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特表2024-501238カスコードスイッチの高速オン切り替え保護
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  • 特表-カスコードスイッチの高速オン切り替え保護 図1A
  • 特表-カスコードスイッチの高速オン切り替え保護 図1B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】カスコードスイッチの高速オン切り替え保護
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
H02M3/155 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023537649
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 US2021061418
(87)【国際公開番号】W WO2022140029
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】63/129,086
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501315784
【氏名又は名称】パワー・インテグレーションズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100125818
【弁理士】
【氏名又は名称】立原 聡
(72)【発明者】
【氏名】ラジコ デュブンジャク
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA18
5H730AS04
5H730BB14
5H730CC01
5H730DD04
5H730FD01
5H730FF01
5H730FF09
5H730VV02
5H730XX03
5H730XX15
5H730XX23
5H730XX35
(57)【要約】
カスコードスイッチの高速オン切り替え保護が本明細書において提示される。カスコード回路は電気的にカスコード結合されたデプレッション型電界効果トランジスタとエンハンスメント型電界効果トランジスタとを含む。オン切り替え中、保護回路は、カスコードノード電圧のプラトーを観察することにより過電流異常を検出する。過電流異常は、閾持続期間より長くプラトーが存在することに応答して検出され得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的にカスコード結合されたデプレッション型電界効果トランジスタとエンハンスメント型電界効果トランジスタとを含むカスコード回路であって、前記カスコード回路がカスコードノード電圧を提供するように構成された、前記カスコード回路と、
過電流検出回路であって、前記過電流検出回路が、
前記カスコードノード電圧がプラトーに入ったときを示すために、前記カスコードノード電圧を閾値電圧と比較するように構成された比較器と、
前記プラトーの持続期間を監視するように構成された制御装置であって、前記持続期間が閾持続期間を超えたとき、前記過電流検出回路が過電流異常状態を検出するように構成された、前記制御装置と、
を備える、前記過電流検出回路と、
を備える、電力コンバーター。
【請求項2】
前記過電流検出回路が、ANDゲートを備える、
請求項1に記載の電力コンバーター。
【請求項3】
前記デプレッション型電界効果トランジスタが、窒化ガリウム(GaN)デプレッション型トランジスタである、
請求項1に記載の電力コンバーター。
【請求項4】
前記デプレッション型電界効果トランジスタが、炭化ケイ素(SiC)デプレッション型トランジスタである、
請求項1に記載の電力コンバーター。
【請求項5】
前記エンハンスメント型電界効果トランジスタが、低電圧電界効果トランジスタである、
請求項1に記載の電力コンバーター。
【請求項6】
窒化ガリウム(GaN)カスコード回路において過電流を検出する方法であって、前記方法が、
低電圧電界効果トランジスタにゲート信号を提供することにより、過渡ステップを伴って前記GaNカスコード回路をオンに切り替えることと、
前記低電圧電界効果トランジスタのドレイン電圧を受信することにより、カスコードノード電圧を受信することと、
前記低電圧電界効果トランジスタの前記ドレイン電圧を閾値電圧と比較することにより、前記カスコードノード電圧がプラトーに入ったときを特定することと、
制御装置を使用して閾持続期間を特定することにより、前記閾持続期間より長く前記プラトーが存在することに応答して過電流異常を示すことと、
を含む、方法。
【請求項7】
前記GaNカスコード回路が、前記低電圧電界効果トランジスタと電気的にカスコード結合されたデプレッション型電界効果トランジスタを備える、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記低電圧電界効果トランジスタが、エンハンスメント型電界効果トランジスタである、
請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記閾値電圧が、1ボルトから10ボルトの間である、
請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記閾持続期間が、100ナノ秒から300ナノ秒の間である、
請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる2020年12月22日に出願された米国仮特許出願第63/129,086号の利益を主張する。
【0002】
本開示は概して過電流保護に関し、特に、カスコードスイッチの高速オン切り替え保護に関する。
【背景技術】
【0003】
電子デバイスは動作に電力を使用する。スイッチング式電力コンバーターの高効率さ、小さいサイズ、および軽量さを理由として、現在の多くの電子機器に給電するためにスイッチング式電力コンバーターが一般的に使用される。従来の壁のソケットは高電圧の交流電流を提供する。スイッチング電力コンバーターにおいて、エネルギー伝達要素を通して高電圧の交流電流(AC:alternating current)入力が変換されて適切に調節された直流電流(DC:direct current)出力を提供する。スイッチング式電力コンバーターの制御装置は通常、1つまたは複数の出力量を表す1つまたは複数の入力を検出することと、閉ループにおいて出力を制御することとにより、出力調節を提供する。動作時、デューティサイクル(典型的には、総スイッチング周期に対するスイッチのオン期間の比)を変化させること、スイッチング周波数を変えること、または、スイッチング式電力コンバーターにおけるスイッチの単位時間当たりのパルス数を変化させることにより、所望の出力を提供するためにスイッチが使用される。
【0004】
窒化ガリウム(GaN)、および、他の広バンドギャップIII族窒化物ベースの直接遷移半導体材料は、高破壊電界を示し、および高電流密度に役立つ。この点について、GaNベースの半導体デバイスは、電力および高周波用途においてシリコンベースの半導体デバイスの代わりとして活発に研究されている。例えば、GaN HEMTは、同一の面積のシリコン電力電界効果トランジスタに比べて高い絶縁破壊電圧を伴いながら、より低いオン抵抗率を提供し得る。
【0005】
電力電界効果トランジスタ(FET:field effect transistor)は、エンハンスメント型またはデプレッション型であり得る。エンハンスメント型デバイスは、ゲートバイアスが印加されていないとき(すなわちゲート対ソースバイアスがゼロであるとき)に電流を遮断する(すなわちオフである)トランジスタ(例えば電界効果トランジスタ)を表し得る。対照的に、デプレッション型デバイスは、ゲート対ソースバイアスがゼロであるときに電流を通す(すなわちオンである)トランジスタを表し得る。
【発明の概要】
【0006】
カスコードスイッチの高速オン切り替え保護に対する非限定的かつ非網羅的な実施形態が、以下の図を参照しながら説明され、異なる図の中の同様の参照符号は、別段の指定がない限り同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A図1Aは、実施形態による、カスコードスイッチと保護回路とドライバとを含む回路を示す。
