(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】医療用容器、当該医療用容器に関連するデータを追跡するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 40/00 20180101AFI20231228BHJP
A61J 1/14 20230101ALI20231228BHJP
【FI】
G16H40/00
A61J1/14 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537905
(86)(22)【出願日】2022-01-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2022050059
(87)【国際公開番号】W WO2022148741
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セドリック リヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ウーヴラード
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド ライプブラント
【テーマコード(参考)】
4C047
5L099
【Fターム(参考)】
4C047DD26
5L099AA01
(57)【要約】
本開示は、医療用容器に関し、医療用容器(100)は、医療用容器の上および/または中の第1のRFIDタグ(103、104)であって、前記第1のRFIDタグは、第1の周波数帯域で動作可能であり、前記医療用容器の固有の識別子を記憶するように構成される、第1のRFIDタグ(103、104)と、(i)前記医療用容器の上および/または中の第2のRFIDタグ(103、105)であって、前記第2のRFIDタグは、前記第1の周波数帯域よりも低い第2の周波数帯域で動作可能であり、前記医療用容器の前記固有の識別子を記憶するように構成される、第2のRFIDタグ(103、105)、および、(ii)前記医療用容器の上および/または中の光学式マーク(106)であって、前記光学式マークは、前記医療用容器の前記固有の識別子を符号化する、光学式マーク(106)、のうちの少なくとも1つと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用容器の上および/または中の第1のRFIDタグ(103、104)であって、前記第1のRFIDタグは、第1の周波数帯域で動作可能であり、前記医療用容器の固有の識別子を記憶するように構成され、前記固有の識別子は、前記医療用容器を一意に識別する、第1のRFIDタグ(103、104)と、
(i)前記医療用容器の上および/または中の第2のRFIDタグ(103、105)であって、前記第2のRFIDタグは、前記第1の周波数帯域よりも低い第2の周波数帯域で動作可能であり、前記医療用容器の前記固有の識別子を記憶するように構成される、第2のRFIDタグ(103、105)、および、
(ii)前記医療用容器の上および/または中の光学式マーク(106)であって、前記光学式マークは、前記医療用容器の前記固有の識別子を符号化する、光学式マーク(106)、
のうちの少なくとも1つと、
を備える、医療用容器。
【請求項2】
前記第1および前記第2のRFIDタグは、デュアル周波数RFIDタグ(103)に統合される、
請求項1に記載の医療用容器。
【請求項3】
前記第1および前記第2のRFIDタグ(104、105)は、互いに異なるものである、
請求項1に記載の医療用容器。
【請求項4】
前記第1の周波数帯域は、860MHzから960MHzの範囲である、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医療用容器。
【請求項5】
前記第2の周波数帯域は、13.56MHzである、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の医療用容器。
【請求項6】
前記光学式マーク(106)は、一次元マーク、二次元マークおよび文字列のうちの少なくとも1つを備える、
請求項1に記載の医療用容器。
【請求項7】
(i)前記第1のRFIDタグ(103、104)および(ii)前記第2のRFIDタグ(103、105)または前記光学式マーク(106)は、前記医療用容器(100)の同じ部品に位置される、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の医療用容器。
【請求項8】
(i)前記第1のRFIDタグ(104)および(ii)前記第2のRFIDタグ(105)または前記光学式マーク(106)は、前記医療用容器(100)の異なる部品に位置される、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の医療用容器。
【請求項9】
少なくとも1つの医療用容器に関連するデータを追跡するためのシステムであって、
請求項1乃至8のいずれか1項に従う少なくとも1つの医療用容器(100)と、
少なくとも各医療用容器の固有の識別子を記憶するように構成されるデータ記憶システムと、
を備えるシステム。
【請求項10】
前記データ記憶システムは、各医療用容器の処理に関連するデータを記憶するようにさらに構成され、前記データは、前記各医療用容器の固有の識別子と関連付けられる、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の第1のRFIDタグを読み取るように構成される、少なくとも1つの第1のRFIDリーダーと、
(i)前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の第2のRFIDタグを読み取るように構成される、第2のRFIDリーダー、および、
(ii)前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の光学式マークを読み取るように構成される、光学式リーダー、
のうちの少なくとも1つと、
をさらに備える、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも1つの医療用に関連するデータを追跡するための方法であって、
請求項1乃至8のいずれか1項に従う少なくとも1つの医療用容器を提供することと、
各医療用容器の固有の識別子を生成することと、
