(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】導波路構造及び製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/122 20060101AFI20231228BHJP
G02B 6/132 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G02B6/122
G02B6/132
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537931
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2021086854
(87)【国際公開番号】W WO2022144215
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522074936
【氏名又は名称】スマート フォトニクス ホールディングス ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ミラン メヒア,アロンソ ジーザス
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147BA01
2H147BA06
2H147BA15
2H147EA12A
2H147EA12B
2H147EA12C
2H147EA12D
2H147FA04
2H147FA07
2H147FC02
2H147FC03
(57)【要約】
基板(102)と、基板(102)上の導波路層(104)と、導波路層(104)の第1の側面と接触するクラッド層(106)と、を含む導波路構造(100)であって、導波路層(104)は、クラッド層(106)と基板(102)との間にあり、第1の導波路修正層(110)は、導波路層(104)の導波路機能を修正するための第1の材料を含み、第1の導波路修正層(110)は、クラッド層(106)と接触し、かつクラッド層(106)の第1の軸(114)に平行な幅(W2)よりも小さい第1の軸に沿った幅(W1)を有し、第1の軸は、導波路層(104)内の光伝播方向に対応する第2の軸(202)に垂直な、導波路構造(100)。導波路構造(100)を製造する方法がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上の導波路層と、
前記導波路層の第1の側面に接触するクラッド層であって、前記導波路層は、前記クラッド層と前記基板との間にある、前記クラッド層と、
前記導波路層の導波路機能を修正するための第1の材料を含む第1の導波路修正層であって、前記第1の導波路修正層は、前記クラッド層と接触し、かつ前記クラッド層の第1の軸に平行な幅よりも小さい前記第1の軸に沿った幅を有し、前記第1の軸は、前記導波路層内の光伝播方向に対応する第2の軸に垂直である、前記第1の導波路修正層と、を含む導波路構造。
【請求項2】
前記導波路層の前記導波路機能を修正するための前記第1の材料を含む前記第1の軸上の第2の導波路修正層であって、前記第1の軸上の前記第1及び第2の導波路修正層は、前記クラッド層と接触し、かつ互いに離隔している、前記第2の導波路修正層を含む、請求項1に記載の導波路構造。
【請求項3】
前記第1の導波路修正層は第3の軸に沿った幅を有し、前記第3の軸に沿った前記幅は前記第1の軸に沿った前記第1の導波路修正層の前記幅とは異なり、前記第3の軸は前記第2の軸に垂直で、かつ前記第1の軸から離隔している、請求項1または請求項2に記載の導波路構造。
【請求項4】
前記導波路層の前記導波路機能を修正するための前記第1の材料を含み、かつ前記クラッド層と接触する前記第1の材料を含む第3の導波路修正層であって、前記第3の導波路修正層は、前記第2の軸に垂直で、かつ前記第1の軸から離隔した第3の軸上に位置する、前記第3の導波路修正層を含む、請求項1または請求項2に記載の導波路構造。
【請求項5】
前記第1の導波路修正層の幅は、前記第3の導波路修正層の幅と実質的に同じである、請求項4に記載の導波路構造。
【請求項6】
前記第1の導波路修正層の前記幅は、前記第3の導波路修正層の前記幅とは異なる、請求項4に記載の導波路構造。
【請求項7】
前記導波路層の前記導波路機能を修正するための前記第1の材料を含む前記第3の軸上の第4の導波路修正層であって、前記第3及び第4の導波路修正層は、前記クラッド層と接触し、かつ互いに離隔している、前記第4の導波路修正層を含む、請求項4~6のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項8】
前記導波路層の前記第1の側面と重なる前記クラッド層の側面の1つ以上の部分と接触する第2の材料であって、前記1つ以上の部分は前記第1の材料と接触しない、前記第2の材料を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項9】
前記クラッド層は前記第2の材料を含む、請求項8に記載の導波路構造。
【請求項10】
前記第2の材料は、前記導波路層の前記第1の側面と重なる前記第1の導波路修正層の側面と接触している、請求項8または9に記載の導波路構造。
【請求項11】
前記導波路構造は、深い導波路構造である、請求項1~10のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項12】
前記導波路構造は、浅い導波路構造である、請求項1~10のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項13】
前記第1の材料は、前記導波路層の実効屈折率を修正する、請求項1~12のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項14】
前記導波路層と前記第1の導波路修正層との間の距離は、前記導波路層の前記導波路機能が修正される所望する大きさに従って選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項15】
導波路構造を製造する方法であって、
基板上に導波路層を少なくとも部分的に形成するために、前記基板上に第1の層を堆積することと、