図1B図1Bは、実施形態による、カスコードスイッチと保護回路とドライバとを含む電力コンバーターを示す。
図2図2は、本明細書における教示による、異なる動作モードに対するオン切り替え波形を比較する。
図3図3は、実施形態による、経験的な波形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面中の複数の図にわたり、対応する参照符号が対応するコンポーネントを示す。当業者は、図中の要素が簡潔かつ明確であるように描かれること、および、一定の縮尺で描かれているとは限らないことを理解する。例えば、図中の幾つかの要素の寸法は、本開示の様々な実施形態をより理解しやすくするために他の要素より誇張される場合がある。更に、市販に適した実施形態において有用なまたは必要な、一般的だが良く理解される要素は多くの場合、本明細書における教示のこれらの様々な実施形態の図が見づらくならないように図示されていない。
【0009】
以下の説明では、カスコードスイッチの高速オン切り替え保護の十分な理解を提供するために多くの具体的な詳細事項が記載される。しかし、本明細書における教示を実施するために特定の詳細事項が使用されるとは限らないことが当業者に明らかである。他の例において、本開示を不明瞭にしないために、よく知られた材料または方法は詳細には説明されていない。
【0010】
本明細書中での「一実施形態」、「実施形態」、「一例」、または「例」についての言及は、実施形態または例との関連で説明される特定の特徴、構造、または特性が本明細書における教示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な場所における「一実施形態において」、「実施形態において」、「一例」、または「例」といった表現の使用は、すべてが同じ実施形態または例に関連するとは限らない。更に、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態または例において、任意の適切な組み合わせ、および/または部分的組み合わせで組み合わされてもよい。特定の特徴、構造、または特性は、説明される機能を提供する集積回路、電子回路、結合論理回路、または他の適切なコンポーネントに含まれてもよい。加えて、本明細書とともに提供される図が当業者への説明を目的としていること、および、波形を含め図面は一定の縮尺で描かれているとは限らないことが理解される。
【0011】
本出願の文脈では、トランジスタが「オフ状態」または「オフ」であるとき、トランジスタは電流を遮断する、および/または実質的に電流を流さない。逆に、トランジスタが「オン状態」または「オン」であるとき、トランジスタは実質的に電流を流すことができる。例示として、トランジスタは、第1の端子であるドレインと第2の端子であるソースとの間において高電圧がサポートされるNチャネル金属-酸化物-半導体(NMOS:N-channel metal-oxide-semiconductor)電界効果トランジスタ(FET)を備え得る。
【0012】
上述のように、エンハンスメント型デバイスは、制御電圧(例えばゲート対ソース電圧)が低い(例えば0ボルトである)ときに電流を遮断するトランジスタを表し得る。多くの回路およびスイッチング用途において、回路機能を実現するためにエンハンスメント型トランジスタ(すなわちエンハンスメント型デバイス)を使用することが望ましい場合がある。例えば、電力用途では多くの場合、スイッチ(すなわち電力スイッチ)として電力トランジスタを使用することが望ましい。理想的には、電力トランジスタが1つの状態(例えばゼロ制御電圧の状態)において電流を遮断し、および、第2の状態(例えば非ゼロの制御電圧の状態)において低いオン抵抗および低電力損失を伴って電流を提供するとき、電力トランジスタはスイッチとして動作し得る。
【0013】
更に、本出願の文脈では、カスコードは、2つのトランジスタ(例えば電界効果トランジスタおよび/またはバイポーラ接合トランジスタ)から構築され得る。カスコードが増幅器として動作するように構成されているとき、それはカスコード増幅器と呼ばれ得る。更に、カスコードがスイッチとして動作するように構成されているとき、それは、カスコードスイッチとも呼ばれ得る。カスコードはトランジスタタイプに基づいて更に分類され得、例えば、窒化ガリウムデプレッション型トランジスタを含むカスコードは、GaNカスコード、GaNカスコードスイッチ、および/または、GaNカスコード増幅器と呼ばれ得る。代替的に、および追加的に、カスコードをカスコード構成、カスコードデバイス、および/またはカスコード回路と呼ぶ場合もある。更に、動作中、カスコードは利得(例えば電圧利得)を提供し得、および、カスコードの利得がカスコード利得、カスコード回路利得、カスコードデバイス利得などと呼ばれる場合がある。
【0014】
現代の高電力コンバーターおよび電力コンバーターは、窒化ガリウム(GaN)カスコードデバイス(例えばGaNカスコードスイッチ)を含むカスコードデバイスを使用し得る。カスコードデバイス(例えばカスコードスイッチ)を異常および大電流にさらし得る現代の高電力コンバーターおよび/または現代の電力コンバーターの例は、力率補正(PFC:power factor correction)コンバーター、フライバックコンバーター、バック型コンバーター、および/またはブースト型コンバーターを包含し得るがこれらに限定されない。例えば、PFCコンバーターにおいて使用される場合、PFCインダクタが短絡したとき、カスコードスイッチ(例えばGaNカスコードスイッチ)は、短期間(例えば100ナノ秒)に非常に大きい電流(例えば50アンペア)にさらされ得る。代替的に、および追加的に、ブースト型コンバーターにおいて使用される場合、ブーストダイオードが短絡したとき、カスコードスイッチ(例えばGaNカスコードスイッチ)は非常に大きい電流にさらされ得る。
【0015】
多くの場合、電力コンバーター、高電力コンバーター、およびそれらのスイッチ(例えばカスコードスイッチ)は、異常および/または過電流状態が発生した場合に保護を必要とする。従来、過電流(すなわち過電流状態)は、保護回路を使用して、および/または検出電界効果トランジスタ(FET)を使用して検出され得る。典型的には、前エッジブランキングアプローチが、初期過渡中における検出FETからの検出情報(例えば電流情報)を避けるために採用され得る。初期過渡中に検出情報信号は、検出情報信号に対して感知できる振幅をもつノイズを含み得、および、更なるフィルタリングが、検出情報信号を抽出するために必要とされ得る。前エッジブランキングを使用した電力コンバーターは、保護回路および/または検出FETが安定した動作状態に到達することを待ち得、これは、過電流動作状態を検出するためにより長い期間を必要とし得る。
【0016】
残念ながら、現代の電力コンバーターでは、オン切り替え後に過電流状態(すなわち過電流イベント)が急速に発生し得る。例えば、過電流は、低オン抵抗(すなわち低RDS)デバイス(例えば低RDSスイッチ)において前エッジブランキング期間未満の時間スケールで急速に発生し得る。したがって、低オン抵抗カスコードスイッチ(例えばGaNカスコードスイッチおよび/または炭化ケイ素(SiC)カスコードスイッチ)を使用した現代の電力コンバーターにおける過電流は、非常に急速に発生し得るので、前エッジブランキングを使用した従来の保護回路により検出されることができない。
【0017】
したがって、オン切り替え後に過電流状態を急速に検出し得る保護回路が必要とされる。
【0018】
カスコードスイッチの高速オン切り替え保護の装置および方法が本明細書において提示される。カスコード回路は、電気的にカスコード結合されたデプレッション型電界効果トランジスタとエンハンスメント型電界効果トランジスタとを含む。オン切り替え中、保護回路は、カスコードノード電圧のプラトーを観察することにより過電流異常を検出する。過電流異常は、閾持続期間より長くプラトーが存在することに応答して検出され得る。
【0019】