各医療用容器の上および/または中に第1のRFIDタグを形成することであって、前記第1のRFIDタグは、前記各医療用容器の固有の識別子を記憶する、ことと、
各医療用容器の上および/または中に、前記各医療用容器の固有の識別子を記憶する第2のRFIDタグまたは前記各医療用容器の固有の識別子を符号化する光学式マークのうちの少なくとも1つを形成することと、
前記各医療用容器の固有の識別子をデータ記憶システムに記憶することと、
を備える方法。
【請求項13】
前記第1および/または前記第2のRFIDタグを形成することは、ラベリング、インモールドラベリング、ねじ止め、オーバーモールド、ダイレクトアンテナ印刷のうちの少なくとも1つを備える、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記光学式マークを形成することは、ラベリング、インモールドラベリング、エナメル焼結、インクジェット印刷、ピコ秒レーザマーキングやフェムト秒レーザマーキングなどのレーザマーキング、ドロップオンデマンド印刷、ドットピーンマーキングのうちの少なくとも1つを備える、
請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
(a)前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の第1のRFIDタグを読み取るように構成される、少なくとも1つの第1のRFIDリーダーと、
(i)前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の第2のRFIDタグを読み取るように構成される、第2のRFIDリーダー、および、
(ii)前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の光学式マークを読み取るように構成される、光学式リーダー、
のうちの少なくとも1つと、
を提供することと、
(b)前記第1のRFIDリーダー、前記第2のRFIDリーダーおよび/または前記光学式リーダーを有する少なくとも1つの医療用容器の、前記第1のRFIDタグ、前記第2のRFIDタグおよび前記光学式マークのうちの少なくとも1つを読み取ること、および、前記データ記憶システムから前記少なくとも1つの医療用容器の固有の識別子を決定することと、
をさらに備える、請求項12乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用容器、および、当該医療用容器に関連するデータを追跡するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用容器は、広く製薬業界で使用されている。当該医療用容器は、例えば、ガラスやプラスチックを成形して製造され、医薬組成物を充填して滅菌され、例えば、医薬組成物を患者に注射するため、または医薬組成物を他の容器に移すために、使用前に輸送され得る。
【0003】
安全上の理由から、そのような医療用容器は、その耐用期間を通じて強力なトレーサビリティを必要とする。そのようなトレーサビリティは、異なるバッチの混合を防ぐこと、欠陥のある製品がどのラインで製造されたかを判断すること、品質問題のある製品を見つけること(例えば、製品リコールの場合)、製品の有効期限が切れたかどうかを判断すること、および/または製品が偽造されていないことを確かにすること、が意図され得る。
【0004】
医療用容器のトレーサビリティを実現するためのソリューションが提案されている。
【0005】
第一の解決策は、医療用容器にデータタグやラベルを付けることにある。各データタグは容器ごとに異なるため、容器ごとに個々に追跡することができる。
【0006】
顧客は、例えば、実装することが非常に困難なカラーラベルを使用すること、および/または、ラインクリアランスまたは容器の手動照合時に手間のかかる手動手順を実行することによって、容器レベルでのトレーサビリティを確保することができる。特に、カラーラベルは、フランジに近い、容器の外径でのみ実行することが可能であり、滅菌作業中に劣化する可能性が非常に高い。
【0007】
さらに、容器のマークは、例えば、処理工程中の搬送または輸送のために当該容器がパッケージングに含まれている場合には、見えない。それ故、オペレータはマークを見ること、容器を識別することが不可能であり、容器の追跡が厳しく制限される。
【0008】
第二の解決策は、医療用容器そのものではなく、医療用容器を包含するパッケージングにマークを付けることにある。
【0009】
しかしながら、容器がパッケージング内に配置される前は、容器レベルでのトレーサビリティは存在しない。そのうえ、例えば、当該容器の品質検査および/または医薬組成物の充填の実行のために、オペレータが医療用容器をパッケージングから取り外す際に、容器のトレーサビリティが失われる。
【発明の概要】
【0010】
したがって、医療用容器のデータを追跡するためのシステムおよび方法の必要があり、これにより、産業側および最終使用時の両方で、その耐用期間を通じて医療用容器のトレーサビリティを確保することができる。
【0011】
この目的を達成するために、いくつかの実施形態は、
医療用容器の上および/または中の第1のRFIDタグであって、前記第1のRFIDタグは、第1の周波数帯域で動作可能であり、前記医療用容器の固有の識別子を記憶するように構成される、第1のRFIDタグと、
(i)前記医療用容器の上および/または中の第2のRFIDタグであって、前記第2のRFIDタグは、前記第1の周波数帯域よりも低い第2の周波数帯域で動作可能であり、前記医療用容器の前記固有の識別子を記憶するように構成される、第2のRFIDタグ、および、
(ii)前記医療用容器の上および/または中の光学式マークであって、前記光学式マークは、前記医療用容器の前記固有の識別子を符号化する、光学式マーク、
のうちの少なくとも1つと、
を備える医療用容器に関する。
【0012】
少なくとも2つの要素(RFIDタグおよび/または光学式マーク)が、異なる技術に従って医療用容器の固有の識別子(UDI)を記憶および/または符号化しているおかげで、固有の識別子は、前記技術に従って動作する少なくとも2つの異なるリーダーによって読み取ることができ、処理工程または場所に応じて適切なリーダーの選択においてより多様性が提供される。さらに、要素のうちの少なくとも1つがRFIDタグであるため、医療用容器が、例えば、パッケージングに包まれていたり、パッケージングの層またはその近傍のあらゆるオブジェクトによって隠されるなどして目に見えない場合でも、UDIは、読み取られ得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記第1および前記第2のRFIDタグは、デュアル周波数RFIDタグに統合される。
