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特表2024-501268液体透過性被覆材料及び充填材料を含む経口用の袋状製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】液体透過性被覆材料及び充填材料を含む経口用の袋状製品
(51)【国際特許分類】
   A24B 13/00 20060101AFI20231228BHJP
   A24B 15/36 20060101ALI20231228BHJP
   A24B 15/32 20060101ALI20231228BHJP
   A24B 15/42 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A24B13/00
A24B15/36
A24B15/32
A24B15/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538118
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2021086955
(87)【国際公開番号】W WO2022136353
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】20216468.7
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510171922
【氏名又は名称】スウィーディッシュ・マッチ・ノース・ヨーロップ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】モルテン・キンドヴァル
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BC02
4B043BC03
4B043BC11
4B043BC12
4B043BC18
4B043BC19
4B043BC26
(57)【要約】
充填材料(3)を封入する液体透過性被覆材料(2)を含む経口用の袋状製品(1)であって、充填材料が非水溶性粒子からなる粒子材料、及び粒子材料に加えて1つ又は複数の水溶性成分を含む、袋状製品(1)。粒子材料の粒子(4)は、粒子密度、及びかさ密度を有し、粒子密度は、0.9g/cm~2.0g/cmの範囲であり、粒子材料のかさ密度より少なくとも1.4倍大きい。充填材料は、充填材料の1質量%~充填材料(3)の35質量%の使用前の含水率を有し、タバコ材料を含まないか、又は充填材料の全質量に基づき0.05wt%~10wt%の範囲の量のタバコ材料を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体透過性被覆材料(2)、並びに非水溶性粒子からなる粒子材料、及び前記粒子材料に加えて1つ又は複数の水溶性成分を含む充填材料(3)を含む経口用の袋状製品(1)であって、
前記充填材料(3)が前記液体透過性被覆材料(2)に封入されており、前記粒子材料の粒子(4)が粒子密度、及びかさ密度を有し、
前記粒子材料の粒子(4)が0.9g/cm~2.0g/cmの範囲の粒子密度を有し、
前記粒子密度が前記粒子材料のかさ密度より少なくとも1.4倍大きく、前記充填材料(3)が前記充填材料(3)の1質量%~前記充填材料(3)の35質量%の使用前の含水率を有し、前記充填材料(3)がタバコ材料を含まないか、又は前記充填材料(3)が前記充填材料の全質量に基づき0.05wt%~10wt%の範囲の量のタバコ材料を含むことを特徴とする、袋状製品(1)。
【請求項2】
前記粒子密度が前記粒子材料のかさ密度より1.4~5倍大きく、例えば前記粒子材料のかさ密度より1.5~4倍大きい、請求項1に記載の袋状製品(1)。
【請求項3】
前記粒子材料の粒子(4)が非水溶性親水性粒子(4)、例えば微結晶性セルロース、非水溶性デンプン、シリカ、又はそれらの混合物の非水溶性粒子を含むか又はそれらからなることができる、請求項1に記載の袋状製品(1)。
【請求項4】
前記粒子材料の粒子(4)が前記充填材料(3)の75乾燥質量%~99乾燥質量%、例えば前記充填材料(3)の85乾燥質量%~99乾燥質量%を構成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の袋状製品(1)。
【請求項5】
前記粒子材料の粒子(4)が0.3mm~3.0mmの範囲、例えば0.7mm~3.0mmの範囲の平均粒径を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の袋状製品(1)。
【請求項6】