図1Aは実施形態によるカスコードスイッチ101と保護回路104とドライバ110とを含む回路100を示す。保護回路104は比較器105と論理ANDゲート106と制御装置108とを含む。カスコードスイッチ101は、デプレッション型電界効果トランジスタ102とエンハンスメント型電界効果トランジスタ103とを含み得る。デプレッション型電界効果トランジスタ102は、窒化ガリウム(GaN)デプレッション型電界効果トランジスタ(FET)102または炭化ケイ素(SiC)デプレッション型電界効果トランジスタ102であり得る。エンハンスメント型電界効果トランジスタ103は、低電圧電界効果トランジスタ(FET)103であり得る。
【0020】
GaNデプレッション型FET102は、GaNソースSHとGaNゲートGHとGaNドレインDHとを含み、低電圧FET103は、FETソースSとFETゲートGとFETドレインDとFETボディBとを含む。図示されているように、GaNデプレッション型FET102は低電圧FET103と電気的にカスコード結合されており、この場合において、GaNソースSHがFETドレインDに電気的に結合される。更に、FETボディBがFETソースSに電気的に結合され、GaNゲートGHとFETソースSとがグランドGNDに電気的に結合される。
【0021】
この構成(すなわちカスコード構成)をもつことにより、カスコードスイッチ101は、FETゲートGに印加されたゲート電圧VGSに応答してエンハンスメント型として有益に動作し得る(すなわちノーマリーオフデバイスとして動作する)。例えば、ゲート電圧VGSが低電圧FET103の閾値電圧(例えば2ボルト)未満であるとき、カスコードスイッチ101はカスコードスイッチ電流IDを遮断し得、ゲート電圧VGSが低電圧FET103の閾値電圧より高いとき、カスコードスイッチ101はGaNドレインDHとFETソースSとの間にカスコードスイッチ電流IDを伝導し得る。したがって、ゲート電圧VGSがカスコードスイッチ101をそのオフ状態からそのオン状態に遷移させる(すなわちスイッチングする)とき、カスコードスイッチ101は「オンに切り替わり」得る。
【0022】
図示されているように、カスコードスイッチ101は、GaNドレインDHとFETソースSとの間のドレイン電圧VDSをサポートし得る。FETソースSがグランドに電気的に結合されているので、ドレイン電圧VDSは、カスコードスイッチ101のドレイン対ソース電圧VDSとも呼ばれ得る。
【0023】
上述のように、保護回路104は、比較器105と論理ANDゲート106と制御装置108とを含む。比較器105の非反転入力は、カスコード(例えばカスコード回路)ノード電圧VDLを、比較器105の反転入力における閾値電圧HS_TH(例えば5ボルト)と比較するために、FETドレインDに電気的に結合され得る。カスコードノード電圧VDLが閾値電圧HS_THより高いとき、比較器出力電圧VCMPがハイ(すなわち論理状態ハイ)にアサートされ得る。
【0024】
更に示されるように、論理ANDゲート106の第1の入力は、比較器出力電圧VCMPを受信するために比較器105の出力に電気的に結合され得る。論理ANDゲート106の第2の入力は、制御装置108の出力に電気的に結合され得、論理ANDゲート106の出力は、制御装置108の入力に電気的に結合され得る。示されているように、論理ANDゲート106は、比較器出力電圧VCMPと有効化信号ENHSとの論理AND関数として信号HSOUTを提供する。
【0025】
本明細書における教示によると、オン切り替え中(すなわちゲート電圧VGSの印加後)、カスコードノード電圧VDLはプラトーを示し得、保護回路104は、プラトーの持続期間を監視することにより、過電流状態が存在するか否かを判定し得る。例えば、図2の波形に関連して以下で説明されるように、制御装置108は、ゲート電圧VGSの印加後、校正された、および/または指定された期間(例えば300ナノ秒)後、有効化信号ENHSをハイにアサートし得る。
【0026】
したがって、信号HSOUTは、比較器出力電圧VCMPがハイに留まっている間の持続期間(すなわちカスコードノード電圧VDLにおけるプラトーの持続期間)を示し得る。続いて、制御装置108は、信号HSOUTに応答して、カスコードスイッチ電流IDが過大であることを特定し得、および、修正アクションを実施し(例えばカスコードスイッチをオフに切り替え)得る。1つの実施形態において、修正アクション(例えばカスコードスイッチ101をオフに切り替えること)は、スイッチングサイクル中における各オン切り替えイベント後に実施され得る。代替的に、および追加的に、修正アクションは、制御装置108がリサイクル(recycle)されるまでカスコードスイッチ101をオフに留まらせ得る。
【0027】
更に、ドライバ110は、ゲートドライバとして機能するように制御装置108とカスコードスイッチ101との間に電気的に結合され得る。図示されているように、制御装置108がドライバ110の入力(I)にドライバ入力電圧VDRを提供し、続いて、ドライバ110が出力(O)にゲート電圧VGSを提供する。例えば、ゲート電圧VGSがFETゲートGを駆動するために高められた十分な電力をもって送達されるように、ドライバ110は制御装置108からのドライバ入力電圧VDRをバッファし(例えば増幅し)得る。
【0028】
ドライバ110は制御装置108の外部にあるものとして示されるが、他の実施形態では、ドライバ110は制御装置108の内部にあってもよい。例えば、制御装置108は、ゲート電圧VGSを使用してFETゲートGを直接駆動するための低インピーダンスドライバ出力ポートを実現し得る。
【0029】
同様に、当業者が理解し得るように、保護回路104は、より多くの、またはより少ない回路要素を使用して実現されてもよい。代替的に、比較器105および/または論理ANDゲート106を使用する代わりに、カスコードノード電圧VDLが制御装置108に直接提供されてもよい。制御装置108は続いて、プラトーの持続期間を特定するためにアナログおよび/またはデジタル処理を使用し得る。
【0030】
制御装置108は保護回路104に関する文脈において上記のように説明されているが、制御装置108は、更なるシステム変数に基づいてドライバ入力電圧VDRを更に提供し得る。例えば、図1Bに示されているように、制御装置108は、出力電圧VOUTを更に受信し、および、出力電圧VOUTを調節するためにドライバ入力電圧VDRを提供し得る。
【0031】
図1Bは、実施形態によるカスコードスイッチ101と保護回路104とドライバ110とを含む電力コンバーター150を示す。電力コンバーター150は、図1Aの回路100、ブリッジ整流器95、インダクタL1、ダイオードDB、出力コンデンサCB、および、負荷RLを含む。AC電圧VACを伴う交流電流(AC)入力電力が、入力端子91と93との間においてブリッジ整流器95に伝送され得る。ブリッジ整流器95は続いて、グランドGNDに対する整流された入力電力(すなわち、インダクタ電流ILと入力電圧VINとを含む入力電源信号)を提供するために、AC入力電力を整流し得る。
【0032】
図示されているように、ゲート電圧VGSがスイッチングサイクルに従ってカスコードスイッチ101をオンおよびオフにスイッチングするように、制御装置108がドライバ入力電圧VDRを提供し得る。スイッチング電源の理論によると、制御装置108は、出力電圧VOUTをサンプリングするように、および調節するように構成された制御ループの一部であり得る。制御装置108が定常状態スイッチング周波数に従ってカスコードスイッチ101をオンおよびオフにスイッチングさせるとき、出力電圧VOUTが調節され得る。例えば、電力コンバーター150は、ブースト型コンバーターとして、および/または、力率補正(PFC)付きブースト型コンバーターとして構成され得る。
【0033】
本明細書における教示によると、保護回路104は、カスコードスイッチ101がオンにスイッチングされる(すなわちゲート電圧VGSによりオンに切り替えられる)度にカスコードスイッチ101を保護し得る。例えば、インダクタL1が短絡した場合、これは、カスコードスイッチ101における過剰な過電流状態を生み出し得る。本明細書において説明されているように、保護回路104は、カスコードノード電圧VDLにおけるプラトーの持続期間を観察することにより迅速に(すなわち約100ナノ秒以下で)過電流を検出し得る。
【0034】