前記導波路層と接触するクラッド層を少なくとも部分的に形成するために、前記第1の層と接触する第2の層の第2の層材料を堆積することであって、前記導波路層は、前記クラッド層と前記基板との間にある、前記第2の層材料を堆積することと、
前記クラッド層と接触する第1の導波路修正層を少なくとも部分的に形成するために、前記第2の層と接触する導波路修正層材料を堆積することであって、前記第1の導波路修正層の前記導波路修正層材料は、前記導波路層の導波路機能を修正するためのものであり、前記第1の導波路修正層は前記クラッド層の第1の軸に平行な幅よりも小さい前記第1の軸に沿った幅を有し、前記第1の軸は、前記導波路層内の光伝播方向に対応する第2の軸に垂直である、前記導波路修正層材料を堆積することと、を含む、前記導波路構造を製造する方法。
【請求項16】
前記導波路修正層材料を堆積する前に、前記第2の層材料から1つ以上の部分を除去することであって、前記1つ以上の部分の厚さは、前記第1の層を露出しないように前記第1の層と接触して堆積された前記第2の層材料の厚さよりも小さい、前記1つ以上の部分を除去することと、
前記1つ以上の部分を除去することで生じた1つ以上の空間に前記導波路修正層材料を堆積することと、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の層材料の1つ以上の露出部分をそれぞれ作成するために、前記導波路修正層材料の1つ以上の部分を除去することと、
前記第2の層材料の前記1つ以上の露出部分上に前記第2の層材料を堆積することと、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の層材料を含む前記導波路構造の上部セクションを少なくとも部分的に形成するために、前記導波路修正層材料上に前記第2の層材料を堆積することを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記上部セクションから開始し、前記基板の上面を超える、前記第2の軸に平行な前記導波路構造の側面を形成するために、材料を除去することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記上部セクションから開始し、前記導波路層の底面までその全てを除去することなく前記導波路層の少なくとも上面まで前記第2の軸に平行な、前記導波路構造の側面を形成するために、材料を除去することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
請求項1~14のいずれか1項に記載の前記導波路構造を含む、光集積回路。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体導波路構造は既知である。導波路構造の特性は、使用目的に応じて様々に選択することができる。例えば導波路構造は、所望する光路長に応じた光伝播方向に沿った長さを有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1】実施例に従い、第1の導波路構造の側断面を概略的に示す。
【
図2】第1の実施例に従い、第1の導波路構造の平面断面を概略的に示す。
【
図3】第2の実施例に従い、第1の導波路構造の平面断面を概略的に示す。
【
図4】実施例に従い、第2の導波路構造の側断面を概略的に示す。
【
図5】実施例に従い、導波路構造の製造方法を示すフロー図である。
【
図6】実施例に従い、導波路構造の製造方法の一部として第1組のステップを示すフロー図である。
【
図7】実施例に従い、導波路構造の製造方法の一部として第2組のステップを示すフロー図である。
【
図8】実施例に従い、第3の導波路構造の側断面を概略的に示す。
【
図9】第3の実施例に従い、第1の導波路構造の平面断面を概略的に示す。
【
図10】第4の実施例に従い、第1の導波路構造の平面断面を概略的に示す。
【
図11】実施例に従い、第3の導波路構造の側断面を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本明細書に記載される実施例は、導波路構造及び導波路構造の製造方法に関する。
【0004】
用途に応じて、導波路構造は、使用される光の波長に対して特定の光路長を提供する必要がある場合がある。光路長は、光がたどる経路の幾何学的な長さと、その経路をたどる際に光が受ける屈折率との積である。光路長は、例えば、導波路構造の長さ(光伝播方向)または幅を変えることで変更され得る。ただし、導波路構造の物理的寸法を変更するには、光集積回路(PIC)の様々なコンポーネントの位置配置を慎重に考慮する必要があり、これによりPIC設計の柔軟性が低下する場合がある。
【0005】
本明細書に記載される実施例は、例えば導波路層内(層内で光が閉じ込められて伝播する)の特定の光モードに対する実効屈折率を修正する1つ以上の導波路修正層を含む。これは、導波路構造の物理的寸法を変更することなく、これらのモードの光路長を調整可能であることを意味する。これにより、光路長を調整するために導波路構造の物理的寸法を変更する場合と比較して、PIC設計の柔軟性が高まる。また、1つ以上の導波路修正層は、所望により、導波路層内の光の特定のモードに影響を与え、他のモードには実質的に同様の影響を及ぼさないように配置することができる。これにより、導波路構造の用途の柔軟性を高めることができる。
【0006】
図1は、実施例に従い、導波路構造100の側断面を概略的に示す。導波路構造100は、基板102と、基板102上の導波路層104とを備える。いくつかの実施例において、基板102は、リン化インジウム(InP)、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、またはアンチモン化ガリウム(GaSb)などのいわゆるIII-V族半導体化合物を含む。その他の実施例において、基板は窒化物系材料またはシリコン系材料を含む。以下の実施例は、InPを含む基板に関するものである。
【0007】
