(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】輝度改善フィルム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20231228BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G02B5/02 C
G02F1/1335 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538747
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 KR2021020290
(87)【国際公開番号】W WO2022149799
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0001300
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514217912
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132,Yakchon-ro,Iksan-si Jeollabuk-do 570-977,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンス
(72)【発明者】
【氏名】ベク,ソンホ
(72)【発明者】
【氏名】アン,ギファン
【テーマコード(参考)】
2H042
2H291
【Fターム(参考)】
2H042BA04
2H042BA20
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA59X
2H291FA59Z
2H291FA94X
2H291FA94Z
2H291FD34
2H291FD35
2H291LA31
(57)【要約】
輝度改善フィルムは、片面に複数の凸状部を離間して備える高屈折層と、高屈折層の片面に凸状部に嵌合して貼り合わされる低屈折層とを含む。光は高屈折層から低屈折層の方向に放出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面に複数の凸状部を離間して備える高屈折層;及び
前記高屈折層の片面に前記凸状部に嵌合して貼り合わされる低屈折層を含み、
前記高屈折層から前記低屈折層の方向に光が放出される、輝度改善フィルム。
【請求項2】
前記凸状部はエンボス形状を有する、請求項1に記載の輝度改善フィルム。
【請求項3】
前記エンボス凸状部は等間隔で離間する、請求項2に記載の輝度改善フィルム。
【請求項4】
前記エンボス凸状部は、前記高屈折層の全面積に対して45~91%の面積比率を有する、請求項3に記載の輝度改善フィルム。
【請求項5】
前記エンボス凸状部は、0.27~0.73のアスペクト比(高さ/幅)を有する、請求項3に記載の輝度改善フィルム。
【請求項6】
前記高屈折層と前記低屈折層とは0.2~0.4の屈折率差を有する、請求項3に記載の輝度改善フィルム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の輝度改善フィルムを含む、偏光板。
【請求項8】
請求項7に記載の偏光板を含む、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムに係り、より詳しくは、低屈折層と外部(空気)または他の機能層との境界面で全反射する光経路を変更して外部へ向かうようにすることで表示装置の輝度を高めることができる輝度改善フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置、例えば、液晶表示装置は、バックライトユニットから出た光が液晶パネルを介して出射することにより作動することができる。
【0003】
液晶表示装置は、例えば、第1の偏光板、液晶パネル、第2の偏光板などを積層してなる積層板を含んでよい。
【0004】
第1の偏光板は、液晶パネルの裏側に貼り合わされて入射光を偏光させることができる。
【0005】
液晶パネルは、第1の偏光板と第2の偏光板との間に介在して第1の偏光板から入射する光を第2の偏光板に透過させるものであって、表示媒体である液晶層を含んでよい。
【0006】
第2の偏光板は、液晶パネルの表側に貼り合わされて液晶パネルを通る光を偏光及び拡散させることで輝度、明暗比を高めることができる。第2の偏光板は、偏光子、光学フィルム、保護層などを積層した構造を有してよい。第2の偏光板において、光学フィルムは、輝度改善、明暗比改善などの多様な機能を果たすことができる。
【0007】
輝度改善フィルムは、高屈折層と低屈折層を積層して構成している。従来の輝度改善フィルムは、高屈折層と低屈折層との境界を平面で構成するか、ストリップ(strip)状の凹状パターンを高屈折層に形成している。
【0008】
