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特表2024-501262硬化CO2隔離固体組成物の生成方法、それを実施するためのシステム、及びそこから生成された硬化CO2隔離固体組成物
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  • 特表-硬化CO2隔離固体組成物の生成方法、それを実施するためのシステム、及びそこから生成された硬化CO2隔離固体組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】硬化CO2隔離固体組成物の生成方法、それを実施するためのシステム、及びそこから生成された硬化CO2隔離固体組成物
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/60 20170101AFI20231228BHJP
   C04B 18/167 20230101ALI20231228BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20231228BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20231228BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
C01B32/60
C04B18/167 ZAB
B01D53/62
B01D53/78
B01D53/14 210
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538087
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 US2021064358
(87)【国際公開番号】W WO2022140260
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】63/128,483
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/128,487
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515061156
【氏名又は名称】ブルー プラネット システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンツ,ブレント アール.
(72)【発明者】
【氏名】インカタシアト,ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】ユネス,モハマド アル ハッジ
(72)【発明者】
【氏名】カン,スン-ヒ
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ヤコブ
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC01
4D002AC05
4D002AC07
4D002AC10
4D002BA02
4D002DA47
4D002DA57
4D002DA66
4D002DA70
4D002GA01
4D002GB20
4D020AA03
4D020BA16
4D020BA30
4D020BB03
4D020DA03
4D020DB20
(57)【要約】
硬化CO隔離固体組成物、例えば、沈殿物又は骨材組成物の生成方法が提供される。方法の態様は、初期CO隔離固体組成物を調製することと、次いで、初期組成物を、硬化CO隔離固体組成物を生成するために十分な硬化液と接触させることとを含む。また、方法を実行するためのシステム、及びそこから生成された硬化CO隔離固体組成物も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化CO隔離固体を生成する方法であって、
a)初期CO隔離固体組成物を調製することと、
b)前記初期CO隔離固体組成物を、硬化CO隔離固体を生成するために十分な硬化液と接触させることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記硬化液が、炭酸塩硬化液、重炭酸塩硬化液、リン酸塩硬化液、二価アルカリ土類金属硬化液、又は水道水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記硬化液が、炭酸塩硬化液を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記炭酸塩硬化液が、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸アンモニウム((NHCO)、又は炭酸カリウム(KCO)を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記硬化液が、重炭酸塩硬化液を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記重炭酸塩硬化液が、重炭酸ナトリウム(NaHCO)、重炭酸アンモニウム(NHHCO)、又は重炭酸カリウム(KHCO)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記硬化液が、0.05M~5Mの範囲の溶存無機炭素濃度を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記硬化液が、リン酸塩硬化液を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記リン酸塩硬化液が、HPO 、HPO 2-、及びPO 3-からなる群から選択されるリン酸アニオンを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記硬化液が、二価アルカリ土類金属硬化液を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記二価アルカリ土類金属硬化液が、カルシウム硬化液を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記カルシウム硬化液が、CaClを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記硬化液が、水道水を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記硬化液が、炭酸塩硬化液、重炭酸塩硬化液、リン酸塩硬化液、二価アルカリ土類金属硬化液、及び水道水からなる群から選択される2つ以上の硬化液の複合体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記硬化液が、5~14の範囲のpHを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記硬化液が、接触の少なくとも一部分の間、20℃~50℃の範囲の温度にある、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記接触が、1分~30日間実行される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
硬化が、前記初期CO隔離固体中の第1の結晶構造から、前記硬化CO隔離固体中の第2の結晶構造に変化する炭酸塩化合物をもたらす、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記炭酸塩化合物が、炭酸カルシウムであり、前記第1の結晶構造が、バテライト又は非晶質炭酸カルシウムであり、前記第2の結晶構造が、アラゴナイト又は方解石である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記初期CO隔離固体を調製することが、
(i)炭酸塩捕捉液を生成するために十分な条件下で、水性捕捉液をガス状CO源と接触させることと、
(ii)前記初期CO隔離固体を生成するために十分な条件下で、カチオン源と前記炭酸塩捕捉液とを合わせることと
を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記初期CO隔離固体組成物を調製することが、前記初期CO隔離固体を生成するために十分な条件下で、カチオン源を含む水性捕捉液をガス状CO源と接触させることを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記水性捕捉液が、水性捕捉アンモニアを含み、前記初期CO隔離固体組成物を調製することは、水性アンモニウム塩の生成ももたらす、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記水性アンモニウム塩から水性捕捉アンモニアを再生することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記カチオン源が、二価アルカリ土類金属カチオンを含む、請求項20~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記二価アルカリ土類金属カチオンが、Ca2+又はMg2+である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記カチオン源が、遷移金属カチオンを含む、請求項20~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記遷移金属カチオンが、Mn、Fe、Ni、Cu、Co、Znカチオンである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
初期水性液体中に、セメント、コンクリート、フライアッシュ、岩石、及びスチールスラグからなる群から選択される材料を少なくとも部分的に溶解させることによって、前記水性捕捉液を調製することを更に含む、請求項20~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記初期水性液体が、水性アンモニアを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記初期CO隔離固体組成物が、沈殿物を含み、前記方法が、硬化沈殿物組成物を生成する、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記硬化沈殿物組成物から骨材を生成することを更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記初期CO隔離固体組成物が、初期骨材を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記硬化CO隔離固体を、各々が75μm~100,000μmの範囲の直径を有する複数の硬化形成骨材に形成することを更に含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記硬化CO隔離固体を、前記CO隔離固体から不純物を除去するために十分な様式で、蒸気と接触させることを更に含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記CO隔離固体が、1~60分の範囲の期間の間、前記蒸気と接触する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記CO隔離固体が、0psig及び100℃で前記蒸気と接触する、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
前記CO隔離固体が、開放システム中で前記蒸気と接触する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記CO隔離固体が、閉鎖システム中で前記蒸気と接触する、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記CO隔離固体が、大気圧よりも高い接触圧力で前記蒸気と接触する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
硬化CO隔離固体であって、
a)初期CO隔離固体組成物を調製するステップと、
b)前記初期CO隔離固体組成物を炭酸塩硬化液と接触させて、硬化CO隔離固体を生成するステップと
を含むプロセスによって調製される、硬化CO隔離固体。
【請求項41】
モース硬度スケールに従って2以上の硬度を有する、請求項40に記載の硬化CO隔離固体。
【請求項42】
前記硬化CO隔離固体を含有するコンクリート試験片が、ASTM C330に従って、それぞれ2,500psi~4,000psi及び100lb/ft~115lb/ftの範囲の平均28日間の圧縮強度及び計算された平衡密度を有する、請求項40又は41に記載の硬化CO隔離固体。
【請求項43】
結晶構造を有する、請求項40~42のいずれか一項に記載の硬化CO隔離固体。
【請求項44】
アラゴナイト、方解石、又はそれらの組み合わせを含む、請求項43に記載の硬化CO隔離固体。
【請求項45】
75μm~100,000μmの範囲の直径を有する、請求項40~44のいずれか一項に記載の硬化CO隔離固体。
【請求項46】
硬化CO隔離固体を生成するためのシステムであって、
初期CO隔離固体組成物調製モジュールと、
硬化モジュールと
を備える、システム。
【請求項47】
前記硬化モジュールが、炭酸塩硬化液、重炭酸塩硬化液、リン酸塩硬化液、二価アルカリ土類金属硬化液、又は水道水を含む硬化液を含む、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記硬化液が、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸アンモニウム((NHCO)、炭酸カリウム(KCO)、重炭酸ナトリウム(NaHCO)、重炭酸アンモニウム(NHHCO)、重炭酸カリウム(KHCO)、それらの組み合わせを含む、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
骨材組成物調製モジュールに水性捕捉アンモニアを供給するように構成された水性捕捉アンモニア再生モジュールを更に備える、請求項46~48のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項50】
前記水性捕捉アンモニア再生モジュールが、蒸留によって水性捕捉アンモニアを生成するように構成されている、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記水性捕捉アンモニア再生モジュールが、アンモニウム塩をアルカリ性源と接触させることによって水性捕捉アンモニアを生成するように構成されている、請求項49又は50に記載のシステム。
【請求項52】
前記初期CO隔離固体組成物調製モジュールが、
COガス/水性液体接触器モジュールと、
固体炭酸塩生成モジュールと
を備える、請求項46~51のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項53】
前記初期CO隔離固体組成物調製モジュールが、COガスをカチオン源を含む水性液体と接触させ、固体炭酸塩を生成するように構成されたCOガス/水性液体接触器モジュールを備える、請求項46~51のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項54】
前記初期CO隔離固体組成物調製モジュールが、煙道ガスの供給源に動作可能に結合されている、請求項46~53のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
