特表 2024-501269 経口用の袋状製品

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公表特許公報(A)

(11)【公表番号】

(43)【公表日】2024-01-11

(54)【発明の名称】経口用の袋状製品

(51)【国際特許分類】

   A24B 13/00 20060101AFI20231228BHJP

   A24B 15/30 20060101ALI20231228BHJP

   A24B 15/36 20060101ALI20231228BHJP

【ＦＩ】

A24B13/00

A24B15/30

A24B15/36

【審査請求】未請求

【予備審査請求】未請求

(21)【出願番号】P 2023538119

(86)(22)【出願日】2021-12-21

(85)【翻訳文提出日】2023-06-21

(86)【国際出願番号】 EP2021086960

(87)【国際公開番号】W WO2022136356

(87)【国際公開日】2022-06-30

(31)【優先権主張番号】20216488.5

(32)【優先日】2020-12-22

(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP

(81)【指定国・地域】

(71)【出願人】

【識別番号】510171922

【氏名又は名称】スウィーディッシュ・マッチ・ノース・ヨーロップ・アーベー

(74)【代理人】

【識別番号】100108453

【弁理士】

【氏名又は名称】村山 靖彦

(74)【代理人】

【識別番号】100110364

【弁理士】

【氏名又は名称】実広 信哉

(74)【代理人】

【識別番号】100133400

【弁理士】

【氏名又は名称】阿部 達彦

(72)【発明者】

【氏名】モルテン・キンドヴァル

【テーマコード（参考）】

4B043

【Ｆターム（参考）】

4B043BC02

4B043BC18

4B043BC19

4B043BC26

(57)【要約】

液体透過性被覆材料（２）、及び非水溶性粒子材料を含む１回分の量の充填材料（３）を含む経口用の袋状製品（１）であって、充填材料（３）が液体透過性被覆材料（２）に封入されている、袋状製品（１）。非水溶性粒子材料の粒子（４）は、０．３ｍｍ～３．０ｍｍの範囲の平均粒径、０．８ｇ／ｃｍ^３～１．７ｇ／ｃｍ^３の範囲の粒子密度、及び充填材料（３）の１質量％～充填材料（３）の３５質量％の使用前の含水率を有する。

【特許請求の範囲】

【請求項1】

液体透過性被覆材料（２）、及び非水溶性粒子からなる非水溶性粒子材料を含む充填材料（３）を含む経口用の袋状製品（１）であって、
前記充填材料（３）が前記液体透過性被覆材料（２）に封入されており、
前記非水溶性粒子材料の粒子（４）が０．３ｍｍ～３．０ｍｍの範囲の平均粒径、０．８ｇ／ｃｍ^３～１．７ｇ／ｃｍ^３の範囲の粒子密度、及び前記充填材料（３）の１質量％～前記充填材料（３）の３５質量％の使用前の含水率を有し、前記充填材料（３）がタバコ材料を含まないか、又は前記充填材料（３）が前記充填材料の全質量に基づき０．０５ｗｔ％～１０ｗｔ％の範囲の量のタバコ材料を含み、前記液体透過性被覆材料（２）が不織布材料であることを特徴とする、袋状製品（１）。

【請求項2】

前記非水溶性粒子材料が０．５％未満の、２５０μｍのメッシュサイズを有するふるいを通過するのに十分小さい粒子を含む、請求項１に記載の袋状製品（１）。

【請求項3】

前記非水溶性粒子材料の粒子（４）が円筒状若しくは実質的に円筒状の形状を有する粒子、球状若しくは実質的に球状の形状を有する粒子、又は長円形若しくは実質的に円形の形状、例えば卵形若しくは粒形を有する粒子である、請求項１又は２に記載の袋状製品（１）。

【請求項4】

前記非水溶性粒子材料の粒子（４）が球状又は実質的に球状の形状を有し、真球度が０．７～１．０の範囲である、請求項１から３のいずれか一項に記載の袋状製品（１）。

【請求項5】

前記非水溶性粒子材料が非水溶性粒子、例えば微結晶性セルロース、非水溶性デンプン、シリカ、又はそれらの混合物の非水溶性粒子（４）を含むか又はそれらからなる、請求項１から４のいずれか一項に記載の袋状製品（１）。

【請求項6】

前記非水溶性粒子が前記充填材料（３）の７５乾燥質量％～９９乾燥質量％を構成する、請求項５に記載の袋状製品（１）。

【請求項7】

水透過性外側被覆材料（２）がＥＤＡＮＡ試験法ＷＳＰ０７０．１．Ｒ３（１２）に従って測定した場合に４，０００ｌ／ｍ^２／ｓ～１０，０００ｌ／ｍ^２／ｓの空気透過性を有する、請求項１から６のいずれか一項に記載の袋状製品（１）。

【請求項8】

水透過性外側被覆材料（２）が１０ｇ／ｍ^２～３０ｇ／ｍ^２の範囲の坪量を有する、請求項１から７のいずれか一項に記載の袋状製品（１）。

【請求項9】

前記液体透過性被覆材料（２）が乾燥成形された不織布材料、例えばステープル繊維及びバインダーを含むカーディングされて結合された不織布材料である、請求項１から８のいずれか一項に記載の袋状製品（１）。

【請求項10】

前記不織布材料における前記ステープル繊維が再生セルロースのステープル繊維、例えばビスコースステープル繊維である、請求項９に記載の袋状製品（１）。

【請求項11】

前記非水溶性粒子材料の粒子（４）が０．７～１．０の範囲、例えば０．８～１．０の真球度、及び０．３ｍｍ～３ｍｍ、例えば０．７ｍｍ～３ｍｍの直径を有する、請求項１から１０のいずれか一項に記載の袋状製品（１）。

【請求項12】

前記充填材料（３）がニコチンを含み、前記ニコチンがニコチン化合物、例えばニコチン塩基及び／又はニコチン塩の形態で前記充填材料に添加されている、請求項１から１１のいずれか一項に記載の袋状製品（１）。

【請求項13】

前記充填材料（３）が香味剤、甘味料、保湿剤、及びいずれかのそれらの混合物からなる群より選択された添加剤を含む、請求項１から１２のいずれか一項に記載の袋状製品（１）。

【請求項14】

前記添加剤が香味剤、例えば香味油、例えば疎水性香味油、例えば合成香味料、例えば天然物と同一の香味料を含むか又はそれらからなる、請求項１３に記載の袋状製品（１）。

【請求項15】

前記充填材料（３）の１つ又は複数の水溶性成分（１１）が前記非水溶性粒子材料の粒子（４）の少なくともいくつかの外面に、例えば前記非水溶性粒子材料の粒子（４）の２０％～１００％に、又は前記非水溶性粒子材料の粒子（４）の５０％～１００％に、又は前記非水溶性粒子材料の粒子（４）の８０％～１００％に存在する、請求項１から１４のいずれか一項に記載の袋状製品（１）。

