(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20231228BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20231228BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231228BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20231228BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20231228BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A61K8/67
A61Q19/02
A61K8/34
A61K8/39
A61K8/86
A61K8/44
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538126
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2020138268
(87)【国際公開番号】W WO2022133715
(87)【国際公開日】2022-06-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ユエ・ワン
(72)【発明者】
【氏名】シャオミン・ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ソン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC711
4C083AC712
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD392
4C083AD631
4C083AD632
4C083EE16
(57)【要約】
ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための組成物であって、親水性相に、(i)logPが-0.5~4である少なくとも1種のグリコール、(ii)25℃の温度において8~20のHLB値を有する少なくとも1種の界面活性剤、並びに(iii)ビタミンB3及びその誘導体から選択される少なくとも1種の明色化及び/又は白色化成分を含み、油を含まない、組成物が本明細書で提供される。前記組成物をケラチン物質に適用する工程を含む、ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための非治療的方法、並びにビタミンB3及びその誘導体から選択される明色化及び/又は白色化成分のケラチン物質への浸透を改善するための、logPが-0.5~4である少なくとも1種のグリコールと10~20のHLBを有する少なくとも1種の界面活性剤との組み合わせの使用も本明細書で提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための組成物であって、親水性相に、
(i)logPが-0.5~4である少なくとも1種のグリコール、
(ii)25℃の温度において8~20のHLB値を有する少なくとも1種の界面活性剤、並びに
(iii)ビタミンB3及びその誘導体から選択される少なくとも1種の明色化及び/又は白色化成分
を含み、
前記組成物が、油を含まない、組成物。
【請求項2】
前記グリコールが、C4~C10グリコール、好ましくはC4~C8グリコールから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記グリコールが、ブチレングリコール、ペンチレングリコール及びジプロピレングリコールの組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記グリコールが、前記組成物の総質量に対して、2質量%~40質量%、好ましくは5質量%~30質量%、より好ましくは8質量%~20質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記界面活性剤が、脂肪酸とグリセロール又はポリグリセロールとのエステル、アミノ酸の塩;ベタイン及びこれらの混合物から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記界面活性剤が、C6~C30飽和又は不飽和脂肪酸とグリセロール又はポリグリセロールとのエステル、リジネート、ベタイン及びこれらの混合物から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤が、前記組成物の総質量に対して、0.001質量%~3質量%、好ましくは0.003質量%~2質量%、より好ましくは0.005質量%~1質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ビタミンB3及びその誘導体から選択される前記明色化及び/又は白色化成分が、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~8質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
親水性相に、前記組成物の総質量に対して、
(i)8質量%~20質量%の、ブチレングリコール、ペンチレングリコール及びジプロピレングリコールの組み合わせ、
(ii)0.005質量%~1質量%の、ジラウラミドグルタミドリジンナトリウム、カプリン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ラウリルベタイン及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の界面活性剤、並びに
