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特表2024-501251光集積回路の半導体構造及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】光集積回路の半導体構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20231228BHJP
   H01S 5/50 20060101ALI20231228BHJP
   H01S 5/026 20060101ALI20231228BHJP
   G02B 6/13 20060101ALI20231228BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G02B6/12 301
H01S5/50 610
H01S5/026 618
G02B6/13
G02B6/122
G02B6/12 371
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538011
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2021086868
(87)【国際公開番号】W WO2022144217
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】2020847.6
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522074936
【氏名又は名称】スマート フォトニクス ホールディングス ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ミラン メヒア,アロンソ ジーザス
(72)【発明者】
【氏名】タイス,ペトリュス ヨハネス アドリアヌス
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルピニ,アンドレア
【テーマコード(参考)】
2H147
5F173
【Fターム(参考)】
2H147AB03
2H147AB04
2H147AB10
2H147BA15
2H147DA08
2H147EA12A
2H147EA12B
2H147EA12C
2H147FA02
2H147FA04
2H147FA07
2H147FC01
2H147GA19
5F173AD15
5F173AD30
5F173AF52
5F173AH14
5F173AJ03
5F173AJ04
5F173AJ05
5F173AP56
5F173AR91
(57)【要約】
光集積回路の半導体構造体(100)であって、半導体構造(100)は、基板(102)と、基板(102)上の導波路(104)と、導波路層(105)の第1の部分(112)と接触している第1のクラッド層(108)を含む受動領域と、第1のクラッド層とは異なる第2のクラッド層(116)を含む能動領域(114)であって、第2のクラッド層(116)は導波路層(105)の第2の部分(120)及び第1のクラッド層(108)と接触している、能動領域(114)と、を備える。半導体構造を備える光集積回路が提供される。光集積回路の半導体構造を製造する方法が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光集積回路の半導体構造体であって、
基板と、
前記基板上の導波路と、
前記導波路の第1の部分と接触している第1のクラッド層を含む受動領域と、
前記第1のクラッド層とは異なる第2のクラッド層を含む能動領域であって、前記第2のクラッド層は前記導波路の第2の部分及び前記第1のクラッド層と接触している、能動領域と、
を備える、半導体構造。
【請求項2】
前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層とは異なり、かつ前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層と接触している第3のクラッド層を備え、
前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層は、前記導波路と前記第3のクラッド層との間に存在する、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項3】
前記第3のクラッド層は、少なくとも濃度5×1023-3のドーパントを含む、請求項2に記載の半導体構造。
【請求項4】
前記第1のクラッド層は、前記第2のクラッド層と実質的に同じ厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項5】
前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層のそれぞれの厚さは、4×10-7m以上及び/または2×10-6m以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項6】
前記導波路は、前記導波路の前記第1の部分と、前記導波路の前記第2の部分と、を有する単一導波路層を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項7】
前記単一導波路層は、複数の副層を含む、請求項6に記載の半導体構造。
【請求項8】
前記導波路は、前記受動領域に第1の導波路層を含み、
前記導波路は、前記能動領域に第2の導波路層を含み、
前記第2の導波路層は、前記第1の導波路層とは異なり、前記第1の導波路層は前記第2の導波路層と接触している、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項9】
前記第2のクラッド層と接触している前記第1のクラッド層の表面は、前記第2の導波路層と接触している前記第1の導波路層の表面からオフセットされている、請求項8に記載の半導体構造。
【請求項10】
前記能動領域は、前記能動領域に電荷キャリアを注入するための電気コンタクトを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項11】
前記能動領域は、前記電気コンタクトと前記基板との間に、前記第1のクラッド層と、前記導波路の前記第2の部分と、を含む、請求項10に記載の半導体構造。
【請求項12】
前記受動領域は、前記導波路の前記第2の部分を含み、
前記導波路の前記第1の部分には、前記電気コンタクトが重ならない、請求項10または11に記載の半導体構造。
【請求項13】
前記第1のクラッド層は、nドープ型であり、
前記第2のクラッド層は、pドープ型である、請求項1~12のいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項14】
前記第1のクラッド層は、実質的にドーパントフリーであり、
前記第2のクラッド層は、少なくとも濃度1×1014cm-3のドーパント濃度を有する、 請求項1~12のいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項15】
前記第1のクラッド層は、リン化インジウムを含み、
前記第2のクラッド層は、亜鉛、マグネシウム、及びベリリウムのうちの1つでドープされたリン化インジウムを含む、請求項14に記載の半導体構造。
【請求項16】
前記能動領域は、前記光集積回路の光増幅器に対応する、請求項1~15のいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項17】
前記第1のクラッド層は、第1の材料から成り、
前記第2のクラッド層は、前記第1の材料とは異なる第2の材料から成る、請求項1~16のいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項18】
前記第2のクラッド層は、前記導波路からの距離に応じて変化するドーパント濃度を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の半導体構造を備える、光集積回路。
【請求項20】
光集積回路の半導体構造を製造する方法であって、
基板上に導波路を少なくとも部分的に形成することと、
前記半導体構造の受動領域の第1のクラッド層を少なくとも部分的に形成することであって、前記第1のクラッド層は前記導波路の第1の部分と接触していることと、
前記半導体構造の能動領域の第2のクラッド層を少なくとも部分的に形成することであって、前記第2のクラッド層は、前記導波路の第2の部分及び前記第1のクラッド層と接触していることと、
を含む、方法。
【請求項21】
前記第1のクラッド層の上面及び前記第2のクラッド層の上面に、第3のクラッド層を少なくとも部分的に形成することであって、前記第3のクラッド層は、前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層と接触していることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のクラッド層を少なくとも部分的に形成することは、