【0014】
他の実施形態では、前記第1および前記第2のRFIDタグは、互いに異なるものである。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記第1の周波数帯域は、860MHzから960MHzの範囲である。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記第2の周波数帯域は、13.56MHzである。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記光学式マークは、バーコードなどの一次元マーク、データマトリックス(Data Matrix)(登録商標)、QRコード(登録商標)、ドットコード(Dotcode)、ダイレクトパートマーク(Direct Part Marking)(DPM)コード、またはランダム固有マーク(random unique marking)などの二次元マーク、および文字列(text)、のうちの少なくとも1つを備え得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、(i)前記第1のRFIDタグおよび(ii)前記第2のRFIDタグまたは前記光学式マークは、前記医療用容器の同じ部品に位置される。
【0019】
代替的に、(i)前記第1のRFIDタグおよび(ii)前記第2のRFIDタグまたは前記光学式マークは、前記医療用容器の異なる部品に位置される。
【0020】
本テキストにおいて、部品とは、独立した物理的実体として提供されることが可能なオブジェクトを示す。したがって、バレルおよびキャップは、医療用容器の異なる部品である。
【0021】
いくつかの実施形態は、少なくとも1つのそのような医療用容器に関連するデータを追跡するためのシステムに関する。前記システムは、
各医療用容器の上および/または中の第1のRFIDであって、前記第1のRFIDタグは、第1の周波数帯域で動作可能であり、それぞれの医療用容器ごとの固有の識別子を記憶するように構成される、第1のRFIDタグと、
(i)各医療用容器の上および/または中の第2のRFIDタグであって、前記第2のRFIDタグは、前記第1の周波数帯域よりも低い第2の周波数帯域で動作可能であり、前記それぞれの医療用容器ごとの固有の識別子を記憶するように構成される、第2のRFIDタグ、および、
(ii)各医療用容器の上および/または中の光学式マークであって、前記光学式マークは、前記それぞれの医療用容器ごとの固有の識別子を符号化する、光学式マーク、
のうちの少なくとも1つと、
少なくとも各医療用容器の固有の識別子を記憶するように構成されるデータ記憶システムと、
を備える。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記データ記憶システムは、各医療用容器の処理に関連するデータを記憶するようにさらに構成され、前記データは、各医療用容器のUDIと関連付けられ得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記システムは、
前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の第1のRFIDタグを読み取るように構成される、少なくとも1つの第1のRFIDリーダーと、
(i)前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の第2のRFIDタグを読み取るように構成される、第2のRFIDリーダー、および、
(ii)前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の光学式マークを読み取るように構成される、光学式リーダー、
のうちの少なくとも1つと、
をさらに備える。
【0024】
いくつかの実施形態は、少なくとも1つのそのような医療用容器に関連するデータを追跡するための方法に関する。前記方法は、
各医療用容器の固有の識別子を生成することと、
各医療用容器の上および/または中に第1のRFIDタグを形成することであって、前記第1のRFIDタグは、前記各医療用容器の固有の識別子を記憶する、ことと、
各医療用容器の上および/または中に、前記各医療用容器の固有の識別子を記憶する第2のRFIDタグまたは前記各医療用容器の固有の識別子を符号化する光学式マークのうちの少なくとも1つを形成することと、
前記各医療用容器の固有の識別子をデータ記憶システムに記憶することと、
を備える。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記第1および/または前記第2のRFIDタグを形成することは、ラベリング、インモールドラベリング、ねじ止め、オーバーモールド、ダイレクトアンテナ印刷のうちの少なくとも1つを備える。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記光学式マークを形成することは、ラベリング、インモールドラベリング、エナメル焼結、インクジェット印刷、ピコ秒レーザマーキングやフェムト秒レーザマーキングなどのレーザマーキング、ドロップオンデマンド印刷、ドットピーンマーキングのうちの少なくとも1つを備える。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記方法は、
(a)前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の第1のRFIDタグを読み取るように構成される、少なくとも1つの第1のRFIDリーダーと、
(i)前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の第2のRFIDタグを読み取るように構成される、第2のRFIDリーダー、および、
(ii)前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の光学式マークを読み取るように構成される、光学式リーダー、
のうちの少なくとも1つと、
を提供することと、