(iii)1質量%~8質量%のビタミンB3
を含み、
前記組成物が、油を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記親水性相が、水を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための非治療的方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物を前記ケラチン物質に適用する工程を含む、非治療的方法。
【請求項12】
ビタミンB3及びその誘導体から選択される明色化及び/又は白色化成分のケラチン物質への浸透を改善するための、logPが-0.5~4である少なくとも1種のグリコールと25℃の温度において8~20のHLB値を有する少なくとも1種の界面活性剤との組み合わせの使用。
【請求項13】
前記少なくとも1種のグリコールが、C4~C10グリコールから選択され、前記少なくとも1種の界面活性剤が、C
6~C
30飽和又は不飽和脂肪酸とグリセロール又はポリグリセロールとのエステル、リジネート、ベタイン及びこれらの混合物から選択される、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記少なくとも1種のグリコールが、ブチレングリコールとペンチレングリコールとジプロピレングリコールとの組み合わせであり、前記少なくとも1種の界面活性剤が、ジラウラミドグルタミドリジンナトリウム、カプリン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ラウリルベタイン及びこれらの混合物から選択される、請求項12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、組成物及びその使用に関する。特に、本発明は、ケラチン物質、特に皮膚を明色化及び/又は白色化するための組成物に関する。本発明はまた、ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための非治療的方法、並びにビタミンB3及びその誘導体から選択される明色化及び/又は白色化成分のケラチン物質への浸透を改善するための、logPが-0.5~4である少なくとも1種のグリコールと25℃の温度において8~20のHLB値を有する少なくとも1種の界面活性剤との組み合わせの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
ヒトの皮膚の色は様々な要因、特に、1年のうちの季節、人種及び性別に依存するが、主として、メラノサイトによって産生されるメラニンの性質及び濃度によって決定される。メラノサイトは、特定の小器官、メラニン胞によってメラニンを合成する、特殊な細胞である。加えて、人生の様々な時点において、ある特定の個人が、皮膚に、より特定的には手に、色の濃い及び/又は有色の箇所が出現して、皮膚が不均質となることを経験する。
【0003】
特に使い心地をより良くすることに関連する様々な理由(柔らかさ及び皮膚軟化性等)のため、ケラチン物質、特に皮膚をケア及び/又はメイクアップするための現在の組成物は、通常、水性分散性連続相と油性被分散不連続相とからなる水中油(O/W)型のエマルション、又は油性分散性連続相と水性被分散不連続相とからなる油中水(W/O)型のエマルションの形態である。
【0004】
O/W型エマルションは、外側相として水性相を含み、皮膚に適用された場合には、W/O型エマルションよりも瑞々しく、脂ぎっておらず、軽い感じを与えるため、化粧品分野において最も探求されているエマルションである。
【0005】
しかしながら、その固有の特性に起因して、従来の水中油型エマルションは、特に皮膚の明色化及び/又は白色化という観点では、まったく満足なものではなかった。
【0006】
明色化及び/又は白色化成分、例えばナイアシンアミド又はその誘導体を、化粧料に導入するための取り組みがなされてきた。しかしながら、皮膚を明色化及び/又は白色化するための多くの製品について、含有される明色化及び/又は白色化成分が皮膚に浸透することは困難である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Meylan及びHoward:Atom/Fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients、J. Pharm. Sci.、84: 83~92頁、1995年
【非特許文献2】Exploring QSAR:hydrophobic, electronic and steric constants(ACS professional reference book、1995年)
【非特許文献3】J. Ploughshare. Cosm. Chem.、1954年(第5巻)、249~256頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
明色化及び/又は白色化成分を含有する組成物について、活性成分の角質層への浸透は、最も重要な特性の1つである。
【0009】
したがって、含有される明色化及び/又は白色化成分、例えば、ナイアシンアミド又はその誘導体の角質層への浸透という観点で、改善された効果を有する、皮膚を明色化及び/又は白色化するための組成物を配合することが、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の概要
本発明者らは、ここで、含有される美容活性成分、例えば、ナイアシンアミド又はその誘導体の角質層への浸透という観点で、改善された効果を有する、このような組成物を配合できることを発見した。