前記導波路の上面に、前記第1のクラッド層を少なくとも部分的に形成することと、
前記第1のクラッド層の一部分を除去して、前記導波路の露出部分を設けることと、を含み、
前記第2のクラッド層を少なくとも部分的に形成することは、
前記露出部分上に、前記第2のクラッド層を少なくとも部分的に形成することを含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記第2のクラッド層を少なくとも部分的に形成することは、
前記導波路の上面に、前記第2のクラッド層を少なくとも部分的に形成することと、
前記第2のクラッド層の一部分を除去して、前記導波路の露出部分を設けることと、を含み、
前記第1のクラッド層を少なくとも部分的に形成することは、
前記露出部分上に、前記第1のクラッド層を少なくとも部分的に形成することを含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項24】
前記半導体構造の前記導波路は、前記受動領域に第1の導波路層と、前記能動領域に第2の導波路層と、を含み、
前記第1の導波路層は、前記第2の導波路層と接触している、請求項20または21に記載の方法。
【請求項25】
前記導波路を少なくとも部分的に形成することは、
前記基板の上面に、前記第2の導波路層を少なくとも部分的に形成することと、
前記第2の導波路層の一部分を除去して、前記基板の露出部分を設けることと、
前記基板の前記露出部分上に、前記第1の導波路層を少なくとも部分的に形成することと、
を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記導波路を少なくとも部分的に形成することは、
前記基板の上面に、前記第1の導波路層を少なくとも部分的に形成することと、
前記第1の導波路層の一部分を除去して、前記基板の露出部分を設けることと、
前記基板の前記露出部分上に、前記第2の導波路層を少なくとも部分的に形成することと、
を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記基板の上面に、前記第2の導波路層を少なくとも部分的に形成することと、
前記第2の導波路層の上面に、前記第2のクラッド層を少なくとも部分的に形成することと、
前記第2のクラッド層の一部分及び前記第2の導波路層の一部分を除去して、前記基板の露出部分を設けることと、
前記基板の前記露出部分上に、前記第1の導波路層を少なくとも部分的に形成することと、
前記第1の導波路層上に、前記第1のクラッド層を少なくとも部分的に形成することと、
を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記基板の上面に、前記第1の導波路層を少なくとも部分的に形成することと、
前記第1の導波路層の上面に、前記第1のクラッド層を少なくとも部分的に形成することと、
前記第1のクラッド層の一部分及び前記第1の導波路層の一部分を除去して、前記基板の露出部分を設けることと、
前記基板の前記露出部分上に、前記第2の導波路層を少なくとも部分的に形成することと、
前記第2の導波路層上に、前記第2のクラッド層を少なくとも部分的に形成することと、
を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記第2のクラッド層と接触している前記第1のクラッド層の表面は、前記第2の導波路層と接触している前記第1の導波路層の表面からオフセットされている、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
様々な半導体構造が知られている。半導体構造と称され得るものを作成するために、半導体材料が互いに異なる層で重なるように堆積され得る。半導体材料は、光集積回路において能動素子として使用され得る半導体構造を画定するために、または光集積回路において受動素子として使用され得る半導体構造を画定するために、使用することができる。特定のクラッド層のドーピングなどの特定の特性は、受動素子として使用される構造と、例えば光損失などの側面を制御するような能動素子として使用される構造とを比較した場合、異なり得る。よって、クラッド層などの材料中に所望量のドーパントを供給する方法を向上させることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】実施例による、第1の半導体構造の側断面を概略的に示す。
図2】実施例による、第2の半導体構造の側断面を概略的に示す。
図3】実施例による、図1の半導体構造の平面図を概略的に示す。
図4】実施例による、半導体構造の製造方法を示すフロー図である。
図5】半導体構造の製造方法の一部の実施例を示すフロー図である。
図6】半導体構造の製造方法の一部のさらなる実施例を示すフロー図である。
図7】半導体構造の製造方法の一部のさらなる実施例である。
図8】実施例による、図1の半導体構造の第2の側断面を概略的に示す。
図9】理論上のシミュレーションデータを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本明細書で説明される実施例は、光集積回路(PIC)の半導体構造、及び半導体構造の製造方法に関する。半導体構造は、同じ構造にモノリシック集積化された受動領域及び能動領域を備える。言い換えると、単一の基板上、つまり共通の基板上に能動領域及び受動領域などの1つ以上の光学機能領域を備えたPICは、モノリシックPICとみなすことができる。
【0004】
実施例では、受動領域は、PICにより実行される電流不要の受動機能(例えば光伝播を誘導する受動導波路)のための領域であり、能動領域は、PICにより実行される電流必須の能動機能(例えば自然発光及び/または誘発発光による光の増幅)のための領域である。受動領域は、第1のクラッド層(下記でさらに詳しく説明される)を備え、これは、能動領域の第2のクラッド層とは異なる。第1のクラッド層と第2のクラッド層は、相互に接触している。例えば、第2のクラッド層は、第1のクラッド層と比較すると、異なる材料(複数可)からなる。
【0005】
本明細書で説明される実施例の半導体構造は、能動素子及び受動素子として使用される別個の構造(例えば別個の基板上の別個の構造)を製造して、その後これらを光学的に相互接続するのではなく、共通の基板上に堆積された、または他の方法で設けられた材料層を処理することにより、製造され得る。実施例では、受動領域及び能動領域では、異なるクラッド層が形成される。したがって、半導体構造は、同じ構造にモノリシック集積化された受動領域及び能動領域を備えるが、受動領域及び能動領域のそれぞれの領域のクラッド層は、互いに無関係に選択され得る。よって、能動領域及び受動領域を物理的に別個の構造として製造する必要がなくなる。
【0006】
本明細書で使用される、実施例における材料という用語は、化合物の特定の原子組成を指すために使用される。特定の組成は、対象の材料に含まれる原子の種類、ならびにこれらの原子の種類の相対量に関係する。例えばリン化インジウムは特定の材料であるが、インジウムガリウムヒ素リン(InGaAsP)は、ガリウム原子及びヒ素原子も含まれており、組成が異なるため、別の材料として言及される。例えば、ドーパントが亜鉛であるドープInPは、ドーパントが硫黄であるドープInPとは異なる材料として言及される。また、例えば特定濃度の亜鉛をドーパントとして含むpドープInPは、異なる濃度の亜鉛をドーパントとして含むpドープInPとは異なる材料として言及される(含まれる原子の種類の相対量が異なるため)。したがって、材料は、異なるドーパント濃度を有することに基づいて、異なる材料として言及される。
【0007】
例えば、第1のクラッド層の材料(複数可)は、第2のクラッド層の材料(複数可)とは無関係に選択される。例えば、第1のクラッド層のドーパントの種類、ドーパント濃度、及び/またはドーパント濃度勾配は、第2のクラッド層のものとは無関係に選択される。したがって、説明される実施例では、第1のクラッド層は、第2のクラッド層とは異なる。例えば、第2のクラッド層は、第1のクラッド層とは異なる材料、または異なる材料集合(例えば所与のドーパント濃度を有するpドープInPと、より高いドーパント濃度を有するpドープInPとの組み合わせ)を含む。説明される実施例では、第1のクラッド層及び第2のクラッド層のそれぞれは、別個の層であり、第1のクラッド層は、第2のクラッド層と接触している。
【0008】
ドーパント拡散により、初期材料層にドーパントを追加して、ドープされた異なる最終材料を得ることが可能であることが、当業者には理解されよう。層の異なる領域で異なる特性を有する層を提供するために、このように初期材料層の特定領域にドーパント拡散を適用することで、異なる領域でドーピングが異なる層を提供することができる。しかし、ドーパント原子の拡散の制御には、限界があり得る。例えば、初期材料を通るドーパント原子の拡散速度は、初期材料が何であるかによって異なる。InPの場合、例えば、亜鉛原子が導波路層などの下の層を汚染することを避けるための拡散制御を十分に行うことができないほど、亜鉛原子の拡散速度は速くなる。PICの能動領域では(例えばPICがレーザ用途に使用される場合)、このような汚染は、能動領域の機能に悪影響を与えるため、特に望ましくない。