二酸化炭素(CO)は、ガスとして地球の大気中に存在する天然に生じる化学化合物である。大気中のCOの供給源は様々であり、呼吸の過程でCOを生成するヒト及び他の生体、並びに火山、温泉、及び間欠泉などの他の天然に生じる供給源を含む。
【0002】
大気中のCOの追加の主要な供給源としては、工業用プラントが挙げられる。多くの種類の工業用プラント(セメントプラント、製油所、製鉄所及び発電所を含む)は、化石燃料及び合成ガスなどの様々な炭素系燃料を燃焼する。使用される化石燃料としては、石炭、天然ガス、油、石油コークス及びバイオ燃料が挙げられる。燃料はまた、タールサンド、油頁岩、石炭液化油、並びに合成ガスを用いて製造される石炭ガス化及びバイオ燃料からも由来する。
【0003】
COの環境影響は、著しく関心が高い。COは、一般的に温室効果ガスとみなされる。産業革命以降の人間の活動は、大気中COの濃度を急速に増加させたため、人為的COは、地球温暖化及び気候変動、並びに海洋中の重炭酸塩濃度の増加に関与してきた。化石燃料COの海洋への取り込みは現在、1時間当たり約100万メトリックトンのCOで進んでいる。
【0004】
人為的気候変動及び海洋酸性化に対する懸念は、スケーラブルで費用対効果が高い二酸化炭素捕捉及び隔離(CCS)方法を発見する緊急性を助長している。典型的には、CCSの方法は、複雑な煙流から純粋なCOを分離し、精製されたCOを圧縮し、最後にそれを地質学的隔離のために地下生理食塩水貯蔵庫に注入する。これらの複数のステップは非常にエネルギー集約的であり資本集約的である。
【発明の概要】
【0005】
硬化CO隔離固体組成物、例えば、沈殿物又は骨材組成物の生成方法が提供される。方法の態様は、初期CO隔離固体組成物を調製することと、次いで、初期組成物を、硬化CO隔離固体組成物を生成するために十分な硬化液と接触させることとを含む。また、方法を実行するためのシステム、及びそこから生成された硬化CO隔離固体組成物も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示は、添付の図面を参照することによって、よりよく理解され得、その多数の特徴及び利点は、当業者に明らかにされ得る。図は、例示のみを目的として、本発明の様々な実施形態を示す。当業者は、以下の考察から、本明細書に示される構造及び方法の代替の実施形態が、本明細書に記載される本発明の原理から逸脱することなく採用され得ることを容易に認識する。異なる図面における同じ参照記号の使用は、同様の又は同一の項目を示す。
【0007】
図1】本発明の一実施形態による、耐久性があるCO隔離固体組成物、例えば、骨材組成物を生成するためのシステムを示す図である。
図2】本発明の一実施形態による、CO隔離固体組成物、例えば、沈殿物組成物を硬化させる方法を示す図であり、破線は任意選択のステップを示している。
図3A】CaCO骨材の洗浄及び硬化の効果を示す図である。
図3B】CaCOコーティングされた骨材の洗浄及び硬化の効果を示す図である。
図4】元のスラリー(未洗浄)、洗浄及び凝集した骨材、並びに硬化後の最終骨材のSEM画像を示す図である。
図5A】古いスラリーに対する洗浄及び硬化の効果を示す図である。
図5B】洗浄液中のナトリウム及びpHの効果を示す図である。
図6】COガス吸収プロセスからスラリーを硬化させることによって、耐久性があるCaCO骨材及び砂を生成する方法の実施形態を示す図である。
図7】スラリーが凝集することなく硬化される、スラリー硬化から作製された骨材の強度を示す図である。
図8A】硬化前にCO隔離固体を洗浄するための閉鎖蒸気処理システムを示す図である。
図8B】硬化前にCO隔離固体を洗浄する開放蒸気処理システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
硬化CO隔離固体組成物、例えば、沈殿物又は骨材組成物の生成方法が提供される。方法の態様は、初期CO隔離固体組成物を調製し、次いで、硬化CO隔離固体組成物を生成するために十分な硬化液と初期組成物を接触させることを含む。また、方法を実行するためのシステム、及びそこから生成された硬化CO隔離固体組成物も提供される。
【0009】
本発明がより詳細に説明される前に、本発明は、説明される特定の実施形態に限定されるものではなく、したがって、もちろん、変化し得ることが理解されるべきである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0010】
値の範囲が提供される場合、別段文脈が明らかに示さない限り、その範囲の上限と下限との間の下限の単位の10分の1までの介在する各値、及び記述の範囲内の任意の他の記述の値又は介在する値が、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、独立して、より小さな範囲に含まれ得、また、記述の範囲内の任意の特定の除外された制限に従うことを条件として、本発明内に包含される。記載された範囲が限定の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限定のいずれか又は両方を除外する範囲も、同様に本発明に含まれる。
【0011】
数値に「約」という用語が先行するある特定の範囲が本明細書で提示される。「約」という用語は、本明細書では、それが先行する正確な数、並びにその用語が先行する数に近いか又はほぼそれである数に文字どおりの支持を提供するために使用される。ある数が、具体的に列挙された数に近いか又はほぼその数であるかを決定する際に、列挙されていない数に近いか又はほぼその数は、提示される文脈において、具体的に列挙された数の実質的な同等性を提供する数であり得る。
【0012】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。また、本明細書に記載のものと同様の又は同等な任意の方法及び材料が、本発明の実施又は試験に使用され得るが、代表的な例示的な方法及び材料が以下に記載される。
【0013】
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許は、各個々の刊行物又は特許が、参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されたかのように、参照により本明細書に組み込まれ、引用される刊行物に関連する方法及び/又は材料を開示し説明するために参照により本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日以前のその開示についてのものであり、本発明が、先行発明の特色によってそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。更に、提供される刊行物の日付は、独立して確認する必要があり得る実際の刊行日とは異なる場合がある。
【0014】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに示さない限り、複数の指示物を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択の要素を排除するように設計され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の要素の列挙に関連して「専ら」、「唯一の」などのような排他的な用語の使用又は「否定的な」制限の使用のための先行基準としての役割を果たすことを意図している。
【0015】
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に記載及び例示される個々の実施形態の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の一部の実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又はこれらと組み合わされ得る別個の構成要素及び特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
【0016】
装置及び方法は、文法的な流動性のために機能的説明とともに記述されてきた、又は記述されるが、米国特許法第112条に基づいて明確に記載されていない限り、特許請求の範囲は、必ずしも「手段」又は「ステップ」の限定の解釈によって限定されると解釈すべきではなく、法的均等論の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味及び等価物の完全な範囲を付与されるべきであり、特許請求の範囲が米国特許法第112条に基づいて明確に記載されている場合には、米国特許法第112条に基づく完全な法的等価物を付与されるべきであることを明確に理解されたい。
【0017】
方法
上述のように、本発明の態様は、耐久性がある硬化CO隔離固体を生成する方法を含む。本明細書で使用される場合、「硬化」は、化合物の化学組成を変更することを意味する。一実施形態において、硬化は、初期CO隔離固体組成物(以下、「初期固体」とも称される)中の化合物を、第1の多形体から第2の多形体に変化させることを含む。したがって、いくつかの実施形態において、初期固体は、炭酸カルシウムの第1の多形体を含み、硬化ステップは、炭酸カルシウムの第1の多形体の一部又は全てを炭酸カルシウムの第2の多形体に変換する。「多形体」という用語は、同じ実験式を有するが、異なる結晶構造を有する化合物を指す。「実験式」は、分子中の原子の比を指し、例えば、水の実験式は、HOである。方解石、アラゴナイト、及びバテライトは、全てCaCOの同じ実験式を有するため、炭酸カルシウム(CaCO)の多形体であるが、それらは、結晶構造が互いに異なっている。方解石、アラゴナイト、及びバテライトの結晶構造空間群は、それぞれR3c、Pmcn、及びP6/mmcである。場合によっては、多形体は、非晶質であり、すなわち、固体は、結晶化されず、代わりに長距離秩序を欠く。例えば、固体は、非晶質炭酸カルシウムを含む場合がある。場合によっては、第1の結晶構造は、バテライト又は非晶質炭酸カルシウムであり、第2の結晶構造は、アラゴナイト又は方解石である。他の実施形態において、硬化は、第1の化合物を第2の化合物に変化させることを含み、すなわち、化合物の実験式は、硬化中に変化する。
【0018】
図1は、初期CO隔離固体組成物110から固体組成物を隔離する耐久性があるCOを生成するためのシステム100の実施形態を示す。システム100は、複数のモジュールを含み、その各々は、いくつかの実施形態において、バッチ動作又は連続動作、すなわち、フロー動作のために独立して構成され得る。バッチ動作では、モジュール中で一定量の化合物を一緒に混合し、化合物を新しい化合物を添加せずに一定時間反応させ、次いで生成物をモジュールから除去する。例えば、硬化モジュールがバッチ動作のために構成されている場合、初期CO隔離固体組成物及び硬化液がモジュールに添加され、得られた硬化CO隔離固体は、追加の初期CO隔離固体組成物が添加される前にモジュールから除去される。連続動作又はフロー動作では、入力は、モジュールに連続的に流れ込み、出力は、モジュールから連続的に流れ出す。
【0019】
いくつかの実施形態において、システム100は、初期CO隔離固体組成物調製モジュール105を含む。場合によっては、モジュール105は、CO含有ガス102のための吸気、及び水性捕捉液104のための吸気、及び初期CO隔離固体組成物110のための出力を有する。モジュール105は、CO含有ガス102を水性捕捉液104及びカチオン源と接触させ、初期CO隔離固体組成物110を生成するように構成されている。場合によっては、この生成は、水性捕捉液が、ガス状CO源102と接触し、水性液体を生成するモジュール105の第1のセクション、及び水性液体が、カチオン源と接触し、初期CO隔離固体組成物110を生成するモジュール105の第2のセクションを含む。他の場合には、生成は、カチオン源を含む水性捕捉液104をガス状CO源102と接触させて、初期CO隔離固体組成物110を生成することを含む。そのような場合、カチオン源は、捕捉液がガス状CO源102と接触する前に、捕捉液104の一部である。
【0020】
いくつかの実施形態において、初期CO隔離固体組成物110は、COガスが材料から容易に生成されず、大気中に放出されないように、相当量のCOを貯蔵安定な形式で貯蔵する組成物である。場合によっては、初期CO隔離固体組成物は、5質量%以上のCO、例えば、10質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、又は45質量%以上のCOを含む。例えば、固体組成物110は、炭酸イオン(CO 2-)として貯蔵されたCOを含むことができる。言い換えると、固体組成物110は、炭酸塩を含むことができる。初期CO隔離固体組成物110中の炭酸塩の量は、例えば、クーロメトリーによって決定される際に、10%以上、例えば、25%以上、50%以上、60%以上であり得る。場合によっては、COは、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、又はそれらの組み合わせとして貯蔵される。
【0021】
初期CO隔離固体組成物110は、COが材料中で隔離(すなわち、固定)されるような様式でCOの長期貯蔵を提供し、隔離されたCOは、大気の一部にならない。固体組成物がその意図された使用のための条件下で維持される場合、固体組成物110は、存在する場合、固体組成物110からのCOの有意な放出とともに、隔離されたCOを、1年以上、5年以上、10年以上、25年以上、又は50年以上などの長期間固定したままにする。例えば、固体組成物110が、その意図された使用と一致する様式で維持される場合、固体組成物から放出されるCOガスの量は、少なくとも1年、2年、5年、10年、若しくは20年、又は20年を超える間、例えば、100年を超える間、例えば、意図された使用のために、通常のpHの降雨を含む、通常の温度及び湿気の条件に曝露された場合、固体組成物中のCOの年間総量の10%以下、例えば5%以下又は1%以下である。そのような安定性を合理的に予測することができる任意の好適な代理マーカー又は試験が使用され得る。例えば、高温及び/又は中程度からより極端なpH条件の条件を含む加速試験は、長期間にわたる安定性を合理的に示すことができる。例えば、組成物の意図される使用及び環境に応じて、初期CO隔離固体組成物110の試料は、1日間、2日間、5日間、25日間、50日間、100日間、200日間、又は500日間、10%~50%の相対湿度で50℃、75℃、90℃、100℃、120℃、又は150℃に曝露され得、その炭素の1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、又は50%未満の損失は、所与の期間(例えば、1年、10年、100年、1000年、又は1000年超)の固体組成物の安定性の十分な証拠とみなされ得る。CO隔離材料は、成分が化石燃料起源であるか、又は現代の植物からであるかを識別する同位体プロファイルを有し得、両方とも、光合成中にCOを分画し、したがって、CO隔離である。例えば、いくつかの実施形態において、CO材料中の炭素原子は、材料を作製するために使用された化石又は現代ともに植物由来のCOが由来する化石燃料(例えば、石炭、石油、天然ガス、タール砂、樹木、草、農業植物)の相対的な炭素同位体組成(δ13C)を反映する。炭素同位体プロファイリングに加えて、又はその代わりに、酸素(δ18O)、窒素(δ15N)、硫黄(δ34S)、及び他の微量元素のものなどの他の同位体プロファイルを使用して、CO隔離材料が由来する工業用CO源を生成するために使用された化石燃料源を特定し得る。例えば、別の目的のマーカーは、(δ18O)である。本発明のCO隔離材料の識別子として用いられ得る同位体プロファイルは、米国特許第9,714,406号として発行された米国特許出願第14/112,495号に更に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
