(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】非改質クレイとマグネシウム塩と抗離漿剤と水とを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20231228BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20231228BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231228BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20231228BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231228BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/19
A61K8/34
A61K8/73
A61Q19/00
A61Q5/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538124
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2021087097
(87)【国際公開番号】W WO2022136436
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】オルガ・ビガンスカ
(72)【発明者】
【氏名】カトリーヌ・マリヨン
(72)【発明者】
【氏名】フランク・クレマン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA121
4C083AB031
4C083AB051
4C083AB131
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC011
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC331
4C083AC352
4C083AC431
4C083AC482
4C083AC641
4C083AD041
4C083AD071
4C083AD091
4C083AD211
4C083AD241
4C083AD261
4C083AD262
4C083AD301
4C083AD331
4C083AD351
4C083AD352
4C083CC02
4C083CC17
4C083CC31
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE09
4C083EE11
4C083EE18
4C083EE21
(57)【要約】
本発明は、3八面体スメクタイトから選択される非改質クレイと、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム及びこれらの混合物から選択されるマグネシウム塩と、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、天然ポリマー及びこれらの混合物から選択される抗離漿剤と、水とを少なくとも含む、組成物、好ましくは化粧用組成物に関する。加えて、このような組成物を、皮膚及び/又は頭髪に適用することで構成される少なくとも1つの工程を含む、美容方法を対象とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 3八面体スメクタイトから選択される非改質クレイと、
- 酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム及びこれらの混合物から選択されるマグネシウム塩と、
- プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、天然ポリマー及びこれらの混合物から選択される抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含む組成物、好ましくは化粧用組成物。
【請求項2】
前記非改質クレイが、非改質クレイの総質量に対して少なくとも30質量%、好ましくは35質量%~65質量%のSiO
2と、非改質クレイの総質量に対して少なくとも10質量%、好ましくは15質量%~30質量%のMgOとを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記非改質クレイが、1~3、好ましくは1.5~2.5、より優先的には1.8~2.4の範囲内のSiO
2/MgO質量比を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記非改質クレイが、一般分子式:
【化1】
[式中、
M
4+はカチオン、好ましくはSi
4+を表し、
M
3+はカチオン、好ましくはAl
3+を表し、
M
2+はカチオン、好ましくはFe
2+又はMg
2+を表し、
M
+はカチオン、好ましくはLi
+を表し、
Xは層間カチオン、好ましくはCa
2+、Na
+、Li
+又はこれらの混合物を表し、
xは四面体置換度を表し、
yは八面体置換度を表し、
kは層間カチオンXの価数を表し、
nは整数、好ましくは0~100を表す]
を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記非改質クレイが、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト及びこれらの混合物から選択され、好ましくはヘクトライトである、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記非改質クレイが、天然クレイ、好ましくは天然ヘクトライトである、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記非改質クレイが、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より優先的には7質量%以下、よりいっそう優先的には6質量%以下の含有量で、特に0.5質量%から5.0質量%の間、好ましくは1質量%から3質量%の間の含有量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記マグネシウム塩が酸化マグネシウムである、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記マグネシウム塩が、組成物の総質量に対して、0.5質量%から10.0質量%の間、好ましくは0.9質量%から10.0質量%の間の量で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
非改質クレイ/マグネシウム塩質量比が、10/1から1/10の間、好ましくは10/1から1/2の間、より優先的には5/2から1/4の間である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも抗離漿剤が、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール及びこれらの混合物から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記天然ポリマーが、
- 加工又は未加工多糖類、例えば、アルギネート、ペクチン、カラギーナン、デンプン、特に加工デンプン、ゲランガム、スクレロチウムガム、アラビアゴムノキの樹木(Acacia senegal)から得られるアカシアガム若しくはアラビアガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ガラクトマンナン、グルコマンナン、プルラン、天然若しくは改質スクレログルカン、改質若しくは非改質グアーガム、改質若しくは非改質セルロース、特にエステル化、エーテル化(例えば、カルボキシメチルセルロース若しくはセルロースガムとも呼ばれるCMC)及び/若しくは架橋によって改質されたセルロース、ヘミセルロース、コンニャクガム、タラガム、カラヤガム、ヒアルロン酸並びにその誘導体及び/若しくは塩、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、アガー又はイヌリン、
- ポリアミノ酸、例えばポリリジン、並びに
- これらの混合物
から選択され、
好ましくは、スクレロチウムガム、アカシアガム、セルロースガム及びこれらの混合物から選択される、
請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ポリアミド粒子;ポリエチレン粉末;アクリル系コポリマーをベースとする微小球;メタクリル酸ポリメチル微小球;エチレン/アクリレートコポリマー粒子;膨張粉末、例えば中空微小球、特に塩化ビニリデン、アクリロニトリル及びメタクリレートのターポリマーで形成された微小球;天然有機材料の粉末、例えば多糖類粉末、特にデンプン粉末、とりわけ架橋又は非架橋のトウモロコシ、コムギ又はコメデンプン粉末、オクテニルコハク酸無水物によって架橋されたデンプンの粉末;セルロース粒子;シリコーン樹脂マイクロビーズ;アミノ酸粉末、例えばラウロイルリジン粉末;ワックス微分散粒子;多孔質シリカマイクロビーズ;ゼオライト;炭酸カルシウムマグネシウム;パーライト;並びにこれらの混合物から特に選択され、
好ましくは、組成物の総質量に対して、0.001質量%~20.000質量%、好ましくは1質量%~10質量%の範囲内の量で存在する、
少なくとも1種の有機又は無機充填剤を更に含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
特に、パラフィンワックス、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、ローレルワックス、サトウキビワックス、セラミド、エスパルトワックス、オリーブ樹木ワックス、コメワックス、ヒマワリ種子ワックス、水添ホホバワックス、水添ヒマシ油、水添オリーブ油、水添綿実油、ブラックワトル花ワックス、ホホバワックス及びヒマワリワックスのポリグリセリル-3エステル、アブソリュート花ワックス、例えば、クロスグリ花エッセンシャルワックス、ダイズワックス、ヤマモモ果実ワックス又はローレルワックス、ビーズワックス、改質ビーズワックス(セラベリナ)、ラノリン、鯨蝋、長鎖結晶性脂肪族アルコール及びその混合物、長鎖結晶性エステル及びその混合物、アルキル長鎖を有する結晶性脂肪酸及びその混合物、海洋産ワックス、ポリオレフィンワックス、エチレン/プロピレンコポリマー、Fischer-Tropschワックス並びにこれらの混合物から、好ましくは、結晶性C
12~C
24脂肪族アルコール、結晶性C
12~C
24脂肪酸、C
12~C
24脂肪酸から得られる結晶性エステル及びこれらの混合物から選択され、
好ましくは、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15.00質量%、好ましくは0.08質量%から12.00質量%の間、優先的には、組成物の総質量に対して、0.1質量%から8.0質量%の間の範囲内の量で存在する、
少なくとも1種の結晶性脂肪物質を更に含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
抗離漿剤が、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール又はこれらの混合物である場合、組成物の総質量に対して、1質量%~60質量%、好ましくは2質量%~55質量%、より優先的には3質量%~50質量%の範囲内の量で存在する、
又は
抗離漿剤が、天然ポリマーである場合、組成物の総質量に対して、0.05質量%~10.00質量%、好ましくは0.1質量%~3.0質量%、好ましくは0.2質量%~2.0質量%の範囲内の量で存在する、
請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
水が、組成物の総質量に対して、30質量%~98質量%、好ましくは35質量%~97質量%、より優先的には40質量%~95質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
ゲルタイプ、好ましくは水性ゲルタイプである、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
