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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】電磁鋼板およびその積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/095 20060101AFI20231228BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20231228BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20231228BHJP
   B32B 15/18 20060101ALI20231228BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20231228BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20231228BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20231228BHJP
   C21D 8/12 20060101ALI20231228BHJP
   H01F 1/147 20060101ALI20231228BHJP
   H01F 27/245 20060101ALI20231228BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B32B15/095
B05D7/14 H
B05D7/24 302T
B32B15/18
C09D175/04
C09D7/61
C09D7/63
C21D8/12 A
H01F1/147 183
H01F27/245 150
H01F41/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537975
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 KR2021019226
(87)【国際公開番号】W WO2022139338
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0180972
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハ, ボンウ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】ソ, カン
(72)【発明者】
【氏名】カン, デギュ
(72)【発明者】
【氏名】ノ, テヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ, ドンギュ
(72)【発明者】
【氏名】パク, ギョンリョル
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4J038
4K033
5E041
5E062
【Fターム(参考)】
4D075CA03
4D075DA06
4D075DB03
4D075DC18
4D075EB38
4F100AA20C
4F100AB06A
4F100AB06B
4F100AK51C
4F100BA02
4F100BA03
4F100CA02C
4F100CC00C
4F100DE01C
4F100EJ37C
4F100EJ67C
4F100GB41
4F100JK02C
4F100JK07C
4J038DG131
4J038DG261
4J038JC30
4J038KA03
4J038KA08
4J038KA20
4J038MA09
4J038NA12
4J038PB09
4J038PC02
4K033AA01
4K033AA02
4K033QA02
4K033RA03
4K033RA04
4K033SA04
5E041AA02
5E041BC05
5E041BD09
5E041CA04
5E041NN05
5E062AC06
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の締結方法を用いずに、電磁鋼板を接着(締結)できるコーティング層を形成した電磁鋼板およびその積層体を提供することである。
【解決手段】本発明の電磁鋼板は、電磁鋼板と、前記電磁鋼板上に位置するポリウレタンコーティング層とを含み、前記ポリウレタンコーティング層の反発弾性率は5~30%であることを特徴とする。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁鋼板と、
前記電磁鋼板上に位置するポリウレタンコーティング層とを含み、
前記ポリウレタンコーティング層の反発弾性率は5~30%であることを特徴とする電磁鋼板。
【請求項2】
前記ポリウレタンコーティング層は、引張強度が50~70MPaであることを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板。
【請求項3】
前記ポリウレタンコーティング層は、延伸率が150~250%であることを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板。
