IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キル・レガー・セラピューティクス・インコーポレーテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】SOS1阻害剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20231228BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231228BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231228BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 31/553 20060101ALI20231228BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 31/541 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
C07D471/04 117N
C07D471/04 CSP
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P35/02
A61K31/5377
A61K31/519
A61K31/553
C07D519/00 301
A61K31/541
C07D519/00 311
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538699
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 US2021064668
(87)【国際公開番号】W WO2022140427
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/138288
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521220895
【氏名又は名称】キル・レガー・セラピューティクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ワン,カイリァン
(72)【発明者】
【氏名】フー,チロン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】フェン,テン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,フェイ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ウェンジ
【テーマコード(参考)】
4C065
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA01
4C065AA05
4C065BB10
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ04
4C065KK02
4C065LL07
4C065PP03
4C065PP09
4C065PP12
4C072MM02
4C072MM06
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086GA13
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC41
(57)【要約】
本開示は、式(I)
の化合物、薬学的に許容される塩または立体異性体、およびSOS1とRASファミリータンパク質またはRAC1との相互作用の阻害が治療的に利益となる状態、疾患または障害の処置における、具体的には腫瘍性疾患の処置における、それらの使用を提供する。本開示は、それを含有する組成物、ならびにそれを使用および作製する方法も特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】
その薬学的に許容される塩または立体異性体
(式中、
環Aは、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;
は、水素、ハロゲン、C1~6アルキルまたはC3~6シクロアルキルであり、Rにより表される前記C1~6アルキルまたはC3~6シクロアルキルは、ハロゲンおよび-OHから選択される1から複数の基により場合により置換されており;
Vは、NまたはCRであり;
は、水素、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-OR2a、-NR2a2b、-C(O)R2a、-C(O)OR2a、-C(O)NR2a2b、-SO2a、-SONR2a2b、-P(O)R2a2b、-NR2aC(O)R2b、-NR2aC(O)OR2b、-NR2aSO2b、-NR2aSONR2b2c、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;Rにより表される前記C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、1つまたは複数のR2dにより場合により置換されており;
2a、R2bおよびR2cは、独立して、水素、C1~6アルキル、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールおよび5~10員のヘテロアリールからなる群から選択されるか;またはR2aおよびR2bもしくはR2bおよびR2cは、それらが結合するNまたはP原子と一緒になって、4~12員のヘテロシクリルもしくは5~10員のヘテロアリールを形成し;R2a、R2bもしくはR2cにより表されるか、またはR2a、R2bもしくはR2cにより表される基中の、前記C1~6アルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、必要に応じて1つまたは複数のR2dにより置換され;
2dは、各出現で、水素、ハロゲン、オキソ、-CN、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、-OR2e、-NR2e2f、-C(O)R2e、-C(O)OR2e、-C(O)NR2e2f、-SO2e、-SONR2e2f、-P(O)R2e2f、-NR2eC(O)R2f、-NR2eC(O)OR2f、-NR2eSO2f、-NR2eSONR2f2g、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;
2e、R2fおよびR2gは独立して、水素およびC1~6アルキルからなる群から選択され;
XはNまたはCRであり;
は、水素、ハロゲンまたはC1~3アルキルであり;
は、水素またはC1~6アルキルであり;
は、水素、C1~6アルキル、3~6員の単環カルボシクリル、または4~6員の単環ヘテロシクリルであり;Rにより表される前記C1~6アルキル、3~5員の単環カルボシクリルまたは4~6員の単環ヘテロシクリルは、ハロゲンおよび-OHから選択される1つまたは複数の基と場合により置換されており;
は、水素、-OH、ハロゲン、-CN、オキソ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、-SO6a、-SONR6a6b、-P(O)R6a6b、-C(O)NR6a6b、-NR6aC(O)R6a、-NR6aC(O)NR6a6b、-(CHNR6a6b、-O(CHNR6a6b、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリール、5~10員のヘテロアリールであり;Rにより表される前記C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、1から複数のR6cにより場合により置換されており;
6aおよびR6bは、独立して水素もしくはC1~6アルキルであるか、またはR6aおよびR6bは、それらが結合しているNもしくはP原子と一緒になって、4~7員のヘテロシクリルを形成し;
sは0~3の整数であり;
tは2~4の整数であり;
6cは、各出現で、水素、-OH、ハロゲン、-CN、オキソ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~6シクロアルキル、-NR6a6b、-SO6a、-SONR6a6b、-C(O)NR6a6b、-P(O)R6a6b、-NR6aC(O)R6a、-NR6aC(O)NR6a6b、-(CHNR6a6bまたは-O(CHNR6a6bであり;R6cにより表される前記C1~6アルキルまたはC3~6シクロアルキルは、ハロゲン、-OHおよび-NR6a6bから選択される1から複数の基と場合により置換されており;
およびRは独立して、水素、C1~6アルキル、C3~6アルケニル、C3~6アルキニル、C2~6アルコキシ、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;RもしくはRにより表される前記C1~6アルキル、C3~6アルケニル、C3~6アルキニル、C2~6アルコキシ、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールもしくは5~10員のヘテロアリールは、1つもしくは複数のR7aにより場合により置換されるか;または
およびRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、4~12員のヘテロシクリルもしくは5~10員のヘテロアリールを形成し;前記4~12員のヘテロシクリルまたは5~10員のヘテロアリールは、1つまたは複数のR7bと場合により置換されており;
7aは、水素、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-OR7c、-NR7c7d、-C(O)R7c、-C(O)OR7c、-C(O)NR7c7d、-SO7c、-P(O)R7c7d、-SONR7c7d、-NR7cC(O)R7d、-NR7cC(O)OR7d、-NR7cSO7d、-NR7cSONR7d7e、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり、R7aにより表される前記C1~6アルキル、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、1つまたは複数のR7fにより場合により置換されており;
7bは、水素、ハロゲン、-CN、オキソ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、-OR7c、-NR7c7d、-C(O)R7c、-C(O)OR7c、-C(O)NR7c7d、-SO7c、-P(O)R7c7d、-SONR7c7d、-NR7cC(O)R7d、-NR7cC(O)OR7d、-NR7cSO7d、-NR7cSONR7d7e、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり、R7bにより表されるC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリルまたは5~10員のヘテロアリールは、1つまたは複数のR7fにより場合により置換されており;
7c、R7dおよびR7eは独立して、水素、C1~6アルキル、3~12員のカルボシクリル、4~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールおよび5~10員のヘテロアリールからなる群から選択されるか;またはR7cおよびR7dは、それらが結合しているNもしくはP原子と一緒になって、4~12員のヘテロシクリルもしくは5~10員のヘテロアリールを形成し;R7c、R7dもしくはR7eにより表されるかまたはR7c、R7dもしくはR7eにより表される基中の前記C1~6アルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、1つまたは複数のR7fにより場合により置換されており;
7fは、各出現で、水素、ハロゲン、-CNまたは-OHであり;
nは、0、1、2、または3であり;
前記ヘテロシクリルは、O、NおよびSから選択される1~4個のヘテロ原子を含み;前記ヘテロアリールはO、NおよびSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む)。
【請求項2】
式II
【化2】
により表される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項3】
環Aは、3~10員のカルボシクリル、4~10員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;
は、水素、C1~4アルキルまたはC3~6シクロアルキルであり;
は、水素、ハロゲン、-CN、C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、-OR2a、-NR2a2b、-C(O)R2a、-C(O)OR2a、-C(O)NR2a2b、-NR2aC(O)R2b、-NR2aC(O)OR2b、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;Rにより表される前記C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、1~3個のR2dにより場合により置換されており;
2aおよびR2bは、独立して、水素、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキルもしくはC1~6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるか;またはR2aおよびR2bは、それらが結合するN原子と一緒になって、4~12員のヘテロシクリルもしくは5~10員のヘテロアリールを形成し;
2dは、各出現で、水素、ハロゲン、オキソ、-CN、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、-OR2e、-NR2e2f、-SO2e、-P(O)R2e2f、COOR2e、CONR2e2f、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;
2eおよびR2fは独立して、水素およびC1~6アルキルからなる群から選択され;
は、水素、C1~4アルキル、3~5員の単環カルボシクリルまたは4~5員の単環ヘテロシクリルであり;
は、水素、-OH、ハロゲン、-CN、オキソ、C1~6アルキル、-(CHNR6a6b、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリール、5~10員のヘテロアリールであり;Rにより表される前記C1~6アルキル、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、必要に応じて1から複数のR6cにより置換され;
6aおよびR6bは独立して、水素またはC1~4アルキルであり;
sは0~2の整数であり;
6cは、各出現で、水素、-OH、ハロゲン、-CN、オキソ、C1~6アルキル、-NR6a6bまたは-(CHNR6a6bであり;R6bにより表される前記C1~6アルキルは、ハロゲンおよび-OHから選択される1から複数の基と場合により置換されており;
およびRは独立して、水素、C1~4アルキル、C3~4アルケニル、C3~4アルキニル、C2~4アルコキシ、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリール、または5~10員のヘテロアリールであり;RまたはRにより表される前記C1~4アルキル、C3~4アルケニル、C3~4アルキニル、C2~4アルコキシ、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリール、または5~10員のヘテロアリールは、1つもしくは複数のR7aにより場合により置換されるか;または
およびRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、4~12員のヘテロシクリルもしくは5~10員のヘテロアリールを形成し;前記4~12員のヘテロシクリルまたは5~10員のヘテロアリールは、1~3個のR7bと場合により置換されており;
7aは、水素、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-OR7c、または-NR7c7dであり;
7bは、水素、ハロゲン、-CN、オキソ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、-OR7c、-NR7c7d、-C(O)R7c、-C(O)OR7c、-SO7cまたは5~10員のヘテロアリールであり、R7bにより表されるC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、または5~10員のヘテロアリールは、1つまたは複数のR7fにより場合により置換されており;
7cもしくはR7dは独立して、水素、C1~4アルキル、3~6員の単環カルボシクリル、4~8員のヘテロシクリル、6~10員のアリールおよび5~10員のヘテロアリールからなる群から選択されるか;またはR7cおよびR7dは、それらが結合しているN原子と一緒になって、4~8員のヘテロシクリルもしくは5~10員のヘテロアリールを形成し;R7cまたはR7dにより表される前記C1~4アルキル、3~6員の単環カルボシクリル、4~8員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、1~3個のR7fと場合により置換されており;
7fは、各出現で、水素、ハロゲン、-CNまたはOHである、
請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項4】
は、水素、ハロゲン、-CN、C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;Rにより表される前記C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、1~3個のR2dにより場合により置換されており;
2dは、各出現で、水素、ハロゲン、オキソ、-CN、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、-OR2e、-NR2e2f、-SO2e、-P(O)R2e2f、COOR2e、CONR2e2f、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;
2eおよびR2fは独立して、水素およびC1~6アルキルからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項5】
およびRは独立して、水素、C1~4アルキル、C3~4アルケニル、C3~4アルキニルであり;RもしくはRにより表される前記C1~4アルキル、C3~4アルケニル、C3~4アルキニルは、1つもしくは複数のR7aにより場合により置換されるか、またはRおよびRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、4~12員のヘテロシクリルもしくは5員のヘテロアリールを形成し、その各々は1~3個のR7bと場合により置換されており;
7aは、水素、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-OR7c、または-NR7c7dであり;
7bは水素、ハロゲン、-CN、オキソ、-OH、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、-NR7c7d、-C(O)R7c、-C(O)OR7c、-SO7cまたは5~10員のヘテロアリールであり、R7bにより表されるC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、または5~10員のヘテロアリールは、1つまたは複数のR7fにより場合により置換されており;
7cもしくはR7dは独立して、水素、C1~4アルキル、3~6員の単環カルボシクリル、4~8員のヘテロシクリル、6~10員のアリールおよび5~10員のヘテロアリールからなる群から選択されるか;またはR7cおよびR7dは、それらが結合しているN原子と一緒になって、4~8員のヘテロシクリルもしくは5~10員のヘテロアリールを形成し;R7cまたはR7dにより表される前記C1~4アルキル、3~6員の単環カルボシクリル、4~8員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、1~3個のR7fと場合により置換されており;
7fは、各出現で、水素、ハロゲン、-CNまたはOHである、
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項6】
環Aは、3~6員の単環シクロアルキル、4~6員の単環ヘテロシクリル、フェニルまたは5~10員のヘテロアリールであり;
は、水素、-OH、ハロゲン、-CN、C1~6アルキルまたは-(CHNR6a6bであり;Rにより表される前記C1~6アルキルは、ハロゲンおよび-OHから選択される1から複数の基と場合により置換されており;
6aおよびR6bは独立して、水素またはC1~4アルキルであり;
sは0または1である、
請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項7】
環Aは、シクロプロピル、フェニル、チオフェニルまたはインドールである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項8】
式(III-A)または(III-B)
【化3】
により表される、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項9】
は水素、ハロゲン、C1~4アルキルまたは-(CH)NR6a6bであり;Rにより表される前記C1~4アルキルは、ハロゲンおよび-OHから選択される1から複数の基と場合により置換されており;R6aおよびR6bは独立して、水素またはC1~4アルキルである、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項10】
は水素、メチルまたはエチル、必要に応じてメチルである、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項11】
は、水素、ハロゲン、-CN、C1~4アルキル、C2~4アルケニル、3~6員の単環シクロアルキル、5~6員の単環ヘテロシクリル、フェニルまたは5~10員のヘテロアリールであり;Rにより表される前記C1~4アルキル、3~6員の単環シクロアルキル、5~6員の単環ヘテロシクリル、フェニル、または5~10員のヘテロアリールは、1~3個のR2dにより場合により置換されており;
2dは、各出現で、水素、ハロゲン、オキソ、-CN、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、-OR2e、-NR2e2f、-SO2e、-P(O)R2e2f、COOR2e、CONR2e2f、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、フェニルまたは5~10員のヘテロアリールであり;
2eおよびR2fは独立して、水素およびC1~6アルキルからなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項12】
はフェニルまたは5~10員のヘテロアリールであり;前記フェニルまたは5~10員のヘテロアリールは1~3個のR2dにより場合により置換されており;
2dは、各出現で、水素、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、-OR2e、-NR2e2f、-SO2e、-P(O)R2e2f、COOR2e、CONR2e2f、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、フェニルまたは5~10員のヘテロアリールであり;
2eおよびR2fは独立して、水素およびC1~6アルキルからなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項13】
は、フェニル、ピリジル、ピリミジル、イミダゾリル、ピラゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリミジン、イミダゾ[1,2-a]ピリジン、またはトリアゾロ[4,3-a]ピリジンであり、その各々は1~3個のR2dにより場合により置換されており;R2dは、水素、ハロゲン、-CN、-CH、-CF、-NH、-S(O)Me、-OCH、COOH、CONH、COOMe、-P(O)(CH、-CHCHOHおよび-CHCHFからなる群から選択される、請求項12に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項14】
はフェニルまたはピリジルであり;その各々は1~3個のR2dにより場合により置換されており;R2dは水素、ハロゲン、-CN、-CH、-CF、-NH、-S(O)Me、-OCH、COOH、CONH、COOMe、-P(O)(CH、-CHCHOHおよび-CHCHFからなる群から選択される、請求項13に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項15】
およびRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員のヘテロシクリルもしくは5員のヘテロアリールを形成し、その各々は、ハロゲン、-CN、オキソ、-OH、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、-C(O)R7c、-C(O)OR7c、および必要に応じてCNと置換されているピリジニルから選択される1~3個の基と場合により置換されており;
7cは独立して、水素、必要に応じて-CNまたは-OHと置換されているC1~4アルキルからなる群から選択される、
請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項16】
およびRは独立して、水素またはC1~4アルキルであり、必要に応じて、RおよびRはメチルである、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項17】
は、H、F、Br、CH、-CN、
【化4】
からなる群から選択される
(式中、R2dは、水素、ハロゲン、-CN、-CH、-CF、-NH、-S(O)Me、-OCH、COOH、CONH、COOMe、-P(O)(CH、-CHCHOHおよび-CHCHFからなる群から選択される)、
請求項1から11、15および16のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項18】
およびRは、それらが結合している原子と一緒になって、
【化5】
からなる群から選択されるヘテロシクリルを形成し、その各々は、必要に応じて、-F、-CN、オキソ、-OH、メチル、イソプロピル、メトキシ、-C(O)R7c、-C(O)OR7c、および必要に応じてCNと置換されているピリジニルから選択される1~3つの基と置換される、請求項1から15および17のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項19】
表1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項21】
疾患および/または状態を有する対象を処置する方法であって、SOS1とRASファミリータンパク質またはRAC1との相互作用の阻害が治療的に利益となり、前記対象に治療有効量の請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体を投与するステップを含む、方法。
【請求項22】
がんを有する対象を処置する方法であって、前記対象に治療有効量の請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体を投与するステップを含む、方法。
【請求項23】
前記化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体は、治療有効量の少なくとも1つの他の薬理学的に活性な物質と組み合わせて投与される、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの他の薬理学的に活性な物質がMEKおよび/またはその突然変異体の阻害剤である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記がんは、膵臓がん、肺がん、結腸直腸がん、胆管細胞癌、多発性骨髄腫、黒色腫、子宮がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、急性骨髄性白血病、膀胱がん、尿路上皮がん、胃がん、子宮頚部がん、頭頸部扁平上皮癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道がん、慢性リンパ性白血病、肝細胞がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膠芽腫、腎がんおよび肉腫からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月22日に出願された国際特許出願第PCT/CN2020/138288号に対する優先権の利益を主張する。上述の出願の全体の内容が、本明細書に参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
KRAS(V-Ki-ras2 Kirstenラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ)、NRAS(神経芽腫RASウイルス癌遺伝子ホモログ)およびHRAS(Harveyマウス肉腫ウイルス癌遺伝子)を含むRASファミリータンパク質およびそれらの任意の突然変異体は、GTP結合状態またはGDP結合状態のいずれかで細胞内に存在する低分子量GTPアーゼである(McCormickら、J. Mol. Med.(Berl).、2016年、94巻(3号):253~8頁;Nimnualら、Sci. STKE.、2002年、2002巻(145号):pe36頁)。RASファミリータンパク質は弱い固有のGTPアーゼ活性および遅いヌクレオチド交換速度を有する(Hunterら、Mol. Cancer Res.、2015年、13巻(9号):1325~35頁)。GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)、例えばNF1の結合は、RASファミリータンパク質のGTPアーゼ活性を増大させる。グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)、例えばSOS1(Son of Sevenless 1)の結合は、RASファミリータンパク質からGDPの放出を促進し、GTP結合を可能とする(Chardinら、Science、1993年、260巻(51 12号):1338~43頁)。GTP結合状態であるとき、RASファミリータンパク質は活性であり、C-RAFおよびホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)を含むエフェクタータンパク質と会合して、RAF/分裂促進因子または細胞外シグナル調節キナーゼ(MEK/ERK)経路、PI3K/AKT/ラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)経路およびRaIGDS(Ralグアニンヌクレオチド解離刺激因子)経路を促進する(McCormickら、J. Mol. Med.(Berl).、2016年、94巻(3号):253~8頁;Rodriguez-Vicianaら、Cancer Cell.2005年、7巻(3号):205~6頁)。これらの経路は、多様な細胞プロセス、例えば増殖、生存、代謝、運動性、血管新生、免疫および成長に影響を与える(Youngら、Adv. Cancer Res.、2009年、102巻:1~17頁;Rodriguez-Vicianaら、Cancer Cell.2005年、7巻(3号):205~6頁)。
【0003】
