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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】治療用ペプチド製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/26 20060101AFI20231228BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20231228BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231228BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231228BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20231228BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 47/59 20170101ALI20231228BHJP
   C07K 14/00 20060101ALI20231228BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A61K38/26
A61K9/08
A61K38/16
A61K47/02
A61K47/18
A61K47/26
A61K47/12
A61P3/10
A61P3/04
A61P1/16
A61K47/59
C07K14/00 ZNA
C12N15/11 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538073
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 US2021064592
(87)【国際公開番号】W WO2022140373
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】63/129,157
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】アレン,デイビッド ポール
(72)【発明者】
【氏名】デサイ,ダーラ パンカジ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,カン カンイー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076CC16
4C076CC21
4C076CC41
4C076DD26Z
4C076DD38D
4C076DD43S
4C076DD49S
4C076DD50Z
4C076EE59
4C076FF14
4C076FF15
4C076FF51
4C076FF61
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA19
4C084BA23
4C084BA42
4C084CA59
4C084DB35
4C084MA05
4C084MA17
4C084NA02
4C084NA03
4C084ZA701
4C084ZA702
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZC351
4C084ZC352
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA18
4H045BA50
4H045EA27
4H045FA33
4H045GA15
4H045GA25
(57)【要約】
本発明は、治療用デュアルGLP-1受容体/グルカゴン受容体アゴニストの安定した医薬製剤及びかかる安定した医薬製剤を使用する方法を関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Xaa28-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
Xaa28は、Glu又はSerであり、
20位のLysは、前記20位のLysとC14-C24脂肪酸との間のリンカーを介したLys側鎖のイプシロン-アミノ基と前記C14-C24脂肪酸とのコンジュゲーションによって化学修飾されており、前記リンカーは、([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)tであって、式中、tは、1又は2であり、
C末端アミノ酸は、適宜アミド化されていてもよい](配列番号5)
で示される化合物と、
(ii)緩衝液と、
(iii)等張化剤と、
(iii)抗酸化剤と
を含む医薬製剤であって、前記製剤のpHが、7.8~9.0である、医薬製剤。
【請求項2】
前記化合物が、
(a)以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Glu-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)-CO-(CH2)18CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号1)
で示される化合物、
(b)以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Ser-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)2-CO-(CH2)18CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号2)
で示される化合物、
(c)以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Glu-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)-CO-(CH2)16CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号3)
で示される化合物、及び
(d)以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Ser-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)2-CO-(CH2)16CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号4)
で示される化合物
からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記化合物が、以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Glu-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)-CO-(CH2)18CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号1)
で示される、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記製剤が、1mg/mL~100mg/mLの前記化合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記緩衝液が、リン酸緩衝液及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(又は2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール[(HOCHCNH])緩衝液からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記製剤が、1mM~20mMの緩衝液を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記緩衝液が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)緩衝液である、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記製剤が、10mMのトリス緩衝液を含む、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記等張化剤が、マンニトール、スクロース、トレハロース、プロピレングリコール、グリセリン、塩化ナトリウム、及び塩酸アルギニンからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記製剤が、5mg/mL~150mg/mLの前記等張化剤を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記等張化剤が、マンニトールである、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記製剤が、45~55mg/mLのマンニトールを含む、請求項11に記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記抗酸化剤が、ラジカルスカベンジャー、キレート剤、又は連鎖停止剤からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記製剤が、0.05~10.0mg/mLの前記抗酸化剤を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記抗酸化剤が、EDTA、クエン酸、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、亜硫酸ナトリウム、p-アミノ安息香酸、グルタチオン、没食子酸プロピル、ヒスチジン、システイン、メチオニン、エタノール、及びN-アセチルシステインからなる群から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記抗酸化剤が、EDTAである、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項17】
前記製剤が、0.2~1.0mg/mLのEDTAを含む、請求項16に記載の医薬製剤。
【請求項18】
前記製剤が、0.5mg/mLのEDTAを含む、請求項16又は17に記載の医薬製剤。
【請求項19】
前記抗酸化剤が、クエン酸である、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項20】
前記製剤が、5mM~15mMのクエン酸を含む、請求項19に記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記製剤が、8mM~12mMのクエン酸を含む、請求項18又は19に記載の医薬製剤。
【請求項22】
前記製剤が、10mMのクエン酸を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項23】
前記製剤のpHが、8.0~8.6である、請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項24】
前記製剤のpHが、8.0~8.3である、請求項1~23のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項25】
(i)1mg/mL~100mg/mLの以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Glu-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)-CO-(CH2)18CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号1)
で示される化合物、
(ii)10mMのトリス緩衝液、
(iii)46mg/mLのマンニトール、及び
(iv)0.5mg/mLのEDTA
を含む医薬製剤であって、前記製剤のpHが、8.0~8.3である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項26】
2型糖尿病を治療し、及び/又は予防する方法であって、患者に、治療有効量の請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤を投与することを含む、方法。
【請求項27】