本明細書に記載される実施例において、基板102は主にInPを含む。いくつかの実施例において、基板102は純粋なInPである(許容される純度許容範囲内)。その他の実施例において、基板102はドーパントまたは不純物などのその他の材料を含み、その材料は少なくとも99%のInPを含む。例えば、基板102は、基板がn型ドープされたとみなされるようにドーパント材料でドープされるか、または基板102は、基板102がp型ドープされたとみなされるようにドーパント材料でドープされるか、または基板102は、基板102が半絶縁性であるとみなされるようにドーパント材料でドープされる。
【0008】
導波路層104は、基板102の材料よりも高い屈折率を有する材料を含む。例えば、導波路層104は、インジウムガリウムヒ素リン化物(InGaAsP)を含む。より一般的には、いくつかの実施形態において、導波路層104は(Al)InGaAs(P)を含む。括弧内に示された要素は交換可能であり、異なる要素の組成は、所望する機能に応じて選択される。例えば、InGaAsにおけるGa及びAsの組成は、所望するバンドギャップに従って選択することができる。いくつかの実施例において、導波路層104は(Al)InGaAs(P)の層である。その他の実施例において、導波路層104は複数の副層を含む。いくつかのかかる実施例において、導波路層104は、基板102と接触する(Al)InGaAs(P)/(Al)InGaAs(P)多重量子井戸構造を含む。いくつかの実施例において、副層の厚さは5~20ナノメートルである。導波路層104の副層スタックは、導波路構造100の所望する用途に従って選択されるバンドギャップを有する。実施例において、導波路層104は、500ナノメートルの厚さ(
図1に対して垂直方向)を有する(ただし、導波路層104の厚さ及び組成は、所望する用途に依存することが理解されよう)。
【0009】
したがって、当業者であれば理解可能なように、例えばInGaAsPのバンドギャップ及び屈折率は、調整可能である。いくつかの実施例において、導波路層104のInGaAsPのバンドギャップは、1250ナノメートルの波長に調整される。その他の実施例において、バンドギャップが調整される波長は異なる。
【0010】
導波路層104は光を導くためのものである。使用中、光は導波路層104内を伝播し、導波路層104の境界での反射により、例えば
図1に示すように、垂直方向及び水平方向に導波路層104内に閉じ込められる。導波路層104は、光の閉じ込めを所望する境界で導波路層104と接触する材料の屈折率よりも高い屈折率を有する。例えば、光の閉じ込めを所望する境界での本屈折率差により、導波路層104のこれらの境界での入射角が臨界角よりも大きい場合、内部全反射が起こる。このようにして、導波路層104は光の伝播を導く。当業者であれば理解可能なように、特定の光学モードが導波路層104内を伝播するためには、導波路層104の境界で反射された光が、建設的干渉の条件を満たすことが所望される。
【0011】
例えば、導波路構造100の所望する用途に応じて、特定の光学モードの光が導波路層104を通って伝播することが所望される。光学モードが導波路層104内を伝播する方向を、本明細書では光伝播方向と呼ぶ。光伝播方向は、光学モードのエネルギーが導波路層104を通って伝わる一般的な方向であり、必ずしも、例えば、導波路層104の境界での入射角によって規定される方向ではない。
【0012】
導波路構造100は、導波路層104の第1の側面108に接触するクラッド層106を含み、導波路層104は、クラッド層106と基板102との間にある。導波路層104の第1の側面108は、基板102と接触する導波路層104の側面の反対側の側面である。
図1に示される配向を参照して、導波路層104の第1の側面108を、以下、導波路層104の上側108と呼ぶ。
【0013】
例えばクラッド層106は、使用される基板に応じて、リン化インジウム(InP)、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、またはアンチモン化ガリウム(GaSb)などのIII-V族半導体化合物を含む。これらの実施形態において、クラッド層106は主にInPを含む。これは、基板102に関しては、クラッド層106の材料が主にInPを含むことを意味する。基板102の場合と同様に、クラッド層106の材料は少なくとも99%のInPを含み、例えば、真性(ドープされていない)、n型ドープ、p型ドープ、または半絶縁であるとみなされる。いくつかの実施例において、所望する用途がアクティブなPICの部品を使用する場合、クラッド層は、例えば電力の伝送を可能にするためにドープ(例えば、p型ドープ)される。本明細書に記載される実施例において、クラッド層106は真性InPを含む。
【0014】
導波路構造100は、導波路層104の導波路機能を修正するための第1の材料を含む第1の導波路修正層110を含む。導波路修正層110の存在は、導波路修正層104が存在しない場合と比較して、導波路層104内で光が伝播する方法を修正する。以下の実施例では、第1の導波路修正層(第1の材料を含む)の存在により、導波路層104の実効屈折率が修正される。本明細書で使用されるとおり、実効屈折率は、導波路層104内を伝播する光が受ける屈折率である。実効屈折率は、例えば、導波路層単独の屈折率(例えば、導波路層104に含まれる材料の屈折率)である必要はない。導波路層104の近傍の他の材料も、光学モードの一部がこの材料と重なるため、導波路層104内を伝播する光が受ける屈折率に影響を与える場合がある。導波路層104の近傍にどのような材料があるかに応じて、導波路層104内の光の実効屈折率は異なる場合がある。例えば、実効屈折率は、導波路構造100全体に依存する。実効屈折率が光の波長を含むパラメータに依存し、対象となる特定の光学モードにも依存することは、当業者に理解されよう。
【0015】
第1の材料を含む層(例えば、第1の導波路修正層110)を導波路層104の近くに導入することによって、導波路層104内を伝播する光の実効屈折率を修正することができる。本明細書で使用されるとおり、修正された実効屈折率は、第1の導波路修正層110などの導波路修正層の存在により修正された実効屈折率である。
【0016】
例えば、第1の導波路修正層110が存在する場合、光は、まるで影響を受ける屈折率が修正実効屈折率であるかのように、(