皮膚及び/又は頭髪に、好ましくは顔面及び/又は体の皮膚に、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物を適用することで構成される少なくとも1つの工程を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3八面体スメクタイトから選択される少なくとも1種の非改質クレイと、マグネシウム塩と、ポリオール、天然ポリマー、有機又は無機充填剤、結晶性脂肪物質及びこれらの混合から選択される抗離漿剤と、水とを含む、局所適用のための組成物、並びにケラチン物質、例えば皮膚、特に体若しくは顔面の皮膚、又は頭髪の分野、特に美容分野における、とりわけケア、衛生及び/又は保護のための、好ましくは体又は顔面の皮膚のケアのための前記組成物の使用に関する。
【0002】
本発明は、特に、ケラチン物質、とりわけ皮膚のケア及び衛生のための化粧用組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の意味の範囲内では、「ケラチン物質」という用語は、皮膚、唇等の粘膜、爪、並びにまつ毛及び頭髪等のケラチン繊維を含むものと理解される。顔面の皮膚及び/又は体の皮膚が、非常に特定的に、本発明によって考慮される。
【0004】
「皮膚」という用語は、頭皮、粘膜及び半粘膜を含む体の皮膚、並びにその付属器のすべてを意味するものと理解される。「皮膚の付属器」という用語は、体毛、まつ毛、頭髪及び爪を意味するものと理解される。より特定的には、本発明において、ネックライン、首及び顔面の皮膚、とりわけ顔面の皮膚、並びにまた腋窩及び足の皮膚が考慮される。
【0005】
必須成分として、天然の、天然起源の及び/又は生物学的と認定される成分を用いるために「天然」と称される化粧料又は食料について、現在、消費者の需要が増大している。
【0006】
したがって、天然製品は、皮膚ケア及び毛髪ケア製品の分野において、ますます重要な地位を占めている。
【0007】
それにもかかわらず、消費者はしばしば、天然製品の性能は、従来製品の性能に対して劣後すると考える。
【0008】
加えて、今日の社会及び消費者はまた、その設計が起こしうる環境への影響が最も小さい製品を求めている。
【0009】
この文脈において、配合者は、従来の合成出発材料、例えば、高性能の非ソーピング乳化剤、増粘剤、例えば架橋若しくは非架橋ポリアクリル系ポリマー又はシリコーンを使用できないため、技術的課題に直面している。
【0010】
したがって、環境影響ができるだけ小さく、安定であり、特に、爽快効果、デオドラント効果(すなわち防臭効果)、毛穴の視認性、べたつきがないこと、糸引きがないこと若しくはソーピングがないこと、又はマット感への寄与の観点において、従来製品の品質と同等若しくはより優れた官能性能品質、及び特異的な化粧性能品質を有する天然化粧料を設計することは、困難なままである。
【0011】
化粧料にクレイを使用することは公知である。しかしながら、これらのクレイは一般に、「天然」製品における使用を意図していない改質クレイであるか、水にテクスチャを付与する特性を有しない、カオリン、タルク及びマイカ等の天然クレイであるかのいずれかである。
【0012】
更に、水和されうる層間カチオンを含み、水性ゲルを形成するための特異的構造によって、水にテクスチャを付与することができる、天然ヘクトライト等の天然クレイが存在する。これらのゲルは、新規な天然化粧用配合物の設計に非常に有利な支持体である。それにもかかわらず、これらは経時的に安定ではない。
【0013】
更に、化粧用組成物に、より特定的には脂っぽい皮膚のための製品及び体臭を抑制することを対象とする製品に、マグネシウム塩を使用することも公知であるが、しかしながら、水及び水にテクスチャを付与することができる非改質クレイの存在下ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】PCT/EP2013/062964
【特許文献2】特開平2-295912号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】A System of Mineralogy、Durrie & Peck and Herrick & Noyes、1837年、第1版
【非特許文献2】Richard V. Gaines, H. Catherine W. Skinner, Eugene E. Foord, Brian Mason and Abraham Rosenzweig、Dana's New Mineralogy、John Wiley & Sons、1997年、第8版
【非特許文献3】Bergaya F. and Lagaly G.、「Handbook of Clay Science」、第2版、A. Fundamentals、Elsevier Ltd社、2013年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
結果として、使用者は、化粧品の品質及び官能的性質の観点における期待を同時に満足し、環境への影響が低減しており、好ましくは天然の、天然起源の及び/又は生物学的と認定される成分に有利に働く、製品を探し求めている。
【0017】
特に、天然の、天然起源の及び/又は生物学的と認定される成分をベースとし、安定であり、特に、爽快効果、デオドラント効果(すなわち防臭効果)、べたつきがないこと、糸引きがないこと若しくはソーピングがないこと(適用時の白色被膜がないこと)、又はマット感への寄与の観点において、従来製品の品質と同等又はより優れた官能性能品質、及び特異的な化粧性能品質を有する、利用可能な組成物、好ましくは化粧用組成物を有することが望ましい。
【0018】
これらの要求を満たすことが、正確に、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本明細書は、
- 3八面体スメクタイトから選択される非改質クレイと、
- マグネシウム塩と、
- ポリオール、天然ポリマー、有機又は無機充填剤、結晶性脂肪物質及びこれらの混合物から選択される抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含む組成物、好ましくは化粧用組成物を記載している。
【0020】
第1の態様によれば、本発明は、
- 3八面体スメクタイトから選択される非改質クレイと、
- 酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム及びこれらの混合物から選択されるマグネシウム塩と、
- プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、天然ポリマー及びこれらの混合物から選択される抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含む組成物、好ましくは化粧用組成物を対象とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明による組成物は安定であり、適用時に心地よいことを発見した。特定のマグネシウム塩と特定の抗離漿剤との共存によって、離漿と呼ばれる周知の現象(クレイの構造による水の放出)の開始が防止される。
【0022】
特に、下の実施例において例証されるように、形成された組成物は、べたつかない又は糸を引かないという利点を呈し、軟質で、滑りを有し、適用時に爽快である。更に、この組成物はソーピングせず、言い換えれば、適用時に白色被膜を呈しない。
【0023】
その上、この組成物は、高レベルのマット感付与及びデオドラント性能品質を有する。
【0024】
最後に、これらのpHは有利には12に近く、保存剤の添加を必要としない。
【0025】
本発明の更なる目的は、その別の態様によれば、上に定義した組成物を、皮膚及び/又は頭髪に、好ましくは顔面及び/又は体の皮膚に適用することで構成される少なくとも1つの工程を含む美容方法である。
【0026】
本発明の他の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な発明を実施するための形態を読むことで明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
非改質クレイ
上に示した通り、本発明による組成物は、3八面体スメクタイトから選択される少なくとも1種の非改質クレイを含む。
【0028】
一般に、鉱物の最初の分類は、米国の鉱物学者であるJames Dwight Danaによって確立されたもの(A System of Mineralogy、Durrie & Peck and Herrick & Noyes、1837年、第1版)であった。この分類は続いて拡張され、新たな分類が1997年に発行された(Richard V. Gaines, H. Catherine W. Skinner, Eugene E. Foord, Brian Mason and Abraham Rosenzweig、Dana's New Mineralogy、John Wiley & Sons社、1997年、第8版)。
【0029】
より特定的には、クレイの分類についての世界的参考文献は、Bergaya/Lagalyによる著作(Bergaya F. and Lagaly G.、「Handbook of Clay Science」、第2版、A. Fundamentals、Elsevier Ltd社、2013年)である。
【0030】
本発明の意味の範囲内では、「非改質クレイ」という用語は、いかなるタイプの改質も一切受けていない、天然又は合成クレイを意味するものと理解される。例えば、本発明に好適な非改質クレイが非改質ヘクトライトである場合、後者は、C10~C22脂肪酸アンモニウムクロリドによって改質されたヘクトライト、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロリドによって改質されたヘクトライトとは区別される。
【0031】
したがって、本発明に準拠した非改質ヘクトライトは、2/1フィロシリケートとも呼ばれ、スメクタイトの群に、より特定的には3八面体スメクタイトという下位群に属する、「TOT」(四面体-八面体-四面体:2つの四面体シートが八面体層を挟み込んでいる)シート構造を有する、天然又は合成、好ましくは天然のフィロシリケートの中に含まれる。
【0032】
スメクタイトの構造は、TOTシートの各組合せの間にある層間空間において他のフィロシリケートとは異なり、この層間空間は、水和の状態(クレイは、「膨潤」していると言われることもある)に依存し、その空間には層間カチオンが挿入されている。
【0033】
特に、本発明による非改質クレイは、水の存在下で剥離又は「活性化」されうる3八面体スメクタイトであり、したがって、構造中に層間カチオンが存在する結果として、水性ゲルを形成している。
【0034】
本発明に好適な非改質クレイに水が接触すると、非改質クレイのシートを水和させ、したがって、シート間の距離の膨張をもたらす。次いで、おそらくは剥離及び/又は層間剥離機構によって、シートの分離が起こる。次いで、水性ゲルが得られる。組成物の総質量に対して、この特定のタイプのクレイが、0.5質量%~10質量%の範囲内の含有量で(本発明において定義される抗離漿剤と組み合わせて)本質的に存在し、これによって、本発明による組成物中に、ゲル化水性相を得ることができる。
【0035】
一実施形態によれば、本発明に好適な非改質クレイは、合成クレイである。
【0036】
好ましい実施形態によれば、本発明に好適な非改質クレイは、天然クレイ、好ましくは天然ヘクトライトである。
【0037】
好ましい実施形態によれば、本発明に好適な非改質クレイは、非改質クレイの総質量に対して少なくとも30質量%、好ましくは35質量%~65質量%のSiO2と、非改質クレイの総質量に対して少なくとも10質量%、好ましくは15質量%~30質量%のMgOとを含むことができる。
【0038】
より好ましい実施形態によれば、本発明に好適な非改質クレイは、非改質クレイの総質量に対して35質量%~65質量%のSiO2と、非改質クレイの総質量に対して15質量%~30質量%のMgOとを含むことができる。
【0039】
好ましい実施形態によれば、本発明に好適なクレイは、1~3、好ましくは1.5~2.5、より優先的には1.8~2.4の範囲内のSiO2/MgO質量比を含むことができる。
【0040】
別の好ましい実施形態によれば、本発明に好適なクレイは、非改質クレイの総質量に対して、0質量%~15質量%のAl2O3を含むことができる。
【0041】
したがって、第1の代替形態によれば、本発明に好適なクレイは、Al2O3を欠いている(除去されている)。
【0042】
第2の代替形態によれば、本発明に好適なクレイは、非改質クレイの総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは8質量%~12質量%のAl2O3を含むことができる。
【0043】
別の好ましい実施形態によれば、本発明に好適なクレイ中にAl2O3が存在する場合、クレイは、3超のSiO2/Al2O3質量比を含むことができる。
