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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】Fc受容体CAR構築物及び細胞
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20231228BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20231228BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20231228BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20231228BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20231228BHJP
   C12N 15/19 20060101ALI20231228BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20231228BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20231228BHJP
   C07K 14/735 20060101ALI20231228BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20231228BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20231228BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20231228BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231228BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231228BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20231228BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K14/725
C07K19/00
C12N15/13
C12N15/12
C12N15/19
C12N15/867 Z
C12N5/0783
C07K14/735
C07K14/705
C07K16/28
C12N15/63 Z
C12N5/10
A61P35/00
A61P35/02
A61K35/17
A61P31/12
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023538151
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 US2021064408
(87)【国際公開番号】W WO2022140284
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】63/129,340
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520393015
【氏名又は名称】イミュニティーバイオ、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ImmunityBio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ローラン、エイチ.ボワッセル
(72)【発明者】
【氏名】バリー、ジェイ.シモン
(72)【発明者】
【氏名】ウェンチエ、フー
(72)【発明者】
【氏名】ハンス、ジー.クリンゲマン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA92Y
4B065AA93Y
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB65
4C087CA04
4C087NA05
4C087NA13
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZB33
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA42
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
治療用細胞内、特に、NK-92細胞又はその誘導体内で組み換え細胞から好ましくは発現される、抗体結合ドメインを有するキメラ抗原受容体が提供される。特に、このような修飾細胞は、細胞毒性、改善されたオンターゲットの細胞殺滅、減少したオフターゲットの細胞殺滅の複数のモードを有し、組み換えCARのかなりの発現、及び/又は増加したCAR媒介性細胞毒性を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み換えキメラ抗原受容体(CAR)であって、
配列番号12、配列番号16、配列番号19、配列番号22、配列番号25、配列番号28、及び配列番号31からなる群から選択される配列を有するポリペプチドの抗体結合部分を有する抗体結合ドメインを含み;
前記抗体結合ドメインが、任意選択のヒンジ部分、膜貫通部分、及びシグナル伝達ドメインを配列中に含むポリペプチドに結合される、組み換えキメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項2】
前記抗体結合ドメインが、配列番号17、配列番号20、配列番号23、配列番号26、配列番号29、及び配列番号32からなる群から選択されるペプチド配列を有する、請求項1に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項3】
前記任意選択のヒンジ部分が、配列番号3のペプチド配列を有する、請求項1又は2に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項4】
前記膜貫通部分が、配列番号5、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、又は配列番号84のペプチド配列を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項5】
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号1のペプチド配列を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項6】
少なくとも1つの第2のシグナル伝達ドメインをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項7】
前記第2のシグナル伝達ドメインが、前記シグナル伝達ドメインと異なる、請求項6に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項8】
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号7、配列番号8、及び配列番号9からなる群から選択されるペプチド配列を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項9】
前記抗体結合ドメインが、配列番号17、配列番号20、配列番号23、配列番号26、配列番号29、及び配列番号32からなる群から選択されるペプチド配列を有し、前記シグナル伝達ドメインが、配列番号1のペプチド配列を有する、請求項1に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項10】
前記任意選択のヒンジ部分が、配列番号3のペプチド配列を有する、請求項9に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項11】
前記膜貫通部分が、配列番号5、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、又は配列番号84のペプチド配列を有する、請求項9又は請求項10に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項12】
少なくとも1つのさらなるシグナル伝達ドメインをさらに含み、任意選択的に、前記さらなるシグナル伝達ドメインが、配列番号1のペプチド配列を有する、請求項9~11のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項13】
前記さらなるシグナル伝達ドメインが、配列番号1のペプチド配列を有する、請求項9~12のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項14】
前記キメラ抗原受容体が、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54xx、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、又は配列番号72のアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項15】
前記キメラ抗原受容体が、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、又は配列番号71のヌクレオチド配列を有する核酸によってコードされる、請求項1に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項16】
請求項1~13のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体をコードする組み換え核酸。
【請求項17】
前記核酸が、ヒトコドン使用のためにコドン最適化される、請求項16に記載の組み換え核酸。
【請求項18】
