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特表2024-501267エチルセルロース、エーテル又はカーボネート炭化水素系油を含む逆相エマルション及びそれを使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】エチルセルロース、エーテル又はカーボネート炭化水素系油を含む逆相エマルション及びそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20231228BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20231228BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20231228BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/34
A61K8/33
A61K8/37
A61Q1/04
A61Q1/02
A61K8/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538117
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2021086196
(87)【国際公開番号】W WO2022136109
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】2013858
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】リュドヴィック・ミノー
(72)【発明者】
【氏名】アンヌ-ソフィー・メティヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・カヴァッツティ
(72)【発明者】
【氏名】オディール・オーブラン
(72)【発明者】
【氏名】マリー-ジャンヌ・マンゾラ・マゼカ
(72)【発明者】
【氏名】リューボフ・ルカノワ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC081
4C083AC091
4C083AC092
4C083AC101
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC211
4C083AC331
4C083AC431
4C083AC441
4C083AC792
4C083AC842
4C083AC852
4C083AD091
4C083AD221
4C083AD222
4C083AD261
4C083AD262
4C083BB04
4C083BB13
4C083BB21
4C083CC11
4C083CC13
4C083DD01
4C083DD21
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
本発明は、
-エチルセルロースと;
-飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐状C10~C26脂肪アルコールから選択される25℃で液体である少なくとも1つの第1の不揮発性油と;
-式ROR’のエーテル、式RO(CO)OR’のカーボネート、(式中、R及びR’基は、同一であってもよいし又は異なっていてもよく、最大で16個の炭素原子を含む飽和又は不飽和、分岐状又は非分岐状の炭化水素系基、好ましくはC~C16基に相当する);及びまたそれらの混合物から選択される、25℃で液体である少なくとも1つの第2の不揮発性炭化水素系油と;
-少なくとも1つの第1の非イオン性炭化水素系界面活性剤と、
を含む、油中水型エマルションの形態の組成物に関する。本発明はまた、前記組成物が塗布される、ヒトケラチン物質、特に皮膚又は口唇、好ましくは口唇に対してメイクアップを行う及び/又はケアを行うための方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油中水型エマルションの形態の組成物であって、
-エチルセルロースと;
-飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐状C10~C26脂肪アルコールから選択される、25℃で液体である少なくとも1つの第1の不揮発性油と;
-式ROR’のエーテル、式RO(CO)OR’のカーボネート、(式中、R及びR’基は、同一であってもよいし又は異なっていてもよく、最大で16個の炭素原子、好ましくはC~C16基を含む、飽和又は不飽和、分岐状又は非分岐状の炭化水素系の基を表す);及びまたそれらの混合物から選択される、25℃で液体である少なくとも1つの第2の不揮発性炭化水素系油と;
-少なくとも1つの第1の非イオン性炭化水素系界面活性剤と、
を含む、組成物。
【請求項2】
前記エチルセルロースの含量が、前記組成物の総質量に対して、少なくとも6質量%、好ましくは7質量%~17質量%、好ましくは8質量%~15質量%、さらにより好ましくは8質量%~12質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
水含量が、前記組成物の総質量に対して、40質量%以下、より詳細には5質量%~40質量%、好ましくは5質量%~30質量%、さらにより詳細には5質量%~20質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1の油が、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ウンデシルペンタデカノール、2-ヘキシルデシルアルコール、イソセチルアルコール及びオクチルドデカノール及びそれらの混合物から選択され;好ましくは前記第1の油がオクチルドデカノールであることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物の総質量に対して、第1の油の含量が、20質量%~60質量%、より詳細には25質量%~40質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記第2の油が、ジカプリリルエーテル、ジプロピルカーボネート、ジエチルヘキシルカーボネート、ジカプリリルカーボネート、C14~15ジアルキルカーボネート及びそれらの混合物;好ましくはジカプリリルエーテル、ジカプリリルカーボネート及びそれらの混合物;さらにより詳細にはジカプリリルエーテルから選択されることを特徴とする、請求項1~5の何れか1項に記載の組成物。
【請求項7】
-ヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化植物油;ヒマシ油エチルエステル;
-任意選択的に、少なくとも1つが、直鎖状又は分岐状、飽和、不飽和又は芳香族であり、少なくとも10個の炭素原子を含む1~4個のエステル官能基を含むヒドロキシル化エステル油;
-一不飽和又は多不飽和酸二量体;16~22個の炭素原子を含む脂肪酸の反応由来の液体ポリエステル;
-それらの混合物
から選択される、25℃で液体である、エステル型不揮発性炭化水素系油を含み得ることを特徴とする、請求項1~6の何れか1項に記載の組成物。
【請求項8】
エステル型不揮発性炭化水素系油の含量が、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~5質量%を含み、前記第2の油/エステル型不揮発性炭化水素系油の質量比が好ましくは99/1~50/50、好ましくは99/1~70/30の範囲であることを特徴とする、請求項1~7の何れか1項に記載の組成物。
【請求項9】
適切なエステル型不揮発性炭化水素系油が、前記組成物の総質量に対して、1質量%~32質量%、より詳細には10質量%~30質量%、好ましくは15質量%~30質量%の範囲であり:好ましくは前記第1の油/第2の油の質量比が50/50~90/10、より詳細には55/45~70/30の範囲である、第2の油の含量を特徴とする、請求項1~8の何れか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記第1の非イオン性界面活性剤が、好ましくは非アルコキシ化であるスクロースエステル;好ましくは非アルコキシ化であるソルビタンエステル;好ましくは非アルコキシ化であるモノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性脂肪酸エステル;及びそれらの混合物から;及び好ましくは、特にスクロースココエート、スクロースラウレート、スクロースミリステート、スクロースパルミテート、スクロースステアレート、スクロースオレエート、スクロースベヘネート、ソルビタンステアレート、ソルビタンイソステアレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンオレエート、ソルビタンパルミテート及びまたそれらの混合物から選択されるスクロースエステル及びソルビタンエステルから、選択されることを特徴とする、請求項1~9の何れか1項に記載の組成物。
【請求項11】
第1の非イオン性炭化水素系界面活性剤の含量が、前記組成物の総質量に対して、1質量%~7質量%、より詳細には2質量%~6質量%、好ましくは2質量%~4質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~10の何れか1項に記載の組成物。
【請求項12】
好ましくは、前記組成物の総質量に対して0.1質量%~20質量%の範囲の含量で、少なくとも2個、より詳細には2~6個のヒドロキシル基を含む飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐状C~C化合物から選択される少なくとも1つの液体ポリオールを含み得ることを特徴とする、請求項1~11の何れか1項に記載の組成物。
【請求項13】
~Cモノアルコール、より詳細には飽和、C及びCケトン及びC~Cアルデヒドであるもの、及びまたそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの水溶性溶媒を含み得;水溶性溶媒の含量が、前記組成物の総質量に対して、より詳細には0.1質量%~10質量%、好ましくは1質量%~5質量%であることを特徴とする、請求項1~12の何れか1項に記載の組成物。
【請求項14】
水性相の量が、前記組成物の質量に対して、5質量%~40質量%、特に10質量%~30質量%及び好ましくは20質量%~30質量%に相当し;前記水性相が、水及び、適切な場合は、前記水溶性溶媒及び前記液体ポリオールを意味することを特徴とする、請求項1~13の何れか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物の質量に対して、1質量%を超えない含量、より詳細には0.4質量%以下、より有利にはさらに0.3質量%以下の含量で、少なくとも1つのアニオン界面活性剤を含み得、アニオン界面活性剤の含量が、第1の非イオン性炭化水素系界面活性剤の質量に対して、好ましくは1質量%~50質量%、より有利には1質量%~25質量%に相当することを特徴とする、請求項1~14の何れか1項に記載の組成物。