RASファミリータンパク質中のがん関連突然変異は、これらの内因性かつGAP誘導性のGTPアーゼ活性を抑制し、GTP結合/活性RASファミリータンパク質の集団の増大をもたらす(McCormickら、Expert Opin. Ther. Targets.、2015年、19巻(4号):451~4頁;Hunterら、Mol. Cancer Res.、2015年、13巻(9号):1325~35頁)。これは次に、RASファミリータンパク質の下流のエフェクター経路(例えばMEK/ERK、PI3K/AKT/mTOR、RaIGDS経路)の持続的な活性化をもたらす。KRAS突然変異(例えばアミノ酸G12、G13、Q61、A146)は、肺がん、結腸直腸がんおよび膵臓がんを含む様々なヒトのがんに認められる(Coxら、Nat. Rev. Drug Discov.、2014年、13巻(11号):828~51頁)。HRAS(例えばアミノ酸G12、G13、Q61)およびNRAS(例えばアミノ酸G12、G13、Q61、A146)中の突然変異も、様々なヒトがん種に認められるが、典型的にはKRAS突然変異と比較してより低頻度である(Coxら、Nat. Rev. Drug Discov.、2014年、13巻(11号):828~51頁)。RASファミリータンパク質における変化(例えば突然変異、過剰発現、遺伝子増幅)は、がん薬物、例えばEGFR抗体セツキシマブおよびパニツムマブ(Letoら、J. Mol. Med.(Berl).2014年7月;92巻(7号):709~22頁)ならびにEGFRチロシンキナーゼ阻害剤オシメルチニブ/AZD9291(Ortiz-Cuaranら、Clin. Cancer Res.、2016年、22巻(19号):4837~47頁;Eberleinら、Cancer Res.、2015年、75巻(12号):2489~500頁)に対する耐性機構として説明される。
【0004】
Son of Sevenless 1(SOS1)は当初同定されたショウジョウバエ(Drosophila)のタンパク質であるSon of Sevenlessのヒトホモログである(Pierreら、Biochem. Pharmacol.、2011年、82巻(9号):1049~56頁;Chardinら、Cytogenet. Cell. Genet.、1994年、66巻(1号):68~9頁)。SOS1タンパク質は、1333個のアミノ酸(150kDa)からなる。SOS1は、2つのタンデムN末端ヒストンドメイン(HD)を有し、Dbl相同性領域(DH)、Pleckstrin相同性領域(PH)、ヘリカルリンカー(HL)、RAS交換モチーフ(REM)、CDC25相同性領域およびC末端プロリンリッチドメイン(PR)が続く、マルチドメインタンパク質である。SOS1は、RASファミリータンパク質に対する2つの結合部位、GDP結合RASファミリータンパク質に結合してグアニンヌクレオチド交換を促進する触媒部位、およびGTP結合RASファミリータンパク質に結合しSOS1の触媒GEF機能をさらに増大するアロステリック部位を有する(Freedmanら、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A.、2006年、103巻(45号):16692~7頁;Pierreら、Biochem. Pharmacol.、2011年、82巻(9号):1049~56頁)。公開されたデータは、がんにおける突然変異体KRAS活性化および発癌性シグナル伝達における、SOS1の重要な関与を示す(Jengら、Nat. Commun.、2012年、3巻:1号168頁)。SOS1レベルの枯渇は、KRAS突然変異を有する腫瘍細胞の増殖速度および生存を低減したが、KRAS野生型細胞株において効果は観察されなかった。触媒部位が突然変異したSOS1の導入によってSOS1喪失の効果をレスキューすることはできず、KRAS突然変異がん細胞におけるSOS1 GEF活性の必須の役割を実証している。
【0005】
SOS1は、RASファミリータンパク質における突然変異以外の機構によって、がんにおけるRASファミリータンパク質シグナル伝達の活性化に決定的に関与する。SOS1はアダプタータンパク質Grb2と相互作用し、結果として生じたSOS1/Grb2複合体は、活性化/リン酸化受容体チロシンキナーゼ(例えばEGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4、PDGFR-A/B、FGFR1/2/3、IGF1R、INSR、ALK、ROS、TrkA、TrkB、TrkC、RET、c-MET、VEGFR1/2/3、AXL)に結合する(例えばPierreら、Biochem.Pharmacol.、2011年、82巻(9号):1049~56頁)。SOS1はまた、他のリン酸化細胞表面受容体、例えばT細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)および単球コロニー刺激因子(monocyte colony-stimulating factor)受容体にリクルートされる(Salojinら、J. Biol. Chem.2000年、275巻(8号):5966~75頁)。RASファミリータンパク質に近接する原形質膜へのこのSOS1の局在化は、SOS1がRASファミリータンパク質活性化を促進することを可能とする。RASファミリータンパク質のSOS1活性化はまた、慢性骨髄性白血病において一般的に認められるBCR-ABL腫瘍性タンパク質とのSOS1/Grb2の相互作用により媒介されることがある(Kardinalら、2001年、Blood、98巻:1773~81頁;Siniら、Nat. Cell Biol.、2004年、6巻(3号):268~74頁)。さらに、SOS1の変化はがんに関係する。SOS1突然変異は、胎児型横紋筋肉腫(embryonal rhabdomyosarcomas)、精巣セルトリ細胞腫、皮膚の顆粒細胞腫(Denayerら、Genes Chromosomes Cancer、2010年、49巻(3号):242~52頁)および肺腺癌(Cancer Genome Atlas Research Network.、Nature. 2014年、511巻(7511号):543~50頁)に認められる。一方、SOS1の過剰発現は、膀胱がん(Watanabeら、IUBMB Life.、2000年、49巻(4号):317~20頁)および前立腺がん(Timofeevaら、Int. J. Oncol.、2009年、35巻(4号):751~60頁)において説明されている。がんに加えて、遺伝性SOS1突然変異は、ヌーナン症候群(NS)、心臓・顔・皮膚症候群(cardio-facio-cutaneous syndrome)(CFC)および遺伝性歯肉線維腫症1型のようなラソパチー(RASopathies)の発病に関係する(Pierreら、Biochem. Pharmacol.、2011年、82巻(9号):1049~56頁)。
【0006】
SOS1はまた、GTPアーゼRAC1(Ras関連C3ボツリヌストキシン基質1)の活性化のためのGEFである(Innocentiら、J. Cell Biol.、2002年、156巻(1号):125~36頁)。RAC1は、RASファミリータンパク質と同様に、様々なヒトがんおよび他の疾患の発病に関係する(Bidら、Mol. Cancer Ther.2013年、12巻(10号):1925~34頁)。
【0007】
哺乳動物細胞におけるSOS1のホモログであるSon of Sevenless 2(SOS2)も、RASファミリータンパク質の活性化のためのGEFとして作用する(Pierreら、Biochem. Pharmacol.、2011年、82巻(9号):1049~56頁;Budayら、Biochim. Biophys. Acta.、2008年、1786巻(2号):178~87頁)。公開されたマウスノックアウトモデルのデータは、成体マウスにおける恒常性維持におけるSOS1およびSOS2の余剰の役割を示唆する。マウスにおけるSOS1の生殖系ノックアウトは、妊娠の胎生中期(mid-embryonic gestation)の間で致死という結果となる一方(Qianら、EMBO J.、2000年、19巻(4号):642~54頁)、全身性の条件的なSOS1ノックアウト成体マウスは生存可能である(Baltanasら、Mol. Cell. Biol.、2013年、33巻(22号):4562~78頁)。SOS2遺伝子標的化は、マウスにおいていかなる明白な表現型も生じなかった(Estebanら、Mol. Cell. Biol.、2000年、20巻(17号):6410~3頁)。対照的に、SOS1およびSOS2のダブルノックアウトは、成体マウスにおいて急速な致死をもたらす(Baltanasら、Mol. Cell. Biol.、2013年、33巻(22号):4562~78頁)。これらの公開されたデータは、個々のSOSアイソフォームの選択的な標的化(例えば、選択的SOS1標的化)が、SOS1/RASファミリータンパク質駆動性のがん(または他のSOS1/RASファミリータンパク質の病態)と正常な細胞および組織との間で治療指数を達成することを適切に許容できることを示唆する。
【0008】
RASファミリータンパク質へのSOS1触媒部位の結合の選択的薬理学的阻害は、RASファミリータンパク質のGTP結合形態へのSOS1媒介性の活性化を防止することが期待される。このようなSOS1阻害剤化合物は、RASファミリータンパク質の下流の細胞でのシグナル伝達(例えば、ERKリン酸化)を結果的に阻害することが期待される。RASファミリータンパク質に対する依存性に関連するがん細胞(例えば、KRAS突然変異がん細胞株)において、SOS1阻害剤化合物は、抗がん有効性(例えば、増殖、生存、転移などの阻害)を実現させることが期待される。SOS1:RASファミリータンパク質結合(ナノモルレベルのIC50値)および細胞におけるERKリン酸化(ナノモルレベルのIC50値)の阻害に対する高い効力は、SOS1阻害剤化合物についての望ましい特徴である。さらに、SOS1阻害剤化合物の望ましい特徴は、SOS2と対比してSOS1への選択的阻害であろう。この結論は、上記のように、SOS1ノックアウトマウスの生存可能な表現型およびSOS1/SOS2ダブルノックアウトマウスの致死性に基づく。
【0009】
これらの特徴は、先に記載したSOS1阻害剤化合物では十分には達成されない。この数十年で、RASファミリータンパク質-SOS1タンパク質相互作用は、ますます認識されるようになった。今日まで、結合剤を同定し最適化するいくつかの取組みは、RASのエフェクター結合部位またはSOS1の触媒結合部位のいずれかを標的にするが(選択的な総説としてLuら、ChemMedChem.2016年、11巻(8号):814~21頁を参照のこと)、成功は限定的なものであった。
【0010】
近年、RAS結合部位に近接するSOS1の親油性ポケットに結合する、活性化小分子が同定された(Bumsら、Proc. Natl. Acad. Sci. 2014年、111巻(9号):3401~6頁)。しかし、これらの分子の結合は、ヌクレオチド交換を増加させ、それにより失活させる代わりにRASの活性化を引き起こすようである。
【0011】
RASファミリータンパク質とSOS1とのタンパク質-タンパク質相互作用を安定化し、GTPでRASファミリータンパク質を再充填することを防止する取組みにおいて、その後、いくつかの異なる断片が同定された(Winterら、J. Med. Chem. 2015年、58巻(5号):2265~74頁)。しかし、SOS1に対する断片の可逆的な結合は、ヌクレオチド交換の測定可能な効果へと変換されず、RASと共有結合した断片で弱い効果のみが観察された。
【0012】
最近はまた、SOS1の小分子阻害剤、すなわちSOS1に結合しRASファミリータンパク質とのタンパク質-タンパク質相互作用を阻害する化合物を同定するために、合理的な設計とスクリーニングプラットフォームとを組み合わせる研究が行われている(Evelynら、Chem. Biol.2014年、21巻(12号):1618~28頁、Evelynら、J. Biol. Chem.2015年、290巻(20号):12879~98頁、Zhengら、WO2016/077793)。SOS1に対するわずかな阻害効果を有する化合物が同定されているが、グアニンヌクレオチド交換および細胞シグナル伝達の調節(例えば、ERKリン酸化)の効果は弱い。WO2018/115380およびWO2018/172250は、キナゾリンベースのSOS阻害剤を開示する。
【0013】
したがって、疾患および障害(例えば腫瘍性疾患)の処置のためのSOS1活性を調節する新たな化合物についての必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示は、SOS1阻害剤、例えば構造式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩、立体異性体および医薬組成物を提供する。意外なことに、本明細書において開示される化合物がヒト肝ミクロソーム安定性を著しく改善し、SOS1活性を効果的に阻害することが判明した。
【0015】
【化1】
【0016】
本開示は、SOS1の活性を阻害するための、本明細書において開示される化合物(例えば構造式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物)その薬学的に許容される塩、立体異性体または医薬組成物を使用する方法をさらに提供する。
【0017】
本開示は、SOS1とRASファミリータンパク質またはRAC1との相互作用の阻害が治療的に利益となる状態、疾患または障害を処置するための、具体的には腫瘍性疾患の処置における、本明細書において開示される化合物(例えば構造式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物)、その薬学的に許容される塩、立体異性体または医薬組成物を使用するための方法をさらに提供する。
【0018】
一態様では、本開示は、本明細書において記載される式(例えば構造式(I)、(II)、(III-A)または(III-B))のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体を提供する。
【0019】
一態様では、本開示は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を有する混合物中に、本明細書において記載される実施形態のいずれか1つにおいて定義されるような、本明細書において記載される式(例えば構造式(I)、(II)、(III-A)または(III-B))のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体を含む医薬組成物を提供する。
【0020】
別の態様では、本開示は、医薬としての使用のための、本明細書において記載される実施形態のいずれか1つにおいて定義されるような、本明細書において記載される式(例えば構造式(I)、(II)、(III-A)または(III-B))のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体を提供する。
【0021】
別の態様では、本開示は、SOS1とRASファミリータンパク質またはRAC1との相互作用の阻害が治療的に利益となる状態、疾患または障害の処置における、具体的には腫瘍性疾患の処置における使用のための、本明細書において記載される実施形態のいずれか1つにおいて定義されるような、本明細書において記載される式(例えば構造式(I)、(II)、(III-A)または(III-B))のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体を提供する。
【0022】
別の態様では、本開示は、SOS1とRASファミリータンパク質またはRAC1との相互作用の阻害が治療的に利益となる状態、疾患または障害を処置するための、具体的には腫瘍性疾患の処置における医薬の製造のための、本明細書において記載される実施形態のいずれか1つにおいて定義されるような、本明細書において記載される式(例えば構造式(I)、(II)、(III-A)または(III-B))のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.化合物
第1の実施形態では、本開示は、式(I)
【0024】
【化2】
【0025】
により表される化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体(式中、
環Aは、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;
は、水素、ハロゲン、C1~6アルキルまたはC3~6シクロアルキルであり、Rにより表される前記C1~6アルキルまたはC3~6シクロアルキルは、ハロゲンおよび-OHから選択される1から複数の基により場合により置換されており;
Vは、NまたはCRであり;
は、水素、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-OR2a、-NR2a2b、-C(O)R2a、-C(O)OR2a、-C(O)NR2a2b、-SO2a、-SONR2a2b、-P(O)R2a2b、-NR2aC(O)R2b、-NR2aC(O)OR2b、-NR2aSO2b、-NR2aSONR2b2c、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;Rにより表される前記C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、1つまたは複数のR2dにより場合により置換されており;
2a、R2bおよびR2cは、独立して、水素、C1~6アルキル、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールおよび5~10員のヘテロアリールからなる群から選択されるか;またはR2aおよびR2bもしくはR2bおよびR2cは、それらが結合するNまたはP原子と一緒になって、4~12員のヘテロシクリルもしくは5~10員のヘテロアリールを形成し;R2a、R2bもしくはR2cにより表されるか、またはR2a、R2bもしくはR2cにより表される基中の、前記C1~6アルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、必要に応じて1つまたは複数のR2dにより置換され;
2dは、各出現で、水素、ハロゲン、オキソ、-CN、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、-OR2e、-NR2e2f、-C(O)R2e、-C(O)OR2e、-C(O)NR2e2f、-SO2e、-SONR2e2f、-P(O)R2e2f、-NR2eC(O)R2f、-NR2eC(O)OR2f、-NR2eSO2f、-NR2eSONR2f2g、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;
2e、R2fおよびR2gは独立して、水素およびC1~6アルキルからなる群から選択され;
XはNまたはCRであり;
は、水素、ハロゲンまたはC1~3アルキルであり;
は、水素またはC1~6アルキルであり;
は、水素、C1~6アルキル、3~6員の単環カルボシクリル、または4~6員の単環ヘテロシクリルであり;Rにより表される前記C1~6アルキル、3~6員の単環カルボシクリルまたは4~6員の単環ヘテロシクリルは、ハロゲンおよび-OHから選択される1つまたは複数の基と場合により置換されており;
は、水素、-OH、ハロゲン、-CN、オキソ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、-SO6a、-SONR6a6b、-P(O)R6a6b、-C(O)NR6a6b、-NR6aC(O)R6a、-NR6aC(O)NR6a6b、-(CHNR6a6b、-O(CHNR6a6b、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリール、5~10員のヘテロアリールであり;Rにより表される前記C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、1から複数のR6cにより場合により置換されており;
6aおよびR6bは、独立して水素もしくはC1~6アルキルであるか、またはR6aおよびR6bは、それらが結合しているNもしくはP原子と一緒になって、4~7員のヘテロシクリルを形成し;
sは0~3の整数であり;
tは2~4の整数であり;
6cは、各出現で、水素、-OH、ハロゲン、-CN、オキソ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~6シクロアルキル、-NR6a6b、-SO6a、-SONR6a6b、-C(O)NR6a6b、-P(O)R6a6b、-NR6aC(O)R6a、-NR6aC(O)NR6a6b、-(CHNR6a6bまたは-O(CHNR6a6bであり;R6cにより表される前記C1~6アルキルまたはC3~6シクロアルキルは、ハロゲン、-OHおよび-NR6a6bから選択される1から複数の基と場合により置換されており;
およびRは独立して、水素、C1~6アルキル、C3~6アルケニル、C3~6アルキニル、C2~6アルコキシ、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;RもしくはRにより表される前記C1~6アルキル、C3~6アルケニル、C3~6アルキニル、C2~6アルコキシ、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールもしくは5~10員のヘテロアリールは、1つもしくは複数のR7aにより場合により置換されているか、または
およびRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、4~12員のヘテロシクリルもしくは5~10員のヘテロアリールを形成し;前記4~12員のヘテロシクリルまたは5~10員のヘテロアリールは、1つまたは複数のR7bと場合により置換されており;
7aは、水素、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-OR7c、-NR7c7d、-C(O)R7c、-C(O)OR7c、-C(O)NR7c7d、-SO7c、-P(O)R7c7d、-SONR7c7d、-NR7cC(O)R7d、-NR7cC(O)OR7d、-NR7cSO7d、-NR7cSONR7d7e、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり、R7aにより表される前記C1~6アルキル、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、1つまたは複数のR7fにより場合により置換されており;
7bは、水素、ハロゲン、-CN、オキソ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、-OR7c、-NR7c7d、-C(O)R7c、-C(O)OR7c、-C(O)NR7c7d、-SO7c、-P(O)R7c7d、-SONR7c7d、-NR7cC(O)R7d、-NR7cC(O)OR7d、-NR7cSO7d、-NR7cSONR7d7e、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり、R7bにより表されるC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、3~12員のカルボシクリル、3~12員のヘテロシクリルまたは5~10員のヘテロアリールは、1つまたは複数のR7fにより場合により置換されており;
7c、R7dおよびR7eは独立して、水素、C1~6アルキル、3~12員のカルボシクリル、4~12員のヘテロシクリル、6~10員のアリールおよび5~10員のヘテロアリールからなる群から選択されるか;またはR7cおよびR7dは、それらが結合しているNもしくはP原子と一緒になって、4~12員のヘテロシクリルもしくは5~10員のヘテロアリールを形成し;R7c、R7dもしくはR7eにより表されるかまたはR7c、R7dもしくはR7eにより表される基中の前記C1~6アルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、1つまたは複数のR7fにより場合により置換されており;
7fは、各出現で、水素、ハロゲン、-CNまたはOHであり;
nは、0、1、2、または3であり;
前記ヘテロシクリルは、O、NおよびSから選択される1~4個のヘテロ原子を含み;前記ヘテロアリールはO、NおよびSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む)
を提供する。
【0026】
第2の実施形態では、本開示は、第1の実施形態による化合物であって、式II
【0027】
【化3】
【0028】
により表される化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体を提供し、変数の定義は第1の実施形態において提供される。
第3の実施形態では、本開示は、第1および第2の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体
(式中、
環Aは、3~10員のカルボシクリル、4~10員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;
は、水素、C1~4アルキルまたはC3~6シクロアルキルであり;
は、水素、ハロゲン、-CN、C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、-OR2a、-NR2a2b、-C(O)R2a、-C(O)OR2a、-C(O)NR2a2b、-NR2aC(O)R2b、-NR2aC(O)OR2b、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;Rにより表される前記C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、1~3個のR2dにより場合により置換されており;
2aおよびR2bは、独立して、水素、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキルもしくはC1~6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるか;またはR2aおよびR2bは、それらが結合するN原子と一緒になって、4~12員のヘテロシクリルもしくは5~10員のヘテロアリールを形成し;
2dは、各出現で、水素、ハロゲン、オキソ、-CN、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、-OR2e、-NR2e2f、-SO2e、-P(O)R2e2f、COOR2e、CONR2e2f、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;
2eおよびR2fは独立して、水素およびC1~6アルキルからなる群から選択され;
は、水素、C1~4アルキル、3~5員の単環カルボシクリルまたは4~5員の単環ヘテロシクリルであり;
は、水素、-OH、ハロゲン、-CN、オキソ、C1~6アルキル、-(CHNR6a6b、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリール、5~10員のヘテロアリールであり;Rにより表される前記C1~6アルキル、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、必要に応じて1つまたは複数のR6cにより置換され;
6aおよびR6bは独立して、水素またはC1~4アルキルであり;
sは0~2の整数であり;
6cは、各出現で、水素、-OH、ハロゲン、-CN、オキソ、C1~6アルキル、-NR6a6bまたは-(CHNR6a6bであり;R6cにより表される前記C1~6アルキルは、ハロゲンおよび-OHから選択される1から複数の基と場合により置換されており;
およびRは独立して、水素、C1~4アルキル、C3~4アルケニル、C3~4アルキニル、C2~4アルコキシ、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリール、または5~10員のヘテロアリールであり;RもしくはRにより表される前記C1~4アルキル、C3~4アルケニル、C3~4アルキニル、C2~4アルコキシ、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリール、または5~10員のヘテロアリールは、1つもしくは複数のR7aにより場合により置換されているか;または
およびRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、4~12員のヘテロシクリルもしくは5~10員のヘテロアリールを形成し;前記4~12員のヘテロシクリルまたは5~10員のヘテロアリールは、1~3個のR7bと場合により置換されており;
7aは、水素、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-OR7c、または-NR7c7dであり;
7bは、水素、ハロゲン、-CN、オキソ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、-OR7c、-NR7c7d、-C(O)R7c、-C(O)OR7c、-SO7cまたは5~10員のヘテロアリールであり、R7bにより表されるC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、または5~10員のヘテロアリールは、1つまたは複数のR7fにより場合により置換されており;
7cもしくはR7dは独立して、水素、C1~4アルキル、3~6員の単環カルボシクリル、4~8員のヘテロシクリル、6~10員のアリールおよび5~10員のヘテロアリールからなる群から選択されるか;またはR7cおよびR7dは、それらが結合しているN原子と一緒になって、4~8員のヘテロシクリルもしくは5~10員のヘテロアリールを形成し;R7cまたはR7dにより表される前記C1~4アルキル、3~6員の単環カルボシクリル、4~8員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、1~3個のR7fと場合により置換されており;
7fは、各出現で、水素、ハロゲン、-CNまたはOHである)
を提供する。
【0029】
第4の実施形態では、本開示は、第1~第3の実施形態のいずれか1つによる化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体
(式中、
は、水素、ハロゲン、-CN、C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;Rにより表される前記C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、1~3個のR2dにより場合により置換されており;
2dは、各出現で、水素、ハロゲン、オキソ、-CN、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、-OR2e、-NR2e2f、-SO2e、-P(O)R2e2f、COOR2e、CONR2e2f、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールであり;
2eおよびR2fは独立して、水素およびC1~6アルキルからなる群から選択される)
を提供する。
【0030】
第5の実施形態では、本開示は、第1~第4の実施形態のいずれか1つによる化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体
(式中、
およびRは独立して、水素、C1~4アルキル、C3~4アルケニル、C3~4アルキニルであり;RもしくはRにより表される前記C1~4アルキル、C3~4アルケニル、C3~4アルキニルは、1つもしくは複数のR7aにより場合により置換されているか;または
およびRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、4~12員のヘテロシクリルもしくは5員のヘテロアリールを形成し、その各々は1~3個のR7bと場合により置換されており;
7aは、水素、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-OR7c、または-NR7c7dであり;
7bは、水素、ハロゲン、-CN、オキソ、-OH、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、-NR7c7d、-C(O)R7c、-C(O)OR7c、-SO7cまたは5~10員のヘテロアリールであり、R7bにより表されるC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、または5~10員のヘテロアリールは、1つまたは複数のR7fにより場合により置換されており;
7cもしくはR7dは独立して、水素、C1~4アルキル、3~6員の単環カルボシクリル、4~8員のヘテロシクリル、6~10員のアリールおよび5~10員のヘテロアリールからなる群から選択されるか;またはR7cおよびR7dは、それらが結合しているN原子と一緒になって、4~8員のヘテロシクリルもしくは5~10員のヘテロアリールを形成し;R7cまたはR7dにより表される前記C1~4アルキル、3~6員のカルボシクリル、4~8員のヘテロシクリル、6~10員のアリールまたは5~10員のヘテロアリールは、1~3個のR7fと場合により置換されており;
7fは、各出現で、水素、ハロゲン、-CNまたはOHである)
を提供する。
【0031】
第6の実施形態では、本開示は、第1、第2、第3、第4または第5の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体
(式中、
