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特表2024-501274少なくとも1種のクレイ、少なくとも1種の結晶性脂肪化合物及び少なくとも1種の脂溶性UVフィルターを含む化粧用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】少なくとも1種のクレイ、少なくとも1種の結晶性脂肪化合物及び少なくとも1種の脂溶性UVフィルターを含む化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20231228BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A61K8/25
A61Q17/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538125
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 EP2021087234
(87)【国際公開番号】W WO2022136519
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】2013907
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】フランク・クレマン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-バティスト・ボワッテ
(72)【発明者】
【氏名】カロリーヌ・ギミノ
(72)【発明者】
【氏名】レダ・アグナウ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB242
4C083AB432
4C083AB441
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC212
4C083AC332
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC582
4C083AC662
4C083AC792
4C083AC852
4C083AD262
4C083AD302
4C083BB04
4C083BB11
4C083BB46
4C083CC19
4C083DD27
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE17
(57)【要約】
本発明は、生理学的に許容される水性媒体に、 - 2:1層状構造を有するフィロシリケートから選択される少なくとも1種のクレイ、 - 少なくとも1種の結晶性脂肪、並びに - UVA及び/又はUVBを吸収する能力のある少なくとも1種の脂溶性フィルターを含む組成物、特に化粧用組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容される水性媒体中に、
- 2:1層状構造を有するフィロシリケートから選択される少なくとも1種のクレイ、
- 少なくとも1種の結晶性脂肪、並びに、
- UVA及び/又はUVBを吸収する能力のある少なくとも1種の脂溶性フィルター
を含む組成物、特に化粧用組成物。
【請求項2】
前記クレイが、スメクタイトから、好ましくは3八面体スメクタイトから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記クレイが、ヘクトライト、ステベンス石及びサポナイトからなる群から選択され、好ましくは、前記クレイが、未変性であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記クレイが、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%から10質量%の間、好ましくは0.8質量%から10質量%の間、又は0.5質量%から5質量%の間、より好ましくは1質量%から3質量%の間、有利には1.5質量%から2.5質量%の間の含有率で存在することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記結晶性脂肪が、C12~C24脂肪アルコールの結晶性エステル及び/又はC12~C24脂肪酸の結晶性エステル、並びにそれらの混合物から選択され、好ましくはパルミチン酸セチル、並びにグリセロール及びベヘン酸から得られるエステルの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記結晶性脂肪が、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%から15質量%の間、好ましくは0.5質量%から12質量%の間、好ましくは1質量%及び8質量%の間、有利には2質量%から7質量%の間の含有率で存在することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
UVA及び/又はUVBを吸収する能力のある前記脂溶性フィルターが、ホモサラート、サリチル酸エチルヘキシル、メトキシ桂皮酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ベンゾフェノン-3、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾアート、4-メチルベンジリデンカンフル、ジネオペンチル2,4,6-トリス(4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス-(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、ビス-エチルヘキシロキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコン15ジ-ネオペンチル、4'-メトキシベンザルマロナート、1,1-ジカルボキシ-(2'2'-ジメチル-プロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス-[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)-イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)-イミノ-1,3,5-トリアジン、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
UVA及び/又はUVBを吸収する能力のある前記脂溶性フィルターが、前記組成物の総質量に対して、5質量%から35質量%の間、好ましくは10質量%から30質量%の間、好ましくは12質量%から25質量%の間、有利には15質量%から23質量%の間の含有率で存在することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、UVA及び/又はUVBを吸収する能力のある少なくとも1種の水溶性フィルターを更に含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
UVA及び/又はUVBを吸収する能力のある前記少なくとも1種の水溶性フィルターが、前記組成物の総質量に対して、1質量%から25質量%の間、好ましくは2質量%から10質量%の間、有利には3質量%から8質量%の間の含有率で存在することを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を更に含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、少なくとも1種の油を更に含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、水性ゲルであることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理学的に許容される水性媒体において、2:1層状構造を有するフィロシリケートから選ばれる少なくとも1種のクレイ、少なくとも1種の結晶性脂肪物質並びにUVA及び/又はUVB線を吸収する能力のある少なくとも1種の脂溶性フィルターを含む組成物、特に化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
