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特表2024-501266少なくとも1つの脂肪アルコールと、非イオン性糖エステルと、エチルセルロースとを含む逆エマルジョン、及びそれを使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】少なくとも1つの脂肪アルコールと、非イオン性糖エステルと、エチルセルロースとを含む逆エマルジョン、及びそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20231228BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20231228BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231228BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20231228BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/73
A61K8/34
A61K8/39
A61K8/37
A61K8/31
A61K8/891
A61K8/33
A61Q19/00
A61Q1/04
A61Q1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538116
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2021086184
(87)【国際公開番号】W WO2022136106
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】2013854
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】オディール・オーブラン
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・カヴァツーティ
(72)【発明者】
【氏名】アンヌ-ソフィー・メティヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】リュドヴィック・ミノー
(72)【発明者】
【氏名】リュボフ・ルカノワ
(72)【発明者】
【氏名】マリー・ジャンヌ・マンゾラ・マゼカ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB051
4C083AC011
4C083AC071
4C083AC081
4C083AC091
4C083AC092
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC211
4C083AC351
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC391
4C083AC421
4C083AC431
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC792
4C083AC841
4C083AD111
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD221
4C083AD222
4C083AD261
4C083AD262
4C083BB04
4C083BB12
4C083BB14
4C083BB21
4C083CC02
4C083CC11
4C083CC13
4C083DD02
4C083DD32
4C083EE06
(57)【要約】
本発明の主題は、エチルセルロースと、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状のC10~C26脂肪アルコールから選択される、25℃で液体である少なくとも1つの第1の不揮発性油と、式ROR’のエーテル又は式RO(CO)OR’のカーボネート(式中、同一であろうとなかろうと、R及びR’基は、多くとも16個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、分岐状又は非分岐状の炭化水素系基、好ましくはC~C16基を表す)から選択される25℃で液体である少なくとも1つの第2の不揮発性炭化水素系油と、又それらの混合物と、少なくとも1つの第1の非イオン性炭化水素系界面活性剤と、を含む油中水型エマルジョンの形態の組成物である。
本発明は、組成物の総質量に対して11質量%~14質量%のエチルセルロースと、組成物の総質量に対して30質量%~50質量%のオクチルドデカノールと、任意にジカプリリルカーボネート又はペンタエリスリチルテトラステアレートと組み合わせて、第2の油として少なくともジカプリリルエーテルと、50/50から70/30まで変動する質量比の第1の油/第2の油と、組成物の総質量に対して2質量%~7質量%のスクロースラウレートとスクロースパルミテートの混合物と、組成物の総質量に対して10質量%~20質量%の水及びグリセロールと、任意に、飽和C~Cモノアルコールから選択される少なくとも1つの水溶性溶媒と、組成物の総質量に対して、15質量%~25質量%である含有量の、水、ポリオール、必要に応じて、水溶性溶媒及び界面活性剤と、少なくとも1つの脂溶性又は水溶性染料と、を含む逆エマルジョンの形態の透明又は半透明の組成物に関する。本発明は、最後に、それらを使用するヒトのケラチン材料をメイクアップ及び/又はケアするための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油中水型エマルジョンの形態の組成物であって、
-前記組成物の質量に対して少なくとも8質量%のエチルセルロースと、
-飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状のC10~C26脂肪アルコールから選択される、25℃で液体である少なくとも1つの第1の不揮発性油と、
-*式ROR’のエーテル又は式RO(CO)OR’のカーボネート(式中、同一であろうとなかろうと、R及びR’基は、多くとも16個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の、分岐状又は非分岐状の炭化水素系基、好ましくはC~C16基を表す)、
*ヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化植物油、ヒマシ油エステル、
*任意に、1~4つのエステル官能基を含むヒドロキシル化されたエステル油であって、飽和、不飽和、又は芳香族の、直鎖状又は分岐状の、そのうちの少なくとも1つが少なくとも10個の炭素原子を含むエステル油、
*及び又それらの混合物、から選択される25℃で液体である少なくとも1つの第2の炭化水素系油と、
-スクロースエステル、ソルビタンエステル、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1つの第1の非イオン性炭化水素系界面活性剤と、
-任意に、前記組成物の質量に対して、4質量%以下、より具体的には2質量%以下、有利には1質量%以下の含有量で、揮発性又は不揮発性である少なくとも1つのシリコーン油又は1つのフッ素化油、又はそれらの混合物と、を含む油中水型エマルジョンの形態の組成物。
【請求項2】
エチルセルロースの含有量は、前記組成物の総質量に対して8質量%~17質量%、好ましくは8質量%~15質量%、更により優先的には10質量%~12質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
水の含有量は、前記組成物の総質量に対して40質量%以下、より具体的には30質量%以下であり、有利には、前記組成物の総質量に対して5質量%~40質量%、好ましくは5質量%~30質量%、更により具体的には5質量%~20質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1の油は、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ウンデシルペンタデカノール、2-ヘキシルデシルアルコール、イソセチルアルコール、オクチルドデカノール及びそれらの混合物から選択され、好ましくは、前記第1の油は、オクチルドデカノールであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
第1の油の含有量は、前記組成物の総質量に対して20質量%~60質量%、より具体的には20質量%~40質量%で変動することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記不揮発性炭化水素系油は、
-ジカプリリルエーテル、
-ジプロピルカーボネート、ジエチルヘキシルカーボネート、ジカプリリルカーボネート、ジ(C14~15-アルキル)カーボネート、
-オリーブ油、ホホバ油、キシメニア油、プラカシ油、小麦胚芽油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、シア油、スイートアーモンド油、マカダミア油、アプリコット核油、大豆油、ナタネ油、落花生油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、赤栗カボチャ油、ゴマ油、カボチャ油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、ブドウ種子油、カシス油、アルガン油、月見草油、キビ油、大麦油、亜麻仁油、キヌア油、ライ麦油、ベニバナ油、キャンドルナッツ油、トケイソウ油、ムスクローズ油、シアバターの液体画分及びカカオバターの液体画分、並びにそれらの混合物、
-ヒマシ油、
-ヒマシ油のエチルエステル、
-2-エチルヘキシルパルミテート、2-オクチルデシルパルミテート、オクチルドデシルネオペンタノエート、2-オクチルドデシルステアレート、ブチルステアレート、2-オクチルドデシルエルケート、C12~C15アルキルベンゾエート、2-オクチルドデシルベンゾエート、イソセチルイソステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソプロピルパルミテート、ヘキシルラウレート、2-ヘキシルデシルラウレート、イソプロピルミリステート、2-オクチルドデシルミリステート、ジイソステアリルマレート、グリセリルトリ(2-デシルテトラデカノエート)、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、C18~36酸トリグリセリド、グリセリルトリヘプタノエート、グリセリルトリオクタノエート、グリセリルトリ(2-デシルテトラデカノエート)、トリイソステアリルシトレート、トリデシルトリメリテート、ペンタエリトリチルテトラペラルゴネート、ペンタエリトリチルテトライソステアレート、ペンタエリトリチルテトライソノナノエート、ペンタエリトリチルテトラ(2-デシルテトラデカノエート)、イソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、
-以下のINCI名を有するポリエステル:ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー、ジリノール酸/プロパンジオールコポリマー、ダイマージリノレイルジリノレエート、
-及び又それらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記不揮発性炭化水素系油は、ジカプリリルエーテル、ジカプリリルカーボネート、例えば、オリーブ油などの非ヒドロキシル化植物油、ヒマシ油、ヒマシ油のエチルエステル、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、イソセチルイソステアレート、ペンタエリスリチルエステル、特にペンタエリトリチルテトライソステアレートなど、及び又それらの混合物から選択され、好ましくは、前記組成物は、ジカプリリルカーボネート、例えば、オリーブ油などの非ヒドロキシル化植物油、ヒマシ油、ヒマシ油のエチルエステル、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、イソセチルイソステアレート、ペンタエリトリチルテトライソステアレート、及びそれらの混合物から選択される1つ以上の油の存在下又は非存在下で、少なくともジカプリリルエーテルを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
