(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】マルチジェット式のエアナイフ
(51)【国際特許分類】
B05C 11/06 20060101AFI20231228BHJP
B05B 1/14 20060101ALI20231228BHJP
B05B 1/04 20060101ALI20231228BHJP
C23C 2/16 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B05C11/06
B05B1/14 Z
B05B1/04
C23C2/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023538152
(86)(22)【出願日】2021-11-26
(85)【翻訳文提出日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 EP2021083162
(87)【国際公開番号】W WO2022135828
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505008419
【氏名又は名称】タタ、スティール、ネダーランド、テクノロジー、ベスローテン、フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】TATA STEEL NEDERLAND TECHNOLOGY BV
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】ヤープ、ペーテル、ファン、エーネンナーム
【テーマコード(参考)】
4F033
4F042
4K027
【Fターム(参考)】
4F033AA01
4F033BA02
4F033CA02
4F033DA05
4F033EA01
4F033LA12
4F033LA13
4F033NA01
4F042AA22
4F042BA08
4F042BA10
4F042BA13
4F042BA25
4F042DD34
4F042DD35
4F042DD37
4F042DD39
4F042DF23
4K027AC52
(57)【要約】
本発明は、移動する金属帯上の溶融金属被覆の厚さを制御するためのマルチスロット式のガスワイピング装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する金属帯上の溶融金属被覆の厚さを制御するためのマルチスロット式のガスワイピング装置であって、
前記マルチスロット式のガスワイピング装置が、第1の細長い開口部を有する主要ノズルと、それぞれ補助の細長い開口部を有する2つの補助ノズルとを備えるノズル系を備え、
前記主要ノズルおよび前記補助ノズルが並列に配置され、
前記ノズル系が、2つのノズル構成部品(10a、10b)を備え、
前記2つのノズル構成部品(10a、10b)が共に、シム(8)に取り付けられ、それによって前記第1の細長い開口部をギャップ幅dで画定し、
各ノズル構成部品が、前記補助の細長い開口部をギャップ幅d
aで画定する、内側部および外側部を備え、
各内側部が、内側ノズルリップ(1a、1b)と、前記内側ノズルリップにおける2つの外側端部(3a、3b)とを備え、
各外側部が、外側ノズルリップ(2a、2b)と、前記外側ノズルリップにおける2つの外側端部(4a、4b)と、複数の支持部(5a、6a、7a)とを備え、
前記複数の支持部が、前記外側ノズルリップに対して直角な方向で前記外側ノズルリップ(2a、2b)と一体化されている、前記マルチスロット式のガスワイピング装置。
【請求項2】
前記ノズル構成部品の前記内側部および前記外側部が着脱可能に設けられている、請求項1に記載のガスワイピング装置。
【請求項3】
前記ノズル構成部品が着脱可能に設けられている、請求項2または3に記載のガスワイピング装置。
【請求項4】
前記補助の細長い開口部の前記ギャップ幅d
aが、好ましくは0.2~3mm、より好ましくは0.3~1.5mmであり、前記ギャップ幅d
aが、前記外側ノズルリップにおける前記外側端部でのオフセットによって、または前記外側ノズルリップの凹部によって画定される、請求項1に記載のガスワイピング装置。
【請求項5】
前記外側部が一体に形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【請求項6】
前記内側ノズルリップが、中心線(50)から測定された10~20°の角度αで存在し、かつ/あるいは、前記外側ノズルリップが、前記中心線(50)から測定された20~40°の角度βで存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【請求項7】
前記複数の支持部が、ノズル開口部において4~12°で面取りされている、請求項1~6のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【請求項8】