【請求項16】
顔料、真珠様光沢剤、水溶性染料、脂溶性染料及びまたそれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色料を含むことを特徴とする、請求項1~15の何れか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物の質量に関して、好ましくは10質量%以下、好ましくは5質量%以下で、少なくとも1つの揮発性油、より詳細には炭化水素系油を含み得ることを特徴とし、有利には揮発性油を含まない、請求項1~16の何れか1項に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1~17の何れか1項に記載の組成物を塗布することからなる、ヒトケラチン物質、特に皮膚又は口唇、好ましくは口唇に対してメイクアップを行う及び/又はケアを行うための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチルセルロース、脂肪アルコールから選択される第1の不揮発性油と、エーテル又はカーボネート型の第2の不揮発性炭化水素系油と、少なくとも1つの非イオン性の炭化水素系界面活性剤と、を含む逆相(油中水)エマルションの形態である組成物に関する。前記組成物が塗布されるヒトケラチン物質、特に口唇に対してメイクアップを行う及び/又はケアを行うための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
数年間にわたり、エチルセルロースに対する溶媒として使用され、長期的に皮膚又は口唇の感受性化の問題を呈する可能性がある大量のエタノールの存在に対する第1の代替物を提供する、エチルセルロースを含むメイクアップ組成物が開発されてきた。これは、例えば、エチルセルロースがエタノールにより最早溶解されなかったが、所定の溶解度パラメーターを示し、とりわけ、特に脂肪アルコール、天然油、C~C30トリグリセリド又はグリコールエステルから選択される溶媒によって溶解された無水組成物を記載する、(特許文献1)の所望の目的の1つであった。これらの組成物は、良好な接着性及び限定的な移動を示す。
【0003】
エマルション形態で生じる組成物は、その後、例えば、特にエチルセルロース、少なくとも1つの液体脂肪アルコール及び少なくとも1つの不揮発性シリコーン又はフッ化油を含む水中油エマルションに関する、(特許文献2)に記載されていた。このようにして得られた組成物は、塗布し易く、塗布時に清涼効果を提供し、得られる沈着物が非粘着性であり、顕著に移動せず、光沢がありそのように継続する。
【0004】
しかし、代わりに、しばらくの間、化粧品における傾向は、より多くの天然産物を含み、従って特にシリコーンなどの合成化合物がより少ない組成物の開発に向かってきた。これらの油を炭化水素系化合物、例えばエステル油によって単純に置き換えることにより、例えば、長期にわたるその光沢及び耐摩耗性の所望の目的を達成することは可能ではない。具体的に、シリコーン油は特に、この予想において非常に効果的であることが知られている。さらに、上述の国際出願から、例において、トリグリセリドによるシリコーン又はフッ化油の置き換えが均質な組成物を与えないことが例示される。さらに、得られる組成物は、塗布することが困難であることが判明しており、その結果、口唇の均質なメイクアップが得られない。
【0005】
従って、特にシリコーン油などの合成油の使用を限定し、実際にそれなしでも長時間にわたり光沢を残存させる光沢のある沈着物として塗布され得る、特に口唇のメイクアップのためのエチルセルロースを含むエマルション形態の組成物が依然として求められている。非常に明らかであるが、このような結果は、組成物の塗布特性又は得られる沈着物の塗布特性、例えば移動性など、を害することなく、達成されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第861657号明細書
【特許文献2】国際公開第2012/038879号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的及び他の目的が本発明により達成され、これは、
-エチルセルロースと;
-飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐状C10~C26脂肪アルコールから選択される、25℃及び大気圧(1.013×10Pa)で液体である少なくとも1つの第1の不揮発性油と;
-式ROR’のエーテル、式RO(CO)OR’のカーボネート(式中、R及びR’基は、同一であってもよいし又は異なっていてもよく、最大で16個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和、分岐状又は非分岐状の炭化水素系の基、好ましくはC~C16基を表す)及びそれらの混合物から選択される、25℃及び大気圧(1.013×10Pa)で液体である少なくとも1つの第2の炭化水素系油と;
-少なくとも1つの非イオン性炭化水素界面活性剤と、
を含む、油中水型エマルションの形態の組成物に関する。
【0008】
本発明は、上記のような組成物を塗布することからなる、ヒトケラチン物質、特に皮膚及び口唇及びより詳細には口唇に対してメイクアップを行い及び/又はケアを行う方法にも関する。
【0009】
本発明による組成物は、より詳細には、ゲル形態である。これは、口唇上に存在する濃厚な沈着物として塗布し易いが、依然として快適であり、あまり粘着性がないか又は粘着性がなく、清涼感が付随するという長所がある。得られる沈着物は、光沢があり、長時間光沢を保ち;これは、潤い感をもたらし、口唇にボリューム効果(ふっくらと見える効果)を与える。これは、満足のいく非移動特性も示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
光沢測定プロトコール
厚さが制御されたフィルムを得るために、100μmの厚さに目盛りを定めた(Elcometer 3520/101;50、100、150、200μm、リファレンスK0003520M101)自動スプレッダー(Elcometer 4340 Applicator)を使用して、黒色領域及び白色領域があるコントラストカード(Erichsen type 24/5)全体に試料を広げる。
【0011】
フィルムを黒色領域及び白色領域の両方に広げる。コントラストカードの黒色領域により、展着の均一性を監視することが可能となり;コントラストカードの白色領域は、フィルムの光沢を測定するために使用される。
【0012】
光沢測定は、測定前に60°で較正されるMini Gloss Meter 60°、BykGardner、光沢計を使用して行う。
【0013】
フィルムに対する損傷を防ぐために、2個の自己粘着リング(Crowns DTM、直径22mm、ref.G022363M)を光沢計の各端に置く。様々な時間に光沢を測定する。20℃及び50%相対湿度での塗布後、すぐT0に、T30minに、T1hに、T1h30に及びT24hに光沢を測定する。
【0014】
ゲルのレオロジー特性を測定するためのプロトコール
応力制御型レオメーター(TA InstrumentsからのARG2)を使用して測定を行う。使用される測定形状は、直径が35mmで角度が2°である、滑らかにされた(sanded)コーン/プレートである。0.1~1000Paに広がる応力の範囲にわたり、1ヘルツの周波数で振幅を増加させて試料に正弦応力をかける。課せられるひずみに対して試料によりもたらされる抵抗性によって、応力τの関数としての稠度G*の曲線及び固体/液体性δの曲線を得ることが可能になる。回収される主要データは、プラトー(plateau)G*(稠度)及び位相角δ(固体/液体性)である。
【0015】
本組成物は、より詳細にはゲルの形態で提供され、そのG*係数(粘弾性の係数)は、40°~70°の位相角に対して10~1000Pa、より詳細には、40°~65°、好ましくは40°~60°の位相角に対して、50~1000Pa、実際にはさらに80~1000Paである。粘弾特性(G*及びδ)は、応力制御型レオメーターで測定され、値は25℃にて粘弾性がプラトーであるときに取る。
【0016】
粘度を測定するためのプロトコール
粘度測定は、一般に、no.4スピンドルを備えたRheomat RM 100粘度計を使用して25℃で行い、測定は、200回転/分(rpm)のせん断速度で、組成物中でスピンドルを10分間回転させた後に行う。
【0017】
一般的に、本発明による組成物は、5~50Pa.s、好ましくは7~30Pa.s.の粘度を示す。
【0018】
粘着力を測定するためのプロトコール
本組成物を深さ100μmの数個のステンレス鋼皿上に沈着させ、可能な限り素早く水平にする。皿を周囲温度で1時間乾燥させる。
【0019】
使用する装置は、TA.XT2iテクスチャーアナライザーである。この装置上に取り付けられたクランプは、直径6mmのAU4Gシリンダーを掴み、その端部で同じ直径で厚さ2mmの滑らかな灰白色の合成皮膚端片に接着接合される。
【0020】
沈着物の同じ位置で複数回の測定を決して行わない。
【0021】
ホールドオーバータイム(hold over time)を伴う圧縮性試験のパラメーターは次のとおりである:接近速度(又はプレ速度(pre-speed)):1mm/s;速度(接触の検出から開始):0.1mm/s;力(及び対応する圧力):0.283N(即ち0.01MPa);待機時間:3s;戻り速度(又はポスト速度(post-speed)):0.1mm/s。
【0022】
粘着力は、時間軸下の曲線の積分に対応する、除荷(引張相)中に測定される剥離仕事量により特性評価する。この仕事量は、ジュール/平方メートルで正で表される。
【0023】
上で示されるように、本発明による組成物は、ヒトケラチン物質、特に皮膚又は口唇に塗布され得る。これらは、結果として、心地よい色、心地よい匂い及び心地よい感触を示す、及び消費者がこの組成物を使用しなくなる傾向がある何れの許容できない不快さ(ひりひり感、こわばり)も引き起こさない、生理学的に許容可能な媒体、即ち皮膚での塗布及び/又はその表面上の身体発育と適合する媒体を含む組成物である。
【0024】
エチルセルロース
上で示されるように、本発明による組成物は、少なくともエチルセルロースを含む。
【0025】
エチルセルロースは、アセタール結合を介して一緒に連結されるβ-アンヒドログルコース単位から構成される鎖を含むセルロースエチルエーテルである。各アンヒドログルコース単位は3個の置換可能なヒドロキシル基を有し、これらのヒドロキシル基の全部又は一部を次の反応に従い反応させることが可能である:RONa+CCl→ROC+NaCl(式中、Rはセルロースラジカルを表す)。3個のヒドロキシル基が完全に置換されると、各アンヒドログルコース単位に対して、置換度は3となり、換言すれば、アルコキシ基、特にエトキシ基の含量は54.88%となる。