320nmから400nmの間の波長を有する放射線が、ヒト上皮の日焼けを可能にするが、一方、280から320nmの間の波長を有する放射線、いわゆるUVB放射線は、自然な日焼けの発生を損なうことが知られている。曝露は、また上皮の生体力学的性質の不利益な変化を引き起こし、結果として皮膚の時期尚早な老化に結びつくしわのある外観をもたらす場合がある。
【0003】
また、320から400nmの間の波長を有するUVA線は、UVB線より皮膚に深く浸透することが知られている。UVA線は、皮膚の即時で持続的な暗色化を引き起こす。通常状態の下でUVA線への日常的曝露は、短時間でさえ、コラーゲン線維及びエラスチンを損傷し、結果として皮膚の微細な凹凸、しわのある外観及びむらのある色素沈着(むらのある皮膚の色調)へ変化することがある。
【0004】
現在まで、種々様々の光保護組成物は、UVA及び/又はUVB放射線によって誘発される悪影響に対して、ケラチン物質、特に皮膚を保護することが既に知られている。それらは、通常、液体脂肪相が脂溶性UVフィルターを含む順相又は逆相エマルション(direct or reverse emulsions)の形態である。しかし、これらの組成物は一般に、グリース状感触及び粘つく皮膚感触を含む不快又は更に不愉快な感覚の面があるので、重大である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際出願PCT/EP2013/062964号
【特許文献2】米国特許第4367390号
【特許文献3】欧州特許出願公開第863145号
【特許文献4】欧州特許出願公開第517104号
【特許文献5】欧州特許出願公開第570838号
【特許文献6】欧州特許出願公開第796851号
【特許文献7】欧州特許出願公開第775698号
【特許文献8】欧州特許出願公開第878469号
【特許文献9】欧州特許出願公開第933376号
【特許文献10】欧州特許出願公開第507691号
【特許文献11】欧州特許出願公開第507692号
【特許文献12】欧州特許出願公開第790243号
【特許文献13】欧州特許出願公開第944624号
【特許文献14】米国特許第5624663号
【特許文献15】欧州特許出願公開第0832642号
【特許文献16】欧州特許出願公開第1027883号
【特許文献17】欧州特許出願公開第1300137号
【特許文献18】独国特許第10162844号
【特許文献19】国際公開第93/04665号
【特許文献20】独国特許出願公開第19855649号
【特許文献21】独国特許出願公開第19755649号
【特許文献22】欧州特許出願公開第916335号
【特許文献23】欧州特許出願公開第1133980号
【特許文献24】欧州特許出願公開第1133981号
【特許文献25】欧州特許出願公開第1008586号
【特許文献26】欧州特許出願公開第669323号
【特許文献27】米国特許第2,463,264号
【特許文献28】国際公開第2007/068371号
【特許文献29】国際公開第2008/155059号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Bergaya F.、Lagaly G.「Handbook of Clay Science」第2版A. Fundamentals - Elsevier Ltd社、2013年
【非特許文献2】M. R. Porter「Handbook of Surfactants」、Blackie & Son社、1991年、116~178頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、適用時に、特に適用するのが容易であり、特に乾燥後、皮膚にグリース状又は粘つく仕上がりのない良好な化粧品特性を有する脂溶性UVフィルターに基づく光保護組成物に対する必要性が存在する。
【0008】
また、粒子の接着を限定する脂溶性UVフィルターに基づく光保護組成物に対する必要性が存在する。
【0009】
また、高レベルにUV保護をしつつ、皮膚にグリース状又は粘つく仕上がりのない感覚性(sensoriality)がある、脂溶性UVフィルターに基づく光保護組成物に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、驚いたことに2:1層状構造を有するフィロシリケートから選択されるクレイと、少なくとも1種の結晶性脂肪の組合せが、そのような光保護組成物の粘着性を解消又は低減し、それによって、高レベルのUVA及び/又はUVB保護を維持しつつ粒子の接着を限定することを発見した。
【0011】
より具体的には、本発明の目的は、生理学的に許容される水性媒体において、
- 2:1層状構造を有するフィロシリケートから選択される少なくとも1種のクレイ、
- 少なくとも1種の結晶性脂肪、及び、
- UVA及び/又はUVBを吸収する能力のある少なくとも1種の脂溶性フィルターを含む組成物、特に化粧用組成物である。
【0012】
本発明は、また、本発明による組成物の前記ケラチン物質への適用を含むケラチン物質、好ましくは皮膚の非治療的美容処置のための方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
2:1層状構造を有するフィロシリケートから選択されるクレイ
本発明による組成物は、2:1層状構造を有するフィロシリケートから選択される少なくとも1種のクレイを含む。クレイの分類は以下の成書を参照している:Bergaya F.、Lagaly G.「Handbook of Clay Science」第2版A. Fundamentals - Elsevier Ltd社、2013年。
【0014】
フィロシリケートは、四面体層(「T」)のスタッキングによって構成されたシリケート基の鉱物であり、四面体は、4つの頂点(「基部の」酸素)のうちの3つを共有し、第4の頂点(「頂点の」酸素)は、異なる陽イオンによって占められた八面体層(「O」)に連結している。TOT構造を有するフィロシリケートにおいて、八面体O層は2つの四面体T層間に挟まれている。
【0015】
2:1層状構造はまたTOT構造とも呼ばれ、ここで、Tは四面体層であり、Oは八面体層である。
【0016】
好ましくは、クレイはスメクタイトから選択される。
【0017】
スメクタイトの構造は、クレイの水和状態に依存する、各TOTシートの組合せの間の葉間(interfoliar)の空間の存在によって2:1層状構造を有する他のフィロシリケートと異なり、そこでは葉間陽イオンがインターカレートされている。スメクタイトは、時には「膨潤する」クレイと呼ばれる。好ましくは、葉間陽イオンは、Ca2+、Mg2+、Na+及びLi+から選択される。
【0018】
好ましくは、クレイは3八面体(trioctahedral)スメクタイトから選択される。
【0019】
3八面体スメクタイトは、主としてTOT構造中の八面体位置がすべて二価陽イオンによって占められるという事実を特徴とする。好ましくは、八面体位置の二価陽イオンはMg2+及びFe2+から選択される。
【0020】
特に、本発明によるクレイは、水の存在下で剥離又は「活性化」し、それによって構造内の葉間陽イオンの存在により水性ゲルを形成することができる3八面体スメクタイトである。
【0021】
水が、本発明に適しているクレイと接触すると、水はクレイの層を水和し、層間の距離を広げて膨潤する。続いて、シートの分離が、剥離及び/又は層間剥離メカニズムによって生じ得る。次いで、水性ゲルが得られる。本発明による組成物中にゲル化水性相を得ることを可能にするこの特定のタイプのクレイの含有率は、基本的に、組成物の総質量に対して、0.5質量%から10質量%の間である。
【0022】