図1に示す配向に対して)第1の導波路修正層110の下にある導波路層104の部分内を伝播する。例えば、第1の導波路修正層110の下にある導波路層104の部分で建設的干渉が生じる導波路層104を通って伝播する光学モードは、まるで影響を受ける屈折率が修正された実効屈折率であるかのように伝播する。実効屈折率を修正することは、何らかの方法で導波路層104を物理的に修正することを意味するものではない。代わりに、実効屈折率は、導波路層104に近い第1の導波路修正層110の存在により、第1の導波路修正層110の下にある導波路層104の部分を光が伝播する際の屈折率である。
【0017】
第1の材料は、クラッド層106の材料とは異なる屈折率を有する。本明細書に記載される実施例において、導波路修正層110は、導波路層104と同じ材料(第1の材料)を含む。他の実施例において、第1の材料は、導波路層104の材料とは異なる材料である。いくつかの実施例において、第1の材料は導波路層104の材料とは異なり、導波路層104の材料と実質的に(許容誤差内で)同じ屈折率を有する。いくつかの実施例において、第1の材料は、導波路層104の材料の屈折率よりも高い屈折率を有する。その他の実施例において、第1の材料は、導波路層104の材料の屈折率よりも低い屈折率を有する。
【0018】
第1の導波路修正層110は、クラッド層106と接触している。第1の導波路修正層110は、クラッド層106の第1の軸114に平行な幅(W2)より小さい、第1の軸114に沿った幅(W1)を有する。第1の軸114は、導波路層104内の光伝播方向に対応する第2の軸(
図2及び
図3にて参照番号202で示す)に対して垂直である。
図1の実施例において、記号112で示すように、光の伝播方向がページ内に向かうような側断面図が示されている。
【0019】
第1の軸114に沿った導波路修正層110の幅が、第1の軸114に平行なクラッド層106の幅より小さいため、導波路修正層104がその上に(
図1に示す配向で)第1の材料を有する導波路修正層104の領域と、導波路修正層104がその上に第1の材料を有さない導波路修正層104の領域とが存在する。したがって、導波路修正層104がその上に第1の材料を有する領域内で建設的干渉が生じる光学モードの実効屈折率は、導波路修正層104がその上に第1の材料を有さない領域内で建設的干渉が生じる光学モードの実効屈折率とは実質的に(許容誤差内で)異なる。
【0020】
光の異なるモードが、第1の軸114に平行な方向に沿った導波路層104の異なる位置に建設的干渉ピークを有することは、当業者に理解されよう。第1の導波路修正層110は、実効屈折率が修正される特定の光モードに従って、第1の軸114に沿った幅に関して位置及び寸法が決定され得る。
【0021】
図1の実施例において、第1の導波路修正層110は、(
図1に示される配向に対して)導波路層104の左側部分の上に配置される。したがって、導波路層104の左側部分で建設的干渉が生じる光のモードの実効屈折率は、これらの実施例では修正される。第1の軸114に沿った第1の導波路修正層110の位置は、これらの実施例に限定されるものではないことに留意されたい。導波路修正層の数、位置、大きさまたは形状は、
図1に示される実施例に限定されるものではない。多くの実施例のうちの1つとして、第1の導波路修正層110は、導波路修正層104の(第1の軸114に平行な方向に対して)中心の上に位置する。
【0022】
図1の実施例において、導波路構造100は、第1の材料を含む第1の軸114上に複数の導波路修正層を含む。第1の軸114上の複数の導波路修正層は、第1の導波路修正層110を含む。第1の軸114上の複数の導波路修正層はクラッド層106と接触しており、互いに離隔している。より具体的には、
図1の実施例において、第1の軸114上に、第1の導波路修正層110を含む2つの導波路修正層が存在する。その他の実施例において、第1の軸上の導波路修正層は、導波路構造100の用途に応じて、
図1の実施例とは異なり、第1の軸114に沿った幅に関して位置及び寸法が決定される。いくつかの実施例において、第1の軸114上に、クラッド層106と接触し、かつ互いに離隔した3つ以上の導波路修正層が存在する。
【0023】
図1の特定の実施例において、導波路構造100は、導波路層の導波路機能を修正するための第1の材料を含む第1の軸114上に第1の導波路修正層110と第2の導波路修正層116とを含み、第1の軸114上の第1及び第2の導波路修正層は、クラッド層106と接触し、かつ互いに離隔している。第2の導波路修正層116は、(
図1に示される配向に対して)導波路層104の右側部分の上に位置する。したがって、左側部分及び右側部分の導波路層104内で建設的干渉が生じる光のモードは、修正された実効屈折率を受けることになる。
【0024】
その他の実施例において、導波路修正層は1つだけである。例えば
図8は、実施例に従い、導波路構造800の側断面を概略的に示す。
図8において、
図1に示す特徴に対応する特徴には、末尾に追加の数字「-8」を付けた同様の参照番号が付けられている。導波路構造800は、第1の軸114-8上に第1の導波路修正層110-8のみを含み、第1の軸114-8上に他の導波路修正層を含まない。これらの実施例において、第1の導波路修正層110-8は、第1の軸114-8の方向で、導波路層104-8に対して中央に位置する。第1の導波路修正層110-8の位置及び幅は、導波路構造800の特定の用途に基づいて選択される。
【0025】
本明細書に記載される実施例において、導波路構造100は、導波路層104の上面108と重なるクラッド層106の側面の1つ以上の部分118と接触する第2の材料を含み、1つ以上の部分118は第1の材料と接触しない。導波路層104の上面108と重なるクラッド層106の側面は、
図1に示すように、クラッド層106の上面である。換言すると、1つ以上の部分118は、
図1に示すように、それらの上に第1の材料を有さないクラッド層106の部分である。したがって第2の材料は、第1の導波路修正層110と接触する第1の軸114上に位置する。第1の軸114上に複数の導波路修正層を有する実施例において、第2の材料は、第1の軸114上の複数の導波路修正層の間の空間を満たす。
【0026】
