当たり、1日当たり、及び/又は1日当たりの覚醒時間中の、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180分又はそれ以上の患者の「オフ」時間の減少;
(xi)即時放出CD-LD剤形の同等経口用量、又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、患者のPGI-Cスコア、CGI-Cスコア及び/又はPDQ-39スコアの少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の増加;
(xii)即時放出CD-LD剤形の同等経口用量、又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、1日当たりの運動変動の平均回数の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の減少;
(xiii)即時放出CD-LD剤形の同等経口用量、又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、1日当たりの知覚問題及び/又は幻覚の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の減少;あるいは
(xiv)前述の任意の組み合わせ。
【0044】
ある特定の実施形態では、改善される治療上の利益は、MDS-UPDRSパートIIIスコアの少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の改善を含む。
【0045】
本明細書に記載の制御放出剤形を6~9時間毎、好ましくは約7~8時間毎に患者に経口投与することを含む、第2及び第3の標的患者集団に対する投薬レジメンは、患者の運動変動症状を制御又は管理し、ある特定の実施形態ではまた、24時間の期間中の患者の合計「オフ」時間を、24時間の期間中5時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満及び0.5時間未満に低減する。本明細書に記載の制御放出剤形を6~9時間毎、好ましくは約7~8時間毎に対象に経口投与することを含む、第2及び第3の標的患者集団に対する投薬レジメンは、患者の運動変動症状を制御又は管理し、ある特定の実施形態ではまた、覚醒時間中の患者の合計「オフ」時間を、24時間のうちの覚醒時間中5時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満及び0.5時間未満に低減する。
【0046】
本明細書に記載の制御放出剤形を6~9時間毎、好ましくは約7~8時間毎に対象に経口投与することを含む、第2又は第3の標的患者集団に対する投薬レジメンは、患者の運動変動症状を制御又は管理し、ある特定の実施形態では、患者の合計「オン」時間を、投薬時間間隔中に5時間超、6時間超、7時間超、又は8時間に増加させる。本明細書に記載の制御放出剤形を6~9時間毎、好ましくは約7~8時間毎に対象に経口投与することを含む、第2又は第3の標的患者集団に対する投薬レジメンは、患者の運動変動症状を制御又は管理し、ある特定の実施形態ではまた、患者の合計「良好オン」時間を、投薬時間間隔中に5時間超、6時間超、7時間超、又は8時間に増加させる。
【0047】
本明細書に記載の制御放出剤形を6~9時間毎、好ましくは約7~8時間毎に患者に経口投与することを含む、第2又は第3の標的患者集団に対する投薬レジメンは、患者の運動変動症状を制御又は管理し、ある特定の実施形態では、即時放出CD-LD用量又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量の同等の経口投与と比較して、患者の1用量当たり、1日当たり及び/又は一日当たりの覚醒時間中の合計「オン」時間を、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180分又はそれ以上増加させる。この実施形態のある特定の態様では、制御放出剤形は、1日に4回又は5回投与される即時放出型CD-LD用量と比較して、1日に3回投与される。
【0048】
本明細書に記載の制御放出剤形を6~9時間毎、好ましくは約7~8時間毎に患者に経口投与することを含む、第2又は第3の標的患者集団に対する投薬レジメンは、患者の運動変動症状を制御又は管理し、ある特定の実施形態ではまた、即時放出CD-LD用量又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量の同等の経口投与と比較して、患者の1用量当たり、1日当たり及び/又は一日当たりの覚醒時間中の合計「良好オン」時間を、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180分又はそれ以上増加させる。この実施形態のある特定の態様では、制御放出剤形は、1日に4回又は5回投与される即時放出型CD-LD用量と比較して、1日に3回投与される。
【0049】
本明細書に記載の制御放出剤形を6~9時間毎、好ましくは約7~8時間毎に患者に経口投与することを含む、第2又は第3の標的患者集団に対する投薬レジメンは、患者の運動変動症状を制御又は管理し、ある特定の実施形態ではまた、即時放出CD-LD用量又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量の同等の経口投与と比較して、患者の1用量当たり、1日当たり及び/又は一日当たりの覚醒時間中の合計「オフ」時間を、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180分又はそれ以上減少させる。この実施形態のある特定の態様では、制御放出剤形は、1日に4回又は5回投与される即時放出型CD-LD用量と比較して、1日に3回投与される。
【0050】
ある特定の実施形態では、第1、第2及び/又は第3の標的患者集団のPD患者が経験する改善された治療上の利益は、覚醒時間中の合計「オフ」時間の実質的な低減を含み得、これは24時間の期間で約12~約16時間の範囲であり得る。本明細書で使用される場合、覚醒時間中の合計「オフ」時間の実質的な低減は、即時放出CD-LD経口剤形による処置と比較して、覚醒時間中の合計「オフ」時間、24時間の期間中の約12~18、13~17又は14~16時間の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%又は50%の減少を意味し得る。
【0051】
ある特定の実施形態では、第1、第2及び/又は第3の標的患者集団のPD患者が経験する改善された治療上の利益は、180分以下、160分以下、140分以下、120分以下、100分以下、90分以下、75分以下、60分以下、50分以下、45分以下、40分以下、35分以下、30分以下、25分以下、20分以下、15分以下、10分以下、5分以下又は0分の投薬間隔中の合計「オフ」時間を含み得る。第1の標的群のPD患者では、投薬間隔は約12時間毎である。第2及び第3の標的群のPD患者では、投薬間隔は6~12時間、好ましくは7~9時間、最も好ましくは約8時間であり得る。
【0052】
ある特定の実施形態では、第1、第2又は第3の標的患者集団のPD患者が経験する改善された治療上の利益は、覚醒時間中の「オン」及び「良好オン」時間の実質的な増加を含み得、これは24時間の期間で約12~約18時間又は約14~約16時間の範囲であり得る。本明細書で使用される場合、覚醒時間中の合計「オン」及び「良好オン」時間の実質的な増加は、即時放出CD-LD経口剤形による処置と比較して、覚醒時間中の合計「オン」又は「良好オン」時間(すなわち24時間の期間中の約12~18、13~17又は14~16時間)の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%又は50%の増加を意味し得る。
【0053】
ある特定の実施形態では、第1、第2又は第3の標的患者集団のPD患者が経験する改善された治療上の利益は、覚醒時間中の「オン」及び「良好オン」時間の実質的な増加を含み得、これは、即時放出CD-LD用量又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量の同等の経口投与と比較して、投薬時間間隔の間(すなわち1用量毎)に約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180分又はそれ以上の範囲であり得る。
【0054】
ある特定の実施形態では、第1、第2又は第3の標的患者集団のPD患者が経験する改善された治療上の利益は、覚醒時間中の「オフ」時間の実質的な減少を含み得、これは、即時放出CD-LD用量又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量の同等の経口投与と比較して、投薬時間間隔の間(すなわち1用量毎)に約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180分又はそれ以上の範囲であり得る。
【0055】
ある特定の実施形態において、第1、第2又は第3の標的患者集団のPD患者が経験する改善された治療的利益は、本明細書に記載の制御放出剤形が、(i)摂食条件下で投与され、絶食条件下での投与と比較される場合;(ii)摂食条件下で投与され、本明細書に記載の制御放出剤形の成分がヨーグルト又は果実調製物、ピューレもしくはコンポートなどの食物物質上に振りかけられ、振りかけられた組成物が投与される絶食条件下での投与と比較される場合;(iii)絶食条件下で投与され、本明細書に記載の制御放出剤形の成分がヨーグルト又は果実調製物、ピューレもしくはコンポートなどの食物物質上に振りかけられ、振りかけられた組成物が投与される絶食条件下での投与と比較される場合;あるいは(iv)(i)、(ii)及び/又は(iii)の組み合わせの場合の、類似の又は改善されたLD薬物動態学パラメータを含み得る。類似又は改善されたLD薬物動態パラメータには、Cmax及びAUCが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される類似のLD薬物動態パラメータは、摂食又は振りかけ条件下での投与から得られた標的パラメータ値の幾何平均比が、絶食条件下での投与から得られた標的パラメータ値の80~120以内であることを意味する。改善されたLD薬物動態値は、摂食条件下又は振りかけ条件下での投与から得られた標的パラメータ値が、絶食条件下での投与から得られた標的パラメータ値と比較してより高い又はより大きい値を示すことを意味する。例えば、第1、第2又は第3の標的患者集団中のPD患者は、食物とともに本明細書中に記載の制御放出剤形を服用し得、LD Cmax及び/又はLD AUC値は、同量の制御放出剤形が絶食条件下、好ましくは少なくとも10時間の絶食後、より好ましくは一晩の絶食後に投与された場合に得られるLD Cmax及び/又はLD AUC値よりも少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%もしくは25%又はそれ以上であろう。
【0056】
ある特定の実施形態において、第1、第2又は第3の標的患者集団のPD患者が経験する改善された治療的利益は、本明細書に記載の制御放出剤形が、(i)摂食条件下で投与され、絶食条件下での投与と比較される場合;(ii)摂食条件下で投与され、本明細書に記載の制御放出剤形の成分がヨーグルト又は果実調製物、ピューレもしくはコンポートなどの食物物質上に振りかけられ、振りかけられた組成物が投与される絶食条件下での投与と比較される場合;(iii)絶食条件下で投与され、本明細書に記載の制御放出剤形の成分がヨーグルト又は果実調製物、ピューレもしくはコンポートなどの食物物質上に振りかけられ、振りかけられた組成物が投与される絶食条件下での投与と比較される場合;あるいは(iv)(i)、(ii)及び/又は(iii)の組み合わせの場合の、6時間未満の最大LD及び/又はCD血漿濃度(Tmax)までの時間の変化を含み得る。例えば、第1、第2又は第3の標的患者集団のPD患者は、食物とともに本明細書に記載の制御放出剤形を服用し、絶食条件下、好ましくは少なくとも10時間の絶食後、より好ましくは一晩の絶食後に制御放出剤形に同量を投与した後に得られたTmaxと比較した場合、5時間未満、4.5時間未満、4.0時間未満、3.5時間未満、3.0時間未満、2.5時間未満、2.0時間未満、1.5時間未満、1.0時間未満又は0.5時間未満のLD Tmax及び/又はCD Tmaxの変化を示し得る。
【0057】
剤形
本発明の投薬レジメンにおいて有用な剤形は、LDの制御放出経口固体製剤であり、長期間にわたって比較的安定なLD血漿又は血清濃度プロファイルを提供し、対象の消化管における活性薬剤の吸収を増強する。
【0058】
剤形は、少なくとも2つの成分:(i)LDの即時放出を提供する第1の成分又は即時放出成分;及び(ii)LDの制御放出又は持続放出を提供する第2の成分又は制御放出成分を含み得る。ある特定の実施形態では、第2の成分又は制御放出成分は、粘膜付着性材料、好ましくは粘膜付着性ポリマーと混合、それでコーティング又は層状化され、腸溶性材料、好ましくは腸溶性ポリマーで外部コーティングされたLDを含有するコアを含む。第2の成分又は制御放出成分はまた、LDの制御放出に寄与する速度制御材料を含有してもよい。速度制御材料は、制御放出成分の一部であってもよい。例えば、速度制御材料は、薬物含有コアに適用され、粘膜付着性材料を含有するコーティングもしくは層への下塗りとしての速度制御ポリマーであってもよく、又は、速度制御材料は、LDと混合されて、制御放出成分の制御放出マトリックスもしくは制御放出コアを形成してもよい。第2の放出成分又は制御放出成分は、持続的な吸収を提供するために不可欠であり、それにより、長期的で安定した治療適用範囲を提供する。
【0059】
本発明において有用な経口剤形は、CDなどのデカルボキシラーゼ阻害剤も含み得る。CDなどのデカルボキシラーゼ阻害剤は、第1のもしくは即時放出型LD成分、第2のもしくは制御放出型LD成分、又は第1のもしくは即時放出型LD成分と第2のもしくは制御放出型LD成分との両方に存在し得る。CDなどのデカルボキシラーゼ阻害剤はまた、第1のもしくは即時放出LD成分及び/又は第2のもしくは制御放出LD成分とは別個の異なる成分中に存在し得る。より具体的には、本発明の制御放出持続吸収経口剤形の一実施形態は、(i)LDを含む第1の又は即時放出成分;及び(ii)LDを含む第2の又は制御放出成分を含み得る。別の実施形態は、(i)LD及びCDを含む第1の又は即時放出成分;ならびに(ii)LDを含む第2の又は制御放出成分を含み得る。さらなる実施形態は、(i)LDを含む第1の又は即時放出成分;ならびに(ii)LD及びCDを含む第2の又は制御放出成分を含み得る。さらなる実施形態は、(i)LD及びCDを含む第1の又は即時放出成分;ならびに(ii)LD及びCDを含む第2の又は制御放出成分を含み得る。別の実施形態は、(i)LDを含む第1のもしくは即時放出成分;及び(ii)LDを含む第2のもしくは制御放出成分、(iii)CDを含む第3のもしくは即時放出成分;ならびに/又は(iv)CDを含む第4のもしくは制御放出成分を含み得る。
【0060】
第1、第2、第3及び/又は第4の成分は、別個の異なる成分であってもよく、又はより大きな組み合わされた成分の異なる部分もしくは領域を形成するように組み合わされてもよい。例えば、第1の又は即時放出成分は、LD及び/又はCDと、任意選択で1種又は複数種の薬学的に許容される賦形剤とを含む粉末又は顆粒を含み得、粉末又は顆粒は、第2の又は制御放出成分とは別個の異なる組成物であるが、両方とも患者への投与のためにカプセルに組み込まれてもよい。あるいは、第1の又は即時放出成分は、LD及び/又はCDと、任意選択で1種又は複数種の薬学的に許容される賦形剤とを含むコーティング又は層を含み得、コーティング又は層は、第2の又は制御放出成分に適用されるか、又はその一部である。この代替的な実施形態では、第1の又は即時放出成分は、第2の又は制御放出成分と組み合わされて、より大きな組み合わされた成分の別個の部分又は成分を形成する。第1の又は即時放出成分が患者への剤形の投与後にLD及び/又はCDなどの薬物の即時放出を可能にし、第2の又は制御放出成分が本明細書に記載の制御放出及び/又は粘膜付着特性を有する限り、最終剤形中の第2の又は制御放出成分に対する第1の又は即時放出成分の位置、構造及び/又は配置は重要ではないことが、当業者には理解されよう。
【0061】
いくつかの実施形態では、制御放出成分は、粘膜付着性材料と同じであっても異なっていてもよい速度制御材料を含む。速度制御材料及び/又は粘膜付着性材料は、制御放出成分からの活性薬剤又は薬物の放出を遅速化又は延長させ、それにより、薬物、好ましくはLD及び任意選択でCDの放出及び吸収をさらに延長させる。制御放出成分は、4~10時間、好ましくは5~8時間の期間にわたってLD又はCDなどの薬物を放出すべきである。
【0062】
即時放出成分は、LD及びCDなどの薬物の迅速な放出をもたらし、それによってLD及びCDなどの薬物の迅速な吸収をもたらすべきである。迅速な吸収は、高速「オン」を必要とするPD患者にとって重要である。結果として、本発明において有用な制御放出剤形は、迅速に、好ましくは治療レベルまで上昇し、長期間持続するLD血漿レベルを提供することができる。
【0063】
ある特定の実施形態では、即時放出LDの量は、経口剤形中のLDの総量に基づいて約10%~約40%、好ましくは約15%~35%、最も好ましくは約20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%又は30%の範囲であるべきである。
【0064】
CDなどのデカルボキシラーゼ阻害剤は、LDの脱炭酸を阻害し、それによってLDバイオアベイラビリティを増加させるためにLD製剤が提供されることが多い。本発明で有用な制御放出剤形では、デカルボキシラーゼ阻害剤は、即時放出成分、制御放出成分、即時放出成分と制御放出成分の両方、又は前述のように別個の即時放出成分及び/又は制御放出成分に含まれ得る。好ましくは、デカルボキシラーゼ阻害剤はCDであり、LDを含む即時放出成分又はLDとは別個の即時放出成分などの即時放出形態でのみ含まれる。代替的な実施形態では、デカルボキシラーゼ阻害剤、好ましくはCDは、前述の即時放出形態と、LDを含む制御放出成分又はLDを含まない別個の制御放出成分などの制御放出形態の両方に含まれる。様々な実施形態において、即時放出型デカルボキシラーゼ阻害剤、好ましくはCDの量は、経口剤形中のデカルボキシラーゼ阻害剤の総量に基づいて約75%~約100%、好ましくは約80%~100%、最も好ましくは約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の範囲であるべきである。
【0065】
本発明の一実施形態では、経口剤形は、(1)LDを含む1つ又は複数の制御放出成分、及び(2)LDを含む1つ又は複数の即時放出成分を含む。1つ又は複数の制御放出成分は、錠剤、ミニ錠剤、ビーズ、ペレット、顆粒又はそれらの組み合わせとして製剤化され得る。制御放出成分は、粘膜付着性材料又はポリマーを含む層でコーティングされ、腸溶性材料又はポリマーを含む外層でさらにコーティングされたLDを含有するコアを含み得る。ある特定の実施形態では、制御放出成分の薬物含有コアは、速度制御材料を含み、これは、薬物と混合されて制御放出マトリックスコアを形成してもよく、薬物含有コア上にコーティングされて粘膜付着性材料を含むコーティングもしくは層の下に下塗りを形成してもよく、粘膜付着性材料もしくはポリマーを含むコーティングもしくは層に組み込まれてもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、制御放出材料及び粘膜付着性材料は、LDと一緒に混合されて、制御放出/粘膜付着性コアを形成し得る。