【0011】
したがって、第1の態様では、本発明は、ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための組成物であって、親水性相に、
(i)logPが-0.5~4である少なくとも1種のグリコール、
(ii)25℃の温度において8~20のHLB値を有する少なくとも1種の界面活性剤、並びに
(iii)ビタミンB3及びその誘導体から選択される少なくとも1種の明色化及び/又は白色化成分
を含み、
油を含まない、組成物を提供する。
【0012】
本発明の組成物は、液体、例えばトナー又は美容液の形態とすることができる。
【0013】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による組成物を、ケラチン物質に適用する工程を含む、ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための非治療的方法を提供する。
【0014】
本発明による組成物に含有されるビタミンB3及び/又はその誘導体は、角質層に容易に浸透できることが見出された。
【0015】
第3の態様では、本発明は、ビタミンB3及びその誘導体から選択される明色化及び/又は白色化成分のケラチン物質への浸透を改善するための、logPが-0.5~4である少なくとも1種のグリコールと25℃の温度において8~20のHLB値を有する少なくとも1種の界面活性剤との組み合わせの使用を提供する。
【0016】
本発明の他の主題及び特徴、態様及び利点は、以下の発明を実施するための形態及び実施例から、よりいっそう明解となるであろう。
【0017】
図面の簡単な説明
本発明の実施を、添付の図面を参照してここに記載するが、例として記載するに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の配合の組成物1~2及び比較例の配合の組成物1についての、ナイアシンアミドの浸透プロファイルを示すグラフである。
【
図2】本発明の配合の組成物3~4及び比較例の配合の組成物1についての、ナイアシンアミドの浸透プロファイルを示すグラフである。
【
図3】本発明の配合の組成物5~6及び比較例の配合の組成物1についての、ナイアシンアミドの浸透プロファイルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の詳細な説明
別段の定義がない限り、ここで使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野における当業者が通例理解するものと同じ意味を有する。本記載における用語の定義が、本発明が属する分野における当業者が通例理解する意味と競合する場合、ここに記載される定義が適用されるものとする。
【0020】
以下において、別段の指示がない限り、値の範囲の限界値は、特に「…から…の間」及び「…~…の範囲内」という表現において、その範囲内に含まれる。
【0021】
更に、本記載において使用される「少なくとも1つ」という表現は、「1つ又は複数」という表現と同等である。
【0022】
本出願全体にわたって、「含む(comprising)」という用語は、すべての特定的に言及される特徴部に加えて、任意選択の、追加の、不特定の特徴部を包含するものと解釈されたい。ここで使用される場合、「含む(comprising)」という用語の使用はまた、特定的に言及される特徴部以外の特徴部が存在しない(すなわち「~からなる」)実施形態を開示している。
【0023】
別段の指定がない限り、本記載及び特許請求の範囲において使用される、成分等の量を表現するすべての数値は、「約」という用語によって修飾されているものと理解されたい。したがって、反対の指示がない限り、ここに記載される数値及びパラメータは、要求される所望の目的に応じて変更できる、およその値である。
【0024】
本発明におけるすべての百分率は、別段の指定がない限り、質量百分率を指す。
【0025】
本発明の目的上、「ケラチン物質」という用語は、ヒトの皮膚、粘膜、例えば唇を含むことが意図される。顔面の皮膚が、本発明によって特に考慮される。
【0026】
「油を含まない」とは、意図的には油を加えないこと、且つ組成物の総質量に対して、組成物の油含有量が0.5質量%未満であることを意味する。特に、組成物中に油が存在しない。
【0027】
第1の態様によれば、本発明は、ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための組成物であって、親水性相に、
(i)logPが-0.5~4である少なくとも1種のグリコール、
(ii)25℃の温度において8~20のHLB値を有する少なくとも1種の界面活性剤、並びに
(iii)ビタミンB3及びその誘導体から選択される少なくとも1種の明色化及び/又は白色化成分
を含み、
油を含まない、組成物を提供する。
【0028】
親水性相
第1の態様によれば、本発明の組成物は親水性相を含む。
【0029】
親水性相は水を含む。
【0030】
好ましくは、親水性相は、水と混和性である(室温25℃において)少なくとも1種の有機溶媒、例えば、2~6個の炭素原子を有する一価アルコール等、例えば、エタノール、イソプロパノール、トリオール、例えばグリセリンを含む。
【0031】
有利には、水は、組成物の総質量に対して60質量%~90質量%の範囲内の量で、本発明の組成物中に存在する。
【0032】
グリコール
第1の態様によれば、本発明の組成物は、logPが-0.5~4である少なくとも1種のグリコールを含む。
【0033】