サイトカイン、CD16、ホーミング受容体、及び/又はTGF-βトラップをコードする配列部分をさらに含む、請求項16又は17に記載の組み換え核酸。
【請求項19】
前記核酸が、前記キメラ抗原受容体をコードし、前記サイトカイン、前記CD16、前記ホーミング受容体、及び/又は前記TGF-βトラップをコードする前記配列部分が、ポリシストロニック核酸として構成される、請求項18に記載の組み換え核酸。
【請求項20】
前記組み換え核酸が、レンチウイルスベクターの一部である、請求項16~19のいずれか一項に記載の組み換え核酸。
【請求項21】
前記組み換え核酸が、DNAベクターの一部である、請求項16~19のいずれか一項に記載の組み換え核酸。
【請求項22】
請求項16~21のいずれか一項に記載の組み換え核酸でトランスフェクトされた細胞。
【請求項23】
前記細胞が、NK細胞又はT細胞である、請求項22に記載の細胞。
【請求項24】
前記細胞が、NK-92細胞、遺伝子組み換えNK-92細胞、又は自己NK細胞である、請求項22に記載の細胞。
【請求項25】
請求項1~13又は請求項15のいずれか一項に記載の組み換えキメラ抗原受容体をコードする組み換え核酸でトランスフェクトされた組み換えNK細胞。
【請求項26】
前記NK細胞が、NK-92細胞、遺伝子組み換えNK-92細胞、又は自己NK細胞である、請求項25に記載の組み換えNK細胞。
【請求項27】
請求項14~19のいずれか一項に記載の組み換え核酸でトランスフェクトされた、請求項25に記載の組み換えNK細胞。
【請求項28】
癌を治療する必要がある患者の癌を治療する方法であって、治療有効量の、請求項22~27のいずれか一項に記載の細胞を前記患者に投与し、それによって前記癌を治療することを含む、方法。
【請求項29】
ウイルス癌ワクチン、細菌癌ワクチン、酵母癌ワクチン、N-803、抗体、幹細胞移植、及び腫瘍標的化サイトカインからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる治療実体を投与する工程をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記癌が、白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒性)白血病、慢性リンパ球性白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキン病、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、限定はされないが、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛腫、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫及び網膜芽細胞腫などの肉腫及び癌腫を含む固形腫瘍から選択される、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記患者の体表面積のm当たり約1×10~約1×1011個の細胞が、前記患者に投与される、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
癌又はウイルス感染の治療における、請求項22~27のいずれか一項に記載の細胞の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年12月22日に出願された出願番号63/129,340号を有する本発明者らの同時係属中の米国仮特許出願に対する優先権を主張するものであり、この仮特許出願は、全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
配列表
144KBのサイズであり、2021年12月16日に作成され、本出願と共にEFS-Webを介して電子的に提出された、104077.0021_REV005_ST25.txtという名称の配列表のASCIIテキストファイルの内容は、全体が参照により本明細書に援用される。
【0003】
本発明の分野は、キメラ抗原受容体(CAR)及びこのようなCARを発現する組み換え細胞であり、特に、それらは、CD16 Fc結合ドメイン、CD32 Fc結合ドメイン、又はCD64 Fc結合ドメインなどの抗体のFc部分に結合する抗原結合ドメインを有するCARに関する。
【背景技術】
【0004】
背景技術の説明は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。それは、本明細書に示される情報のいずれかが先行技術であるか若しくは本明細書において権利請求される発明に関連すること、又は具体的に若しくは黙示的に言及されるいずれかの刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0005】
本明細書における全ての刊行物及び特許出願は、各個々の刊行物又は本出願が、参照により援用されることが具体的に及び個々に示されているのと同程度に参照により援用される。援用される参考文献中の用語の定義又は使用が、本明細書に示されるその用語の定義と合致しない又は矛盾する場合、本明細書に示されるその用語の定義が適用され、参考文献中のその用語の定義は適用されない。
【0006】
多くの場合、治療用抗体が、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)をもたらすために使用され得、これは、遺伝子組み換えNK細胞を用いた様々な癌の免疫療法のための有望な手段となっている。ADCCは、治療用抗体に結合し、抗体結合標的細胞に対するグランザイム及びグラニュリシン放出を引き起こすCD16受容体によって媒介される。しかしながら、残念ながら、CD16受容体の発現は、多くの場合、急速に下方制御され、それによって天然NK細胞を用いたこれらの抗体の治療的有用性を制限する。さらに、天然NK細胞におけるCD16は、抗体のFc部分に対する比較的低い親和性を有し、したがって、さらに治療的使用を制限する。より最近では、CD16の高親和性形態を発現する組み換えNK細胞が開発され(haNK細胞としてNantKwestから市販されている)、したがって、組み換えCD16変異体が下方制御に曝されず、抗体のFc部分に対するより高い親和性を有するため、治療可能性を大幅に増加させている。
【0007】
別の手法において、CD16細胞内及び膜貫通部分並びにCD64細胞外部分を有し、それによってCD64部分により増加した親和性でADCC能を維持するキメラタンパク質が生成された(例えば、Frontiers in Immunology,December 2018,Vol.9,Article 2873を参照)。概念的に魅力的である一方、様々な欠点が残っている。中でも特に、インビボ抗腫瘍活性は、証明されておらず、著者は、CD64/16Aを発現するNK細胞が、連続殺滅にあまり効率的でないことがあると仮定した。さらなる試みにおいて、国際公開第2015/179833号パンフレットに記載されるように、CD64の多量体が膜貫通ドメイン及び細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに結合されて、それによってT細胞がキメラ受容体を備えたハイブリッド構築物が製造され、これは、抗体結合によって誘導されるT細胞の細胞傷害性細胞殺滅を活性化することができた。
【0008】
さらに別の手法において、米国特許出願公開第2018/0133252号明細書に記載されるように様々なシグナル伝達ドメインに結合されたCD16Vドメインを含むキメラ抗原受容体が製造された。同様に、米国特許第7618817号明細書は、CD16部分を用いて、NK-92細胞内でレトロウイルス構築物から発現されたCARにおいて結合特異性を提供した特定のCAR構築物を記載していた。このような手法が、抗体に結合することが可能な組み換え細胞傷害性細胞をもたらした一方、このような細胞株の生成は、このような構築物が第2世代又は第3世代CAR構築物である場合でさえ、天然の細胞毒性の喪失若しくは減少、天然NK細胞と比較して、減少したオンターゲットの細胞殺滅及び/又は増加したオフターゲットの細胞殺滅、組み換えCARの弱められた発現、及び/又はCAR構築物の少なくとも一部についての減少したCAR媒介性細胞毒性に関連することが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、抗体のFc部分に結合するCARの様々なシステム及び方法が、当該技術分野において公知であるが、それらの全て又はほとんど全てには、いくつかの欠点がある。したがって、細胞毒性、改善されたオンターゲットの細胞殺滅、減少したオフターゲットの細胞殺滅、組み換えCARのかなりの発現、及び/又は増加したCAR媒介性細胞毒性の複数のモードを有する改善されたCAR及びCAR発現細胞のための組成物及び方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主題は、組み換えCAR及びこのようなCARを発現する細胞の様々な組成物及び方法に関し、ここで、このような細胞は、細胞毒性、改善されたオンターゲットの細胞殺滅、減少したオフターゲットの細胞殺滅、組み換えCARのかなりの発現、及び/又は増加したCAR媒介性細胞毒性の複数のモードを示す。
【0011】
本発明の主題の一態様において、本発明者らは、配列番号12、配列番号16、配列番号19、配列番号22、配列番号25、配列番号28、及び配列番号31からなる群から選択される配列を有するポリペプチドの抗体結合部分を有する抗体結合ドメインを含む組み換えキメラ抗原受容体(CAR)を想定している。このようなCARにおいて、抗体結合ドメインは、任意選択のヒンジ部分、膜貫通部分、及びシグナル伝達ドメインを配列中に含むポリペプチドにさらに結合される。
【0012】