第2の油の含有量は、前記組成物の総質量に対して、1質量%~32質量%、より具体的には10質量%~30質量%、有利には15質量%~30質量%で変動し、前記第1の油/前記第2の油の質量比は、好ましくは50/50~90/10、より具体的には55/45~70/30で変動することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記第1の非イオン性界面活性剤は、単独又は混合物として、スクロースエステル、特にスクロースココエート、スクロースラウレート、スクロースミリステート、スクロースパルミテート、スクロースステアレート、スクロースオレエート又はスクロースベヘネートから選択され、好ましくは、スクロースラウレート、スクロースパルミテート、又はそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
第1の非イオン性炭化水素系界面活性剤の含有量は、前記組成物の総質量に対して、1質量%~7質量%、より具体的には2質量%~6質量%、好ましくは2質量%~4質量%で変動することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物は、任意に、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を、前記組成物の質量に対して、1質量%以下、より具体的には0.4質量%以下、好ましくは0.3質量%以下の含有量で含み、アニオン性界面活性剤の含有量は、第1の非イオン性炭化水素系界面活性剤の質量に対して、好ましくは1質量%~50質量%、より有利には1質量%~25質量%に相当することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも2つ、より具体的には2~6つのヒドロキシル基を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、C~C化合物から選択される少なくとも1つの液体ポリオールを、好ましくは、前記組成物の総質量に対して0.1質量%~20質量%で変動する含有量で、更に含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
より具体的には飽和であるC~Cモノアルコール、C及びCケトン及びC~Cアルデヒド、並びに又それらの混合物から選択される少なくとも1つの水溶性溶媒を含むことができ、水溶性溶媒の含有量は、より具体的には、前記組成物の総質量に対して0.1質量%~10質量%、好ましくは1質量%~5質量%であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの揮発性油、より具体的には炭化水素系油を、前記組成物の質量に対して、好ましくは10質量%以下、好ましくは5質量%以下で含むことができ、有利には、前記組成物は、揮発性油を含まないことを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
水性相の量は、前記組成物の質量に対して、5質量%~40質量%、特に10質量%~30質量%、好ましくは20質量%~30質量%に相当し、前記水性相は、水、並びに必要に応じて、前記水溶性溶媒及び前記液体ポリオールを意味することを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
顔料、真珠光沢剤、水溶性染料、脂溶性染料、及び又それらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤を含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
-組成物の総質量に対して11質量%~14質量%のエチルセルロースと、
-組成物の総質量に対して、第1の油として30質量%~50質量%のオクチルドデカノールと、
-任意にジカプリリルカーボネート又はペンタエリスリチルテトラステアレートと組み合わせて、第2の油として少なくともジカプリリルエーテルと、
-50/50~70/30で変動する質量比の前記第1の油/前記第2の油と、
-組成物の総質量に対して2質量%~7質量%、好ましくは2.5質量%~6質量%の、スクロースラウレートとスクロースパルミテートの混合物と、
-組成物の総質量に対して10質量%~20質量%の水及びグリセロールと、
-任意に、飽和C~Cモノアルコールから選択される少なくとも1つの水溶性溶媒と、
-組成物の総質量に対して、15質量%~25質量%、より具体的には17質量%~22質量%である含有量の、水、ポリオール、必要に応じて、水溶性溶媒及び界面活性剤と、
-少なくとも1つの脂溶性又は水溶性染料と、を含む、逆エマルジョンの形態で提供される透明又は半透明の組成物。
【請求項18】
ヒトのケラチン材料、特に皮膚又は唇、好ましくは前記唇をメイクアップ及び/又はケアするための方法であって、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物を適用することからなる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、エチルセルロースと、脂肪アルコールから選択される第1の不揮発性油と、第2の特定の炭化水素系油と、糖エステル及び/又はソルビタンエステルから選択される少なくとも1つの非イオン性炭化水素系界面活性剤とを含む逆(油中水型)エマルジョンの形態の組成物である。本発明は又、前述の組成物を適用することからなるヒトのケラチン材料、特に唇をメイクアップ及び/又はケアするための方法を主題とする。
【背景技術】
【0002】
何年かの間、エチルセルロースを含むメイクアップ組成物が開発されており、エチルセルロースの溶媒として使用され、長期的には皮膚又は唇の感作の問題を引き起こす可能性のある大量のエタノールの存在に代わる最初の代替手段が提供されてきた。これは、例えば、エチルセルロースがもはやエタノールではなく、所定の溶解パラメータを示す溶媒、特にとりわけ、脂肪アルコール、天然油、C~C30トリグリセリド又はグリコールエステルから選択される溶媒によって溶解される無水組成物について記載している、欧州特許の(特許文献1)の望ましい目的の1つであった。これらの組成物は、良好な接着性及び限られた移行性を示す。
【0003】
エマルジョン形態で存在する組成物は、続いて、例えば、国際出願の(特許文献2)に記載されており、これは、特に、エチルセルロースと、少なくとも1つの液体脂肪アルコールと、少なくとも1つの不揮発性シリコーン油又はフッ素化油とを含む水中油型エマルジョンを主題としている。このようにして得られた組成物は、適用が容易であり、適用時の鮮度の効果に寄与し、得られた堆積物は、非粘着性であり、あまり移行せず、光沢があり、そのままの状態を維持する。
【0004】
しかしながら、しばらくの間、化粧用製品の傾向は、代わりに、より多くの天然生成物を含み、従って、シリコーン又はフッ素化化合物などのより少ない合成化合物を含む組成物の開発に向かっている。これらの油を、エステル油などの炭化水素系の化合物に単純に置き換えるだけでは、例えば、光沢及び光沢の経時に渡る持続という望まれる目標を達成することはできない(光沢の損耗)。具体的には、特にシリコーン油が、これらの目的に非常に効果的であることが知られている。更に、上記の国際出願は、一例として、シリコーン又はフッ素化油をトリグリセリドで置き換えても、均一な組成物が得られないことを示している。加えて、得られた組成物は、適用が難しく、唇を均一にメイクアップできないことが判明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第861657号明細書
【特許文献2】国際公開第2012/038879号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、シリコーン又はフッ素化油の使用を制限し、実際には使用さえせずに、経時に渡って光沢を維持する光沢のある堆積物として適用できる、特に唇のメイクアップのための、エチルセルロースを含むエマルジョン形態の組成物が、依然として探索されている。非常に明白であるが、このような結果は、組成物の適用特性、又は例えば移行などの、得られる堆積物の適用特性を損なうことなく達成される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的及びその他の目的は、
-組成物の質量に対して少なくとも8質量%のエチルセルロースと、
-飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状のC10~C26脂肪アルコールから選択される、25℃で液体である少なくとも1つの第1の不揮発性油と、

*式ROR’のエーテル又は式RO(CO)OR’のカーボネート(式中、同一であろうとなかろうと、R及びR’基は、多くとも16個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の、分岐状又は非分岐状の炭化水素系基、好ましくはC~C16基を表す)、
*ヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化植物油、ヒマシ油エステル、
*任意に、1~4つのエステル官能基を含むヒドロキシル化されたエステル油であって、飽和、不飽和、又は芳香族の、直鎖状又は分岐状の、そのうちの少なくとも1つが少なくとも10個の炭素原子を含むエステル油、
*及び又それらの混合物、
から選択される25℃及び大気圧(1.013×10Pa)で液体である少なくとも1つの第2の炭化水素系油と、
-スクロースエステル、ソルビタンエステル、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1つの第1の非イオン性炭化水素系界面活性剤と、
-任意に、組成物の質量に対して、4質量%以下、より具体的には2質量%以下、有利には1質量%以下の含有量で、揮発性又は不揮発性である少なくとも1つのシリコーン油又は1つのフッ素化油、或いはそれらの混合物と、
を含む油中水型エマルジョンの形態の組成物を主題とする本発明によって達成される。
【0008】
本発明は又、上述の組成物を適用することからなる、唇をメイクアップ及び/又はケアするための方法を主題とする。
【0009】
本発明の別の主題は、以下を含む逆エマルジョンの形態で提供される透明又は半透明の組成物である:
-組成物の質量に対して、少なくとも9質量%、好ましくは少なくとも10質量%のエチルセルロース、
-組成物の総質量に対して、25質量%~55質量%の、飽和又は不飽和の、及び直鎖状又は分岐状のC10~C26脂肪アルコール、好ましくはオクチルドデカノールから選択される、25℃及び大気圧で液体である少なくとも1つの第1の不揮発性油、
-ジカプリリルエーテル、ジカプリリルカーボネート、イソセチルイソステアレート、ペンタエリトリチルテトラステアレート、又はヒマシ油のエチルエステルから選択される、25℃及び大気圧で液体である少なくとも1つの第2の炭化水素系油、
-組成物の総質量に対して、1.5質量%~7質量%のスクロースラウレートとスクロースパルミテートの混合物、
-50/50から90/10まで、好ましくは50/50から80/20まで変動する質量比の第1の油/第2の油、
-少なくとも1つの液体の、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の2~6つのヒドロキシル基、好ましくはグリセロールを含むC~Cポリオール、
-組成物の総質量に対して10質量%~20質量%で変動する含有量の水の及び液体ポリオール。
【0010】
本発明は又、ヒトのケラチン材料、特に皮膚及び唇、より具体的には唇をメイクアップ及び/又はケアするための方法を主題とし、この方法は、上記の組成物を適用することからなる。
【0011】
本発明による組成物は、より具体的には、比較的わずかに流動性であり得るゲルの形態で提供される。それは、濃厚な堆積物として適用するのが簡易であり、あまり粘着性がない、又は粘着性がなく、唇に存在するが、快適なままであり、新鮮な感覚を伴う。得られた堆積物は、光沢があり、時間が経っても光沢が持続し、保湿感があり、唇にボリューム感(ふっくら効果)を与える。又、十分な非移行特性も示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
光沢の測定プロトコル
試料は、制御された厚さのフィルムを得るために、厚さ100μm(Elcometer 3520/101、50、100、150、200μm、参照番号K0003520M101)に校正された自動スプレッダー(Elcometer 4340 Applicator)を使用して、黒い領域と白い領域を持つコントラストカード(contrast card)(Erichsenタイプ24/5)に渡り広げられる。
【0013】
組成物は黒い領域と白い領域の両方に渡り広げられる。コントラストカードの黒い領域により、広がりの均一性を監視することができ、カードの白い領域は、フィルムの光沢を測定するために使用される。
【0014】