【請求項16】

前記充填材料（３）の１つ又は複数の水溶性成分（１１）が前記非水溶性粒子材料の粒子（４）間の隙間（１２）に存在する、請求項１から１５のいずれか一項に記載の袋状製品（１）。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、液体透過性被覆材料、及び粒子材料を含む１回分の量の充填材料を含む経口用の袋状製品であって、充填材料が液体透過性被覆材料に封入されている、袋状製品に関する。

【背景技術】

【0002】

本明細書に開示された経口袋状製品は、例えば頬に置くこと、例えば袋状製品を上側又は下側の歯茎と唇又は頬との間に置くことによる、口腔内での使用を意図されている。袋状無煙タバコ製品はまた、経口用ポーションパック無煙タバコ製品と呼ぶこともできる。袋状製品は、通常、上側又は下側の歯茎と唇又は頬との間で使用者の口内に心地よく目立たないように適合するように、寸法決めされ、構成される。

【0003】

伝統的には、経口袋状製品は消費者の口腔内で使用され、使用者に活性物質、例えばニコチン、カフェイン、及び／又は様々な香味料の利益を提供する。一般的な種類のニコチン含有経口袋状製品は、経口無煙タバコ製品である。そのような製品は、通常、水、塩、ｐＨ調整剤、及び更なる成分、例えば香味料及び保湿剤を含む。一般的に、これらの製品はスナッフと呼ばれる。

【0004】

タバコを含まないか、又は少量のみのタバコを含む経口袋状ニコチン含有製品は、とりわけそれらの魅力的な外見、新鮮さ、及び味のために、現在、消費者の間でますます人気となっている。更に、この種の製品は、タバコに曝露させることなく使用者にニコチンを楽しませる。タバコを含まないか、又はほとんどタバコを含まない経口袋状製品は、通常、例えば微結晶性セルロース、又はタバコ以外の植物に由来する繊維材料の粒子を含むことのできる充填材料を含む、風味付けされた組成物である。

【0005】

更なる種類の経口袋状製品は、口腔内に香味料のみを送達するもの、及びニコチン以外の活性物質を送達するために設計されたものである。

【0006】

タバコを含まない経口袋状製品は、通常、比較的乾燥した製品であり、使用前の含水率が充填材料の３５質量％を下回り、しばしば充填材料の２０質量％を下回る。充填材料の４～１０質量％ほどの更に低い含水率を有する経口袋状製品もまた当該分野で知られている。

【0007】

経口袋状製品は、典型的には、上側又は下側の歯茎と唇との間に小袋を置き、それをそこに限定された期間維持することによって消費者により用いられる。この製品は、使用者の口内に心地よく目立たないように適合するように構成される。小袋材料は、充填材料を所定の位置に保持し、唾液が充填材料内に入るようにして、香味料及び活性物質、例えばニコチンが充填材料から消費者の口内に拡散するようにする。

【0008】

主に粉末材料又は粒子材料からなる比較的乾燥した充填材料を有する経口袋状製品は、特にそのような製品の使用の初期段階において、不快なほど乾燥したザラザラした口当たりを与えるものと使用者に理解されうることが分かった。そのような製品はまた、望むものよりも展性が少ない堅さを有することが使用者により見出されうる。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0009】

本明細書の開示の目的は、特に口当たり及び展性に関する特性が改善した、充填材料を含む経口袋状製品を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0010】

上記の目的は、請求項１に記載の経口袋状製品により達成することができる。本開示のバリエーションが従属請求項及び以下の説明に示される。

【0011】

本明細書に開示された経口用の袋状製品は、液体透過性被覆材料、及び非水溶性粒子からなる非水溶性粒子材料を含む充填材料を含み、充填材料が液体透過性被覆材料に封入されている。充填材料は、タバコ材料を含まないか、又は充填材料は、充填材料の全質量に基づき０．０５ｗｔ％～１０ｗｔ％の範囲の量のタバコ材料を含む。

【0012】

非水溶性粒子材料の粒子は、０．３ｍｍ～３．０ｍｍの範囲の平均粒径、０．８ｇ／ｃｍ^３～１．７ｇ／ｃｍ^３の範囲の粒子密度、及び充填材料の１質量％～充填材料の３５質量％の使用前の含水率を有する。

【0013】

粒子密度０．８ｇ／ｃｍ^３の場合、非水溶性粒子材料のかさ密度は、好ましくは０．６ｇ／ｃｍ^３以下であり、粒子密度１．７ｇ／ｃｍ^３の場合、非水溶性粒子材料のかさ密度は、好ましくは１．２ｇ／ｃｍ^３以下である。

【0014】

比較的低い含水率を有する経口袋状製品のための充填材料は、充填材料が比較的大きい粒子及び比較的高い粒子密度を有する粒子材料を含む場合に、心地よい口当たり及び良好な展性を提供することで使用者の期待に応えることが分かった。粒子材料の粒径と粒子密度とが合わさって、本明細書に開示された方法に従って測定した低い動的摩擦係数を有する粒子材料を提供し、高い流動性を有する充填材料を特徴付けることが分かった。高い流動性は、充填材料における粒子材料の粒子が、互いに関して、及び被覆材料に関して容易に移動することができ、優れた展性及び流体の口当たりを有する本明細書に開示された経口袋状製品をもたらすことを意味する。本明細書に開示された経口袋状製品のこれらの特性は、使用者に非常に好まれることが分かった。

【0015】

本明細書に開示された経口袋状製品における充填材料は、充填材料の１質量％～充填材料の３５質量％の本明細書に開示された方法により決定された使用前の含水率を有する。本明細書に開示された経口袋状製品における充填材料は、充填材料の１質量％～充填材料の３０質量％、例えば充填材料の１質量％～充填材料の２５質量％、例えば充填材料の１質量％～充填材料の２０質量％、例えば充填材料の１質量％～充填材料の１５質量％、例えば充填材料の１質量％～充填材料の７質量％、例えば充填材料の５質量％～充填材料の３０質量％、例えば充填材料の５質量％～充填材料の２５質量％、例えば充填材料の５質量％～充填材料の２０質量％、例えば充填材料の５質量％～充填材料の１５質量％、例えば充填材料の１０質量％～充填材料の２０質量％、例えば充填材料の１０質量％～充填材料の１５質量％の本明細書に開示された方法により決定された使用前の含水率を有することができる。

【0016】

本明細書に開示された経口袋状製品における比較的低い使用前の含水率を有する充填材料は、使用者容器からそれを取り出してそれを例えば使用者の上側又は下側の唇と歯茎との間に入れる際、新鮮で取り扱い易いものと使用者に理解される。