前記粒子材料が0.5%未満の、250μmのメッシュサイズを有するふるいを通過するのに十分小さい粒子を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の袋状製品(1)。
【請求項7】
前記充填材料(3)がニコチン化合物、例えばニコチン塩基及び/又はニコチン塩の形態で前記充填材料に添加されたニコチンを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の袋状製品(1)。
【請求項8】
前記充填材料(3)が香味剤、甘味料、保湿剤、及びいずれかのそれらの混合物からなる群より選択された添加剤を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の袋状製品(1)。
【請求項9】
前記添加剤が香味剤、例えば香味油、例えば疎水性香味油、例えば合成香味料、例えば天然物と同一の香味料を含むか又はそれらからなる、請求項10に記載の袋状製品(1)。
【請求項10】
1つ又は複数の水溶性成分(11)のうちの少なくとも1つが前記粒子材料の粒子(4)の少なくともいくつかの表面に、例えば前記粒子材料の粒子(4)の20%~100%に、又は前記粒子材料の粒子(4)の50%~100%に、又は前記粒子材料の粒子(4)の80%~100%に存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の袋状製品(1)。
【請求項11】
1つ又は複数の水溶性成分(11)のうちの少なくとも1つが前記粒子材料の粒子(4)間の隙間(12)に存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の袋状製品(1)。
【請求項12】
前記液体透過性被覆材料(2)が不織布材料、例えば再生セルロースのステープル繊維を含む不織布材料である、請求項1から11のいずれか一項に記載の袋状製品(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体透過性被覆材料、並びに液体不溶性粒子材料、及びこの粒子材料に加えて1つ又は複数の水溶性成分を含む、1回分の量の充填材料を含む経口用の袋状製品であって、充填材料が液体透過性被覆材料に封入されており、粒子材料の粒子が粒子密度、及びかさ密度を有する、袋状製品に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書に開示された経口袋状製品は、例えば頬に置くこと、例えば袋状製品を上側又は下側の歯茎と唇又は頬との間に置くことによる、口腔内での使用を意図されている。袋状無煙タバコ製品はまた、経口用ポーションパック無煙タバコ製品と呼ぶこともできる。袋状製品は、通常、上側又は下側の歯茎と唇又は頬との間で使用者の口内に心地よく目立たないように適合するように、寸法決めされ、構成される。
【0003】
伝統的には、経口袋状製品は消費者の口腔内で使用され、使用者に活性物質、例えばニコチン、カフェイン、及び/又は様々な香味料の利益を提供する。一般的な種類のニコチン含有経口袋状製品は、経口無煙タバコ製品である。そのような製品は、通常、水、塩、pH調整剤、及び更なる成分、例えば香味料及び保湿剤を含む。一般的に、これらの製品はスナッフと呼ばれる。
【0004】
タバコを含まないか、又は少量のみのタバコを含む経口袋状ニコチン含有製品は、とりわけそれらの魅力的な外見、新鮮さ、及び味のために、現在、消費者の間でますます人気となっている。更に、この種の製品は、タバコに曝露させることなく使用者にニコチンを楽しませる。タバコを含まないか、又はほとんどタバコを含まない経口袋状製品は、通常、例えば微結晶性セルロース、又はタバコ以外の植物に由来する繊維材料を含むことのできる充填材料を含む、風味付けされた組成物である。
【0005】
タバコを含まない経口袋状製品は、通常、比較的乾燥した製品であり、使用前の含水率が充填材料の35質量%を下回り、しばしば充填材料の20質量%を下回る。充填材料の4~10質量%ほどの更に低い含水率を有する経口袋状製品もまた当該分野で知られている。
【0006】
更なる種類の経口袋状製品は、口腔内に香味料のみを送達するもの、及びニコチン以外の活性物質を送達するために設計されたものである。
【0007】
経口袋状製品は、典型的には、上側又は下側の歯茎と唇との間に小袋を置き、それをそこに限定された期間維持することによって消費者により用いられる。この製品は、使用者の口内に心地よく目立たないように適合するように構成される。小袋材料は、充填材料を所定の位置に保持し、唾液が充填材料内に入るようにして、香味料及び活性物質、例えばニコチンが充填材料から消費者の口内に拡散するようにする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】連邦官報/vol.74、no.4/712-719/2009年1月7日水曜日/掲示「Total moisture determination」