前記第1の細長い開口部に第1の加圧流体が供給され、前記補助の細長い開口部に第2の加圧流体が供給される、請求項1~7のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【請求項9】
前記第1の加圧流体が第1のコンパートメント(13)を通って前記第1の細長い開口部まで誘導され、前記第2の加圧流体が第2のコンパートメント(14)を通って前記補助の細長い開口部まで誘導されるように構成されている、2つのコンパートメントを有するケーシングをさらに備える、請求項8に記載のガスワイピング装置。
【請求項10】
前記ケーシングが、前記第1のコンパートメントと流体接続するガス入口(23)を外側に備える、請求項9に記載のガスワイピング装置。
【請求項11】
前記ケーシングの前記第1のコンパートメントが、渦を減らすための較正手段を備える、請求項9または10に記載のガスワイピング装置。
【請求項12】
前記ケーシングが、前記第2のコンパートメントと流体接続するガス入口(24)を背部に備える、請求項9~11のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【請求項13】
前記ケーシングの前記第2のコンパートメントが複数の支持部を備える、請求項9~12のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【請求項14】
前記ケーシングの前記複数の支持部が、前記ノズル構成部品の前記外側部の前記複数の支持部と整列されている、請求項13に記載のガスワイピング装置。
【請求項15】
前記ケーシングの前記複数の支持部が、背部のガス入口において面取りされている、請求項13または14に記載のガスワイピング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属帯上に塗布された溶融金属被覆の厚さを制御するためのマルチスロット式のガスワイピング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスワイピング装置は、鋼帯などの移動する金属帯上に塗布された金属被覆の厚さを制御するために用いられる。金属被覆は、溶融めっき法を用いて塗布され、ここで、連続的または半連続的な工程において、その工程の一部として、金属帯は、例えばZn、Zn+Fe合金、Zn+AlまたはZn+Mg+Alの溶融金属浴を通過する。塗布された金属被覆の過剰分が、「エアナイフ」としても知られている高圧のエア/ガスワイピング装置で吹き飛ばされた後、金属帯は、おおよそ垂直方向に浴を離れる。移動する帯からの過剰な金属被覆の除去は、実際には、塗布された金属被覆の厚さを制御することである。
【0003】
金属被覆は、被覆された鋼帯から例えば自動車産業用の外装部品(outer parts for the automotive industry)を最終的に製造する前に塗布されるので、塗布された被覆は、厳密な所定の厚さおよび完全に被覆された鋼帯にわたる均一な厚さのような要件を満たすべきである。このことは、被覆された鋼帯を形成操作に供することができるために重要なだけではなく、被覆された鋼帯から形成される最終的な鋼製品の最終的な外観のためにも重要である。
【0004】
これらの要件は、ガスワイピング装置が、ガスワイピング装置のガスノズルの全幅にわたって均一なガスジェットを排出すべきであることを意味し、このことは、ガスジェットが、均一な速度および圧力であるべきであることを意味する。このことは、ガスワイピング装置の造りおよびガスワイピング装置のガス排出ノズルの造りに対する高い基準を暗示している。
【0005】
エアナイフジェットとしても知られている排出ノズルの流れは、本来不安定であり、このことは、オレンジピールとして現れる亜鉛めっきにおける不均等な表面につながる。そのような流れは、補助ジェットを用いて安定化される場合がある。例えば、EP3190204は、溶融金属板の鋼帯を製造する方法を開示している。
【0006】
マルチジェット式のエアナイフの欠点は、圧力勾配が低くなる場合があり、したがって補助ジェットを追加することによって、ワイピング効率が悪影響を受けるだろうということである。それによって、商用の亜鉛めっきライン向けのそのような装置の製造には、限られた努力が行われてきた。
【0007】
ガスワイピング装置の幾何形状が変更されて、同様の圧力勾配またはより高い圧力勾配でさえ達成し、そうしてより高いワイピング効率およびより低い被覆重量を達成し得ることが、近年、計算機による研究で証明されてきた(Yayhaeeら、JCTR2017)。被覆重量は、ナイフから帯までの距離、主ジェットおよび補助ジェットの角度、主要ノズル(primary nozzle)および補助ノズル(auxiliary nozzle)のギャップ幅、および主ジェットと補助ジェットとの間の離隔距離によって影響され得る。より高いワイピング効率には、補助ジェットと主ジェットとの間の傾斜角が必要になる。さらに、CFDは、補助ジェット流量の入口圧力が、主ジェットの流量の何分の一かであるべきだと示してきた。この構成は、従来のエアナイフと比較して、主要ノズルで同じ流量を達成するためにより長いノズルを必要とし、より低い剛性のノズルおよび不安定な気流をもたらすことになる。