【0009】
例えば初期材料層の特定領域にドーパント拡散を適用するのではなく、モノリシック集積構造で能動領域及び受動領域に異なる別個のクラッド層を形成することにより、クラッドのドーピングを、ドーパント拡散技術で可能な精密度より高い精密度で、制御することができる。本明細書で説明される実施例は、能動領域及び受動領域のクラッドの組成及び配置に関して、さらなる設計の自由度をもたらす。例えば、第1のクラッド層は、例えばドーパント拡散では不可能な程度の第2のクラッド層とは異なる組成を、有することができる。必要に応じて、能動領域及び受動領域に、別個の(例えば個別の及び/または異なる)クラッド層を形成することができる。
【0010】
本明細書で説明される実施例では、第1のクラッド層は、受動領域における損失(受動領域を通って伝播する光に関する損失)を、同様に受動領域に第2のクラッド層の材料が使用された比較事例と比べて、低減させる材料を含む。このように、本実施例の半導体構造は、モノリシック集積化された受動領域及び能動領域を備え、同時に受動領域の損失を低減させる。
【0011】
いくつかの実施例では、モノリシック集積化された能動領域及び受動領域はどちらも、第1のクラッド層及び第2のクラッド層と接触している第3のクラッド層を備え、第1のクラッド層及び第2のクラッド層は、導波路と第3のクラッド層との間に存在する。第3のクラッド層は、第1のクラッド層及び第2のクラッド層の上に堆積される。このようにして、半導体構造のクラッドは、第3のクラッド層(上部領域)と、第1のクラッド層及び第2のクラッド層(下部領域)とに、(下記で説明される図1に示される配向に関して)上部領域と下部領域とに分けられ、下部領域は、第1のクラッド層の領域と、第2のクラッド層の領域とが隣り合うように分割される。このクラッド層の個別性により、半導体構造の能動領域または受動領域、及び目的用途に応じて、クラッドの組成を制御することができる。
【0012】
図1は、実施例による、半導体構造100の一部の側断面を概略的に示す。図1では、数字100は、半導体構造100全体を示すために使用され、半導体構造100の一部が図1に示される。半導体構造100の図示される部分の両側に破線で示されるように、(図1に関して)左側及び右側には部分が存在するが、簡潔にするためにこれらは図示されない。
【0013】
半導体構造100は、本明細書で説明される概念に従って実施され得る複数の実施例を包含する。半導体構造100は、基板102を備える。例えば、基板102は、リン化インジウム(InP)、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、またはアンチモン化ガリウム(GaSb)などのいわゆるIII‐V族半導体化合物を含む。下記の実施例は、InPを含む基板に関する。
【0014】
本明細書で説明される実施例では、基板102は、主にInPを含む。いくつかの実施例では、基板102は、純粋にInPを(許容公差内の純度のInPを)含む。別の実施例では、基板102は、ドーパントまたは不純物などの他の材料を含み、材料はInPを少なくとも99%有する。例えば、基板102は、基板がnドープ型とみなされるようなドーパント材料でドープされ、または基板102は、基板102がpドープ型とみなされるようなドーパント材料でドープされ、または基板102は、基板102が半絶縁性とみなされるようなドーパント材料でドープされる。所与の材料がnドープ型であることは、例えば所与の材料がドナー不純物を含み、これは自由電子に寄与することを意味することが、当業者には理解されよう。所与の材料がpドープ型であることは、例えば所与の材料がアクセプタ不純物を含み、これは正孔を生成することを意味することが、当業者には理解されよう。pドープInPの実施例では、ドーパントは、例えば亜鉛、マグネシウム、またはベリリウムである。nドープInPの実施例では、ドーパントは、例えば硫黄、スズ、シリコン、セレン、またはテルルである。
【0015】
本明細書で説明される実施例では、基板は、nドープInPを含む。例えば、ドーパント濃度は、1×1017~1×1020cm-3(1×1023~1×1026-3)である。いくつかの実施例では、基板102は、材料の単層である。本明細書で使用される層は、1つ以上の副層を含んでもよい。本明細書で言及されるドーパント濃度は、事例に応じて材料をnドープ型またはpドープ型にするために材料に含まれる主なドーパントに関する。例えば、亜鉛を含むpドープInPの場合、ドーパント濃度は、亜鉛の濃度を指す。
【0016】
別の実施例では、基板102(下記で説明されるように導波路が上に設けられる基板102)は、2つ以上の副層を含む基板層である。いくつかの実施例では、基板層は、nドープInPまたは半絶縁性InPの下部副層と、nドープInPの上部副層とを備える。いくつかの実施例では、下部副層は、鉄でドープされたInPを含む半絶縁性副層である。いくつかの実施例では、上部副層は、硫黄でドープされたInPを含むnドープ型層である。このような実施例では、上部副層がnドープ型であることにより、電気コンタクトが基板102の上部部分に存在し得る。上部副層は、他の目的にも使用され得る。例えば、上部副層がnドープ型であることは、例えば半導体構造を画定するためのストップ層など、他の製造関連目的にも役立ち得る。本明細書で説明される実施例では、基板102は、nドープInPの層である。
【0017】
これらの副層のドーパント濃度は、例えば半導体構造100の所望の用途に応じて、選択される。基板102(2つ以上の副層を含む基板層材料の単一基板層であっても)は、後述のように、導波路が設けられる基板として使用される。
【0018】
半導体構造100は、基板102上に導波路104を備える。図1の実施例では、導波路104は、基板102上に単一導波路層105を含む。例えば、導波路104は、受動領域に第1の部分112、能動領域に第2の部分120を有する単一導波路層105を含む。別の実施例(下記でさらに説明される)では、導波路104は、図1に示される配向に関して並んで配置された2つ以上(例えば2つ)の導波路層を含む。導波路104などの導波路は、導波路コアとも称され得る。導波路コアは、例えば、後述されるように、半導体構造100の光誘導部分である。
【0019】
いくつかの実施例では、導波路層(上記で論じられたように1つ以上の層)は、単一材料を含む。別の実施例では、並んで配置された導波路層のうちの1つ以上は、場合によって、重なり合った2つ以上の副層を含む。図1を参照した下記の説明は、導波路層105と称される単一導波路層を含む導波路104(導波路コア)に関する。複数の導波路層が存在する実施例が、下記でさらに説明される。導波路層105は、基板102の材料よりも高い屈折率を有する材料を含む。例えば、導波路層105は、インジウムガリウムヒ素リン(InGaAsP)を含む。
【0020】
導波路層105は、光を誘導するためのものである。使用時、光は、導波路層105内を伝播し、導波路層105の境界での反射により、導波路層105内に、例えば二方向に、閉じ込められる。導波路層105は、光を閉じ込めることが望まれる境界で導波路層105と接触している材料の屈折率よりも、高い屈折率を有する。例えば、光を閉じ込めることが望まれる境界におけるこの屈折率差により、導波路層105のこれらの境界での入射角が臨界角よりも大きい時に、内部全反射が起こる。特定の光学的波動が導波路層104内を伝播するためには、導波路層104の境界で反射された光が、その特定の光学的波動の強め合う構造的な干渉条件を満たす必要があることが、当業者には理解されよう。
【0021】
いくつかの実施例では、導波路層105は、(Al)InGaAs(P)を含む均一層を有し、これは基板と接触している(例えば基板102がnドープInPの上部副層を備える場合、(Al)InGaAs(P)を含む均一層は、基板102の上部副層と接触している)。括弧内に示された各化学元素の量は、所望の機能によって選択される。別の実施例では、単一導波路層105は、複数の副層を含む。いくつかのこのような実施例では、導波路層105は、基板102(例えば基板102の上部副層)と接触している(Al)InGaAs(P)/(Al)InGaAs(P)多重量子井戸構造を有する。導波路層105の副層スタックは、半導体構造100の所望の用途に従って選択されるバンドギャップを有する。
【0022】
半導体構造100は、第1のクラッド層108を含む受動領域106を有する。第1のクラッド層108は、導波路層105の第1の部分112と接触している。半導体構造100は、第1のクラッド層108とは異なる第2のクラッド層116を含む能動領域114を有する。第2のクラッド層116は、導波路層105の第2の部分120と接触している。第2のクラッド層116は、第1のクラッド層108とも接触している。