代替的に、および追加的に、保護回路104は、スイッチングサイクル(例えば10マイクロ秒)より長い期間(例えば1ミリ秒)にわたってカスコードスイッチ101をオフに切り替えることによりカスコードスイッチ101を保護し得る。例えば、過電流状態(例えば短絡)の存在を特定したことに応答して、保護回路104は、カスコードスイッチ101をオフに切り替え、制御装置108がリフレッシュされるまでそれをオフに維持し得る。更に、保護回路104は、幾つかの連続したサイクル(例えば5つの連続したスイッチングサイクル)にわたって異常を測定した後、異常(例えば短絡)を特定し得る。
【0035】
本明細書における教示によると、閾値電圧HS_THおよび閾持続期間THSは、保護回路が異常モード(すなわち、過電流および/または短絡状態)に対して通常動作モードを区別することを確実なものとするために、経験的に決定され、および/または校正され得る。
【0036】
カスコードスイッチのオン切り替え過渡挙動
【0037】
例えば、図2は、本明細書における教示による異なる動作モードに対するオン切り替え波形201、202a~c、203a~c、204a~c、205a~c、206a~c、207、208cを比較する。異なる動作モードは、不連続状態モード(DCM:discontinuous condition mode)、連続伝導モード(CCM:continuous conduction mode)、および異常モード(例えば短絡または過電流状態)を含む。図示されているように、波形201、202a~c、203a~c、204a~c、205a~c、206a~c、207、208cは、時点t0において発生するオン切り替えイベントに対する時間の関数としてプロットされる。したがって、時点t1~t7は、カスコードスイッチ101のオン切り替え過渡中における時間的イベントを表し得る。
【0038】
図2に示されているように、波形201はドライバ入力電圧VDRを示す。波形202a~cはそれぞれ、DCM、CCM、および異常モード中における低電圧FET103のゲート電圧VGS(すなわちゲート対ソース電圧)を示す。波形203a~cはそれぞれ、DCM、CCM、および異常モード中におけるカスコードノード電圧VDLを示す。波形204a~cはそれぞれ、DCM、CCM、および異常モード中におけるカスコードスイッチ電流IDを示す。波形205a~cはそれぞれ、DCM、CCM、および異常モード中におけるドレイン対ソース電圧VDSを示す。波形206a~cはそれぞれ、DCM、CCM、および異常モード中における比較器出力電圧VCMPを示す。波形207は、制御装置108からの有効化信号ENHSを示し、波形208a~cは、異常モード中における信号HSOUTを示す。
【0039】
時点t0におけるオン切り替え前の挙動
【0040】
波形201により示されるように、時点t0より前に、ドライバ入力電圧VDRはローに振られ(例えば0ボルトまで振られ)得る。同時に、カスコードスイッチ101がそのオフ状態において電流を遮断するように、ドライバ110はFETゲートGをローにさせる。したがって、波形202a~cにより示されるように、時点t0より前の期間にわたって、ドライバ110は、ゲート電圧VGSを実質的にゼロに等しくなるように保持し得る。
【0041】
更に、カスコードノード電圧VDLは、GaNデプレッション型FET102の閾値電圧の大きさGaN_VTH(例えば10ボルト)に少なくとも部分的に依存した定常値をもち得る。したがって、時点t0より前の期間にわたって、カスコードノード電圧VDLは、波形203a~cにより示されるように最大ノード電圧VDL_MX(例えば15ボルト)を維持し得る。更に、本明細書における教示によると、閾値電圧HS_THは、過電流状態を示すように選択され(例えば校正され)得、したがって、閾値電圧HS_THは、閾値電圧の大きさGaN_VTH未満の値(例えば5ボルト)をもち得る。
【0042】
時点t0より前においてカスコードスイッチ101がオフ状態において動作している間、カスコードスイッチ電流IDは、その遮断状態(例えば漏れ)電流と実質的に等しい値であり得る。したがって、t0より前の期間にわたって、カスコードスイッチ電流IDは、波形204a~cに示されるように、ゼロと実質的に等しい値(例えば100マイクロアンペア未満)であり得る。
【0043】
同時に、時点t0より前に、カスコードスイッチ101は、GaNデプレッション型FET102の絶縁破壊電圧(例えば800ボルト)に基づいて少なくとも部分的に特定されたドレイン電圧VDSに耐え得る。したがって、時点t0より前に、ドレイン電圧VDSは、波形205a~cに示されるようにその最大ドレイン電圧VDS_MX(例えば600ボルト)であり得る。
【0044】
更に、時点t0より前に、カスコードスイッチ101がオフである間、保護回路104は、有効化信号ENHSのおかげでスタンバイ状態であり、および/または無効化され得る。例えば、波形203a~cを参照すると、カスコードノード電圧VDLは、閾値電圧HS_THより高いものであり得る。したがって、比較器出力電圧VCMPは、カスコードノード電圧VDLが閾値電圧HS_THより高いことを示し得る。したがって、波形206a~cに示されるように、時点t0より前に、比較器出力電圧VCMPは論理ハイ(例えば5ボルト)である。
【0045】
しかし、時点t0より前に、論理ANDゲート106の出力がローに留まるように、制御装置108は有効化信号ENHSをローに振り得る。したがって、波形207および波形208cに示されるように、有効化信号ENHSはロー(例えば0ボルト)に振られ得、したがって、信号HSOUTがロー(例えば0ボルト)に留まる。
【0046】
時点t0における挙動
【0047】
時点t0(例えばゼロナノ秒)において、制御装置108は、オン切り替えを開始するために(例えばカスコードスイッチ101をオンに切り替える工程を始めるために)ドライバ入力電圧VDRを振り得る。例えば、波形201に示されるように、ドライバ入力電圧VDRは、時点t0においてハイ(例えば5ボルト)に振られ得る。
【0048】
本明細書における教示によると、閾持続期間THSは、時点t0における開始オン切り替えイベントと同時に、および/または実質的に同時に始まる持続期間であり得る。例えば、アナログおよび/またはデジタルタイマーは、時点t0において始まる閾持続期間THSを計時し始め得、閾持続期間THSは、経験的データおよび/または校正に基づいて事前に選択された値(例えば250ナノ秒)をとり得る。
【0049】
時点t0におけるドライバ入力電圧VDRの遷移に応答して、ドライバ110はFETゲートGを駆動し始め得る。例えば、波形202a~cに示されるように、ゲート電圧VGSは傾斜し(すなわち電圧を上昇させ)始め得る。
【0050】
更に、時点t0において、低電圧FET103は、瞬間的にそのオフ状態に留まり得る。したがって、時点t0において、カスコードスイッチ101はオフであり得る。例えば、波形203a~cに示されるように、カスコードノード電圧VDLは、その最大ノード電圧VDL_MXに留まる。波形204a~cに示されるように、ドレイン電流IDは、その遮断状態(例えば漏れ)電流と実質的に等しい値であり得、波形205a~cによると、ドレイン電圧VDSは最大ドレイン電圧VDS_MXに留まる。
【0051】
更に、波形203a~cに示されるように時点t0において、カスコードノード電圧VDLは、閾値電圧HS_THより高く留まり得る。したがって、波形206a~cに示されるように時点t0において、比較器出力電圧VCMPは論理ハイ(例えば5ボルト)に留まる。
【0052】
本明細書における教示によると、持続期間閾値は時点t0から始まり得る。したがって、波形207および波形208cに示されるように、時点t0において信号HSOUTがロー(例えば0ボルト)に留まるように、有効化信号ENHSはロー(例えば0ボルト)に振られ続け得る。
【0053】
時点t0から時点t1までの挙動
【0054】
波形201により示されるように、時点t0から時点t1まで、制御装置108は、ドライバ入力電圧VDRをハイに振り続け得る。続いて、ドライバ110はFETゲートGを駆動し続ける。したがって、ゲート電圧VGSは上昇し(すなわち傾斜し)続け得、増加率(すなわちゲート電圧VGSの時間微分)は、低電圧FET103の静電容量(例えばゲート静電容量)に少なくとも部分的に依存し得る。したがって、波形202a~cに示されるように、ゲート電圧VGSは、時点t0(例えばゼロナノ秒)におけるそのロー値(例えば0ボルト)から時点t1(例えば10ナノ秒)における値VG1(例えば2ボルト)に向かって上昇する。