logP値とは、オクタン-1-オール/水の、見かけの分配係数の底を10とする対数の値である。logP値は公知であり、オクタン-1-オール及び水の中の、グリコールの濃度を決定する標準試験によって決定される。logPは、Meylan及びHoward:Atom/Fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients、J. Pharm. Sci.、84:83~92頁、1995年による記事に記載されている方法によって計算することができる。この値は、多数の市販のソフトウェアパッケージを使用して計算してもよく、これらでは、logPを分子の構造の関数として決定する。例として、米国環境保護庁製のEpiwinソフトウェアを挙げることができる。
【0034】
この値は、とりわけ、ACD(Advanced Chemistry Development)SolarisソフトウェアV4.67を使用して計算することができ、この値はまた、Exploring QSAR:hydrophobic, electronic and steric constants(ACS professional reference book、1995年)から得ることもできる。概算値を提供しているインターネットサイトもある(アドレス:http://esc.syrres.com/interkow/kowdemo.htm)。
【0035】
好ましくは、グリコールは、C4~C10グリコールから選択される。
【0036】
より好ましくは、グリコールは、C4~C8グリコールから選択される。
【0037】
したがって、いくつかの好ましい実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1種のC4~C10グリコール、好ましくはC4~C8グリコールを含む。
【0038】
本発明の組成物に使用できるC4~C10グリコールの例として、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール及びデシレングリコールを挙げることができる。
【0039】
本発明において、グリコールの定義は、すべての可能な異性体を含む。例えば、ペンチレングリコールは、1,5-ペンチレングリコール、2,4-ペンチレングリコール等を含む。
【0040】
より好ましい実施形態では、組成物は、ブチレングリコール、ペンチレングリコール及びジプロピレングリコールの組み合わせを含む。
【0041】
有利には、グリコールは、組成物の総質量に対して、2質量%~40質量%、好ましくは5質量%~30質量%、より好ましくは8質量%~20質量%の範囲内の量で存在する。
【0042】
界面活性剤
第1の態様によれば、本発明の組成物は、25℃の温度において8~20のHLB値を有する少なくとも1種の界面活性剤を含む。
【0043】
HLB(親水性-親油性バランス)値は、J. Ploughshare. Cosm. Chem.、1954年(第5巻)、249~256頁におけるGriffinの方法によって定義される。
【0044】
有利には、界面活性剤は、25℃の温度において、10~15、好ましくは12~15のHLB値を有する。
【0045】
好ましくは、界面活性剤は、非イオン界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性若しくは双性イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物から選択される。
【0046】
本組成物に好適な非イオン界面活性剤は、以下のものから選択されうる:
- ポリオキシエチレン化ソルビトール脂肪エステル、例えばICI社により名称TWEEN 20で販売されている製品、
- ポリオキシエチレン化脂肪族アルコール、例えばGerland社により名称REMCOPAL 21912 ALで販売されている製品、
- ポリオキシエチレン化アルキルフェノール、例えばRohm-Haas社により名称TRITON X 100で販売されている製品、並びに
- エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの縮合体、例えばICI社により名称SYNPERONIC PEで販売されているもの、特にL 31、L 64、F 38、F 88、L 92、P 103、F 108及びF 127で参照されるもの、
- 脂肪酸とグリセロール又はポリグリセロールとのエステル、好ましくはC6~C30、より好ましくはC8~C16の飽和若しくは不飽和脂肪酸とグリセロール又はポリグリセロールとのエステル。例えば、ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、カプリル酸グリセリル、カプリン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ポリグリセリル-10又はこれらの混合物を挙げることができる。このような製品は、市場で入手することができ、例えば、Seppic社により販売されている商標名Simulsol(商標)165で販売されているステアリン酸グリセリルとステアリン酸PEG-100との混合物、又はEvonik Goldshmidtc社により商標名Tegosoft(登録商標)PC 41で販売されている製品であるカプリン酸ポリグリセリル-4である。
- ポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールとグリセロールとのエーテル、例えばグリセレス-26及びPPG-24グリセレス-24、
- a)脂肪酸と、b)ポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールグリセロールエーテルとの反応から誘導されるエステル、例えばPCAイソステアリン酸グリセレス-7又はPCAイソステアリン酸グリセレス-25等、