【請求項4】
前記ポリウレタンコーティング層は、有機粒子、無機粒子、またはこれらの組み合わせを含むものであることを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板。
【請求項5】
前記ポリウレタンコーティング層中の、有機粒子、無機粒子、またはこれらの組み合わせの合計は、全体コーティング層100重量%基準で0超過および20重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板。
【請求項6】
前記ポリウレタンコーティング層は、接着樹脂およびボンディング添加剤を含み、
前記接着樹脂は、ジイソシアネートモノマーおよびポリオールが反応して形成されるポリウレタンである、請求項1に記載の電磁鋼板。
【請求項7】
前記ボンディング添加剤は、カップリング剤、湿潤剤、硬化剤、および硬化触媒からなる群より選択された1種以上であることを特徴とする請求項6に記載の電磁鋼板。
【請求項8】
前記ジイソシアネートモノマーは、芳香族ジイソシアネートモノマー、脂肪族ジイソシアネートモノマー、またはこれらの混合を含むことを特徴とする請求項6に記載の電磁鋼板。
【請求項9】
前記芳香族ジイソシアネートモノマーは、下記の化学式1、化学式2、またはその組み合わせであることを特徴とする請求項8に記載の電磁鋼板。
【化1】
【化2】
前記化学式1において、
~R10は、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C20アリール基、置換もしくは非置換のC5~C20ヘテロアリール基、またはイソシアネート基であり、
~Rのいずれか1つは、イソシアネートであり、R~R10のいずれか1つは、イソシアネートであり、
およびRが同時にイソシアネートである場合は除外され、
Lは、置換もしくは非置換のC1~C10アルキレン基、置換もしくは非置換のC2~C10アルキニレン基、置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基、または置換もしくは非置換のC5~C20ヘテロアリーレン基であり、
nは、1~10のいずれか1つの整数であり、
前記化学式2において、
11~R16は、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C20アリール基、または置換もしくは非置換のC5~C20ヘテロアリール基、イソシアネート基、または置換もしくは非置換のC1~C10アルキルイソシアネート基であり、R11~R16の少なくとも2つは、イソシアネート、または置換もしくは非置換のC1~C10アルキルイソシアネートである。
【請求項10】
前記脂肪族ジイソシアネートモノマーは、下記の化学式3であることを特徴とする請求項8に記載の電磁鋼板。
【化3】
前記化学式3において、
Rは、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、または置換もしくは非置換のC3~C12シクロアルキル基である。
【請求項11】
複数の電磁鋼板と、
前記電磁鋼板の間に位置するポリウレタンコーティング層とを含み、
前記ポリウレタンコーティング層の反発弾性率が5~30%である積層体。
【請求項12】
前記ポリウレタンコーティング層は、引張強度が50~70MPaであることを特徴とする請求項11に記載の積層体。
【請求項13】
前記ポリウレタンコーティング層は、延伸率が150~250%であることを特徴とする請求項11に記載の積層体。
【請求項14】
前記ポリウレタンコーティング層は、有機粒子、無機粒子、またはこれらの組み合わせを含むものであることを特徴とする請求項11に記載の積層体。
【請求項15】
前記ポリウレタンコーティング層中の、有機粒子、無機粒子、またはこれらの組み合わせの合計は、全体コーティング層100重量%基準で0超過および20重量%以下であることを特徴とする請求項11に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電磁鋼板およびその積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
無方向性電磁鋼板は、圧延板上のすべての方向に磁気的特性が均一な鋼板で、モータ、発電機の鉄心、電動機、小型変圧器などに幅広く用いられている。
【0003】
電磁鋼板は、打抜加工後、磁気的特性の向上のために応力除去焼鈍(SRA)を実施しなければならないものと、応力除去焼鈍による磁気的特性効果より熱処理による費用損失が大きい場合に応力除去焼鈍を省略するものと、の2つの形態に区分される。
【0004】
絶縁被膜は、モータ、発電機の鉄心、電動機、小型変圧器など積層体の仕上げ製造工程でコーティングされる被膜であって、通常、渦電流の発生を抑制させる電気的特性が要求される。その他にも、連続打抜加工性、耐粘着性および表面密着性などが要求される。連続打抜加工性とは、所定の形状に打抜加工後、多数を積層して鉄心を作る時、金型の摩耗を抑制する能力を意味する。耐粘着性とは、鋼板の加工応力を除去して磁気的特性を回復させる応力除去焼鈍過程後、鉄心鋼板間の密着しない能力を意味する。