好ましくは、本発明によるクレイは、クレイの総質量に対して、30質量%以上の、好ましくは35質量%から65質量%の間のSiO2の質量による量、及び10質量%以上の、好ましくは15質量%から30質量%の間のMgOの質量による量を含む。
【0023】
より好ましい実施形態によると、本発明によるクレイは、クレイの総質量に対して35質量%~65質量%のSiO2、及びクレイの総質量に対して15質量%~30質量%のMgOを含む。
【0024】
好ましくは、本発明によるクレイにおいて、SiO2/MgO質量比は、1から3の間、好ましくは1.5から2.5の間、好ましくは1.8から2.4の間にある。
【0025】
好ましくは、本発明によるクレイは、クレイの総質量に対して0%から15%の間のAl2O3の質量による量を更に含む。
【0026】
第1の実施形態によると、本発明に適しているクレイはAl2O3を含まない。
【0027】
第2の実施形態によると、本発明に適しているクレイは、クレイの総質量に対して0.1質量%~15質量%、好ましくは8質量%~12質量%のAl2O3を含んでいてもよい。
【0028】
別の好ましい実施形態によると、Al2O3が本発明に適しているクレイ内に存在する場合、SiO2/Al2O3質量比は、厳密には3を超える。
【0029】
好ましくは、本発明によるクレイは2.7未満の密度を有する。密度(又は比重)は、鉱物の非常に重要な性質であり、算定することはかなり簡単である。それは単位がなく、ほとんどの鉱物学教科書で取り扱われている各種機器及び技法を使用して測定される。これらの方法のうち、ジョリーバランス及びビームバランスは鉱物試料に働きかけるために最も適切なものである。これらの測定を行なうための設備は簡単で、低コストで構成することができる(Sinkankas、1966年)。密度は以下のように算定される:
密度=(空気中の質量)/(空気中の質量-水中の質量)
【0030】
特定の一実施形態によると、本発明に適しているクレイは一般分子式:
【化1】
[式中、
M4+は陽イオン、好ましくはSi4+を表わし、
M3+は陽イオン、好ましくはAl3+を表わし、
M2+は陽イオン、好ましくはFe2+又はMg2+を表わし、
M+は陽イオン、好ましくはLi+を表わし、
Xは葉間陽イオン、好ましくはCa2+、Na+、Li+又はそれらの混合物を表わし、
xは四面体の置換率を表わし、
yは八面体の置換率を表わし、
kは葉間陽イオンXの原子価を表わし、
nは整数、好ましくは0~100を表わす]
を有する。
【0031】
本発明に適しているクレイは、一般に粉末形態で入手可能である。
【0032】
好ましくは、クレイはヘクトライト、ステベンス石(stevensite)及びサポナイトからなる群から選択される。
【0033】
有利には、クレイはヘクトライトである。
【0034】
ヘクトライトは以下の式によって定義することができる:Nax(Mg3-x,Lix)Si4O10(OH)2、式中、xは0.2から0.4の間、好ましくは0.3である。
【0035】
好ましくは、本発明による組成物のクレイは、ソーコン石(sauconite)、ソボトカイト(sobotkite)、タルク及びモンモリロナイトとは異なる。
【0036】
好ましくは、本発明によるクレイは未変性クレイである。未変性クレイは、決して変性されていない天然又は合成クレイを意味する。例えば、本発明に適している未変性クレイが未変性ヘクトライトである場合、それは、C10~C22脂肪酸アンモニウムクロリドを用いて変性されたヘクトライト、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロリドを用いて変性されたヘクトライトとは別である。一実施形態において、本発明に適している未変性クレイは合成である。
【0037】
好ましい実施形態によると、本発明に適している未変性クレイは、天然の、好ましくは天然ヘクトライトである。
【0038】
変性クレイは、例えば第四級アンモニウム塩、好ましくは第四級アンモニウムクロリドとのイオン交換反応によってその親油性が増加したシートシリケートを意味する。第四級アンモニウムクロリドの例は、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、又は、式
【化2】
[式中、R1基は、直鎖飽和C12~C20アルキル基から独立して選択される]
のクオタニウム-18である。変性クレイの例は、ジステアルジモニウムヘクトライト又はステアラルコニウムヘクトライトである。
【0039】
好ましくは、本発明による組成物は、変性クレイを実質上含まず、好ましくは、ジステアルジモニウムヘクトライト及びステアラルコニウムヘクトライトを実質上含まない。「実質上含まない」とは、組成物が、組成物の総質量の0.1質量%未満、好ましくは0.05質量%未満、好ましくは0.01質量%未満の変性クレイを含むことを意味する。好ましくは、本発明による組成物は、変性クレイを全く含まない。
【0040】
好ましくは、クレイは、組成物の総質量に対して、0.1質量%から10質量%の間、好ましくは0.8質量%から10質量%、又は0.5質量%から5質量%の間、より好ましくは1質量%から3質量%の間、有利には1.5質量%から2.5質量%の間の含有率で存在する。
【0041】
未変性クレイとして、特に未変性ヘクトライトとして、名称Bentone EW又はHYDROCLAY 2000 LOの下でElementis社によって販売されているクレイを使用することができる。
【0042】
結晶性脂肪
本発明による組成物は少なくとも1種の結晶性脂肪を含む。
【0043】
本発明の目的として、結晶性脂肪は、室温(25℃)で変形可能又は変形可能でない固体親油性化合物であり、25℃以上、好ましくは25℃から200℃の間、より好ましくは25℃から120℃の間の融点を有すると理解される。
【0044】
いくつかの結晶性脂肪は一般にワックスと呼ばれる。
【0045】
本発明の目的として、融点は、ISO11357-3:1999に記載されている熱分析(DSC)で観察される最大吸熱ピークの温度である。結晶性脂肪の融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社によってMDSC2920として販売されている熱量計を使用して測定することができる。そのような測定法は、例えば国際出願PCT/EP2013/062964号に記載されている。
【0046】
鉱物起源の結晶性脂肪は、パラフィンワックス、オゾケライト、セレシン及び微結晶ワックスを含む。
【0047】
植物起源の結晶性脂肪の中では、以下に言及することができる:カルナウバワックス、カンデリラワックス、例えばStrahl & Pitsch社によって商品番号SP 75Gの下で販売されているもの、月桂樹ワックス、サトウキビワックス、セラミド、エスパルトワックス、オリーブワックス、米ワックス、例えばCera Rica Noda社によって商品番号NC1720の下で販売されているもの、ヒマワリシードワックス、例えばKoster Keunen社によって商品番号ヒマワリワックス水素化ホホバワックスの下で販売されているもの、水素化ヒマシ油、水素化オリーブ油、水素化綿実油、グリーンミモザホホバ及びヒマワリワックスのポリグリセリル-3エステル、及びアブソルートフラワーワックス、例えばクロフサスグリフラワーワックス、ダイズワックス、テンニンカフルーツワックス又はベイリーフワックス。
【0048】
動物起源の結晶性脂肪としては、ビーズワックス又は変性ビーズワックス(セラベリーナ(cerabellina))、ラノリン及び鯨蝋を含む。
【0049】
結晶性脂肪は、また長鎖の結晶性アルコール及びそれらの混合物、例えばセテアリールアルコール(C16/C18 50/50)、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、C26~C22アルコールから選択されてもよい。
【0050】