【0026】
本発明による化粧用組成物中で使用されるエチルセルロースポリマーは、優先的に、ポリマーのエトキシ基での置換度がアンヒドログルコース1単位あたり2.5~2.6個の範囲にあり、換言すれば、44%~50%の範囲のエトキシ基の含量を含むものである。
【0027】
エチルセルロースの平均モル質量は、好ましくは、25℃での80/20(トルエン/エタノール)混合物中の5質量%の溶液の粘度が4~300mPa.s、好ましくは5~200mPa.s、例えば5~150mPa.s.の範囲となるように選択される (Standard ASTM D 914)。
【0028】
本発明による組成物中で用いられるエチルセルロースは、より詳細には粉状の形態である。
【0029】
これは、例えば、Dow ChemicalsによりEthocel Standardという商品名で、特にEthocel Standard 7 FP Premium及びEthocel Standard 100 FP Premiumで販売されている。他の市販品としては、Ashland Inc.からAqualon Ethylcellulose type K、type N及びtype Tの名称で、好ましくはtype N、例えばN7又はN100など、の名称で販売されているものが本発明の実施に特に適している。
【0030】
エチルセルロース含量は、より詳細には、本組成物の総質量に対して、少なくとも6質量%、好ましくは少なくとも7質量%、より詳細には少なくとも7.5質量%に相当する。特定の有利な実施形態によれば、エチルセルロース含量は、本組成物の総質量に対し、7質量%~17質量%、好ましくは8質量%~15質量%又はさらに8質量%~12質量%に相当する。
【0031】
水性相
本発明による組成物は、逆(油中水)エマルションの形態であり、従って、そのエマルションは、肉眼的に均質な混合物を得るために液滴の形態で水性相が分散される連続油性相を含む。
【0032】

従って、本発明による組成物は、少なくとも水を含む。
【0033】
より詳細には、水含量は、本記組成物の総質量に対して、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、さらにより好ましくは20質量%以下である。好ましくは、水含量は、本組成物の総質量に対して、5質量%~40質量%、より有利には5質量%~30質量%、より詳細にはさらに5質量%~20質量%である。
【0034】
水溶性溶媒
本発明による組成物は、少なくとも1つの水溶性溶媒を含み得る。
【0035】
本発明において、「水溶性溶媒」という用語は、周囲温度で液体であり、水と混和性である化合物を指す(水中の混和性は、25℃及び周囲圧力(1.013×10Pa)で50質量%を超える)。
【0036】
本発明による組成物中で使用され得る水溶性溶媒はさらに揮発性であり得る。
【0037】
特に、使用され得る水溶性溶媒の中でも、1~5個の炭素原子を有する、より詳細には飽和性であるモノアルコール、例えば特にエタノール及びイソプロパノールなど、C及びCケトン及びC~Cアルデヒド及びまたそれらの混合物が挙げられ得る。好ましくは、水溶性溶媒は、1~5個の炭素原子を有するモノアルコール及びまたそれらの混合物から選択される。
【0038】
本組成物が何れかを含む場合、水溶性溶媒の含量は、より詳細には、本組成物の総質量に対して0.1質量%~10質量%、好ましくは1質量%~5質量%である。
【0039】
液体ポリオール
本発明による組成物は、20℃及び大気圧(1.013×10Pa)で液体である少なくとも1つのポリオールを任意選択的に含み得る。
【0040】
「ポリオール」という用語は、少なくとも2個のヒドロキシル基(又は遊離ヒドロキシル基)を含む何らかの有機分子を示す。
【0041】
より詳細には、液体ポリオールは、飽和又は不飽和及び直鎖状又は分岐状C~C、より詳細には、C~Cの、少なくとも2個のヒドロキシル官能基を含む、好ましくは2~6個のヒドロキシル基を含む化合物から選択される。
【0042】
有利に、ポリオールは、例えばエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、ペンチレングリコール、へキシレングリコール、グリセロール、エチルヘキシルグリセロール及びジグリセロール及びそれらの混合物から選択され得る。
【0043】
好ましくは、ポリオールは、グリセロール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ジグリセロール及びそれらの混合物から選択され;より有利にはさらにグリセロールである。
【0044】
特に好ましい実施形態によれば、水性相の量は、本組成物の質量に対して、5質量%~40質量%、特に10質量%~30質量%及び好ましくは20質量%~30質量%に相当する。「水性相」という用語は、水及び、適切である場合は水溶性溶媒及び液体ポリオールを示すことが特定される。
【0045】
第1の油
上で示されるように、本発明による組成物は、25℃で液体である第1の不揮発性油として、飽和又は不飽和及び直鎖状又は分岐状C10~C26脂肪アルコール、好ましくはモノアルコールを含む。
【0046】
有利には、C10~C26アルコールは、それらが少なくとも16個の炭素原子を含む場合、好ましくは分岐状である脂肪アルコールである。
【0047】
好ましくは、脂肪アルコールは、10~24個の炭素原子、より優先的には12~22個の炭素原子を含む。
【0048】
好ましく使用され得る脂肪アルコールの具体例として、特に、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ウンデシルペンタデカノール、2-ヘキシルデシルアルコール、イソセチルアルコール、オクチルドデカノール及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0049】
本発明の有利な実施形態によれば、アルコールは、オクチルドデカノールから選択される。
【0050】
より詳細には、第1の油の含量は、本組成物の総質量に対して、20質量%~60質量%、より詳細には25質量%~40質量%で変動する。
【0051】
第2の油
本発明による組成物は、25℃及び大気圧(1.013×10Pa)で液体である、少なくとも1つの特定の第2の不揮発性炭化水素系油をさらに含む。
【0052】
「不揮発性油」という用語は、25℃及び大気圧下で、その蒸気圧がゼロではなく、2.66Pa未満、より詳細には0.13Pa未満である油を意味する。例として、蒸気圧は、油の蒸気圧に依存して、静的な方法に従い、又は等温熱重量分析による浸出法により測定され得る(OECD 104 standard)。
【0053】
本発明による組成物は、第2の油として、式ROR’のエーテル、式RO(CO)OR’のカーボネート(式中、R及びR’基は、同一であってもよいし又は異なっていてもよく、最大で16個の炭素原子を含む飽和又は不飽和、分岐状又は非分岐状の、炭化水素系の基、好ましくはC~C16基;より詳細にはC~C16基を表す);及びまたそれらの混合物から選択される少なくとも1つの油を含む。
【0054】
好ましくは、第2の油は、ジカプリリルエーテル、炭酸ジプロピル、炭酸ジエチルヘキシル、炭酸ジカプリリル、C14~15ジアルキルカーボネート及びまたそれらの混合物から選択される。より詳細には、第2の油は、ジカプリリルエーテル、ジカプリリルカーボネート及びそれらの混合物から選択され、好ましくは第2の油はジカプリリルエーテルである。
【0055】
第2の油の含量は、前記組成物の総質量に対して、より詳細には1質量%~32質量%まで、より詳細には10質量%~30質量%まで、さらにより好ましくは15質量%~30質量%まで変動する。
【0056】
好ましくは、第1及び第2の油の含量は、第1の油/第2の油の質量比が50/50~90/10まで、より詳細には55/45~70/30まで変動するようなものである。
【0057】
不揮発性エステル油
本発明による組成物は、エステル型不揮発性炭化水素系油から選択される、25℃及び大気圧(1.013×10Pa)で液体である少なくとも1つのさらなる不揮発性油をさらに含み得る。
【0058】
「エステル型の炭化水素系油」という用語は、少なくとも1個のエステル官能基を含む炭化水素系油を意味する。
【0059】
前記エステル型の不揮発性炭化水素系油は、特にヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化植物油;任意選択的に、それらの少なくとも1個が直鎖状又は分岐状、飽和、不飽和又は芳香族であり、少なくとも10個の炭素原子を含む1~4個のエステル官能基を含むヒドロキシル化エステル油;一不飽和又は多不飽和の酸二量体、16~22個の炭素原子を含む脂肪酸の反応由来の液体ポリエステル;及びまたそれらの混合物から選択され得る。
【0060】
より詳細には、エステル型の不揮発性炭化水素系油は次のものから選択される:
-オリーブ油、ホホバ油、ハマナツメモドキ油、プラカシー油、麦芽油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、シア油、スイートアーモンド油、マカダミア油、アプリコット核油、ダイズ油、菜種油、ピーナツ油、綿実油、アルファルファ油、ポピー油、赤栗皮南瓜油、ゴマ油、カボチャ油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、グレープシード油、ブラックカラント油、アルガン油、月見草油、キビ油、大麦油、亜麻仁油、キノア油、ライ油、紅花油、ククイノキ油、トケイソウ油、ジャコウバラ油、シアバターの液体分画及びカカオバターの液体分画及びそれらの混合物;
-ヒマシ油;
-ヒマシ油エチルエステル;
-2-エチルヘキシルパルミテート、2-オクチルデシルパルミテート、オクチルドデシルネオペンタノエート、2-オクチルドデシルステアレート、ブチルステアレート、2-オクチルドデシルエルケート、C12~C15アルキルベンゾエート、2-オクチルドデシルベンゾエート、イソセチルイソステアレート、イソノニルイソノナノエート、イソステアリルイソステアレート、イソプロピルパルミテート、ヘキシルラウレート、2-ヘキシルデシルラウレート、イソプロピルミリステート、2-オクチルドデシルミリステート、ジイソステアリルマレート、グリセリルトリ(2-デシルテトラデカノエート)、カプリン/カプリル酸トリグリセリド、C18~36酸トリグリセリド、グリセリルトリヘプタノエート、グリセリルトリオクタノエート、グリセリルトリ(2-デシルテトラデカノエート)、トリイソステアリルシトレート、トリデシルトリメリテート、ペンタエリスリチルテトラペラルゴネート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ペンタエリスリチルテトライソノナノエート、ペンタエリスリチルテトラ(2-デシルテトラデカノエート);イソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート;