輝度改善フィルムにおいて、低屈折層は、外部(空気)と接するかまたは他の機能層と貼り合わされることがある。この場合、空気(外部)または他の機能層の屈折率が低屈折層よりも小さいと、低屈折層と外部(空気)または他の機能層との境界面で一部全反射が起こることがある。全反射光は、後方、すなわち高屈折層へ進みながら正面輝度はもちろん、全方向輝度まで落とすことがある。
【0009】
しかしながら、平面またはストリップ状の境界面を有する従来の輝度改善フィルムでは、境界面で起こる全反射光による正面輝度および全方向輝度の低下を低減したり遮断したりするのに困難がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、表示装置に貼り合わされて用いられる光学フィルムの構造を改善して、外部(空気)または他の機能層との境界面で発生し得る全反射光を再び外部(空気)または他の機能層の方向へ方向転換させることにより、正面輝度および全方向輝度を高めることができる輝度改善フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するための本発明の輝度改善フィルムは、高屈折層と低屈折層を積層して構成してよい。
【0012】
高屈折層は、液晶パネル側に貼り合わされ、且つ片面に液晶パネルから離れる方向に突出する複数の凸状部を離間して備えてよい。
【0013】
低屈折層は、高屈折層の片面、すなわち液晶パネルとは反対側の面に高屈折層の凸状部に嵌合して貼り合わされてよい。
【0014】
本発明の輝度改善フィルムにおいて、凸状部はエンボス形状を有してよい。
【0015】
本発明の輝度改善フィルムにおいて、エンボス凸状部は等間隔で離間してよい。
【0016】
本発明の輝度改善フィルムにおいて、エンボス凸状部は、高屈折層の全面積に対して45~91%の面積比率を有してよい。
【0017】
本発明の輝度改善フィルムにおいて、エンボス凸状部は、0.27~0.73のアスペクト比(高さ/幅)を有してよい。
【0018】
本発明の輝度改善フィルムにおいて、高屈折層と低屈折層は、0.2~0.4の屈折率差を有してよい。
【0019】
本発明に係る偏光板は、上述した輝度改善フィルムを含んでよい。
【0020】
本発明に係る表示装置は、上述した輝度改善フィルムを有する偏光板を含んでよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の輝度改善フィルムは、高屈折層に凸状部を形成することにより、低屈折層と外部(空気)または他の機能層の境界面で起こり得る一部全反射光を再び前方、すなわち外部(空気)または他の機能層の方向に再反射させることができる。これにより、本発明は、正面輝度及び全方向輝度を高めることができる。
【0022】
また、本発明の輝度改善フィルムは、凸状部を等間隔を有するエンボス形状に構成することにより、低屈折層と外部(空気)または他の機能層との境界面で起こる一部全反射光を均一に前方へ方向転換することができる。これにより、本発明は、前方、すなわち外部(空気)または他の機能層の方向へ再反射する比率を高めるだけでなく、再反射光の均一度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る輝度改善フィルムの分解斜視図である。
【
図2】本発明に係る輝度改善フィルムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る輝度改善フィルムの分解斜視図である。
【0026】
図1に示すように、本発明の輝度改善フィルムは、高屈折層10と低屈折層20を積層して構成してよい。
【0027】
高屈折層10は、液晶パネル側、すなわち、光が出射する側に位置する。高屈折層10は、液晶パネルとは反対側の片面に液晶パネルから離れる方向に突出する複数の凸状部11を備えてよい。
【0028】
凸状部11は、エンボス形状を有してよい。凸状部11は、幅と高さに応じて多様な形状を有してよいが、例えば、半円形、半楕円などの断面形状を有してよい。凸状部11は、等間隔で離間して配列してよい。このようなエンボス形状及び均一な配列により、凸状部11は、全反射光を低屈折層20の方向へ転換し且つ転換される光の均一度を高めることができる。
【0029】
凸状部11は、低屈折層20から高屈折層10に入射する光、すなわち、低屈折層20と外部(空気)または他の機能層(図示せず)との境界面で全反射する全反射光を、前方、すなわち低屈折層20の方向に再反射して方向転換することができる。
【0030】
高屈折層10は、例えば、(メタ)アクリル系、ポリカーボネート系、シリコーン系、エポキシ系樹脂のうち一つ以上を含む紫外線硬化型組成物から構成してよい。高屈折層10は、例えば、1.57~1.75の屈折率を有してよい。
【0031】
低屈折層20は、高屈折層10の片面、すなわち液晶パネル側とは反対側の面に貼り合わせてよい。低屈折層20は、高屈折層10の凸状部11に嵌合して貼り合わせてよい。低屈折層20は、凸状部11に対応する凹状部21を高屈折層10側に備えてよい。