【0044】
特定の実施形態によれば、本発明に好適な非改質クレイは、一般分子式:
【0045】
【0046】
[式中、
M4+はカチオン、好ましくはSi4+を表し、
M3+はカチオン、好ましくはAl3+を表し、
M2+はカチオン、好ましくはFe2+又はMg2+を表し、
M+はカチオン、好ましくはLi+を表し、
Xは層間カチオン、好ましくはCa2+、Na+、Li+又はこれらの混合物を表し、
xは四面体置換度を表し、
yは八面体置換度を表し、
kは層間カチオンXの価数を表し、
nは整数、好ましくは0~100を表す]
を有する。
【0047】
本発明に好適な非改質クレイは、一般に、粉末形態で入手可能である。
【0048】
特に好ましい形態によれば、本発明に好適な非改質クレイは、ヘクトライト、スチブンサイト、サポナイト及びこれらの混合物から選択することができ、好ましくはヘクトライトでありうる。
【0049】
本発明に好適な非改質クレイは、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より優先的には7質量%以下、よりいっそう優先的には6質量%以下の含有量で存在することができる。
【0050】
特に、本発明に好適な非改質クレイは、組成物の総質量に対して、0.5質量%から5.0質量%の間、好ましくは1質量%から3質量%の間の含有量で存在する。
【0051】
特に、非改質クレイとして、より特定的には非改質ヘクトライトとして、Elementis社によってBentone EWの名称で販売されているものを使用することができる。
【0052】
水
上に述べたように、本発明による組成物は、加えて水を含む。そして、その存在下で、本発明に好適な非改質クレイが水性ゲルを形成する。
【0053】
特に、水は、組成物の総質量に対して、30質量%~98質量%、好ましくは35質量%~97質量%、より優先的には40質量%~95質量%の範囲内の量で存在する。
【0054】
マグネシウム塩
上に言及したように、本発明による組成物は、加えて、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種のマグネシウム塩を含む。
【0055】
特定的な実施形態によれば、マグネシウム塩は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)又はこれらの混合物を含む。
【0056】
別の特定的な実施形態によれば、マグネシウム塩は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)又はこれらの混合物で構成される。
【0057】
マグネシウム塩、特に酸化マグネシウム(MgO)は、悪臭に対して効果的である。活性濃度が高いほど、製品はより効果的である。
【0058】
したがって、マグネシウム塩は、特に水中溶液では8超のpHを呈する、高い塩基性度に起因して抗菌作用を有し、加えて、汗の悪臭を発する化合物、例えば、酸のファミリーの短い炭素鎖を有する揮発性化合物を中和することができる。
【0059】
より特定的には、酸化マグネシウムが使用される。
【0060】
マグネシウム塩、特に酸化マグネシウムは、いささか濃密な白色粉末の形態で提供される。酸化マグネシウムに関して、非常にわずかにのみ溶解性であり、水の存在下で水酸化物形態にいささか迅速に変換され、いささか濃厚なテクスチャのゲルを形成しうる。酸化マグネシウムは、非常にアルカリ性のpH、特に10超のpHを呈する。
【0061】
したがって、マグネシウム塩、特に酸化マグネシウムの粉末は、特に、サイズ、密度及びまた比表面積を特徴としうる粒子を含む。
【0062】
本発明の文脈において用いることができる酸化マグネシウムの中でも、特に、宇部興産株式会社によってUltra High Purity及びFine Magnesium Oxyde 500Aの名称で販売されている酸化マグネシウム、Dr. Paul Lohmann社によってMagnesium Oxyde Extra Light若しくはMagnesium Oxyde Extra Light Low Nickelの名称で販売されているもの、Magnesia社によってMagnesia 22の名称で販売されている酸化マグネシウム、又はDr. Paul Lohmann社によってMagnesium Oxide Heavy C46/124の名称で販売されているものも挙げることができる。
【0063】
特に、本発明の文脈において用いることができる水酸化マグネシウムとして、Dr. Paul Lohmann社によってMagnesium Hydroxideの名称で販売されている水酸化マグネシウムを挙げることができる。
【0064】
好ましい実施形態によれば、本発明に好適なマグネシウム塩は、酸化マグネシウムでありうる。
【0065】
特に、本発明に好適なマグネシウム塩は、組成物の総質量に対して、0.5質量%から10.0質量%の間、好ましくは0.9質量%から10.0質量%の間の含有量で存在する。
【0066】
本発明において詳細に記載される添加剤中に場合により存在するマグネシウム塩の含有量は、上に示される含有量の百分率に含まれないことが理解される。
【0067】
好ましくは、本発明による組成物が脂っぽい皮膚のための製品用である場合、本発明に好適なマグネシウム塩は、組成物の総質量に対して、0.9質量%から5.0質量%の間、好ましくは0.9質量%から1.5質量%間の含有量で存在する。
【0068】
好ましくは、本発明による組成物がデオドラント製品用である場合、本発明に好適なマグネシウム塩は、組成物の総質量に対して、2質量%から10質量%の間、好ましくは2質量%から8質量%の間の含有量で存在する。
【0069】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物において、非改質クレイ/マグネシウム塩質量比は、10/1から1/10の間である。
【0070】
特に、非改質クレイ/マグネシウム塩質量比は、10/1から1/2の間であり、好ましくは5/2から1/4の間である。より特定的には5/2、2/2、1/8、1/4又は1/1でありうる。
【0071】
本発明による組成物における少なくとも1種のマグネシウム塩の使用は、2つ以上の点で有利である。これは、一方では、この/これらの塩が固有の抗菌活性を呈し、他方ではpHが高い限りにおいて、本発明による組成物に微生物学的保護を提供するために、保存剤を加える必要がないためである。
【0072】
本発明によって形成されるゲルの濃厚さ及び外観は、非改質クレイの含有量とマグネシウム塩の含有量との両方の関数であるため、様々である。
【0073】
例えば、本発明による組成物中の非改質クレイの含有量が多いほど、得られるゲルはより濃厚でより硬くなる。
【0074】
マグネシウム塩、例えばMgOの添加によって、それが非常に少量であっても、ゲルの濃厚さが有意に上昇する。
【0075】
少量の非改質クレイ(例えば組成物の総質量に対して0.5質量%~2質量%)と、多量のマグネシウム塩、例えばMgO(例えば組成物の総質量に対して4質量%~5質量%)との組合せの場合、非改質クレイの含有量が多く(例えば組成物の総質量に対して3質量%~5質量%)、マグネシウム塩、例えばMgOの含有量が少ない(例えば組成物の総質量に対して1質量%~2質量%)場合よりも、ゲルは濃厚でなく、扱いやすく、クリーミーである。
【0076】
したがって、有利なことに、これによって配合者は、将来の製品(顔面のためのクリーム又はデオドラント)の性質及び適用の様式(ロールオン、バルサム又はスティック)に好適な、様々な官能特性を有するプロトタイプを設計することができる。
【0077】
抗離漿剤
上に言及したように、本発明による組成物は、加えて、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、天然ポリマー及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の抗離漿剤を含む。
【0078】
このような薬剤の存在は、離漿の開始を防止する限りにおいて、組成物の安定性に寄与する。
【0079】
離漿とは、クレイゲルの収縮によって系から液相が排出されることからなる、当業者に周知の現象である。
【0080】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1種の抗離漿剤は、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール及びこれらの混合物から選択され、好ましくはプロピレングリコールである。
【0081】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物において、非改質クレイ/抗離漿剤質量比は、10/1から1/10の間である。
【0082】
プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール又はこれらの混合物は、有利には、組成物の総質量に対して、1質量%~60質量%、好ましくは2質量%~55質量%、より優先的には3質量%~50質量%、よりいっそう良好には5質量%~20質量%に相当する。
【0083】
天然ポリマー
本発明による組成物は、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール又はこれらの混合物に加えて、又はその代わりに、少なくとも1種の天然ポリマーを含んでもよい。
【0084】
本発明の意味の範囲内では、「天然ポリマー」という用語は、天然起源のあらゆるポリマー、特に植物若しくは動物起源のポリマー、又は発酵から得られるポリマー、好ましくは
- 加工又は未加工多糖類、例えば、アルギネート、ペクチン、カラギーナン、デンプン、特に加工デンプン、ゲランガム、スクレロチウムガム、アラビアゴムノキの樹木(Acacia senegal)から得られるアカシアガム若しくはアラビアガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ガラクトマンナン、グルコマンナン、プルラン、天然若しくは改質スクレログルカン、改質天然若しくは非改質グアーガム、改質若しくは非改質セルロース、特にエステル化、エーテル化(例えば、カルボキシメチルセルロース若しくはセルロースガムとも呼ばれるCMC)及び/若しくは架橋によって改質されたセルロース、ヘミセルロース、コンニャクガム、タラガム、カラヤガム、ヒアルロン酸並びにその誘導体及び/若しくは塩、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、アガー又はイヌリン、
- ポリアミノ酸、例えばポリリジン、並びに
- これらの混合物
から選択されるポリマーを意味するものと理解されるべきである。
【0085】
好ましい実施形態によれば、本発明に好適な天然ポリマーは、カラギーナン、アルギネート、キサンタンガム及びこれらの混合物から選択されうる。
【0086】
特定の実施形態によれば、本発明に好適な天然ポリマーは、スクレロチウムガム、アカシアガム、セルロースガム及びこれらの混合物から選択されうる。
【0087】
本発明に好適な天然ポリマーは、組成物の総質量に対して、0.05質量%~10.00質量%、好ましくは0.1質量%~3.0質量%、好ましくは0.2質量%~2.0質量%の範囲内の量で存在することができる。
【0088】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物において、非改質クレイ/天然ポリマー質量比は、0.005/10から1/10の間、好ましくは0.05/10から0.3/10の間である。
【0089】
追加の化合物
ポリオール
本発明による組成物は、加えて、プロピレングリコール及び1,3-プロパンジオールとは区別される、少なくとも1種のポリオールを含むことができる。
【0090】
本発明の意味の範囲内では、「ポリオール」という用語は、少なくとも2つのフリーのヒドロキシル基を含む任意の有機分子を意味するものと理解されるべきである。
【0091】
好ましくは、本発明に準拠したポリオールは、室温で液体の形態で存在する。
【0092】
本発明に好適なポリオールは、アルキル鎖上に、少なくとも2つの-OH官能基、特に少なくとも3つの-OH官能基、より特定的には少なくとも4つの-OH官能基を有する、飽和又は不飽和で、直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキルタイプの化合物であってよい。
【0093】
本発明による組成物の配合に有利に好適なポリオールは、特に2~32個の炭素原子、好ましくは3~16個の炭素原子を呈するものである。
【0094】