-次のINCI名を有するポリエステル:ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー、ジリノール酸/プロパンジオールコポリマー、二量体ジリノレイルジリノレエート;
-並びにまたそれらの混合物。
【0061】
好ましくは、エステル型の不揮発性炭化水素系油は、非ヒドロキシル化植物油、例えばオリーブ油;ヒマシ油;ヒマシ油エチルエステル;カプリン/カプリル酸トリグリセリド、イソセチルイソステアレート、ペンタエリスリチルエステル、例えば特にペンタエリスリチルテトライソステアレートなど;及びまたそれらの混合物から選択され、さらにより好ましくは、さらなる不揮発性炭化水素系油は、非ヒドロキシル化植物油、例えばオリーブ油、ヒマシ油エチルエステルなど;カプリン/カプリル酸トリグリセリド、イソセチルイソステアレート、ペンタエリスリチルエステル、例えば特にペンタエリスリチルテトライソステアレート及びまたそれらの混合物から選択される。
【0062】
エステル型不揮発性炭化水素系油の含量は、より詳細には0.1質量%~15質量%、より詳細には0.1質量%~10質量%の範囲である。好ましくは、さらなる不揮発性油の含量は、前記組成物の総質量に対して0.1質量%~5質量%の範囲である。
【0063】
好ましくは、第2の油の及びエステル型不揮発性炭化水素系油の含量は、本組成物の総質量に対して、1質量%~32質量%、好ましくは10質量%~30質量%であり、さらにより詳細には15質量%~30質量%である。
【0064】
好ましくは、第2の油/さらなる不揮発性炭化水素系油の質量比は、99/1~50/50、好ましくは99/1~70/30の範囲である。
【0065】
さらなる油
揮発性炭化水素系油
本発明による組成物は、任意選択的に少なくとも1つの揮発性炭化水素系油を含み得る。
【0066】
「揮発性油」という用語は、周囲温度(25℃)及び大気圧で2.66Pa以上、特に2.66Pa~40000Paの範囲、特に13000Paまで及び好ましくは1300Paまでの範囲である蒸気圧を有する油を意味すると理解される。
【0067】
揮発性炭化水素系油は、好ましくは無極性炭化水素系油から選択される。
【0068】
「無極性」という用語は、炭素原子及び水素原子から構成される炭化水素系油(炭化水素型の化合物)を意味すると理解される。
【0069】
特に、これらは、8~16個の炭素原子を含有する揮発性炭化水素系油及びそれらの混合物、特に:
-分岐状C~C16アルカン、例えばC~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、イソドデカン、イソデカン又はイソヘキサデカンなど及び例えばIsopar又はPermethylの商品名で販売される油、
-直鎖状アルカン、例えばC11~C16アルカン及び
-それらの混合物
から選択され得る。
【0070】
本組成物が何れかを含む場合、揮発性炭化水素系油の含量は、本組成物の質量に対して、好ましくは10質量%以下、好ましくは5質量%以下であり、有利には、本組成物は揮発性油を含まない。
【0071】
無極性不揮発性炭化水素系油
別の特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1つの無極性不揮発性炭化水素系油を含み得る。
【0072】
例として、無極性不揮発性炭化水素系油は、流動パラフィン、スクアラン、イソエイコサン、飽和直鎖状炭化水素の不揮発性混合物、水添又は非水添ポリブテン、水添又は非水添ポリイソブテン、水添又は非水添ポリデセン、デセン/ブテンコポリマー、ブテン/イソブテンコポリマー及びそれらの混合物から選択され得る。
【0073】
好ましくは、本発明による組成物は、本組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~5質量%の無極性不揮発性炭化水素系油を含む。好ましくは、本発明による組成物は、無極性不揮発性炭化水素系油を含まない。
【0074】
シリコーン及びフッ化油
本発明による組成物は、少なくとも1つの揮発性又は不揮発性シリコーン及び/又はフッ化油を任意選択的に含み得る。
【0075】
「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子を含む油を意味すると理解される。
【0076】
「フッ化油」という用語は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を意味すると理解される。
【0077】
特に不揮発性シリコーン油の中でも、ジメチコン、ジメチコノール、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン;及びまたそれらの混合物(INCI名)が挙げられ得る。
【0078】
特に、不揮発性フッ化油の中でも、全フッ素置換化合物、例えば特にパーフルオロデカリン又はパーフルオロパーヒドロフェナントレン(INCI名)が挙げられ得る。またフルオロシリコーン油も挙げられ得る。
【0079】
特に、5及び6cStの粘度のジメチコンの揮発性シリコーン油として、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0080】
揮発性フッ化油に関して、ノナフルオロメトキシブタン又はパーフルオロメチルシクロペンタン及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、このような油が存在した場合、その含量は、前記組成物の質量に関して、4質量%を超えず、より詳細には2質量%を超えず、有利には1質量%を超えない。
【0082】
界面活性剤
非イオン性炭化水素系界面活性剤
既に示されるように、本発明による組成物は、少なくとも1つの第1の非イオン性炭化水素系界面活性剤を含む。
【0083】
より詳細には、界面活性剤は、スクロースエステル、ソルビタンエステル、モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性炭化水素系界面活性剤及びそれらの混合物から選択される。
【0084】
特に、スクロースエステルの中でも、スクロースココエート、モノ又はポリエステル、好ましくは、少なくとも1つの飽和又は不飽和C12~C24基を含むモノ、ジ又はトリエステルが挙げられ得る。好ましくは、スクロースエステルは、アルコキシ化された(特にエトキシ化された又はプロポキシ化された)基を含有しない。適切なスクロースエステルの中でも、例えば、単独又は混合物としての、スクロースココエート、スクロースラウレート、スクロースミリステート、スクロースパルミテート、スクロースステアレート、スクロースジステアレート、スクロースオレエート、スクロースベヘネート又はスクローストリステアレートが挙げられ得る。好ましくは、スクロースエステルは、スクロースラウレート、スクロースパルミテート又はそれらの混合物から選択される。
【0085】
ソルビタンエステルに関しては、少なくとも1つの飽和又は不飽和C12~C24基を含む、ソルビタンモノ又はポリエステル、好ましくはモノ、ジ又はトリエステルが挙げられ得る。好ましくは、ソルビタンエステルは、アルコキシ化された(特にエトキシ化された又はプロポキシ化された)基を含有しない。例えば、適切なソルビタンエステルの中でも、ソルビタンステアレート、ソルビタンイソステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート又はソルビタンパルミテート及びまたそれらの混合物が挙げられ得る。
【0086】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性脂肪酸エステルに関しては、C12~C24基を含む、及び1~6個のグリセロール単位を含む、飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐状モノカルボン酸モノエステル又はポリエステルが挙げられ得る。有利に、ポリグリセロール化非イオン性脂肪酸エステルは、アルコキシ化された(特にエトキシ化された又はプロポキシ化された)基を含有しない。このタイプの化合物の例として、リシノール酸、オレイン酸、ステアリン酸若しくはイソステアリン酸のポリグリセロール化モノエステル及びポリエステル、オレイン酸、ステアリン酸若しくはイソステアリン酸のグリセロール化エステル、及びまたそれらの混合物も挙げられ得る。好ましくは、モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性脂肪酸エステルは、HLB値が8以下である化合物から選択される。「HLB」又は「親水性-脂溶性バランス」は、J.Soc. Cosm. Chem.,1954(volume 5),249~256で定義されるようなグリフィンセンス(Griffin sense)で決定されることが想起される。
【0087】
例として、グリセリルステアレート、グリセリルオレエート、ポリグリセリル-2ジイソステアレート、ポリグリセリル-2トリイソステアレート、ポリグリセリル-2テトライソステアレート、ポリグリセリル-3ステアレート、ポリグリセリル-3ジイソステアレート、ポリグリセリル-3オレエート、ポリグリセリル-3ポリリシノレエート、ポリグリセリル-4イソステアレート、ポリグリセリル-4ジイソステアレート、ポリグリセリル-6ポリリシノレエート及びまたそれらの混合物が挙げられ得る。
【0088】
好ましくは、本組成物は、第1の非イオン性の炭化水素系界面活性剤、スクロースエステル及びソルビタンエステルから選択される、特にスクロースココエート、スクロースラウレート、スクロースミリステート、スクロースパルミテート、スクロースステアレート、スクロースオレエート、スクロースベヘネート、ソルビタンステアレート、ソルビタンイソステアレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンオレエート、ソルビタンパルミテート及びまたそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。
【0089】
好ましくは、本組成物は、第1の非イオン性の炭化水素系界面活性剤として、単独又は混合物としての、少なくとも1つのスクロース型の界面活性剤、より詳細にはスクロースココエート、スクロースラウレート、スクロースミリステート、スクロースパルミテート、スクロースステアレート、スクロースオレエート又はスクロースベヘネートを含む。
【0090】
好ましくは、本発明による組成物は、スクロースラウレート、スクロースパルミテート及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの第1の界面活性剤も含む。
【0091】
より詳細には、第1の非イオン性の炭化水素系界面活性剤の含量は、本組成物の総質量に対して、1質量%~7質量%、より詳細には2質量%~6質量%、好ましくは2質量%~4質量%の範囲である。
【0092】
さらなる非イオン性界面活性剤
本発明による組成物は、任意選択的に、少なくとも1つのさらなる非イオン性炭化水素系又はシリコーン、好ましくは炭化水素系、界面活性剤を含み得る。
【0093】