【0017】

本明細書に開示された経口袋状製品における充填材料の含水率が２０質量％未満であることが好ましい場合がある。

【0018】

本明細書に開示された経口袋状製品の展性は、小粒子及び細粒の含有量の低い粒子材料を選択することにより、更に高めることができる。小粒子及び細粒の含有量が高いと、粒子間の摩擦を上昇させ、それにより互いに関して自由に動く非水溶性粒子材料における粒子の能力を低下させることにより、充填材料の展性が損なわれうる。本明細書に開示された充填材料における非水溶性粒子材料が０．５％未満の、２５０μｍのメッシュサイズを有するふるいを通過するのに十分小さい粒子を含むことも好ましい場合がある。

【0019】

メッシュサイズ２５０μｍは、小さいサイズから中程度のサイズほどの砂粒子の粒径に相当する。そのような粒子は、特に粒子が不溶性粒子である場合に、製品が口腔内に置かれた後に長時間残りうるザラザラした乾燥した口当たりを生じさせることから、被覆材料から使用者の口腔内に漏出した場合に極めて不快である。

【0020】

充填材料における小粒子及び細粒はまた、それらがシールの形成を妨げ、機械部品の目詰まりを引き起こしうることから、経口袋状製品の製造中に散粉の問題を引き起こしうる。製造プロセスの健康面及び衛生面から、粉末の量を最小限に抑えることも望まれる。

【0021】

非水溶性粒子材料の粒子は、あらゆる有益な形状を有することができるが、不規則な形状よりも規則的な形状が好ましい。更に、円筒状若しくは実質的に円筒状の形状を有する粒子、球状若しくは実質的に球状の形状を有する粒子、又は長円形若しくは実質的に円形の形状、例えば卵形若しくは粒形を有する粒子を用いることが好ましい場合もある。実質的に円筒状、球状等である形状を有する粒子とは、粒子の全体の形状が例えば球状であるが粒子表面に不規則性、例えばくぼみが存在しうることを意味する。突出した部分、とがった角及び端を有する不規則な形状の粒子は、通常、好ましくない。

【0022】

非水溶性粒子は、０．８ｇ／ｃｍ^３～１．７ｇ／ｃｍ^３の範囲、例えば１．０ｇ／ｃｍ^３～１．５ｇ／ｃｍ^３、例えば１．１ｇ／ｃｍ^３～１．４ｇ／ｃｍ^３の粒子密度を有する比較的高密度の非多孔質粒子であることができる。高密度の非多孔質粒子は、マイクロスケールで通常の不規則性の低い表面を有し、これは粒子間、及び粒子と被覆材料との間の更に低い摩擦力に寄与することができる。

【0023】

本明細書に開示された充填材料における非水溶性粒子材料の粒子は、比較的大きい粒子であり、０．４ｍｍ～３．０ｍｍの範囲、例えば０．５ｍｍ～２．５ｍｍ、例えば０．６ｍｍ～２．５ｍｍ、例えば０．７ｍｍ～２ｍｍ、例えば０．８ｍｍ～１．５ｍｍ、例えば０．８５ｍｍ～１．２ｍｍの平均粒径を有することができる。

【0024】

充填材料における非水溶性粒子材料の粒子は、通常、同じ大きさであることができ、狭い粒度分布プロファイルを有する。

【0025】

充填材料における非水溶性粒子材料の粒子は、好ましくは球状であるか、又は通常は０．７～１．０の範囲、例えば０．８～１．０の真球度を有する球状粒子である。

【0026】

真球度及び粒径は、Ｒｏｄｏｓ／Ｌ分散ライン、ＩＤ ＮＯ ２１４Ｄ、及びＶｉｂｒｉ／Ｌ試料供給器、ＩＤ ＮＯ ２７３を備えた、２０１２年からのＱｉｃＰｉｃ画像解析装置、Ｓｙｍｐａｔｅｃ ＧｍｂＨ、ＩＤ Ｎｏ．２９０－Ｄ、又は同等の装置を用いて決定することができる。良好に分散した粒子の流れを装置の画像平面全体に流す。粒子が小さい場合、画像フレーム当たり多数の粒子、例えば画像フレーム当たり５０，０００～１００，０００個ほどの粒子を捕捉することができる。より大きい粒子、例えば３００μｍ～３０００μｍの粒径を有する粒子については、画像フレーム当たりの粒子の数はかなり少なくなり、画像フレーム当たり３００～２０００個ほどの粒子になりうる。

【0027】

充填材料中の粒子材料は、非水溶性粒子からなる。非水溶性粒子は、微結晶性セルロース、非水溶性デンプン、シリカ、又はそれらの混合物の粒子を含むか又はそれらからなることができる。

【0028】

非水溶性粒子は、充填材料の７５乾燥質量％～９９乾燥質量％、例えば充填材料の８５乾燥質量％～９８乾燥質量％又は充填材料の９５乾燥質量％～９８乾燥質量％を構成することができる。非水溶性粒子は、充填材料の８５乾燥質量％～９９乾燥質量％を構成することができる。

【0029】

本明細書に開示された経口袋状製品の水透過性外側被覆材料は、ＥＤＡＮＡ、即ち欧州不織布協会（Ｅｕｒｏｐｅａｎ Ｄｉｓｐｏｓａｂｌｅｓ ａｎｄ Ｎｏｎｗｏｖｅｎｓ Ａｓｓｏｃｉａｔｉｏｎ）により規定されている試験法ＷＳＰ０７０．１．Ｒ３（１２）に従って測定した場合に４，５００ｌ／ｍ^２／ｓ～１０，０００ｌ／ｍ^２／ｓの空気透過性を有することができる。上記空気透過性は包装材料の多孔性と関連し、従って、その充填材料を漏出させる傾向とも関連する。４，５００ｌ／ｍ^２／ｓより大きい空気透過性を有する被覆材料は、本明細書では高い空気透過性を有するものとする。

【0030】

水透過性外側被覆材料は、１０ｇ／ｍ^２～３０ｇ／ｍ^２の範囲の坪量を有することができる。比較的低い坪量を有する被覆材料は、空気透過性が高く、経口袋状製品における充填材料への及び充填材料からの唾液運搬の最低限のバリアを構成する。そのような被覆材料はまた、本明細書に開示されたように、特に比較的大きい粒径を有する粒子と組み合わせた場合に感覚的な利益を提供することが分かった。被覆材料の内部を自由に移動でき、被覆材料を通して感じることのできる大きい粒子は、ビーンバッグと比較して心地よい流体の性質を有すると理解されている経口袋状製品における粒子状充填材料に寄与することができる。

【0031】

本明細書に開示された経口袋状製品の充填材料における非水溶性粒子材料の粒子は、ＥＤＡＮＡ試験法ＷＳＰ０７０．１．Ｒ３（１２）に従って測定した場合に４，５００ｌ／ｍ^２／ｓ～１０，０００ｌ／ｍ^２／ｓの範囲の多孔性を有する水透過性被覆材料と組み合わせて、０．３ｍｍ～３ｍｍの範囲、好ましくは０．５ｍｍ～３．０ｍｍ、より好ましくは０．６ｍｍ～３．０ｍｍ、最も好ましくは０．７ｍｍ～３ｍｍの比較的大きい粒径を有することができる。