有利には、ポリオールは、例えば、エチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ブチレングリコール、イソプレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、例えばグリセロールオリゴマー、例えばジグリセロールオリゴマー、ポリエチレングリコール及びこれらの混合物から選択されうる。
【0095】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ポリオールは、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、ポリエチレングリコール及びこれらの混合物から選択される。
【0096】
より好ましい実施形態によれば、前記ポリオールは、ブチレングリコール、グリセロール、ペンチレングリコール及びこれらの混合物から選択される。
【0097】
特定の様式によれば、本発明の組成物は、少なくともプロピレングリコールを含むことができる。
【0098】
別の特定の様式によれば、本発明の組成物は、少なくともブチレングリコールを含むことができる。
【0099】
存在する場合、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール又はこれらの混合物を含むポリオールは、有利には、組成物の総質量に対して、1質量%~60質量%、好ましくは2質量%~55質量%、より優先的には3質量%~50質量%、よりいっそう良好には5質量%~20質量%に相当する。
【0100】
充填剤
一実施形態によれば、本発明による組成物は、加えて、本発明に好適な非改質クレイとは区別される、少なくとも1種の充填剤を含むことができる。
【0101】
充填剤は、特に、有機充填剤及び/又は無機(鉱物)充填剤とすることができる。
【0102】
一代替形態によれば、充填剤は無機充填剤である。
【0103】
別の代替形態によれば、充填剤は有機充填剤である。
【0104】
別の代替形態によれば、組成物中に存在する充填剤は、少なくとも1種の無機(鉱物)充填剤と少なくとも1種の有機充填剤との混合物である。
【0105】
「充填剤」という用語は、組成物が製造される温度にかかわりなく、組成物の媒体に不溶性である、無色又は白色であり、任意の形状の鉱物又は合成粒子を意味するものと理解されるべきである。
【0106】
特定の実施形態によれば、本発明に使用される充填剤は、体積平均直径D[4,3]として表される、50nm~500μmの範囲内のサイズを呈する。
【0107】
特定の実施形態によれば、本発明に使用される充填剤は、0.05g/cm3以上のバルク密度を有する。
【0108】
有機充填剤
本特許出願において、「有機充填剤」という用語は、室温(25℃)で媒体に不溶性である、任意の有機固体を意味するものと理解される。
【0109】
「有機」という用語は、化学構造が少なくとも1個以上の炭素原子を含む、任意の化合物又はポリマーを指すものと理解される。
【0110】
本発明による組成物に使用できる有機充填剤として、例えば、ポリアミド(Nylon(登録商標))粒子、特にAtochem社によってOrgasol(登録商標)の名称で販売されているもの;ポリエチレン粉末;アクリル系コポリマーをベースとする微小球、例えば、Dow Corning社によってPolytrap(登録商標)の名称で販売されているジメタクリル酸エチレングリコール/メタクリル酸ラウリルコポリマーで作製されたもの;Matsumoto社によってMicrosphere M-100(登録商標)の名称で、又はWackherr社によってCovabead Lh85(登録商標)の名称で販売されている、メタクリル酸ポリメチル微小球;エチレン/アクリレートコポリマー粉末、例えば住友精化株式会社によってFlobeads(登録商標)の名称で販売されているもの;膨張粉末、例えば、中空微小球特に、塩化ビニリデン、アクリロニトリル及びメタクリレートのターポリマーで形成された微小球、及びKemanord Plast社によってExpancel(登録商標)の名称で、551 DE 12(登録商標)(およそ12μmの粒径)、551 DE 20(登録商標)(およそ30μmの粒径)若しくは551 DE 50(登録商標)(およそ40μmの粒径)の参照名で販売されている微小球、又はMatsumoto社によってMicropearl F 80 ED(登録商標)の名称で販売されている微小球;
天然有機材料の粉末、例えば多糖粉末、特にデンプン粉末、とりわけ架橋又は非架橋のトウモロコシ、コムギ又はコメデンプン粉末、National Starch社によってDry-Flo(登録商標)の名称で販売されているオクテニルコハク酸無水物によって架橋されたデンプンの粉末、又はワックス状トウモロコシデンプンの粉末、例えば、Cargill社によってC* Gel 04201、Roquette社によってMaize Starch B及びDraco Natural Products社によってOrganic Corn Starchの名称で販売されているもの;セルロース粒子、例えば大東化成工業株式会社によってCellulobeadsの名称で販売されているもの - Lenzing製の一連のTencel製品も挙げることができる;シリコーン樹脂マイクロビーズ、例えば、Toshiba Silicone社によってTospearlの名称で販売されているもの、特にTospearl 240;アミノ酸粉末、例えば味の素株式会社によってAmihope LL-11(登録商標)の名称で販売されているラウロイルリジン粉末;好ましくは25μm未満、特に0.5μm~25μmの範囲内の平均寸法を有し、本質的にワックス又はワックスの混合物で構成されるワックス微分散粒子、例えば、Byk Cera社によってAquacerの名称で販売されている製品、特に: Aquacer 520(合成及び天然ワックスの混合物)、Aquacer 514(登録商標)若しくは513(登録商標)(ポリエチレンワックス)若しくはAquacer 511(登録商標)(ポリマーワックス)、又は例えば、Johnson Polymer社によってJonwax 120の名称で販売されている製品(ポリエチレンワックスとパラフィンワックスとの混合物)、並びにByk Cera社によってCeraflour 961(登録商標)の名称で販売されている製品(微粉化改質ポリエチレンワックス);並びにこれらの混合物
を挙げることができる。
【0111】
本発明の特定の実施形態によれば、有機充填剤は、球状セルロース粒子、N-アシルアミノ酸粉末及びポリアミド粒子から選択され;好ましくは、球状セルロース粒子及びN-アシルアミノ酸粉末から選択される。
【0112】
本発明の文脈において、「球状粒子」という用語は、球体の形状又は実質的に球体の形状を有し、本発明による組成物の媒体に、媒体の融点(およそ100℃)においてさえ不溶性である粒子を意味するものと理解される。特定の実施形態によれば、本発明の文脈において使用することができる球状セルロース粒子は、微粒子である。好ましくは、これらは、体積平均直径D[4,3]として表される、0.1~35μm、好ましくは1~20μm、より特定的には4~15μmの範囲内の粒径を有する。
【0113】
球状セルロース微粒子の例として、大東化成工業株式会社によってCellulobeads D-10、Cellulobeads D-5及びCellulobeads USFの名称で販売されている中実セルロースビーズを、特に挙げることができる。
【0114】
N-アシルアミノ酸は、8~22個の炭素原子を有するアシル基、例えば、2-エチルヘキサノイル、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル又はココイル基等を含むことができる。アミノ酸は、例えば、リジン、グルタミン酸又はアラニンであってもよく、好ましくはリジンでありうる。
【0115】
特定の実施形態によれば、N-アシルアミノ酸は、10~14個の炭素原子を有するアシル基を含む。好ましくは、アシル基はラウロイル基である。有利には、N-アシルアミノ酸粉末は、ラウロイルリジン粉末、例えば、味の素株式会社によってAmihope LLの名称で販売されているものであってもよく、Corum社によってCorum 5105 Sの名称で販売されているものであってもよい。
【0116】
無機充填剤
本発明において、「無機充填剤」という用語は、室温(25℃)で媒体に不溶性である、任意の無機固体を意味するものと理解される。
【0117】
「無機」という用語は、化学構造が炭素原子を含まない、任意の化合物又はポリマーを意味するものと理解される。
【0118】
無機充填剤の例として、体積平均直径D[4,3]として表される、50nm~500μmの範囲内の粒径を有する多孔質球状シリカ粒子を挙げることができる。
【0119】
本特許出願において、「球状粒子」という用語は、球体の形状又は実質的に球体の形状を有し、本発明による組成物の媒体に、媒体の融点(およそ100℃)においてさえ不溶性である粒子を意味するものと理解される。
【0120】
特定の実施形態によれば、これらは、30~1000m2/g、より特定的には150~800m2/gの範囲内の比表面積を有する。
【0121】
別の特定の実施形態によれば、これらは、0.15~5ml/g、より特定的には1.30~1.90ml/gの範囲内の油吸収容量を有する。
【0122】
多孔質シリカマイクロビーズの例として、以下の市販製品が使用されうる:三好化成株式会社製のSilica Beads SB-150、SB-300又はSB-700、優先的にはSB-300;Asahi Glass AGC Si-Tech社製の一連のSunsphere製品、特にSunsphere H-51又はSunsphere 12L、Sunsphere H-201、H-52及びH-53;Sunjin社製のSunsil 130;池田物産株式会社製のSpherica P-1500、
Fuji Silysia社製のSylosphere;日揮触媒化成株式会社製のSilica Pearl及びSatinierの範囲、より特定的にはSatinier M13及びM16;Kobo社製のMSS-500シリカ、より特定的にはMSS-500-20N;並びにまたKobo社製のSilica Shells製品。
【0123】
ゼオライト、例えばZeochem社によってZeoflair 300、Zeoflair 200、Zeoflair 100、X-Mol及びX-Mol MTの名称で販売されている製品も挙げることができる。
【0124】
ゼオライトは、微孔質アルミノシリケート骨格で形成される結晶であり、この骨格の随伴する空隙空間は当初、カチオン及び水分子によって占められている。これらは、分子篩としても記載される。
【0125】
炭酸カルシウムマグネシウム、例えば、Imerys社によってCalcidolの名称で、LCW(Sensient)社によってCarbomatの名称で、又はOmya社によってOmyacare S 60-AVの名称で販売されているものも挙げることができる。
【0126】
層状無機粒子、例えば、タルク、マイカ及びこれらの混合物も挙げることができる。
【0127】
タルクは、一般にアルミニウムシリケートを含む、水和マグネシウムシリケートである。タルクの結晶構造は、ブルーサイトがシリカの層の間に挟まれた反復層からなる。
【0128】
より特定的には、層状粒子はタルクから選択される。
【0129】
有利には、本発明の組成物において、層状粒子として、タルク、例えば、Imrys社によってLuzenac Pharma M及びUMの名称、又は日本タルク株式会社によってRose Talc及びTalc SG-2000の名称で販売されているものが、より特定的に使用される。
【0130】
無機充填剤の中でも、パーライト粒子、好ましくは膨張パーライト粒子を挙げることができる。
【0131】
本発明によって使用されうるパーライトは、一般に火山起源のアルミノシリケートであり、以下の組成を有する:
70.0~75.0質量%のシリカSiO2、
12.0~15.0質量%の酸化アルミニウムAl2O3、
3.0~5.0%の酸化ナトリウムNa2O、
3.0~5.0%の酸化カリウムK2O、
0.5~2%の酸化鉄Fe2O3、
0.2~0.7%の酸化マグネシウムMgO、
0.5~1.5%の酸化カルシウムCaO、
0.05~0.15%の酸化チタンTiO2。
【0132】
特に、World Minerals社によってOptimat 2550 ORの名称で、並びにImerys社によってEuroperl EMP-2及びEuroperl 1の名称で販売されているパーライトを挙げることができる。
【0133】