さらなる非イオン性界面活性剤は、特に(ポリ)オキシアルキレン化アルキル-及びポリアルキルエステル;(ポリ)オキシアルキレン化アルコール;(ポリ)オキシアルキレン化エーテル;(ポリ)オキシアルキレン化ソルビタンアルキル-及びポリアルキルエステル;(ポリ)オキシアルキレン化又は非(ポリ)オキシアルキレン化ソルビタンエーテル;アルキル-及びポリアルキルグリコシド又はポリグリコシド、特にアルキル-及びポリアルキルグルコシド又はポリグルコシド;(ポリ)オキシアルキレン化(ポリ)グリセロールアルキル-及びポリアルキルエステル;(ポリ)オキシアルキレン化又は非(ポリ)オキシアルキレン化(ポリ)グリセロールアルキル-及びポリアルキルエーテル;及びそれらの混合物から選択され得る。これらの化合物は、より詳細には、少なくとも1つのC~C30アルキルラジカルを含み;オキシアルキレン単位は、C~C、好ましくはエチレンオキシド単位である。オキシアルキレン単位、より詳細にはオキシエチレン単位の数、及びまた(ポリ)グリセロール単位の数は、HLBの所望の値の関数として変動する。
【0094】
それらが存在する場合、さらなる非イオン性界面活性剤の含量は、有利には第1の界面活性剤の含量未満である。それらの含量は、油中水型エマルションを保持するために非常に明白に決定される。
【0095】
より詳細には、本組成物が何れかを含有する場合、さらなる非イオン性界面活性剤の含量は、本組成物の総質量に対して、0.01質量%~1質量%、好ましくは0.1質量%~1質量%に相当する。
【0096】
より詳細には、さらなる非イオン性界面活性剤の含量は、第1の界面活性剤の質量に対して、1質量%~50質量%、より有利には1質量%~25質量%に相当する。
【0097】
好ましくは、本組成物は、さらなる非イオン性界面活性剤を欠く。
【0098】
さらなるアニオン界面活性剤
本発明による組成物は、任意選択的に、少なくとも1つのさらなるアニオン性の、より詳細には炭化水素系の、界面活性剤を含み得る。
【0099】
アニオン界面活性剤は、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、カルボキシレート、アミノ酸誘導体、スルホネート、イセチオネート、タウレート、スルホスクシネート、アルキルスルホアセテート、ホスフェート及びアルキルホスフェート、ポリペプチド又はC10~C30脂肪酸の金属塩から選択され得る。
【0100】
より詳細には、これらの化合物は、特にナトリウム若しくはカリウムなど、又は或いは一級若しくは二級、特にC~Cの、アミン又はアルカノールアミンなど、アルカリ金属の塩の形態である。
【0101】
これらの化合物は一般に、それらの最長の炭化水素鎖において10~30個の炭素原子、特に10~20個の炭素原子を含み、飽和又は不飽和及び直鎖状、分岐状又は環状である。これらは、最大20個のオキシアルキレン単位、好ましくは最大15単位(特にオキシエチレン単位)をさらに含み得る。
【0102】
本組成物が何れかを含む場合、さらなるアニオン界面活性剤の含量は、本組成物が油中水型エマルションの形態であるようなものである。
【0103】
より詳細には、本組成物が何れかを含む場合、さらなるアニオン界面活性剤の含量は、本組成物の質量に対して、1質量%以下、より詳細には0.4質量%以下、より詳細にはまた0.3質量%以下である。例えば、さらなるアニオン界面活性剤の含量は、本組成物の総質量に関して、0.01質量%~1質量%であり得る。
【0104】
より詳細には、アニオン界面活性剤の含量は、第1の界面活性剤の質量に対して、1質量%~50質量%、より有利には1質量%~25質量%に相当する。
【0105】
好ましくは、本組成物は、さらなるアニオン界面活性剤を欠く。
【0106】
着色料
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明による組成物は、合成、天然又は天然由来である、少なくとも1つの着色料を含む。
【0107】
着色料は、被覆又は非被覆顔料、水溶性染料及び脂溶性染料から選択され得る。
【0108】
顔料
「顔料」という用語は、それらが見出される媒体中で不溶性である、及び得られる組成物及び/又は沈着物を着色する及び/又は不透明にすることを目的とする、白色又は有色及び無機又は有機粒子を意味すると理解される。
【0109】
無機顔料及び真珠様光沢剤
特定の実施形態によれば、本発明により使用される顔料は、無機顔料から選択される。
【0110】
「無機顔料」という語は、Ullmann’s Encyclopaediaの無機顔料に関する章の定義を満たす何れかの顔料を意味する。本発明での使用の無機顔料の中でも、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム及びまた酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色又は赤色)又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルー(ferric blue)、二酸化チタン又は金属粉末、例えばアルミニウム粉末及び銅粉末など、が挙げられ得る。次の無機顔料も使用され得る:Ta、Ti、Ti、TiO、TiOとの混合物としてのZrO、ZrO、Nb、CeO、ZnS。
【0111】
顔料の径は一般に、100nmよりも大きく、最大10μm、好ましくは200nm~5μm、より好ましくは300nm~1μmの範囲であり得る。
【0112】
本発明の特定の形態によれば、顔料の径は、D[50]が100nmを超え、可能な限り10μmまで、好ましくは200nm~5μm、より優先的には300nm~1μmの範囲であり得ることを特徴とする。
【0113】
この径は、0.01μm~1000μmに広がり得る広い範囲にわたる全ての粒子の粒度分布を決定することを可能にする、MalvernからのMaster Sizer 3000(登録商標)タイプの市販の粒度解析装置を用いて静的光散乱により測定される。データは、標準的Mie散乱理論に基づいて処理される。この理論は、μm未満からマルチミクロン(multimicronic)までの範囲である径分布に対して最も適切であり;これにより、「有効な」粒径を決定することが可能となる。この理論は、特にVan de Hulst,H.C.,Light Scattering by Small Particles,Chapters 9 and 10,Wiley,New York,1957による刊行物に記載されている。
【0114】
D[50]は、50体積%の粒子が有する径の最大値を表す。
【0115】
本発明の内容において、無機顔料は、より詳細には酸化鉄及び/又は二酸化チタンである。より詳細には、例として、例えばMiyoshi Kaseiにより参照コードNAI(登録商標)のもと販売される、ステアロイルグルタミン酸アルミニウムで被覆される二酸化チタン及び酸化鉄が挙げられ得る。
【0116】
本発明において使用され得る無機顔料として、真珠光沢剤も挙げられ得る。
【0117】
「真珠様光沢剤」という用語は、虹彩色を有していてもよいし又は有していなくてもよく、特定の軟体動物により殻体で産生されるか又は合成される、光干渉を介して呈色効果を示す、あらゆる形状の有色又は無色粒子を意味するものと理解すべきである。
【0118】
真珠光沢剤は、例えば酸化鉄で被覆されたチタン-雲母、オキシ塩化ビスマスで被覆されたチタン-雲母、酸化クロムで被覆されたチタン-雲母、有機染料で被覆されたチタン-雲母及びまたオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠光沢性顔料などの真珠光沢性顔料から選択され得る。それらは、その表面で金属酸化物及び/又は有機染料の少なくとも2つの連続層が重ね合わされている雲母粒子でもあり得る。
【0119】
真珠様光沢剤の例として、酸化チタンで、酸化鉄で、天然顔料で、又はオキシ塩化ビスマスで被覆された天然雲母も挙げられ得る。
【0120】
真珠光沢剤は、より詳細には、黄色、桃色、赤色、赤銅色、橙色、褐色、金色及び/又は銅色又はこれらの色の光沢(glint)を呈し得る。
【0121】
本発明に従って使用され得る顔料の中でも、単純な従来の着色効果、つまり、例えば、単色顔料などの従来の着色料によって生成されるような単一化された及び安定化された効果とは異なる光学効果を有するものも挙げられ得る。本発明の意味の範囲内で、「安定化される」という用語は、観測角とともに、又は温度変化にも応答して、色が多様に変化する効果がないことを意味する。
【0122】
例えば、この材料は、金属性の輝きを有する粒子、ゴニオクロマティックな(goniochromatic)着色料、光回折顔料、感温変色剤、光学的光沢剤及びさらに繊維、特に光干渉繊維から選択され得る。当然のことながら、これらの様々な材料は、2種類の効果を同時に示すように、更に本発明に従って新規な効果さえ示すように組み合わせられ得る。
【0123】
本発明の別の特定の実施形態によれば、本組成物は、少なくとも1つの脂溶性又は疎水性化合物で被覆された少なくとも1つの顔料を含む。
【0124】
このタイプの顔料は特に有利である。それらが疎水性化合物で処理される限り、それらは油性相に対して優勢な親和性を示し、次いでこの油性相はこれらを輸送し得る。
【0125】
コーティングは、少なくとも1つのさらなる非親油性化合物も含み得る。
【0126】
本発明の意味内で、本発明による顔料の「コーティング」は一般に、その顔料上に吸収されるか、その顔料上に吸着されるか又はその顔料に接合される表面物質による顔料の全体又は部分的表面処理を示す。
【0127】
表面処理された顔料は、当業者にとって周知の化学的、電気的、機械化学的又は機械的性質の表面処理技法に従って調製され得る。市販品も使用され得る。
【0128】
表面処理剤は、溶媒の蒸発、化学反応及び共有結合の生成により顔料上に吸収、顔料上に吸着又は顔料に接着させ得る。
【0129】
一代替形態によれば、表面処理は、顔料のコーティングから構成される。
【0130】
コーティングは、被覆された顔料の総質量の、0.1質量%~20質量%、特に0.5質量%~5質量%に相当し得る。
【0131】
コーティングは、メイクアップ用又はケア用組成物の他の原料において粒子の組み込み前に、例えば固体粒子と液体表面処理剤とを撹拌しながら、任意選択的に加熱を行い、単純に混合することによって液体表面処理剤を固体粒子の表面に吸着させることにより生成され得る。
【0132】
コーティングは、例えば、表面処理剤を固体顔料粒子の表面と化学的に反応させ、表面処理剤と粒子との間に共有結合を生成させることによって生成され得る。この方法は、特に、米国特許第4578266号明細書に記載されている。
【0133】
化学的表面処理は、表面処理剤を揮発性溶媒で希釈し、この混合物中に顔料を分散させ、次いで揮発性溶媒をゆっくりと蒸発させ、それにより表面処理剤を顔料の表面に沈着させることからなり得る。
【0134】
顔料が親油性又は疎水性コーティングを含む場合、これは、好ましくは、本発明による組成物の脂肪相中に存在する。
【0135】