【0023】
本明細書で使用されるクラッドとは、導波路に重なる、または接触する層を指す。導波路104と接触している所与のクラッド層の機能は、その所与のクラッド層と接触している導波路の表面で形成された導波路104の境界に、特定の状況をもたらすことである。例えば、所与のクラッド層の組成は、導波路104から所与のクラッド層内への所望の屈折率変化(例えば内部全反射により光を閉じ込める屈折率変化)に従って、選択される。例えば、所与のクラッド層の組成は、所与のクラッド層の所望の電気特性に従って選択される(例えば電荷キャリアが導波路104に到達できることが望ましい)。導波路104に重なるクラッド層は、例えば、導波路104への電荷キャリアの伝導を可能にし得る。
【0024】
例えば、第1のクラッド層108は、III‐V族半導体化合物(例えばInP)を含む。例えば、第1のクラッド層108は、リン化インジウム(InP)、用途に応じて適切なバンドギャップを有する(Al)InGaAs(P)、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、またはアンチモン化ガリウム(GaSb)などのIII‐V族半導体化合物から成る。本明細書で説明される実施例では、第1のクラッド層108は、主にInPから成る。例えば、第1のクラッド層108は、少なくとも99%がInPである。
【0025】
例えば、第2のクラッド層116は、III‐V族半導体化合物(例えばInP)を含む。例えば、第2のクラッド層116は、リン化インジウム(InP)、用途に応じて適切なバンドギャップを有する(Al)InGaAs(P)、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、またはアンチモン化ガリウム(GaSb)などのIII-V族半導体化合物から成る。本明細書で説明される実施例では、第2のクラッド層116は、主にInPから成る。例えば、第2のクラッド層116は、少なくとも99%がInPである。
【0026】
実施例では、第1のクラッド層108はnドープ型であり、第2のクラッド層116はpドープ型である。別の実施例では、第1のクラッド層108は、ドーパントフリーであり、第2のクラッド層116は、少なくとも1×1014cm-3(1×1020-3)のドーパント濃度を有する。いくつかのこのような実施例では、第1のクラッド層108は、InPを含み、第2のクラッド層116は、亜鉛、マグネシウム、及びベリリウムのうちの1つでドープされたInPを含む。本明細書で説明される実施例では、第1のクラッド層108は、InPを含み、第2のクラッド層116は、亜鉛でドープされたInPを含む。
【0027】
例えば、第2のクラッド層116のドーパント濃度は、1×1014~1×1020cm-3(1×1020~1×1026-3)である。本明細書で説明される実施例では、基板102は、nドープInPを含む。これらの実施例では、能動領域114にp‐n接合(またはp‐i‐n接合)を形成するために、第2のクラッド層116は、pドープ型である。本明細書で説明される実施例では、第1のクラッド層108は、ドーパントフリーである。
【0028】
前述のように、第1のクラッド層108及び第2のクラッド層116は、例えばInGaAsPなど、InP以外の材料であってもよい。したがって、第1のクラッド層及び第2のクラッド層は、前述の実施例に限定されない。InGaAsPが使用される実施例では、対象の層は、亜鉛、マグネシウム、ベリリウム、及び炭素のうちの1つによるpドープ型であり得、対象の層は、硫黄、スズ、シリコン、セレン、及びテルルの1つによるnドープ型であり得る。
【0029】
いくつかの実施例では、第1のクラッド層108及び第2のクラッド層116は、対象の層の全体にわたり実質的に(許容公差内の)均一なドーパント濃度を有する(ただしドープ型である場合に限られ、いくつかの実施例では、第1のクラッド層108はドーパントフリーであることに留意されたい)。例えば、第1のクラッド層108は、第1の材料110から成り、第2のクラッド層は、第1の材料110とは異なる第2の材料118から成る(図1を参照)。前述のように、本明細書で使用される、実施例における材料という用語は、化合物の特定の原子組成を指すために使用される。特定の組成は、対象の材料に含まれる原子の種類、ならびにこれらの原子の種類の相対量に関係する。
【0030】
別の実施例では、第1のクラッド層108及び第2のクラッド層116の一方または両方のドーパント濃度は、対象の層内の位置に応じて変えられる。したがって、第1のクラッド層108及び第2のクラッド層116の一方または両方は、対象の層内の位置に応じてドーパント濃度が変化するように、材料集合を含み得る。本明細書で使用される材料集合という用語は、例えば別個のドーパント濃度のステップで構成される層に限定されず、位置に応じたドーパント濃度の緩やかな変化を示し得る。
【0031】
実施例では、第1のクラッド層108及び第2のクラッド層116が異なる材料または異なる材料集合を含むという点で、第1のクラッド層108は、第2のクラッド層116とは異なる。
【0032】
いくつかの実施例では、第2のクラッド層116は、第2のクラッド層116全体にわたり均一な(許容公差内の)ドーパント濃度を有する。別の実施例では、第2のクラッド層116のドーパント濃度は、導波路104からの距離に応じて変化する。例えば、最も低いドーパント濃度は導波路層105に最も近く、導波路層105から距離が増加するほど(例えば図1に示される配向に関して、第2のクラッド層116のさらに上方へ、導波路層105から遠ざかるほど)、ドーパント濃度は高くなる。導波路に最も近い位置ではドーパント濃度を低くすることで、例えば、対象の層内の電荷キャリアの伝導は依然として可能でありながら、損失(電荷キャリアによる光吸収に関する損失)が減少する。
【0033】
導波路層105の第1の部分112と第2の部分120は、同一平面にある。図1に示される配向では、第1の部分112及び第2の部分120は、導波路層105の上面の一部である。したがって、第1のクラッド層108の表面は、第2のクラッド層116に接触している。図1の実施例では、第1のクラッド層108の側面は、第2のクラッド層116の側面と接触している。第1のクラッド層108及び第2のクラッド層116の側面間の接触は、バットジョイント126と称され得る。
【0034】
図1の実施例では、半導体構造100は、第1のクラッド層108及び第2のクラッド層116とは異なる第3のクラッド層122を備える。第3のクラッド層122は、第1のクラッド層108及び第2のクラッド層と接触している。第1のクラッド層108及び第2のクラッド層116は、導波路104と第3のクラッド層122との間に存在する。いくつかの実施例では、第3のクラッド層122は省略される。
【0035】
例えば、第3のクラッド層122は、III‐V族半導体化合物(例えばInP)を含む。例えば、第3のクラッド層122は、リン化インジウム(InP)、用途に応じて適切なバンドギャップを有する(Al)InGaAs(P)、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、またはアンチモン化ガリウム(GaSb)などのIII‐V族半導体化合物から成る。本明細書で説明される実施例では、第3のクラッド層122は、主にInPから成る。例えば、第3のクラッド層122は、少なくとも99%がInPである。第3のクラッド層122は、pドープ型またはnドープ型のいずれかである。第3のクラッド層122のドーピングの種類は、基板102のドーピングの種類とは反対の種類である。本明細書で説明される実施例では、第3のクラッド層122は、pドープ型である。本明細書で説明される実施例では、第3のクラッド層122は、lnGaAsから成る。
【0036】
第3のクラッド層122は、第3のクラッド層122が異なる材料(または異なる材料集合)から成るという点で、第2のクラッド層116とは異なる。例えば、第3のクラッド層122は、より高濃度のドーパント原子を含む。例えば、第3のクラッド層122のドーパント濃度は、少なくとも5×1017cm-3(5×1023-3)である。例えば、ドーパント濃度は、5×1017~2×1018cm-3(1×1023~1×1024-3)である。いくつかの実施例では、第3のクラッド層122のドーパント濃度は、導波路からの距離に応じて変化する。例えば、ドーパント濃度は、導波路に最も近いところで最も低くなり得、導波路から遠くなるほど、ドーパント濃度は高くなり得る。
【0037】
図1の実施例では、第1のクラッド層108及び第2のクラッド層116は、実質的に(許容公差内の)同じ厚さを有する。これは、下記でさらに説明されるように、統合製造方法を使用して、半導体構造100を製造できることを意味する。
【0038】