【0008】
したがって、商用の亜鉛めっきライン向けの安定した気流および高いワイピング効率を有するマルチジェット式のエアナイフを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、2つの別個の気流によるマルチジェット式のエアナイフを提供することである。
【0010】
また、本発明の目的は、十分な剛性を有するマルチジェット式のエアナイフを提供することである。
【0011】
また、本発明の目的は、容易に組み立てられ分解されることができるマルチジェット式のエアナイフを提供することである。
【0012】
また、本発明の目的は、マルチジェット式のエアナイフのノズルが容易に交換され得、ギャップ設定が別個に調節され得ることである。
【0013】
また、本発明の目的は、モジュール式設計であるマルチジェット式のエアナイフを提供することである。
【0014】
また、本発明の目的は、商用の亜鉛めっきラインで使用されることができるマルチジェット式のエアナイフを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの目的のうちの1または2以上は、請求項1~15に記載のマルチスロット式のガスワイピング装置によって到達される。
【0016】
第1の態様では、移動する金属帯上の溶融金属被覆の厚さを制御するためのマルチスロット式のガスワイピング装置であって、
マルチスロット式のガスワイピング装置が、第1の細長い開口部を有する主要ノズルと、それぞれ補助の細長い開口部を有する2つの補助ノズルとを備えるノズル系を備え、
主要ノズルおよび補助ノズルが並列に配置され、
ノズル系が、2つのノズル構成部品(10a、10b)を備え、
2つのノズル構成部品(10a、10b)が共に、シム(8)に取り付けられ、それによって第1の細長い開口部をギャップ幅dで画定し、
各ノズル構成部品が、補助の細長い開口部をギャップ幅daで画定する、内側部(inner part)および外側部(outer part)を備え、
各内側部が、内側ノズルリップ(inner nozzle lip)(1a、1b)と、内側ノズルリップにおける2つの外側端部(3a、3b)とを備え、
各外側部が、外側ノズルリップ(outer nozzle lip)(2a、2b)と、外側ノズルリップにおける2つの外側端部(4a、4b)と、複数の支持部(5a、6a、7a)とを備え、
複数の支持部が、外側ノズルリップに対して直角な方向で外側ノズルリップ(2a、2b)と一体化されている、マルチスロット式のガスワイピング装置が提供される。
【0017】
ワイピング装置のノズル系が2つのノズル構成部品を備え、各ノズルが内側部と外側部とを備えることが有利である。このようにして、並列に配置されている2つの補助ノズルを有する主要ノズルを可能にするモジュール式設計が立案された。したがって本発明は、商用の亜鉛めっきラインにおいて容易に実装されることができる簡潔で優れた装置を提供する。十分な剛性、およびそれゆえに安定した気流は、外側ノズルリップにおける複数の支持部によって導入される。支持部の量、形状および厚さは具体的には限定されない。支持部は、5~15cm、好ましくは5~10cmの間隔で離されていることが好ましい。支持部の密集度は、メートル長さあたりに少なくとも15個の支持部であることが好ましい。好ましい一実施形態では、支持部はノズルリップ(nozzle lip)の全長にわたって均等な間隔で離されている。
【0018】
本発明によるワイピング装置それ自体は、主ジェットおよび補助ジェットを備えるマルチスロット式のエアナイフであることが留意されるべきである。ワイピング装置およびエアナイフの定義は、相互に置き換えて使用されることができる。
【0019】
ガスワイピング装置の全長は具体的には限定されず、好ましくは、通常最大2500mmである最も幅の広い帯の大きさを収容できるように選択されるべきである。
【0020】
より低い被覆重量を得るために、マルチスロット式のエアナイフのための配置は、主ジェットおよび補助ジェットの中心線が、帯の同じ点において一致するようなものであるべきである。このことは、ナイフから帯までの距離(Z)、内側ノズルリップの角度α、外側ノズルリップの角度β、主要ノズルのギャップ幅(d)、補助ノズルのギャップ幅(da)および主ジェットと補助ジェットとの間の離隔距離(a)によって影響され得る。
【0021】