選択された実施形態において、抗体結合ドメインは、配列番号17、配列番号20、配列番号23、配列番号26、配列番号29、及び配列番号32からなる群から選択されるペプチド配列を有する。典型的に、ヒンジ部分は、配列番号3のペプチド配列を有し、膜貫通部分は、配列番号5、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、又は配列番号84のペプチド配列を有し、及び/又はシグナル伝達ドメインは、配列番号1のペプチド配列を有する。さらなる想定される実施形態において、CARは、最初のシグナル伝達ドメインと異なり得る少なくとも1つの第2のシグナル伝達ドメインを含み得る。例えば、ある実施形態において、シグナル伝達ドメインは、配列番号7、配列番号8、及び配列番号9からなる群から選択されるペプチド配列を有する。
【0013】
さらなる例示的な実施形態において、このようなCAR中の抗体結合ドメインは、配列番号17、配列番号20、配列番号23、配列番号26、配列番号29、及び配列番号32からなる群から選択されるペプチド配列を有し、シグナル伝達ドメインは、配列番号1のペプチド配列を有する。好ましくは、ヒンジ部分は、配列番号3のペプチド配列を有し、及び/又は膜貫通部分は、配列番号5、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、又は配列番号84のペプチド配列を有する。必要に応じて、CARは、少なくとも1つのさらなるシグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号1の配列を有する又は他のシグナル伝達ドメイン)をさらに含み得る。
【0014】
さらなる想定される態様において、本発明者らは、本明細書に示されるキメラ抗原受容体をコードする組み換え核酸を想定している。好ましくは、必ずしもではないが、核酸は、ヒトコドン使用のためにコドン最適化される。さらに、核酸が、サイトカイン、CD16、ホーミング受容体、及び/又はTGF-βトラップをコードする配列部分(これらは全て、ポリシストロニック配置で配置され得る)も含み得ることが考えられる。例えば、組み換え核酸は、レンチウイルスベクターの一部、又はDNAベクターの一部であり得る。
【0015】
さらに他の想定される態様において、本発明者らは、本明細書に示される組み換え核酸でトランスフェクトされた(典型的に、哺乳動物)細胞を想定している。例えば、細胞は、NK細胞(例えば、NK-92細胞、遺伝子組み換えNK-92細胞、又は自己NK細胞)又はT細胞である。異なる観点から見ると、本発明者らは、本明細書に記載される組み換えキメラ抗原受容体をコードする組み換え核酸でトランスフェクトされた組み換えNK細胞(例えば、NK-92細胞、遺伝子組み換えNK-92細胞、又は自己NK細胞)も想定している。
【0016】
その結果として、本発明者らは、必要としている患者における癌を治療する方法であって、治療有効量の、本明細書に示される細胞が、患者に投与され、それによって癌を治療する方法も想定している。最も典型的に、患者の体表面積のm当たり約1×10~約1×1011個の細胞が、患者に投与される。さらに、ウイルス癌ワクチン、細菌癌ワクチン、酵母癌ワクチン、N-803、抗体、幹細胞移植、及び/又は腫瘍標的化サイトカインなどの少なくとも1つのさらなる治療実体が、患者に投与され得る。例えば、治療されることが想定される癌としては、白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒性)白血病、慢性リンパ球性白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキン病、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、限定はされないが、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛腫、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫及び網膜芽細胞腫などの肉腫及び癌腫を含む固形腫瘍が挙げられる。
【0017】
したがって、本明細書に示される細胞の使用が、癌の治療において想定される。
【0018】
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様及び利点が、類似の数字が類似の構成要素を表す添付の図面と共に、好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本明細書に示される様々なキメラ抗原受容体の概略図である。
図2】aNK細胞、haNK細胞、及びCD16-CAR 28.E細胞についての例示的なCD16 FACSスキャン結果を示す。
図3】haNK細胞と比較した、NK感受性K562細胞に対するCD16-CAR 28.E細胞の細胞毒性についての例示的な結果を示す。
図4】オンターゲット及びオフターゲット抗体の存在及び非存在下におけるSUP-B15CD20+細胞に対するCD16-CAR 28.E細胞のADCC活性についての例示的な結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明者らは、組み換えCAR及びこのようなCARを発現する細胞の様々な組成物及び方法を発見し、ここで、このような細胞が、細胞毒性、改善されたオンターゲットの細胞殺滅、減少したオフターゲットの細胞殺滅、組み換えCARのかなりの発現、及び/又は増加したCAR媒介性細胞毒性の複数のモードを示す。
【0021】
第1世代型構築物におけるシグナル伝達ドメインとしてFcεRIγを用いる様々なCAR構築物が、改善された発現を有し、このようなCAR構築物を発現するNK-92細胞内で増加した標的特異的殺滅を可能にしたという本発明者らによる以前の発見に基づいて、本発明者らは、様々な細胞、特に、NK-92細胞及び遺伝子組み換えNK-92細胞を修飾して、このような細胞に、抗体(特に、IgG抗体)のFc部分に結合する高親和性CAR構築物及びこのようなCARを発現する細胞のそのように強化された細胞傷害効果を備えさせることに着手した。実際に、これらのCARが、NK細胞において発現された場合、これらの細胞のADCCが、非修飾NK細胞よりかなり増加された。
【0022】
予想外にも、以下により詳細に記載されるように、そのように生成された組み換えNK細胞は、非修飾NK細胞、NK-92細胞と比較して、ある場合には、CD16を発現し、FcεRIγシグナル伝達ポリペプチド又はCD3ζ鎖を共発現するNK細胞とさらに比較して、細胞毒性、改善されたオンターゲットの細胞殺滅、減少したオフターゲットの細胞殺滅、組み換えCARのかなりの発現、及び/又は増加したCAR媒介性細胞毒性の複数のモードを有していた(例えば、米国特許第9181322号明細書において教示されるように)。
【0023】
好ましい実施形態において、本発明者らは、単一のポリペプチド鎖中に、抗体結合部分、続いて、順に、細胞外の任意選択のヒンジ部分、膜貫通部分、及び細胞内シグナル伝達ドメインを有する抗体結合ドメインを含むCAR構築物を想定している。細胞内シグナル伝達ドメインの特定の使用及び/又は配置に応じて、そのように調製されたCAR構築物が、第1、第2、又は第3世代CARであり得ることが理解されるべきである。図1は、本明細書に示される教示に従って有用な想定されるCARを例示的に示す。例えば、第1世代CA構築物は、単一シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメイン、より好ましくは、FcεRIγシグナル伝達ドメインを含み得る。特に、CAR構築物が、第1世代構造を有していた場合、FcεRIγシグナル伝達ドメインを有するこのようなCARは、他のCAR構築物と比較して、NK細胞内で優れた特性を有していた。このような発見は、T細胞内のこれまで知られていた第1世代CARが、第2及び第3世代CARにおいて一般的に見られる、CD3ζ、4-1BB、又はCD28シグナル伝達ドメイン及び任意にさらなるシグナル伝達ドメインを有していたCARと比較して、比較的不十分に機能していたため、特に予想外であった。容易に理解されるように、想定されるCARは、複数のFcεRIγ及び/又はCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインも含み得る。
【0024】
さらなる例において、CAR構築物は、少なくとも2つの異なる細胞内シグナル伝達ドメインを含んでいてもよく、このようなCAR構築物の典型的な例は、図1の第2世代CAR構築物において例示的に示されるように、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインが、CD28シグナル伝達ドメイン又は4-1BBシグナル伝達ドメインに結合されるものを含む。さらに、想定されるCAR構築物が、3つ以上のシグナル伝達ドメイン(これらは、典型的に、異なる)を含み得ることが留意され、例示的な第3世代CAR構築物は、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインが、CD28シグナル伝達ドメイン及び4-1BBシグナル伝達ドメインに結合されるものを含む。当然ながら、細胞内シグナル伝達ドメインの特定の配列順序が変化し得、全ての配置が、本明細書における使用に好適であると見なされることが認識されるべきである。
【0025】
抗体結合ドメインに関連して、本明細書に示されるCARが、抗体のFc部分、最も好ましくは、IgGのFc部分に結合する、少なくとも抗体結合部分を有することが一般に想定される。しかしながら、代替的な態様において、Fc部分はまた、IgA、IgM、及びIgEを含む、IgG以外の抗体クラスに属し得る。したがって、好適な抗体結合ドメインは、好ましくは、CD16A、CD16B、CD32A、CD32B、CD64A、CD64B、及びCD64Cの完全長ポリペプチド又は抗体結合部分を含み、あまり好ましくない態様において、プロテインA及びプロテインGも含む。したがって、好適な完全長ポリペプチド又は抗体結合部分は、配列番号12、配列番号16、配列番号19、配列番号22、配列番号25、配列番号28、及び配列番号31で表されるアミノ酸配列(又はこれらの配列のそれぞれの部分)を有するか又は含むであろう。抗体結合部分が、CD16、CD32、又はCD64の細胞外ドメインである場合、特に想定される細胞外ドメインは、配列番号17、配列番号20、配列番号23、配列番号26、配列番号29、及び配列番号32で表されるアミノ酸配列(又はこれらの配列のそれぞれの部分)を有するか又は含むであろう。