(b)前記第1のRFIDリーダー、前記第2のRFIDリーダーおよび/または前記光学式リーダーを有する少なくとも1つの医療用容器の、前記第1のRFIDタグ、前記第2のRFIDタグおよび前記光学式マークのうちの少なくとも1つを読み取ること、および、前記データ記憶システムから前記少なくとも1つの医療用容器の固有の識別子を決定することと、
をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
さらなる特徴および利点は、添付の図面に基づいて、以下の詳細な説明で開示される。
【0029】
【
図1】
図1は、ネストおよびタブを備える医療用容器のパッケージングの部分切断図である。
【
図2】
図2は、医療用容器の処理の典型的なワークフローを示す図である。
【
図3】
図3は、デュアル周波数RFIDタグを備える、第1の実施形態による医療用容器を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、第2の実施形態による医療用容器を表す図であり、医療用容器の同じ部品に位置されるUHF帯RFIDタグおよびNFC帯RFIDタグを備えている。
【
図4B】
図4Bは、第2の実施形態の変形による医療用容器を表す図であり、その中で、UHF帯RFIDタグおよびNFC帯RFIDタグは、医療用容器の異なる部品に位置される。
【
図5】
図5は、第3の実施形態による医療用容器を表す図であり、UHF帯RFIDタグおよび光学式マークを備えている。
【0030】
ある図から別の図までの同じ参照符号は、類似のオブジェクトまたは部品を表し、これはそのため、再度詳細に説明されない。
【0031】
もちろん、図は、説明のためにのみ提供され、説明される実施形態に開示の範囲を制限することを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0032】
医療用容器は、シリンジ、バイアルまたはカードリッジであり得る。
【0033】
一般に、医療用容器は、医薬組成物を含むことに適合されたバレル(barrel)、および、バレルの先端を覆うキャップを含み得る。いくつかの実施形態では、医療用容器は、バレルの端で、キャップと反対側に半径方向に外向きに延びるフランジを含み得る。
【0034】
そのような医療用容器の複数は、処理の異なる工程で、パッケージングと共にまとめられ得る。
【0035】
そのようなパッケージングは、容器を外部環境から分離する複数の層を備え得る。当該層のいくつかは、空気、流体、および/または容器の無菌状態に影響を与えるあらゆる汚染物質に対するバリアを形成するように構成され得る。当該層のいくつかは、医療用容器を、それらの完全性に影響を与える可能性のある衝撃および/または振動から保護するように構成され得る。本テキストにおいて、「第1の層」は、医療用容器に近いパッケージングの層を示す。特に、当該第1の層は、医療用容器を取り巻く大気と接触している。当該第1の層はまた、時系列順に、医療用容器の処理において使用される第1の層の1つである。処理工程によっては、1つまたは複数のパッケージングの層は、存在しないことがある。
【0036】
パッケージングの第1の層は、少なくとも1つの医療用容器を、決められた位置および/または配向に維持するように構成されたネスト、またはそのようなネストを含むタブであり得る。好ましい実施形態によると、第1の層はネストである。
【0037】
図1は、そのようなパッケージングの一実施形態を示す。
【0038】
パッケージングは、タブ1を備え、これは一般にプラスチック材料製であり、これは、複数の医療用容器100を封入するように構成される。タブは、底部10、タブの底部から上部開口部12まで延びる周壁11を備える。周辺フランジ13は、周壁11の上部から外向きに延び得る。周辺フランジは、タブを封止的に閉じるためにシーリングカバー(不図示)に対して密閉されるように構成され得る。
【0039】
有利には、医療用容器100は、タブ内で垂直に配置されることができ、すなわち、医療用容器の長手方向軸は、垂直方向(これは重力の方向である)に延び、バレルの開口部は、タブの上部に向けられる。この配向において、医療用容器は、したがって、タブ内に留まりながら、医薬組成物で充填されることができ、それにより、医療用容器の取り扱いを最小限にする。
【0040】
その目的のために、医療用容器100は、ネスト2に配置されることができ、これは、それぞれの医療用容器を受け入れ、および垂直方向にそれを維持するように構成された複数の案内孔20を備える。タブ1は、ネスト2を支持するように構成された周辺内部リム14を備え得る。
【0041】
他の実施形態(示されない)では、医療用容器は、タブ内で異なる配向に、例えば、水平方向に配置されることができるが、この配向は、医療用容器をタブ内において直接的に充填することを可能にしないので、あまり好ましくない。
【0042】
「処理(processing)」という用語は、メーカーによるそれらの製造およびパッケージングの第1の層内におけるそれらの配置から、医療用容器が顧客によって検査された後の顧客による最終的なパッケージングまでの、医療用容器に関する工程を指す。「メーカー処理(manufacturer processing)」として言及される処理の第1のパートMは、メーカーによって実行されることができ、「顧客処理(customer processing)」として言及される処理の第2のパートCは、顧客によって、または連続的に複数の顧客によって実行され得る。この処理はまた、医療用容器を含むパッケージングの第1の層の、メーカーから顧客への輸送Tを含み得る(
図2を参照)。メーカー処理で実行される工程および顧客処理で実行されるそれらは、以下のテキストでより詳細に説明される。
【0043】
本開示は、医療用容器の明確かつ完全なトレーサビリティを、メーカーによるそれらの製造および第1の層内におけるパッケージングから最終的なパッケージング工程での顧客まで、およびさらには医療用容器の使用および/または廃棄まで、確保するシステムおよび方法に関する。
【0044】
当該トレーサビリティは、各医療用容器に固有の識別子を生成して関連付け、各医療用容器のUDIを、当該医療用容器の処理に関連するデータとともにデータ記憶システムに記憶することにより実現され得る。
【0045】
固有の識別子は、各単一のシリンジに関連し、固有である。あるシリンジに関連する固有の識別子は、別のシリンジに関連する別の固有の識別子とは異なる。そのような固有の識別子は、好ましくはGS1規格、例えば、SGTIN-96若しくはGIAI-96規格に準拠する固有のシリアル番号(USN)、または、固有のデバイス識別子(UDI)であり得る。UDIは、例えばEU745/2027またはFDA―2017-D-6841などの当局の規制にしたがって定義され得る。