このような基本的な特性のほか、コーティング溶液の優れた塗布作業性と配合後に長時間使用可能な溶液安定性なども要求される。このような絶縁被膜は、溶接、クランピング、インターロッキングなど別途の締結方法を用いることによって、電磁鋼板積層体が製造可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的とするところは、溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の締結方法を用いずに、電磁鋼板を接着(締結)できるコーティング層を形成した電磁鋼板およびその積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による電磁鋼板は、電磁鋼板と、前記電磁鋼板上に位置するポリウレタンコーティング層とを含み、前記ポリウレタンコーティング層の反発弾性率は5~30%であることを特徴とする。
【0007】
前記ポリウレタンコーティング層は、引張強度が50~70MPaである。
【0008】
前記ポリウレタンコーティング層は、延伸率が150~250%である。
【0009】
前記ポリウレタンコーティング層は、有機粒子、無機粒子、またはこれらの組み合わせを含むものである。
【0010】
前記ポリウレタンコーティング層中の、有機粒子、無機粒子、またはこれらの組み合わせの合計は、全体コーティング層100重量%基準で0超過および20重量%以下である。
【0011】
前記ポリウレタンコーティング層は、接着樹脂およびボンディング添加剤を含み、前記接着樹脂は、ジイソシアネートモノマーおよびポリオールが反応して形成されるポリウレタンである。
【0012】
前記ボンディング添加剤は、カップリング剤、湿潤剤、硬化剤、および硬化触媒からなる群より選択された1種以上である。
【0013】
前記ジイソシアネートモノマーは、芳香族ジイソシアネートモノマー、脂肪族ジイソシアネートモノマー、またはこれらの混合を含む。
【0014】
前記芳香族ジイソシアネートモノマーは、下記の化学式1、化学式2、またはその組み合わせである。
【0015】
【化1】
【0016】
【化2】
【0017】
前記化学式1において、
~R10は、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C20アリール基、置換もしくは非置換のC5~C20ヘテロアリール基、またはイソシアネート基であり、
~Rのいずれか1つは、イソシアネートであり、R~R10のいずれか1つは、イソシアネートであり、
およびRが同時にイソシアネートである場合は除外され、
Lは、置換もしくは非置換のC1~C10アルキレン基、置換もしくは非置換のC2~C10アルキニレン基、置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基、または置換もしくは非置換のC5~C20ヘテロアリーレン基であり、
nは、1~10のいずれか1つの整数であり、
【0018】
前記化学式2において、
11~R16は、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C20アリール基、または置換もしくは非置換のC5~C20ヘテロアリール基、イソシアネート基、または置換もしくは非置換のC1~C10アルキルイソシアネート基であり、R11~R16の少なくとも2つは、イソシアネート、または置換もしくは非置換のC1~C10アルキルイソシアネートである。
【0019】
前記脂肪族ジイソシアネートモノマーは、下記の化学式3である。
【0020】
【化3】
前記化学式3において、Rは、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、または置換もしくは非置換のC3~C12シクロアルキル基である。
【0021】
本発明の一実施形態による電磁鋼板積層体は、複数の電磁鋼板と、前記電磁鋼板の間に位置するポリウレタンコーティング層とを含み、前記ポリウレタンコーティング層の反発弾性率が5~30%である。
【0022】
前記ポリウレタンコーティング層は、引張強度が50~70MPaである。
【0023】
前記ポリウレタンコーティング層は、延伸率が150~250%である。
【0024】
前記ポリウレタンコーティング層は、有機粒子、無機粒子、またはこれらの組み合わせを含むものである。
【0025】
前記ポリウレタンコーティング層中の、有機粒子、無機粒子、またはこれらの組み合わせの合計は、全体コーティング層100重量%基準で0超過および20重量%以下である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の締結方法を用いずに、電磁鋼板を接着することができる。 本発明によれば、騒音特性、振動特性、引張強度、塗膜密着性、剥離特性などに優れた電磁鋼板接着コーティング組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】電磁鋼板積層体の模式図である。
図2】本発明の一実施例による電磁鋼板積層体の断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例として提示されるものであり、これによって本発明が制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇によってのみ定義される。