図1の実施例では、受動領域106には、能動領域とは異なるクラッドが、導波路層105と接触した状態で設けられる。能動領域114に含まれる第2のクラッド層116は、pドープ型であるため、導電性である。例えば、能動領域114内の導波路層105の第2の部分120に、電荷キャリアが供給され得る。pドープ型の第2のクラッド層116が存在することにより、能動領域114に、nドープ型基板102と形成されたp‐n接合(またはp‐i‐n接合、導波路層105の第2の部分120がドープ型であるかドーパントフリーであるかに基づく)が存在する。
【0039】
しかし、受動領域でpドープ型クラッドが導波路層と接触していると、その導波路層の光損失が増大することが、当業者には理解されよう。説明される半導体構造100の実施例では、第1のクラッド層108は、ドーパントフリーであり、受動領域106において導波路層105の第1の部分112と接触している。これにより、第1の部分112がpドープ材料と接触している場合と比べて、受動領域106における光損失は減少する。第1のクラッド層108がnドープ型である実施例も同様に、第1の部分112が代わりにpドープ材料と接触している場合と比べて、光損失は減少する。
【0040】
したがって、半導体構造100は、モノリシック集積化された受動領域106及び能動領域114を有し、能動領域114と比較して異なるクラッドを受動領域106で接触した状態で設けることにより、受動領域106における光損失が減少する。
【0041】
図1の実施例では、pドープ型の第3のクラッド層122は、第1のクラッド層108及び第2のクラッド層116と接触している。第1のクラッド層108の厚さ(導波路層105と第3のクラッド層122との間)は、光損失の減少と、第1のクラッド層、第2のクラッド層、及び第3のクラッド層の製造特性との所望のバランスに応じて、選択される。例えば、第1のクラッド層108がより厚いほど、受動領域106における光損失の減少はより大きくなる。しかし、この光損失の減少は、線形的ではない。第1のクラッド層108の厚さが増大すると、ある時点で光損失の減少は小さくなる。
【0042】
図9は、第1のクラッド層108の厚さに関する光損失の理論的シミュレーションデータを示すグラフ900である。グラフ900の横軸は、第1のクラッド層108の厚さを表す。グラフ900の縦軸は、光損失をdB/cmの単位で表す。横電気(TE)モードの光損失データは、白丸と破線を使用して示される。横磁気(TM)モードの光損失データは、黒丸と実線で示される。グラフ900のデータは、第1のクラッド層の厚さが増大すると、光損失が非線形に減少することを示す。
【0043】
前述のように、第1のクラッド層108と第2のクラッド層116は、第1のバットジョイント126で互いに接触している。第1のクラッド層及び第2のクラッド層がより厚いほど(ならびに第1のバットジョイント126の高さがより大きいほど)、例えば、第1のバットジョイント126において第1のクラッド層及び第2のクラッド層の(図1に示される配向に関して)それぞれの上面で構造的乱れが生じる可能性が高くなる。例えば、第1のクラッド層及び第2のクラッド層が非常に厚い場合、第1のバットジョイント126において、またはその近くで、第1のクラッド層及び/または第2のクラッド層の上面に窪み及び/または隆起が存在する。このような構造的みだれのない均一な表面を有することが望ましいことが、当業者には理解されよう。例えば、著しい構造的乱れがある場合、構造内に望ましくない歪みが存在する場合がある。例えば、著しい構造的乱れがある場合、その上に形成される他の層に影響が出る場合がある。例えば、第1のバットジョイント126に著しい構造的乱れがある場合、第3のクラッド層122は歪みを有し、及び/または不均一な上面を有する。製造中、例えば厳密に制御された公差で製造されることが望ましい半導体構造100の部分(例えば導波路104)に関して、望ましくない局所的特徴を回避するために、これらの乱れを最小限に(許容可能なレベルに)抑えることが望ましくあり得る。
【0044】
したがって、第1のクラッド層及び第2のクラッド層の厚さは、光損失を低減させながら、第1のバットジョイント126近くの構造的乱れを低減する、または最小限に(許容可能なレベルに)抑えるように、選択される。例えば、第1のクラッド層108及び第2のクラッド層116の厚さは、0.1~2マイクロメートルである。いくつかの実施例では、第1のクラッド層108及び第2のクラッド層116の厚さは、0.4マイクロメートル(4×10-7m)より大きい。マイクロメートルは、1×10-6mであることが理解されよう。いくつかの実施例では、第1のクラッド層及び第2のクラッド層の厚さは、0.4マイクロメートル以上及び/または2マイクロメートル以下である。
【0045】
第1のクラッド層、第2のクラッド層、及び第3のクラッド層を備える半導体構造100の領域は、クラッド領域と称され得る。クラッド領域は、第1のクラッド層108と、第2のクラッド層116とに、図1に示される配向に関して隣り合う領域に分割される。異なる組成の異なる別個の層のこの分割は、受動領域106及び能動領域114において導波路層105と接触する材料を、個別に制御できることを意味する。説明される実施例では、第1のクラッド層108は、受動領域106における光損失を低減させるためにドーパントフリーであり、第2のクラッド層116は、電荷キャリアの伝導のためにpドープ型である。しかし、別の実施例では、半導体構造100の目的用途に応じて、第1のクラッド層108及び第2のクラッド層116の組成は異なる。
【0046】
クラッド領域はまた、第3のクラッド層122(上部領域)と、第1のクラッド層108及び第2のクラッド層116(下部領域)とに、(図1に示される配向に関して)上部領域と下部領域に分割される。これは、第1のバットジョイント126の高さが著しい構造的乱れを生じるほど大きくなることなく、クラッド領域の所望の総厚さを設けることができることを、意味する。これはまた、クラッド領域の特性が、所望の用途に応じて、導波路層105からの距離とともに変化できることも意味する。
【0047】
図2は、実施例による、半導体構造100a(以下、半導体構造100aと称される)の一部の側断面を概略的に示す。図2では、数字100aは、半導体構造100a全体を示すために使用され、半導体構造100aの一部が図2に示される。図2は、導波路104aが2つの導波路層を含む実施例に関する。図2に示される特徴は、図1に示される特徴に対応する場合、参照番号の最後に「a」が付加された同じ参照番号で表示される。簡潔にするために、特定の参照番号は省略される。これらの実施例では、導波路104aは、受動領域106aに第1の導波路層202を備え、導波路104aは、能動領域114aに第2の導波路層204を備える。第1の導波路層202は、第2の導波路層204とは異なる。第1の導波路層202は、第2の導波路層204と接触している。
【0048】
図2の実施例では、導波路104aの第1の部分112aは、第1の導波路層202を含み、導波路104aの第2の部分120aは、第2の導波路層204を含む。第1の導波路層202は、第2の導波路層204と接触している。
【0049】
第1の導波路層202は、半導体構造100aの受動領域106a用であり、第2の導波路層204は、能動領域114a用である。第1の導波路層202は、図1の文脈で単一導波路層105に関して説明された特徴(及び/または特徴の任意の組み合わせ)のうちのいずれかを有する。いくつかの実施例では、第2の導波路層204は、1つの材料を含む。例えば、第2の導波路層204の材料は、能動デバイスに適している。例えば、第2の導波路層204の材料は、半導体構造100aを使用する予定の光の波長に対応するバンドギャップを有する。
【0050】
いくつかの実施例では、第2の導波路層204は、(Al)InGaAs(P)を含む均一層を有し、これは基板と接触している(例えば基板102がnドープInPの上部バッファ副層を備える場合、(Al)InGaAs(P)を含む均一層は、基板102の上部バッファ副層と接触している)。
【0051】
別の実施例では、第2の導波路層204は、複数の積層された副層を備える。いくつかのこのような実施例では、第2の導波路層204は、基板102(例えば基板102の上部バッファ副層)と接触している(Al)InGaAs(P)/(Al)InGaAs(P)多重量子井戸構造を有する。いくつかの実施例では、第2の導波路層204の複数の副層では、InPとInGaAsPの副層が交互に配置される。例えば、個々の副層の厚さ、副層の数、副層のドーピング、リンの代わりにアルミニウムの使用、InGaAsPまたはAlInGaAs内の元素の正確な割合などは、所望の用途に応じて異なる。
【0052】
例えば、第2の導波路層204の副層スタックのバンドギャップは、第1の導波路層202のバンドギャップ(例えば図1に関して前述された副層スタックのバンドギャップ)よりも小さい。前述のように、第2の導波路層204は、能動領域114a用である。第2の導波路層204の副層スタックのバンドギャップは、能動領域114aの用途に応じて調整され、第1の導波路層202に対応するバンドギャップはより大きい。