「初期CO隔離固体組成物」における「固体組成物」という用語は、物質の固体状態に1つ以上の化合物が存在することを意味する。言い換えると、初期CO隔離固体組成物110の少なくとも一部(全てではないが)は、固体の状態にある。場合によっては、固体組成物は、固体及び液体を含む。場合によっては、固体組成物は、固体を含むが、液体は含まず、すなわち、固体組成物は、乾燥固体を含む。場合によっては、初期CO隔離固体組成物は、上記のように、COガスが材料から容易に生成されず、大気中に放出されないように、相当量のCOを貯蔵安定な形式で貯蔵する固体を含む。場合によっては、固体組成物の固体は、化学反応によって形成される固体である「沈殿物」を含む。例えば、沈殿物は、CO隔離沈殿物であってもよく、例えば、炭酸塩化合物を含むことができる。例えば、ガス状COがカチオン源を含む水溶液と接触する場合、1つの可能な生成物は、カチオン源とガス状COとの間の化学反応によって形成された炭酸塩化合物を含む固体粒子である。粒子は、COとカチオン源との間の化学反応によって形成されるため、本明細書ではそれらを沈殿物と称する。この沈殿物が固体のサイズ、形状、又は両方を変化させる物理的操作に供される場合、得られた固体は、「骨材」と称される。場合によっては、骨材は、沈殿物固体のサイズを増加させた操作、例えば、沈殿物と比較してより長い長さ、幅、高さ、直径、又はそれらの組み合わせを有する骨材から生じる固体である。場合によっては、沈殿物を骨材に形成することは、濾過による沈殿物からの水の分離などの成分の除去を含む。場合によっては、沈殿物を骨材に形成することは、結合化合物を添加するなどの成分の添加を含む。例えば、沈殿物をセメントと合わせて、コンクリート骨材を形成することができる。場合によっては、沈殿物は、硬化の前に骨材に形成され、場合によっては、沈殿物は、硬化の後に骨材に形成され、場合によっては、骨材は、形成されず、得られる硬化固体は、沈殿物である。
【0023】
初期CO隔離固体組成物110は、任意の好都合なプロトコルを使用して調製されてもよい。実施形態において、プロトコルは、初期CO隔離固体組成物を生成するプロセスで、人為的COなどのCOの供給源を用いることを含む。例えば、CO102は、炭酸塩化合物、すなわち、炭酸塩イオン(CO 2-)を含む化合物に化学的に変換することができる。炭酸塩化合物としては、限定されないが、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、硫黄、ホウ素、シリコン、ストロンチウム、及びそれらの組み合わせのイオン種など多くの異なるカチオンが挙げられ得る。対象となるものは、カルシウム及びマグネシウムの炭酸塩化合物などの二価金属カチオンの炭酸塩化合物である。対象となる特定の炭酸塩化合物としては、限定されないが、炭酸カルシウム鉱物、炭酸マグネシウム鉱物及び炭酸カルシウムマグネシウム鉱物が挙げられる。対象となる炭酸カルシウム鉱物としては、限定されないが、方解石(CaCO)、アラゴナイト(CaCO)、バテライト(CaCO)、イカイト(CaCO・6HO)、及び非晶質炭酸カルシウム(CaCO)が挙げられる。対象となる炭酸マグネシウム鉱物としては、限定されないが、マグネサイト(MgCO)、バリントナイト(MgCO・2HO)、ネスクオナイト(MgCO・3HO)、ランフォーディット(MgCO・5HO)、ヒドロマグネサイト、及び非晶質炭酸マグネシウムカルシウム(MgCO)が挙げられる。対象となる炭酸カルシウムマグネシウム鉱物としては、限定されないが、ドロマイト(CaMg)(CO)、ハンチ酸塩(MgCa(CO)及びセルジエビト(CaMg11(CO13・HO)が挙げられる。生成物の炭酸塩化合物は、1つ以上の水和水を含み得るか、又は無水であり得る。いくつかの場合において、沈殿物中の炭酸マグネシウム化合物の量は、沈殿物中の炭酸カルシウム化合物の量を超える。例えば、沈殿物中の炭酸マグネシウム化合物の重量は、沈殿物中の炭酸カルシウム化合物の重量を5重量%以上、例えば、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上を超え得る。いくつかの場合において、沈殿物中の炭酸マグネシウム化合物対炭酸カルシウム化合物の重量比は、1.5~5:1、例えば2~3:1を含む2~4:1の範囲である。いくつかの場合において、沈殿生成物は、水酸化物、例えば、二価金属イオン水酸化物、例えば、水酸化カルシウム及び/又は水酸化マグネシウムを含み得る。
【0024】
例示的な炭酸塩化合物としては、式MCOの化合物が挙げられ、式中、Mは、二価正イオン、例えば、Ca2+又はMg2+などのアルカリ土類金属カチオンである。他の場合において、炭酸塩化合物は、式MCOを有し、式中、各Mは、独立して、一価正イオン、例えば、Na若しくはKなどのアルカリ金属カチオン、又はアンモニウムカチオン(NH )である。場合によっては、CO102は、重炭酸塩化合物、すなわち、重炭酸塩イオン(HCO )を含む化合物に化学的に変換される。例えば、重炭酸塩化合物は、式MHCOを有することができ、式中、Mは、一価正イオン、例えば、Na若しくはKなどのアルカリ金属カチオン、又はアンモニウムカチオン(NH )である。場合によっては、CO102は、炭酸イオンと重炭酸イオンとの混合物に変換される。言い換えると、初期CO隔離固体組成物110は、1つ以上の炭酸塩化合物と1つ以上の重炭酸塩化合物との混合物を含む。
【0025】
化学反応を受けるCO102は、任意の好適な物質状態、例えば、ガス状CO又は水(CO(aq))などの液体中に溶解したCOであり得る。いくつかの実施形態において、CO102の供給源は、純粋なCOであり得るか、又はCOを含む多成分ガス(すなわち、多成分ガス流)であり得る。例えば、ガス源は、燃焼副生成物ガスの一部としてCO102を提供する燃焼モジュールであり得る。場合によっては、多成分ガスは、煙道ガスである。対象となる廃棄物流は、工業用プラント排ガス、例えば、燃焼排ガスである。「燃焼排ガス」とは、化石燃料又はバイオマス燃料の燃焼による燃焼生成物から得られるガスを意味し、その後、工業用プラントの煙道としても知られる煙突に送られる。ある特定の実施形態において、CO含有ガス102は、例えば、CO含有ガス102が工業用プラントからの廃棄物供給物である工業用プラントから得られる。CO含有ガス102が、例えば、工業用プラントからの廃棄物供給物として得られ得る工業用プラントは、変化し得る。対象となる工業用プラントとしては、限定されないが、発電所及び工業製品製造プラント、例えば、限定されないが、化学及び機械加工プラント、製油所、セメントプラント、鋼プラントなど、並びに燃料燃焼又は他の加工ステップ(セメントプラントによる焼成など)の副生成物としてCOを生成する他の工業用プラントが挙げられる。対象となる廃棄物供給物としては、例えば、工業用プラントによって行われるプロセスの二次的又は付随的な生成物として、工業用プラントによって生成されるガス流が挙げられる。
【0026】
場合によっては、初期CO隔離固体組成物110の生成は、炭酸塩中間体を通して媒介される。例えば、場合によっては、COガス102は、COの大部分が重炭酸塩とは対照的に炭酸塩になるように、捕捉液と接触する。例えば、炭酸塩に対する優先傾向は、より高いpHを有することによって達成することができる。次いで、カチオン中間体を添加して、炭酸水溶液を固体炭酸塩に変換することができる。炭酸塩媒介生成プロトコルに関する更なる詳細は、米国特許第7,744,761号、同第7,771,684号、同第7,829,053号、同第7,914,685号、同第7,922,809号、同第7,931,809号、同第7,939,336号、同第8,006,446号、同第8,062,418号、同第8,114,214号、同第8,137,455号、及び同第8,177,909号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
場合によっては、COガス102は、捕捉液104と接触して、炭酸塩とは対照的に、COの大部分が重炭酸塩になる、液体を含有する重炭酸塩を生成する。次いで、2モルの重炭酸塩が1モルの炭酸塩固体及び1モルのCOガスを形成するように、捕捉液体をカチオン源と接触させる。これにより、カチオン源を添加する前に、例えば、pHを上昇させることによって、重炭酸塩を炭酸塩に変換する必要なしに、COを隔離することが可能になる。重炭酸塩媒介プロセスは、カチオン源がCOガス102と接触するときに既に捕捉液の一部であるときにも実行することができる。上記のような重炭酸塩媒介生成方法に関する追加の詳細は、米国特許第7,815,880号、同第8,177,909号、同第8,333,944号、同第9,707,513号、同第9,714,406号、同第9,993,799号、同第10,197,747号、同第10,711,236号、同第10,322,371号、及び同第10,766,015号、並びにPCT特許公開第2016/160612号、同第2018/160888号、及び同第2020/047243号に見出され、これらの開示は、参照により本明細書に記載される。
【0028】
いくつかの実施形態において、水性捕捉液104は、炭酸アンモニウム水溶液を生成するために水性捕捉アンモニアを含む。水性アンモニウム炭酸塩は変化してもよく、いくつかの場合において、水性アンモニウム炭酸塩は、炭酸アンモニウム及び重炭酸アンモニウムのうちの少なくとも1つを含み、いくつかの場合において、炭酸アンモニウム及び重炭酸アンモニウムの両方を含む。水性捕捉液104が水性捕捉アンモニアを含む場合、この液体104をカチオン源と接触させると、初期CO隔離固体組成物110が生成される。そのようなアンモニア媒介生成プロトコルに関する更なる詳細は、米国特許第10,322,371号に見出され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
いくつかの実施形態において、CO含有ガス102と接触する捕捉液104の温度は、変化し得る。いくつかの場合において、温度は、20~80℃などの-1.4~100℃の範囲であり、40~70℃を含む。いくつかの場合において、温度は、-1.4~50℃以上、例えば、-1.1~45℃以上の範囲であり得る。いくつかの場合において、より低い温度が使用され、かかる温度は、-1.1~0℃などの-1.4~4℃の範囲であり得る。いくつかの場合において、より高い温度が使用される。例えば、いくつかの場合において、捕捉液104の温度は、25℃以上、例えば30℃以上であってもよく、いくつかの実施形態において、25~50℃、例えば30~40℃の範囲であってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、CO含有ガス102及び捕捉液104を、所望のCO荷電液体の生成に好適な圧力で接触させる。いくつかの場合において、接触条件の圧力は、最適なCO吸収を提供するように選択され、かかる圧力は、1~50気圧、例えば、20~30気圧、又は1気圧~10気圧など、1気圧~100気圧の範囲であり得る。接触が自然に1気圧である場所で生じる場合、圧力は、任意の好都合なプロトコルを使用して所望の圧力に増加され得る。いくつかの場合において、接触は、最適圧力が存在する場所、例えば、海洋又は海などの水体の表面下の位置で、生じる。いくつかの場合において、CO含有ガス102とアルカリ水性媒体104との接触は、水の表面(例えば、海洋の表面)の下の深さで生じ、深さは、いくつかの場合において、10~1000メートル、例えば10~100メートルの範囲であり得る。いくつかの場合において、CO含有ガス102及びCO捕捉液104は、CO含有ガス中の他のガス、例えばNなどに対して、ガスからのCOの選択的吸収を提供する圧力で接触する。これらの例では、CO含有ガス102と捕捉液104とが接触する圧力は、1~100大気圧(atm)、例えば1~10atm、及び20~50atmを含む範囲で変化し得る。
【0031】
中間体の形成後、1つ以上の試薬を中間体と反応させ、それによって、初期CO隔離固体組成物110のCO隔離固体を生成する。いくつかの実施形態において、COの隔離を引き起こす試薬は、任意の好適な物質状態、例えば、水、ガス、固体、又は液体などの液体中に溶解され得る。場合によっては、これらの試薬は、中間体をCO隔離化合物に変換するカチオンを提供する。例えば、試薬は、二価カチオン、例えば、重炭酸塩又は炭酸塩イオンを含む中間体と相互作用して、CO隔離化合物、例えば、炭酸カルシウム又は炭酸マグネシウムなどの二価カチオン炭酸塩化合物を形成することができる、Ca2+又はMg2+などのアルカリ土類金属カチオンを含む場合がある。場合によっては、試薬は、中間体と接触する液体のpHを修飾する。例えば、試薬は、中間化合物、例えば重炭酸塩化合物の、CO隔離化合物である炭酸塩化合物への変換を引き起こし得る捕捉液のpHを上昇させることができる。
【0032】
場合によっては、試薬は、二価カチオンを供給するとともに、捕捉液のpHも上昇させる。場合によっては、試薬は、二価アルカリ土類金属カチオン、例えば、Ca2+及びMg2+を含む。例えば、試薬は、水酸化カルシウム(Ca(OH))又は水酸化マグネシウム(Mg(OH))を、固体Ca(OH)(s)及びMgCl(s)、又は水性液体Ca(OH)(aq)及びMgCl(aq)のいずれかとして含むことができ、これは、捕捉液のpHを上昇させることができ、それによって炭酸イオンに有利になり、また炭酸塩と相互作用してCO隔離炭酸塩化合物を形成することができる。
【0033】
場合によっては、試薬は、遷移金属カチオン、例えば、Mn、Fe、Ni、Cu、Co、又はZnなどの4周期遷移金属カチオンを含む。いくつかの実施形態において、遷移金属カチオンは、例えば、MnCO、FeCO、NiCO、CuCO、CoCO、ZnCOとして、CO隔離固体中の遷移金属炭酸塩の一部となる。場合によっては、遷移金属は、顔料の一部、すなわち、CO隔離固体に、遷移金属炭酸塩を有さない参照固体とは異なる色をもたらす色付与化合物である。遷移金属化合物を有する固体は、任意の色、例えば、赤色、オレンジ色、茶色、黄色、緑色、青色、青色、紫色、マゼンタ色、黒色、灰色、又は白色を有することができる。例えば、顔料製品の生成における遷移金属カチオンの使用に関する更なる詳細は、米国特許第10,287,439号において提供され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
例として、モジュール105において、捕捉液104及びガス状CO102は、液体-ガス接触器と接触し、炭酸カルシウム(CaCO)として識別される固体沈殿物が形成される。
【0035】
システム100は、脱水及び洗浄された固体組成物125を生成するために、初期CO隔離固体組成物110を脱水し、すすぎ液115で洗浄するか、又はすすぐためのすすぎステーション120を含む。すすぎ液115は、所望に応じて変化してもよく、いくつかの実施形態において、すすぎ液115は、硬化液145又はすすぎ液165と同じである。洗浄は、以下に記載されるような固体/液体接触プロトコルなどの任意の好都合なプロトコルを使用して達成され得る。
【0036】
システム100は、洗浄された固体組成物125を骨材135に成形し、形成するための骨材生成モジュール130を含む。いくつかの実施形態において、骨材生成モジュール130中の洗浄された固体組成物125の成形は、機械的方法を使用して骨材135を形成し得る。他の実施形態において、骨材生成モジュール130中の洗浄された固体組成物125の成形は、機械的方法と印加された熱との組み合わせを使用して、骨材135を形成し得る。例えば、一実施形態において、骨材生成モジュール130は、洗浄された固体組成物125が最初にピンミキサーによって成形され、次いで回転ドラムに供給され、そこで、熱の存在下で短時間混転して骨材135を得、次いで硬化モジュール140に入るように構成されている。