【0066】
即時放出成分は、制御放出成分とは別個の、又はその一部である粉末、コーティング、錠剤、ミニ錠剤、ビーズ、ペレット、顆粒又はそれらの組み合わせとして製剤化され得る。ある特定の実施形態では、即時放出成分は、制御放出成分とは別個の粉末、錠剤、ミニ錠剤、ペレット、ビーズ又は顆粒の形態である。代替の実施形態では、即時放出成分はまた、制御放出成分の1つ又は複数の上に即時放出コーティング又は層として適用されてもよい。ある特定の実施形態では、即時放出成分は、制御放出成分の腸溶コーティングに適用されるか、又はこれを取り囲んでもよい。
【0067】
本発明の別の実施形態では、経口剤形は、(1)LDを含む1つ又は複数の制御放出成分、及び(2)LDを含む1つ又は複数の即時放出成分、及び(3)デカルボキシラーゼ阻害剤成分、好ましくはCD成分を含む。デカルボキシラーゼ阻害剤成分は、粉末、コーティング、錠剤、ミニ錠剤、ビーズ、ペレット、顆粒又はそれらの組み合わせとして製剤化され得る。デカルボキシラーゼ成分は、即時放出形態、制御放出形態、又は即時放出及び制御放出形態であってもよい。デカルボキシラーゼ阻害剤は、(1)LDを含む制御放出成分の1つもしくは複数、及び/又は(2)LDを含む即時放出成分の1つもしくは複数と共製剤化されてもよい。代替として、デカルボキシラーゼ阻害剤は、LDを含む1つもしくは複数の制御放出成分、及び/又はLDを含む1つもしくは複数の即時放出成分とは別個に製剤化されてもよい。
【0068】
制御放出成分は、LD及びCDなどのデカルボキシラーゼ阻害剤の両方を含有する薬物含有コアを含んでもよく、又はLDは、デカルボキシラーゼ阻害剤を含有するものとは別個の制御放出成分であってもよい。本発明の一実施形態では、制御放出成分は、CDなどのデカルボキシラーゼ阻害剤を含まない又は実質的に含まないLD含有コアを含む。この実施形態では、実質的に含まないとは、剤形中のデカルボキシラーゼ阻害剤の総量の15%以下、好ましくは10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、又は1%以下が制御放出成分中にあることを意味する。この実施形態の即時放出成分は、LDとデカルボキシラーゼ阻害剤との組み合わせを含み得る。LDはまた、デカルボキシラーゼ阻害剤とは別個の即時放出成分中にあってもよい。
【0069】
本発明の好ましい実施形態では、経口剤形は、(1)LDを含む1つ又は複数の制御放出成分、ならびに(2)LD及びCDを含む1つ又は複数の即時放出成分を含む。この実施形態では、制御放出成分は、速度制御材料又はポリマーを含む第1の層、粘膜付着性材料又はポリマーを含む第2の層、及び腸溶性材料又はポリマーを含む外側又は第3の層でコーティングされた薬物含有コアを含み得る。コア、第1、第2及び/もしくは第3の層を分離するために、又は第3の層を上塗りするために、化粧品コーティング又は非機能性コーティング、例えば水溶性シールコーティングなどの追加のコーティング又は層を追加することもできる。これらの化粧用又は非機能性コーティングはまた、即時放出成分を制御放出成分から分離するため、及び即時放出成分を制御放出成分に塗布又は接着するために使用され得る。本明細書で使用される場合、非機能性又は化粧品コーティングは、最も外側のコーティングとして非機能性又は化粧品コーティングを有する組成物が、pH1~7の水性媒体500~900mlを有するタイプI又はIIのいずれかのUSP溶解装置に入れられた場合、30分、25分、20分、15分、10分又は5分以内に溶解するべきである。
【0070】
本発明の実践によれば、本発明の成分は、製薬技術分野において周知のように、湿式造粒、流動床造粒/コーティング、又は押出/球形化を含むがこれらに限定されないブレンド、混合、造粒及び/又はコーティングプロセスなどの当技術分野で一般的に使用される任意の方法によって得ることができる。組成物はまた、圧縮及び/又はスラッギングなどの他の従来の製剤化技術を用いて形成されてもよい。LD及びCDなどの薬物に加えて、制御放出成分及び/又は即時放出成分は、潤滑剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤、界面活性剤(湿潤剤と呼ばれることもある)、pH調整剤、酸化防止剤又はこれらの混合物などの従来の薬学的に許容される賦形剤をさらに含有し得る。
【0071】
本発明の一実施形態では、制御放出及び/又は即時放出成分は、好ましくは硬質ゼラチンカプセルに封入された多粒子である。多粒子は、容易な摂取のために食品又は液体に直接振りかけることができる形態であってもよい。
【0072】
CD及びLDなどの活性剤を組み合わせ、薬物含有コア全体に分散させることができる。別の実施形態では、活性剤は、薬物含有コアの中心に存在するか、又は糖球、微結晶セルロース球、ガラス球、プラスチック球もしくはそれらの組み合わせなどの不活性コア上に層状化/コーティングされてもよい。
【0073】
本発明の一実施形態では、経口剤形は、CD及びLDなどの薬物を異なる速度で放出する2つ以上の制御放出成分を含み得る。この実施形態では、経口剤形は、速度制御材料を含む第1のコーティング、粘膜付着性材料を含む第2のコーティング、及び/又は腸溶性材料を含む第3のコーティングの種類、数、厚さ及び/又は組成が異なる少なくとも2つの制御放出成分を含有する。
【0074】
本発明で使用される粘膜付着性材料は、均質な粘膜付着性材料、すなわち、単一種類の粘膜付着性材料もしくはポリマーであり得るか、又は複数の種類の粘膜付着性材料及び/もしくはポリマーを含み得る。粘膜付着性材料又はポリマーは、親水性、疎水性、カチオン性、アニオン性及び/又は生体適合性であるなどのある特定の特性を有することができ、粘膜表面に付着するための複数の水素結合基、疎水性表面、正に帯電した基及び/又は負に帯電した基を含むことができ、したがって制御放出成分を吸収部位で保持、延長又は遅速化させることができ、それによって所望の吸収部位で制御放出成分からのLDの放出を可能にし、それによってバイオアベイラビリティを高めることができる。さらに、粘膜付着性材料又はポリマーは、天然、合成又は生物源由来であり得る。さらにまた、粘膜付着性材料又はポリマーは、単一のポリマー又は2種以上の異なるポリマーの組み合わせで構成されてもよい。一実施形態では、ポリマーは、10,000ダルトン~1,000,000ダルトン、より好ましくは20,000ダルトン~200,000ダルトンのサイズの範囲であり得る。
【0075】
粘膜付着性ポリマーの例には、アミノメタクリレートコポリマーなどの塩基性メタクリレートコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。メタクリレートコポリマーの好ましい例は、塩基性ブチル化メタクリレートコポリマー、アミノメタクリレートコポリマー、又はアミノアルキルメタクリレートコポリマー、例えばEudragit(登録商標)E100(ポリ(ブチルメタクリレート-コ-(2-ジメチルアミノエチル)メタクリレート-コ-メチルメタクリレート)1:2:1;CAS番号:24938-16-7;Evonik Industries)である。EUDRAGIT(登録商標)E100は、2:1:1の比のジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びメチルメタクリレートをベースとしたカチオン性コポリマーである。
【0076】
粘膜付着性材料又はポリマーの他の例としては、グリセリド、ステロイド性界面活性剤、ポリカルボフィル(CAS番号9003-97-8;Noveon(登録商標)AA-1;Lubrizol Corp.)、カルボマー、セルロース、キトサン、ジエチルアミノデキストラン、ジエチルアミノエチルデキストラン、ポリガラクトサミン、ポリリジン、ポリオミチン、プロラミン、ポリイミン、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCナトリウム)及びアルギネート又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
粘膜付着性材料又はポリマーは、制御放出成分の質量の約1~75%、好ましくは制御放出成分の質量の約2~70%、最も好ましくは制御放出成分の質量の約3~50%を構成し得る。好ましくは、粘膜付着性材料又はポリマーは、Eudragit(登録商標)E100単独であるか、又は少なくとも1種のさらなる粘膜付着性材料との組み合わせである。上記の粘膜付着性材料又はポリマーの質量百分率は、0.8から1.2mmの間のビーズサイズを有する多粒子に基づく。ビーズサイズが0.8mm~1.2mmより大きい又は小さい場合、当業者は、上記の質量百分率がそれに応じて調整されるべきであることを理解するであろう。
【0078】
代替として、粘膜付着性材料又はポリマーは、ヒトの胃腸管に存在するpHで正のイオン電荷を形成することができる材料である。正電荷は、粘膜付着性材料が腸壁の負電荷と相互作用することを可能にし、それによって制御放出成分の胃腸通過時間を遅速化又は遅延させ得ると考えられる。
【0079】
腸溶コーティング材料又はポリマーは、当技術分野で公知である。一般に、腸溶性コーティングポリマーは、胃の低pH環境において経口固体剤形からの薬物放出を防止し、それによって剤形が小腸に到達するまで薬物放出を遅延させるように設計される。したがって、本発明の制御放出成分は、pH1.0で活性薬剤の最小放出を伴うインビトロ放出プロファイルを有する。本発明の制御放出製剤において、第2、第3又は外側腸溶コーティング層は、制御放出成分の凝集を防止する上でさらなる利点を提供すると考えられる。すなわち、腸溶コート層は、制御放出粘膜付着性成分が胃の低pH環境で互いに粘着するのを防止する。
【0080】
好ましい腸溶性材料は、シェラック(アロイリット酸のエステル)、ゼイン、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ポリ(メタクリル酸-コ-メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸-コ-エチルメタクリレート)、酢酸トリメリット酸セルロース(CAT)、ポリ(酢酸フタル酸ビニル)(PVAP)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)及び酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。好ましい腸溶性ポリマーは、pH5.5以上のpHで放出する。例としては、Eudragit(登録商標)L100又はEudragit(登録商標)L100-55が挙げられる。腸溶性ポリマーは、制御放出成分の質量の約1~40%、好ましくは約1.5~30%、最も好ましくは約1.5~25%を構成し得る。上記の腸溶コーティングポリマーのパーセンテージは、0.8~1.2mmの多粒子ビーズサイズに基づく。ビーズサイズがより小さい、又はより大きい場合、当業者は、上記の質量百分率がそれに応じて調整されるべきであることを理解するであろう。
【0081】
第2、第3又は外側腸溶コーティングは、5.0超のpH、5.5以上のpH、6.0以上のpH又は6.5以上のpHで溶解するように設計されるべきである。ある特定の実施形態では、第2、第3又は外側腸溶コーティングは、5.0~6.4の範囲内、好ましくは5.0~6.0の範囲のpHで溶解するように設計されるべきである。
【0082】
腸溶コーティングポリマーは、メタクリル酸コポリマー又は複数の種類のメタクリル酸コポリマーを含み得る。メタクリルコポリマーは、Eudragit(登録商標)L 30 D-55(ポリ(メタクリル酸-コ-エチルアクリレート)1:1;Eudragit(登録商標)L 100-55(ポリ(メタクリル酸-コ-エチルアクリレート)1:1;Eudragit(登録商標)L 100(ポリ(メタクリル酸-コ-メチルメタクリレート)、Eudragit(登録商標)L 12,5(ポリ(メタクリル酸-コ-メチルメタクリレート));Eudragit(登録商標)S 100(ポリ(メタクリル酸-コ-メチルメタクリレート)1:2;Eudragit(登録商標)S 12,5(ポリ(メタクリル酸-コ-メチルメタクリレート)1及びEudragit(登録商標)FS 30 D(ポリ(メチルアクリレート-コ-メチルメタクリレート-co-メタクリル酸)7:3:1;又はそれらの組み合わせのいずれかを含み得る。
【0083】
本発明の好ましい実施形態では、制御放出成分は、薬物含有コア上の第1の速度制御コーティング(すなわち、シールコーティングあり又はなしで薬物含有コアに塗布されるか、又はそれを取り囲む)と、速度制御コーティングに塗布されるか又はそれを取り囲む粘膜付着性材料を含む第2のコーティング(シールコーティングあり又はなし)と、第2のコーティングに塗布されるか、又はそれを取り囲む腸溶性材料を含む第3のコーティング(シールコーティングあり又はなし)とを含む。第1の速度制御コーティングは、エチルセルロース、酢酸セルロース、Eudragit(登録商標)E、Eudragit(登録商標)RS、Eudragit(登録商標)RL、及びEudragit(登録商標)NE、又はそれらの混合物などの制御放出材料又はポリマーを含み得る。好ましくは、制御放出材料は中性pHで水に溶解しない。使用され得るさらなる制御放出材料又はポリマーは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,002,776号に記載されている。ある特定の実施形態では、制御放出材料又はポリマーは、酢酸セルロース、エチルセルロース又はそれらの混合物である。第1の又は速度制御コーティングは、コアからの薬物の放出速度を調整するための細孔形成剤又は流動促進剤をさらに含んでもよい。好ましくは、細孔形成剤又は流動促進剤は、塩、すなわちNaCl、KCl、糖、すなわちラクトース、スクロース、マンニトール、ポビドン、コポビドン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はそれらの組み合わせなどの水溶性材料である。細孔形成剤又は流動促進剤が水溶性ポリマーである場合、それは100,000未満、好ましくは50,000未満などの低分子量を有するべきであり、及び/又は急速に水に溶解すべきであり、すなわち、水溶性ポリマーの2重量%が25℃で15分以内、好ましくは10分以内、最も好ましくは5分以内に100mlの水に溶解すべきである。
【0084】
制御放出成分はまた、上記の制御放出材料に加えて、又はその代わりに、疎水性制御放出材料を含んでもよい。使用され得る疎水性材料の例としては、蜜蝋、白蝋、乳化ワックス、水素化植物油、水素化ヒマシ油、微結晶ワックス、セチルアルコール、ステアリルアルコール、遊離ワックス酸、例えばステアリン酸、ワックス酸のエステル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセロール、カルナウバワックス、パームワックス、キャンデリラワックス、亜炭蝋、オゾケライト、セレシンワックス、ラルダセイン(lardaceine)、チャイナワックス及びそれらの混合物が挙げられる。本発明において有用な他の可能な制御放出賦形剤としては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,923,984号に記載されている、25~31個の炭素原子を有する飽和炭化水素、25~31個の炭素原子を有する飽和アルコール、25~31個の炭素原子を有する飽和モノカルボン酸、前記アルコール及びモノカルボン酸から得られるエステルが挙げられる。
【0085】
代替の実施形態では、制御放出成分は、前述の制御放出材料及び/又は疎水性材料であり得る制御放出材料と薬物、すなわちCD及び/又はLDとの混合物を含むマトリックスコアを含む。マトリックスコアは、潤滑剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤、界面活性剤(湿潤剤と呼ばれることもある)、pH調整剤、酸化防止剤又はこれらの混合物などの1種又は複数種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含有し得る。この実施形態では、マトリックスコアは、粘膜付着性コーティング及び外側腸溶コーティングでコーティングされる前に、速度制御コーティング又はポリマーでさらにコーティングされてもよい。
【0086】
別の代替の実施形態では、制御放出成分は、粘膜付着性コーティングに、前述の制御放出材料及び/又は疎水性材料であり得る制御放出材料を組み込んでもよい。粘膜付着性材料はまた、制御放出材料として機能し得るか、又は制御放出成分からの薬物の制御放出に寄与し得る。
【0087】
制御放出材料は、制御放出成分の質量の約1~35%、好ましくは約2~30%、最も好ましくは約3~25%を構成し得る。
【0088】
本発明で使用される粘膜付着性コーティング又は層及び腸溶コーティング又は層は、粘膜付着性材料及び腸溶性材料に加えて、可塑剤、潤滑剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤、界面活性剤(湿潤剤と呼ばれることもある)、pH調整剤、酸化防止剤、又は前述のものの混合物などの1種又は複数種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。
【0089】
いくつかの一般的に知られている可塑剤としては、アジペート、アゼレート、エンゾエート、シトレート、ステアレート、イソエブケート、セバケート、トリエチルシトレート、トリ-n-ブチルシトレート、アセチルトリ-n-ブチルシトレート、クエン酸エステル、及びJohn Wiley&Sonsにより出版されたEncyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.10(1969)に記載されているものが挙げられる。好ましい可塑剤は、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、ブドウ種子油、オリーブ油、ゴマ油、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、グリセリンソルビトール、ジエチルオキサレート、ジエチルマレート、ジエチルフマレート、ジブチルスクシネート、ジエチルマロネート、ジオクチルフタレート、ジブチルセバケート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、グリセロールトリブチレート及びそれらの組み合わせである。特定の可塑剤に応じて、制御放出、粘膜付着性及び/又は腸溶コーティングの総重量に基づいて、可塑剤の約0%~約25%、好ましくは約2%~約15%の量を使用することができる。
【0090】