本発明の特定の実施形態によれば、顔料を本発明に従い、シリコーン系表面処理剤;フッ素系表面処理剤;フルオロシリコーン系表面処理剤;金属石鹸;N-アシルアミノ酸又はその塩;レシチン及びその誘導体;イソプロピルトリイソステアリルチタネート;イソステアリルセバケート;天然の植物系又は動物系ワックス;極性合成ワックス;脂肪エステル;リン脂質;及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物で被覆し得る。
【0136】
本発明の特定の実施形態によれば、顔料を親水性化合物で被覆し得る。
【0137】
水性相中での顔料の分散を最適にするために顔料を表面処理することを可能にする前記親水性化合物は、より詳細には、生物学的ポリマー、炭水化物、多糖類、ポリアクリレート又はポリエチレングリコール誘導体から選択される。
【0138】
生体高分子の例として、炭水化物型のモノマーに基づくポリマーが挙げられ得る。
【0139】
より詳細には、ビオサッカリドガム;キトサン及びそれらの誘導体、例えばブトキシキトサン、カルボキシメチルキトサン、カルボキシブチルキトサン、キトサングルコネート、キトサンアジペート、キトサングリコレート、キトサンラクテートなど;キチン及びそれらの誘導体、例えばカルボキシメチルキチン又はキチングリコレートなど;セルロース及びその誘導体、例えば酢酸セルロースなど;微結晶セルロース;ヒアルロン酸ナトリウム;可溶性プロテオグリカン;ガラクトアラビナン;グリコサミノグリカン;グリコーゲン;スクレロチウムガム;デキストラン;デンプン及びその誘導体、例えばジスターチリン酸など;及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0140】
有機顔料
特定の実施形態によれば、着色料は、合成、天然又は天然起源である有機顔料である。
【0141】
「有機顔料」という用語は、Ullmann’s Encyclopaediaの「Pigments,Organic」の章の定義を満たす何れかの顔料を意味すると理解される。有機顔料は、特に、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体型、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及びキノフタロン化合物から選択され得る。
【0142】
有機顔料は、例えば、カーマイン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、Color IndexにおいてCI 42090、69800、69825、73000、74100及び74160の参照番号で分類されている青色顔料、Color IndexにおいてCI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000及び47005の参照番号で分類されている黄色顔料、Color IndexにおいてCI 61565、61570及び74260の参照番号で分類されている緑色顔料、Color IndexにおいてCI 11725、15510、45370及び71105の参照番号で分類されている橙色顔料、Color IndexにおいてCI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915及び75470の参照番号で分類されている赤色顔料、並びに仏国特許第2679771号明細書に記載されているようなインドール又はフェノール系誘導体の酸化重合により得られる顔料から選択され得る。
【0143】
顔料は、欧州特許第1184426号明細書に記載されているような複合顔料の形態でもあり得る。これらの複合顔料は、特に、有機顔料及びコアへの有機顔料の固定をもたらす少なくとも1つの結合剤で少なくとも部分的に被覆される無機のコアを含む粒子から構成され得る。
【0144】
顔料は、レーキでもあり得る。「レーキ」という用語は、不溶性粒子上で吸着される不溶性の染料を意味すると理解され、こうして得られた集合体は、使用中に不溶性を維持する。
【0145】
染料を吸着させる無機基材は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムである。
【0146】
有機染料の中でも、コチニールカーマインが挙げられ得る。以下の名称で知られる製品も挙げられ得る:D&C Red 21(CI 45 380)、D&C Orange 5(CI 45 370)、D&C Red 27(CI 45 410)、D&C Orange 10(CI 45 425)、D&C Red 3(CI 45 430)、D&C Red 4(CI 15 510)、D&C Red 33(CI 17 200)、D&C Yellow 5(CI 19 140)、D&C Yellow 6(CI 15 985)、D&C Green 5(CI 61 570)、D&C Yellow 10(CI 77 002)、D&C Green 3(CI 42 053)又はD&C Blue 1(CI 42 090)。
【0147】
レーキの例として、D&C Red 7(CI 15 850:1)の名称で知られる製品も挙げられ得る。
【0148】
注目すべきは、有機顔料も被覆され得るということである。この場合、無機顔料で与えられた対応する説明を参照し得る。
【0149】
水溶性染料
本発明の具体的な実施形態によれば、着色料は水溶性染料である。
【0150】
本発明の目的に対して、「水溶性染料」という用語は、水性相中又は水混和性溶媒中で可溶性である、及び着色可能である、何れかの天然又は合成の、一般には有機化合物を意味する。
【0151】
特に、本発明に対して適切である水溶性染料として、合成又は天然水溶性染料、例えばFDC Red 4、DC Red 6、DC Red 22、DC Red 28、DC Red 30、DC Red 33、DC Orange 4、DC Yellow 5、DC Yellow 6、DC Yellow 8、FDC Green 3、DC Green 5又はFDC Blue 1などが挙げられ得る。
【0152】
天然水溶性染料の中でも、オルト-ジフェノールのファミリーに属するアントシアニンが挙げられ得る。これらの化合物は、より詳細には、ブドウ、ブラックベリー及びプラムなどの果実から、又は野菜、例えば赤キャベツ、赤大根又は紫芋などから得られる。従って、これらは、基本的に、花、果実、葉、種子及び根の、藤色、赤色、青色及び紫色の要因である。
【0153】
ネイティブ若しくは発酵性の植物から抽出された、ベタニン(ビートルート)、銅クロロフィリイン、メチレンブルー、キャラメル、リボフラビン、フラボノイド及びタンニン、ジュグロン、ローソン、発酵ダイズの、藻類の、真菌の、又は微生物の抽出物、欧州特許第1172091号明細書に記載のような3位が未置換のフラビリウム塩又はゲスネリア・フルゲンス(Gesneria fulgens)、ブレクヌム・プロセルム(Blechnum procerum)又はサクシフラガ(Saxifraga)抽出物も挙げられ得る。
【0154】
脂溶性染料
本発明の具体的な実施形態によれば、着色料は脂溶性染料である。
【0155】
本発明の意味内で、「脂溶性染料」という用語は、油性相又は油性相と混和性の溶媒中で可溶性である、及び着色可能である、何らかの天然又は合成化合物、一般に有機化合物を意味すると理解される。
【0156】
特に、本発明に対して適切な脂溶性染料として、例えばDC Red 17、DC Red 21、DC Red 27、DC Green 6、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5、Sudan Red又はSudan Brownなどの脂溶性染料が挙げられ得る。
【0157】
特に、天然脂溶性染料の例示としては、カロテン、例えばβ-カロテン、α-カロテン又はリコペンなど;キノリンイエロー;キサントフィル、例えばアスタキサンチン、アンテラキサンチン、シトラナキサンチン、クリプトキサンチン、カンタキサンチン、ジアトモキサンチン(diatomoxanthin)、フラボキサンチン、フコキサンチン、ルテイン、ロドキサンチン、ルビキサンチン、シホナキサンチン、ビオラキサンチン又はゼアキサンチン;アナトー;クルクミン;キニザリン(Ceres Green BB,D&C Green No. 6,CI 61565,1,4-ビス(p-トルイジノ)アントラキノン、Green No.202、キニザリングリンSS)及びクロロフィルが挙げられ得る。
【0158】
着色料の含量は、本組成物が何れかを含む場合、有利に、本組成物の質量に関して、0.05質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%である。
【0159】
固体脂肪化合物
ワックス
本発明による組成物は、任意選択的に、少なくとも1つの極性又は無極性炭化水素系ワックス又は任意選択的に1つのシリコーンワックスを含み得る。
【0160】
本発明の文脈で考えられるワックスは一般に、融点が特に30℃以上、より詳細には45℃以上である、固体/液体の状態変化が可逆的である周囲温度(25℃)で固体である脂溶性化合物である。有利に、融点は、90℃以下、より詳細には80℃以下、好ましくは70℃以下である。
【0161】
固体脂肪性物質の融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Universal Analysisソフトウェアを備えてTA Instruments社によりDSC Q100という名称で販売されている熱量計を用いて測定され得る。
【0162】
測定プロトコールは以下の通りである:
固体脂肪物質のおよそ5mgの試料を「ハーメチックアルミニウムカプセル」坩堝に入れる。
【0163】
80℃までは2℃/分の加熱速度で20℃から120℃に拡張する第1の温度上昇に試料を供し、次にこの試料を100℃等温で20分間置き、次に2℃/分の冷却速度で120℃から0℃まで冷却し、最後に2℃/分の加熱速度で0℃から20℃まで拡張する第2の温度上昇に供する。
【0164】
固体脂肪性物質の融点の値は、温度の関数として吸収されたパワー差の変動を表す、融解曲線の観測される最も吸熱的なピークの頂点の値である。
【0165】
極性炭化水素系ワックス
より詳細には、極性ワックスは、炭化水素系エステルワックス、炭化水素系アルコールワックス、シリコーンワックス及びまたそれらの混合物から選択される。
【0166】
「炭化水素系ワックス」という用語は、炭素原子及び水素原子、及び任意選択的に酸素原子又は窒素原子から基本的に形成され、実際にはそれらから構成される場合さえあり、ケイ素原子又はフッ素原子を含有しないワックスを意味すると理解される。これは、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン及び/又はアミド基を含有し得る。
【0167】
「エステルワックス」という用語は、本発明によれば、少なくとも1個のエステル官能基を含むワックスを意味するものとする。エステルワックスはさらにヒドロキシル化され得る。
【0168】