一実施形態では、ガスワイピング装置のノズル構成部品の内側部および外側部は、着脱可能に設けられている。このことは、ノズルの容易な交換を可能にし、さらに、補助ノズルのギャップ幅daが、求められる仕様に従って容易に調節され得るという利点を有する。補助ノズルのギャップ幅daは、外側ノズルリップにおける外側端部でのオフセット(offset)によって、または外側ノズルリップの凹部(indentation)によって決定される場合がある。製造の容易さのために、外側部自体が一体に形成されていることが好ましい。
【0022】
一実施形態では、ノズル構成部品は着脱可能に設けられている。このことは、ノズルの容易な交換を可能にし、例えばシムを換えることにより、主要ノズルのギャップdの容易な調節を可能にする。
【0023】
そのようなノズル系は4つのモジュール式部品で作られ、それらのモジュール式部品は互いに容易に組み立てられることができる。
【0024】
好ましい一実施形態では、内側ノズルリップは、中心線から測定された10~20°の角度αで傾けられている。角度αは、帯上での最も高い衝突圧力が達成され得るように、好ましくは10~20°、より好ましくは15°であることが好ましい。
【0025】
好ましい一実施形態では、外側ノズルリップは、中心線から測定された20~40°の角度βで傾けられている。角度βは、帯上での最も高い衝突圧力が達成され得るように、好ましくは10~20°、より好ましくは15°であることが好ましい。
【0026】
好ましい一実施形態では、2つのノズル構成部品は互いの鏡像(mirror image)である。互いの鏡像である2つのノズル構成部品を有することによって、製造工程がより容易になる。さらに、そのような構成は、安定した気流をもたらすことになる。
【0027】
好ましい一実施形態では、外側部における複数の支持部は、渦(vortex)の放出を減らすために、ノズル開口部において4~12°で面取りされており、8~24°である夾角に対応する。支持部は、好ましくは6~10°、最も好ましくは8°で面取りされている。
【0028】
好ましい一実施形態では、第1の細長い開口部に第1の加圧ガスが供給され、補助の細長い開口部に第2の加圧ガスが供給される。補助ジェットにおけるガス流は、主ジェットまでのガス流よりも低いことが好ましい。第2の加圧ガスのガス流は、主ジェットのガス流の20%であることが好ましい。
【0029】
別個のガス流を提供するために、流れ調整手段(flow regulator means)が設けられ得る。補助ジェットが主ノズルに直接取り付けられているので、主ノズルおよび補助ノズルの両方のために別個のガス供給を伴うエアナイフ設計が好ましい。このことは、ワイピングガスをノズルに導くことができるケーシングをノズルに追加することによって実現され得る。主ノズルおよび補助ノズルの両方のために加圧ガス用の別個の供給チャネルが提供されることが好ましい。
【0030】
好ましい一実施形態では、ガスワイピング装置は、第1の加圧ガスが第1のコンパートメント(compartment)を通って第1の細長い開口部まで誘導され、第2の加圧ガスが第2のコンパートメントを通って補助の細長い開口部まで誘導されるように構成されている2つのコンパートメントを有するケーシングを備える。ケーシングは、ワイピングガスをノズルに導くように、ノズルに装着され得る。
【0031】
主ジェットは、エアナイフの1つもしくは2つの側部から、または背部から供給され得る。補助ジェットは、背部から、または1つもしくは2つの側部から、あるいはエアナイフの上部から供給され得る。一方のワイピングガスはケーシングの外側に提供され、他方のワイピングガスは背部を介して提供されることが好ましく、この設置は、大部分の溶融亜鉛めっきプラントの構成に合うことになる。
【0032】
ケーシングは、第1のコンパートメントと流体接続するガス入口を外側に備えることが好ましい。ガスワイピング装置のケーシングは、最大ガス速度が高すぎることおよび圧力降下を防ぐために、補助ジェットにワイピングガスを供給するガス入口を、第2のコンパートメントと流体接続する背部に備えることが好ましい。主ジェット用のワイピングガスをケーシングの両側に供給し、補助ジェット用のワイピングガスを背部から供給することが選択されてきた。側部から補助ノズルに供給すると、最大ガス速度が高すぎることおよび圧力降下につながる可能性があるだろう。
【0033】
好ましい一実施形態では、ケーシングの第1のコンパートメントは、較正手段(calibration means)を備える。較正手段は、主ノズルの前に追加されて、主ノズルまでの流れに存在する渦を壊すことが好ましい。好ましくは、主ノズルに入る前の流れに存在する渦を壊すために、較正穴(calibration hole)が追加されるべきである。
【0034】
好ましい一実施形態では、ケーシングの第2のコンパートメントは複数の支持部を備える。この複数の支持部は、補助ノズルまでのダクトにおいて、より高い剛性を達成して、より安定した気流を確実にすることになる。
【0035】
好ましい一実施形態では、ケーシングの複数の支持部は、ノズル構成部品の外側部の複数の支持部と整列されている。支持部を整列させることによって、気流が最も安定することになる。