肥満を治療し、及び/又は予防する方法であって、患者に、治療有効量の請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤を投与することを含む、方法。
【請求項28】
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を治療し、及び/又は予防する方法であって、患者に、治療有効量の請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤を投与することを含む、方法。
【請求項29】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療し、及び/又は予防する方法であって、患者に、治療有効量の請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤を投与することを含む、方法。
【請求項30】
2型糖尿病の治療及び/又は予防に使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項31】
肥満の治療及び/又は予防に使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項32】
NAFLDの治療及び/又は予防に使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項33】
NASHの治療及び/又は予防に使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項34】
2型糖尿病の治療に使用するための薬剤の製造における、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤の使用。
【請求項35】
肥満の治療に使用するための薬剤の製造における、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤の使用。
【請求項36】
NAFLDの治療に使用するための薬剤の製造における、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤の使用。
【請求項37】
NASHの治療に使用するための薬剤の製造における、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療の分野に属する。より具体的には、本発明は、皮下(「SQ」)、筋肉内(「IM」)、及び/又は腹腔内(「IP」)投与に好適な治療用ペプチドを含む医薬製剤に関する。更により具体的には、本発明は、デュアルグルカゴン様ペプチド(GLP-1)受容体及びグルカゴン(Gcg)受容体アゴニストペプチドの医薬製剤に関する。デュアルGLP-1受容体/Gcg受容体アゴニストを含むこれらの医薬製剤は、少なくとも2型糖尿病、肥満、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、及び/又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療に有用であることが期待される。
【背景技術】
【0002】
デュアルGLP-1/グルカゴン受容体アゴニストの医薬製剤は、少なくとも2型糖尿病患者、肥満患者、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)患者、及び/又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)患者の治療に必要とされている。SQ、IP、及び/又はIM投与によるかかる治療用ペプチドの投与は、一般的かつ有利である。かかる投与経路により、治療用ペプチドが短期間で送達されることが可能になり、患者が医師を訪問することなく治療用ペプチドを自己投与することが可能になる。ペプチドを患者にSC、IP、及び/又はIM送達することができるように、ある特定の濃度のデュアルGLP-1/グルカゴン受容体アゴニストペプチドが医薬製剤に必要である。ある特定の濃度のデュアルGLP-1/グルカゴン受容体アゴニストペプチドを含むこれらの医薬製剤は、このペプチドの物理的かつ化学的安定性を維持しなければならない。しかしながら、治療用ペプチドをSQ、IM、及び/又はIP投与に好適な液体医薬製剤に製剤化することは、困難であり、予測不可能である。
【0003】
SQ、IM、及び/又はIP投与に好適な液体医薬製剤への治療用ペプチドの製剤化に伴う困難及び予測不可能性は、部分的に、医薬製剤が治療上実行可能であるために有さなければならない多数の特性に起因する。医薬製剤は、溶液中の治療用ペプチドに安定性を与えると同時に、治療効果に不可欠な治療用ペプチドの機能的特性を維持しなければならない。加えて、液体医薬製剤は、患者への投与に安全であり、患者がそれに対して良好な耐容性を示し、製造及び保管にも好適でなければならない。
【0004】
米国特許第9,938,335号は、概して、非経口経路により投与されるデュアルGLP-1/グルカゴン受容体アゴニストペプチドについて記載している。米国特許第9,938,335号の実施例2に記載されている化合物は、配列番号1に示される配列を有する(以下、化合物1と称される)。化合物1は、現在、2型糖尿病患者の治療について評価されている。化合物1は、34個のアミノ酸残基、1個の非コードアミノ酸(アミノイソ酪酸(Aib))、C末端アミド、及び配列内の20位のリジンに共有結合したC20脂肪二酸部分からなる合成ペプチドである。共有結合リンカーは、ガンマ-グルタミン酸及び2つのPEG単位を含む。治療的には、このペプチドは、ヒトグルカゴン様ペプチド(GLP-1)及びグルカゴン(Gcg)のデュアルアゴニスト活性を有するオキシントモジュリン様アシル化ペプチドである。これは独立して、感受性細胞の表面にあるグルカゴン様ペプチド受容体(GLP-1R)及びグルカゴン受容体(GcgR)の両方に結合し、それらを活性化する。
【0005】
驚くべきことに、米国特許第9,938,335号に記載の化合物、具体的には化合物1が、より低いpH値(例えば、pH5.0~6.5)で最適以下の溶解度を有することが見出された。米国特許第9,938,335号に記載の化合物、具体的には化合物1が、pH値7.0~8.5を有するある特定の製剤中で最適以下の安定性を有することも見出された。これらの観察された問題を回避する、配列番号1、配列番号2、配列番号3、又は配列番号4のアミノ酸配列を有するデュアルGLP-1/グルカゴン受容体アゴニストペプチド化合物を含む医薬製剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に提供される医薬製剤は、前述の必要性を満たす。より具体的には、本明細書に提供される医薬製剤は、治療効果に不可欠なペプチドの機能的特性を維持すると同時に、デュアルGLP-1/グルカゴン受容体アゴニストペプチドのSQ、IM、及び/又はIP投与に好適である。
【0007】
したがって、
(i)以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Xaa28-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
Xaa28は、Glu又はSerであり、
20位のLysは、20位のLysとC14-C24脂肪酸との間のリンカーを介したLys側鎖のイプシロン-アミノ基とC14-C24脂肪酸とのコンジュゲーションによって化学修飾されており、リンカーは、([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)tであって、式中、tは、1又は2であり、
C末端アミノ酸は、任意選択的にアミド化されている](配列番号5)
で示される化合物又はその薬学的に許容される塩と、
(ii)緩衝液と、
(iii)等張化剤と、
(iii)抗酸化剤と
を含むものであって、製剤のpHが7.8~9.0である、医薬製剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】pHがおよそ5.0からおよそ7.0に変化したときの溶液中の化合物1の濃度を説明する。
図2a】サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定した、等張化剤としてNaCl又はグリセリンのいずれかを含む10mMのリン酸緩衝液を含む製剤マトリックス中の化合物1溶液製剤の総凝集体を説明する。
図2b】SECによって測定した、等張化剤としてNaCl又はグリセリンのいずれかを含む10mMのトリス緩衝液を含む製剤マトリックス中の化合物1溶液製剤の総凝集体を説明する。
図3a】2mg/mLの化合物1を様々なpH条件で製剤化し、かつフィブリルを添加した場合のpHの関数としての化合物1のフィブリル化のリスクを説明する。
図3b】12mg/mLの化合物1を様々なpH条件で製剤化し、かつフィブリルを添加した場合のpHの関数としての化合物1のフィブリル化のリスクを説明する。
図4】2mg/mLの化合物1溶液製剤を40℃で最長4週間保管した場合の熱応力の影響を示すRP-HPLCクロマトグラムである。
図5a】遷移金属及びHの影響を示す、0.5mg/mLのEDTAで製剤化した2mg/mLの化合物1医薬品のRP-HPLCクロマトグラムである。
図5b】遷移金属及びHの影響を示す、EDTAなしで製剤化した2mg/mLの化合物1医薬品のRP-HPLCクロマトグラムである。
図6a】0ヶ月、1ヶ月、及び3ヶ月時点のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した、5℃で保管した化合物1製剤中の総凝集体を説明する。
図6b】0ヶ月、1ヶ月、及び3ヶ月時点のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した、25℃で保管した化合物1製剤中の総凝集体を説明する。
図6c】0ヶ月、1ヶ月、及び3ヶ月時点のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した、30℃で保管した化合物1製剤中の総凝集体を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
予備的製剤研究において、本明細書に記載の化合物がpH5.0~6.0で最適以下の溶解度を有することが見出された。これらの研究により、SC、IM、及び/又はIP投与に好適な溶解度を得るために、本化合物をおよそ7.0以上のpHで製剤化しなければならないことが明らかになった。しかしながら、更なる製剤研究により、驚くべきことに、本明細書に記載の化合物が7.0~8.5の範囲のpH値で有意な安定性問題を呈することが明らかになった。安定性問題を理解するために更なる研究が行われた。驚くべきことに、安定性問題を引き起こす可能性のある少なくとも2つのメカニズムが存在することが見出された。第一に、天然ヒトグルカゴンとの配列類似性のため、これらの化合物がフィブリル化を受けやすい可能性があると考えられた。本明細書に記載の研究は、本化合物がpH7.8未満で有意なフィブリル化を受けることを実証している。第二に、本化合物がある特定のアミノ酸残基、特に1位のヒスチジン(His、H)及び25位のトリプトファン(Trp、W)で酸化を受けやすい可能性があると考えられた。本明細書に記載の研究は、本化合物が酸化を受けやすいことを実証している。これらの化合物を上記のように製剤化して、安定性問題のこれらの検証された原因に対処する。本化合物をpH7.8~9.0の範囲で製剤化することにより、フィブリル化が回避される。酸化防止剤を含めることにより、本化合物の酸化に起因する凝集体が有意に減少又は除去される。
【0010】
本発明の更なる実施形態では、C14-C24脂肪酸は、ミリスチン酸(テトラデカン酸)(C14一塩基酸)、テトラデカン二酸(C14二塩基酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)(C16一塩基酸)、ヘキサデカン二酸(C16二塩基酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)(C17一塩基酸)、ヘプタデカン二酸(C17二塩基酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)(C18一塩基酸)、オクタデカン二酸(C18二塩基酸)、ノナデシル酸(ノナデカン酸)(C19一塩基酸)、ノナデカン二酸(C19二塩基酸)、アラカジン酸(arachadic acid)(エイコサン酸)(C20一塩基酸)、エイコサン二酸(C20二塩基酸)、ヘンイコシル酸(ヘンエイコサン酸)(C21一塩基酸)、ヘンエイコサン酸(C21二塩基酸)、ベヘン酸(ドコサン酸)(C22)、ドコサン二酸(C22二塩基酸)、リグノセリン酸(テトラコサン酸)(C24一塩基酸)、及びテトラコサン二酸(C24二塩基酸)からなる群から選択される飽和一塩基酸又は飽和二塩基酸である。