医薬製剤に有用な潤滑剤は、当技術分野で公知である。適切な潤滑剤の例としては、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、脂肪酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、Stear-O-Wet(登録商標)、フマル酸ステアリルナトリウム、脂肪酸の塩、脂肪酸の金属塩、モノステアリン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ジベヘン酸グリセリル、Compritol(登録商標)888 ATO、グリセリドエステル、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸スクロース、糖エステル、脂肪酸エステル、タルク、水和ケイ酸マグネシウム、PEG4000、ホウ酸、Carbowax(PEG)4000/6000、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、Sterotex、ワックス、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
本発明の組成物に使用され得る充填剤の例としては、糖、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、第二リン酸カルシウム、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、粉末セルロース、ケイ化微結晶セルロース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、デンプン、及びそれらの混合物が挙げられる。充填剤は、制御放出成分の質量の約1~50%、好ましくは約2~45%、最も好ましくは約5~40%を構成し得る。同様に、充填剤は、即時放出成分の質量の約1~50%、好ましくは約2~45%、最も好ましくは約5~40%を構成し得る。
【0092】
本発明の組成物に使用され得る結合剤の例としては、アカシア、ポビドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリレート、メチルセルロース、エチルセルロース、アルファ化デンプン、ゼラチン、トラガカント、ゼイン、又はそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、結合剤は、ポビドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリメタクリレート、メチルセルロース、ゼラチン及びエチルセルロース、又はそれらの混合物から選択される。特に好ましい結合剤としては、ポビドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン及びそれらの混合物などの水溶性結合剤が挙げられる。結合剤は、制御放出成分の質量の約0.1~15%、好ましくは約0.2~10%、最も好ましくは約0.5~5%を構成し得る。結合剤は、即時放出成分の質量の約0.1~15%、好ましくは約0.2~10%、最も好ましくは約0.5~5%を構成し得る。
【0093】
本発明の組成物に使用され得る崩壊剤の例としては、クロスカルメロースナトリウム、デンプン、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、粉末セルロース、キトサン、グアーガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、及びそれらの混合物が挙げられる。崩壊剤は、即時放出成分の質量の約0.1~15%、好ましくは約0.2~10%、最も好ましくは約0.5~5%を構成し得る。
【0094】
本発明の組成物に使用され得る流動促進剤の例としては、コロイド状二酸化ケイ素、コーンスターチ、タルク又はそれらの混合物が挙げられる。
【0095】
1種又は複数種の界面活性剤も本発明の組成物に使用することができる。界面活性剤は、非イオン性界面活性剤又はイオン性界面活性剤であってもよい。非イオン性界面活性剤の例には、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリグリコール化グリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセリド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、又はこれらの混合物が含まれる。可能な非イオン性界面活性剤のさらなるリストは、参照により本明細書に組み込まれるMartindale,The Extra Pharmacopoeia 29th ed.の1243~1249頁に見出すことができる。
【0096】
ある特定の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、脂肪アルコール酸又はアミドエトキシレート、モノグリセリドエトキシレート、ソルビタンエステルエトキシレート、アルキルポリグリコシド、それらの混合物などを含み得る。ある特定の非イオン性界面活性剤としては、ポリソルベート20(TWEEN20(登録商標))、ポリソルベート40(TWEEN40(登録商標))、ポリソルベート60(TWEEN60(登録商標))及びポリソルベート80(TWEEN80(登録商標))などのポリオールエステルのポリオキシエチレン誘導体が挙げられる。
【0097】
ある特定の実施形態では、非イオン性界面活性剤はまた、d-アルファトコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(TPGS)、ノノキシノール、ポロキサマー、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、チロキサポール、及び前述の混合物を含み得る。
【0098】
任意の様々なイオン性界面活性剤も、本発明の組成物に組み込むことができる。適切なイオン性界面活性剤としては、カルボキシレート、例えば石鹸、アシルラクチレート、アミノ酸のアシルアミド、硫酸のエステル、例えばアルキルサルフェート及びエトキシル化アルキルサルフェート、スルホネート、例えばアルキルベンゼンスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレート及びスルホスクシネート、ホスフェート、第四級アンモニウム塩、及びエトキシル化アミンが挙げられるが、これらに限定さらない。好ましいイオン性界面活性剤の例は、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0099】
界面活性剤は、制御放出成分又は即時放出成分の質量の約0.1~15%、好ましくは約0.2~10%、最も好ましくは約0.5~5%を構成し得る。
【0100】
本発明の組成物に使用され得るpH調整剤の例としては、最終組成物に至る中間組成物のpHを調整し、また最終組成物の薬物環境のpHを所望の又は最適なpH範囲に調整するために存在し得る薬学的に許容される酸又は塩基が挙げられる。使用され得る薬学的に許容され得る酸の代表的な例としては、酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、リンゴ酸、硝酸、リン酸、プロピオン酸、硫酸、酒石酸、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。使用され得る薬学的に許容され得る塩基の代表的な例としては、アンモニア、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トロラミン、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、pH調整剤は酸、好ましくは有機酸であり、制御放出成分の質量の約0.5~20%、好ましくは約0.75~15%、最も好ましくは約1~10%を構成する。代替として、pH調整剤は酸、好ましくは有機酸であり、約1:4~約4:1、好ましくは約1:3~約3:1、最も好ましくは約1:2~約2:1の酸対レボドパのモル比で制御放出成分中に存在する。本発明のある特定の実施形態、即時放出成分、制御放出成分及び/又は最終経口剤形は、pH調整酸、好ましくはpH調整有機酸、最も好ましくはpH調整カルボン酸、例えば酢酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、プロピオン酸、酒石酸、及びそれらの混合物を含まないか、又は実質的に含まない。
【0101】
本発明の組成物に使用され得る酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、メタ重硫酸カリウム、没食子酸プロピル、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、二酸化ナトリウム、トコフェロール、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0102】
本発明の一実施形態では、CD及びLDは、本発明の剤形中に約1:1~約1:10、好ましくは約1:3~約1:5、最も好ましくは約1:4の重量比で存在する。ある特定の実施形態は、CD及びLDを約1:4の比で含み、CDのすべて又は実質的にすべてが即時放出成分中にある。
【0103】
LD~CDの有用な量の例としては、(a)約140mgのLD及び約35mgのCD;(b)約210mgのLD及び約52.5mgのCD;(c)約280mgのLD及び約70mgのCD;ならびに(d)約350mgのLD及び約87.5mgのCDが挙げられる。上記の値は、無水CDの重量に基づく。CDの一水和物形態が使用される場合、量はわずかに高くなる。例えば、35mgの無水CDは、37.79mgのCD一水和物と等価であり、同様に、70mgの無水CDは、75.58mgのCD一水和物と等価である。
【0104】
本発明の一実施形態では、即時放出成分は、制御放出成分未満を構成し得る。例えば、制御放出成分中のLDに対する即時放出成分中のLDの比は、0.15から0.49の範囲内とすることができる。例えば、制御放出成分:即時放出成分中のLDの重量比は、少なくとも約2:1、最も好ましくは3:1である。好ましくは、即時放出成分中のLDの量は、剤形の投与後一時間以内、好ましくは投与後45分以内、最も好ましくは投与後約30分以内にLDの治療用量を提供すべきである。
【0105】
上記のように、CDなどのデカルボキシラーゼ阻害剤を含むある特定の実施形態では、デカルボキシラーゼ阻害剤の全部又は実質的に全部が即時放出成分中にあるべきである。即時放出成分中の即時放出型デカルボキシラーゼ阻害剤、好ましくはCDの量は、経口剤形中のデカルボキシラーゼ阻害剤の総量に基づいて約75%~約100%、好ましくは約80%~100%、最も好ましくは約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99又は100%の範囲であるべきである。
【0106】
本発明の一実施形態では、制御放出成分は、12、14、又は16メッシュを通過するが、18、20、又は25メッシュのふるい上に保持され得るサイズを有する1つ又は複数のビーズ、ペレット、錠剤、ミニ錠剤又は顆粒を含む。さらに、ビーズ、ペレット、錠剤、ミニ錠剤又は顆粒は、14メッシュを通過するが、18又は25メッシュのふるい上に保持され得るサイズを有し得る。ある特定の実施形態では、本発明の剤形は、12、14又は16メッシュを通過するが、18、20又は25メッシュのふるい上に保持され得るサイズを有する複数のビーズ、ペレット、錠剤、ミニ錠剤又は顆粒を含む。
【0107】
制御放出成分は、pH1.0でのLDの最小放出及び中性付近、例えばpH7又はその付近でのLDの持続放出を示すインビトロ溶解プロファイルを有する。例えば、最小放出は、模擬胃液(pH1.0、酵素なし)中、75rpmの撹拌速度で2時間、米国薬局方(USP)I溶解法を使用して、20%未満、好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満のLDの放出を伴い得る。さらに、持続放出は、75rpmの撹拌速度でUSPI溶解法を使用した模擬胃液(pH1.0、酵素なし)中での最初の2時間後に模擬腸液(pH7.0、酵素なし)に変更すると、pH7又はその付近で少なくとも4時間を超えて、さらに8時間まで放出することを含み得る。さらに、本明細書で使用される場合、pH7又はその付近には、pH6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5もしくは7.6、又はそれらの近似値のpHが含まれる。
【0108】
本発明において有用な経口制御放出剤形は、1つ以上の即時放出成分及び1つ以上の制御放出成分を含むべきであり、ヒト患者への投与後、即時放出成分は、剤形の投与後1時間以内、好ましくは投与後45分以内、最も好ましくは投与後約30分以内にLDの治療用量を提供すべきである。この治療レベルを得るために、制御放出成分は、USPタイプI又はII装置を使用して37℃、75rpmの回転速度及び900mlのpH6.8~7.4の間、好ましくはpH7の水性媒体で試験した場合、以下のインビトロ放出プロファイルを示すべきである。
【0109】
【0110】
上記の表中のLD放出量は、制御放出成分中に存在するLDの総量に基づく。ある特定の実施形態では、制御放出成分はまた、USPタイプI又はII装置を使用して37℃、75rpmの回転速度及び900mlのpH1の水性媒体で2時間試験した場合、25%未満、好ましくは20%未満、最も好ましくは15%未満のLDを放出すべきである。
ある特定の実施形態では、本発明で有用な経口制御放出剤形は、(i)LD及びCDを含む1つ又は複数の即時放出成分と、(ii)1つ又は複数の制御放出成分、すなわち(a)LD、任意選択でCD及び少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含むコア、(b)粘膜付着性材料を含むコアを取り囲む層又はコーティング、ならびに(c)粘膜付着性コーティング(b)を取り囲む腸溶性材料を含む外側コーティングを含むビーズ、ペレット、錠剤、ミニ錠剤、又は顆粒などの制御放出粒子とを含む。この実施形態はまた、コア内に制御放出材料、又はコアを取り囲む制御放出材料を含むコーティング、及びコーティングの下に粘膜付着性材料を含み、ならびに前述のように化粧用及び/又は非機能性シールコーティングを含み得る。本発明の剤形のこの実施形態が、約1~約7.5のpHを有する500~900mLの水性媒体とともにUSPタイプI又はタイプII装置を使用して試験される場合、CDの約75%~100%が30分以内に放出され、好ましくはCDの約85%~100%が30分以内に放出され、最も好ましくはCDの約90%~100%が30分以内に放出される。さらに、剤形のこの実施形態が、USPタイプI又はタイプII装置及び約1~約4.0のpHを有する500~900mLの水性媒体を使用して試験される場合、LDの約15%~45%が30分以内に放出され、好ましくはLDの約20%~40%が30分以内に放出され、最も好ましくはLDの約25%~35%が30分以内に放出される。剤形のこの実施形態が、USPタイプI装置を使用して、37℃±0.5℃で、75rpmの回転速度及び500~900mlの模擬胃液で2時間、その後pH6.8リン酸緩衝液で試験された場合、以下のLDインビトロプロファイルが示される。
【0111】
【0112】
さらなる実施形態では、本発明は、a)前述の1つ又は複数の即時放出成分、b)前述の1つ又は複数の制御放出成分、及びc)1又は複数の腸溶コーティングされた成分を含む。腸溶コーティングされた成分は、LDもしくはLDのエステルもしくはその塩及び/又はデカルボキシラーゼ阻害剤を含むコアと、前述の少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤と、腸溶コーティングとを含む。腸溶コーティングされた成分は、USPタイプI又はタイプII装置を使用して37℃、回転速度75rpm及びpH6.8~7.4、好ましくはpH7の水性媒体900mlで試験した場合、90分以内、好ましくは60分以内、最も好ましくは45分以内に100%のLD及び/又はデカルボキシラーゼ阻害剤を放出する。腸溶コーティングされた成分はまた、USPタイプI又はII装置を使用して37℃、75rpmの回転速度及び900mlのpH1の水性媒体で試験した場合、25%未満、好ましくは20%未満、最も好ましくは15%未満のLDを放出すべきである。
【0113】
制御放出成分から放出されたLDは、対象への投与後約2時間以降に発生するピークを含むインビボLD血漿プロファイル(例えば、平均インビボLD血漿プロファイル)をもたらし得、ピーク濃度の最大値(Cmax)の50%超のLD血漿濃度に対して少なくとも3時間の持続期間を提供する。別の実施形態では、血漿プロファイルにおいて、ピークは、対象への投与後約1時間半後に生じ、Cmaxの50%以上のLD血漿濃度に対して少なくとも4時間の持続期間を示す。例として、プロファイルは絶食条件下で達成され得る。
【0114】
本発明の製剤が即時放出成分及び制御放出成分を含む場合、対象への本発明の剤形の経口投与後のインビボLD血漿プロファイルは、経口剤形の投与時間;剤形の投与後約6時間又は7時間以内に生じるCmaxに対応するLD血漿濃度;投与の一時間以内、より好ましくは30分以内にCmaxの50%に達する平均時間を含み得る。Cmaxの50%までの時間は1時間未満であり、Cmaxの50%は少なくとも5.0時間維持される。最大血漿濃度に達する剤形投与後の時間(Tmax)は、30分~7時間である。好ましくは、LD血漿レベルは、少なくとも5.5時間、より好ましくは少なくとも6.0時間、さらにより好ましくは少なくとも6.5時間、最も好ましくは少なくとも7.0時間、Cmaxの50%以上に維持される。
【0115】
本発明の製剤が即時放出成分及び制御放出成分を含む場合、対象への本発明の剤形の経口投与後のインビボLD血漿プロファイルは、0.5~1.5、好ましくは約0.7~約1.3、より好ましくは約0.7~約1.25の範囲であり得るLD変動指数を含み得る。変動指数は、以下の式(Cmax-Cmin)/Cavgで決定され得、式中、Cmaxは最大又はピークLD濃度であり、Cminは最小LD濃度であり、Cavgは測定間隔全体にわたる平均LD濃度である。ある特定の実施形態において、変動指数は、定常状態において、又は本明細書中に記載される製剤による処置の約10~約15日後に決定され、好ましくは、最初の朝の投与から始まる期間中及び最初の朝の投与の6、7、8、9、10、11又は12時間後に測定される。
【0116】
本明細書に列挙される薬物動態パラメータは、特に明記しない限り、健康な対象又はPD患者に対する単回又は複数回用量研究によって得ることができることが当業者によって理解される。本明細書に列挙される薬物動態パラメータは、摂食又は絶食条件下で得ることができることも理解される。本明細書に列挙される薬物動態パラメータは、特に明記しない限り、少なくとも3人以上の対象又は患者を使用する単回又は複数回投与試験から得られた平均値であることがさらに理解される。
【0117】
本発明の即時放出成分と制御放出成分との組み合わせは、ほぼ注入様のプロファイルを提供する。LD Cmax自体は臨床的に重要ではない。臨床的に重要なのは、LDの治療レベルに達する時間(例えば50% CmaxのLDレベル)及び治療レベル以上(例えば50% Cmax)に維持される時間である。治療的LDレベルに達するまでの短い時間は、PD患者のより速い「オン」時間に関連するが、治療レベル以上の長期間は、所望の安定した「注入様」プロファイルを提供する。
【0118】