光沢の測定は、測定前に60°で校正されるBykGardnerのMini Gloss Meter 60°の光沢計を使用して行われる。フィルムへの損傷を防ぐために、粘着リング(Crowns DTM、直径22mm、参照番号G022363M)が光沢計の両端に配置されている。
【0015】
光沢は、20℃及び相対湿度50%で適用後、直後のT0、T30分、T1時間、T1時間30分及びT24時間で測定される。
【0016】
ゲルのレオロジー特性の測定プロトコル
様々な実験は、制御された応力レオメーター(TA InstrumentsのAR-G2)を使用して実行された。使用された測定形状は、直径35mm及び角度2°の研磨された円錐/プレートである。試料には、0.1~1000Paに渡る応力の範囲に渡って、1ヘルツの周波数で振幅が増加する正弦波応力が加えられる。加えられた歪みに対する試料の抵抗により、応力τの関数としての粘稠度G*の及び固体/液体の性質δの曲線を得ることが可能になる。収集される主なデータは、プラトー(plateau)G*(粘稠度)と位相角δ(固体/液体の性質)である。
【0017】
組成物は、より具体的にはゲルの形態で提供され、そのG*係数(粘弾性係数)は、40~70°の位相角に対して10~1000Pa、40~65°、好ましくは40~60°の位相角に対して、より具体的には、50~1000Pa、実際には更に80~1000Paである。粘弾性特性(G*及びδ)は、制御された応力レオメーターを用いて測定され、値は、25℃の粘弾性プラトーにおいて取得される。
【0018】
粘度の測定プロトコル
粘度の測定は、一般的に、4番スピンドルを備えたRheomat RM100粘度計を使用して、25℃で行われ、測定は、組成物内でスピンドルを200回転数/分(rpm)のせん断速度で10分間回転させた後に行われる。
【0019】
一般的に、本発明による組成物は、5~50Pa.s、好ましくは7~30Pa.sの粘度を示す。
【0020】
タック(tack)の測定プロトコル
組成物を深さ100μmのいくつかのステンレス鋼るつぼに堆積させ、できるだけ早く平らにする。るつぼを周囲温度で1時間放置して乾燥させる。
【0021】
使用した装置は、TA.XT2iテクスチャアナライザーである。装置に取り付けられたクランプは、直径6mmのAU4Gシリンダーを把持し、その端部には、同じ直径で厚さ2mmの合成スキンで作られた滑らかなベージュ色の先端部品が、接着して結合されている。
【0022】
先端部品は、各測定の間にエタノールで清浄される。
【0023】
堆積物内の同じ場所で複数の測定が行われることはない。
【0024】
経時に渡るメンテナンスを伴う圧縮試験のパラメータは、次のとおりである:接近速度(又は事前速度):1mm/秒、速度(接触の検出から開始):0.1mm/秒、力(及び対応する圧力):0.283N(即ち0.01MPa)、メンテナンス時間:3秒、引き出し速度(又は後速度):0.1mm/秒。
【0025】
タックは、時間軸の下の曲線の積分に対応する、放電中(引張り段階)に測定される剥離の仕事量によって特性評価される。この仕事量は、平方メートルあたりのジュールで確実に表される。
【0026】
上で示されたように、本発明による組成物は、ヒトのケラチン材料、特に皮膚又は唇に適用することができる。従って、これらは、生理学的に許容される媒体、即ち、皮膚及び/又はその表面身体生長物(superficial body growth)への適用に適合し、心地よい色、心地よい香り及び心地よい感触を示し、消費者はこの組成物の使用を思いとどまる可能性があるいかなる許容できない不快感(ヒリヒリ感、圧迫感)も引き起こさない媒体を含む組成物である。
【0027】
エチルセルロース
上で示されたように、本発明による組成物は、少なくとも1つのエチルセルロースを含む。
【0028】
エチルセルロースは、セルロースエチルエーテルであり、アセタール結合を介してともに結合したβ-アンヒドログルコース単位で構成される鎖を含む。各アンヒドログルコース単位は、3つの置換可能なヒドロキシル基を示し、これらのヒドロキシル基の全て又は一部が次の反応に従って反応することが可能である:RONa+CCl→ROC+NaCl(式中、Rはセルロース基を表す)。3つのヒドロキシル基が完全に置換されると、各アンヒドログルコース単位の置換度は3、換言すれば、アルコキシ基、特にエトキシ基の含有量は54.88%となる。
【0029】
本発明による化粧用組成物に使用されるエチルセルロースポリマーは、優先的には、エトキシ基の置換度がアンヒドログルコース単位当たり2.5~2.6の範囲にあり、換言すれば、44%~50%の範囲のエトキシ基の含有量を含むポリマーである。
【0030】
好ましくは、エチルセルロースの平均モル質量は、25℃における80/20(トルエン/エタノール)混合物中の5質量%溶液の粘度が4~300mPa.s、好ましくは、例えば5~150mPa.sなどの5~200mPa.sの範囲となるように選択されることが好ましい(標準ASTM D 914)。
【0031】
本発明による組成物に用いられるアルキルセルロースは、より具体的には粉末形態である。
【0032】
これは、例えば、Dow ChemicalsからEthocel Standardの商標名で、特にEthocel Standard 7 FP Premium及びEthocel Standard 100 FP Premiumとして販売されている。他の市販品としては、Ashland Inc.からAqualon Ethylcellulose type K、type N及びtype Tの名称で、好ましくはtype N(N7又はN100等)の名称で販売されているものなどが、本発明の実施に特に適している。
【0033】
エチルセルロースの含有量は、組成物の総質量に対して、より具体的には8質量%~17質量%、好ましくは8質量%~15質量%、実際には更に9質量%~15質量%、更により優先的には10質量%~12質量%に相当する。
【0034】
水性相
本発明による組成物は、逆(油中水型)エマルジョンの形態であり、従って連続油性相を含むエマルジョンの形態であり、この場合、巨視的に均一な混合物が得られるように、水性相が液滴の形態で分散されている。
【0035】

従って、本発明による組成物は、少なくとも水を含む。
【0036】
より具体的には、水含有量は、組成物の総質量に対して40質量%以下、より具体的には30質量%以下である。好ましくは、水含有量は、組成物の総質量に対して5質量%~40質量%、より有利には5質量%~30質量%、更により具体的には5質量%~20質量%である。
【0037】
水溶性溶媒
本発明による組成物は、水の他に、少なくとも1つの水溶性溶媒を含むことができる。
【0038】
本発明において、「水溶性溶媒」という用語は、周囲温度で液体であり、水と混和性(25℃及び大気圧(1.013×10Pa)で水中での混和性が50質量%を超える)である化合物を意味する。
【0039】
本発明による組成物に使用できる水溶性溶媒は、加えて揮発性であり得る。
【0040】
特に、使用できる水溶性溶媒の中で、例えば特に、エタノール及びイソプロパノール、C及びCケトン及びC~Cアルデヒド、並びにそれらの混合物などの、より具体的には飽和であるC~Cモノアルコールを挙げることができる。好ましくは、水溶性溶媒は、1~5個の炭素原子を有するモノアルコール、及び又それらの混合物から選択される。
【0041】
組成物がそれ/それらを含む場合、水溶性溶媒の含有量は、より具体的には、組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは1質量%~5質量%である。
【0042】
液体ポリオール
本発明による組成物は、任意に、20℃及び大気圧(1.013×10Pa)で液体である少なくとも1つのポリオールを含むことができる。
【0043】
「ポリオール」という用語は、少なくとも2つのヒドロキシル基(又は遊離ヒドロキシル基)を含む任意の有機分子を意味する。
【0044】
より具体的には、液体ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル官能基、好ましくは2~6つのヒドロキシル基を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、C~C、より具体的にはC~Cの化合物から選択される。
【0045】
有利には、ポリオールは、例えば、エチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール、エチルヘキシルグリセロール、ジグリセロール及びそれらの混合物から選択することができる。
【0046】
好ましくは、ポリオールは、グリセロール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ジグリセロール及びそれらの混合物、更に有利にはグリセロールから選択される。
【0047】
好ましくは、組成物が上記で定義された少なくとも1つの液体ポリオールを含む場合、その含有量は、組成物の総質量に対して0.1質量%~20質量%で変動する。
【0048】
特に好ましい実施形態によれば、水性相の量は、組成物の質量に対して5質量%~40質量%、特に10質量%~30質量%、好ましくは20質量%~30質量%に相当する。「水性相」という用語は、水、並びに必要に応じて、水溶性溶媒及び液体ポリオールを意味すると明記されている。
【0049】
第1の油
上で示されたように、本発明による組成物は、25℃で液体である第1の不揮発性油として、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状のC10~C26脂肪アルコール、好ましくはモノアルコールを含む。
【0050】
有利には、C10~C26アルコールは、それらが少なくとも16個の炭素原子を含む場合、好ましくは分岐状の脂肪アルコールである。
【0051】
好ましくは、脂肪アルコールは、10~24個の炭素原子、より優先的には12~22個の炭素原子を含む。
【0052】
好ましくは使用することができる脂肪アルコールの具体例として、特に、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ウンデシルペンタデカノール、2-ヘキシルデシルアルコール、イソセチルアルコール、オクチルドデカノール及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0053】
本発明の有利な実施形態によれば、アルコールは、オクチルドデカノールから選択される。
【0054】
より具体的には、第1の油の含有量は、組成物の総質量に対して20質量%~60質量%、より具体的には20質量%~40質量%で変動する。
【0055】
第2の油
本発明による組成物は、25℃及び大気圧(1.013×10Pa)で液体である少なくとも1つの第2の炭化水素系油を更に含む。
【0056】
「油」という用語は、25℃及び大気圧(1.013×10Pa)で液体であり水に混和しない化合物を意味する。
【0057】
「炭化水素系油」という用語は、従来、本質的に、炭素原子及び水素原子、及び任意に酸素原子及び窒素原子から形成され、実際には更にそれらから構成され、ケイ素原子又はフッ素原子を含まない油を意味する。このように、炭化水素系油は、シリコーン油及びフッ素化油とは異なる。有利には、本発明による炭化水素系油は、炭素、水素、酸素原子のみを含む。
【0058】
「不揮発性油」という用語は、25℃及び大気圧でのその蒸気圧がゼロではなく、2.66Pa未満、より具体的には0.13Pa未満である油を意味すると理解される。一例として、蒸気圧は、油の蒸気圧に従って、静的方法に従って、又は等温質量測定(isothermal thermogravimetry)による浸出方法(effusion method)によって測定することができる(標準OECD 104)。
【0059】
従って、本発明による組成物は、第2の油として、以下から選択される少なくとも1つの油を含む:
*式ROR’のエーテル又は式RO(CO)OR’のカーボネート(式中、同一であろうとなかろうと、R及びR’基は、多くとも16個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の、分岐状又は非分岐状の炭化水素系基を表し、好ましくはC~C16基、より具体的にはC~C16基を表す)、
*ヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化植物油、ヒマシ油エチルエステル、
*任意に、1~4つのエステル官能基を含むヒドロキシル化されたエステル油であって、飽和、不飽和、又は芳香族の、直鎖状又は分岐状の、そのうちの少なくとも1つが少なくとも10の炭素原子を含むエステル油、
*脂肪酸が16~22個の炭素原子を含む一価又は多価不飽和脂肪酸ダイマーの反応から得られる液体ポリエステル、
*及びそれらの混合物。
【0060】