本明細書に記載される実施例において、クラッド層は第2の材料を含む。その他の実施例において、第2の材料は、クラッド層106の材料とは異なる材料である。第2の材料は、第1の導波路修正層110の上面と同じ高さまで延在する。その他の実施例において、第2の材料は省略される。例えば、第1の導波路修正層110は、第1の軸114に沿った位置に沿って空気またはその他の材料との境界を形成する。
【0027】
更に、本明細書に記載される実施例において、第2の材料は、導波路層104の上面108と重なる第1の導波路修正層110の側面120と接触している。側面120は、第1の導波路修正層110の上面120である。第1の軸114上に複数の導波路修正層を含む実施例において、第2の材料は、第1の軸114上の複数の導波路修正層の導波路修正層のそれぞれの上側と接触している。いくつかの実施例において、第1の導波路修正層110の上面120と接触する第2の材料以外の材料が存在する。いくつかの実施例において、異なる濃度のドーパントを有する材料は、第1の導波路修正層110の上面120と接触する。いくつかの実施例において、実質的に(許容誤差内で)均一なドーパント濃度の、第1の導波路修正層110の上面120に接触する材料が存在する。その他の実施例において、第1の導波路修正層110の上面120と接触する上部セクションは、ドーパントの濃度勾配を有する。例えば、上部セクションのドーパント濃度は、導波路層104からの距離とともに増加する。
【0028】
いくつかの特定の実施例において、上部セクションは、第1の導波路修正層110の上面120に接触する真性半導体層(例えば、厚さ170ナノメートルのInP)(図示せず)と、真性半導体層の上面に接触する第1のp型ドープされた上部セクション層(例えば、厚さ170ナノメートルのp型ドープされたInP)と、第1のp型ドープされたセクション層の上面と接触する第2のp型ドープされた上部セクション層(例えば、第1のp型ドープされた上部セクション層よりも高いドーパント濃度を有する厚さ1000ナノメートルのp型ドープされたInP)とを含む。いくつかのかかる実施例において、上部セクションは、第2のp型ドープされた上部セクション層の上面と接触する接触層を含む。接触層は、半導体構造に電荷キャリアを注入するためのものである。
【0029】
その他の実施例において、第1の導波路修正層110の上面120と接触する半導体材料はない。例えば、第1の導波路修正層110の上面120は、空気、誘電材料、金属または磁性材料との境界を形成する。
【0030】
図2は、実施例に従い、導波路構造100Aの平面断面を概略的に示す。導波路構造100Aは、
図1に示す導波路構造100の具体的な実施例を示す。
図2の断面図は、第1の導波路修正層110の上面120での、
図1に示す線A-Aに沿ったものである。
図2において、
図1に示す特徴の具体的な実施例には、末尾に「a」の文字を追加した同様の参照番号が付けられている。
【0031】
導波路層104内の光伝播方向に対応する第2の軸が
図2に示されており、参照番号202が付けられている。
図2の実施例において、第1の導波路修正層110aは、第1の軸114aに沿った第1の導波路修正層110aの幅(W1a)とは異なる、第3の軸204に沿った幅(W3)を有する。第3の軸204は、第2の軸202に対して垂直であり、第1の軸114aから離隔している。換言すると、第3の軸204は、第2の軸202に対して第1の軸114aとは異なる位置にある。このようにして、第1の導波路修正層110aの幅は、第2の軸202に沿った位置に対してテーパする。
【0032】
図2の実施例において、第1の軸114a上の第2の導波路修正層116aの幅も、第2の軸202に沿った位置に対してテーパする。これらの実施例において、第1の導波路修正層110aの幅のテーパ量は、第2の導波路修正層116aの幅のテーパ量と実質的に(許容誤差内で)同じである。その他の実施例において、第1の導波路修正層110aと第2の導波路修正層116aの幅は異なってテーパする(または、例えば一方の幅はテーパし、他方の幅はテーパしない)。第1の導波路修正層110aの幅がテーパするいくつかの実施例において、更なる導波路修正層はない。
【0033】
例えば上述したテーパは、導波路層104a内を伝播する光の実効屈折率の、所望する特定の修正に従って選択される。
図2の実施例において、修正層の1つの幅から別の幅への線形遷移があるという点で、テーパは線形であるとみなしてもよい。しかし他の実施例において、第1の導波路修正層110aの幅の変化は、所望する用途に応じて非線形、例えば階段状であってもよい。
【0034】
図3は、実施例に従い、導波路構造100Bの平面断面を概略的に示す。導波路構造100Bは、
図1に示す導波路構造100の具体的な実施例を示す。
図3の断面図は、第1の導波路修正層110の上面120での、
図1に示す線A-Aに沿ったものである。
図3では、上記の特徴に対応する特徴には、末尾に「b」の文字が付いた同様の参照番号が付けられている。
【0035】
導波路構造100Bは、第1の材料を含む第3の導波路修正層302を含む。第3の導波路修正層302は、クラッド層106bと接触している。第3の導波路修正層302は、第3の軸204b上に位置する。これらの実施例において、第3の軸204bに沿った第3の導波路修正層302の幅(W4)は、クラッド層106bの第3の軸204bに平行な幅よりも小さい。
図3の実施例において、第1の導波路修正層110bの幅(W1b)は、(許容誤差内で)第3の導波路修正層302の幅(W4)と実質的に同じである(幅は、第1の導波路修正層110bの場合は第1の軸114bに沿って測定され、第3の導波路修正層302の場合は第1の軸114bに対して平行な第3の軸204bに沿って測定される)。
図3の実施例は、特定の光学モードのフィルタリングを所望する場合に使用してもよい。
【0036】
図9は、導波路構造100Cの側断面を概略的に示す。
図9において、上記の特徴に対応する特徴には、末尾に「c」の文字が付いた同様の参照番号が付けられている。これらの実施例において、第1の導波路修正層110cの幅(W1c)は、第3の導波路修正層302cの幅(W4c)とは異なる。実施例において、第3の導波路修正層302cは、対象となる導波路構造の意図する用途に応じて任意の幅を有する。