本発明の利点は、5時間を超える持続期間にわたって持続的なLD血漿濃度を提供すること、及び50% Cmax超のLD血漿濃度の平均持続期間のパーセント変動係数(CV)が35%未満、好ましくは30%未満であるより一貫した持続期間を提供することである。
【0119】
本発明の好ましい組成物は、以下を含む。
a)LD及び/又はCDと、任意選択で前述の少なくとも1種の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む1つ又は複数の即時放出成分と、b)制御放出ビーズ、ペレット、錠剤、ミニ錠剤又は顆粒を含む1つ又は複数の制御放出成分であって、ビーズ、ペレット、錠剤、ミニ錠剤又は顆粒は、CDを含まないか又は実質的に含まないLDのコアと、前述の少なくとも1種の薬学的に許容され得る賦形剤と、コアに適用される及び/又はコアを取り囲む粘膜付着性コーティング又は層と、粘膜付着性コーティング又は層を取り囲む腸溶性コーティングとを含み、制御放出ビーズ、ペレット、錠剤、ミニ錠剤又は顆粒はまた制御放出材料を含む、1つ又は複数の制御放出成分とを含む、多粒子製剤。制御放出材料は、i)制御放出マトリックスコアを形成するためにLDと混合されてもよく、ii)LD及び少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含むコア上にコーティングもしくは層として塗布されてもよく、iii)粘膜付着性のコーティングもしくは層に組み込まれるもしくは混合されてもよく、又は、iv)(i)、(ii)及び/又は(iii)の組み合わせであってもよい。前述の化粧品及び/又はシールコーティングは、この実施形態の即時放出及び制御放出成分にも使用することができる。
【0120】
代替の好ましい組成物は、以下を含む。
a)LD、CD及び任意選択で前述の少なくとも1種の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む1つ又は複数の即時放出成分と、b)ビーズ、ペレット、ミニ錠剤又は顆粒を含む、CDを含まない、又は実質的に含まない1つ又は複数の制御放出成分であって、ビーズ、ペレット、錠剤、ミニ錠剤又は顆粒が、CDを含まないか又は実質的に含まないLDのコアと、前述の少なくとも1種の薬学的に許容され得る賦形剤と、コアに適用される及び/又はコアを取り囲む粘膜付着性コーティング又は層と、粘膜付着性コーティング又は層を取り囲む腸溶性コーティングとを含み、制御放出ビーズ、ペレット、錠剤、ミニ錠剤又は顆粒はまた、制御放出材料を含む、1つ又は複数の制御放出成分と、c)LD及び/又はデカルボキシラーゼ阻害剤と、前述の少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とを含むコア、ならびにコアを取り囲む腸溶コーティングを含む複数の腸溶コーティングされたビーズ、ペレット、ミニ錠剤又は顆粒を含む腸溶コーティングされた成分とを含む、多粒子製剤。制御放出成分に使用され制御放出材料は、i)制御放出マトリックスコアを形成するために、LD及び少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤と混合されてもよく、ii)LD及び少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤のコア上にコーティングもしくは層として塗布されてもよく、iii)粘膜付着性のコーティングもしくは層に組み込まれるもしくは混合されてもよく、又は、iv)(i)、(ii)及び/又は(iii)の組み合わせであってもよい。
【0121】
ある特定の実施形態では、本発明の投薬レジメンにおいて有用な剤形は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,292,935号及び米国特許出願公開第2020/0009062号(2019年9月17日に出願された米国特許出願第16/573,634号)に記載されている。
【実施例】
【0122】
実施例1
以下の組成を有する即時放出顆粒を調製した。
【数3】
【0123】
顆粒は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,292,935号の実施例5、成分1の調製で上述したのと同様の手順を用いて混合して調製した。概して、CD、LD及びクロスカルメロースナトリウムを高剪断造粒機で混合し、ポビドンの5重量%水溶液で湿式造粒した。造粒後、湿潤顆粒を0.375インチスクリーンを備えたComilに通し、流動床で乾燥させた。乾燥した顆粒を、30メッシュのスクリーンを備えたFitzmillで粉砕し、次いでステアリン酸マグネシウムとブレンドした。
【0124】
実施例2
以下の組成を有する制御放出粒子(ビーズ)を調製した。
【数4】
【0125】
制御放出ビーズは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,292,935号の実施例5、成分IIの調製に記載されているものと同様のプロセスによって調製した。概して、LD、微結晶セルロース、マンニトール及びラウリル硫酸ナトリウムを高せん断造粒機で混合し、ポビドンの5重量%水溶液で湿式造粒した。造粒後、0.9mm孔サイズのスクリーンを備えた押出機を使用して湿潤顆粒を押し出し、押出物を収集し、3mmクロスハッチディスクを備えたスフェロナイザーに装填した。湿潤球形化ビーズを流動床乾燥機で乾燥させた。乾燥したビーズを16市場グレード(MG)及び24MGメッシュスクリーンでふるい分けし、16MGスクリーンを通過するが24MGスクリーン上に残っているビーズを収集した。
【0126】
流動床コーティング装置を使用して、収集したビーズを、酢酸セルロース、コポビドン、アセトン及びイソプロピルアルコールを含む溶液でコーティングした。標的コーティング溶液を塗布した後、制御放出コーティングビーズを流動床で乾燥させた。乾燥した制御放出ビーズを14MG及び24MGメッシュスクリーンでふるい分けし、24MGスクリーン上に残っているビーズを収集した。収集した制御放出コーティングビーズを、流動床中のEudragit E100、タルク、アセトン及びイソプロピルアルコールを含む粘膜付着性溶液でコーティングした。標的粘膜付着性コーティング溶液を制御放出コーティングビーズに塗布した後、粘膜付着性コーティングビーズを流動床で乾燥させた。乾燥した粘膜付着性コーティングビーズを、流動床中でEudragit L 100、クエン酸トリエチル、アセトン及びイソプロピルアルコールを含む腸溶コーティング溶液でコーティングした。標的腸溶コーティング溶液を粘膜付着性コーティングビーズに塗布した後、腸溶コーティングビーズを流動床で乾燥させた。乾燥した腸溶コーティングビーズを14MG及び24MGメッシュスクリーンでふるい分けし、24MGスクリーン上に残っているビーズを収集した。収集したビーズをタルクとブレンドした。
【0127】
実施例3
実施例1の即時放出成分及び実施例2の制御放出ビーズをブレンドして、67.49重量%の制御放出ビーズ及び32.51%の即時放出顆粒との混合物を作製した。混合物を、(a)180mgのLD及び45mgのCD、ならびに(b)270mgのLD及び67.5mgのCDを含有する硬質ゼラチンカプセルに充填した。CD重量は無水CDに基づく。
【0128】
実施例4
実施例2の手順に従って、以下の組成を有する制御放出粒子(ビーズ)を調製した。
【数5】
【0129】
実施例5
実施例1の即時放出成分及び実施例4の制御放出ビーズをブレンドして、68.11重量%の制御放出ビーズ及び31.89%の即時放出顆粒との混合物を作製した。混合物を、(a)180mgのLD及び45mgのCD、ならびに(b)270mgのLD及び67.5mgのCDを含有する硬質ゼラチンカプセルに充填した。CD重量は無水CDに基づく。
【0130】
実施例6
実施例2の手順に従って、以下の組成を有する制御放出粒子(ビーズ)を調製した。
【数6】
【0131】
実施例7
実施例1の即時放出成分及び実施例6の制御放出ビーズをブレンドして、67.5重量%の制御放出ビーズ及び32.5%の即時放出顆粒との混合物を作製した。混合物を、(a)140mgのLD及び35mgのCD、(b)210mgのLD及び52.5mgのCD、(c)280mgのLD及び70mgのCD、ならびに(d)350mgのLD及び87.5mgのCDを含有する硬質ゼラチンカプセルに充填した。CD重量は無水CDに基づく。これらの剤形は、即時放出成分中に全LD含有量の約25%、制御放出成分中の全LD含有量の75%及び即時放出成分中の全CD含有量の100%を含有した。
本実施例で調製した210mgのLD及び52.5mgのCD;280mgのLD及び70mgのCD;ならびに350mgのLD及び87.5mgのCDカプセルを、USPタイプI装置を用いて、37℃±0.5℃で、75rpmの回転速度及び900mlの模擬胃液で2時間、その後pH6.8のリン酸緩衝液で試験した。本実施例で調製した140mgのLD及び35mgのCDカプセルを、USPタイプI装置を用いて、37℃±0.5℃で、75rpmの回転速度及び900mlの模擬胃液で2時間、その後pH6.8のリン酸緩衝液で試験した。インビトロ溶解試験の結果は以下の通りであった。
【0132】
【0133】
実施例8
進行PDを有する28人の対象に、実施例3に記載の剤形を、無作為化非盲検、評価者盲検、多施設、2処置、2期間複数回用量交差試験で投与した。対象を、実施例3の組成物(「IPX203」)及び商品名SINEMET(登録商標)で市販されている即時放出型CD-LD(「IR CD-LD」)錠剤、又はSINEMET(登録商標)の米国FDA AB等級ジェネリック製品を受ける2つの投薬順序のうちの1つに無作為化した。対象は、処置期間の間に1週間(±2日間)のウォッシュアウト期間を設けて、15日間処置を受けた。
【0134】
試験は、スクリーニング後の4回の臨床訪問からなっていた。各治療期間の1日目(訪問1及び3)ならびに各治療期間の15日目(訪問2及び4)。投薬レジメンが訪問1の前に少なくとも4週間安定していた場合、対象は試験全体を通して非CD-LDベースのPD投薬を継続することができた。
【0135】
試験に適格であるためには、40歳以上で特発性PDと診断された対象は、CD-LDの安定したレジメンを現在受けており、運動合併症を経験している必要があった。運動合併症は、運動緩慢及び硬直の期間を有する毎日の「ウェアリングオフ」エピソードを経験し、病歴によってほとんどの朝に覚醒すると「オフ」状態を経験する対象として定義した。
【0136】
スクリーニング後2週間以内に、訪問1の3日前のそれぞれにおいて、適格な対象は、PD及び投薬日誌に記入し、覚醒直後から就寝まで、より罹患した側にKinesia 360センサを装着した。対象は、訪問1及び3の前の夕方10:00PMまでにCD-LDの最後の用量を服用するように指示された。試験薬の最初の朝の用量は、各処置期間の訪問1及び3で試験部位に投与された。
【0137】
各処置期間の1日目(訪問1及び訪問3)に、対象は試験施設に到着し、単回用量の試験薬を受けた。IR CD-LDを受けるために無作為化された対象は、通常の試験前の最初の朝のIR CD-LD用量の単回用量で開始した。IPX203の組成物を受けるために無作為化された対象は、表1に提供された指針に従って、通常の試験究前の最初の朝のIR CD-LD用量に基づく単回用量で開始した。
【表1】
【0138】
診療所で1日目に、最初の試験薬物用量を服用した後、対象が投薬後3時間以上連続して「オフ」状態を経験した場合、又はそうでなければ治験責任医師の裁量により、対象はレスキュー薬を投与され得る。IR CD-LD処置中にレスキューを必要とする対象は、対象の投薬日誌に基づいて、自身の典型的な前処置レジメンに対応する用量のIR CD-LDを受けた。IPX 203処置中のレスキューのために、対象は、表2に記載されるような朝の用量の後に典型的に受けるであろう用量のIPX203を受けることになっていた。
【表2】
【0139】
1日目の評価が完了した後、対象は退院し、以下のように初期レジメンに従って処方された試験薬を服用するよう勧められた。
【0140】
ID CD-LDの初期投薬レジメンは、対象の安定な試験前レジメンと同じであった。彼らが単独で又はIR CD-LDと組み合わせて、制御放出(「CR」)CD-LDの1日1回の就寝時用量を服用していた場合、CR CD-LD用量を中止し、1:1ミリグラム当量IR CD-LD用量に置き換えた。就寝時用量は、対象の通常の夜間睡眠期間の1時間以内に服用されるCR CD-LDの用量と定義した。
【0141】
IPX203の初期投薬レジメンは、表2に提供されたガイダンスに従っており、これは各個体の試験前のIR CD-LDの朝の用量及び毎日の投薬レジメンに基づいていた。IPX203の投薬レジメンは、1日3回、およそ7~8時間毎であると推定された。
【0142】
各処置期間の1日目~9日目の間、治験責任医師は、必要に応じて各対象の試験薬を最適化された有効性、忍容性及び安全性に調整することができた。投薬レジメンは、各処置期間の最後の5日間(10~14日目)安定であることが必要であった。15日目の診療所訪問時に、対象は、10~14日目に服用したものと同じ安定な薬物レジメンを受けた。
【0143】
薬物動態学及び有効性/薬力学を、各処置期間の1日目に投薬後8時間まで(訪問1及び3)、ならびに各処置期間の15日目に10時間まで(訪問2及び4)、投薬について盲検化された適格な臨床スタッフによって診療所で定期的に評価した。これらの評価は、対象が1日目にレスキュー用量を受けたか、又は確立された安定な投薬レジメンに従って15日目に追加用量を受けたかどうかに関係なく行われた。さらに、対象は、PD及び投薬日誌に記入し、訪問1、2及び4の3日前のそれぞれの覚醒直後に、より罹患した側の足首及び手首にKinesia 360センサを使用した。
【0144】
主要なパラメータは、各処置期間の最後に収集された最後の3日間の対象PD日誌に基づく覚醒時間中の平均「オフ」時間パーセントであった。二次有効性パラメータは、PD日誌から収集された追加のデータ;Kinesia 360センサから得られるジスキネジア、運動性及び振戦測定値;各処置期間の15日目の投薬前に収集されたMDS-UPDRSスコアを利用した。
【0145】
対象運動評価及びMDS-UPDRSパートIIIスコアを使用して、薬力学も評価した。各処置後のCD及びLD血漿濃度-時間プロファイルから、薬物動態パラメータを計算した。安全性は、報告された有害事象、併用薬、バイタルサイン、心電図(「ECG」)、臨床検査、身体検査、コロンビア自殺重症度評価尺度(「C-SSRS」)及びバイタルサインを検討することによって評価した。
【0146】
組み入れ基準:
潜在的な対象が試験に登録されるためには、以下の全ての基準を満たす必要があった。
1.CD-LDの安定レジメンで慢性的に処置されているが、運動合併症を経験している、40歳以上で特発性PDと診断された男性又は女性対象。特発性PDは、英国パーキンソン病学会脳バンク診断基準によって定義される。対象のパーキンソニズムの二次的原因(例えば、血管、毒素又は薬剤誘発性、代謝性、又は感染症)は知られておらず、対象にはパーキンソニズム症状を伴う別の神経変性障害もない(例えば、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性、多系統萎縮症)。
2.書面によるインフォームドコンセントを提供することができ、試験に特有の手順を実施する前にHIPAAの認可に署名する意思があること。
3.スクリーニング時の妊娠可能な女性対象における尿妊娠検査陰性。
4.乱用薬物のための尿スクリーニング及びアルコール呼気検査スクリーニング陰性。
5.Hoehn及びYahrステージ2、3又は4(MDS-UPDRSパートIIIに含まれる)。
6.試験を通して、及び試験完了から6週間後、医学的に許容される避妊方法を使用することに同意すること。
7.「オン」状態でのスクリーニングでモントリオール認知評価(MoCA)スコア≧24。
8.スクリーニング前4週間の間、対象は、運動緩慢及び硬直の期間を有する毎日の「ウェアリングオフ」エピソードを経験し、病歴によってほとんどの朝に覚醒すると「オフ」状態を経験する。
9.訪問1で、3日間のPD日誌の検討により、以下が確認される:対象が有効な入力内容で日誌に適切に記入することができること;及び対象が、3日間にわたり覚醒時間の間に1日当たり平均少なくとも2.5時間の「オフ」時間を有し、各日に少なくとも1.5時間の「オフ」時間を有すること。1日を超えて日誌が返却されない場合、又は1つの24時間の日誌日のうちの2時間(4つの30分の期間)を超えて欠落している場合、日誌に適切に記入することができないことが示される。
10.応答性CD-LD療法であり、現在、訪問1の前の少なくとも4週間、CD-LDを用いて安定したレジメンで治療されており、
a.朝の用量には100~250mg LDのIR CD-LDが必要である
b.少なくとも400mg LDのIR CD-LDの合計1日用量を必要とする
c.ID CD-LD単独、又はCR CD-LDの1日1回の就寝時用量と組み合わせたIR CD-LDを含む、1800mg LDの最大合計1用量を服用する
d.CD-LDの1日4~9回の投薬頻度を有する
e.典型的には、その日の最初の用量のID CD-LDで「オン」応答を経験する
f.病歴により、IR CD-LDの最初の朝の用量の有効性が4時間未満持続し、典型的には次の用量の前にウェアリング「オフ」する;又は対象は、「オフ」を回避するために4時間前に2回目の用量のPD薬物を服用する。
11.訪問1の前の少なくとも4週間、1日1回の就寝時用量とは別にCR CD-LDの用量を使用していないこと。
12.訪問1の前の過去4週間、いかなる用量のRYTARY(登録商標)(カルビドパ及びレボドパ)持続放出カプセルも使用していないこと。
13.スクリーニング時に、「オフ」状態のMDS-UPDRSパートIII合計スコアが以下の通りである。
a.少なくとも20単位
b.「オン」状態では少なくとも25%又は10単位大きい。
14.スクリーニング時に、対象は、項目#4.5の1又は2のスコアによって定義される予測可能な「オフ」期間、MDS-UPDRSパートIV Bの運動変動の複雑性(運動変動)を有する。
15.スクリーニング時のMDS-UPDRSパートIV Bの項目#4.3(「オフ」状態での使用時間)でスコア≧1である。
16.ヘモグロビンレベルが、実験室の正常な基準範囲の下限を超えていなければならない。
17.日誌の記入、ならびにすべての予定された試験訪問のアベイラビリティ、ならびにデータ及び血液試料採取時間を含む、プロトコルを遵守することができ、また遵守する意思があること。
【0147】
用量の選択
進行したPDを有する患者においてIPX203及びIR CD-LDを用いて得られた以前のPKデータに基づいて、IPX203の初期用量を選択した。IPX203用量は、対象の対応する用量のIR CD-LDと同等の(約20%の)ピークLD濃度を達成することを意図した。IPX203からの約270~360mgのLD用量は、IR CD-LDからの100mg LDのピークLD濃度と同等のピークLD濃度を提供すると推定された。
【0148】
1日目のIPX203の推奨される最初の朝の用量は、対象の試験前のIR CD-LDの朝の用量に基づいた。100mgの単位用量のID CD-LDが、上記の表1に記載のような360mgの単位用量のIPX203に変換された。日中のIPX203のその後の用量は、上記の表2に記載のように、IR CD-LD中のLD 100mg単位用量をIPX203中のLD 270mgに用量比例的に変換した、午後及び夕方(正午から就寝時刻まで)の対象の最も頻繁な試験前のLD用量に基づいた。この試験は、100mg単位用量のIR CD-LDに対する代替変換として270mg及び360mgのIPX203単位用量の評価を可能にした。推定されたIPX203投与レジメンは1日3回であり、およそ7~8時間毎に投薬された。