「アルコールワックス」という用語は、本発明によれば、少なくとも1個のアルコール官能基を含む、即ち少なくとも1個の遊離ヒドロキシル(OH)基を含むワックスを意味する。さらなるアルコールワックスは、特にエステル官能基を含まない。
【0169】
「シリコーンワックス」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子を含み、特にSi-O基を含むワックスを意味すると理解される。
【0170】
エステルワックス
特に、次のものから選択されるワックスをエステルワックスとして使用し得る:
i)式RCOOR(式中、R及びRは、直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族鎖を表し、その炭素原子の数は10~50まで変動し、ヘテロ原子、特に酸素を含有し得る)であり、その融点温度が30℃~120℃まで、好ましくは30℃~100℃まで変動するワックスが使用され得る。特に、エステルワックスとして、単独又は混合物としてのC20~C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(20~40個の炭素原子を含むアルキル基)又はC20~C40アルキルステアレートが使用され得る。このようなワックスは、特に、Koster Keunenによる、Kester Wax K 82 P(登録商標)、ヒドロキシポリエステルK 82 P(登録商標)、Kester Wax K 80 P(登録商標)又はKester Wax K82Hの名称で販売されている。C14~C18カルボン酸の及びアルコールのエステルの混合物、例えばKoster Keunenからの製品セチルエステルWax 814、CrodaからのSP Crodamol MS MBAL又はCrodamol MS PA又はLasersonからのMiracetiなど、も使用され得る。
グリコール及びブチレングリコールのモンタネート(オクタコサノエート)、例えば、Clariantから販売されているワックスであるLicowax KPS Flakes(INCI名:グリコールモンタネート)も利用され得る。
ii)HetereneからHest 2T-4S(登録商標)の名称で販売されている、ジ(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレート。
iii)次の一般式
-(-OCO-R-COO-R)のジカルボン酸ジエステルワックス(式中、R及びRは、同一であるか又は異なり、好ましくは同一であり、C~C30アルキル基を表し(アルキル基は4~30個の炭素原子を含む)、Rは、1個以上の不飽和を含有していてもよいし又は含有しなくてもよい、直鎖又は分岐状のC~C30脂肪族基を表す(アルキル基は4~30個の炭素原子を含む))。好ましくは、C~C30脂肪族基は直鎖且つ不飽和である。
iv)動物又は植物油、好ましくは、特に直鎖状又は分岐状C~C32脂肪鎖を有する、植物油、例えば水添ホホバ油、水添ヒマワリ油、水添ヒマシ油又は水添ヤシ油など、の接触水素化により得られるワックス及びまた、セチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水素化により得られるワックス、例えばSophimによってPhytowax Ricin 16L64(登録商標)及び22L73(登録商標)の名称で販売されるものなど。このようなワックスは仏国特許出願公開第FR-A-2 792 190号明細書に記載されている。ステアリルアルコールでエステル化されたオリーブ油を水素化することにより得られるワックスとして、「Phytowax Olive 18 L57」の名称で販売されているものが挙げられ得る。
v)動物又は植物起源のワックス、例えばミツロウ、合成ミツロウ、カルナウバロウ、カンデリラロウ、ラノリンロウ、米ぬかロウ、オーリクリーロウ、エスパルトグラスロウ、ベリーワックス(berry wax)、シェラックロウ、コルク繊維ロウ、サトウキビロウ、木ロウ、はぜロウ、モンタンロウ、オレンジ及びレモンロウ、ローレルロウ又はヒマワリロウ、特に精製ヒマワリロウ。
vi)動物又は植物起源の、天然又は合成ポリアルキレン化又はポリグリセロール化炭化水素系ワックスも挙げられ得;(C~C)オキシアルキレン単位の数は2~100の範囲であり得、グリセロール単位の数は1~20の範囲であり得る。例として、ポリオキシエチレン化ミツロウ、例えばPEG-6ミツロウ又はPEG-8ミツロウなど;ポリオキシエチレン化カルナウバロウ、例えばPEG-12カルナウバ;ポリオキシエチレン化又はポリオキシプロピレン化及び水添又は非水添ラノリンロウ、例えばPEG-30ラノリン又はPEG-75ラノリンなど;PPG-5ラノリンロウグリセリド;ポリグリセロール化ミツロウ、特にポリグリセリル-3ミツロウ、アカシア・デュカレンス(Acacia Decurrens)/ホホバ/ヒマワリ種子ロウ/ポリグリセリル-3エステル混合物、ポリグリセロール化植物ロウ、例えばミモザ、ホホバ又はヒマワリロウなど、及びそれらの混合物(アカシア・デュカレンス(Acacia Decurrens)/ホホバ/ヒマワリ種子ろうポリグリセリル-3エステル)が挙げられ得る。
vii)部分的又は全エステル、好ましくはグリセロールとの、飽和、任意選択的にヒドロキシル化C16~C30カルボン酸の全エステルに対応するワックス。「全エステル」という用語は、グリセロールのヒドロキシル官能基全てがエステル化されることを意味するものとする。例として、単独又は混合物としての、トリヒドロキシステアリン(又はグリセリルトリヒドロキシステアレート)、トリステアリン(又はグリセリルトリステアレート)又はトリベヘニン(又はグリセリルトリベヘネート)が挙げられ得る。適切な化合物の中でも、グリセロールの及び12-ヒドロキシステアリン酸のトリエステル、又は水添ヒマシ油、例えばElementis Specialtiesにより販売されるThixcin R及びThixcin Eが挙げられ得る。
viii)及びまたそれらの混合物。
【0171】
アルコールワックス
アルコールワックスとして、好ましくは直鎖状である、好ましくは飽和しており、16~60個の炭素原子を含み、その融点が25℃~90℃であるアルコールが挙げられ得る。アルコールワックスの例として、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、アラキジルアルコール又はそれらの混合物が挙げられ得る。
【0172】
無極性炭化水素系ワックス
本組成物は、任意選択的に、無極性炭化水素系ワックスから選択される少なくとも1つのさらなるワックスを含み得る。
【0173】
本発明の意味内で、「無極性炭化水素系ワックス」という用語は、その構造中に炭素又は水素原子のみを含むワックスを意味すると理解される。言い換えると、このようなワックスは、他の原子、特にヘテロ原子、例えば窒素、酸素又はケイ素など、を欠く。
【0174】
特に、本発明に適切な無極性ワックスの例として、炭化水素系ワックス、例えば微結晶ワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、ポリメチレンワックス、ポリエチレンワックス、特にポリエチレンの、Fischer-Tropsch合成により得られるワックス又はマイクロワックスが挙げられ得る。
【0175】
シリコーンワックス
シリコーンワックスとして、例えば、C30-45アルキルジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサン(INCI名)型の化合物を含む混合物、例えば、Dow Corningから販売されている製品であるDow Corning SW-8005 C30 Resin Waxが挙げられ得る。C30-45アルキルメチコン(INCI名)型の化合物を含む混合物、例えば、Dow Corning(登録商標)AMS-C30 Cosmetic Wax製品なども挙げられ得る。シリコーン化されたミツロウも挙げられ得る。
【0176】
好ましくは、本組成物は、何れのシリコーンワックスも含まない。好ましくは、これは、無極性炭化水素系ワックスを含有しない。
【0177】
好ましくは、本組成物が何れかを含む場合、ワックスは、極性炭化水素系ワックス、特に植物起源のワックス、植物油の接触水素化により得られるワックス、飽和、任意選択的にヒドロキシル化された、グリセロールを伴うC16~C30カルボン酸の全エステルに対応するワックス、及びまたそれらの混合物から選択される。
【0178】
本発明による組成物は、好ましくは極性である、好ましくは炭化水素系であり、前記組成物の質量に関して0.1質量%~10質量%、より詳細には0.1質量%~3質量%である、ワックスの含量を含み得る。
【0179】
ペースト状化合物
本発明による組成物は、周囲温度でペースト状である少なくとも1種の脂肪化合物も含み得る。
【0180】
本発明の目的のために、「ペースト状脂肪物質」という用語は、融点が20℃~55℃、好ましくは25℃~45℃の範囲であり、及び/又は40℃での粘度が、60Hzで回転するスピンドルを備えたContraves TV又はRheomat 80粘度計を使用して測定して、0.1~40Pa.s(1~400ポアズ)、好ましくは0.5~25Pa.sの範囲である脂肪物質を意味するものとする。
【0181】
当業者は、試験されるペースト状化合物において測定を行うことを可能にするために、それらの全般的知識に基づいて、スピンドルMS-r3及びMS-r4から粘度を測定するためのスピンドルを選択し得る。
【0182】
好ましくは、これらの脂肪物質は、任意選択的にポリマータイプの、炭化水素系化合物であり;これらはまた、シリコーン化合物から選択され得;これらはまた、炭化水素系及び/又はシリコーン化合物の混合物の形態でもあり得る。
【0183】
異なるペースト状脂肪物質の混合物の場合、好ましくは、支配的な割合(predominant proportion)で、ペースト状炭化水素系化合物(主に炭素及び水素原子及び任意選択的に酸素原子を含有、より詳細にはエステル基の形態)が使用される。
【0184】
本発明による組成物において使用されることが可能なペースト状化合物の中でも、粘度が18~21Pa.s、好ましくは19~20.5Pa.sであり、及び/又は融点が30℃~55℃である、ラノリン及びラノリン誘導体、例えばアセチル化ラノリン、オキシプロピレン化ラノリン又はイソプロピルラノレート、及びそれらの混合物が挙げられ得る。脂肪酸の又は脂肪アルコールのエステル、特に、トリイソステアリル又はセチルシトレート;アラキジルプロピオネート;ポリビニルラウレート;コレステロールエステル;植物起源のトリグリセリド、例えば部分的又は完全水添植物油;植物起源のバター;粘性のあるポリエステル、例えばポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)など;及びそれらの混合物など、20~65個の炭素原子を有するもの(20℃~35℃の桁の融点及び/又は40℃で0.1~40Pa.sの範囲の粘度)も使用され得る。
【0185】