【0032】

透過性の高い被覆材料は、唾液を充填材料へと、及び充填材料から容易に通過させることが好ましく、被覆材料に封入された充填材料からの活性成分、香味料、甘味料等の高い放出率に寄与することができる。多孔性の高い被覆材料の欠点は、充填材料における不溶性基材材料、例えば非水溶性の粒子及び粉末、並びに繊維も被覆材料の孔から経口袋状製品の使用者の口腔内に漏出しうる危険性があることである。多孔性の高い被覆材料と組み合わせて大きい粒子を選択することで、粒子を漏出させる危険性は、かなり低減することができるか、又は排除することさえできる。

【0033】

経口袋状製品の液体透過性被覆材料は、不織布材料、例えば再生セルロースのステープル繊維を含む不織布材料であることができる。ステープル繊維は、ビスコースステープル繊維であることができ、不織布材料は、更に、バインダー、例えば化学バインダーを含むことができる。

【0034】

本明細書に開示された経口袋状製品の充填材料は、ニコチンを含むことができる。

【0035】

ニコチンは、ニコチン化合物の形態で充填材料の非水溶性粒子材料に添加することができる。ニコチン化合物は、ニコチン塩基であることができ、並びに／又はニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン酒石酸塩、ニコチン酒石酸水素塩、ニコチン酒石酸水素塩二水和物、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物及びニコチンサリチル酸塩、ニコチン安息香酸塩、ニコチンポラクリレックス、及びいずれかのそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。

【0036】

本明細書に開示された経口袋状製品の充填材料は、タバコを含まない充填材料、又は低タバコ含有量を有する充填材料であり、この充填材料が充填材料の全質量に基づき０．０５ｗｔ％～１０ｗｔ％の範囲、例えば０．０５ｗｔ％～１ｗｔ％、又は０．２ｗｔ％～１ｗｔ％の量のタバコ材料を含む。このような場合、タバコ材料はニコチン源でありうる。タバコ材料は、唯一のニコチン源であってもよく、又は本明細書に開示されたニコチン化合物の１つ又は複数に加えてのニコチン源であってもよい。本明細書に開示された充填材料における非水溶性粒子材料は、好ましくは、タバコを含まない粒子、例えばタバコを含まない微結晶性セルロース粒子、非水溶性デンプン粒子、シリカ粒子、又は２つ以上の異なる種類のタバコを含まない粒子の混合物により構成される。タバコを含まない充填材料又はタバコを含まない粒子は、０．０５ｗｔ％を下回る微量のタバコを含んでもよい。

【0037】

本明細書に開示された経口袋状製品の充填材料は、香味剤、甘味料、保湿剤、及びいずれかのそれらの混合物からなる群より選択された添加剤を含むことができる。

【0038】

添加剤は、香味剤、例えば香味油、例えば疎水性香味油、例えば合成香味料、例えば天然物と同一の香味料を含むか又はそれらからなることができる。

【0039】

本明細書に開示された経口袋状製品の充填材料は、タバコ材料を含まないものであることができる。タバコを含まない充填材料は、他の植物源、例えばコーヒー、茶、ハーブ等に由来する材料、及び／又は当該分野で知られているいずれかの適切な香味剤、甘味料等を含むことができる。

【0040】

１つ又は複数の水溶性成分、及び他の添加剤は、好ましくは、充填材料における非水溶性粒子材料の非水溶性粒子に該非水溶性粒子が形成された後で付与される。１つ又は複数の水溶性成分、及び他の添加剤は、液体／水性の混合物として非水溶性粒子に添加することができる。全ての添加される成分を同じ混合物に含むことができる。別の方法では、異なる成分は異なる付与工程で添加することができ、例えば香味剤は、活性剤、例えばニコチンとは別の工程で添加することができる。予め形成された非水溶性粒子に１つ又は複数の水溶性成分、及び他の添加剤を付与することにより、添加剤の大部分が非水溶性粒子の表面に残り、非水溶性粒子の内部に浸入せず、それにより全ての又は実質的に全ての添加剤が充填材料における非水溶性粒子の表面に存在する。非水溶性粒子は、好ましくは、均質な親水性粒子、例えば微結晶性セルロース、非水溶性デンプン、及びシリカのうちの１つ又は複数の粒子である。更に、非水溶性粒子が微結晶性セルロース、非水溶性デンプン、及びシリカのうちの１つ又は複数の単成分粒子により構成されていることが好ましい場合がある。

【0041】

本明細書に開示された袋状製品では、充填材料の１つ又は複数の水溶性成分は、充填材料における非水溶性粒子材料の粒子の少なくともいくつかの外面に、例えば粒子の２０％～１００％に、又は粒子の５０％～１００％に、又は粒子の８０％～１００％に存在することができる。

【0042】

本明細書に開示された袋状製品では、充填材料の１つ又は複数の水溶性成分は、充填材料における非水溶性粒子材料の粒子間の隙間に存在することができる。

【0043】

１つ又は複数の水溶性成分は、充填材料における粒子の少なくともいくつかの外面、及び充填材料における粒子間の隙間の両方に存在することができる。

【0044】

充填材料の水溶性成分、例えばニコチン、香味剤、甘味料等は、充填材料の非水溶性粒子材料の粒子の内部細孔構造に存在しないか又は実質的に存在しないことが好ましい場合がある。

【0045】

本明細書に開示されたような経口袋状製品の充填材料は、複数種類の粒子を含むことができる。従って、非水溶性粒子材料の非水溶性粒子が第１の種類の粒子を構成し、第２の種類の粒子は、１つ又は複数の特性、例えばサイズ、形状、又は組成において第１の種類の粒子とは異なりうる。第２の種類の粒子は、非水溶性粒子であってもよく、完全に又は部分的に水溶性の粒子であってもよい。

【0046】

定義
用語「経口」及び「経口用」は、ヒトの口腔内における粘膜と接触する製品の使用、例えば口腔内において製品を頬に置くことをいう。本明細書に開示された経口用の製品は、全体として口腔内に置かれることが意図されており、飲み込まれることが意図されたものではない。

【0047】

本明細書で用いられる場合、用語「経口用の袋状製品」又は「経口袋状製品」は、唾液抽出物を含む、唾液透過性小袋材料に包装された無煙組成物の部分をいう。

【0048】

本明細書で用いられる場合、「粒子」は、最大寸法５ｍｍ未満及びアスペクト比０．３～１を有する材料の３次元片である。本明細書で用いられる場合、「アスペクト比」、Ａ_Ｒ、は、粒子の長さｌで割った粒子の幅ｗとして計算され、ここで長さは粒子の最も長い寸法として決定され、幅は長さに直交する最も長い寸法として決定される：Ａ_Ｒ＝ｗ／ｌ。アスペクト比１を有する粒子は、例えば、完全な球又は立方体でありうる。本明細書に開示された経口袋状製品の充填材料における非水溶性粒子材料は、規則的な形状、例えば球状、立方形、円筒状等を有してもよく、不規則な形状を有してもよいが、規則的又はほぼ規則的な形状が通常は好ましい。粒子は、通常は滑らかな外面を有することができ、又は外面に少しの逸脱を有することもできる。