【0011】
好ましくは、C14-C24脂肪酸は、オクタデカン二酸である。
【0012】
代替として好ましくは、C14-C24脂肪酸は、エイコサン二酸である。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、C末端アミノ酸はアミド化されている。
【0014】
本発明の更なる実施形態では、本化合物は、
(a)以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Glu-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)-CO-(CH2)18CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号1)
で示される化合物(化合物1)、又はその薬学的に許容される塩、
(b)以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Ser-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)2-CO-(CH2)18CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号2)
で示される化合物(以下、化合物2と称される)、又はその薬学的に許容される塩、
(c)以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Glu-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)-CO-(CH2)16CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号3)
で示される化合物(以下、化合物3と称される)、又はその薬学的に許容される塩、及び
(d)以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Ser-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)2-CO-(CH2)16CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号4)
で示される化合物(以下、化合物4と称される)、又はその薬学的に許容される塩
からなる群から選択される。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、本化合物は、以下の式を有し、
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Glu-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
式中、Xaa2が、Aibであり、
20位のLysが、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)-CO-(CH2)18CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸がアミド化されている(配列番号1)、化合物(化合物1)、
又はその薬学的に許容される塩である。
【0016】
本発明の更なる実施形態では、本製剤は、1mg/mL~100mg/mLの本化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0017】
好ましくは、本製剤は、5mg/mL~90mg/mLの本化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0018】
更に好ましくは、本製剤は、10mg/mL~80mg/mLの本化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0019】
なお更に好ましくは、本製剤は、20mg/mL~70mg/mLの本化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0020】
なお更に好ましくは、本製剤は、30mg/mL~60mg/mLの本化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0021】
なお更に好ましくは、本製剤は、40mg/mL~50mg/mLの本化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0022】
代替として、本製剤は、1mg/mL~50mg/mLの本化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0023】
更に代替として、本製剤は、2mg/mL~45mg/mLの本化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0024】
なお更に代替として、本製剤は、3mg/mL~40mg/mLの本化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0025】
なお更に代替として、本製剤は、4mg/mL~35mg/mLの本化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0026】
なお更に代替として、本製剤は、5mg/mL~30mg/mLの本化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0027】
なお更に代替として、本製剤は、6mg/mL~25mg/mLの本化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0028】
なお更に代替として、本製剤は、7mg/mL~20mg/mLの本化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0029】
なお更に代替として、本製剤は、8mg/mL~15mg/mLの本化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0030】
代替として好ましくは、本製剤は、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、11mg/mL、12mg/mL、13mg/mL、14mg/mL 15mg/mL、16mg/mL、17mg/mL、18mg/mL、19mg/mL、20mg/mL、21mg/mL、22mg/mL、23mg/mL、24mg/mL、25mg/mL、26mg/mL、27mg/mL、28mg/mL、29mg/mL、30mg/mL、31mg/mL、32mg/mL、33mg/mL、34mg/mL、35mg/mL、36mg/mL、37mg/mL、38mg/mL、39mg/mL、40mg/mL、41mg/mL、42mg/mL、43mg/mL、44mg/mL、45mg/mL、46mg/mL、47mg/mL、48mg/mL、49mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、又は100mg/mLの本化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0031】
本発明のなお更なる実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝液及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(又は2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール[(HOCHCNH])緩衝液からなる群から選択される。
【0032】
本発明のなお更なる実施形態では、本製剤は、1mM~20mMの緩衝液を含む。
【0033】
好ましくは、本製剤は、3mM~18mMの緩衝液を含む。
【0034】
更に好ましくは、本製剤は、5mM~15mMの緩衝液を含む。
【0035】
なお更に好ましくは、本製剤は、8mM~12mMの緩衝液を含む。
【0036】
なお更に好ましくは、本製剤は、9mM~11mMの緩衝液を含む。
【0037】
本発明のなお更なる実施形態では、本製剤は、1mMの緩衝液、2mMの緩衝液、3mMの緩衝液、4mMの緩衝液、5mMの緩衝液、6mMの緩衝液、7mMの緩衝液、8mMの緩衝液、9mMの緩衝液、10mMの緩衝液、11mMの緩衝液、12mMの緩衝液、13mMの緩衝液、14mMの緩衝液、15mMの緩衝液、16mMの緩衝液、17mMの緩衝液、18mMの緩衝液、19mMの緩衝液、又は20mMの緩衝液を含む。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、緩衝液は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス(Tris))緩衝液である。
【0039】
更に好ましくは、本製剤は、1mMのトリス緩衝液、2mMのトリス緩衝液、3mMのトリス緩衝液、4mMのトリス緩衝液、5mMのトリス緩衝液、6mMのトリス緩衝液、7mMのトリス緩衝液、8mMのトリス緩衝液、9mMのトリス緩衝液、10mMのトリス緩衝液、11mMのトリス緩衝液、12mMのトリス緩衝液、13mMのトリス緩衝液、14mMのトリス緩衝液、15mMのトリス緩衝液、16mMのトリス緩衝液、17mMのトリス緩衝液、18mMのトリス緩衝液、19mMのトリス緩衝液、又は20mMのトリス緩衝液を含む。
【0040】
より好ましくは、本製剤は、10mMのトリス緩衝液を含む。
【0041】
本発明のなお更なる実施形態では、等張化剤は、マンニトール、スクロース、トレハロース、グリセリン、プロピレングリコール、塩化ナトリウム、及び塩酸アルギニンからなる群から選択される。
【0042】
等張化剤は、製剤の張度を調節するために選択される賦形剤である。張度は、一般に、通常はヒト血清の浸透圧に対する溶液の浸透圧に関連する。本製剤は、低張性、等張性、又は高張性とすることができる。等張化剤の濃度は、所望の張度及び選択された特定の薬剤の分子量に依存する。例えば、25mg/mLのグリセリンは、95mg/mLのスクロースと同様の影響を水溶液の張度に及ぼす。他の賦形剤が製剤の張度に影響を及ぼす可能性があり、等張化剤の濃度は、所望の結果及び使用される薬剤の分子量に応じて変更される。
【0043】
本発明のなお更なる実施形態では、本製剤は、5mg/mL~150mg/mLの等張化剤を含む。
【0044】
好ましくは、本製剤は、10mg/mL~120mg/mLの等張化剤を含む。
【0045】
更に好ましくは、本製剤は、20mg/mL~100mg/mLの等張化剤を含む。
【0046】
なお更に好ましくは、本製剤は、30mg/mL~80mg/mLの等張化剤を含む。
【0047】
なお更に好ましくは、本製剤は、40mg/mL~60mg/mLの等張化剤を含む。
【0048】
なお更に好ましくは、本製剤は、45mg/mL~55mg/mLの等張化剤を含む。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、等張化剤は、マンニトールである。
【0050】
なお更に好ましくは、本製剤は、10mg/mL~90mg/mLのマンニトールを含む。
【0051】
なお更に好ましくは、本製剤は、20mg/mL~80mg/mLのマンニトールを含む。
【0052】
なお更に好ましくは、本製剤は、30mg/mL~70mg/mLのマンニトールを含む。
【0053】
なお更に好ましくは、本製剤は、40mg/mL~60mg/mLのマンニトールを含む。
【0054】
なお更に好ましくは、本製剤は、45mg/mL~55mg/mLのマンニトールを含む。
【0055】
より好ましくは、本製剤は、50mg/mLのマンニトールを含む。
【0056】
本発明のなお更なる実施形態では、抗酸化剤は、ラジカルスカベンジャー、キレート剤、又は連鎖停止剤からなる群から選択される。
【0057】
本発明のなお更なる実施形態では、本製剤は、0.05~10.0mg/mLの抗酸化剤を含む。
【0058】
好ましくは、本製剤は、0.1~5.0mg/mLの抗酸化剤を含む。