【0149】
初期IR CD-LD投薬レジメンは、対象の安定な試験前レジメン(単独で、又はIR CD-LDと組み合わせて、CR CD-LDの1日1回の就寝時用量を服用していない限り、この場合、CR CD-LD用量を中止し、1:1mgの等価IR CD-LD用量に置き換えた)と同じであった。
【0150】
各処置期間の最初の9日間、治験責任医師は、最適な有効性、耐容性及び安全性のためにIPX203及びIR CD-LD用量レジメンを調整することができた。各処置期間の10~15日目の試験薬物レジメンは、用量調整なしで安定したままであった。
【0151】
予定された各診療所訪問時(各処置期間の1日目及び15日目)に、対象は到着時で少なくとも8時間絶食しており、前日の夕方の10PM以降(訪問1及び3)又は少なくとも5時間(訪問2及び4)試験薬を控えていた。コーヒー、茶、水及びジュースは、投薬の1時間前まで許可された。すべての試験薬物は、240mLの室温水で投与された。対象には、破砕又は咀嚼なしで試験薬物をそのまま嚥下するように指示した。投薬のおよそ1時間後に、低タンパク質の朝食が試験サイトで提供された。少なくとも4時間後に昼食を提供し、夕食を提供することができた。朝の用量から±1時間以内以外では、軽食を許容した。
【0152】
診療所訪問の間の在宅投薬段階中の食事に制限はなかった。
【0153】
2つの処置期間を約1週間のウォッシュアウト期間によって分けた。
【0154】
以下の公称時間でLD及びCD血漿濃度を測定するために、直接静脈穿刺又はIVカテーテルによって血液試料(6mL)を採取した。
各処置期間の1日目:投薬前ならびに投与の0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、5.5、6、6.5、7、7.5及び8時間後。
各処置期間の15日目:投薬前ならびに投与の0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8及び10時間後。
【0155】
対象は、訪問1、2、及び4で診療所に戻る前に最後の3日間PD日誌に記入した。
【0156】
日誌の各入力は、以下の5つの状態のうちの1つとして、その後の30分間にわたる対象の主な運動状態を示した:
・「オフ」
・ジスキネジアなしの「オン」
・問題のないジスキネジアを伴う「オン」
・問題のあるジスキネジアを伴う「オン」
・睡眠中。
【0157】
運動状態は以下のように定義された。
「オン」は、対象の薬物が運動性、緩慢さ及び剛直性に関して利益を提供しているときの状態として定義される。
「オフ」は、薬物が切れ、もはや運動性、緩慢さ、及び剛直性に関して利益を提供していない状態として定義される。
【0158】
ジスキネジアは、薬物の効果であり、「オン」時間中に起こる不随意の捻り、回転運動として定義される。
【0159】
問題のないジスキネジアは、機能を妨害せず、有意な不快感を引き起こさない。
【0160】
問題のあるジスキネジアは、機能を妨害し、有意な不快感を引き起こす。
【0161】
「良好オン」は、ジスキネジアを伴わない「オン」及び問題のないジスキネジアを伴う「オン」として定義される。
【0162】
MDS-UPDRSスケールは、以下の4つのパートを含む:パートI(日常生活の非運動体験);パートII(日常生活の運動経験);パートIII(リアルタイムの運動検査)及びパートIV(運動合併症)。パートI、II及びIVは、対象により記入され、ここ1週間のそれぞれの経験を記載した質問票である。MDS-UPDRSパートI、II、III及びIVをスクリーニング時(対象が「オン」状態にある間)及び各処置について15日目の投薬前に行った。MDS-UPDRSパートIIIはまた、対象が「オフ」状態にある間、スクリーニング時にも行った。
【0163】
対象は、訪問1、2及び4のために戻る前の最後の3日間、最も罹患した側の手首及び足首にKinesia 360センサを装着した。対象は、シャワー、入浴又は水泳中を除いて、就寝するまで覚醒直後にKinesia 360センサを装着するように指示された。
【0164】
適格な処置盲検評価者(治験責任医師又は運動状態の評価の訓練を受けた臨床スタッフ)が、治験責任医師による対象の運動状態の評価を、投薬前1時間及び0.5時間、投薬直前、ならびに投薬後30分毎に、1日目に8時間まで、及び15日目に10時間まで診療所訪問時に行った。対象の運動状態は、上記で特定された5つの状態のうちの1つとして報告され、「良好オン」として計算された。
【0165】
MDS-UPDRSパートIIIを、1日目及び15日目に、投薬前ならびに投薬後8時間(1日目)及び10時間(15日目)まで1時間毎に投与した。パートIIIは、発話、表情、剛直性、指のタッピング、手の動き、回内-回外の手の動き、つま先のタッピング、脚のアジリティ、椅子からの立ち上がり、歩行、歩行のフリーズ、姿勢安定性、姿勢、全体的な動きの自発性、手の姿勢振戦、手の運動性振戦、安静時振戦振幅(四肢、唇/顎)、及び安静時振戦の一定性を含む18の項目を含み、それぞれが5点の正常から重度の尺度で点数化され、ジスキネジアの影響に関する質問も含まれる。
【0166】
全ての薬物動態学的分析は、バイオアベイラビリティ及び生物学的同等性研究のためのFDA 2003ガイダンスに従って実施した。
【0167】
非コンパートメント法を使用して、LD及びCDについてTmax、Cmax、AUCt、AUC∞、ke及びt1/2を推定した(Phoenix WinNonlin、バージョン6.4.0)。無限に外挿された0~2時間、2~8時間及び8時間の間の1日目のLD曝露の程度を、それぞれAUC0~2、AUC2~8及びAUC8~∞を推定することによって評価した。15日目の0~2時間と2~10時間との間の部分AUC(AUC0~2及びAUC2~10)を推定した。さらに、血漿LD濃度がCmaxの50%及び430ng/mLに達するまでの時間、ならびにCmaxの50%超及び430ng/mL超のLD血漿濃度の持続期間を、隣接する時点の間の線形補間を使用して各処置について推定した。バイオアベイラビリティを、IPX203及びIR CD-LDについての用量正規化AUC∞値の算術平均比として計算した。正規化IPX203データを280mgのLD及び70mgのCDに対して正規化して示し、正規化IR CD-LDを100mgのLD及び25mgのCDに対して正規化して示す。累積は、1日目のAUCtauに対する15日目のAUCtauの比として計算し、1日目のtau(投薬間隔)は15日目のtauと同じ値を割り当てた。15日目の薬物動態評価の10時間にわたる変動指数を、(Cmax-Cmin)/Cavgとして計算した。
【0168】
IPX203の生物学的同等性を、固定効果としての処置、期間及び順序ならびにランダム効果としての順序内対象を含む分散の混合効果分析を使用して、IR CD-LD参照処置と比較して評価した。
【0169】
パーキンソン病の日誌データ(12~14日目)
この試験のための主要な有効性パラメータは、各処置期間の最後に収集された対象PD日誌に基づく覚醒時間中の平均「オフ」時間パーセントであった。対象が日誌データを記録した3日間(12~14日目)のそれぞれについて、「オフ」をチェックした30分間隔の数を合計することによって合計「オフ」時間を計算した。パーセント「オフ」時間は、合計「オフ」時間を非睡眠の合計時間(すなわち覚醒時間)で割ったものとして計算した。各対象の平均パーセント「オフ」時間は、3日間のパーセント「オフ」時間の平均であった。固定効果としての処置、期間及び順序ならびにランダム効果としての順序内対象を含む混合効果ANOVAを使用して、処置間で主要評価項目を比較した。要約統計(平均、SD、中央値、最小、最大)を、LS平均差、SD、p値及び95%CIとともに提示した。覚醒時間中の平均「オフ」時間の結果もまた、処置別に対象の数(%)とともにカテゴリ的に提示した。
【0170】
二次PDパラメータの提示には、以下についての要約統計、カテゴリ提示、及びANOVA処置比較(LSは、差、SD、p値及び95%CISを意味する)が含まれた。
・各運動状態の平均合計時間
・16時間の覚醒時間に対して正規化された平均合計「オフ」時間及び「良好オン」時間(特定の状態の時間の覚醒時間に対する割合に16を乗じたものとして計算)
・臨床的(運動)変動の平均数(「オン」から「オフ」又はその逆の変化として定義される)
・「良好オン」状態の平均持続期間及び任意の「オン」状態の平均持続期間。
【0171】
さらに、いくつかの二次パラメータの結果を処置別にカテゴリ的に要約し、フィッシャーの直接確率検定を使用して比較した:
・夜間睡眠からの覚醒時に「オン」又は「オフ」状態にある対象の割合
・ベースラインから少なくとも0.5、1、1.5、2、3、及び4時間「オフ」時間が低減した対象の割合。ベースライン「オフ」時間は、訪問1の3日前からの平均「オフ」時間であった。
【0172】
MDS-UPDRSのスクリーニングから投薬前への変化(パートI、II、III、及びIV)
平均MDS-UPDRSパートI、II、III、IV、II+III及び合計スコアを、スクリーニング時(対象が「オン」状態にある間)及び各処置の15日目の投薬前に要約した。対象が「オフ」状態にある間に、スクリーニング時に平均MDS-UPDRSパートIIIスコアも要約した。各MDS-UPDRS部分の15日目の投薬前スコアを、処置、期間、固定効果としての順序、共変量としてのベースライン(スクリーニング)値、及びランダム効果としての順序内対象を用いた混合効果ANCOVAを使用して処置別に比較した。
【0173】
個々のMDS-UPDRSパートIVの質問の結果も、同様のANCOVAを使用して、要約統計(絶対値及びスクリーニングからの変化値)ならびに処置の比較とともに提示した。各絶対スコア又は変化スコアを有する対象の割合を示すカテゴリ表示も含まれる。
【0174】
Kinesia 360センサデータ
Kinesia 360センサデータ(振戦、ジスキネジア、及び運動性)を、要約統計を使用して処置別に要約し、処置、期間及び固定効果としての順序、ならびにランダム効果としての順序内対象での混合効果ANOVAを使用して処置間で比較した。以下のパラメータを報告した:
・振戦-合計装着時間、合計振戦時間、振戦時間の割合(合計装着時間の割合)、振戦を有する対象の数(%);
・ジスキネジア-ジスキネジア時間、ジスキネジア時間の割合、ジスキネジアを有する対象の数(%);
・移動性-パーセント安静時間、最近のアクティブ(非歩行)時間、パーセント歩行時間、パーセント合計アクティブ時間、歩行中のパーセント腕振り、装着時間ステップ、装着時間1時間当たりのステップ。
【0175】
治験責任医師による対象の運動状態の評価(1日目及び15日目)
対象がレスキュー薬物を受けた場合、又は試験評価を中止した場合、1日目のその後のすべての運動状態評価には、分析のために「オフ」の値を割り当てた。
【0176】
治験責任医師による対象の運動状態の評価を1及び15日目に要約し、以下について、要約統計、カテゴリ表示及びANOVA処置比較(LSは、差、SD、p値及び95%CISを意味する)を行った。
・各運動状態の合計時間
・最初の「オン」(任意の「オン」状態)及び「良好オン」状態までの時間
【0177】
さらに、いくつかのパラメータの結果を処置別にカテゴリ的に要約し、フィッシャーの直接確率検定-時点による「オフ」又は「良好オン」状態の対象の割合を使用して比較した。
【0178】
MDS-UPDRSパートIII(運動検査)
MDS-UPDRSパートIIIスコアを各時点で処置別に要約した(投薬前、1日目の投薬後1~8時間の間毎時間、及び15日目の投薬後1~10時間の間毎時間)。投薬後スコアを、処置、期間、固定効果としての順序、共変量としてのベースライン(投薬前1日目)値、及びランダム効果としての配列内対象の供分散の混合効果分析(ANCOVA)を用いて処置別に比較した。1日目及び15日目の投薬後平均MDS-UPDRSパートIIIスコアも要約し、同様のANCOVAモデルを用いて処置別に比較した。投薬前スコアを、処置、期間及び固定効果としての順序ならびにランダム効果としての順序内対象を用いた混合効果ANOVAを使用して処置別に比較した。
【0179】
同様に、1日目及び15日目のMDS-UPDRSパートIIIスコアの1日目の投薬前からの平均変化を、投薬後の時点の各時間毎及び全体(評価期間全体)で要約し、処置、期間及び固定効果としての順序、共変量としてのベースライン(1日目の投薬前)値、ならびにランダム効果としての順序内対象を用いたANCOVAモデルを使用して処置別に比較した。
【0180】
MDS-UPDRSパートIIIスケールの運動緩慢性に関する質問(質問4~8及び14)の結果を、各評価時点での1日目の投薬前からの平均変化及び投薬後平均として処置別にまとめた。質問4~8については、左側と右側の両方で評価を行い、左側スコア及び右側スコアを分析前に合計した。結果を全運動緩慢スコアとして、各質問について個別に要約した。これらのデータを、処置、期間、固定効果としての順序、共変量としてのベースライン(投薬前1日目)値、及びランダム効果としての配列内対象を用いた混合効果ANCOVAを使用して処置別に比較した。
【0181】
1日目の投薬前スコアから少なくとも4、7及び13単位のMDS-UPDRSパートIIIスコアの改善の平均持続期間を1日目及び15日目に処置別に要約し、特定の効果持続期間を有する対象の割合のカテゴリ表示を提供した。効果持続期間を、処置、期間及び固定効果としての順序ならびにランダム効果としての順序内対象を用いた混合効果ANOVAを使用して処置別に比較した。
【0182】
効果持続期間を決定するために、2つの隣接する時点の間の中間点を使用した。例えば、対象が、投薬後1時間の評価で投薬前MDS-UPDRSパートIII評価から4単位の改善を有さなかったが、投薬後2時間の評価で改善を有し、3時間の評価で4単位の改善を失った場合、効果持続期間は、内挿された時間値を使用して時間とみなされた。
【0183】
試験に登録した対象の人口統計は以下の通りであった。
【数8】
【0184】
試験における対象のベースライン疾患特性及び治療歴は以下の通りである。
【数9】
【0185】
投薬頻度による1日LD用量の試験前の分布を以下の表に示す:
【数10】
【0186】
上記の表に示されるように、対象のほとんどは、1日当たり4回のIR CD-LD用量を受けており、合計1日LD用量範囲は400mg~1250mg以上であった。LDの最大合計1日用量は1550mgであった。さらに、8名の対象は、就寝時に単回用量のCR CD-LD 200mgを受けていた。
【0187】
1日目に、平均LD初回用量は、IR CD-LDについては159mg及びIPX203については573mgであり、1日目の投薬前に、LD血漿濃度の中央値は、IR CD-LDについては43ng/mL及びIPX203については41ng/mLであった。1日目の薬物動態値を以下の表に要約する。
【0188】
LDの1日目の主要パラメータは以下の通りであった。
【数11】
【0189】
レスキュー処置前の1日目の平均レボドパ血漿濃度プロファイルを
図1に示す。
【0190】
LDの1日目の二次パラメータは以下の通りであった。
【数12】
【0191】
用量正規化LDパラメータは以下の通りであった。
【数13】
【0192】
レスキュー処置前の1日目の平均用量正規化LD血漿濃度プロファイルを
図2に示す。
【0193】
LD部分AUC値は以下の通りであった。
【数14】
【0194】
CDの1日目の主要パラメータは以下の通りであった。
【0195】
【0196】
レスキュー処置前の1日目の平均CD血漿濃度プロファイルを
図3に示す。
【0197】
CD用量正規化パラメータは以下の通りであった。
【数16】
【0198】
15日目に、安定した投薬レジメンのクリニックで投与された平均(±SD)LDは、IR CD-LDについては159±46.1、IPX203(最初の朝の用量)については560±206.2であり、最初の再投薬までの時間の中央値は、IR CD-LD及びIPX203についてそれぞれ4.0時間及び7.0時間であった。15日目の投薬の前に、LD血漿濃度の中央値は、IR CD-LDについては34ng/mLであり、IPX203については327ng/mLであった。
【0199】
全10時間の評価にわたる15日目の各処置後の平均LD血漿プロファイルを
図4に示す。
【0200】
15日目の薬物動態値を以下の表に要約する。
【0201】
LDの15日目の主要パラメータは以下の通りであった。
【数17】
【0202】
LDの15日目の二次パラメータは以下の通りであった。
【数18】
【0203】
LDの15日目の用量正規化値は以下の通りであった。
【数19】
【0204】
LD蓄積、変動及び時間不変性パラメータは以下の通りであった。
【数20】
【0205】
CDの15日目の主要パラメータは以下の通りであった。
【数21】
【0206】
全10時間の評価にわたる15日目の各処置後の平均CD血漿プロファイルを
図5に示す。
【0207】
CDの15日目の用量正規化値は以下の通りであった。
【数22】
【0208】
CD蓄積、変動及び時間不変性パラメータは以下の通りであった。
【数23】
【0209】
有効性の結果
各治療期間の12~14日目のPD日誌データから測定された、主要有効性パラメータである覚醒時間のパーセントとしての「オフ」時間の結果は以下の通りであった。
【数24】
【0210】
上記のデータは、IPX203処置では、対象が覚醒時間の割合として有意に少ない「オフ」時間を経験したことを示しており、IR CD-LDでの33.5%と比較して平均19.3%であった。
【0211】
PD日誌データは以下のように要約される。
【数25】
【0212】
MDS-UPDRSパートI~IV(投薬前15日目)
MDS-UPDRSパートI、II、III及びIVをスクリーニング時(対象が「オン」状態にある間)及び各処置について15日目の投薬前に行った。MDS-UPDRSパートIIIはまた、対象が「オフ」状態にある間、スクリーニング時にも行った。パートI、II及びIVは、過去1週間にわたる対象の遡及的経験について尋ねる質問を含む。パートIIIは、PDの運動徴候を評価するために治験責任医師によって行われるリアルタイムの運動検査である。
【0213】
投薬前平均MDS-UPDRSパートI~IVスコアを15日目に処置別に比較した場合(処置間のLS平均差)、パートIII(-8.1[25.3]、p=0.0272)、IV(-1.6[3.09]、p=0.0109)、II+III(-9.0[26.9]、p=0.0213)及びMDS-UPDRS合計スコア(-11.5[30.9]、p=0.0116)については、IPX203処置中の方がIR CD-LD処置中よりも有意に低く、PD障害が少ないことを示した。パートI及びIIの結果は、有意な処置差を示さなかった。スクリーニング時に、「オフ」状態にある全対象の平均パートIIIスコアは42.6であり;15日目の平均スコアは、IR CD-LD処置中は41.6であったが、IPX203処置中は33.5に減少した(LS平均差-8.1[25.0]。p=0.0255)。
【0214】