【0049】

本明細書で用いられる場合、「非水溶性粒子」は、使用者の口腔内で唾液に晒された場合に溶解せず、経口用の袋状製品に組み込まれた場合にその形状を維持するか、又は実質的に維持する粒子である。非水溶性はまた、本明細書に記載された非水溶性粒子の粒径が、非水溶性粒子を組み込んだ経口袋状製品の使用中に減少しないか又は少なくとも１％より多く減少しないことを意味する。非水溶性粒子の形状及びサイズは、使用中に実質的に影響を受けないままであることができる。しかしながら、非水溶性粒子の一定量の膨潤は、許容されうるか又は望まれうる。膨潤は、好ましくは、非水溶性粒子の使用前の容積の３０％未満、より好ましくは非水溶性粒子の使用前の容積の２０％未満であるべきである。

【0050】

本明細書で用いられる場合、用語「含水率」は、構成材料、組成物、又は製品に存在し、本明細書に開示された乾燥減量（ＬＯＤ）法に従って決定されるオーブン揮発性物質、例えば水及び他のオーブン揮発性物質（例えばプロピレングリコール及びエタノール）の質量パーセントｗｔ％をいう。

【0051】

材料、組成物、又は製品の「乾燥質量」は、材料、組成物、又は製品の全質量から水分の量を引くことにより計算され、含水率は、本明細書に開示された乾燥減量（ＬＯＤ）法により決定される。

【0052】

本明細書で用いられる場合、用語「水含有量」は、構成材料、組成物、又は製品における水の質量パーセントｗｔ％をいう。水含有量は、水質分析の標準的な方法、例えばＫａｒｌ Ｆｉｓｃｈｅｒ滴定、ガスクロマトグラフィーＧＣを用いることにより決定することができる。

【0053】

用語「更なる成分」は、本明細書に開示された充填材料において非水溶性粒子材料の粒子に加えて存在する水以外のあらゆる成分、例えば塩（例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、及びいずれかのそれらの組み合わせ）、ｐＨ調整剤（例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、又は炭酸水素ナトリウム）、香味剤、甘味料、着色剤、保湿剤（例えばプロピレングリコール、又はグリセロール）、酸化防止剤、防腐剤（例えばソルビン酸カリウム）、バインダー、タバコ、及び非タバコ植物材料をいう。本明細書に開示された経口袋状製品における充填材料の一部である水溶性成分は、１つ又は複数の更なる成分を構成する。

【0054】

用語「香味料」又は「香味剤」は、本明細書において、経口袋状製品の香り及び／又は味に影響を与えるために用いられる物質に用いられる。香味料は、当該分野で知られているあらゆる食品等級の天然又は合成の香味料であることができ、限定されることなく、精油、単一の香味料化合物、複合香味料、及び抽出物が挙げられる。

【0055】

「タバコ」又は「タバコ材料」により、タバコ属のあらゆる構成員のあらゆる部分、例えば葉、葉柄、茎及び花が意味される。

【0056】

本明細書で用いられる場合、「被覆材料」により、当該分野で知られているあらゆる適切な唾液透過性包装材料が意味される。被覆材料はまた、「小袋材料」とも呼ぶことができ、不織布材料であってもよく、従来の織物製造方法、例えば織ること又は編むことにより作製された材料であってもよく、開口部を備えたプラスチックフィルム又は網であってもよい。被覆材料としての使用に適切な不織布材料は、ステープル繊維、例えば再生セルロースのステープル繊維、例えばビスコースレーヨンステープル繊維及びバインダー、例えばポリアクリレートバインダー又はその他の化学バインダーを含む不織布材料であることができる。そのような不織布材料は、一般的に、ステープル繊維をカーディングして繊維ウェブを形成し、次いでカーディングした繊維ウェブをバインダーにより統合することにより製造される。別の方法では、不織布材料は、スパンボンディング、水流絡合、メルトブローイング等により不織布ウェブに形成された繊維を含むことができる。そのようなプロセスに用いられる繊維は、通常、熱的に結合して粘着不織布ウェブを形成する熱可塑性繊維である。被覆材料は、任意に、更なる成分、例えば香味剤及び／又は着色剤を含んでもよい。

【0057】

経口用の袋状製品は、通常、上側又は下側の歯茎と唇との間で使用者の口内に心地よく目立たないように適合するように、寸法決めされ、構成される。通常、経口用の袋状製品は、通常の長方形の形状を有する。市販の経口用の袋状製品のいくつかの典型的な形状（長さ×幅）は、例えば、３５ｍｍ×２０ｍｍ、３４／３５ｍｍ×１４ｍｍ、３３／３４ｍｍ×１８ｍｍ、２７／２８ｍｍ×１４ｍｍ、３４ｍｍ×１０ｍｍ、及び３８×１４ｍｍである。典型的な経口用の袋状製品は、製品の縦方向に沿った２５ｍｍ～４０ｍｍの範囲の最大長、及び製品の横断方向に沿った５ｍｍ～２０ｍｍの範囲の最大幅を有しうる。袋状製品の使用前の厚みは、通常、２ｍｍ～８ｍｍの範囲である。市販の経口用の袋状製品の全質量は、典型的には、袋状製品当たり約０．３ｇ～約３．５ｇの範囲、例えば約０．５ｇ～１．７ｇである。小袋の充填材料部分の容積は、該小袋のサイズに応じて、０．５ｃｍ^３～１．５ｃｍ^３の範囲であることができる。

【0058】

「使用者容器」は、典型的には、１０～３０個の袋状製品の範囲、例えば２０～２５個の袋状製品の範囲を含む。袋状製品は、使用者容器にランダムに置いてもよく、例えばＷＯ２０１２／０６９５０５Ａ１に記載されているようなパターンで置いてもよい。本明細書に開示された使用者容器は、ポケット又はハンドバッグ内に消費者包装を便利に持ち運ぶのに適した形状及びサイズを有する消費者包装であり、あらゆる知られている種類の経口用の袋状製品を包装するのに用いることができる。使用者容器は、用いた経口袋状製品の保管のためのディスポーザブル部分を含むことができる。ディスポーザブル部分は、使用まで新たな経口袋状製品が保管されている容器の部分から分離されている。