【0059】
更に好ましくは、本製剤は、0.2~1.0mg/mLの抗酸化剤を含む。
【0060】
代替として好ましくは、本製剤は、0.05mg/mLの抗酸化剤、0.075mg/mLの抗酸化剤、0.1mg/mLの抗酸化剤、0.2mg/mLの抗酸化剤、0.3mg/mLの抗酸化剤、0.4mg/mLの抗酸化剤、0.5mg/mLの抗酸化剤、0.6mg/mLの抗酸化剤、0.7mg/mLの抗酸化剤、0.8mg/mLの抗酸化剤、0.9mg/mLの抗酸化剤、1.0mg/mLの抗酸化剤、1.1mg/mLの抗酸化剤、1.2mg/mLの抗酸化剤、1.3mg/mLの抗酸化剤、1.4mg/mLの抗酸化剤、1.5mg/mLの抗酸化剤、1.6mg/mLの抗酸化剤、1.7mg/mLの抗酸化剤、1.8mg/mLの抗酸化剤、1.9mg/mLの抗酸化剤、2.0mg/mLの抗酸化剤、2.5mg/mLの抗酸化剤、3.0mg/mLの抗酸化剤、3.5mg/mLの抗酸化剤、4.0mg/mLの抗酸化剤、4.5mg/mLの抗酸化剤、5.0mg/mLの抗酸化剤、5.5mg/mLの抗酸化剤、6.0mg/mLの抗酸化剤、6.5mg/mLの抗酸化剤、7.0mg/mLの抗酸化剤、7.5mg/mLの抗酸化剤、8.0mg/mLの抗酸化剤、8.5mg/mLの抗酸化剤、9.0mg/mLの抗酸化剤、9.5mg/mLの抗酸化剤、又は10.0mg/mLの抗酸化剤を含む。
【0061】
本発明の好ましい実施形態では、本製剤は、ラジカルスカベンジャーである。
【0062】
更に好ましくは、抗酸化剤は、EDTA、クエン酸、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、亜硫酸ナトリウム、p-アミノ安息香酸、グルタチオン、没食子酸プロピル、システイン、ヒスチジン、メチオニン、エタノール、及びN-アセチルシステインからなる群から選択される。
【0063】
なお更に好ましくは、抗酸化剤は、EDTAである。
【0064】
なお更に好ましくは、本製剤は、0.05~10.0mg/mLのEDTAを含む。
【0065】
なお更に好ましくは、本製剤は、0.1~5.0mg/mLのEDTAを含む。
【0066】
なお更に好ましくは、本製剤は、0.2~1.0mg/mLのEDTAを含む。
【0067】
代替として好ましくは、本製剤は、0.05mg/mLのEDTA、0.075mg/mLのEDTA、0.1mg/mLのEDTA、0.2mg/mLのEDTA、0.3mg/mLのEDTA、0.4mg/mLのEDTA、0.5mg/mLのEDTA、0.6mg/mLのEDTA、0.7mg/mLのEDTA、0.8mg/mLのEDTA、0.9mg/mLのEDTA、1.0mg/mLのEDTA、1.1mg/mLのEDTA、1.2mg/mLのEDTA、1.3mg/mLのEDTA、1.4mg/mLのEDTA、1.5mg/mLのEDTA、1.6mg/mLのEDTA、1.7mg/mLのEDTA、1.8mg/mLのEDTA、1.9mg/mLのEDTA、2.0mg/mLのEDTA、2.5mg/mLのEDTA、3.0mg/mLのEDTA、3.5mg/mLのEDTA、4.0mg/mLのEDTA、4.5mg/mLのEDTA,5.0mg/mLのEDTA、5.5mg/mLのEDTA、6.0mg/mLのEDTA、6.5mg/mLのEDTA、7.0mg/mLのEDTA、7.5mg/mLのEDTA、8.0mg/mLのEDTA、8.5mg/mLのEDTA、9.0mg/mLのEDTA、9.5mg/mLのEDTA、又は10.0mg/mLのEDTAを含む。
【0068】
より好ましくは、本製剤は、0.5mg/mLのEDTAを含む。
【0069】
代替として好ましくは、抗酸化剤は、クエン酸である。
【0070】
なお更に好ましくは、本製剤は、1~20mMのクエン酸を含む。
【0071】
なお更に好ましくは、本製剤は、5~15mMのクエン酸を含む。
【0072】
なお更に好ましくは、本製剤は、8~12mMのクエン酸を含む。
【0073】
代替として好ましくは、本製剤は、1mMのクエン酸、1.5mMのクエン酸、2mMのクエン酸、2.5mMのクエン酸、3mMのクエン酸、3.5mMのクエン酸、4mMのクエン酸、4.5mMのクエン酸、5mMのクエン酸、5.5mMのクエン酸、6mMのクエン酸、6.5mMのクエン酸、7mMのクエン酸、7.5mMのクエン酸、8mMのクエン酸、8.5mMのクエン酸、9mMのクエン酸、9.5mMのクエン酸、10mMのクエン酸、10.5mMのクエン酸、11mMのクエン酸、11.5mMのクエン酸、12mMのクエン酸、13mMのクエン酸、13.5mMのクエン酸、14mMのクエン酸、14.5mMのクエン酸、15mMのクエン酸、15.5mMのクエン酸、16mMのクエン酸、16.5mMのクエン酸、17mMのクエン酸、17.5mMのクエン酸、18mMのクエン酸、18.5mMのクエン酸、19mMのクエン酸、19.5mMのクエン酸、又は20mMのクエン酸を含む。
【0074】
より好ましくは、本製剤は、10mMのクエン酸を含む。
【0075】
本発明の代替の実施形態では、抗酸化剤は、アスコルビン酸である。
【0076】
本発明の更なる代替の実施形態では、抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)である。
【0077】
本発明のなお更なる代替の実施形態では、抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)である。
【0078】
本発明のなお更なる代替の実施形態では、抗酸化剤は、亜硫酸ナトリウムである。
【0079】
本発明のなお更なる代替の実施形態では、抗酸化剤は、p-アミノ安息香酸である。
【0080】
本発明のなお更なる代替の実施形態では、抗酸化剤は、グルタチオンである。
【0081】
本発明のなお更なる代替の実施形態では、抗酸化剤は、没食子酸プロピルである。
【0082】
本発明のなお更なる代替の実施形態では、抗酸化剤は、システインである。
【0083】
本発明のなお更なる代替の実施形態では、抗酸化剤は、ヒスチジンである。
【0084】
本発明のなお更なる代替の実施形態では、抗酸化剤は、メチオニンである。
【0085】
本発明のなお更なる代替の実施形態では、抗酸化剤は、エタノールである。
【0086】
本発明のなお更なる代替の実施形態では、抗酸化剤は、N-アセチルシステインである。
【0087】
本発明の好ましい実施形態では、本製剤のpHは、8.0~8.6である。
【0088】
更に好ましくは、本製剤のpHは、8.0~8.3である。
【0089】
本発明の好ましい実施形態では、本製剤は、
(i)1mg/mL~100mg/mLの以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Glu-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)-CO-(CH2)18CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号1)
で示される化合物(化合物1)、又はその薬学的に許容される塩、
(ii)10mMのトリス緩衝液、
(iii)46mg/mLのマンニトール、
(iv)0.5mg/mLのEDTA
を含むものであって、本製剤のpHは、8.0~8.3である。
【0090】
本発明のなお更なる実施形態では、2型糖尿病、肥満、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、及び/又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療及び/又は予防する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に記載の医薬製剤を投与することを含む、方法が提供される。
【0091】
本発明のなお更なる実施形態では、2型糖尿病、肥満、NAFLD、及び/又はNASHの治療及び/又は予防に使用するための、本明細書に記載の医薬製剤が提供される。
【0092】
本発明のなお更なる実施形態では、2型糖尿病、肥満、NAFLD、及び/又はNASHの治療に使用するための薬剤の製造における、本明細書に記載の医薬製剤の使用が提供される。
【0093】
本明細書で使用される場合、「医薬製剤」という表現は、ヒトに生物学的効果を発揮することができる少なくとも1つの医薬品有効成分(API)と、APIと組み合わせた場合にヒトへの治療的投与に好適な少なくとも1つの不活性成分(例えば、緩衝液、賦形剤、界面活性剤など)とを有する溶液を意味する。本開示の医薬製剤は、本製剤における治療化合物の分解、修飾、凝集、生物活性の喪失などの程度が許容範囲内で制御され、かつ経時的に許容範囲を超えて増加しない安定した製剤である。
【0094】
本発明との関連で、APIは、化合物1若しくはその薬学的に許容される塩、化合物2若しくはその薬学的に許容される塩、化合物3若しくはその薬学的に許容される塩、又は化合物4若しくはその薬学的に許容される塩である。化合物1、化合物2、化合物3、及び化合物4、並びにそれらの薬学的に許容される塩、及びそれらを作製する方法は、米国特許第9,938,335号に記載されている。
【0095】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、医薬製品の製剤化に使用される緩衝剤、溶媒、等張化剤、安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、又はポリマーなどの、治療活性を有さず、かつ許容される毒性を有するあらゆる成分を指す。これらは、一般に、米国食品医薬品局によって公表された基準を含む確立された政府の基準に従ってヒトへの投与に安全である。
【0096】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「緩衝液」という用語は、pHの変化に耐性を示す溶液を指す。緩衝液は、pHの安定性を維持するのに役立つ弱酸及びその塩又は弱塩基及びその塩を含むことができる。医薬製剤に使用される緩衝液の例としては、重炭酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、リン酸緩衝液、酒石酸緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(又は2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール[(HOCHCNH])緩衝液、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ある特定のこれらの緩衝液は、皮下投与される医薬製剤に好適である。緩衝液は、本製剤の所望のpHに従って医薬製剤で使用するために選択される。例えば、本発明の医薬製剤のpHは、7.8~9.0である。このpHを達成するのに好適な緩衝液には、重炭酸緩衝液、炭酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(又は2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール[(HOCH2)3CNH2])緩衝液、及び水酸化ナトリウム(NaOH)緩衝液が含まれる。これらのうち、リン酸緩衝液及びトリス緩衝液が注射用製剤における使用に好ましい。本製剤のpHは、所望のpHを達成するために必要とされ得る生理学的に適切な酸及び塩基を使用して調整することができる(例えば、製剤中のAPIの濃度が増加又は減少するにつれて、pHの調整が必要になり得る)。
【0097】
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液は、「トリス(TRIS)」、「トリス(Tris)」、「トリス塩基」、「トリス緩衝液」、「トリスアミン」、「THAM」などと称することができる。加えて、多くの緩衝液及び/又は緩衝系にはトリスが含まれている。例えば、トリス緩衝生理食塩水(「TBS」)、トリス塩酸緩衝液(「トリス-HCl」)、トリス塩基(pH10.6)、トリス/ホウ酸/エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)緩衝液(「TBE」)、トリス/酢酸/EDTA緩衝液(「TAE」)。トリス塩基は、多くの場合、所望のpHでトリス緩衝液を調製するためにトリス-HClとともに使用される。
【0098】