結晶性脂肪は、また、長鎖の結晶性エステル及びそれらの混合物、例えば、INCI化合物「セチルエステル(並びに)ステアリン酸ミリスチル及びパルミチン酸ミリスチルとのセチルエステル混合物」、又はINCI化合物「ステアリン酸ミリスチル及びパルミチン酸ミリスチルとの混合物」、ジステアリン酸グリコール、ステアリン酸グリコール、パルミチン酸セチル、例えば供給業者ERCA社からの市販品ERCAWAX CP V/O、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸C20~C40アルキル、グリセロールの結晶性長鎖エステル及びそれらの混合物、例えば、Gattefosse社からCOMPRITOL 888 CG ATOとして販売されている化合物(INCI:ジベヘン酸グリセリル(及び)トリベヘン酸グリセリル(及び)ベヘン酸グリセリル)、又は別々に得られるその成分のそれぞれ、トリカプリン、トリラウリン、トリミリスチン、トリパルミチン、トリステアリン、ジステアリン酸グリセロール、ジステアリン酸グリセリル、ジパルミトステアリン酸グリセリル及びリノレオイルポリオキシル-6グリセリドから選択されてもよい。
【0051】
結晶性脂肪は、また結晶性長鎖アルキル脂肪酸及びそれらの混合物、例えば、INCI化合物「ステアリン酸」、ステアリン酸及びパルミチン酸の混合物、特に飽和C4~C28脂肪酸及び不飽和C4~C28脂肪酸から選択されてもよい。
【0052】
本発明に従って使用することができる他の結晶性脂肪は、海産ワックス、ポリエチレンワックス又はポリオレフィンワックス一般、例えばオレフィンのα-オリゴマー、例えばNew Phase Technologies社によって販売されているPerforma V(登録商標)825、103及び260ポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、例えばPerformalene(登録商標)EP 700、又はFischer-Tropschワックス又はこれらの製品の混合物を含む。
【0053】
好ましくは、結晶性脂肪は、C12~C24脂肪アルコールの結晶性エステル及び/又はC12~C24脂肪酸の結晶性エステル並びにそれらの混合物から選択され、好ましくはパルミチン酸セチル、並びにグリセロール及びベヘン酸から得られるエステルの混合物から選択される。
【0054】
好ましくは、結晶性脂肪は、組成物の総質量に対して、0.1質量%から15質量%の間、好ましくは0.5質量%から12質量%の間、好ましくは1質量%から8質量%の間、有利には2質量%から7質量%の間の含有率で存在する。
【0055】
脂溶性フィルター
本発明に従って使用することができる脂溶性UVフィルターの中で、アントラニラート;桂皮酸誘導体;ジベンゾイルメタン誘導体;サリチル酸誘導体;カンフル誘導体、トリアジン誘導体、例えば米国特許第4367390号、欧州特許出願公開第863145号、欧州特許出願公開第517104号、欧州特許出願公開第570838号、欧州特許出願公開第796851号、欧州特許出願公開第775698号、欧州特許出願公開第878469号、欧州特許出願公開第933376号、欧州特許出願公開第507691号、欧州特許出願公開第507692号、欧州特許出願公開第790243号、欧州特許出願公開第944624号に記載されているもの、ベンゾフェノン誘導体;(3,(3-ジフェニルアクリラート)誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロナート誘導体、特に米国特許第5624663号に挙げられているもの;ベンゾイミダゾール誘導体;イミダゾリン;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;欧州特許出願公開第0832642号、欧州特許出願公開第1027883号、欧州特許出願公開第1300137号及び独国特許第10162844号に記載されているベンゾキサゾール誘導体;フィルターポリマー及びフィルターシリコーン、例えば、特に国際公開第93/04665号に記載されているもの;a-アルキルスチレンに由来するダイマー、例えば独国特許出願公開第19855649号に記載されているもの、4,4-ジアリールブタジエン、例えば独国特許出願公開第19755649号、欧州特許出願公開第916335号、欧州特許出願公開第1133980号、欧州特許出願公開第1133981号及び欧州特許出願公開第1008586号に記載されているもの、並びにそれらの混合物から選択されるものに言及することができる。
【0056】
脂溶性有機フィルターの例は、それらのINCI名:パラアミノ安息香酸誘導体:ISP社によってESCALOL 507として販売されているエチルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシルジメチルPABA、サリチル酸誘導体:Rona/EM Industries社によってEusolex HMSとして販売されているホモサラート、Haarmann and REIMER社によってNEO HELIOPAN OSとして販売されているサリチル酸エチルヘキシル、Haarmann and REIMER社によってNEO HELIOPAN TSとして販売されているサリチル酸TEA、ジベンゾイルメタン誘導体:HOFFMANN LAROCHE社によって商品名PARSOL 1789の下で販売されているブチルメトキシジベンゾイルメタン、イソプロピルジベンゾイルメタン、桂皮酸誘導体:HOFFMANN LAROCHE社によって商品名PARSOL MCXの下で販売されているメトキシ桂皮酸エチルヘキシル、メトキシ桂皮酸イソプロピル、HAARMANN and REIMER社によって商品名NEO HELIOPAN E 1000の下で販売されているメトキシ桂皮酸イソアミル、シノキサート、桂皮酸ジイソプロピルメチル、(3,(3-ジフェニルアクリラート)誘導体:BASF社によって商品名UVINUL N539の下で販売されているオクトクリレン、BASF社によって商品名UVINUL N35の下で販売されている50エトクリレン、ベンゾフェノン誘導体:BASF社によって商品名UVINUL 400の下で販売されているベンゾフェノン-1、BASF社によって商品名UVINUL D50の下で販売されているベンゾフェノン-2、BASF社によって商品名UVINUL M40の下で販売されているベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン、Norquay社によって商品名Helisorb 11の下で販売されているベンゾフェノン-6、American 5 Cyanamid社によって商品名Spectra-Sorb UV-24の下で販売されているベンゾフェノン-8、BASF社によって商品名UVINUL DS-49の下で販売されているベンゾフェノン-9、2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)-安息香酸n-ヘキシル;ベンジリデンカンフル誘導体:CHIMEX社によって名称MEXORYL SDの下で製造されている3-ベンジリデンカンフル、MERCK社によって名称EUSOLEX 6300の下で販売されている4-メチルベンジリデンカンフル、トリアジン誘導体:CIRA GEIGY社によって商品名15 TINOSORB Sの下で販売されているビス-エチルヘキシロキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、BASF社によって商品名UVINUL T150の下で販売されているエチルヘキシルトリアゾン、SIGMA 3V社によって商品名UVASORB HEBの下で販売されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン2,4,6-トリス-(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジンによって上記に列挙されたものである。
【0057】