したがって、特定の実施形態によれば、本発明に好適な有機又は無機充填剤は、ポリアミド粒子;ポリエチレン粉末;アクリル系コポリマーをベースとする微小球;メタクリル酸ポリメチル微小球;エチレン/アクリレートコポリマー粒子;膨張粉末、例えば中空微小球、特に塩化ビニリデン、アクリロニトリル及びメタクリレートのターポリマーで形成された微小球;天然有機材料の粉末、例えば多糖類粉末、特にデンプン粉末、とりわけ架橋又は非架橋のトウモロコシ、コムギ又はコメデンプン粉末、オクテニルコハク酸無水物によって架橋されたデンプンの粉末;セルロース粒子;シリコーン樹脂マイクロビーズ;アミノ酸粉末、例えばラウロイルリジン粉末;ワックス微分散粒子;多孔質シリカマイクロビーズ;ゼオライト;炭酸カルシウムマグネシウム;パーライト;並びにこれらの混合物から選択されうる。
【0134】
これらの充填剤は、組成物の総質量に対して、0質量%~20質量%、好ましくは1質量%~10質量%の範囲内の量で存在しうる。
【0135】
存在する場合、これらの充填剤の含有量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~20.000質量%、好ましくは1質量%~10質量%の範囲内でありうる。
【0136】
好ましくは、充填剤の質量濃度は、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%~30.0質量%、好ましくは0.5質量%~15.0質量%の範囲内である。
【0137】
結晶性脂肪物質
本発明による組成物は、少なくとも1種の結晶性脂肪物質を含みうる。
【0138】
本発明の意味の範囲内では、「結晶性脂肪物質」という用語は、室温(25℃)で変形可能であり又は可能でなく、25℃以上、好ましくは25℃から200℃の間、好ましくは25℃から120℃の融点を呈する、固体親油性化合物を意味するものと理解される。
【0139】
いくつかの結晶性脂肪物質は、通例、ワックスと呼ばれる。
【0140】
本発明の意味の範囲内では、融点は、ISO規格11357-3;1999年に記載の熱分析(DSC)において観測される最高吸熱ピークの温度に対応する。結晶性脂肪物質の融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社によってMDSC 2920の名称で販売されている熱量計を使用して測定されうる。このような測定方法は、例えば、文献PCT/EP2013/062964に記載されている。
【0141】
鉱物起源の結晶性脂肪物質の中でも、パラフィンワックス、オゾケライト、セレシン及びマイクロクリスタリンワックスを挙げることができる。
【0142】
植物起源の結晶性脂肪物質の中でも、カルナウバワックス、カンデリラワックス、例えばStrahl & Pitsch社によってSP 75 Gの参照名で販売されているもの、ローレルワックス、サトウキビワックス、セラミド、エスパルトワックス、オリーブ樹木ワックス、コメワックス、例えばCera Rica Noda社によってNC 1720の参照名で販売されているもの、ヒマワリ種子ワックス、例えばKoster Keunen社によってsunflower waxの参照名で販売されているもの、水添ホホバワックス、水添ヒマシ油、水添オリーブ油、水添綿実油、ブラックワトル(Acacia decurrens)花ワックス、ホホバワックス及びヒマワリワックスのポリグリセリル-3エステル、アブソリュート花ワックス、例えば、クロスグリ花エッセンシャルワックス、ダイズワックス、ヤマモモ果実ワックス又はローレルワックスを挙げることができる。
【0143】
動物起源の結晶性脂肪物質の中でも、ビーズワックス又は改質ビーズワックス(セラベリナ(cera bellina))、ラノリン及び鯨蝋を挙げることができる。
【0144】
結晶性脂肪物質はまた、長鎖結晶性脂肪族アルコール及びその混合物、例えばセテアリル(C16/C18 50/50)アルコール、例えばBASF社によってLanette O ORの名称で販売されているもの、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール又はC26~C22アルコール等から選択することもできる。
【0145】
結晶性脂肪物質はまた、長鎖結晶性エステル及びその混合物、例えば、INCI化合物「セチルエステル(並びに)ステアリン酸ミリスチル及びパルミチン酸ミリスチルとのセチルエステル混合物」、又はINCI化合物「ステアリン酸ミリスチル及びパルミチン酸ミリスチルの混合物」、例えばCroda社によってSP Crodamol MS MBAL-PA-(SG)の名称で販売されているもの、ジステアリン酸グリコール、ステアリン酸グリコール、パルミチン酸セチル、例えば供給業者ERCA社製の市販製品Ercawax CP V/O、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸C20~C40アルキル、グリセロールの長鎖結晶性エステル及びその混合物、例えば、Gattefosse社によってCompritol(登録商標)888 CG ATOの名称で販売されている化合物(INCI:ジベヘン酸グリセリル(及び)トリベヘニン(及び)ベヘン酸グリセリル)等、又はその成分、別々に解釈すると、トリカプリン、トリラウリン、トリミリスチン、トリパルミチン、トリステアリン、ジステアリン酸グリセロール、ジステアリン酸グリセリル、ジパルミチン酸/ステアリン酸グリセリル及びリノレオイルポリオキシ-6グリセリドの各々から選択することもできる。
【0146】
結晶性脂肪物質はまた、アルキル長鎖を有する結晶性脂肪酸及びその混合物、例えば、INCI化合物「1300ステアリン酸」(ステアリン酸)、例えば特に、Stearinerie Dubois社からStearin TP 1200 Pellets (DUB 50 P)の名称で販売されているもの、ステアリン酸とパルミチン酸との混合物等から、特に飽和C4~C28脂肪酸及び不飽和C4~C28脂肪酸から選択されうる。
【0147】
本発明によって使用することができる他の結晶性脂肪物質は、特に、海洋産ワックス、一般にポリエチレンワックス又はポリオレフィンワックス、例えば、α-オレフィンオリゴマー、例えばNew Phase Technologies社によって販売されているポリマーであるPerforma V(登録商標)825、103及び260、エチレン/プロピレンコポリマー、例えばPerformalene(登録商標)EP 700若しくはFischer-Tropschワックス、又はこれらの製品の混合物である。
【0148】
したがって、特定の実施形態によれば、本発明に好適な結晶性脂肪物質は、パラフィンワックス、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、ローレルワックス、サトウキビワックス、セラミド、エスパルトワックス、オリーブ樹木ワックス、コメワックス、ヒマワリ種子ワックス、水添ホホバワックス、水添ヒマシ油、水添オリーブ油、水添綿実油、ブラックワトル花ワックス、ホホバワックス及びヒマワリワックスのポリグリセリル-3エステル、アブソリュート花ワックス、例えば、クロスグリ花エッセンシャルワックス、ダイズワックス、ヤマモモ果実ワックス又はローレルワックス、ビーズワックス、改質ビーズワックス(セラベリナ)、ラノリン、鯨蝋、長鎖結晶性脂肪族アルコール及びその混合物、長鎖結晶性エステル及びその混合物、アルキル長鎖を有する結晶性脂肪酸及びその混合物、海洋産ワックス、ポリオレフィンワックス、エチレン/プロピレンコポリマー、Fischer-Tropschワックス並びにこれらの混合物から選択されうる。
【0149】
有利には、結晶性脂肪物質は、結晶性C12~C24脂肪族アルコール、結晶性C12~C24脂肪酸、C12~C24脂肪酸から得られる結晶性エステル及びこれらの混合物から選択される。
【0150】
好ましい実施形態によれば、結晶性脂肪物質は、セテアリル(C16/C18 50/50)アルコール、セチルエステルの混合物、ステアリン酸ミリスチルとパルミチン酸ミリスチルとの混合物、ステアリン酸並びにこれらの混合物から選択される。
【0151】
好ましくは、結晶性脂肪物質は、C12~C24脂肪族アルコールから得られる結晶性エステル及び/又はC12~C24脂肪酸から得られる結晶性エステル、並びにこれらの混合物から選択され、好ましくは、パルミチン酸セチル、並びにグリセロールとベヘン酸とから得られるエステルの混合物から選択される。
【0152】
好ましくは、結晶性脂肪物質は、組成物の質量に対して、0.01質量%から15.00質量%の間、好ましくは0.08質量%から12.00質量%の間、優先的には0.1質量%から8.0質量%の間、有利には0.1質量%から5.0質量%の間の含有量で存在する。
【0153】
特定の実施形態によれば、結晶性脂肪物質が長鎖結晶性脂肪族アルコール又はこのような脂肪族アルコールの混合物である場合、組成物の総質量に対して、0.1質量%~10.0質量%、好ましくは0.5質量%から5.0質量%の間、優先的には1質量%から4質量%の間の範囲内、よりいっそう良好には3質量%の含有量で含まれうる。
【0154】
別の特定の実施形態によれば、結晶性脂肪物質が長鎖アルキル鎖を有する結晶性脂肪酸又はこのような脂肪酸の混合物である場合、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5.00質量%間、好ましくは0.1質量%から1.0質量%の間、優先的には0.1質量%から0.3質量%の間の範囲内、よりいっそう良好には0.2質量%の含有量で含まれうる。
【0155】
別の特定の実施形態によれば、結晶性脂肪物質が長鎖結晶性エステル又はこのようなエステルの混合物である場合、組成物の総質量に対して、0.1質量%~5.0質量%、好ましくは0.2質量%から3.0質量%の間、優先的には0.4質量%から1.0質量%の間の範囲内、よりいっそう良好には0.5質量%の含有量で含まれうる。
【0156】
水性相
本発明による組成物の水性相は、水に加えて、任意選択で少なくとも1種の水溶性溶媒を含むことができる。
【0157】
本発明において、「水溶性溶媒」という用語は、室温で液体であり、水混和性である(水との混和性が25℃且つ大気圧で50質量%を超える)化合物を表す。
【0158】
また、本発明の組成物において使用することができる水溶性溶媒は、加えて、揮発性であってもよい。
【0159】
本発明に準拠した組成物において使用することができる水溶性溶媒の中でも、1~5個の炭素原子を有する低級モノアルコール、例えば、エタノール及びイソプロパノール、C3及びC4ケトン、C2~C4アルデヒド、並びにまた本発明において定義されるポリオールを特に挙げることができる。
【0160】
水性相(水及び任意選択で水混和性溶媒)は、組成物中に、前記組成物の総質量に対して、30質量%~98質量%、よりいっそう良好には35質量%~97質量%、好ましくは40質量%~95質量%の範囲内の含有量で存在することができる。
【0161】
代替実施形態によれば、本発明による組成物の水性相は、少なくとも水を含む。
【0162】
別の代替実施形態によれば、本発明による組成物の水性相は、水と、本発明において定義される少なくとも1種のポリオール、特にC2~C32ポリオールとを含むことができる。
【0163】
別の代替実施形態によれば、本発明による組成物の水性相は、水と、1~5個の炭素原子を有する少なくとも1種の低級モノアルコールとを含むことができる。
【0164】
別の代替実施形態によれば、本発明による組成物の水性相は、水と、1~5個の炭素原子を有する少なくとも1種の低級モノアルコールと、本発明において定義される少なくとも1種のポリオール、特にC2~C32ポリオールとを含むことができる。
【0165】
提示される形態に応じて、又は組成物がエマルションの形態である場合、エマルションの意味に応じて、水性相は、単独の、又は他のゲル化剤と組み合わせた、ゲル形態の本発明に好適な非改質クレイから構成されうる。
【0166】
上に述べたように、本発明に好適な非改質クレイは、水の存在下で水性ゲルを形成する。この水性ゲルは、このとき、水性相のすべて又は一部を構成することができる。このように、水性ゲルは、レオロジー剤として、エマルションの安定剤として作用する。したがって、最終組成物の安定性が改善される。この特性は、本発明に好適な非改質クレイゲルが、他の水性ゲル化剤と組み合わせて使用される場合にも当てはまる。
【0167】
特定の実施形態によれば、水性ゲル形態における本発明に好適な非改質クレイは、本発明による組成物の水性相を構成し、すなわち、組成物の水性相は、もっぱらこのゲルによって構成される。
【0168】
油性相
本発明によって使用される組成物が油性相を含む場合、油性相は、好ましくは少なくとも1種の油、特に化粧用油を含有する。加えて、他の脂肪物質、例えば、本発明において定義される結晶性脂肪物質、又はこれらとは区別される結晶性脂肪物質を含有することもできる。
【0169】
本発明の組成物に使用することができる油として、例えば、以下のものを挙げることができる:
- 動物起源の炭化水素油、例えばペルヒドロスクアレン、