- スクロースと12~30個の炭素原子、特に14~20個の炭素原子を含む脂肪酸とのエステル(前記エステルは、場合により2~5つの脂肪鎖を含む)、例えばジステアリン酸スクロース、トリステアリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロース等、
- アルキルポリグルコシド、好ましくは、6~30個の炭素原子、好ましくは8~16個の炭素原子を含むアルキル基を含有するもの、及び好ましくは1.2~3個の糖単位を含む親水性基(グルコシド)を含有するもの。例えば、デシルグルコシド(アルキル-C9/C11-ポリグルコシド(1.4))、例えばCogins(BASF)社により名称Plantacare(登録商標)2000 UPで販売されている製品、Kao Chemicals社により名称MYDOL 10(登録商標)で販売されている製品、Cognis社により名称PLANTAREN(登録商標)2000 UPで販売されている製品、及びSeppic社により名称ORAMIX(登録商標)NS 10で販売されている製品;カプリリル/カプリルグルコシド、例えば、Seppic社により名称ORAMIX(登録商標)CG 110で販売されている製品;ラウリルグルコシド、例えばCognis社により名称PLANTAREN(登録商標)1200 N及びPLANTACARE(登録商標)1200で販売されている製品;並びにココグルコシド、例えばCognis社により名称PLANTACARE(登録商標)818/UPで販売されている製品、任意選択でセトステアリルアルコールとの混合物としての、セトステアリルグルコシド、例えばSeppic社により名称MONTANOV 68で、Goldschmidt社により名称TEGO(登録商標)CARE CG90で、及びHenkel社により名称EMULGADE KE3302で販売されているもの;アラキジルグルコシド、例えばアラキジルアルコール及びベヘニルアルコールとアラキジルグルコシドとの混合物の形態で、Seppic社により名称MONTANOV 202で販売されているもの;ココイルエチルグルコシド、例えば、セチルアルコール及びステアリルアルコールとの(35/65)混合物の形態で、Seppic社によりMONTANOV 82の名称で販売されているもの、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0047】
アニオン性界面活性剤の中でも、以下のものを挙げることができる:
- 硫酸アルキル、アルキルエーテル硫酸エステル及びこれらの塩、特にナトリウム塩、例えばHenkel社により名称TEXAPON ASVで販売されているラウレス硫酸ナトリウム/ラウレス硫酸マグネシウム/ラウレス-8硫酸ナトリウム/ラウレス-8硫酸マグネシウム混合物;Henkel社により名称SIPON AOS 225又は名称TEXAPON(登録商標)N702 PASTEで販売されているラウリルエーテル硫酸ナトリウム(C12~14 70/30)(2.2EO);Henkel社により名称SIPON LEA 370で販売されているラウリルエーテル硫酸アンモニウム(C12~14 70/30)(3EO);Rhodia Chimie社により名称RHODAPEX(登録商標)AB/20で販売されているアルキル(C12~C14)エーテル(9EO)硫酸アンモニウム、
- スルホ酢酸アルキル、例えばStepan社により名称LATHANOL(登録商標)LALで販売されているもの、
- スルホコハク酸アルキル、例えば、Witco社により名称SETACIN 103 SPECIAL若しくはREWOPOL SB-FA 30 K 4で販売されているオキシエチレン化(3 EO)ラウリルアルコール(C12/C14 70/30)モノスルホスクシネート、Zschimmer Schwarz社により名称SETACIN F SPECIAL PASTEで販売されているC12~C14アルコールのヘミスルホコハク酸エステルの二ナトリウム塩、Henkel社により名称STANDAPOL SH 135で販売されているオキシエチレン化(2 EO)オレアミドスルホスクシネート二ナトリウム、Sanyo社により名称LEBON A-5000で販売されているオキシエチレン化(5 EO)ラウラミドモノスルホスクシネート、Witco社により名称REWOPOL(登録商標)SB CS 50で販売されている、オキシエチレン化(10 EO)ラウリルシトレートモノスルホスクシネートの二ナトリウム塩、又はWitco社により名称REWODERM(登録商標)S 1333で販売されているリシノール酸モノエタノールアミドモノスルホスクシネートの二ナトリウム塩、
- 例えば脂肪鎖と、穀類のアミノ酸、特にコムギ及びカラスムギのアミノ酸との縮合により得られるポリペプチド、例えば、Croda社により名称AMINOFOAM(商標)W ORで販売されているラウロイル加水分解コムギタンパク質のカリウム塩、Maybrook社により名称MAY-TEIN SYで販売されているココイル加水分解ダイズタンパク質のトリエタノールアミン塩、Seppic社により名称PROTEOL(商標)OATで販売されているラウロイルカラスムギアミノ酸のナトリウム塩、Deutsche Gelatine社により名称GELIDERM 3000で販売されているヤシ脂肪酸へグラフトされたコラーゲンの加水分解物、又はSeppic社により名称PROTEOL VS 22で販売されている水添ヤシ脂肪酸でアシル化されたダイズタンパク質等、