【非特許文献2】AOAC(Association of Official Analytical Chemics)、Official Methods of Analysis 966.02:「Moisture in Tobacco」(1990)、第5版、K.Helrich(編)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書の開示の目的は、特性、例えば口当たり、使用者満足度、並びに成分、例えば活性剤、及び香味料の迅速な放出が改善した、充填材料を含む経口袋状製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、請求項1に記載の経口袋状製品により達成することができる。本開示のバリエーションが従属請求項及び以下の説明に示される。
【0011】
本明細書に開示された経口用の袋状製品は、液体透過性被覆材料、並びに非水溶性粒子からなる粒子材料、及び粒子材料に加えて1つ又は複数の水溶性成分を含む充填材料を含む。充填材料は、液体透過性被覆材料に封入されている。粒子材料の粒子は、粒子密度、及びかさ密度を有する。粒子材料の粒子は、0.9g/cm~2.0g/cmの範囲の粒子密度を有する。粒子密度は、粒子材料のかさ密度より少なくとも1.4倍大きい。充填材料は、充填材料の1質量%~充填材料の35質量%の使用前の含水率を有する。充填材料は、タバコ材料を含まないか、又は充填材料は、充填材料の全質量に基づき0.05wt%~10wt%の範囲の量のタバコ材料を含む。
【0012】
粒子材料の粒子密度は、粒子材料のかさ密度より1.4~5倍、例えば粒子材料のかさ密度より1.5~4倍大きいものであることができる。
【0013】
粒子密度0.9g/cmの場合、粒子材料のかさ密度は0.6g/cm以下であり、粒子密度2g/cmの場合、粒子材料のかさ密度は1.4g/cm以下である。
【0014】
粒子密度とかさ密度との差は、粒子材料の非水溶性粒子間の隙間により作られる、充填材料における空隙容積の量を反映する。粒子密度とかさ密度との差が小さい場合、充填材料における空隙容積の量は小さい。例えば、粒子密度とかさ密度とに差が存在しないか、又は実質的に存在しない場合、空隙容積は存在しないか、又は実質的に存在しない。これに対して、粒子密度とかさ密度との差が大きい場合、空隙容積の量は大きくなる。大きな空隙容積により、充填材料の大部分に含まれる唾液がそれに応じて大量になる。粒子間の隙間は充填材料においてマクロスケールのチャネル網を形成し、そのチャネルにて唾液が充填材料へと、及び充填材料から、流れることができる。充填材料における水溶性成分は、唾液に容易に溶解することができ、非水溶性粒子間の隙間によって形成されたマクロスケールのチャネルにおいて充填材料から迅速に移動することができ、このことは使用者の口腔内への水溶性成分の迅速な放出をもたらす。使用中に小袋が機械的に動くことは、更に、チャネル網の構造を変えることによって充填材料における唾液の移動及び水溶性成分の迅速な放出を促進するのに役立つことができ、それにより、充填材料の塊における「ポンプ作用」を作り出す。
【0015】
本明細書に開示された経口袋状製品における充填材料は、充填材料の1質量%~充填材料の35質量%の本明細書に開示された方法により決定された使用前の含水率を有する。本明細書に開示された経口袋状製品における充填材料は、充填材料の1質量%~充填材料の30質量%、例えば充填材料の1質量%~充填材料の25質量%、例えば充填材料の1質量%~充填材料の20質量%、例えば充填材料の1質量%~充填材料の15質量%、例えば充填材料の1質量%~充填材料の7質量%、例えば充填材料の5質量%~充填材料の30質量%、例えば充填材料の5質量%~充填材料の25質量%、例えば充填材料の5質量%~充填材料の20質量%、例えば充填材料の5質量%~充填材料の15質量%、例えば充填材料の10質量%~充填材料の20質量%、例えば充填材料の10質量%~充填材料の15質量%の本明細書に開示された方法により決定された使用前の含水率を有することができる。
【0016】
本明細書に開示された経口袋状製品における充填材料の含水率が20質量%未満であることが好ましい場合がある。
【0017】
本明細書に開示された経口袋状製品における上記で設定された比較的低い使用前の含水率を有する充填材料は、使用者容器からそれを取り出してそれを例えば使用者の上側又は下側の唇と歯茎との間に入れる際、新鮮で取り扱い易いものと使用者に理解される。比較的低い使用前の含水率はまた、充填材料の大部分の容積を構成する粒子材料の粒子を互いに関してより自由に移動させ、経口袋状製品が形をとること、及び使用者の口腔内において経口袋状製品が置かれるスペースの形状に一致するように作られることをより容易にする。