- 植物由来の炭化水素油、例えば4~10個の炭素原子を含む脂肪酸の液体トリグリセリド、例えばヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド、又はやはり、例えば、ヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、カボチャ油、ブドウ種子油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社によって販売されているもの、又はDynamit Nobel社によってMiglyol 810、812及び818の名称で販売されているもの、ホホバ油又はシアバター油、
- ヒドロキシル化エステル、例えば、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル又は脂肪族アルコールのヘプタン酸エステル、オクタン酸エステル若しくはデカン酸エステル、
- ポリオールエステル、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール及びジイソノナン酸ジエチレングリコール、
- ペンタエリスリトールエステル、例えばテトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、
- 植物、鉱物又は合成起源の直鎖状又は分枝状炭化水素、例えば、揮発性又は不揮発性の液体パラフィン及びその誘導体、10~20個の炭素原子を含む分枝状鎖を有する炭化水素油、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、イソパラフィン及びこれらの混合物、ペトロラタム、ポリデセン又は水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)油、
- 部分的炭化水素系及び/又はシリコーン系フッ素化物油、例えば文献特開平2-295912号公報に記載されているもの、
- シリコーン油、例えば、室温で液体又はペースト状であり、直鎖状若しくは環状のシリコーン鎖を有する、揮発性又は不揮発性のポリメチルシロキサン(PDMS)、特にシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコン)、例えばシクロヘキサシロキサン;ペンダントである若しくはシリコーン鎖の末端にある、アルキル、アルコキシ又はフェニル基(これらの基は2~24個の炭素原子を有する)を含むポリジメチルシロキサン;フェニル化シリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニル(トリメチルシロキシ)ジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニル(メチルジフェニル)トリシロキサン、(2-フェニルエチル)トリメチルシロキシシリケート及びポリメチルフェニルシロキサン、並びに
- これらの混合物。
【0170】
上述の油のリストにおいて、「炭化水素油」という用語は、炭素原子及び水素原子を主に含み、任意選択でエステル基、エーテル基、フルオロ基、カルボン酸基及び/又はアルコール基を含む、任意の油を意味するものと理解される。
【0171】
油性相に存在することができる他の脂肪物質は、例えば、シリコーン樹脂、例えば、トリフルオロメチル(C1~C4)アルキルジメチコン及びトリフルオロプロピルジメチコン、並びにシリコーンエラストマー、例えば、Shin-Etsu社によってKSGの名称で、Dow Corning社によってTrefil及びBY29の名称で、又はGrant Industries社によってGransilの名称で販売されている製品である。
【0172】
これらの脂肪物質は、所望の特性、例えば粘稠度又は質感の特性を有する組成物を調製するために、当業者によって様々に選択されうる。
【0173】
一代替形態によれば、油性相の量は、組成物の総質量に対して、例えば1質量%~70質量%、例えば5質量%~50質量%、又は例えば5質量%~20質量%の範囲内とすることができる。
【0174】
一代替形態によれば、油性相の量は、組成物の総質量に対して、例えば5質量%~10質量%の範囲内とすることができる。
【0175】
ペースト状化合物
本発明の意味の範囲内では、「ペースト状」という用語は、可逆的な固体/液体の状態変化を有し、23℃の温度で液体画分と固体画分とを含む、親油性脂肪化合物を表すものと理解される。
【0176】
ペースト状化合物は、有利には、以下のものから選択される:
- ラノリン及びその誘導体、
- ポリマー性又は非ポリマー性のフッ素化化合物、
- ポリマー性又は非ポリマー性のシリコーン化合物、
- ビニルポリマー、特に、
- オレフィンホモポリマー、
- オレフィンコポリマー、
- 水添ジエンホモポリマー及びコポリマー、
- 好ましくはC8~C30アルキル基を有する、(メタ)アクリル酸アルキルの直鎖状又は分枝鎖状のホモポリマー又はコポリマーオリゴマー、
- C8~C30アルキル基を有するビニルエステルのホモポリマー及びコポリマーオリゴマー、
- C8~C30アルキル基を有するビニルエーテルのホモポリマー及びコポリマーオリゴマー、
- 1種又は複数のC2~C100、好ましくはC2~C50ジオール間のポリエーテル化によって得られる脂溶性ポリエーテル、
- エステル、
- ラウリン酸ポリビニル、並びに
- これらの混合物。
【0177】
指示として、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、0質量%~10質量%、よりいっそう良好には1質量%~5質量%のペースト状化合物を含むことができる。
【0178】
他の添加剤
化粧用組成物は、加えて、化粧品分野において通常のアジュバント、例えば親水性又は親油性ゲル化剤、水溶性又は脂溶性活性剤、例えば、アンチエイジング活性剤、成膜性ポリマー、保存剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、溶媒、香料、臭い吸収剤、pH調整剤(酸又は塩基)、界面活性剤、着色剤(本発明による組成物を着色することが意図される)、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の添加剤を含むことができる。
【0179】
特定の実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種のヒドロトロープ分子、例えば、ニコチンアミド(ビタミンB3)、カフェイン、PCAナトリウム、サリチル酸ナトリウム、尿素、(ヒドロキシエチル)尿素、及びこれらのいずれか1つの混合物等を含むことができる。
【0180】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種の活性剤を含むことができる。特に、活性剤は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.001質量%から10質量%の間、好ましくは0.01質量%から5質量%の間の含有量で存在することができる。
【0181】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、加えて、少なくとも1種の保存剤を含むことができる。
【0182】
一実施形態によれば、組成物は、加えて、香料を含む。一代替形態によれば、香料の量は、組成物の総質量に対して、例えば0.001質量%~10質量%、好ましくは0.01質量%~5質量%の範囲内とすることができる。
【0183】
当業者は、組成物の有利な特性が、想定される添加によって悪影響を受けない又は実質的に受けないように、注意して任意選択の追加のアジュバント及び/又はその量を選択する。
【0184】
本発明による組成物、特に化粧用組成物は、生理学的に許容される媒体を含む。
【0185】
本発明の意味の範囲内では、「生理学的に許容される媒体」という用語は、局所的経路による組成物の投与に好適な媒体を表すものと理解される。
【0186】
生理学的に許容される媒体は、一般に、臭い又は不快な外観を有せず、局所投与経路に完全に適合する。本件では、組成物が局所的経路によって、すなわち、検討されるケラチン物質の表面における適用によって投与されることが意図される場合、このような媒体は、特に、使用者に許容可能でない刺痛、つっぱり感又は発赤を引き起こさないならば、生理的に許容されるものと考えられる。
【0187】
特に、組成物は、局所適用に、すなわち、考慮される皮膚、頭皮及び/又は粘膜の表面における適用に好適である。
【0188】
したがって、生理学的に許容される媒体は、優先的には、美容上又は皮膚科学的に許容される媒体、すなわち、不快な臭い、色又は外観を有せず、使用者に許容可能でない刺痛、つっぱり感又は発赤を引き起こさない媒体である。
【0189】
このとき、組成物は、想定される用途に通常用いられる構成成分のすべてを含むことができる。
【0190】
当然ながら、当業者は、本発明による化合物の有利な特性が、想定される添加によって悪影響を受けない又は実質的に受けないように、注意してこの又はこれらの任意選択の追加の化合物及び/又はその量を選択する。
【0191】
組成物
本発明による組成物は、当業者に周知の技法によって調製されうる。
【0192】
本発明による組成物は、想定される用途に応じて従来使用される任意の提示形態で提供されうる。
【0193】
例えば、本発明による組成物が美容用又は皮膚科学用である場合、組成物は局所適用に従来用いられる任意の提示形態、特に、水性のローション若しくはゲルタイプの分散体の形態、水性相中に脂肪相を分散させることによって得られる(O/W)若しくは逆(W/O)の、液体から半固体の粘稠度のエマルションの形態、又は乳化したクリーム若しくはゲルタイプの液体から半固体の懸濁体の形態で提供されうる。
【0194】
好ましくは、組成物は、水中油型エマルション(直接エマルション(O/W))又は油中水型エマルション(逆エマルション(W/O))、好ましくは水中油型エマルション、ゲル又は乳化ゲルの形態で提供される。
【0195】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、ゲルタイプである。
【0196】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、有利には、体若しくは顔面の皮膚、特に顔面の皮膚をケアするための、又は爪をケアするための組成物の形態で提供されうる。
【0197】
したがって、本発明による組成物は、皮膚又は半粘膜をケアするための製品の形態、例えば、顔面用、唇用、手用、足用、解剖学的襞用又は体用の、保護又は美容ケア組成物(例えば、日中用クリーム、夜用クリーム、日中用美容液、夜用美容液、日焼け止め組成物、保護若しくはケア用ボディミルク、日焼け後用ミルク、ローション、皮膚若しくは頭皮のケア用のゲル若しくはフォーム、美容液、マスク、又はアフターシェーブ組成物)とすることができる。
【0198】
別の実施形態によれば、本発明の組成物は、有利には、体の皮膚の、特に腋窩又は足の衛生のための組成物の形態で提供することができる。
【0199】
本発明による組成物は、更に、エアロゾル装置若しくはポンプアクションスプレーにおいて、加圧形態で包装すること;透かし彫り状の壁、特に格子を備える装置に包装すること;ボール式アプリケーター(ロールオン)を備える装置に包装すること;又はスティックの形態で包装されうる。この点で、組成物は、このタイプの製品に一般に使用され、当業者に周知の成分を含有する。
【0200】
本発明に準拠してエアロゾルとして梱包された組成物は、一般に、従来の噴射剤、例えば、ヒドロフッ素化化合物、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、イソブタン、n-ブタン、プロパン又はトリクロロフルオロメタン等を含有する。これらは、好ましくは、組成物の総質量に対して、15質量%~50質量%の範囲内の量で存在する。
【0201】
このような組成物は、特に、当業者の一般的知識に従って調製される。
【0202】
本発明による組成物は、好ましくは、0.1Pa.sから2000Pa.sの間、よりいっそう良好には1Pa.sから1000Pa.sの間、更によりいっそう良好には10Pa.sから500Pa.sの間の粘度を呈する。
【0203】
組成物の粘度は、室温(25℃)において、ジオメトリを取り付けられたロータを備える、Haake MARS(Modular Advanced Rheometer System)レオメータを使用して測定される。本発明の文脈において、コーン/プレート又はプレート/プレートジオメトリを使用している。
【0204】
好ましくは、クリーム又はゲル、特に水性ゲルに関する。
【0205】
有利には、組成物のpHは、5から12の間、好ましくは10から12の間である。