【0046】
その目的のために、各処理工程で、医療用容器の固有の識別子は読み取られ、および、処理工程に関連するデータは、それぞれの固有の識別子と関連付けられてデータ記憶システムに書き込まれる。したがって、医療用容器の固有の識別子を読み取ったユーザはいつでも、当該固有の識別子と関連付けられたデータ記憶システムにアクセスし得る。
【0047】
各医療用容器は、少なくとも2つの異なる技術に従って、医療用容器の固有の識別子を記憶するまたは符号化する少なくとも2つの要素を備え得る。当該技術には、RFID技術(使用可能な周波数範囲が異なる)および光学技術(特定の形状またはパターンを有する視覚マーク)が含まれる。
【0048】
RFID技術の中でも、UHFプロトコルおよびNFCプロトコルは広く使用される。いずれの場合も、RFIDタグは、RFIDチップおよびチップに接続されたアンテナを備える。RFIDリーダーは、適切な周波数でアンテナを介してチップと通信することにより、チップのメモリに記憶されたデータ(特に固有の識別子)を読み取ることが可能である。
【0049】
UHF(超高周波の頭字語)(acronym for Ultra High Frequency)は、860MHzから960MHzの範囲の周波数帯域に対応する。UHFリーダーは、産業施設で頻繁に使用される。
【0050】
好ましくは、医療用容器の固有の識別子は、医療用容器のUHF帯タグと、医療用容器の製造、処理および輸送に沿って使用され得る全てのUHF帯リーダーとの連動を容易にするために、GS1 EPC Gen2などの規格を準拠する。
【0051】
NFC(近距離無線通信の頭字語)(acronym for Near Field Communication)は、UHFよりも低い周波数帯域に対応する。より詳細には、NFCは、13.56MHzの周波数に対応する。NFCリーダーは、通常、顧客向けアプリケーションで使用される。特に、NFCプロトコルは、スマートフォンに埋め込まれることができ、これにより、NFCタグは、使用時に固有の識別子を読み取ることに特に有用である。
【0052】
各RFIDタグは、自己粘着性(self-adhesive)ラベルの形態で提供されることができ、これは、医療用容器にしっかりと貼りつけることが可能であり、または、例えばオーバーモールドにより医療用容器に組み込まれ得る、自己支持(self-supported)デバイスの形態で提供され得る。より一般には、RFIDタグは、ラベリング、インモールドラベリング、ねじ止め、オーバーモールド、および/またはダイレクトアンテナ印刷(direct antenna printing)によって、医療用容器内または上に貼り付けされ得る。
【0053】
好ましい実施形態では、光学式マークは、バーコードなどの一次元マーク、データマトリックス(登録商標)、QRコード(登録商標)、ドットコード、ダイレクトパートマーク(DPM)コード、またはランダム固有マークなどの二次元マーク、または文字列であり得る。
【0054】
そのような光学式マークは、ラベリング、インモールドラベリング、エナメル焼結、インクジェット印刷、ピコ秒レーザマーキングまたはフェムト秒レーザマーキングなどのレーザマーキング、ドロップオンデマンド印刷、ドットピーンマーキングのうちの、少なくとも1つの工程によって、医療用容器内または上に形成され得る。光学式マークは、医療用容器の材料の表面上に、または、医療用容器のバルク材料内に実装され得る。好ましくは、マークは、医療用容器のバルク材内に実装され、医療用容器から取り外されないようにする。
【0055】
光学式マークは、バーコードリーダーまたはQRコードリーダーなどの光学式リーダーによって読み取られ得る。そのような光学式リーダーは、カメラを備えるスマートフォンに埋め込まれることができ、それにより、光学式リーダーは、使用時に固有の識別子を読み取ることに特に有用である。光学式マークは、RFIDタグと比較すると、固有の識別子を読み取ることを可能にするためにリーダーに対してマークがアクセス可能でなければならないため、視線の制限がある。
【0056】
各医療用容器は、したがって、
医療用容器の上および/または中の第1のRFIDタグであって、第1のRFIDタグは、第1の周波数帯域で動作可能であり、医療用容器の固有の識別子を記憶するように構成される、第1のRFIDタグと、
(i)医療用容器の上および/または中の第2のRFIDタグであって、第2のRFIDタグは、第1の周波数帯域よりも低い第2の周波数帯域で動作可能であり、医療用容器の固有の識別子を記憶するように構成される、第2のRFIDタグ、および、
(ii)医療用容器の上および/または中の光学式マークであって、光学式マークは、医療用容器の固有の識別子を符号化する、光学式マーク、
のうちの少なくとも1つと、
を備える。
【0057】
両方の要素がRFIDタグ(例えば、UHF帯タグおよびNFC帯タグ)である場合、両方のタグは、デュアル周波数RFIDタグに統合され得る。そのようなデュアル周波数RFIDタグは、市場で利用可能である。代替的に、当該タグは、互いに異なるものであり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、医療用容器の固有の識別子を記憶するおよび/または符号化する両方の要素(RFIDタグおよび/またはマーク)は、医療用容器の同じ部品に位置され得る。例えば、両方の要素は、バレル上または中に位置されることができ、または、医療用容器のキャップ上または中に位置され得る。
【0059】
他の実施形態では、医療用容器の固有の識別子を記憶するおよび/または符号化する少なくとも2つの要素(RFIDタグおよび/またはマーク)は、医療用容器の異なる部品に位置され得る。例えば、第1の要素は、バレル上または中に位置されることができ、第2の要素は、医療用容器のキャップ上または中に位置され得る。
【0060】
図3は、医療用容器の第1の実施形態を示す図である。
【0061】
医療用容器100は、バレル101およびバレルの先端を覆うキャップ102を備える。
【0062】
医療用容器はさらに、医療用容器の固有の識別子を記憶するデュアル周波数RFIDタグ103を備える。好ましくは、当該デュアル周波数RFIDタグは、UHF帯およびNFC帯の両方で動作する。このように、医療用容器の固有の識別子は、単一のRFIDタグを使用して、UHFリーダー(例えば、産業施設で)またはNFCリーダー(例えば、使用時に)のいずれによっても読み取られ得る。当該読み取ることは、医療用容器がパッケージングの第1の層にある場合、または、リーダーと医療用容器との間に位置されたオブジェクトにより隠された場合でも、実行することができる。