【0018】
充填材料における粒子材料は、非水溶性粒子である。非水溶性粒子は、微結晶性セルロース、非水溶性デンプン、シリカ、又はそれらの混合物の粒子であることができる。
【0019】
粒子材料の非水溶性粒子は、0.9g/cm~2.0g/cmの範囲、例えば1.0g/cm~1.7g/cm、例えば1.0g/cm~1.5g/cm、例えば1.1g/cm~1.4g/cmの粒子密度を有する高密度の非多孔質粒子である。
【0020】
高密度の非多孔質非水溶性粒子を用いることで、充填材料における粒子材料の非水溶性粒子の孔に水溶性成分が本質的には存在しないか、又は少量のみが存在することから、充填材料からの水溶性成分の迅速な放出を促進することができる。
【0021】
粒子材料の非水溶性粒子は、充填材料の75乾燥質量%~99乾燥質量%、例えば充填材料の85乾燥質量%~98乾燥質量%又は充填材料の95乾燥質量%~98乾燥質量%を構成することができる。粒子材料の粒子は、充填材料の85乾燥質量%~99乾燥質量%を構成することができる。
【0022】
充填材料における非水溶性粒子材料の容積は、好ましくは、充填材料の容積を規定し、経口袋状製品の充填材料のいずれかの更なる成分は、無視できるほどの程度又は非常に少ない程度のみ充填材料の容積に寄与する。本明細書で用いられる場合、「非常に少ない程度」により、5%未満、例えば3%未満、2%未満、好ましくは1%未満の粒子材料の粒子以外の成分による充填材料の容積への寄与が意味される。
【0023】
本開示の経口袋状製品は、経口袋状製品の使用前の容積と同じ程度の使用後の容積を有することができる。このことは、経口袋状製品の容積が経口袋状製品の使用中に大部分変化しないままであることができることを意味し、これは、多くの使用者に好まれることが分かっている経口袋状製品の特性である。使用中に容積を失わない経口袋状製品は、新しい未使用の製品の口当たりを維持し、より展性に富み、口内でより長い使用時間保つために満足のいくものであると理解することができる。
【0024】
充填材料における粒子材料の粒子は比較的大きい粒子であることが好ましく、0.3mm~3.0mmの範囲、例えば0.4mm~3.0mm、例えば0.3mm~2.5mm、例えば0.4mm~2.5mm、例えば0.5mm~2.5mm、例えば0.6mm~2.5mm、例えば0.7mm~2mm、例えば0.8mm~1.5mm、例えば0.85mm~1.2mmの平均粒径を有することができる。
【0025】
充填材料における粒子材料の粒子は、通常、同じ大きさであることができ、狭い粒度分布プロファイルを有する。
【0026】
充填材料における粒子材料の粒子は、好ましくは球状であるか、又は通常は0.7~1.0の範囲、例えば0.8~1.0の真球度、及び0.3mm~3mm、例えば0.4mm~3mm、例えば0.7mm~3mmの直径を有する球状粒子である。
【0027】
真球度及び粒径は、Rodos/L分散ライン、ID NO 214D、及びVibri/L試料供給器、ID NO 273を備えた、2012年からのQicPic画像解析装置、Sympatec GmbH、ID No.290-D、又は同等の装置を用いて決定することができる。良好に分散した粒子の流れを装置の画像平面全体に流す。粒子が小さい場合、画像フレーム当たり多数の粒子、例えば画像フレーム当たり50,000~100,000個ほどの粒子を捕捉することができる。より大きい粒子、例えば300μm~3000μmの粒径を有する粒子については、画像フレーム当たりの粒子の数はかなり少なくなり、画像フレーム当たり300~2000個ほどの粒子になりうる。
【0028】
本明細書に開示された充填材料における粒子材料は、0.5%未満の、250μmのメッシュサイズを有するふるいを通過するのに十分小さい粒子を含むことができる。
【0029】
メッシュサイズ250μmは、小さいサイズから中程度のサイズほどの砂粒子の粒径に相当する。そのような粒子は、特に粒子が不溶性粒子である場合に、製品が口腔内に置かれた後に長時間残りうるザラザラした乾燥した口当たりを生じさせることから、被覆材料から使用者の口腔内に漏出した場合に極めて不快である。
【0030】
充填材料における小粒子及び細粒はまた、それらがシールの形成を妨げ、機械部品の目詰まりを引き起こしうることから、経口袋状製品の製造中に散粉の問題を引き起こしうる。健康面及び衛生面から、製造プロセスにおいて粉末の量を最小限に抑えることも望まれる。
【0031】
本明細書に開示された経口袋状製品の充填材料は、ニコチンを含むことができる。
【0032】
粒子材料の粒子間の大きな空隙容積は、経口袋状製品に存在するニコチン及び他の活性成分、香味料、甘味料等の放出速度の速い経口袋状製品を提供するのに寄与する。