ベンゾトリアゾール誘導体:RHODIA CHIMIE社によって名称Silatrizoleの下で販売されているドロメトリゾールトリシロキサン、アントラニル酸誘導体:Haarmann and REIMER社によって商品名NEO HELIOPAN MAの下で販売されているアントラニル酸メンチル、イミダゾリン誘導体:ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオン酸エチルヘキシル、ベンザルマロナート誘導体:4'-メトキシベンザルマロン酸ジネオペンチル、ベンザルマロン酸官能性ポリオルガノシロキサン、例えばHOFFMANN LAROCHE社によって商品名PARSOL SLXの下で販売されているポリシリコーン-15、4,4-ジアリールブタジエン:1,1-ジカルボキシ-(2'2'-ジメチル-プロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、ベンゾキサゾール誘導体:Sigma 3V社によって名称Uvasorb K2Aの下で販売されている2,4-ビス-[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)-イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)-イミノ-1,3,5-トリアジン;及びそれらの混合物。
【0058】
好ましくは、UVA及び/又はUVBを吸収する能力のある脂溶性フィルターは、ホモサラート、サリチル酸エチルヘキシル、メトキシ桂皮酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ベンゾフェノン-3、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾアート、4-メチルベンジリデンカンフル、2,4,6-トリス(4'-アミノベンザルマロン酸ジネオペンチル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス-(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、ビス-エチルヘキシロキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコン15ジ-ネオペンチル、4'-メトキシベンザルマロナート、1,1-ジカルボキシ-(2'2'-ジメチル-プロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス-[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)-イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)-イミノ-1,3,5-トリアジン、及びそれらの混合物からなるリストから選択される。
【0059】
はるかに好ましくは、それは、ホモサラート、サリチル酸エチルヘキシル、メトキシ桂皮酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ブチルメトキシジベンゾイルメタンエチルヘキシルトリアゾン、ビス-エチルヘキシロキシフェノールメトキシフェニルトリアジンジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾアートから選択される。
【0060】
好ましくは、UVA及び/又はUVBを吸収する能力のある脂溶性フィルターは、組成物の総質量に対して、5質量%から35質量%の間、好ましくは10質量%から30質量%の間、好ましくは12質量%及び25質量%の間、有利には15質量%から23質量%の間の含有率で存在する。
【0061】
水溶性フィルター
本発明による組成物は、UVA及び/又はUVBを吸収する能力のある少なくとも1種の水溶性フィルターを更に含む。
【0062】
水溶性フィルターは、320~400nm(UVA)のUVを吸収する能力のある水溶性フィルター、280~320nm(UVB)のUVを吸収する能力のある水溶性フィルター及びそれらの混合物から選択される。
【0063】
「水溶性フィルター」とは、液体水性相中に分子形態で完全に溶解するか、又は液体水性相中にコロイド形態(例えばミセル形態で)で溶解する能力のある任意の無機又は有機フィルターを意味する。
【0064】
一実施形態によると、組成物は、UVAを吸収する能力のある少なくとも1種の水溶性フィルターを含む。
【0065】
別の実施形態によると、組成物は、UVBを吸収する能力のある少なくとも1種の水溶性フィルターを含む。
【0066】
別の実施形態によると、組成物は、UVB及びUVAを吸収する能力のある少なくとも1種の水溶性フィルターを含む。
【0067】
別の実施形態によると、組成物は、UVAを吸収する能力のある少なくとも1種の水溶性フィルターと、UVBを吸収する能力のある少なくとも1種の水溶性フィルターとの混合物を含む。
【0068】
320~400nm(UVA)のUVを吸収する能力のある水溶性フィルター
UVAを吸収する能力のある水溶性フィルターは以下を含む:
- CHIMEX社によって名称「MEXORYL SX」の下で製造されているテレフタリリデンジカンフルスルホン酸;
- 欧州特許出願公開第669323号及び米国特許第2,463,264号に記載されているビス-ベンゾアゾリル誘導体、特に、Haarmann and REIMER社によって商品名「NEO HELIOPAN AP」の下で販売されている化合物ジナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホナート。
【0069】
好ましくは、UVAを吸収する能力のある水溶性フィルターはテレフタリリデンジカンフルスルホン酸である。
【0070】
280~320nm(UVB)のUVを吸収する能力のある水溶性フィルター
UVBを吸収する能力のある水溶性フィルターは以下を含む:
p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体、例えば
PABA、
グリセリルPABA、及び
BASF社によって名称「UVINUL P25」の下で販売されているPEG-25 PABA、
MERCK社によって商品名「EUSOLEX 232」の下で販売されているフェニルベンズイミダゾールスルホン酸、
フェルラ酸、
サリチル酸、
メトキシ桂皮酸DEA、
CHIMEX社によって名称「MEXORYL SL」の下で製造されているベンジリデンカンフルスルホン酸、及び
CHIMEX社によって名称「MEXORYL SO」の下で製造されているカンフルベンズアルコニウムメトサルファート。
【0071】
好ましくは、UVBを吸収する能力のある水溶性フィルターは、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸(Mexoryl SX)から選択される。有利には、UVBを吸収する能力のある水溶性フィルターはフェニルベンズイミダゾールスルホン酸である。
【0072】
混合UVA及びUVBの水溶性フィルター
UVA及びUVBを吸収する能力のある混合水溶性フィルターは以下を含む:
メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、
少なくとも1個のスルホン基を含むベンゾフェノン誘導体、例えば、
BASF社によって商品名「UVINUL MS40」の下で販売されているベンゾフェノン-4、
ベンゾフェノン-5、及び
ベンゾフェノン-9。
【0073】
好ましくは、UVA及びUVBを吸収する能力のある水溶性フィルターは、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールである。
【0074】
好ましくは、UVA及び/又はUVBを吸収する能力のある少なくとも1種の水溶性フィルターは、組成物の総質量に対して、1質量%から25質量%の間、好ましくは2質量%から10質量%の間、有利には3質量%から8質量%の間の含有率で存在する。
【0075】
本発明の組成物中の水溶性フィルターの存在は、それがあると、組成物によって覆われた皮膚の全表面が保護されることを確実にすることによって、UVA及び/又はUVBからの保護を更に改善することが可能になる。