【0055】
時点t0から時点t1までの期間中、GaNデプレッション型FET102はまだオンに切り替えられておらず、低電圧FET103は、GaNソースSHをプルダウンするような十分な強さを伴ってオンに切り替えられてはいない。したがって、時点t0から時点t1まで、カスコードスイッチ101はオフに留まり得る。例えば、波形203a~cに示されるように、カスコードノード電圧VDLはその最大ノード電圧VDL_MXに留まる。波形204a~cに示されるように、ドレイン電流IDは、その遮断状態(例えば漏れ)電流に実質的に等しいまま続き得、波形205a~cによると、ドレイン電圧VDSは最大ドレイン電圧VDS_MXに留まる。
【0056】
更に、波形203a~cに示されるように時点t0から時点t1まで、カスコードノード電圧VDLは閾値電圧HS_THより高く留まり得る。したがって、波形206a~cに示されるように時点t0から時点t1まで、比較器出力電圧VCMPは論理ハイ(例えば5ボルト)に留まる。更に、波形207および波形208cに示されるように時点t0から時点t1まで、有効化信号ENHSはロー(例えば0ボルト)に振られ続け得、したがって、信号HSOUTがロー(例えば0ボルト)に留まる。
【0057】
時点t1における挙動
【0058】
時点t1(例えば10ナノ秒)において、制御装置108は波形201により示されるようにドライバ入力電圧VDRをハイに振り続け得、ひいてはドライバ110はFETゲートGを駆動し続ける。ゲート電圧VGSは値VG1(例えば2ボルト)に達し得、これにより、低電圧FET103は、GaNソースSHをプルダウンし始めるために十分な駆動をする。例えば、値VG1は、低電圧FET103の閾値電圧と実質的に等しい値であり得る。更に、低電圧FET103は、有効ゲート静電容量(例えばミラー静電容量)の増加をもたらす、より高利得をもち始め得る。
【0059】
したがって、時点t1において、ゲート電圧VGSの変化レートは、FETゲートGにおける有効ゲート静電容量の増加に部分的に起因して低下し得る。したがって、波形202a~cに示されるように、ゲート電圧VGSの変化レート(すなわち時間微分)は低下する。
【0060】
更に、時点t1において、GaNデプレッション型FET102はまだオンに切り替えられていないが、低電圧FET103はGaNソースSHをプルダウンするための十分な強さをもち得る。したがって、波形203a~cに示されるように、カスコードノード電圧VDLは、その最大ノード電圧VDL_MXから低下し始め得る。波形204a~cに示されるように、ドレイン電流IDは、その遮断状態(例えば漏れ)電流に実質的に等しいまま続き得、波形205a~cによると、ドレイン電圧VDSは最大ドレイン電圧VDS_MXに留まる。
【0061】
更に、波形203a~cに示されるように、カスコードノード電圧VDLは閾値電圧HS_THより高いまま留まる。したがって、波形206a~cに示されるように時点t1において、比較器出力電圧VCMPは論理ハイ(例えば5ボルト)に留まる。更に、波形207および波形208cに示されるように、信号HSOUTがロー(例えば0ボルト)に留まるように、有効化信号ENHSはロー(例えば0ボルト)に振られ続け得る。
【0062】
時点t1から時点t2までの挙動
【0063】
波形201により示されるように時点t1から時点t2まで、制御装置108はドライバ入力電圧VDRをハイに振り続け得、ひいてはドライバ110はFETゲートGを駆動し続ける。時点t1から時点t2までの期間中、GaNデプレッション型FET102はオフであり続け得、低電圧FET103は、GaNソースSHをプルダウンし始めるために十分な駆動をし続け得る。したがって、ゲート電圧VGSの変化レート(すなわち時間微分)は続けて、より高利得に起因して下げられ得る。
【0064】
したがって、波形202a~cに示されるように、時点t2におけるゲート電圧VGSが、時点t1におけるゲート電圧VGS(すなわち時点t1における値VG1)と実質的に等しい値であり得るように、ゲート電圧VGSの変化レート(すなわち時間微分)は下げられている。
【0065】
更に、時点t1から時点t2まで、GaNデプレッション型FET102がオフであり得るとともに、低電圧FET103はGaNソースSHをプルダウンし続け得る。したがって、波形203a~cに示されるように、カスコードノード電圧VDLは、閾値電圧の大きさGaN_VTHに向かって時点t1におけるその最大ノード電圧VDL_MXから単調減少し得る。波形204a~cに示されるように、ドレイン電流IDは、その遮断状態(例えば漏れ)電流に実質的に等しいまま続き得、波形205a~cによると、ドレイン電圧VDSは最大ドレイン電圧VDS_MXに留まり得る。
【0066】
波形203a~cに示されるように、カスコードノード電圧VDLは閾値電圧HS_THより高いまま留まる。したがって、波形206a~cに示されるように時点t1から時点t2まで、比較器出力電圧VCMPは論理ハイ(例えば5ボルト)に留まる。更に、波形207および波形208cに示されるように、信号HSOUTがロー(例えば0ボルト)に留まるように、有効化信号ENHSはロー(例えば0ボルト)に振られ続け得る。
【0067】
時点t2における挙動
【0068】
波形201により示されるように時点t2(例えば20ナノ秒)において、制御装置108はドライバ入力電圧VDRをハイに振り続け得る。続いて、GaNデプレッション型FET102がオンに切り替わり始めるように、ドライバ110がFETゲートGを駆動し続ける。波形202a~cに示されるように、ゲート電圧VGSの変化レートは低く留まる。
【0069】
GaNデプレッション型FET102がオンに切り替わるとき、カスコードスイッチ101がオンに切り替わる。したがって、波形203a~cにより示されるように、カスコードノード電圧VDLの変化レートは変化し得る。
【0070】
波形203a~cに示されるように、カスコードノード電圧VDLは、依然として閾値電圧HS_THより高いものであり得る。したがって、波形206a~cに示されるように、比較器出力電圧VCMPは論理ハイ(例えば5ボルト)に留まる。更に、波形207および波形208cに示されるように、信号HSOUTがロー(例えば0ボルト)に留まるように、有効化信号ENHSはロー(例えば0ボルト)に振られ続け得る。
【0071】
本明細書における教示によると、カスコードスイッチ101がオンに切り替わったとき、カスコードスイッチ101の過渡挙動は時点t2において更にモード依存になり得る。
【0072】
時点t2後のDCM挙動
【0073】
時点t2後のDCM中、カスコードノード電圧VDLは、閾持続期間THS(例えば250ナノ秒)内に時点t3(例えば100ナノ秒)において閾値電圧HS_TH未満に低下する。
【0074】
DCMではカスコードスイッチ101は迅速にオンに切り替わり得、および、ゼロ電流スイッチング(ZCS:zero current switching)で動作するように構成される。
【0075】
波形201により示されるように時点t2後、制御装置108はドライバ入力電圧VDRをハイに振り続ける。
【0076】
波形202aに示されるように、ゲート電圧VGSの変化レートは低く留まり、ゲート電圧VGSは時点t4(例えば150ナノ秒)まで値VG1よりわずかに高い。時点t4においてゲート電圧VGSは、カスコードスイッチの利得の低下に少なくとも部分的に起因して上昇し得る。利得の低下には、FETゲートGにおける静電容量(例えばミラー静電容量)の減少が付随し得る。したがって、ゲート電圧VGSが最大限界値VG2(例えば20ボルト)に到達するまで、ゲート電圧VGSが上昇する。
【0077】
波形203aに示されるように、カスコードノード電圧VDLは、時点t3(例えば100ナノ秒)までに閾値電圧HS_THまで低下する。後述のように、および半導体デバイス物理学によると、カスコードノード電圧VDLは、低電圧FET103が飽和状態を抜けたことに少なくとも部分的に起因して、時点t3までに閾値電圧HS_THに達し得る。
【0078】