環Aは、3~6員の単環シクロアルキル、4~6員の単環ヘテロシクリル、フェニルまたは5~10員のヘテロアリールであり;
は、水素、-OH、ハロゲン、-CN、C1~6アルキルまたは-(CHNR6a6bであり;Rにより表される前記C1~6アルキルは、ハロゲンおよび-OHから選択される1から複数の基と場合により置換されており;
6aおよびR6bは独立して、水素またはC1~4アルキルであり;
sは0または1である)
を提供する。
【0032】
第7の実施形態では、本開示は、第1、第2、第3、第4、第5または第6の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体(式中、環Aは、シクロプロピル、フェニル、チオフェニルまたはインドールである)
を提供する。
【0033】
第8の実施形態では、本開示は、第1、第2、第3、第4、第5、第6または第7の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体を提供し、化合物は式(III-A)または(III-B)
【0034】
【化4】
【0035】
により表される。
変数の定義は、第1から第7の実施形態のいずれか1つにおいて提供される。
第9の実施形態では、本開示は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体(式中、Rは、水素、ハロゲン、C1~4アルキルまたは-(CH)NR6a6bであり;Rにより表される前記C1~4アルキルは、ハロゲンおよび-OHから選択される1から複数の基と場合により置換されており;R6aおよびR6bは独立して、水素またはC1~4アルキルである)
を提供する。
【0036】
第10の実施形態では、本開示は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8または第9の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体(式中、Rは、水素、メチルまたはエチル、必要に応じてメチルである)を提供する。
【0037】
第11の実施形態では、本開示は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9または第10の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体
(式中、
は、水素、ハロゲン、-CN、C1~4アルキル、C2~4アルケニル、3~6員の単環シクロアルキル、5~6員の単環ヘテロシクリル、フェニルまたは5~10員のヘテロアリールであり;Rにより表される前記C1~4アルキル、3~6員の単環シクロアルキル、5~6員の単環ヘテロシクリル、フェニル、または5~10員のヘテロアリールは、1~3個のR2dにより場合により置換されており;
2dは、各出現で、水素、ハロゲン、オキソ、-CN、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、-OR2e、-NR2e2f、-SO2e、-P(O)R2e2f、COOR2e、CONR2e2f、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、フェニルまたは5~10員のヘテロアリールであり;
2eおよびR2fは独立して、水素およびC1~6アルキルからなる群から選択される)
を提供する。
【0038】
第12の実施形態では、本開示は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10または第11の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体
(式中、
はフェニルまたは5~10員のヘテロアリールであり;前記フェニルまたは5~10員のヘテロアリールは1~3個のR2dにより場合により置換されており;
2dは、各出現で、水素、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、-OR2e、-NR2e2f、-SO2e、-P(O)R2e2f、COOR2e、CONR2e2f、3~6員の単環カルボシクリル、3~6員の単環ヘテロシクリル、フェニルまたは5~10員のヘテロアリールであり;
2eおよびR2fは独立して、水素およびC1~6アルキルからなる群から選択される)
を提供する。
【0039】
第13の実施形態では、本開示は第12の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体(式中、Rは、フェニル、ピリジル、ピリミジル、イミダゾリル、ピラゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリミジン、イミダゾ[1,2-a]ピリジン、またはトリアゾロ[4,3-a]ピリジンであり、その各々は1~3個のR2dにより場合により置換されており;R2dは、水素、ハロゲン、-CN、-CH、-CF、-NH、-S(O)Me、-OCH、COOH、CONH、COOMe、-P(O)(CH、-CHCHOHおよび-CHCHFからなる群から選択される)
を提供する。
【0040】
第14の実施形態では、本開示は第13の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体(式中、Rはフェニルまたはピリジルであり;その各々は1~3個のR2dにより場合により置換されており;R2dは、水素、ハロゲン、-CN、-CH、-CF、-NH、-S(O)Me、-OCH、COOH、CONH、COOMe、-P(O)(CH、-CHCHOHおよび-CHCHFからなる群から選択される)を提供する。
【0041】
第15の実施形態では、本開示は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13または第14の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体(式中、RおよびRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員のヘテロシクリルまたは5員のヘテロアリールを形成し、その各々はハロゲン、-CN、オキソ、-OH、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、-C(O)R7c、-C(O)OR7cおよび必要に応じてCNと置換されているピリジニルから選択される1~3つの基と場合により置換されており;
7cは独立して、水素、必要に応じて-CNまたは-OHと置換されているC1~4アルキルからなる群から選択される)
を提供する。
【0042】
第16の実施形態では、本開示は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13または第14の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体(式中、RおよびRは独立して、水素またはC1~4アルキルであり、必要に応じて、RおよびRはメチルである)を提供する。
【0043】
第17の実施形態では、本開示は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第15または第16の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体
(式中、
は、H、F、Br、CH、-CN、
【0044】
【化5】
【0045】
からなる群から選択され、
2dは、水素、ハロゲン、-CN、-CH、-CF、-NH、-S(O)Me、-OCH、COOH、CONH、COOMe、-P(O)(CH、-CHCHOHおよび-CHCHFからなる群から選択される)
を提供する。
【0046】
第18の実施形態では、本開示は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15または第17の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体(式中、RおよびRは、それらが結合している原子と一緒になって、
【0047】
【化6】
【0048】
からなる群から選択されるヘテロシクリルを形成し、
その各々は、-F、-CN、オキソ、-OH、メチル、イソプロピル、メトキシル、-C(O)R7c、-C(O)OR7cおよび必要に応じてCNと置換されているピリジニルから選択される1~3つの基と場合により置換される)
を提供する。
【0049】
一実施形態では、本開示は、実施例および表1において開示される化合物から選択される化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体を提供する。
【0050】
【表1-1】
【0051】
【表1-2】
【0052】
【表1-3】
【0053】
【表1-4】
【0054】
【表1-5】
【0055】
【表1-6】
【0056】
【表1-7】
【0057】
【表1-8】
【0058】
【表1-9】
【0059】
【表1-10】
【0060】
【表1-11】
【0061】
【表1-12】
【0062】
【表1-13】
【0063】
【表1-14】
【0064】
【表1-15】
【0065】
【表1-16】
【0066】
【表1-17】
【0067】
【表1-18】
【0068】
【表1-19】
【0069】
【表1-20】
【0070】
【表1-21】
【0071】
【表1-22】
【0072】
【表1-23】
【0073】
【表1-24】
【0074】
2.定義
「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用される場合、フッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物を指す。
【0075】
単独で、またはより大きな部分、例えば「アルコキシ」または「ハロアルキル」等の一部として使用される「アルキル」という用語は、式-C(2n+1)の飽和脂肪族の直鎖または分岐鎖の一価の炭化水素基を意味する。特に指定のない限り、アルキル基は典型的に1~6個の炭素原子を有する、すなわちC1~6アルキルである。本明細書で使用される場合、「C1~6アルキル」基は、直鎖または分岐鎖配置中に1~6個の炭素原子を有する基を意味する。例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0076】
「アルキレン」という用語は、本明細書で使用される場合、直鎖または分岐鎖の、式-C2n-の二価の炭化水素基を意味する。非限定的な例には、エチレンおよびプロピレンが挙げられる。
【0077】
「アルケニル」という用語は、1つまたは複数の炭素/炭素単結合が二重結合に置き換えられたアルキル基を意味する。
「アルキニル」という用語は、1つまたは複数の炭素/炭素単結合が三重結合に置き換えられたアルキル基を意味する。
【0078】
「アルコキシ」という用語は、酸素結合原子を通して結合するアルキル基を意味し、-O-アルキルにより表される。例えば、「(C~C)アルコキシ」には、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびブトキシが挙げられる。
【0079】
「ハロアルキル」という用語は、場合によって、1つまたは複数のハロゲン原子と置換されるアルキルを意味する。
「ヒドロキシアルキル」という用語は、場合によって、1つまたは複数の水酸基と置換されるアルキルを意味する。
【0080】
「カルボシクリル」という用語は、3~12員のカルボシクリルを有する任意の安定な非芳香族の炭化水素環を指す。一実施形態では、カルボシクリルは、3、4、5、6、7もしくは8員の単環もしくは二環、または7、8、9、10、11もしくは12員の二環もしくは三環式の炭化水素環であり、そのいずれも飽和、部分的に不飽和、または不飽和であり得る。任意の置換可能な環原子を(例えば1つまたは複数の置換基により)置換することができる。そのような炭素環の例には、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘプテニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、アダマンチル、シクロオクチル、シクロオクテニルおよびシクロオクタジエニルが挙げられる。一実施形態では、カルボシクリルは、架橋、縮合およびスピロ環式環を含むことを意図する。スピロ環式カルボシクリル中、1個の原子は2つの異なる環に共通である。スピロ環式カルボシクリルの一例は、スピロペンタニルである。架橋カルボシクリル中、環は少なくとも2個の共通の非隣接原子を共有する。架橋炭素環の例には、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エニル、およびアダマンタニルが挙げられる。縮合環カルボシクリル系中、2つまたはそれ以上の環は、2つの環が1つの共通の結合を共有するように、一緒に縮合し得る。2または3縮合環炭素環の例には、ナフタレニル、テトラヒドロナフタレニル(テトラリニル)、インデニル、インダニル(ジヒドロインデニル)、アントラセニル、フェナントレニルおよびデカリニルが挙げられる。
【0081】
「シクロアルキル」という用語は、3~12個の環状炭素を有する、環状、二環、三環または多環の飽和炭化水素基を指す。一実施形態では、シクロアルキルは3~7個の環状炭素を有し得る。任意の置換可能な環原子を(例えば1つまたは複数の置換基により)置換することができる。シクロアルキル基の例には、限定されることなく、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキルは、複数の縮合および/または架橋環を含み得る。縮合/架橋シクロアルキルの非限定的な例には、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[1.1.0]ペンタン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。シクロアルキルには、スピロ環式環(例えば、2つの環が1つの原子のみを通して結合するスピロ環式二環)も挙げられる。スピロ環式シクロアルキルの非限定的な例には、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[2.6]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[3.6]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
【0082】
「ヘテロシクリル」または「複素環式」という用語は、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有し、各ヘテロ原子が独立して窒素、四級窒素、酸化窒素(例えばNO)、酸素ならびにスルホキシドおよびスルホンを含む硫黄から選択される、3~12員の非芳香族環系の基(「3~12員のヘテロシクリル」)を指す。一部の実施形態では、ヘテロシクリル基は、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有し、各ヘテロ原子が独立して窒素、酸素および硫黄から選択される、3~7員の非芳香族環系(「3~7員のヘテロシクリル」)である。1つまたは複数の窒素原子を含有するヘテロシクリル基中、原子価が許容される場合、付着点は炭素または窒素原子であることができる。ヘテロシクリル基は、単環(「単環ヘテロシクリル」)または多環(例えば二環系(「二環ヘテロシクリル」)もしくは三環系(「三環ヘテロシクリル」)、多環式環系には縮合、架橋またはスピロ環系が挙げられる)のいずれかであることができる。例示的な単環ヘテロシクリル基には、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、テトラヒドロピリジニル等が挙げられる。ヘテロシクリル多環式環系は、多環式環系中の1つまたは複数の環中にヘテロ原子を含むことができる。置換基は、多環式環系中の1つまたは複数の環中に存在し得る。
【0083】
スピロヘテロシクリルは、環が1つの共通の炭素原子(スピロ原子と呼ばれる)を通して結合する環を有する5~12員の多環ヘテロシクリルを指し、ここで、前記環は、窒素、四級窒素、酸化窒素(例えばNO)、酸素ならびにスルホキシドおよびスルホンを含む硫黄からなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有し、残りの環原子はCであり、1つまたは複数の環は1つまたは複数の二重結合を含有し得るが、いずれの環も完全に共役したπ電子系を有しない。スピロヘテロシクリルの代表的な例には、限定されるものではないが、以下の基:
【0084】
【化7】
【0085】
が挙げられる。
縮合ヘテロシクリルは、5~12員の多環ヘテロシクリル基を指し、ここで基中の各環は、隣接する炭素原子の対を基中の別の環と共有し、1つまたは複数の環は1つまたは複数の二重結合を含有することができるが、環のうち少なくとも1つは完全に共役したπ電子系を有さず、前記環は、窒素、四級窒素、酸化窒素(例えばNO)、酸素ならびにスルホキシドおよびスルホンを含む硫黄からなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有し、残りの環原子はCである。縮合ヘテロシクリルの代表的な例には、限定されるものではないが、以下の基:
【0086】
【化8】
【0087】
が挙げられる。
架橋ヘテロシクリルは、5~12員の多環ヘテロシクリル基を指し、ここで基中の任意の2つの環は2つの結合していない原子を共有し、環は1つまたは複数の二重結合を有することができるが、完全に共役したπ電子系を有さず、環は、窒素、四級窒素、酸化窒素(例えばNO)、酸素ならびにスルホキシドおよびスルホンを含む硫黄からなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を環原子として有し、残りの環原子はCである。架橋ヘテロシクリルの代表的な例には、限定されるものではないが、以下の基:
【0088】
【化9】
【0089】
が挙げられる。
概して、カルボシクリル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは置換されなくても、原子価が許される場合には1つもしくは複数の置換基と置換されてもよく、置換基は独立して、いくつかの基、例えばオキソ、-CN、ハロゲン、アルキルおよびアルコキシルから選択することができ、必要に応じて、アルキル置換はさらに置換されてもよい。
【0090】
「アリール」という用語は、6~10員の、すべてが炭素である単環式環基、または多環式縮合環(「縮合した」環系は、系中の各環が隣接する炭素原子の対を系中の他の環と共有することを意味する)基を指し、完全に共役したπ電子系を有する。アリールの代表的な例は、フェニルおよびナフチルである。
【0091】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書で使用される場合、単環または多環の芳香族炭化水素を指し、環炭素原子のうちの少なくとも1つは、独立して酸素、窒素および硫黄から選択されるヘテロ原子と置換されている。好ましくは、ヘテロアリールはC5~10アリールをベースとし、その環炭素原子のうちの1つまたは複数がヘテロ原子と置換される。ヘテロアリール基は、環炭素原子を通して、または原子価が許容される場合、環窒素原子を通して結合することができる。概して、ヘテロアリールは、置換されなくても、原子価が許される場合には1つもしくは複数の置換基と置換されてもよく、置換基は独立して、ハロゲン、OH、アルキル、アルコキシルおよびアミノ(例えばNH、NHアルキル、N(アルキル))から選択され、必要に応じて、アルキルはさらに置換されてもよい。
【0092】
本明細書で使用される場合、「処置する」という用語は、状態、疾患、障害等の改善、またはそれらの症状の改善をもたらす任意の効果、例えば軽減、減少、調節、改善または消失を含む。
【0093】
「治療有効量」という用語は、患者または対象における疾患または障害の少なくとも1つの症状を処置するのに有効な薬剤(例えば本明細書において記載される化合物)の量を指す。投与のための薬剤の「治療有効量」は、所望の活性、処置されている患者または対象の病態、剤形、投与の方法、患者の因子、例えば患者の性別、遺伝子型、体重および年齢、処置される状態または疾患の根底にある原因、投与経路およびバイオアベイラビリティー、投与される薬剤の身体内の持続性、ナトリウム利尿および/または利尿のエビデンス、製剤の種類、ならびに薬剤の効力に基づき変動し得る。
薬学的に許容される塩
「薬学的に許容される塩」という用語は、公正な医学的判断の範囲内で、不必要な毒性、刺激およびアレルギー反応を有することなく、ヒトおよび下等動物の組織との接触における使用に適切であり、合理的なベネフィット/リスク比に見合う、薬学的な塩を指す。薬学的に許容される塩は当該技術分野において周知である。例えばS. M. Bergeらは、J. Pharm. Sci.、1977年、66巻、1~19頁において薬理学的に許容される塩を記載する。
【0094】
上記の式のいずれか1つの化合物の薬学的に許容される塩には、酸付加塩および塩基塩が挙げられる。
本明細書において開示される化合物の薬学的に許容される塩も本教示に含まれる。塩基性の基を有する化合物は、薬学的に許容される酸とともに薬学的に許容される塩を形成することができる。本明細書において記載される化合物の適切な薬学的に許容される酸付加塩には、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸)および有機酸(例えば酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、エタンスルホン酸、メタンスルホン酸およびコハク酸)の塩が挙げられる。酸性基、例えばカルボン酸を有する本教示の化合物は、薬学的に許容される塩基を用いて薬学的に許容される塩を形成することができる。適切な薬学的に許容される塩基性塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)ならびにアルカリ土類金属塩(例えばマグネシウムおよびカルシウム塩)が挙げられる。
【0095】
上記の式のいずれか1つの化合物の薬学的に許容される塩は、3つの方法:
(i)上記の式のいずれか1つの化合物を所望の酸もしくは塩基と反応させること、
(ii)酸もしくは塩基に不安定な保護基を、上記の式のいずれか1つの化合物の適切な前駆体から除去すること、もしくは所望の酸もしくは塩基を使用した適切な環状前駆体、例えばラクトンもしくはラクタムを開環させること、または
(iii)上記の式のいずれか1つの化合物の1つの塩を、適切な酸もしくは塩基を用いた反応によりもしくは適切なイオン交換カラムを用いて、別のものへと変換すること
のうちの1つまたは複数により調製することができる。
【0096】
すべての3つの反応は、典型的に溶液中で実行される。結果として生じた塩は、沈殿させ濾取することができ、または溶媒の蒸発により回収することができる。結果として生じた塩におけるイオン化の程度は、完全なイオン化からほぼ非イオン化で変動し得る。
【0097】
上記の式のいずれか1つの化合物およびその薬学的に許容される塩は、非溶媒和形態および溶媒和物形態で存在し得る。
立体異性体および他の変形
上記の式のいずれか1つの化合物は、1つまたは複数の種類の異性体(例えば光学異性体、幾何異性体または互変異性体)を示し得る。このような変形は、化合物の構造的特徴を参照して定義される上記の式のいずれか1つの化合物に対して暗示されるものであり、したがって本開示の範囲内である。
【0098】
1つまたは複数のキラル中心を有する化合物は、様々な立体異性体形態で存在することができ、すなわち、各キラル中心はRまたはS立体配置を有することができるか、または両方の混合物であることができる。立体異性体は、それらの空間配置のみが異なる化合物である。立体異性体には、化合物のすべてのジアステレオマーおよびエナンチオマー形態が含まれる。エナンチオマーは、互いの鏡像である立体異性体である。ジアステレオマーは、同一ではなく互いの鏡像でない2つまたはそれ以上のキラル中心を有する立体異性体である。
【0099】
化合物が、単一のエナンチオマーを示すその化学名(例えば立体配置が「R」または「S」による化学名で示される場合)またはその構造(例えば立体配置が「くさび形の」結合により示される)により命名されるとき、他に示さない限り、化合物は少なくとも60%、70%、80%、90%、99%または99.9%光学的に純粋である(「鏡像異性的に純粋」とも称される)。光学純度は、名付けられたかまたは描かれるエナンチオマーの混合物の重量を、両方のエナンチオマーの混合物の全重量で割ったものである。
【0100】
開示されている化合物の立体化学が構造により名付けられたかまたは描かれるとき、および名付けられたかまたは描かれた構造が2つ以上の立体異性体を(例えばジアステレオマー対として)包含するとき、包含された立体異性体の1つまたは包含された立体異性体の任意の混合物が含まれることが理解される。名付けられたかまたは描かれる立体異性体の立体異性純度は、少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%または99.9重量%であることがさらに理解される。この場合における立体異性純度は、名前または構造により包含される立体異性体の混合物の全重量を、すべての立体異性体の混合物の全重量で割ることにより決定される。
【0101】
2種の立体異性体がこれらの化学名または構造により描かれ、かつ化学名または構造が「および」により接続されるとき、2種の立体異性体の混合物が意図される。
2種の立体異性体がこれらの化学名または構造により描かれ、かつ名称または構造が「または」により接続されるとき、2種の立体異性体の一方または他方が意図されるが、両方ではない。
【0102】
キラル中心を有する開示されている化合物が、そのキラル中心での立体配置を示すことなく構造により描かれるとき、構造は、そのキラル中心でS立体配置を有する化合物、そのキラル中心でR立体配置を有する化合物、またはそのキラル中心でRおよびS立体配置の混合を有する化合物を包含することを意味する。キラル中心を有する開示されている化合物が、そのキラル中心での立体配置を「S」または「R」で表すことなくその化学名により描かれるとき、名称は、そのキラル中心でS立体配置を有する化合物、そのキラル中心でR立体配置を有する化合物、またはそのキラル中心でRおよびS立体配置の混合を有する化合物を包含することを意味する。
【0103】
ラセミ混合物は、50%が1つのエナンチオマー、および50%がその対応するエナンチオマーであることを意味する。1つのキラル中心を有する化合物が、キラル中心の立体化学を表すことなく名付けられるかまたは描かれるとき、名称または構造は、化合物の両方の可能性のあるエナンチオマー形態(例えば鏡像異性的に純粋、鏡像異性豊富(enantiomerically-enriched)またはラセミ体)を包含することが理解される。2つまたはそれ以上のキラル中心を有する化合物が、キラル中心の立体化学を表すことなく名付けられるかまたは描かれるとき、名称または構造は、化合物のすべての可能性のあるジアステレオマー形態(例えばジアステレオマー的に純粋、ジアステレオマー豊富、または1つもしくは複数のジアステレオマーの等モル混合物(例えばラセミ混合物))を包含することが理解される。
【0104】
「幾何異性体」という用語は、少なくとも1つの二重結合を有する化合物を指し、二重結合は、シス(synもしくはentgegen(E)とも称される)またはトランス(antiもしくはzusammen(Z)とも称される)形態、ならびにそれらの混合物で存在し得る。
【0105】
構造異性体が低いエネルギー障壁で相互変換可能である場合、互変異性的異性(tautomeric isomerism)(「互変異性体」)が生じることがある。これは、例えばイミノ、ケトもしくはオキシム基を含有する上記の式のいずれか1つの化合物においてはプロトン互変異性体、または芳香族部分を含有する化合物においてはいわゆる原子価互変異性体の形態をとることがある。これは、単一の化合物が、1種を超える異性体を示し得るということになる。
【0106】
幾何異性体が名称または構造により描かれるとき、名付けられたかまたは描かれた異性体は、別の異性体よりも大きな程度で存在し、つまり名付けられたかまたは描かれた幾何異性体の幾何異性純度は、50重量%より大きく、例えば少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%または99.9重量%純粋であることが理解される。幾何異性体純度は、混合物中の名付けられたかまたは描かれた幾何異性体の重量を、混合物中のすべての幾何異性体の全重量で割ることにより決定される。
【0107】
シス/トランス異性体は、当業者に周知の従来の技術、例えばクロマトグラフィーおよび分別結晶により分離することができる。
個々のエナンチオマー/ジアステレオマーの調製/単離のための従来の技術には、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または例えばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用したラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が挙げられる。あるいは、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を、適切な光学活性化合物、例えばアルコールと、または、上記の式のいずれか1つの化合物が酸性もしくは塩基性部分を含有する場合、塩基もしくは酸、例えば1-フェニルエチルアミンまたは酒石酸と、反応させることができる。結果として生じたジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶により分離することができ、ジアステレオ異性体の一方または両方は、当業者に周知の手段で、対応する純粋なエナンチオマーに変換される。上記の式のいずれか1つのキラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、炭化水素、典型的には、0~50%、典型的に2%~20%の体積のイソプロパノール、および0~5%の体積のアルキルアミン、典型的に0.1%ジエチルアミンを含有するヘプタンまたはヘキサンからなる移動相を用いた、不斉樹脂上のクロマトグラフィー、典型的にHPLCを使用して、鏡像異性豊富形態で得ることができる。溶出液の濃縮により、富化された混合物が得られる。亜臨界および超臨界流体を使用するキラルクロマトグラフィーを採用することができる。本開示の一部の実施形態において有用なキラルクロマトグラフィーのための方法は当該技術分野において公知である(例えばSmith、Roger M.、Loughborough University、Loughborough、UK;Chromatographic Science Series(1998年)、75巻(Supercritical Fluid Chromatography with Packed Columns)、223~249頁、およびそれに引用される参考文献を参照されたい)。カラムは、Daicel(登録商標)Chemical Industries,Ltd.、Tokyo、Japanの子会社であるChiral Technologies,Inc、West Chester,Pa.、USAから得ることができる。
【0108】
上記の式のいずれか1つの化合物は本明細書において単一の互変異性体形態で図示され、すべての可能性のある互変異性体形態が本開示の範囲内に含まれることを強調しなければならない。
3.投与および投薬
典型的に、本開示の化合物は、本明細書において記載されるような状態を処置するのに有効な量で投与される。本開示の化合物は、化合物それ自体、または代わりに薬学的に許容される塩として投与することができる。投与および投薬目的のために、化合物それ自体またはその薬学的に許容される塩を、単に本開示の化合物と称する。
【0109】
本開示の化合物は、任意の適切な経路により、そのような経路に適合した医薬組成物の形態で、かつ意図される処置に有効な用量で投与される。本開示の化合物は、経口、直腸内、膣内、非経口または局所投与することができる。
【0110】
本開示の化合物は経口投与することができる。経口投与は、化合物が胃腸管に進入するように嚥下を伴ってもよく、または化合物が口から直接血流に進入する口腔内もしくは舌下投与が採用されてもよい。
【0111】
別の実施形態では、本開示の化合物は、血流中、筋肉内、または内臓内に直接投与することもできる。非経口投与のための適切な手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下が挙げられる。非経口投与のための適切なデバイスには、針(マイクロニードルを含む)注射器、無針注射器(needle-free injector)および点滴技術が挙げられる。
【0112】
別の実施形態では、本開示の化合物は、皮膚または粘膜に局所で、すなわち皮膚または経皮投与することもできる。別の実施形態では、本開示の化合物は、鼻腔内または吸入により投与することもできる。別の実施形態では、本開示の化合物は、直腸内または膣内投与することができる。別の実施形態では、本開示の化合物は、眼または耳に直接投与することもできる。