【0053】
いくつかの実施例では、第2の導波路層204に対応するバンドギャップに応じて、第2の導波路層204内の電子と正孔の再結合により、光子が放出される。価電子帯から伝導帯への電子の促進により、これらの光子が第1の導波路層202に吸収されないように、第1の導波路層202のバンドギャップはより大きい。受動領域106aの第1の導波路層202は、光の吸収または光の放出ではなく、光の誘導を行うためのものである。
【0054】
第1の導波路層202は、第2の導波路層204と接触している。第1の導波路層202の表面は、第2の導波路層204と接触している。図2の実施例では、第1の導波路層202の側面は、第2の導波路層204の側面と接触している。第1の導波路層202及び第2の導波路層204の側面間の接触点は、バットジョイント206と称され得る。バットジョイントは、ある層の表面が別の層の表面に隣接する接合とみなされ得る。
【0055】
図2の実施例では、第2のクラッド層116aと接触している第1のクラッド層108aの表面(例えば側面)は、第2の導波路層204と接触している第1の導波路層202の表面(例えば側面)から、オフセットされている。言い換えると、図2の実施例では、第2のバットジョイント206は、第1のバットジョイント126aからオフセットされている。これは、第2のバットジョイント206が、矢印208により示される方向に沿った、第1のバットジョイント126aとは異なる位置に存在することを意味する。例えば、第2のクラッド層116aと接触している第1のクラッド層108aの表面の平面は、第2の導波路層204と接触している第1の導波路層202の表面の平面と、整合していない。言い換えると、第2のクラッド層116aと接触している第1のクラッド層108aの表面は、第2の導波路層204と接触している第1の導波路層202の表面とは異なる平面に、存在する。
【0056】
前述のように、半導体構造内の構造的乱れは最小限に(許容公差内に)抑える必要がある。第2のバットジョイント206における、またはその付近における任意の構造的乱れの大きさは、第1の導波路層202及び第2の導波路層204の厚さにより決定される。第1のバットジョイント126aと第2のバットジョイント206との間にオフセットを設けることにより、第2のバットジョイント206における任意の構造的乱れが、第1のバットジョイント126aにおける任意の構造的乱れに影響を及ぼすことが低減されると、考えられ得る。
【0057】
例えば、第1のバットジョイント126aと第2のバットジョイント206が方向208に関して同じ位置に存在する場合、第2のバットジョイント206近くの第1の導波路層202の上面(図2に示される配向に関して)にある隆起は、製造中に、第1のバットジョイント126近くの第1のクラッド層108aの上面(図2に示される配向に関して)にさらに大きな隆起を生じ得る。しかし、説明されたオフセットにより、この影響は回避される。
【0058】
別の実施例では、例えば、構造的乱れの最小化よりも他の考慮事項(製造の容易性及び効率性など)が重要視されているため、オフセットは存在しない場合がある。
【0059】
再び図1に示される半導体構造100を参照すると、能動領域114は、電荷キャリアを能動領域114に注入するための電気コンタクト128を有する(図2では電気コンタクト128aとして示される)。例えば、電気コンタクト128、128aは、電気接続を可能にする1つ以上の金属ストリップまたは金属プレートの形態である。能動領域114、114aにおいて電荷キャリアを伝導するために、電気コンタクト128、128aを使用して、電位差が生成され得る。例えば、電気コンタクト128、128aは、第1の電気コンタクト128、128aであり、半導体構造100、100aは、第2の電気コンタクト130、130aを備え、第2の電気コンタクト130、130aは、第1の電気コンタクトから最も遠い基板の表面と接触している第2のコンタクト層130、130aの形態をとる。第2の電気コンタクト130、130aは、基板102、102aのnドープ型部分と接触している。基板102、102aがnドープ型の上部副層を含む実施例では、第2の電気コンタクト130、130aは、nドープ型上部副層と接触している。能動領域114、114aは、電気コンタクト128、128aと基板102、102aとの間に、第1のクラッド層108、108aと、導波路104、104aの第2の部分120、120aと、を含む。例えば、受動領域106、106aは、電気コンタクト128、128aが重ならない導波路104、104aの第1の部分112、112aを含む。
【0060】
基板102、102aがnドープ型であり、第2のクラッド層116、116a及び第3のクラッド層122、122aがpドープ型である、本明細書で説明されるいくつかの実施例では、通常は接地される(例えばゼロボルトである)が、代わりにフローティング状態であってもよい第2の電気コンタクト130、130aに対して、第1の電気コンタクト128、128aは、正電圧に設定される。いくつかのこのような(本出願による)実施例では、結果生じた電位差により第2の導波路層204内で反転分布が生じ、よって、電子と正孔の再結合により光子が放出され得る。
【0061】
いくつかの実施例では、半導体構造100、100aは、図1及び図2には示されていない追加の材料層を含む。いくつかの実施例では、半導体構造100、100aは、第3のクラッド層122、122aの上部に(図1に示される配向に関して)、高濃度pドープInGaAs層を備える。このような層は、例えば電荷キャリアの伝導を高めるために含まれる。いくつかの実施例では、半導体構造100は、半導体構造100、100aの用途及び/または特定の製造方法に従って、他の層を含む。
【0062】
図3は、半導体構造100、100aの一部の平面図を概略的に示す(図の境界における破線は、簡略化のために示されていない部分があることを示す)。能動領域114、114aの上部で半導体構造100、100aに接続された能動デバイス300が示される。図3の破線は、図3には示されていない半導体構造100、100aの部分を示す。破線A‐Aに沿って、図1及び図2の側断面はとられている。いくつかの実施例では、能動領域114、114aで発せられる光は、矢印302で示される方向に受動領域106、106aを通って誘導される。
【0063】
図4は、実施例による、PIC用の半導体構造を製造する方法400を示すブロック図である。例えば、方法400は、半導体構造100、100aの実施例のうちのいずれかを製造するために使用される。方法400は、図1図3に関して説明される特徴を参照し、説明される実施例に即して、以下に説明される。
【0064】
いくつかの実施例では、方法400は、基板102、102aから始まる。方法400のブロック402にて、基板上に、導波路が少なくとも部分的に形成される。例えば、基板102、102a上に、導波路の1つ以上の材料を堆積して、導波路(例えば導波路104、104a)が少なくとも部分的に形成される。別の実施例では、ブロック402が実行される前に、方法400の開始時点に、InPのウェハの上に基板層102、102aが成長させられる。ブロック404にて、半導体構造の受動領域の第1のクラッド層が少なくとも部分的に形成され、第1のクラッド層は導波路の第1の部分と接触している。例えば、第1のクラッド層の1つ以上の材料を堆積して、受動領域(例えば受動領域106、106a)に含まれる第1のクラッド層(例えば第1のクラッド層108、108a)が少なくとも部分的に形成される。第1のクラッド層108、108aは、導波路の第1の部分112、112aと接触するように、少なくとも部分的に形成される。第1のクラッド層がドーパント濃度勾配を含む実施例では、例えば、第1のクラッド層108、108aが堆積されるにつれて、ドーパント原子が徐々に量を増やしながら導入され得る。
【0065】
ブロック406にて、能動領域の第2のクラッド層が少なくとも部分的に形成され、第2のクラッド層は、導波路の第2の部分及び第1のクラッド層と接触している。例えば、第2のクラッド層の1つ以上の材料を堆積して、能動領域(例えば能動領域114、114a)に含まれる第2のクラッド層(例えば第2のクラッド層116、116a)が少なくとも部分的に形成される。第2のクラッド層は、導波路の第2の部分(例えば第2の部分120、120a)及び第1のクラッド層108、108aと接触するように、画定される。第2のクラッド層がドーパント濃度勾配を含む実施例では、例えば、第2のクラッド層116、116aが堆積されるにつれて、ドーパント原子が徐々に量を増やしながら導入され得る。
【0066】
ブロック402~406は、任意の順序で、及び/または同時に実行できることに、留意されたい。例えば、受動領域及び能動領域は、同時に画定される。
【0067】