好ましくは、第2の油は、以下から選択される:
-ジカプリリルエーテル、
-ジプロピルカーボネート、ジエチルヘキシルカーボネート、ジカプリリルカーボネート、ジ(C14~15-アルキル)カーボネート、
-オリーブ油、ホホバ油、キシメニア油、プラカシ油、小麦胚芽油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、シア油、スイートアーモンド油、マカダミア油、アプリコット核油、大豆油、ナタネ油、落花生油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、赤栗カボチャ油、ゴマ油、カボチャ油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、ブドウ種子油、カシス油、アルガン油、月見草油、キビ油、大麦油、亜麻仁油、キヌア油、ライ麦油、ベニバナ油、キャンドルナッツ油、トケイソウ油、ムスクローズ油、シアバターの液体画分及びカカオバターの液体画分、及びそれらの混合物、
-ヒマシ油、
-ヒマシ油のエチルエステル、
-2-エチルヘキシルパルミテート、2-オクチルデシルパルミテート、オクチルドデシルネオペンタノエート、2-オクチルドデシルステアレート、ブチルステアレート、2-オクチルドデシルエルケート、C12~C15アルキルベンゾエート、2-オクチルドデシルベンゾエート、イソセチルイソステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソプロピルパルミテート、ヘキシルラウレート、2-ヘキシルデシルラウレート、イソプロピルミリステート、2-オクチルドデシルミリステート、ジイソステアリルマレート、グリセリルトリ(2-デシルテトラデカノエート)、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、C18~36酸トリグリセリド、グリセリルトリヘプタノエート、グリセリルトリオクタノエート、グリセリルトリ(2-デシルテトラデカノエート)、トリイソステアリルシトレート、トリデシルトリメリテート、ペンタエリトリチルテトラペラルゴネート、ペンタエリトリチルテトライソステアレート、ペンタエリトリチルテトライソノナノエート、ペンタエリトリチルテトラ(2-デシルテトラデカノエート)、イソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、
-以下のINCI名を有するポリエステル:ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー、ジリノール酸/プロパンジオールコポリマー、ダイマージリノレイルジリノレエート、
-及び又それらの混合物。
【0061】
好ましくは、第2の油は、ジカプリリルエーテル、ジカプリリルカーボネート、例えば、オリーブ油などの非ヒドロキシル化植物油、ヒマシ油(ヒドロキシル化植物油)、ヒマシ油のエチルエステル、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、イソセチルイソステアレート、ペンタエリスリチルエステル、特にペンタエリトリチルテトライソステアレートなど、及び又それらの混合物から選択される。
【0062】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、組成物は、ジカプリリルカーボネート、例えば、オリーブ油などの非ヒドロキシル化植物油、ヒマシ油(ヒドロキシル化植物油)、ヒマシ油のエチルエステル、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、イソセチルイソステアレート、ペンタエリトリチルテトライソステアレート、及びそれらの混合物から選択される、好ましくは、ジカプリリルカーボネート、オリーブ油などの非ヒドロキシル化植物油、ヒマシ油のエチルエステル、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、イソセチルイソステアレート、ペンタエリトリチルテトライソステアレート、及びそれらの混合物から選択される1つ以上の油の存在下又は非存在下で、不揮発性油として少なくともジカプリリルエーテルを含む。
【0063】
第2の油の含有量は、組成物の総質量に対して、より具体的には1質量%~32質量%、好ましくは10質量%~30質量%、更により具体的には15質量%~30質量%で変動する。
【0064】
好ましくは、第1及び第2の油の含有量は、第1の油/第2の油の質量比が、50/50~90/10、より具体的には55/45~70/30で変動するものである。
【0065】
更なる油
揮発性炭化水素系油
本発明による組成物は、任意に、少なくとも1つの揮発性油、より具体的には、非極性揮発性炭化水素系油、即ち、炭素原子及び水素原子のみを含む油(炭化水素油)から選択される少なくとも1つの揮発性油を含むことができる。
【0066】
「揮発性油」という用語は、周囲温度(25℃)及び大気圧で、特に2.66Pa~40000Paまでの範囲、特に13000Paまでの範囲、好ましくは1300Paまでの範囲である、2.66Pa以上の蒸気圧を有する油を意味すると理解される。
【0067】
揮発性油は、より具体的には、8~16個の炭素原子を有する、好ましくは非極性であり、直鎖状又は分岐状である炭化水素系油、及びそれらの混合物から選択され、特に、
-分岐状C~C16アルカン、例えばC~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、イソドデカン、イソデカン又はイソヘキサデカン、及び、例えば、Isopar又はPermethylの商標名で販売されている油、
-直鎖状アルカン、例えば、C11~C16、並びに
-それらの混合物
から選択される。
【0068】
組成物がそれ/それらを含む場合、揮発性炭化水素系油の含有量は、組成物の質量に対して、好ましくは10質量%以下、好ましくは5質量%以下、有利には1質量%以下であり、有利には、組成物は、揮発性油を含まない。
【0069】
非極性不揮発性炭化水素系油
別の特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、任意に、少なくとも1つの非極性不揮発性炭化水素系油を含むことができる。
【0070】
例として、非極性不揮発性炭化水素系油は、流動パラフィン、スクアラン、イソエイコサン、飽和直鎖状炭化水素の不揮発性混合物、水素化又は非水素化ポリブテン、水素化又は非水素化ポリイソブテン、水素化又は非水素化ポリデセン、デセン/ブテンコポリマー、ブテン/イソブテンコポリマー、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0071】
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~5質量%の不揮発性非極性炭化水素系油を含む。好ましくは、本発明による組成物は、不揮発性非極性炭化水素系油を含まない。
【0072】
シリコーン油及びフッ素化油
上で示されたように、本発明による組成物は、任意に、少なくとも1つの揮発性又は不揮発性シリコーン及び/又はフッ素化油を含む。しかしながら、このような油が存在する場合、その含有量は、組成物の質量に対して4質量%以下、より具体的には2質量%以下、有利には1質量%以下であろう。
【0073】
「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子を含む油を意味すると理解される。
【0074】
「フッ素化油」という用語は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を意味すると理解される。
【0075】
不揮発性シリコーン油の中で、特に、ジメチコーン、ジメチコノール、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、ジフェニルジメチコーン、トリメチルシロキシフェニルジメチコーン、フェニルトリメチコーン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコーン、及び又それらの混合物(INCI名)を挙げることができる。
【0076】
特に、不揮発性フッ素化油の中で、具体的にパーフルオロデカリン又はパーフルオロパーヒドロフェナントレン(INCI名)などの、特にパーフッ素化化合物を挙げることができる。フルオロシリコーン油も挙げることができる。
【0077】
特に、揮発性シリコーン油としては、粘度が5及び6cStのジメチコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0078】
揮発性フッ素化油に関しては、ノナフルオロメトキシブタン又はパーフルオロメチルシクロペンタン、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0079】
界面活性剤
非イオン性炭化水素系界面活性剤
上で示されたように、本発明による組成物は、スクロースエステル、ソルビタンエステル及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの第1の非イオン性炭化水素系界面活性剤を含む。
【0080】
スクロースエステルの中で、スクロースココエート、少なくとも1つの飽和又は不飽和のC12~C24基を含むモノエステル又はポリエステル、好ましくはモノエステル、ジエステル又はトリエステルを特に挙げることができる。好ましくは、スクロースエステルは、アルコキシル化(特にエトキシル化又はプロポキシル化)基を含まない。適切なスクロースエステルの中で、例えば、スクロースココエート、スクロースラウレート、スクロースミリステート、スクロースパルミテート、スクロースステアレート、スクロースジステアレート、スクロースオレエート、スクロースベヘネート又はスクローストリステアレートを単独又は混合物として挙げることができる。好ましくは、スクロースエステルは、スクロースラウレート、スクロースパルミテート、又はそれらの混合物から選択される。
【0081】
ソルビタンエステルに関しては、少なくとも1つの飽和又は不飽和のC12~C24基を含むソルビタンモノエステル又はポリエステル、好ましくはモノエステル、ジエステル又はトリエステルを挙げることができる。好ましくは、ソルビタンエステルは、アルコキシル化(特にエトキシル化又はプロポキシル化)基を含まない。適切なソルビタンエステルの中で、例えば、ソルビタンステアレート、ソルビタンイソステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンオレエート、ソルビタンセスキオレレート、ソルビタントリオレレート又はソルビタンパルミテート、及び又それらの混合物、好ましくは、ソルビタンステアレート、ソルビタンイソステアレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンオレエート、ソルビタントリオレレート又はソルビタンパルミテート、及び又それらの混合物を挙げることができる。
【0082】
好ましくは、組成物は、非イオン性炭化水素系界面活性剤として、スクロースココエート、スクロースラウレート、スクロースミリステート、スクロースパルミテート、スクロースステアレート、スクロースオレエート又はスクロースベヘネートを単独又は混合物として含む。好ましくは、スクロースエステルは、スクロースラウレート、スクロースパルミテート、又はそれらの混合物から選択される。
【0083】
より具体的には、第1の非イオン性炭化水素系界面活性剤の含有量は、組成物の総質量に対して、1質量%~7質量%、より具体的には2質量%~6質量%、有利には2質量%~4質量%で変動する。
【0084】
更なる非イオン性界面活性剤
本発明による組成物は、任意に、少なくとも1つの更なる非イオン性炭化水素系又はシリコーン、好ましくは炭化水素系の界面活性剤を含むことができる。
【0085】
更なる非イオン性界面活性剤は、特に、(ポリ)オキシアルキレン化アルキルエステル及びポリアルキルエステル、(ポリ)オキシアルキレン化アルコール、(ポリ)オキシアルキレン化エーテル、(ポリ)オキシアルキレン化ソルビタンアルキルエステル及びポリアルキルエステル、(ポリ)オキシアルキレン化又は非(ポリ)オキシアルキレン化ソルビタンエーテル、アルキル及びポリアルキルグリコシド又はポリグリコシド(特にグルコシド)、(ポリ)オキシアルキレン化又は非(ポリ)オキシアルキレン化(ポリ)グリセロールアルキル及びポリアルキルエステル、(ポリ)オキシアルキレン化又は非(ポリ)オキシアルキレン化(ポリ)グリセロールアルキル及びポリアルキルエーテル、及びそれらの混合物から選択することができる。これらの化合物は、より具体的には、少なくとも1つのC~C30アルキルラジカルを含み、オキシアルキレン単位は、C~C、好ましくはエチレンオキシド単位である。オキシアルキレン単位、より具体的にはオキシエチレン単位の数、及び又(ポリ)グリセロール単位の数も、HLBの所望の値の関数として変動する。