【0113】
本開示の化合物および/または前記化合物を含有する組成物の投薬レジメンは、患者の種類、年齢、体重、性別および医学的状態;状態の重症度;投与経路;ならびに採用された特定の化合物の活性を含む、多くの要因に基づく。よって、投薬レジメンは広く変動し得る。一実施形態では、本明細書において論じられる示された状態の処置について、本開示の化合物の総1日用量は、典型的に約0.001~約100mg/kg(すなわち、体重1kgあたりの本開示の化合物のmg)である。
【0114】
経口投与については、組成物は、患者への投薬量の症候的調節(symptomatic adjustment)のために、0.1~500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供され得る。医薬は、典型的に約0.01mg~約500mgの活性成分を含有する。静脈内では、用量は、一定速度の注入の間、約0.01~10mg/kg/分の範囲であり得る。
【0115】
本開示による適切な対象には、非ヒト哺乳動物、例えば霊長類、げっ歯類(マウス、ラット、ハムスター、ウサギ等)を含む哺乳動物対象が挙げられる。一実施形態では、ヒトは適切な対象である。ヒト対象は、いずれの性別であってもよく、発達の任意の段階にあってもよい。
4.医薬組成物
別の実施形態では、本開示は医薬組成物を含む。そのような医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤とともに存在する本開示の化合物を含む。他の薬理学的に活性な物質も存在することができる。
【0116】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体または賦形剤」は、生理学的に適合するありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等を含む。薬学的に許容される担体の例には、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等の1つまたは複数、ならびにそれらの組合せが挙げられ、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウム、または多価アルコール、例えばマンニトールもしくはソルビトールを組成物中に含むことができる。薬学的に許容される物質、例えば抗体または抗体部分の貯蔵寿命または有効性を強化する湿潤剤または少量の補助物質、例えば湿潤剤もしくは乳化剤、保存剤もしくは緩衝液。
【0117】
本開示の組成物は、多くの形態であり得る。これらには、例えば、液体、半固体および固体の剤形、例えば液体溶液(例えば注射可能なおよび点滴可能な溶液)、分散体または懸濁液、錠剤、丸剤、散剤、リポソームおよび坐剤が挙げられる。形態は、意図される投与様式および治療用途に依存する。
【0118】
典型的な組成物は、注射可能なまたは点滴可能な溶液の形態、例えば一般に抗体を用いたヒトの受動免疫に使用されるものと類似した組成物である。1つの投与様式は、非経口(例えば静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。別の実施形態では、抗体は静脈内点滴または注射により投与される。さらに別の実施形態では、抗体は筋肉内または皮下注射により投与される。
【0119】
固体投与形態の経口投与は、例えば、各々が所定の量の少なくとも1つの本開示の化合物を含有する、別々の単位内、例えば硬カプセル剤または軟カプセル剤、丸剤、カシェ剤、ロゼンジ剤または錠剤中に存在することができる。別の実施形態では、経口投与は粉末または顆粒形態であってもよい。別の実施形態では、経口投与形態は例えばロゼンジ剤などの舌下である。そのような固体剤形では、上記の式のいずれか1つの化合物は、1つまたは複数のアジュバントと元々組み合わされている。そのようなカプセル剤または錠剤は、制御放出製剤を含有することができる。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は緩衝剤を含むこともでき、または腸溶コーティングを用いて調製することもできる。
【0120】
別の実施形態では、経口投与は液体投与形態であってもよい。経口投与のための液体剤形には、例えば、当該技術分野において一般的に使用される不活性な希釈剤(例えば水)を含有する、薬学的に許容されるエマルション、溶液、懸濁液、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。そのような組成物には、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、香味料(例えば甘味料)、および/または芳香剤も含むことができる。
【0121】
別の実施形態では、本開示は非経口投与形態を含む。
「非経口投与」には、例えば、皮下注射、静脈内注射、腹腔内、筋肉内注射、胸骨内注射および点滴が挙げられる。注射可能な調製剤(すなわち、滅菌された注射可能な水性または油性懸濁液)は、適切な分散剤、湿潤剤および/または懸濁化剤を使用して、公知の当該技術分野により製剤化することができる。
【0122】
別の実施形態では、本開示は局所投与形態を含む。
「局所投与」には、例えば、経皮パッチまたはイオントフォレーシスデバイスを介するような経皮投与、眼内投与、または鼻腔内もしくは吸入投与が挙げられる。局所投与のための組成物には、例えば局所ゲル、スプレー、軟膏剤およびクリーム剤も挙げられる。局所製剤には、皮膚または他の罹患領域を通した活性成分の吸収または浸透を強化する化合物を挙げることができる。本開示の化合物が経皮デバイスにより投与されるとき、投与はリザーバーおよび多孔性膜タイプ、または固体マトリックスの種類のいずれかのパッチを使用して達成される。この目的のための典型的な製剤には、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、ドレッシング、泡状物、フィルム、皮膚パッチ、ウェハ、インプラント、スポンジ、繊維、包帯およびマイクロエマルションが挙げられる。リポソームも使用することができる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。浸透強化剤を組み込むことができ、例えばFinninおよびMorgan、J. Pharm. Sci.、88巻:955~958頁、1999年を参照されたい。
【0123】
眼への局所投与に適切な製剤には、例えば点眼剤が挙げられ、ここで本開示の化合物は適切な担体中に溶解するかまたは懸濁される。眼内または耳内投与に適切な典型的な製剤は、等張のpH調節された滅菌生理食塩水中の微粒子化懸濁液または溶液の点滴薬の形態であることができる。眼内または耳内投与に適切な他の製剤には、軟膏剤、生分解性(すなわち吸収可能なゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(すなわちシリコーン)のインプラント、ウェハ、レンズならびに粒子または小胞系、例えばニオソームまたはリポソームが挙げられる。ポリマー、例えば架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースもしくはメチルセルロース、またはヘテロポリサッカライドポリマー、例えばジェランガムを、保存剤、例えば塩化ベンザルコニウムと一緒に組み込むことができる。そのような製剤は、イオントフォレーシスにより送達することもできる。
【0124】
鼻腔内投与または吸入による投与については、本開示の化合物は、患者により絞られるかもしくはポンプ注入されるポンプスプレー容器から溶液もしくは懸濁液の形態で、または適切な噴射剤の使用を伴う圧力容器もしくはネブライザーからのエアロゾルスプレーの体裁として、簡便に送達される。鼻腔内投与に適切な製剤は、典型的に、乾燥粉末吸入器からの乾燥粉末の形態(単独か、例えばラクトースを有する乾燥ブレンド中の混合物としてか、または例えばリン脂質、例えばホスファチジルコリンと混合された、混合された成分粒子としてのいずれか)で、または適切な噴射剤、例えば1,1,1,2-テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンの使用を伴うかもしくは伴わない、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは微細なミストを生成するため電気流体力学を使用したアトマイザー)もしくはネブライザーからのエアロゾルスプレーとして、投与される。鼻腔内の使用のために、粉末は生体接着剤、例えばキトサンまたはシクロデキストリンを含むことができる。
【0125】
別の実施形態では、本開示は直腸投与形態を含む。そのような投与形態は、例えば坐剤の形態であることができる。ココアバターは従来の坐剤の基剤であるが、様々な代替物を適宜使用することができる。
【0126】
医薬品分野において公知の他の担体材料および投与様式も使用することができる。本開示の医薬組成物は、薬学の周知の技術、例えば有効な製剤化および投与手順のいずれかにより、調製することができる。
【0127】
有効な製剤化および投与手順に関する上記の考慮すべき事柄は当該技術分野において周知であり、標準的な教科書に記載される。薬物の製剤化は、例えばHoover、John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.、1975年;Libermanら編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.、1980年;およびKibbeら編、Handbook of Pharmaceutical Excipients(第3版)、American Pharmaceutical Association、Washington、1999年において論じられる。
5.処置の方法
本開示は、SOS1に関連するかまたはそれにより調節され、特にSOS1とRASファミリータンパク質および/またはRAC1との相互作用の阻害が治療的に利益となり、限定されるものではないががんの処置および/または予防を含む、疾患および/または状態の処置および/または予防に有用である、SOS1阻害剤化合物、特に、式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物(すべてのその実施形態を含む)を対象とする。
【0128】
一実施形態では、本開示は、医薬としての使用のための、式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体に関する。
【0129】
一実施形態では、本開示は、ヒトまたは動物の身体の処置の方法における使用のための、(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体に関する。
【0130】
一実施形態では、本開示は、SOS1とRASファミリータンパク質および/またはRAC1との相互作用の阻害が治療的に利益となり、限定されるものではないががんの処置および/または予防を含む、疾患および/または状態の処置および/または予防における使用のためのSOS1阻害剤化合物、特に、(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体に関する。
【0131】
一実施形態では、本開示は、がんの処置および/または予防における使用のための、SOS1阻害剤化合物、特に、(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体に関する。
【0132】
一実施形態では、本開示は、ヒトまたは動物の身体におけるがんの処置および/または予防の方法における使用のための、SOS1阻害剤化合物、特に、式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体に関する。
【0133】
一実施形態では、本開示は、前に定義されたような使用のための、SOS1阻害剤化合物、特に、式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体であって、少なくとも1つの他の薬理学的に活性な物質の前、後、またはそれと一緒に投与される、SOS1阻害剤化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体に関する。
【0134】
一実施形態では、本開示は、前に定義されたような使用のための、SOS1阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩であって、少なくとも1つの他の薬理学的に活性な物質と組み合わせて投与される、SOS1阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0135】
一実施形態では、本開示は、前に定義されたような使用のための、式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体であって、少なくとも1つの他の薬理学的に活性な物質と組み合わせて投与される、化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体に関する。
【0136】
一実施形態では、本開示は、式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体の使用について前に定義されたような使用のためのSOS1阻害剤化合物またはその薬学的に許容される塩の前、後、またはそれと一緒に投与されるために調製される薬理学的に活性な物質に関する。
【0137】
一実施形態では、本開示は、式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体の使用について前に定義されたような使用のための、式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体の前、後、またはそれと一緒に投与されるために調製される薬理学的に活性な物質に関する。
【0138】
一実施形態では、本開示は、前に定義されたような処置または処置の方法における使用のための、SOS1阻害剤化合物、特に、式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体に関する。
【0139】
一実施形態では、本開示は、がんの処置および/または予防のための医薬組成物を調製するための、SOS1阻害剤化合物、特に、式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体の使用に関する。
【0140】
一実施形態では、本開示は、前に定義されたような、SOS1阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用であって、前記SOS1阻害剤化合物が少なくとも1つの他の薬理学的に活性な物質の前、後、またはそれと一緒に投与される、使用に関する。
【0141】
一実施形態では、本開示は、前に定義されたような式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体の使用であって、前記化合物が少なくとも1つの他の薬理学的に活性な物質の前、後、またはそれと一緒に投与される、使用に関する。
【0142】
一実施形態では、本開示は、処置のための、前に定義されたようなSOS1阻害剤化合物、特に、式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体の使用に関する。
【0143】
一実施形態では、本開示は、疾患および/または状態の処置および/または予防のための方法であって、SOS1とRASファミリータンパク質またはRAC1との相互作用の阻害が治療的に利益となり、治療有効量のSOS1阻害剤化合物、特に、式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体をヒトに投与するステップを含む、方法に関する。
【0144】
一実施形態では、本開示はがんの処置および/または予防のための方法であって、治療有効量のSOS1阻害剤化合物、特に、式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体をヒトに投与するステップを含む、方法に関する。
【0145】
一実施形態では、本開示は、前に定義されたような方法であって、SOS1阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩が、少なくとも1つの他の薬理学的に活性な物質の前、後、またはそれと一緒に投与される、方法に関する。
【0146】
一実施形態では、本開示は、前に定義されたような方法であって、式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体が、少なくとも1つの他の薬理学的に活性な物質の前、後、またはそれと一緒に投与される、方法に関する。
【0147】
一実施形態では、本開示は、前に定義されたような方法であって、SOS1阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩が、治療有効量の少なくとも1つの他の薬理学的に活性な物質と組み合わせて投与される、方法に関する。
【0148】
一実施形態では、本開示は、前に定義されたような方法であって、式(I)、(II)、(III-A)または(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩または立体異性体が、治療有効量の少なくとも1つの他の薬理学的に活性な物質と組み合わせて投与される、方法に関する。
【0149】
一実施形態では、本開示は前に定義されたような処置のための方法に関する。
一実施形態では、本明細書(上記または下記)で定義されるようなSOS1阻害剤化合物、使用のためのSOS1阻害剤化合物、式(I)の化合物、使用のための式(I)の化合物、調製のための使用、ならびに処置および/または予防のための方法を用いて処置/予防される疾患/状態/がんは、膵臓がん、肺がん、結腸直腸がん、胆管細胞癌、多発性骨髄腫、黒色腫、子宮がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、急性骨髄性白血病、膀胱がん、尿路上皮がん、胃がん、子宮頚部がん、頭頸部扁平上皮癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道がん、慢性リンパ性白血病、肝細胞がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膠芽腫、腎がんおよび肉腫からなる群から選択される。
【0150】
一実施形態では、本明細書(上記または下記)で定義されるようなSOS1阻害剤化合物、使用のためのSOS1阻害剤化合物、式(I)の化合物、使用のための式(I)の化合物、調製のための使用、ならびに処置および/または予防のための方法を用いて処置/予防される疾患/状態/がんは、膵臓がん、肺がん(好ましくは非小細胞肺がん(NSCLC))、胆管細胞癌および結腸直腸がんからなる群から選択される。
【0151】
一実施形態では、本明細書(上記または下記)で定義されるようなSOS1阻害剤化合物、使用のためのSOS1阻害剤化合物、式(I)の化合物、使用のための式(I)の化合物、調製のための使用、ならびに処置および/または予防のための方法を用いて処置/予防される疾患/状態は、ラソパシーである。一実施形態では、これは、1型神経線維腫症(NF1)、ヌーナン症候群(NS)、多発性黒子を伴うヌーナン症候群(NSML)(LEOPARD症候群とも称される)、毛細血管奇形-動静脈奇形症候群(CM-AVM)、コステロ症候群(CS)、心顔皮膚症候群(Cardio-Facio-Cutaneous Syndrome、CFC)、レジウス症候群(NF1様症候群としても公知)、および遺伝性歯肉線維腫症からなる群から選択される。
【0152】
一実施形態では、本明細書(上記または下記)で定義されるようなSOS1阻害剤化合物、特に、式(I)、(II)、(III-A)もしくは(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩もしくは立体異性体と一緒に/組み合わせてか、または医学的使用、使用、処置および/もしくは予防の方法において使用される薬理学的に活性な物質は、以下の1つまたは複数から選択することができる。
【0153】
1.EGFRおよび/またはその突然変異体の阻害剤
a.例えばアファチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、オシメルチニブ、オルムチニブ、EGF-816;
b.アファチニブ、オシメルチニブおよびセツキシマブ;または
c.アファチニブ;
2.ErbB2(Her2)および/またはその突然変異体の阻害剤
a.例えばアファチニブ、ラパチニブ、トラスツズマブ、ペルツズマブ;
b.アファチニブおよびトラスツズマブ;
c.トラスツズマブ;
3.ALKおよび/またはその突然変異体の阻害剤
a.例えばクリゾチニブ、アレクチニブ、エヌトレクチニブ、ブリガチニブ;
b.クリゾチニブおよびアレクチニブ;
c.クリゾチニブ;
4.MEKおよび/またはその突然変異体の阻害剤
a.例えばトラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、レファメチニブ;
b.トラメチニブおよびコビメチニブ;
c.トラメチニブ;
5.GDP結合KRASおよび/またはその突然変異体の阻害剤
a.KRAS G12Cの不可逆的阻害剤
i.例えばARS-853(WO2014/152588中の化合物V-64)、WO2016/044772中の実施例I-272;
b.GDP結合KRASおよび/またはその突然変異体の可逆的阻害剤
6.BCR-ABLおよび/またはその突然変異体の阻害剤
a.例えばイマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ;
b.イマチニブおよびニロチニブ;
c.イマチニブ;
7.FGFR1および/もしくはFGFR2および/もしくはFGFR3ならびに/またはその突然変異体の阻害剤
a.例えばニンテダニブ;
8.ROS1および/またはその突然変異体の阻害剤
a.例えばクリゾチニブ、エントレクチニブ、ロルラチニブ、セリチニブ、メレスチニブ;
b.クリゾチニブおよびエントレクチニブ;
c.クリゾチニブ;
9.c-METおよび/またはその突然変異体の阻害剤
10.AXLおよび/またはその突然変異体の阻害剤
11.NTRK1および/またはその突然変異体の阻害剤
12.RETおよび/またはその突然変異体の阻害剤
13.タキサン
a.例えばパクリタキセル、nab-パクリタキセル、ドセタキセル;
b.パクリタキセル;
14.白金含有化合物
a.例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン;
15.代謝拮抗剤
a.例えば5-フルオロウラシル、カペシタビン、フロクスウリジン、シタラビン、ゲムシタビン、トリフルリジンおよびチピラシルの組合せ(=TAS102);
b.ゲムシタビン;
16.分裂期キナーゼ阻害剤
a.例えばCDK4/6阻害剤
i.例えばパルボシクリブ、リボシクリブ、アベマシクリブ;
ii.パルボシクリブおよびアベマシクリブ;
iii.アベマシクリブ;
17.免疫療法剤
a.例えば免疫チェックポイント阻害剤
i.例えば抗CTLA4 mAb、抗PD1 mAb、抗PD-L1 mAb、抗PD-L2 mAb、抗LAG3 mAb、抗TIM3 mAb;
ii.抗PD1 mAb;
iii.例えばイピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、ピジリズマブ、PDR-001(=スパルタリズマブ);
iv.ニボルマブ、ペムブロリズマブおよびPDR-001(=スパルタリズマブ);
v.ペムブロリズマブ;
18.抗血管新生薬
a.例えばベバシズマブ、ニンテダニブ;
b.ベバシズマブ;
19.トポイソメラーゼ阻害剤
a.例えばイリノテカン、イリノテカンリポソーム、トポテカン;
b.イリノテカン;
20.A-Rafおよび/もしくはB-Rafおよび/もしくはC-Rafならびに/またはその突然変異体の阻害剤
a.例えばRAF-709(=WO2014/151616中の実施例131)、LY-3009120(=WO2013/134243中の実施例1);
21.ERKおよび/またはその突然変異体の阻害剤
a.例えばウリキセルチニブ;
22.アポトーシス調節剤
a.例えばp53(機能性p53、wtp53)とMDM2との間の相互作用の阻害剤(「MDM2阻害剤」);
i.例えばHDM-201、NVP-CGM097、RG-7112、MK-8242、RG-7388、SAR405838、AMG-232、DS-3032、RG-7775、APG-1 15;
ii.HDM-201、RG-7388およびAMG-232
b.例えばPARP阻害剤;
c.例えばMCL-1阻害剤;
23.mTORの阻害剤
a.例えばラパマイシン、テムシロリムス、エベロリムス、リダホロリムス;
24.エピジェネティック調節剤
a.例えばBET阻害剤
i.例えばJQ-1、GSK525762、OTX015(=MK8628)、CPI0610、TEN-010(=R06870810);
b.例えばCDK9阻害剤;
25.IGF1/2および/またはIGF1-Rの阻害剤
a.例えばゼンツズマブ(WO2010/066868中の抗体60833)、MEDI-573(=ドゥシギツマブ);
26.RAS GEFおよび/またはその突然変異体の阻害剤
a.例えばSOS2および/またはその突然変異体の阻害剤
27.PI3Kおよび/またはその突然変異体の阻害剤
28.SHP2および/またはその突然変異体の阻害剤
一実施形態では、本明細書(上記または下記)のように、SOS1阻害剤化合物、特に、式(I)、(II)、(III-A)もしくは(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩もしくは立体異性体と一緒に/組み合わせてか、または医学的使用、使用、処置および/もしくは予防の方法において、非薬物療法を使用することができる。非薬物処置の例には、限定されるものではないが、放射線療法、凍結療法、温熱療法、手術(例えば腫瘍組織の外科的切除)およびT細胞養子移植(ACT)療法が挙げられる。
【0154】
一実施形態では、本開示の化合物は、手術後にアジュバント療法として使用することができる。一部の実施形態では、本開示の化合物は、手術後にネオアジュバント療法として使用することができる。
【0155】
放射線療法は、対象(例えば哺乳動物(例えばヒト))において異常な細胞成長を阻害するため、または過剰増殖性障害、例えばがんを処置するために使用することができる。放射線療法を施すための技術は当該技術分野において公知である。放射線療法は、限定されることなく、体外照射療法、内部放射線療法、組織内照射、定位手術的照射、全身放射線療法、放射線療法、および永久的または一時的な組織内小線源療法(interstitial brachy therapy)を含むいくつかの方法の1つ、または方法の組合せを通して施すことができる。「小線源療法」という用語は、本明細書で使用される場合、空間的に限局した放射性物質を、身体の腫瘍もしくは他の増殖性組織疾患部位またはその近くに挿入することにより送達される、放射線療法を指す。用語は、限定されることなく、放射性同位体(例えばAt-211、I-131、I-125、Y-90、Re-186、Re-188、Sm-153、Bi-212、P-32、およびLuの放射性同位体)への曝露を含むことを意図する。本開示の細胞調節剤(cell conditioner)としての使用のための適切な放射線源は、固体および液体の両方を含む。非限定的な例として、放射線源は、放射性核種、例えば固体供給源としてI-125、I-131、Yb-169、Ir-192、固体供給源としてI-125、または光子、ベータ粒子、ガンマ放射線または他の治療用の光線を放射する他の放射性核種であることができる。放射性材料は、任意の放射性核種の溶液から作製される流体、例えばI-125もしくはI-131の溶液であることもでき、または放射性流体は、固体放射性核種、例えばAu-198もしくはY-90の微粒子を含有する適切な流体のスラリーを使用して製造することができる。さらに、放射性核種をゲルまたは放射性ミクロスフェア中に取り入れることができる。
【0156】
一実施形態では、本開示の化合物は、異常細胞を、そのような細胞を死滅させるか、または成長を阻害する目的のために、放射線を用いた処置に対してより感受性にすることができる。したがって、本開示は、放射線を用いた処置に対して、哺乳動物における異常細胞に感受性を与えるための方法であって、哺乳動物に、放射線を用いた処置に対して異常細胞に感受性を与えるのに有効である量の本開示の化合物を投与するステップを含む、方法に関する。この方法における化合物の量は、本明細書において記載される化合物の有効量を確認するための手段により決定することができる。一部の実施形態では、本開示の化合物は、放射線療法後にアジュバント療法として、または放射線療法の前にネオアジュバント療法として使用してもよい。
【0157】
一実施形態では、非薬物処置は、T細胞養子移植(ACT)療法である。一部の実施形態では、T細胞は活性化T細胞である。T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変されてもよい。CAR改変T(CAR-T)細胞は、当該技術分野において公知の任意の方法により生成することができる。例えば、CAR-T細胞は、CARをコードする適切な発現ベクターをT細胞に導入することにより、生成することができる。T細胞の増加および遺伝子改変の前に、T細胞の供給源を対象から得る。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、および腫瘍を含む多数の供給源から得ることができる。本開示のある特定の実施形態では、当該技術分野において利用可能な任意の数のT細胞株を使用してもよい。一部の実施形態では、T細胞は自家T細胞である。所望のタンパク質(例えばCAR)を発現するためのT細胞の遺伝子改変の前または後のいずれかで、T細胞は、概して、例えば米国特許第6,352,694号;第6,534,055号;第6,905,680号;第6,692,964号;第5,858,358号;第6,887,466号;第6,905,681号;第7,144,575号;第7,067,318号;第7,172,869号;第7,232,566号;第7,175,843号;第7,572,631号;第5,883,223号;第6,905,874号;第6,797,514号;および第6,867,041号において記載されるような方法を使用して、活性化および増加させることができる。
【0158】
一実施形態では、本明細書(上記または下記)のような、SOS1阻害剤化合物、特に、式(I)、(II)、(III-A)もしくは(III-B)の化合物、その薬学的に許容される塩もしくは立体異性体と一緒に/組み合わせてか、または医学的使用、使用、処置および/もしくは予防の方法において、追加の治療剤を使用することができる。
【0159】
一実施形態では、追加の治療剤はステロイドであってもよい。したがって、一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療にはステロイドが挙げられる。適切なステロイドには、限定されるものではないが、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフプレドネート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロロニド(fiucloronide)、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ホルモコルタル、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボネート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25-ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニゾン、プレドニバール、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、およびそれらの塩または誘導体を挙げることができる。
【0160】
本開示の化合物との組合せ療法において使用することができる治療剤のさらなる例には、以下の特許:米国特許第6,258,812号、第6,630,500号、第6,515,004号、第6,713,485号、第5,521,184号、第5,770,599号、第5,747,498号、第5,990,141号、第6,235,764号、および第8,623,885号、ならびに国際特許出願WO01/37820、WO01/32651、WO02/68406、WO02/66470、WO02/55501、WO04/05279、WO04/07481、WO04/07458、WO04/09784、WO02/59110、WO99/45009、WO00/59509、WO99/61422、WO00/12089およびWO00/02871において記載される化合物が挙げられる。
【0161】