第3のクラッド層を含む実施例では、方法400はさらに、第1のクラッド層108、108aの上面及び第2のクラッド層116、116aの上面に、第3のクラッド層(例えば第3のクラッド層122、122a)を少なくとも部分的に形成することを含み、第3のクラッド層122、122aは、第1のクラッド層108、108a及び第2のクラッド層116、116aと接触している。本明細書で言及される層の上面は、図1及び図2に示される配向に関する。
【0068】
以下、方法400のより具体的な実施例が説明される。図5は、受動領域106、106a及び能動領域114、114aの画定に関するより具体的な実施例を示すブロック図である。図5に示されるブロック502~506は、方法400のブロック404及び406のより具体的な実施例を示す。言い換えると、図5は、第1のクラッド層108、108aを少なくとも部分的に形成すること、及び第2のクラッド層116、116aを少なくとも部分的に形成することに関する。
【0069】
ブロック502にて、第1のクラッド層108、108aが、導波路104、104aの上面に少なくとも部分的に形成される(例えば実質的に上面のすべてを覆うように)。例えば、導波路104、104aが基板102、102aの上面に接触している状態の基板102、102aから始まり、基板102、102aと接触している導波路104、104aの表面とは反対の導波路104、104aの表面上に、第1のクラッド層108、108aが堆積される。
【0070】
ブロック504にて、第1のクラッド層108、108aの一部分が除去されて、導波路104、104aの露出部分が設けられる。いくつかの実施例では、第1のクラッド層108、108aの2つ以上の部分が除去されて、導波路104、104aの2つ以上のそれぞれの露出部分が設けられる。除去される部分の数、配置、及び寸法などは、受動領域及び能動領域が望まれる場所、ならびに製造能力に依存する。
【0071】
図5の実施例では、製造される半導体構造の用途に応じて第2のクラッド層116、116aを堆積することが望ましい場所に、露出部分は設けられる。例えば、受動領域106、106aを画定する場所に、露出部分は設けられる。ブロック506にて、露出部分上に、第2のクラッド層116、116aが少なくとも部分的に形成される。ブロック506は、第2のクラッド層116、116aを少なくとも部分的に形成する実施例を表す。例えば、第2のクラッド層116、116aは、露出部分上に堆積される。露出部分上に堆積される第2のクラッド層116、116aの厚さは、第1のクラッド層108、108aの厚さと実質的に同じ(許容公差内で)である。
【0072】
いくつかの実施例では、第1のクラッド層108、108a及び第2のクラッド層116、116aは、それぞれの材料を堆積することにより、さらなるステップを必要とすることなく、単純に形成される。別の実施例では、第1のクラッド層108、108a及び第2のクラッド層116、116aは、それぞれの材料の堆積後に完全には形成されず、さらなるステップ(例えば硬化ステップなど)を必要とする。いくつかの実施例では、さらなる材料が第1のクラッド層108、108a及び第2のクラッド層116、116aの上に堆積される前に、さらなるステップが実行される。別の実施例では、さらなる材料(例えば第3のクラッド層122、122aの材料)が第1のクラッド層108、108a及び第2のクラッド層116、116aの上に堆積された後に、さらなるステップが実行される。さらなる層(第3のクラッド層122、122a、及び第1の電気コンタクト128、128aなど)が存在する実施例では、受動領域106、106a及び能動領域114、114aの形成は、場合によっては、これらのさらなる層を画定することにより、完了する。
【0073】
いくつかの実施例では、図5に示されるブロックの逆が行われる。例えば、導波路104、104aの上面に、第2のクラッド層116、116aが堆積される(例えば実質的に上面のすべてを覆うように)。次に、第2のクラッド層116、116aの一部分が除去されて、導波路104、104aの露出部分が作成される。次に、露出部分上に、第1のクラッド層108、108aが堆積される。いくつかの実施例では、第2のクラッド層116、116aの2つ以上の部分が除去されて、導波路104、104aの2つ以上のそれぞれの露出部分が設けられる。除去される部分の数、配置、及び寸法などは、受動領域及び能動領域が望まれる場所に依存する。このような実施例では、導波路104の1つ以上の露出部分は、受動機能を目的とした位置に設けられる。
【0074】
図5の実施例及びその逆の実施例は、第1のクラッド層108、108aと第2のクラッド層116、116aとの間の第1のバットジョイント126、126aが画定されることを意味する。したがって、第1のクラッド層108、108aと第2のクラッド層116、116aは、第1のバットジョイント126、126aで、互いに接触している。
【0075】
再び図4を参照すると、いくつかの実施例では、ブロック402にて、複数の導波路層が画定される。これらの実施例は、例えば、半導体構造100aの製造に関する。いくつかの実施例では、方法400において、導波路104aは、受動領域106aに第1の導波路層(例えば第1の導波路層202)を備え、導波路104aは、能動領域114aに第2の導波路層(例えば第2の導波路層204)を備える。第1の導波路層202は、第2の導波路層204と接触している。以下に、第1の導波路層202及び第2の導波路層204が少なくとも部分的に形成される実施例を示す。
【0076】
図6は、第1の導波路層202及び第2の導波路層204を画定することに関するいくつかの具体的な実施例を示すブロック図である。ブロック602にて、基板102aの上面に、第2の導波路層202が少なくとも部分的に形成される(例えば実質的に上面のすべてを覆うように)。例えば、第2の導波路層204の1つ以上の材料が、基板102aの上面を覆うように堆積される。例えば、前述のように、第2の導波路層204は、副層スタックを含む。具体的な実施例の集合を挙げると、ブロック602にて、基板102aの上面を覆うように、材料が堆積され、(Al)InGaAs(P)/(Al)InGaAs(P)多重量子井戸構造が画定される。多重量子井戸構造を画定する技術は既知であることが、当業者には理解されよう。
【0077】
ブロック604にて、第2の導波路層204の一部分が除去されて、基板102aの露出部分が設けられる。上記で紹介された実施例の場合、(Al)InGaAs(P)/(Al)InGaAs(P)多重量子井戸構造が除去されて、露出部分が設けられる。露出部分の位置は、構造の受動領域の所望の位置に従って選択される。いくつかの実施例では、第2の導波路層204の2つ以上の部分が除去されて、基板102aの2つ以上のそれぞれの露出部分が設けられる。除去される部分の数、配置、及び寸法などは、受動領域及び能動領域が望まれる場所、ならびに製造能力に依存する。
【0078】
ブロック606にて、基板102aの露出部分上に、第1の導波路層202が少なくとも部分的に形成される。例えば、基板102aの露出部分上に、第1の導波路層202の1つ以上の材料が堆積される。具体的な実施例の集合を挙げると、第2の導波路層204のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する(Al)InGaAs(P)/(Al)InGaAs(P)多重量子井戸構造を画定するように、材料が堆積される。いくつかの実施例では、第1の導波路層202の材料の総厚さは、第2の導波路層204の材料の総厚さと(許容公差内で)実質的に同じである。別の実施例では、第1の導波路層202の厚さと、第2の導波路層204の厚さは、例えばこれらの層のわずかに異なる屈折率を考慮して、互いにわずかに異なる。このように屈折率の差を考慮することにより、第1の導波路層202と第2の導波路層204との間で、光学モードのより良好な接合がもたらされ得る。いくつかの実施例では、第1の導波路層202及び第2の導波路層204のそれぞれの上面間の段差または不連続性を回避するために、これらの層がわずかに異なる厚さを有する場合は、例えば薄い厚さの層に追加の層を追加して、連続した上面が形成される。
【0079】
いくつかの実施例では、第1の導波路層202及び第2の導波路層204は、それぞれの材料を堆積することにより、さらなるステップを必要とすることなく、単純に形成される。別の実施例では、第1の導波路層202及び第2の導波路層204は、それぞれの材料の堆積後に完全には形成されず、さらなるステップ(例えば硬化ステップなど)を必要とする。いくつかの実施例では、さらなる材料が第1の導波路層202及び第2の導波路層204の上に堆積される前に、さらなるステップが実行される。別の実施例では、さらなる材料(例えば第1のクラッド層108a及び第2のクラッド層116a)が第1の導波路層202及び第2の導波路層204の上に堆積された後に、さらなるステップが実行される。
【0080】