【0086】
それらが存在する場合、更なる非イオン性界面活性剤の含有量は、第1の界面活性剤の含有量よりも少ないことが有利である。それらの含有量は、油中水型エマルジョンを維持するために非常に明確に決定される。
【0087】
より具体的には、組成物がそれ/それらを含む場合、更なる非イオン性界面活性剤の含有量は、組成物の総質量に対して0.01質量%~1質量%、好ましくは0.1質量%~1質量%に相当する。
【0088】
より具体的には、更なる非イオン性界面活性剤の含有量は、第1の非イオン性炭化水素系界面活性剤の質量に対して1質量%~50質量%、より有利には1質量%~25質量%に相当する。
【0089】
好ましくは、組成物は、更なる非イオン性界面活性剤を含まない。
【0090】
更なるアニオン性界面活性剤
本発明による組成物は、任意に、少なくとも1つの更なるアニオン性界面活性剤、より具体的には炭化水素系界面活性剤を含むことができる。
【0091】
アニオン性界面活性剤は、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、カルボキシレート、アミノ酸誘導体、スルホネート、イセチオネート、タウレート、スルホスクシネート、アルキルスルホアセテート、ホスファート及びアルキルホスフェート、ポリペプチド又はC10~C30脂肪酸の金属塩から選択することができる。
【0092】
より具体的には、これらの化合物は、特にナトリウム又はカリウムなどのアルカリ金属の塩、或いは1級又は2級、特にC~Cアミン又はアルカノールアミンの形態である。
【0093】
これらの化合物は一般的に、それらの最長の炭化水素系鎖に10~30個の炭素原子、特に10~20個の炭素原子を含み、飽和又は不飽和、直鎖状、分岐状又は環状である。これらは更に、20までのオキシアルキレン単位、好ましくは15までの単位(特にオキシエチレン単位)を含むことができる。
【0094】
組成物がそれ/それらを含む場合、更なるアニオン性界面活性剤の含有量は、組成物が油中水型エマルジョンの形態にあるものである。
【0095】
より具体的には、組成物がそれ/それらを含む場合、更なるアニオン性界面活性剤の含有量は、組成物の質量に対して1質量%以下、より具体的には0.4質量%以下、更により具体的には0.3質量%以下である。例えば、更なるアニオン性界面活性剤の含有量は、組成物の総質量に対して0.01質量%~1質量%であり得る。
【0096】
より具体的には、アニオン性界面活性剤の含有量は、第1の非イオン性炭化水素系界面活性剤の質量に対して1質量%~50質量%、より有利には1質量%~25質量%に相当する。
【0097】
好ましくは、組成物は、更なるアニオン性界面活性剤を含まない。
【0098】
着色剤
本発明の特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、合成、天然、又は天然起源の少なくとも1つの着色剤を含む。
【0099】
着色剤は、コーティングされた顔料又はコーティングされていない顔料、水溶性染料及び脂溶性染料から選択することができる。
【0100】
顔料
「顔料」という用語は、それらが存在する媒体に不溶性であり、得られる組成物及び/又は堆積物を着色する及び/又は不透明にすることを意図した、白色又は着色された無機又は有機粒子を意味すると理解される。
【0101】
無機顔料及び真珠光沢剤
特定の実施形態によれば、本発明に従って使用される顔料は、無機顔料から選択される。
【0102】
「無機顔料」という用語は、Ullmann’s Encyclopaediaの「Pigments,Inorganic」の章の定義を満たす任意の顔料を意味すると理解される。本発明で使用する無機顔料の中で、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、又は更には酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色又は赤色)又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水和クロム及びフェリックブルー、二酸化チタン、又はアルミニウム粉末及び銅粉末などの金属粉末を挙げることができる。 以下の無機顔料も使用することができる:Ta、Ti、Ti、TiO、TiOとの混合物としてのZrO、ZrO、Nb、CeO、及びZnS。
【0103】
顔料のサイズは、一般的に100nmより大きく、10μmまで、好ましくは200nm~5μm、より優先的には300nm~1μmの範囲であり得る。
【0104】
本発明の特定の形態によれば、顔料の径は、D[50]が100nmを超えることを特徴とし、場合により10μmまで、好ましくは200nm~5μm、より優先的には300nm~1μmの範囲である。
【0105】
サイズは、MalvernのMasterSizer 3000(登録商標)型の市販の粒径分析装置を使用した静的光散乱によって測定され、これにより、0.01μm~1000μmまでに渡り得る広い範囲に渡る全ての粒子の粒径分布を決定することができる。データは、Mie散乱理論に基づいて処理される。この理論は、サブミクロン(submicronic)からマルチミクロン(multimicronic)の範囲のサイズ分布に最も適しており、これにより、「有効な」粒子直径を決定することができる。この理論は、特に、Van de Hulst,H.C.,Light Scattering by Small Particles,Chapters 9 and 10,Wiley,New York,1957による刊行物に記載されている。
【0106】
D[50]は、粒子の50体積%を示す最大サイズを表す。
【0107】
本発明の文脈において、無機顔料は、より具体的には酸化鉄及び/又は二酸化チタンである。例として、アルミニウムステアロイルグルタメートでコーティングされた二酸化チタン及び酸化鉄をより具体的に挙げることができ、例えば、Miyoshi Kaseiにより参照名NAI(登録商標)で販売されている。
【0108】
本発明に使用することができる無機顔料として、真珠光沢剤も挙げることができる。
【0109】
「真珠光沢剤」という用語は、特に特定の軟体動物によってその殻内で生成され又は合成され、光干渉によって色彩効果を示す、虹色光彩である又はそうでない、任意の形状の着色された粒子を意味すると理解されるべきである。
【0110】
真珠光沢剤は、真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄で被覆された酸化チタンコーティング雲母、オキシ塩化ビスマスで被覆された酸化チタンコーティング雲母、酸化クロムで被覆された酸化チタンコーティング雲母、又は有機染料で被覆された酸化チタンコーティング雲母、及び更にオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠光沢顔料から選択され得る。これらは、雲母粒子の表面に金属酸化物及び/又は有機着色剤の少なくとも2つの連続した層を重ねた雲母粒子であり得る。
【0111】
真珠光沢剤の例として、酸化チタンで、酸化鉄で、天然顔料で又はオキシ塩化ビスマスで被覆された天然雲母も挙げることができる。
【0112】
真珠光沢剤は、より具体的には、黄色、桃色、赤色、青銅色、橙色、茶色、金色及び/又は銅色を呈する又はこれらの色の輝き(glint)を呈することができる。
【0113】
本発明に従って使用することができる顔料の中で、例えば単色顔料などの、単純な従来の着色効果とは異なる光学効果、即ち、従来の着色剤によって生成されるような統一され安定した効果を有する顔料を挙げることもできる。本発明の意味の範囲内で、「安定化された」という用語は、観察角度による、又は更に温度変化に応じた色の変動の影響がないことを意味する。
【0114】
例えば、この材料は、金属の輝きを有する粒子、ゴニオクロマチック(goniochromatic)着色剤、回折顔料、熱変色性剤(thermochromic agent)、光学的光沢剤、及び更に繊維、特に、干渉繊維から選択され得る。当然のことながら、これらの様々な材料を、2種類の効果を同時に示すように、実際には発明に従って新規な効果さえ示すように組み合わせることができる。
【0115】
本発明の別の特定の実施形態によれば、組成物は、少なくとも1つの親油性又は疎水性化合物でコーティングされた少なくとも1つの顔料を含む。
【0116】
このタイプの顔料は、特に有利である。疎水性化合物で処理されている限り、油性相に対して優れた親和性を示し、油性相を移送することができる。
【0117】
コーティングは、少なくとも1つの更なる非親油性化合物を含むこともできる。
【0118】
本発明の意味の範囲内で、本発明による顔料の「コーティング」は、一般的に、前述の顔料に吸収される、吸着される、又はグラフトされる表面処理剤による顔料の全体的又は部分的な表面処理を意味する。
【0119】
表面処理された顔料は、当業者に周知の化学的、電気的、機械化学的又は機械的性質の表面処理技術に従って調製することができる。市販品を使用することもできる。
【0120】
表面処理剤は、溶媒の蒸発、化学反応、及び共有結合の生成によって、顔料に吸収、吸着、又はグラフトされることができる。
【0121】
一代替形態によれば、表面処理は、顔料のコーティングからなる。
【0122】
コーティングは、コーティングされた顔料の総質量の0.1質量%~20質量%、特に0.5質量%~5質量%に相当することができる。
【0123】
メイクアップ又はケア組成物の他の成分に粒子を組み込む前に、コーティングは、例えば、任意に加熱しながら、粒子と前述の表面処理剤を撹拌しながら単純に混合することにより、固体粒子の表面に液体表面処理剤を吸着させることによって生成されることができる。
【0124】
コーティングは、例えば、表面処理剤と固体顔料粒子の表面との化学反応、及び表面処理剤と粒子との間の共有結合の生成によって生成されることができる。この方法は、特に米国特許第4578266号明細書に記載されている。
【0125】
化学的表面処理は、表面処理剤を揮発性溶媒において希釈し、この混合物中に顔料を分散させ、次いで揮発性溶媒をゆっくり蒸発させて、表面処理剤が顔料の表面に堆積することからなることができる。
【0126】
顔料が親油性又は疎水性コーティングを含む場合、後者は、好ましくは、本発明による組成物の脂肪質相中に存在する。
【0127】
本発明の特定の実施形態によれば、顔料は、本発明に従って、シリコーン表面処理剤、フッ素化表面処理剤、フルオロシリコーン表面処理剤、金属石鹸、N-アシルアミノ酸又はその塩、レシチン及びその誘導体、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、イソステアリルセバケート、天然の植物性又は動物性ワックス、極性合成ワックス、脂肪酸エステル、リン脂質、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物によってコーティングされることができる。
【0128】
本発明の特定の実施形態によれば、顔料は、親水性化合物によってコーティングされることができる。
【0129】
水性相中での顔料の分散を最適化するために顔料の表面処理を可能にする前述の親水性化合物は、より具体的には、生物学的ポリマー、炭水化物、多糖、ポリアクリレート又はポリエチレングリコール誘導体から選択される。
【0130】
生物学的ポリマーの例としては、炭水化物タイプのモノマーに基づくポリマーを挙げることができる。
【0131】
より具体的には、バイオサッカライドガム、キトサン及びその誘導体、例えば、ブトキシキトサン、カルボキシメチルキトサン、カルボキシブチルキトサン、キトサングルコネート、キトサンアジペート、キトサングリコレート、キトサンラクテートなど、キチン及びその誘導体、例えばカルボキシメチルキチン又はキチングリコレート、セルロースアセテートなどの、セルロース及びその誘導体、微結晶性セルロース、ナトリウムヒアルロネート、可溶性プロテオグリカン、ガラクトアラビナン、グリコサミノグリカン、グリコーゲン、スクレロチウムガム、デキストラン、リン酸架橋デンプン(distarch phosphate)などの、デンプン及びその誘導体、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0132】
有機顔料
特定の実施形態によれば、着色剤は、合成、天然、又は天然由来の有機顔料である。
【0133】
「有機顔料」という用語は、Ullmann’s Encyclopaediaの「Pigments,Organic」の章の定義を満たす任意の顔料を意味すると理解される。有機顔料は、特に、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体型、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン又はキノフタロン化合物から選択することができる。