治療剤は、がんまたはそれに関連する症状の処置において使用される生体物質(biologic)(例えばサイトカイン(例えばインターフェロンまたはインターロイキン、例えばIL-2))であってもよい。一部の実施形態では、生体物質は、抗がん応答を刺激するための標的を作動させるか、またはがんに重要な抗原と拮抗する免疫グロブリンベースの生体物質、例えばモノクローナル抗体(例えばヒト化抗体、完全ヒト抗体、Fc融合タンパク質またはその機能的断片)である。抗体-薬物コンジュゲートも挙げられる。
【0162】
治療剤は、チェックポイント阻害剤であってもよい。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は阻害性抗体(例えば単一特異性抗体、例えばモノクローナル抗体)である。抗体は、例えばヒト化または完全ヒトであってもよい。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は融合タンパク質、例えばFc受容体融合タンパク質である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、チェックポイントタンパク質と相互作用する薬剤、例えば抗体である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、チェックポイントタンパク質のリガンドと相互作用する薬剤、例えば抗体である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4の阻害剤(例えば阻害剤抗体または小分子阻害剤)である(例えば抗CTLA-4抗体または融合タンパク質)。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1の阻害剤またはアンタゴニスト(例えば阻害剤抗体または小分子阻害剤)である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PDL-1の阻害剤またはアンタゴニスト(例えば阻害剤抗体または小分子阻害剤)である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PDL-2の阻害剤またはアンタゴニスト(例えば阻害剤抗体またはFc融合もしくは小分子阻害剤)である(例えばPDL-2/Ig融合タンパク質)。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK 1、CHK2、A2aR、B-7ファミリーリガンド、またはそれらの組合せの阻害剤またはアンタゴニスト(例えば阻害剤抗体または小分子阻害剤)である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、PDR001(NVS)、REGN2810(Sanofi/Regeneron)、PD-L1抗体、例えばアベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、ピジリズマブ、JNJ-63723283(JNJ)、BGB-A317(BeiGene&Celgene)、または、限定されることなく、イピリムマブ、トレメリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、AMP224、AMP514/MEDI0680、BMS936559、MEDl4736、MPDL3280A、MSB0010718C、BMS986016、IMP321、リリルマブ、IPH2101、1-7F9およびKW-6002を含む、Preusser、M.ら、(2015年)Nat. Rev. Neurol.に開示されるチェックポイント阻害剤である。
【0163】
治療剤は、がんまたはそれに関連する症状を処置する薬剤(例えば、がんまたはそれに関連する症状の処置に有用な、細胞毒性剤、非ペプチド小分子または他の化合物、まとめて「抗がん剤」)であってもよい。抗がん剤は、例えば化学療法剤または標的化療法剤であることができる。
【0164】
抗がん剤には、分裂阻害剤、インターカレート抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体および関連する阻害剤、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン(epipodopyyllotoxins)、抗生物質、L-アスパラギナーゼ、トポイソメラーゼ阻害剤、インターフェロン、白金配位錯体、アントラセンジオン置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤、副腎皮質ステロイド、黄体ホルモン、エストロゲン、抗エストロゲン、アンドロゲン、抗アンドロゲン、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体が挙げられる。さらなる抗がん剤には、ロイコボリン(LV)、イリノテカン、オキサリプラチン、カペシタビン、パクリタキセルおよびドセタキセル(doxetaxel)が挙げられる。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療は、2つまたはそれ以上の抗がん剤を含む。2つまたはそれ以上の抗がん剤は、組み合わせて投与されるかまたは別々に投与されるカクテルにおいて使用することができる。組合せの抗がん剤の適切な投薬レジメンは当該技術分野において公知であり、例えばSaltzら、Proc. Am. Soc. Clin. Oncol.18巻:233a頁(1999年)、およびDouillardら、Lancet 355巻(9209号):1041~1047頁(2000年)において記載される。
【0165】
他の抗がん剤の非限定的な例には、Gleevec(登録商標)(イマチニブメシル酸塩);Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ);Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ);Casodex(ビカルタミド);Iressa(登録商標)(ゲフィチニブ);アルキル化剤、例えばチオテパ、シクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドパ、カルボコン、メトレドパ、ウレドパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、トリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミンおよびメチルアミン;アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189およびCB1-TM1を含む);エルテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチンA;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばエンジイン系抗生物質(例えばカリケアマイシン、例えばカリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンオメガI1など(例えばAgnew、Chem. Intl.編 Engl.33巻:183~186頁(1994年)を参照されたい);ダインマイシン、例えばダインマイシンA;ビスホスホネート、例えばクロドロネート;エスペラマイシン;ネオカルジノスタチンクロモフォアおよび関連色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カミノマイシン(caminomycin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、アドリアマイシン(ドキソルビシン)、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、デオキシドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えばメトトレキサート、5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えばフロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デホファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン、例えばエポチロンB;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド、例えばメイタンシンおよびアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、Eugene、OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン、例えばT-2毒素、ベラクリンA、ロリジンAおよびアングイジン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、タキソール(登録商標)(パクリタキセル)、Abraxane(登録商標)(クレモホール不含、パクリタキセルのアルブミンを操作したナノ粒子製剤)、Taxotere(登録商標)(ドセタキセル);クロラムブシル;タモキシフェン(Nolvadex(商標));ラロキシフェン;アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール;4-ヒドロキシタモキシフェン;トリオキシフェン;ケオキシフェン;LY 117018;オナプリストン;トレミフェン(Fareston(登録商標));フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、ゴセレリン;クロラムブシル;Gemzar(登録商標)ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;白金配位錯体、例えばシスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;Navelbine(登録商標)(ビノレルビン);ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;イリノテカン(例えばCPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン(例えばXeloda(登録商標));ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0166】
さらなる抗がん剤の非限定的な例には、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、Taxol(登録商標)、Arimidex(登録商標)、ABVD、アビシン、アバゴボマブ、アクリジンカルボキサミド、アデカツムマブ、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、アルファラジン、アルボシジブ、3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン、アモナフィド、アントラセンジオン、抗CD22免疫毒素、抗悪性腫瘍剤(例えば細胞周期非特異的抗悪性腫瘍剤、および本明細書に記載される他の抗悪性腫瘍剤)、抗腫瘍形成性ハーブ、アパジコン、アチプリモド、アザチオプリン、ベロテカン、ベンダムスチン、BIBW 2992、ビリコダール、ブロスタリシン、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシミン、CBV(化学療法)、カリクリン、ジクロロ酢酸、ジスコデルモリド、エルサミトルシン、エノシタビン、エリブリン、エキサテカン、エクシスリンド、フェルギノール、フォロデシン、ホスフェストロール、ICE化学療法レジメン、IT-101、イメキソン、イミキモド、インドロカルバゾール、イロフルベン、ラニクイダール、ラロタキセル、レナリドミド、ルカントン、ルルトテカン、マホスファミド、ミトゾロミド、ナホキシジン、ネダプラチン、オラパリブ、オルタタキセル、PAC-1、ポポー、ピキサントロン、プロテアソーム阻害剤、レベッカマイシン、レジキモド、ルビテカン、SN-38、サリノスポラミドA、サパシタビン、スタンフォードV、スワインソニン、タラポルフィン、タリキダール、テガフール-ウラシル、テモダール、テセタキセル、四硝酸トリプラチン、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロキサシタビン、ウラムスチン、バジメザン、ビンフルニン、ZD6126およびゾスキダルが挙げられる。
【0167】
さらなる抗がん剤の非限定的な例には、天然産物、例えばビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン)、エピジポドフィロトキシン(例えば、エトポシドおよびテニポシド)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、およびイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシン、酵素(例えば、L-アスパラギンを全身的に代謝し、独自のアスパラギン合成能を有しない細胞を欠乏させるL-アスパラギナーゼなど)、抗血小板剤、抗増殖/抗有糸分裂アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタード(例えばメクロレタミン、シクロホスファミドおよびその類似体、メルファランならびにクロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えばヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、CDK阻害剤(CDK 4/6阻害剤、例えばリボシクリブ、アベマシクリブ、またはパルボシクリブ)、セリクリブ、UCN-01、P1446A-05、PD-0332991、ジナシクリブ、P27-00、AT-7519、RGB286638、およびSCH727965)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)および類似体、ならびにストレプトゾシン)、トラゼネス-ダカルバジニン(DTIC)、抗増殖/抗増悪性代謝拮抗剤、例えば葉酸類似体、ピリミジン類似体(例えばフルオロウラシル、フロクスウリジンおよびシタラビン)、プリン類似体および関連する阻害剤(例えばメルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、および2-クロロデオキシアデノシン)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、エキセメスタン、およびレトロゾール)、および白金配位錯体(例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤(例えばトリコスタチン、酪酸ナトリウム、アピシダン、スベロイルアニリドヒドロアミック酸(suberoyl anilide hydroamic acid)、ボリノスタット、LBH589、ロミデプシン、ACY-1215、およびパノビノスタット)、mTOR阻害剤(例えばビスツセルチブ、テムシロリムス、エベロリムス、リダホロリムスおよびシロリムス)、KSP(Eg5)阻害剤(例えばArray520)、DNA結合剤(例えばZalypsis(登録商標))、PI3K阻害剤、例えばPI3Kデルタ阻害剤(例えばGS-1101およびTGR-1202)、PI3Kデルタおよびガンマ阻害剤(例えばCAL-130)、コパンリシブ、アルペリシブおよびイデラリシブ;マルチキナーゼ阻害剤(例えばTG02およびソラフェニブ)、ホルモン(例えばエストロゲン)およびホルモンアゴニスト、例えば黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト(例えばゴセレリン、ロイプロリドおよびトリプトレリン)、BAFF中和抗体(例えばLY2127399)、IKK阻害剤、p38MAPK阻害剤、抗IL-6(例えばCNT0328)、テロメラーゼ阻害剤(例えばGRN163L)、オーロラキナーゼ阻害剤(例えばMLN8237)、細胞表面モノクローナル抗体(例えば抗CD38(HUMAX-CD38)、抗CSl(例えばエロツズマブ)、HSP90阻害剤(例えば17AAGおよびKOS953)、P13K/Akt阻害剤(例えばペリホシン)、Akt阻害剤(例えばGSK-2141795)、PKC阻害剤(例えばエンザスタウリン)、FTI(例えばZarnestra(商標))、抗CD138(例えばBT062)、Torcl/2特異的キナーゼ阻害剤(例えばINK128)、ER/UPR標的化剤(例えばMKC-3946)、cFMS阻害剤(例えばARRY-382)、JAK1/2阻害剤(例えばCYT387)、PARP阻害剤(例えばオラパリブおよびベリパリブ(ABT-888))、ならびにBCL-2アンタゴニストが挙げられる。
【0168】
一部の実施形態では、抗がん剤は、メクロレタミン、カンプトテシン、イホスファミド、タモキシフェン、ラロキシフェン、ゲムシタビン、Navelbine(登録商標)、ソラフェニブ、または前述の任意の類似体もしくは誘導体バリアントから選択される。
【0169】
一部の実施形態では、抗がん剤はALK阻害剤である。ALK阻害剤の非限定的な例には、セリチニブ、TAE-684(NVP-TAE694)、PF02341066(クリゾチニブまたは1066)、アレクチニブ;ブリガチニブ;エヌトレクチニブ;エンサルチニブ(X-396);ロルラチニブ;ASP3026;CEP-37440;4SC-203;TL-398;PLB1003;TSR-011;CT-707;TPX-0005およびAP26113が挙げられる。追加のALKキナーゼ阻害剤の例は、WO05016894の実施例3-39に記載される。
【0170】
一部の実施形態では、抗がん剤は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)/成長因子受容体(例えばSHP2阻害剤(例えばSHP099、TNO155、RMC-4550、RMC-4630、JAB-3068)、別のSOS1阻害剤(例えばBI-1701963)、Raf阻害剤、MEK阻害剤、ERK阻害剤、PI3K阻害剤、PTEN阻害剤、AKT阻害剤またはmTOR阻害剤(例えばmTORC1阻害剤もしくはmTORC2阻害剤)の下流のメンバーの阻害剤である。一部の実施形態では、抗がん剤はJAB-3312である。一部の実施形態では、抗がん剤は、Ras阻害剤(例えばAMG510、MRTX1257、LY349946、MRTX849、ARS-3248(JNJ-74699157)もしくはARS-1620)またはRasワクチン、またはRasの発癌性活性を直接もしくは間接的に低減するよう設計された別の治療法である。
【0171】
一部の実施形態では、Rasタンパク質は野生型である。一部の実施形態では、がんはRas突然変異を含む。一部の実施形態では、突然変異は、
(a)以下のK-Ras突然変異体:G12D、G12V、G12C、G13D、G12R、G12A、Q61H、G12S、A146T、G13C、Q61L、Q61R、K117N、A146V、G12f、Q61K、L19F、Q22K、V14I、A59T、A146P、G13R、G12LまたはG13V、およびそれらの組合せ;
(b)以下のH-Ras突然変異体:Q61R、G13R、Q61K、G12S、Q61L、G12D、
G13V、G13D、G12C、K117N、A59T、G12V、G13C、Q61H、G13S、A18V、D119N、G13N、A146T、A66T、G12A、A146V、G12N、またはG12Rおよびそれらの組合せ;ならびに
(c)以下のN-Ras突然変異体:Q61R、Q61K、G12D、Q61L、Q61H、G13R、
G13D、G12S、G12C、G12V、G12A、G13V、G12R、P185S、G13C、A146T、G60E、Q61P、A59D、E132K、E49K、T50I、A146VまたはA59T、およびそれらの組合せ;
または前述のいずれかの組合せ(例えばK-Ras G12CおよびK-Ras G13Cの両方)から選択される。一部の実施形態では、がんは、G12C、G13C、G12A、G12D、G13D、G12S、G13S、G12VおよびG13Vからなる群から選択されるRas突然変異を含む。
【0172】
一部の実施形態では、本開示の化合物と合わせられ得る治療剤は、MAPキナーゼ(MAPK)経路の阻害剤(または「MAPK阻害剤」)である。MAPK阻害剤には、限定されるものではないが、Cancers(Basel)2015年9月;7巻(3号):1758~1784頁に記載される1つまたは複数のMAPK阻害剤が挙げられる。例えば、MAPK阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA119/BAY86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766(Roche、PLoS One.2014年11月25日;9巻(11号)に記載);ならびにGSK1120212(またはJTP-74057、Clin Cancer Res.2011年3月1日;17巻(5号):989~1000頁に記載)の1つまたは複数から選択することができる。
【0173】
一部の実施形態では、抗がん剤は、RAS-RAF-ERKまたはPI3K-AKT-TORまたはPI3K-AKTシグナル伝達経路のかく乱物質または阻害剤である。PI3K/AKT阻害剤には、限定されるものではないが、Cancers(Basel)2015年9月;7巻(3号):1758~1784頁に記載される1つまたは複数のPI3K/AKT阻害剤を挙げることができる。例えば、PI3K/AKT阻害剤は、NVP-BEZ235;BGT226;XL765/SAR245409;SF1126;GDC-0980;PI-103;PF-04691502;PKI-587;GSK2126458の1つまたは複数から選択することができる。
【0174】
一部の実施形態では、抗がん剤はPD-1またはPD-L1アンタゴニストである。
一部の実施形態では、追加の治療剤には、EGFR阻害剤、IGF-1R阻害剤、MEK阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤、TOR阻害剤、MCL-1阻害剤、BCL-2阻害剤、SHP2阻害剤、プロテアソーム阻害剤および免疫療法が挙げられる。
【0175】
IGF-1R阻害剤には、リンシチニブ、またはその薬学的に許容される塩が挙げられる。
EGFR阻害剤には、限定されるものではないが、小分子アンタゴニスト、抗体阻害剤または特定のアンチセンスヌクレオチドもしくはsiRNAが挙げられる。EGFRの有用な抗体阻害剤には、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、ザルツムマブ、ニモツズマブおよびマツズマブが挙げられる。さらなる抗体ベースのEGFR阻害剤には、その天然のリガンドにより部分的にまたは完全にEGFR活性化を遮断することができる任意の抗EGFR抗体または抗体断片が挙げられる。抗体ベースのEGFR阻害剤の非限定的な例には、Modjtahediら、Br. J. Cancer 1993年、67巻:247~253頁;Teramotoら、Cancer 1996年、77巻:639~645頁;Goldsteinら、Clin. Cancer Res.1995年、1巻:1311~1318頁;Huangら、1999年、Cancer Res.15:59巻(8号):1935~40頁;およびYangら、Cancer Res.1999年、59巻:1236~1243頁に記載されるものを含む。EGFR阻害剤は、モノクローナル抗体Mab E7.6.3(Yang、1999年、上記)もしくはMab C225(ATCC受託番号HB-8508)、またはその結合特異性を有する抗体もしくは抗体断片であることができる。
【0176】
EGFRの小分子アンタゴニストには、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))およびラパチニブ(TykerB(登録商標))が挙げられる。例えば、Yanら、Pharmacogenetics and Pharmacogenomics In Oncology Therapeutic Antibody Development、BioTechniques 2005年、39巻(4号):565~8頁;およびPaezら、EGFR Mutations In Lung Cancer Correlation With Clinical Response To Gefitinib Therapy、Science 2004年、304巻(5676号):1497~500頁を参照されたい。小分子EGFR阻害剤のさらなる非限定的な例には、以下の特許公開に記載されるEGFR阻害剤のいずれか、およびそのようなEGFR阻害剤のすべての薬学的に許容される塩が挙げられる:EP0520722;EP0566226;WO96/33980;米国特許第5,747,498号;WO96/30347;EP0787772;WO97/30034;WO97/30044;WO97/38994;WO97/49688;EP837063;WO98/02434;WO97/38983;WO95/19774;WO95/19970;WO97/13771;WO98/02437;WO98/02438;WO97/32881;DE19629652;WO98/33798;WO97/32880;WO97/32880;EP682027;WO97/02266;WO97/27199;WO98/07726;WO97/34895;WO96/31510;WO98/14449;WO98/14450;WO98/14451;WO95/09847;WO97/19065;WO98/17662;米国特許第5,789,427号;米国特許第5,650,415号;米国特許第5,656,643号;WO99/35146;WO99/35132;WO99/07701;およびWO92/20642。小分子EGFR阻害剤の追加の非限定的な例には、Traxlerら、Exp. Opin. Ther. Patents 1998年、8巻(12号):1599~1625頁に記載されるEGFR阻害剤のいずれかが挙げられる。一部の実施形態では、EGFR阻害剤はオシメルチニブである。
【0177】
MEK阻害剤には、限定されるものではないが、ピマセルチブ、セルメチニブ、コビメチニブ(Cotellic(登録商標))、トラメチニブ(Mekinist(登録商標))およびビニメチニブ(Mektovi(登録商標))が挙げられる。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、MEK突然変異、すなわち、D67N;P124L;P124S;およびL177Vから選択されるクラスI MEK1突然変異を標的とする。一部の実施形態では、MEK突然変異は、DE51-Q58;DF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nから選択されるクラスII MEK1突然変異である。
【0178】
PI3K阻害剤には、限定されるものではないが、ウォルトマンニン;WO06/044453に記載される17-ヒドロキシウォルトマンニン類似体;4-[2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-[[4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル]メチル]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル]モルホリン(ピクチリシブまたはGDC-0941としても公知であり、WO09/036082およびWO09/055730に記載される);2-メチル-2-[4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]フェニル]プロピオニトリル(BEZ 235またはNVP-BEZ 235としても公知であり、WO06/122806に記載される);(S)-l-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパン-1-オン(WO08/070740に記載される);LY294002(2-(4-モルホリニル)-8-フェニル-4H-l-ベンゾピラン-4-オン(Axon Medchemから入手可能);PI 103塩酸塩(3-[4-(4-モルホリニルピリド-[3’,2’:4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル]フェノール塩酸塩(Axon Medchemから入手可能);PIK 75(2-メチル-5-ニトロ-2-[(6-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル)メチレン]-1-メチルヒドラジド-ベンゼンスルホン酸、一塩酸塩)(Axon Medchemから入手可能);PIK 90(N-(7,8-ジメトキシ-2,3-ジヒドロ-イミダゾ[l,2-c]キナゾリン-5-イル)-ニコチンアミド(Axon Medchemから入手可能);AS-252424(5-[l-[5-(4-フルオロ-2-ヒドロキシ-フェニル)-フラン-2-イル]-メタ-(Z)-イリデン]-チアゾリジン-2,4-ジオン(Axon Medchemから入手可能);TGX-221(7-メチル-2-(4-モルホリニル)-9-[1-(フェニルアミノ)エチル]-4H-ピリド-[1,2-a]ピリミジン-4-オン(Axon Medchemから入手可能);XL-765;およびXL-147が挙げられる。他のPI3K阻害剤には、デメトキシビリジン、ペリホシン、CAL101、PX-866、BEZ235、SF1126、INK1117、IPI-145、BKM120、XL147、XL765、Palomid529、GSK1059615、ZSTK474、PWT33597、IC87114、TGI00-115、CAL263、PI-103、GNE-477、CUDC-907およびAEZS-136が挙げられる。
【0179】
AKT阻害剤には、限定されるものではないが、Akt-1-1(Aktlを阻害する)(Barnettら、Biochem. J.2005年、385巻(Pt.2):399~408頁);Akt-1-1,2(Aklおよび2を阻害する)(Barnettら、Biochem. J.2005年、385巻(Pt.2):399~408頁);API-59CJ-Ome(例えばJinら、Br. J. Cancer 2004年、91巻:1808~12頁);1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジニル化合物(例えばWO05/011700);インドール-3-カルビノールおよびその誘導体(例えば米国特許第6,656,963号;SarkarおよびLi J Nutr.2004年、134巻(補遺12):3493S~3498S頁);ペリホシン(例えばAkt膜局在化を妨害する;Dasmahapatraら、Clin. Cancer Res.2004年、10巻(15号):5242~52頁);ホスファチジルイノシトールエーテル脂質類似体(例えばGillsおよびDennis Expert. Opin. Investig. Drugs 2004年、13巻:787~97頁);ならびにトリシリビン(TCNまたはAPI-2またはNCI識別子:NSC 154020;Yangら、Cancer Res.2004年、64巻:4394~9頁)が挙げられる。
【0180】
mTOR阻害剤には、限定されるものではないが、ATP競合型mTORC1/mTORC2阻害剤、例えばPI-103、PP242、PP30;Torin1;FKBP12強化剤;4H-1-ベンゾピラン-4-オン誘導体;ならびにラパマイシン(シロリムスとしても公知)およびその誘導体であり、以下を含む:テムシロリムス(Torisel(登録商標));エベロリムス(Afinitor(登録商標);WO94/09010);リダホロリムス(デホロリムスまたはAP23573としても公知);例えばWO98/02441およびWO01/14387に開示されるようなラパログ、例えばAP23464およびAP23841;40-(2-ヒドロキシエチル)ラパマイシン;40-[3-ヒドロキシ(ヒドロキシメチル)メチルプロパノエート]-ラパマイシン(CC1779としても公知);40-エピ-(テトラゾリル(tetrazolyt))-ラパマイシン(ABT578とも呼ばれる);32-デオキソラパマイシン;16-ペンチニルオキシ-32(S)-ジヒドロラパマイシン(rapanycin);WO05/005434に開示される誘導体;米国特許第5,258,389号、第5,118,677号、第5,118,678号、第5,100,883号、第5,151,413号、第5,120,842号、および第5,256,790号、およびWO94/090101、WO92/05179、WO93/111130、WO94/02136、WO94/02485、WO95/14023、WO94/02136、WO95/16691、WO96/41807、WO96/41807およびWO2018204416に開示される誘導体;ならびにリン含有ラパマイシン誘導体(例えばWO05/016252)が挙げられる。一部の実施形態では、mTOR阻害剤はビステリック阻害剤(bisteric inhibitor)(例えばWO2018204416、WO2019212990およびWO2019212991を参照されたい)、例えばRMC-5552である。