図3の実施例において、第1の導波路修正層110bの位置は、第1の軸114bに平行な方向に対して、第3の導波路修正層302の位置と位置合わせされている。その他の実施例において、第1の導波路修正層110bと第3の導波路修正層302はさほど位置合わせされていない。
【0037】
再び
図3を参照すると、これらの実施例において、導波路構造100Bは、第1の材料を含む第3の軸204b上に、クラッド層106bと接触し、互いに離隔した複数の導波路修正層を含む。第3の軸204b上の複数の導波路修正層は、第3の導波路修正層302を含む。より具体的には、
図3の実施例において、導波路構造100Bは、導波路層の導波路機能を修正するための第1の材料を含む第3の軸204b上に第4の導波路修正層304を含み、第3及び第4の導波路修正層はクラッド層と接触し、かつ互いに離隔している。その他の実施例において、導波路構造100Bは、第3の軸204b上に第3の導波路修正層302のみを含む(他の導波路修正層は含まない)。いくつかの実施例において、導波路構造100Bは、第3の軸204b上に互いに離隔した3つ以上の導波路修正層を含む。
【0038】
図10は、実施例に従う、導波路構造100Dの側断面を概略的に示す。
図10において、上記の特徴に対応する特徴には、末尾に「d」の文字が付いた同様の参照番号が付けられている。これらの実施例において、導波路構造100Dは、第1の導波路修正層110d及び第2の導波路修正層116dのみを含む。これらの実施例において、第1の導波路修正層110d及び第2の導波路修正層116dは、導波路構造100Dの全長に沿って延在する。これらの実施例において、第1の軸114dに平行な方向における第1の導波路修正層110dの幅と、第1の軸114dに平行な方向における第2の導波路修正層116dの幅は、第2の軸202dに沿った位置に対して変化しない。
【0039】
1つ以上の導波路修正層の様々な実施例を記載してきた。記載された実施例において、第1の材料で被覆されていないクラッド層106上の空間は、第2の軸に平行な導波路構造の全長に沿って第2の材料で充填される。例えば、導波路構造100Aの場合、第1の軸114上の第1の導波路修正層110と第2の導波路修正層116との間の空間は、第2の材料を含む。例えば、導波路構造100Bの場合、第1の導波路修正層110bと、第1の軸114b上の第2の導波路修正層116bと、第3の軸204b上の第3の導波路修正層302と第4の導波路修正層304との間の空間は、第2の材料で充填されている。第1の材料を含まない導波路修正層と同じ平面内の空間には、第2の材料が含まれる。
【0040】
再び
図1を参照すると、導波路構造100は、深い導波路構造と呼ばれ得るものの実施例を表す。例えば、導波路構造100などの深い導波路構造を製造するために、材料を除去して、上部セクションから開始し、基板102の上面を超える、第2の軸202に平行な導波路構造の側面を形成する。
【0041】
図4は、実施例に従う、導波路構造400の側断面を概略的に示す。
図4において、
図1に示す特徴に対応する特徴には、末尾に追加の数字「-4」を付けた同様の参照番号が付けられている。導波路構造400は、導波路構造400が浅い導波路構造と呼ばれ得るものである場合を除いて、導波路構造100に関して上述した特徴の任意の組み合わせを備えてもよい。例えば、導波路構造400などの浅い導波路構造を製造するために、材料を除去して、上部セクションから開始し、導波路層104-4の底面までその全てを除去することなく導波路層104-4の少なくとも上面まで第2の軸202に平行な、導波路構造の側面を形成する(例えば材料は、導波路層104-4の上面のわずかに下まで除去される)。
【0042】
導波路構造400において、導波路層104-4の上面108-4の一部はクラッド層106-4で被覆されておらず、導波路層104-4は深い導波路構造100と比較して幅が広い。導波路層104-4内で所望する光閉じ込め及び/または導波路層104-4内を伝播する所望する光のモードに応じて、深い導波路構造100または浅い導波路構造400が使用され得ることは、当業者に理解されよう。深い導波路構造がエッチング法を用いて製造され得ることも、当業者には理解されよう。より低い電子と正孔の非発光再結合を所望する場合は、浅い導波路構造が所望される場合がある。これは、導波路層のエッチング除去が少なくなると、導波路層の表面に生じる損傷が少なくなり、損傷した材料の欠陥による非発光再結合が減少し得るからである。これは、増幅器や検出器などの用途に対して所望される場合がる。浅い導波路構造では、エッチングされる導波路層の表面も少なくなる。これは、浅い導波路構造における光損失がより低いことを意味し、用途によっては、これを考慮して浅い導波路構造が所望される場合がある。
【0043】
一方、深い導波路構造は、より大きな横方向の閉じ込め(第1の軸114-8に平行な方向)を提供することができ、用途によっては、この特性を考慮して使用され得る。例えば横方向の閉じ込めが大きくなると、光学モードの調整特性が異なる場合がある。いくつかの実施例において、深い導波路構造は、導波路層の幅が狭く、光の伝播方向を変えるための曲げ半径が小さいため、PIC設計に柔軟性を与え得る。
【0044】
上述したように導波路修正層を用いて実効屈折率を修正すると、導波路構造の物理的寸法(例えば光伝播方向の長さ)を変更することなく、導波路構造の光路長を調整することが容易になる。これにより、例えば所望する光路長に従って導波路構造の長さを変える場合と比較して、PICの設計の柔軟性を高めることができる。
【0045】
更に実効屈折率は、導波路層104内の第1の軸114に平行な方向に沿った異なる位置に位置する特定の光のモードに合わせて調整することができる。したがって、記載された実施例によって解明される原理は、導波路層104内で第1の軸114に平行な方向において異なる位置にある光のモードに対して実効屈折率を変化させることを容易にする。
【0046】