【0036】
好ましい一実施形態では、ケーシングの複数の支持部は、渦を減らすために、背部のガス入口において面取りされている。ケーシングの複数の支持部は、好ましくは4~12°、より好ましくは6~10°、最も好ましくは8°で面取りされている。
【0037】
好ましい一実施形態では、第1の加圧流体対第2の加圧流体のレイノルズ数の比は、2:1~10:1、好ましくは4:1~8:1、最も好ましくは6:1である。加圧流体は具体的には限定されず、空気、窒素、CO2またはアルゴンであり得る。加圧流体は空気または窒素であることが好ましい。
【0038】
本発明は、以下の図面によってさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、本発明によるワイピング装置のノズル系の例示的な一実施形態を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の例示的な実施形態の詳細Bおよび詳細Gを示す図である。
【
図3】
図3は、本発明によるワイピング装置の例示的な一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明によるワイピング装置のノズル系の例示的な一実施形態の分解図を示している。ノズル系は、2つのノズル構成部品10aおよび10bを備え、ノズル構成部品はそれぞれ、2つの内側部および2つの外側部を備える。各内側部は、内側ノズルリップ1a、1bと、2つの外側端部3a、3bとを備え、それによって覆いを形成している。内側部は、シム(8)と着脱可能に設けられている。シムの大きさを変動させることによって、第1の細長い開口部のギャップdが設定され得る。ギャップdは、通常0.5~5.0mmであり、最終的な製品の被覆要件に従って設定される。各外側部は、外側ノズルリップ2a、2bと、2つの外側端部4a、4bと、複数の支持部5a、6a、7aとを備える。複数の支持部は、外側ノズルリップに対して直角であることが好ましい。支持部は、各幅が0.4~20mmであり、ワイピング装置に剛性を提供するために、ワイピング装置の全長にわたって均等に互いに離されていることが好ましい。外側部は、例えば支持部を通した締結具で、それぞれの内側部に着脱可能に設けられている。補助の細長い開口部のギャップ幅d
aは、外側ノズルリップにおける外側端部でのオフセット、または外側ノズルリップの凹部によって画定される。例えば外側部を交換することにより、オフセットの大きさおよび/または凹部を変動させることによって、補助の細長い開口部のギャップd
aが設定され得る。ギャップd
aは、通常0.1~1.5mmであり、最終的な製品の被覆要件に従って製造される。
【0041】
内側部および外側部は、当業者によく知られているように、フライス加工、成形(moulding)、3Dプリントなどによって作られてもよい。求められるギャップを達成し、剛性のための支持部を追加するために、外側部は軟鋼から機械加工されることが好ましい。外側部は、剛性のためにノズル開口部に直角である支持部によって、セクション(section)に分割される。これらの支持部は、外側部を内側部に装着するために使用されてもよい。支持部は、渦の放出を防ぐために、ノズル開口部において8°で面取りされている(
図2、詳細G、上面図)ことが好ましい。補助ノズルのジェット開口部は、求められるギャップd
aを達成するようにフライス加工されてもよい。続いて、表面を硬化させるために、外側部の機械加工/フライス加工が処理されてもよい。
【0042】
帯上での高い衝突圧力、およびそれによる高いワイピング効率を実現するために、内側ノズルリップは、中心線50に対して15°の角度αで存在し、外側ノズルリップは、中心線50に対して30°の角度βで存在する(
図2、詳細B、側面図)。ノズルリップは、主要ノズルの所望のギャップ幅(d)、補助ノズルの所望のギャップ幅(d
a)および主ジェットと補助ジェットとの間の離隔距離(a)を得るように、ノズル開口部においてフライス加工されてもよい。
図2の詳細Bでは、主要ノズルのギャップ幅が1.0~1.5mmであり、補助ノズルのギャップ幅が1.0~1.5mmであり、離隔距離(a)が1mmであるように、ノズルリップがフライス加工されている。
【0043】
図3は、本発明によるワイピング装置の例示的な一実施形態を示しており、ワイピング装置は2つのコンパートメントを伴うケーシングを備え、2つのコンパートメントは、第1の加圧流体(23)が、ケーシングの外側を介して、第1のコンパートメント(13)を通って第1の細長い開口部まで誘導され、第2の加圧流体(24)が、ケーシングの背部を介して、第2のコンパートメント(14)を通って補助の細長い開口部まで誘導されるように構成されている。この特定の実施形態では、主ノズルまでの流れに存在する渦を壊すために、穴が第1のコンパートメントにおける較正手段として機能する。第2のコンパートメントは、ノズル系の外側部の支持部と整列されていることが好ましい支持部を備える。ケーシングは、当業者には一般的であるように、ワイピング装置に取り付けられることができる。1つの可能性は、支持部において開口部(9)を通した締結具で、ノズル系とケーシングとを締結することである。