【0029】
本発明は、電磁鋼板用ボンディング組成物を提供しようとする。本発明の記載における接着コーティング組成物も、ボンディング組成物を示すために使われる用語である。また、本発明のボンディング組成物は、2つ以上の鋼板の面を接着させることができる組成物で、その用途について特に制限しないが、例えば、電磁鋼板のセルフボンディングを提供するための電磁鋼板用セルフボンディング組成物であってもよい。
【0030】
本発明の一実施例では、電磁鋼板およびその積層体を提供する。
本発明の一実施例による電磁鋼板積層体は、複数の電磁鋼板と、複数の電磁鋼板の間に位置するポリウレタンコーティング層とを含む。図1には、本発明の一実施例による電磁鋼板積層体の模式図を示す。図1に示されるように、複数の電磁鋼板が積層されている形態である。
【0031】
図2には、本発明の一実施例による電磁鋼板積層体の断面の概略図を示す。図2に示されるように、本発明の一実施例による電磁鋼板積層体100は、複数の電磁鋼板10と、複数の電磁鋼板の間に位置するポリウレタンコーティング層30とを含む。
【0032】
本発明の一実施例による電磁鋼板積層体は、溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の方法を用いずに、単純に前述した接着コーティング組成物を用いて高分子接着層を形成することによって、互いに異なる電磁鋼板を熱融着させた積層体であってもよい。
この時、電磁鋼板積層体は、接着によりモータコアを作製するので、溶接、インターロックキングのように鋼板に物理的、熱的衝撃を加えず、これによるモータ作製時、モータの効率に優れている。また、接着剤による枚葉の全体接着で未接着部位から発生する騒音/振動を最小化し、騒音を吸収する能力を増加させて、騒音/振動特性を改善することができる。
【0033】
電磁鋼板10は、一般的な無方向性または方向性電磁鋼板を制限なく使用可能である。本発明の一実施例では、複数の電磁鋼板10の間にポリウレタンコーティング層30を形成して、電磁鋼板積層体100を製造することが主な構成であるので、電磁鋼板10に関する具体的な説明は省略する。
【0034】
ポリウレタンコーティング層30は、複数の電磁鋼板10の間に形成され、複数の電磁鋼板10を、溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の締結方法を用いずに、接着できる程度に接着力が強い。 ポリウレタンコーティング層30は、接着コーティング組成物を表面にコーティングし、硬化して接着コーティング層を形成し、これを積層して熱融着してポリウレタンコーティング層30を形成する。
【0035】
ポリウレタンコーティング層が形成された複数の電磁鋼板10を積層して熱融着すれば、接着コーティング層中の樹脂成分が熱融着して、高分子接着層を形成することができる。
このような高分子接着層は、有機物の主成分に無機金属化合物が含まれている。高分子接着層中で有機物内に無機物成分が均一に分散して微細相を形成することができる。
【0036】
このような要素を満足できるように積層体を構成すれば、現在、EV市場で要求される多様な特性をすべて満足できる積層体(コア)を得ることができる。
以下、それぞれの要素について具体的に説明する。
【0037】
ポリウレタンコーティング層
本発明の一実施形態のポリウレタンコーティング層は、接着樹脂およびボンディング添加剤を含むことができる。この時、接着樹脂は、ジイソシアネートモノマーおよびポリオールが反応して形成されるポリウレタンであってもよい。
【0038】
ジイソシアネートモノマーとしては、芳香族ジイソシアネートモノマー、脂肪族ジイソシアネートモノマー、またはこれらの混合を含むことができる。
前記芳香族ジイソシアネートモノマーは、下記の化学式1、2、またはこれらの組み合わせのモノマーであってもよい。
【0039】
【化1】
【0040】
【化2】
【0041】
前記化学式1において、
~R10は、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C20アリール基、置換もしくは非置換のC5~C20ヘテロアリール基、またはイソシアネート基であり、
~Rのいずれか1つは、イソシアネートであり、R~R10のいずれか1つは、イソシアネートであり、
Lは、置換もしくは非置換のC1~C10アルキレン基、置換もしくは非置換のC2~C10アルキニレン基、置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基、または置換もしくは非置換のC5~C20ヘテロアリーレン基であり、
nは、1~10のいずれか1つの整数であり、
【0042】
前記化学式2において、
11~R16は、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C20アリール基、または置換もしくは非置換のC5~C20ヘテロアリール基、イソシアネート基、または置換もしくは非置換のC1~C10アルキルイソシアネート基であり、
11~R16の少なくとも2つは、イソシアネート、または置換もしくは非置換のC1~C10アルキルイソシアネートである。
【0043】