【0033】
ニコチンは、ニコチン化合物の形態で充填材料の粒子材料に添加することができる。ニコチン化合物は、ニコチン塩基であることができ、並びに/又はニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン酒石酸塩、ニコチン酒石酸水素塩、ニコチン酒石酸水素塩二水和物、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物及びニコチンサリチル酸塩、ニコチン安息香酸塩、ニコチンポラクリレックス、及びいずれかのそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。
【0034】
本明細書に開示された経口袋状製品の充填材料は、タバコを含まない充填材料、又は低タバコ含有量を有する充填材料であり、この充填材料が充填材料の全質量に基づき0.05wt%~10wt%の範囲、例えば0.05wt%~1wt%、又は0.2wt%~1wt%の量のタバコ材料を含む。このような場合、タバコ材料はニコチン源でありうる。タバコ材料は、唯一のニコチン源であってもよく、本明細書に開示されたニコチン化合物の1つ又は複数に加えてのニコチン源であってもよい。本明細書に開示された充填材料における粒子材料は、好ましくは、タバコを含まない粒子、例えばタバコを含まない微結晶性セルロース粒子、非水溶性デンプン粒子、シリカ粒子、又は2つ以上の異なる種類のタバコを含まない粒子の混合物により構成される。タバコを含まない充填材料又はタバコを含まない粒子は、0.05wt%を下回る微量のタバコを含んでもよい。
【0035】
本明細書に開示された経口袋状製品の充填材料は、香味剤、甘味料、保湿剤、及びいずれかのそれらの混合物からなる群より選択された添加剤を含むことができる。
【0036】
添加剤は、香味剤、例えば香味油、例えば疎水性香味油、例えば合成香味料、例えば天然物と同一の香味料を含むか又はそれらからなることができる。
【0037】
本明細書に開示された経口袋状製品の充填材料は、タバコ材料を含まないものであることができる。タバコを含まない充填材料は、他の植物源、例えばコーヒー、茶、ハーブ等に由来する材料、及び/又は当該分野で知られているいずれかの適切な香味剤、甘味料等を含むことができる。
【0038】
1つ又は複数の水溶性成分、及び他の添加剤は、好ましくは、充填材料における粒子材料の非水溶性粒子に該非水溶性粒子が形成された後で付与される。1つ又は複数の水溶性成分、及び他の添加剤は、液体/水性の混合物として非水溶性粒子に添加することができる。全ての添加される成分を同じ混合物に含むことができる。別の方法では、異なる成分は異なる付与工程で添加することができ、例えば香味剤は、活性剤、例えばニコチンとは別の工程で添加することができる。予め形成された非水溶性粒子に1つ又は複数の水溶性成分、及び他の添加剤を付与することにより、添加剤の大部分が非水溶性粒子の表面に残り、非水溶性粒子の内部に浸入せず、それにより全ての又は実質的に全ての添加剤が充填材料における非水溶性粒子の表面に存在する。非水溶性粒子は、好ましくは、均質な親水性粒子、例えば微結晶性セルロース、非水溶性デンプン、及びシリカのうちの1つ又は複数の粒子である。更に、非水溶性粒子が微結晶性セルロース、非水溶性デンプン、及びシリカのうちの1つ又は複数の単成分粒子により構成されていることが好ましい場合がある。
【0039】
本明細書に開示された袋状製品では、1つ又は複数の水溶性成分のうちの少なくとも1つは、充填材料における粒子材料の粒子の少なくともいくつかの表面に、例えば粒子の20%~100%に、又は粒子の50%~100%に、又は粒子の80%~100%に存在することができる。
【0040】
本明細書に開示された袋状製品では、1つ又は複数の水溶性成分のうちの少なくとも1つは、充填材料における粒子材料の粒子間の隙間に存在することができる。
【0041】
1つ又は複数の水溶性成分の全て又は少なくとも大部分が、粒子材料の粒子の孔に捕捉されるのとは対照的に表面、及び/又は充填材料における粒子材料の粒子間の隙間に存在する場合、充填材料からの活性物質のほとんど完全な放出を理想的には達成することができる。
【0042】
1つ又は複数の水溶性成分のうちの少なくとも1つは、充填材料における粒子材料の粒子の少なくともいくつかの表面、及び充填材料における粒子間の隙間の両方に存在することができる。
【0043】
充填材料の水溶性成分、例えばニコチン、香味剤、甘味料等は、充填材料の粒子材料の粒子の内部細孔構造に存在しないか又は実質的に存在しないことが好ましい場合がある。
【0044】