【0026】
抗体結合ドメインのタイプにかかわらず、ほとんどの場合、抗体結合ドメインが、膜貫通部分と比べて抗体結合ドメインの柔軟性(flexibility)を提供するようにヒンジ部分を介して膜貫通部分に結合されることが理解されるべきである。しかしながら、特定の実施形態において、ヒンジ部分が、以下の一連の例のいくつかに示されるように省略されることが認識されるべきである。存在する場合、ヒンジ部分は、最も典型的に、必ずしもではないが、約5~100個の(主に親水性)アミノ酸残基を有する短鎖フレキシブルポリペプチドである。したがって、好適な高い部分は、特に、配列番号3で表されるアミノ酸配列(又はその部分)を有するか又は含むCD8ヒンジ部分(特に、ヒトCD8ヒンジ部分)を含む。
【0027】
さらなる想定される態様において、IgG、IgA、IgM、IgE、又はIgD抗体などの、抗体のヒンジドメインも、本明細書に記載されるキメラ受容体において使用するのに好適であると考えられる。ある実施形態において、ヒンジドメインは、抗体の定常ドメインCH1及びCH2に結合するヒンジドメインである。他の実施形態において、ヒンジドメインは、抗体のものであり、抗体のヒンジドメイン及び抗体の1つ以上の定常領域を含む。さらなる実施形態において、ヒンジドメインは、抗体のヒンジドメイン及び抗体のCH3定常領域を含む。さらに他の実施形態において、ヒンジドメインは、抗体のヒンジドメイン並びに抗体のCH2及びCH3定常領域を含む。
【0028】
さらなる好ましい態様において、抗体結合ドメイン及びヒンジ部分(存在する場合)は、膜貫通部分を介して細胞膜に固定される。例えば、ある実施形態において、本明細書に記載されるキメラ受容体の膜貫通ドメインは、I型1回膜貫通タンパク質に由来し得る。1回膜貫通タンパク質としては、CD8α、CD8β、4-1BB/CD137、CD28、CD34、CD4、FcεRIγ、CD16、OX40/CD134、CD3ζ、CD3ε、CD3γ、CD3δ、TCRα、TCRβ、TCRζ、CD32、CD64、CD45、CDS、CD9、CD22、CD37、CD80、CD86、CD40、CD4OL/CD154、VEGFR2、FAS、及びFGFR2Bが挙げられる。好ましい例において、膜貫通ドメインは、CD8α又はCD28又はCD34に由来する。したがって、特に好ましい膜貫通部分は、配列番号5、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、又は配列番号84で表されるアミノ酸配列(又は直前のアミノ酸配列のいずれかに関してその部分)を有するか又は含むであろう。
【0029】
さらに他の態様において、複数回膜貫通タンパク質からの膜貫通ドメインはまた、本明細書に記載されるキメラ受容体において使用するのに適合し得る。複数回膜貫通タンパク質は、複雑な(少なくとも2、3、4、5、6、7つ又はそれ以上の)αヘリックス又はβシート構造を含み得る。好ましくは、複数回膜貫通タンパク質のN末端及びC末端は、脂質二重層の反対側に存在し、例えば、タンパク質のN末端は、脂質二重層の細胞質側に存在し得、タンパク質のC末端は、細胞外側に存在し得る。複数回膜貫通タンパク質からの1つ又は複数のヘリックス通過のいずれかが、本明細書に記載されるキメラ受容体を構築するために使用され得る。
【0030】
本明細書に記載されるキメラ受容体において使用するための膜貫通ドメインは、合成、非天然タンパク質セグメントの少なくとも一部も含み得る。ある実施形態において、膜貫通ドメインは、合成、非天然αヘリックス又はβシートである。ある実施形態において、タンパク質セグメントは、少なくとも約20のアミノ酸、例えば、少なくとも18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又はそれ以上のアミノ酸である。合成膜貫通ドメインの例が、当該技術分野において、例えば、米国特許第7052906号明細書及び国際公開第2000/032776号パンフレットにおいて公知であり、これらは両方とも、参照により本明細書に援用される。
【0031】
好適なシグナル伝達ドメインに関連して、表面受容体のシグナル伝達部分、例えば、CD3ζ及びFcεRIγ並びに共刺激タンパク質のシグナル伝達部分、例えば、B7/CD28ファミリーのメンバー(例えば、B7-1/CD80、B7-2/CD86、B7-H1/PD-L1、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H6、B7-H7、BTLA/CD272、CD28、CTLA-4、Gi24/VISTA/B7-H5、ICOS/CD278、PD-1、PD-L2/B7-DC、及びPDCD6)、TNFスーパーファミリーのメンバー(例えば、4-1BB/TNFSF9/CD137、4-1BBリガンド/TNFSF9、BAFF/BLyS/TNFSF13B、BAFF R/TNFRSF13C、CD27/TNFRSF7、CD27リガンド/TNFSF7、CD30/TNFRSF8、CD30リガンド/TNFSF8、CD40/TNFRSF5、CD40/TNFSF5、CD40リガンド/TNFSF5、DR3/TNFRSF25、GITR/TNFRSF18、GITRリガンド/TNFSF18、HVEM/TNFRSF14、LIGHT/TNFSF14、リンホトキシン-α/TNF-β、OX40/TNFRSF4、OX40リガンド/TNFSF4、RELT/TNFRSF19L、TACl/TNFRSF13B、TL1A/TNFSF15、TNF-α、及びTNF RII/TNFRSF1B)、SLAMファミリーのメンバー(例えば、2B4/CD244/SLAMF4、BLAME/SLAMF8、CD2、CD2F-10/SLAMF9、CD48/SLAMF2、CD58/LFA-3、CD84/SLAMFS、CD229/SLAMF3、CRACC/SLAMF7、NTB-A/SLAMF6、及びSLAM/CD150)、及び任意の他の共刺激分子、例えば、CD2、CD7、CD53、CD82/Kai-1、CD90/Thyl、CD96、CD160、CD200、CD300a/LMIR1、HLAクラスI、HLA-DR、Ikaros、インテグリンα4/CD49d、インテグリンα4β1、インテグリンα4β7/LPAM-1、LAG-3、TCL1A、TCL1B、CRTAM、DAP12、デクチン-1/CLEC7A、DPPIV/CD26、EphB6、TIM-1/KIM-1/HAVCR、TIM-4、TSLP、TSLP R、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、及びNKG2Cを含み得る全てのシグナル伝達部分(典型的に、細胞内)が、本明細書において使用するのに好適であると考えられることが一般に想定される。
【0032】
しかしながら、特に好ましいシグナル伝達ドメインとしては、配列番号9で表されるアミノ酸配列(又はその部分)を有するか又は含むCD3ζ、配列番号1で表されるアミノ酸配列(又はその部分)を有するか又は含むFcεRIγ、配列番号7で表されるアミノ酸配列(又はその部分)を有するか又は含むCD28、及び配列番号8で表されるアミノ酸配列(又はその部分)を有するか又は含む4-1BBからのものが挙げられる。
【0033】
したがって、さらに別の観点から見ると、本発明者らは、表1に記載される様々なCAR構築物を想定し、表中で、ドメインのいずれか1つが、本明細書に示されるアミノ酸配列の1つ以上を用いて構築され得る。さらに、以下の表が、例示的な配列を列挙するが、アミノ酸変化が、表中に示される配列との少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも91%の同一性を有するように、同定される各配列が、1つ以上のアミノ酸変化を含み得ることが理解されるべきである。さらに、切断された配列が示される機能を依然として保持する限り、表中に示される配列が(いずれかの側又は両側で)より短い配列に切断され得ることも認識されるべきである。当然ながら、これらの配列が、エクスポート又はトラフィッキングのためのいずれかのさらなる配列部分(例えば、リーダーペプチド)を有さない成熟ポリペプチド配列を表すことが認識されるべきである。
【0034】
【表1】
【0035】
本発明の主題のさらなる態様において、本明細書に示されるポリペプチド配列だけでなく、本明細書において想定される配列をコードする核酸配列及び構築物も想定されることが認識されるべきである。当然ながら、容易に理解されるように、想定される核酸配列は、全てのコドン使用パターン、特に、ヒトコドン使用を利用し得る。さらに、組み換え核酸は、組み換え核酸でトランスフェクトされた細胞内のCAR構築物の発現をもたらすために全ての必要な調節要素も含むであろう。サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーター、ウイルスLTR、例えば、ラウス肉腫ウイルスLTR、HIV-LTR、HTLV-1 LTR、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、単純ヘルペスtkウイルスプロモーターなどを含む様々な公知のプロモーターが、本明細書に記載されるCAR構築物の発現のために使用され得る。キメラ受容体の発現のためのさらなるプロモーターは、免疫細胞内の任意の構成的に活性なプロモーターを含む。或いは、任意の調節可能なプロモーターが、その発現が免疫細胞内で調節され得るように使用され得る。
【0036】
さらに、必要に応じて、組み換え核酸は、所望の機能を有する1つ以上のさらなるタンパク質をコードし得る1つ以上のさらなる配列部分を含み得る。例えば、好適なさらなる配列部分は、サイトカイン、特に、小胞体保留(endoplasmic retention)配列を介して細胞内に保持され得る、IL-2及び/又はIL15などのNK細胞の自己分泌増殖刺激に必要とされるサイトカイン、N-801、インターフェロンγなどの免役刺激サイトカイン、並びに細胞移動(例えば、ケモカイン受容体)又は腫瘍微小環境の調節(例えば、IL-8又はTGF-βトラップ)を助ける1つ以上の機能タンパク質を含むであろう。