【0044】
本発明によるワイピング装置のモジュール式設計は、容易に組み立てられ分解されることができ、商用の亜鉛めっきラインにおいて使用されることができる装置をもたらす。さらに、本ワイピング装置は、2つの別個の気流が提供され得、十分な剛性を有する。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する金属帯上の溶融金属被覆の厚さを制御するためのマルチスロット式のガスワイピング装置であって、
前記マルチスロット式のガスワイピング装置が、第1の細長い開口部を有する主要ノズルと、それぞれ補助の細長い開口部を有する2つの補助ノズルとを備えるノズル系を備え、
前記主要ノズルおよび前記補助ノズルが並列に配置され、
前記ノズル系が、
互いに鏡像である2つのノズル構成部品(10a、10b)を備え、
前記2つのノズル構成部品(10a、10b)が共に、シム(8)に取り付けられ、それによって前記第1の細長い開口部をギャップ幅dで画定し、
各ノズル構成部品が、前記補助の細長い開口部をギャップ幅d
aで画定する、内側部および外側部を備え、
各内側部が、内側ノズルリップ(1a、1b)と、前記内側ノズルリップにおける2つの外側端部(3a、3b)とを備え、
それによって覆いを形成しており、
各外側部が、外側ノズルリップ(2a、2b)と、前記外側ノズルリップにおける2つの外側端部(4a、4b)と、複数の支持部(5a、6a、7a)とを備え、
前記複数の支持部が、前記外側ノズルリップ
およびノズル開口部に対して直角な方向で前記外側ノズルリップ(2a、2b)と一体化されている、前記マルチスロット式のガスワイピング装置。
【請求項2】
前記ノズル構成部品の前記内側部および前記外側部が着脱可能に設けられている、請求項1に記載のガスワイピング装置。
【請求項3】
前記ノズル構成部品が着脱可能に設けられている、請求項2または3に記載のガスワイピング装置。
【請求項4】
前記補助の細長い開口部の前記ギャップ幅d
aが、好ましくは0.2~3mm、より好ましくは0.3~1.5mmであり、前記ギャップ幅d
aが、前記外側ノズルリップにおける前記外側端部でのオフセットによって、または前記外側ノズルリップの凹部によって画定される、請求項1に記載のガスワイピング装置。
【請求項5】
前記外側部が一体に形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【請求項6】
前記内側ノズルリップが、中心線(50)から測定された10~20°の角度αで存在し、かつ/あるいは、前記外側ノズルリップが、前記中心線(50)から測定された20~40°の角度βで存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【請求項7】
前記複数の支持部が、ノズル開口部において4~12°で面取りされている、請求項1~6のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【請求項8】
前記第1の細長い開口部に第1の加圧流体が供給され、前記補助の細長い開口部に第2の加圧流体が供給される、請求項1~7のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【請求項9】
前記第1の加圧流体が第1のコンパートメント(13)を通って前記第1の細長い開口部まで誘導され、前記第2の加圧流体が第2のコンパートメント(14)を通って前記補助の細長い開口部まで誘導されるように構成されている、2つのコンパートメントを有するケーシングをさらに備える、請求項8に記載のガスワイピング装置。
【請求項10】
前記ケーシングが、前記第1のコンパートメントと流体接続するガス入口(23)を外側に備える、請求項9に記載のガスワイピング装置。
【請求項11】
前記ケーシングの前記第1のコンパートメントが、渦を減らすための較正手段を備える、請求項9または10に記載のガスワイピング装置。
【請求項12】
前記ケーシングが、前記第2のコンパートメントと流体接続するガス入口(24)を背部に備える、請求項9~11のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【請求項13】
前記ケーシングの前記第2のコンパートメントが複数の支持部を備える、請求項9~12のいずれか一項に記載のガスワイピング装置。
【請求項14】
前記ケーシングの前記複数の支持部が、前記ノズル構成部品の前記外側部の前記複数の支持部と整列されている、請求項13に記載のガスワイピング装置。
【請求項15】
前記ケーシングの前記複数の支持部が、背部のガス入口において面取りされている、請求項13または14に記載のガスワイピング装置。
【国際調査報告】