【0206】
特定的な実施形態によれば、本発明は、
- ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト及びこれらの混合物から選択される非改質クレイと、
- 酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム及びこれらの混合物から選択されるマグネシウム塩と、
- プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール及びこれらの混合物から選択される抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含む組成物、好ましくは化粧用組成物を対象とする。
【0207】
別の特定的な実施形態によれば、本発明は、
- ヘクトライト、特に天然ヘクトライトである非改質クレイと、
- 酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム及びこれらの混合物から選択されるマグネシウム塩と、
- プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール及びこれらの混合物から選択される抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含む組成物、好ましくは化粧用組成物を対象とする。
【0208】
別の特定的な実施形態によれば、本発明は、
- ヘクトライト、特に天然ヘクトライトである非改質クレイと、
- 酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選択されるマグネシウム塩と、
- プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール及びこれらの混合物から選択される抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含む組成物、好ましくは化粧用組成物を対象とする。
【0209】
別の特定的な実施形態によれば、本発明は、
- ヘクトライト、特に天然ヘクトライトである非改質クレイと、
- 酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選択されるマグネシウム塩と、
- プロピレングリコールを含む抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含む組成物、好ましくは化粧用組成物を対象とする。
【0210】
別の特定的な実施形態によれば、本発明は、
- ヘクトライト、特に天然ヘクトライトである非改質クレイと、
- 酸化マグネシウムであるマグネシウム塩と、
- プロピレングリコールである抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含む組成物、好ましくは化粧用組成物を対象とする。
【0211】
別の特定的な実施形態によれば、本発明は、
- ヘクトライト、特に天然ヘクトライトである非改質クレイと、
- 水酸化マグネシウムであるマグネシウム塩と、
- プロピレングリコールである抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含む組成物、好ましくは化粧用組成物を対象とする。
【0212】
別の特定的な実施形態によれば、本発明は、
- ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト及びこれらの混合物から選択される非改質クレイと、
- 酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム及びこれらの混合物から選択されるマグネシウム塩と、
- プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール及びこれらの混合物から選択される抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含み、
前記抗離漿剤が、組成物の総質量に対して、3質量%~50質量%の範囲内の量で存在する、
組成物、好ましくは化粧用組成物を対象とする。
【0213】
別の特定的な実施形態によれば、本発明は、
- ヘクトライト、特に天然ヘクトライトである非改質クレイと、
- 酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム及びこれらの混合物から選択されるマグネシウム塩と、
- プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール及びこれらの混合物から選択される抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含み、
前記抗離漿剤が、組成物の総質量に対して、3質量%~50質量%の範囲内の量で存在する、
組成物、好ましくは化粧用組成物を対象とする。
【0214】
別の特定的な実施形態によれば、本発明は、
- ヘクトライト、特に天然ヘクトライトである非改質クレイと、
- 酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選択されるマグネシウム塩と、
- プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール及びこれらの混合物から選択される抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含み、
前記抗離漿剤が、組成物の総質量に対して、3質量%~50質量%の範囲内の量で存在する、
組成物、好ましくは化粧用組成物を対象とする。
【0215】
別の特定的な実施形態によれば、本発明は、
- ヘクトライト、特に天然ヘクトライトである非改質クレイと、
- 酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選択されるマグネシウム塩と、
- プロピレングリコールを含む抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含み、
前記抗離漿剤が、組成物の総質量に対して、3質量%~50質量%の範囲内の量で存在する、
組成物、好ましくは化粧用組成物を対象とする。
【0216】
別の特定的な実施形態によれば、本発明は、
- ヘクトライト、特に天然ヘクトライトである非改質クレイと、
- 酸化マグネシウムであるマグネシウム塩と、
- プロピレングリコールである抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含み、
前記抗離漿剤が、組成物の総質量に対して、3質量%~50質量%の範囲内の量で存在する、
組成物、好ましくは化粧用組成物を対象とする。
【0217】
別の特定的な実施形態によれば、本発明は、
- ヘクトライト、特に天然ヘクトライトである非改質クレイと、
- 水酸化マグネシウムであるマグネシウム塩と、
- プロピレングリコールである抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含み、
前記抗離漿剤が、組成物の総質量に対して、3質量%~50質量%の範囲内の量で存在する、
組成物、好ましくは化粧用組成物を対象とする。
【0218】
「…から…の間」及び「…~…の範囲内」という表現は、特段の指定がない限り、境界値が含まれることを意味するものと理解されるべきである。
【0219】
明細書及び実施例において、別段の指示がない限り、百分率は質量百分率である。したがって、百分率は、組成物の総質量に対する質量によって表現される。温度は、別段の指示がない限りセルシウス度で表現され、圧力は、別段の指示がない限り大気圧である。
【0220】
本発明を、下に提示する非限定的実施例によって、より詳細に例証する。
【実施例】
【0221】
(実施例1)
組成物1~3及び3a
下のtable 1(表1)に詳細に与えられる化合物及び含有量から、非改質ヘクトライトをベースとするクリームタイプの3種の組成物1~3及び3aを調製した。含有量は、組成物の総質量に対する質量百分率として表現される。
【0222】
より具体的には、脂っぽい皮膚のための製品に関する。
【0223】
【0224】
【0225】
下に示すプロトコルに従って、組成物を調製する:
- 非改質ヘクトライトを水に、60℃の温度において激しく撹拌しながら導入する、
- 次の成分(メチルパラベン及びポリマー)を前出の混合物に、撹拌しながら導入する、
- 溶融脂肪物質によって、サプリメントを調製する、
- 水性ヘクトライトゲルが形成されたら、撹拌しながら溶融脂肪物質を加える、
- 依然撹拌しながら、調製物の温度を室温まで低下させる、
- 次いで、フェノキシエタノールを加える、
- 最後に、撹拌しながらマグネシウム塩MgOを加える。
【0226】
本発明に準拠した組成物1~3及び3aは、安定であった。系から排出される液相は、肉眼では視認されず、離漿が起こなかったことが確認される。
【0227】
マット感性能
マット感の経時的な持続性を実証するために、配合物2及び3a、並びに製品対照試験(product referent test)のマット感を、t=0分及び適用の2時間後にin vivoで評価した。これを行うために、脂性肌又は脂性傾向を伴う混合肌のいずれかを有する28人の使用者(N=28)の顔面の額(forehand)及び頬に位置する小さな表面積(4×3.5cm)に、組成物を適用し、t=0分及びt=10分にマット感の測定を行う。使用者は続いて、蒸気室に2時間滞在し、更なる測定値を取得する。
【0228】
製品対照試験は、有名なnormadermゲルクリームベース(2%エアロゲル)であり、水、グリセリン、プロピレングリコール、アンモニウムポリアクリロイルジメチルタウレート、ジメチコン、PEG-12ジメチコン、ビオサッカリドガム-1、シリル化シリカ、カプリリルグリコール、メントール、変性アルコール及び香料を含む。
【0229】
結果
参照と比較した、本発明による組成物2及び3aの即時有効性
Gc(コントラストグロス)とは、鏡面における見掛け光度と、鏡面から離れる見掛け光度との差である。Gcは、光源の像が見えない、中程度の光沢表面(例えば皮膚)について定義される。有効性は、10分後に比較した。次の式を使用した(2種の組成物2及び3aを「製品」と称する)。
(Timm-T0)製品対(Timm-T0)参照
【0230】
結果を以下のtable 1a(表2)にまとめる。
【0231】
【0232】
これらの結果から、本発明による組成物2及び3aの即時有効性は、参照の即時有効性よりも有意に良好であることになる。
【0233】
より特定的には、本発明による組成物2及び3aは、適用されるとすぐに、皮膚にマット感付与することによって、皮膚の光沢を有意に改質する/減少させる。
【0234】
参照及び素肌と比較した、本発明による組成物2及び3aの極限条件における(2時間の蒸気室における)マット感耐性
組成物2及び3a、並びに参照(2%エアロゲル)の展開を、素肌の展開と比較した。次の式を使用した(3種の組成物2、3a及び参照を「製品」と称する)。
(T2h-T0)製品対(T2h-T0)素肌
【0235】
T2hは、発汗後である。
【0236】
結果を以下のtable 1b(表3)にまとめる。
【0237】
【0238】
まず、これらの結果から、参照Normaderm(2%エアロゲル)の展開は、素肌の展開とは有意に異なるため、参照Normaderm(2%エアロゲル)は光沢を制限することになる。
【0239】
更に、蒸気室内で2時間後、本発明に準拠した組成物2及び3aは、素肌と比較して、光沢を有意に制限している。
【0240】
加えて、蒸気室内で2時間後、本発明に準拠した組成物2及び3aが光沢を制限する能力は、参照の能力よりも有意に良好である。
【0241】
更に、本発明に準拠した組成物2及び3aは、蒸気室内で2時間後に、発汗にもかかわらず、初期レベルの光沢、更にはマット感付与効果を保持することができる。
【0242】
結論として、結果は、本発明による配合物2及び3aが、マット感付与効果を提供すること、言い換えれば、皮膚の光沢を、素肌と比較して有意に制限することを示している。更に、2時間後のマット感は、発汗している場合にもかかわらず、より持続することができる。
【0243】
加えて、即時有効性であろうと、蒸気室内で2時間後であろうと、異なるポリマーを含む配合物2及び3aは異なる挙動をしない。
【0244】
更に、有利には、適用時に、配合物1~3及び3aは、爽快で、軽く、べたつかず、糸引きがない。これらは、ソーピングせずに容易に広がる。
【0245】
(実施例2)
組成物4~22