前記化学式1で表されるモノマーは、R~Rのいずれか1つは、イソシアネートであり、R~R10のいずれか1つは、イソシアネートであり、RおよびRが同時にイソシアネートである場合は除外され、RおよびR10が同時にイソシアネートである場合がさらに除外される。
【0044】
前記化学式1で表されるモノマーは、R~Rのいずれか1つは、イソシアネートであり、R~R10のいずれか1つは、イソシアネートであり、R~Rのいずれか1つおよびR~R10のいずれか1つがLを中心として対称に同時にイソシアネートであることをさらに除外することができる。
【0045】
具体的には、前記芳香族ジイソシアネートモノマーは、下記の化学式3、4、またはこれらの組み合わせのモノマーであってもよい。
【0046】
【化3】
前記化学式3において、 Lは、置換もしくは非置換のC1~C10アルキレン基、置換もしくは非置換のC2~C10アルキニレン基、置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基、または置換もしくは非置換のC5~C20ヘテロアリーレン基である。
【0047】
【化4】
前記化学式4において、
11は、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C20アリール基、または置換もしくは非置換のC5~C20ヘテロアリール基であってもよい。
【0048】
より具体的には、芳香族イソシアネートモノマーとしては、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,2’-メチレンジフェニルジイソシアネート、2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネートからなる群より選択された1種以上を使用することができる。
【0049】
前記脂肪族ジイソシアネートモノマーは、下記の化学式5で表されるモノマーであってもよい。
【0050】
【化5】
前記化学式5において、Rは、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、または置換もしくは非置換のC3~C12シクロアルキル基である。
【0051】
前記脂肪族イソシアネートモノマーは、ヘキサメチレンジイソシアネート(Hexamethylene Diisocyanate、HDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび水素化キシレンジイソシアネート(Hydrogenated Xylene Diisocyanate)からなる群より選択された1種以上を含む。
【0052】
前記ポリウレタンは、重合時に使用されるジイソシアネートモノマー全100重量部に対して、脂肪族ジイソシアネートモノマーを50重量部以下含むことができる。
【0053】
前記ポリオールは、化学式6で表されるポリオールであってもよい。
【0054】
【化6】
前記化学式6において、R’は、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C20アリール基、置換もしくは非置換のC5~C20ヘテロアリール基であってもよい。
【0055】
前記ポリオールは、数平均分子量が400~1000g/molであってもよい。また、前記ポリオールは、ポリ(プロピレングリコール)であってもよい。
【0056】
前記ボンディング添加剤は、カップリング剤、湿潤剤、硬化剤、および硬化触媒からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0057】
前記ボンディングコーティング層は、ポリウレタン樹脂100重量部に対して、カップリング剤を0.5重量部以上および5重量部以下含むことができ、前記カップリング剤は、アミノシランカップリング剤を含むことができる。具体的には、アミノシランカップリング剤は、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(3-aminopropyl trimethoxysilane)であってもよい。具体的には、ボンディングコーティング層は、ポリウレタン樹脂100重量部に対して、カップリング剤を0.5重量部以上~3重量部以下含むことができる。
【0058】
ボンディング用コーティング層の形成時、アミノシランが添加されなかったり、過度に少なく添加されたりする場合には、素地鉄とボンディング層との間の界面で密着性を改善する効果を期待できず、剥離接着力および耐ATF特性に劣る問題がありうる。これに対し、アミノシランがあまりにも過剰に添加される場合には、ボンディング層内でかたまり現象を生じて引張強度および延伸率のような機械的特性を劣らせ、これによって素地鉄とボンディング層との間の密着性が改善されない問題がありうる。このため、好ましくは、電磁鋼板用ボンディングコーティング層におけるアミノシランの含有量は、前記範囲に制御されるのが良い。
【0059】
前記ボンディングコーティング層は、ポリウレタンである接着高分子樹脂とアミノシランのほか、ボンディング組成物に使用可能なその他の成分をさらに含むことができる。
【0060】
前記その他の成分は、一般的なボンディングコーティング層に使用されるものであれば制限がないが、例えば、湿潤剤、硬化剤、硬化触媒などが含まれる。