波形204aに示されるように、カスコードスイッチ電流IDは、DCM構成およびDCM動作状態に従って増加し、および減少する。波形204b(CCM)および波形204c(異常モード)に比べて、波形204aは時間の関数として最小カスコードスイッチ電流IDを示す。
【0079】
例えば、DCM動作状態のもとで、カスコードスイッチ電流IDは時点t3より前に限界値に到達し、時点t4における最小値(例えば約ゼロアンペア)に向かって減少する。同時に、低電圧FET103は、低電圧FET103の相互コンダクタンスGM_LVFETおよび閾値電圧VTHの関数としてのカスコードスイッチ電流IDに対する下記の関連性(式1)に従って、飽和状態の外部で動作し始め得る。
ID<(VGS-VTH)×GM_LVFET 式1
続いて、低電圧FET103は、相互コンダクタンスGM_LVFETに対するカスコードスイッチ電流IDの比(すなわち比、ID/GM_LVFET)により少なくとも部分的に決定された、より高いレートでカスコードノード電圧VDLをプルし得る。例えば、波形203aにより示されるように、カスコードノード電圧VDLは時点t2後により速いレートで低下する。
【0080】
波形205aに示されるように時点t3から時点t4の間に、ドレイン電圧VDSは、そのロー値(例えば1ボルト未満の電圧)まで低下し、および到達する。
【0081】
波形206aに示されるように比較器出力電圧VCMPは、カスコードノード電圧VDLが閾値電圧HS_TH未満に到達し、および/または低下したことに応答して、時点t3においてハイ(例えば5ボルト)からロー(例えば0ボルト)に遷移する。
【0082】
波形207に示されるように、閾持続期間THSは時点t0から時点t6(例えば250ナノ秒)まで続き、時点t6において、制御装置108は、有効化信号ENHSをハイ(例えば5ボルト)に遷移させ(すなわち振り)得る。
【0083】
比較器出力電圧VCMPは、時点t6より前であって閾持続期間THS内の時点t3においてローに振られるので、論理ANDゲート106は、全ての期間(例えば時点t0~t7を含む全ての期間)にわたって信号HSOUTをロー(例えば0ボルト)に維持する。この手法により、保護回路104は異常の存在しない(例えば短絡回路および/または過電流状態の存在しない)通常モードとしてDCMを認識する。
【0084】
時点t2後のCCM挙動
【0085】
時点t2後のCCM中に、カスコードノード電圧VDLは閾持続期間THS(例えば250ナノ秒)内の時点t5(例えば200ナノ秒)において閾値電圧HS_TH未満に低下する。
【0086】
波形201により示されるように時点t2後、制御装置108はドライバ入力電圧VDRをハイに振り続ける。
【0087】
波形202bに示されるように、ゲート電圧VGSの変化レートは低く留まり、ゲート電圧VGSは時点t6(例えば250ナノ秒)まで値VG1よりわずかに高い。時点t6において、ゲート電圧VGSがカスコードスイッチの利得の低下に少なくとも部分的に起因して上昇し得る。利得の低下には、FETゲートGにおける静電容量(例えばミラー静電容量)の減少が付随し得る。したがって、ゲート電圧VGSが最大限界値VG2(例えば20ボルト)に到達するまで、ゲート電圧VGSが上昇する。
【0088】
波形203bに示されるように、カスコードノード電圧VDLは時点t5(例えば200ナノ秒)までに閾値電圧HS_THに低下する。本明細書において説明されているように、および半導体デバイス物理学によると、カスコードノード電圧VDLは、低電圧FET103が飽和状態を抜けたことに少なくとも部分的に起因して時点t5までに閾値電圧HS_THに達し得る。
【0089】
波形204bに示されるように、CCM構成に従ってカスコードスイッチ電流IDは増加する、および減少する。カスコードスイッチ電流IDは、時点t4まで上昇し(すなわち増加し)得る。1つの実施形態において、時点t4において、カスコードスイッチ電流IDが減少するように、例えばブーストダイオード(例えばダイオードDB)といった外部コンポーネントが、リカバーし初め得る。波形204a(DCM)および波形204c(異常モード)に比べて、波形204bは波形204aより大きいスイッチ電流IDを示すが、波形204bは、時点t4より後の期間にわたって波形204c(異常モード)より小さいスイッチ電流IDを示す。
【0090】
例えば、CCM動作状態のもとで、カスコードスイッチ電流IDは時点t4において制限値に到達し、負荷状態に応じて変わり得る。同時に、低電圧FET103は、カスコードスイッチ電流IDに対する上記の関連性(式1)に従って飽和状態の外部で動作し始め得る。続いて、低電圧FET103は、相互コンダクタンスGM_LVFETに対するカスコードスイッチ電流IDの比(すなわち比、ID/GM_LVFET)により少なくとも部分的に決定された、より高いレートでカスコードノード電圧VDLをプルし得る。例えば、波形203bにより示されるように時点t4後に、カスコードノード電圧VDLは、より速いレートで低下する。
【0091】
波形205bに示されるように時点t5から時点t6の間に、ドレイン電圧VDSがそのロー値(例えば1ボルト未満の電圧)まで低下し、および到達する。
【0092】
波形206bに示されるように、カスコードノード電圧VDLが閾値電圧HS_TH未満に到達し、および/または低下したことに応答して、時点t5において比較器出力電圧VCMPがハイ(例えば5ボルト)からロー(例えば0ボルト)に遷移する。
【0093】
波形207に示されるように、閾持続期間THSは時点t0から時点t6(例えば250ナノ秒)まで続き、時点t6において、制御装置108は、有効化信号ENHSをハイ(例えば5ボルト)に遷移させ(すなわち振り)得る。
【0094】
比較器出力電圧VCMPが時点t6より前であって閾持続期間THS内の時点t5においてローに振られるので、論理ANDゲート106は、全ての期間(例えば時点t0~t7を含む全ての期間)にわたって信号HSOUTをロー(例えば0ボルト)に維持する。この手法により、保護回路104は、異常の存在しない(例えば短絡回路および/または過電流状態の存在しない)通常モードとしてCCMを認識する。
【0095】
時点t2後の異常モード挙動
【0096】
時点t2後の異常モード(例えば短絡回路および/または過電流状態)中、カスコードノード電圧VDLは時点t7(例えば300ナノ秒)において閾値電圧HS_TH未満に低下する。図示されているように、時点t7は閾持続期間THS(例えば250ナノ秒)後に発生する。
【0097】
波形201により示されるように時点t2後、制御装置108はドライバ入力電圧VDRをハイに振り続ける。
【0098】
波形202cに示されるように、ゲート電圧VGSの変化レートは低く留まり、ゲート電圧VGSは値VG1よりわずかに高い。例えば、低電圧FET103は飽和状態において動作し続け得る。したがって、時点t2より後の全ての示される期間にわたって、ゲート電圧VGSは最大限界値VG2(例えば20ボルト)に到達しない。
【0099】
波形203cに示されるように、カスコードノード電圧VDLは徐々に低下し(すなわちプラトーを示し)、時点t7(例えば300ナノ秒)までに閾値電圧HS_THに達する。DCMおよびCCM中の動作とは対照的に、異常中の動作は、低電圧FET103が飽和状態に留まることに少なくとも部分的に起因して徐々に低下し得る。カスコードノード電圧VDLの漸進的な低下(すなわちプラトー)は、更に利得に少なくとも部分的に起因し得る。波形202cに関連してここまでに説明されているように、低電圧FET103は、高利得を伴ってその飽和領域において動作中であり得る。したがって、プラトーは利得および/または高利得を示し得、利得はカスコード回路利得と呼ばれ得る。
【0100】
波形204cに示されるように、カスコードスイッチ電流IDは異常状態(例えば短絡回路)に従って傾斜する(すなわち増加する)。波形204a(DCM)および波形204b(CCM)と比べると、波形204cはより大きいスイッチ電流IDを示す。例えば、波形204cに示されるように時点t7において、カスコードスイッチ電流IDは、異常状態に少なくとも部分的に起因して、20アンペアまで傾斜し、および/または20アンペアより大きくなり得る。
【0101】