いくつかの実施例では、図6の実施例で示されたブロックの逆が行われる。いくつかのこのような実施例では、基板102aの上面に、第1の導波路層202が少なくとも部分的に形成される(例えば実質的に上面のすべてを覆うように)。例えば、基板102aの上面に、(図6を参照して前述された実施例における第2の導波路層204の1つ以上の材料の代わりに)第1の導波路層202の1つ以上の材料が堆積される。第1の導波路層202の一部分(または場合によっては2つ以上の部分)が除去されて、基板102aの露出部分(または2つ以上のそれぞれの露出部分)が作成される。次に、基板の露出部分上に、第2の導波路層204が少なくとも部分的に形成される。例えば、基板102aの露出部分上に、第2の導波路層204の1つ以上の材料が堆積される。
【0081】
図6の実施例及び説明される逆の実施例は、第1の導波路層202と第2の導波路層204との間に第2のバットジョイント208が画定されることを意味する。したがって、第1の導波路層202と第2の導波路層204は、第2のバットジョイント204で互いに接触している。第1のクラッド層108a及び第2のクラッド層116aを画定することに関する図5の実施例または図5の逆の実施例とともに、第1の導波路層202及び第2の導波路層204を画定することに関する図6の実施例または図6の逆の実施例を使用することができる。したがって、説明される関連方法ブロックを使用して、第1のバットジョイント126a及び第2のバットジョイント208が画定され得る。いくつかの実施例では、第2のクラッド層116aと接触している第1のクラッド層108aの表面は、第2の導波路層204と接触している第1の導波路層202の表面からオフセットされている。言い換えると、いくつかの実施例では、第1のバットジョイント126aが第2のバットジョイント208からオフセットされるように、第1のバットジョイント126a及び第2のバットジョイント208は形成される。これらの実施例のうちのいくつかでは、異なるバットジョイント間の前述のオフセットは、単純に、下にある層のそれぞれの露出部分を作るために除去する対象の材料の部分を好適に選択することにより、達成され得る。
【0082】
いくつかの実施例では、導波路層とクラッド層は、少なくとも部分的に異なる様式に形成される。図7は、例えば図2に示される実施例を製造するために使用され得る方法ブロックに関する。図7は、導波路104aを少なくとも部分的に形成すること、第1のクラッド層108aを少なくとも部分的に形成すること、及び第2のクラッド層116aを少なくとも部分的に形成することに関するいくつかの具体的な実施例を示すブロック図である。ブロック702にて、基板102aの上面に、第2の導波路層204が少なくとも部分的に形成される(例えば実質的に上面のすべてを覆うように)。例えば、前述のように、基板102aの上面に、第2の導波路層204の1つ以上の材料が堆積される。ブロック704にて、第2の導波路層204の上面に、第2のクラッド層116aが少なくとも部分的に形成される(例えば実質的に上面のすべてを覆うように)。例えば、第2の導波路層204の上面に、第2のクラッド層116aが堆積される。
【0083】
ブロック706にて、第2のクラッド層116a及び第2の導波路層204の一部分が除去されて、基板102aの露出部分が作成される。例えば、受動領域106aの所望の位置に従って、第2のクラッド層116aの一部分が除去され、第2のクラッド層116aの除去された部分の下に存在する第2の導波路層204の各部分も除去されて、基板102の露出部分が作成される。いくつかの実施例では、第2のクラッド層116a及び第2の導波路層204の2つ以上の部分が除去されて、基板102aの2つ以上のそれぞれの露出部分が設けられる。除去される部分の数、配置、及び寸法などは、受動領域及び能動領域が望まれる場所、ならびに製造能力に依存する。
【0084】
ブロック708にて、基板の露出部分上に、第1の導波路層202が少なくとも部分的に形成される。例えば、基板102aの露出部分上に、第1の導波路層202の1つ以上の材料が、好適な順序で堆積される。ブロック710にて、第1の導波路層202上に、第1のクラッド層108aが少なくとも部分的に形成される(例えば第1の導波路層202上に第1のクラッド層108aを堆積することにより)。
【0085】
いくつかの実施例では、図7に示されるブロックの逆が行われる。例えば、基板102aの上面に、第1の導波路層202が少なくとも部分的に形成される(例えば実質的に上面のすべてを覆うように)。次に、第1の導波路層202の上面に、第1のクラッド層108aが少なくとも部分的に形成される(例えば実質的に上面のすべてを覆うように)。第1のクラッド層108a及び第1の導波路層202の一部分が除去されて、基板102aの露出部分が作成される。基板102aの露出部分上に、第2の導波路層204が少なくとも部分的に形成される。次に、第2の導波路層204上に、第2のクラッド層118aが少なくとも部分的に形成される。いくつかの実施例では、第1のクラッド層108a及び第1の導波路層202の2つ以上の部分が除去されて、基板102aの2つ以上のそれぞれの露出部分が設けられる。除去される部分の数、配置、及び寸法などは、受動領域及び能動領域が望まれる場所、ならびに製造能力に依存する。
【0086】
図7の実施例及びその逆の実施例では、最初に、導波路層のうちの1つの層及び対応するクラッド層が少なくとも部分的に形成される。次に、導波路層のうちの別の層及び対応するクラッド層が(例えば所望の順序で関連材料を堆積することにより)少なくとも部分的に形成される前に、いくつかの部分が除去されて基板のいくつかの部分が露出される。
【0087】
いくつかの実施例では、能動領域は、半導体構造のより小さな部分を形成する。このような実施例では、最初に能動領域に対応する層を少なくとも部分的に形成することが望ましくあり得る(例えば図6及び図7に示される方法のように)。これにより、より大きな露出部分が作成される。より大きな露出部分上に(例えばエピタキシー再成長が使用される場合、例えば基板のより大きな露出部分上に)、層が少なくとも部分的に形成されることが望ましくあり得る。
【0088】
説明される実施例では、第1の導波路層202及び第2の導波路層204は、実質的に(許容公差内の)同じ厚さを有するように形成される。また、説明される実施例では、第1のクラッド層108a及び第2のクラッド層116aは、実質的に(許容公差内の)同じ厚さを有するように形成される。したがって、クラッドの異なる領域を個別に制御することを意味する様式で、統合された受動領域及び能動領域を有する半導体構造が提供される。
【0089】
再び図3を参照すると、破線B‐Bが示されている。図8は、破線B‐Bに沿った半導体構造100の部分の側断面を概略的に示す。図示されていないが、図2の半導体構造100aにも同様の側断面が存在し得る。図の両側の破線は、図示されていない部分を示す。これらの実施例では、半導体構造100は、第1のエッチング部分802及び第2のエッチング部分804を含む。半導体構造100の特定の部分を分離するために、半導体構造100の用途に応じて第1のエッチング部分802及び第2のエッチング部分804が画定される。対象の半導体構造の用途に応じて、エッチング部分802、804は、空気または別の材料で充填され得る。
【0090】
例えば、リッジ導波路またはリブ導波路などのチャネル導波路が画定され得る。説明される方法では、記載の様々な層が形成された後、所望の用途に応じて異なる半導体構造を形成するために、所望通りに材料が除去され得る。
【0091】
説明される実施例のうちのいずれかによる半導体構造を備えるPICが提供され得る。いくつかの実施例では、能動領域114、114aは、PICの光増幅器に対応する。
【0092】
説明される実施例に従って、材料を堆積するために様々な技術を使用できることが、当業者には理解されよう。このような技術には、例えば、気相エピタキシー(VPE)、有機金属気相エピタキシー(MOVPE)、または分子線エピタキシー(MBE)などの化学気相成長技術が挙げられる。説明された実施例に従って材料を除去するために、エッチング技術(例えばパターン化マスクを使用する)が使用されることが、当業者には理解されよう。
【0093】
上記の実施例は、例示的な実施例として理解されるべきである。任意の1つの実施例に関連して説明される任意の特徴は、単独で使用されてもよく、または説明される他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、また、実施例のうちの任意の他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせて使用されてもよく、または実施例のうちの任意の他の実施例の任意の組み合わせの1つ以上の特徴と組み合わせて使用されてもよいことを、理解されたい。さらに、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、上記で説明されていない均等物及び変更物も使用されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】