【0061】
具体的には、湿潤剤としては、シリコーン系湿潤剤が含まれる。シリコーン系湿潤(Wetting)添加剤の例としては、ポリエーテル改質されたポリジメチルシロキサン(Polyether-modified polydimethylsiloxane)になってもよい。湿潤剤は、電磁鋼板とボンディング層との界面接着力を強化させるためにボンディングコーティング層に添加される。
【0062】
具体的には、硬化剤としては、脂肪族アミン系、芳香族アミン系、アミノアミン系、またはイミダゾール系を含むことができる。より具体的には、ジシアンジアミド系硬化剤が含まれる。
【0063】
具体的には、硬化触媒としては、イミダゾール系硬化触媒が含まれる。
【0064】
前記ボンディングコーティング層200は、ポリウレタン樹脂100重量部に対して、硬化剤を0.50~2.50重量部さらに含むことができる。具体的には、硬化剤を0.90~1.10重量部さらに含むことができる。硬化剤は、ボンディングコーティング層表面の反応性を調節する役割を果たす。硬化剤が過度に少なく含まれる場合には、ボンディング層の硬化反応が低下して、ボンディング層表面のスティッキー(sticky)性に劣る問題が発生しうる。逆に、硬化剤が過度に多く添加される場合には、低温融着後に締結力が低下しうる。
【0065】
前記ボンディングコーティング層は、ポリウレタン樹脂100重量部に対して、湿潤剤を0.05~0.50重量部さらに含むことができる。具体的には、湿潤剤を0.09~0.11重量部さらに含むことができる。
【0066】
前記ボンディングコーティング層は、ポリウレタン樹脂100重量部に対して、硬化触媒を0.10~1.00重量部さらに含むことができる。具体的には、硬化触媒を0.40~0.60重量部さらに含むことができる。
【0067】
ポリウレタンコーティング層の反発弾性率
ボンディング製品の接着コーティング層が有する反発弾性率は5%以上30%以下である。ボンディング製品の高温の駆動環境上、反発弾性率の変化を考慮して、好ましくは5%以上25%以下である。より具体的には、7~25%であってもよいし、7~15%であってもよい。
反発弾性率が5%未満の接着剤で作製された製品は、振動吸収能力には優れているが、過剰の有無機粒子の添加によって、モータコアのATF特性が減少した。これに対し、反発弾性率が30%を超えると、振動吸収能力が低下した。
【0068】
反発弾性率を制御するために、軟質のウレタン樹脂に含まれている有無機粒子により制御可能である。軟質のウレタンは、ポリオールと芳香族イソシアネートとの混合反応により形成する。具体的には、ポリプロピレングリコール60%含有量比と、MDI(Methylene Diphenyl Diisocyanate)単独またはTDI(Toluene Diisocyanate)混合された芳香族イソシアネートが40%含有量比とで合成される。
【0069】
このため、有無機粒子が0.1~20%を含む場合、前記範囲の反発弾性率を有することができる。この時使用する有無機粒子の種類は、カーボンブラック、シリカ、またはこれらの混合物などを使用することができる。
【0070】
反発弾性率の測定は、水平位置にある錘が90度の位置にある試験片に加えられると発生する反発エネルギーをDigital方式の百分率で表示する。詳しい測定規格はKS M ISO4662により測定する。
【0071】
最大引張強度および延伸率
合成したポリウレタン重合物の機械的な物性を測定するために、剥離紙上に注ぎ込み、アプリケータを用いて均一な厚さに塗布して作製した後、100℃の真空オーブンで24時間乾燥して乾燥フィルムを作製した。
前記フィルムをASTM D-1708規格により、万能試験機を用いて50mm/minの速度で最大引張強度および延伸率を測定した。
【0072】
この時、本発明の一実施形態によるウレタン層の延伸率は、150~250%であってもよい。より具体的には、110~170%であってもよい。
【0073】
延伸率がこの範囲を満足する場合、コア糸からSlittingおよび打抜作業時の作業性に優れているというメリットがある。延伸率100%以下では、打抜時に金型内で接着層によるパウダーが発生して金型汚染が発生し、延伸率250%以上では、切断(Slitting)作業時に切断機で切断されずに延伸する問題がある。
【0074】
また、本発明の一実施形態によるウレタン層の引張強度は50~70MPaであってもよい。より具体的には、60~70MPaであってもよい。
【0075】
引張強度がこの範囲を満足する場合、コア糸から熱融着によるモータコア作製時の作業性に優れているというメリットがある。引張強度50MPa以下では、熱融着時に融着圧力によって接着層がコアの外面に漏れるモータコア汚染のデメリットがあり、70MPa以上では、熱融着時に高い加圧を必要として作業性が低下するというデメリットがある。
【0076】
騒音特性評価
駆動モータ中においてモータコア単位で発生する騒音特性評価のために、リングタイプ(ring type)のモータコアを作製した。0.27mmtの無方向性電磁鋼板に接着剤が塗布された製品を、打抜および熱融着により、外径128mm、内径90mm、高さ45mmのリングコア(ring core)を作製した。