【0059】

本発明は、限定されない実施例を用い、添付の図面を参照して、本明細書の以下において更に説明される。

【図面の簡単な説明】

【0060】

【図1】経口用の袋状製品を示す図である。

【図2】図１の袋状製品を通るＩＩ－ＩＩの線に沿った横断面を示す図である。

【図3】本明細書に開示された経口袋状製品において用いるのに適切な通常の球状粒子を示す図である。

【図4a】代替粒子形状の例を示す図である。

【図4b】代替粒子形状の例を示す図である。

【図4c】代替粒子形状の例を示す図である。

【図4d】代替粒子形状の例を示す図である。

【図5】本明細書に開示された粒子再分布試験において用いる平たい小袋の寸法を示す図である。

【図6】本明細書に開示された粒子再分布試験において用いる試験装置を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0061】

図面は概略であり、個々の構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれないことが理解されるべきである。

【0062】

図１及び図２に示された経口用の袋状製品１は、液体透過性被覆材料２、及び液体透過性被覆材料２に封入された複数の非水溶性粒子４で構成された非水溶性粒子材料を含む１回分の量の充填材料３を含む。被覆材料２は、本明細書に開示されたいずれかの適切な種類の被覆材料であることができ、充填材料３が挿入された通常の長方形の小袋に成形される。

【0063】

通常の長方形の枕様形状を有する袋状製品、例えば図１及び図２に示される袋状製品１を作製する一般的な方法は、縫い目のない端と端とがつながった管として被覆材料を供給するか、又は被覆材料の平らなウェブを形成して、端と端とがつながった管の縦方向に連続したシールがある端と端とがつながった管とするかのいずれかである。続いて、端と端とがつながった管は、端と端とがつながった管の横断方向に断続的にシールがなされ、一方で端と端とがつながった管を充填材料で充填して、横断方向のシール間にポケットが生成される。個々の袋状製品は、充填及びシールがなされた被覆材料の管から切断され、通常は使用者容器に包装される。被覆材料のシールは、いずれかの適切な方法又は方法の組み合わせ、例えば接着剤、ヒートシーリング、超音波溶接、裁縫等により行うことができる。ヒートシーリング及び超音波溶接は、被覆材料が少なくとも機能的な量の熱可塑性材料、例えば熱可塑性繊維又は熱可塑性バインダーを含むことを必要とする。

【0064】

製造中に生成する縦のシールは、図１及び図２に示された袋状製品１の長さｌに沿って延びる縦シール６として現れる。そのようなシールは、被覆材料が端と端とがつながった縫い目のない管の形態で供給される場合には存在しない。横断シールは、袋状製品１の幅ｗを規定する端シール７を形成する。袋状製品１は、第１の主表面８及び第２の主表面９、並びに第１の主表面８と第２の主表面９との間の最も大きい直交する距離として規定された厚みｔを有する。

【0065】

非水溶性粒子材料の粒子４は、本明細書に示されたように、充填材料３の全乾燥質量の非常に高い割合、例えば充填材料の７５乾燥質量％～９９乾燥質量％を構成することができる。

【0066】

充填材料３は、更に、本明細書に開示されるように、１つ又は複数の水溶性成分１１、例えば香味料、甘味料、活性成分、例えばニコチン等を含む。

【0067】

本明細書に開示された経口袋状製品の充填材料３の一部が図３に示されており、充填材料３は、複数の通常の球状の、好ましくは非水溶性の粒子４を含む。

【0068】

充填材料の粒子４は、０．３ｍｍ～３．０ｍｍの範囲の比較的大きい平均粒径を有する。充填材料３における非水溶性粒子材料の粒子４に大きい非水溶性粒子を用いることにより、水溶性成分１１、即ち水及び唾液に可溶な成分の大部分は、充填材料３において、粒子４の間の隙間１２に面する粒子４の表面にかなりの程度まで存在することができる。このようにして、あらゆる水溶性成分１２が充填材料３の塊に実質的に「隠される」ことができ、充填材料３の容積を増大させることがないか、又は実質的に増大させることがない。

【0069】

図３は、非常に少ない数の粒子４のみを示す。経口袋状製品１のための充填材料３の完全な部分では、非水溶性粒子材料における粒子４の数はかなり多く、例えば１５０粒子以上ほどであり、これは粒子表面の大多数が充填材料３の内側に位置することを意味する。

【0070】

本明細書に開示されるように、非水溶性粒子材料の粒子４は、０．８ｇ／ｃｍ^３～１．７ｇ／ｃｍ^３の範囲、例えば１．０ｇ／ｃｍ^３～１．５ｇ／ｃｍ^３、例えば１．１ｇ／ｃｍ^３～１．４ｇ／ｃｍ^３の粒子密度を有する高密度の非多孔質粒子であることができる。このような高密度の非多孔質粒子においては、粒子４それ自体に水溶性成分１１は存在しないか、又は実質的に存在しない。

【0071】

図４ａ、図４ｂ、図４ｃ、及び図４ｄは、本明細書に開示された充填材料３の粒子４のいくつかの代替形状を示す。

【0072】

図４ａに示される粒子４は実質的に立方形を有し、図４ｂに示される粒子４は粒状であり、図４ｃに示される粒子４は実質的に円筒状を有し、図４ｄに示される粒子４は不規則な形状を有する。図４ａの粒子４は約１のアスペクト比ｗ／ｌを有し、一方で図４ｂ～図４ｄに示される粒子４はより小さいアスペクト比を有する。

【0073】

本明細書に開示された経口袋状製品１では、円形又は長円形の横断面を有する粒子形状、例えば図３、図４ｂ、及び図４ｃに示すようなものが特に好ましい場合がある。不規則で滑らかに曲がった形状、例えば図４ｄに示すようなものは、通常、とがった突出部分を有する不規則な形状よりも好ましい。

【実施例】

【0074】

実施例及び試験方法の説明
含水率を決定する方法、乾燥減量（ＬＯＤ）
本明細書でいう含水率は、参考文献、連邦官報／ｖｏｌ．７４、ｎｏ．４／７１２－７１９／２００９年１月７日水曜日／掲示「Ｔｏｔａｌ ｍｏｉｓｔｕｒｅ ｄｅｔｅｒｍｉｎａｔｉｏｎ」及びＡＯＡＣ（Ａｓｓｏｃｉａｔｉｏｎ ｏｆ Ｏｆｆｉｃｉａｌ Ａｎａｌｙｔｉｃａｌ Ｃｈｅｍｉｃｓ）、Ｏｆｆｉｃｉａｌ Ｍｅｔｈｏｄｓ ｏｆ Ａｎａｌｙｓｉｓ ９６６．０２：「Ｍｏｉｓｔｕｒｅ ｉｎ Ｔｏｂａｃｃｏ」（１９９０）、第５版、Ｋ．Ｈｅｌｒｉｃｈ（編）に基づいた方法を用いることにより決定することができる。この方法では、水分の蒸発前、脱水の完了後に、２．５±０．２５ｇの試料を取り、本明細書で温度２２℃及び相対湿度６０％と規定される周囲条件で試料を量ることにより、含水率を重量測定法で決定する。本明細書に記載された実験において、Ｍｅｔｔｌｅｒ Ｔｏｌｅｄｏの水分計ＨＢ４３、ハロゲン加熱技術を備えたはかりを用いる（上述した参考文献のオーブン及びはかりに代えて）。試料を１０５℃に加熱する（上述した参考文献の９９．５±０．５℃に代えて）。質量変化が９０秒の時間フレームの間に１ｍｇ未満である場合、測定を停止する。次いで、試料の質量パーセントとしての含水率を水分計ＨＢ４３により自動的に計算する。