本明細書で使用される「等張化剤」という用語は、製剤の張度を調節するために使用される薬学的に許容される賦形剤を指す。張度は、一般に、通常はヒト血清の浸透圧に対する溶液の浸透圧に関連する。本製剤は、低張性、等張性、又は高張性とすることができる。好適な等張化剤としては、塩、アミノ酸、及び糖が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の医薬製剤における使用に好ましい等張化剤としては、マンニトール、スクロース、トレハロース、プロピレングリコール、グリセリン、塩化ナトリウム、及び塩酸アルギニンが挙げられる。
【0099】
「抗酸化剤」という用語は、APIの酸化を防止する薬学的に許容される賦形剤を指す。本発明の医薬製剤における使用に好適な抗酸化剤としては、キレート剤(EDTA、クエン酸)、活性酸素スカベンジャー(アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、亜硫酸ナトリウム、p-アミノ安息香酸、グルタチオン、没食子酸プロピル)、及び連鎖停止剤(ヒスチジン、システイン、メチオニン、エタノール、及びN-アセチルシステイン))が挙げられる。
【0100】
本発明の医薬製剤における使用に好適であり得る代替の緩衝液、等張化剤、及び抗酸化剤は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第23版(編集者:Adeboye Adejare)に記載されている。
【0101】
本明細書に記載の医薬製剤は、可溶化剤、乳化剤、界面活性剤、防腐剤、着色剤、粘度調整剤、及び安定剤などの他の好適な薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。
【0102】
本明細書で使用され得る場合、「約」又は「およそ」という用語は、具体的に列挙されている数値又は値の範囲に関して使用される場合、その値が列挙されている値とは10%以下(例えば、±10%)異なり得ることを意味する。例えば、本明細書で使用される場合、「約100」という表現は、90及び110、並びにそれらの間の全ての値(例えば、91、92、93、94など)を含む。
【0103】
本明細書で互換的に使用される場合、「治療(treatment)」及び/又は「治療すること(treating)」及び/又は「治療する(treat)」は、疾患及び/又は疾患症状の完全な消失、その減速又は遅延、(例えば、フレア又はエピソードの)重症度又は頻度の低下、その進行の中断又は停止が存在し得る全ての過程を指すよう意図されているが、全ての疾患症状の完全な消失を必要としない。治療は、(a)疾患の症状及び影響の更なる進行を抑制すること、すなわち、その発症を阻止すること、(b)疾患を軽減すること、すなわち、疾患、疾患症状、又はその合併症の消失又は退行を引き起こすこと、及び(c)疾患エピソード若しくはフレアを予防する又はその頻度を減少させることを含む、上記の過程のうちの少なくとも1つから恩恵を受けるであろうヒトにおける疾患の治療のための本開示の医薬製剤の投与を含む。特定の実施形態によれば、本明細書に提供される医薬製剤は、2型糖尿病、肥満、NAFLD、及びNASHのうちの少なくとも1つの治療に使用され得る。
【0104】
本明細書で互換的に使用される場合、「患者」、「対象」、及び「個体」という用語は、ヒトを指す。別途記載されない限り、対象は、本明細書に開示される医薬製剤の投与から恩恵を受けるであろう疾患の症状を有する、それを発症するリスクがある、又はそれを経験すると更に特徴付けられる。
【0105】
本明細書で互換的に使用される場合、本開示の医薬製剤の「有効量」又は「治療有効量」は、所望の治療結果を達成するのに必要な量(投薬量、投与頻度、及び特定の投与手段に対する期間)を指す。本開示の医薬製剤の有効量は、対象の病状、年齢、性別、及び体重、並びに対象において所望の応答を誘発する本開示の医薬製剤の能力などの要因に応じて変動し得る。有効量は、治療上有益な効果が本開示の医薬製剤の毒作用又は有害作用を上回る量でもある。
【0106】
本発明の医薬製剤は、非経口投与により患者に投与され得る。非経口投与とは、医療分野で理解されているように、滅菌シリンジ又は自己注射器若しくは注入ポンプを含むいくつかの他の薬物送達システムによる体内へのある用量の注射を指す。本開示の医薬製剤とともに使用するための薬物送達システムの例は、以下の参考文献に記載されており、それらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる:米国特許公開第2014/0054883号(2013年3月7日に出願されたLaniganらの表題「Infusion Pump Assembly」)、米国特許第7,291,132号(2006年2月3日に出願されたDeRuntzらの表題「Medication Dispensing Apparatus with Triple Screw Threads for Mechanical Advantage」)、米国特許第7,517,334号(2006年9月18日に出願されたJacobsらの表題「Medication Dispensing Apparatus with Spring-Driven Locking Feature Enabled by Administration of Final Dose」)、及び米国特許第8,734,394号(2012年8月24日に出願されたAdamsらの表題「Automatic Injection Device with Delay Mechanism Including Dual Functioning Biasing Member」)。非経口経路には、IM、SQ、及びIP投与経路が含まれる。
【0107】
図面の簡単な説明
図1は、pHがおよそ5.0からおよそ7.0に変化したときの溶液中の化合物1の濃度を説明する。
図2aは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定した、等張化剤としてNaCl又はグリセリンのいずれかを含む10mMのリン酸緩衝液を含む製剤マトリックス中の化合物1溶液製剤の総凝集体を説明する。
図2bは、SECによって測定した、等張化剤としてNaCl又はグリセリンのいずれかを含む10mMのトリス緩衝液を含む製剤マトリックス中の化合物1溶液製剤の総凝集体を説明する。
図3aは、2mg/mLの化合物1を様々なpH条件で製剤化し、かつフィブリルを添加した場合のpHの関数としての化合物1のフィブリル化のリスクを説明する。
図3bは、12mg/mLの化合物1を様々なpH条件で製剤化し、かつフィブリルを添加した場合のpHの関数としての化合物1のフィブリル化のリスクを説明する。
図4は、2mg/mLの化合物1溶液製剤を40℃で最長4週間保管した場合の熱応力の影響を示すRP-HPLCクロマトグラムである。
図5aは、遷移金属及びHの影響を示す、0.5mg/mLのEDTAで製剤化した2mg/mLの化合物1医薬品のRP-HPLCクロマトグラムである。
図5bは、遷移金属及びHの影響を示す、EDTAなしで製剤化した2mg/mLの化合物1医薬品のRP-HPLCクロマトグラムである。
図6aは、0ヶ月、1ヶ月、及び3ヶ月時点のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した、5℃で保管した化合物1製剤中の総凝集体を説明する。
図6bは、0ヶ月、1ヶ月、及び3ヶ月時点のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した、25℃で保管した化合物1製剤中の総凝集体を説明する。
図6cは、0ヶ月、1ヶ月、及び3ヶ月時点のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した、30℃で保管した化合物1製剤中の総凝集体を説明する。
【実施例
【0108】
化合物1、化合物2、化合物3、及び化合物4の調製
化合物1
HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLEGGPSSG
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のKは、K側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γGlu)1-CO-(CH18-COHとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、C末端一級アミドとしてアミド化されている](配列番号1)。
【化1】
【0109】
上の図は、アミノ酸残基Aib2及びK20の構造が拡大されているこれらの残基を除いて、標準の1文字アミノ酸コードを使用して化合物1の構造を描写している。
【0110】
化合物1を、米国特許第9,938,335号の実施例2に記載されるように調製する。代替の合成方法は、米国仮特許出願第63/038,363号に記載されている。
【0111】
化合物2
HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLSGGPSSG
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のKは、K側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γGlu)2-CO-(CH18-COHとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、C末端一級アミドとしてアミド化されている](配列番号2)。
【化2】
【0112】
上の図は、アミノ酸残基Aib2及びK20の構造が拡大されているこれらの残基を除いて、標準の1文字アミノ酸コードを使用して化合物2の構造を描写している。
【0113】
化合物2を、米国特許第9,938,335号の実施例4に記載されるように調製する。
【0114】
化合物3
HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLEGGPSSG
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のKは、K側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル)-(γGlu)-CO-(CH16-COHとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、C末端一級アミドとしてアミド化されている](配列番号3)。
【化3】
【0115】
上の図は、アミノ酸残基Aib2及びK20の構造が拡大されているこれらの残基を除いて、標準の1文字アミノ酸コードを使用して化合物3の構造を描写している。
【0116】
化合物3を、米国特許第9,938,335号の実施例1に記載されるように調製する。
【0117】
化合物4
HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLSGGPSSG
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のKは、K側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル)-(γGlu)-CO-(CH16-COHとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、C末端一級アミドとしてアミド化されている](配列番号4)。
【化4】
【0118】
上の図は、アミノ酸残基Aib2及びK20の構造が拡大されているこれらの残基を除いて、標準の1文字アミノ酸コードを使用して化合物4の構造を描写している。
【0119】
化合物4を、米国特許第9,938,335号の実施例3に記載されるように調製する。
【0120】
化合物1の溶解度
化合物1を、ヒト患者における2型糖尿病の治療の臨床試験で評価している。本薬剤を非経口投与すべきであることが予測される。異なるpH条件での化合物1の溶解度を評価した。
【0121】
材料
本研究で使用した化合物1原薬及び賦形剤を表1に詳細に示す。全ての他の実験用試薬をそのまま使用した。
【表1】
【0122】
方法
化合物1の溶解度を、25℃で、pH5.0~pH7.0で評価した。溶液は全て、10mMのトリス(1.21g/L)及び0.05%EDTA(0.5g/L)を含んだ。溶液のpHを、1N塩酸又は濃縮トリス塩基ストック溶液のいずれかを使用して滴定した。
【0123】