1日目に、平均投薬前MDS-UPDRSパートIIIスコアは、両方の処置に対して同様であり(IPX203及びIR CD-LDについてそれぞれ42.8及び41.4)、投薬前の「オフ」状態を反映しており、対象は前日の夕方の10PMからPD薬物を服用していなかった。
【0215】
1時間と2時間の時点で、IPX203処置とIR CD-LD処置の両方の間に、投薬前値からMDS-UPDRSパートIIIスコアが顕著に低減し、処置間に有意差はなかった。投薬後3~8時間で、IPX203は、MDS-UPDRSパートIIIスコアの低減が、IR CD-LDよりも有意に大きかった。投薬後7時間の時点において、IPX203による処置は、IR CD-LDの0.2単位の悪化に対して、ほぼ10単位の平均改善を伴った。投薬後8時間の期間にわたって、平均MDS-UPDRSスコアは、IPX203処置期間及びIR CD-LD処置期間の対象についてそれぞれ19.3ポイント及び8.4ポイント低減した。以下は、1日目の投薬前MDS-UPDRSパートIIIスコアからの変化の要約である。
【0216】
【0217】
各処置の効果の持続期間をさらに特徴付けるために、最小改善閾値(4、7、及び13単位改善)を使用してMDS-UPDRSパートIIIデータを分析した。少なくとも4つのMDS-UPDRSパートIIIが統合された改善は、患者にとって臨床的に意味のある最小限の変化を表す。1日目に、対象は、以下の概要表によって示されるように、少なくとも4、7及び13のMDS-UPDRSパートIII単位の最小改善閾値に基づいて、IPX 203処置中の薬力学的効果の合計持続期間がIR CD-LD処置より有意に長い。
【0218】
【0219】
1日目の平均MDS-UPDRSパートIIIのグラフを
図6に示す。
【0220】
対象が少なくとも5時間試験処置を受けなかった15日目の投薬前では、平均MDS-UPDRSパートIIIスコアは、IPX203処置中(33.5)でID CD-LD処置中(41.6)よりも有意に低かった。IPX203の臨床効果は翌朝まで持ち越された。15日目の10時間の投薬後評価期間中、対象は、以下の表に要約されるように、両処置で1日目の投薬前スコアからの改善を認めた。
【0221】
【0222】
MDS-UPDRSパートIIIスコアの最小改善閾値の分析は、両方の治療群について少なくとも4単位及び7単位の同様の合計改善期間を示すが、少なくとも13単位のIPX203の有意により長い合計改善期間を示す。
【0223】
図7は、1日目の単回用量後の処置別の平均LD血漿濃度の経時変化及びMDS-UPDRSパートIIIスコアの平均ベースラインからの変化を示す。
図7は、MDS-UPDRSパートIIIスコアの変化によって評価されるLD血漿濃度プロファイルと応答との間の良好な一致を示す。平均ベースラインからのMDS-UPDRSパートIIIスコアの最初の減少(運動症状の改善に対応)は、2つの処置間で同等であった。しかしながら、MDS-UPDRSパートIIIスコアの減少は、IPX203処置後の方が、IR CD-LD処置後よりも長期間持続した。平均ベースラインからのMDS-UPDRSパートIIIスコアの最大減少は、特定の治療に対するLDのピーク血漿濃度の時間より遅れた時間に生じた。
【0224】
図8は、対象の安定投薬レジメンの15日目の処置別の平均LD血漿濃度の経時変化及びMDS-UPDRSパートIIIスコアの平均1日目投薬前からの変化を示す。15日目の投薬前において、IPX203による処置は、MDS-UPDRSパートIIIスコアにおいて、IR CD-LDによる処置よりも大きな平均減少(-9.3)を示した(+0.1)。
図8は、LD血漿濃度プロファイルとMDS-UPDRSパートIIIスコアの変化との間の良好な一致を示す。運動症状の初期改善率は2つの処置間で同等であった。しかしながら、MDS-UPDRSパートIIIスコアの改善は、IPX203処置後、IR CD-LDよりも長期間持続し、その結果、対象は、IR CD-LDよりも少ない頻度のIPX203の投薬を必要とした。
【0225】
すべての有効性及び薬力学的尺度にわたって、IPX203処置は、IR CD-LDを超える利点及びPD症状の緩和におけるその有用性を明らかに実証した。IPX203処置では、対象が覚醒時間の割合として有意に少ない「オフ」時間を経験した(IR CD-LDでの33.5%と比較して平均19.3%)。さらに、家庭日誌を有する対象によって診療所外で測定されたか、又は診療所で治験責任医師によって測定されたかにかかわらず、対象は、IR CD-LDと比較して、IPX203処置による合計「良好オン」時間が有意に長かった。患者日誌記入内容に基づく「良好オン」エピソード又は任意の「オン」エピソードの平均持続期間は、IR CD-LDと比較してIPX203で有意に長かった。IPX203による処置はまた、IR CD-LDよりも有意に少ない1日当たりの運動変動に関連していた。IPX203処置中、対象は、IR CD-LD処置中よりもレスキュー薬物を受ける可能性が73.3%低く(1日目)、2回目の投薬を受ける可能性が72.1%低かった(15日目)。
【0226】
MDS-UPDRSパートIII平均スコアの改善は、1日目の投薬後3~8時間及び15日目の投薬後2~4時間で、IPX203を受けている対象の方がIR CD-LDよりも有意に大きかった。15日目に、対象が少なくとも5時間試験処置を受けていなかった場合、平均投薬前パートIIIスコアはIPX203処置中で有意に低かったが、これにより、IPX203の臨床効果を翌朝に持ち越すことができる。
【0227】
治験責任医師による対象の運動状態の評価に基づいて、最初の「オン」までの平均時間は、1日目の最初の投薬後の各処置中及び15日目の最初の投薬後の定常状態の投薬中で同様であった。15日目に、平均して、対象は、IR CD-LD処置と比較して、IPX203処置中に約10分(0.17時間)速く「オン」になり、投薬後0.5時間までに、対象の44%が、IR CD-LD処置中の対象の26%に対して、IPX203処置中に最初の「オン」を経験した。
【0228】
治験責任医師による対象の運動状態の評価は、試験処置に対して盲検化された評価者によって行われた。1日目の治験責任医師による評価は、以下のように要約される。
【数29】
【0229】
夜間睡眠から覚醒した後最初の30分間の「オン」又は「オフ」状態の対象の割合を、対象のPD日誌記入内容に基づいて以下のように決定した。
【数30】
【0230】
上記の覚醒表のp値はフィッシャーの直接確率検定に基づいており、分析は試験デザインの交差性を考慮していない。
【0231】
覚醒後の最初の30分間の上記データは、IPX203が夜間睡眠から覚醒した後のオン時間を改善することを示している。
【0232】
実施例9
進行PDを有する25人の対象に、実施例5に記載の剤形を、無作為化非盲検、評価者盲検、多施設、3処置、3期間単回用量交差試験で投与した。対象を、実施例5の組成物(「IPX203」)、市販のCD-LD持続放出カプセル製品であるRYTARY(登録商標)、及び商品名SINEMET(登録商標)で市販されている即時放出型CD-LD(「IR CD-LD」)錠剤を受ける3つの投薬順序のうちの1つに無作為化した。対象は、各試験処置の単回用量について3回試験診療所に報告し、訪問間に1週間のウォッシュアウト期間を設けた。対象は、試験訪問間にIR CD-LDを服用し続けることができた。対象は、前日の10PMまでに最後の用量のIR CD-LDを服用して、絶食状態で診療所に来院した。投薬後、3時間以上連続して「オフ」状態を経験した対象は、自身の通常のIR CD-LD薬物用量を含むレスキュー薬物又はIR CD-LDを含む組み合わせレスキューを受けることができた。レスキュー薬物が投与された場合、その訪問時にさらなる薬物動態又は薬力学測定は行われず、対象は診療所を出ることができた。別様には、対象は、試験処置用量の10時間後に最終評価まで診療所に留まった。
【0233】
研究に適格であるために、運動変動を有する進行性PDと診断された対象はIR CD-LDを受けていた。
【0234】
対象は、以下の表に提供された指針に従って、通常の試験前の最初の朝のIR CD-LD用量に基づき、IPX203の組成物、RYTARY(登録商標)、IR CD-LDを受けるために無作為化された。
【表3】
【0235】
組み入れ基準は、この試験のための試験前合計1日最大LD用量が実施例8で許容される1800mgではなく1600mgであったことを除いて、実施例8で提供された組み入れ基準と同様であった。
【0236】
対象は、上記で概説したように、対象の試験前の朝のIR CD-LD用量に基づいて、無作為化された順序で3つの試験処置の各々の単回経口用量を受けた。IPX203及びRYTARY(登録商標)用量もまた、IR CD-LD用量のピークLD血漿濃度の±20%以内であると推定されたピークLD血漿濃度を提供するように選択された。
【0237】
前日の夕方10PMからLDを控え、少なくとも8時間絶食した後、すべての対象に240mLの室温水とともに単回経口用量を与え、予定された臨床で午前中に破砕又は咀嚼なしで試験薬をそのまま嚥下するように指示した。コーヒー、茶、水及びジュースは、投薬の1時間前まで許可された。およそ5グラムのタンパク質を含有する朝食を、投薬のおよそ1時間後に与えた。
【0238】
薬物動態は、実施例8に概説されている手順によって決定した。薬力学は、実施例8に概説されているように、治験責任医師による対象の運動状態の評価によって、投薬前1時間、0.5時間、投薬直前及び投薬後後30分毎に、ならびに実施例8に概説されているようにMDS-UPDRSパートIII運動検査の使用によって測定した。
【0239】
この試験の対象人口統計は以下の通りであった。
【数31】
【0240】
3つの処置すべてを受けた対象におけるLD用量は、ID CD-LDについては168.0mg、IPX203については586.8mg、及びRYTARY(登録商標)については538.2mgであった。各処置に対する平均LD血漿プロファイルを
図9に示し、一次LD薬物動態値は以下の通りであった。
【数32】
【0241】
二次LD薬物動態値は以下の通りであった。
【数33】
【0242】
1人の対象(番号108-001)が試験を完了したが、いずれの処置後も血漿濃度は利用できなかった。
【0243】
用量正規化LD薬物動態値は以下の通りであった。
【数34】
【0244】
用量正規化天然対数変換AUC
0-∞に基づくLDのバイオアベイラビリティは、IR CD-LDと比べて、IPX203(85.5%)後の方がRYTARY(登録商標)(71.8%)後よりも高かった。LDのバイオアベイラビリティは以下の通りであった。
【数35】
【0245】
LD用量正規化部分AUC値は以下の通りであった。
【数36】
【0246】
各処置に対する平均CD血漿プロファイルを
図10に示し、一次CD薬物動態値は以下の通りであった。
【数37】
【0247】
用量正規化CD薬物動態値は以下の通りであった。
【数38】
【0248】
用量正規化天然対数変換AUC
0-∞に基づくCDのバイオアベイラビリティは、IR CD-LDと比べて、IPX203(112%)後の方がRYTARY(登録商標)(55%)後よりも高かった。CDのバイオアベイラビリティは以下の通りであった。
【数39】
【0249】
処置に対して盲検化された適格な臨床スタッフが、各対象の運動状態を、投薬の1時間及び0.5時間前、ならびに投薬前、ならびに投薬後30分毎に、各10時間の測定期間を通して評価した。各覚醒運動状態評価における平均合計時間を、
図11に処置別に示す。対象の運動状態評価における最小二乗平均(LSM)「オフ」時間は、IPX203については4.52時間、IR CD-LDについては7.23時間であり、IPX203について有意な2.7時間の利点を実証した(p<0.0001)。RYTARY(登録商標)のLSM「オフ」時間は5.41時間であり、RYTARY(登録商標)と比較したIPX203の0.9時間の利点を反映していた(p=0.023)。IPX203処置中、これは、IR CD-LDより平均2.56時間及びRYTARY(登録商標)より0.85時間長い増加した良好オン時間を伴った(それぞれp<0.0001及びp=0.259)。問題のあるジスキネジアを伴う「オン」時間を有していたのは2人の対象のみであった(IPX203[4.5時間]及びIR CD-LD[0.5時間]処置中の1人の対象ならびにRYTARY(登録商標)処置[3.5時間]中の別の対象)。
【0250】
MDS-PDRSパートIIIスコアは、投薬の1時間及び0.5時間前、投薬前ならびに各10時間の測定期間を通じて投薬後1時間毎に評価した。共分散の分析を、10時間の測定期間にわたる平均投薬前MDS-UPDRSパートIIIからの平均変化に対して行い、投薬前MDS-UPDRSパートIII値を共変量とした。
【0251】
IPX203処置後、対象は、
図12に示すように、ベースラインからの全体的な変化において、IR CD-LDと比較して(-12.70対-6.62、p<0.0001)、またRYTARY(登録商標)と比較して(-12.70対9.33、p=0.0333)、10時間にわたる平均投薬前MDS-UPDRSパートIIIスコアからの有意に大きな改善(減少)を示した。これらの差を経時的に調べた場合、IPX203対IR CD-LDの結果は、3時間~10時間の投薬で有意に異なっていた(全てのp値≦0.029)。RYTARY(登録商標)はまた、投薬後3~5時間で、IR CD-LDと比較したMDS-UPDRSパートIIIスコアの有意に大きな変化に関連していた(全てのp値≦0.0042)。IPX203対RYTARY(登録商標)の結果は、7時間を除いて、投与後5~10時間で有意に異なっていた(全てのp値≦0.0352)。
【0252】
MDS-UPDRSパートIIIの結果に基づいて、
図13に示すように、平均投薬前値から4、7及び13ポイントの改善の持続期間によって測定すると、IPX203は、IR CD-LDと比較して(p<0.0001)、及びRYTARY(登録商標)と比較して(p≦0.0290)有意に長い効果持続期間を有していた。IPX203処置後、対象の72%が、それぞれ、IR CD-LD及びRYTARY(登録商標)で処置した対象の12%及び52%と比較して、投薬後5時間で平均投薬前MDS-UPDRSパートIIIスコアから少なくとも20%の改善を有していた。5時間で35%の改善を有する対象の割合は、IPX203、IR CD-LD及びRYTARY(登録商標)についてそれぞれ60%、8%及び36%であった。
【0253】
図14は、処置別の平均LD血漿濃度の経時変化及びMDS-UPDRSパートIIIスコアの平均ベースラインからの変化を示す。
図14は、MDS-UPDRSパートIIIスコアの変化によって評価されるLDのPKと応答との間の良好な一致を示す。平均ベースラインからのMDS-UPDRSパートIIIスコアの最初の減少速度(運動症状の改善に対応)は、3つ全ての処置で同等であった。しかしながら、MDS-UPDRSパートIIIスコアの減少は、IPX203処置後の方が、IR CD-LD又はRYTARY(登録商標)後よりも長期間持続した。平均ベースラインからのMDS-UPDRSパートIIIスコアの最大減少は、特定の治療に対するLDのピーク血漿濃度の時間より遅れた時間に生じた。
【0254】
実施例10
実施例7に記載の剤形を、単一部位非盲検単回用量5処置、5期間単回用量交差試験において、少なくとも55kgの体重及び18.5~30.0kg/m2のボディーマス指数を有する18~55歳の間の40人の健康な男性及び女性対象に投与した。対象は、少なくとも10時間の一晩の絶食後、240mLの室温水とともに以下の5つの処置を受ける。
処置A-単一の140mgのレボドパ及び35mgのカルビドパカプセル;
処置B-単一の210mgレボドパ及び52.5mgカルビドパのカプセル;
処置C-単一の280mgのレボドパ及び70mgのカルビドパカプセル;
処置D-単一の350mgのレボドパ及び87.5mgのカルビドパカプセル;ならびに
処置E-単一の140mgのレボドパ及び35mgのカルビドパカプセル。
【0255】
処置A~Dで使用されるカプセルは、ニューヨークのブルックヘブンの施設で製造され、処置Eで使用されるカプセルは、台湾の竹南鎮の施設で製造された。
【0256】
対象は、投薬後4時間まで摂食させなかった。
【0257】
薬物動態は、実施例8に概説されている手順によって、投薬前、ならびに投与から0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、10、12及び24時間後に血液試料を得て測定した。
【0258】
試験の目的は、処置A~Dの間の用量比例性を決定し、処置AとEと間の生物学的同等性を評価することであった。
【0259】
試験の結果は、処置A~Dが用量比例的であり、処置A及びEが生物学的に等価であることを決定付けた。
【0260】
処置A及びEの平均LD薬物動態値を以下に要約する。
【数40】
【0261】
処置A及びEの平均LD血漿プロファイルを
図15に示す。処置A及びEについての50%C
maxを超える平均時間は、それぞれ4.986時間(SD0.9711)及び4.945(SD0.9521)である。
【0262】
処置A及びEの平均CD薬物動態値を以下に要約する。
【数41】
【0263】
処置A及びEの平均CD血漿プロファイルを
図16に示す。
【0264】
実施例11:
運動変動を有する630人のPD患者を無作為化二重盲検、実薬対照試験に登録して、実施例7に記載の剤形の安全性及び有効性を、SINEMET(登録商標)などの市販のIR CD-LD錠剤又はSINEMET(登録商標)の米国FDA承認AB等級ジェネリックと比較した。実施例7に記載の剤形を、多施設、無作為化、二重盲検、ダブルダミー、実薬対照、並行群試験において、PDを有する約256人の対象に投与した。試験は、SINEMET(登録商標)などの市販のIR CD-LD錠剤又は米国FDA承認AB等級ジェネリックを使用した3週間の非盲検IR CD-LD用量調整期間;実施例7の剤形への変換のための4週間の非盲検期間;その後の施設によって層別化されたおよそ1:1の比で無作為化された対象を用いた13週間の二重盲検処置期間からなっており、一致するIR、CD-LDプラセボを含む実施例7又は一致する実施例7プラセボを含むIR CD-LDのいずれかの剤形を投与した。
【0265】
試験前のレジメンで記録されている場合、及び投薬レジメンが訪問1の前の少なくとも4週間安定している場合、試験全体を通して、対象は許可された非CD-LDベースのPD薬物を服用し続けることができた。「安定な投薬レジメン」は、用量又は投薬頻度に変化がないことを意味する。
【0266】
スクリーニング訪問後4週間以内に、適格な対象は、訪問1の直前の連続3日間のそれぞれでPD日誌に記入した。
【0267】
訪問1の後、適格な対象は、用量調節を可能にする3週間の非盲検IR CD-LD処置期間に入った。IR CD-LDの投薬レジメンは、問題のあるジスキネジアを引き起こすことなく「オフ」時間を最小限に抑えるために用量調整期間中に調整することができた。対象の他の非CD-LD PD薬物(ドーパミン作動薬、MAO-B阻害剤、アマンタジン、及び抗コリン薬)の用量及びレジメンは、この試験を通して安定したままであった。治験責任医師又は資格のある現場職員に相談して、IR CD-LD投薬レジメンの調整を行い、記録した。IR CD-LD投薬レジメンは、訪問2に戻る前の少なくとも5日間安定であった。追加の用量もしくは修正された用量の併用PD薬物又は分配された試験薬物以外のCD-LD製品の使用によるレスキューは許可されず、試験の中止を誘発した。対象は、訪問2の直前の連続3日間のそれぞれで3日間のPD日誌に記入した。