【0134】
有機顔料は、例えば、カーマイン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、Colour IndexにおいてCI 42090、69800、69825、73000、74100及び74160の記号で分類されている青色顔料、Colour IndexにおいてCI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000及び47005の記号で分類されている黄色顔料、Colour IndexにおいてCI 61565、61570及び74260の記号で分類されている緑色顔料、Colour IndexにおいてCI 11725、15510、45370及び71105の記号で分類されている橙色顔料、Colour IndexにおいてCI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915及び75470の記号で分類されている赤色顔料、並びに特許仏国特許第2679771号明細書に記載されているインドール又はフェノール系誘導体の酸化重合により得られる顔料から選択することができる。
【0135】
顔料は又、特許欧州特許出願公開第1184426号明細書に記載されている複合顔料の形態であり得る。これらの複合顔料は、特に、有機顔料で少なくとも部分的に被覆された無機コアと、有機顔料を無機コアに固定するための少なくとも1つのバインダーとを含む粒子から構成され得る。
【0136】
顔料は、レーキでもあり得る。「レーキ」という用語は、不溶性粒子に吸着された不溶化された染料を意味し、こうして得られた集合体は、使用中に不溶性のままであると理解される。
【0137】
染料が吸着される無機基材は、例えば、アルミナ、シリカ、カルシウムナトリウムボロシリケート又はカルシウムアルミニウムボロシリケート、及びアルミニウムである。
【0138】
有機染料の中では、コチニールカルミンを挙げることができる。以下の名称で知られている製品を挙げることができる:D&C Red21(CI 45380)、D&C Orange5(CI 45370)、D&C Red 27(CI 45410)、D&C Orange 10(CI 45425)、D&C Red 3(CI 45430)、D&C Red 4(CI 15510)、D&C Red 33(CI 17200)、D&C Yellow 5(CI 19140)、D&C Yellow 6(CI 15985)、D&C Green(CI 61570)、D&C Yellow 10(CI 77002)、D&C Green 3(CI 42053)、又はD&C Blue 1(CI 42090)。
【0139】
レーキの例としては、D&C Red 7(CI 15850:1)という名称で知られている製品を挙げることができる。
【0140】
有機顔料をコーティングすることもできることに留意されたい。この場合、無機顔料で与えられた対応する説明を参照することができる。
【0141】
水溶性染料
本発明の特定の実施形態によれば、着色剤は、水溶性染料である。
【0142】
本発明の意味の範囲内で、「水溶性染料」という用語は、水性相又は水混和性溶媒に可溶であり着色可能な任意の天然又は合成化合物、一般的には有機化合物を意味すると理解される。
【0143】
本発明に適した水溶性染料としては、特に、例えば、FDC Red 4、DC Red 6、DC Red 22、DC Red 28、DC Red 30、DC Red 33、DC Orange 4、DC Yellow 5、DC Yellow 6、DC Yellow 8、FDC Green 3、DC Green 5、又はFDC Blue 1などの合成又は天然の水溶性染料を挙げることができる。
【0144】
天然の水溶性染料の中では、オルトジフェノール類に属するアントシアニンを挙げることができる。これらの化合物は、より具体的には、ブドウ、ブラックベリー及びプラムなどの果物、又は赤キャベツ、赤大根、又は紫芋などの野菜に由来する。従って、これらは、本質的に、花、果物、葉、種子及び根の藤色、赤、青及び紫の色の原因となっている。
【0145】
又、ベタニン(ビートルート)、銅クロロフィリン、メチレンブルー、カラメル、リボフラビン、天然植物又は発酵植物から抽出されたフラボノイド及びタンニン、ジュグロン、ローソン、発酵大豆の、藻類の、菌類の又は微生物の抽出物、特許欧州特許第1172091号明細書に記載されているような、3位が置換されていないフラビリウム塩、或いはジェスネリア・フルゲンス(Gesneria fulgens)、ブレクナム・プロセラム(Blechnum procerum)又はサキシフラガ(Saxifraga)抽出物を挙げることができる。
【0146】
脂溶性染料
本発明の特定の実施形態によれば、着色剤は、脂溶性染料である。
【0147】
本発明の意味の範囲内で、「脂溶性染料」という用語は、油性相又は油性相と混和性の溶媒に可溶であり、着色することができる任意の天然又は合成化合物、一般的には有機化合物を意味すると理解される。
【0148】
本発明に適した脂溶性染料としては、特に、例えば、DC Red 17、DC Red 21、DC Red 27、DC Green 6、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5、Sudan Red又はSudan Brownなどの脂溶性染料を挙げることができる。
【0149】
特に、天然の脂溶性染料の例として、カロチン、例えば、β-カロテン、α-カロテン又はリコペン、キノリンイエロー、アスタキサンチン、アンテラキサンチン、シトラナキサンチン、クリプトキサンチン、カンタキサンチン、ジアトキサンチン、フラボキサンチン、フコキサンチン、ルテイン、ロドキサンチン、ルビキサンチン、サイフォナキサンチン、ビオラキサンチン、又はゼアキサンチンなどのキサントフィル、アナトー、クルクミン、キニザリン(セレスグリーンBB、D&CグリーンNo.6、CI 61565、1,4-ビス(p-トルイジノ)アントラキノン、グリーンNo.202、キニザリングリーンSS)及びクロロフィルを挙げることができる。
【0150】
組成物がそれ/それらを含む場合、着色剤の含有量は、組成物の質量に対して、有利には0.05質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%である。
【0151】
固体脂肪化合物
ワックス
本発明による組成物は、任意に、少なくとも1つの極性又は非極性炭化水素系ワックス、又は任意に、1つのシリコーンワックスを含むことができる。
【0152】
本発明の文脈において考えられるワックスは、一般的に、周囲温度(25℃)で固体であり、可逆的な固体/液体の状態変化を伴う、特に30℃以上、より具体的には45℃を超える融点を有する親油性化合物である。有利には、融点は、90℃以下、より具体的には80℃以下、好ましくは70℃以下である。
【0153】
固体脂肪物質の融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、TA Universal Analysisソフトウェアを備えたTA InstrumentsによりDSC Q100の名称で販売されている熱量計を使用して測定することができる。
【0154】
測定プロトコルは、以下のとおりである:
約5mgの固体脂肪物質の試料を、「密閉アルミニウムカプセル」るつぼに入れる。
試料は、80℃まで2℃/分の加熱速度で20℃から120℃に渡る第1の温度上昇を受け、次いで、20分間100℃の等温で放置され、次いで、2℃/分の冷却速度で120℃から0℃まで冷却され、最後に2℃/分の加熱速度で0℃から20℃に渡る第2の温度上昇を受ける。
固体脂肪物質の融点値は、融解曲線で観察される最も吸熱性のピークの頂点の値であり、温度の関数として吸収される電力の差の変動を表す。
【0155】
極性炭化水素系ワックス
より具体的には、極性ワックスは、炭化水素系エステルワックス、炭化水素系アルコールワックス、シリコーンワックス、及び又それらの混合物から選択される。
【0156】
「炭化水素系ワックス」という用語は、本質的に炭素原子及び水素原子、及び任意に、酸素原子又は窒素原子から形成され、実際には更にそれらから構成され、ケイ素原子又はフッ素原子を含まないワックスを意味すると理解される。これは、アルコール基、エステル基、エーテル基、カルボン酸基、アミン基及び/又はアミド基を含み得る。
【0157】
「エステルワックス」という用語は、本発明によれば、少なくとも1つのエステル官能基を含むワックスを意味すると理解される。エステルワックスは、更にヒドロキシル化されることができる。
【0158】
本発明によれば、「アルコールワックス」という用語は、少なくとも1つのアルコール官能基を含む、即ち少なくとも1つの遊離ヒドロキシル(OH)基を含むワックスを意味すると理解される。更なるアルコールワックスは、特に、エステル官能基を含まない。
【0159】
「シリコーンワックス」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子を含むワックス、特にSi-O基を含むワックスを意味すると理解される。
【0160】
エステルワックス
特に、エステルワックスとして、以下から選択されるワックスを使用することができる:
i)式RCOORのワックスであり、式中、R及びRは、炭素原子の数が10個から50個まで変動する、直鎖状、分岐状又は環状の脂肪鎖を表し、これは、ヘテロ原子、特に酸素を含むことができ、その融点は、30℃から120℃、好ましくは30℃から100℃まで変動する。特に、エステルワックスとして、C20~C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(アルキル基は20~40個の炭素原子を含む)を、単独又は混合物として、又はC20~C40アルキルステアレートを使用することができる。こうしたワックスは、特に、Koster KeunenからKester Wax K 82 P(登録商標)、Hydroxypolyester K 82 P(登録商標)、Kester Wax K 80 P(登録商標)又はKester Wax K82Hの名称で販売されている。C14~C18カルボン酸のエステルとアルコールとの混合物、例えば、Koster Keunenの製品Cetyl Ester Wax 814、CrodaのSP Crodamol MS MBAL又はCrodamol MS PA、或いはLasersonのMiracetiを使用することもできる。
グリコール及びブチレングリコールモンタネート(オクタコサノエート)、例えば、Clariantから販売されているワックスのLicowax KPS Flakes(INCI名:グリコールモンタネート)も使用することができる。
ii)HetereneからHest 2T-4S(登録商標)の名称で販売されているジ(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレート。
iii)一般式R-(-OCO-R-COO-R)のジカルボン酸のジエステルワックスであり式中、R及びRは、同一であり又は異なり、好ましくは同一であり、C~C30アルキル基(アルキル基は4~30個の炭素原子を含む)を表し、Rは、1つ以上の不飽和を含んでいても又は含まなくてもよい、直鎖状又は分岐状のC~C30脂肪族基(aliphatic group)(アルキル基は4~30個の炭素原子を含む)を表す。好ましくは、C~C30脂肪族基は、直鎖状及び不飽和である。
iv)特に直鎖状又は分岐状のC~C32脂肪鎖を有する、動物油又は植物油、好ましくは植物油の接触水素化によって得られるワックス、例えば、硬化ホホバ油、硬化ヒマワリ油、硬化ヒマシ油又は硬化ココナッツ油、及び又セチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水素化によって得られるワックス、例えば、SophimによりPhytowax Ricin 16L64(登録商標)及び22L73(登録商標)の名称で販売されているワックスなど。こうしたワックスは、仏国特許出願公開第2792190A号明細書に記載されている。ステアリルアルコールでエステル化されたオリーブ油の水素化によって得られるワックスとしては、Phytowax Olive 18 L 57の名称で販売されているものを挙げることができる。