【0063】
説明された実施形態では、タグ103は、キャップ102上に位置されるが、他の実施形態では、タグ103は、バレル101上または医療用容器100の任意の他の部品に位置されることが可能であろう。
【0064】
図4Aは、医療用容器の第2の実施形態を示す図である。
【0065】
図3と同様に、医療用容器100は、バレル101およびバレルの先端を覆うキャップ102を備える。
【0066】
医療用容器はさらに、第1のRFIDタグ104(例えば、UHF帯で動作する)および第1のRFIDタグとは異なる周波数で動作する(例えば、NFC帯で)第2のRFIDタグ105を備える。
【0067】
説明された実施形態では、タグ104およびタグ105の両方は、バレル101上に位置されるが、他の実施形態では、タグ104およびタグ105の両方は、キャップ102上または医療用容器100の任意の他の部品に位置されることが可能であろう。
【0068】
図4Bは、当該第2の実施形態の変形を示す図であり、その中で、第1のRFIDタグ104および第2のRFIDタグ105は、医療用容器の異なる部品に位置される。例えば、第1のタグ(UHF)は、キャップ102上に位置されることができ、第2のタグ(NFC)は、バレル101上に位置されることができ、または逆に位置され得る。
【0069】
図5は、医療用容器の第3の実施形態を示す図である。
【0070】
医療用容器100は、バレル101およびバレルの先端を覆うキャップ102を備える。
【0071】
医療用容器はさらに、RFIDタグ104(例えば、UHF帯で動作する)および光学式マーク106、例えば、1次元コードまたは2次元コード、を備える。
【0072】
説明された実施形態では、RFIDタグ104および光学式マーク106は医療用容器の異なる部品に位置される。例えば、RFIDタグは、キャップ102上に位置されることができ、光学式マーク106は、バレル101上に位置されることができ、またはその逆に位置され得る。
【0073】
代替的に、RFIDタグ104および光学式マーク106の両方は、医療用容器の同じ部品に位置され得る。
【0074】
データ記憶システムは、コンピュータサーバおよび/または記憶ドライブを備え得る。有利には、データ記憶システムは、いくつかのコンピュータサーバおよび/またはいくつかの記憶ドライブを備え得る。
【0075】
記憶ドライブの場合、メーカーは、メーカー処理データを記憶ドライブへ転送することができ、顧客へ記憶ドライブを提供し得る。それゆえ、顧客は、記憶ドライブにアクセスしてデータをレビューすることができ、それにより、規格とメーカー処理との適合をチェックすることが可能になる。
【0076】
コンピュータサーバの場合、メーカーは、メーカー処理データをサーバへ転送し得る。その後、顧客は、サーバへアクセスして、特に、適合チェックのために、データをレビューし得る。顧客はまた、顧客処理データをサーバへ転送し得る。
【0077】
メーカーによって顧客へ与えられたデータへのアクセスは、顧客が記憶データシステムに記憶された完全なデータにアクセスし得ることを意味する、「total」であり得る、または、顧客が記憶データシステムに記憶されたデータの部分のみにアクセスし得ることを意味する、「partial」であり得る。
【0078】
そのうえ、データのレビューに加えて、顧客は、これらのデータを使用し、顧客チェーンにそれらを実装し得る。
【0079】
第1の実施形態によると、コンピュータサーバは、メーカーと顧客との間で共有される。メーカーおよび顧客は、互いにデータを交換し得る。
【0080】
第2の実施形態によると、メーカーは、メーカーサーバと呼ばれる第1のサーバにアクセスすることができ、顧客は、顧客サーバと呼ばれる第2のサーバにアクセスし得る。メーカーは、メーカーサーバへメーカー処理データを転送することができ、これらのデータ、またはそれらの部分を顧客サーバへ転送し得る。顧客は、その後顧客サーバへアクセスしてこれらのデータをレビューし得る。顧客は、顧客処理データを顧客サーバへ転送することができ、これらのデータ、またはそれらの部分をメーカーサーバへ転送し得る。
【0081】
コンピュータサーバの一例は、「クラウド」タイプのコンピュータサーバであり得る。
【0082】
実際には、医療用容器の処理は、以下の工程を備え得る。
A)複数の医療用容器を製造するための材料を提供する工程。
B)医療用容器の製造の最も初期の工程中に、各医療用容器の材料上および/または中にRFIDタグおよび/または光学式マークを貼り付けし、当該RFIDタグおよび/または光学式マークは、それぞれの医療用容器ごとの対応する固有の識別子を記憶するおよび/または符号化する工程。
【0083】
医療用容器を製造することは、ガラスケーンの切断、洗浄、形成または医療用容器の原材料として使用されるプラスチック材の形成、容積量りなどの目盛りの印刷、医療用容器のアニール、医療用容器の洗浄、潤滑油の塗布、針を含むチップの医療用容器のバレルへの組み立て、チップのバレルへの(または針への)組み立て、および、医療用容器の目視検査、の工程のうちの少なくとも1つを備え得る。
【0084】
医療用容器の上または中のRFIDタグおよび/または光学式マークの貼り付けが、前述の製造工程のいずれかにて実装され得るとしても、当該貼り付けは、好ましくは、アニール工程の後に実装される。
【0085】
有利には、RFIDタグおよび/または光学式マークは、医療用容器の材料内に貼り付けされ得る。好ましくは、貼り付けは、技術的な制限(例えば、RFIDタグおよび/または光学式マークの耐熱性)の可能性を考慮して、製造プロセスにおいて可能な限り早く実行される。例えば、光学式マークが、フェムト秒レーザで実行される場合、フェムト秒レーザマーキングはアニールの熱を維持できないであろうため、マーキングは、アニールの後に実行される。しかしながら、エナメル焼結の場合、マーキングは、アニールの前に実行され得る。
【0086】
一実施形態では、光学式マークは、フェムト秒レーザを用いて医療用容器の材料内にレーザマークされる。針が医療用容器に組み立てられることが意図されている場合、マーキングは、アニール後針の組み立て前に行われ、主に、そのようにすると、マーキングができるだけ早期に行われ、それにより、できるだけ早期に容器の変形を追跡できる。
【0087】