【0037】
さらに、組み換え核酸は、選択可能マーカー遺伝子(例えば、宿主細胞内の安定した又は一過性トランスフェクタントの選択のためのネオマイシン遺伝子)、増加したレベルの転写のためのヒトCMVの最初期遺伝子由来の1つ以上のエンハンサー/プロモーター配列、mRNA安定性のためのSV40由来の転写終結及びRNAプロセシングシグナル、SV40ポリオーマ複製起点及び細菌中の複製のためのColEl、1つ以上の内部リボソーム結合部位(IRESes)、多重クローニング部位、センス及びアンチセンスRNAのインビトロ転写のためのT7及びSP6 RNAプロモーター、誘発されると、ベクターを保有する細胞を死滅させる「自殺スイッチ」又は「自殺遺伝子」(例えば、HSVチミジンキナーゼ、iCasp9などの誘導性カスパーゼ)、及び/又はCAR構築物の発現を評価するための1つ以上のレポーター遺伝子などのさらなる機能要素を含有し得る。例示的なポリシストロニック構築物が、参照により本明細書に援用される国際公開第2019/226708号パンフレットに記載されている。そのために、想定される核酸構築物は、同じmRNAによってコードされる等モルレベルのポリペプチドを生成するために、T2A、P2A、E2A、又はF2Aペプチドなどの2Aペプチドをコードする配列を含み得る。
【0038】
様々な他の核酸配列の中でも、例示的な核酸配列は、配列番号2(FcεRIγ細胞内シグナル伝達ドメインをコードする)、配列番号4(ヒトCD8ヒンジをコードする)、配列番号6(ヒトCD28膜貫通部分をコードする)、配列番号10(CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインをコードする)、配列番号11(低親和性CD16Aをコードする)、配列番号13(高親和性CD16Aをコードする)、配列番号15(CD64Aをコードする)、配列番号18(CD64Bをコードする)、配列番号21(CD64Cをコードする)、配列番号24(CD32Aをコードする)、配列番号27(CD32Bをコードする)、及び配列番号30(CD16Bをコードする)で表される配列を有するであろう。さらなる想定される核酸配列は、配列番号73(CD16A膜貫通ドメインをコードする)、配列番号75(CD32A膜貫通ドメインをコードする)、配列番号77(CD32B膜貫通ドメインをコードする)、配列番号79(CD64A膜貫通ドメインをコードする)、配列番号81(CD64B膜貫通ドメインをコードする)、又は配列番号83(CD16C膜貫通ドメインをコードする)で表される核酸配列を有するであろう。上述されるように、上記に列挙される核酸配列が、例えば、コドン選択及び1つ以上のアミノ酸交換のため(好ましくは、それらのそれぞれの機能を維持しながら)ある程度変化し得ることが認識されるべきである。したがって、本明細書において想定される核酸配列は、本明細書に開示される核酸配列との少なくとも99%、又は少なくとも98%、又は少なくとも97%、又は少なくとも96%、又は少なくとも95%、又は少なくとも94%、又は少なくとも93%、又は少なくとも92%、又は少なくとも91%、又は少なくとも90%の配列同一性を有する核酸配列も含む。その結果として、本明細書において想定されるアミノ酸配列は、本明細書に開示されるアミノ酸配列との少なくとも99%、又は少なくとも98%、又は少なくとも97%、又は少なくとも96%、又は少なくとも95%、又は少なくとも94%、又は少なくとも93%、又は少なくとも92%、又は少なくとも91%、又は少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列も含む。
【0039】
したがって、想定される核酸配列は、CAR構築物のトランスフェクション、伝播、及び/又は発現に好適な様々な組み換え構築物も含むであろう。例えば、このような組み換え核酸は、線状又は環状DNA及びRNA、例えば線状化DNA及びRNA、クローニングベクター、発現ベクター、及びさらに組み換えウイルスを含むであろう。他の好ましい選択肢の中でも特に、このような構築物は、典型的に、線状化形態、ウイルス形態(例えば、アデノウイルス又はレンチウイルス)又はウイルス発現ベクターのいずれかにおけるポリシストロニック構築物として構成されるであろう。
【0040】
さらに他の想定される態様において、本明細書に示されるCAR構築物は、典型的に、哺乳動物細胞内で、最も好ましくは、治療用細胞内で、又は細胞を受ける個体に対して自己若しくは異種であり得る免疫担当細胞内で発現されるであろう。例えば、本明細書に示されるCAR構築物の発現のための好適な細胞は、特に、T細胞、NK細胞、及びNKT細胞を含む。
【0041】
好適なNK細胞に関連して、全てのNK細胞が、本明細書において使用するのに好適であると考えられ、したがって、初代NK細胞(保存(preserved)細胞、増殖細胞、及び/又は新鮮細胞)、不死化、自己又は異種NK細胞(バンクに保存された(banked)細胞、保存細胞、新鮮細胞など)であった二次NK細胞、及び以下により詳細に記載される修飾NK細胞を含むことが留意されるべきである。ある実施形態において、NK細胞がNK-92細胞であることが好ましい。NK-92細胞株は、インターロイキン2(IL-2)の存在下で増殖することが発見された独自の細胞株である(例えば、Gong et al.,Leukemia 8:652-658(1994)を参照)。NK-92細胞は、好適な培養培地中で増殖後に広い抗腫瘍細胞毒性及び予測可能な収量を有する癌性NK細胞である。有利なことに、NK-92細胞は、様々な癌に対する高い細胞溶解活性を有する。
【0042】
元のNK-92細胞株は、CD56bright、CD2、CD7、CD11a、CD28、CD45、及びCD54表面マーカーを発現し、CD1、CD3、CD4、CD5、CD8、CD10、CD14、CD16、CD19、CD20、CD23、及びCD34マーカーを提示しなかった。培養物中のこのようなNK-92細胞の増殖は、インターロイキン2(例えば、rIL-2)の存在に依存し、1IU/mL程度の用量が、増殖を維持するのに十分である。IL-7及びIL-12は、長期の増殖を支持せず、IL-1α、IL-6、腫瘍壊死因子α、インターフェロンα、及びインターフェロンγを含む試験される様々な他のサイトカインも有さない。初代NK細胞と比較して、NK-92は、典型的に、比較的低いエフェクター:標的(E:T)比、例えば1:1でさえ、高い細胞毒性を有する。代表的なNK-92細胞は、米国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC)により、名称CRL-2407で寄託されている。さらに他の想定されるNK-92細胞は、自己分泌増殖刺激のためにサイトカインを発現するように遺伝子操作されたもの、及び/又はCD16の高親和性形態を発現するように遺伝子操作されたものを含む。
【0043】
さらに他の実施形態において、本発明者らは、疾患(例えば、癌、ウイルス感染、細菌感染など)、特に、治療用抗体が利用可能な疾患の治療における、本明細書に示される1つ以上のCAR構築物を発現する組み換え細胞の使用を想定している。このような治療的使用及び方法において、治療有効量の組み換え細胞は、単独で、又は治療用抗体と共に投与されるであろう。
【0044】
想定される疾患としては、特に、白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒性)白血病、慢性リンパ球性白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキン病、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、限定はされないが、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛腫、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、及び網膜芽細胞腫などの肉腫及び癌腫を含む固形腫瘍が挙げられる。
【0045】
想定されるトランスフェクトされた細胞(例えば、トランスフェクトされたNK-92)細胞は、絶対数の細胞によって個体に投与され得る。例えば、個体は、約1000個の細胞/注入から最大で約100億個の細胞/注入、例えば、約、少なくとも約、又は多くても約、1×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10個の細胞/注入、又はこれらの数値のいずれか2つの間の任意の範囲(端点を含む)で投与され得る。他の実施形態において、細胞は、相対数の細胞によって個体に投与され得、例えば、前記個体は、個体のキログラム当たり約1000個の細胞から最大で約100億個の細胞、例えば、個体のキログラム当たり、約、少なくとも約、又は多くても約、1×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10個の細胞、又はこれらの数値のいずれか2つの間の任意の範囲(端点を含む)で投与され得る。他の実施形態において、総用量は、m当たり約1×1011、1×1010、1×10、1×10、1×10、又は数値のいずれか2つの間の任意の範囲(端点を含む)を含む体表面積のmによって計算され得る。平均的な人は、約1.6~約1.8mである。好ましい実施形態において、約10億~約30億個のNK-92細胞が、患者に投与される。
【0046】
トランスフェクトされた細胞(例えば、トランスフェクトされたNK-92細胞)、及び任意の他の抗癌又は抗ウイルス剤は、癌に罹患した又はウイルスに感染した患者に1回投与され得るか、又は複数回、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22若しくは23時間に1回、又は1、2、3、4、5、6若しくは7日に1回、又は治療中1、2、3、4、5、6、7、8、9、10週間若しくはそれ以上で1回、又はこれらの数値のいずれか2つの間の任意の範囲(端点を含む)で投与され得る。
【実施例
【0047】