【0268】
IR CD-LD用量調節期間の完了後、対象は、IPX203への変換のための4週間の非盲検期間を開始した(実施例7)。IPX203の最初の投薬レジメンは、用量調節期間(訪問2)の終了時の対象のIR CD-LDの投薬レジメンの最も高頻度の用量に基づいていた。以下の表は、推奨される変換の概要を示す。
【数42】
【0269】
用量調節期間の終わりに125~500mg未満のIR CD-LDの合計1日用量を受けていた対象が最初に12時間ごとに投与されたことを除いて、IPX203はおよそ8時間ごとに投与されるべきであることが推奨された。対象が許容可能な効果持続期間を達成しなかった場合、投薬間隔をおよそ8時間毎に短縮した。IPX203の投薬レジメンを用量変換期間中に調整して、有効性と忍容性との最適なバランスを達成することができた(問題のあるジスキネジア又は他のドーパミン作動性副作用を引き起こすことなく「オフ」時間を最小限に抑える)。対象の他の非CD-LD PD薬物(ドーパミン作動薬、MAO-B阻害剤、アマンタジン、及び抗コリン薬)の用量及びレジメンは、この試験を通して安定したままであった。対象は、訪問4のために戻る前の少なくとも5日間、IPX203の安定した投薬レジメン下(用量又は投薬頻度の変更なし)にいた。治験責任医師又は資格のある現場職員に相談して、IPX203投薬レジメンの調整を行ったが、これが記録されるであろう。追加の用量もしくは修正された用量の併用PD薬物又は分配された試験薬物以外のCD-LD製品の使用によるレスキューは許可されず、試験の中止を誘発した。対象は、2週間後に訪問3で、続いて2週間後に訪問4で診療所に戻った。対象は、訪問4の直前の連続3日間のそれぞれで3日間のPD日誌に記入した。
【0270】
506人の対象がIPX203用量変換期間を首尾よく完了させ、訪問4で、IPX203(一致するIR CD-LDプラセボを含む)又はIR CD-LD(一致するIPX203プラセボを含む)の2つの並行処置群のうちの1つにおよそ1:1の比で無作為化された。対象は、13週間の二重盲検維持療法を受け、安定した投薬レジメンは、IR CD-LDについては3週目の終わり(訪問2)に確立され、IPX203については7週目の終わり(訪問4)に確立された。追加の用量もしくは修正された用量の併用PD薬物又は分配された試験薬物以外のCD-LD製品の使用によるレスキューは許可されず、試験の中止を誘発した。対象は、3回の訪問(訪問5[10週目]、訪問6[15週目]、訪問7[20週目])のために診療所に戻り、これらの訪問のそれぞれの直前の連続3日間のそれぞれで3日間のPD日誌に記入した。
【0271】
組み入れ基準
・英国パーキンソン病学会脳バンク診断基準と一致して、40歳以上でPDと診断され、CD-LDの安定レジメンで処置されているが、運動変動を経験している男性又は女性対象。
・「オン」状態のHoehn及びYahrステージ1、2、3、又は4(統合パーキンソン病評価尺度[MDS-UPDRS]パートIIIの運動障害学会バージョンの一部)。
・「オン」状態でのスクリーニング訪問でモントリオール認知評価(MoCA)スコア≧24。
・病歴により、スクリーニング前の4週間、対象は、安静時振戦又は剛直性の少なくとも一方と組み合わされた運動緩慢期間を伴う毎日の「ウェアリングオフ」エピソードを経験し、ほとんどの朝の覚醒時に「オフ」状態を経験し、覚醒時間中、1日当たり平均少なくとも2.5累積時間の「オフ」時間を報告した。
・4時間の訓練期間にわたって8つの評価についての「オン/オフ」評価において訓練された評価者との少なくとも75%の一致によって判定されるように、「オン」状態を「オフ」状態と区別することができる。一致は、少なくとも1つの「オン」及び1つの「オフ」評価を含まなければならず、2つの4時間の訓練セッション内で達成されなければならない。
・訪問1で、3日間のPD日誌の検討により、以下が確認された:対象が有効な入力内容で日誌に適切に記入することができたこと;及び対象が、3日間にわたり覚醒時間の間に1日当たり平均少なくとも2.5時間の「オフ」時間を有し、各日に少なくとも1.5時間の累積「オフ」時間を有したこと。
・CD-LD療法に応答し、訪問1の少なくとも4週間前にCD-LDで安定レジメンで現在処置されており、
最初の朝の用量にIR CD-LDからのLD少なくとも100mgを必要とし;
少なくとも400mgのLDの合計1日用量を必要とし、IR CD-LD単独又はCR CD-LDの1日1回の就寝時用量と組み合わせたIR CD-LDから、2400mg LDの最大合計1日用量を服用し;
CD-LDの1日4~9回の投薬頻度を有し;
病歴により、典型的にはその日の最初の用量のIR CD-LDで「オン」応答を経験したが、この用量の有効性は典型的には4時間未満持続する。
・スクリーニング時に、対象は、MDS-UPDRSパートIV B(運動変動)の項目#4.5(運動変動の複雑性)の1又は2のスコアによって定義される予測可能な「オフ」期間を有する。
・スクリーニング時に、「オフ」状態のMDS-UPDRSパートIII合計スコアが少なくとも20単位であった。
除外基準
・訪問1前の4週間以内に、1日1回の就寝時用量とは別に任意の用量の制御放出(CR)CD-LDを使用した。
・訪問1の前の過去4週間任意の用量のRYTARY(登録商標)を使用したか、又は有効性もしくは安全性の理由からRYTARY(登録商標)の失敗と考えられた。
・PDに対する以前の神経外科的処置を受けていたか、又はそのような手順が試験期間中に計画されたかもしくは予想された。
・試験薬中の任意の賦形剤に対しアレルギーを有する。
・適切な医学的管理にもかかわらず眼内圧が上昇した緑内障の病歴。
・発作又はてんかんの病歴及び過去12ヶ月間に少なくとも1回の発作を経験したこと、又は医学的に推奨される治療もしくは訪問に従わなかったこと。
・医学的及び/又は外科的介入で制御されなかった残留心房性、結節性又は心室性不整脈を伴う心筋梗塞の病歴。二次的不整脈を伴う心筋梗塞の最近(12ヶ月以内)の病歴は、治療対照にかかわらず除外された。
・臨床試験への参加中に行うスクリーニング又は計画の4週間以内に以下を受けた:
1日1回の就寝時用量を除く任意の用量のCR CD-LD、任意の用量のRYTARY(登録商標)、追加のCD(例えばLODOSYN(登録商標))もしくはベンセラジド(例えばSERAZIDE(登録商標))、又はカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害剤(エンタカポンもしくはトルカポン)、又はこれらの阻害剤を含む薬物(STALEVO(登録商標))、
制吐薬を含む、非選択的モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、アポモルヒネ、又は抗ドーパミン作動薬。
・以前にIPX203試験に参加したことがある対象。
【0272】
評価基準:
評価で使用されたベースラインには2つのタイプがあり、訪問1で行われた試験エントリベースライン(試験エントリ訪問)又は訪問4で行われた評価として定義された二重盲検ベースライン(無作為化訪問)のいずれかであり得る。
【0273】
主要副評価項目を以下のサブグループについて調べた:
・年齢:試験エントリ時65歳未満、65歳以上
・性別:男性、女性
・人種:コーカサス人、非コーカサス人。
さらに、以下のサブグループを調べた:
・地域:北米又は欧州
・民族性:ヒスパニック系、非ヒスパニック系又は不明
・併用薬:以下の非排他的なサブグループを、以下のカテゴリの併用薬を服用している対象について定義した:
アマンタジン
選択的MAOB阻害剤
抗コリンPD薬
ドーパミンアゴニスト
その他
・体重:75kg未満又は75kg以上
・ボディーマス指数(BMI):25kg/m2未満又は25kg/m2以上
・スクリーニング時のPD期間:8年未満又は8年以上
・PD発症年齢:65歳未満又は65歳以上
・試験エントリ時の「良好オン」時間:1日当たり9時間未満又は1日当たり9時間以上
・試験エントリ時の「オフ」時間:1日当たり平均6時間未満又は1日当たり6時間以上。
【0274】
有効性:
主要評価項目:ベースラインからの変化(「良好オン」時間(時間/日)、二重盲検処置期間終了(訪問7又は早期終了)時のPD日誌日にわたる平均)。「良好オン」時間は、3日間のPD日誌から導出され、ジスキネジアを伴わない「オン」時間及び問題のないジスキネジアを伴う「オン」時間の和として定義される。
【0275】
重要な副評価項目:
・ベースラインからの変化(「オフ」時間(時間/日)、二重盲検処置期間終了(訪問7もしくは早期終了)時のPD日誌日にわたる平均;
・二重盲検処置期間終了(訪問7もしくは早期終了)時のPGI-Cスコアにおいて「大きく改善した」もしくは「極めて大きく改善した」のいずれかを有する対象の割合;
・二重盲検処置期間終了(訪問7もしくは早期終了)時のMDS-UPDRSパートIIIのベースラインからの変化;ならびに/又は
・二重盲検処置期間終了(訪問7もしくは早期終了)時のMDS-UPDRSパートII及びIIIの合計のベースラインからの変化。
【0276】
追加の評価項目:
以下の評価項目を、ベースライン(訪問4)からの変化ならびに該当する場合には試験エントリ(訪問1)からの変化として(無作為化後の訪問時に)訪問別に評価した。
・3日間のPD日誌から導出される覚醒時間中の「オフ」時間のパーセント-各連続「良好オン」及び各連続「オン」の平均持続期間;
・各連続「良好オン」及び各連続「オン」の平均持続期間;
・(1)「オフ」時間(訪問1から)、(2)「良好オン」時間(訪問1から)、(3)ジスキネジアを伴う「オン」時間、(4)問題のあるジスキネジアを伴う「オン」時間、及び(5)問題のないジスキネジアを伴う「オン」時間、ならびに(6)3日間のPD日誌から導出される睡眠時間の時間;
・「良好オン」時間が少なくとも1、1.5、2、2.5及び3時間改善した対象の割合;
・「オフ」時間が少なくとも0.5、1、1.5、2、2.5、及び3時間低減した対象の割合;
・覚醒後「オン」及び覚醒後「良好オン」である対象の割合;
・覚醒後の「オン」までの平均時間;
・PD日誌日にわたって平均化された1日あたりの運動変動の平均数のベースラインからの変化。運動変動は、「オフ」状態から「オン」状態又は「オン」状態から「オフ」状態への変化として定義される。
・別個にMDS-UPDRS合計スコア(パートI、II、III、及びIVの合計)ならびにパートI、II、及びIV;
・MDS-UPDRSパートIII及びパートII+IIIの組み合わせ(訪問1から);
・MDS-UPDRSパートIIの質問2.9;
・39項目パーキンソン病質問票(「PDQ-39」)の合計スコア及び個々のドメインスコア;
・非運動症状評価尺度(NMSS)の合計スコア及び個々のドメイン;
・パーキンソン病睡眠尺度2(PDSS-2)の合計スコア及び個々のドメイン;
・組み合わせたPDSS-2項目9、10、11、12、及び13;
・パーキンソン不安尺度(PAS)合計スコア及び個々のドメイン;
・重症度に関する患者全般印象(PGI-S);
・PGI-S-重症度に関する臨床全般印象(CGI-S)で「重症」又は「極めて重症」のいずれかを有する対象の割合;
・CGI-Sで「重症」又は「最も極めて重症な対象」のいずれかを有する対象の割合;
・変化に関する患者全般印象(PGI-C)スコア;
・変化に関する臨床全般印象(CGI-C)スコア;ならびに
・CGI-Cで「大きく改善した」又は「非常に大きく改善した」のいずれかを有する対象の割合。
【0277】
有害事象を監視し、記録した。患者に対し、試験全体を通して様々な時点で胃不全麻痺基本症候指数(GCSI)質問票を実施した。
【0278】
特に記載のない限り、評価は実施例8及び9で前述した一般的な手順の概要に従った。
夜間睡眠からの覚醒は、真夜中後の少なくとも1回の「睡眠」状態及び真夜中後の「睡眠」エピソード後の3時間連続した非睡眠を有するものと定義された。上記3時間連続した非睡眠時間を満たさなかった対象は、分類不可能であるとみなされた。同様に、12:00AM以降にいかなる「睡眠」状態にもなかった人は分類不能とみなされた。
【0279】
PD日誌は6:00AMに開始したため、「3時間連続した非睡眠」の考慮は6:00AMに開始し、「睡眠」状態を有することは必要とされなかった。したがって、日誌日-3について、夜間睡眠からの覚醒は、6:00AM以降に3時間連続して非睡眠を有するものと定義された。
【0280】
覚醒の時間が、上記の定義における3時間連続した非睡眠の開始と定義された。夜間睡眠からの覚醒後の最初の半時間間隔における「オン」状態及び「良好オン」状態の0日、1日、2日、及び3日の対象の数及び割合を、訪問別(訪問4、5、6及び7又はET)ならびに処置群別に要約した。訪問についてPD日誌の少なくとも1日に分類不可能であった対象は、その訪問についての分析から除外した。
試験に登録された対象のベースライン特性及び人口統計は以下の通りである。
【数43】
【0281】
二重盲検期間(訪問4~7)に使用されるIPX203及びIR CD-LD安定レジメンにおける1日投薬頻度を以下の表に示す:
【数44】
【0282】
主要評価項目、「良好オン」時間(時間)のベースラインからの変化の要約を以下の表に示す。
【数45】
【0283】
主要評価項目、「良好オン」時間(時間)のベースラインから訪問7/処置終了(ET)までの変化の統計分析は以下の通りである。
【数46】
【0284】
図17は、ベースラインから試験終了までの「良好オン」時間の改善を示す以下のデータ点のグラフである。
【数47】
【0285】
このデータは、両方の試験群においてベースライン(7週目)からの変化を比較した場合、本発明による処置(1日当たり平均3回投薬されたIPX203)が、(1日当たり平均5回投薬された)IR CD-LDよりも少なくとも0.5時間(0.53時間)長い「良好オン」時間をもたらしたことを示す。データはまた、IPX203処置については1.76時間、及びIR CD-LD処置については1.06時間の、訪問1~訪問7までのLS平均改善を示した。
【0286】
評価項目、訪問7/ETでの用量当たりの「良好オン」時間(時間)の統計分析は以下の通りである。
【数48】
【0287】
図18は、用量当たりの上記「良好オン」時間のグラフである。
【0288】
副評価項目、「オフ」時間(時間)のベースラインからの変化の要約を以下の表に示す。
【数49】
【0289】
副評価項目、「オフ」時間(時間)のベースラインから訪問7/ETまでの変化の統計分析は以下の通りである。
【数50】
【0290】
図19は、ベースラインから試験終了までの「オフ」時間の低減を示す以下のデータ点のグラフである。
【数51】
【0291】
このデータは、両方の試験群においてベースライン(7週目)からの変化を比較した場合、本発明による処置(1日当たり平均3回投薬されたIPX203)が、(1日当たり平均5回投薬された)IR CD-LDと比較して有意に少ない「オフ」時間又は約0.5時間(0.48時間)の「オフ」時間をもたらしたことを示す。
【0292】
データの分析は、本発明を受けた対象についての訪問4から訪問7までの覚醒時間中の平均パーセント「オフ」時間のより大きな改善(より少ない増加)を示した(IPX203は、(1日当たり平均5回投薬された)IR CD-LDと比較して1日当たり平均3回投薬された)。具体的には、本発明についての訪問4から訪問7までの覚醒時間中のパーセント「オフ」時間の平均変化は1.75であり、IR CD-LDについては4.55である。
【0293】
訪問4から訪問7までの覚醒時間中のパーセント「オフ」時間の統計分析を以下に示す:
【数52】
【0294】
上記の分析は、IR CD-LD群と比較した場合、IPX203群では覚醒時間中のパーセント「オフ」時間の増加が少ないことを示している。
【0295】
データの分析はまた、本発明を受けた対象についての訪問4から訪問7までの連続「良好オン」間隔及び連続「オン」間隔の平均持続期間のより大きな改善(より少ない減少)を示した(IPX203は、(1日当たり平均5回投薬された)IR CD-LDと比較して、1日当たり平均3回投薬された)。具体的には、本発明の訪問4から訪問7までの連続「良好オン」間隔の平均変化は-0.07であり、IR CD-LDの平均変化は-0.98である。本発明の訪問4から訪問7までの連続「オン」間隔の平均変化は-0.22であり、IR CD-LDの平均変化は-0.90である。
【0296】
連続「良好オン」間隔の持続期間及び連続「オン」間隔の持続期間の統計分析は以下の通りである。
【数53】
【0297】
【0298】
上記のPD日誌データは、PD日誌に記録された以下の状態において、IR CD-LDよりもIPX203でより大きな改善を示した:
(i)ジスキネジアを伴わない「オン」時間:試験エントリベースラインから訪問7/ETへの平均変化;IPX203:1.45及びIR CD-LD:1.01);
(ii)問題のないジスキネジアを伴う「オン」時間:試験エントリベースラインから訪問7/ETへの平均変化;IPX203:0.36及びIR CD-LD:0.13);
(iii)問題のあるジスキネジアを伴う「オン」時間:試験エントリベースラインから訪問7/ETへの平均変化;IPX203:0.04及びIR CD-LD:-0.02);
(iv)ジスキネジアを伴う「オン」時間:試験エントリベースラインから訪問7/ETへの平均変化;IPX203:0.41及びIR CD-LD:0.10);
(v)「睡眠」時間:試験エントリベースラインから訪問7/ETへの平均変化;IPX203:0.05及びIR CD-LD:0.18)。
【0299】
以下は、PD日誌から得られた、覚醒後に「オン」及び覚醒後に「良好オン」であった対象の割合の要約である。
【数55】
【0300】
上記のデータは、訪問7において、記録された3つのPD日誌日のうちの少なくとも1日間、覚醒後に「オン」状態であった対象のパーセンテージに有意差が認められたことを示している:IPX203処置、対象の53.1%対IR CD-LD処置、44.5%(p=0.0046)。覚醒後に「良好オン」状態にあった対象でも同様の差が認められた。
【0301】
PD日誌から得られた、覚醒後の「オン」までの平均時間の要約を以下に示す。
【数56】
【0302】
上記のデータは、IPX203処置が、IR CD-LD処置と比較して、覚醒後の「オン」までの平均時間が短かったことを示している。具体的には、IPX203処置については訪問4から訪問7への平均変化は0.01時間であり、IR CD-LD処置については訪問4から訪問7への平均変化は0.09であった。この差は有意ではなかった(p=0.1664)。
【0303】
PD日誌データの分析は、IPX203処置を受けた対象が、IR CD-LD処置を受けた対象と比較した場合、訪問4から訪問7/ETまでの1日当たりの運動変動の平均数においてより大きな改善(より少ない増加)を示したことを示した。IPX203処置を受けた対象についての訪問4から訪問7/ETへの平均変化は0.17であり、IR CD-LDを受けた対象についての訪問4から訪問7/ETへの平均変化は1.47であった。以下は、訪問4の前及び訪問7/ETの前の3日間にわたって収集された対象PD日誌から得られた1日当たりの運動変動の平均数の統計学的分析である。
【数57】
【0304】
副評価項目、MDS-UPDRSパートIII合計スコアの要約を以下の表に示す。
【数58】
【0305】
0週目登録値は、IPX203群については29.6、IR CD-LD群については29.7であった。