本明細書に開示されたような経口袋状製品の充填材料は、複数種類の粒子を含むことができる。従って、粒子材料の非水溶性粒子が第1の種類の粒子を構成し、第2の種類の粒子は、1つ又は複数の特性、例えばサイズ、形状、又は組成において第1の種類の粒子とは異なりうる。第2の種類の粒子は、非水溶性粒子であってもよく、完全に又は部分的に水溶性の粒子であってもよい。
【0045】
経口袋状製品の液体透過性被覆材料は、不織布材料、例えば再生セルロースのステープル繊維を含む不織布材料であることができる。ステープル繊維は、ビスコースステープル繊維であることができ、不織布材料は、更に、バインダーを含むことができる。
【0046】
定義
用語「経口」及び「経口用」は、ヒトの口腔内における粘膜と接触する製品の使用、例えば口腔内において製品を頬に置くことをいう。本明細書に開示された経口用の製品は、全体として口腔内に置かれることが意図されており、飲み込まれることが意図されたものではない。
【0047】
本明細書で用いられる場合、用語「経口用の袋状製品」又は「経口袋状製品」は、唾液抽出物を含む、唾液透過性小袋材料に包装された無煙組成物の部分をいう。
【0048】
本明細書で用いられる場合、「粒子」は、最大寸法5mm未満及びアスペクト比0.3~1を有する材料の3次元片である。本明細書で用いられる場合、「アスペクト比」、AR、は、粒子の長さlで割った粒子の幅wとして計算され、ここで長さは粒子の最も長い寸法として決定され、幅は長さに直交する最も長い寸法として決定される:A=w/l。アスペクト比1を有する粒子は、例えば、完全な球又は立方体でありうる。本明細書に開示された経口袋状製品の充填材料における粒子材料として有用な粒子は、規則的な形状、例えば球状、立方形、円筒状等を有してもよく、不規則な形状を有してもよいが、規則的又はほぼ規則的な形状が通常は好ましい。粒子は、通常は滑らかな外面を有することができ、又は外面に少しの逸脱を有することもできる。
【0049】
本明細書で用いられる場合、「非水溶性粒子」は、使用者の口腔内で唾液に晒された場合に溶解せず、経口用の袋状製品に組み込まれた場合にその形状を維持するか、又は実質的に維持する粒子である。非水溶性はまた、本明細書で言及された非水溶性粒子の粒径が、非水溶性粒子を組み込んだ経口袋状製品の使用中に減少しないか又は少なくとも1%より多く減少しないことを意味する。非水溶性粒子の形状及びサイズは、使用中に実質的に影響を受けないままであることができる。しかしながら、非水溶性粒子の一定量の膨潤は、許容されうるか又は望まれうる。膨潤は、好ましくは、非水溶性粒子の使用前の容積の30%未満、より好ましくは非水溶性粒子の使用前の容積の20%未満であるべきである。
【0050】
本明細書で用いられる場合、用語「含水率」は、構成材料、組成物、又は製品に存在し、本明細書に開示された乾燥減量(LOD)法に従って決定されるオーブン揮発性物質、例えば水及び他のオーブン揮発性物質(例えばプロピレングリコール)の質量パーセントwt%をいう。
【0051】
材料、組成物、又は製品の「乾燥質量」は、材料、組成物、又は製品の全質量から水分の量を引くことにより計算され、含水率は、本明細書に開示された乾燥減量(LOD)法により決定される。
【0052】
本明細書で用いられる場合、用語「水含有量」は、構成材料、組成物、又は製品における水の質量パーセントwt%をいう。水含有量は、水質分析の標準的な方法、例えばKarl Fischer滴定、ガスクロマトグラフィーGCを用いることにより決定することができる。
【0053】
用語「更なる成分」は、本明細書に開示された充填材料において粒子材料の粒子に加えて存在する水以外のあらゆる成分、例えば塩(例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、及びいずれかのそれらの組み合わせ)、pH調整剤(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、又は炭酸水素ナトリウム)、香味剤、甘味料、着色剤、保湿剤(例えばプロピレングリコール、又はグリセロール)、酸化防止剤、防腐剤(例えばソルビン酸カリウム)、バインダー、タバコ、及び非タバコ植物材料をいう。本明細書に開示された経口袋状製品における充填材料の一部である水溶性成分は、1つ又は複数の更なる成分を構成する。
【0054】
用語「香味料」又は「香味剤」は、本明細書において、経口袋状製品の香り及び/又は味に影響を与えるために用いられる物質に用いられる。香味料は、当該分野で知られているあらゆる食品等級の天然又は合成の香味料であることができ、限定されることなく、精油、単一の香味料化合物、複合香味料、及び抽出物が挙げられる。
【0055】
「タバコ」又は「タバコ材料」により、タバコ属のあらゆる構成員のあらゆる部分、例えば葉、葉柄、茎及び花が意味される。
【0056】