【0075】

粒子と被覆材料との間の動的摩擦を決定する方法
Ｉｎｓｔｒｏｎの摩擦係数用治具を用いてＡＳＴＭ１８９４に従って測定を行った。

【0076】

２１５×１３０ｍｍのエクステンションを有する試験装置の水平試験板の試験領域に試料被覆材料を適用することにより試験を行った。試験する充填材料の試料４０ｇを被覆材料に適用し、試験領域に均一に分布させた。プラスチック棒の３壁の囲いを用いて、試験板の側面及び背面で充填材料がこぼれるのを防ぎ、一方で引き綱の動き方向に試験用スレッドを動かした。試験装置の水平板の被覆材料と同じ被覆材料を摩擦スレッドに適用し、スレッドを充填材料にわたって滑らせて動的摩擦係数を得た。

【0077】

試験した充填材料
参考例１は、Ｓｗｅｄｉｓｈ Ｍａｔｃｈ Ｎｏｒｔｈ Ｅｕｒｏｐｅ ＡＢからＺＹＮ Ｓｌｉｍという名で販売されている市販品に由来する充填材料であった。充填材料の含水率は約３９％であり、充填材料は、乾燥質量で５０／５０混合の平均粒径１８０μｍの微結晶性セルロース（ＭＣＣ）粒子及び竹繊維を含んでいた。

【0078】

参考例２は、Ｓｗｅｄｉｓｈ Ｍａｔｃｈ Ｎｏｒｔｈ Ｅｕｒｏｐｅ ＡＢからＺＹＮ Ｄｒｙ ｃｉｔｒｕｓ ３ｍｇという名で販売されている市販品に由来する充填材料であった。充填材料は、約８４乾燥質量％の微結晶性セルロース及びマルチトールの顆粒の組み合わせで構成された。充填材料の含水率は約３％であった。

【0079】

実施例１は、充填材料の全質量の約７８質量％の、平均粒径９４５μｍ、真球度０．９±０．０５、粒子密度１．３ｇ／ｃｍ^３、かさ密度０．７８ｇ／ｃｍ^３を有する微結晶性セルロース粒子、及び充填材料の全質量に基づき約９質量％の更なる成分で構成された充填材料であった。充填材料の含水率は充填材料の１３質量％であった。

【0080】

実施例２は、充填材料の全質量の約７８質量％の、平均粒径４４５μｍ、真球度０．９±０．０５、粒子密度１．３ｇ／ｃｍ^３、かさ密度０．７２ｇ／ｃｍ^３を有する微結晶性セルロース粒子、及び充填材料の全質量に基づき約９質量％の更なる成分で構成された充填材料であった。充填材料の含水率は充填材料の１５質量％であった。

【0081】

実施例３は、充填材料の全質量の約７８質量％の、平均粒径１２００μｍ、真球度０．９±０．０５、粒子密度１．３ｇ／ｃｍ^３、かさ密度０．７２ｇ／ｃｍ^３を有する微結晶性セルロース粒子、及び充填材料の全質量に基づき約９質量％の更なる成分で構成された充填材料であった。充填材料の含水率は充填材料の１５質量％であった。

【0082】

全ての３つの試験で用いた被覆材料は、坪量２９ｇ／ｍ^２を有し、４０ｗｔ％のバインダーを含むビスコース不織布ウェブであった。不織布ウェブの繊維は、線密度１．７デシテックス及び繊維長４０ｍｍを有する１００％ビスコースステープル繊維であった。

【0083】

【表1】

【0084】

Ｔａｂｌｅ １（表１）から明らかなように、本発明に従う充填材料における実施例１、実施例２、及び実施例３の大きな高密度の粒子は、同じ被覆材料に対して測定した場合に参考例の充填材料よりもかなり低い摩擦係数を示した。

【0085】

経口袋状製品における粒子再分布を決定する方法
試料調製
図１に示すように縦シール６でシールした不織布小袋材料の細長い一片から小袋１を手作業で調製し、平面幅１４ｍｍの不織布の管を形成した。縦シール６は、例えばＭｅｒｚ Ｐａｃｋｅｒで作製することができる。管の長さは、図５に示す平面寸法、即ち幅１４ｍｍ、端シール７’、７’’の間の内部距離３２ｍｍを有する小袋１を製造するのに十分であるべきである。

【0086】

次いで、不織布の管に第１の横の端シール７’を行い、管の第１の端シール７’から２２ｍｍ及び３２ｍｍに印をつけた。開口端から２２ｍｍの印まで管を充填材料３で充填した。次いで、３２ｍｍの印で第２の横の端シール７’’を形成し、端シール７’、７’’の間で充填材料に完全に封をした。試験充填材料のそれぞれについて５つの試料を調製した。

【0087】

参考例の充填材料は市販品から得て、切り開いて充填材料を出した。試験した参考例の充填材は以下から得た。

【0088】

Ｙｏｉｋ ＡＢからのＨｅｌｗｉｔ Ｖｉｏｌｅｔ。包装材料の成分リストによれば、充填材料の大部分はセルロースである。充填材料は、更に、グリセロール、プロピレングリコール、ニコチン、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、香味用添加剤、マンニトール、及びスクラロースを含む。充填材料の含水率は充填材料の全質量の１２．７％であった。

【0089】

Ｎｏｒｄｉｃ Ｓｐｉｒｉｔ ＡＢからＮｏｒｄｉｃ Ｓｐｉｒｉｔ Ｓｐｅａｒｍｉｎｔ Ｉｎｔｅｎｓｅ。包装材料の成分リストによれば、充填材料の大部分はマルチトール及びセルロースである。充填材料は、更に、チューインガム基剤、グリセロール、プロピレングリコール、ニコチン、炭酸ナトリウム及び香味用添加剤を含む。充填材料の含水率は充填材料の全質量の７．８％であった。

【0090】

ＡＧ ＳｎｕｓからＳｈｉｒｏ Ｓｗｅｅｔ Ｍｉｎｔ。包装材料の成分リストによれば、充填材料の大部分はセルロースである。充填材料は、更に、グリセロール、香味用添加剤、塩化ナトリウム、ニコチン、炭酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム及びグァーガムを含む。充填材料の含水率は充填材料の全質量の２０．５％であった。