- アミノ酸誘導体、例えばアミノ酸の塩、例えばとりわけサルコシン塩、特にアシルサルコシン塩、例えばCiba社により名称SARKOSYL NL 97で販売されている、若しくはSeppic社により名称ORAMIX(商標)L 30で販売されているラウロイルサルコシンナトリウム、Nikkol社により名称NIKKOL SARCOSINATE MNで販売されているミリストイルサルコシンナトリウム、若しくはNikkol社により名称NIKKOL SARCOSINATE PNで販売されているパルミトイルサルコシンナトリウム;アラニネート、例えばNikkol社により名称SODIUM NIKKOL ALANINATE LN 30で販売されている、若しくはKawaken社により名称ALANONE ALEで販売されているN-ラウロイル-N-メチルアミドプロピオン酸ナトリウム、及びKawaken社により名称ALANONE ALTAで販売されているN-ラウロイル-N-メチルアラニントリエタノールアミン;N-アシルグルタメート、例えばAjinomoto社により名称ACYLGLUTAMATE CT-12で販売されているモノココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、及びAjinomoto社により名称ACYLGLUTAMATE LT-12で販売されているラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン;アスパルテート、例えばMitsubishi社により名称ASPARACK LM-TS2で販売されているN-ラウロイルアスパラギン酸トリエタノールアミン及びN-ミリストイルアスパラギン酸トリエタノールアミンの混合物;又はグリシン誘導体、例えばN-ココイルグリシンナトリウム及びN-ココイルグリシンカリウム、例えばAjinomoto社により名称AMILITE GCS-12及びAMILITE GCK-12で販売されている製品;リジネート、例えばジラウラミドグルタミドリジンナトリウム、例えばASAHI KASEI社により名称PELLICER L-30で販売されている製品、
- スルホネート、例えばα-オレフィンスルホネート、例えばStepan社により名称BIO-TERGE(登録商標)AS-40で販売されている、Witco社により名称WITCONATE AOS PROTEGE及びSULFRAMINE AOS PH 12で販売されている、若しくはStepan社により名称BIO-TERGE(登録商標)AS-40 CGで販売されているα-オレフィン(C14~16)スルホン酸ナトリウム、若しくはClariant社により名称HOSTAPUR(登録商標)SAS 30で販売されている第2級オレフィンスルホン酸ナトリウム;又は直鎖状アルキルアリールスルホネート、例えばManro社により名称MANROSOL SXS30、MANROSOL SXS40若しくはMANROSOL SXS93で販売されているキシレンスルホン酸ナトリウム、
- イセチオネート、特にアシルイセチオネート、例えばココイルイセチオン酸ナトリウム、例えばJordan社により名称JORDAPON CI Pで販売されている製品。
【0048】
両性又は双性イオン性界面活性剤の中でも、特に以下のものを挙げることができる:
- アルキルアミドアルキルアミン誘導体、例えばRhodia Chimie社により名称MIRANOL C2M CONC NPで塩の水性溶液として販売されている、N-二ナトリウムN-ココイル-N-カルボキシメトキシエチル-N-(カルボキシメチル)エチレンジアミン(CTFA名:ココアンホジ酢酸二ナトリウム);N-ナトリウムN-ココイル-N-ヒドロキシエチル-N-(カルボキシメチル)エチレンジアミン(CTFA名:ココアンホジ酢酸ナトリウム)、及びヤシ脂肪酸エタノールアミド(CTFA名:コカミドDEA)の混合物、
- ベタイン、例えばココベタイン、例えばHenkel社により名称DEHYTON(登録商標)AB-30で販売されている製品、ラウリルベタイン、例えばClariant社により名称GENAGEN(登録商標)KBで販売されている製品、及びINNOSPEC ACTIVE CHEMICALS社により名称EMPIGEN BB / LSで販売されている製品、オキシエチレン化(10 EO)ラウリルベタイン、例えばShin Nihon Rica社により名称ラウリルエーテル(10 EO)ベタインで販売されている製品、又はオキシエチレン化(10 EO)ステアリルベタイン、例えばShin Nihon Rica社により名称ステアリルエーテル(10 EO)ベタインで販売されている製品等、
- アルキルアミドプロピルベタイン及びその誘導体、例えば、Sanyo社により名称LEBON 2000 HGで販売されている、又はAlbright & Wilson社により名称EMPIGEN(登録商標)BBで販売されているコカミドプロピルベタイン、Witco社により名称REWOTERIC AMB12P(登録商標)で販売されているラウラミドプロピルベタイン、例えばコカミドプロピルベタイン、例えばGoldschmidt社により名称TEGO BETAINEで販売されている製品等、
- イミダゾリン誘導体、例えばChimex社により名称CHIMEXANE HDで販売されている製品、並びに
- これらの混合物。
【0049】
好ましくは、界面活性剤は、脂肪酸とグリセロール又はポリグリセロールとのエステル、アミノ酸の塩;ベタイン及びこれらの混合物から選択される。
【0050】
より好ましくは、界面活性剤は、C6~C30、好ましくはC8~C16の飽和又は不飽和脂肪酸とグリセロール又はポリグリセロールとのエステル、リジネート、ベタイン及びこれらの混合物から選択される。
【0051】
好ましい実施形態によれば、界面活性剤は、ジラウラミドグルタミドリジンナトリウム、カプリン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ラウリルベタイン及びこれらの混合物から選択される。
【0052】