v)特に精製された、動物又は植物由来のワックス、例えば、蜜蝋、合成蜜蝋、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ラノリンワックス、米ぬかワックス、オウリキュリーワックス、エスパルトグラスワックス、ベリーワックス、シェラックワックス、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、木蝋、スマッハワックス、モンタンワックス、オレンジワックス及びレモンワックス、ローレルワックス又はヒマワリワックス。
vi)又、動物又は植物由来の、天然又は合成の、ポリオキシアルキレン化又はポリグリセロール化された炭化水素系ワックスを挙げることができ、オキシアルキレン(C~C)単位の数は、2~100で変動し得、グリセロール単位の数は、1~20で変動し得る。例として、PEG-6蜜蝋又はPEG-8蜜蝋などのポリオキシエチレン化蜜蝋、PEG-12カルナバなどのポリオキシエチレン化カルナバワックス、PEG-30ラノリン又はPEG-75ラノリンなどのポリオキシエチレン化又はポリオキシプロピレン化及び水素化又は非水素化ラノリンワックス、PPG-5ラノリンワックスグリセリド、ポリグリセロール化蜜蝋、特に、ポリグリセリル-3蜜蝋、アカシア・デクレンス(Acacia Decurrens)/ホホバ/ヒマワリ種子ワックス/ポリグリセリル-3エステル混合物、ポリグリセロール化植物ワックス、例えば、ミモザ、ホホバ又はヒマワリワックスなど、並びにそれらの混合物(アカシア・デクレンス(Acacia Decurrens)/ホホバ/ヒマワリ種子ワックス、ポリグリセリル-3エステル)を挙げることができる。
vii)飽和の、任意にヒドロキシル化されたC16~C30カルボン酸とグリセロールとの部分エステル又は総エステル、好ましくは総エステルに相当するワックス。「総エステル」という用語は、グリセロールの全てのヒドロキシル官能基がエステル化されていることを意味すると理解される。例として、トリヒドロキシステアリン(又はグリセリルトリヒドロキシステアレート)、トリステアリン(又はグリセリルトリステアレート)又はトリベヘニン(又はグリセリルトリベヘネート)を単独又は混合物として挙げることができる。適切な化合物の中で、グリセロールと12-ヒドロキシステアリン酸のトリエステル、又は例えばElementis Specialtiesから販売されているThixcin R又はThixcin Eなどの硬化ヒマシ油を挙げることができる。
viii)並びに又それらの混合物。
【0161】
アルコールワックス
アルコールワックスとしては、好ましくは直鎖状であり、好ましくは飽和であり、16~60個の炭素原子を含み、その融点が25℃~90℃であるアルコールを挙げることができる。アルコールワックスの例としては、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、アラキジルアルコール又はそれらの混合物を挙げることができる。
【0162】
非極性炭化水素系ワックス
組成物は、任意に、非極性炭化水素系ワックスから選択される少なくとも1つの更なるワックスを含むことができる。
【0163】
本発明の意味の範囲内で、「非極性炭化水素系ワックス」という用語は、その構造中に炭素原子又は水素原子のみを含むワックスを意味すると理解される。言い換えれば、このようなワックスには、他の原子、特に、例えば、窒素、酸素又はケイ素などのヘテロ原子は含まれない。
【0164】
特に、本発明に適した非極性ワックスの例としては、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、ポリメチレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャー-トロプシュ合成により得られるワックス、又はマイクロワックス、特にポリエチレンなどの炭化水素系ワックスを挙げることができる
【0165】
シリコーンワックス
シリコーンワックスとして、例えば、C30~45アルキルジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサン(INCI名)型の化合物を含む混合物、例えば、Dow Corningから販売されている製品であるDow Corning SW-8005 C30 Resin Waxを挙げることができる。C30~45アルキルメチコーン(INCI名)型の化合物を含む混合物、例えば、製品Dow Corning(登録商標)AMS-C30 Cosmetic Waxなども挙げることができる。シリコーン化された蜜蝋も挙げることができる。
【0166】
好ましくは、組成物は、シリコーンワックスを含まない。好ましくは、組成物は、非極性炭化水素系ワックスを含まない。
【0167】
好ましくは、組成物がワックスを含む場合、ワックスは、極性炭化水素系ワックス、特に植物由来のワックス、植物油の接触水素化により得られるワックス、飽和の、任意にヒドロキシル化されたC16~C30カルボン酸のグリセロールとの全エステルに相当するワックス、及び又それらの混合物から選択される。
【0168】
本発明による組成物は、組成物の質量に対して、好ましくは極性であり、好ましくは炭化水素系であるワックスを0.1質量%~10質量%、より具体的には0.1質量%~3質量%の含有量で含むことができる。
【0169】
ペースト状化合物
又、本発明による組成物は、周囲温度でペースト状である少なくとも1つの脂肪化合物を含むこともできる。
【0170】
本発明の意味の範囲内で、「ペースト状脂肪物質」という用語は、20~55℃、好ましくは25~45℃の範囲の融点、及び/又は60Hzで回転するスピンドルを備えた、Contraves TV又はRheomat 80装置を使用して測定される、0.1~40Pa.s(1~400ポアズ)、好ましくは0.5~25Pa.sの範囲の40℃での粘度を有する脂肪物質を意味すると理解される。
【0171】
当業者は、試験されるペースト状化合物の測定を実行できるように、一般知識に基づいて、粘度を測定するためのスピンドルを、MS-r3及びMS-r4スピンドルから選択することができる。
【0172】
好ましくは、これらの脂肪物質は、炭化水素系化合物であり、任意にポリマータイプのものであり、シリコーン化合物から選択することもでき、これらは、炭化水素系化合物及び/又はシリコーン化合物の混合物の形態で提供されることもできる。
【0173】
異なるペースト状脂肪物質の混合物の場合、ペースト状炭化水素系化合物(主に炭素原子及び水素原子、及び任意に酸素原子を、より具体的にはエステル基の形態で含む)を、主たる割合にて使用することが好ましい。
【0174】
本発明による組成物に使用できるペースト状化合物の中で、18~21Pa.s、好ましくは19~20.5Pa.sの粘度を有し、及び/又は30~55℃の融点を有する、アセチル化ラノリン、オキシプロピレン化ラノリン又はイソプロピルラノレートなどのラノリン及びラノリン誘導体、及びそれらの混合物を挙げることができる。脂肪酸又は脂肪アルコールのエステル、特に20~65個の炭素原子を有するエステル(融点が20~35℃程度、及び/又は40℃での粘度が0.1~40Pa.sの範囲)、例えば、トリイソステアリル又はセチルシトレート、アラキジルプロピオネート、ポリビニルラウレート、コレステロールエステル、植物由来のトリグリセリド、例えば、部分的又は完全に水素化された植物油、植物由来のバター、ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)などの粘性ポリエステル、及びそれらの混合物を使用することもできる。
【0175】
オリゴマーグリセロールのエステル、特にジグリセロールのエステル、具体的には、グリセロールのヒドロキシル基の一部が、カプリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及び12-ヒドロキシステアリン酸などの、特にSasolからSoftisan 649の商標名で販売されているものなどの、脂肪酸の混合物と反応した、アジピン酸とグリセロールの縮合物、或いは又、必要に応じて、それらの遊離アルコール又は酸官能基が酸又はアルコール基でエステル化されたダイマージオール及びダイマー二酸のエステル、特にダイマージリノレエートエステル、例えば、Plandoolの商標名で販売されている製品(ビス-ベヘニル/イソステアリル/フィトステリルダイマージリノレイルダイマージリノレエート(Plandool G)又はフィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニルダイマージリノレエート(Plandool H又はPlandool S))なども又、ペースト状化合物として適し得る。
【0176】
ステアリルジメチコーン、特に、Dow Corningから商標名DC2503及びDC25514で販売されているもの、並びにそれらの混合物などの、8~24個の炭素原子を有し、20~55℃の融点を有するアルキル又はアルコキシタイプのペンダント鎖を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)などのペースト状シリコーン脂肪物質も挙げることができる。
【0177】
本発明による組成物は、好ましくは極性であり、好ましくは炭化水素系であるペースト状化合物を、組成物の質量に対して、0.1質量%~5質量%、より具体的には0.1質量%~2質量%の含有量で含むことができる。
【0178】
慣例的な更なる化粧用成分
又、本発明による組成物は、特に、フィラー、親油性増粘剤、例えば、疎水的に改質されている又はされていないシリカ、疎水的に改質されている又はされていない粘土、デキストリンエステル、酸化防止剤、エチルセルロース以外の親油性又は親水性の皮膜形成ポリマー、香料、防腐剤、中和剤、緩衝剤、日焼け止め、甘味料、ビタミン、フリーラジカルスカベンジャー、封鎖剤、及びそれらの混合物から選択できる任意の慣用の化粧用成分を含むこともできる。
【0179】
言うまでもなく、当業者は、本発明による組成物の有利な特性が悪影響を受けないように、又は実質的に悪影響を受けないように、任意の追加成分及び/又はこれらの量を選択するよう注意するであろう。
【0180】
透明な組成物
本発明の別の主題は、以下を含む逆エマルジョンの形態で提供される透明又は半透明の組成物である:
-組成物の質量に対して、少なくとも9質量%、好ましくは少なくとも10質量%のエチルセルロース、
-組成物の総質量に対して、25質量%~55質量%の、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状のC10~C26脂肪アルコール、好ましくはオクチルドデカノールから選択される、25℃及び大気圧で液体である少なくとも1つの第1の不揮発性油、
-ジカプリリルエーテル、ジカプリリルカーボネート、イソセチルイソステアレート、ペンタエリスリチルテトラステアレート、又はヒマシ油のエチルエステルから選択される、25℃及び大気圧で液体である少なくとも1つの第2の炭化水素系油、
-組成物の総質量に対して1.5質量%~7質量%のスクロースラウレートとスクロースパルミテートの混合物、
-2~6つのヒドロキシル基を含む少なくとも1つの液体の、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状のC~Cポリオール、好ましくはグリセロール、
-50/50~90/10、より具体的には50/50~80/20、より具体的には50/50~70/30、実際には更に55/45~70/30で変動する質量比の第1の油/第2の油、
-組成物の総質量に対して10質量%~20質量%で変動する含有量の水及び液体ポリオール。
【0181】
「透明又は半透明の組成物」という用語は、FormulactionのTurbiscanLabで測定した光の透過率が、25℃で、30%超、好ましくは40%以上、更により具体的には60%以上である配合物を意味すると理解される。
【0182】
透明又は半透明の組成物は、より具体的にはゲルの形態で提供され、そのG*係数(粘弾性係数)は、40°~70°の位相角に対して10~1000Pa、40°~65°、より具体的には40°~60°の位相角に対して、より具体的には50~1000Pa、実際には更に80~1000Paである。粘弾性特性(G*及びδ)は、制御された応力レオメーター(TA InstrumentsのAR-G2)を用いて測定され、値は、上記で詳細に説明されたプロトコルに従って、25℃で粘弾性プラトーにおいて取得される。
【0183】
本発明のより具体的な実施形態によれば、透明又は半透明の組成物は、任意に、揮発性又は不揮発性の少なくとも1つのシリコーン油又は1つのフッ素化油、又はそれらの混合物を、組成物の質量に対して、2質量%以下、有利には1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、更により優先的には0.2質量%以下の含有量で含むことができる。好ましくは、それ/それらは含まれない。
【0184】
本発明のより具体的な代替形態によれば、透明又は半透明の組成物は、組成物の総質量に対して、少なくとも11質量%、及び17質量%までのエチルセルロースを含む。