【0181】
本開示の化合物と組み合わせて使用することができるBRAF阻害剤には、例えば、ベムラフェニブ、ダブラフェニブおよびエンコラフェニブが挙げられる。BRAFは、クラス3BRAF突然変異を含んでもよい。一部の実施形態では、クラス3BRAF突然変異は、ヒトBRAFにおける以下のアミノ酸置換:D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eの1つまたは複数から選択される。
【0182】
MCL-1阻害剤には、限定されるものではないが、AMG-176、MIK665およびS63845が挙げられる。骨髄細胞白血病-1(MCL-1)タンパク質は、B細胞リンパ腫-2(BCL-2)タンパク質ファミリーの重要な抗アポトーシスメンバーの1つである。MCL-1の過剰発現は、腫瘍の進行、ならびに従来の化学療法だけでなくBCL-2阻害剤、例えばABT-263を含む標的化療法に対する耐性と密接に関連している。
【0183】
一部の実施形態では、追加の治療剤はSHP2阻害剤である。SHP2は、増殖、分化、細胞周期維持および遊走を含む複数の細胞機能に寄与する、PTPN11遺伝子によりコードされる非受容体タンパク質チロシンホスファターゼである。SHP2は、2つのN末端Src相同性2ドメイン(N-SH2およびC-SH2)、触媒ドメイン(PTP)およびC末端尾部を有する。2つのSH2ドメインは、SHP2の細胞内局在化および機能制御を調節する。分子は、N-SH2およびPTPドメインの両方からの残基を伴う結合ネットワークにより安定化された、不活性な自己阻害立体配置で存在する。例えば受容体型チロシンキナーゼ(RTK)を通して作用するサイトカインまたは成長因子による刺激は、触媒部位の曝露をもたらし、SHP2の酵素的活性化を生じる。
【0184】
SHP2はRAS-分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)、JAK-STATまたはホスホイノシトール3-キナーゼ-AKT経路を通したシグナル伝達に関与する。PTPN11遺伝子中およびその後のSHP2中の突然変異は、いくつかのヒトの発育異常疾患、例えばヌーナン症候群およびレオパード症候群、ならびにヒトのがん、例えば若年性骨髄単球性白血病、神経芽腫、黒色腫、急性骨髄性白血病、および乳房、肺および結腸がんにおいて特定されている。これらの突然変異のいくつかは、SHP2の自己阻害立体配置を不安定化し、SHP2の自己活性化または強化された成長因子による活性化を促進する。したがって、SHP2は、がんを含む様々な疾患の処置についての新たな治療の開発のための非常に魅力的な標的となる。RAS経路阻害剤(例えばMEK阻害剤)と組み合わせたSHP2阻害剤(例えばRMC-4550またはSHP099)は、in vitroでの複数のがん細胞株(例えば膵臓、肺、卵巣および乳がん)の増殖を阻害することが示されている。よって、RAS経路阻害剤とともにSHP2阻害剤を伴う組合せ療法は、広範な悪性腫瘍において腫瘍の抵抗性を防ぐための一般的な戦略であることができ、SOS1阻害剤との三つの組合せの阻害剤の基礎を形成し得る。
【0185】
当該技術分野において公知であるそのようなSHP2阻害剤の非限定的な例には、Chenら、Mol Pharmacol.2006年、70巻、562頁;Sarverら、J. Med. Chem.2017年、62巻、1793頁;Xieら、J. Med. Chem.2017年、60巻、113734頁;およびIgbeら、Oncotarget、2017年、8巻、113734頁;ならびにPCT出願:WO2015107493;WO2015107494;WO201507495;WO2016203404;WO2016203405;WO2016203406;WO2011022440;WO2017156397;WO2017079723;WO2017211303;WO2012041524;WO2017211303;WO2019051084;WO2017211303;US20160030594;US20110281942;WO2010011666;WO2014113584;WO2014176488;WO2017100279;WO2019051469;US8637684;WO2007117699;WO2015003094;WO2005094314;WO2008124815;WO2009049098;WO2009135000;WO2016191328;WO2016196591;WO2017078499;WO2017210134;WO2018013597;WO2018129402;WO2018130928;WO20181309928;WO2018136264;WO2018136265;WO2018160731;WO2018172984;およびWO2010121212が挙げられ、その各々は本明細書において参照により組み込まれる。
【0186】
一部の実施形態では、SHP2阻害剤は活性部位中に結合する。一部の実施形態では、SHP2阻害剤は混合タイプの不可逆的阻害剤である。一部の実施形態では、SHP2阻害剤は、アロステリック部位、例えば非共有結合アロステリック阻害剤に結合する。一部の実施形態では、SHP2阻害剤は共有結合SHP2阻害剤、例えばホスファターゼの活性部位の外側にあるシステイン残渣(C333)を標的とする阻害剤である。一部の実施形態では、SHP2阻害剤は可逆的阻害剤である。一部の実施形態では、SHP2阻害剤は不可逆的阻害剤である。一部の実施形態では、SHP2阻害剤はSHP099である。一部の実施形態では、SHP2阻害剤はTNO155である。一部の実施形態では、SHP2阻害剤はRMC-4550である。一部の実施形態では、SHP2阻害剤はRCM-4630である。一部の実施形態では、SHP2阻害剤はJAB-3068である。
【0187】
プロテアソーム阻害剤には、限定されるものではないが、カルフィルゾミブ(Kyprolis(登録商標))、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))およびオプロゾミブが挙げられる。
【0188】
免疫療法には、限定されるものではないが、モノクローナル抗体、免疫調節剤イミド(IMiD)、GITRアゴニスト、遺伝子改変T細胞(例えばCAR-T細胞)、二重特異性抗体(例えばBiTE)、ならびに抗PD-1、抗PDL-1、抗CTLA4、抗LAGlおよび抗OX40剤が挙げられる。
【0189】
免疫調節剤(IMiD)は、イミド基を含有する、免疫調節薬(免疫応答を調整する薬物)の一つのクラスである。IMiDクラスには、サリドマイドおよびその類似体(レナリドミド、ポマリドミドおよびアプレミラスト)が挙げられる。
【0190】
例示的な抗PD-1抗体およびそれらの使用のための方法は、Goldbergら、Blood 2007年、110巻(1号):186~192頁;Thompsonら、Clin.Cancer Res. 2007年、13巻(6号):1757~1761頁;およびWO06/121168 A1に記載され、ならびに本明細書の他の箇所に記載される。
【0191】
GITRアゴニストには、限定されるものではないが、GITR融合タンパク質および抗GITR抗体(例えば2価抗GITR抗体)、例えば、米国特許第6,111,090号、米国特許第8,586,023号、WO2010/003118およびWO2011/090754に記載されるGITR融合タンパク質;または例えば米国特許第7,025,962号、EP 1947183、米国特許第7,812,135号、米国特許第8,388,967号、米国特許第8,591,886号、米国特許第7,618,632号、EP1866339およびWO2011/028683、WO2013/039954、WO05/007190、WO07/133822、WO05/055808、WO99/40196、WO01/03720、WO99/20758、WO06/083289、WO05/115451およびWO2011/051726に記載される抗GITR抗体が挙げられる。
【0192】
本開示の化合物と組み合わせて使用することができる治療剤の別の例は、抗血管新生剤である。抗血管新生剤は、限定されるものではないが、in vitroで合成して調製された化学組成物、抗体、抗原結合領域、放射性核種ならびにそれらの組合せおよびコンジュゲートを含むものである。抗血管新生剤は、アゴニスト、アンタゴニスト、アロステリック調節剤、毒素であることができ、またはより一般的には、その標的を阻害するかもしくは刺激するように作用し(例えば受容体または酵素の活性化または阻害)、それにより細胞死を促進するかまたは細胞成長を停止させることができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療には、抗血管新生剤が挙げられる。
【0193】
抗血管新生剤は、MMP-2(マトリックス-メタロプロテイナーゼ2)阻害剤、MMP-9(マトリックス-メタロプロテイナーゼ(metalloprotienase)9)阻害剤およびCOX-II(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤であることができる。抗血管新生剤の非限定的な例には、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD001)、ソラフェニブ、スニチニブおよびベバシズマブが挙げられる。有用なCOX-II阻害剤の例には、アレコキシブ、バルデコキシブおよびロフェコキシブが挙げられる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、WO96/33172、WO96/27583、WO98/07697、WO98/03516、WO98/34918、WO98/34915、WO98/33768、WO98/30566、WO90/05719、WO99/52910、WO99/52889、WO99/29667、WO99007675、EP0606046、EP0780386、EP1786785、EP1181017、EP0818442、EP1004578およびUS20090012085、ならびに米国特許第5,863,949号および第5,861,510号において記載される。一部の実施形態では、MMP-2およびMMP-9阻害剤は、MMP-1を阻害する活性をほぼまたは全く有しない。一部の実施形態では、MMP-2およびMMP-9阻害剤は、他のマトリックス-メタロプロテイナーゼ(すなわちMAP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12およびMMP-13)と比較して、MMP-2またはAMP-9を選択的に阻害するものである。いくつかの特定のMMP阻害剤の例は、AG-3340、RO32-3555およびRS13-0830である。
【0194】
さらに代表的な抗血管新生剤には、KDR(キナーゼドメイン受容体)阻害剤(例えばキナーゼドメイン受容体に特異的に結合する抗体および抗原結合領域)、抗VEGF薬剤(例えばVEGFまたは可溶のVEGF受容体またはそのリガンド結合領域に特異的に結合する抗体または抗原結合領域)、例えばVEGF-TRAP(商標)、および抗VEGF受容体薬剤(例えばそれに特異的に結合する抗体または抗原結合領域)、EGFR阻害剤(例えばそれに特異的に結合する抗体または抗原結合領域)例えばVectibix(登録商標)(パニツムマブ)、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、抗Ang1および抗Ang2剤(例えばそれまたはその受容体、例えばTie2/Tekに特異的に結合する抗体または抗原結合領域)、ならびに抗Tie2キナーゼ阻害剤(例えばそれに特異的に結合する抗体または抗原結合領域)が挙げられる。他の抗血管新生剤には、Campath、IL-8、B-FGF、Tekアンタゴニスト(US2003/0162712;US6,413,932)、抗TWEAK剤(例えば特異的結合抗体もしくは抗原結合領域、または可溶のTWEAK受容体アンタゴニスト;US6,727,225を参照されたい)、インテグリンのそのリガンドへの結合を拮抗させるADAMディスインテグリンドメイン(US2002/0042368)、特異的結合抗eph受容体または抗ephrin抗体または抗原結合領域(米国特許第5,981,245号;第5,728,813号;第5,969,110号;第6,596,852号;第6,232,447号;第6,057,124号およびその特許ファミリーメンバー)および抗PDGF-BBアンタゴニスト(例えば特異的結合抗体または抗原結合領域)、ならびにPDGF-BBリガンドに特異的に結合する抗体または抗原結合領域、およびPDGFRキナーゼ阻害剤(例えばそれに特異的に結合する抗体または抗原結合領域)が挙げられる。追加の抗血管新生剤には、SD-7784(Pfizer、USA);シレンジタイド(Merck KGaA、Germany、EPO 0770622);ペガプタニブ八ナトリウム、(Gilead Sciences、USA);アルファスタチン、(BioActa、UK);M-PGA、(Celgene、USA、US 5712291);イロマスタット、(Arriva、USA、US5892112);エマキサニブ、(Pfizer、USA、US5792783);バタラニブ、(Novartis、Switzerland);2-メトキシエストラジオール(EntreMed、USA);TLC ELL-12(Elan、Ireland);酢酸アネコルタブ(Alcon、USA);アルファ-D148 Mab(Amgen、USA);CEP-7055(Cephalon、USA);抗Vn Mab(Crucell、Netherlands)、DAC抗血管形成剤(ConjuChem、Canada);アンギオシジン(InKine Pharmaceutical、USA);KM-2550(Kyowa Hakko、Japan);SU-0879(Pfizer、USA);CGP-79787(Novartis、Switzerland、EP 0970070);ARGENT技術(Ariad、USA);YIGSR-ステルス(Johnson&Johnson、USA);フィブリノゲン-E断片(BioActa、UK);血管新生阻害剤(Trigen、UK);TBC-1635(Encysive Pharmaceuticals、USA);SC-236(Pfizer、USA);ABT-567(Abbott、USA);メタスタチン(EntreMed、USA);マスピン(Sosei、Japan);2-メトキシエストラジオール(Oncology Sciences Corporation、USA);ER-68203-00(IV AX、USA);ベネフィン(Lane Labs、USA);Tz-93(Tsumura、Japan);TAN-1120(Takeda、Japan);FR-111142(Fujisawa、Japan、JP 02233610);血小板第4因子(RepliGen、USA、EP 407122);血管内皮成長因子アンタゴニスト(Borean、Denmark);ベバシズマブ(pINN)(Genentech、USA);血管新生阻害剤(SUGEN、USA);XL 784(Exelixis、USA);XL 647(Exelixis、USA);MAb、アルファ5ベータ3インテグリン第2世代(Applied Molecular Evolution、USAおよびMedlmmune、USA);エンザスタウリン塩酸塩(Lilly、USA);CEP 7055(Cephalon、USAおよびSanofi-Synthelabo、France);BC 1(Genoa Institute of Cancer Research、Italy);rBPI 21およびBPI由来の抗血管新生剤(XOMA、USA);PI 88(Progen、Australia);シレンギチド(Merck KGaA、German;Munich Technical University、Germany、Scripps Clinic and Research Foundation、USA);AVE 8062(Ajinomoto、Japan);AS 1404(Cancer Research Laboratory、New Zealand);SG 292、(Telios、USA);エンドスタチン(Boston Childrens Hospital、USA);ATN 161(Attenuon、USA);2-メトキシエストラジオール(Boston Childrens Hospital、USA);ZD 6474、(AstraZeneca、UK);ZD 6126、(Angiogene Pharmaceuticals、UK);PPI 2458、(Praecis、USA);AZD 9935、(AstraZeneca、UK);AZD 2171、(AstraZeneca、UK);バタラニブ(pINN)、(Novartis、SwitzerlandおよびSchering AG、Germany);組織因子経路阻害剤(EntreMed、USA);ペガプタニブ(Pinn)、(Gilead Sciences、USA);キサントリゾール、(Yonsei University、South Korea);ワクチン、遺伝子ベースのVEGF-2、(Scripps Clinic and Research Foundation、USA);SPV5.2、(Supratek、Canada);SDX 103、(University of California at San Diego、USA);PX 478、(ProlX、USA);メタスタチン、(EntreMed、USA);トロポニンI、(Harvard University、USA);SU 6668、(SUGEN、USA);OXI 4503、(OXiGENE、USA);o-グアニジン(Dimensional Pharmaceuticals、USA);モツポラミンC、(British Columbia University、Canada);CDP 791、(Celltech Group、UK);アチプリモド(pINN)、(GlaxoSmithKline、UK);E 7820、(Eisai、Japan);CYC 381、(Harvard University、USA);AE 941、(Aeterna、Canada);ワクチン、血管新生(EntreMed、USA);ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子阻害剤(Dendreon、USA);オグルファニド(pINN)、(Melmotte、USA);HIF-lアルファ阻害剤、(Xenova、UK);CEP 5214、(Cephalon、USA);BAY RES 2622、(Bayer、Germany);アンギオシジン(InKine、USA);A6、(Angstrom、USA);KR 31372、(Korea Research Institute of Chemical Technology、South Korea);GW 2286、(GlaxoSmithKline、UK);EHT 0101、(ExonHit、France);CP 868596、(Pfizer、USA);CP 564959、(OSI、USA);CP 547632、(Pfizer、USA);786034、(GlaxoSmithKline、UK);KRN 633、(Kirin Brewery、Japan);薬物送達システム、眼球内、2-メトキシエストラジオール;アンギネックス(Maastricht University、Netherlands、およびMinnesota University、USA);ABT 510(Abbott、USA);AAL 993(Novartis、Switzerland);VEGI(ProteomTech、USA);腫瘍壊死因子-アルファ阻害剤;SU 11248(Pfizer、USAおよびSUGEN USA);ABT 518、(Abbott、USA);YH16(Yantai Rongchang、China);S-3APG(Boston Childrens Hospital、USAおよびEntreMed、USA);MAb、KDR(ImClone Systems、USA);MAb、アルファ5ベータ(Protein Design、USA);KDRキナーゼ阻害剤(Celltech Group、UK、およびJohnson&Johnson、USA);GFB 116(South Florida University、USAおよびYale University、USA);CS 706(Sankyo、Japan);
コンブレタスタチンA4プロドラッグ(Arizona State University、USA);コンドロイチナーゼ AC(IBEX、Canada);BAY RES 2690(Bayer、Germany);AGM 1470(Harvard University、USA、Takeda、Japan、and TAP、USA);AG 13925(Agouron、USA);テトラチオモリブデート(University of Michigan、USA);GCS 100(Wayne State University、USA)CV 247(Ivy Medical、UK);CKD 732(Chong Kun Dang、South Korea);イルソグラジン(Nippon Shinyaku、Japan);RG 13577(Aventis、France);WX 360(Wilex、Germany);スクアラミン(Genaera、USA);RPI 4610(Sirna、USA);ヘパラナーゼ阻害剤(InSight、Israel);KL 3106(Kolon、South Korea);ホノキオール(Emory University、USA);ZK CDK(Schering AG、Germany);ZK Angio(Schering AG、Germany);ZK 229561(Novartis、Switzerland、およびSchering AG、Germany);XMP 300(XOMA、USA);VGA 1102(Taisho、Japan);VE-カドヘリン-2アンタゴニスト(ImClone Systems、USA);バソスタチン(National Institutes of Health、USA);Flk-1(ImClone Systems、USA);TZ 93(Tsumura、Japan);タムスタチン(Beth Israel Hospital、USA);切断型可溶性FLT 1(血管内皮細胞成長因子受容体1)(Merck&Co、USA);Tie-2リガンド(Regeneron、USA);ならびにトロンボスポンジン1阻害剤(Allegheny Health、EducationおよびResearch Foundation、USA)が挙げられる。
【0195】
本開示の化合物と組み合わせて使用することができる治療剤のさらなる例には、特異的に結合し、成長因子の活性を阻害する薬剤(例えば抗体、抗原結合領域または可溶性受容体)、例えば肝細胞成長因子(HGF、スキャッター因子としても公知)のアンタゴニスト、およびその受容体であるc-Metに特異的に結合する抗体または抗原結合領域が挙げられる。
【0196】
本開示の化合物と組み合わせて使用することができる治療剤の別の例は、オートファジー阻害剤である。オートファジー阻害剤には、限定されるものではないが、クロロキン、3-メチルアデニン、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(商標))、バフィロマイシンA1、5-アミノ-4-イミダゾールカルボキサミドリボシド(AICAR)、オカダ酸、2A型または1型のプロテインホスファターゼを阻害するオートファジー抑制藻類毒素、cAMPの類似体、ならびにcAMPレベルを上昇させる薬物、例えばアデノシン、LY204002、N6-メルカプトプリンリボシドおよびビンブラスチンが挙げられる。加えて、限定されるものではないがATG5を含むタンパク質(オートファジーに関係する)の発現を阻害するアンチセンスまたはsiRNAも使用することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療には、オートファジー阻害剤が挙げられる。
【0197】
本開示の化合物と組み合わせて使用することができる治療剤の別の例は、抗悪性腫瘍剤である。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療には、抗悪性腫瘍剤が挙げられる。抗悪性腫瘍剤の非限定的な例としては、アセマンナン、アクラルビシン、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、ANCER、アンセスチム、アルグラビン、三酸化ヒ素、BAM-002(Novelos)、ベキサロテン、ビカルタミド、ブロクスウリジン、カペシタビン、セルモロイキン、セトロレリクス、クラドリビン、クロトリマゾール、シタラビンオクホスファート、DA 3030(Dong-A)、ダクリズマブ、デニロイキンジフチトクス、デスロレリン、デクスラゾキサン、ジラゼプ、ドセタキセル、ドコサノール、ドキセルカルシフェロール、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ブロモクリプチン、カルムスチン、シタラビン、フルオロウラシル、HITジクロフェナク、インターフェロンアルファ、ダウノルビシン、ドキソルビシン、トレチノイン、エデルホシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エミテフル、エピルビシン、エポエチンベータ、リン酸エトポシド、エキセメスタン、エキスリンド、ファドロゾール、フィルグラスチム、フィナステリド、フルダラビンリン酸塩、ホルメスタン、ホテムスチン、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、ゲムツズマブゾガマイシン、ギメラシル/オテラシル/テガフール配合剤、グリコピン、ゴセレリン、ヘプタプラチン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎児アルファフェトプロテイン、イバンドロン酸、イダルビシン、(イミキモド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ、天然、インターフェロンアルファ-2、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-Nl、インターフェロンアルファ-n3、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンアルファ、天然、インターフェロンベータ、インターフェロンベータ-la、インターフェロンベータ-lb、インターフェロンガンマ、天然インターフェロンガンマ-la、インターフェロンガンマ-lb、インターロイキン-1ベータ、ヨーベングアン、イリノテカン、イルソグラジン、ランレオチド、LC9018(Yakult)、レフルノミド、レノグラスチム、レンチナンスルフェート、レトロゾール、白血球アルファインターフェロン、リュープロレリン、レバミソール+フルオロウラシル、リアロゾール、ロバプラチン、ロニダミン、ロバスタチン、マソプロコール、メラルソプロール、メトクロプラミド、ミフェプリストン、ミルテホシン、ミリモスチム、ミスマッチ二本鎖RNA、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトキサントロン、モルグラモスチム、ナファレリン、ナロキソン+ペンタゾシン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ニルタミド、ノスカピン、新規赤血球産生刺激タンパク質製剤、NSC 631570オクトレオチド、オプレルベキン、オサテロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロン酸、ペガスパルガーゼ、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペントサン多硫酸ナトリウム、ペントスタチン、ピシバニル、ピラルビシン、ウサギ抗胸腺細胞ポリクローナル抗体、ポリエチレングリコールインターフェロンアルファ-2a、ポルフィマーナトリウム、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラスブリエンボディメント、レニウムRe186エチドロン酸塩、RIIレチンアミド、リツキシマブ、ロムルチド、サマリウム(153Sm)レキシドロナム、サルグラモスチム、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソネルミン、塩化ストロンチウム-89、スラミン、タソネルミン、タザロテン、テガフール、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、サリドマイド、サイマルファシン、チロトロピンアルファ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ-ヨウ素131、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トリロスタン、トリメトレキサート、トリプトレリン、天然型腫瘍壊死因子アルファ、ウベニメクス、膀胱がんワクチン、丸山ワクチン、黒色腫ライセートワクチン、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビノレルビン、ビルリジン、ジノスタチンスチマラマーもしくはゾレドロン酸;アバレリクス;AE 941(Aeterna)、アンバムスチン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、bcl-2(Genta)、APC 8015(Dendreon)、デシタビン、デキサミノグルテチミド、ジアジコン、EL 532(Elan)、EM 800(Endorecherche社)、エニルウラシル、エタニダゾール、フェンレチニド、フィルグラスチムSD01(Amgen社)、フルベストラント、ガロシタビン、ガストリン17免疫原、HLA-B7遺伝子療法(Vical社)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒスタミン二塩酸塩、イブリツモマブチウキセタン、イロマスタット、IM862(Cytran)、インターロイキン-2、イプロキシフェン、LDI200(ミルクハウス)、レリジスチム、リンツズマブ、CA 125 MAb(Biomira)、がんMAb(Japan Pharmaceutical Development)、HER-2およびFc MAb(Medarex)、イディオタイプ105AD7 MAb(CRC Technology)、イディオタイプCEA MAb(Trilex)、LYM-1-ヨウ素131 MAb(Techni clone)、多形性上皮ムチン-イットリウム90 MAb(Antisoma)、マリマスタット、メノガリル、ミツモマブ、モテキサフィンガドリニウム、MX 6(Galderma)、ネララビン、ノラトレキセド、P 30タンパク質、ペグビソマント、ペメトレキセド、ポルフィロマイシン、プリノマスタット、RL 0903(Shire)、ルビテカン、サトラプラチン、フェニル酢酸ナトリウム、スパルホス酸、SRL 172(SR Pharma)、SU 5416(SUGEN)、TA 077(Tanabe)、テトラチオモリブデート、タリブラスチン、トロンボポエチン、エチルエチオプルプリンスズ、チラパザミン、がんワクチン(Biomira)、黒色腫ワクチン(New York University)、黒色腫ワクチン(Sloan Kettering Institute)、黒色腫癌溶解物ワクチン(melanoma oncolysate vaccine)(New York Medical College)、黒色腫細胞ウイルス溶解物ワクチン(Royal Newcastle Hospital)、またはバルスポダールが挙げられる。
【0198】