【0076】
界面活性剤
本発明による組成物は少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を更に含んでいてもよい。
【0077】
本発明の組成物中で使用することができる非イオン性界面活性剤は、当業者によく知られている化合物である。(参照:この点で特に、Blackie & Son社(Glasgow及びLondon)によって出版されたM. R. Porterによる「Handbook of Surfactants」、1991年、116~178頁)。
【0078】
それらは、特にポリエトキシル化、ポリプロポキシル化又はポリグリセロール化脂肪アルコール、ポリエトキシル化、ポリプロポキシル化又はポリグリセロール化α-ジオール、及びポリエトキシル化、ポリプロポキシル化又はポリグリセロール化(C1~C20)アルキルフェノール、例えば、8~18炭素原子を含む脂肪鎖、(エチレンオキシド又はプロピレンオキシド基の数は特に1から150に変動してもよく、グリセロール基の数は、特に1から30に変動してもよい)、ポリグリセロールのC6~C30脂肪酸、オキシアルキレン糖エステル、C6~C30ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、C6~C30ソルビタン脂肪酸エステル、グルカミン誘導体並びにそれらの混合物から選択される。
【0079】
他の例としては、脂肪アルコールとの、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの縮合物、好ましくは1~100エチレンオキシド単位を有するポリエトキシル化脂肪アミド、平均1~5、特に1.5~4のグリセロール基を有するポリグリセロール脂肪アミド、1~50のエチレンオキシド単位を有するエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、好ましくは1~100のエチレンオキシド単位を含むポリエトキシル化植物油、N-(C6-24-アルキル)グルカミン誘導体又はアミンオキシド、例えばC10-14-アルキルアミンオキシド又はN-(C10-14-アシル)アミノプロピルモルホリンオキシドである。
【0080】
アルキルポリグルコシドは、例えば(C6~C30)アルキルポリペントシド、(C6~C30)アルキルポリキシロシド、(C6~C30)マルトースエステル、(C6~C30)スクロースエステル、(C6~C30)アルキルポリグルコシド、例えばデシルグルコシド(C9/C11アルキル)(1,4)ポリグルコシド、例えばKao Chemicals社によってMydol 10(登録商標)として販売されている製品、又はHenkel社によってPlantacare 2000 UP(登録商標)として販売されている製品、及びSEPPIC社によってOramix NS 10(登録商標)として販売されている製品;カプリリル/カプリルグルコシド、例えばCognis社によってPlantacare KE 3711(登録商標)又はSEPPIC社によってOramix CG 110(登録商標)として販売されている製品;ラウリルグルコシド、例えばHenkel社によってPlantacare 1200 UP(登録商標)又はHenkel社によってPlantaren 1200N(登録商標)として販売されている製品;ココナッツグルコシド、例えばHenkel社によってPlantacare 818 UP(登録商標)として販売されている製品;カプリリルグルコシド、例えばCognis社によってPlantacare 810 UP(登録商標)として販売されている製品;並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0081】
界面活性剤はまた、リン脂質、例えばホスファチジン酸(ホスファチデート)、ホスファチジルエタノールアミン(ケファリン)、ホスファチジルコリン(任意の起源(ダイズ、ヒマワリ又は海産)のレシチン)、水素化レシチンホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールホスファート、ホスファチジルイノシトールビスホスファート、ホスファチジルイノシトールトリホスファート、セラミドホスホリルコリン(スフィンゴミエリン)、セラミドホスホリルエタノールアミン(スフィンゴミエリン)及びセラミドホスホリルグリセロールから選ばれてもよい。
【0082】
非イオン性界面活性剤は、また、クエン酸及び脂肪酸のモノ及びジグリセリドのエステル、例えば、クエン酸ステアリン酸グリセロールエステル、ポリソルベート、並びにグルタマート及び他のアミノ酸誘導体例えばN-ステアロイル-L-グルタミン酸モノナトリウム塩から選択されてもよい。
【0083】
界面活性剤は、また発酵由来のバイオ界面活性剤、例えばラムノリピド及びソホロリピドから選択することができる。
【0084】
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、N-ステアロイル-L-グルタミン酸モノナトリウム塩及びクエン酸ステアリン酸グリセロールエステルから選択される。
【0085】
代替として又は更に、本発明の組成物は、植物起源の陰イオン性タンパク質誘導体、アミノ酸、C6~C30アシルアミノ酸、ホスファート及びC6~C30アルキルホスファート、陰イオン性C8~C24アルキルポリグルコシド、石鹸(C8~C30脂肪酸の塩)、グリシン酸、大豆油誘導体、乳酸誘導体、グリチルリチン酸又はリポペプチド、それらの塩類及びその混合物、ココイルグルタミン酸ジナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン界面活性剤を含んでいてもよい。
【0086】
存在する場合、非イオン性界面活性剤は、組成物の総質量に対して、0.05質量%から20質量%の間の含有率で、好ましくは0.1質量%から15質量%の間の含有率で存在する。
【0087】
少なくとも1種の非イオン性界面活性剤の存在は、本発明による組成物内の固体脂肪相の分散体を改善する。
【0088】

本発明による組成物は、少なくとも1種の油を更に含んでいてもよい。
【0089】
油は、室温(20-25℃)及び大気圧(760mm Hg)で液体である脂肪物質として定義される。
【0090】
油の例としては以下が挙げられる:
- 植物起源の炭化水素油、例えばスクアラン、4~30の炭素原子を有する脂肪酸の液体トリグリセリド、例えばヘプタン酸トリグリセリド又はオクタン酸トリグリセリド、又は例えばホホバ、ババスーヤシ、ヒマワリ、オリーブ、ココナッツ、ブラジルナット、マルーラ、トウモロコシ、ダイズ、カボチャ、ブドウ種子、アマニ、ゴマ、ヘーゼルナッツ、アプリコット、マカダミア、アララ(arara)、コリアンダー、ヒマシ油、アボカド、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、例えばStearineries Dubois社によって上市されているもの、又はDynamit Nobel社によって名称Miglyol810、812及び818の下で上市されているもの、シアバター油;
- 特に、脂肪酸の合成エステル及びエーテル、例えば、式R1COOR2及びR1OR2[式中、R1は、8~29の炭素原子を含む脂肪酸又は脂肪アルコールの残基を表わし、R2は、3~30の炭素原子を含む分岐又は非分岐炭化水素鎖を表わす]の油、例えばパーセリン油、ステアリン酸オクチル-2-ドデシル、エルカ酸オクチル-2-ドデシル、イソステアリン酸イソステアリル;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、デカン酸脂肪アルコール、ヘプタン酸脂肪アルコール、オクタン酸脂肪アルコール;ポリオールエステル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール及びジイソノナン酸ジエチレングリコール;及びペンタエリトリトールエステル、例えばテトライソステアリン酸ペンタエリトリル;