このように作製されたリングコア(ring core)の軸方向の動的特性を測定した。通常、機械や構造の動特性(固有周波数、固有モード、減衰比)を把握するために、外力(Force)を加え、これに対する動的応答を求める関数である伝達関数(Transfer function)を用いる。
これがつまり外力(F)に対する応答の比を示す関数であるが、周波数を反応で分析する場合、特に周波数応答関数(FRF)として動特性解析の基本的かつ最も多く用いる基本関数になる。本FRF特性の分析によりDamping性を測定した。
【0077】
耐ATF特性評価
駆動モータを自動車に用いる場合、高速で長時間回転時に多くの熱が発生して、これを冷却するために、ATF(Automotive Transmission Fluid、自動変速機専用オイル)を使用する。このため、長期使用時の接着信頼度を確保するために、高温のATFに含浸された状態で積層コイルの接着力が維持されることが重要である。このため、耐ATF特性を評価した。
【0078】
前記製造された積層コイルを温度が150℃のATFに500時間含浸後、剪断接着力をテストした。
前記耐ATF特性を測定するための剪断接着力は、剪断法(Shear Strength)で測定した。剪断法測定のための試験片の規格はISO4587に基づいて作製した。25×100mmの試験片2枚を12.5×25mmの面積で接着して、前記条件で熱融着して剪断法による試験片を作製した。
【0079】
剪断法で作製された試験片を上下部ジグ(JIG)に一定の力で固定させた後、一定の速度で引きながら積層されたサンプルの引張力を測定する装置を用いて測定した。この時、剪断法の場合、測定された値は、積層されたサンプルの界面のうち最小接着力を有する界面が脱落する地点を測定した。
【0080】
下記表1の実施例および比較例は、ボンディング樹脂に、ボンディング樹脂100重量部を基準として、シランカップリング剤0.5重量部、シリコーン系湿潤剤(wetting agent)0.1重量部、ジシアンジアミド系硬化剤1重量部、およびイミダゾール系硬化触媒0.5重量部を含む。
【0081】
表1の実施例1~4、および比較例1~2のボンディング樹脂は、ポリウレタンとして、2,4’-MDI(2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート)モノマー40重量%に、PPG(ポリ(プロピレングリコール)(水分子量425g/mol)を60重量%反応させて得たポリウレタンを使用した。
【0082】
実施例5~7のボンディング樹脂は、ポリウレタンとして、それぞれ2,4-TDI、2,2’-MDI、4,4’-MDI40重量%を、PPG60重量%と反応させて得たポリウレタンを使用した。この時、TDIはトルエンジイソシアネートを意味する。
【0083】
実施例8のボンディング樹脂は、ポリウレタンとして、2,4’-MDIとHDIとを8:2で混合したモノマー40重量%に、PPG60重量%を反応させて得たポリウレタンを使用した。この時、HDIはヘキサメチレンジイソシアネート(Hexamethylene Diisocyanate)を意味する。
【0084】
比較例3、4のエポキシ樹脂は、Bisphenol A Typeのエポキシ樹脂で、数平均分子量が10,000g/mol、水酸価が10mgKOH/gのものを使用した。
【0085】
比較例5~8のボンディング樹脂は、ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂とを重量比50:50で混合したもので、ポリウレタン樹脂は前記実施例1で使用されたものと同じものを使用し、エポキシ樹脂は比較例3と同じものを使用した。
【0086】
【表1】
【0087】
前記結果から、実施例1~8の場合、反発弾性率が5~30%となり、振動吸収評価特性および耐ATF特性に優れていることを確認することができた。比較例1は、ウレタン樹脂を使用したものの、無機粒子を含まない場合で、反発弾性率が40%とやや高く測定され、延伸率、振動吸収特性および耐ATF特性に劣っていた。
【0088】
比較例2は、ウレタン樹脂を使用したものの、無機粒子を過度に含む場合で、反発弾性率が3%と低く、その結果、延伸率、振動吸収特性および耐ATF特性に劣っていた。
【0089】
比較例3、4は、エポキシ樹脂を単独使用した場合で、無機粒子を含むか否かに関係なく反発弾性率が5%未満と低く、特性にも劣っていた。
【0090】
比較例5~8は、ウレタンにエポキシ樹脂を混合して使用した場合で、振動吸収評価に劣っていることを確認することができた。
【0091】
その結果、振動吸収評価および耐ATF特性にいずれも優れたボンディング用電磁鋼板を得るためには、コーティング層中の無機粒子の含有量調節だけでなく、使用するボンディング樹脂もポリウレタンを単独使用しなければならないことが分かる。
【0092】
本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造可能であり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。そのため、以上に述べた実施例はすべての面で例示的であり、限定的ではないと理解しなければならない。
図1
図2
【国際調査報告】