本明細書で用いられる場合、「被覆材料」により、当該分野で知られているあらゆる適切な唾液透過性包装材料が意味される。被覆材料はまた、「小袋材料」とも呼ぶことができ、不織布材料であってもよく、従来の織物製造方法、例えば織ること又は編むことにより作製された材料であってもよく、開口部を備えたプラスチックフィルム又は網であってもよい。被覆材料としての使用に適切な不織布材料は、ステープル繊維、例えば再生セルロースのステープル繊維、例えばビスコースレーヨンステープル繊維及びバインダー、例えばポリアクリレートバインダーを含む不織布材料であることができる。そのような不織布材料は、一般的に、ステープル繊維をカーディングして繊維ウェブを形成し、次いでカーディングした繊維ウェブをバインダーにより統合することにより製造される。別の方法では、不織布材料は、スパンボンディング、水流絡合、メルトブローイング等により不織布ウェブに形成された繊維を含むことができる。そのようなプロセスに用いられる繊維は、通常、熱的に結合して粘着不織布ウェブを形成する熱可塑性繊維である。被覆材料は、任意に、更なる成分、例えば香味剤及び/又は着色剤を含んでもよい。
【0057】
経口用の袋状製品は、通常、上側又は下側の歯茎と唇との間で使用者の口内に心地よく目立たないように適合するように、寸法決めされ、構成される。通常、経口用の袋状製品は、通常の長方形の形状を有する。市販の経口用の袋状製品のいくつかの典型的な形状(長さ×幅)は、例えば、35mm×20mm、34/35mm×14mm、33/34mm×18mm、27/28mm×14mm、34mm×10mm、及び38×14mmである。典型的な経口用の袋状製品は、製品の縦方向に沿った25mm~40mmの範囲の最大長、及び製品の横断方向に沿った5mm~20mmの範囲の最大幅を有しうる。袋状製品の使用前の厚みは、通常、2mm~8mmの範囲である。市販の経口用の袋状製品の全質量は、典型的には、袋状製品当たり約0.3g~約3.5gの範囲、例えば約0.5g~1.7gである。小袋の充填材料部分の容積は、該小袋のサイズに応じて、0.5cm~1.5cmの範囲であることができる。
【0058】
「使用者容器」は、典型的には、10~30個の袋状製品の範囲、例えば20~25個の袋状製品の範囲を含む。袋状製品は、使用者容器にランダムに置いてもよく、例えばWO2012/069505A1に記載されているようなパターンで置いてもよい。本明細書に開示された使用者容器は、ポケット又はハンドバッグ内に消費者包装を便利に持ち運ぶのに適した形状及びサイズを有する消費者包装であり、あらゆる知られている種類の経口用の袋状製品を包装するのに用いることができる。使用者容器は、用いた経口袋状製品の保管のためのディスポーザブル部分を含むことができる。ディスポーザブル部分は、使用まで新たな経口袋状製品が保管されている容器の部分から分離されている。
【0059】
本発明は、限定されない実施例を用い、添付の図面を参照して、本明細書の以下において更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】経口用の袋状製品を示す図である。
図2図1の袋状製品を通るII-IIの線に沿った横断面を示す図である。
図3】本明細書に開示された経口袋状製品において用いるのに適切な通常の球状粒子を示す図である。
図4a】いくつかの代替粒子形状を示す図である。
図4b】いくつかの代替粒子形状を示す図である。
図4c】いくつかの代替粒子形状を示す図である。
図4d】いくつかの代替粒子形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図面は概略であり、個々の構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれないことが理解されるべきである。
【0062】
図1及び図2に示された経口用の袋状製品1は、液体透過性被覆材料2、及び液体透過性被覆材料2に封入された複数の粒子4で構成された非水溶性粒子材料を含む1回分の量の充填材料3を含む。被覆材料2は、本明細書に開示されたいずれかの適切な種類の被覆材料であることができ、充填材料3が挿入された通常の長方形の小袋に成形される。粒子材料は非水溶性粒子で構成される。
【0063】
通常の長方形の枕様形状を有する袋状製品、例えば図1及び図2に示される袋状製品1を作製する一般的な方法は、縫い目のない端と端とがつながった管として被覆材料を供給するか、又は被覆材料の平らなウェブを形成して、端と端とがつながった管の縦方向に連続したシールがある端と端とがつながった管とするかのいずれかである。続いて、端と端とがつながった管は、端と端とがつながった管の横断方向に断続的にシールがなされ、一方で端と端とがつながった管を充填材料で充填して、横断方向のシール間にポケットが生成される。個々の袋状製品は、充填及びシールがなされた被覆材料の管から切断され、通常は使用者容器に包装される。被覆材料のシールは、いずれかの適切な方法又は方法の組み合わせ、例えば接着剤、ヒートシーリング、超音波溶接、裁縫等により行うことができる。ヒートシーリング及び超音波溶接は、被覆材料が少なくとも機能的な量の熱可塑性材料、例えば熱可塑性繊維又は熱可塑性バインダーを含むことを必要とする。