本開示の化合物と組み合わせて使用することができる治療剤の追加の例には、イピリムマブ(Yervoy(登録商標));トレメリムマブ;ガリキシマブ;ニボルマブ、BMS-936558(Opdivo(登録商標))としても公知;ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標));アベルマブ(Bavencio(登録商標));AMP224;BMS-936559;MPDL3280A、RG7446としても公知;MEDI-570;AMG557;MGA271;IMP321;BMS-663513;PF-05082566;CDX-1127;抗OX40(Providence Health Services);huMAbOX40L;アタシセプト;CP-870893;ルカツムマブ;ダセツズマブ;ムロモナブ-CD3;イピルムマブ;MEDI4736(Imfinzi(登録商標));MSB0010718C;AMP 224;アダリムマブ(Humira(登録商標));ado-トラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標));アフリベルセプト(Eylea(登録商標));アレムツズマブ(Campath(登録商標));バシリキシマブ(Simulect(登録商標));ベリムマブ(Benlysta(登録商標));バシリキシマブ(Simulect(登録商標));ベリムマブ(Benlysta(登録商標));ブレンツキシマブ ベドチン(Adcetris(登録商標));カナキヌマブ(Ilaris(登録商標));セルトリズマブペゴル(Cimzia(登録商標));ダクリズマブ(Zenapax(登録商標));ダラツムマブ(Darzalex(登録商標));デノスマブ(Prolia(登録商標));エクリズマブ(Soliris(登録商標));エファリズマブ(Raptiva(登録商標));ゲムツズマブ オゾガマイシン(Mylotarg(登録商標));ゴリムマブ(Simponi(登録商標));イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標));インフリキシマブ(Remicade(登録商標));モタビズマブ(Numax(登録商標));ナタリズマブ(Tysabri(登録商標));オビヌツズマブ(Gazyva(登録商標));オファツムマブ(Arzerra(登録商標));オマリズマブ(Xolair(登録商標));パリビズマブ(Synagis(登録商標));ペルツズマブ(Perjeta(登録商標));ペルツズマブ(Perjeta(登録商標));ラニビズマブ(Lucentis(登録商標));ラキシバクマブ(Abthrax(登録商標));トシリズマブ(Actemra(登録商標));トシツモマブ;トシツモマブ-i-131;トシツモマブおよびトシツモマブ-i-131(Bexxar(登録商標));ウステキヌマブ(Stelara(登録商標));AMG 102;AMG 386;AMG 479;AMG 655;AMG 706;AMG 745;およびAMG 951が挙げられる。
【0199】
一部の実施形態では、本開示の化合物との組合せ療法において使用される追加の化合物は、CDK4/6阻害剤(例えばアベマシクリブ、パルボシクリブまたはリボシクリブ)、KRAS:GDPG12C阻害剤(例えばAMG510、MRTX1257)または他の突然変異体Ras:GDP阻害剤、KRAS:GTPG12C阻害剤または他の突然変異体Ras:GTP阻害剤、MEK阻害剤(例えばレファメチニブ、セルメチニブ、トラメチニブまたはコビメチニブ)、SHP2阻害剤(例えばTNO155、RMC-4630)、ERK阻害剤およびRTK阻害剤(例えばEGFR阻害剤)からなる群から選択される。
【0200】
一部の実施形態では、本開示の化合物との組合せ療法において使用される追加の化合物は、ABT-737、AT-7519、カルフィルゾミブ、コビメチニブ、ダヌセルチブ、ダサチニブ、ドキソルビシン、GSK-343、JQ1、MLN-7243、NVP-ADW742、パクリタキセル、パルボシクリブおよびボラセルチブからなる群から選択される。一部の実施形態では、本開示の化合物との組合せ療法において使用される追加の化合物は、ネラチニブ、アセチニブおよびリバーシンからなる群から選択される。
【0201】
本明細書において記載される化合物は、処置されている状態に応じて、本明細書において開示されている薬剤、または他の適切な薬剤と組み合わせて使用することができる。したがって、一部の実施形態では、1つまたは複数の本開示の化合物は、本明細書において記載されるような他の治療と同時投与される。組合せ療法において使用される場合、本明細書において記載される化合物は第2の薬剤と同時にまたは別々に投与され得る。組合せでの投与には、同じ剤形での2つの薬剤の同時の投与、別々の剤形での同時の投与、および別々の投与を挙げることができる。すなわち、本明細書において記載される化合物および本明細書において記載される薬剤のいずれかは、同じ剤形中に一緒に製剤化し、同時に投与することができる。あるいは、本開示の化合物および本明細書において記載される治療のいずれかは同時に投与することができ、ここで両方の薬剤は別々の製剤中に存在する。別の代替として、本開示の化合物を投与し、本明細書において記載される治療のいずれかを続けることができ、またはその逆も同様である。別々の投与プロトコールの一部の実施形態では、本開示の化合物および本明細書において記載される治療のいずれかは、数分空けて、または数時間空けて、または数日空けて投与される。
【0202】
一部の実施形態では、組合せ治療レジメンは、2つの治療剤を採用し、1つは本開示の化合物、および2つめは本明細書において記載される治療剤から選択される。一部の実施形態では、組合せ治療レジメンは、3つの治療剤を採用し、1つは本開示の化合物、および2つは本明細書において記載される治療剤から選択される。一部の実施形態では、組合せ治療レジメンは、4つまたはそれ以上の治療剤を採用し、1つは本開示の化合物、および3つは本明細書において記載される治療剤から選択される。
【0203】
本明細書において記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、第1の治療(例えば本開示の化合物)および1つまたは複数の追加の治療は、同時に、またはいずれかの順序で順次、投与される。第1の治療剤は、1つまたは複数の追加の治療の前または後すぐに、最大1時間、最大2時間、最大3時間、最大4時間、最大5時間、最大6時間、最大7時間、最大、8時間、最大9時間、最大10時間、最大11時間、最大12時間、最大13時間、14時間、最大時間16、最大17時間、最大18時間、最大19時間最大20時間、最大21時間、最大22時間、最大23時間、最大24時間または最大1~7、1~14、1~21もしくは1~30日に投与することができる。
【0204】
この項では、記載される薬剤について、それ自体が明白に記されているかそうでないかにかかわらず、すべての参考文献が参照により組み込まれる。
6.キット
本開示の別の態様は、上記の式のいずれか1つの化合物、または本開示の上記の式のいずれか1つの化合物を含む医薬組成物を含むキットを提供する。キットは、本開示の上記の式のいずれか1つの化合物またはその医薬組成物に加えて、診断または治療剤を含んでもよい。キットはまた、診断または治療法における使用のための説明書を含んでもよい。一部の実施形態では、キットは上記の式のいずれか1つの化合物またはその医薬組成物、および診断剤を含む。他の実施形態では、キットは上記の式のいずれか1つの化合物またはその医薬組成物を含む。
【0205】
さらに別の実施形態では、本開示は、本明細書において記載される処置の方法の実施における使用に適切なキットを含む。一実施形態では、キットは、本開示の方法を実行するのに十分な量の本開示の化合物の1つまたは複数を含む、第1の剤形を含有する。別の実施形態では、キットは、本開示の方法を実行するのに十分な量の1つまたは複数の本開示の化合物および投薬のための容器および投薬のための容器を含む。
7.調製
上記の式のいずれか1つの化合物は、合成有機化学の当業者の通常の一般的知識を使用して、下記の一般的および特定の方法により調製することができる。そのような通常の一般的知識は、標準的な参考文献、例えばComprehensive Organic Chemistry、BartonおよびOllis編、Elsevier;Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations、Larock、John Wiley and Sons;ならびにCompendium of Organic Synthetic Methods、I~XII巻(Wiley-Interscienceにより刊行)において見出すことができる。本明細書において使用される出発材料は、市販されているか、当該技術分野において公知の慣習的な方法により調製することができる。
【0206】
上記の式のいずれか1つの化合物の調製において、本明細書において記載される調製方法のいくつかは、離れた官能基(remote functionality)(例えば、上記の前駆体の式のいずれか1つにおける第一級アミン、第二級アミン、カルボキシル)の保護を必要とすることがあることに留意されたい。そのような保護の必要性は、離れた官能基の性質および調製方法の条件に応じて変動する。そのような保護の必要性は、当業者により容易に決定される。そのような保護/脱保護方法の使用も、当該技術内にある。保護基およびこれらの使用の一般的な説明については、Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley&Sons、New York、1991年を参照されたい。
【0207】
例えば、ある特定の化合物は、保護されないままである場合に分子の他の部位での反応を妨害し得る第一級アミンまたはカルボン酸官能性を含有する。したがって、そのような官能性は、その後のステップにおいて除去され得る適切な保護基により保護され得る。アミンおよびカルボン酸保護についての適切な保護基は、概して記載される反応条件下では化学的に反応性でなく、典型的に上記の化合物式のいずれか1つにおいて他の官能性を化学的に変化させることなく除去することができる、ペプチド合成に一般的に使用される保護基(例えば、アミンについてはN-t-ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、および9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)、ならびにカルボン酸については低級アルキルまたはベンジルエステル)が挙げられる。
【0208】
下記のスキームは、本開示の化合物の調製において採用される方法論の一般的な説明を提供することを意図する。本開示の化合物のいくつかは、立体化学的名称(R)または(S)を有する単一または複数のキラル中心を含有し得る。材料がエナンチオ豊富であるかまたはラセミ体であるかにかかわらず、すべての合成変換を類似の方法で実行することができることが、当業者に明白である。さらに、所望の光学的に活性な材料の分割は、本明細書において記載されるようなおよび化学的文献における周知の方法を使用して、順序中の任意の所望のポイントで行われ得る。
【実施例
【0209】
略語:
Ar アルゴン
DAST ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド
DCM ジクロロメタン
DIEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMF-DMA N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール
DMSO ジメチルスルホキシド
Dppf 1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
EA 酢酸エチル
EtOH エタノール
EtOAc 酢酸エチル
HATU N-[(ジメチルアミノ)-1H-1,2,3-トリアゾロ-[4,5-b]ピリジン-1-イルメチレン]-N メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN-オキシド
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
i-PrOH イソプロピルアルコール
LC-MS 液体クロマトグラフィー質量分析法
MeOH メタノール
Pd(dppf)Cl ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム
Pd(PPh テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
PE 石油エーテル
TEA トリエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
Tf トリフレート
Ts トシル
Xantphos 4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン
合成実施例1.中間体を調製するための合成プロセス
中間体1
【0210】
【化10】
【0211】
ステップ1:
2-MeTHF(75mL)の撹拌溶液に、4℃のジメチル3-オキソペンタンジオエート(10g、57.4mmol)およびDMF-DMA(6.8g、57.4mmol)を添加した。混合物を、3時間撹拌した。反応混合物を室温に加温し、塩酸水溶液(4N、26mL)をゆっくりと添加した。3時間室温で撹拌した後、有機層を分離し、水(20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、ジメチル2-ホルミル-3-オキソ-ペンタンジオエート(11g、収率95%)を淡黄色の液体として得、これをさらに精製せずに直接使用した。LC-MS:m/z 202.9[M+H]
【0212】
ステップ2:
MeOH(15mL)中のジメチル2-ホルミル-3-オキソ-ペンタンジオエート(2.3g、11.5mmol)、モルホリン-4-アミン(1.1g、10.4mmol)の混合物を、室温で12時間撹拌した。MeONa(647.9mg、12.0mmol)を混合物に添加し、6時間撹拌した。混合物をHO(15mL)でクエンチし、aq.HCl(1N)でpH1~2に酸性化した。結果として生じた固体を濾過し、MeOHおよびHO(1:1、V:V)で洗浄し、真空中で乾燥させて、メチル4-ヒドロキシ-1-モルホリノ-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキシレートを白色の固体として得た(2g、収率75%)。LC-MS:m/z 254.9[M+H]
【0213】
ステップ3:
CHCN(50mL)中のメチル4-ヒドロキシ-1-モルホリノ-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキシレート(2.0g、7.9mmol)およびTEA(1.2g、11.8mmol)の撹拌溶液に、4-メチルベンゼンスルホニルクロリド(1.5g、7.9mmol)を添加した。混合物を、室温で1時間撹拌した。結果として生じた固体を濾過し、CHCNで洗浄して、メチル1-モルホリノ-6-オキソ-4-(p-トリルスルホニルオキシ)ピリジン-3-カルボキシレートを得た(2.6g、収率81%)。LC-MS:m/z 408.8[M+H]
【0214】
ステップ4:
ジオキサン(50mL)中のメチル1-モルホリノ-6-オキソ-4-(p-トリルスルホニルオキシ)ピリジン-3-カルボキシレート(2.0g、5.0mmol)、アセトアミド(590.1mg、10mmol)、パラジウム(π-シンナミル)クロリド二量体(129.4mg、249.7μmol)、XantPhos(289.2mg、499.5μmol)およびKPO(2.7g、12.5mmol)の混合物を、100℃で12時間撹拌した。混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、メチル4-アセトアミド-1-モルホリノ-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキシレートを得た(1.0g、収率68%)。LC-MS:m/z 295.9[M+H]
【0215】
ステップ5:
メチル4アセトアミド-1-モルホリノ-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキシレート(295mg、1.0mmol)およびMeOH(7M、5mL)中のNHの溶液の混合物を、16時間60℃に加熱した。混合物を濃縮し、濾過して、2-メチル-6-モルホリノ-3H-ピリド[4,3-d]ピリミジン-4,7-ジオンを得(200mg、収率76%)、これをさらに精製せずに次のステップに使用した。LC-MS:m/z 262.9[M+H]
【0216】
本開示の追加の中間体を、中間体1について記載される代表的な手順と同様に、対応した誘導体を使用することにより調製した。選択された化合物およびこれらの対応する特徴付けデータを、以下の表に示す。
【0217】
【表2-1】
【0218】
【表2-2】
【0219】
中間体10
【0220】
【化11】
【0221】
ステップ1:
水(25mL)中の(2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリン(2.0g、17.4mmol)の溶液に、0℃のナトリウム亜硝酸塩(1.8g、26.1mmol)および酢酸(1.4g、22.5mmol)を添加した。混合物を、20℃で2時間撹拌した。混合物をCHCl(80mL)で希釈し、次にaq.NaHCO(30mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、(2S,6R)-2,6-ジメチル-4-ニトロソ-モルホリンを黄色の油状物として得た(2.5g、収率99%)。
【0222】
ステップ2:
CHOH(25mL)中の(2S,6R)-2,6-ジメチル-4-ニトロソ-モルホリン(2.5g、17.4mmol)の溶液に、0℃の酢酸(3.1g、52.1mmol)および亜鉛(3.4g、52.1mmol)を添加した。混合物を、20℃で4時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮して、(2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリン-4アミン(7g)を白色の固体として得た。
【0223】
以下の化合物を、中間体10について記載される代表的な手順と同様に調製した。
【0224】
【表3】
【0225】
中間体15
【0226】
【化12】
【0227】
CHCN(2mL)中の2-メチル-6-モルホリノ-3H-ピリド[4,3-d]ピリミジン-4,7-ジオン(26.2mg、99.9μmol)および1-ブロモピロリジン-2,5-ジオン(17.8mg、99.9μmol)の混合物を、室温で3時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、MeOH(5mL)で洗浄して、8-ブロモ-2-メチル-6-モルホリノピリド[4,3-d]ピリミジン-4,7(3H,6H)-ジオン(25mg)を得た。LC-MS:m/z 341.7[M+H]
【0228】
中間体16
【0229】
【化13】
【0230】
ステップ1:
CHCl(70mL)中の5-ブロモベンゼン-1,3-ジカルバルデヒド(5g、23.5mmol)の溶液に、0℃のDAST(22.7g、140.8mmol)をゆっくりと添加した。混合物を、20℃で8時間撹拌した。溶液を氷(120mL)中に注ぎ、飽和重炭酸ナトリウム(100mL)を添加した。混合物をCHCl(3×200mL)で抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-ブロモ-3,5-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン(3.8g、収率63%)を無色の油状物として得た。
【0231】
ステップ2:
n-BuOH(15mL)中の1-ビニルオキシブタン(779.3mg、7.7mmol)、1-ブロモ-3,5-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン(1g、3.9mmol)、Pd(OAc)(87.3mg、389.1μmol)、リン酸カリウム(1.6g、7.7mmol)およびdppf(431.4mg、778.1μmol)の溶液に、LiOTf(606.9mg、3.9mmol)を添加した。混合物をN流で3回脱気した。混合物を、110℃で16時間撹拌した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、無色の油状物を得た。次に油状物をEtOAc(5mL)中に溶解し、HCl/EtOAc(5mL)を添加した。混合物を、20℃で1時間撹拌した。混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-[3,5-ビス(ジフルオロメチル)フェニル]エタノンを白色の固体として得た(260mg、収率30%)。
【0232】
ステップ3:
THF(8mL)中の1-[3,5-ビス(ジフルオロメチル)フェニル]エタノン(260mg、1.2mmol)および2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(286.2mg、2.4mmol)の溶液に、Ti(OEt)(538.7mg、2.4mmol)を添加した。混合物を、80℃で16時間撹拌した。反応混合物をTHF(50mL)で希釈し、次に水でクエンチした。混合物を濾過し、濾液をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、N-[1-[3,5-ビス(ジフルオロメチル)フェニル]エチリデン]-2-メチル-プロパン-2-スルフィンアミド(400mg)を黄色の固体として得、それをさらに精製せずに次のステップに直接使用した。
【0233】
ステップ4:
THF(8mL)中のN-[1-[3,5-ビス(ジフルオロメチル)フェニル]エチリデン]-2-メチル-プロパン-2-スルフィンアミド(400mg、1.2mmol)の溶液に、NaBH(140.4mg、3.7mmol)を添加した。混合物を、0℃で2時間撹拌した。反応混合物を水でクエンチした。混合物をEtOAc(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、N-[1-[3,5-ビス(ジフルオロメチル)フェニル]エチル]-2-メチル-プロパン-2-スルフィンアミド(400mg、収率99%)を黄色の固体として得た。
【0234】
ステップ5:
HCl/EtOAc(8mL、4N)中のN-[1-[3,5-ビス(ジフルオロメチル)フェニル]エチル]-2-メチル-プロパン-2-スルフィンアミド(400mg、1.2mmol)の溶液を、20℃で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮した。残渣をEtOAc(50mL)中に懸濁し、aq.NaHCO(25mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、1-[3,5-ビス(ジフルオロメチル)フェニル]エタンアミンを油状物として得た(150mg、収率55%)。
【0235】
中間体17
【0236】
【化14】
【0237】
ステップ1:
下の3-ブロモ-2-フルオロベンズアルデヒド(200g、956mmol)のジクロロメタン(3000mL)中の溶液に、0℃でDAST(308g、1912mmol)を添加し、混合物を0℃で1時間撹拌した。混合物を室温に加温し、1時間撹拌した。反応物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で慎重にクエンチした。反応混合物を次に酢酸エチル(3000mL)で希釈し、有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、次に濃縮乾固し、クロマトグラフィー(PE中0~50%酢酸エチル、20分)により精製して、l-ブロモ-3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロベンゼンを油状物として得た(135g、収率61%)。
【0238】
ステップ2:
l-ブロモ-3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロベンゼン(125g、556mmol)を、無水1,4-ジオキサン(1.2L)中に溶解した。トリエチルアミン(140mL、1389mmol)およびトリブチル(1-エトキシビニル)スズ(241g、667mmol)を添加し、結果として生じた溶液をアルゴンで15分パージした。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(3.9g、5.6mmol)を添加した。反応混合物を、オートクレーブ中、16時間100℃に加熱した。出発材料の変換が完了した後、反応混合物を室温に冷却し、1N HClで処理し、さらに16時間撹拌した。水性層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン/酢酸エチル10:1)により精製して、1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エタノンを得た(78g、収率76%)。LC-MS:m/z 189.0[M+H]
【0239】
ステップ3:
1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エタノン(70g、372mmol)を、THF(1.0L)中に溶解した。室温の(R)-(+)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド(68.3g、564mmol)およびチタンテトラエトキシド(257.5g、1129mmol)を添加した。結果として生じた反応混合物を16時間80℃に加熱した。出発材料の変換が完了した後、氷水およびEtOAcを添加し、水性層をEtOAcで抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(R,E)-N-(1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチリデン)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドを得て、それをさらに精製せずに次のステップに使用した。LC-MS:m/z 292.0[M+H]
【0240】
ステップ4:
(R,E)-N-(1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチリデン)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(100g、343.6mmol)の溶液をTHF(1.2L)中に溶解し、0℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(12.7g、343.2mmol)を添加し、結果として生じた反応混合物を室温で6時間撹拌した。出発材料の変換が完了した後、氷水およびEtOAcを添加した。水性層をEtOAcで抽出し、合わせ、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をクロマトグラフィー(勾配溶離:石油エーテル中33%酢酸エチル)により精製し、異性体1:(R)-N-((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドを黄色の油状物、LC-MS:m/z 294.0[M+H]+として(65g、収率64%);異性体2:(R)-N-((S)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドを黄色の油状物、LC-MS:m/z 294.0[M+H]として得た。
【0241】
ステップ5:
EA(600mL)中の(R)-N-((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(65g、221.8mmol)の溶液に、ジオキサン(300mL)中の4N HClを添加し、1.5時間、室温、N下で撹拌した。反応の完了後、溶液を真空中で除去し、固体を収集し、水で希釈した。混合物をaq.NaHCOでpH=8に調節し、EA(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮して、(R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エタン-1-アミンを淡黄色の油状物として得た(31g、収率73%)。LC-MS:m/z 191.1[M+H]。ee値=99%、RT=0.88分(カラム:Cellulose-SC、4.6×100mm、5μm)。
【0242】
(S)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エタン-1-アミンを、(R)-N-((S)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドを出発材料として使用して、同じ手順により調製した。LC-MS:m/z 191.1[M+H]。室温=1.12分(カラム:Cellulose-SC、4.6×100mm、5μm)。
【0243】
合成実施例2.例示された化合物を調製するための合成プロセス
合成実施例
実施例1
【0244】
【化15】
【0245】
CHCN(10mL)中2-メチル-6-モルホリノ-3H-ピリド[4,3-d]ピリミジン-4,7-ジオン(52.4mg、199.8μmol)の撹拌溶液に、KPO(105.9mg、499.5μmol)および2,2,4,4,6,6-ヘキサクロロ-1,3,5-トリアザ-2,4,6-トリホスファシクロヘキサ-1,3,5-トリエン(69.5mg、199.8μmol)を添加した。混合物を、室温で2時間撹拌した。(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エタンアミン(37.8mg、199.8μmol)を添加し、混合物を2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、prep-HPLCにより精製して、4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-6-モルホリノ-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オンを得た(20mg、収率24%)。LC-MS:m/z 433.8[M+H]
【0246】
以下の化合物を、実施例1について記載される代表的な手順と同様に調製した。
【0247】
【表4-1】
【0248】
【表4-2】
【0249】
実施例10
【0250】
【化16】
【0251】
HCl/EtOAc(10mL)中のtert-ブチル4-[4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-7-オキソ-ピリド[4,3-d]ピリミジン-6-イル]ピペラジン-1-カルボキシレート(500mg、938.8μmol)(4N)の溶液を、20℃で1.5時間撹拌した。混合物を濃縮し、prep-HPLCにより精製して、4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-6-ピペラジン-1-イル-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オンを淡黄色の固体として得た(110mg、収率27%)。LC-MS:m/z 432.8[M+H]
【0252】
実施例11
【0253】
【化17】
【0254】
CHCl(4mL)中の4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-6-ピペラジン-1-イル-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オン(60mg、127.9μmol)の溶液に、0℃のTEA(38.8mg、383.8μmol)および塩化アセチル(10.0mg、127.9μmol)を添加した。混合物を0℃で2時間撹拌した。混合物をCHCl(50mL)で希釈し、次にブライン(20mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、prep-HPLCにより精製して、6-(4-アセチルピペラジン-1-イル)-4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オンを得た(14.1mg、収率23%)。LC-MS:m/z 474.8[M+H]
【0255】
実施例12
【0256】
【化18】
【0257】
DMF(3mL)中の2-ヨードプロパン(39.9mg、234.8μmol)、炭酸カリウム(40.6mg、293.5μmol)および4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-6-(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)-2-メチル-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オン(60mg、117.4μmol)の溶液を、40℃で16時間撹拌した。混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、次にブライン(3×320mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-6-(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)-2-メチル-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オン(1.9mg、収率3%)を淡黄色の固体として得た。LC-MS:m/z 474.9[M+H]
【0258】
実施例13
【0259】
【化19】
【0260】