化合物1の濃度を、UV-Vis分光光度計(SoloVPE)により280nmで測定した。UV-Vis分光光度計は、溶液中のタンパク質又はペプチドの定量に一般的に使用されている。280nm付近の特徴的なUV吸収スペクトルは、主にトリプトファン(Trp、W)及びチロシン(Tyr、Y)などの芳香族アミノ酸に由来する。タンパク質又はペプチドのモル吸光係数が分かっている場合、分子には結合ヌクレオチド補因子、ヘム、又は鉄硫黄中心などのUV吸収性の非タンパク質性成分が含まれていないと仮定して、ランベルト・ベールの法則を使用して、UV吸光度によりタンパク質又はペプチドの量を正確に定量する。化合物1は、10位及び13位にチロシンアミノ酸残基を有し、25位にトリプトファンアミノ酸残基を有し、1.86mL・mg-1・cm-1の吸光係数を有する(Pace法により計算)。この方法による様々なpH条件でのペプチド濃度の測定は、化合物1に適している。
【0124】
結果
化合物1の溶解度データを表2に示し、図1に説明する。
【表2】
【0125】
化合物1の溶解度は、pHが5.3から6.8に増加するにつれて有意に増加した。本実験を行った時点で化合物1の供給量が限られていたため、pH6.8以降は本研究を続行しなかった。データの外挿により、化合物1の溶解度がpH値7.0以上で高くなることが示される。このデータは、医薬品製造プロセス中の及び/又は最終剤形での化合物1の適切な溶解性を確実にするために化合物1をpH7.0以上で製剤化すべきであることを示している。
【0126】
溶液中での化合物1の製剤化の実現可能性研究
化合物1を溶液中で製剤化する実現可能性を評価するための研究を行った。化合物1の溶解度データは、化合物1をpH7.0以上で製剤化すべきであることを示した。
【0127】
材料
本研究で使用した化合物1 API及び賦形剤を表3に詳細に示す。全ての他の実験用試薬をそのまま使用した。
【表3】
【0128】
方法
化合物1の医薬品処方を表4に示す。
【表4】
【0129】
溶液を0.22mmのPVDFフィルターに通して濾過した。層流フード内で、溶液をガラスバイアルに充填した。バイアルをキャップし、5℃、25℃、及び30℃で保管した。試料を取り出し、以下の試験:(a)初期試験、(b)2週間、(c)1ヶ月のために提出した。共有結合凝集体の形成をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定した。
【0130】
結果
25℃での凝集体形成のデータを図2a及び図2bに説明する。全ての製剤で急速な凝集体の形成が観察された。pH、緩衝液、及び等張化剤に応じて、凝集速度に差異がある。1ヶ月後に25℃で存在する凝集体の量により、いずれの製剤も注射用製品として実現可能ではない、すなわち、24ヶ月の有効期限も所望の使用期間も有しないことが実証された。化合物1の分解メカニズムを理解するために更なる研究が必要である。
【0131】
化合物1の溶液製剤のフィブリル化傾向及び適切なpH条件
化合物1は天然グルカゴンと配列類似性を共有しており、この化合物がフィブリル化を受けやすい可能性があると考えられた。フィブリル化は、天然タンパク質機能の喪失を引き起こす可能性があり、免疫原性応答の誘発などの潜在的な毒性機能獲得を引き起こす可能性もある。フィブリルを形成する化合物1の傾向を評価して、それが化合物の分解に寄与する可能性があるかを決定した。溶液のpHの関数として化合物1のフィブリル化のリスクを評価した。
【0132】
材料
2mg/mL及び12mg/mLの化合物1の溶液製剤を調製し、溶液のpHを、それぞれ、7.5、7.8、8.0、8.3、及び8.5に調整した。製剤の組成を表5に提示する。全ての他の実験用試薬をそのまま使用した。
【表5】
【0133】
化合物1のフィブリルシードの調製
化合物1のフィブリルを、500μLの2mg/mL溶液及び12mg/mL溶液(pH7.5)を37℃のインキュベーター内で一定の前方回転で72時間インキュベートすることによって生成した。72時間後、溶液が濁った。その後、フィブリルシードを、溶液が透明になるまで200μLの濁った溶液を超音波浴内で様々な2分サイクルで超音波処理することによって生成した。2mg/mLの試料を2分サイクルで2回超音波処理し、12mg/mLの試料を2分サイクルで6回超音波処理した。10
【0134】
チオフラビンT(ThT)蛍光アッセイによる化合物1のフィブリル化の観察
フィブリルシードを含む又は含まない化合物1溶液製剤を調製した。シードを含む試料の場合、5μLの2mg/mLシード又は12mg/mLシードのいずれかを、150μLの対応する医薬品に添加した。シードを含まない試料の場合、5μLの水を150μLの化合物1医薬品に添加した。シードを含む緩衝液の陰性対照も実行した。
【0135】
化合物1のフィブリル化を、チオフラビンT(ThT)アッセイ(Schlein,M,The AAPS Journal 2017,19,(2),397-408に記載されているように行った)を使用して観察した。簡潔には、20μLの試料を各々、黒色の底が透明な384ウェルプレートの3つのウェルの各々に添加した。ThTを各ウェルに添加し、最終ThT濃度を1ウェル当たり4μMとした。プレートを、光学接着フィルムを使用して密封し、SpectraMax i3x(Molecular Devices)プレートリーダーにロードし、37℃まで過インキュベート(per-incubate)した。プレートを、励起波長450nm及び発光波長480nmを使用して、読み取りの合間に3秒間振盪しながら、36時間にわたって15分毎に読み取った。
【0136】
結果:ThT蛍光アッセイによる化合物1のフィブリル化
フィブリルは、ある特定の生物物理学的特徴を有するタンパク質又はペプチドの大きな高分子自己集合体である。最も注目すべきは、個々のペプチド骨格がβシートに富んだ立体構造に変換されることである。結果として、潜在的に望ましくない物理的、化学的、及び治療的リスクが生じる可能性がある。実験的に、フィブリルの形成は、濁度、沈殿、又はゲル化の増加として視覚的に観察され得る。
【0137】
本研究では、蛍光分光法を使用して、結合色素としてチオフラビンT(ThT)を用いて、溶液のpHの関数として化合物1のフィブリル化のリスクを評価した。ThTは、フィブリルの強力な蛍光マーカーである。フィブリル沈着物に選択的に結合すると、蛍光シグナルは蛍光輝度の劇的な増加を呈する。化合物1を様々なpH条件(7.5、7.8、8.0、8.3、及び8.6)で製剤化し、事前に調製したフィブリルシードを添加して、フィブリル化速度を加速させた。図3a及び図3bは、pH8.0以下の製剤でThT蛍光シグナルの増加が明らかに見られ得ることを説明する。化合物1のフィブリル化は、pHに特に感受性があるようであった。7.8未満のpHでは、フィブリルの形成は両方の濃度(2mg/mL及び12mg/mL)で急速であった。pHが8.0を超えて上昇しても、蛍光シグナルは平坦なままであり、アミロイドフィブリルが存在しないことを示している。
【0138】
ThT蛍光アッセイからの実験データは、pH8.0以下での化合物1のフィブリル化のリスクを説明する。pH8.0超では、フィブリルシードの添加があってもフィブリル化をうまく防ぐことができる。フィブリル化のリスクを軽減する観点から、化合物1溶液製剤の適切なpH条件は7.8超であり、好ましくは8.0超である。更に、本研究は、製品有効期間中の厳格なpH制御が重要であることも明らかにした。適切な緩衝強度を有するトリスなどの好適な緩衝液を利用してもよい。
【0139】
化合物1溶液製剤の分解研究
化合物1のアミノ酸配列には、ペプチドが潜在的に化学的及び/又は物理的分解を受けやすくする残基が含まれている。例えば、化合物1は、それぞれ、3位及び4位にグルタミン(Gln、Q)及びグリシン(Gly、G)を有し、脱アミド化を受けやすい可能性がある。脱アミド化は主に温度及びpHの影響を受ける。化合物1は、それぞれ、1位及び25位にヒスチジン(His、H)及びトリプトファン(Trp、W)も有し、潜在的な酸化ホットスポットである可能性がある。溶液中の化合物1の酸化のリスクを評価した。
【0140】
材料
2mg/mL及びpH8.0の化合物1溶液製剤を調製した。研究製剤の組成を表6に提示する。全ての他の実験用試薬をそのまま使用した。
【表6】
【0141】
化合物1の分解応力
表7に要約したように、化合物1溶液製剤を様々な条件に供した。
【表7】
【0142】
結果及び結論
(a)熱応力の影響
化合物1溶液製剤を調製し、40℃で最長4週間保管した。ロット1及びロット3の組成は0.5mg/mLのEDTAを含むが(表6)、ロット2及びロット4の組成はEDTAを含まない。EDTAは有効なラジカルスカベンジャーであることが知られている。Trpの酸化がROSによって開始された場合、0.5mg/mLのEDTAの存在が観察された化学分解を抑制する可能性があると仮定する。試料を適切な時点で取り出し、その後、RP-HPLCを使用して分析した。
【0143】
RP-HPLCクロマトグラムを図4に示す。ロット2及びロット4では、保持時間およそ4分時点で新たなピークが観察された。過去のデータに基づいて、この新たなピークは、Trpの酸化によるものである。同様に、保持時間およそ7分時点で別の新たなピークが確認され、これは、Trpの二重酸化に相当する。しかしながら、これらの新たなピークは、同じ保持時間でロット1及びロット3のクロマトグラムには存在しない。
【0144】
(b)遷移金属及びHの影響
化合物1製剤に2ppmのFe3+又は1ppmのHを添加した場合、0.5mg/mLのEDTAの存在がTrpの酸化を抑制した、すなわち、RP-HPLCクロマトグラムには保持時間およそ4分時点及び7分時点で新たなピークが存在しない(図5a)。EDTAなしで、2ppmのFe3+又は1ppmのHを添加した試料はTrp酸化体を生成した(図5b)。Cu2+又はNi2+を添加した化合物1製剤は、同程度の分解を示さなかった。
【0145】
(c)溶液中の潜在的な酸化を減少させるために提案された軽減策
溶液状態でのタンパク質の酸化は、酵素酸化を除いて、一般に、フリーラジカル、すなわち、活性酸素種(ROS)によって開始される。ROSは、化学的滅菌プロセスの結果として、不純物により、又は光への曝露により生成される可能性がある。例えば、過酸化水素(H)を滅菌に使用した場合、残留レベルのHが容器の壁に吸着されたままになる可能性があり、酸化反応を開始する場合がある。γ線を滅菌に使用した場合、ROSが放射線誘発化学プロセスにより生成される。鉄(Fe3+)、銅(Cu2+)、又はニッケル(Ni2+)などの遷移金属イオンは、ROSの別の発生源となる可能性があり、API/原薬又は賦形剤のいずれかで不純物として医薬品製剤中に見つかることが多い。それらがステンレス鋼容器などのタンパク質製品の保管及び加工に使用される機器から浸出する可能性もある。機器のエラストマーコンポーネントには、それらの硬化プロセスにより金属が含まれる可能性もある。タンパク質溶液が光に曝露されると、紫外線が芳香族アミノ酸に吸収され、ROSの生成につながり得る。
【0146】
全てのアミノ酸側鎖は酸化を受けやすいが、ラジカルは数個のアミノ酸残基、とりわけ、メチオニン(Met、M)、システイン(Cys、C)、ヒスチジン(His、H)、又はトリプトファン(Trp、W)を優先的に攻撃する傾向がある。化合物1のアミノ酸配列には、それぞれ、1位及び25位にHisアミノ酸及びTrpアミノ酸があり、ペプチドが潜在的に酸化を受けやすくする。
【0147】
分解研究により、化合物1は酸化を受けやすい可能性があることが示された。抗酸化剤、特にラジカルスカベンジャー(EDTAなど)を含めることは、溶液状態での酸化を軽減するための有力な戦略である。
【0148】
化合物1溶液製剤の安定性研究
この研究では、プレフィルドシリンジ内の12個の製剤中の溶液医薬品としての化合物1の安定性を、公称条件、加速条件、及び応力条件で評価した。製剤の頑健性を、賦形剤のタイプ、pH、及びフィブリル添加を変化させることによって評価した。化合物1の安定性を、pHを変化させながら(8.0、8.3、及び8.6)、賦形剤としてマンニトール、スクロース、及びプロピルグリコールを用いて評価した。この研究で使用した全ての製剤を表8に列記する。試料を、5±3℃及び25±2℃/60±5%相対湿度(RH)で最長6ヶ月間保管し、30±2℃/65±5%RHで最長2ヶ月間保管した。完了した分析スケジュールを表9に示す。各安定性時点で行った分析試験は、物理的外観による説明、RP-HPLC、SEC、及びAEXである。試験方法を各安定性時点で実行した。
【表8】
【表9】
【0149】
材料
本研究に使用した材料は以下のとおりである。
i)化合物1試験試料、ロットNB7956p7A-L、濃度12mg/mL
ii)化合物1企業参照標準、ロットRS1237、濃度0.89mg/mL