【0037】
硬化モジュール140は、固体組成物125に接触するように構成され得、これは、硬化液145と(例えば、上記のように)固化され得、それによって、硬化CO隔離固体150を生成し得る。硬化とは、2つの元素が化学的に相互作用し、固体組成物を硬化させることができるように、互いに物理的に近接して入れることを意味する。
【0038】
場合によっては、硬化モジュール140は、固体組成物125に硬化液を噴霧するためのノズルを有する。場合によっては、硬化モジュール140は、固体組成物125を硬化液145に沈めるように構成されている。場合によっては、硬化モジュール140は、硬化モジュール140のリザーバ内に配置された硬化液145を含む。硬化モジュール140のリザーバ内に配置された硬化液145は、上記の特性のいずれかを有することができる。
【0039】
場合によっては、硬化モジュール140は、固体組成物125を1分~50日、例えば1時間~40日、例えば1日~30日、又は7日~21日の範囲の期間硬化するように構成されている。場合によっては、硬化モジュール140は、硬化液145の温度を、例えば、30℃~50℃以上、例えば、80℃まで上昇させるためのヒーターを含む。場合によっては、硬化モジュール140は、硬化液145が、30℃~50℃を含む17℃~50℃、例えば、20℃~50℃などの15℃~80℃の範囲の温度にあり、いくつかの場合において、この範囲は、硬化の少なくとも一部分の間、例えば、硬化の全期間、17℃~25℃であるように構成されている。このように、硬化モジュール140は、硬化液145及び骨材135を加熱するように構成されたヒーターを有することができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、硬化液145は、固体組成物125と接触させることができ、それによってそれを硬化させ、硬化CO隔離固体組成物150を生成することができる組成物である。いくつかの実施形態において、硬化モジュール140は、所望に応じて、単一の硬化ステップ、又は2つ以上の異なる硬化ステップを含む。複数の硬化ステップが用いられる場合、複数のステップの各々に用いられる硬化液145は、同じであっても異なってもよい。このように、いくつかの場合において、固体組成物125は、同じ硬化液145で複数の硬化ステップに供される。他の例では、固体組成物125は、異なる硬化液145で複数の硬化ステップに供される。
【0041】
「硬化液」145における「液体」という用語は、硬化組成物が、物質、例えば、水の液体状態にある化合物を含むことを意味する。例えば、硬化液145は、水が硬化液中に存在する最も豊富な化合物であるように、水性液体であり得る。場合によっては、硬化液145は、水性硬化液の水中に溶解した任意の化合物を実質的に含まないか、又は完全に含まない。他の実施形態において、硬化液145は、水及び水中に溶解した化合物を含み、すなわち、硬化液は、溶媒中に溶解した溶質を含む溶液である。場合によっては、硬化液145は、また、固体状態の化合物、すなわち、液体中に溶解されていない固体化合物を含む。いくつかの実施形態において、硬化液145は、エマルションであり、すなわち、それは、通常、2つの不混和層を形成する2つ以上の液体の混合物であるが、乳化剤の添加は、2つの層を融合して単一の層を形成させる。
【0042】
場合によっては、硬化液145は、所望の硬化組成物を生成するために十分な溶存無機炭素濃度を有する。溶存無機炭素(DIC)とは、炭酸イオン(CO 2-)、重炭酸イオン(HCO )、及び液体中に溶解したCOを指す。いくつかの場合において、硬化液145は、0.01M~10M、例えば、0.05M~5M、0.1M~4M、又は0.5M~3Mの範囲のDICを有する。例えば、硬化液145が、1Mの炭酸イオン、0.2Mの炭酸水素イオン、及び0.1Mの溶存COを含む場合、溶存無機炭素濃度は、1.3Mとなる。場合によっては、硬化液145は、0.01M~10M、例えば、0.05M~5M、0.1M~4M、又は0.5M~3Mの範囲の正イオンの濃度を有し、例えば、正イオンは、Na、K、及びNH からなる群から選択される。例えば、場合によっては、硬化液145は、0.5M~5Mの範囲のNaイオンの濃度を有する。
【0043】
いくつかの場合において、硬化液145は、固体化合物の硬化液145への一時的な溶解を可能にし、続いて、これらの化合物を固体状態に戻すが、第2の結晶構造に遷移させる。場合によっては、硬化液145は、第1の結晶構造の形成よりも第2の結晶構造の形成を好む。いくつかの実施形態において、硬化液145は、初期CO隔離組成物中にも存在するイオン、例えば、炭酸塩を含む。溶解度の制限により、硬化液145中のこのイオンの存在は、望ましくないほど多量の初期CO隔離組成物110が硬化液145中に溶解し、硬化液145中に残留することを防止する助けとなり得る。言い換えると、この一般的なイオンの存在は、化合物を固体状態に戻すが、第2の結晶構造中に遷移させることを有利にし得る。他の場合では、硬化液145は、第1の結晶構造中の固体と直接相互作用し、硬化液に溶解することなく、それを第2の結晶構造に変化させることができる。
【0044】
「硬化」とは、化合物の化学組成を変更させることを意味する。場合によっては、硬化モジュール140は、固体組成物125に、例えば、結晶構造の変化による、硬化前の組成物と比較して、所望の特性の増加をもたらす。例えば、場合によっては、固体組成物125は、例えば、方法で使用されるカチオン源がCa2+イオンであるときに、炭酸カルシウム(CaCO)を含む。炭酸カルシウムは、非晶質炭酸カルシウム、アラゴナイト、方解石、及びバテライトを含む多くの既知の多形体を有する。場合によっては、硬化固体組成物150は、結晶構造を有し、すなわち、それは非晶質ではない。場合によっては、硬化固体組成物150は、アラゴナイト、方解石、又はそれらの組み合わせの形態の炭酸カルシウムを含む。
【0045】
他の実施形態において、硬化は、硬化液145が初期CO隔離固体組成物110のpHを変化させるために起こる。言い換えると、硬化液145は、初期CO隔離固体組成物110内の化合物のプロトン化又は脱プロトン化を引き起こすpHを有することができる。場合によっては、硬化プロセスは、初期CO隔離固体組成物110のいくつかの固体化合物が硬化液145中に溶解し、それによって隔離固体からそれらを分離するために起こる。硬化液145は、また、硬化液145中に溶解されることから固体状態に遷移する化合物を含有し、それによって隔離固体の一部となり得る。
【0046】
硬化液145は、Naなどのアルカリ金属イオンとHCO 及びCO 2-などの溶存無機炭素に対するアンモニウムイオンとのモル比によっても説明することができる。例えば、硬化液145が1Mの炭酸ナトリウムを有する場合、ナトリウムイオンの濃度は、2Mであり、炭酸イオンの濃度は、1Mであり、モル比は、2である。異なる例では、硬化液145が1Mの重炭酸ナトリウムを有する場合、ナトリウムイオンの濃度は、1Mであり、重炭酸塩の濃度は、1Mであり、モル比は、1である。加えて、場合によっては、硬化液145は、炭酸塩及び重炭酸塩化合物、例えば、1Mの重炭酸ナトリウム及び1Mの炭酸ナトリウムの組み合わせを有する。そのような場合、硬化液145は、3Mのナトリウムイオン及び2Mの溶存無機炭素を有し、モル比は、1.5である。したがって、場合によっては、アルカリ金属カチオンと溶存無機炭素に対するアンモニウムイオンとのモル比は、1~3、例えば、1.25~2.75、1.5~2.5、又は1.75~2.25の範囲である。2を上回るモル比は、非溶存無機炭素化合物の添加によって引き起こされ得る。例えば、1Mの炭酸ナトリウム及び1Mの水酸化カリウム(KOH)は、溶存無機炭素に対するアルカリ金属イオンのモル比に対して3の比をもたらす。
【0047】
場合によっては、硬化液145は、炭酸塩硬化液を含み、すなわち、液体は、炭酸塩イオン(CO 2-)を有する炭酸塩化合物、重炭酸塩イオンを含む重炭酸塩化合物(HCO 2-)、又はその両方を含む。場合によっては、炭酸塩化合物は、式MCOを有し、式中、Mは、一価正イオン、例えば、アルカリ金属カチオンである。例えば、炭酸塩化合物は、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸アンモニウム((NHCO)、又は炭酸カリウム(KCO)であり得る。場合によっては、硬化液145は、例えば、式MHCOの重炭酸塩化合物を含み、Mは、一価の位置のイオン、例えば、アルカリ金属カチオンである。重炭酸塩化合物の例としては、重炭酸ナトリウム(NaHCO)、重炭酸アンモニウム(NHHCO)、及び重炭酸カリウム(KHCO)が挙げられる。
【0048】
いくつかの場合において、硬化液145は、リン酸塩硬化液であり、すなわち、リン酸塩化合物を含み得る。本明細書で使用される場合、「リン酸塩」は、リン原子に結合した4つの酸素原子を含む化合物、すなわち、リン酸塩基を含む化合物を指す。場合によっては、リン酸化合物は、式POを有し、式中、R、R、及びRは、各々独立して、水素又は負電荷である。R、R、及びRが全て水素原子である場合、化合物は、HPOであり、これは本明細書ではリン酸と称される。R及びRが水素であり、Rが負電荷である場合、得られる化合物は、HPO であり、これは、本明細書ではリン酸二水素イオンと称され、硬化液は、アルカリ金属カチオン、例えば、Na又はKなどの対応する正イオンを有する。Rが水素であり、R及びRが負電荷である場合、得られる化合物は、HPO 2-であり、これは、本明細書ではリン酸水素イオンと称され、硬化液は、対応する正イオン又は1つ若しくは複数のイオンを有する。R、R、及びRが全て負電荷である場合、化合物は、PO 3-であり、これは、本明細書ではリン酸イオンと称され、硬化液は、対応する正イオン又は1つ若しくは複数のイオンを有する。リン酸塩硬化液はまた、ポリリン酸塩基、すなわち、各々が4つの酸素原子に結合している2つ以上のリン原子を有する基を含むことができ、酸素原子のうちの1つが2つのリン原子に結合している。例示的なポリリン酸化合物は、式HO-(POH)-Hを有するポリリン酸であり、式中、nは、2以上、例えば、2~10,000の整数である。場合によっては、ポリリン酸塩は、脱プロトン化され、すなわち、水素原子のうちの1つ以上が負電荷で置き換えられ、硬化液145は、対応する正イオン、例えば、Na及びKなどのアルカリ金属カチオンを含む。場合によっては、リン酸化合物は、有機リン酸化合物であり、すなわち、式POを有し、式中、R、R、及びRは、各々独立して、水素、炭化水素基、又は負電荷であり、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、炭化水素基である。
【0049】
場合によっては、硬化液145は、二価アルカリ土類金属、例えば、カルシウム、マグネシウムなどであり、カルシウム硬化液などの硬化液、すなわち、それは、二価アルカリ土類金属イオン、例えば、カルシウムイオン(Ca2+)マグネシウムイオン(Mg2+)などを含むことができる。いくつかの場合において、二価アルカリ土類金属、例えば、カルシウムの硬化液は、0.02M~0.2M、又は0.09M~0.9Mなどの0.01M~1.0Mの範囲の二価アルカリ土類金属、例えば、カルシウムのイオン濃度を有する。そのような硬化液は、それらが二価アルカリ土類イオンの供給源を提供する限り、所望により変化してもよく、そのような硬化液の例としては、限定されないが、CaCl、MgClなどが挙げられる。硬化液145がカルシウム硬化液である場合によっては、カルシウム硬化液は、Ca2+及びDICで過飽和され、追加のCO隔離固体110が形成される。
【0050】
場合によっては、硬化液145は、水道水を含み、すなわち、硬化液は、地方自治体の給水から得られた水を含む。「地方自治体の給水」という用語は、ヒトが飲むことが安全であるとみなされ、100以上の企業又は家庭などの2つ以上の企業又は家庭にパイプによって送達される飲用水(すなわち、飲料水)を指す。例えば、地方自治体の給水は、湖又は川などの水域から水を得て、任意選択で水を処理し、次いでそれを家庭及び企業に配給することができる。水は、時々、微生物を殺し、固体微粒子を除去し、パイプの腐食を抑制する化合物を添加し、水を飲むヒトの虫歯を抑制する化合物、又はそれらの組み合わせを添加するように処理される。硬化液145は、排他的に水道水を含むことができ、又は硬化液は、他の化合物、例えば、上記の重炭酸塩化合物、炭酸塩化合物、若しくはリン酸塩化合物、又はそれらの組み合わせと混合された水道水を含むことができる。場合によっては、水道水は、塩分、すなわち、水中に溶解した塩の量を、0千分率(ppt)~5ppt(体積当たりの質量)、例えば0ppt~2ppt、又は0ppt~1pptの範囲で有する。場合によっては、水道水は、水道水の配布を管轄する政府によって確立された許容可能な飲料水の要件を満たしている。例えば、米国環境保護庁(EPA)は、約90の汚染物質の最大許容レベルを記載した全国一次飲料水規制を発表した。例えば、この規制の2016年版では、最大汚染レベル(MCL)は、ベンゼンの場合は0.005mg/L、フッ化物の場合は4.0mg/L、「ベータフォトンエミッタ」の場合は年間4ミリレム、カドミウムの場合は0.005mg/Lに設定されている。別の例として、欧州連合は、1998年に飲料水指令(指令98/83/EC)を発行し、様々な汚染物質の最大許容レベル、例えばベンゼンの場合は0.001mg/L、フッ化物の場合は1.5mg/Lを記載している。
【0051】
場合によっては、硬化液145は、上述の硬化液のいずれかの組み合わせ、すなわち、重炭酸塩硬化液、炭酸塩硬化液、リン酸塩硬化液、アルカリ土類金属、例えば、カルシウム、硬化液及び水道水、又はそれらの任意の複合体の組み合わせで構成された複合硬化液を含む。
【0052】
場合によっては、硬化液145のpHが硬化プロセスに影響を与える。言い換えると、硬化液145は、初期CO隔離固体組成物内の化合物のプロトン化又は脱プロトン化を引き起こすpHを有することができる。場合によっては、硬化液145のpHは、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム若しくは水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、又はそれらの組み合わせの添加によって上昇する。場合によっては、硬化液145は、5~14、例えば、6~14、7~14、8~14、9~14、又は10~14の範囲のpHを有する。
【0053】
いくつかの実施形態において、硬化モジュール140は、固体組成物125が乾燥することを防止するために、一定量の湿度を維持するために、気泡又はバッグなどのチャンバ(図示せず)を含む。
【0054】