CCMおよびDCMとは対照的に、異常状態中、低電圧FET103が飽和状態において動作し続けるようにカスコードスイッチ電流IDが増加する。したがって、カスコードスイッチ電流IDは、下記の関連性(式2)に従って変化し続け得る。
ID=(VGS-VTH)×GM_LVFET 式2
続いて、カスコードノード電圧VDLは、デプレッション型FET102の相互コンダクタンスGM_GaNの関数としてのカスコードスイッチ電流IDに対する下記の関連性(式3)に従って徐々に低下し得る。
VDL=GaN_VTH-ID/GM_GaN 式3
【0102】
したがって、相互コンダクタンスGM_GaNが大きいとき、カスコードノード電圧VDLは徐々に低下し得る(すなわち小さい傾きをもつ)。更に、異常状態中、GaNデプレッション型FET102は高電圧にさらされ得る。
【0103】
例えば、波形205cに示されるように、ドレイン電圧VDSは時点t2より後の示される期間にわたってその最大ドレイン電圧VDS_MXに実質的に等しいまま留まる。
【0104】
波形206cに示されるように、カスコードノード電圧VDLが閾値電圧HS_TH未満に到達し、および/または低下したことに応答して、比較器出力電圧VCMPは、時点t7においてハイ(例えば5ボルト)からロー(例えば0ボルト)に遷移する。
【0105】
波形207に示されるように、閾持続期間THSは時点t0から時点t6(例えば250ナノ秒)まで続き、時点t6において、制御装置108は、有効化信号ENHSをハイ(例えば5ボルト)に遷移させ(すなわち振り)得る。
【0106】
比較器出力電圧VCMPは時点t6後、および閾持続期間THS後にハイに留まるので、論理ANDゲート106は時点t6において信号HSOUTをハイ(例えば5ボルト)に遷移させる(すなわち振る)。信号HSOUTは時点t7までハイに留まり、時点t7において比較器出力電圧VCMPがローに振られる。
【0107】
この手法により、保護回路104は異常(例えば過電流および/または短絡状態)の存在を認識する。信号HSOUTがハイに振られている間の時点t6から時点t7までの期間中、制御装置108は、修正アクションを実施するためにその情報を使用し得る。例えば、以下で図3に示されているように、制御装置108は、信号HSOUTがローからハイに遷移したことに応答して、カスコードスイッチ101をすぐにオフに切り替え得る。
【0108】
図3は、実施形態による経験的な波形301~302を示す。波形301が時点TAから時点TCまでのカスコードノード電圧VDLを示すのに対し、波形302は時点TAから時点TCまでのカスコードスイッチ電流IDを示す。図2を参照すると、時点TAは時点t0における波形201の遷移に対応し得、時点TBは時点t6に対応し得、時点TCは時点t6後の時点に対応し得る。更に、閾持続期間は時点TAにおいて始まり得、時点TBにおいて終了し得、図2を参照すると、時点TCは時点t6から時点t7までのインターバルにおける任意の時点に対応し得るのに対し、信号HSOUTはハイに振られる。例えば、時点TAはゼロナノ秒(0ns)であり得る。時点TBは250ナノ秒(250ns)であり得、時点TCは255ナノ秒(255ns)であり得る。
【0109】
図1Bを参照すると、過電流状態は少なくとも部分的に短絡回路に起因し得る。例えば、インダクタL1は、実質的にゼロオーム(例えば1ミリオームの短絡)に等しい低インピーダンスにより短絡され得る。閾値電圧HS_THの校正された値は約4ボルト(例えば4.15ボルト)であり得、閾持続期間THSの校正された値は300ナノ秒未満(例えば250ナノ秒)であり得る。
【0110】
更に、波形301~302に示されるように、カスコードノード電圧VDLは、過電流状態(例えばインダクタL1の短絡)中に徐々に低下し(すなわちプラトーを示し)得る。例えば、時点TAにおけるカスコードノード電圧VDLは10ボルトであり得、時点TCにおけるカスコードノード電圧VDLは7ボルトであり得る。したがって、閾持続期間THSの終了後の時点TBにおいて、保護回路104は、カスコードノード電圧VDLが閾値電圧HS_THより高いと判定し得る。
【0111】
続いて、保護回路104は、カスコードスイッチ101を保護するために修正アクションを実施し得る。例えば、駆動信号VDRは、時点TBにおいて制御装置108によりすぐに(例えば1ナノ秒以内に)ローに振られ得る。続いて、カスケードスイッチ電流IDが時点TCにおいて40アンペアに達したとき、ドライバ110はゲート電圧VGSをローに駆動し得る。
【0112】
したがって、本明細書の教示によると、カスコードスイッチ電流IDがその最大定格電流(例えば50アンペアの最大定格電流)を上回る前に、保護回路104は有益に、および急速に(例えば300ナノ秒内に)カスコードスイッチ101をオフに切り替え得る。
【0113】
本明細書における教示によると、保護回路104は、時点t0の直後の全ての期間にわたってカスコードスイッチ101からのカスコードノード電圧VDLを観測し得る。したがって、保護は、迅速に、および前エッジブランキングを伴わずに実現され得る。更に本明細書における教示によると、カスコードノード電圧がプラトーを示し、時間の関数として徐々に低下するとき、異常状態が発生し得る。例えば、時点t2から時点t7まで波形203cが徐々に低下し得、したがって、波形203cは、時点t2から時点t7の間にプラトーを示すものとして特徴付けられ得る。
【0114】
更に、本明細書における教示によると、保護回路104は、時点t0(すなわちオン切り替え時点t0)より後の期間にわたってカスコードノード電圧VDLの下記の関連性(式4)に基づいて過電流状態を検出し得る。
{時間:(t0+THS)≦時間}に対してVDL≧HS_TH 式4
したがって、上記の関連性(式4)によると、カスコードノード電圧VDLが少なくとも閾持続期間THSにわたって閾値電圧HS_THより実質的に大きい、および/または閾値電圧HS_THに等しい場合、過電流状態が存在し得る。
【0115】
1つの実施形態において、および半導体デバイス動作によると、プラトーは利得(例えばカスコードスイッチ利得)の結果であり得る。例えば、時点t2からのプラトー中に、低電圧FET103は、その飽和領域(すなわち、高利得、高相互コンダクタンス領域)において動作中であり得る。
【0116】
更に、保護回路104は、比較器105のおかげで、および閾持続期間THS(すなわち期間THS)のおかげで、カスコードスイッチ101が異常(すなわち過電流)モードにおいて動作していると判定し得る。閾持続期間THS(すなわち期間THS)は例えば制御装置108により決定され得る。更に、比較器105は、カスコードノード電圧VDLを閾値電圧HS_THと比較し得る。期間THSより長い間、比較器105が論理ハイ状態に留まる(例えば、比較器出力電圧VCMPがハイである)場合、制御装置108は有効化信号ENHSを論理ハイに振り得る(例えば時点t6における波形207を参照されたい)。
【0117】
1つの実施形態において、制御装置は、システムパラメータに応答して閾持続期間THSを適応的に調節し得る。例えば、制御装置は、負荷の関数として閾持続期間THSを適応的に調節し得る。
【0118】
一態様において、電力コンバーターはカスコード回路(例えばカスコードスイッチ101)と過電流検出回路(例えば保護回路104)とを備える。カスコード回路は、カスコードノード電圧VDLを提供するための電気的にカスコード結合されたデプレッション型電界効果トランジスタ102とエンハンスメント型電界効果トランジスタ103とを含む。過電流検出回路は、オン切り替え中に過電流異常状態を検出するように構成されている(例えば図2における時点t0~t6にわたって波形207を参照されたい)。過電流状態がカスコードノード電圧VDLのプラトー中に(すなわち波形203cが徐々に低下している間に)発生する。上述のように、プラトーは、カスコードスイッチ101の利得を示し得る。例えば、プラトーは、低電圧FET103が飽和状態において動作することを示し得る。
【0119】