iii)化合物1フィブリルシード、ロットC241836-2018-0176-B1、濃度12mg/mL
iv)ガラス製プレフィル可能シリンジプラットフォーム、BD Neopak、C/N 47433010、ロット4357108
v)シリンジプランジャー、West Pharma、C/N 11402007、ロットD000077885
vi)EDTA二ナトリウム塩二水和物、Sigma、C/N E1644、ロットSLBV1798
vii)マンニトール、J.T.Baker、C/N 2553-01、ロット212595
viii)プロピレングリコール、Fisher Chemical、C/N P355-1、ロット180248
ix)スクロース、Sigma、C/N S3929、ロットSLBV6651
x)トリス塩基、Sigma、C/N T6791、ロットSLBQ2306V
xi)Aeris Peptide XB-C18、2.6μm、4.6×250mm、C/N 00G-4505-E0、ロットH18-303286、H19 051410、H19-079474、H19-084509、H19-131060、及びH19-131061
xii)BioPro IEX QF、5μm、4.6×100mm、C/N QF00505-1046WP、ロット14153
TOSOH TSKgel G2000SWXL、5μm、7.8×300mm、C/N 08540、ロット008C-00776D及びA02353-05A
【0150】
機器
本研究で使用した機器は以下のとおりである。
i)Agilent 1100/1200 HPLC System
ii)Eisai Machinery Observation Lamp、モデルMIH-DX
iii)Fisher Light Meter、モデル06-662-63
iv)HIAC Light Particle Counting System、モデル9703
v)Metter Toledo SevenMulti pH meter
vi) ProteinSimple Micro-Flow Imaging Microscope、DPA 5200+Bot 1
【0151】
方法
a)物理的外観による説明
全ての時点での物理的外観検査による説明を、表題「クライアント055バイオ製品原薬及び液体医薬品の物理的外観検査」のプロトコルを使用して行った。
【0152】
b)RP-HPLC
全ての時点にわたる試料の純度及びタンパク質含有量を、表題「RP-HPLCによる化合物1の同一性及び純度決定」のプロトコルを使用して、RP-HPLCによって決定した。
【0153】
c)サイズ排除クロマトグラフィー
全ての時点にわたる試料の凝集体を、表題「サイズ排除クロマトグラフィーによる化合物1の純度の決定」のプロトコルを使用して、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定した。
【0154】
d)陰イオン交換クロマトグラフィー
全ての時点にわたる試料の電荷不均一性プロファイルを、表題「陰イオン交換クロマトグラフィーによる化合物1の電荷不均一性の測定」のプロトコルを使用して、陰イオン交換クロマトグラフィーによって測定した。
【0155】
結果
a)物理的外観による説明
物理的外観結果を表10に示す。全ての製剤化試料は、全ての時点及び条件で、わずかに乳白色でわずかに黄色の溶液であった。初期、半月時点、又は1ヶ月時点で、各々の製剤中に粒子は観察されなかった。2ヶ月時点で、25±2℃/60±5%RH条件下の製剤4、製剤5、及び製剤12中に粒子はほとんど観察されず、30±2℃/65±5%RH条件下の製剤2、製剤5、及び製剤6中に粒子はほとんど観察されなかった。2ヶ月時点で、それぞれの安定性条件下の残りの製剤中に粒子は観察されなかった。3ヶ月時点及び6ヶ月時点で、両方の安定性条件下で全ての製剤中に粒子はほとんど観察されなかった。
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表10-4】
【0156】
b)逆相高速液体クロマトグラフィー
RP-HPLCによる純度分析の結果を表11に示す。一連の製剤にわたって、初期平均主ピーク純度パーセンテージは97.3~97.5%の範囲であり、平均総関連物質(TRS)パーセンテージは2.5~2.7%の範囲であった。6ヶ月時点及び5±3℃条件での一連の製剤にわたって、平均主ピーク純度パーセンテージは96.4~97.2%の範囲であり、平均TRSパーセンテージは2.8~3.6%の範囲であった。6ヶ月時点及び25±2℃/60±5%RH条件での一連の製剤にわたって、平均主ピーク純度パーセンテージは89.4~93.1%の範囲であり、平均TRSパーセンテージは6.9~10.6%の範囲であった。2ヶ月時点及び30±2℃/65±5%RH条件での一連の製剤にわたって、平均主ピーク純度パーセンテージは92.0~94.3%の範囲であり、平均TRSパーセンテージは5.7~8.0%の範囲であった。各製剤について、加速安定性条件にわたって、主ピークパーセンテージの減少及びTRSパーセンテージの増加の同様のパターンが観察された。初期値と比較して、6ヶ月まで5±3℃条件で主ピーク純度のわずかな減少が観察された。主ピーク純度のパーセントの減少はpH値に依存しており、pH値が高いほど大きな変化が見られた。
【0157】
タンパク質含有量の結果を、RP-HPLCによって全ての時点及び条件で評価した(表11)。12個の特有の製剤を各々、約12mg/mlの単一濃度レベルで調製した。タンパク質含有量は本研究にわたって9.8~13.7mg/mLの範囲であった。その結果、本研究にわたってタンパク質濃度を初期段階時点と比較した場合、ラベルクレームパーセントは84~111%の範囲であった。タンパク質濃度の減少は、6ヶ月時点加速条件で観察された。より具体的には、含有量の減少はpH値に依存しており、pH値が高いほど大きな変化が見られた。
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表11-4】
【表11-5】
【0158】
(c)サイズ排除クロマトグラフィー
SECによる純度分析の結果を表12に示す。一連の製剤にわたって、初期モノマーパーセンテージは98.8~99.2%の範囲であり、全ての製剤の凝集体パーセンテージは0.3%であり、断片パーセンテージは0.5~0.9%の範囲であった。6ヶ月時点及び5±3℃条件での一連の製剤にわたって、モノマーパーセンテージは98.7~99.0%の範囲であり、凝集体パーセンテージは0.4~0.5%の範囲であり、断片パーセンテージは0.6~0.9%の範囲であった。6ヶ月時点及び25±2℃/60±5%RH条件での一連の製剤にわたって、モノマーパーセンテージは98.2~98.7%の範囲であり、凝集体パーセンテージは0.7~1.0%の範囲であり、断片パーセンテージは0.6~1.0%の範囲であった。2ヶ月時点及び30±2℃/65±5%RH条件での一連の製剤にわたって、モノマーパーセンテージは98.4~99.0%の範囲であり、凝集体パーセンテージは0.5~0.8%の範囲であり、断片パーセンテージは0.5~1.0%の範囲であった。各製剤について、関与する安定性条件にわたって、モノマーパーセンテージの減少並びに凝集体パーセンテージ及び断片パーセンテージの増加の同様のパターンが観察された。わずかな変化は方法のばらつきによるものであり得るが、スクロースベースの製剤で最も大きいモノマーパーセントの変化が見られ、マンニトールベースの製剤で最も小さいモノマーパーセントの変化が見られた。加えて、プロピレングリコールを除いて、pH値が高いほど、各賦形剤タイプで最も大きな変化が見られた。更に、フィブリルシードを含む製剤及び含まない製剤の同じ製剤成分を比較して、全体として、フィブリルシードを含む製剤は特に加速条件下でより高い純度を示した。
【0159】
全体として、このデータは、加速条件下で6ヶ月間保管した後の凝集体及び断片のわずかな変化を示している。
【表12-1】
【表12-2】
【表12-3】
【表12-4】
【表12-5】
【0160】
(d)陰イオン交換クロマトグラフィー
AEXによる電荷不均一性の結果を表13に示す。一連の製剤にわたって、初期主ピークパーセンテージは98.1~98.7%の範囲であり、塩基性変異体パーセンテージは0.6~1.1%の範囲であり、酸性変異体パーセンテージは0.6~0.8%の範囲であった。6ヶ月時点及び5±3℃条件での一連の製剤にわたって、主ピークパーセンテージは93.3~97.1%の範囲であり、塩基性変異体パーセンテージは0.5~0.9%の範囲であり、酸性変異体パーセンテージは2.3~6.0%の範囲であった。6ヶ月時点及び25±2℃/60±5%RH条件での一連の製剤にわたって、主ピークパーセンテージは86.5~91.6%の範囲であり、塩基性変異体パーセンテージは0.9~1.9%の範囲であり、酸性変異体パーセンテージは7.3~11.8%の範囲であった。2ヶ月時点及び30±2℃/65±5%RH条件での一連の製剤にわたって、主ピークパーセンテージは92.4~93.3%の範囲であり、塩基性変異体パーセンテージは1.0~1.4%の範囲であり、酸性変異体パーセンテージは5.3~6.5%の範囲であった。各製剤について、関与する安定性条件全体にわたって、主ピークパーセンテージの減少並びに酸性変異体パーセンテージ及び塩基性変異体パーセンテージの増加の同様のパターンが観察された。
【表13-1】
【表13-2】
【表13-3】
【表13-4】
【0161】
化合物1の安定性に対する抗酸化剤の影響
序文
分解研究により、化合物1は酸化を受けやすい可能性があることが示された。一般に使用されている抗酸化剤であるEDTAを含めることは、溶液状態での酸化の軽減に有効である。他の賦形剤も酸化を抑制すると考えてもよい。本研究では、EDTA、クエン酸塩、及びメチオニンを化合物I溶液製剤の抗酸化剤として評価した。抗酸化剤を含まない試料を対照として含めた。
【0162】
材料及び方法
本研究で使用した化合物1 API及び賦形剤を表14に詳細に示す。全ての他の実験用試薬をそのまま使用した。
【表14】
【0163】
研究すべき化合物1を含む製剤を表15に示す。
【表15】
【0164】
溶液を0.22mmのPVDFフィルターに通して濾過した。層流フード内で、溶液をガラスバイアルに充填した。バイアルをキャップし、5℃、25℃、及び30℃で保管した。化合物1を含む4つの製剤を調製して、抗酸化剤、すなわち、EDTA、クエン酸塩、及びメチオニンの安定化有効性を評価した。いずれの抗酸化剤も含まない対照試料も含めた(表15、ロット番号25-1、25-2、25-3、及び25-4)。その後、より高濃度のメチオニン(10mMに対して100mM)を含む第5の試料を調製して、メチオニン濃度の影響を評価した(表15、ロット番号26)。試料を調製し、5℃、25℃、及び30℃で最長3ヶ月間保管した。適切な時点で、安定性を示すアッセイを行い、物理的安定性及び化学的安定性を評価した。
【0165】
化合物I製剤の外観
目視検査による3ヶ月後の化合物1製剤の外観は、製剤間で明白な差異を示した(表15)。5℃では、溶液は無色であった。しかしながら、25℃及び30℃では、対照及びメチオニン含有試料がわずかに黄色であった一方で、EDTA及びクエン酸塩含有試料は無色のままであった。色の変化は、多くの場合、化学分解の兆候である。5℃では、安定剤にかかわらず化学分解速度が十分に遅い可能性があり、それゆえに、全ての溶液が無色に見える。高温では、異なる分解速度が抗酸化剤の影響を反映する。
【表16】
【0166】
RP-HPLCによる化合物1の化学的安定性に対する抗酸化剤の影響
表17のデータは、化合物1の化学分解が冷蔵条件では実質的ではなかったことを示している。25℃及び30℃ では、安定化有効性に有意差がある。いずれの抗酸化剤も含まない場合、対照試料は急速な化学分解を示した。モノクローナル抗体製剤に一般に使用されている抗酸化剤であるメチオニンは、EDTA及びクエン酸塩と比較して低い安定化有効性を示した(10mM又は100mMのいずれか)。化学分解はEDTA又はクエン酸塩のいずれかによって抑制され、EDTAがクエン酸塩よりわずかに有効であった。
【表17】
【0167】
上記の実験からのデータは、Trpの酸化が主要分解経路のうちの1つであることを示している。表18のデータは、Trp酸化の可能性がEDTA又はクエン酸塩によってほぼ完全に抑制され、メチオニンから得ることができる効果はより小さいことを示している。
【表18】
【0168】
化合物1の物理的安定性に対する抗酸化剤の影響