硬化モジュール140は、任意の好都合なプロトコルを使用して固体組成物125を硬化液145と接触し得る。例えば、要素のうちの1つは、静止していてもよく、他の要素は、第1の要素と近接して移動してもよい。例えば、硬化モジュール140は、固体組成物125をリザーバに入れることができるように、硬化液145が位置し得るリザーバを含んでもよく、それにより固体組成物125が硬化液145に沈められる。したがって、固体組成物125の一部又は全ては、硬化液145の上面の下に位置する。固体組成物125は、1分~30日、1時間~10日、及び12時間~5日などの任意の好適な期間、硬化液145に水中に沈めたままにすることができる。別の例として、固体組成物125は、静止することができ、硬化液145は、その上に噴霧することができ、すなわち、硬化液145は、固体組成物125の表面に接触するように移動することができる。場合によっては、噴霧は、固体組成物125の表面に接触する前に、硬化液の2つ以上の別個の液滴を形成するように、硬化液145を1つ以上の開口部を通して移動させることを含む。硬化液145を1つ以上の開口部を通して送ることは、例えば、ポンプを介して、硬化液145に機械的力を及ぼすことを含むことができ、それは、硬化液145を1つ以上の開口部を通して押す重力、又はその両方を含むことができる。硬化液145が固体組成物125上に噴霧された後、例えば、固体組成物125が濾過膜上に位置し、硬化液145を濾過膜を通して移動させる吸引力が加えられている場合、硬化液145は、固体組成物125ともはや接触しないように移動し続けることができ、又は硬化液145は、移動を停止し、1分~30日、1時間~10日、及び12時間~5日などの好適な期間、固体組成物125と接触したままにすることができる。場合によっては、接触することは、硬化液145及び固体組成物125の両方が互いに接触するときに移動することを含む。例えば、固体組成物125は、可動表面上、例えば、コンベヤベルト上に配置することができ、可動表面は、例えば、スプレーヤーの開口部を通って、硬化液145が移動している場所に骨材135を移動させることができ、それによって、固体組成物125と硬化液145とが互いに接触するようにさせる。いくつかの実施形態において、硬化液145は、固体組成物125が第2の固体組成物に接触することができるように、移動面上で固体組成物125に接触した後にリサイクルされる。場合によっては、硬化液145は、接触の少なくとも一部分の間、例えば、接触の全時間の間、5℃~80℃、例えば、10℃~50℃などの5℃~60℃、例えば、17℃~50℃、例えば、20℃~50℃の範囲の温度である。
【0055】
硬化固体組成物150は、COが材料中で隔離(すなわち、固定)されるような様式でCOの長期貯蔵を提供することができ、隔離されたCOは、大気の一部にならない。硬化骨材150が、その意図された使用のための条件下で維持される場合、固体は、存在する場合、固体からのCOの有意な放出とともに、隔離されたCOを、1年以上、5年以上、10年以上、25年以上、又は50年以上などの長期間固定したままにする。例えば、硬化骨材150が、その意図された使用と一致する様式で維持される場合、固体から放出されるCOガスの量は、少なくとも1、2、5、10、若しくは20年、又は20年を超える間、例えば、100年を超える間、例えば、意図された使用のために、通常のpHの降雨を含む、通常の温度及び湿気の条件に曝露された場合、固体中のCOの年間総量の10%以下、例えば5%以下又は1%以下である。そのような安定性を合理的に予測することができる任意の好適な代理マーカー又は試験が使用され得る。例えば、高温及び/又は中程度からより極端なpH条件の条件を含む加速試験は、長期間にわたる安定性を合理的に示すことができる。例えば、固体の意図される使用及び環境に応じて、硬化CO隔離固体の試料は、1、2、5、25、50、100、200、又は500日間、10%~50%の相対湿度で50、75、90、100、120、又は150℃に曝露され得、その炭素の1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、又は50%未満の損失は、所与の期間(例えば、1、10、100、1000、又は1000年超)の固体の安定性の十分な証拠とみなされ得る。
【0056】
場合によっては、硬化は、初期CO隔離組成物110の化合物を第1の結晶構造から第2の結晶構造に変化させることをもたらし、硬化化合物は、この変化の速度を可能にするか、又は増加させる。場合によっては、硬化により、初期CO隔離固体組成物110中の第1の結晶構造から、硬化CO隔離骨材150中の第2の結晶構造に変化する炭酸塩化合物をもたらす。例えば、場合によっては、第1の結晶構造は、バテライト又は非晶質炭酸カルシウムであり、第2の結晶構造は、アラゴナイト又は方解石である。場合によっては、硬化CO隔離固体組成物150は、結晶構造を有し、すなわち、それは非晶質ではない。
【0057】
場合によっては、硬化CO隔離固体組成物150は、初期CO隔離固体組成物110とは異なる特性を有する。例えば、硬化CO隔離固体組成物150は、初期CO隔離固体組成物110よりも高い破砕耐性を有してもよい。例えば、この破砕耐性の増加は、結晶構造の変化によって引き起こされ得る。破砕耐性は、様々な様式で記述することができる。例えば、場合によっては、破砕耐性は、機械的撹拌時に単一の材料片が複数の片に分割される耐性である。場合によっては、破砕耐性は、外力によって圧縮されたときに材料の単一の材料片が複数の片に分割される耐性である。いくつかの実施形態において、硬化CO隔離固体組成物150は、モース硬度スケールに従って、2以上のモーススクラッチ硬度を有する。場合によっては、硬化CO隔離固体組成物を含有するコンクリート試験片は、ASTM C330に従って、それぞれ2,500psi~4,000psi及び100lb/ft~115lb/ftの範囲の平均28日間の圧縮強度及び計算された平衡密度を有する。
【0058】
例として、完成した骨材の耐久性試験を実行するために、乾燥した骨材を花崗岩の岩石とともにふるいシェーカーに入れて、摩耗を提供することができる。例えば、約6gの骨材(3つの顆粒)を、155.0gの花崗岩の岩石とともにふるいに入れることができる。花崗岩の岩石の同一のセットは、全ての耐久性試験に使用することができる。いくつかの試験では、耐久性がある骨材は、4.0%未満の重量損失を有することが見出された。
【0059】
例として、図3Bは、耐久性試験の結果を示す。示されるように、硬化は、耐久性試験後の平均重量損失の減少を引き起こし、その結果、暖かい1MのNaCOで硬化された1ヶ月の骨材の耐久性は、硬化されていない骨材と比較してはるかに優れている。
【0060】
硬化液を異なる温度で骨材上に噴霧する効果は、本発明の一実施形態である。いかなる硬化液も噴霧することなく、耐久性試験中の骨材の質量損失は、約10%であったが、25℃及び40℃で1Mの炭酸ナトリウムで噴霧した場合の質量損失は、どちらの場合も約6%であった。したがって、噴霧は、耐久性を増加させたが、25℃又は40℃で噴霧すると、耐久性がほぼ等しく増加したようである。言い換えると、40℃と比較して25℃の温度差は、骨材の耐久性に影響を及ぼさないようであった。
【0061】
システム100は、任意選択で、硬化固体組成物150を処理して、それに関連する1つ以上のイオン/化合物を除去し、洗浄された硬化CO隔離固体組成物170を生成するための洗浄ステーション160を含み得る。例えば、洗浄ステーション160は、すすぎ液165を使用して、硬化CO隔離固体組成物150を洗浄して、それに関連する1つ以上の化合物、例えば、化合物又はイオンを除去するために使用されてもよい。例えば、所与の生成プロトコルが塩化物イオン又は化合物の存在をもたらす場合、硬化固体を洗浄して、塩化物イオン又は化合物を除去してもよい。同様に、所与の生成プロトコルがアンモニアイオン/化合物の存在をもたらす場合、硬化固体組成物150を洗浄して、そのようなイオン/化合物を除去してもよい。いくつかの実施形態において、洗浄ステーション160は、例えば、使用された液体のタイプに応じて、すすぎステーション120と同じである。
【0062】
図2は、COガス吸収プロセスからの骨材を硬化させることによって、耐久性があるCaCO骨材及び砂を生成するためのシステム100の動作の方法200の実施形態を示す。方法200は、モジュール105が、初期CO隔離固体組成物110を骨材又はコーティングされた骨材として調製するブロック210で開始する。ブロック220において、初期CO隔離骨材又はコーティングされた骨材組成物を、すすぎステーション120で脱水し、好適なすすぎ液115で洗浄して、洗浄された骨材125を生成する。いくつかの実施形態において、ブロック225は任意選択で、すすぎ液は、硬化液と同じである。例として、沈殿したCaCOスラリーを水で1~5回洗浄する。いくつかの試料では、スラリーを混合溶液と混合し、脱水する。混合溶液は、1つの溶液として、又はNaCO、NaHCO、SrCl、MgCl、Na-ケイ酸塩、シリカゲル、NaHPO、NaHPO、及びNaPO溶液の組み合わせで使用され得る。その結果、約50~80%の固形分を有する脱水湿潤CaCOケーキが生成される。スラリーは、以下の生成物:純粋なCaCO粗骨材及びCaCOコーティングされた骨材(粗又は微細)を作製するために使用することができる。ブロック230において、CaCOスラリーは、骨材に形成される。例として、50~80%の固形分を有するCaCOスラリーを回転ドラムに15~40分間入れて、更に圧縮し、不安定なCaCO相を乾燥及び成熟させる。スラリーは、凝集して骨材を形成する。
【0063】
いくつかの実施形態において、本方法は、ブロック235において、もし湿っている場合、任意選択で骨材を固化することを更に含む。上記で考察されたように、初期CO隔離固体組成物110は、固体状態の化合物だけでなく、液体状態の化合物、例えば、液体水も含むことができる。「固化」は、「空気乾燥」と互換的に使用され、洗浄された骨材125を、固体組成物から液体が蒸発するような環境に置くことを含む。固体組成物から液体を除去することによって、固体組成物の化学組成及びそれにより物理的特性を変更することができ、例えば、減少した体積の液体は、液体中に溶解した溶質を固体状態に遷移させることができる。例えば、洗浄された骨材125は、固体表面上に置かれて、それが別の液体と接触しないように、例えば、固体組成物からの液体が蒸発し、固体組成物が別の液体から液体を得ないようにすることができる。場合によっては、ステップ220は、蒸発速度を増加させる方法、例えば、固体組成物を通過するガスを流す方法、固体組成物に低減されたガス圧力を加える方法、固体組成物の温度を上昇させる方法、又はそれらの組み合わせを含む。固体組成物を通ってガスを流すことは、例えば、ファンを用いて実行することができる。ポンプ、例えば、真空ポンプを用いて、ガス圧力を低下させ、それによって蒸発速度を増加させることができる。洗浄された骨材125の温度は、例えば、電気ヒーター又は天然ガスヒーターを使用して、例えば25℃~95℃、例えば35℃~80℃の範囲の温度まで上昇させることができる。実施形態において、固化は、単に1~30日間空気乾燥することによって、又は高温(30~200℃で数分~数時間)で乾燥することによって行うことができる。例として、骨材は、露天に放置することによって、又は数時間湿った環境に収容することによって固化することができる。このプロセスは、温度に応じて10分~2時間、熱を印加することによって促進することができる。
【0064】
固化時間は、CO隔離骨材の硬化に影響する。考察されるように、ブロック220において、骨材は、硬化ステップ230の前の一定期間「固化」させることが可能である。一実施形態において、CO隔離骨材を、室温空気中に1日、3日、又は7日放置することによって「固化」させ、次いで、1Mの炭酸ナトリウムに沈めることによって硬化させた。固化しない場合、耐久性試験中の質量損失は、約21%であったが、硬化前に骨材を約1日固化すると、その量は約15%に減少した。したがって、固化は、骨材の耐久性を高めることができるようである。固化時間を3日又は7日に増やすと、耐久性試験中の質量損失がそれぞれ約6%又は約3%減少した。したがって、固化時間の増加(例えば、少なくとも7日の固化時間まで)は、耐久性を有意に増加させ、質量損失を約21%から約3%に有意に減少させるようである。
【0065】
ブロック240において、骨材135は、硬化モジュール140で硬化液145と接触する。骨材135を硬化液145と接触させることにより、硬化CO隔離骨材150の生成がもたらされる。例として、骨材135は、数分~数ヶ月間、4C~100Cの硬化溶液:水、0.1~1MのNaCO、0.1~1MのNaHCO、10mM~1MのNaPO、NaHPO、NaPO溶液のいずれかに沈められる(硬化させる)か、又はそれらのいずれかを噴霧される。例として、固化骨材は、30分間~数ヶ月間、4C~100Cの硬化溶液:水、0.1~1MのNaCO、0.1~1MのNaHCO、10mM~1MのNaPO、NaHPO、NaPO溶液のいずれかに沈められ得るか、又はそれらのいずれかを噴霧され得る。
【0066】
ブロック240では、いくつかの実施形態において、固化骨材235は、単に乾燥速度を遅らせることによって硬化することができる。例えば、本方法の一実施形態において、固化骨材235は、温度及び湿度の制御を伴う密閉空間又は空洞中に入れることによって硬化骨材250を形成するように硬化される。いくつかの場合において、固化骨材235は、温度制御された環境に曝露され、それにより、湿度は、密閉空間又は空洞中のすすぎ液115からなる。他の例では、固化骨材235は、温度制御環境に曝露され、それにより、湿度は、密閉空間又は空洞中のすすぎ液165からなり、なおかつ他の例では、固化骨材235は、温度制御環境に曝露され、それにより、湿度は、密閉空間又は空洞中の硬化液145からなる。上記のいくつかの実施形態において、又は上記のいくつかの実施形態の任意の組み合わせでは、固化骨材235は、硬化骨材250をもたらし、これらの全ては、建築材料としての使用、例えば、コンクリート中の骨材としての使用に好適である。
【0067】
ブロック240での他の実施形態において、温度及び湿度は、硬化骨材250への固化骨材235の硬化速度を遅くするか、又は増加させるように、所望の相対湿度を有するように制御されてもよい。
【0068】
ブロック245において、いくつかの実施形態において、本方法は、任意選択で、硬化骨材150を処理して、それに関連付けられた1つ以上のイオン/化合物を除去することを更に含む。例えば、本方法は、洗浄ステーション160で硬化CO隔離骨材150を洗浄して、それに関連する1つ以上の化合物、例えば、化合物又はイオンを除去することを含んでもよい。例えば、所与の生成プロトコルが塩化物イオン又は化合物の存在をもたらす場合、硬化固体を洗浄して、塩化物イオン又は化合物を除去してもよい。同様に、所与の生成プロトコルがアンモニアイオン/化合物の存在をもたらす場合、硬化骨材150を洗浄して、そのようなイオン/化合物を除去してもよい。洗浄は、任意の好都合なプロトコルを使用して達成され得る。例えば、硬化骨材150は、(例えば、上記のように)所望のイオン/化合物を硬化生成物から分離するために十分な条件下で、洗浄液165、例えば、水道水と接触させてもよい。例えば、硬化骨材150は、洗浄液165に沈めてもよく、洗浄液165は、硬化固体の上を流れてもよく、洗浄液165は、加圧下などで硬化骨材150と接触してもよい。所望の場合、硬化骨材150から除去されたイオン/化合物は、例えば、再利用のために、洗浄液165から回収されてもよい。例として、硬化骨材を水で洗浄し、空気中で乾燥させる。
【0069】
硬化CO隔離固体150は、様々な形状及びサイズを有することができる。ブロック245において、任意選択で、硬化CO隔離骨材150は、300μm~50,000μm、例えば1,000μm~10,000μmの範囲の直径を有する複数の硬化形成骨材に形成され、様々な形状及びサイズを有することができる。場合によっては、硬化CO隔離骨材150は、0.00001cm~150cm、例えば0.01cm~10cmの範囲の体積を有する。場合によっては、5個以上、100個以上、又は1000個以上などのそのような直径又は体積を有する2個以上の片が存在する。場合によっては、骨材は、ASTM C330に従って、30lb/ft~100lb/ft、例えば50lb/ft~75lb/ftの範囲の乾燥した緩いかさ密度を有することができる。
【0070】
ブロック250において、硬化CO隔離骨材150又は複数の硬化形成骨材は、建築材料として、例えば、コンクリート用の骨材として使用する準備ができている。
【0071】