本明細書に示される教示と共に使用される例示的な核酸及びアミノ酸配列は、配列番号33~72を含む。より具体的には、配列番号33は、ECD-CD16a TM-FceRIgドメインを有する例示的なCD16aV CARをコードする核酸を示し、配列番号34は、ECD-CD16a TM-FceRIgドメインを有する例示的なCD16aV CARのためのアミノ酸を示し、配列番号35は、ECD-CD28 TM-FceRIgドメインを有する例示的なCD16aV CARをコードする核酸を示し、配列番号36は、ECD-CD28 TM-FceRIgドメインを有する例示的なCD16aV CARのためのアミノ酸を示し、配列番号37は、ECD-CD8-CD28 TM-FceRIgドメインを有する例示的なCD16aV CARをコードする核酸を示し、配列番号38は、CD16aV ECD-CD8-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号39は、CD16b ECD-CD8-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号40は、CD16b ECD-CD8-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号41は、CD16b ECD-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号42は、CD16b ECD-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号43は、CD64a ECD-CD64 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号44は、CD64a ECD-CD64 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号45は、CD64a ECD-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号46は、CD64a ECD-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号47は、CD64a ECD-CD8-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号48は、CD64a ECD-CD8-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号49は、CD64b ECD-CD64 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号50は、CD64b ECD-CD64 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号51は、CD64b ECD-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号52は、CD64b ECD-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号53は、CD64b ECD-CD8-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号54は、CD64b ECD-CD8-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号55は、CD64c ECD-CD64 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号56は、CD64c ECD-CD64 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号57は、CD64c ECD-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号58は、CD64c ECD-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号59は、CD64c ECD-CD8-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号60は、CD64c ECD-CD8-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号61は、CD32a ECD-CD32a TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号62は、CD32a ECD-CD32a TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号63は、CD32a ECD-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号64は、CD32a ECD-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号65は、CD32a ECD-CD8-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号66は、CD32a ECD-CD8-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号67は、CD32b ECD-CD32b TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号68は、CD32b ECD-CD32b TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号69は、CD32b ECD-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号70は、CD32b ECD-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示し、配列番号71は、CD32b ECD-CD8-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARをコードする核酸を示し、配列番号72は、CD32b ECD-CD8-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARのためのアミノ酸を示す。
【0048】
本明細書において、ECDは、Fc受容体の細胞外ドメイン(それは、例えば、CD32B Fc受容体の細胞外ドメインのための「CD32b ECD」として、又はCD16a Fc受容体の細胞外ドメインのためのECD-CD16aとして適格とされ得る)を指し、TMは、膜貫通ドメイン(例えば、CD28膜貫通ドメインCD28 TM)を指し、FceRIgは、シグナル伝達ドメイン形態FceRIgを指し、CD8は、CD8ヒンジドメインを指す。
【0049】
本明細書に示される教示と共に使用されるさらなる例示的な核酸及びアミノ酸配列は、配列番号73~84を含む。より具体的には、配列番号73は、例示的なCD16A膜貫通ドメインをコードする核酸を示し、配列番号74は、例示的なCD16A膜貫通ドメインのためのアミノ酸を示し、配列番号75は、例示的なCD32A膜貫通ドメインをコードする核酸を示し、配列番号76は、例示的なCD32A膜貫通ドメインのためのアミノ酸を示し、配列番号77は、例示的なCD32B膜貫通ドメインをコードする核酸を示し、配列番号78は、例示的なCD32B膜貫通ドメインのためのアミノ酸を示し、配列番号79は、例示的なCD64A膜貫通ドメインをコードする核酸を示し、配列番号80は、例示的なCD64A膜貫通ドメインのためのアミノ酸を示し、配列番号81は、例示的なCD64B膜貫通ドメインをコードする核酸を示し、配列番号82は、例示的なCD64B膜貫通ドメインのためのアミノ酸を示し、配列番号83は、例示的なCD64C膜貫通ドメインをコードする核酸を示し、配列番号84は、例示的なCD64C膜貫通ドメインのためのアミノ酸を示す。これに関連して、膜貫通ドメイン配列の全てが、本明細書に記載されるCAR構築物において同義的に使用され得ることが理解されるべきである。したがって、例えば、CD32b ECD-CD8-CD28 TM-FceRIgドメインを含む例示的なCARはまた、CD28 TMドメインの代わりに、配列番号73~84において上記に示されるようにCD16A、CD32A、CD32B、CD64A、CD64B、又はCD64C TMドメインのいずれか1つを含むCARとして調製され得る。
【0050】
実施例1.aNK細胞のトランスフェクション:Fc-CAR aNK細胞が、Fc-CAR及びIL-2のための配列を含有する2シストロン性プラスミドベースのベクターでaNK細胞をエレクトロポレートすることによって生成される。IL-2配列は、小胞体(ER)からのIL-2タンパク質分泌を防止するために小胞体保留シグナル、KDELで標識され、ERIL-2と呼ばれる。
【0051】
様々なFc-CAR構築物をコードする核酸は、配列表において提供され、ヒンジ領域を含んでも又は含まなくてもよい。これらの構築物は、GeneWiz,Inc.によって生成される合成オリゴヌクレオチド及びPCR産物から組み合わされる。構築物は、アンピシリン耐性カセット、EF-1αプロモーター、及びSV40ポリアデニル化配列を含有する、2シストロン性pNEUKv1 IRES_ERIL2ベクター骨格へとクローニングされる。得られたプラスミドDNAは、形質転換された細菌から精製され、それらの濃度は、UV分光法によって決定される。aNK細胞は、Neonエレクトロポレーターデバイスを用いて様々な精製されたFc-CARプラスミドでエレクトロポレートされる。エレクトロポレートされた細胞は、IL-2の添加なしで、5%の加熱不活性化ヒトAB血清が補充されたX-VIVO 10培地に戻され、5%のCO培養器において37℃でインキュベートされる。
【0052】
予想される結果:プラスミド構築物を上首尾に組み込んだポリクローナルaNK細胞集団が、培養培地中のIL-2の非存在下で増殖することが可能であろう。Fc-CAR aNK細胞の増殖する集団が、エレクトロポレーションの3~5週間以内に検出可能であり、さらに2~3週間以内に試験に供することができるはずである。