【0185】
好ましくは、本発明による透明又は半透明の組成物は、顔料を含まない。好ましくは、それは、通常、組成物の媒体中に不溶性であり分散される形態で存在するフィラー、例えば、処理されている又はされていないシリカ、粘土、デンプン、或いはタルクなども含まない。組成物がそれらを含む場合、それらの含有量は、透過率が上記の範囲内に留まるようなものとなる。
【0186】
好ましくは、透明又は半透明の組成物は、上述したような更なるアニオン性界面活性剤を含まない。それ/それらを含む場合、それらの含有量は、組成物の質量に対して0.4質量%を超えず、より具体的には0.2質量%を超えず、好ましくは0.1質量%を超えない。
【0187】
一実施形態によれば、透明又は半透明の組成物は、上述したような更なる非イオン性界面活性剤を含まない。それ/それらを含む場合、それらの含有量は、組成物の質量に対して3質量%を超えず、より具体的には1質量%を超えない。より具体的には、組成物がそれ/それらを含む場合、更なる非イオン性界面活性剤の含有量は、組成物の質量に対して、0.01質量%~1質量%、より具体的には0.01質量%~0.5質量%に相当する。
【0188】
本発明による組成物は、任意に、特に、飽和C~Cモノアルコール、特にエタノール又はイソプロパノールから選択される少なくとも1つの水溶性溶媒を含むことができる。
【0189】
好ましくは、水、ポリオール、必要に応じて、水溶性溶媒及び界面活性剤の含有量は、組成物の総質量に対して15質量%~25質量%、より具体的には17質量%~22質量%である。
【0190】
ポリオールの含有量は、水性相と界面活性剤との混合物の屈折率を親油性相の屈折率に近づけることができるものであることに留意されたい(差は0.05)。
【0191】
屈折率は、特にアビー型(Abbey type)の屈折計を用いて周囲温度で測定できることに留意されたい。
【0192】
本発明の特定の実施形態によれば、前述の透明又は半透明の組成物は、
-組成物の総質量に対して11質量%~14質量%のエチルセルロースと、
-組成物の総質量に対して、第1の油として30質量%~50質量%のオクチルドデカノールと、
-任意にジカプリリルカーボネート又はペンタエリスリチルテトラステアレートと組み合わせて、第2の油として少なくともジカプリリルエーテルと、
-50/50から70/30まで変動する質量比の第1の油/第2の油と、
-組成物の総質量に対して2質量%~7質量%、好ましくは2.5質量%~6質量%の、スクロースラウレートとスクロースパルミテートの混合物と、
-組成物の総質量に対して10質量%~20質量%の水及びグリセロールと、
任意に、飽和C~Cモノアルコールから選択される少なくとも1つの水溶性溶媒と、
組成物の総質量に対して、15質量%~25質量%、より具体的には17質量%~22質量%である含有量の、水、ポリオール、必要に応じて、水溶性溶媒及び界面活性剤と、
少なくとも1つの脂溶性又は水溶性染料と、
を含む。
【0193】
本発明の特に有利な実施形態によれば、透明又は半透明の組成物は、80/20~20/80、好ましくは40/60~60/40、更により優先的には50/50で変動するスクロースラウレート/スクロースパルミテート質量比を示す。
【0194】
組成物の調製
エマルジョンは、油中水型エマルジョンを調製するための当業者に慣用の手段を使用することによって得られる。
【0195】
このようにして、エマルジョンの一方では水性相、他方では油性相が調製され、このようにして得られた2つの相を、十分に撹拌しながら接触させて均一な組成物を得、好ましくは、水性相は油性相に導入される。
【0196】
通常、エチルセルロースを第1の油と接触させ、次いで、好ましくは均一な混合物が得られた後、ワックス又はペースト状化合物のタイプの任意の固体化合物を含む油性相の他の化合物を添加する。
【0197】
着色剤は、その性質に応じて、水性相又は親油性相に存在することも、又はエマルジョンが得られた後に添加することもでき、実際には更にこれら2つの可能性を組み合わせることができる。
【0198】
油性相の調製が行われる温度は、それが構成される成分の性質に応じて、通常、25~110℃、好ましくは70~90℃で変動する。
【0199】
水性相の調製は、一般的には、40~90℃の温度で行われる。
【0200】
同様に、2つの相の混合は、より具体的には、100℃未満の温度で、例えば90℃以下の温度で行われる。例えば、エマルジョンは、40℃~90℃の温度で生成される。
【0201】
エマルジョンが得られると、従来のように冷却される、又は好ましくは撹拌しながら、適切な容器に詰めるのに適切な温度まで冷却される。
【0202】
適用方法
本発明の別の主題は、唇をメイクアップ及び/又はケアするための方法であり、この方法は、上記の組成物を適用することからなる。
【0203】
本発明による組成物は、例えば、少なくとも部分的に集められたアプリケーターヘッドを含むアプリケーターによる、又は更に指によるかにかかわらず、任意の適切な手段によって引き出され適用され得る。
【0204】
特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、「含む(comprising a)」という表現は、別段の指定がない限り、「少なくとも1つを含む(comprising at least one)」と同義であると理解すべきである。
【0205】
「…~…の間」及び「…~…の範囲」という表現は、特に明記されていない限り、限界点が含まれることを意味するものと理解すべきである。
【0206】
加えて、組成物の成分の量の合計は、組成物の100質量%を表す。
【0207】
本発明は、以下に提示される実施例によって更に詳細に説明される。
【0208】
別段の指定がない限り、示される量は、質量パーセントで表されるものである。
【0209】
以下の実施例は、説明のために提示されるものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例
【0210】
実施例1
以下の組成物を調製する。
【0211】
【表1】
【0212】
調製プロセス
オクチルドデカノール、ジカプリリルエーテル及びエチルセルロースを、均一な混合物が得られるまで、85℃で撹拌しながらレイネリミキサー(Rayneri mixer)にて混合する。
【0213】
同時に、水、界面活性剤、染料及び防腐剤を、85℃で撹拌しながらレイネリミキサーにて混合することによって水性相を調製する。
【0214】
その後、レイネリミキサーにて85℃で撹拌しながら、水性相を最初の混合物に添加する。
【0215】
混合物を周囲温度まで冷却し、適切な容器に詰める。
【0216】
評価
透明で(TurbiscanLab、Formulactionによる光の透過率の測定)、着色された均一で安定した組成物が得られる。
【0217】
これは、粘着性があまりなく、メイクアップ領域から流れ出ず、わずかに移動するだけの均一な堆積物として容易に適用される。
【0218】
堆積物が、存在し、厚く、快適であり、保湿感に貢献している。
【0219】
以下の表に示すように、堆積物は、光沢があり、時間が経ってもその状態が維持される(説明に示されているプロトコルに従った評価)。
【0220】
【表2】
【0221】
実施例2
以下の組成物を調製する。
【0222】
【表3】
【0223】
調製プロセス
オクチルドデカノール、ジカプリリルエーテル及びエチルセルロースを、均一な混合物が得られるまで、85℃で撹拌しながらレイネリミキサーにて混合する。
【0224】
同時に、水、界面活性剤、染料、グリセロール及び防腐剤を、85℃で撹拌しながらレイネリミキサーにて混合することによって水性相を調製する。
【0225】
その後、レイネリミキサーにて85℃で撹拌しながら、水性相を最初の混合物に添加する。
【0226】
混合物を周囲温度まで冷却し、適切な容器に詰める。
【0227】
評価
透明で(TurbiscanLab、Formulactionによる光の透過率の測定)、着色された均一で安定した組成物が得られる。
【0228】
これは、粘着性があまりなく、メイクアップ領域から流れ出ず、わずかに移動するだけの均一な堆積物として容易に適用される。
【0229】
堆積物が、存在し、厚く、快適であり、保湿感に貢献している。以下の表に示されるように、堆積物は、光沢があり、時間が経ってもその状態が維持される(説明に示されているプロトコルに従った評価)。
【0230】
【表4】
【0231】
実施例3
以下の組成物を調製する。
【0232】
【表5】
【0233】
調製プロセス
【0234】
エチルセルロースを、油の一部(オクチルドデカノール、ジカプリリルエーテル、ペンタエリトリチルテトライソステアレート)において、均一な混合物が得られるまで、85℃で撹拌しながらレイネリミキサーにて混合する。
【0235】
顔料を、三本ロールミルを使用して油の残りの部分にて粉砕し、次いで前の混合物に加える。
【0236】
同時に、水、界面活性剤、グリセロール、プロパンジオール及び防腐剤を、85℃で撹拌しながらレイネリミキサーにて混合することによって水性相を調製する。
【0237】
その後、レイネリミキサーにて85℃で撹拌しながら、水性相を最初の混合物に添加する。
【0238】
合わせた生成物を、周囲温度まで冷却し、適切な容器に詰める。
【0239】
評価
均一で安定した組成物が得られる。
【0240】
これは、粘着性があまりなく、メイクアップ領域から流れ出ず、わずかに移動するだけの均一な堆積物として容易に適用される。
【0241】
堆積物が、存在し、厚く、快適であり、保湿感に貢献している。
【0242】
堆積物は、光沢があり、時間が経ってもその状態が維持される。
【0243】
実施例4
以下の組成物を調製する。
【0244】
【表6】
【0245】
調製プロセス
オクチルドデカノール、ジカプリリルエーテル及びエチルセルロースを、均一な混合物が得られるまで、85℃で撹拌しながらレイネリミキサーにて混合する。
【0246】
同時に、水、界面活性剤、染料、グリセロール及び防腐剤を、85℃で撹拌しながらレイネリミキサーにて混合することによって水性相を調製する。
【0247】
その後、レイネリミキサーにて85℃で撹拌しながら、水性相を最初の混合物に添加する。
【0248】
混合物を周囲温度まで冷却し、適切な容器に詰める。
【0249】
評価
半透明で(TurbiscanLab、Formulactionによる光の透過率の測定)、均一で安定した組成物が得られる。
【0250】
これは、粘着性があまりなく、メイクアップ領域から流れ出ず、わずかに移動するだけの均一な堆積物として容易に適用される。
【0251】
堆積物が、存在し、厚く、快適であり、保湿感に貢献している。
【0252】
堆積物は、光沢があり、時間が経ってもその状態が維持される。
【0253】
実施例5
以下の組成物を調製する。
【0254】
【表7】
【0255】
調製プロセス
オクチルドデカノール、オリーブオイル及びエチルセルロースを、均一な混合物が得られるまで、85℃で撹拌しながらレイネリミキサーにて混合する。
【0256】
同時に、水、界面活性剤、染料、グリセロール及び防腐剤を、85℃で撹拌しながらレイネリミキサーにて混合することによって水性相を調製する。
【0257】
その後、レイネリミキサーにて85℃で撹拌しながら、水性相を最初の混合物に添加する。
【0258】
混合物を周囲温度まで冷却し、適切な容器に詰める。
【0259】
評価
透明でなく、均一でなく安定でない組成物が得られる。
【0260】
これは、粘着性があまりなく、メイクアップ領域から流れ出ず、わずかに移動するだけの均一な堆積物として容易に適用される。
【0261】
堆積物が、存在し、厚く、快適であり、保湿感に貢献している。
【0262】
堆積物は、光沢があり、時間が経ってもその状態が維持される。
【0263】
比較例6
以下の組成物を調製する。
【0264】
【表8】
【0265】
調製プロセス
オクチルドデカノール、トリメチルシロキシフェニルジメチコーン及びエチルセルロースを、均一な混合物が得られるまで、85℃で撹拌しながらレイネリミキサーにて混合する。
【0266】
同時に、水、界面活性剤、染料、及び防腐剤を、85℃で撹拌しながらレイネリミキサーにて混合することによって水性相を調製する。
【0267】
その後、レイネリミキサーにて85℃で撹拌しながら、水性相を最初の混合物に添加する。
【0268】
混合物を周囲温度まで冷却し、適切な容器に詰める。
【0269】
評価
得られた混合物は、均一な油中水型組成物である。
【0270】
これは、本発明による組成物(例えば、実施例1による)よりも適用がはるかに容易ではない:これは、適用中に、より粘着性であり抵抗力がある(組成物は、「ブレーキである(braking)」であると言われている)。加えて、得られた堆積物は、粘着性であり、光っているが脂っぽい。
【国際調査報告】