【0091】

本発明に従う４つの充填材料を試験した。
試料１は、充填材料の含水率が充填材料の１３質量％である、上記の摩擦試験における実施例１の充填材料であった。

【0092】

試料２は、試料１の充填材料であったが、含水率が充填材料の約２０質量％であった。

【0093】

試料３は、試料１の充填材料であったが、含水率が充填材料の約３０質量％であった。

【0094】

試料４は、試料１と同じ組成の充填材料であったが、微結晶性セルロース粒子の平均粒径が４４５μｍであった。

【0095】

試験手順
本明細書に規定されたように周囲条件で試験を行った。図６に示すフレーム２０に、第１の横の端シール７’を第２の横の端シール７’’の下にして試験試料小袋１を適用した。第１の横の端シール７’に付与された両面テープにより小袋１をフレーム２０に取り付けた。フレーム２０は、充填した小袋１を圧縮することなく支持するように設計した。充填した小袋をフレームに適用した後、充填材料３の上面と第１の横のシール７’との間の最短距離、即ち小袋１における充填材料３の高さを、分解能０．０１ｍｍのデジタル卓上ノギス装置を用いて決定した。含有量の見定めやすさを改善するため、後部のＬＥＤライトを小袋１に向けた。小袋をフレームに適用する間に充填した小袋１を撹拌したり振動させたりしないように注意した。次いで、フレームを１８０°回転させ、それにより第１の横の端シール７’を第２の横の端シール７’’の上にする。小袋１を回転させた後、小袋１の下部に存在する充填材料の量を、下部の第２の横の端シール７’’から、小袋１のその時の下部に再配置させた充填材料の上面までの最短距離として測定した。同様に、小袋を回転させた後の小袋１の上部に存在する充填材料３の量を、第１の横の端シール７’から、小袋のその時の上部に残った充填材料の下面に下りるまでの最短距離として測定した。

【0096】

試験結果
参考例１：Ｈｅｌｗｉｔ Ｖｉｏｌｅｔ
フレームに載せた小袋を１８０°回転させた後、ほとんど全ての充填材料が小袋のその時の上部に残り、少量の充填材料のみが小袋の底部に見えた。小袋の下部の第２の横の端シール７’’と充填材料との間の距離は定量化できず、即ちこの距離は、充填材料の上面を決定するのに十分な量の充填材料が存在しなかったためデジタル卓上ノギスにより測定できなかった。

【0097】

参考例２：Ｎｏｒｄｉｃ Ｓｐｉｒｉｔ Ｓｐｅａｒｍｉｎｔ Ｉｎｔｅｎｓｅ
フレームに載せた小袋を１８０°回転させた後、ほとんど全ての充填材料が小袋のその時の上部に残り、少量の充填材料のみが小袋の底部に見えた。小袋の下部の第２の横の端シールと充填材料との間の距離は定量化できず、即ちこの距離は、充填材料の上面を決定するのに十分な量の充填材料が存在しなかったためデジタル卓上ノギスにより測定できなかった。

【0098】

参考例３：Ｓｈｉｒｏ Ｓｗｅｅｔ Ｍｉｎｔ
フレームに載せた小袋を１８０°回転させた後、ほとんど全ての充填材料が小袋のその時の上部に残り、少量の充填材料のみが小袋の底部に見えた。小袋の下部の第２の横の端シールと充填材料との間の距離は定量化できず、即ちこの距離は、充填材料の上面を決定するのに十分な量の充填材料が存在しなかったためデジタル卓上ノギスにより測定できなかった。

【0099】

試料１：平均粒径が９４５μｍ、及び含水率が充填材料の１３質量％の微結晶性セルロース粒子で充填。
フレームに載せた小袋を１８０°回転させた後、充填材料の大部分が小袋の上端から位置を変えて小袋の底端に降下した。小袋の充填高さとして決定したところ、平均で６９．５％の充填材料が１８０°回転後に再配置し、小袋の上方に向かう端は充填材料がほとんどなくなった。

【0100】

試料２：平均粒径が９４５μｍ、及び含水率が充填材料の２０質量％の微結晶性セルロース粒子で充填。
フレームに載せた小袋を１８０°回転させた後、充填材料の大部分が小袋の上端から位置を変えて小袋の底端に降下した。小袋の充填高さとして決定したところ、平均で７１．０％の充填材料が１８０°回転後に再配置し、小袋の上方に向かう端は充填材料がほとんどなくなった。

【0101】

試料３：平均粒径が９４５μｍ、及び含水率が充填材料の３０質量％の微結晶性セルロース粒子で充填。
フレームに載せた小袋を１８０°回転させた後、充填材料の大部分が小袋の上端から位置を変えて小袋の底端に降下した。小袋の充填高さとして決定したところ、平均で６７．３％の充填材料が１８０°回転後に再配置し、小袋の上方に向かう端は充填材料がほとんどなくなった。

【0102】

試料４：平均粒径が４４５μｍ、及び含水率が充填材料の１３質量％の微結晶性セルロース粒子で充填。
フレームに載せた小袋を１８０°回転させた後、充填材料の大部分が小袋の上端から位置を変えて小袋の底端に降下した。小袋の充填高さとして決定したところ、平均で５６．１％の充填材料が１８０°回転後に再配置し、小袋の上方に向かう端は充填材料がほとんどなくなった。

【0103】

試験は、同一の割合で小袋に充填されて同じ不織布材料で作られた場合、市販の充填材料は重力の影響下で確認できる程度までには再配置しないことを示す。それに対して、本発明に従う充填材料は、逆さまに回転された場合に小袋内部で容易に再配置したことが示された。

【0104】

試験した従来技術の充填材料では、実質的に全ての充填材料が第１の横の端シール７’に残り、試料小袋を逆さまに回転した後、第２の横の端シール７’’の反対の端に降下しなかった。従って、重力に応えて小袋内部で再配置するという従来技術の充填材料の傾向は最小限であることが分かり、そのような従来の充填材料で充填された小袋の形を作り直すのには、はるかにより強い力が必要であることを示す。

【0105】

それに対して、本発明の充填材料は、重力に曝露された場合に小袋内部で容易に再配置することが分かった。小袋内部で再配置する傾向が高いことは、形を作り直して使用者の歯茎と唇との間のスペースにぴったりと心地よく適合するという本発明の経口袋状製品の能力を反映している。

【符号の説明】

【0106】

１ 袋状製品、小袋
２ 液体透過性被覆材料
３ 充填材料
４ 第１の種類の粒子、粒子
６ 縦シール
７、７’、７’’ 端シール
８ 第１の主表面
９ 第２の主表面
１１ 水溶性成分
１２ 隙間
２０ フレーム

【図1】

【図2】

【図3】

【図4a】

【図4b】

【図4c】

【図4d】

【図5】

【図6】

【国際調査報告】