共有結合凝集体の形成をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって評価した。3ヶ月にわたってSECによって測定した総凝集体を、5℃で保管したバイアルについては図6aに示し、25℃で保管したバイアルについては図6bに示し、30℃で保管したバイアルについては図6cに示す。全ての製剤は5℃で良好に挙動した。25℃及び30℃では、EDTA及びクエン酸塩が有意な安定化有効性を示した。
【0169】
SECに加えて、光遮蔽(HIAC)法及びフローイメージング(MFI)法を使用して、3ヶ月試料を肉眼では見ることができない粒子状物質について試験した。実験データを表19に示す。明らかな傾向は観察されない。HIACによる粒子数は全て、10μm以上の寸法及び25μm以上の寸法の仕様範囲内である。
【表19】
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
【配列表】
2024501256000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Xaa28-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
Xaa28は、Glu又はSerであり、
20位のLysは、前記20位のLysとC14-C24脂肪酸との間のリンカーを介したLys側鎖のイプシロン-アミノ基と前記C14-C24脂肪酸とのコンジュゲーションによって化学修飾されており、前記リンカーは、([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)tであって、式中、tは、1又は2であり、
C末端アミノ酸は、適宜アミド化されていてもよい](配列番号5)
で示される化合物と、
(ii)緩衝液と、
(iii)等張化剤と、
(iii)抗酸化剤と
を含む医薬製剤であって、前記製剤のpHが、7.8~9.0である、医薬製剤。
【請求項2】
前記化合物が、
(a)以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Glu-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)-CO-(CH2)18CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号1)
で示される化合物、
(b)以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Ser-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)2-CO-(CH2)18CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号2)
で示される化合物、
(c)以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Glu-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)-CO-(CH2)16CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号3)
で示される化合物、及び
(d)以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Ser-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)2-CO-(CH2)16CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号4)
で示される化合物
からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記化合物が、以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Glu-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)-CO-(CH2)18CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号1)
で示される、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記製剤が、1mg/mL~100mg/mLの前記化合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記緩衝液が、リン酸緩衝液及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(又は2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール[(HOCHCNH])緩衝液からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記製剤が、1mM~20mMの緩衝液を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記緩衝液が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)緩衝液である、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記製剤が、10mMのトリス緩衝液を含む、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記等張化剤が、マンニトール、スクロース、トレハロース、プロピレングリコール、グリセリン、塩化ナトリウム、及び塩酸アルギニンからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記製剤が、5mg/mL~150mg/mLの前記等張化剤を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記等張化剤が、マンニトールである、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記製剤が、45~55mg/mLのマンニトールを含む、請求項11に記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記抗酸化剤が、ラジカルスカベンジャー、キレート剤、又は連鎖停止剤からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記製剤が、0.05~10.0mg/mLの前記抗酸化剤を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記抗酸化剤が、EDTA、クエン酸、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、亜硫酸ナトリウム、p-アミノ安息香酸、グルタチオン、没食子酸プロピル、ヒスチジン、システイン、メチオニン、エタノール、及びN-アセチルシステインからなる群から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記抗酸化剤が、EDTAである、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項17】
前記製剤が、0.2~1.0mg/mLのEDTAを含む、請求項16に記載の医薬製剤。
【請求項18】
前記製剤が、0.5mg/mLのEDTAを含む、請求項16又は17に記載の医薬製剤。
【請求項19】
前記抗酸化剤が、クエン酸である、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項20】
前記製剤が、5mM~15mMのクエン酸を含む、請求項19に記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記製剤が、8mM~12mMのクエン酸を含む、請求項18又は19に記載の医薬製剤。
【請求項22】
前記製剤が、10mMのクエン酸を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項23】
前記製剤のpHが、8.0~8.6である、請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項24】
前記製剤のpHが、8.0~8.3である、請求項1~23のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項25】
(i)1mg/mL~100mg/mLの以下の式:
His-Xaa2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Glu-Lys-Lys-Ala-Lys-Glu-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Glu-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lys側鎖のイプシロン-アミノ基と([2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γ-Glu)-CO-(CH2)18CO2Hとのコンジュゲーションによって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている](配列番号1)
で示される化合物、
(ii)10mMのトリス緩衝液、
(iii)46mg/mLのマンニトール、及び
(iv)0.5mg/mLのEDTA
を含む医薬製剤であって、前記製剤のpHが、8.0~8.3である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項26】
2型糖尿病の治療及び/又は予防に使用するための請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、前記医薬製剤を投与することに用いられることを特徴とする、医薬製剤。
【請求項27】
肥満の治療及び/又は予防に使用するための請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、前記医薬製剤を投与することに用いられることを特徴とする、医薬製剤。
【請求項28】
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療及び/又は予防に使用するための請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、前記医薬製剤を投与することに用いられることを特徴とする、医薬製剤。
【請求項29】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療及び/又は予防に使用するための請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、前記医薬製剤を投与することに用いられることを特徴とする、医薬製剤。
【請求項30】
2型糖尿病の治療及び/又は予防に使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項31】
肥満の治療及び/又は予防に使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項32】
NAFLDの治療及び/又は予防に使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項33】
NASHの治療及び/又は予防に使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項34】
2型糖尿病の治療に使用するための薬剤の製造における、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤の使用。
【請求項35】
肥満の治療に使用するための薬剤の製造における、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤の使用。
【請求項36】
NAFLDの治療に使用するための薬剤の製造における、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤の使用。
【請求項37】
NASHの治療に使用するための薬剤の製造における、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤の使用。
【国際調査報告】