図3Aは、CaCO骨材の洗浄及び硬化の効果を示す。CO吸収プロセス(低エネルギープロセス)から作製されたCaCO骨材は、洗浄されていないときは弱く、洗浄及び硬化によって強化される。図3Aに示すチャートは、水洗いスラリー試料と1MのNaHCOで洗浄した試料との比較を示す。硬化のみ(重炭酸塩洗浄なし)、又は洗浄のみ(硬化なし)の試料は、洗浄及び硬化/袋詰めの両方の試料に対して低い強度を示した。重炭酸塩溶液で硬化することに加えて、洗浄されたスラリーからの骨材を水又は袋詰め(溶液噴霧なし)で硬化(噴霧)することも、最終的な骨材強度の観点から有意な効果を示している。
【0072】
図3Bは、CaCOコーティングされた骨材の洗浄及び硬化の効果を示す。CO吸収プロセス(低エネルギープロセス)から作製されたCaCOコーティングされた骨材は、所望の溶液(主に炭酸塩/重炭酸塩溶液)で洗浄又は硬化されていない場合、弱い。データは、対照(洗浄/硬化していない)とNaCOで硬化させた対照との比較を示す。結果は、NaCO硬化がコーティングされた砂の強度にも好影響を及ぼすことを示す。
【0073】
図4は、元のスラリー(未洗浄)、洗浄及び凝集した骨材、並びに硬化後の最終骨材の走査電子分光(SEM)画像を示す(未処理の対照と比較して)。示されるように、最終硬化骨材は、未処理の対照試料よりもはるかに強力である。
【0074】
図5Aは、古いスラリーに対する洗浄及び硬化の効果を示す。通常、古いスラリーは、強い骨材を作製することができない。しかしながら、示されるように、洗浄単独では、古いスラリーをはるかに強くしたが、2又は3日間の洗浄及び硬化は、古いスラリーの強度に最良の影響を与える。図5Bは、洗浄液中のナトリウム及びpHの効果を示す。図5Bのチャートは、pH又はNaが、洗浄及び硬化骨材の強度に影響を及ぼさず、むしろ、重炭酸塩洗浄が強度の主な供給源であることを示している。
【0075】
図6は、COガス吸収プロセスからスラリーを硬化させることによって、耐久性があるCaCO骨材及び砂を生成するためのシステム100の動作の方法600の実施形態を示す。方法600は、モジュール105が、初期CO隔離固体組成物110をCaCOスラリーとして調製するブロック610で開始する。ブロック620において、初期CO隔離CaCOスラリーを、すすぎステーション120で脱水し、好適な液体115で洗浄して、洗浄された固体組成物125を生成する。例として、沈殿したCaCOスラリーを水で1~5回洗浄することができる。いくつかの試料では、スラリーを混合溶液と混合して脱水する。混合溶液を、1つの溶液として、又はNaCO、NaHCO、SrCl、MgCl、Na-ケイ酸塩、シリカゲル、NaHPO、NaHPO、NaPO溶液の組み合わせで使用した。その結果、約50~80%の固形分を有する脱水湿潤CaCOケーキが生成される。スラリーは、種々の生成物、例えば、純粋なCaCO粗骨材及び純粋なCaCOを作製するために使用することができる。例として、620において、ガス吸収プロセス後のCaCO懸濁液を、真空濾過によって脱水し、水で洗浄することができる。次いで、300mLの1MのNaHCOを、Buchner漏斗中のスラリーの上でデカントし、真空濾過を使用して濾過することができる。その結果、63%の固形分を含む363gのCaCOを生成することができる(総CaCOの165g)。脱水スラリーは、凝集のために回転ドラムに入れることができる。スラリーは、水で3回噴霧し、22~23℃の表面温度を維持するヒーターで20分間凝集させることができる。ドラムロールは、不安定なCaCO相の更なる圧縮及び多形遷移を提供した。
【0076】
いくつかの実施形態において、本方法は、任意選択で、ブロック630で洗浄された固体組成物125を固化することを更に含む。上記で考察されたように、初期CO隔離固体組成物110は、固体状態の化合物だけでなく、液体状態の化合物、例えば、液体水も含むことができる。「固化」は、「空気乾燥」と互換的に使用され、洗浄された骨材125を、固体組成物から液体が蒸発するような環境に置くことを含む。固体組成物から液体を除去することによって、固体組成物の化学組成及びそれにより物理的特性を変更することができ、例えば、減少した体積の液体は、液体中に溶解した溶質を固体状態に遷移させることができる。例えば、洗浄された骨材125は、固体表面上に置かれて、それが別の液体と接触しないように、例えば、固体組成物からの液体が蒸発し、固体組成物が別の液体から液体を得ないようにすることができる。場合によっては、ステップ220は、蒸発速度を増加させる方法、例えば、固体組成物を通過するガスを流す方法、固体組成物に低減されたガス圧力を加える方法、固体組成物の温度を上昇させる方法、又はそれらの組み合わせを含む。固体組成物を通ってガスを流すことは、例えば、ファンを用いて実行することができる。ポンプ、例えば、真空ポンプを用いて、ガス圧力を低下させ、それによって蒸発速度を増加させることができる。洗浄された骨材125の温度は、例えば、電気ヒーター又は天然ガスヒーターを使用して、例えば25℃~95℃、例えば35℃~80℃の範囲の温度まで上昇させることができる。実施形態において、固化は、単に、1~30日間空気乾燥することによって、又は高温で乾燥することによって(30~200℃で数分~数時間)、又はビニール袋に入れることによって行うことができる。
【0077】
ブロック640において、洗浄された固体135は、硬化モジュール140で硬化液145と接触する。固体135を硬化液145と接触させることにより、硬化CO隔離固体組成物150の生成がもたらされる。例として、洗浄された固体135は、長さが30分~数ヶ月であり得る硬化期間の間、4℃~100℃の硬化溶液:水、0.1~1MのNaCO、0.1~1MのNaHCO、10mM~1MのNaPO、NaHPO、NaPO溶液のいずれかに沈められ得るか、又はそれらのいずれかを噴霧され得る。硬化プロセスは、乾燥速度を遅らせるために、密閉空間(湿度チャンバ又は容器又はバッグなど)で硬化することを含んでもよい。スラリーを凝集せずに硬化させる例として、60~80%の固形分を有する湿潤スラリーケーキは、数時間~数ヶ月間、4℃~100℃の硬化溶液:水、0.1~1MのNaCO、0.1~1MのNaHCO、10mM~1MのSrCl、MgCl、Na-ケイ酸塩、シリカゲル、NaHPO、NaHPO、NaPOのいずれかに沈められ得るか、又はそれらのいずれかを噴霧(硬化)され得る。
【0078】
硬化CO隔離固体150は、様々な形状及びサイズを有することができる。ブロック650において、硬化CO隔離固体組成物150は、300μm~50,000μm、例えば1,000μm~10,000μmの範囲の直径を有する複数の硬化形成骨材に形成され、様々な形状及びサイズを有することができる。場合によっては、硬化CO隔離固体組成物150は、0.00001cm~150cm、例えば0.01cm~10cmの範囲の体積を有する。場合によっては、5個以上、100個以上、又は1000個以上などのそのような直径又は体積を有する2個以上の片が存在する。場合によっては、骨材は、ASTM C330に従って、30lb/ft~100lb/ft、例えば50lb/ft~75lb/ftの範囲の乾燥した緩いかさ密度を有することができる。
【0079】
例として、ブロック650では、スラリーから骨材を生成するために、非スクラップ化凝集(NSA)プロセスが使用される。CaCOスラリーケーキは、ペーパータオルで脱水され、ローリングピンによって圧縮される。次いで、圧縮されたケーキは、より小さい片に切られ、表面水を制御し、片が凝集することを防止するために乾燥させたCaCOの粉末又は廃棄ダスト微粒子とブレンドされる。CaCO片及び粉末ブレンドは、更なる圧縮及び不安定なCaCO相の乾燥/成熟のために、3~60分間回転ドラムに入れられる。湿った骨材を取り出して空気中に置き、更に乾燥させ、数時間~7日間固化させる。例として、生成された骨材は、純粋なCaCO粗骨材又はCaCOコーティングされた骨材であってよく、粗又は微細のいずれかであり得る。
【0080】
ブロック655において、いくつかの実施形態において、本方法は、任意選択で、硬化骨材150を処理して、それに関連付けられた1つ以上のイオン/化合物を除去することを更に含む。例えば、本方法は、洗浄ステーション160で、すすぎ液165を使用して、硬化CO隔離骨材150を洗浄し、それに関連する1つ以上の化合物、例えば、化合物又はイオンを除去することを含んでもよい。例えば、所与の生成プロトコルが塩化物イオン又は化合物の存在をもたらす場合、硬化固体を洗浄して、塩化物イオン又は化合物を除去してもよい。同様に、所与の生成プロトコルがアンモニアイオン/化合物の存在をもたらす場合、硬化骨材150を洗浄して、そのようなイオン/化合物を除去してもよい。洗浄は、任意の好都合なプロトコルを使用して達成され得る。例えば、硬化骨材150は、(例えば、上記のように)所望のイオン/化合物を硬化生成物から分離するために十分な条件下で、洗浄液165、例えば、水道水と接触させてもよい。例えば、硬化骨材150は、洗浄液165に沈めてもよく、洗浄液165は、硬化固体の上を流れてもよく、洗浄液165は、加圧下などで硬化骨材150と接触してもよい。所望の場合、硬化骨材150から除去されたイオン/化合物は、例えば、再利用のために、洗浄液165から回収されてもよい。例えば、655において、完成した骨材を、水などの洗浄液で洗浄し、乾燥、例えば空気乾燥させる。
【0081】
図7は、スラリーが凝集せずに硬化される、スラリー硬化から作製された骨材の強度を示す。図7に示されるように、対照骨材(硬化していない)は、3及び6日間硬化させたスラリーよりも弱く、6日間硬化させたスラリーは、強度の有意な増加を示す。
【0082】
CO隔離固体の蒸気処理
本発明者らは、緑色セメント/コンクリート組成物が、例えば、組成物の機能に悪影響を及ぼす製作プロトコルに起因する1つ以上の不純物を含み得ることを認識している。以下に記載されるように、本発明者らは、この問題に対処する方法を特定した。したがって、本発明の実施形態は、例えば、上記のように調製されたCO隔離固体から不純物を分離することを含んでもよい。そのような実施形態において、本方法の態様は、CO隔離固体を接触させることを含み、これは、CO隔離固体から不純物を除去するために十分な様式で、上述のような硬化プロセスによって調製された固体であり得るか、又はそうでなくてもよい。本発明の態様は、CO隔離固体から不純物を分離する方法を含む。不純物を分離することは、固体がもはや不純物を含まないように、又は不純物を含有しないように、あるいは他の方法でそれに関連付けられた不純物を何らかの形で有しないように、CO隔離固体から不純物を除去することを意味する。所与の方法は、単一の不純物又は2つ以上の異なる不純物、例えば3つ以上、4つ以上、5つ以上、10個以上、20個以上などの不純物を除去し得る。
【0083】
本発明の方法によって所与の固体から除去され得る不純物は、変化し得る。除去され得る不純物としては、限定されないが、化合物、元素、イオンなどが挙げられる。除去され得る不純物の例としては、アンモニア、アンモニウム、塩素、塩化物アニオン、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、重炭酸イオンなどが挙げられる。いくつかの場合において、不純物は、例えば、以下でより詳細に記載されるようなCO隔離固体生成方法のメディエーターであり、これらのタイプの不純物の例としては、限定されないが、アンモニア、アンモニウム、又はそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの場合において、不純物は、例えば、以下により詳細に記載されるようなCO隔離固体生成方法の副生成物であり、これらのタイプの不純物の例としては、限定されないが、塩又はそのイオン、例えば、塩化物イオンが挙げられる。本発明の方法は、1つ以上の不純物をCO隔離固体から分離するため、本方法に従って処理されたCO隔離固体は、処理前と比較して、処理後の質量が減少している。質量減少の大きさは、変化し得るが、いくつかの場合において、質量減少の大きさは、0.1%~10%、例えば0.5%~5%の範囲である。
【0084】
本発明の特定の実施形態において、CO隔離固体は、CO隔離固体から1つ以上の不純物を除去するために十分な様式で、蒸気と接触する。「蒸気」という用語は、その従来の意味で、気相中の水を指すために用いられる。固体と接触する蒸気は、湿潤蒸気又は飽和/過熱蒸気であり得る。いくつかの場合において、蒸気は、880Btu/lb以下を含む、970Btu/lb以下、例えば、910Btu/lb以下の気化熱を有する。固体は、任意の好都合なプロトコルを使用して蒸気と接触させてもよい。いくつかの場合において、蒸気は、固体の1つ以上の表面を横切って流れる。固体表面を横切る蒸気の流量は、変化してもよく、いくつかの場合において、1lb/hr~100lb/hr、例えば5lb/hr~75lb/hrの範囲である。
【0085】
蒸気は、任意の好都合なタイプのシステムで固体と接触させてもよい。いくつかの場合において、蒸気と固体とを接触させるために用いられるシステムは、閉鎖システムであり、例えば、蒸気及び固体が外部環境によってアクセスできない(質量若しくはエネルギーが環境に失われ得るか、又は環境から得ることができるシステム)。そのような例では、閉鎖システム中の圧力は変化してもよく、大気圧よりも大きくてもよく、いくつかの場合において、1~100psig、例えば3~15psigの範囲である。そのようなシステム中の蒸気の温度は、また、いくつかの場合において、100~170℃、例えば105~120℃の範囲で変化し得る。図8Aは、閉鎖システムの図を提供する。図8Aに示されるように、骨材は、圧力が大気圧よりも大きい密封容器中の沸騰水に対するメッシュスクリーン上に保持される。水から上昇する蒸気は、骨材を通過して上方に流れ、その表面上の骨材の周りを循環し、骨材の細孔に入り、それによって骨材を処理して、不純物、例えば、アンモニウム、アンモニウム塩、及びそれらの組み合わせを除去する。
【0086】
いくつかの場合において、システムは、開放システムであり、例えば、蒸気及び固体が外部環境によってアクセス可能である(例えば、質量若しくはエネルギーが環境に失われ得るか、又は環境から得ることができるシステム)。開放システムでは、大気圧、例えば、0psigで固体と接触する蒸気は、100℃の温度を有し得る。図8Bは、開放システムの図を提供する。図8Bに示されるように、CO隔離骨材は、100℃で維持された水の上のふるいスクリーン(他のタイプの懸濁液、例えば、メッシュバッグを用いてもよいが)に懸濁され、その結果、生成された蒸気は、骨材を通過して上方に流れ、骨材の表面細孔に入り、それによって骨材を処理して、不純物、例えばアンモニウム、アンモニウム塩、及びそれらの組み合わせを除去する。
【0087】
一実施形態において、CO隔離固体骨材は、閉鎖システム、すなわち、図8Aに示される閉鎖蒸気処理システム中の蒸気と、約4.3psig~12psigの範囲の大気圧よりも大きい接触圧力、及び約107℃~118℃の範囲の温度で、10分~60分の期間の間接触する。CO隔離固体骨材中の不純物は、CO隔離固体骨材を調製するために使用される方法の副生成物であるアンモニウム、カルシウム、及び塩化物の組み合わせを含む。CO隔離固体骨材からの不純物の分離を検証するために、蒸気処理された骨材をアンモニア試験に供し、これにより、蒸気処理された骨材を1MのNaOHに5分間沈めて、あらゆる残留アンモニウムをアンモニアに変換し、次いで、アンモニアセンサーを使用して定量化する。蒸気処理された骨材がアンモニア試験に合格するために、いくつかの場合において、それは25ppm未満のアンモニアの値に達する。表1は、本実施形態から収集されたデータを要約する。
【0088】
【表1】
【0089】