【0053】
実施例2.フェノタイピング:フローサイトメトリー分析が、エレクトロポレートされたaNK細胞におけるFc-CARの表面発現を測定するために行われる。細胞は、製造業者の説明書に従ってヒトCD16、CD32、又はCD64を認識する蛍光色素コンジュゲート抗体で染色され、フローサイトメーターデバイスにおいて分析される。
【0054】
予想される結果:Fc-CAR分子の表面発現は、エレクトロポレーション後の3~5週間の培養後の細胞の少なくとも30%において観察されるはずである。より具体的には、選択された実験結果において、図2は、aNK細胞(CD16-CAR.28E細胞)内で発現されるCD16-CAR.28E構築物についてのデータを示し、ここで、CARを、FCGRIIIAのCD16A-158V変異体の細胞外ドメイン、CD28の膜貫通ドメイン、及びFCERIGのシグナル伝達ドメインから構築した。このような構築物をコードする核酸を、pNEUKv1-IRES-ERIL2プラスミドへとサブクローニングした。aNK細胞を、NeonTMエレクトロポレーターデバイスを用いてこのプラスミドでエレクトロポレートした。エレクトロポレーションの3週間後、細胞を、抗CD16抗体で染色し、フローサイトメトリーによって分析した。エレクトロポレートされた細胞を、非エレクトロポレートaNK及びhaNK細胞と比較した。スキャンから容易に分かるように、aNK細胞が、それらの細胞表面においてCD16を発現しなかった一方、haNK細胞は、細胞表面においてかなりのCD16発現を示した。同様に、CD16-CAR 28.E細胞は、CD16表面提示についての強力なシグナルを有していた。
【0055】
実施例3.直接又は天然細胞毒性:K562細胞が、10%の加熱不活性化FBS(Gibco/Thermofisher)が補充されたRPMI-1640培地(Gibco/Thermofisher)において増殖され、5%のCO培養器において37℃でインキュベートされる。K562細胞が、緑色蛍光色素(PKH67-GL)で染色され、Fc-CAR aNKエフェクター細胞が、96ウェルプレートにおいて異なるエフェクター対標的(E:T)比で組み合わされ、短時間遠心分離され、5%のCO培養器において4時間にわたって37℃でインキュベートされる。インキュベーション後、細胞が、1%のBSA/PBS緩衝液中1μg/mlで、ヨウ化プロピジウム(PI)で染色され、フローサイトメトリーによって直ぐに分析される。標的細胞及びエフェクター細胞がまた、自然発生細胞溶解を評価するために、PIで別々に染色される。
【0056】
死標的細胞が、PKH67-GL及びPIについて二重陽性として同定される。死細胞のパーセンテージが、PKH67標的細胞集団内のPIのパーセンテージによって決定される。殺滅%が、以下のように計算される=[サンプル中の%死標的細胞-%自然発生死標的細胞]/[100-%自然発生死標的細胞]。
【0057】
予想される結果:K562標的細胞のパーセンテージ殺滅は、最も高いE:T比で、50%超であるはずである。より具体的には、選択された実験結果において、図3は、NK感受性ヒト細胞株K562に対するフローベースのインビトロ細胞傷害性アッセイによって決定され、haNK細胞のものと比較される、CD16-CAR.28E細胞の細胞毒性活性についてのデータを示す。エフェクター及び標的細胞を、10:1~0.06:1の範囲のE:T比で混合し、4時間にわたって37℃でインキュベートした。図3中のグラフから容易に分かるように、細胞毒性が同等であり、より高いE:T比で、haNK細胞の細胞毒性より良好でさえあった。
【0058】
実施例4.ADCC:NK耐性SUP-B15標的細胞のCD20発現変異体が、アッセイに使用される。CD20+ SUP-B15標的細胞が、20%の加熱不活性化FBS(Gibco/Thermofisher)及び0.2%のβ-メルカプトエタノールが補充されたRPMI-1640培地(Gibco/Thermofisher)中で増殖され、5%のCO2培養器において37℃でインキュベートされる。CD20+ SUP-B15細胞が、緑色蛍光色素(PKH67-GL)で染色される。次に、染色された標的細胞は、20分間にわたって2ug/mlの濃度のモノクローナル抗体リツキシマブ(抗CD20抗体)又はトラスツズマブ(抗HER2/neu対照抗体、SUP-B15細胞は、HER2/neu陰性である)と共に、又は抗体なしでプレインキュベートされる。プレインキュベートされた染色された標的細胞は、96ウェルプレートにおいて異なるエフェクター対標的(E:T)比でFc-CAR aNKエフェクター細胞と組み合わされ、短時間遠心分離され、5%のCO2培養器において4時間にわたって37℃でインキュベートされる。インキュベーションの後、細胞が、1%のBSA/PBS緩衝液中1μg/mlで、ヨウ化プロピジウム(PI)で染色され、フローサイトメトリーによって直ぐに分析される。標的細胞及びエフェクター細胞が、自然発生細胞溶解を評価するために、PIで別々に染色される。死標的細胞が、PKH67-GL及びPIについて二重陽性として同定される。抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(%ADCC)が、以下のように計算される=[(サンプルE+TプラスmAb中の%死標的細胞)-(サンプルE+TマイナスmAb中の%死標的細胞)]/[100-(サンプルE+TマイナスmAb中の%死標的細胞)]、(E=エフェクター、T=標的、mAb=モノクローナル抗体)。
【0059】
予想される結果:CD20+ SUP-B15標的細胞のパーセンテージADCC殺滅は、トラスツズマブの存在下よりリツキシマブの存在下で有意に高いはずである。%ADCCは、最も高いE:T比で少なくとも20%であるはずである。より具体的には、選択された実験結果において、図4は、CD20陽性、HER2陰性、NK耐性ヒト細胞株SUP-B15CD20+に対するフローベースのインビトロ細胞毒性アッセイによって決定した際のCD16-CAR.28E細胞の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性についてのデータを示す。標的細胞を、2μg/mLのリツキシマブ(オンターゲット抗CD20)若しくはトラスツズマブ(オフターゲット抗HER2)抗体のいずれかと共に、又は抗体なしで、室温で20分間にわたってプレインキュベートした。次に、エフェクター及びプレインキュベートされた標的細胞を、10:1~0.06:1の範囲のE:T比で混合し、4時間にわたって37℃でインキュベートした。haNK細胞が、比較のためにアッセイに含まれていた。図4中のグラフから明らかに分かるように、haNK細胞及びCD16-CAR.28E細胞の両方が、オフターゲット抗体の存在下でADCC活性を有していなかった。逆に、haNK細胞及びCD16-CAR.28E細胞の両方が、オンターゲット抗体の存在下で有意なADCC活性を有しており、CD16-CAR.28E細胞は、haNK細胞より有意に機能が優れていた。異なる観点から見ると、CD16-CAR.28E構築物は、予想外にも、細胞表面においてCD16 158V高親和性変異体を発現する同等のNK細胞より強力なADCC活性を提供した。
【0060】
本明細書に示される教示に従って使用するのに好適なさらなる態様、考慮事項、及び方法が、米国特許出願公開第2018/0133252号明細書及び米国特許出願公開第2016/0067356号明細書に記載され、これらは両方とも、参照により本明細書に援用される。
【0061】
ある実施形態において、本発明の特定の実施形態を説明し、権利請求するのに使用される、成分の量、濃度、反応条件などの特性を表す数値は、ある場合には「約」という用語によって修飾されているものと理解されるべきである。したがって、ある実施形態において、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、特定の実施形態によって得ようとされる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。本明細書における値の範囲の記載は、その範囲内に含まれる各別個の値を個々に示す簡単な方法として機能することが意図されるに過ぎない。本明細書に特に示されない限り、各個々の値は、本明細書に個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0062】
本明細書において使用される際、医薬組成物又は薬物を「投与する」という用語は、医薬組成物又は薬物の直接の及び間接的な投与の両方を指し、ここで、医薬組成物又は薬物の直接の投与は、典型的に、医療従事者(例えば、医師、看護師など)によって行われ、間接的な投与は、医薬組成物又は薬物を、直接の投与(例えば、注射、注入、経口送達、局所送達などによって)のために医療従事者に提供又は利用可能にする工程を含む。病態、疾患の発生に対する感受性、又は意図される治療に対する応答を「予想する」又は「予測する」という用語は、対象における病態の進行速度、改善、及び/又は期間を含む、病態、感受性及び/又は応答を予測する行為又は予測(それらの治療又は診断ではなく)を包含することが意図されることがさらに留意されるべきである。
【0063】
本明細書に記載される全ての方法が、本明細書に特に示されない限り又は文脈上明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で行われ得る。本明細書における特定の実施形態に関連して提供されるあらゆる例、又は例示的な用語(例えば、「など」)の使用は、本発明をよりよく例示することが意図されるに過ぎず、本来権利請求される本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる用語も、本発明の実施に不可欠な権利請求されない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0064】