C)医療用容器の製造工程に関連するデータおよび/または各医療用容器の個々の物理的なデータを、データ記憶システムに書き込み、当該書き込まれたデータが、それぞれの医療用容器ごとの固有の識別子と関連付けられる工程。
【0088】
工程C)は、医療用容器の1つまたは複数の製造工程中に、好ましくは、医療用容器の各製造工程で、実装され得る。
【0089】
データ記憶システムに書き込まれるデータは、以下を含み得る(非制限的リスト)。
- 形成ステーションに関連するデータ:機械設定、寸法制御、日付、製造ステーション識別子、外部温度、原材料バッチ番号。
- アニール工程に関連するデータ:アニール炉温度プロフィール、日付、など。
- 針アセンブリ/中間パッケージングに関連するデータ:使用される接着剤の種類、接着工程キー工程入力変数、表面上のおよび寸法の制御結果。
- 検査手順に関連するデータ:制御装置によって提供された寸法および表面上の欠陥、制御装置の種類。
- 洗浄工程に関連するデータ:使用される洗浄流体の種類、洗浄流体の温度、洗浄時間、洗浄サイクルの数。
- 注油工程に関連するデータ:使用される潤滑油の種類、注油の温度、潤滑油の流れ割合、注油時間。
【0090】
工程C)の前に、追加の比較工程が実装され得る。当該比較工程は、各医療用容器の固有の識別子と関連付けられたデータを参照の識別子と比較し、比較された医療用容器が、探し求められたもの、例えば、製造オーダーで特定されたものであることを確保することを可能にする。比較工程が否定的でも、別の比較工程が起こり得る。比較工程が肯定的でも、工程C)は実装され得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、医療用容器の処理は、以下の工程を備え得る。
D)医療用容器をネストに置く工程。
E)ネスト内に置かれる医療用容器に適用される当該一連の処理工程に関連するデータをデータ記憶システムに書き込む工程。
【0092】
当該一連の処理工程は、次のうちの少なくとも1つであり得る。
- ネストおよびネスト内に配置された各医療用容器の滅菌。
- ネスト内に配置された医療用容器を医薬組成物で充填すること。
- 医療用容器のそれぞれの栓をすること。
- 医療用容器のそれぞれが検査され得る検査スポットヘネストを搬送すること。
- 中間保管および/または出荷のためにネストをタブに格納すること。
【0093】
前述の工程は、メーカー側、または顧客側で実装され得る。
【0094】
有利には、タブにネストが配置されるとすぐに、フィルムがネストを含むタブの上部開口部を覆うように置かれ、タブを閉じ得る。フィルムは、機械的耐性および密閉特性を示す任意の適切な材料であり得る。
【0095】
ポリエチレンフィルムは、その目的のために特に適しており、特に、ポリエチレンファイバーからできている不織布の合成素材であるTyvek(登録商標)は適している。
【0096】
タブは、1つまたは複数のヘッダーバッグの中に置かれることができ、その後密閉され得る。ヘッダーバッグは、次に、ラベル付けされたケースの中に置かれることができ、ケースはパレット上に置かれ得る。その後、パレットは、それらを滅菌するために滅菌チャンバに移動される。滅菌は、好ましくはエチレンオキシドまたは蒸気で実行される。
【0097】
工程E)は、医療用容器の1つまたは複数の処理工程中に、好ましくは、各処理工程で、実装され得る。
【0098】
典型的には、工程E)でデータ記憶システムに書き込まれたデータは、以下のものを含み得る(非制限的リスト)。
- パッケージングステーションに関連するデータ:使用される装置の種類、および好ましくはそれらの設定、ネストへ入れる容器の配置を実行するために、タブへ入れるネストの配置、および、ヘッダーバッグへ入れるタブの配置、日付、製造ステーション識別子、外部温度、原材料バッチ番号。
- ネストへ入れる容器の配置に関連するデータ:ネストの特徴。
- 充填ステーションに関連するデータ:使用される装置の種類、および好ましくはそれらの設定、充填を実行するために、日付、充填ステーション識別子、外部温度。
- 医薬組成物に関連するデータ:医薬組成物の種類、温度、圧力、粘着性。
- タブに入れるネストの配置に関連するデータ:タブの特徴、フィルムの構成材料などのフィルムの特徴。
- ヘッダーバッグへ入れるタブの配置に関連するデータ:ヘッダーバッグの特徴。
【0099】
医療用容器を含むパレットは、二次的なパッケージングプラントへ輸送され得る。
【0100】
そして、医療用容器はそれらのネストから取り除かれることができ、二次的なパッケージング、例えば、段ボール箱などの各医療用容器の最終的なパッケージングの中へ包装され得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、医療用容器の固有の識別子を符号化する光学式マークは、医療用容器の最終的な、個々のパッケージング上または中に形成され得る。例えば、医療用容器は、充填された後、注意が必要なポイントに送られることを考慮して、段ボール箱の中に置かれ得る。1次元コードまたは2次元コードなどの光学式マークは、対応する段ボール箱に印刷され得る。このようにして、それが段ボールに封入されていても、ユーザは、医療用容器の固有の識別子を読み取り得る。
【0102】
異なる技術に従って各医療用容器の固有の識別子を記憶するおよび/または符号化する少なくとも2つの要素(RFIDタグおよび/または光学式マーク)のおかげで、固有の識別子は、当該技術に従って動作する少なくとも2つの異なるリーダーによって読み取られ得る。特に、産業工程中、UHFリーダー、これは産業施設で頻繁に使用される、は、医療用容器の追跡のために使用され得る。つぎに、使用時において、NFCリーダーまたは光学式リーダー、これはエンドユーザにとってより容易に利用可能である、は、医療用容器の固有の識別子を読み取ること、および、データ記憶システム書き込まれたデータの少なくとも部分にアクセスすること、のために使用され得る。RFIDタグおよび/または光学式マークの組合せは、その耐用期間のあらゆる段階で、その段階に適したリーダーで、医療用容器の固有の識別子を読み取ることを可能にする。そのうえ、少なくとも産業のステージで、固有の識別子は、医療用容器が見えなくても、例えば、パッケージングに封入され、またはパッケージングの層もしくはリーダーと医療用容器との間のオブジェクトによって隠された場合でも、第1のRFIDタグのおかげで読み取られることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用容器の上および/または中の第1のRFIDタグ(103、104)であって、前記第1のRFIDタグは、第1の周波数帯域で動作可能であり、前記医療用容器の固有の識別子を記憶するように構成され、前記固有の識別子は、前記医療用容器を一意に識別する、第1のRFIDタグ(103、104)と、