DMF(3mL)中の4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-6-ピペラジン-1-イル-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オン(60mg、127.9μmol)、TEA(38.8mg、383.9μmol)および2-ヒドロキシ酢酸(9.7mg、127.9μmol)の溶液に、HATU(73.4mg、191.9μmol)を添加した。混合物を、20℃で2時間撹拌した。混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、次にブライン(3×20mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-6-[4-(2-ヒドロキシアセチル)ピペラジン-1-イル]-2-メチル-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オンを淡黄色の固体として得た(2.1mg、収率3%)。LC-MS:m/z 490.8[M+H]
【0261】
以下の化合物を、実施例13について記載される代表的な手順と同様に調製した。
【0262】
【表5】
【0263】
実施例15
【0264】
【化20】
【0265】
DMSO(3mL)中の6-フルオロピリジン-3-カルボニトリル(28.6mg、234.8μmol)、NaHCO(16.7mg、199.6μmol)および4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-6-ピペラジン-1-イル-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オン(50.7mg、117.4μmol)の溶液を、100℃で6時間撹拌した。混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、次にブライン(3×20mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、6-[4-[4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-7-オキソ-ピリド[4,3-d]ピリミジン-6-イル]ピペラジン-1-イル]ピリジン-3-カルボニトリルを淡黄色の固体として得た(2mg、収率3%)。LC-MS:m/z 534.8[M+H]
【0266】
実施例16
【0267】
【化21】
【0268】
ステップ1:
CHCN(15mL)中の2-メチル-6-モルホリノ-3H-ピリド[4,3-d]ピリミジン-4,7-ジオン(100mg、381.3μmol)およびKPO(202.1mg、953.2μmol)の撹拌溶液に、塩化ホスホニトリル三量体(132.7mg、381.3μmol)を添加した。混合物を、室温で2時間撹拌した。(1R)-1-[3-ニトロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]エタンアミン(89.3mg、381.3μmol)を添加した。混合物を、2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、2-メチル-6-モルホリノ-4-[[(1R)-1-[3-ニトロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]アミノ]ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オンを得た(50mg、収率27%)。LC-MS:m/z 478.8[M+H]
【0269】
ステップ2:
EtOH(2mL)およびHO(2mL)中の2-メチル-6-モルホリノ-4-[[(1R)-1-[3-ニトロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]アミノ]ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オン(10mg、20.9μmol)、鉄(5.8mg、104.5μmol)およびNHCl(11.2mg、209.0μmol)の混合物を、75℃で3時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、prep-HPLCにより精製して、4-[[(1R)-1-[3-アミノ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-6-モルホリノ-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オンを得た(2mg、収率21%)。LC-MS:m/z 448.8[M+H]
【0270】
実施例17
【0271】
【化22】
【0272】
CHCN(10mL)中の2-メチル-6-モルホリノピリド[4,3-d]ピリミジン-4,7(3H,6H)-ジオン(52.4mg、0.2mmol)、KPO(106mg、0.5mmol)および塩化ホスホニトリル三量体(70mg、0.2mmol)の混合物を、室温で3時間撹拌した。(R)-1-(2-メチル-3-(トリフルオロメチル)フェニル)エタン-1-アミン(45mg、0.22mmol)を添加した。混合物を、80℃で2時間撹拌した。溶媒を除去した。DCM(100mL)および水(20mL)を添加した。混合物を20分撹拌した。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、prep-HPLCにより精製して、(R)-2-メチル-4-((1-(2-メチル-3-(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)アミノ)-6-モルホリノピリド[4,3-d]ピリミジン-7(6H)-オンを得た(15mg)。LC-MS:m/z 447.8[M+H]
【0273】
以下の化合物を、実施例17について記載される代表的な手順と同様に調製した。
【0274】
【表6-1】
【0275】
【表6-2】
【0276】
【表6-3】
【0277】
実施例29
【0278】
【化23】
【0279】
ステップ1:
トルエン(150mL)中の4,6-ジクロロ-2-メチルピリミジン-5-カルバルデヒド(5.0g、26mmol)の撹拌溶液に、エチレングリコール(8.0g、131.0mmol)およびTsOH(0.5g、2.5mmol)を添加した。反応混合物を、水分離器(water segregator)中で、出発材料の完全な変換が観察されるまで還流した。溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をDCM(150mL)で希釈し、重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、4,6-ジクロロ-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチルピリミジンを得た(4.0g)。LC-MS:m/z 457.2[M+H]
【0280】
ステップ2:
DMF中の4,6-ジクロロ-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチルピリミジン(1.5g、6.4mmol)、ジメチル2-フルオロマロネート(960mg、6.4mmol)およびCsCO(2.1g、6.4mmol)の混合物を、0℃で1時間撹拌した。混合物をEtOAc(200mL)およびHO(30mL)で希釈した。混合物を室温で10分撹拌した。有機相を水(3×200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して粗生成物を得、それをカラムクロマトグラフィーにより精製して、ジメチル2-(6-クロロ-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロマロネートを得た(1.2g)。LC-MS:m/z 348.8[M+H]
【0281】
ステップ3:
DMF中のジメチル2-(6-クロロ-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロマロネート(370mg、1.1mmol)、(R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エタン-1-アミン(200mg、1.1mmol)およびDIEA(410mg、3.2mmol)の混合物を、80℃で5時間撹拌した。混合物をEtOAc(100mL)およびHO(20mL)で希釈した。混合物を室温で10分撹拌した。有機相を水(3×200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して粗生成物を得、それをカラムクロマトグラフィーにより精製して、ジメチル(R)-2-(6-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロマロネートを得た(400mg)。LC-MS:m/z 501.8[M+H]
【0282】
ステップ4:
ジメチル(R)-2-(6-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロマロネート(320mg、0.6mmol)を、DMSO(5mL)中に溶解した。水酸化ナトリウム水溶液(20%、384mg)を添加し、結果として生じた混合物を、1時間、出発材料の完全な変換が観察されるまで撹拌した。トリエチルアミン(130mg、1.3mmol)、モルホリン-4-アミン(85mg、0.8mmol)およびHATU(360mg、1.5mmol)を添加し、結果として生じた混合物を1時間撹拌した。水を添加し、混合物をDCMで希釈した。水性層をDCMで抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗生成物を得て、それをカラムクロマトグラフィーにより精製して、2-(6-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロ-N-モルホリノアセトアミドを得た(260mg)。LC-MS:m/z 513.8[M+H]
【0283】
ステップ5:
2-(6-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロ-N-モルホリノアセトアミド(50mg、0.1mmol)を、2-プロパノール(2mL)中に溶解した。5NのHCl水溶液(100μL、0.5mmol)を添加し、結果として生じた混合物を、1時間、50℃で、出発材料の完全な変換が観察されるまで撹拌した。溶媒を除去して粗生成物を得て、それをprep-HPLCにより精製して、(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-8-フルオロ-2-メチル-6-モルホリノピリド[4,3-d]ピリミジン-7(6H)-オンを得た(20mg)。LC-MS:m/z 451.8[M+H]
【0284】
以下の化合物を、実施例29について記載される代表的な手順と同様に調製した。
【0285】
【表7】
【0286】
実施例34
【0287】
【化24】
【0288】
ステップ1:
THF(15mL)中のジエチルプロパンジオエート(613.2mg、3.8mmol)の溶液に、0℃のNaH(122.2mg、2.5mmol、48%)を添加した。混合物を、0℃で0.5時間撹拌した。次に4,6-ジクロロ-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチル-ピリミジン(600mg、2.5mmol)を添加した。混合物を、20℃で10時間撹拌した。反応混合物をaq.NHCl(20mL)でクエンチした。混合物をEtOAc(3×35mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、ジエチル2-[6-クロロ-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチル-ピリミジン-4-イル]プロパンジオエートを淡黄色の固体として得た(220mg、収率24%)。
【0289】
ステップ2:
DMSO(6mL)中のジエチル2-[6-クロロ-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチル-ピリミジン-4-イル]プロパンジオエート(220mg、613.2μmol)およびCsF(186.3mg、1.23mmol)の溶液に、(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エタンアミン(116mg、613.2μmol)を添加した。混合物を、120℃で5時間撹拌した。混合物をEtOAc(60mL)で希釈し、次にブライン(4×20mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、ジエチル2-[6-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチル-ピリミジン-4-イル]プロパンジオエートを淡黄色の固体として得た(110mg、収率35%)。
【0290】
ステップ3:
水(0.5mL)およびエタノール(2mL)中のジエチル2-[6-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチル-ピリミジン-4-イル]プロパンジオエート(70mg、136.8μmol)の溶液に、水酸化ナトリウム(82.1mg、410.5μmol、20%)を添加した。混合物を、100℃で2時間撹拌した。混合物を濃縮した。CHOH(4mL)を添加し、混合物を濾過した。濾液を濃縮して、(R)-2-(6-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチルピリミジン-4-イル)酢酸(100mg)を黄色の固体として得、それをさらに精製せずに次のステップに直接使用した。
【0291】
ステップ4:
DMF(1.5mL)中の(R)-2-(6-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチルピリミジン-4-イル)酢酸(30mg、69μmol)TEA(17.8mg、138.1μmol)およびHATU(52.8mg、138.1μmol)の溶液に、イソプロピルヒドラジン(15.3mg、138.1μmol)を添加した。混合物を、20℃で0.5時間撹拌した。混合物をEtOAc(60mL)で希釈し、次にブライン(20mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2-[6-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチル-ピリミジン-4-イル]-N’,N’-ジメチル-アセトヒドラジド(10mg)を黄色の固体として得た。
【0292】
ステップ5:
i-PrOH(2mL)中の2-[6-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)-2-メチル-ピリミジン-4-イル]-N’,N’-ジメチル-アセトヒドラジド(10mg、22μmol)の溶液に、HCl(5N、10μL)を添加した。混合物を、50℃で1時間撹拌した。混合物を濃縮し、prep-HPLCにより精製して、4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-6-(ジメチルアミノ)-2-メチル-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オンを淡黄色の固体として得た(1.2mg、収率14%)。LC-MS:m/z 391.8[M+H]
【0293】
以下の化合物を、実施例34について記載される代表的な手順と同様に調製した。
【0294】
【表8-1】
【0295】
【表8-2】
【0296】
実施例40
【0297】
【化25】
【0298】
CHCN(8mL)中の8-ブロモ-2-メチル-6-モルホリノ-3H-ピリド[4,3-d]ピリミジン-4,7-ジオン(25mg、73.3μmol)、2,2,4,4,6,6-ヘキサクロロ-1,3,5-トリアザ-2,4,6トリホスファシクロヘキサ-1,3,5-トリエン(25.5mg、73.3umol)およびリン酸カリウム(38.9mg、183.2μmol)の混合物を、室温で3時間撹拌した。(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エタンアミン(13.9mg、73.3μmol)を添加した。混合物を3時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、8-ブロモ-4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-6-モルホリノ-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オンを得た(25mg、収率67%)。LC-MS:m/z 511.7[M+H]
【0299】
実施例41
【0300】
【化26】
【0301】
DMF(3mL)中の二シアン化亜鉛(23.5mg、200μmol)および8-ブロモ-4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-6-モルホリノ-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オン(25.6mg、50μmol)の混合物を、マイクロ波反応器中、130℃で2時間撹拌した。混合物をEA(100mL)および水(15mL)で希釈した。有機相をブライン(3×20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、prep-HPLCにより精製して、4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-6-モルホリノ-7-オキソ-ピリド[4,3-d]ピリミジン-8-カルボニトリルを得た(2mg、収率9%)。LC-MS:m/z 458.8[M+H]
【0302】
実施例42
【0303】
【化27】
【0304】
ジオキサン(8mL)中の8-ブロモ-4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-6-モルホリノ-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オン(51.2mg、99.9μmol)、シクロプロピルボロン酸(12.9mg、149.9μmol)、Pd(dppf)Cl(8.2mg、10μmol)およびKCO(27.6mg、199.9μmol)の混合物を、100℃で6時間、Ar下で撹拌した。混合物をDCM(150mL)およびHO(20mL)で希釈した。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、prep-HPLCにより精製して、8-シクロプロピル-4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-6-モルホリノ-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オンを得た(7mg、収率15%)。LC-MS:m/z 473.8[M+H]
【0305】
実施例43
【0306】
【化28】
【0307】
ジオキサン(2mL)および水(0.5mL)中の8-ブロモ-4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-6-モルホリノ-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オン(30mg、58μmol)、(4-メチルスルホニルフェニル)ボロン酸(15mg、75μmol)および炭酸セシウム(60mg、184μmol)の混合物に、窒素下でPd(dppf)Cl-DCM(5mg、6μmol)を添加した。反応物を100℃で1時間撹拌した。混合物を水(50mL)で希釈し、EtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、DCM中の0~8% MeOHで溶出するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-8-(4-メチルスルホニルフェニル)-6-モルホリノ-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オンを淡黄色の固体として得た(2.1mg、収率6%)。LC-MS:m/z 587.6[M+H]
【0308】
以下の化合物を、実施例42および実施例43について記載される代表的な手順と同様に調製した。
【0309】
【表9-1】
【0310】
【表9-2】
【0311】
【表9-3】
【0312】
【表9-4】
【0313】
【表9-5】
【0314】
【表9-6】
【0315】
【表9-7】
【0316】
【表9-8】
【0317】
【表9-9】
【0318】
【表9-10】
【0319】
【表9-11】
【0320】
【表9-12】
【0321】
実施例74
【0322】
【化29】
【0323】
トルエン(6mL)中の8-ブロモ-4-[[(1R)-1-[3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-フェニル]エチル]アミノ]-2-メチル-6-モルホリノ-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オン(30mg、59μmol)、2-(トリブチルスタンニル)ピリジン(32mg、88μmol)およびPd(PPh(14mg、12μmol)の混合物を、110℃で2時間、Ar下で撹拌した。混合物をEA(150mL)およびHO(20mL)で希釈した。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、prep-HPLCにより精製して、(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-6-モルホリノ-8-(ピリジン-2-イル)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7(6H)-オンを黄色の固体として得た(2.5mg、収率8%)。LC-MS:m/z 510.7[M+H]
【0324】
実施例75
【0325】
【化30】
【0326】
ステップ1:
ジオキサン(10mL)および水(2mL)中の8-ブロモ-2-メチル-6-モルホリノピリド[4,3-d]ピリミジン-4,7(3H,6H)-ジオン(136.4mg、0.4mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピコリノニトリル(138.0mg、0.6mmol)、Pd(dppf)Cl(74mg、0.1mmol)およびCsCO(260.0mg、0.8mmol)の混合物を、100℃で5時間、Ar下で撹拌した。混合物をDCM(150mL)および水(10mL)で希釈した。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、5-(2-メチル-6-モルホリノ-4,7-ジオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-8-イル)ピコリノニトリルを得た(110mg、収率75%)。LC-MS:m/z 364.8[M+H]
【0327】
ステップ2:
CHCN(10mL)中の5-(2-メチル-6-モルホリノ-4,7-ジオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-8-イル)ピコリノニトリル(36.4mg、0.1mmol)、KPO(63.6mg、0.3mmol)および塩化ホスホニトリル三量体(34.8mg、0.1mmol)の混合物を、室温で3時間撹拌した。(R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エタン-1-アミン(18.9mg、0.1mmol)を添加し、混合物を80℃で2時間撹拌した。溶媒を除去した。DCM(150mL)および水(20mL)を添加した。混合物を10分撹拌した。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、prep-HPLCにより精製して、(R)-5-(4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-6-モルホリノ-7-オキソ-6,7-ジヒドロピリド[4,3-]ピリミジン-8-イル)ピコリノニトリルを得た(15mg、収率28%)。LC-MS:m/z 535.7[M+H]
【0328】
以下の化合物を、実施例75について記載される代表的な手順と同様に調製した。
【0329】
【表10】
【0330】
実施例77
【0331】
【化31】
【0332】
ステップ1:
CHCN(3mL)中の2-メチル-6-モルホリノ-3H-ピリド[4,3-d]ピリミジン-4,7-ジオン(16mg、61μmol)、塩化ホスホニトリル三量体(21.2mg、61μmol)およびKPO(32.3mg、152.5μmol)の混合物を、室温で3時間撹拌した。Tert-ブチルN-[[2-[5-[(1R)-1-アミノエチル]-3-チエニル]フェニル]メチル]-N-メチル-カルバメート(23.3mg、67.1μmol)を添加した。混合物を3時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、prep-HPLCにより精製して、tert-ブチルN-メチル-N-[[2-[5-[(1R)-1-[(2-メチル-6-モルホリノ-7-オキソ-ピリド[4,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ]エチル]-3-チエニル]フェニル]メチル]カルバメートを得た(5mg、収率14%)。LC-MS:m/z 590.8[M+H]
【0333】
ステップ2:
ジオキサン(1mL)中のtert-ブチルN-メチル-N-[[2-[5-[(1R)-1-[(2-メチル-6-モルホリノ-7-オキソ-ピリド[4,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ]エチル]-3-チエニル]フェニル]メチル]カルバメート(5mg、8.5μmol)の撹拌溶液に、ジオキサン(3mL)中の4N HClを添加した。混合物を、室温で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、1N NaHCO(aq.)により塩基性化し、DCM(30mL)で抽出し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、prep-HPLCにより精製して、2-メチル-4-[[(1R)-1-[4-[2-(メチルアミノメチル)フェニル]-2-チエニル]エチル]アミノ]-6-モルホリノ-ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-オンを得た(1.5mg、収率36%)。LC-MS:m/z 490.8[M+H]
【0334】
実施例3.生物学的アッセイ
a.KRAS::SOS1 AlphaScreen結合アッセイ
このアッセイを使用して、定義された生化学的設定において、化合物がSOS1と KRAS G12Dとの間のタンパク質タンパク質相互作用を阻害する効力を調べた。所与の化合物の低いIC50値は、このアッセイの設定において、SOS1阻害剤化合物の高い効力を示す。
【0335】
試薬:
・GST-TEV-SOS1(564-1049)およびHis-TEV-Avi-KRAS G12D(1-169)を、Viva Biotech(Shanghai)Ltd.から購入する。
【0336】
・GDP(Sigma,カタログ番号G7127)
・AlphaLISAグルタチオンアクセプタービーズ(PerkinElmer、カタログ番号AL109C)
AlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(PerkinElmer、カタログ番号6760002S)
・アッセイプレート:ProxiPlate-384 Plus、白色384シャローウェルマイクロプレート(PerkinElmer、カタログ番号6008280)
アッセイ緩衝液:
・PBS、pH 7.4(Gibco、カタログ番号10010023)
・0.05% Tween 20(Sigma、カタログ番号P7949-100ML)
・0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)(Sigma、カタログ番号A1933-5G)
アッセイプロトコール:
SOS1阻害剤化合物を、1μΜの最終開始濃度に希釈する。化合物の段階希釈を、Tecan D300eデジタルディスペンサーを使用して、1:3段階希釈で9種の濃度で行う。384ウェルアッセイプレートにウェルあたり100nLの化合物溶液を移し、1μMと最小0.15nMとの間の範囲を2連で包含する。10nM(最終アッセイ濃度)のKRAS G12D、5nM(最終アッセイ濃度)のSOS1および10μΜ(最終アッセイ濃度)のGDPをアッセイ緩衝液中で混合し、5μLのKRAS::SOS1 GDPミックスを、アッセイプレート中、100nLの化合物溶液に添加する(アッセイにおける最終希釈1:100、最終DMSO濃度1%)。30分のインキュベーションの後、AlphaLISAグルタチオンアクセプタービーズおよびAlphaScreenストレプトアビジンドナービーズをアッセイ緩衝液中で5μg/mLの濃度(最終アッセイ濃度)で混合し、5μLのビーズミックスをアッセイプレート中に添加する。プレートを、暗くしたインキュベーター中、室温で3時間保持する。3時間のインキュベーションの後、Envision(PerkinElmer)を使用して、シグナルを決定する。励起波長は680nmであり、発光は615nmである。IC50値を、GraphPad Prismを使用して算出し、分析する。
【0337】
【表11-1】
【0338】
【表11-2】
【0339】
b.細胞増殖アッセイ
細胞増殖アッセイの目的は、定義された細胞の設定において、化合物がin vitroでがん細胞株のSOS1媒介性増殖を阻害する効力を調べることである。低いIC50値は、このアッセイの設定において、化合物の高い効力を示す。SOS1阻害剤化合物がKRAS突然変異ヒトがん細胞株の増殖に対する強力な阻害効果を示すことが観察される。
【0340】
細胞増殖アッセイを、KRAS G12C突然変異を有するヒト非小細胞肺がん(NSCLC)細胞株であるヒト細胞株NCI-H358を用いて、三次元(3D)超低条件(ultra-low conditions)で行う。
【0341】
使用する材料:
・96ウェル透明丸底超低接着マイクロプレート(Corning、カタログ番号7007)
・96ウェル透明平底白色ポリスチレンTC処理マイクロプレート(Corning、カタログ番号3610)
・RPMI-1640培地(Gibco、カタログ番号22400105)
・ウシ胎児血清(FBS)(Gibco、カタログ番号10099141C)
・0.25%トリプシン-EDTA(Gibco、カタログ番号25200056)
・ペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco、カタログ番号15140122)
・CellTiter-Glo 3D細胞生存能力アッセイ(Promega、カタログ番号G9683)。
【0342】
アッセイプロトコール:
10% FBSを補充したRPMI培地を使用して、NCI-H358細胞(ATCC、カタログ番号CRL-5807)を細胞培養フラスコ中で育てる。細胞を、加湿雰囲気中、継代培養を週2回行いながら、37℃および5%のCOでインキュベートする。3D細胞生存能力決定のために、細胞をトリプシン処理し、数え、96ウェル超低接着プレートに播種する。播種の次の日、SOS1阻害剤化合物の段階希釈を、Tecan D300eデジタルディスペンサーを使用して行い、細胞生存能力に対する濃度依存性効果を評価する。試験化合物の濃度は、1:3段階希釈を用いて、9種の濃度で5μMと0.76nMとの間の範囲を包含する。化合物の0.5μLの段階希釈物を2連で添加する。3日後、CellTiter-Glo 3D細胞生存能力アッセイを使用して、3DフォーマットにおけるSOS1阻害剤化合物の細胞生存能力効果を測定する。発光強度を、Envision(PerkinElmer)を使用して決定する。データを分析し、IC50値をGraphPad Prismを使用して算出する。
【0343】
【表12-1】
【0344】
【表12-2】
【0345】
実施例4.生物学的活性および肝ミクロソーム安定性の比較
WO2019/122129A1に開示される化合物I-18を調製した。下の表に示すように、この化合物は、ヒト肝ミクロソームアッセイにおいて非常に不良な安定性を有し、H358細胞アッセイにおいてより弱い活性を有する。驚くべきことに、化合物I-18中のテトラヒドロピラン環と二環式コアとの間のC-N結合が本化合物中のN-N結合と置換されたとき(化合物I-18対実施例1、17、29、30、43、53および61)、本化合物のヒト肝ミクロソームの安定性は劇的に改善した。さらに、本化合物のH358細胞活性も著しく高まった。
【0346】
【表13-1】
【0347】
【表13-2】
【0348】
【表13-3】
【国際調査報告】