導波路構造の様々な実施例を上述した。しかし、導波路修正層の数、大きさ(複数可)、形状(複数可)及び配置は、記載された実施例に限定されるものではない。導波路構造は、第2の軸202に平行な方向における少なくとも1つの位置において、導波路修正層が、クラッド層106の第1の軸114に平行な幅よりも小さい、第1の軸114に対して平行な幅を有するように、任意の数、形状及び配置の導波路修正層を含んでもよい。このようにして、実効屈折率は、第1の材料の下にある第1の軸114に平行な方向に沿って導波路層104内に位置するモードに対して変更することができる。したがって、導波路構造の特定の用途に応じて、多数の異なるパターンの導波路修正層を提供することができる。
【0047】
導波路層104と第1の導波路修正層110との間の距離は、導波路層104の導波路機能が修正される所望する大きさに従って選択される。この距離は第1の軸114に対して垂直で、かつ第2の軸202に対して垂直な方向に沿っている。換言すると、この距離は、第1の導波路修正層110と導波路層104との間のクラッド層106の厚さによって定義される。導波路修正層が導波路層104に近づくほど、導波路層104の実効屈折率の修正は大きくなる。実効屈折率を最大限修正するために、導波路修正層は、製造公差が許す限り導波路層104の近くに配置される。例えば、第1の導波路修正層110と導波路層104との間の距離は約30ナノメートルである。例えば、導波路修正層110がドライエッチング技術を使用して画定される場合、導波路層104がエッチングの影響を受けないように、クラッド層106がエッチング速度の変動を補正するのに十分な厚さであることが所望される。
【0048】
いくつかの実施例において、導波路修正層の厚さは、対象となる導波路修正層が上に存在する導波路層104内の第1の軸114に平行な位置での実効屈折率の修正の大きさに影響を与える。したがって、いくつかの実施例において、1つ以上の導波路修正層の厚さは、実効屈折率の所望する修正の大きさに従って選択される。いくつかの実施例において、導波路層の厚さは30ナノメートルである。
【0049】
いくつかの実施例において、更なる導波路修正層が、第1の軸114に垂直な方向及び第2の軸202に垂直な方向に、導波路層104から異なる距離で設けられる。更なる導波路修正層は、所望する光のモードの実効屈折率を修正するように配置され得る。上に記載したとおり、導波路層104からの導波路修正層の距離は、実効屈折率が修正される大きさに影響を与える。したがって、光の異なるモードに対する実効屈折率は、様々な程度に変更することができる。
【0050】
いくつかの実施例において、導波路層104から特定の距離にある導波路修正層は、導波路層104からその特定の距離とは異なる距離にある導波路修正層に近接または接触している。その他の実施例において、導波路層104から特定の距離にある導波路修正層は、第1の軸114に垂直な方向及び第2の軸202に垂直な方向に、他の導波路修正層から離隔される。
【0051】
図11は、実施例に従い、導波路構造1100の側断面を概略的に示す。
図11において、
図1に示す特徴に対応する特徴には、末尾に追加の数字「-11」を付けた同様の参照番号が付けられている。導波路構造1100は、上述した導波路構造100の実施例の特徴の任意の組み合わせを含む。いくつかの実施例において、導波路構造1100は、上述した導波路構造400の実施例の特徴の任意の組み合わせを含む。更にこれらの実施例において、導波路構造1100は、第1の導波路修正層110-11とは異なる導波路層104-11からの距離(第1の軸114-11に垂直であり、かつ光伝播の(112-11で示す)方向に対応する第2の軸に垂直)で導波路修正層を含む。これらの実施例において、導波路構造1100は、第1の導波路修正層110-11及び第2の導波路修正層116-11より更に離れた導波路層104-11からの距離に、第5の導波路修正層1102及び第6の導波路修正層1104を含む。その他の実施例において、意図した用途に応じて、導波路層104-11から任意の数の距離に1つ以上の導波路修正層があってもよい。
【0052】
図11の実施例において、導波路層104-11から異なる距離にある導波路修正層間の空間は、第2の材料を含む。いくつかの実施例において、導波路層104-11から第1の距離にある導波路修正層は、導波路層104-11から第2の距離にある導波路修正層とは異なる材料を含む。様々な導波路修正層の数、大きさ(複数可)、形状(複数可)、配置及び材料(複数可)は、導波路構造1100の用途に従って選択される。
【0053】
導波路修正層の配置の様々な実施例を上述した。更に、特許請求の範囲によるいくつかの実施例において、導波路修正層は、用途に応じて選択された周期性で(第1の軸及び/または第2の軸に平行な方向に沿って)周期的に繰り返すように配置されてもよい。例えば周期性は、特定の構造(例えば、フォトニック結晶)に対応するように選択される。周期性は、実効屈折率の修正に加えて、フィルター、反射板などを提供するといった用途に含めてもよい。
【0054】
導波路構造の記載された実施例の境界は、空気、誘電体材料、金属または磁性体と接触してもよい。いくつかの実施例において、導波路構造は、上述されていない層を備える。
【0055】
図5は、上述した実施例のいずれかによる導波路構造など、導波路構造を製造する方法500を示すフロー図である。方法500は、導波路構造の上述した実施例を参照して記載される。基板は、例えば基板102である。ブロック502では、基板102上に導波路層104を少なくとも部分的に形成するために、第1の層が基板上に堆積される。例えば第1の層は、導波路層104を少なくとも部分的に形成するために基板102上に堆積される導波路層104の材料を含む。導波路層104が2つ以上の材料を含む実施例において(例えば、導波路層104が(Al)InGaAs(P)/(Al)InGaAs(P)多重量子井戸構造などの複数の副層を含む場合)、関連する材料は、例えば、導波路層104を少なくとも部分的に形成するために適切な順序で堆積される。
【0056】
方法500のブロック504では、導波路層104と接触してクラッド層106を少なくとも部分的に形成するために、第2の層材料が第1の層と接触して堆積される。第2の層材料は、例えば、上述したクラッド層106に含まれる材料である。例えば第2の層材料は、導波路構造100及び400に関連して上述した第2の材料である。以下、第2の層材料を第2の材料と呼ぶ。第2の材料は、導波路層104が形成されると、導波路層104がクラッド層106と基板102との間に位置するように堆積される。