グリセロールのヒドロキシル基の一部が脂肪酸、例えばステアリン酸、カプリン酸、イソステアリン酸及び12-ヒドロキシステアリン酸の混合物と反応した、オリゴマーグリセロールのエステル、特にジグリセロールのエステル、特にアジピン酸の及びグリセロールの縮合物、例えば特にSasolによりSoftisan 649のブランド名で販売されているものなど;又は適切な場合、それらの遊離アルコール又は酸性官能基において酸又はアルコールラジカルでエステル化される、二量体ジオール及び二量体二酸の他のエステル、特に二量体ジリノレエートエステル;例えばPlandoolのブランド名で販売されている製品(ビス-ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル二量体ジリノレイル二量体ジリノレエート(Plandool G)又はフィトステリル/イソステリル/セチル/ステアリル/ベヘニル二量体ジリノレエート(Plandool H又はPlandool S))もペースト状化合物として適切であり得る。
【0186】
ペースト状シリコーン脂肪物質、例えば、8~24個の炭素原子を有し、融点が20~55℃であるアルキル又はアルコキシ型の懸垂鎖を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)、例えばステアリルジメチコン、特に商品名DC2503及びDC25514でDow Corningにより販売されているもの、及びそれらの混合物も挙げられ得る。
【0187】
本発明による組成物は、本組成物の質量に関して0.1質量%~5質量%、より詳細には0.1質量%~2質量%の含量の、好ましくは極性である、好ましくは炭化水素系であるペースト状化合物を含み得る。
【0188】
通常のさらなる化粧用成分
本発明による組成物は、特に充填剤;疎水性修飾されていてもよいし又はされていなくてもよい、脂溶性増粘剤、例えばシリカなど、疎水性修飾されていてもよいし又はされていなくてもよいクレイ、デキストリンエステル;抗酸化剤;エチルセルロース以外の、脂溶性又は親水性皮膜形成ポリマー;芳香剤;保存剤;中和剤、緩衝剤;日焼け止め;甘味料;ビタミン;フリーラジカル消去剤;捕捉剤;及びそれらの混合物から選択され得る何れかの通常の化粧用成分も含み得る。
【0189】
言うまでもなく、当業者は、本発明による組成物の有利な特性が悪影響を受けないか又は実質的に悪影響を受けないように、これらの任意選択的なさらなる成分及び/又は量を選択するために注意を払う。
【0190】
本組成物の調製
エマルションは、油中水型エマルションを調製するための当業者にとって従来的である手段を使用することにより得られる。
【0191】
従って、エマルションの、一方で水性相及び、他方で油性相が調製され、均質な組成物を得るために十分に撹拌しながら、このように得られたこれらの2つの相を接触させ;水性相が好ましくは油性相に導入される。
【0192】
通常、エチルセルロースを第1の油と接触させ、次いで好ましくは均質な混合物が得られた後に、ワックス又はペースト状化合物のタイプの、任意選択的な固体化合物を含む油性相の他の化合物を添加する。
【0193】
着色料は、それらの性質に依存して、水性相又は脂溶性相において存在し得るか、又は、実際にこれらの2つの可能性の組み合わせでさえも、エマルションが得られた時点で添加され得る。
【0194】
油性相の調製が行われる温度は通常、それを構成する成分の性質に依存して、25℃~110℃、好ましくは70℃~90℃で変動する。
【0195】
水性相の調製は一般に、40~90℃の温度で行われる。
【0196】
同様に、2つの相の混合は、より詳細には、100℃未満の温度で、目安として90℃以下の温度で行われる。例えば、エマルションは40~90℃の温度で生成される。
【0197】
エマルションが得られたら、好ましくは撹拌しながら、適切な容器中に封入するのに適切な温度まで、これを従来的に冷却するか又は冷ます。
【0198】
塗布方法
本発明の別の主題は、上記のような組成物の塗布で構成される、口唇に対してメイクアップを行い及び/又はケアを行うための方法である。
【0199】
本発明による組成物は、例えば少なくとも部分的にフロック加工されるアプリケーターヘッドを含むアプリケーターを使用しているものであろうとそうでなかろうと、何れかの適切な手段を介して、又はそうでなければ指により、掬い上げられ、塗布され得る。
【0200】
特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、「含む(comprising a)」という表現は、別段の指定がない限り、「少なくとも1つを含む」と同義であると理解すべきである。
【0201】
「~と~との間」及び「~から~までの範囲」という表現は、特段の指定がない限り、端点を包含することを意味すると理解すべきである。
【0202】
さらに、本組成物の成分の量の合計は、本組成物の100質量%に相当する。
【0203】
以下に示す実施例により本発明をより詳細に説明する。
【0204】
特段の記載がない限り、ここに示す量は、質量百分率として表す。
【0205】
続く実施例は本発明を例示するために与えられるものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例
【0206】
実施例1
以下の組成物を調製する:
【0207】
【表1】
【0208】
調製方法
均質な混合物が得られるまで85℃で撹拌しながら、Rayneriミキサー中でオクチルドデカノール、ジカプリリルエーテル及びエチルセルロースを混合する。
【0209】
同時に、撹拌しながら85℃で、Rayneriミキサー中で水、界面活性剤、染料及び保存剤を混合することによって、水性相を調製する。
【0210】
その後、85℃でRayneriミキサー中で撹拌しながら、水性相を第1の混合物に添加する。
【0211】
混合物を周囲温度まで冷却し、適切な容器中に入れる。
【0212】
評価
透明であり(TurbiscanLAB;Formulactionでの光透過のパーセンテージの測定)、着色され、均質であり、安定である組成物が得られる。
【0213】
これは、均質な沈着物として容易に塗布され、あまり粘着性がなく、メイクアップされる領域から流れ出さず、僅かしか移動しない。
【0214】
沈着物は、存在し、濃厚であり、快適であり、潤い感をもたらす。
【0215】
沈着物は、以下の表で示されるように、光沢があり、長時間にわたり残存する(本記載で示されるプロトコールに従い評価):
【0216】
【表2】
【0217】
実施例2
以下の組成物を調製する:
【0218】
【表3】
【0219】
調製方法
均質な混合物が得られるまで85℃で撹拌しながら、Rayneriミキサー中でオクチルドデカノール、ジカプリリルエーテル及びエチルセルロースを混合する。
【0220】
同時に、撹拌しながら85℃で、Rayneriミキサー中で水、界面活性剤、染料、グリセロール及び保存剤を混合することによって、水性相を調製する。
【0221】
その後、85℃でRayneriミキサー中で撹拌しながら、水性相を第1の混合物に添加する。
【0222】
混合物を周囲温度まで冷却し、適切な容器中に入れる。
【0223】
評価
透明であり(TurbiscanLAB;Formulactionでの光透過のパーセンテージの測定)、着色され、均質であり、安定である組成物を得る。
【0224】
これは、均質な沈着物として容易に塗布され、あまり粘着性がなく、メイクアップされる領域から流れ出さず、僅かしか移動しない。
【0225】
沈着物は、存在し、濃厚であり、快適であり、潤い感に寄与する。
【0226】
沈着物は、以下の表で示されるように、光沢があり、長時間にわたり残存する(本記載で示されるプロトコールに従い評価):
【0227】
【表4】
【0228】
実施例3
以下の組成物を調製する:
【0229】
【表5】
【0230】
調製方法
均質な混合物が得られるまで85℃で撹拌しながら、Rayneriミキサー中で油(オクチルドデカノール、ジカプリリルエーテル、ペンタエリスリチルテトライソステアレート)の一部の中でエチルセルロースを混合する。
【0231】
3本ロールミルを用いて残りの油中で顔料を粉砕し、次いで前出の混合物に添加する。
【0232】
同時に、撹拌しながら85℃で、Rayneriミキサー中で水、界面活性剤、グリセロール、プロパンジオール及び保存剤を混合することによって、水性相を調製する。
【0233】
その後、85℃でRayneriミキサー中で撹拌しながら、水性相を第1の混合物に添加する。
【0234】
合わせた生成物を周囲温度まで冷却し、適切な容器に入れる。
【0235】
評価
均質で安定な組成物が得られる。
【0236】
これは、均質な沈着物として容易に塗布され、あまり粘着性がなく、メイクアップされる領域から流出せず、僅かしか移動しない。
【0237】
沈着物は、存在し、濃厚であり、快適であり、潤い感をもたらす。
【0238】
沈着物は、光沢があり、長時間にわたり残存する。
【0239】
実施例4
以下の組成物を調製する:
【0240】
【表6】
【0241】
調製方法
均質な混合物が得られるまで85℃で撹拌しながら、Rayneriミキサー中でオクチルドデカノール、ジカプリリルエーテル及びエチルセルロースを混合する。
【0242】
同時に、撹拌しながら85℃で、Rayneriミキサー中で水、界面活性剤、染料、グリセロール及び保存剤を混合することによって、水性相を調製する。
【0243】
その後、85℃でRayneriミキサー中で撹拌しながら、水性相を第1の混合物に添加する。
【0244】
混合物を周囲温度まで冷却し、適切な容器中に入れる。
【0245】
評価
半透明(TurbiscanLab;Formulactionを用いた光透過のパーセンテージの測定)、均質及び安定な組成物が得られる。
【0246】
これは、均質な沈着物として容易に塗布され、あまり粘着性がなく、メイクアップされる領域から流出せず、僅かにしか移動しない。
【0247】
沈着物は、存在し、濃厚であり、快適であり、潤い感をもたらす。
【0248】
沈着物は、光沢があり、長時間にわたり残存する。
【0249】
比較例5
以下の組成物を調製する:
【0250】
【表7】
【0251】
調製方法
均質な混合物が得られるまで85℃で撹拌しながら、Rayneriミキサー中でオクチルドデカノール、トリメチルシロキシフェニルジメチコン及びエチルセルロースを混合する。
【0252】
同時に、撹拌しながら85℃で、Rayneriミキサー中で水、界面活性剤、染料及び保存剤を混合することによって、水性相を調製する。
【0253】
その後、85℃でRayneriミキサー中で撹拌しながら、水性相を第1の混合物に添加する。
【0254】
混合物を周囲温度まで冷却し、適切な容器に入れる。
【0255】
評価
得られる混合物は、均質な油中水組成物である。
【0256】
本発明による(例えば実施例1による)組成物よりも塗布はかなり困難である:これは、粘つきがより大きく、塗布中に抵抗感がある(この組成物は「ブレーキ性がある」と言われる)。さらに、得られる沈着物は、粘着性があり輝きがあるが、脂っぽい。
【国際調査報告】