【0306】
副評価項目である訪問7/ETでのMDS-UPDRSパートIII合計スコアの統計分析は以下の通りである。
【数59】
【0307】
副評価項目、MDS-UPDRSパートII及びIII合計スコアの要約を以下の表に示す。
【数60】
【0308】
0週目登録値は、IPX203群については42.9、IR CD-LD群については42.9であった。
【0309】
副評価項目である訪問7/ETでのMDS-UPDRSパートII及びIII合計スコアの統計分析は以下の通りである。
【数61】
【0310】
訪問4から訪問7/ETまでのPDQ-39スコアの平均変化の要約を以下の表に提供する。
【数62】
【0311】
上記のデータによって示されるように、感情的幸福スコアについてIPX203処置に有利な統計的有意差が認められたことを除いて、PDQ-39合計スコア及び他の個々のドメインスコアにおいてIPX203処置対IR CD-LD処置で顕著な差は観察されなかった。
【0312】
訪問4から訪問7/ETまでのNMSSスコアの平均変化の要約を以下の表に提供する。
【数63】
【0313】
上記のデータによって示されるように、知覚的問題/幻覚において統計学的有意差が認められたことを除いて、NMSS合計スコア及び他の個々のドメインスコアにおいてIPX203処置対IR CD-LD処置で顕著な差は観察されなかった。
【0314】
副評価項目の要約、PGI-Cの要約を以下の表に示す。
【数64】
【0315】
処置終了である訪問7でのPGI-Cスコアは、IR CD-LD群での46.3%(1日当たり平均5回投薬)に対し、(1日当たり平均3回投薬された)IPX203群の56.9%において改善(最小限に改善された、大幅に改善された、又は大幅に改善されたと定義される)を示し;29.7%が、IR CD-LD群での18.8%に対してIPX203群において大きく又は非常に改善されたことを示したが、後者の差は統計学的に有意である(p=0.0015)。
【0316】
訪問7/ETでのCGI-Cスコアの要約を以下の表に示す:
【数65】
【0317】
このCGI-Cデータは、IPX203処置を受けた58.1%の対象が、IR CD-LD処置を受けた45.7%の対象と比較して、CGI-Cスコア(最小限に改善された、大きく改善された、又は非常に大きく改善されたと定義される)の改善を報告したことを示している。IR CD-LD処置(対象の19.2%)と比較した場合、統計学的に有意な割合の対象(p<0.0001)(対象の33.6%)が、IPX203処置に対する「大きく改善した」又は「非常に大きく改善した」応答を報告した。
【0318】
以下の表は、この試験で得られた主要及び副評価項目のデータの要約を提供する。
【数66】
【0319】
結果は、PD日誌に基づく評価項目、「良好オン」時間が、IR CD-LD群(最小二乗(LS)平均=「良好オン」時間の1.03時間の短縮)と比較して、IPX203群(LS平均=「良好オン」時間の0.5時間の短縮)において減少が少なかったことを示している。結果はまた、PD日誌に基づく評価項目、「オフ」時間が、ID CD-LD群(LS平均=「オフ」時間の0.86時間の増加)と比較して、IPX203群(LS平均=「オフ」時間の0.38時間の増加)において増加が少なかったことを示している。これらの結果は、統計学的有意性を伴ってIPX203群におけるより良好な臨床成績を実証している(「良好オン」時間についてp=0.0194、及び「オフ」時間についてp=0.0252)。
【0320】
実施例12
実施例7に記載の剤形を、単一部位非盲検単回用量3処置、3期間交差試験において、少なくとも55kgの体重及び18.5~30.0kg/m2のボディーマス指数を有する18~55歳の間の27人の健康な男性及び女性対象に投与した。対象を少なくとも10時間一晩絶食させ、6~7日間のウォッシュアウト期間によって隔てられた各処置について、350mgのLD及び87.5のCDの単回用量を投与した。
【0321】
処置Aは、標準化された高脂肪(食事の全カロリー含有量の約50%)、高カロリー(約800~1000カロリー)の朝食を開始した約30分後に、350mgのLD及び87.5mgのCDを含有する実施例7に従って調製された1カプセルを240mLの水とともに経口投与することを含んでいた。投与後少なくとも4時間、さらなる食物を与えなかった。
【0322】
処置Bは、350mgのLD及び87.5mgのCDを含有する実施例7に従って調製された1カプセルの経口投与を含み、カプセルの内容物を大さじ1のアップルソース上に振りかけた。投与後少なくとも4時間、さらなる食物を与えなかった。
【0323】
処置Cは、350mgのLD及び87.5mgのCDを含有する実施例7に従って調製された1カプセルを240mLの水とともに経口投与することを含んでいた。投与後少なくとも4時間、食物を与えなかった。
【0324】
処置A及びCについては、カプセルをそのまま嚥下し、錠剤を咀嚼、分割又は破砕しないように対象に指示した。
【0325】
処置Bについては、ビーズを破砕又は咀嚼することなく全てのアップルソースを消費するように対象に指示した。
【0326】
全血試料を投薬前ならびに投薬後0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、10、12、16及び24時間に採取した。血漿試料を、検証された液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)法によってCD及びLDの濃度について分析した。LD及びCDについて、ピーク血漿(C
max)、血漿濃度-時間曲線下面積(AUC
t及びAUC∞)、ならびに最大濃度までの時間(T
max)を評価した。平均薬物動態パラメータを、以下の表ならびに
図20及び
図21に示す。
【数67】
【0327】
上記の表中の全ての値は、中央値(最小-最大)として報告されるTmaxを除いて平均値±SDであり、AUC0-tは0時間から24時間までの濃度時間曲線下面積である。
【0328】
絶食状態でカプセルを経口投与した後、LD濃度は急速に増加し、約2時間の中央値でのTmaxに達した。高脂肪、高カロリー投与は、絶食状態投与と比較して、LD中央値Tmaxを約2時間遅延させ、LD Cmax及びAUCを約20%増加させた。CDのCmax及びAUC0-t値は、絶食状態に対して摂食状態対で約64%低かった。カプセル内容物をアップルソースに振りかけることは、絶食状態での投与と比較した場合、薬物動態パラメータに実質的に影響しなかった。
【0329】
実施例13
実施例11及び12を含むがこれらに限定されない前述の実施例のデータに基づいて、以下は、SINEMET(登録商標)又はSINEMET(登録商標)の米国FDA AB等級ジェネリックなどの経口即時放出型CD-LD剤形を服用しているPD患者を実施例7に記載されるカプセルの開始用量に変換するための推奨開始用量である。
【数68】
【0330】
代替として、上記の表に記載されるようなIPX203生成物の開始1日用量は、35~140mgのCD-LD、52.5~210mgのCD-LD、70~280mgのCD-LD又は87.5~350mgのCD-LDを含む1つ又は複数の剤形によって投与され得る。
【0331】
SINEMET(登録商標)又はSINEMET(登録商標)の米国FDA AB等級ジェネリック版などの経口IR CD-LD剤形からのCD-LDの合計1日用量が125~500mg未満であるPD患者は、実施例1~7、好ましくは実施例7のもの、又はそれと同等の米国FDA AB等級ジェネリックを含む本明細書に記載の制御放出剤形の1つ又は複数を12時間毎に服用することができる。対象が許容可能な持続期間効果を達成しない場合、投薬間隔をおよそ8時間毎に短縮することができる。
【0332】
PDと新たに診断されたか、又はLD未経験であるPD患者は、実施例1~7、好ましくは実施例7のもの又はそれに同等な米国FDA AB等級ジェネリックを含む本明細書に記載の制御放出剤形のうちの1つ又は複数を12時間毎に服用することができる。対象が許容可能な持続期間効果を達成しない場合、投薬間隔をおよそ8時間毎に短縮することができる。
【0333】
SINEMET(登録商標)又はSINEMET(登録商標)の米国FDA AB等級ジェネリック版などの経口IR CD-LD剤形からのCD-LDの125~500mg超の合計1日用量を服用するPD患者は、実施例1~7のもの、又はそれと同等のFDA AB等級ジェネリックなどの本明細書に記載の制御放出剤形の1つ又は複数を8時間毎に服用することができる。
【0334】
PD患者は、実施例1~7及び好ましくは実施例7、又はそれと同等の米国FDA AB等級ジェネリックを含む本明細書中に記載の制御放出剤形の1つ又は複数を、本実施例の投薬表に従って12時間毎又は6、7もしくは8時間毎に服用し、以下を示し得る。
(i)24時間の期間中5時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満及び0.5時間未満の、24時間の期間、すなわち1日のうちの合計「オフ」時間;
(ii)24時間の期間における覚醒時間中5時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満及び0.5時間未満の、覚醒時間中の合計「オフ」時間;
(iii)投薬時間間隔中5時間超、6時間超、7時間超、又は8時間の合計「オン」時間;
(iv)投薬時間間隔中5時間超、6時間超、7時間超、又は8時間までの合計「良好オン」時間;
(v)即時放出CD-LD剤形の同等経口用量、又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、1用量当たり、1日当たり、及び/又は1日当たりの覚醒時間中の、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180分又はそれ以上の患者の「オン」時間の増加;
(vi)即時放出CD-LD剤形の同等経口用量、又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、1用量当たり、1日当たり、及び/又は1日当たりの覚醒時間中の、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180分又はそれ以上の患者の「良好オン」時間の増加;
(vii)即時放出CD-LD剤形の同等経口用量、又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、1用量当たり、1日当たり、及び/又は1日当たりの覚醒時間中の、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180分又はそれ以上の患者の「オフ」時間の減少;あるいは
(viii)上記の任意の組み合わせ。
【0335】
即時放出CD-LD剤形の同等の経口用量又は1日当たりもしくは覚醒時間当たりの合計即時放出CD-LD用量と比較した、少なくとも30分~180分以上の患者の「オン」又は「良好オン」時間の上記の増加、ならびに用量当たり、1日当たり及び/又は1日当たりの覚醒時間中の患者の「オフ」時間の減少に関して、1日当たり又は覚醒時間当たりの比較は、1日当たり又は覚醒時間当たりの即時放出製剤を介して投与されるLDの合計量と比較した、1日当たり又は覚醒時間期間当たりの制御放出剤形を介して投与されるLDの合計量に基づくことを理解されたい。この比較は、1日(24時間の期間)又は12~18時間の覚醒期間の間の4回、5回又は6回の即時放出投与の合計と比較した、2回、3回又は4回の制御放出投与を含む合計であり得る。
【0336】
PD患者は、実施例1~7、好ましくは実施例7、又はそれと同等の米国FDA AB等級ジェネリックを含む本明細書中に記載の制御放出剤形の1つ又は複数を、本実施例の投薬表に従って12時間毎又は6、7もしくは8時間毎に服用し、覚醒時間中の合計「オフ」時間の実質的な低減を示し得る。合計「オフ」時間の低減は、SINEMET(登録商標)又はSINEMET(登録商標)の米国FDA AB等級ジェネリック版などの即時放出型CD-LD経口剤形による処置と比較して、24時間の期間における16時間などの覚醒時間中の合計「オフ」時間の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%又は50%の低減であるべきである。
【0337】
PD患者は、本実施例の投薬表に従って、実施例1~7、好ましくは実施例7、又はそれと同等の米国FDA AB等級ジェネリックを含む本明細書に記載の制御放出剤形の1つ又は複数を12時間毎又は6、7もしくは8時間毎に服用し、180分以下、160分以下、140分以下、120分以下、100分以下、90分以下、75分以下、60分以下、50分以下、45分以下、40分以下、35分以下、30分以下、25分以下、20分以下、15分以下、10分以下、5分以下又は0分の投薬間隔の間の合計「オフ」時間を示し得る。1日2回投薬群のPD患者では、投薬間隔は約12時間毎である。1日3回投薬群のPD患者では、投薬間隔は約8時間である。1日4回投薬群のPD患者では、投薬間隔は約6時間である。
【0338】
実施例1~7、好ましくは実施例7、又はそれと同等の米国FDA AB等級ジェネリックを含む本明細書に記載の制御放出剤形を12時間毎又は6、7もしくは8時間毎に本実施例の投薬表に従って投与されるPD患者は、朝に投与されるLD量又は覚醒後の最初の1日用量の増加を必要としない。むしろ、PD患者は、1日を通して各投薬時間に同じ用量を服用することができ、それによって、投与レジメンを複雑にし、介護者又はPD患者を混乱させ、過剰又は過少投与をもたらし得る、異なる午前、午後及び/又は夕方の用量の必要性を回避することができる。さらに、これらのPD患者は、本明細書に記載のように、及び本実施例の投薬表に従って、就寝前約30分以内の投薬を可能にするスケジュールで制御放出剤形を投与されており、PD患者が改善された夜間睡眠を経験し朝に「オン」又は「良好オン」状態で覚醒することを可能にし、それによってLDのレスキュー用量の必要性を排除する。これらのPD患者は、本明細書に記載のように、及び本実施例の投薬表に従って、就寝前約30分以内の投薬を可能にするスケジュールで制御放出剤形を投与されており、さらに、PD患者が、SINEMET(登録商標)又はSINEMET(登録商標)の米国FDA AB等級ジェネリック版などの即時放出型CD-LD経口剤形による処置と比較して、制御放出剤形の最初の朝の投薬後の「オン」又は「良好オン」状態へのより速い時間を経験することを可能にする。制御放出剤形の最初の朝の投薬後の「オン」又は「良好オン」状態へのより速い時間は、SINEMET(登録商標)又はSINEMET(登録商標)の米国FDA AB等級ジェネリック版などの即時放出CD-LD経口剤形による処置と比較して、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20分速い範囲となり得る。
【0339】
PD患者は、本実施例の投薬表に従って、実施例1~7、好ましくは実施例7、又はそれと同等の米国FDA AB等級ジェネリックを含む本明細書に記載の制御放出剤形の1つ又は複数を12時間毎又は6、7もしくは8時間毎に服用し、それらのPGI-C又はCGI-Cスコアにおける実質的な改善を示し得る、すなわち、SINEMET(登録商標)又はSINEMET(登録商標)の米国FDA AB等級ジェネリック版などの即時放出CD-LD経口剤形による処置と比較して、「大きく改善」又は「非常に大きく改善」された値を報告し得る。
【0340】
PD患者は、本実施例の投薬表に従って、実施例1~7、好ましくは実施例7、又はそれと同等の米国FDA AB等級ジェネリックを含む本明細書に記載の制御放出剤形の1つ又は複数を12時間毎又は6、7もしくは8時間毎に服用し、SINEMET(登録商標)又はSINEMET(登録商標)の米国FDA AB等級ジェネリック版などの即時放出CD-LD経口剤形による処置と比較して、PDQ-39により決定される改善された感情的幸福を示し得る。
【0341】
PD患者は、本実施例の投薬表に従って、実施例1~7、好ましくは実施例7、又はそれと同等の米国FDA AB等級ジェネリックを含む本明細書に記載の制御放出剤形の1つ又は複数を12時間毎又は6、7もしくは8時間毎に服用し、SINEMET(登録商標)又はSINEMET(登録商標)の米国FDA AB等級ジェネリック版などの即時放出CD-LD経口剤形による処置と比較して、NMSSスコアにより決定される知覚的問題及び/又は幻覚の減少を示し得る。
【0342】
PD患者は、食物の有無にかかわらず、実施例1~7、好ましくは実施例7、又はそれと同等の米国FDA AB等級ジェネリックを含む本明細書に記載の制御放出剤形を服用し得、食物とともに服用した場合、少なくとも10時間の絶食後、好ましくは10時間の一晩の絶食後の投与と比較して、LD Cmax及び/又はLD AUC値の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%もしくは25%又はそれを超える増加を示す。絶食後の投与と比較した食物とともに投与した場合のLD Cmax及び/又はLD AUCの増加は、上記の実施例12に概説されている条件を使用して決定され得る。
【0343】
PD患者はさらに、食物の有無にかかわらず、実施例1~7、好ましくは実施例7、又はそれと同等の米国FDA AB等級ジェネリックを含む本明細書に記載の制御放出剤形を服用し得、食物とともに服用した場合、少なくとも10時間の絶食後、好ましくは10時間の一晩の絶食後の投与と比較して、5時間未満、4.5時間未満、4.0時間未満、3.5時間未満、3.0時間未満、2.5時間未満、2.0時間未満、1.5時間未満、1.0時間未満又は0.5時間未満のLD Tmax及び/又はCD Tmaxの変化(すなわち±)を示す。絶食後の投与と比較した食物とともに投与した場合のLD Tmax及び/又はCD Tmaxの変化は、上記の実施例12に概説されている条件を使用して決定され得る。Tmaxの変化は、絶食後の投与と比較して、5時間未満、4.5時間未満、4.0時間未満、3.5時間未満、3.0時間未満、2.5時間未満、2.0時間未満、1.5時間未満、1.0時間未満又は0.5時間未満の摂食条件下でのTmaxへの増加時間であることが好ましい。
【0344】
本明細書に例示的に記載された本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の1つ又は複数の要素、1つ又は複数の限定がない状態で適切に実施され得る。したがって、例えば、本明細書の各例において、「備える」、「~から本質的になる」、及び「~からなる」という用語のいずれも、他の2つの用語のいずれかと置き換えることができる。使用された用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語及び表現の使用において、示され説明された特徴又はその一部の均等物を除外する意図はないが、特許請求される発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、本発明は好ましい実施形態及び任意選択の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修正及び変形が当業者によってなされてもよく、そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると見なされることを理解されたい。
【国際調査報告】