有利には、界面活性剤は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~3質量%、好ましくは0.003質量%~2質量%、より好ましくは0.005質量%~1質量%の範囲内の量で存在する。
【0053】
ビタミンB3及びその誘導体
第1の態様によれば、本発明の組成物は、ビタミンB3及びその誘導体から選択される少なくとも1種の明色化及び/又は白色化成分を含む。
【0054】
ナイアシンアミドは、ビタミンB3及びビタミンPPとも呼ばれ、次の構造を有する。
【化1】
【0055】
挙げることができるビタミンB3誘導体には、例えばニコチン酸エスエル、例えばニコチン酸トコフェロール、-CONH2の水素基の置換によりナイアシンアミドから誘導されるアミド、カルボン酸及びアミノ酸との反応からの生成物、ニコチニルアルコールとカルボン酸、例えば酢酸、サリチル酸、グリコリド酸又はパルミチン酸とのエステルが含まれる。
【0056】
次の誘導体も挙げることができる:2-クロロニコチンアミド、6-メチルニコチンアミド、6-アミノニコチンアミド、N-メチルニコチンアミド、N,N-ジメチルニコチンアミド、N-(ヒドロキシメチル)ニコチンアミド、キノリン酸イミド、ニコチンアニリド、N-ベンジルニコチンアミド、N-エチルニコチンアミド、ニフェナゾン、ニコチンアルデヒド、イソニコチン酸、メチルイソニコチン酸、チオニコチンアミド、ニアラミド、2-メルカプトニコチン酸、ニコモール及びニアプラジン、ニコチン酸メチル、並びにニコチン酸ナトリウム。
【0057】
やはり挙げることができる他のビタミンB3誘導体には、その無機塩、例えば塩化物、臭化物、ヨウ化物、又は炭酸塩、及びその有機塩、例えばカルボン酸との反応によって得られる塩、例えば酢酸塩、サリチル酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、マンデル酸塩、酒石酸塩等が含まれる。
【0058】
有利には、ビタミンB3及びその誘導体から選択される明色化及び/又は白色化成分は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~8質量%の範囲内の量で存在する。
【0059】
追加の美容活性成分
最終的な目的に応じて、本発明による組成物は、1種又は複数の追加の美容活性成分を含むことができる。
【0060】
本発明の組成物に使用されうる美容活性成分として、挙げることができる例には、酵素;フラボノイド;加湿剤、抗炎症剤;皮膚剥脱剤;アンチエイジング剤;抗酸化剤;脱色剤;α-ヒドロキシ酸;張り付与剤(tensioning agent);及びこれらの混合物が含まれる。
【0061】
当技術分野における当業者には、本発明による組成物の最終的な使用に基づいて、追加の美容活性成分の量を調整することは容易である。
【0062】
追加のアジュバント又は添加剤
本発明の組成物は、従来の化粧品用アジュバント又は添加剤、例えば、香料、キレート剤(例えばEDTA二ナトリウム)、保存剤(例えば、ヒドロキシアセトフェノン、クロルフェネシン及びフェノキシエタノール)並びに殺菌剤、増粘剤、充填剤、pH調整剤(例えば、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、並びにこれらの混合物を含んでもよい。
【0063】
当技術分野における当業者は、本発明による組成物の最終的な使用に悪影響を及ぼさないように、追加のアジュバント又は添加剤の量を選択することができる。
【0064】
特に好ましい実施形態によれば、本発明は、ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための組成物であって、親水性相に、組成物の総質量に対して、
(i)8質量%~20質量%の、ブチレングリコール、ペンチレングリコール及びジプロピレングリコールの組み合わせ、
(ii)0.005質量%~1質量%の、ジラウラミドグルタミドリジンナトリウム、カプリン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ラウリルベタイン及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の界面活性剤、並びに
(iii)1質量%~8質量%のビタミンB3
を含み、
油を含まない、組成物を提供する。
【0065】
ガレヌス形態
本発明の組成物は、好ましくは、液体の形態である。
【0066】
好ましくは、本発明による組成物は、低い粘度を有する。
【0067】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、200rpmで回転するスピンドルM1を備えたRheomat 180粘度計を使用して25℃で測定して、50UD(偏差単位(Deviation Unit))未満の粘度を有する。
【0068】
方法及び使用
第2の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様による組成物を、ケラチン物質に適用する工程を含む、ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための非治療的方法を提供する。
【0069】
特に、ケラチン物質は、皮膚、とりわけ顔面を意味することが意図される。
【0070】
第3の態様によれば、本発明は、ビタミンB3及びその誘導体から選択される明色化及び/又は白色化成分のケラチン物質への浸透を改善するための、logPが-0.5~4である少なくとも1種のグリコールと10~20のHLBを有する少なくとも1種の界面活性剤との組み合わせの使用を提供する。
【0071】
logPが-0.5~4であるグリコール、及び25℃の温度において8~20のHLB値を有する界面活性剤は、上に定義した通りである。
【0072】