本明細書における説明において及び後続の特許請求の範囲を通して使用される際、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」の意味は、文脈上特に明記されない限り、複数の言及を含む。また、本明細書における説明において使用される際、「における(in)」の意味は、文脈上特に明記されない限り、「における(in)」及び「における(on)」を含む。また、本明細書において使用される際、及び文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「に結合される(coupled to)」という用語は、直接の結合(ここで、互いに結合される2つの要素が、互いに接触する)及び間接的な結合(ここで、少なくとも1つのさらなる要素が、2つの要素の間に位置する)の両方を含むことが意図される。したがって、「に結合される(coupled to)」及び「と結合される(coupled with)」という用語は、同義語として使用される。
【0065】
既に記載されるものに加えて多くのさらなる変更が、本明細書における本発明の概念から逸脱せずに可能であることが当業者に明らかであるはずである。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲内を除き、限定されるものではない。さらに、本明細書及び特許請求の範囲の両方を解釈する際、全ての用語が、文脈に合致してできるだけ広義に解釈されるべきである。特に、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」という用語は、非限定的に要素、構成要素、又は工程に言及するものと解釈されるべきであり、言及される要素、構成要素、又は工程が、明示的に言及されていない他の要素、構成要素、又は工程と共に、存在するか、又は用いられるか、又は組み合わされてもよいことを示す。本明細書及び/又は特許請求の範囲が、A、B、C・・・及びNからなる群から選択されるものの少なくとも1つを指す場合、その文章は、AプラスN、又はBプラスNなどではなく、群からの1つのみの要素を必要とするものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NK細胞において発現される組み換えキメラ抗原受容体(CAR)であって、
配列番号12、配列番号16、配列番号19、配列番号22、配列番号25、配列番号28、及び配列番号31からなる群から選択される配列を有するポリペプチドの抗体結合部分を有する抗体結合ドメインを含み;
前記抗体結合ドメインが、任意選択のヒンジ部分、膜貫通部分、及び配列番号1を有するFcεRIγシグナル伝達ドメインを配列中に含むポリペプチドに結合される、キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項2】
前記抗体結合ドメインが、配列番号17、配列番号20、配列番号23、配列番号26、配列番号29、及び配列番号32からなる群から選択されるペプチド配列を有する、請求項1に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項3】
前記任意選択のヒンジ部分が、配列番号3のペプチド配列を有する、請求項1又は2に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項4】
前記膜貫通部分が、配列番号5、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、又は配列番号84のペプチド配列を有する、請求項1に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項5】
少なくとも1つの第2のシグナル伝達ドメインをさらに含む、請求項1に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項6】
前記第2のシグナル伝達ドメインが、前記シグナル伝達ドメインと異なる、請求項に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項7】
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号7、配列番号8、及び配列番号9からなる群から選択されるペプチド配列を有する、請求項に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項8】
前記抗体結合ドメインが、配列番号17、配列番号20、配列番号23、配列番号26、配列番号29、及び配列番号32からなる群から選択されるペプチド配列を有し、前記シグナル伝達ドメインが、配列番号1のペプチド配列を有する、請求項1に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項9】
前記任意選択のヒンジ部分が、配列番号3のペプチド配列を有する、請求項に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項10】
前記膜貫通部分が、配列番号5、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、又は配列番号84のペプチド配列を有する、請求項又は請求項に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項11】
少なくとも1つのさらなるシグナル伝達ドメインをさらに含み、任意選択的に、前記さらなるシグナル伝達ドメインが、配列番号1のペプチド配列を有する、請求項10のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項12】
前記さらなるシグナル伝達ドメインが、配列番号1のペプチド配列を有する、請求項11のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項13】
前記キメラ抗原受容体が、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54xx、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、又は配列番号72のアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項14】
前記キメラ抗原受容体が、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、又は配列番号71のヌクレオチド配列を有する核酸によってコードされる、請求項1に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体をコードする組み換え核酸。
【請求項16】
前記核酸が、ヒトコドン使用のためにコドン最適化される、請求項15に記載の組み換え核酸。
【請求項17】
サイトカイン、CD16、ホーミング受容体、及び/又はTGF-βトラップをコードする配列部分をさらに含む、請求項15又は16に記載の組み換え核酸。
【請求項18】
前記核酸が、前記キメラ抗原受容体をコードし、前記サイトカイン、前記CD16、前記ホーミング受容体、及び/又は前記TGF-βトラップをコードする前記配列部分が、ポリシストロニック核酸として構成される、請求項17に記載の組み換え核酸。
【請求項19】
前記組み換え核酸が、レンチウイルスベクターの一部である、請求項1518のいずれか一項に記載の組み換え核酸。
【請求項20】
前記組み換え核酸が、DNAベクターの一部である、請求項1518のいずれか一項に記載の組み換え核酸。
【請求項21】
請求項1520のいずれか一項に記載の組み換え核酸でトランスフェクトされたNK細胞。
【請求項22】
前記細胞が、NK-92細胞、遺伝子組み換えNK-92細胞、又は自己NK細胞である、請求項21に記載の細胞。
【請求項23】
請求項1~12又は請求項14のいずれか一項に記載の組み換えキメラ抗原受容体をコードする組み換え核酸でトランスフェクトされた組み換えNK細胞。
【請求項24】
前記NK細胞が、NK-92細胞、遺伝子組み換えNK-92細胞、又は自己NK細胞である、請求項23に記載の組み換えNK細胞。
【請求項25】
請求項1318のいずれか一項に記載の組み換え核酸でトランスフェクトされた、請求項23に記載の組み換えNK細胞。
【請求項26】
癌を治療する必要がある患者の癌を治療する方法であって、治療有効量の、請求項2125のいずれか一項に記載の細胞を前記患者に投与し、それによって前記癌を治療することを含む、方法。
【請求項27】
ウイルス癌ワクチン、細菌癌ワクチン、酵母癌ワクチン、N-803、抗体、幹細胞移植、及び腫瘍標的化サイトカインからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる治療実体を投与する工程をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記癌が、白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒性)白血病、慢性リンパ球性白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキン病、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、限定はされないが、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛腫、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫及び網膜芽細胞腫などの肉腫及び癌腫を含む固形腫瘍から選択される、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記患者の体表面積のm当たり約1×10~約1×1011個の細胞が、前記患者に投与される、請求項2628のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
癌又はウイルス感染の治療における、請求項2125のいずれか一項に記載の細胞の使用。
【国際調査報告】