【0032】
低屈折層20は、紫外線硬化性の透明樹脂、例えば、(メタ)アクリル系、ポリカーボネート系、シリコーン系、エポキシ系樹脂などから構成してよい。低屈折層20は、例えば、1.35~1.50の屈折率を有してよい。
【0033】
図2は、本発明に係る輝度改善フィルムの断面図である。
【0034】
図2に示したように、本発明の輝度改善フィルムは、高屈折層10と低屈折層20を積層して構成してよい。高屈折層10に形成されるエンボス凸状部11の形状(または、アスペクト比=高さH/幅W)、形成面積(または離間間隔S)、そして、高屈折層10と低屈折層20との屈折率差などに応じて正面輝度と全方向輝度が変わることを確認した。これに基づき、エンボス凸状部11の最適の形状(アスペクト比)、最適の形成面積(または離間間隔)、そして高屈折層10と低屈折層20との最適の屈折率差を以下のようにして導出した。
【0035】
下記の表1は、エンボス凸状部11の形状(アスペクト比)の変化に応じた正面輝度と全方向輝度の変化を測定した結果である。ここで、エンボス凸パターン11の離間間隔Sは0とし、高屈折層10と低屈折層20との屈折率差は0.3とした。そして、正面輝度と全方向輝度は、輝度改善フィルムを積層していない場合を基準(100%)として、相対的輝度の変化を%で表した。
【0036】
【0037】
前記の表1を参照すると、正面輝度と全方向輝度がアスペクト比の変化に応じて変わることを確認することができる。製品の設計に際して基準値(100%)より5%p以上増加したときを有意な変化と見なすことに照らして、正面輝度と全方向輝度が共に105%以上に増加するアスペクト比の範囲を0.27~0.73と抽出することができる。このようなアスペクト比の範囲は技術的に有意なものと解釈することができる。
【0038】
下記の表2は、高屈折層10と低屈折層20との屈折率差に応じた正面輝度と全方向輝度の変化を測定した結果である。ここで、エンボス凸状部11の離間間隔Sは0とし、エンボス凸状部11のアスペクト比は0.36(幅22μm、高さ8μm)とした。そして、正面輝度と全方向輝度は、輝度改善フィルムを積層していない場合を基準(100%)として、相対的輝度の変化を%で表した。
【0039】
【0040】
前記表2から見ると、正面輝度と全方向輝度が高屈折層10と低屈折層20との屈折率差に応じて変わることを確認することができる。製品の設計に際して基準値(100%)より5%p以上増加したときを有意な変化と見なすことに照らして、正面輝度と全方向輝度が共に105%以上に増加する屈折率差の範囲を0.2以上と抽出することができる。このような屈折率差の範囲は技術的に有意なものと解釈することができる。但し、高屈折層10と低屈折層20との屈折率差が0.4を超えるように光学フィルムを実際に製品化することが難しいため、本発明では、高屈折層10と低屈折層20との屈折率差を0.2~0.4の範囲にすることが好ましい。
【0041】
下記の表3は、エンボス凸状部11の形成面積比((エンボス凸状部の全面積/高屈折層の全面積)×100)の変化に応じた正面輝度と全方向輝度の変化を測定した結果である。ここで、幅は11μmと22μmの2つのグループに分け、高屈折層10と低屈折層20との屈折率差は0.3とした。そして、正面輝度と全方向輝度は、輝度改善フィルムを積層していない場合を基準(100%)として、相対的輝度の変化を%で表した。
【0042】
【0043】
前記表3から見ると、正面輝度と全方向輝度がエンボス凸状部11の形成面積比(または離間間隔比)の変化に応じて変わることを確認することができる。製品の設計に際して基準値(100%)より5%p以上増加したときを有意な変化と見なすので、正面輝度と全方向輝度が共に105%以上に増加するエンボス凸状部11の形成面積比を45~91%と抽出することができる。このようなエンボス凸状部11の形成面積比の範囲は技術的に有意なものと解釈することができる。
【0044】
上述した光学フィルムは、偏光板の一部として用いることができる。この場合、偏光板は、例えば、上述した輝度改善フィルムを偏光子フィルムと保護フィルムとの間に挿入積層した形態で構成することができる。
【0045】
また、上述した光学フィルムは、液晶パネルの他、多様な表示装置、例えば、プラズマパネル、電界発光パネル、有機発光ダイオードパネルなどにも使用することができる。
【0046】
以上、本発明を様々な実施例を挙げて説明したが、これらの実施例は本発明を例証するためのものである。通常の技術者であれば、これらの実施例を他の形態に変形したり修正したりすることができる。なお、本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって定められるので、かかる変形や修正が本発明の権利範囲に含まれるものと解釈され得る。
【符号の説明】
【0047】
10:高屈折層
11:凸状部(エンボス)
20:低屈折層
21:凹状部
W:エンボス幅
H:エンボス高さ
S:エンボス間隔
【国際調査報告】