- 鉱物又は合成起源、揮発性又は不揮発性の直鎖状又は分岐炭化水素、及びそれらの誘導体、例えば8~18の炭素原子を有する分岐アルカン、例えば、C8~C18イソアルカン(イソパラフィンと呼ばれる)、例えばイソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、例えばExxon Chemical社によって商品名Isoparの下で販売されているイソパラフィン、又はPresperse社によって商品名Permethylの下で販売されている油、INEOS社によって上市されているイソヘキサデカン及びイソドデカン;並びに石油ゼリー及び水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)油;7~17の炭素原子を含む揮発性直鎖状アルカン、例えばウンデカン、トリデカン;
- 室温で液体の8~26の炭素原子を有する脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール又はオレイルアルコール;並びに
- それらの混合物。
【0091】
特に、以下の油について言及することができる:
- 少なくとも6の炭素原子、好ましくは6~26炭素原子、更になお6~20の炭素原子、更になお一層6~16の炭素原子を含む少なくとも1種の脂肪酸と、1~17の炭素原子、更になお3~15の炭素原子を含む少なくとも1種のアルコールの反応から結果として得られるエステル;特別に言及されてもよいものは、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、カプリン酸/カプリル酸エチル2-ヘキシル(又はカプリン酸/カプリル酸オクチル)、パルミチン酸エチル2-ヘキシル、ネオペンタン酸イソステアリル、イソノニルイソナノアート(isonanoate)、ラウリン酸ヘキシル、12又は13の炭素原子を含む乳酸と脂肪アルコールのエステル、炭酸ジカプリリル、例えばCOGNIS社によって名称CETIOL CCの下で上市されているもの、
- 6~20の炭素原子を含む脂肪酸エーテル、例えばジカプリリルエーテル(Cognis社からのCetiol OE)、6~12の炭素原子を含むグリセロールエーテル、例えば2-エチルヘキシルグリセロールエーテル(INCI名:エチルヘキシルグリセリン)、例えばSchulke & Mayr GmbH社からのSensiva SC 50;
- オクチドデカノール(octydodecanol)、
- アルカン、例えばCognis社の特許出願、国際公開第2007/068371号、又は国際公開第2008/155059号に記載されているもの(少なくとも1種の炭素が異なる別個のアルカンの混合物)。これらのアルカンは脂肪アルコールから得られ、それはココナッツ又はパーム油から得られる。
【0092】
本発明に適している直鎖状アルカンの例は、n-ヘプタン(C7)、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、n-テトラデカン(C14)及びそれらの混合物である。特定の一実施形態によると、揮発性直鎖状アルカンは、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン及びそれらの混合物から選択される。
【0093】
好ましい実施形態によると、Cognis社への国際公開第2008/155059号の実施例1及び2において得られた、n-ウンデカン(C11)及びn-トリデカン(C13)の混合物;
- 不飽和脂肪酸のダイマー及び/又はトリマーとジオールの縮合によって得られたポリエステル、例えば名称Viscoplastの下でBiosynthis社によって上市されているジリノール酸とジオールのポリエステル、及び特に、INCI名ジリノール酸/プロパンジオールコポリマーを有するポリマー;並びに
- それらの混合物に言及してもよい。
【0094】
好ましくは、油は炭酸ジカプリリル及びジカプリリルエーテルから選択される。
【0095】
存在する場合、油は、組成物の総質量に対して0.1%から20質量%の間の含有率で、好ましくは0.5%から10質量%の間の含有率で存在する。
【0096】
少なくとも1種の油の存在は、本発明の組成物の感覚性を更に強める。
【0097】
水性相
本発明による組成物は生理学的に許容される水性媒体を含む。
【0098】
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも水を含む水性媒体を含む。
【0099】
水性媒体は少なくとも1種の、25℃で水溶性の他の有機溶剤を含んでもよく、例えば以下から選択される:
- C1~C4モノアルカノール。「C1~C4モノアルカノール」は、1~4の炭素原子及び1個のヒドロキシル官能基(OH)を有する任意の飽和、直鎖状又は分岐アルカン化合物である。本発明の組成物中に存在するC1~C4モノアルカノールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール又はそれらの混合物から選択されてもよい、
- 特に2~20の炭素原子、好ましくは2~6の炭素原子を有するポリオール、例えばグリセロール、ジグリセロール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-オクタンジオール、ペンチレングリコール、単糖、水溶性ポリアルキレングリコール;及び
- それらの混合物。
【0100】
好ましくは、他の水溶性有機溶剤は、1,2-オクタンジオール、エタノール及びグリセロールからなるリストから選択される。
【0101】
それらは一般に、組成物の総質量に対して0.2質量%~50質量%、より好ましくは0.5質量%~30質量%、最も好ましくは1質量%~10質量%の濃度範囲で存在する。
【0102】
組成物
好ましくは、本発明による組成物は水性ゲルである。
【0103】
好ましくは、本発明による組成物は、水性相中に分散した固体脂肪相であって、結晶性脂肪及び脂溶性UVフィルターを含む、固体脂肪相を含む。好ましくは、脂溶性UVフィルターは結晶性脂肪の粒子中にカプセル化される。
【0104】
これらの粒子は一般に固体脂質ナノ粒子(SLN)と称される。これらの脂質粒子は、室温で固体の脂質マトリックス、又は液体脂質(油)及び室温で固体の混合物によって形成されたマトリックスからなり、場合によって、少なくとも1種の脂溶性化合物をカプセル化する。
【0105】
これらの脂質粒子を水性媒体中で分散することができるので、固体/液体分散体について語ることは可能である。脂質粒子は、有利には少なくとも1種の界面活性剤によって懸濁液中で安定化する。
【0106】
好ましくは、本発明の組成物の固体脂肪相は、200nmから100μmの間、好ましくは200nmから10μmの間の数平均直径を有する、実質上球状微粒子の形態である。
【0107】
更に、本発明による組成物は、特に脂肪;増粘剤、例えばアルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタン、スクレログルカン、セルロース又はその誘導体;柔軟剤;抗酸化剤;活性成分;安定剤;金属イオン封鎖剤;抗発泡剤;保湿クリーム;ビタミン;香水;防腐剤;充填剤;又は通常化粧品及び/又は皮膚科で使用される、特に水性ゲルの形態の組成物の製造用の任意の他の成分から選ばれる1種又は複数の従来の化粧用アジュバントを含んでいてもよい。
【0108】
充填剤
本発明による組成物に含まれてもよい充填剤は、無色又は白い、任意の形状の固体粒子であり、それは、不溶性形態にあり、組成物の媒体中で分散されている。鉱物又は有機であっても、天然又は合成であっても、それらは、組成物が柔軟性、つや消し及び均一性を与えることを可能にする。更に、これらの充填剤は、様々な侵入物、例えば皮脂又は汗と戦うという利点を有する。
【0109】