上記の蒸気処理実施形態に関して、本発明は、上記のように調製された硬化CO隔離固体のみでの蒸気処理の使用に限定されない。代わりに、蒸気処理は、任意のCO隔離固体とともに用いられ得る。本発明の実施形態に従って蒸気処理され得るCO配列固体の例としては、限定されないが、米国特許第9,707,513号、同第9,714,406号、同第9,993,799号、同第10,197,747号、同第10,203,434号、同第10,287,439号、同第10,322,371号、同第10,711,236号、同第10,766,015号、同第10,898,854号、同第10,960,350号及び同第11,154,813号に記載されているものが挙げられ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態に従って蒸気で処理され得るCO隔離固体は、また、CO含有ガスが約10以上のpHで水性媒体と接触する、アルカリ集約プロトコルによって調製されるものを含む。そのようなプロトコルの例としては、限定されないが、米国特許第8,333,944号、同第8,177,909号、同第8,137,455号、同第8,114,214号、同第8,062,418号、同第8,006,446号、同第7,939,336号、同第7,931,809号、同第7,922,809号、同第7,914,685号、同第7,906,028号、同第7,887,694号、同第7,829,053号、同第7,815,880号、同第7,771,684号、同第7,753,618号、同第7,749,476号、同第7,744,761号、及び同第7,735,274号に記載されるものが挙げられ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。蒸気処理に関する更なる詳細は、米国仮出願第63/128,483号に提供され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
固化可能組成物
いくつかの場合において、硬化CO隔離固体150は、固化可能組成物中で用いられる。本発明の固化可能組成物、例えば、コンクリート及びモルタルは、同時に、又はセメントを骨材と予め合わせてから、それから結果として生じる乾燥成分を水と合わせるかのいずれかによって、油圧セメントと、一定量の硬化CO隔離固体、例えば骨材(モルタル、例えば、砂については微細、コンクリートについては微細の有無にかかわらず粗)と、水性液体、例えば、水とを組み合わせることによって生成される。本発明のセメント組成物を使用するコンクリート混合物のための粗骨材材料の選定は、約0.05インチ(16ふるいサイズ)の最小サイズを有してもよく、これらの制限の間の勾配を含む、その最小から1インチ以上までのサイズで変化してもよく、いくつかの場合において、粗骨材のサイズは、0.0117インチ(300ミクロン、No.50ふるいサイズ)~4インチ(100mm)の範囲である。細かく分割された骨材は、サイズが3/8インチ未満であり、再び200ふるいサイズ程度まではるかに細かいサイズで目盛り付けされ得、いくつかの場合において、細かい骨材は、0.0029インチ(75ミクロン、No.200ふるい)~0.375インチ(9.5mm)までのサイズの範囲である。微骨材は、本発明のモルタル及びコンクリートの両方に存在し得る。セメントの乾燥成分中のセメント対骨材の重量比は変化してよく、ある特定の実施形態において、2:10~5:10などの1:10~4:10の範囲であり、55:1000~70:100を含む。
【0091】
乾燥成分が組み合わされて固化可能組成物、例えばコンクリートを生成する液相、例えば水性流体は、所望に応じて、純水から、1つ以上の溶質、添加剤、共溶媒などを含む水まで、変化し得る。固化可能組成物を調製する際に組み合わされる乾燥成分対液相の比は、変化してよく、ある特定の実施形態において、3:10~6:10などの2:10~7:10の範囲であり、4:10~6:10を含む。
【0092】
ある特定の実施形態において、セメントは、1つ以上の混和剤とともに使用され得る。混和剤は、基本的なコンクリート混合物では得られない望ましい特性を提供するため、又はコンクリートの性質を変更して、特定の目的又はコスト削減のために、より容易に使用可能又はより好適にするために、コンクリートに添加される組成物である。当技術分野で既知であるように、混和剤は、コンクリート又はモルタルの成分として使用される、油圧セメント、骨材、及び水以外の任意の材料又は組成物であり、いくつかの特徴を向上するか、又はそのコストを低減する。使用される混和剤の量は、その混和剤の性質に応じて変化し得る。ある特定の実施形態において、これらの成分の量は、1~50%w/w、例えば、2~10%w/wの範囲である。
【0093】
対象となる混和剤としては、セメント化材料、ポゾラン、ポゾラン及びセメント化材料、並びに公称不活性材料などの細かく分割された鉱物混和剤が挙げられる。ポゾランとしては、珪藻土、オパールのようなチャート、粘土、シェール、フライアッシュ、シリカヒューム、火山灰、及び浮遊石が挙げられ、これらは既知のポゾランの一部である。ある特定の粉砕された粒状の高炉スラグ及び高カルシウムフライアッシュは、ポゾラン及びセメントの特性の両方を有している。公称不活性材料は、また、細かく分割された原石、ドロマイト、石灰岩、大理石、花崗岩、及び他も含むことができる。フライアッシュは、ASTM C618に定義される。
【0094】
対象となる他のタイプの混和剤としては、可塑剤、促進剤、遅延剤、空気入れ剤、発泡剤、還元水、腐食阻害剤、及び顔料が挙げられる。
【0095】
したがって、対象となる混和剤としては、限定されないが、セット促進剤、セット遅延剤、空気入れ剤、消泡剤、アルカリ反応性低減剤、結合混和剤、分散剤、着色混和剤、腐食阻害剤、防湿混和剤、ガス形成剤、透過度低減剤、ポンプ補助剤、収縮補償混和剤、殺菌性混和剤、殺菌性混和剤、殺菌性混和剤、殺虫性混和剤、レオロジー改質剤、微細分割された鉱物混和剤、ポゾラン、骨材、湿潤剤、強度増強剤、撥水剤、並びに任意の他のコンクリート又はモルタル混和剤又は添加剤が挙げられる。混和剤は、当技術分野で周知であり、上記のタイプ又は任意の他の所望のタイプの任意の好適な混和剤が使用され得、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,735,274号を参照されたい。
【0096】
いくつかの場合において、固化可能組成物は、重炭酸塩が豊富な生成物(BRP)の混和剤を一定量使用して生成され、例えば、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,714,406号に記載されるように、液体又は固体形態であってもよい。
【0097】
ある特定の実施形態において、本発明の固化可能組成物は、例えば、繊維補強コンクリートを所望する、繊維とともに用いられるセメントを含む。繊維は、ジルコニア含有材料、スチール、炭素、ガラス繊維、又は合成材料、例えば、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、高強度アラミド(すなわち、Kevlar(登録商標))、又はそれらの混合物から作製することができる。
【0098】
固化可能組成物の成分は、任意の好都合なプロトコルを使用して組み合わせることができる。各材料は、作業時に混合されてもよく、又は材料の一部若しくは全ては、事前に混合されてもよい。あるいは、材料のいくつかは、高範囲の還元水混和剤などの混和剤の有無にかかわらず、水と混合され、次いで、残りの材料は、それらと混合され得る。混合装置としては、任意の従来の装置を用いることができる。例えば、Hobartミキサー、傾斜シリンダミキサー、Omniミキサー、ヘンシェルミキサー、V型ミキサー、及びNautaミキサーを使用することができる。
【0099】
固化可能組成物(例えば、コンクリート)を生成するための成分の組み合わせに続いて、固化可能組成物は、いくつかの場合において、最初に流動可能な組成物であり、次いで、所与の期間の後に固化される。固化時間は変化してよく、ある特定の実施形態において、30分~24時間などの30分~48時間の範囲であり、1時間~4時間を含む。
【0100】
固化生成物の強度も変化し得る。ある特定の実施形態において、固化セメントの強度は、10MPa~50MPaなどの5Mpa~70MPaの範囲であってよく、20MPa~40MPaを含む。ある特定の実施形態において、本発明のセメントから生成された固化生成物は、例えば、ASTM C1157に記載される試験方法を使用して決定される際に非常に耐久性がある。
【0101】
構造
本発明の態様は、本発明の硬化CO隔離固体150及び固化可能組成物から生成された構造を更に含む。したがって、更なる実施形態は、本発明の硬化CO隔離固体を含有する人工構造及びそれらの製造方法を含む。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載のように、1つ以上の硬化CO隔離固体150を含む人工構造を提供する。人工構造は、建物、ダム、堤防、道路、又は骨材若しくは岩石を組み込んだ任意の他の人工構造体など、硬化CO隔離固体が使用され得る任意の構造であってもよい。いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の硬化CO隔離固体150を含む人工構造、例えば、建物、ダム、又は道路を提供し、いくつかの場合において、硬化CO隔離固体150は、例えば、上記のように、化石燃料源からのCOを含有し得る。いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の骨材を提供することを含む、構造の製造方法を提供する。
【0102】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示は、また、以下の付記によって定義される。
【0103】
1.硬化CO隔離固体を生成する方法であって、
a)初期CO隔離固体組成物を調製することと、
b)初期CO隔離固体組成物を、硬化CO隔離固体を生成するために十分な硬化液と接触させることと
を含む、方法。
2.硬化液が、炭酸塩硬化液、重炭酸塩硬化液、リン酸塩硬化液、二価アルカリ土類金属硬化液、又は水道水を含む、付記1に記載の方法。
3.硬化液が、炭酸塩硬化液を含む、付記2に記載の方法。
4.炭酸塩硬化液が、炭酸ナトリウム(NaCO)炭酸アンモニウム((NHCO)、又は炭酸カリウム(KCO)を含む、付記3に記載の方法。
5.硬化液が、重炭酸塩硬化液を含む、付記2に記載の方法。
【0104】
6.重炭酸塩硬化液が、重炭酸ナトリウム(NaHCO)、重炭酸アンモニウム(NHHCO)、又は重炭酸カリウム(KHCO)を含む、付記5に記載の方法。
7.硬化液が、0.05M~5Mの範囲の溶存無機炭素濃度を有する、付記1~6のいずれか一つに記載の方法。
8.硬化液が、リン酸塩硬化液を含む、付記2に記載の方法。
9.リン酸塩硬化液が、HPO 、HPO 2-、及びPO 3-からなる群から選択されたリン酸アニオンを含む、付記8に記載の方法。
10.硬化液が、二価アルカリ土類金属硬化液を含む、付記2に記載の方法。
【0105】
11.二価アルカリ土類金属硬化液が、カルシウム硬化液を含む、付記10に記載の方法。
12.カルシウム硬化液が、CaClを含む、付記11に記載の方法。
13.硬化液が、水道水を含む、付記2に記載の方法。
14.硬化液が、炭酸塩硬化液、重炭酸塩硬化液、リン酸塩硬化液、二価アルカリ土類金属硬化液、及び水道水からなる群から選択される2つ以上の硬化液の複合体を含む、付記2に記載の方法。
15.硬化液が、5~14の範囲のpHを有する、付記1~14のいずれか一つに記載の方法。
【0106】
16.硬化液が、接触の少なくとも一部分の間、20℃~50℃の範囲の温度にある、付記1~15のいずれか一つに記載の方法。
17.接触が、1分~30日間実行される、付記1~16のいずれか一つに記載の方法。
18.硬化が、初期CO隔離固体中の第1の結晶構造から、硬化CO隔離固体中の第2の結晶構造に変化する炭酸塩化合物をもたらす、付記1~17のいずれか一つに記載の方法。
19.炭酸塩化合物が、炭酸カルシウムであり、第1の結晶構造が、バテライト又は非晶質炭酸カルシウムであり、第2の結晶構造が、アラゴナイト又は方解石である、付記18に記載の方法。
20.初期CO隔離固体を調製することが、
(i)炭酸塩捕捉液を生成するために十分な条件下で、水性捕捉液をガス状CO源と接触させることと、
(ii)初期CO隔離固体を生成するために十分な条件下で、カチオン源と炭酸塩捕捉液とを合わせることと
を含む、付記1~19のいずれか一つに記載の方法。
【0107】
21.初期CO隔離固体組成物を調製することが、初期CO隔離固体を生成するために十分な条件下で、カチオン源を含む水性捕捉液をガス状CO源と接触させることを含む、付記1~19のいずれか一つに記載の方法。
22.水性捕捉液が、水性捕捉アンモニアを含み、初期CO隔離固体組成物を調製することが、水性アンモニウム塩の生成ももたらす、付記20又は21に記載の方法。
23.水性アンモニウム塩から水性捕捉アンモニアを再生することを更に含む、付記22に記載の方法。
24.カチオン源が、二価アルカリ土類金属カチオンを含む、付記20~23のいずれか一つに記載の方法。
25.二価アルカリ土類金属カチオンが、Ca2+又はMg2+である、付記24に記載の方法。
【0108】
26.カチオン源が、遷移金属カチオンを含む、付記20~23のいずれか一つに記載の方法。
27.遷移金属カチオンが、Mn、Fe、Ni、Cu、Co、Znカチオンである、付記26に記載の方法。
28.初期水性液体中に、セメント、コンクリート、フライアッシュ、岩石、及びスチールスラグからなる群から選択される材料を少なくとも部分的に溶解させることによって、水性捕捉液を調製することを更に含む、付記20~27のいずれか一つに記載の方法。
29.初期水性液体が、水性アンモニアを含む、付記28に記載の方法。
30.初期CO隔離固体組成物が、沈殿物を含み、方法が、硬化沈殿物組成物を生成する、付記1~29のいずれか一つに記載の方法。
【0109】
31.硬化沈殿物組成物から骨材を生成することを更に含む、付記30に記載の方法。
32.初期CO隔離固体組成物が、初期骨材を含む、付記1~31のいずれか一つに記載の方法。
33.硬化CO隔離固体を、各々が75μm~100,000μmの範囲の直径を有する複数の硬化形成骨材に形成することを更に含む、付記1~32のいずれか一つに記載の方法。
【0110】
34.硬化CO隔離固体であって、
a)初期CO隔離固体組成物を調製するステップと、
b)初期CO隔離固体組成物を炭酸塩硬化液と接触させて、硬化CO隔離固体を生成するステップと
を含むプロセスによって調製される、硬化CO隔離固体。
35.硬化CO隔離固体が、モース硬度スケールに従って2以上の硬度を有する、付記34に記載の硬化CO隔離固体。
36.硬化CO隔離固体を含有するコンクリート試験片が、ASTM C330に従って、それぞれ2,500psi~4,000psi及び100lb/ft~115lb/ftの範囲の平均28日間の圧縮強度及び計算された平衡密度を有する、付記34又は35に記載の硬化CO隔離固体。
37.硬化CO隔離固体が、結晶構造を有する、付記34~36のいずれか一つに記載の硬化CO隔離固体。
38.硬化CO隔離固体が、アラゴナイト、方解石、又はそれらの組み合わせを含む、付記37に記載の硬化CO隔離固体。
39.硬化CO隔離固体が、75μm~100,000μmの範囲の直径を有する、付記34~38のいずれか一つに記載の硬化CO隔離固体。
【0111】
40.硬化CO隔離固体を生成するためのシステムであって、
初期CO隔離固体組成物調製モジュールと、
硬化モジュールと
を備える、システム。
41.硬化モジュールが、炭酸塩硬化液、重炭酸塩硬化液、リン酸塩硬化液、二価アルカリ土類金属硬化液、又は水道水を含む硬化液を含む、付記40に記載のシステム。