別の態様において、窒化ガリウム(GaN)カスコード回路(例えばカスコードスイッチ101)において過電流を検出する方法は、過渡ステップ(例えば時点t0における波形201)を伴ってGaNカスコード回路をオンに切り替えることと、カスコードノード電圧VDLを受信することと、カスコードノード電圧VDLがプラトー(例えば波形203c)に入ったときを特定することと、過電流異常を示すことと(例えば波形207、208c)を含む。例えば、保護回路104および比較器105は、カスコードノード電圧VDLを基準電圧HS_THと比較することによりカスコードノード電圧VDLがゆっくりと低下していると判定し得る。期間THSより長い間、この状態が存在する場合、過電流状態が存在し得る。したがって、閾持続期間(すなわち期間THS)より長くプラトーが存在することに応答して、過電流異常が示される。
【0120】
保護回路104は、異常がどのように発生するかに対する限定を伴わずに、および、電力コンバーター構成に対する限定を伴わずに、カスコードスイッチ101が異常状態(例えば過剰なスイッチ電流ID)に陥ったときを検出し得る。一構成において、保護回路104は、過電流(すなわちカスコードスイッチ電流IDの過電流)を迅速に検出するために使用され得る。例えば、PFCコンバーターでは、PFCインダクタが短絡した場合、カスコードスイッチ101は短期間(例えば100ナノ秒)に非常に大きい電流(例えば50アンペア)にさらされ得る。代替的に、および追加的に、ブーストダイオードが短絡したとき、ブースト型コンバーターにおける主スイッチとして使用されるカスコードスイッチ101(例えばGaNカスコードスイッチ)は非常に大きい電流にさらされ得る。
【0121】
1つの用途において、制御装置108は、異常状態(すなわち過電流状態)を特定したことに応答して、カスコードスイッチ101をすぐにオフに切り替えることによりカスコードスイッチ101を保護し得る。例えば、信号HSOUTがハイに振られたとき、制御装置108は入力駆動信号VDRをローに振り得る。代替的に、および追加的に、制御装置108は、制御装置108がリサイクルされる後まで、カスコードスイッチ101がオンに切り替わることを防止し得る。更に、制御装置108は、設定された数(例えば5回)より多くのスイッチングサイクルにわたって過電流状態が検出された後、カスコードスイッチ101をオフに切り替えるようにプログラムされ得る。
【0122】
要約で説明される事項を含む本開示の示される例の上述の説明は、網羅的であることを意図したものではなく、開示される形態そのものへの限定であることを意図したものでもない。カスコードスイッチの高速オン切り替え保護の特定の実施形態および例が、本明細書において例示を目的として説明される以下の図を参照しながら説明されているが、本開示のより広い趣旨および範囲から逸脱せずに様々な同等な変更が可能である。実際、具体的で例示的な電圧、電流、周波数、出力範囲値、時間などが説明のために提示されること、および、本明細書の教示に従って他の実施形態および例において他の値が使用されてもよいことが理解される。
【0123】
本発明は請求項において規定されるが、本発明が代替的に以下の例により規定され得ることが理解されなければならない。
【0124】
例1:電力コンバーターは、カスコード回路と過電流検出回路とを備える。カスコード回路は、電気的にカスコード結合されたデプレッション型電界効果トランジスタとエンハンスメント型電界効果トランジスタとを含む。カスコード回路は、カスコードノード電圧を提供するように構成される。過電流検出回路は、オン切り替え中に過電流異常状態を検出するように構成され、過電流異常状態がカスコードノード電圧のプラトー中に発生し、プラトーがカスコード回路利得の増加を示す。
【0125】
例2:過電流検出回路が比較器を備える、例1に記載の電力コンバーター。
【0126】
例3:過電流検出回路がANDゲートを備える、前述の例のうちのいずれか1つに記載の電力コンバーター。
【0127】
例4:過電流検出回路が制御装置を備える、前述の例のうちのいずれか1つに記載の電力コンバーター。
【0128】
例5:デプレッション型電界効果トランジスタが窒化ガリウム(GaN)デプレッション型トランジスタである、前述の例のうちのいずれか1つに記載の電力コンバーター。
【0129】
例6:デプレッション型電界効果トランジスタが炭化ケイ素(SiC)デプレッション型トランジスタである、前述の例のうちのいずれか1つに記載の電力コンバーター。
【0130】
例7:エンハンスメント型電界効果トランジスタが低電圧電界効果トランジスタである、前述の例のうちのいずれか1つに記載の電力コンバーター。
【0131】
例8:窒化ガリウム(GaN)カスコード回路において過電流を検出する方法は、過渡ステップを伴ってGaNカスコード回路をオンに切り替えることと、カスコード回路利得を示すカスコードノード電圧を受信することと、カスコードノード電圧がカスコード回路利得の増加を示すプラトーに入ったときを特定することと、閾持続期間より長くプラトーが存在することに応答して過電流異常を示すこととを含む。
【0132】
例9:GaNカスコード回路をオンに切り替えることが、低電圧電界効果トランジスタにゲート信号を提供することを含む、前述の例のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0133】
例10:カスコード回路利得を示すカスコードノード電圧を受信することが、低電圧電界効果トランジスタのドレイン電圧を受信することを含む、前述の例のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0134】
例11:カスコードノード電圧がカスコード回路利得の増加を示すプラトーに入ったときを特定することが、低電圧電界効果トランジスタのドレイン電圧を閾値電圧と比較することを含む。前述の例のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0135】
例12:閾持続期間より長くプラトーが存在することに応答して過電流異常を示すことが、制御装置を使用して閾持続期間を特定することを含む。前述の例のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0136】
例13:電力コンバーターにおける過電流を迅速に検出する方法は、過渡ステップを伴ってカスコードスイッチをオンに切り替えることと、カスコード回路利得を示すカスコードノード電圧を受信することと、カスコードノード電圧がカスコード回路利得の増加を示すプラトーに入ったときを特定することと、閾持続期間より長くプラトーが存在することに応答して過電流異常を示すこととを含む。
【0137】
例14:カスコードスイッチが、電気的にカスコード結合されたデプレッション型電界効果トランジスタとエンハンスメント型電界効果トランジスタとを備える、前述の例のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0138】
例15:カスコードスイッチをオンに切り替えることが、エンハンスメント型電界効果トランジスタにゲート信号を提供することを含む、前述の例のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0139】
例16:カスコード回路利得を示すカスコードノード電圧を受信することが、エンハンスメント型電界効果トランジスタのドレイン電圧を受信することを含む、前述の例のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0140】
例17:カスコードノード電圧がカスコード回路利得の増加を示すプラトーに入ったときを特定することが、エンハンスメント型電界効果トランジスタを閾値電圧と比較することを含む、前述の例のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0141】
例18:閾値電圧が、1ボルトから10ボルトの間である、前述の例のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0142】
例19:閾持続期間より長くプラトーが存在することに応答して過電流異常を示すことが、制御装置を使用して閾持続期間を特定することを含む、前述の例のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0143】
例20:閾持続期間が100ナノ秒から300ナノ秒の間である、前述の例のうちのいずれか1つに記載の方法。
図1A
図1B
図2
図3
【国際調査報告】