下のtable 2(表4)~table 6(表8)に詳細に与えられる化合物及び含有量から、非改質ヘクトライトをベースとするゲル(バルサム又はクリーム)タイプの19種の組成物4~22を調製した。含有量は、組成物の総質量に対する質量百分率として表現される。
【0246】
より具体的には、デオドラント製品に関する。
【0247】
【0248】
【0249】
【0250】
【0251】
【0252】
【0253】
下に示すプロトコルに従って、組成物を調製する:
- 非改質ヘクトライトを水に、60℃の温度において激しく撹拌しながら導入する、
- 他の成分を前出の混合物に、撹拌しながら導入する、
- 水性ヘクトライトゲルを形成したら、撹拌しながらマグネシウム塩MgO又はMg(OH)2を加える。
【0254】
本発明に準拠した組成物4~22は、安定であった。系から排出される液相は、肉眼では視認されず、離漿が起こらなかったことが確認される。
【0255】
デオドラント性能
この試験については、既に市販されている製品である比較用配合物、1%のZnGlu(グルコン酸亜鉛)を有するRoll On Cadum Emulsionを使用した。この比較用配合物は、水、ブチレングリコール、グルコン酸亜鉛、クエン酸、カプリリルグリコール、アラントイン、p-アニス酸、PPG-15ステアリルエーテル、ジメチコン、セテアレス-33、セテアリルアルコール、パーライト及びタルクを含む。
【0256】
table 5(表7)及びtable 6(表8)に示したいくつかの配合物のデオドラント有効性を、以下のプロトコルに従って評価した。
各人(13人)の両腋窩をまず、(湿らせた後)希釈シャワージェルで20秒泡立てながら洗浄した(広面積)。腋窩をよくすすぎ、次いで、軽く叩くことによって乾燥させた。腋窩の各々について、2回目の洗浄を行った。
【0257】
次いで、0.5gの配合物を、ロールオンタイプの装置によって、両腋窩の一方のみの表面に適用した。
【0258】
したがって、一方の腋窩は、処理されておらず、評価のための参照としての役割を果たす。
【0259】
24時間後、試験組成物の単回適用後の腋窩下の臭いの強度の直接的な「スニフ試験」によって評価を行い、非処理腋窩下の臭いの強度と比較する。
【0260】
デオドラント有効性を、以下の基準に従って評価した。
基準点を50(「発汗臭」)とし、0(「臭いなし」)~100(「極度の臭い」)の連続線形目盛における臭気の強度。
【0261】
結果をtable 7(表9)にまとめる。
【0262】
【0263】
これらの結果から、本発明による組成物は、臭いの強度が24時間後により低い限りにおいて、1%のZnGluを有するRoll-On Cadum Emulsionの比較用配合物よりも、優れたデオドラント効果を提供することが明らかである。
【0264】
発汗臭の強度の評価の他の試験、「スニフ試験」
これらの試験については、上記試験と同じ比較用配合物(1%のZnGluを有する製品Roll-On Cadum Emulsion)を使用した。
【0265】
上記table 2(表4)に示す3種の配合物4、5及び6のデオドラント有効性を、以下のプロトコルに従って評価した。
選別された22人の対象(年齢48~56歳)は、1(臭いなし)~10(極度の強い臭い)の範囲内の目盛上で、5以上の平均腋窩下臭気強度(この場合、6.1~6.4点)、及び1以下の両腋窩間強度の平均差(この場合、0.4~0.6点)を有していた。
【0266】
試験開始前の1週間、各人の両腋窩を中性洗浄製品によって洗浄した。試験当日、製品を適用する前に、腋窩(処理及び非処理)を乾燥させた。次いで、デオドラント配合物の1種を、腋窩に適用する。全4回適用した。
【0267】
このようにして、処理腋窩に対して、処理腋窩又は非処理腋窩の間で、比較を行う。
【0268】
ロールオンタイプの適用の指導に関しては、一方の腋窩につき、1日当たり0.4g(±0.05g)を適用する。
【0269】
エアロゾルタイプの適用の指導に関しては、一方の腋窩につき、1日当たり1.2g(±0.05g)を適用する。
【0270】
その後、嗅ぐことによる(「スニフ」)発汗臭の強度の直接的な評価を、デオドラント製品の適用の8時間後、及び次いで24時間後にそれぞれ行う。
【0271】
デオドラント有効性を、以下の基準に従って評価した。
0(「臭いなし」)~10(「極度の強い臭い」)の連続線形目盛における臭いの強度。
【0272】
次式によって、平均に対する百分率変化量を計算する。
【0273】
【0274】
ばらつきによって、志願者の反応の動力学を決定することができる。ばらつきは、次の数式によって計算される:
【0275】
【0276】
(式中、SDは標準偏差を意味する)。
【0277】
配合物4、5及び6についてそれぞれ、比較した結果をtable 8(表10)、table 9(表11)及びtable 10(表12)にまとめる。
【0278】
【0279】
適用の8時間後、発汗臭の強度は、本発明による配合物4によって処理した腋窩については「非常に強くはない」として、比較用配合物によって処理した腋窩については「強く感じられる」として評価される。
【0280】
適用の24時間後、発汗臭の強度は、本発明による配合物4によって処理した腋窩については「中程度に強い」として、比較用配合物によって処理した腋窩については「かなり強い」として評価される。
【0281】
したがって、これらの結果から、2種の配合物の間で発汗臭の強度に有意差が存在すること、及びこの差は、配合物の適用の8時間後であろうと24時間後であろうと(4回の適用後)、本発明による配合物に有利であることが明らかである。
【0282】
【0283】
適用の8時間後、発汗臭の強度は、本発明による配合物5によって処理した腋窩については「中程度に強い」として、比較用配合物によって処理した腋窩については「かなり強い」として評価される。
【0284】
適用の24時間後、発汗臭の強度は、本発明による配合物5によって処理した腋窩については「強く感じられる」として、比較用配合物によって処理した腋窩については「かなり強い」として評価される。
【0285】
したがって、これらの結果から、2種の配合物の間で発汗臭の強度に有意差が存在すること、及びこの差は、配合物の適用の8時間後であろうと24時間後であろうと(4回の適用後)、本発明による配合物に有利であることが明らかである。
【0286】
【0287】
適用の8時間後、発汗臭の強度は、本発明による配合物6によって処理した腋窩については「非常に強くはない~中程度に強い」として、比較用配合物によって処理した腋窩については「強く感じられる」として評価される。
【0288】
適用の24時間後、発汗臭の強度は、本発明による配合物6によって処理した腋窩については「中程度に強い」として、比較用配合物によって処理した腋窩については「強く感じられる」として評価される。
【0289】
したがって、これらの結果から、2種の配合物の間で発汗臭の強度に有意差が存在すること、及びこの差は、配合物の適用の8時間後であろうと24時間後であろうと(4回の適用後)、本発明による配合物に有利であることが判明する。
【0290】
更に、適用時に、配合物4~22は、爽快で、軽く、べたつかず、糸引きがない。これらは、ソーピングせずに容易に広がる。
【0291】
(実施例3)
組成物23~26
下のtable 11(表13)に詳細に与えられる化合物及び含有量から、非改質ヘクトライトをベースとするゲル(バルサム)タイプの4種の組成物、本発明による組成物23及び24、並びに本発明外の組成物25及び26を調製した。含有量は、組成物の総質量に対する質量百分率として表現される。
【0292】
【0293】
下に示すプロトコルに従って、組成物を調製する:
- 非改質ヘクトライトを水に、60℃の温度において激しく撹拌しながら導入する、
- 水性ヘクトライトゲルが形成されたら、他の成分(プロピレングリコール又はブチレングリコール)を前出の混合物に、撹拌しながら導入する、
- 撹拌しながらマグネシウム塩を加える。
【0294】
本発明に準拠した組成物23~24は、安定であった。系から排出される液相は、肉眼では視認されず、離漿が起こらなかったことが確認される。
【0295】
強い臭いを有し、粘着性である本発明外の組成物25及び26と比較して、本発明に準拠した組成物23~24は、透明な外観を有し、無臭であり、非粘着性である。
【0296】
加えて、適用時に、配合物23及び24は、爽快で、軽く、べたつかず、糸引きがない。これらは、ソーピングせずに容易に広がる。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 3八面体スメクタイトから選択される非改質クレイと、
- 酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム及びこれらの混合物から選択されるマグネシウム塩と、
- プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、天然ポリマー及びこれらの混合物から選択される抗離漿剤と、
- 水と
を少なくとも含む組成
物。
【請求項2】
前記非改質クレイが、非改質クレイの総質量に対して少なくとも30質量
%のSiO
2と、非改質クレイの総質量に対して少なくとも10質量
%のMgOとを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記非改質クレイが、1~
3の範囲内のSiO
2/MgO質量比を有する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項4】
前記非改質クレイが、一般分子式:
【化1】
[式中、
M
4+はカチオ
ンを表し、
M
3+はカチオ
ンを表し、
M
2+はカチオ
ンを表し、
M
+はカチオ
ンを表し、
Xは層間カチオ
ンを表し、
xは四面体置換度を表し、
yは八面体置換度を表し、
kは層間カチオンXの価数を表し、
nは整
数を表す]
を有する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項5】
前記非改質クレイが、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト及びこれらの混合物から選択さ
れる、請求項
1に記載の組成物。
【請求項6】
前記非改質クレイが、天然クレ
イである、請求項
1に記載の組成物。
【請求項7】
前記非改質クレイが、組成物の総質量に対して、10質量%以
下の含有量で存在する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項8】
前記マグネシウム塩が酸化マグネシウムである、請求項
1に記載の組成物。
【請求項9】
前記マグネシウム塩が、組成物の総質量に対して、0.5質量%から10.0質量%の
間の量で存在する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項10】
非改質クレイ/マグネシウム塩質量比が、10/1から1/10の
間である、請求項
1に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも抗離漿剤が、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール及びこれらの混合物から選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項12】
前記天然ポリマーが、
- 加工又は未加工多糖類、
- ポリアミノ酸、及び
- これらの混合物
から選択される、
請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1種の有機又は無機充填剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1種の結晶性脂肪物質を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
抗離漿剤が、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール又はこれらの混合物である場合、組成物の総質量に対して、1質量%~60質量
%の範囲内の量で存在する、
又は
抗離漿剤が、天然ポリマーである場合、組成物の総質量に対して、0.05質量%~10.00質量
%の範囲内の量で存在する、
請求項
1に記載の組成物。
【請求項16】
水が、組成物の総質量に対して、30質量%~98質量
%の範囲内の量で存在する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項17】
ゲルタイ
プである、請求項
1に記載の組成物。
【請求項18】
皮膚及び/又は頭髪
に、請求項
1に記載の組成物を適用することで構成される少なくとも1つの工程を含む、美容方法。
【国際調査報告】