42.硬化液が、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸アンモニウム((NHCO)、炭酸カリウム(KCO)、重炭酸ナトリウム(NaHCO)、重炭酸アンモニウム(NHHCO)、重炭酸カリウム(KHCO)、それらの組み合わせを含む、付記41に記載のシステム。
43.骨材組成物調製モジュールに水性捕捉アンモニアを供給するように構成された水性捕捉アンモニア再生モジュールを更に備える、付記39~42のいずれか一つに記載のシステム。
44.水性捕捉アンモニア再生モジュールが、蒸留によって水性捕捉アンモニアを生成するように構成されている、付記43に記載のシステム。
【0112】
45.水性捕捉アンモニア再生モジュールが、アンモニウム塩をアルカリ性源と接触させることによって水性捕捉アンモニアを生成するように構成されている、付記43又は44に記載のシステム。
46.初期CO隔離固体組成物調製モジュールが、
COガス/水性液体接触器モジュールと、
固体炭酸塩生成モジュールと
を備える、付記40~45のいずれか一つに記載のシステム。
47.初期CO隔離固体組成物調製モジュールが、COガスをカチオン源を含む水性液体と接触させ、固体炭酸塩を生成するように構成されている、付記40~46のいずれか一つに記載のシステム。
48.初期CO隔離固体組成物調製モジュールが、煙道ガスの供給源に動作可能に結合されている、付記40~46のいずれか一つに記載のシステム。
【0113】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示は、また、以下の付記によって定義される。
【0114】
1.不純物をCO隔離固体から分離する方法であって、
CO隔離固体から不純物を除去するために十分な様式で、CO隔離固体を蒸気と接触させることを含む、方法。
2.CO隔離固体が、1~60分の範囲の期間の間、蒸気と接触する、付記1に記載の方法。
3.CO隔離固体が、0psig及び100℃で蒸気と接触する、付記1又は2に記載の方法。
4.CO隔離固体が、開放システム中で蒸気と接触する、付記3に記載の方法。
5.CO隔離固体が、閉鎖システム中で蒸気と接触する、付記1~3のいずれか一つに記載の方法。
【0115】
6.CO隔離固体が、大気圧よりも高い接触圧力で蒸気と接触する、付記5に記載の方法。
7.接触圧力が、1~100psigの範囲である、付記6に記載の方法。
8.温度が、101~170℃の範囲である、付記5~7のいずれか一つに記載の方法。
9.不純物が、CO隔離固体生成方法のメディエーターを含む、付記1~8のいずれか一つに記載の方法。
10.メディエーターが、アンモニア、アンモニウム、又はそれらの組み合わせを含む、付記9に記載の方法。
【0116】
11.不純物が、CO隔離固体生成方法の副生成物を含む、付記1~10のいずれか一つに記載の方法。
12.副生成物が、その塩又はイオンを含む、付記11に記載の方法。
13.副生成物が、塩化物イオンを含む、付記12に記載の方法。
14.CO隔離固体が、骨材を含む、付記1~13のいずれか一つに記載の方法。
15.CO隔離固体を調製することを更に含む、付記1~14のいずれか一つに記載の方法。
【0117】
16.調製することが、CO隔離固体を生成するために十分な様式で、ガス状CO源を捕捉液及びカチオン源と合わせることを含む、付記15に記載の方法。
17.ガス状CO源を、炭酸塩、重炭酸塩、溶存CO、又はそれらの混合物を含む水溶液を生成するために十分な条件下で捕捉液と合わせ、続いて、CO隔離固体を生成するために十分な条件下で、カチオン源と水溶液とを合わせる、付記15に記載の方法。
18.CO隔離固体組成物を調製することが、CO隔離固体を生成するために十分な条件下で、カチオン源を含む水性捕捉液をガス状CO源と接触させることを含む、付記15に記載の方法。
19.水性捕捉液が、水性捕捉アンモニアを含み、CO隔離固体組成物を調製することが、水性アンモニウム塩の生成ももたらす、付記16~18のいずれか一つに記載の方法。
20.水性アンモニウム塩から水性捕捉アンモニアを再生することを更に含む、付記19に記載の方法。
【0118】
21.カチオン源が、二価アルカリ土類金属カチオンを含む、付記16~20のいずれか一つに記載の方法。
22.二価アルカリ土類金属カチオンが、Ca2+又はMg2+である、付記21に記載の方法。
23.カチオン源が、遷移金属カチオンを含む、付記16~20のいずれか一つに記載の方法。
24.遷移金属カチオンが、Mn、Fe、Ni、Cu、Co、Znカチオンである、付記23に記載の方法。
25.初期水性液体中に、セメント、コンクリート、フライアッシュ、岩石、及びスチールスラグからなる群から選択される材料を少なくとも部分的に溶解させることによって、水性捕捉液を調製することを更に含む、付記16~24のいずれか一つに記載の方法。
【0119】
26.初期水性液体が、水性アンモニアを含む、付記25に記載の方法。
27.CO隔離固体を硬化することを更に含む、付記1~26のいずれか一つに記載の方法。
28.CO隔離固体が、CO隔離固体を蒸気と接触させる前に硬化される、付記27に記載の方法。
29.CO隔離固体が、CO隔離固体を蒸気と接触させた後に硬化される、付記28に記載の方法。
【0120】
30.付記1~29のいずれか一つに従って生成された、処理されたCO隔離固体。
31.付記30に記載の処理されたCO隔離固体を含む、組成物。
32.組成物が、コンクリートを含む、付記31に記載の組成物。
33.組成物が、形成されたオブジェクトを含む、付記32に記載の組成物。
【0121】
34.処理されたCO隔離固体を生成するためのシステムであって、
CO隔離固体組成物調製モジュールと、
蒸気処理モジュールと
を備える、システム。
35.蒸気処理モジュールが、開放モジュールである、付記34に記載のシステム。
36.蒸気処理モジュールが、閉鎖モジュールである、付記34に記載のシステム。
37.蒸気処理モジュールが、加圧モジュールである、付記36に記載のシステム。
【0122】
前述の実施形態の少なくともいくつかでは、ある実施形態で使用される1つ以上の要素は、かかる置き換えが技術的に実現可能でない限り、別の実施形態で互換的に使用することができる。特許請求された主題の範囲から逸脱することなく、上記の方法及び構造に対して様々な他の省略、追加及び修正がなされ得ることが、当業者によって理解される。かかる全ての修正及び変更は、添付の特許請求の範囲によって規定される主題の範囲内であることが意図される。
【0123】
一般に、本明細書で、及び、特に、添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して、「オープン」用語として意図されること(例えば、「含んでいる(including)」という用語は、「含んでいるが、それに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「含むが、それに限定されない」と解釈されるべきである、など)が当業者によって理解される。特定の数の導入された特許請求列挙が意図される場合、そのような意図は特許請求項に明示的に列挙されるし、そのような列挙がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者によって更に理解される。例えば、理解の補助として、以下の添付の特許請求の範囲は、特許請求列挙を導入するために、導入句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の使用を含むことがある。しかしながら、同じ特許請求項が「1つ以上」又は「少なくとも1つ」という導入句、及び「a(1つの)」又は「an(1つの)」のような不定冠詞を含む場合であっても、そのような句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による特許請求列挙の導入が、そのような導入された特許請求列挙を含む任意の特定の特許請求項を、そのような列挙を1つだけ含む実施形態に限定することを意味するように解釈されるべきではなく(例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)、特許請求列挙を導入するために使用される定冠詞の使用についても同じことが当てはまる。また、特定の数の導入された特許請求列挙が明示的に列挙されていても、当業者であれば、そのような列挙は、少なくとも列挙された数を意味すると解釈されるべきことを認識する(例えば、他の修飾語を含まない「2つの列挙」のベアな列挙は、少なくとも2つの列挙、又は2つ以上の列挙を意味する)。更に、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ、など」に類似する慣例が使用される場合、概して、そのような構文は、当業者なら慣例を理解するという意味で意図される(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、以下に限定されないが、A単独、B単独、C単独、A及びBともに、A及びCともに、B及びCともに、並びに/又はA、B、及びCともになどを有するシステムを含む)。「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ、など」に類似する慣例が使用される場合、概して、そのような構文は、当業者なら慣例を理解するという意味で意図される(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、以下に限定されないが、A単独、B単独、C単独、A及びBともに、A及びCともに、B及びCともに、並びに/又はA、B、及びCともになどを有するシステムを含む)。明細書、特許請求の範囲、又は図面のいずれであろうと、2つ以上の代替用語を提示する実質的に任意の離接語及び/又は離接句は、用語のうちの1つ、用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を意図すると理解されるべきことが、当業者には更に理解される。例えば、「A又はB」という語句は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0124】
更に、本開示の特徴又は態様がマーカッシュグループの観点から記載されている場合、当業者であれば、本開示が、それによって、マーカッシュグループの個々のメンバー、又はマーカッシュグループのメンバーの任意のサブグループの観点からも記載されていることを認識する。
【0125】
当業者には理解されるように、書面による説明を提供することなど、任意の及び全ての目的のために、本明細書に開示される全ての範囲はまた、任意の及び全ての可能なサブ範囲、並びにそのサブ範囲の組み合わせも包含する。任意のリストされた範囲は、同じ範囲が、少なくとも等しい2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解されることを十分に示し、分解されることを可能にするものとして容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、容易に、下側の3分の1、真ん中の3分の1、及び上側の3分の1などに分解され得る。当業者に同様に理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「より少ない」などの全ての用語は、列挙される数を含み、上記で考察されたようにサブ範囲に後に分解され得る範囲を指す。最後に、当業者に理解されるように、範囲は各個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3個の物品を有する群は、1個、2個、又は3個の物品を有する群を指す。同様に、1~5つの項目を有するグループとは、1、2、3、4、又は5つの項目を有するグループなどを指す。
【0126】
前述の発明は、理解の明確化を目的として例示及び例としてある程度詳細に記載されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、ある特定の変更及び修正が、それらに対して行われ得ることは、本発明の教示に照らして当業者には容易に明らかである。
【0127】
実施例は、例示として提示されるものであって、限定として提示されるものではない。実施例は、当業者に、本発明の作製及び使用方法の完全な開示及び説明を提供するために提示されるものであり、発明者が発明とみなす範囲を限定することを意図せず、また、以下の実験が実施された全て又は唯一の実験であることを表すことを意図するものではない。使用される数字(例えば、量、温度など)に対する正確性を確保する努力がなされているが、ある程度の実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。別様に示されない限り、部とは重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧又は略大気圧である。標準的な略語、例えば、bp(塩基対)、kb(キロ塩基)、pl(ピコリットル)、s又はsec(秒)、min(分)、h又はhr(時間)、aa(アミノ酸)、nt(ヌクレオチド)などが使用されてもよい。
【0128】
したがって、前述は、本発明の原理を単に例示しているに過ぎない。当業者であれば、本明細書に明示的に記載又は図示していないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な構成を考案できることが理解される。更に、本明細書に列挙された全ての例及び条件的文言は、主として本発明の原理及び発明者らにより当該技術の促進のために寄与された概念を理解する上で読者を助けることを意図しており、このような具体的に列挙された例及び条件への限定ではないと解釈されるべきである。また、本発明の原理、態様、及び実施形態、並びにその具体的な例を列挙する本明細書における全ての記述は、その構造的及び機能的等価物の両方を包含することを意図している。追加的に、そのような等価物は、現在知られている等価物及び将来開発される等価物の両方、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を果たすいかなる開発要素も含むことが意図される。更に、本明細書に開示のいかなるものも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているか否かにかかわらず、公共に供することを意図しない。
【0129】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に図示及び記載の例示的な実施形態に限定されることを意図していない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。特許請求の範囲において、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は、特許請求の範囲への限定の始まりの正確な語句「のための手段」又は正確な語句「のためのステップ」が列挙されている場合にのみ、そのような特許請求の範囲に限定するために公使されると明示的に定義され、そのような正確な語句が、特許請求の範囲への限定において使用されない場合、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は行使されない。
【0130】
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)に従って、本出願は、2020年12月21日に出願された米国仮出願第63/128,487号及び2020年12月21日に出願された米国仮出願第63/128,483号の出願日に対する優先権を主張し、それらの出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
【国際調査報告】