【0057】
ブロック506では、導波路修正層材料が第2の層と接触して堆積される。導波路修正層材料は、例えば、上述した第1の材料である。以下、導波路修正層材料を第1の材料と呼ぶ。第1の材料は、第1の導波路修正層110が、クラッド層106の第1の軸114に平行な幅よりも小さい第1の軸114(上述したとおり、導波路層104内の光伝播方向に対応する第2の軸202に垂直)に沿った幅を有するように、クラッド層106と接触する第1の導波路修正層110を少なくとも部分的に形成するために堆積される。
【0058】
図6は、方法500の更なる具体的な実施例600を示すフロー図である。方法600は、第1の導波路修正層110を少なくとも部分的に形成する具体的な実施例を示す。これらの実施例において、第2の材料の高さが、クラッド層106の高さに第1の導波路修正層110の高さを加えたものに実質的に(許容誤差内で)等しくなるような量の第2の材料が第1の層上に堆積される(
図1参照)。ブロック602では、第1の導波路修正層110用の第1の材料を堆積する前に(ブロック504と506との間)、第2の材料から1つ以上の部分が除去される。本明細書で使用されるとおり、層の厚さは、第1の軸114に垂直な方向及び第2の軸202に垂直な方向の寸法である。除去される1つ以上の部分は、第1の層と接触して堆積される第2の材料の厚さよりも薄い厚さを有する。したがって、除去される1つ以上の部分の厚さは、1つ以上の部分の除去の結果として第1の層が露出しないような厚さである。
【0059】
1つ以上の除去された部分の厚さは、第1の導波路修正層110の所望する厚さに応じて選択される。方法600のブロック604では、第2の材料の1つ以上の部分を除去することによって生じた1つ以上の空間に第1の材料が堆積される。例えば第1の材料は、第1の材料の厚さが、ブロック602で第2の材料が除去されない位置での第2の材料の厚さと実質的に(許容誤差内で)同じになるように堆積される。
【0060】
除去される第2の材料の部分の数は、所望する導波路修正層の数に依存する。除去される第2の材料の部分の大きさ(複数可)、形状(複数可)及び配置は、導波路修正層の所望する大きさ(複数可)、形状(複数可)及び配置に依存する。導波路構造が第1の導波路修正層110のみを含む実施例において、第2の材料の一部が除去され、対応する空間が第1の材料で充填される。
【0061】
図7は、方法500のより具体的な実施例700を示すフロー図である。方法700による実施例は、
図6を参照して記載した方法600による実施例の代替である。方法700は、第1の導波路修正層110を少なくとも部分的に形成する具体的な実施例を示す。これらの実施例において、第1の材料は、第1の層と接触して堆積された第2の材料の上面全体の上に堆積される。方法700のブロック702では、第2の材料(第2の層材料)の1つ以上の露出部分をそれぞれ作成するために、第1の材料(導波路修正層材料)の1つ以上の部分が除去される。方法700のブロック704では、第2の材料が、第2の層材料の1つ以上の露出部分の上に堆積される。
【0062】
図6の方法600及び
図7の方法700のいずれかが、間に第2の材料を有する導波路修正層を含む導波路構造の部分を少なくとも部分的に形成するために使用される。方法600と同様に、方法700でも、除去される導波路層材料(第1の材料)の1つ以上の部分の数、大きさ、形状及び配置は、導波路構造の用途に応じて、導波路修正層の所望する数、大きさ、形状及び配置に依存する。
【0063】
導波路修正層の上面が材料で被覆されるいくつかの実施例において、第2の層材料は、第2の材料を含む導波路構造の上部セクションを少なくとも部分的に形成するために、第1の材料の上に堆積される。
【0064】
図6及び
図7を参照した上記の説明では、少なくとも部分的に層を形成することに言及している。いくつかの実施例において、このように言及される層は、単に関連する材料を堆積することで形成される。例えばクラッド層106は、更なるステップを必要とせずに、単に第2の材料を堆積することで形成される。その他の実施例において、層の形成を完了するために更なるステップが実行される(例えば、硬化ステップなど)。いくつかの実施例において、層の形成を完了するための更なるステップは、対象となる層の上に更に材料が堆積される前に実行される。その他の実施例において、層の形成を完了するための更なるステップは、対象となる層の上に更に材料が堆積された後に実行される。
【0065】
導波路構造100などの深い導波路構造を製造するために、材料を除去して、上部セクションから開始し、基板102の上面を超える、第2の軸202に平行な導波路構造の側面を形成する。導波路構造400などの浅い導波路構造を製造するために、材料を除去して、上部セクションから開始し、導波路層104-4の底面までその全てを除去することなく導波路層104-4の少なくとも上面まで第2の軸202に平行な、導波路構造の側面を形成する(例えば材料は、導波路層104-4の上面のわずかに下まで除去される)。
【0066】
記載された実施例に従って、材料を堆積するために様々な技術が使用され得ることは、当業者に理解されよう。このような技術には、例えば、有機金属化学気相エピタキシー法(MOVPE)または分子線エピタキシー法(MBE)などの化学蒸着技術が含まれる。記載された実施例に従って、材料を除去するためにエッチング技術が使用されることは、当業者に理解されよう。例えば、ドライエッチング技術またはウェットエッチング技術が用いられる。例えば、パターン化されたマスクが使用される。
【0067】
いくつかの実施例において、記載された実施例のいずれかによる導波路構造を備えるPICが提供される。
【0068】
上記の実施例は、発明の説明目的の実施例として理解されるべきである。任意の1つの実施例に関連して記載される任意の特徴は、単独で、または記載した他の特徴と組み合わせて使用されてよく、また、他の任意の実施例の1つまたは複数の特徴、または他の任意の実施例の任意の組み合わせと組み合わせて使用されてもよいことは理解されたい。更に、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、上述されていない同等物及び修正が採用されてもよい。
【国際調査報告】