(i)前記医療用容器の上および/または中の第2のRFIDタグ(103、105)であって、前記第2のRFIDタグは、前記第1の周波数帯域よりも低い第2の周波数帯域で動作可能であり、前記医療用容器の前記固有の識別子を記憶するように構成される、第2のRFIDタグ(103、105)、および、
(ii)前記医療用容器の上および/または中の光学式マーク(106)であって、前記光学式マークは、前記医療用容器の前記固有の識別子を符号化する、光学式マーク(106)、
のうちの少なくとも1つと、
を備える、医療用容器。
【請求項2】
前記第1および前記第2のRFIDタグは、デュアル周波数RFIDタグ(103)に統合される、
請求項1に記載の医療用容器。
【請求項3】
前記第1および前記第2のRFIDタグ(104、105)は、互いに異なるものである、
請求項1に記載の医療用容器。
【請求項4】
前記第1の周波数帯域は、860MHzから960MHzの範囲である、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医療用容器。
【請求項5】
前記第2の周波数帯域は、13.56MHzである、
請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の医療用容器。
【請求項6】
前記光学式マーク(106)は、一次元マーク、二次元マークおよび文字列のうちの少なくとも1つを備える、
請求項1に記載の医療用容器。
【請求項7】
(i)前記第1のRFIDタグ(103、104)および(ii)前記第2のRFIDタグ(103、105)または前記光学式マーク(106)は、前記医療用容器(100)の同じ部品に位置される、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の医療用容器。
【請求項8】
(i)前記第1のRFIDタグ(104)および(ii)前記第2のRFIDタグ(105)または前記光学式マーク(106)は、前記医療用容器(100)の異なる部品に位置される、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の医療用容器。
【請求項9】
少なくとも1つの医療用容器に関連するデータを追跡するためのシステムであって、
請求項1乃至8のいずれか1項に従う少なくとも1つの医療用容器(100)と、
少なくとも各医療用容器の固有の識別子を記憶するように構成されるデータ記憶システムと、
を備えるシステム。
【請求項10】
前記データ記憶システムは、各医療用容器の処理に関連するデータを記憶するようにさらに構成され、前記データは、前記各医療用容器の固有の識別子と関連付けられる、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の第1のRFIDタグを読み取るように構成される、少なくとも1つの第1のRFIDリーダーと、
(i)前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の第2のRFIDタグを読み取るように構成される、第2のRFIDリーダー、および、
(ii)前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の光学式マークを読み取るように構成される、光学式リーダー、
のうちの少なくとも1つと、
をさらに備える、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも1つの医療用
容器に関連するデータを追跡するための方法であって、
請求項1乃至8のいずれか1項に従う少なくとも1つの医療用容器を提供することと、
各医療用容器の固有の識別子を生成することと、
各医療用容器の上および/または中に第1のRFIDタグを形成することであって、前記第1のRFIDタグは、前記各医療用容器の固有の識別子を記憶する、ことと、
各医療用容器の上および/または中に、前記各医療用容器の固有の識別子を記憶する第2のRFIDタグまたは前記各医療用容器の固有の識別子を符号化する光学式マークのうちの少なくとも1つを形成することと、
前記各医療用容器の固有の識別子をデータ記憶システムに記憶することと、
を備える方法。
【請求項13】
前記第1および/または前記第2のRFIDタグを形成することは、ラベリング、インモールドラベリング、ねじ止め、オーバーモールド、ダイレクトアンテナ印刷のうちの少なくとも1つを備える、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記光学式マークを形成することは、ラベリング、インモールドラベリング、エナメル焼結、インクジェット印刷、ピコ秒レーザマーキングやフェムト秒レーザマーキングなどのレーザマーキング、ドロップオンデマンド印刷、ドットピーンマーキングのうちの少なくとも1つを備える、
請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
(a)前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の第1のRFIDタグを読み取るように構成される、少なくとも1つの第1のRFIDリーダーと、
(i)前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の第2のRFIDタグを読み取るように構成される、第2のRFIDリーダー、および、
(ii)前記データ記憶システムに結合され、各医療用容器の光学式マークを読み取るように構成される、光学式リーダー、
のうちの少なくとも1つと、
を提供することと、
(b)前記第1のRFIDリーダー、前記第2のRFIDリーダーおよび/または前記光学式リーダーを有する少なくとも1つの医療用容器の、前記第1のRFIDタグ、前記第2のRFIDタグおよび前記光学式マークのうちの少なくとも1つを読み取ること、および、前記データ記憶システムから前記少なくとも1つの医療用容器の固有の識別子を決定することと、
をさらに備える、請求項12乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】