好ましくは、少なくとも1種のグリコールは、C4~C10グリコールから選択され、少なくとも1種の界面活性剤は、C6~C30飽和又は不飽和脂肪酸とグリセロール又はポリグリセロールとのエステル、リジネート、ベタイン及びこれらの混合物から選択される。
【0073】
より好ましくは、少なくとも1種のグリコールは、ブチレングリコールと、ペンチレングリコールとジプロピレングリコールとの組み合わせであり、少なくとも1種の界面活性剤は、ジラウラミドグルタミドリジンナトリウム、カプリン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ラウリルベタイン及びこれらの混合物から選択される。
【0074】
以下の実施例は、本発明を例示する役割を果たすものであり、本質的に限定するものはない。
【実施例】
【0075】
使用した主な原材料、商標名及びその供給業者を、Table 1(表1)に列挙する。
【0076】
【0077】
(実施例1)
組成物の調製
比較例の配合による組成物(Comp.)1~2及び本発明の配合による組成物(Inv.)1~6を、Table 2(表2)~Table 3(表3)に与える含有量に従って調製した(別段の指示がない限り、含有量は、各組成物の総質量に対する活性物質の質量百分率として表される)。
【0078】
【0079】
比較例の配合の組成物1は、25℃の温度において8~20のHLB値を有する界面活性剤を含まない。
【0080】
【0081】
比較例の配合の組成物2は、25℃の温度において8~20のHLB値を有する界面活性剤の代わりに、7.3のHLB値を有する界面活性剤を含む。得られた組成物は安定ではなく、2相に分離し、一様な液体を形成することができない。
【0082】
調製方法
上に列挙した組成物は、本発明の配合の組成物1を例に取ると、次のように調製した:
1).撹拌によってナイアシンアミドを水中に溶解させ、主相を得る、
2).透明相が得られるまで、撹拌によってヒドロキシアセトフェノンをグリコール中に溶解させる、
3).透明混合物が得られるまで、撹拌しながら、ヒドロキシアセトフェノンとグリコールとを含む透明な相を主相に加える、
3).撹拌しながら、界面活性剤を透明混合物に注意深く加え、組成物を得る。
【0083】
(実施例2)
組成物の評価
実施例1において調製した各組成物中のナイアシンアミドの浸透を、Strat-M(Merk社から入手可能な、角質層の親油性成分を模倣した合成膜である)を使用したIn-vitro皮膚浸透試験(Strat-M試験)を通じて特性評価した。
【0084】
手順は次の通りである:
- レセプタ流体(RF、pH7.4のPBS溶液)を、超音波浴に15分間供して、気体を除去する、
- 各組成物について、3つのフランツセルを並列に、棚板に設置する、
- 各セルについて温度を均質化するため、セルを並列に、流体サーモスタットに接続する(Tbath=34℃であり、Tcells=32℃である)、
- セルに磁気バーを導入する(RF区画)、
- サンプリングポートの入り口からラインまで約1cm離して、サンプリングポート上にラインで印を付ける(レセプタ流体を充填するための参照である)、
- Molykote 111(Dow corning社製のバルブ潤滑剤及びシーラント)を5mLプラスチックシリンジに導入し、Molykote 111をセルのレセプタ部分のサンド処理(sanded)表面にシリンジによって広げ、フランツセル上にドナー区画を載せ、360°完全に回転させて、Molykote 111がフランツセルの辺縁に、十分均質に適用されていることを確認し、セルのドナー区画を取り外し、一切の異物混入を回避するため、セル(ドナー区画及びレシーバ区画)の内側の過剰なMolykoteを綿棒で除去する、
- Strat-M膜をセルの中央に、光沢のある側をドナー区画に向けて、膜の辺縁に触れずに載せる、
- ドナー区画を配置し、フランツセルをクリップで力をかけずに閉じる、
- サンプリングポートを通じてレセプタ流体を導入し、600rpmでスターラを作動させる、
- 拡散セルを上下反転させ、撹拌バーを使用して、膜下の気泡を排除する、
- 45mgの試験する組成物を採取し、360°の回転運動及び注意して軽く叩くことにより、試験する組成物を膜に一様に適用し、膜に適用した組成物の量を正確に決定する、
- 200μLのレセプタ流体を、250μLのHamiltonシリンジを使用してサンプリングし、1時間~24時間まで、1時間当たり最少で3回サンプリングする、
- 新しいレセプタ流体で、マークに達するまでサンプリングポートをゆっくりと満たす、
- レセプタ流体中の活性成分の量を測定して、活性成分の量と浸透時間との関係を決定する。
【0085】
図1は、本発明の配合の組成物1~2及び比較例の配合の組成物1についての、ナイアシンアミドの浸透プロファイルを示す。
【0086】
図2は、本発明の配合の組成物3~4及び比較例の配合の組成物1についての、ナイアシンアミドの浸透プロファイルを示す。
【0087】
図3は、本発明の配合の組成物5~6及び比較例の配合の組成物1についての、ナイアシンアミドの浸透プロファイルを示す。
【0088】
図1~3から、少なくとも1種のグリコールと25℃の温度において8~20のHLB値を有する少なくとも1種の界面活性剤との組み合わせによって、局所的な適用後のナイアシンアミドの皮膚への浸透を改善できることがわかる。
【0089】
実施例1において調製した各組成物の粘度は、200rpmで回転するスピンドルM1又はM3を備えたProRheo社製のRheomat 180粘度計を使用して、25℃において測定した。
【0090】
結果をTable 4(表4)にまとめる。
【0091】
【0092】
Table 4(表4)から、本発明による組成物が、低い粘度を有することがわかる。
【国際調査報告】