【0064】
製造中に生成する縦のシールは、図1及び図2に示された袋状製品1の長さlに沿って延びる縦シール6として現れる。そのようなシールは、被覆材料が端と端とがつながった縫い目のない管の形態で供給される場合には存在しない。横断シールは、袋状製品1の幅wを規定する端シール7を形成する。袋状製品1は、第1の主表面8及び第2の主表面9、並びに第1の主表面8と第2の主表面9との間の最も大きい直交する距離として規定された厚みtを有する。
【0065】
粒子材料の粒子4は、本明細書に示されたように、充填材料3の全乾燥質量の非常に高い割合、例えば充填材料の75乾燥質量%~99乾燥質量%を構成することができる。
【0066】
充填材料3は、更に、本明細書に開示されるように、1つ又は複数の水溶性成分11、例えば香味料、甘味料、活性成分、例えばニコチン等を含む。
【0067】
本明細書に開示された経口袋状製品の充填材料3の一部が図3に示されており、充填材料3は、複数の通常の球状の非水溶性粒子4を含む。
【0068】
充填材料の粒子4は、0.3mm~3.0mmの範囲の比較的大きい平均粒径を有することができる。充填材料3における粒子材料の粒子4に大きい非水溶性粒子を用いることにより、水溶性成分11、即ち水及び唾液に可溶な成分の大部分は、充填材料3において、粒子4の間の隙間12に面する粒子4の表面にかなりの程度まで存在することができる。このようにして、あらゆる水溶性成分12が充填材料3の塊に実質的に「隠される」ことができ、充填材料3の容積を増大させることがないか、又は実質的に増大させることがない。
【0069】
図3は、非常に少ない数の粒子4のみを示す。経口袋状製品1のための充填材料3の完全な部分では、粒子材料における粒子4の数はかなり多く、例えば150粒子以上ほどであり、これは粒子表面の大多数が充填材料3の内側に位置することを意味する。
【0070】
本明細書に開示されるように、粒子材料の粒子4は、0.9g/cm~2.0g/cmの範囲、例えば1.0g/cm~1.5g/cm、例えば1.0g/cm~1.7g/cm、又は1.1g/cm~1.4g/cmの粒子密度を有する高密度の非多孔質粒子であることができる。このような高密度の非多孔質粒子においては、粒子4それ自体に水溶性成分11は存在しないか、又は実質的に存在しない。
【0071】
図4a、図4b、図4c、及び図4dは、本明細書に開示された充填材料3の粒子4のいくつかの代替形状を示す。
【0072】
図4aに示される粒子4は実質的に立方形を有し、図4bに示される粒子4は粒状であり、図4cに示される粒子4は実質的に円筒状を有し、図4dに示される粒子4は不規則な形状を有する。図4aの粒子4は約1のアスペクト比A=w/lを有し、一方で図4b~図4dに示される粒子4はより小さいアスペクト比を有する。
【0073】
含水率を決定する方法、乾燥減量、LOD
本明細書でいう含水率は、参考文献、連邦官報/vol.74、no.4/712-719/2009年1月7日水曜日/掲示「Total moisture determination」及びAOAC(Association of Official Analytical Chemics)、Official Methods of Analysis 966.02:「Moisture in Tobacco」(1990)、第5版、K.Helrich(編)に基づいた方法を用いることにより決定することができる。この方法では、水分の蒸発前、脱水の完了後に、2.5±0.25gの試料を取り、本明細書で温度22℃及び相対湿度60%と規定される周囲条件で試料を量ることにより、含水率を重量測定法で決定する。本明細書に記載された実験において、Mettler Toledoの水分計HB43、ハロゲン加熱技術を備えたはかりを用いる(上述した参考文献のオーブン及びはかりに代えて)。試料を105℃に加熱する(上述した参考文献の99.5±0.5℃に代えて)。質量変化が90秒の時間フレームの間に1mg未満である場合、測定を停止する。次いで、試料の質量パーセントとしての含水率を水分計HB43により自動的に計算する。
【符号の説明】
【0074】
1 袋状製品
2 液体透過性被覆材料
3 充填材料
4 粒子
6 縦シール
7 端シール
8 第1の主表面
9 第2の主表面
11 水溶性成分
12 隙間
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
【国際調査報告】