これらの充填剤の例としては、タルク、雲母、シリカ、カオリン、ポリアラニン及びポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー粉体(テフロン(登録商標))、ラウロイルリジン、デンプン、窒化ホウ素、中空ポリマー状微小球体、例えばExpancel(登録商標)類似の(Nobel Industrie社)ポリビニリデンクロリド/アクリロニトリル微小球体、アクリル酸コポリマー、シリコーン樹脂微小ビーズ(例えばToshiba社からのTospearls(登録商標))、エラストマーのポリオルガノシロキサン粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び炭酸水素マグネシウム(magnesium hydrocarbonate)、ヒドロキシアパタイト、硫酸バリウム、ポリウレタン粉末、複合充填剤、中空シリカ微小球体、及びガラス又はセラミックマイクロカプセルである。代替として、特開2003-128788及び特開2000-191789に記載されている中空球体部分の形態である粒子が使用されてもよい。
【0110】
特に、そのような充填剤は、本発明による組成物中で、組成物の総質量に対して0.01質量%から25質量%の間、特に0.1質量%から20質量%の間、特に1質量%から10質量%の間の含有率で存在してもよい。
【0111】
用語「...から...の間」、「...~...」及び「...から...に変動する」とは、他の方法で指定されない限り、小さい数値及び大きい数値を含むと理解されるものとする。
【0112】
本発明を例証する、具体的であるが、しかし決して限定しない実施例がここで示される。
【0113】
実施例において、他の方法で明示されなければ、圧力は大気圧である。
【実施例
【0114】
(実施例1)
本発明による組成物C1、C2及びC3及び比較組成物C4*、C5*、C6*及びC7*の調製
本発明による組成物C1、C2及びC3及び比較組成物C4*、C5*、C6*及びC7*を、以下のプロトコルに従って下表に言及される成分を用いて調製する。
【0115】
80℃で結晶性脂肪を溶融させ、必要なら液体油を添加する。高温の間に溶融結晶性脂肪に脂溶性UVフィルターを添加する。もしあれば界面活性剤、クレイ及び水溶性フィルターを含む高温水性相を用いてこの脂肪相を乳化する。結果として得られたエマルションを15分間撹拌し、次に80℃から40℃に冷却する。この冷却中に、他の成分、例えば充填剤及び防腐剤を添加する。組成物から空気泡を除去するために真空を生じさせる。脂溶性UVフィルターをカプセル化する、結晶性脂肪分散体を含む水性ゲルが得られる。
【0116】
各成分の量は、組成物の総質量に対する質量比として表現する。
【0117】
【表1】
【0118】
比較組成物C4*は、未変性クレイ、少なくとも1種の脂溶性フィルターを含むが、結晶性脂肪を含まない。
【0119】
比較組成物C5*は、少なくとも1種の脂溶性フィルター、少なくとも1種の結晶性脂肪を含むが、クレイを含まない。
【0120】
比較組成物C6*はクレイを含まないが、少なくとも1種の脂溶性フィルター、及び比較組成物C5*中のそれと異なる結晶性脂肪を含む。
【0121】
比較組成物C7*は少なくとも1種の脂溶性フィルターを含むが、クレイ又は結晶性脂肪を含まない。
【0122】
(実施例2)
本発明による組成物C1、C2及びC3、並びに比較組成物C4*、C5*、C6*及びC7*の抗付着性試験
本発明による組成物C1、C2及びC3並びに比較組成物C4*、C5*、C6*及びC7*の非粘着性を以下のプロトコルに従って評価した:
- Bioskin板(参照:MAPREKOS Bioskin K520又はK531板、A4サイズの平滑、平坦な表面、厚さ2mm、5*5cmの正方形の切片)を、洗浄剤溶液(ミセル溶液、界面活性剤溶液)を用い、次いで水を用いてすすぎ、オーブン中40℃で2時間乾燥させる。
- 40~60mgの各組成物を、Bioskin板に塗布する。以下の手順に従って広げる:処方をまず指パッドで右から左に動かして広げ(5往復)、次いで、板を1/4回転し、5往復を繰り返す。板の4つの側すべてに操作を繰り返す。
- 板が少なくとも30mgの組成物を含むことを保証するために秤量する。
- ホットプレートに少なくとも20分間各板を乾燥させる(参照:EKIUM PCMF 400*600)。
- 粒度をならすためにふるいを使用して、疎水性鉄黒(FeO)粒子を塗布し、精密天秤を使用して粒子の量を正確に測定する。粒子の付着を可能にするために15分間板を静置する。
- 次いで、回転台に板を設置し、次いで、0.2バールに設定したコンプレッサー(参照:IWATA社によるコンプレッサーSmart Jet Pro 875)及び板から30cmに置いたエアブラシ(参照:Aerograf IWATA HP-G5(0.5mm))を使用して、この流動が試料を横切って掃くような方法で5秒間空気の流れを起こす。
- 次いで、処方フィルムに付着した粒子の量を特定するためにもう一度板を秤量する。
【0123】
組成物は、Skin FX支持体が気流を通過する時に除去されたFeOのパーセンテージが70%以上である場合、非粘着性と考えられる。
【0124】
以下の表でこの試験の結果を提示する:
【0125】
【表2】
【0126】
組成物が未変性クレイ及び/又は結晶性脂肪を含んでいない(比較組成物C4*、C5*、C6*及びC7*)場合、組成物は粘着性であるので、酸化鉄の付着は重要である。未変性クレイ及び結晶性脂肪の組合せを含む本発明による組成物(組成物C1、C2及びC3)のみが、非粘着性組成物を得ることを可能にする。
【0127】
(実施例3)
本発明及び比較による他の組成物
以下のプロトコルに従って本発明C8によるさらなる組成物及びさらなる比較組成物C9*を調製した:
【0128】
1)結晶性脂肪並びに脂溶性フィルター及び第1の界面活性剤を含む脂肪相をタンクへ導入し、80℃に加熱する(乳化剤速度400rpm、かき取り(scraping)20rpm)。
【0129】
2)すべての固体原料を溶融したら、クレイ又はジェランガムを添加してこの脂肪相中で分散させる(乳化剤速度400rpm;共軸90rpm;かき取り(scraper)50rpm)。
【0130】
3)第2の界面活性剤、水溶性フィルター及び水を含む水性相を、別々に調製し、5LのMaxilabタンク(Olsaブランド)中で80℃に加熱する。
【0131】
4)脂肪相(4000rpmで乳化剤速度;共軸の150rpm;スクレーパー75rpm)に水性相を添加する。15分後、存在する場合、アルギン酸ナトリウムを添加する(乳化剤速度4000rpm;共軸150rpm;かき取り75rpm)。
【0132】
5)10分後、加熱を停止し、10℃の設定点温度(emperature)に冷却する。同時に、混合物へ電荷を導入する。(乳化剤速度2000rpm;共軸150rpm;かき取り75rpm)。
【0133】
6)40℃で、防腐剤及び抗酸化剤を添加し、30℃で防腐剤の残りを添加する。
【0134】
7)必要なら、使用する親水性UVフィルターに応じてpHを調節する。
【0135】
ISO24442方法に従って組成物のSPF指数を求めた。
【0136】
【表3】
【0137】
本発明による組成物C8は、同程度の大きさの日焼け止め指数を有するがヘクトライトを含んでいない比較組成物C9*より、特に粘着性の観点で良好な美容性(cosmeticity)を有する。これらの結果は、本発明の組成物中の2:1層状構造を有するフィロシリケートの中から選ばれたクレイの存在が、日焼け止めの観点でそれらの性能を変えずに、それらの美容性を改善することを可能にすることを示す。
【0138】
(実施例4)
本発明による他の組成物
本発明による他の組成物C10、C11及びC12を、実施例1に記載のプロトコルに従って下表に列挙した成分を用いて調製した。
【0139】
【表4】
【0140】
実施例2のプロトコルに従って本発明による、組成物C1、C2及びC3の非粘着性を評価した。結果を下表に集める。
【0141】
【表5】
【0142】
未変性クレイ及び結晶性脂肪の組合せを含む本発明による組成物(組成物C10~C12)は、非粘着性組成物を得ることを可能にする。
【国際調査報告】